(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】工事用開閉器用のケーブル仮置き具
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
H02G1/02
(21)【出願番号】P 2018207467
(22)【出願日】2018-11-02
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】村上 廉士
(72)【発明者】
【氏名】加川 徹
(72)【発明者】
【氏名】安田 勝孝
(72)【発明者】
【氏名】藤井 賢二
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-292311(JP,A)
【文献】特開平6-292310(JP,A)
【文献】特開2018-74840(JP,A)
【文献】特開2015-204691(JP,A)
【文献】特開2011-91953(JP,A)
【文献】特開2002-281623(JP,A)
【文献】特開2002-305817(JP,A)
【文献】特開2001-128344(JP,A)
【文献】特開2016-189292(JP,A)
【文献】特開平11-86686(JP,A)
【文献】実開昭57-78218(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事区間の上流側に電気的に接続する一次側ケーブルと、工事区間の下流側に電気的に接続する二次側ケーブルと、一次側ケーブルと二次側ケーブルを電気的に接続した入状態、又は一次側ケーブルと二次側ケーブルを電気的に切断した切状態に切り替えるハンドルとを備える工事用開閉器に用いる工事用開閉器用のケーブル仮置き具であって、
導電性を有し、且つ前記一次側ケーブルを取付可能な一次側取付部と、
導電性を有し、且つ前記二次側ケーブルを取付可能な二次側取付部と、
前記一次側取付部と前記二次側取付部とに接続される検知部であって、前記一次側取付部又は前記二次側取付部の一方に電流を加え
る電源を有し、
且つ前記工事用開閉器を介して前記一次側取付部と前記二次側取付部とに電流が流れている通電状態を検知する検知部と、
該検知部が前記通電状態を検知した際に、前記一次側取付部と前記二次側取付部とが前記通電状態である旨を報知する報知部と、を備える、
工事用開閉器用のケーブル仮置き具。
【請求項2】
前記検知部は、
前記一次側ケーブルと前記二次側ケーブルとに接続された前記工事用開閉器の抵抗値を測定する測定部と、
該測定部で測定した抵抗値が、前記一次側取付部と前記二次側取付部とに電流が流れていない非通電状態での抵抗値である基準抵抗値を下回ったときに、前記一次側取付部と前記二次側取付部とが前記通電状態であると判別する判別手段と、を有する、
請求項1に記載の工事用開閉器用のケーブル仮置き具。
【請求項3】
前記一次側取付部は、導電性を有し且つ細長い形状の一次側導電部を有し、
前記二次側取付部は、導電性を有し且つ細長い形状の二次側導電部を有し、
前記一次側導電部の長手方向における一端部と、前記二次側導電部の長手方向における一端部とを柱状構造物に対して固定するための少なくとも一つの固定具を備える、
請求項1又は2に記載の工事用開閉器用のケーブル仮置き具。
【請求項4】
前記固定具は、
前記柱状構造物の軸線を中心とする周方向における前記一次側導電部と前記二次側導電部の固定位置を変更可能である、
請求項3に記載の工事用開閉器用のケーブル仮置き具。
【請求項5】
前記固定具は、
前記柱状構造物の軸線方向における前記一次側導電部と前記二次側導電部の固定位置を変更可能である、
請求項4に記載の工事用開閉器用のケーブル仮置き具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事用開閉器のケーブルを仮置きするための工事用開閉器用のケーブル仮置き具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配電設備に対して停電を伴う工事を行う際、
図5に示すような、工事対象となる区間(以下、工事区間Sと称する)の上流側に接続するケーブル(以下、一次側ケーブルと称する)90と、工事区間Sの下流側に接続するケーブル(以下、二次側ケーブルと称する)91と、一次側ケーブル90と二次側ケーブル91とを電気的に接続した状態(以下、入状態と称する)、及び電気的に切断した状態(以下、切状態と称する)の何れかの状態に切り替えるためのハンドル920が設けられた筐体92と、を備える工事用開閉器9が用いられることがある。
【0003】
工事用開閉器9を用いた工事では、該工事用開閉器9を切状態に切り替えた状態で工事区間Sの付近に配置し、一次側ケーブル90を工事区間Sの上流側に接続し、二次側ケーブル91を工事区間Sの下流側に接続する。そして、ハンドル920により切状態から入状態に切り替えると、電力が工事区間Sをバイパス(迂回)して工事区間Sの上流側から下流側に送られるため、停電の範囲を工事区間S内に留めた状態で、配電設備に対する工事を行うことができる。
【0004】
また、上記の工事では、例えば、特許文献1に開示されているような、工事用開閉器9を工事区間Sの付近に配置した状態で、一次側ケーブル90と、二次側ケーブル91とを仮置きするための仮置き具(ケーブル支持具)が用いられることがある。
【0005】
かかるケーブル支持具は、
図6に示すように、電柱に着脱するフレーム部80と、該フレーム部80から延出するアーム部81と、を備えており、フレーム部80に対するアーム部81の角度を変更できるように構成されている。
【0006】
そのため、前記ケーブル支持具8を用いれば、工事の状況に応じてフレーム部80に対するアーム部81の角度を変更することにより、工事の妨げとならない場所に一次側ケーブル90と、二次側ケーブル91とを仮置きすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記工事用開閉器9は、ハンドル920の誤操作等が原因で、入状態に切り替えられたまま一次側ケーブル90と二次側ケーブル91とがケーブル支持具8に仮置きされることがある。この場合、一次側ケーブル90を工事区間Sの上流側に接続した時点で地絡が生じ、工事区間Sだけでなく、工事区間S外の範囲も停電してしまうという問題が起こる。
【0009】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、工事用開閉器の入状態を検知して知らせることができる工事用開閉器用のケーブル仮置き具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電力量計用の工事用開閉器用のケーブル仮置き具は、
工事区間の上流側に電気的に接続する一次側ケーブルと、工事区間の下流側に電気的に接続する二次側ケーブルと、一次側ケーブルと二次側ケーブルを電気的に接続した入状態、又は一次側ケーブルと二次側ケーブルを電気的に切断した切状態に切り替えるハンドルとを備える工事用開閉器に用いる工事用開閉器用のケーブル仮置き具であって、
導電性を有し、且つ前記一次側ケーブルを取付可能な一次側取付部と、
導電性を有し、且つ前記二次側ケーブルを取付可能な二次側取付部と、
前記一次側取付部と前記二次側取付部とに接続される検知部であって、前記一次側取付部又は前記二次側取付部の一方に電流を加えた状態で、前記工事用開閉器を介して前記一次側取付部と前記二次側取付部とに電流が流れている通電状態を検知する検知部と、
該検知部が前記通電状態を検知した際に、前記一次側取付部と前記二次側取付部とが前記通電状態である旨を報知する報知部と、を備える。
【0011】
上記構成の工事用開閉器用のケーブル仮置き具では、一次側ケーブルを取り付けるための一次側取付部と、二次側ケーブルを取り付けるための二次側取付部とが検知部を介して接続されており、工事用開閉器が切状態に切り替えられている状態で一次側取付部に一次側ケーブルが接続され、二次側取付部に二次側ケーブルが接続された状態においては、一次側取付部又は二次側取付部の一方に加えた電流が一次側取付部又は二次側取付部の他方に伝わらないため、一次側取付部と二次側取付部とが通電していない状態になっている。
【0012】
一方、工事用開閉器が入状態に切り替えられている状態で一次側取付部に一次側ケーブルが接続され、二次側取付部に二次側ケーブルが接続されると、一次側取付部又は二次側取付部の一方に加えた電流が、一次側ケーブル、二次側ケーブルを通じて一次側取付部又は二次側取付部の他方に伝わるため、検知部が前記通電状態を検知する。
【0013】
そして、報知部により、一次側ケーブルと二次側ケーブルとが通電状態である旨が知らされる。
【0014】
本発明の電力量計用の工事用開閉器用のケーブル仮置き具において、
前記検知部は、
前記一次側ケーブルと前記二次側ケーブルとに接続された前記工事用開閉器の抵抗値を測定する測定部と、
該測定部で測定した抵抗値が、前記一次側取付部と前記二次側取付部とに電流が流れていない非通電状態での抵抗値である基準抵抗値を下回ったときに、前記一次側取付部と前記二次側取付部とが前記通電状態であると判別する判別手段と、を有するようにしてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、一次側取付部、二次側取付部に工事用開閉器の一次側ケーブル、二次側ケーブルが接続されていない状態においては、一次側取付部と二次側取付部とが開放されているため、一次側取付部と二次側取付部の間の抵抗値は無限大となる。
【0016】
そして、一次側取付部、二次側取付部に入状態に切り替えられている工事用開閉器の一次側ケーブル、二次側ケーブルが接続されると、一次側取付部と二次側取付部の間の抵抗値が無限大から下がり、一次側取付部又は二次側取付部の一方に加えた電流が一次側取付部又は二次側取付部の他方に伝わる。
【0017】
そのため、上記構成の工事用開閉器用のケーブル仮置き具では、一次側取付部と二次側取付部の間の抵抗値により、工事用開閉器が入状態であるか、切状態であるかを判断できる。
【0018】
本発明の電力量計用の工事用開閉器用のケーブル仮置き具において、
前記一次側取付部は、導電性を有し且つ細長い形状の一次側導電部を有し、
前記二次側取付部は、導電性を有し且つ細長い形状の二次側導電部を有し、
前記一次側導電部の長手方向における一端部と、前記二次側導電部の長手方向における一端部とを柱状構造物に対して固定するための少なくとも一つの固定具を備える、ようにしてもよい。
【0019】
かかる構成によれば、
一次側導電部、二次側導電部が細長い形状であるため、複数本の一次側ケーブル、二次側ケーブルを一次側導電部、二次側導電部の長手方向で間隔をあけて並べて配置できるため、一次側ケーブル同士の絡まり、二次側ケーブル同士の絡まりを防止でき、これにより、一次側ケーブル、二次側ケーブルの設置、撤収作業等を円滑に行うことができるようになる。
【0020】
本発明の電力量計用の工事用開閉器用のケーブル仮置き具において、
前記固定具は、
前記柱状構造物の軸線を中心とする周方向における前記一次側導電部と前記二次側導電部の固定位置を変更可能である、構成であってもよい。
【0021】
かかる構成によれば、一次側導電部、二次側導電部が固定具4により、柱状構造物の軸線を中心とする周方向における固定位置が変更可能であるため、一次側ケーブル、二次側ケーブルの設置箇所に合わせて柱状構造物周りへの一次側導電部、二次側導電部の配置を決めることができ、これにより、一次側導電部、二次側導電部が各種作業の妨げとなることを防止できる。
【0022】
本発明の電力量計用の工事用開閉器用のケーブル仮置き具において、
前記固定具は、
前記柱状構造物の軸線方向における前記一次側導電部と前記二次側導電部の固定位置を変更可能である、構成であってもよい。
【0023】
かかる構成によれば、一次側導電部、二次側導電部は、固定により、柱状構造物の軸線方向での固定位置が変更可能であるため、上方から見て一次側導電部と二次側導電部とが重なる位置関係であっても、該一次側導電部と二次側導電部とを柱状構造物に固定できる。そのため、一次側導電部と二次側導電部の配置スペースを抑えることにより、作業スペースを広く確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明の工事用開閉器用のケーブル仮置き具は、工事用開閉器の入状態を検知して知らせることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る工事用開閉器用のケーブル仮置き具の概要図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る工事用開閉器用のケーブル仮置き具の構成のブロック図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る工事用開閉器用のケーブル仮置き具を電柱に取り付けている状態を側方から見た図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る工事用開閉器用のケーブル仮置き具を電柱に取り付けている状態で上方から見た図である。
【
図5】
図5は、配電設備に対する工事の状況説明図である。
【
図6】
図6は、従来の工事用開閉器用のケーブル仮置き具(ケーブル支持具)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る工事用開閉器用のケーブル仮置き具(以下、ケーブル仮置き具と称する)について添付図面を参照しつつ説明を行う。
【0027】
ケーブル仮置き具は、配電設備に対して停電を伴う工事を行う際に用いられる開閉器(いわゆる、工事用開閉器)のケーブルを配電設備(例えば、電線)に取り付ける前の段階で、該ケーブルを配電設備付近(配電設備に対する取り付け箇所の付近)に仮置きしておくためのものである。
【0028】
工事用開閉器は、
図5に示すように、工事対象となる区間(以下、工事区間Sと称する)の上流側に接続するケーブル(以下、一次側ケーブルと称する)90と、工事区間Sの下流側に接続するケーブル(以下、二次側ケーブルと称する)91と、一次側ケーブル90と二次側ケーブル91とを電気的に接続した状態(以下、入状態と称する)と、電気的に切断した状態(以下、切状態と称する)とに切り替え可能なハンドル920を内装した筐体92と、を備えている。
【0029】
なお、一次側ケーブル90の端末には、
図3、
図4に示すように、クランプ等の接続箇所に接続するための一次側接続部900が設けられている。二次側ケーブル91の端末にも、一次側ケーブル90と同様に、クランプ等の接続箇所に接続するための二次側接続部910が設けられている。一次側ケーブル90の端末、及び二次側ケーブル91の端末は、例えば、電線に接続される。
【0030】
なお、工事用開閉器9には、上記構成の一次側ケーブル90と二次側ケーブル91とが三本ずつ設けられている。
【0031】
そして、工事用開閉器9を用いる場合は、一次側ケーブル90を工事区間Sの上流側に接続し、二次側ケーブル91を工事区間Sの下流側に接続し、ハンドル920を操作して工事用開閉器9の状態を切状態から入状態に切り替えると、工事区間Sに向けて送られる電力を工事用開閉器9にバイパス(迂回)させて工事区間Sの上流側から下流側に送れるようになる。
【0032】
ケーブル仮置き具は、
図1に示すように、導電性を有し、且つ一次側ケーブル90を取り付けて電気的に接続する一次側取付部2と、導電性を有し、且つ二次側ケーブル91を取り付けて電気的に接続する二次側取付部3と、一次側取付部2と二次側取付部3とを柱状構造物(本実施形態では電柱)に固定する少なくとも一つの固定具4と、一次側取付部2と二次側取付部3とに接続される検知部であって、一次側取付部2又は二次側取付部3の一方に電流を加えた状態で、工事用開閉器9を介して一次側取付部2と二次側取付部3とに電流が流れている通電状態を検知する検知部5と、該検知部5が通電状態を検知した際に、一次側取付部2と二次側取付部3とが通電状態である旨を報知する報知部6と、を備える。
【0033】
一次側取付部2は、導電性を有し且つ細長い形状(本実施形態では細長い枠状)の一次側導電部20と、該一次側導電部20の長手方向における一端部(以下、基端部と称する)を電柱に固定するための一次側固定部21と、を有する。
【0034】
一次側固定部21は、電柱の外周面に固定するように構成されている。より具体的に説明すると、一次側固定部21は、電柱の外周面を取り囲んだ状態で、該電柱を締付可能に構成されており、電柱に対する締め付けを緩めた状態においては、電柱の軸線(すなわち、上下方向)を中心とする周方向での向きと、電柱の軸線での固定位置とが変更可能である。
【0035】
また、本実施形態の一次側取付部2は、一次側導電部20の基端部が一次側固定部21に対して一体に設けられており、一次側固定部21が電柱に固定された状態で、一次側導電部20が電柱の径方向外方に向かって延出した姿勢となるように構成されている。
【0036】
二次側取付部3も、一次側取付部2と同様に、導電性を有し且つ細長い形状(本実施形態では細長い枠状)の二次側導電部30と、該二次側導電部30の長手方向における一端部(以下、基端部と称する)を電柱に固定するための二次側固定部31と、を有する
【0037】
二次側固定部31は、電柱の外周面に固定するように構成されている。より具体的に説明すると、二次側固定部31は、電柱の外周面を取り囲んだ状態で、該電柱を締付可能に構成されており、電柱に対する締め付けを緩めた状態においては、電柱の軸線を中心とする周方向での向きと、電柱の軸線での固定位置とが変更可能である。
【0038】
また、本実施形態の二次側取付部3は、二次側導電部30の基端部が二次側固定部31に対して一体に設けられており、二次側固定部31が電柱に固定された状態で、二次側導電部30が電柱の径方向外方に向かって延出した姿勢となるように構成されている。
【0039】
このように、本実施形態のケーブル仮置き具1は、一次側取付部2は一次側固定部21により電柱に固定され、二次側取付部3は二次側固定部31により電柱に固定される構造であるため、上記の固定具4は、一次側固定部21と二次側固定部31とで構成されている。
【0040】
検知部5は、一次側取付部2と二次側取付部3とに接続されている工事用開閉器9の抵抗値を測定する抵抗値測定機能を発揮するように構成されており、抵抗値測定機能で測定した抵抗値に基づいて、一次側取付部2と二次側取付部3とに接続されている工事用開閉器9が入状態であることを検知できるように構成されている。また、抵抗値測定機能を発揮させた状態においては、一次側取付部2、二次側取付部3のそれぞれに流れる電流の電流値を取得でき、この電流値に基づいて抵抗値を測定するように構成されている。
【0041】
本実施形態に係る検知部5は、
図2に示すように、一次側取付部2に接続される一次側接続子50と、二次側取付部3に接続される二次側接続子51と、一次側接続子50及び二次側接続子51の何れか一方に電流を加える電源52と、一次側接続子50での電流値と二次側接続子51での電流値とに基づいて工事用開閉器9の抵抗値を導出する抵抗値導出手段53と、該抵抗値導出手段53で導出した抵抗値に基づいて一次側取付部2と二次側取付部3とに接続されている工事用開閉器9が入状態であることを判別するための判別手段54とを有する。このように、本実施形態に係る検知部5では、抵抗値導出手段53により、一次側ケーブルと90二次側ケーブル91とに接続された工事用開閉器9の抵抗値を測定する測定部が構成されている。
【0042】
一次側接続子50、二次側接続子51は、それぞれ一次側取付部2、二次側取付部3に対して着脱可能(すなわち、検知部5を一次側取付部2、二次側取付部3に対して着脱可能)であってもよいし、一次側取付部2、二次側取付部3に対して一体に設けられていてもよい。なお、一次側接続子50、二次側接続子51を、それぞれ一次側取付部2、二次側取付部3に対して着脱可能にする場合は、一次側接続子50、二次側接続子51の端末には、クランプや鰐口グリップ等が設けられていればよい。
【0043】
一次側取付部2と二次側取付部3とに開閉器が接続されていない場合、若しくは一次側取付部2と二次側取付部3とに切状態の開閉器が接続されている場合、一次側取付部2に一次側接続子50を接続し、二次側取付部3に二次側接続子51を接続した状態で電源52から一次側接続子50及び二次側接続子51の何れか一方(本実施形態では、一次側接続子50とする)に電流を加えると、二次側接続子51には電源52から一次側接続子50に加えた電流が流れないため、抵抗値導出手段53で測定した抵抗値は無限大となる。
【0044】
一方、一次側取付部2と二次側取付部3とに入状態の開閉器が接続されている場合は、一次側取付部2に一次側接続子50を接続し、二次側取付部3に二次側接続子51を接続した状態で電源52から一次側接続子50に電流を加えると、電源52から一次側接続子50に加えた電流が二次側接続子51に流れるため、抵抗値導出手段53で測定した抵抗値が無限大から下がることになる。
【0045】
判別手段54には、工事用開閉器9が入状態であることを判別するための基準抵抗値が設定されており、抵抗値導出手段53で測定した抵抗値が該基準抵抗値以下の値である場合に、工事用開閉器9が入状態であると判別するように構成されている。判別手段54は、このようにして工事用開閉器9が入状態である状態(工事用開閉器9を介して一次側取付部2と二次側取付部3とに電流が流れている通電状態)と、工事用開閉器9が切状態である状態(一次側取付部2から二次側取付部3に電流が流れていない非通電状態)とを判別できるようになっている。
【0046】
なお、検知部5は、抵抗値測定機能を発揮させた状態と、抵抗値測定機能を発揮させていない状態とに切り替えるための切替手段を有し、該切替手段により抵抗値測定機能を発揮させたときに電源52から一次側接続子50に電流を加え、抵抗値導出手段53により抵抗値を測定でき、判別手段54により工事用開閉器9の入状態を判別できる状態に切り替わるように構成されていてもよい。
【0047】
報知部6は、判別手段54が工事用開閉器9が入状態であると判別した際に、工事用開閉器9が入状態である旨を報知するように構成されている。なお、報知部6は、音(聴覚的な報知)や、表示(視覚的な報知)により、工事用開閉器9が入状態である旨を報知するように構成されていればよい。また、報知部6は、検知部5とともに一つの装置として構成されていてもよいし、検知部5とは別の装置として構成されていてもよい。
【0048】
本実施形態に係るケーブル仮置き具1の構成は以上の通りである。続いて、本実施形態に係るケーブル仮置き具1の使い方を説明する。
【0049】
ケーブル仮置き具1を使用する場合、
図3、
図4に示すように、一次側取付部2と二次側取付部3とを電柱Pに取り付ける。より具体的に説明すると、一次側固定部21を電柱Pに固定し、二次側固定部31を電柱Pに固定する。また、本実施形態では、電柱Pの軸線方向において一次側取付部2の取り付け位置と二次側取付部3の取り付け位置とをずらしており、また、電柱Pの周方向においても一次側取付部2の取り付け位置と二次側取付部3の取り付け位置とをずらしている。そして、検知部5、報知部6も電柱Pに取り付け、抵抗値測定機能を発揮させる。
【0050】
そして、工事用開閉器9を使用場所まで移動させた後に、3本の一次側ケーブル90を一次側導電部20に取り付け、3本の二次側ケーブル91を二次側導電部30に取り付ける。これにより、一次側ケーブル90、二次側ケーブル91を仮置きした状態になる。
【0051】
一次側ケーブル90と二次側ケーブル91とを仮置きしたときに開閉器が切状態に切り替わっていると、電源52から一次側取付部2に送った電流が二次側取付部3には伝わらないため、抵抗値導出手段53によって導出した一次側取付部2と二次側取付部3の間の抵抗値が無限大となる。
【0052】
この場合、抵抗値導出手段53が導出した抵抗値が基準抵抗値を上回っているため、判別手段54によって工事用開閉器9が入状態であることは判別されず、報知部6による工事用開閉器9が入状態である旨の報知も行われない。
【0053】
一方、一次側ケーブル90と二次側ケーブル91とを仮置きしたときに開閉器が入状態に切り替わっていると、電源52から一次側取付部2に送った電流が開閉器を介して二次側取付部3には伝わるため、抵抗値導出手段53によって導出した一次側取付部2と二次側取付部3の間の抵抗値が無限大から下がる。
【0054】
そして、抵抗値導出手段53が導出した抵抗値が基準抵抗値以下であれば、判別手段54により工事用開閉器9が入状態であることが判別され、報知部6により工事用開閉器9が入状態である旨が報知される。
【0055】
このようにして、ケーブル仮置き具1は、一次側ケーブル90と二次側ケーブル91とを仮置きした際における報知部6による報知の有無により、工事用開閉器9が入状態であるか切状態であるかを把握できるようになっている。
【0056】
以上のように、本実施形態に係るケーブル仮置き具1によれば、一次側ケーブル90を取り付けるための一次側取付部2と、二次側ケーブル91を取り付けるための二次側取付部3とが検知部5を介して接続されているため、工事用開閉器9が切状態に切り替えられている状態で一次側取付部2に一次側ケーブル90が接続され、二次側取付部3に二次側ケーブル91が接続された状態においては、一次側取付部2又は二次側取付部3の一方に加えた電流が一次側取付部2又は二次側取付部3の他方に伝わらず、一次側取付部2と二次側取付部3とが通電していない状態、すなわち、工事用開閉器9の抵抗値が無限大(工事用開閉器9の抵抗値が基準抵抗値を上回っている状態)状態となり、報知部6による報知が行われないことで、一次側ケーブル90及び二次側ケーブル91を仮置きしている工事用開閉器9が切状態であることを把握することができる。
【0057】
一方、工事用開閉器9が入状態に切り替えられている状態で一次側取付部2に一次側ケーブル90が接続され、二次側取付部3に二次側ケーブル91が接続されると、一次側取付部2に加えた電流が、工事用開閉器9(一次側ケーブル90、二次側ケーブル91)を通じて二次側取付部3に伝わるため、検知部5が前記通電状態、すなわち、工事用開閉器9の抵抗値が無限大から下回って基準抵抗値以下の状態になり、報知部6による工事用開閉器9が入状態である旨の報知を認知することで、一次側ケーブル90及び二次側ケーブル91を仮置きしている工事用開閉器9が入状態であることを把握できる。
【0058】
従って、ケーブル仮置き具1は、工事用開閉器9の入状態を検知して知らせることができ、これにより、工事用開閉器9が入状態のまま配電設備に接続されてしまうことを防止することができる。
【0059】
また、本実施形態に係るケーブル仮置き具1は、工事用開閉器9の抵抗値に基づいて工事用開閉器9が入状態であることを判別できるように構成されているため、配電設備から工事用開閉器9に配電設備からの電力が供給されていない安全な状態で、工事用開閉器9が入状態であるか切状態であるかを把握することができる。
【0060】
さらに、本実施形態のケーブル仮置き具1では、一次側導電部20が細長い形状であるため、3本の一次側ケーブル90の端末を一次側導電部20の長手方向で間隔をあけて並べて配置できるため、3本の一次側ケーブル90の端末同士の接触や、3本の一次側ケーブル90が絡まってしまうことを防止でき、これにより、配電設備への一次側ケーブル90の接続作業を円滑に行うことができるようになる。
【0061】
また、二次側導電部30も細長い形状であるため、3本の二次側ケーブル91の端末を二次側導電部30の長手方向で間隔をあけて並べて配置できるため、3本の二次側ケーブル91の端末同士の接触や、3本の二次側ケーブル91が絡まってしまうことを防止でき、これにより、配電設備への二次側ケーブル91の接続作業も円滑に行うことができる。
【0062】
そして、この一次側導電部20、二次側導電部30は、固定具4(一次側固定部21、二次側固定部31)により、電柱Pの軸線を中心とする周方向における固定位置が変更可能であるため、一次側ケーブル90、二次側ケーブル91の設置個所(接続箇所)に合わせて電柱P周りへの一次側導電部20、二次側導電部30の配置を決めることができ、これにより、一次側導電部20、二次側導電部30が配電設備に対する作業の妨げとなることを防止できる。
【0063】
さらに、一次側導電部20、二次側導電部30は、固定具4(一次側固定部21、二次側固定部31)により、電柱Pの軸線方向での固定位置も変更可能であるため、上方から見て一次側導電部20と二次側導電部30とが重なる位置関係であっても、該一次側導電部20と二次側導電部30とを電柱Pに固定できる。そのため、一次側導電部20と二次側導電部30の配置スペースを抑えることにより、作業スペースを広く確保することが可能となる。
【0064】
なお、本発明の工事用開閉器用のケーブル仮置き具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0065】
固定具4(一次側固定部21、二次側固定部31)自体の向きを変えることで一次側導電部20、二次側導電部30の向きを変えていたが、この構成に限定されない。
例えば、固定具4に対する一次側導電部20、二次側導電部30の取付位置を変更することによって、一次側導電部20、二次側導電部30の向きを変えれるようにしてもよい。
【0066】
固定具4として、一次側固定部21、二次側固定部31を備えていたが、一つの固定具4に一次側固定部21と二次側固定部31とを取り付けるように構成されていてもよい。
【0067】
一次側導電部20、二次側導電部30は、電柱Pの径方向外方に向かって延出した姿勢となるように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、一次側導電部20、二次側導電部30は、電柱Pの軸線方向に対して交差する方向であれば、電柱Pに対してねじれの位置関係となるように配置される構造であってもよい。
【0068】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、ケーブル仮置き具1は、一次側取付部2に一次側ケーブル90が取り付けられ、且つ二次側取付部3に二次側ケーブル91が取り付けられた状態であることを検知する取付確認手段を備えていてもよい。
【0069】
この場合、取付確認手段が一次側取付部2に一次側ケーブル90が取り付けられ、且つ二次側取付部3に二次側ケーブル91が取り付けられたことを検知した状態において、報知部6による報知を許容するように構成されていれば、工事用開閉器9を一次側取付部2、二次側取付部3に接続していないときに、報知部6による報知が行われることを防止できる。
【符号の説明】
【0070】
1…仮置き具、2…一次側取付部、3…二次側取付部、4…固定具、5…検知部、6…報知部、9…工事用開閉器、20…一次側導電部、21…一次側固定部、30…二次側導電部、31…二次側固定部、50…一次側接続子、51…二次側接続子、52…電源、53…抵抗値導出手段、54…判別手段、90…一次側ケーブル、91…二次側ケーブル、92…筐体、900…一次側接続部、910…二次側接続部、920…ハンドル、P…電柱、S…工事区間