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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】移動体用の区画部材及び移動体
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/06 20060101AFI20221125BHJP
   F16L 59/065 20060101ALI20221125BHJP
   F16L 59/12 20060101ALI20221125BHJP
   B60R 13/08 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B62D25/06 Z
F16L59/065
F16L59/12
B60R13/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018110614
(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公開番号】P2019209949
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】棟田 琢
(72)【発明者】
【氏名】今井 将博
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-246059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/06
F16L 59/065
F16L 59/12
B60R 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画部材本体と、
減圧された収容空間を形成する包装材と、前記収容空間に収容された芯材と、を有し、前記区画部材本体に取り付けられた断熱シートと、を備え、
前記包装材は、前記収容空間を形成する収容領域と、前記収容領域を取り囲む周囲領域と、を含み、
前記包装材が前記周囲領域において前記区画部材本体に固定され
前記区画部材本体は、突起を有し、
前記包装材は、前記周囲領域において、前記突起に沿うように折り曲げられ且つ前記突起に固定されている、移動体用の区画部材。
【請求項2】
前記突起は、前記収容領域の周縁に沿って線状に延びている、請求項に記載の区画部材。
【請求項3】
前記収容領域は、四つの縁部を含み、
前記区画部材本体は、前記四つの縁部のうちの互い対向する第1縁部及び第2縁部のそれぞれに沿って線状に延びる一対の突起を有し、
前記収容空間内における前記芯材と前記第1縁部との離間間隔および前記芯材と前記第2縁部との離間間隔は、前記四つの縁部のうちの前記第1縁部及び前記第2縁部以外の他の一つの縁部と前記芯材との離間間隔よりも短い、請求項に記載の区画部材。
【請求項4】
自動車の屋根材として用いられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の区画部材。
【請求項5】
前記包装材は、前記周囲領域において、締結具を用いて前記区画部材本体に固定されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の区画部材。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の区画部材を備える、移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体および移動体に用いられる区画部材に関する。
【背景技術】
【0002】
空間を区画する区画部材が、種々の分野で使用されている。特許文献1には、区画部材本体に真空断熱シートを取り付けてなる区画部材が提案されている。真空断熱シートは、包装材と、包装材の収容空間内に収容された芯材と、を有している。包装材は、芯材を収容空間に密封している。収容空間は、減圧されている。この断熱シートは断熱効果を発現し、断熱シートを横断する熱移動を抑制する。
【0003】
真空断熱シートにおいて断熱性能を発揮するのは、芯材が存在している断熱有効区域だけである。したがって、区画部材本体の断熱を要する面上には、真空断熱シートの断熱有効区域のみを配置することが好ましい。通常、真空断熱シートの断熱有効区域に隣接する非有効区域は、包装材を折り返すことで、断熱有効区域上に折り重ねられる。そして、真空断熱シートは、断熱有効区域を区画部材本体に接着剤等を用いて接合することで、区画部材本体に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-103343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
真空断熱シートを含む区画部材は、物理的および熱的に空間を区画することを目的として利用される。したがって、区画部材は、通常、高温又は低温に曝されて使用されることもある。接着剤等の接合材が温度変化に曝されると、真空断熱シートの区画部材本体への取り付けが不安定となりやすい。
【0006】
とりわけ、移動体に適用される区画部材は、著しい温度変化に曝されることもある。さらに区画部材には、移動体の移動に応じた振動が加えられる。したがって、真空断熱シートの区画部材本体への取り付けが不安定となる不具合は、移動体用の区画部材においてより顕著となる。
【0007】
一方、真空断熱シートの断熱有効区域に対して締結具等を用い、真空断熱シートを区画部材本体に機械的に固定することも考えられる。ただし、締結具を用いた固定は、包装材の穿孔の原因となり得る。穿孔した包装材は、収容空間の密封を維持できないことから、断熱シートは、期待された断熱性能を発揮することはできない。
【0008】
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであり、断熱シートを区画部材本体に安定して固定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示による区画部材は、
区画部材本体と、
減圧された収容空間を形成する包装材と、前記収容空間に収容された芯材と、を有し、前記区画部材本体に取り付けられた断熱シートと、を備え、
前記包装材は、前記収容空間を形成する収容領域と、前記収容領域を取り囲む周囲領域と、を含み、
前記包装材が前記周囲領域において前記区画部材本体に固定されている。
【0010】
本開示による区画部材は、移動体に用いられてもよい。
【0011】
本開示による区画部材は、自動車の屋根材として用いられてもよい。
【0012】
本開示による区画部材において、前記包装材は、前記周囲領域において、締結具を用いて前記区画部材本体に固定されていてもよい。
【0013】
本開示による区画部材において、
前記区画部材本体は、突起を有し、
前記包装材は、前記周囲領域において、前記突起に沿うように折り曲げられ且つ前記突起に固定されていてもよい。
【0014】
本開示による区画部材において、前記突起は、前記収容領域の周縁に沿って線状に延びていてもよい。
【0015】
本開示による区画部材において、
前記収容領域は、四つの縁部を含み、
前記区画部材本体は、前記四つの縁部のうちの互い対向する第1縁部及び第2縁部のそれぞれに沿って線状に延びる一対の突起を有し、
前記収容空間内における前記芯材と前記第1縁部との離間間隔および前記芯材と前記第2縁部との離間間隔は、前記四つの縁部のうちの前記第1縁部及び前記第2縁部以外の他の一つの縁部と前記芯材との離間間隔よりも短くなっていてもよい。
【0016】
本開示による移動体は、上述した本開示による区画部材のいずれかを備える。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、断熱シートを区画部材本体に安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、一実施の形態を説明するための図であって、区画部材を有する移動体の一例を示す斜視図である。
図2図2は、一実施の形態を説明するための図であって、区画部材の断面を示す図である。図2は、図3のII-II線に沿った断面を示している。
図3図3は、図2の区画部材を示す平面図である。
図4図4は、図2の区画部材に含まれた区画部材本体を示す斜視図である。
図5図5は、図2の区画部材に含まれた断熱シートを示す平面図である。
図6図6は、図5のVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7は、図5のVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8は、断熱シートの包装材をなすシート材の一例の層構成を説明するための断面図である。
図9図9は、図5の断熱シートの製造方法を説明するための図である。
図10図10は、図5の断熱シートの製造方法を説明するための図である。
図11図11は、図5に対応する図であって、断熱シートの一変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0020】
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「シート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「断熱シート」は、「断熱板」や「断熱フィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
【0021】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0022】
図1図11は、一実施の形態を説明するための図である。図2及び図3は、図1の区画部材の一具体例を示す横断面図または平面図である。図2及び図3に示すように、区画部材10は、区画部材本体20と、区画部材本体20に取り付けられた断熱シート30と、を有している。断熱シート30を有した区画部材10は、空間を単に物理的に区分けするだけでなく、区分けされた空間の間での熱移動を規制する。すなわち、この区画部材10は、空間を物理的及び熱的に区分けすることができる。とりわけ、ここで説明する区画部材10は、断熱シート30の区画部材本体20への取り付け方法に工夫を有しており、断熱シート30を区画部材本体20に安定して固定することが可能となっている。
【0023】
このような区画部材10は、船舶、電車、航空機、ロケット等の移動体1に適用され得る。移動体は、その移動にともなって、高温雰囲気や低温雰囲気を通過する。移動体1の移動速度が速いと、周囲温度が急上昇又は急下降することもある。したがって、移動体1に適用される区画部材10は、精密機器が収容された空間や操縦者等の搭乗者の居住部を周囲環境から物理的に区分けするとともに、更に熱的に区分けすることも要求される。加えて、移動体1は、その移動にともなって、区画部材10へ振動を生じさせ得る。このような移動体1への適用に対し、断熱シート30が区画部材本体20に安定して固定された本実施の形態の区画部材10は、好適といえる。
【0024】
図1に示された例において、区画部材10は、移動体1の一例としての自動車2に適用されている。この例において、区画部材10は、自動車2の車内と車外を区画する部材、より具体的には自動車2の屋根材を構成している。自動車2の屋根は、温度が上昇または下降しやすい部位であるとともに、走行にともなって振動を受けやすい部位である。
【0025】
図1に示された具体例では、区画部材本体20が外部の側に配置され、断熱シート30が、搭乗者の居住部となる室内の側に配置される。加えて、図1に示された具体例において、区画部材本体20は、断熱シート30の区画部材本体20とは反対側に順に積層された内装材を有していてもよく、断熱シート30と内装材との間にクッション材を更に有していてもよい。
【0026】
また、図2図10に示された区画部材10およびその構成要素の具体例は、図1に示された自動車2の屋根材に適用され得るものとしている。図3及び図4は、搭乗者の居住部となる室内の側から区画部材10又は区画部材本体20を示している。図1に示された区画部材10の外形状は、曲面状となっているが、図2図10では、理解の容易を図るため平面状に展開して示している。
【0027】
ただし、図示された例に限られることなく、断熱シート30を区画部材本体20に安定して固定することが可能な本実施の形態の区画部材10は、種々の分野への適用が可能である。一例として、図1に示された自動車以外の移動体へ、区画部材10を適用することが可能となる。
【0028】
以下、図面を参照して一実施の形態に係る区画部材10について説明する。
【0029】
まず、区画部材本体20について説明する。区画部材本体20は、主として空間を物理的に区分けするための部材である。したがって、区画部材10の具体的な用途に応じ、空間を区分けする上で適切な寸法や強度等を付与される。
【0030】
図4は、図1の区画部材10へ適用され得る区画部材本体20を示している。図4に示された区画部材本体20は、湾曲した板状又は平板状の区画パネル部21と、区画パネル部21から突出した突起22と、を有している。区画パネル部21は、自動車2の居住部となる室内を外部から物理的に区分けする。区画パネル部21は、金属製板材や樹脂板材を用いて形成される。区画パネル部21の厚さは、例えば、1mm以上30mm以下とすることができる。区画パネル部21は、概ね矩形形状を有している。
【0031】
突起22は、後述するように、断熱シート30の固定に利用される。図1の区画部材10への適用において、突起22は、区画パネル部21から室内の側へ向けて突出している。図示された例において、一対の突起22が設けられている。各突起22は、線状、とりわけ直線状に延びる第1突条23A又は第2突条23Bを形成している。第1突条23A及び第2突条23Bは、概ね共通する第1方向DLに延びている。すなわち、第1突条23A及び第2突条23Bは、概ね平行に延びている。また第1突条23A及び第2突条23Bの長手方向は、平面視長方形形状を有する区画パネル部21の長辺に沿って延びている。
【0032】
第1突条23A及び第2突条23Bは、その長手方向である第1方向DLに直交する第2方向DAに離間して配列されている。第1突条23A及び第2突条23Bは、第2方向DAにおける区画パネル部21の縁部近傍に位置している。このような突起22は、樹脂製の区画パネル部21と一体的に樹脂射出成形によって形成されてもよいし、金属製の区画パネル部21に溶接等によって固定されるようにしてもよい。
【0033】
なお、図1に示された自動車2への適用では、第1方向DLが自動車2の前後方向と一致し、第2方向DAが自動車2の車幅方向と一致する。したがって、第1突条23A及び第2突条23Bを、自動車2のドアと係合する部位、自動車2のドアと密閉を保つための部位とすることができる。このような適用例においては、区画部材本体20のうちの第1突条23A及び第2突条23Bの間に位置する領域を、断熱すべき領域とすることができる。
【0034】
次に、図5図10を主として参照しながら、断熱シート30について説明する。断熱シート30は、包装材31と、包装材31によって収容された芯材38と、を有している。また、上述したように、断熱シート30は、自動車2の区画部材10への適用において、クッション材及び内装材を有するようにしてもよい。以下、包装材31及び芯材38について、順に説明する。
【0035】
包装材31は、密封された収容空間Sを形成する。この収容空間Sは減圧され、芯材38が減圧された収容空間S内に収容される。包装材31は、収容空間Sを減圧状態に維持できるよう、ガスバリア性を有した材料を用いて形成される。図5図7に示すように、包装材31は、収容空間Sを形成する収容領域A1と、収容領域A1を周状に取り囲む周囲領域A2と、に区分けされる。
【0036】
図5図7の示すように、具体的な構成として、包装材31は、例えば二つのシート材32を有している。二つのシート材32は周状のシール部33で互いに接合されている。周状のシール部33によって取り囲まれる領域が、収容領域A1であって、収容空間Sを形成している。シール部33は、包装材31の周囲領域A2のうち、収容領域A1に隣接する最内側部分を形成する。
【0037】
図示された例において、二つのシート材32は、平面視において同一形状を有している。二つのシート材32は、積層された状態で、四つの直線状に延びるシール部33A~33Dによって、他互いに接合されている。シール部33によって囲まれた収容領域A1は、平面視において矩形形状、とりわけ長方形形状となっている。したがって、収容領域A1は、四つの縁部E1~E4を有している。各縁部E1~E4は、対応する直線状シール部33A~33Dに沿って延びている。四つの縁部E1~E4は、対向する第1縁部E1及び第2縁部E2と、対向する第3縁部E3及び第4縁部E4と、を含んでいる。図示された例において、第1縁部E1及び第2縁部E2は互いに平行になっており、第3縁部E3及び第4縁部E4は互いに平行となっている。また、第1縁部E1は、第3縁部E3及び第4縁部E4と直交し、且つ、第2縁部E2は、第3縁部E3及び第4縁部E4と直交している。
【0038】
各シート材32は、一例として図8に示すように、ガスバリア性を有したガスバリアフィルム32Aと、ガスバリアフィルムに一方の側から積層されたヒートシール層32Bと、ガスバリアフィルムに他方の側から積層された保護層32Cと、を有するようにしてもよい。ガスバリアフィルム32A及びヒートシール層32Bは、接着剤等の接合材を含んだ接合層32Dを介して接合され得る。同様にガスバリアフィルム32A及び保護層32Cは、接着剤等の接合材を含んだ接合層32Dを介して接合され得る。このシート材32を用いた包装材31において、二つのシート材32は、ヒートシール層32Bが互いに向き合うようにして積層される。向かい合うヒートシール層32Bが熱溶着することで、二つのシート材32が互いに接合される。この例において、シール部33は、熱溶着した部分となる。
【0039】
ガスバリアフィルム32Aは、JIS K7126-2A(2006)で規定された酸素透過度やJIS K7129-B(2008)で規定された水蒸気透過度が低い、気体を透化させにくい材料を用いて形成される。ガスバリアフィルム32Aの具体例として、金属箔を有するガスバリアフィルム32Aや、樹脂基材とその樹脂基材の片方または両方の面に配置された無機化合物を含むガスバリア層とを有するガスバリアフィルム32Aを例示することができる。金属箔を有するガスバリアフィルム32Aとして用いられる金属箔は、一般に、金属が薄く伸ばされたものとなる。金属箔は例えば圧延加工により製造され得る。金属箔の材料として、例えばアルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタン、等が例示される。金属箔は、ガスバリア性が良好であり耐屈曲性や耐突刺性に優れている。さらに、アルミニウム箔は加工しやすく安価である。金属箔を有するガスバリアフィルム32Aは、単一の金属箔のみで構成されていてもよく、複数の金属箔で構成されていてもよく、金属箔に他の層が積層されていてもよい。金属箔を有するガスバリアフィルム32Aの厚さは、特に限定されないが、例えば、9μm以下にすることができ、7μm以下でもよく、例えば、4μm以上にすることができ、5μm以上でもよい。
【0040】
ヒートシール層32Bは、加熱によって溶融して融着することが可能となる材料、例えば、熱可塑性樹脂や熱溶融性樹脂などを用いることができる。具体的には、未延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリプロピレン、シクロポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール、等をヒートシール層32Bの材料とすることができる。ヒートシール層32BのJIS K7121(2012)で規定された溶融温度は、熱溶着性を高めるために、例えば80℃以上にすることができ、100℃以上でもよく、また、300℃以下にすることができ、250℃以下でもよい。ヒートシール層32Bの厚さは、特に限定されないが、熱溶着性を高めるために、例えば20μm以上にすることができ、25μm以上でもよく、30μm以上でもよく、また、100μm以下にすることができ、90μm以下でもよく、80μm以下でもよい。
【0041】
保護層32Cは、ガスバリアフィルム32A及びヒートシール層32Bを保護するための層である。保護層32Cは、包装材31において、最も外側となる層、すなわち最も収容空間Sから離間する側の層をなす。
【0042】
次に、芯材38について説明する。芯材38は、断熱シート30内に減圧状態にある空間の容積を確保するため、言い換えると、減圧状態にある収容空間Sが大気圧で潰れることを規制するため、収容空間S内に封入されている。芯材38として、例えば、粉体、多孔質体、繊維体、等を用いることができる。これらは、熱伝導率が低いので、芯材38による熱伝導を抑制することができる。具体的には、ヒュームドシリカ、多孔質ウレタンフォーム、グラスウール、グラスファイバー、等を芯材38として例示することができる。なお、収容空間S内は、例えば5Pa以下に保持される。このように断熱シート30の収容空間Sが減圧された状態を、真空状態とも呼ぶ。
【0043】
以上のような構成を有する断熱シート30の製造方法は、特に限定されず、公知の種々の方法を用いることができる。図9及び図10は、断熱シート30の製造方法の一例を示している。以下、図9及び図10に示された製造方法について説明する。
【0044】
図9に示すように、まず、平面視矩形形状の二枚のシート材32を準備する。次に、二枚のシート材32を積層し、積層された二枚のシートを、第1~第3シール部33A,33B,33Cにより、互いに接合する。図9に示された例において、第1~第3シール部33A,33B,33Cは、それぞれ、二枚のシート材32を直線状に横断している。上述したように、第1シール部33A及び第2シール部33Bは、対向して配置され且つ平行に延びている。第3シール部33Cは、第1シール部33A及び第2シール部33Bのそれぞれと直交している。三つの第1~第3シール部33A,33B,33Cによって、作製されるべき収容空間Sが三方から画成される。言い換えると、三つの第1~第3シール部33A,33B,33Cによって、作製されるべき収容空間Sの三つの縁部E1,E2,E3が画成される。これにより、二枚のシート材32は、一方に開口した袋を形成する。次に、図10に示すように、二つのシート材32の間に芯材38を挿入する。次に、二つのシート材32の間を減圧しながら、直線状の第4シール部33Dを形成して、開口を密閉する。これにより、図5に示された断熱シート30が得られる。
【0045】
なお、以上にように作製された断熱シート30では、図5に示すように、収容空間S内における芯材38と各縁部E1~E4との離間間隔は、一定ではなくなる。第1~第3シール部33A~33Cは、芯材38が挿入されていない二つの平坦なシート材32に対して形成される。第1~第3シール部33A~33Cによって形成される第1~第3縁部E1~E3の各々と芯材38との離間間隔D1~D3は、比較的小さく、しかも互いに同程度とすることができる。一方、第4シール部33Dは、芯材38が挿入された状態で二つのシート材32に対して形成される。したがって、図5に示すように、第4シール部33Dによって形成される第4縁部E4と芯材38との離間間隔D4は、第1~第3シール部33A~33Cによって形成される第1~第3縁部E1~E3の各々と芯材38との離間間隔D1~D3よりも長くなってしまう。
【0046】
以上に説明した断熱シート30において、断熱性能を有効に発揮するのは、芯材38が存在している断熱有効区域S1だけである。断熱シート30の芯材38が存在していない区域は、非有効区域S2として、有効な断熱性能を発揮しない。図5図7に示すように、断熱シート30は、芯材38の有無に応じて断熱有効区域S1及び非有効区域S2に区分けされる。非有効区域S2は、断熱有効区域S1を取り囲む断熱シート30の周縁部となる。したがって、背景技術の欄でも説明したように、区画部材本体20の断熱を要する面20a上には、断熱シート30の断熱有効区域S1のみが位置していることが好ましい。
【0047】
このため、従来、真空断熱シートの断熱有効区域に隣接する非有効区域は、包装材を折り返すことで、断熱有効区域上に折り重ねられていた。そして、区画部材本体の断熱を要する面上には、真空断熱シートの断熱有効区域のみが向き合うようにされていた。このため、真空断熱シートは、断熱有効区域において、区画部材本体に固定されていた。固定方法としては、包装材への穿孔を防止する目的から、締結具等の機械的な接合ではなく、接着剤や粘着剤等の接合材を含む接合層が用いられていた。しかしながら、真空断熱シートを含む区画部材は、物理的および熱的に空間を区画することを目的として利用される。したがって、区画部材は、一般的に、高温又は低温に曝されて使用される。接合材が温度変化に曝されると、真空断熱シートの区画部材本体への取り付けが不安定となり、断熱が不十分になることがあった。
【0048】
この点について、本実施の形態では、断熱シート30を区画部材本体20へ安定して固定するための工夫がなされている。以下において、図示された具体例を参照し、本実施の形態による区画部材本体20への断熱シート30の取り付け構造について説明する。
【0049】
まず図3及び図5に示すように、第1折り返し線Laを中心として包装材31を折り返し、第2折り返し線Lbを中心として包装材31を折り返す。第1折り返し線Laは、収容空間Sの第3縁部E3と芯材38との間に位置し、第3縁部E3と平行に延びている。すなわち、第1折り返し線Laは、収容空間Sの第3縁部E3に対向する芯材38の縁部の近傍に位置し、この芯材38の縁部に沿って延びている。同様に、第2折り返し線Lbは、収容空間Sの第4縁部E4と芯材38との間に位置し、第4縁部E4と平行に延びている。すなわち、第2折り返し線Lbは、収容空間Sの第4縁部E4に対向する芯材38の縁部の近傍に位置し、この芯材38の縁部に沿って延びている。折り返された断熱シート30の包装材31は、芯材38と重なる位置に配置される。言い換えると、折り返された断熱シート30の非有効区域S2は、断熱シート30の断熱有効区域S1に重ねられる。結果として、折り返し後の断熱シート30において、収容空間Sの第3縁部E3及び第4縁部E4を結ぶ方向、言い換えると第3縁部E3及び第4縁部E4が向かい合う方向における縁部の極近まで、断熱有効区域S1が広がっている。
【0050】
次に、収容空間Sの第3縁部E3及び第4縁部E4を結ぶ方向での両端部分となる包装材31を折り返した断熱シート30を、区画部材本体20上に配置する。このとき、図3に示すように、第3縁部E3及び第4縁部E4を結ぶ方向が、区画部材本体20の第1方向DLと一致するようにする。また、折り返された断熱シート30の非有効区域S2が、断熱シート30の断熱有効区域S1に区画部材本体20とは反対側に重なるように、断熱シート30を区画部材本体20上に配置する。
【0051】
これにより、区画部材本体20の断熱を要する面20a上に、断熱シート30の断熱有効区域S1が位置するようになる。断熱シート30は、その断熱有効区域S1において、区画部材本体20の面20aに対して粘着剤や接着剤等を含んだ接合層を介して固定されるようにしてもよい。
【0052】
一方、図示された例において、断熱シート30の包装材31のうちの第1縁部E1の外方に位置して周囲領域A2をなす部分は、断熱シート30の断熱有効区域S1上に折り返されていない。同様に、包装材31のうちの第2縁部E2の外方に位置して周囲領域A2をなす部分も、断熱シート30の断熱有効区域S1上に折り返されていない。したがって、断熱シート30の非有効区域S2を構成する包装材31の周囲領域A2の一部分が、区画部材本体20上に位置している。そして、この断熱シート30の包装材31が、周囲領域A2において、区画部材本体20に固定されている。すなわち、本実施の形態では、通常不要とされていた包装材31の周囲領域A2を利用して、断熱シート30を区画部材本体20に固定している。包装材31の周囲領域A2は、収容空間Sの密封に及ぼす影響は小さい。とりわけ収容空間Sの縁部E1~E4から離間した位置で包装材31に穿孔が生じたとしても、収容空間Sの密封や断熱シート30の断熱性能低下に影響を及ぼさない。したがって、接合層によらず種々の好適な固定方法を採用して、包装材31を周囲領域A2において区画部材本体20に堅固に固定することも可能となる。このように本実施の形態によれば、振動等が生じやすい移動体1に適用された区画部材10においても、包装材31の周囲領域A2を利用することで、断熱シート30を区画部材本体20に安定して固定することが可能となる。
【0053】
とりわけ図2に示された例において、断熱シート30の周囲領域A2は、締結具40を用いて、区画部材本体20に固定されている。締結具40としては、クリップ、スナップ式留め具、スライド式留め具、等の種々の形式を広く採用することができる。適切な締結具40を用いることで、断熱シート30を区画部材本体20に更に安定して固定することが可能となる。
【0054】
また、図4に示すように、区画部材本体20は、断熱シート30の側に向けて突出する突起22を有している。そして、図2に示すように、包装材31は、周囲領域A2において、突起22に沿うように折り曲げられ且つ突起22に固定されている。より具体的には、区画部材本体20の面20aに沿って延びる包装材31は、突起22の外表面に沿って、区画部材本体20の区画パネル部21から離間する向きに折り曲げられる。次に、包装材31は、区画パネル部21から最も離間した突起22の頂部上で折り返し、区画パネル部21に接近する。区画部材本体20の断熱すべき面20aから突出した突起22を用いることで、包装材31の周囲領域A2と区画部材本体20との接触部位が立体的となり且つ接触面積を広げることができる。したがって、区画部材本体20の突起22を用いることで、断熱シート30を区画部材本体20に更に安定して固定することが可能となる。また、突起22を用いることで、断熱シート30の区画部材本体20への固定を容易に行うことも可能となる。
【0055】
なお、突起22は、区画部材本体20の断熱を要する領域20a外に位置していることが好ましい。この場合、区画部材本体20の断熱すべき面20a上のより多くの面積を、断熱シート30の断熱有効区域S1によって覆うことが可能となり、断熱性能を向上させることができる。図示された例において、区画部材本体20の突起22が設けられている領域は、図1に示された自動車2への適用において、自動車2のドアと係合する部位や自動車2のドアと密閉を保つための部位とすることができる。
【0056】
ただし、突起22が、区画部材本体20の断熱を要する領域20aから突出していてもよい。突起22を設けること自体によっても、断熱効果を及ぼすことが可能となる。つまり、区画部材本体20の断熱を要する領域20a内に突起22を設けることによる断熱性能の低下は僅かである。
【0057】
図示された例において、区画部材本体20の突起22は、線状に延びている。より具体的には、突起22は、収容空間Sの第1縁部E1の近傍を第1縁部E1に沿って延びる第1突条23Aと、第2縁部E2の近傍を第2縁部E2に沿って延びる第2突条23Bと、を含んでいる。第1突条23A上には、包装材31の周囲領域A2のうちの第1縁部E1の外方に位置し且つ第1縁部E1に沿って延びる部分が、固定されている。また、第2突条23B上には、包装材31の周囲領域A2のうちの第2縁部E2の外方に位置し第2縁部E2に沿って延びる部分が、固定されている。したがって、包装材31の周囲領域A2との接触面積を大幅に広げることができ、断熱シート30を区画部材本体20に更に安定して固定することが可能となる。
【0058】
また、収容領域A1の縁部E1~E4と芯材38との間となる領域は、芯材38が存在していないので断熱性能を有さず、非有効区域S2となる。ただし、包装材31のこの領域に穿孔が生じると、収容空間Sの密封が損なわれる。したがって、収容領域A1の縁部E1~E4と芯材38との間となる包装材31の領域は、区画部材本体20への固定にも使用しないことが好ましい。
【0059】
多くの場合、上述した製造方法に起因して、断熱シート30における収容領域A1の各縁部E1~E4と芯材38との間の離間間隔D1~D4は、一定ではなくなる。図5に示すように、最後に作製される第4シール部33Dによって形成される第4縁部E4と芯材38との間の離間間隔D4が、他の離間間隔よりも長くなる。そして、図示された例においては、芯材38との離間間隔D1,D2が短くなる第1縁部E1及び第2縁部E2の外方となる周囲領域A2において、包装材31を突起22に固定している。これにより、断熱性能を有さない包装材31によって覆われる区画部材本体20の断熱すべき面20a上の領域を効果的に狭めることができる。その一方で、収容領域A1の第4縁部E4と芯材38との離間間隔D4が長くなるが、包装材31は、第4縁部E4と芯材38との間の折り返し線Lbで折り返されて、区画部材本体20の断熱有効区域S1上に重ねられている。この点からも、断熱性能を有さない包装材31によって覆われる区画部材本体20の断熱すべき面20a上の領域を効果的に狭めることができる。
【0060】
さらに、図2に示された例において、締結具40は、突起22に沿って延びる包装材31を突起22とともに挟み込むことで、包装材31を区画部材本体20に固定している。このような締結具40によれば、着脱が容易であり、安定して包装材31を区画部材本体20に固定することができ、且つ、包装材31が区画部材本体20に固定されていることを目視で容易に確認することができる。
【0061】
なお、図3に示すように、第1突条23Aに対して、三つの締結具40が用いられ、第2突条23Bに対しても、三つの締結具40が用いられている。第1突条23Aに用いられた三つの締結具40は、第1突条23Aの長手方向である第1方向DLに沿って、離間して設けられている。同様に、第2突条23Bに用いられた三つの締結具40は、第2突条23Bの長手方向である第1方向DLに沿って、離間して設けられている。第1方向DLにおける両端に位置する締結具40は、折り返し線La,Lbにおいて折り返されて包装材31が二重となっている部分を突起22に固定している。第1方向DLにおける中間に位置する締結具40は、折り重ねられていない包装材31を突起22に固定している。このように断熱シート30の厚みが異なる部分を、異なる締結具40を用いることで、安定して区画部材本体20に固定することが可能となる。
【0062】
以上に説明してきた一実施の形態において、区画部材10は、区画部材本体20と、区画部材本体20に取り付けられた断熱シート30と、を有している。断熱シート30は、減圧された収容空間Sを形成する包装材31と、収容空間Sに収容された芯材38と、を含んでいる。包装材31は、収容空間Sを形成する収容領域A1と、収容領域A1を取り囲む周囲領域A2と、を含んでおり、包装材31が周囲領域A2において区画部材本体20に固定されている。すなわち、本実施の形態では、通常不要とされていた包装材31の周囲領域A2を利用して、断熱シート30を区画部材本体20に固定している。とりわけ、振動等が生じ易い移動体1の区画部材10においては、包装材31の周囲領域A2を用いることで、断熱シート30を区画部材本体20に安定して固定することが可能となる。
【0063】
上述した一具体例において、区画部材10は、自動車2の屋根材として用いられる。自動車2の屋根材は、大きな温度変化をきたしやすい。更に、屋根材は、自動車2の走行にともなって振動を受けやすい。このような温度変化や振動により、接着剤等の接合材のみに依存した断熱シート30の固定は、不安定となる可能性がある。したがって、断熱シート30が安定して固定され得る本実施の形態による区画部材10は、自動車2の屋根材としての利用に好適である。
【0064】
上述した一具体例において、包装材31は、周囲領域A2において、締結具40を用いて区画部材本体20に固定されている。接着剤等の接合材に代えて又は加えて、機械式の締結具40を用いることで、包装材31の周囲領域A2を区画部材本体20に安定して固定することができる。
【0065】
上述した一具体例において、区画部材本体20は突起22を有しており、包装材31は、周囲領域A2において、突起22に沿うように折り曲げられ且つ突起22に固定されている。このような区画部材10においては、区画部材本体20の断熱すべき面20aから突出した突起22に対して、包装材31の周囲領域A2を固定することができる。これにより、断熱すべき面20a上における断熱性能を有さない包装材31によって覆われる領域を効果的に減少させることができる。したがって、区画部材10の断熱性能を効果的に向上させることができる。
【0066】
上述した一具体例において、突起22は、収容領域A1の周縁に沿って線状に延びている。このような区画部材10によれば、断熱シート30を区画部材本体20に対してより広い面積を介して更に安定して固定することができる。
【0067】
上述した一具体例において、収容領域A1は、平面視において矩形形状または矩形形状を面取りしてなる形状となっており、四つの縁部E1~E4を含んでいる。区画部材本体20は、四つの縁部E1~E4のうちの互い対向する第1縁部E1及び第2縁部E2のそれぞれに沿って線状に延びる一対の突起23A,23Bを有している。収容空間S内における芯材38と第1縁部E1との離間間隔D1及び芯材38とE2との離間間隔D2は、四つの縁部E1~E4のうちの第1縁部E1及び第2縁部E2以外の他の一つの縁部E4と芯材38との離間間隔D4よりも短くなっている。収容領域A1の縁部E1~E4と芯材38との間となる領域は、芯材38が存在していないので断熱性能を有さない。また、包装材31のこの領域は、穿孔によって収容空間Sの密封が損なわれることを防止するため、区画部材本体20への固定にも利用しにくい。したがって、芯材38との離間間隔D1,D2が短くなっている第1縁部E1及び第2縁部E2の外方となる周囲領域A2において、包装材31を突起23A,23Bに固定することで、断熱性能を有さない包装材31によって覆われる区画部材本体20の断熱すべき面20a上の領域を効果的に狭めることができる。したがって、区画部材10の断熱性能を効果的に向上させることができる。
【0068】
一実施の形態を具体例に基づいて説明してきたが、上述の具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0069】
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0070】
まず、上述した具体例において、突起22が、収容領域A1の縁部E1,E2に沿って断熱シート30の全長に亘って延びる第1突条23A及び第2突条23Bを含む例を示したが、この例に限られない。例えば、第1突条23A及び第2突条23Bは、収容領域A1の縁部E1,E2に沿って複数に分割されていてもよい。より具体的には、第1突条23A及び第2突条23Bは、締結具40を設けるべき位置のみに設けられていてもよい。或いは、第1突条23A及び第2突条23Bは、それぞれ、断熱シート30の全長よりも短い単一の線状突起として形成されていてもよい。
【0071】
また、上述した具体例における締結具40の配置も例示に過ぎず、例えば突起22の構成および配置等に応じて、適宜変更することができる。
【0072】
さらに、上述した具体例において、包装材31をその周囲領域A2において区画部材本体20の突起22に固定する例を示したが、これに限られない。包装材31をその周囲領域A2において区画部材本体20の突起22以外の部分に固定することも可能である。ただし、包装材31の周囲領域A2が固定される区画部材本体20の領域は、断熱すべき面20a以外の領域であることが好ましい。この場合、区画部材本体20の断熱すべき面20aのうちの断熱シート30の断熱有効区域S1によって覆われている割合を高く維持することができ、区画部材10が優れた断熱性能を発揮することができる。
【0073】
さらに、上述した具体例において、締結具40を用いて、断熱シート30を区画部材本体20に固定する例を示したが、これに限られず、例えば接着剤や粘着剤等を含む接合層を用いて、断熱シート30の包装材31をその周囲領域A2において区画部材本体20に固定するようにしてもよい。或いは、締結具40及び接合層の両方を用いて、断熱シート30の包装材31をその周囲領域A2において区画部材本体20に固定するようにしてもよい。
【0074】
また、上述した具体例において、断熱シート30の断熱有効区域S1が接合層を用いて区画部材本体20に固定される例を示したが、この例に限られない。例えば、包装材31をその周囲領域A2において区画部材本体20に十分に固定することができるので、断熱シート30の断熱有効区域S1は区画部材本体20に固定されていなくてもよい。この例では、断熱シート30の断熱有効区域S1と区画部材本体20との間に空気層が形成されることから、区画部材10の断熱性能を更に向上させることができる。
【0075】
さらに、上述した具体例において、一つの区画部材本体20上に断熱シート30が一つだけ取り付けられる例を示したが、これに限られない。一つの区画部材本体20上に複数の断熱シート30が取り付けられるようにしてもよいし、複数の区画部材本体20に跨がって一つの断熱シート30が取り付けられるようにしてもよい。例えば、自動車2の屋根材においては、中央に照明装置や電気配線が設けられることもある。具体例として、照明装置や電気配線等を避けるように、屋根材本体をなす区画部材本体20上に複数の断熱シート30が取り付けられるようにしてもよい。
【0076】
さらに、上述した具体例において、一つの包装材31内に一つの芯材38が収容されている例を示したが、この例に限られない。図11に示すように、一つの包装材31内に複数の芯材38が収容されていてもよい。この例において、一つの包装材31が一つの収容空間Sを形成し、当該一つの収容空間S内に複数の芯材38が収容されるようにしてもよい。また、一つの包装材31が複数の収容空間Sを形成し、各収容空間S内に芯材38が収容されるようにしてもよい。一つの包装材31に複数の収容空間Sが形成される場合には、複数の収容空間Sの間となる位置に、電気配線等が通過する穴を包装材31に形成することも可能となる。
【0077】
なお、以上において上述した一実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 移動体
2 自動車
10 区画部材
20 区画部材本体
20a 面
21 区画パネル部
22 突起
23A 第1突条
23B 第2突条
30 断熱シート
31 包装材
32 シート材
32A ガスバリアフィルム
32B ヒートシール層
32C 保護層
33 シール部
33A 第1シール部
33B 第2シール部
33C 第3シール部
33D 第4シール部
38 芯材
40 締結具
S1 断熱有効区域
S2 非有効区域
A1 収容領域
A2 周囲領域
E1 第1縁部
E2 第2縁部
E3 第3縁部
E4 第4縁部
S 収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11