(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】回転可能なマガジンを有する医療用栓送達装置並びに関連する構成要素及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20221125BHJP
A61M 31/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A61B17/00 500
A61M31/00
(21)【出願番号】P 2018552032
(86)(22)【出願日】2017-04-04
(86)【国際出願番号】 US2017025986
(87)【国際公開番号】W WO2017176787
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2020-03-09
(32)【優先日】2016-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399125104
【氏名又は名称】メリット・メディカル・システムズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Merit Medical Systems,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】フレッド ランプロポウロス
(72)【発明者】
【氏名】ジム モットラ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ピー ジェンキンス
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー アール マッカーサー
(72)【発明者】
【氏名】ケネス サイクス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー シンドリッチ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ガルシア
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-087797(JP,A)
【文献】米国特許第04673387(US,A)
【文献】国際公開第2015/025178(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0257232(US,A1)
【文献】特表2015-513935(JP,A)
【文献】特表2003-507115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61M 31/00
A61M 5/31- 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用栓を患者に送達するための装置であって、
マガジンの長手方向軸の周囲に配置される複数のチャンバを画定するマガジンであって、前記複数のチャンバは、それぞれのチャンバ内に医療用栓を収納するように更に構成されている、マガジンと、
前記マガジンの近位端に結合された近位ポートであって、流体送達装置に結合されるように構成されている、近位ポートと、
前記マガジンの遠位端に結合された遠位ポートであって、患者と連通する内腔に結合されるように構成されている、遠位ポートと、を含み、
前記マガジンは、前記近位ポートから前記遠位ポートへの流体の流れが、前記マガジンから医療用栓を排出するように構成されている、装置。
【請求項2】
セレクタ及び前記マガジンが、互いに対して前記装置の前記長手方向軸を中心に回転するように構成されるよう、前記マガジンに結合されているセレクタを更に含み、前記セレクタは、前記マガジンの近位に配置されているチャネルを含み、
前記装置が、前記マガジンに対する前記セレクタの回転により、前記送達装置を、前記セレクタの前記チャネルの遠位端が前記複数のチャンバのうちの第1のチャンバの遠位端と軸方向に整列していない第1の構成から、前記チャネルの前記遠位端が前記第1のチャンバの前記近位端と軸方向に整列している第2の構成に遷移させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記セレクタから遠位に延在する回り止めであって、前記回り止めは、前記マガジンに対する前記セレクタの回転時に前記セレクタと一緒に回転するように構成されている、回り止めと、
前記マガジン内の複数の凹部であって、前記凹部は、前記マガジンの近位端に隣接して配置され、前記凹部は、前記回り止めを受容するように構成されている、複数の凹部と、を更に含み、
前記装置が、前記回り止めが前記複数の凹部のうちの隣接する凹部間に位置付けられているときよりも、前記回り止めが前記複数の凹部のうちの1つの凹部内に配置されたときに、前記回り止めの遠位先端が前記セレクタから更に延在するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記マガジンと前記回り止め及び前記セレクタのうちの1つ又は両方との間の相互作用が、前記複数のチャンバのうちの1つのチャンバの近位端が前記セレクタの前記チャネルの前記遠位端と軸方向に整列していることを示す可聴及び/又は触覚フィードバックを提供する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記チャネルの前記遠位端が、前記装置が前記第1の構成にあるときに、前記マガジンを通って延在しない前記マガジンの空洞と整列している、請求項2~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置が前記第1の構成にあるときに、流体が前記チャネルを遠位に通過することにより、流体が前記マガジンの前記空洞内に入り、前記間隙内へ流れ、前記複数のチャンバのうちのそれぞれのチャンバに入るように、前記間隙が、前記マガジンの一部と前記セレクタの一部との間に配置されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記マガジンの遠位に配置されたガイドを更に含み、前記複数のチャンバのそれぞれのチャンバは、前記マガジンの前記いずれかのチャンバを通過する流体が、前記ガイドの遠位端にある単一の開口部を通って前記装置を出るように、前記ガイドと流体連通している、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記セレクタの前記チャネルの前記遠位端が、前記ガイドの前記遠位端にある前記単一の開口部と軸方向に整列していない、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、前記第2の構成から、前記セレクタの前記チャネルの前記遠位端が、前記複数のチャンバのうちの第2のチャンバの近位端と軸方向に整列している第3の構成に遷移するように構成されている、請求項2~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記セレクタが、前記マガジンの遠位に配置された第2のチャネルと、前記マガジンの近位に配置された前記チャネルと前記マガジンの遠位に配置された前記チャネルとの間に配置された接続領域と、を更に含み、前記セレクタが、前記セレクタと前記複数のチャンバのうちの1つのチャンバとの間の流体密封を容易にするための圧縮力を提供する、請求項2に記載の装置。
【請求項11】
組成物又は医療用物品を患者に送達するための送達装置であって、
回転可能なマガジンであって、
前記回転可能なマガジンを通って延在する中央内腔と、
前記中央内腔の周囲に配置された複数のチャンバと、を画定
し、各チャンバは前記組成物又は前記医療用物品を収容するように構成された、回転可能なマガジンと、
前記回転可能なマガジンの近位端に結合された近位チャネルと、前記回転可能なマガジンの遠位端に結合された遠位チャネルと、前記近位チャネルと前記遠位チャネルとの間に配置された接続領域と、を含むフレームと、
前記回転可能なマガジンの前記中央内腔を通って延在し、かつ前記フレームに結合されている、細長いシャフトと、を含み、
前記回転可能なマガジンの前記細長いシャフトを中心とした回転により、前記送達装置が、前記複数のチャンバのうちの第1のチャンバが前記近位チャネル及び前記遠位チャネルの両方と整列している第1の構成から、前記複数のチャンバのうちの第2のチャンバが前記近位チャネル及び前記遠位チャネルの両方と整列している第2の構成へ遷移し、
前記回転可能なマガジンは、前記近位チャネルから前記遠位チャネルへの流体の流れが
、前記回転可能なマガジンの前記複数のチャンバのうちの1つから前記組成物又は前記医療用物品を排出するように構成されており、
前記フレームが、前記フレームと、前記回転可能なマガジンの前記複数のチャンバのうちの1つのチャンバとの間の流体密封を容易にするための圧縮力を提供する、送達装置。
【請求項12】
前記遠位チャネル及び前記近位チャネルが互いに同一線上にあるが、接続領域とは同一線上にない、請求項11に記載の送達装置。
【請求項13】
それぞれのチャンバが、主チャネル及びバイパスチャネルを含み、前記バイパスチャネルは、前記主チャネルの周囲に流体流路を提供する、請求項11
又は請求項12に記載の送達装置。
【請求項14】
前記回転可能なマガジンが、前記細長いシャフトを中心に単一の方向にのみ回転可能である、請求項11~
13のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項15】
前記フレームが、
第1のハブと第2ハブとを含み、前記第1ハブは当該第1ハブから延在する第1の複数のスポークを
有し、前記第2ハブは当該第2のハブから延在する第2の複数のスポークを有
し、それぞれのスポークは、チャンバと相互作用して前記チャンバから
前記組成物又は前記医療用物品が漏れ出ることを防止するように構成されているキャップに結合されている、請求項11~
14のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項16】
前記送達装置が、
近位に方向付けられた流体の流れが前記回転可能なマガジンの前記
複数のチャンバのうち1つのチャンバを通過するときに、
前記組成物又は前記医療用物品を前記複数のチャンバのうちの1つのチャンバ内に維持するように、かつ、
遠位に方向付けられた流体の流れが前記回転可能なマガジンの前記
複数のチャンバのうち1つのチャンバを通過するときに、前記
複数のチャンバのうち1つのチャンバから前記組成物又は前記医療用物品の配備を許容するように、構造化されている、請求項11~
15のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項17】
前記複数のチャンバのうちのそれぞれのチャンバ内に配置されたカートリッジを更に含み、
各カートリッジは前記組成物又は前記医療用物品を収容し、それぞれのカートリッジは、前記カートリッジの近位端に隣接する肩部を画定し、前記肩部は、
前記組成物又は前記医療用物品に係合して、前記肩部の近位の
前記組成物又は前記医療用物品の動きを制限するように構成されている、請求項11~
16のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項18】
第1の長さを有する第1の
組成物又は医療用物品が、前記第1のチャンバ内に配置され、第2の長さを有する第2の
組成物又は医療用物品が、前記第2のチャンバ内に配置され、前記第1の長さは前記第2の長さと異なる、請求項11~
17のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項19】
前記複数のチャンバのうちのそれぞれのチャンバに前記
組成物又は前記医療用物品が予め装填されている、請求項11~
18のいずれか一項に記載の送達装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2016年4月4日に出願されたdEVICES WITH A ROTATABLE MAGAZINE FOR DELIVERING MEDICAL PLUGSと題する米国仮出願第62/317,914号、及び2016年6月24日に出願されたMEDICAL DELIVERY DEVICES WITH A ROTATABLE MAGAZINE AND RELATED COMPONENTS AND METHODSと題する米国仮出願第62/354,493号、及び2016年4月4日に出願されたDEVICES FOR DELIVERING MULTIPLE MEDICAL PLUGSと題する米国仮出願第62/317,830号の優先権を主張し、それぞれの出願の内容全体は、参照により本明細書に全体として組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して医療用装置の分野に関する。より具体的には、いくつかの実施形態は、組成物又は医療用物品(例えば、医療用栓)を患者に送達するための医療用装置に関する。関連する方法も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本明細書における書面による開示は、非限定的かつ非網羅的な、例示的実施形態を説明するものである。以下の図に示される、そのような例示的実施形態のうちの特定のものについて、参照するものとする。
【
図2】明確にするために注射器を除去した、
図1の医療用栓送達装置の別の斜視図である。
【
図3】明確にするために注射器を除去した、
図1~
図2の医療用栓送達装置の近位端を示す後端面図である。
【
図4】明確にするために注射器を除去した、
図1~
図3の医療用栓送達装置の遠位端を示す前端面図である。
【
図7】
図1~
図6の医療用栓送達装置の一部の別の分解図である。
【
図8】医療用栓送達装置の別の実施形態の斜視図である。
【
図9】明確にするために注射器を除去した、
図8の医療用栓送達装置の別の斜視図である。
【
図11】
図8~10の医療用栓送達装置の一部の分解図である。
【
図13】セレクタが第1の位置にある、
図8~
図12の医療用栓送達装置の近位端図である。
【
図14】セレクタが第2の位置にある、
図8~
図13の医療用栓送達装置の近位端図である。
【
図15】栓を送達するための医療用装置の別の実施形態の側面図である。
【
図21】
図18の平面17-17によって示された位置にある平面を通して取られた、
図16~
図20の栓ホルダの弾性アダプタの断面斜視図である。
【
図22】
図18の平面17-17によって示された位置にある平面を通して取られた、
図16~
図21の栓ホルダの栓マガジンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
医療用栓送達装置は、患者に組成物及び/又は医療用物品を送達するために使用され得る。例えば、いくつかの医療用栓送達装置は、医療用栓(綿撤糸等)を患者の体内に送達するために使用され得る。医療用栓は、とりわけ、部分的に若しくは完全に1つ以上の創傷部位を充填するため、血液凝固を誘発するため、体液の漏出を防止する若しくは低減させるため、並びに/又は組織成長を促進する及び/若しくは可能にするための足場を提供するために、空隙に挿入され得る。
【0005】
例えば、生検処置時に、施術者は、トロカールの遠位先端が導入器シースの遠位端から突出するように、導入器シース内にトロカールを置くことによって、導入器シースを患者に挿入することができる。トロカールの尖端が導入器シースから突出した状態で、トロカール及び導入器シースを一緒に患者に挿入することができる。導入器シースが患者内に位置付けられた後、トロカールを導入器シースから引き出すことができる。処置のこの段階で、導入器シースは、患者の体内組織へのアクセスを可能にする導管を提供する。
【0006】
次いで、切断装置(例えば、針又は身体試料を得るように構成されたいくつかの他の装置)が、導入器シースを介して挿入され得る。切断装置が内部組織に到達すると、切断装置は、患者から内部組織を切除する(例えば切り取る)ために使用され得る。このような切除は、内部組織に占有されていた空間内に空隙を残し得る。
【0007】
いくつかの状況では、生検処置時に切除された組織によって生成される空隙に、1つ以上の医療用栓を送達することが有利であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の医療用栓を空隙に挿入して、空隙によって生成された空間を少なくとも部分的に充填すること、創傷部位における血液凝固を促進すること、及び/又は組織の再成長を促進する若しくは可能にするための足場を提供することができる。
【0008】
医療用栓は、他の医療処置における空隙にも挿入され得る。例えば、医療用栓は、内腔を通る流体の流れを阻止するために送達され得る。換言すれば、医療用栓は、特定の場所への流体の流れを妨げるための塞栓剤として送達され得る。医療用栓は、患者の体内の他の場所に送達される場合もあり、代替の状況下で又は異なる用途のために送達される場合もある。
【0009】
いくつかの医療用栓送達装置及び関連する構成要素は、以下により詳細に説明するように、複数の医療用物品(例えば、医療用栓)の患者の体内への送達を容易にするように構成され得る。複数の医療用栓を送達するために単一の装置を使用することは、相対的に大きな部位を充填するための複数の栓の送達を容易にする、又は患者内の複数の場所(例えば、創傷部位)への単一の医療用栓の送達を容易にする等、有意な利点を提供し得る。いくつかの状況では、医療用栓を湿潤させること(例えば、水和)と、医療用栓を患者内の1つ以上の内部領域へ内腔を介して送達することと、の両方を容易にするように設計される。
【0010】
あるいは、本明細書に開示されるいくつかの医療用栓送達装置は、1つ以上の薬剤(例えば、薬)を患者に送達するために使用され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の薬剤は、医療用栓送達装置のマガジンの1つ以上のチャンバ内に固体(例えば粉末)として配置(例えば、予め装填)されてもよい。薬剤は次いで、水和され、患者に送達され得る。いくつかの状況では、そのような装置は、複数の用量の薬剤を送達するため、又は様々な用量の薬剤の中から適切な用量を選択するために使用され得る。いくつかの実施形態では、それぞれのチャンバは、異なる薬剤を含んでもよい。
【0011】
この開示の利益を受ける当業者は、この開示が、様々な目的のための組成物及び/又は医療用物品(例えば、医療用栓)の送達に広く関係し、本明細書で論じる特定の文脈に限定されないことを理解するであろう。更に、いくつかの医療用栓送達装置については、医療用栓の送達を特に参照しながら以下に説明されるが、そのような装置は、場合によっては、いくつかの他の医療用物品(複数の場合あり)又は薬剤(複数の場合あり)を配備するために代替的に使用されてもよい。
【0012】
本明細書の図において全般的に説明され、図示されるような実施形態の構成要素は、多種多様な異なる構成で、配置及び設計することができる。それゆえ、それらの図に表されるような、以下の様々な実施形態のより詳細な説明は、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、単に様々な実施形態を代表するものに過ぎない。実施形態の様々な態様が図面に提示されるが、この図面は、特に示されない限り、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。
【0013】
「結合される」という表現は、2つ以上の実体間での何らかの接続又は結合を指すほど広義である。2つの構成要素は、それらが互いに直接接触していないとしても、互いに結合されている場合がある。例えば、2つの構成要素は、中間構成要素を介して互いに結合され得る。「流体連通」という表現は、要素同士が流体連通しているとき、流体が、一方の要素から他方の要素へと流れることができる配置を指すほど広義である。
【0014】
「近位」及び「遠位」という用語は、反対の方向の用語である。装置又は構成要素の遠位端は、通常の使用中に施術者から最も遠い構成要素の端である。近位端部は、その反対の端部、又は通常使用中、施術者から最も近い端部を指す。「空隙」という用語は、医療用栓が送達され得る患者の体内の領域又は開口部に関する。
【0015】
図1~
図7は、組成物及び/又は医療用物品を患者に送達するための医療用栓送達装置100(又はその一部)の代替図を提供する。より具体的には、
図1は、医療用栓送達装置100の斜視図を提供する。
図2は、明確にするために注射器102を除去した、医療用栓送達装置100の代替斜視図を提供する。
図3は、明確にするために注射器102を除去した、医療用栓送達装置100の遠位端面図を提供する。
図4は、明確にするために注射器102を除去した、医療用栓送達装置100の一部の遠位端面図を提供する。
図5は、医療用栓送達装置100の一部の断面図である。
図6及び
図7は、医療用栓送達装置100の一部の代替分解図を提供する。
【0016】
図1~
図7に示されているように、医療用栓送達装置100は、注射器102、フレーム110、細長いシャフト124、及び回転可能なマガジン130等の流体送達装置を含んでもよい。
【0017】
注射器102は、プランジャ106の進退が注射器102のリザーバ107内の流体の変位を引き起こすように、注射器102の本体内に少なくとも部分的に配置されるように構成されたプランジャ106を含んでもよい。注射器102は、フレーム110の近位端に結合するように構成されてもよい。例えば、示されている実施形態では、注射器102は、その遠位端に雄型ルアーロック接続を含む。いくつかの実施形態では、注射器102は、標準的な市販の注射器である。注射器102は、複数の医療用組成物又は医療用物品(例えば、薬剤又は医療用栓140)の患者内への配備を容易にするために十分な流体を保持することができ得る。例えば、いくつかの実施形態では、注射器102は、少なくとも3mL、少なくとも5mL、少なくとも10mL及び/又は少なくとも15mLの流体を保持することができる。いくつかの実施形態では、注射器102は、施術者が注射器102の本体に沿って複数の位置でプランジャ106をロックすることを可能にする、真空ロック注射器である。他の実施形態では、注射器102は、真空ロックを含まない。
【0018】
フレーム110は、近位部分116、遠位部分118、及び近位部分116と遠位部分118との間に配置された接続領域122を含んでもよい。近位部分116は、近位アダプタ112及び近位チャネル147を含んでもよい。遠位部分118は、遠位アダプタ114及び遠位チャネル148を含んでもよい。
【0019】
近位アダプタ112は、注射器102の遠位端に結合するように構成されてもよい。例えば、示されている実施形態では、フレーム110の近位アダプタ112は、注射器102の遠位端において雄型ルアー接続に結合する(例えば、その部分との流体密接続を形成する)ように設計された、雌型ルアー接続である。
【0020】
近位チャネル147及び遠位チャネル148は、流体流路の一部を提供するように構成されてもよい。流体流路は、流体が、注射器102のリザーバ107から近位チャネル147へ、近位チャネル147から回転可能なマガジン130の第1のチャンバ131へ、回転可能なマガジン130のチャンバ131から遠位チャネル148へ、及び遠位チャネル148から患者へ、順次流れることを可能にし得る。流体流路はまた、逆方向の、すなわち、遠位チャネル148から、回転可能なマガジン130のチャンバ131を通り、近位チャネル147を通り、注射器102のリザーバ107に至る、流体の流れを可能にし得る。
【0021】
示されている実施形態では、近位チャネル147及び遠位チャネル148は、近位チャネル147及び遠位チャネル148が固定的に整列するように、互いに同一線上にある。近位チャネル147と遠位チャネル148との間に配置された接続領域122は、近位チャネル147及び遠位チャネル148と同一線上にない。例えば、示されている実施形態では、フレーム110は、接続領域122が近位チャネル147及び遠位チャネル148からオフセットされるように、C型構造に屈曲される。
【0022】
フレーム110は、細長いシャフト124に結合されてもよく、細長いシャフト124は、円筒の形状であってもよい。細長いシャフト124は、鋼のような任意の好適な材料から作製されてもよい。示されている実施形態では、細長いシャフト124の第1の端部はフレーム110に取り付けられ(例えば接着剤による)、細長いシャフト124の第2の端部(すなわち、第1の端部の反対側に配置される細長いシャフト124の端部)はフレーム110に取り付けられない。代わりに、示されている実施形態では、フレーム110は、細長いシャフト124の第2の端部を受容する(ただし、取り付けられていない)ための空洞146を含む。空洞146が細長いシャフト124の直径よりも伸長された方向に長くなるように、空洞146は、概ね細長い形状であってもよい。空洞146は、回転可能なマガジン130がフレーム110に対して回転するときに、フレーム110の撓みを許容するように伸長されてもよい。換言すれば、以下に説明するように、医療用栓送達装置100が、第1のチャンバ131が近位チャネル147及び遠位チャネル148の両方と整列している構成から、第2のチャンバ132が近位チャネル147及び遠位チャネル148の両方と整列している構成に遷移するときに、空洞146は、フレーム110の撓みを許容し得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、フレーム110は1つ以上のノッチ142を含む。1つ以上のノッチ142は、フレーム110の1つ以上の領域(例えば、1つ以上の角部)における材料の量を減少させ、それによってフレーム110の可撓性の増加を可能にする1つ以上の屈曲点144を生成し得る。フレーム110は、プラスチック等の任意の好適な弾性材料から作製され得る又はそれを含み得る。
【0024】
フレーム110はまた、患者の内部と流体連通する導入器シース又はカテーテル等の細長いチューブに結合するように構成された、遠位アダプタ114を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位アダプタ114は、単純な雄型ルアー接続である。このような単純な接続は、フレーム110と一体に形成されてもよい。他の実施形態では、遠位アダプタ114は、フレーム110の残部から独立して回転するように構成された雄型のルアーロック接続を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、医療用栓送達装置100のフレーム110は、複数のキャップ(図示せず)を含んでもよい。キャップは、回転可能なマガジン130のチャンバ131、132、133、134、135内に組成物又は医療用栓を密封するように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、フレーム110は、そこから延在する第1の複数のスポークを有する第1のハブを含む。いくつかの実施形態において、フレーム110は、そこから延在する第2の複数のスポークを備えた第2のハブを更に含む。第1及び/又は第2の複数のスポークのうちのそれぞれのスポークは、キャップに結合されてもよい。いくつかの実施形態では、キャップは、回転可能なマガジン130の傾斜面138、139と相互作用して、チャンバ131、132、133、134、135から組成物又は物品が漏れ出ることを防止する封止部を形成し得る。このようなキャップは、突出部126、128に関連して後述する方法と同様の方法で、傾斜面138、139と相互作用し得る。いくつかの実施形態では、ハブは、医療用栓送達装置100の細長いシャフト124を中心とする。
【0026】
回転可能なマガジン130は、(1)回転可能なマガジン130を通って延在する中央内腔136と、(2)中央内腔136の周囲に配置される複数のチャンバ131、132、133、134、135と、の両方を画定し得る。回転可能なマガジン130は、細長いシャフト124を介してフレーム110に結合されてもよい。細長いシャフト124は、フレーム110に結合され、回転可能なマガジン130の中央内腔136を通って延在し、それにより、回転可能なマガジン130が細長いシャフト124の周囲を回転することを可能にする。このようにして、回転可能なマガジン130は、フレーム110及び注射器102の両方から独立して回転し得る。いくつかの実施形態では、回転可能なマガジン130は、実質的に円筒の形状である。
【0027】
示されている実施形態では、回転可能なマガジン130は、第1のチャンバ131、第2のチャンバ132、第3のチャンバ133、第4のチャンバ134、及び第5のチャンバ135を含む。おおよそ5つのチャンバを含む回転可能なマガジン130も、本開示の範囲内である。例えば、他の実施形態では、回転可能なマガジン130は、2つ、3つ、4つ、6つ、7つ、8つ、9つ、又は10個のチャンバを含んでもよい。
【0028】
それぞれのチャンバ131、132、133、134、135は、組成物又は医療用物品を受容するように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、それぞれのチャンバ131、132、133、134、135は、粉末状又は微小球状の薬等の薬剤を保持するように構成される。例示的な薬剤としては、抗菌剤、凝固阻止剤、又は任意の他の薬が挙げられる。いくつかの実施形態では、医療用栓送達装置100のチャンバ131、132、133、134、135は、薬剤が予め装填される。いくつかの実施形態では、それぞれのチャンバ131、132、133、134、135は、医療用栓140を受容する(及び/又は予め装填される)ように構成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、カートリッジ160は、チャンバ131、132、133、134、135のそれぞれの内部に配置される。カートリッジ160は、主チャネル162を画定する中空内部を有する概ね細長い形状であってもよい。それぞれのカートリッジ160は、単一の組成物又は医療用物品(例えば、医療用栓140)を収容するように寸法決めされてもよい。チャンバ131及びカートリッジ160は、別個の構成要素として示されているが、この開示の利益を受ける当業者は、いくつかの実施形態では、チャンバ131及びカートリッジ160が、一体に形成された1つの構成要素に組み合わされてもよいことを認識するであろう。換言すれば、いくつかの実施形態では、回転可能なマガジン130全体が一体に形成されたモノリシック部である。
【0030】
いくつかの実施形態では、カートリッジ160は、締まりばめを介してチャンバ131内に収まる。他の実施形態では、カートリッジ160は、接着剤によってチャンバ131に取り付けられる。いくつかの実施形態では、カートリッジ160の少なくとも一部と、チャンバ131の一部との間に間隙が存在する。間隙は、流体が、遠位チャネル148の近位端から、カートリッジ160の外面を周り、カートリッジ160の主チャネル162内に配置された医療用栓140(又は他の構成要素)を通過せずにフレーム110の近位チャネル147まで移動することを可能にする、バイパスチャネル164の一部であってもよい。換言すれば、バイパスチャネル164は、主チャネル162の周囲に流体流路を提供し得る。しかし、他の実施形態では、利用可能なバイパスチャネルはない。バイパスチャネル164を通るいずれかの方向(すなわち、近位から遠位又は遠位から近位)への流体の流れは、本開示の範囲内である。
【0031】
カートリッジ160はまた、医療用栓送達装置100の動作中に医療用栓140の近位の変位を制限するように構成された肩部150を含んでもよい。示されている実施形態では、肩部150は、カートリッジ160から内側へ延在する環状の突出部である。肩部150は、カートリッジ160を通る通路(すなわち、主チャネル162)を狭くし得る。換言すれば、主チャネル162の近位部分(例えば、肩部150によって画定される部分)は、主チャネル162の遠位部分よりも小さい直径を有し得る。1つ以上の肩部150は、チャンバ131の近位端に隣接して配置されてもよい。肩部(複数の場合あり)150は、医療用栓送達装置100の動作中に医療用栓140の近位の変位を制限するように構成されてもよい。言い換えれば、肩部(複数の場合あり)150は、医療用栓140に係合し、肩部150の近位の医療用栓140の動きを制限するように構成されてもよい。
【0032】
回転可能なマガジン130は、回転可能なマガジン130の近位端に隣接する出っ張り137を含んでもよい。出っ張り137は、カートリッジ160に接触するように設計され、それによってカートリッジ160が出っ張り137を通過するのを防止し得る。他の実施形態には、出っ張りがなくでもよい。
【0033】
回転可能なマガジン130は、フレーム110の遠位部分118と近位部分116との間に直接配置されてもよい。フレーム110の遠位部分118及び近位部分116は共に、フレーム110と複数のチャンバ131、132、133、134、135のうちの1つのチャンバとの間に流体密封を形成するために回転可能なマガジン130に圧縮力を提供し得る。より具体的には、いくつかの実施形態では、回転可能なマガジン130は、フレーム110の対応する表面(例えば、第1の円錐台形の突出部126)と嵌合するように構成された近位傾斜面138を含む。回転可能なマガジン130はまた、フレーム110の対応する表面(例えば、第2の円錐台形の突出部128)と嵌合するように構成された遠位傾斜面139を含んでもよい。(他の実施形態では、回転可能なマガジンが円錐台形の突出部を含み、フレームが傾斜面を含むように、円錐台形の突出部及び対応する表面の位置が交換されもよい。)突出部126、128と傾斜面138、139との相互作用により、回転可能なマガジン130を注射器102のリザーバ107と流体連通状態にする流体密封が形成され得る。このようにして、Oリングを使用せずに流体密封が達成され得る。円錐台形の突出部126、128と傾斜面138、139との間の相互作用に関する更なる開示を以下に説明する。
【0034】
回転可能なマガジン130の細長いシャフト124を中心とした回転により、医療用栓送達装置100は、複数のチャンバ131、132、133、134、135のうちの1つのチャンバが近位チャネル147及び遠位チャネル148の両方と整列している第1の構成から、複数のチャンバ131、132、133、134、135のうちの別のチャンバが近位チャネル147及び遠位チャネル148の両方と整列している第2の構成へ遷移し得る。
【0035】
例えば、フレーム110及び回転可能マガジン130が、
図1~
図7に示すように位置付けられている場合、第1のチャンバ131は、近位チャネル147及び遠位チャネル148と流体連通し得る。回転可能なマガジン130が、
図3及び
図4に示す方向に約72度回転すると、第2のチャンバ132は、フレーム110の近位チャネル147及び遠位チャネル148と整列し得る。回転可能なマガジン130が更に追加で72度回転すると、第3のチャンバ133は、近位チャネル147及び遠位チャネル148と整列し得る。同様に、回転可能なマガジン130は、72度ずつ更に回転して、第4のチャンバ134、次いで第5のチャンバ135と、近位チャネル147及び遠位チャネル148と、を整列させ得る。フレーム110及び回転可能なマガジン130は、チャンバ131、132、133、134、135のいずれもフレーム110の近位チャネル147及び遠位チャネル148と整列しないように位置付けられると(例えば、チャンバ131、132、133、134、135が、いずれかの中間位置に配置される)、回転可能なマガジン130は、注射器102のリザーバ107と流体連通することができない。
【0036】
いくつかの実施形態では、回転可能なマガジン130は、複数の医療用栓140を保持するように構成される。例えば、医療用栓140は、回転可能なマガジン130のチャンバ131、132、133、134、135のそれぞれに配置されてもよい。より具体的には、いくつかの実施形態では、医療用栓140は、回転可能なマガジン130のチャンバ131内に配置されたカートリッジ160内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、回転可能なマガジン130(又はその一部)は、実質的に透明であり、それにより、以下に説明するように、施術者は、医療用栓140の湿潤及び/又は排出を可視化することができる。他の実施形態では、回転可能なマガジン130は不透明である。いくつかの実施形態では、それぞれの医療用栓140は、医療用栓送達装置100のチャンバ131、132、133、134、135内の他の医療用栓140とは異なる長さである。例えば、第1の長さを有する第1の医療用栓140は第1のチャンバ131内に配置され得、第2の長さ(すなわち、第1の長さと異なる長さ)を有する第2の医療用栓(図示せず)は、第2のチャンバ132内に配置され得る。このように、医療用栓送達装置100は、回転可能なマガジン130のチャンバ131、132、133、134、135内に配置された医療用栓140の様々な長さの中から、特定の医療上の必要性に応じて適切な長さの医療用栓140を選択するための医療用栓配備装置として使用されてもよい。いくつかの実施形態では、医療用栓140の長さに対応する表示部が、回転可能なマガジン130上に配置されてもよい。
【0037】
医療用栓140は、任意の好適な組成物、形状、及び/又は寸法であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、医療用栓140は、生体吸収性材料を含むか又は本質的にそれから構成される。いくつかの実施形態では、生体吸収性材料(又はその一部)は、豚皮又は牛皮のような動物組織由来である。いくつかの実施形態では、生体吸収性材料は、動物源からのゼラチンフォームのようなコラーゲン含有物質である。他の又は更なる実施形態では、生体吸収性材料(又はその一部)は、ポリ乳酸、ポリグリコライド、又はポリ(乳酸-コ-グリコール酸)等の合成ポリマーである。いくつかの実施形態では、医療用栓140は、ポリビニルアルコール又はポリ酢酸ビニル等の非生体吸収性材料を含むか又はそれから構成される。いくつかの実施形態では、医療用栓140は、染料を含む。染料は、医療用栓140が回転可能なマガジン130内に配置されたときの、医療用栓140の可視化を容易にし得る。いくつかの実施形態では、医療用栓140は、流体(例えば、水又は食塩水)と接触したときに色を変化させることができ、それにより、施術者は、医療用栓140が湿潤していることを視覚的に判断することができる。
【0038】
医療用栓140は、概ね細長い形状であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、医療用栓140は、直径が1mm~5mm(例えば、約2mm)の実質的に円筒形状に圧延された細長い材片である。それぞれの医療用栓140は、医療用栓140の直径の少なくとも2倍、少なくとも5倍、及び/又は少なくとも10倍の長さを有し得る。いくつかの実施形態では、それぞれの医療用栓140は、10mm~70mmの長さである。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の医療用栓140は、10mm~50mm及び/又は10mm~40mm(例えば、約20mm)の長さである。
【0039】
医療用栓送達装置100は、組成物又は医療用物品(例えば、医療用栓140)を患者に配備するために使用され得る。プロセスについては、医療用栓140を特に参照しながら以下に説明するが、この開示の利益を受ける当事者は、類似のプロセスを使用して、他の医療用物品又は組成物を配備できることを認識するであろう。
【0040】
回転可能なマガジン130から第1の医療用栓140を湿潤させて配備するために、施術者は、プランジャ106を含む注射器102を得ることができる。施術者は、次いで、注射器102をフレーム110(細長いシャフト124を介して回転可能なマガジン130に結合する)に取り付けることができる。プランジャ106は、プランジャ106が注射器102の遠位先端に当接するように初期配置されてもよい。次いで、水、食塩水、コントラスト、それらの任意の混合物、又は任意の他の流体等の液体が、医療用栓送達装置100に引き込まれて、第1のチャンバ131内の第1の医療用栓140を湿潤させ、注射器102のリザーバ107内に流体を導入し得る。例えば、フレーム110の遠位端が液体内に配置されている間に、プランジャ106を注射器102の本体内で後退させることができる。このようにプランジャ106を後退させると、流体は、2つの異なる経路を介して注射器102のリザーバ107に引き込まれ得る。別の言い方をすれば、リザーバ107内に負圧を加えると、流体は、以下に更に説明する一方又は両方の流体経路を介して、リザーバ107に引き込まれる傾向にあってもよい。
【0041】
第1に、プランジャ106が後退すると、流体は遠位チャネル148内に引き込まれ、続けて主チャネル162を介し(それにより、医療用栓140を通過して湿潤させる)、近位チャネル147を通過し、次いで注射器102のリザーバ107に入り得る。カートリッジ160の肩部150は、肩部150を越えた医療用栓140の近位の変位を防止し、それによって医療用栓140が注射器102のリザーバ107内に不用意に吸引されないことを保証し得る。換言すれば、肩部150は、医療用栓140と係合して、医療用栓140の近位の変位を阻止又は制限し得る。医療用栓140の湿潤は、医療用栓140の潤滑性を増加させ、それによって、医療用栓送達装置100から医療用栓140を排出することと、細長いチューブの内腔を介して医療用栓140を患者の内部(例えば、空隙)へ前進させることと、を容易にし得る。いくつかの実施形態では、医療用栓140はまた、湿潤すると同時に膨張する場合があり、そのようにして、主チャネル162を介した流体の流れを部分的に閉塞又は破壊し得る。
【0042】
第2に、医療用栓140を通過する代わりに、流体は、遠位チャネル148に引き込まれ、バイパスチャネル164を通過し、近位チャネル147を介して近位に移動して注射器102のリザーバ107に入り得る。この経路を通過する流体は、医療用栓140を迂回する。
【0043】
前述の2つの経路は、共に、注射器102のリザーバ107を充填(又は部分的に充填)するために作用し得る。例えば、プランジャ106を最初に後退させるとき、流体は第1の経路を(すなわち、医療用栓140を介して)主にたどり得る。いくつかの実施形態では、流体が医療用栓140を通過するとき、医療用栓140は湿潤される。医療用栓140の湿潤及び膨張は、医療用栓140を通る更なる流体の流れを妨げ得る。医療用栓140を通る流体の流量が減少すると、より大きい割合の流体が代わりに第2の経路を(すなわち、バイパスチャネル164を介して)通過して注射器102のリザーバ107内に入り得る。
【0044】
2つの経路間の相対的な流量は、医療用栓140の組成並びに主チャネル162及びバイパスチャネル164によって提供される断面積のような様々な要因に依存し得る。例えば、いくつかの実施形態では、主チャネル162の断面積(断面が医療用栓送達装置100の長手方向軸に対して垂直である)は、バイパスチャネル164の断面積よりも大きい。このため、相対的に大きな流体力が、バイパスチャネル164の断面積と比較して相対的に大きな断面積を有するチャネル(すなわち、主チャネル162)内での位置決めにより、(プランジャ106の後退時及び前進時の両方で)医療用栓140に適用され得る。
【0045】
所望に応じて、プランジャ106が後退したときに、医療用栓送達装置100内に導入されたあらゆる気泡は、従来の方法で除去することができる(すなわち、医療用栓送達装置100の遠位端が上向きになるように医療用栓送達装置100の向きを合わせ、医療用栓送達装置100を軽くたたき、医療用栓送達装置100の遠位端に向かってプランジャ106を前進させることによって気泡を排出する)。
【0046】
いくつかの状況では、(1)医療用栓140が湿潤され、かつ(2)十分な量の流体が注射器102のリザーバ107内に入った後、施術者は、フレーム110の遠位端を導入器シース又はカテーテル等の細長いチューブに結合することができる。細長いチューブは、医療用栓140が挿入される空隙と流体連通してもよい。例えば、フレーム110の遠位アダプタ114は、前述のような生検手順で使用される導入器シースの近位端に結合されてもよい。施術者は、次いで、プランジャ106を注射器102の遠位端に向かって前進させ、それにより、流体を遠位方向に変位させることができる。
【0047】
流体が遠位方向に変位すると、流体は注射器102から放出され、フレーム110の近位チャネル147を通って移動し、そこに配置された医療用栓140に遠位力を与え、それにより、回転可能なマガジン130から医療用栓140を遠位に変位させ、排出させ得る。医療用栓140は、次いで、前進を続け、フレーム110の遠位チャネル148を通って、また、患者の空隙内に置かれるフレーム110に結合された細長いチューブを通って移動し得る。挿入された医療用栓140は、流体の流れを妨げる、血液凝固を誘発する、及び/又は組織成長を促進するための足場を提供する等の何らかの好適な目的を果たし得る。
【0048】
いくつかの実施形態又は状況では、前述のように注射器102のリザーバ107内に流体を引き込むためにプランジャ106を後退させる代わりに、注射器102に液体を予め充填してもよい。予め充填された注射器102の遠位端は、次いで、フレーム110の近位端に取り付けられてもよい。注射器102がフレーム110の近位端に取り付けられた後、プランジャ106は前進させられ得る。このようにプランジャ106を前進させることにより、前述のように、特定の医療用栓140を湿潤させることと、医療用栓140を医療用栓送達装置100から細長いチューブ内に放出して空隙に送達することと、の両方が可能になる。換言すれば、医療用栓140は、プランジャ106の後退により湿潤させる代わりに、回転可能なマガジン130から排出されるときに水和されてもよい。
【0049】
第1の医療用栓140が第1のチャンバ131から配備された後、医療用栓送達装置100は、第2のチャンバ132がフレーム110の遠位チャネル148と流体連通する異なる構成に遷移され得る。この構成に医療用栓送達装置100を遷移させるため、実施者は、回転可能なマガジン130に回転力を加え、それにより、回転可能なマガジン130をフレーム110に対して相対的に回転可能に変位させ得る。フレーム110に対する回転可能なマガジン130のこのような回転変位により、第1のチャンバ131が遠位チャネル148と流体連通する第1の構成から、第2のチャンバ132がフレーム110の遠位チャネル148と流体連通する第2の構成への遷移が生じ得る。
【0050】
回転可能なマガジン130が最初に回転すると、第1の円錐台形の突出部126が回転可能なマガジン130の傾斜面138に沿って摺動し、それにより、第1の円錐台形の突出部126と傾斜面138との間の流体密封を破壊し得る。同時に、第2の円錐台形の突出部128は、回転可能なマガジン130の傾斜面139に沿って摺動し、それにより、第2の円錐台形の突出部128と傾斜面139との間の流体密封を破壊し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、回転可能なマガジン130が、第1のチャンバ131がフレーム110の近位チャネル147及び遠位チャネル148の両方と整列している位置から最初に回転するときに、フレーム110が屈曲し、フレーム110の近位部分116とフレーム110の遠位部分118との間の変位を増加させ得る。例えば、フレーム110内のノッチ142により、フレーム110が曲がり、偏向し、及び/又は1つ以上の屈曲点144を中心として屈曲し、それにより、フレーム110の近位部分116とフレーム110の遠位部分118との間の変位を増加させ得る。いくつかの実施形態では、フレーム110は、単一の平面(すなわち、
図5に示す断面を画定する平面)内で屈曲するように設計される。いくつかの実施形態では、近位部分116の自由端は、近位部分116の他の領域よりも遠位部分118から更に離れる方向に曲がり得る。フレーム110の空洞146は、フレーム110が曲がり、医療用栓送達装置100が、第1のチャンバ131が近位チャネル147及び遠位チャネル148の両方と整列している第1の構成から、第2のチャンバ132が近位チャネル147及び遠位チャネル148の両方と整列している第2の構成へ遷移するときに生じる、空洞146内の細長いシャフト124のあらゆる変位を収容するように設計(例えば、細長い形状に)され得る。言い換えれば、空洞146は、細長いシャフト124にすきまを提供し、それにより、フレーム110の屈曲を可能にし得る。
【0052】
回転可能なマガジン130が更に回転すると、第1の円錐台形の突出部126は、第2のチャンバ132への近位開口部に接近し得、第2の円錐台形の突出部128は、第2のチャンバ132への遠位開口部に接近し得る。第1の円錐台形の突出部126及び第2の円錐台形の突出部128が第2のチャンバ132に接近すると、フレーム110は、フレーム110の弾力性により、回転可能なマガジン130に圧縮力を与え得る。言い換えれば、フレーム110は、屈曲状態にあるときに圧縮力を提供するように付勢されてもよい。このような圧縮力は、円錐台形の突出部126、128が、第2のチャンバ132がフレーム110の近位チャネル147及び遠位チャネル148と整列する位置へ先導されるように、第1の円錐台形の突出部126を第2のチャンバ132に隣接する傾斜面138に沿って摺動させ、第2の円錐台形の突出部128を傾斜面139に沿って摺動させ得る。このように整列した場合、円錐台形の突出部126、128及び傾斜面138、139は、流体密封を形成し得る。換言すれば、フレーム110によって提供される圧縮力は、円錐台形の突出部126、128を対応する傾斜面138、139内に固定することを容易にし得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、圧縮力により、円錐台形の突出部126、128が傾斜面138、139に嵌め込まれ、それにより、施術者に、チャンバ131、132、133、134、135のうちの1つがフレーム110の近位チャネル147及び遠位チャネル148と適切に整列したことの触覚及び/又は可聴フィードバックを提供し得る。いくつかの実施形態では、フレーム110及び/又は回転可能なマガジン130は、施術者が、近位チャネル147及び遠位チャネル148が回転可能なマガジン130の特定のチャンバ131、132、133、134、135と整列しているかどうかを視覚的に判断することを可能にする表示部を含む。
【0054】
回転可能なマガジン130の第2のチャンバ132が近位チャネル147及び遠位チャネル148の両方と整列するように、フレーム110及び回転可能なマガジン130が位置付けられた後、施術者は、第1のチャンバ131内に配置された第1の医療用栓140に関連して前述した方法と類似の方法で、第2のチャンバ132から第2の医療用栓140を湿潤させて配備することができる。第2の医療用栓140が配備された後、回転可能なマガジン130をフレーム110に対して更に回転させて、第3のチャンバ133から第3の医療用栓140を湿潤させて配備できるようにし得る。第4のチャンバ134及び第5のチャンバ135内の医療用栓は、類似の方法により湿潤し、配備され得る。当事者は、任意の数の医療用栓140を含む回転可能なマガジン130が想到され、この開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0055】
いくつかの実施形態では、回転可能なマガジン130は、片手のみを使用して回転させることができる。例えば、注射器102を手の掌と中指、薬指、及び/又は小指との間に保持しているとき、回転可能なマガジン130を同じ手の親指と人差し指との間で回転させることができる。
図1~
図7に示された実施形態のように、いくつかの実施形態では、医療用栓送達装置100は、両手利き用に構成される。換言すれば、医療用栓送達装置100は、主として又は排他的に、左手又は右手のいずれかを用いて操作され得る。
【0056】
示されている実施形態では、医療用栓送達装置100は、反時計方向又は時計方向(医療用栓送達装置100の遠位端から見て)のいずれかに回転するように構成される。他の実施形態では、医療用栓送達装置100は、単一の方向にのみ細長いシャフト124の周囲を回転するように構成される。更にいくつかの実施形態では、医療用栓送達装置100は、回転可能なマガジン130が細長いシャフト124を中心に2回以上回転することを防止する停止部(例えば、障害物)(図示せず)を含んでもよい。(1)回転可能なマガジン130の一方向の回転のみを許容する、かつ(2)前述の停止部のような停止部を含む実施形態は、施術者が、組成物又は医療用物品がすでに配備されているチャンバ131、132、133、134、135に意図せず戻ることを防止し得る。
【0057】
医療用栓送達装置100は、任意の好適な方法で製造され得る。例えば、いくつかの実施形態では、医療用栓送達装置100を製造する方法は、回転可能なマガジン130をフレーム110の近位部分116と遠位部分118との間に置くことを含む。次いで、接着剤をフレーム110の遠位部分118にある空洞の縁に沿って付着し得る。次いで、接着剤が細長いシャフト124の遠位端に固着するように、細長いシャフト124を(近位)空洞146を通し、回転可能なマガジン130の中央内腔136を通し、(遠位)空洞に挿入し得る。これにより、細長いシャフト124の遠位端(ただし、近位端ではない)がフレーム110に取り付けられる。いくつかの実施形態では、回転可能なマガジン130の製造は、回転可能なマガジン130のチャンバ131、132、133、134、135に複数のカートリッジ160を挿入することを含む。カートリッジ160はそれぞれ、接着剤によってチャンバ131、132、133、134、135のうちの1つに取り付けられ得る。
【0058】
図8~
図14は、組成物及び/又は医療用物品を患者に送達するための医療用栓送達装置200(又はその一部)を示す。より具体的には、
図8は、医療用栓送達装置200の斜視図を提供する。
図9は、明確にするために注射器202を除去した、医療用栓送達装置200の代替斜視図を提供する。
図10は、
図8~
図9の医療用栓送達装置の一部の断面図である。
図11は、医療用栓送達装置の一部の分解図である。
図12は、医療用栓送達装置の一部の別の分解図である。
図13は、セレクタが第1の位置にある、医療用栓送達装置の近位端図である。
図14は、セレクタが第2の位置にある、医療用栓送達装置の近位端図である。
【0059】
図8~
図14に示されているように、医療用栓送達装置200は、注射器202、セレクタ210、ガイド250、及びマガジン230等の流体送達装置を含んでもよい。
【0060】
注射器202は、プランジャ206の進退が注射器202のリザーバ207内の流体の変位を引き起こすように、注射器202の本体内に少なくとも部分的に配置されるように構成されたプランジャ206を含んでもよい。注射器202は、セレクタ210の近位端に結合するように構成されてもよい。例えば、示されている実施形態では、注射器202は、その遠位端に雄型ルアーロックコネクタ208を含む。いくつかの実施形態では、注射器202は、標準的な市販の注射器である。注射器202は、複数の医療用組成物又は医療用物品(例えば、薬剤又は医療用栓240)の患者内への配備を容易にするために十分な流体を保持することができ得る。例えば、いくつかの実施形態では、注射器202は、少なくとも3mL、少なくとも5mL、少なくとも10mL及び/又は少なくとも15mLの流体を保持することができる。いくつかの実施形態では、注射器202は、施術者が、注射器202の本体に沿って複数の位置でプランジャ206をロックすることを可能にする、真空ロック注射器であってもよい。他の実施形態では、注射器202は、真空ロックを含まない。
【0061】
セレクタ210は、近位部分216及び遠位面218を含み得る。近位部分216は、近位アダプタ212、近位チャネル247、及び回転タブ228を含んでもよい。遠位面218は、チャネル247の遠位端211と、弾性部材用凹部213と、オリフィス、つまり貫通孔215と、を含んでもよい。
【0062】
近位アダプタ212は、注射器202の遠位端に結合するように構成されてもよい。例えば、示されている実施形態では、セレクタ210の近位アダプタ212は、注射器202の遠位端において雄型ルアー接続に結合する(例えば、それと流体密接続を形成する)ように設計された雌型ルアー接続である。
【0063】
近位チャネル247及び遠位チャネル248は、流体流路の一部を提供するように構成されてもよい。流体流路は、流体が、注射器202のリザーバ207から近位チャネル247へ、近位チャネル247からマガジン230の第1のチャンバ231へ、マガジン230のチャンバ231から遠位チャネル248へ、及び遠位チャネル248から患者へ、順次流れることを可能にし得る。流体流路はまた、逆方向の、すなわち、遠位チャネル248から、マガジン230のチャンバ231を通り、近位チャネル247を通り、注射器202のリザーバ207に至る、流体の流れを可能にし得る。
【0064】
示されている実施形態では、近位チャネル247が、医療用栓送達装置200の長手方向軸から半径方向にオフセットされ得、遠位チャネル248が、医療用栓送達装置200の長手方向軸と中心的に整列し得るように、近位チャネル247及び遠位チャネル248は、互いに同一線上にない。いくつかの実施形態では、医療用栓送達装置200の長手方向軸は、重心を通過し得ない。むしろ、重心は半径方向に変位され得る。
【0065】
セレクタ210は、施術者がセレクタ210をマガジン230に対して回転させることができるように構成された回転タブ228を含んでもよい。回転タブ228は、半径方向にオフセットされ、セレクタ210の近位部分216から近位に延在してもよい。回転タブ228は、近位チャネル247から約180度に位置付けられてもよい。回転タブ228は、施術者が指又は親指で回転タブ228に回転力を加えるか、指と親指との間で回転タブ228を把持して回転力を加えることができるように構成されてもよい。
【0066】
セレクタ210の遠位面218の弾性部材用凹部213は、弾性部材217及び回り止め219を保持するように構成されてもよい。弾性部材用凹部213は、遠位面218の外周に向かって、近位チャネル247の遠位端211から約180度の径方向に配置されてもよい。弾性部材217は、コイルバネ、板バネ、リーフアーム等、任意のタイプの弾性変形可能部材であってもよい。弾性部材217は、圧縮又は付勢されるように、また回り止め219に向けられた力を提供するように、構成されてもよい。回り止め219は、弾性部材217に係合し、弾性部材用凹部213によって少なくとも部分的に保持されてもよい。回り止め219の遠位端は、直角側221と、直角側221とは反対側の傾斜側222と、を含んでもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、セレクタ210の遠位面218は、マガジン230の近位面238に面してもよい。近位面238は、近位面238の外周近傍に環状凹部239を含んでもよい。環状凹部239は、外周密封部材241の保持用に構成されてもよい。外周密封部材241は、Oリング又は他の類似タイプの密封装置であってもよい。近位面238はまた、環状凹部239の近傍に配置された凹部270、271、272、273、274、275、を含んでもよい。凹部270、271、272、273、274、275のそれぞれは、近位チャネル247がチャンバ231、232、233、234、235の近位端242と整列していないか、又はチャンバ231、232、233、234、235の近位端242と整列しているかのいずれかである位置を画定するように構成されてもよい。凹部270、271、272、273、274、275の数は、チャンバ231、232、233、234、235の数に1つの追加凹部270、271、272、273、274、275を足した数と同等であってもよい。例えば、一実施形態では、チャンバ231、232、233、234、235の数が5つの場合、凹部270、271、272、273、274、275の数は6つとなる。凹部270、271、272、273、274、275は、回り止め219と整合するように構成されてもよい。凹部270、271、272、273、274、275は、回り止め219の傾斜面及び直角側(又は非傾斜側)に対応する傾斜側及び直角面(又はそれ以外では非傾斜面)で構成されてもよい。回り止め219と凹部270、271、272、273、274、275との間の境界面は、セレクタ210の回転を一方向のみに画定してもよい。例えば、回り止め219の直角側は、凹部270、271、272、273、274、275の直角側に面し、2つの直角側が互いに押し付けられたときに、セレクタ210の回転を防止し得る。回り止め219の傾斜側が凹部270、271、272、273、274、275の傾斜側に面し、2つの傾斜面に力が加わると、回転可能になる。
【0068】
近位面238は、空洞243を更に画定する。空洞243は、チャンバ231、232、233、234、235の2つの近位端242の間に位置付けられてもよい。例えば、一実施形態では、空洞243は第1のチャンバ231と第5のチャンバ235との間に位置付けられてもよい。空洞243は、「T」の脚部が近位面218の外周に方向付けられた「T」形状であってもよい。いくつかの実施形態では、遠位面218は、凹部270、271、272、273、274、275を含んでもよく、マガジン230の近位面238は、弾性部材用凹部213を含んでもよい。
【0069】
間隙226は、セレクタ210の遠位面218とマガジン230の近位面238との間に画定されてもよい。間隙226は、外周密封部材241によってその外周を、また、細長い部材224を囲む細長い部材用O-リング244によってその中心近傍を密封されてもよい。細長い部材224を囲むスペーサディスク245は、近位面238と遠位面218との接触を防止し、そのようにして間隙226を提供するように構成されてもよい。遠位端のOリング246は、近位チャネル247の遠位端211に位置付けられてもよい。遠位端のOリング246は、近位チャネル247がチャンバ231、232、233、234、235と整列したときに、近位チャネル247からチャンバ231、232、233、234、235へ又はチャンバから231、232、233、234、235から近位チャネル247へのいずれかに流体の流れを方向付けるように構成されてもよい。したがって、流体は、チャンバ231、232、233、234、235内へ又はそこから選択的に方向付けられる。あるいは、近位チャネル247は、空洞243と整列してもよい。この位置では、遠位端のOリング246は、流体が間隙226へ流れ込むことを防止しない。むしろ、流体は、近位チャネル247から空洞243を通って間隙226へ及び同時にチャンバ231、232、233、234、235へ、又はチャンバ231、232、233、234、235から空洞243を通って間隙226へ及び近位チャネル247へ、のいずれかに流れ込むことを許容される。換言すれば、間隙226は、近位チャネル247からチャンバ231、232、233、234、235の全てへの同時の流体の流れを可能にするように、又はチャンバ231、232、233、234、235の全てから近位チャネル247への同時の流れを可能にするように、構成される。
【0070】
ガイド250は、遠位チャネル248及びガイドチャネル249を含んでもよい。ガイドチャネル249の近位端は、チャンバ231、232、233、234、235と整列してもよい。ガイドチャネル249は、遠位チャネル248に合流してもよい。ガイドチャネル249は、流体の流れを遠位チャネル248からチャンバ231、232、233、234、235内へ先導する若しくは方向付けるため、又は流体の流れ及び/若しくは医療用栓240を遠位チャネル248内へ方向付ける若しくは先導するためのいずれかに構成される。ガイド250は、概ねコーン形状であり、マガジン230の遠位端に取り付けられるように構成されてもよい。遠位チャネル248は、患者の内部と流体連通する導入器シース又はカテーテル等の細長いチューブに結合するように構成された、遠位アダプタ214を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位アダプタ214は、単純な雄型ルアー接続である。このような単純な接続は、ガイド250と一体に形成されてもよい。他の実施形態では、遠位アダプタ214は、ガイド250の残部から独立して回転するように構成された雄型ルアーロック接続を含む。
【0071】
マガジン230は、マガジン230を通って延在する中央内腔236と、中央内腔236の周囲に配置される複数のチャンバ231、232、233、234、235と、の両方を画定し得る。肩付きシリンダ220は、中央内腔236内に部分的に配置されてもよい。肩付きシリンダ220は、円錐台形の遠位端229と、近位に方向付けられた肩部227と、を有するシリンダ本体265を含んでもよい。マガジン230は、マガジン230とガイド250との間に位置付けられたガイド密封部材252を用いて、固定密封した状態でガイド250に連結されてもよい。ガイド密封部材252は、Oリング又は他の類似のタイプの密封装置であってもよい。あるいは、ガイド密封部材252は、アセンブリから除外されてもよい。
【0072】
セレクタ210は、細長い部材224を介してマガジン230に回転可能に結合されてもよい(又はマガジン230が、セレクタ210に回転可能に結合される)。肩付きシリンダ220の本体265は、肩部227がマガジン230の遠位端に向けられた状態で、中央内腔236内に配置されてもよい。細長い部材224は、回転ワッシャ223を通り、セレクタ210の貫通孔216を通り、スペーサディスク245を通り、細長い部材用Oリング244を通り、肩付きシリンダ220の本体265内へ延在してもよい。細長い部材224は、細長い部材224が肩付きシリンダ220に螺入されると、肩部227がマガジン230の遠位面に接触するように、肩付きシリンダ220に螺合されてもよい。細長い部材224の頭部及び肩部227は、遠位面218が、近位面238に接近して間隙226を提供するように、圧縮力をセレクタ210及びマガジン230へ方向付ける。周囲密封部材241は、セレクタ210とマガジン230との間で圧縮されて、流体密封を提供し得る。セレクタ210は、医療用栓送達装置200の外部への流体密封を維持しながら、マガジン230に対して細長い部材224の周囲を回転するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、マガジン230は、実質的に円筒形状である。
【0073】
示されている実施形態では、マガジン230は、第1のチャンバ231、第2のチャンバ232、第3のチャンバ233、第4のチャンバ234、及び第5のチャンバ235を含む。おおよそ5つのチャンバを含むマガジン230も、本開示の範囲内である。例えば、他の実施形態では、マガジン230は、2つ、3つ、4つ、6つ、7つ、8つ、9つ、又は10個のチャンバを含んでもよい。
【0074】
それぞれのチャンバ231、232、233、234、235は、組成物又は医療用物品を受容するように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、それぞれのチャンバ231、232、233、234、235は、粉末状又は微小球状の薬等の薬剤を保持するように構成される。例示的な薬剤としては、抗菌剤、凝固阻止剤、又は任意の他の薬が挙げられる。いくつかの実施形態では、医療用栓送達装置200のチャンバ231、232、233、234、235は、薬剤が予め装填される。いくつかの実施形態では、それぞれのチャンバ231、232、233、234、235は、医療用栓240を受容する(及び/又は予め装填される)ように構成される。
【0075】
いくつかの実施形態では、カートリッジ260は、チャンバ231、232、233、234、235のそれぞれの内部に配置される。カートリッジ260は、主チャネル262を画定する中空内部を有する概ね細長い形状であってもよい。それぞれのカートリッジ260は、単一の組成物又は医療用物品(例えば、医療用栓240)を収容するように寸法決めされてもよい。チャンバ231及びカートリッジ260は、別個の構成要素として示されているが、この開示の利益を受ける当業者は、いくつかの実施形態では、チャンバ231及びカートリッジ260が、一体に形成された1つの構成要素に組み合わされてもよいことを認識するであろう。換言すれば、いくつかの実施形態では、マガジン230全体が一体に形成されたモノリシック部である。
【0076】
いくつかの実施形態では、カートリッジ260は、締まりばめを介してチャンバ231内に収まる。他の実施形態では、カートリッジ260は、接着剤によってチャンバ231に取り付けられる。いくつかの実施形態では、カートリッジ260の少なくとも一部と、チャンバ231の一部との間に間隙が存在する。間隙は、流体が、遠位チャネル248の近位端から、カートリッジ260の外面を周り、カートリッジ260の主チャネル262内に配置された医療用栓240(又は他の構成要素)を通過せずにセレクタ210の近位チャネル247まで移動することを可能にする、バイパスチャネル264の一部であってもよい。換言すれば、バイパスチャネル264は、主チャネル262の周囲に流体流路を提供し得る。しかし、他の実施形態では、利用可能なバイパスチャネルはない。バイパスチャネル264を通るいずれかの方向(すなわち、近位から遠位又は遠位から近位)への流体の流れは、本開示の範囲内である。
【0077】
カートリッジ260はまた、医療用栓送達装置200の動作中に医療用栓240の近位の変位を制限するように構成された肩部251を含んでもよい。示されている実施形態では、肩部251は、カートリッジ260から内側へ延在する環状の突出部である。肩部251は、カートリッジ260を通る通路(すなわち、主チャネル262)を狭くし得る。換言すれば、主チャネル262の近位部分(例えば、肩部251によって画定される部分)は、主チャネル262の遠位部分よりも小さい直径を有し得る。1つ以上の肩部251は、チャンバ231の近位端に隣接して配置されてもよい。肩部(複数の場合あり)251は、医療用栓送達装置200の動作中に医療用栓240の近位の変位を制限するように構成されてもよい。言い換えれば、肩部(複数の場合あり)251は、医療用栓240に係合し、肩部251の近位の医療用栓240の動きを制限するように構成されてもよい。
【0078】
マガジン230は、マガジン230の近位端に隣接する出っ張り237を含んでもよい。出っ張り237は、カートリッジ260に接触するように設計され、それによってカートリッジ260が出っ張り237を通過するのを防止し得る。他の実施形態には、出っ張りがなくでもよい。
【0079】
細長い部材224を中心としたセレクタ210の回転により、医療用栓送達装置200は、複数のチャンバ231、232、233、234、235のうちの1つのチャンバが近位チャネル247と整列していない第1の構成から、複数のチャンバ231、232、233、234、235のうちの1つのチャンバが近位チャネル247に整列している第2の構成へ遷移し得る。
【0080】
例えば、セレクタ210及びマガジン230が
図13に示すように位置付けられている場合、近位チャンバ247は、空洞243を介して間隙226と流体連通し得る。セレクタ210が
図14に示されている方向に約36度回転したときに、回り止め219は、凹部270から係合解除した後、凹部271に係合し得る。第1のチャンバ231は、近位チャネル247と整列して流体連通し得る。セレクタ210が約72度回転したときに、回り止め219は、凹部271から係合解除した後、凹部272に係合し得る。第2のチャンバ232は、近位チャネル247と整列して流体連通し得る。セレクタ210が更に約72度回転したときに、回り止め219は、凹部272から係合解除した後、凹部273に係合し得る。第3のチャンバ233は、近位チャネル247と整列して流体連通し得る。同様に、マガジン230は、72度ずつ更に回転して、第4のチャンバ234、次いで第5のチャンバ235と、近位チャネル247とを整列させ得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、回り止め219上の弾性部材217の力により、セレクタ210が回転しているときに回り止め219が凹部271、272、273、274、275に嵌め込まれ、それにより、施術者に、チャンバ231、232、233、234、235のうちの1つがセレクタ210の近位チャネル247及び遠位面と適切に整列したことの触覚及び/又は可聴フィードバックを提供し得る。いくつかの実施形態では、セレクタ210及び/又はマガジン230は、施術者が、近位チャネル247がマガジン230の特定のチャンバ231、232、233、234、235と整列しているかどうかを視覚的に判断することを可能にする表示部を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、マガジン230は、複数の医療栓240を保持するように構成される。例えば、医療用栓240は、マガジン230のチャンバ231、232、233、234、235のそれぞれに配置されてもよい。より具体的には、いくつかの実施形態では、医療用栓240は、マガジン230のチャンバ231内に配置されたカートリッジ260内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、マガジン230(又はその一部)は、実質的に透明であり、それにより、以下に説明するように、施術者は、医療用栓240の湿潤及び/又は排出を可視化することができる。他の実施形態では、マガジン230は不透明である。いくつかの実施形態では、それぞれの医療用栓240は、医療用栓送達装置200のチャンバ231、232、233、234、235内の他の医療用栓240とは異なる長さである。例えば、第1の長さを有する第1の医療用栓240は第1のチャンバ231内に配置され得、第2の長さ(すなわち、第1の長さと異なる長さ)を有する第2の医療用栓(図示せず)は、第2のチャンバ232内に配置され得る。このように、医療用栓送達装置200は、マガジン230のチャンバ231、232、233、234、235内に配置された医療用栓240の様々な長さの中から、特定の医療上の必要性に応じて適切な長さの医療用栓240を選択するための医療用栓配備装置として使用されてもよい。いくつかの実施形態では、医療用栓240の長さに対応する表示部が、マガジン230上に配置されてもよい。
【0083】
医療用栓240は、任意の好適な組成物、形状、及び/又は寸法であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、医療用栓240は、生体吸収性材料を含むか又は本質的にそれから構成される。いくつかの実施形態では、生体吸収性材料(又はその一部)は、豚皮又は牛皮のような動物組織由来である。いくつかの実施形態では、生体吸収性材料は、動物源からのゼラチンフォームのようなコラーゲン含有物質である。他の又は更なる実施形態では、生体吸収性材料(又はその一部)は、ポリ乳酸、ポリグリコライド、又はポリ(乳酸-コ-グリコール酸)等の合成ポリマーである。いくつかの実施形態では、医療用栓240は、ポリビニルアルコール又はポリ酢酸ビニル等の非生体吸収性材料を含むか又はそれから構成される。いくつかの実施形態では、医療用栓140は、染料を含む。染料は、医療用栓140がマガジン230内に配置されたときの、医療用栓240の可視化を容易にし得る。いくつかの実施形態では、医療用栓240は、流体(例えば、水又は食塩水)と接触したときに色を変化させることができ、それにより、施術者は、医療用栓140が湿潤していることを視覚的に判断することができる。
【0084】
医療用栓240は、概ね細長い形状であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、医療用栓240は、直径が1mm~5mm(例えば、約2mm)の実質的に円筒形状に圧延された細長い材片である。それぞれの医療用栓240は、医療用栓240の直径の少なくとも2倍、少なくとも5倍、及び/又は少なくとも10倍の長さを有し得る。いくつかの実施形態では、それぞれの医療用栓240は、10mm~70mmの長さである。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の医療用栓240は、10mm~50mm及び/又は10mm~40mm(例えば、約20mm)の長さである。
【0085】
医療用栓送達装置200は、組成物又は医療用物品(例えば、医療用栓240)を患者に配備するために使用され得る。プロセスについては、医療用栓240を特に参照しながら以下に説明するが、この開示の利益を受ける当事者は、類似のプロセスを使用して、他の医療用物品又は組成物を配備できることを認識するであろう。
【0086】
回転可能なマガジン230から第1の医療用栓240を湿潤させて配備するために、施術者は、プランジャ206を含む注射器202を得ることができる。施術者は、次いで、注射器202をセレクタ210(細長い部材224を介してマガジン230に結合する)に取り付けることができる。プランジャ206は、プランジャ206が注射器202の遠位先端に当接するように初期配置されてもよい。次いで、水、食塩水、コントラスト、それらの任意の混合物、又は任意の他の流体等の液体が医療用栓送達装置200に引き込まれて、チャンバ231、232、233、234、235内の医療用栓240を同時に湿潤させ、注射器202のリザーバ207内に流体を導入し得る。例えば、チャネル248の遠位端を液体内に配置すると同時に、プランジャ206を注射器202の本体内で後退させることができる。このようにプランジャ206を後退させると、流体は、2つの異なる経路を介して注射器202のリザーバ207に引き込まれ得る。別の言い方をすれば、リザーバ207内に負圧を加えると、流体は、以下に更に説明する一方又は両方の流体経路を介して、リザーバ207に引き込まれやすくなり得る。
【0087】
第1に、プランジャ206が後退すると、流体は遠位チャネル248内に引き込まれ、同時に続けてカートリッジ260の主チャネル262を介し(それにより、医療用栓240を通過して湿潤させる)、間隙226を通過し、近位チャネル247を通過し、次いで注射器202のリザーバ207に入り得る。カートリッジ260の肩部251は、肩部251を越えた医療用栓240の近位の変位を防止し、それによって医療用栓240が注射器202のリザーバ207内に不用意に吸引されないことを保証し得る。換言すれば、肩部251は、医療用栓240と係合して、医療用栓240の近位の変位を阻止又は制限し得る。医療用栓240の湿潤は、医療用栓240の潤滑性を増加させ、それによって、医療用栓送達装置200から医療用栓240を排出することと、細長いチューブの内腔を介して医療用栓240を患者の内部(例えば、空隙)へ前進させることと、を容易にし得る。いくつかの実施形態では、医療用栓240はまた、湿潤すると同時に膨張する場合があり、そのようにして、主チャネル262を介した流体の流れを部分的に閉塞又は破壊し得る。
【0088】
第2に、医療用栓240を通過する代わりに、流体は、遠位チャネル248に引き込まれ、同時にカートリッジ260のバイパスチャネル264を通過し、間隙226を通って近位に移動し、近位チャネル247を通って移動して、注射器202のリザーバ207に入り得る。この経路を通過する流体は、医療用栓240を迂回する。
【0089】
前述の2つの経路は、共に、注射器202のリザーバ207を充填(又は部分的に充填)するために作用し得る。例えば、プランジャ206を最初に後退させるとき、流体は第1の経路を(すなわち、医療用栓240を介して)主にたどり得る。いくつかの実施形態では、流体が医療用栓240を通過するとき、医療用栓240は湿潤される。医療用栓240の湿潤及び膨張は、医療用栓240を通る更なる流体の流れを妨げ得る。医療用栓240を通る流体の流量が減少すると、より大きい割合の流体が代わりに第2の経路を(すなわち、バイパスチャネル264を介して)通過して注射器202のリザーバ207内に入り得る。
【0090】
2つの経路間の相対的な流量は、医療用栓240の組成並びに主チャネル262及びバイパスチャネル264によって提供される断面積のような様々な要因に依存し得る。例えば、いくつかの実施形態では、主チャネル262の断面積(断面が医療用栓送達装置200の長手方向軸に対して垂直である)は、バイパスチャネル264の断面積よりも大きい。このため、相対的に大きな流体力が、バイパスチャネル264の断面積と比較して相対的に大きな断面積を有するチャネル(すなわち、主チャネル262)内での位置決めにより、(プランジャ206の後退時及び前進時の両方で)医療用栓240に適用され得る。
【0091】
所望に応じて、プランジャ206が後退したときに、医療用栓送達装置200内に導入されたあらゆる気泡は、従来の方法で除去することができる(すなわち、医療用栓送達装置200の遠位端が上向きになるように医療用栓送達装置200の向きを合わせ、医療用栓送達装置200を軽くたたき、医療用栓送達装置200の遠位端に向かってプランジャ206を前進させることによって気泡を排出する)。
【0092】
いくつかの状況では、医療用栓240が湿潤され、かつ十分な量の流体が注射器202のリザーバ207内に入った後、施術者は、遠位チャネル248を導入器シース又はカテーテル等の細長いチューブに結合することができる。細長いチューブは、医療用栓240が挿入される空隙と流体連通してもよい。例えば、遠位アダプタ214は、前述のような生検手順で使用される導入器シースの近位端に結合されてもよい。施術者は、セレクタ210をある位置から第1の排出位置へ回転させることができる。第1の排出位置への回転は、触覚及び可聴フィードバックによって確認され得る。施術者は、次いで、プランジャ206を注射器202の遠位端に向かって前進させ、それにより、流体を遠位方向に変位させることができる。
【0093】
流体が遠位方向に変位すると、流体は注射器202から放出され、セレクタ210の近位チャネル247を通ってチャンバ231へ移動し、そこに配置された医療用栓240に遠位の力を与え、それにより、マガジン230から医療用栓240を遠位に変位させ、排出させ得る。医療用栓240は、次いで、前進を続け、ガイドチャネル249、遠位チャネル248、及び患者の空隙内に置かれる遠位チャネル248に結合された細長いチューブを通って移動し得る。挿入された医療用栓240は、流体の流れを妨げる、血液凝固を誘発する、及び/又は組織成長を促進するための足場を提供する等の何らかの好適な目的を果たし得る。
【0094】
いくつかの実施形態又は状況では、前述のように注射器202のリザーバ207内に流体を引き込むためにプランジャ206を後退させる代わりに、注射器202に液体を予め充填してもよい。予め充填された注射器202の遠位端は、次いで、セレクタ210の近位端に取り付けられてもよい。注射器202が近位チャネル247に取り付けられた後、プランジャ206は前進させられ得る。このようにプランジャ206を前進させることにより、前述のように、特定の医療用栓240を湿潤させることと、医療用栓240を医療用栓送達装置200から細長いチューブ内に放出して空隙に送達することと、の両方が可能になる。換言すれば、医療用栓240は、プランジャ206の後退により湿潤させる代わりに、マガジン230から排出されるときに水和されてもよい。
【0095】
第1の医療用栓240が第1のチャンバ231から配備された後、医療用栓送達装置200は、第2のチャンバ232がセレクタ210の近位チャネル247と流体連通する異なる構成に遷移され得る。この構成に医療用栓送達装置200を遷移させるため、実施者は、セレクタ210に回転力を加え、それにより、セレクタ210をマガジン230に対して相対的に回転可能に変位させ得る。マガジン230に対するセレクタ210のこのような回転変位により、第1のチャンバ231が遠位チャネル248と流体連通する第1の排出構成から、第2のチャンバ232がセレクタ210の遠位チャネル248と流体連通する第2の排出構成への遷移が生じ得る。
【0096】
マガジン230の第2のチャンバ232が近位チャネル247と整列するように、セレクタ210及びマガジン230が位置付けられた後、施術者は、第1のチャンバ231内に配置された第1の医療用栓240に関連して前述した方法と類似の方法で、第2のチャンバ232から第2の医療用栓240を湿潤させて配備することができる。第2の医療用栓240が配備された後、セレクタ210をマガジン230に対して更に回転させて、第3のチャンバ233から第3の医療用栓240を湿潤させて配備できるようにし得る。第4のチャンバ234及び第5のチャンバ235内の医療用栓は、類似の方法により湿潤し、配備され得る。当事者は、任意の数の医療用栓240を含むマガジン230が想到され、この開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0097】
示されている実施形態では、医療用栓送達装置200は、反時計方向に(医療用栓送達装置200の遠位端から見て)回転するように構成される。医療用栓送達装置200は、単一の方向にのみ細長い部材224の周囲を回転するように構成される。時計方向の回転は、凹部270、271、272、273、274、275の直角面と回り止め219の直角面との境界面によって防止され得る。更にいくつかの実施形態では、医療用栓送達装置200は、セレクタ210が細長い部材224を中心に2回以上回転することを防止する停止部(例えば、障害物)(図示せず)を含んでもよい。セレクタ210の一方向の回転のみを許容する、かつ前述の停止部のような停止部を含む実施形態は、施術者が、組成物又は医療用物品がすでに配備されているチャンバ231、232、233、234、235に意図せず戻ることを防止し得る。
【0098】
医療用栓送達装置200は、任意の好適な方法で製造され得る。例えば、いくつかの実施形態では、医療用栓送達装置200を製造する方法は、マガジン230のチャンバ231、232、233、234、235に複数のカートリッジ260を挿入することを含む。カートリッジ260はそれぞれ、接着剤によってチャンバ231、232、233、234、235のうちの1つに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、肩付きシリンダ220は、マガジン230の中央内腔236内に配置される。ガイド250は、マガジン230に取り付けられてもよい。細長い部材224は、次いで、細長い部材224が肩付きシリンダ220内のねじ山と係合し、セレクタ210がマガジン230に回転可能に結合されるように、セレクタ210を通り、マガジン230の中央内腔236を通り、肩付きシリンダ220の中へ挿入されてもよい。
【0099】
図15は、複数の栓を患者の1つ以上の内部領域に送達するための医療用装置300の注釈付き写真を提供する。
図15に示されているように、医療用装置300は、プランジャ310、注射器本体320、及び栓ホルダ330を含んでもよい。
【0100】
プランジャ310は、プランジャ310の近位端に隣接するハンドル312と、プランジャ310の遠位端に隣接する封止部314と、を含んでもよい。プランジャ310は、プランジャ310の進退が注射器本体320のリザーバ326内の流体の変位を引き起こすように、注射器本体320内に少なくとも部分的に配置されるように構成されてもよい。注射器本体320は、栓ホルダ330の近位端に結合するように構成されてもよい。例えば、示されている実施形態では、注射器本体320は、その遠位端324に雄型ルアー接続を含む。プランジャ310及び注射器本体320は、標準的な市販の注射器の構成要素であってもよい。注射器本体320は、複数の栓の患者内への配備を容易にするために十分な流体を保持することができ得る。例えば、いくつかの実施形態では、注射器本体320は、少なくとも5mL又は少なくとも10mLの流体を保持することができる。
【0101】
栓ホルダ330は、注射器本体320の遠位端324に結合するように構成されてもよい。栓ホルダ330の更なる詳細を
図16~23に示す。より具体的には、
図16は、栓ホルダ330の正面図を提供する。
図17は、
図18の平面17-17を通して取られた、栓ホルダ330の断面正面図を提供する。
図18及び
図19は、栓ホルダ330の上面図(
図18)及び底面図(
図19)を提供する。
図20は、栓ホルダ330の側面図を提供する。
図21は、
図18の平面17-17によって示された位置にある平面を通して取られた、栓ホルダ330の弾性アダプタ360の断面斜視図である。
図22は、
図18の平面17-17によって示された位置にある平面を通して取られた、栓ホルダ330の栓マガジン350、栓340、及び栓カートリッジ390の断面斜視図である。
図23は、
図17の線23-23を通る、栓マガジン350の断面図である。
【0102】
図16~
図23に示されているように、栓ホルダ330は、栓マガジン350及び弾性アダプタ360を含んでもよい。示されている実施形態では、栓マガジン350は、栓マガジン350の一方の側から栓マガジン350の反対側に延在する複数の平行な空洞351を有する直方柱である。栓マガジン350は、複数の栓340を保持するように構成されてもよい。例えば、栓340は、栓マガジン350の空洞351のそれぞれに配置されてもよい。いくつかの実施形態では、栓ホルダ330(又はその一部)は、実質的に透明であり、それにより、以下に説明するように、施術者は、栓340の湿潤及び排出を見ることができる。他の実施形態では、栓ホルダ330は不透明である。例示の実施形態では、1つの栓340が、栓マガジン350の1つの空洞351内に示されている。栓340がそれぞれの空洞351内にある実施形態も、本開示の範囲内である。
【0103】
栓340は、任意の適切な組成物、形状、及び/又は寸法であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、栓340は、生体吸収性材料を含むか、備えるか、又は本質的にそれから構成される。いくつかの実施形態では、生体吸収性材料(又はその一部)は、豚皮又は牛皮のような動物組織由来である。いくつかの実施形態では、生体吸収性材料は、動物源からのゼラチンフォームのようなコラーゲン含有物質である。他の又は更なる実施形態では、生体吸収性材料(又はその一部)は、ポリ乳酸、ポリグリコライド、又はポリ(乳酸-コ-グリコール酸)等の合成ポリマーである。いくつかの実施形態では、栓340は、ポリビニルアルコール又はポリ酢酸ビニル等、非生体吸収性材料を含むか又は本質的にそれから構成される。いくつかの実施形態では、栓340は、染料を含む。染料は、栓340が栓ホルダ330内に配置されたときの、栓340の可視化を容易にし得る。いくつかの実施形態では、栓340は、流体(例えば、水又は食塩水)と接触したときに色を変化させることができ、それにより、施術者は、栓340が湿潤していることを視覚的に判断することができる。
【0104】
栓340は、概ね細長い形状であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、栓340は、直径が1mm~5mm(例えば、約2mm)の実質的に円筒形状に圧延された細長い材片である。栓340は、栓340の直径の少なくとも2倍、少なくとも5倍、及び/又は少なくとも10倍の長さを有し得る。いくつかの実施形態では、栓の長さは10mm~30mm(例えば、約20mm)である。
【0105】
栓340は、任意の好適な方法で栓マガジン350内に配置されてもよい。例えば、示されている実施形態では、栓マガジン350は、複数の栓カートリッジ390を収容するように設計されており、それぞれの栓カートリッジ390は、単一の栓340を収納する。(示されている栓マガジン350には1つの栓340しか示されていないが、示されているマガジン350は、それぞれの栓カートリッジ390に栓340を1つずつとして、3つの栓340を保持し得る。)栓マガジン350及び栓カートリッジ390は、別個の構成要素として示されているが、当業者は、いくつかの実施形態では、栓マガジン350及び栓カートリッジ390は、一体に形成された1つの構成要素に組み合わされてもよいことを認識するであろう。例えば、いくつかの実施形態では、栓ホルダ330は、示されている実施形態にある孔392及び環状の間隙336に類似する任意の孔又は間隙を含まない、一体に形成された構成部品である。
【0106】
いくつかの実施形態では、栓マガジン350の空洞351のそれぞれは、栓カートリッジ390を収容するように寸法決めされた遠位部分を含む。換言すれば、栓カートリッジ390は、それぞれの空洞351の遠位部分内に配置されてもよい。栓カートリッジ390は、流路331、332、又は333がそれぞれの栓カートリッジ390を通って長手方向に延在するように、中空内部を有する概ね細長い形状であってもよい。
【0107】
図17に示されているように、栓カートリッジ390は、空洞351の内径に接触する遠位突出部398(例えば、環状突出部)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位突出部398は、空洞351の内径に接触して締まりばめを形成する。他の実施形態では、遠位突出部398は、接着剤によって栓マガジン350に取り付けられる。栓カートリッジ390の残りの部分に対して外向きの径方向に延在する突出部398の寸法は、環状の間隙336が、栓マガジン350の内径と栓カートリッジ390の外径との間に形成され得るように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、環状の間隙336は、代替流路の一部であり、この流路では流体は、栓マガジン350の近位端から栓カートリッジ390の外面周りに、栓カートリッジ390の1つ以上の遠位孔392を通って移動し、栓340を通過せずに栓ホルダ330から出る。しかし、他の実施形態では、利用可能な代替流路はない。この代替流路を通るいずれかの方向(近位から遠位又は遠位から近位)への流体の流れは、本開示の範囲内である。更に、1つ以上の開口部が、栓カートリッジ390の近位端と栓マガジンの出っ張り356との間に位置付けられ(例えば、栓カートリッジ390の近位端と出っ張り356との間の長手方向のオフセットによる)、代替流路に沿った流体連通を可能にし得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、栓カートリッジ390は、その近位端に隣接する円錐台形の面361を含む。円錐台形の面361は、以下に説明するように栓340が配備されるよう、第1の流路331内への流体の流れを方向付け得る(例えば、漏斗に通す)。
【0109】
栓カートリッジ390はまた、医療用装置300の動作中に栓340の近位の変位を制限するように構成された肩部394を含んでもよい。示されている実施形態では、肩部394は、栓カートリッジ390から内側へ延在する環状の突出部である。肩部394は、栓カートリッジの内腔391の遠位部分と比較して相対的に狭い、栓カートリッジの内腔391の近位部分を画定し得る。換言すれば、肩部394によって画定される栓カートリッジの内腔391の近位部分は、栓カートリッジの内腔391の遠位部分よりも小さい直径を有し得る。
【0110】
栓マガジン350は、栓マガジン350の近位端に隣接する出っ張り356を含んでもよい。出っ張り356は、栓カートリッジ390に接触するように設計され、それによって栓カートリッジ390が出っ張り356を通過するのを防止し得る。前述のように、いくつかの実施形態では、出っ張り356の近位の第1の流路331の部分と、栓カートリッジ390と栓マガジン350との間の環状空間又は間隙336と、の間に流体連通を生成するオフセット、開口部又は通路があってもよい。
【0111】
弾性アダプタ360は、栓マガジン350を受容し、様々な栓340を順次配備するために栓マガジ350に沿って摺動するように構成されてもよい。弾性アダプタ360は、近位部分370、遠位部分380、及び近位部分370と遠位部分380との間に配置された1つ以上のバネ365を含んでもよい。
【0112】
弾性アダプタ360の近位部分370は、注射器本体320の遠位端324に結合するように構成された近位アダプタ372を含んでもよい。例えば、近位部分370は、注射器本体320の遠位端324における雄型ルアー接続と係合して流体密接続を形成する雌型ルアー接続を含んでもよい。近位部分370はまた、遠位に延在する円錐台形の突出部376及び/又は近位部分370を通って延在する内腔374を含んでもよい。
【0113】
遠位部分380は、遠位アダプタ382を含んでもよい。示されている実施形態では、遠位アダプタ382は、雄型ルアーロック接続を含む。遠位アダプタ382は、1つ以上の栓340を患者に送達するための、導入器シース又はカテーテルのような細長いチューブの近位端に結合するように構成されてもよい。遠位部分380はまた、近位に延在する円錐台形の突出部386及び/又は遠位部分380を通って延在する内腔384を含んでもよい。
【0114】
弾性アダプタ360の1つ以上のバネ365は、近位部分370と遠位部分380との間に結合され、延在してもよい。例えば、示されている実施形態では、第1のバネ365a及び第2のバネ365bは、バネ365a、365bの間に延在するチャネル362の両側に配置される(
図6を参照されたい)。1つ以上のバネ365が静止状態にあるとき、チャネル362の高さは、栓マガジン350の高さ(h)にほぼ等しくても(又はわずかに短くても)よい。チャネルの幅(w
1)は、少なくとも栓マガジン350の幅(w
2)と同じであってもよい。
図6に示すように、参照番号365は一般にバネ365を参照するために使用され、番号365a及び365bは弾性アダプタ360のいずれかの側のバネを具体的に参照する。更に、チャネル362の高さと栓マガジン350の高さとの高低差は、バネ365が栓マガジン350に圧縮力を及ぼすように構成されてもよい。この圧縮力は、栓マガジン350が弾性アダプタ360に対して変位するときに可聴及び/若しくは触覚フィードバックに関連付けられた力を提供し得(以下に更に詳述するとおり)、並びに/又は栓マガジン350の部分と弾性アダプタ360との間の流体密封の生成に関連付けられた力を提供し得る(同じく以下に詳述とおり)。
【0115】
バネ365は、任意の好適なバネであってもよい。例えば、バネ365は、弾性ポリマー又はワイヤのような任意の好適な材料から作製されてもよい。示されている実施形態では、バネ365は、S字パターンに形成又は切断されたエラストマー材から形成された実質的に平面のバネである。バネ365の材料及び形状は、バネ365の近位部分及び遠位部分の両方に張力が加えられたときにバネが伸張することを可能にし得る。更に、バネ365の弾力性は、よりコンパクトな構成に復帰するようにバネ365を付勢し得る。形状の異なるバネ365も、本開示の範囲内である。別の言い方をすれば、弾性アダプタ360は、バネ365及び他の要素を含むコンプライアント機構を含んでもよい。
【0116】
例示の実施形態に示すように、栓マガジン350は、弾性アダプタ360内に配置されてもよい。図に示されている構成では、弾性アダプタ360の近位部分370の内腔374及び遠位部分380の内腔384は、栓マガジン350を通って延在する第1の流路331と整列する。
【0117】
栓マガジン350から第1の栓340を配備するため、施術者は、プランジャ310と、所望の数の栓340を配備するのに十分な流体がそのリザーバ326内に充填されている注射器本体320と、を含む、注射器を得ることができる。施術者は次いで、栓ホルダ330を注射器本体320の遠位端324に取り付け、栓ホルダ330の遠位端を導入器シース又はカテーテル等の細長いチューブに結合することができる。細長いチューブは、栓340が挿入される空隙と流体連通してもよい。例えば、注射器本体320の遠位端324は、前述のような生検手順で使用される導入器シースの近位端に結合されてもよい。施術者は次いで、プランジャ310を注射器本体320の遠位端324に向かって前進させ、それにより、リザーバ326内の流体を遠位に変位させることができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、流体が遠位方向に変位されると、流体は、栓カートリッジ390の円錐台形の面361に遭遇し得る。円錐台形の面361は、流体を流路331に沿って方向付け得る(例えば、漏斗に通す)。流体が第1の流路331をたどるとき、流体は栓マガジン350内に配置された栓340に遠位の力を与え、それにより、栓340を栓ホルダ330から遠位に変位させて、空隙と流体連通する細長いチューブ内へ排出させ得る。流体はまた、栓340を湿潤させ得、栓340の潤滑性を増加させ得る。換言すれば、栓340は、栓ホルダ330から排出されるときに水和させられ得る。いくつかの状況では、栓340の湿潤により、栓340の膨張が生じ得る。プランジャを更に前進させると、変位した流体は、細長いチューブを介して所望の空隙内へ栓340を押し入れ得る。挿入された栓340は、流体の流れを妨げる、血液凝固を誘発する、及び/又は組織成長を促進するための足場を提供する等の何らかの好適な目的を果たし得る。
【0119】
第1の栓340が配備された後、栓ホルダ330は、近位部分370の内腔374及び遠位部分380の内腔384が第2の流路332と整列する、異なる構成に遷移し得る。栓ホルダ330をこの構成に遷移させるため、施術者は、弾性アダプタ360に横力(F、
図5を参照されたい)を加えながら、栓マガジン350の動きを抑制することができる。横力が弾性アダプタ360に加えられると、円錐台形の突出部376は、第1の傾斜面358に沿って摺動し得、円錐台形の突出部386は、第2の傾斜面359に沿って摺動し得る。これらの傾斜面358、359の方向により、弾性アダプタ360が栓マガジン350に対して最初に変位されたときに、弾性アダプタ360の近位部分370と遠位部分380との間の距離が増加し、それにより、バネ365の伸長が生じる。
【0120】
弾性アダプタ360が第2の流路332に接近すると、円錐台形の突出部376、386は、第3の傾斜面368及び第4の傾斜面369に沿って摺動し得、それにより、弾性アダプタ360は、近位内腔374及び遠位内腔384が第2の流路332と整列する位置に先導される。バネ365は、傾斜面368、369に占有される領域への円錐台形の突出部376、386の固定を容易にする力を提供し得る。例えば、いくつかの実施形態では、バネ365は、栓ホルダ330を所定の位置に嵌め込ませ、それにより、施術者に、弾性アダプタ360が別の栓340を配備するために適切に整列されたことを示す触覚及び/又は可聴フィードバックを提供し得る。
【0121】
弾性アダプタ360が、近位内腔374及び遠位内腔384が第2の流路332と整列するように位置付けられた後、施術者は、第1の栓340に関連して前述した方法に類似する方法で、第2の栓340を配備することができる。弾性アダプタ360は、第3の栓340の配備を可能にするために、栓マガジン350に対して更に摺動されてもよい。当事者は、任意の数の栓340を含むマガジン350が想到され、この開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0122】
また、バネ365は、弾性アダプタ360の円錐台形の突出部376、386を嵌合傾斜面(マガジン350が図中に示す位置にあるときは358、359)と強制的に接触させる傾向にある圧縮力を提供し得、それにより、近位内腔374及び遠位内腔384が流路331、332、333のうちの1つと整列したときに、嵌合面、及びそこに加えられる力は、流体密封を形成する。これにより、Oリング等の追加の封止部なしにアセンブリを使用することが容易なり得る。
【0123】
本明細書で開示されるいずれの方法も、説明されている方法を実行するための、1つ以上のステップ又は行為を含む。それらの方法のステップ及び/又は行為は、互いに入れ替えることができる。換言すれば、実施形態の適切な動作に関して、特定のステップ又は行為の順序が必要とされない限り、それら特定のステップ及び/又は行為の順序並びに/あるいは操作を、変更することができる。更には、本明細書で説明されている方法のサブルーチン又は一部分のみを、本開示の範囲内の別個の方法とすることもできる。換言すれば、一部の方法は、より詳細な方法で説明されているステップの、一部分のみを含み得る。
【0124】
本明細書の全体にわたる、「ある実施形態」又は「その実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。それゆえ、引用される表現又はその変形は、本明細書の全体にわたって記載されている場合、必ずしも全てが、同じ実施形態に言及するものとは限らない。
【0125】
同様に、本開示の恩恵を受けることにより、当業者には、上記の実施形態の説明において、開示の効率化の目的上、様々な特徴が単一の実施形態、図、又はそれらの説明に集約されている場合がある点を理解されたい。しかしながら、本開示の方法は、いずれの請求項も、その請求項で明示的に記載された特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして、解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、発明の態様は、上記で開示された任意の単一の実施形態の全ての特徴よりも、少ない特徴の組み合わせにある。それゆえ、この「発明を実施するための形態」に続く請求項は、この「発明を実施するための形態」に明示的に組み込まれるものであり、各請求項は、それ自体が別個の実施形態として独立している。本開示は、独立請求項とそれらの従属請求項の、あらゆる並べ替えを含む。
【0126】
ある特徴又は要素に関する、請求項における「第1の」という用語の記載は、必ずしも、第2の若しくは追加的な、そのような特徴又は要素の存在を示唆するものではない。本開示の根本的な原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に変更を加えることができる点が、当業者には明らかとなるであろう。