(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ウエハ保持体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20221125BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20221125BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20221125BHJP
C23C 16/52 20060101ALI20221125BHJP
H05B 3/03 20060101ALI20221125BHJP
H05B 3/06 20060101ALI20221125BHJP
H05B 3/18 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/31 F
C23C16/458
C23C16/52
H05B3/03
H05B3/06 B
H05B3/18
(21)【出願番号】P 2021077679
(22)【出願日】2021-04-30
(62)【分割の表示】P 2018553702の分割
【原出願日】2017-10-17
【審査請求日】2021-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2016230806
(32)【優先日】2016-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【氏名又は名称】山野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116366
【氏名又は名称】二島 英明
(72)【発明者】
【氏名】木村 功一
(72)【発明者】
【氏名】三雲 晃
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-061040(JP,A)
【文献】特開2006-245610(JP,A)
【文献】特開2004-152865(JP,A)
【文献】特開2002-356382(JP,A)
【文献】特開2016-103345(JP,A)
【文献】特開平08-277173(JP,A)
【文献】特開2000-191380(JP,A)
【文献】国際公開第2009/113451(WO,A1)
【文献】特開2013-251354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/31
C23C 16/458
C23C 16/52
H05B 3/03
H05B 3/06
H05B 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物の載置面を上面に備えた載置台と、
一方の端部が前記載置台の下面側に気密に接合されている第1筒状部材と、
前記第1筒状部材の内側に配置され、かつ、一方の端部が前記載置台の下面側に気密に接合されている第2筒状部材と、を有し、
前記第1筒状部材の長さは前記第2筒状部材の長さよりも短
く、
前記第1筒状部材と前記第2筒状部材とは前記載置台の下面側において一体の連続した封止材を用いて接合されている、ウエハ保持体。
【請求項2】
前記載置台の下面側に環状の溝を有し、前記第1筒状部材および前記第2筒状部材のいずれか一方または両方が、前記溝に嵌め込まれている、請求項
1に記載のウエハ保持体。
【請求項3】
被処理物の載置面を上面に備えた載置台と、
一方の端部が前記載置台の下面側に気密に接合されている第1筒状部材と、
前記第1筒状部材の内側に配置され、かつ、一方の端部が前記載置台の下面側に気密に接合されている第2筒状部材と、を有し、
前記第1筒状部材の長さは前記第2筒状部材の長さよりも短く、
前記載置台の下面側に環状の溝を有し、前記第1筒状部材と前記第2筒状部材の両方が前記溝に嵌め込まれており、前記第1筒状部材の前記溝への挿入深さと前記第2筒状部材の前記溝への挿入深さが異なる
、ウエハ保持体。
【請求項4】
被処理物の載置面を上面に備えた載置台と、
一方の端部が前記載置台の下面側に気密に接合されている第1筒状部材と、
前記第1筒状部材の内側に配置され、かつ、一方の端部が前記載置台の下面側に気密に接合されている第2筒状部材と、を有し、
前記第1筒状部材の長さは前記第2筒状部材の長さよりも短く、
前記第1筒状部材は、内径が6mm以上30mm以下、肉厚が0.5mm以上5mm以下、長さが1mm以上30mm以下の円筒形状である
、ウエハ保持体。
【請求項5】
被処理物の載置面を上面に備えた載置台と、
一方の端部が前記載置台の下面側に気密に接合されている第1筒状部材と、
前記第1筒状部材の内側に配置され、かつ、一方の端部が前記載置台の下面側に気密に接合されている第2筒状部材と、を有し、
前記第1筒状部材の長さは前記第2筒状部材の長さよりも短く、
前記第2筒状部材は、外径が6mm以上30mm以下、肉厚が0.5mm以上5mm以下の円筒形状である
、ウエハ保持体。
【請求項6】
被処理物の載置面を上面に備えた載置台と、
一方の端部が前記載置台の下面側に気密に接合されている第1筒状部材と、
前記第1筒状部材の内側に配置され、かつ、一方の端部が前記載置台の下面側に気密に接合されている第2筒状部材と、を有し、
前記第1筒状部材の長さは前記第2筒状部材の長さよりも短く、
前記第1筒状部材の内径と前記第2筒状部材の外径が同じである
、ウエハ保持体。
【請求項7】
被処理物の載置面を上面に備えた載置台と、
一方の端部が前記載置台の下面側に気密に接合されている第1筒状部材と、
前記第1筒状部材の内側に配置され、かつ、一方の端部が前記載置台の下面側に気密に接合されている第2筒状部材と、を有し、
前記第1筒状部材の長さは前記第2筒状部材の長さよりも短く、
前記載置台は内部に抵抗発熱体を有し、
前記抵抗発熱体によって前記載置台の温度を室温と500℃との間で昇温と降温を10回繰り返した後に、
前記第2筒状部材と前記載置台の下面側との間の気密にリークが発生しない
、ウエハ保持体。
【請求項8】
前記第2筒状部材の内側は不活性ガス雰囲気である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のウエハ保持体。
【請求項9】
前記載置台に少なくとも一部が埋設されている電極を有し、前記電極は前記第2筒状部材の内側に収容されている、請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載のウエハ保持体。
【請求項10】
前記載置台に少なくとも一部が埋設されている温度センサーと、前記温度センサーから引き出された引出線とを有し、前記温度センサーと前記引出線とが前記第2筒状部材の内側に収容されている、請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載のウエハ保持体。
【請求項11】
前記載置台に少なくとも一部が埋設されている電極および前記載置台に少なくとも一部が埋設されている温度センサーと、前記温度センサーから引き出された引出線とを有し、前記電極と前記温度センサーと前記引出線とが前記第2筒状部材の内側に収容されている、請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載のウエハ保持体。
【請求項12】
前記載置台は内部に流路を有し、前記載置面は溝を有し、前記第2筒状部材の内側が前記流路又は前記溝に連通する流路として構成されている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のウエハ保持体。
【請求項13】
被処理物の載置面を上面に備えた載置台と、
一方の端部が前記載置台の下面側に気密に接合されている第1筒状部材と、
前記第1筒状部材の内側に配置され、かつ、一方の端部が前記載置台の下面側に気密に接合されている第2筒状部材と、を有し、
前記第1筒状部材の長さは前記第2筒状部材の長さよりも短く、
前記載置台は内部に流路を有し、前記載置面は溝を有し、前記第2筒状部材の内側が前記流路又は前記溝に連通する流路として構成されている
、ウエハ保持体。
【請求項14】
前記載置台は半導体ウエハ載置用のセラミックス製の円板形状を有し、その内部に抵抗発熱体が埋設されている、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のウエハ保持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウエハ保持体に関する。本出願は、2016年11月29日出願の日本出願2016-230806号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
LSIなどの半導体デバイスを製造する半導体製造装置では、被処理物である半導体ウエハに対してCVDやスパッタリングに代表される成膜処理やエッチング処理など、様々な薄膜処理が施される。これら薄膜処理は加熱状態の半導体ウエハに対して施すことが多く、そのため当該薄膜処理を行うチャンバー内には処理対象の半導体ウエハを載置してその下面から加熱するサセプタとも称されるウエハ加熱ヒータが一般的に搭載されている。
【0003】
上記ウエハ加熱ヒータは、例えば特許文献1に示されるように上面に平坦なウエハ載置面を備えたセラミックス製の円板状部材からなるウエハ載置台と、これを下面側から支持する円筒状の支持部材とから構成されており、該ウエハ載置台の内部に埋設された抵抗発熱体で半導体ウエハを加熱するようになっている。ウエハ載置台の内部には、更にプラズマを発生させる高周波(RF)電極や半導体ウエハをウエハ載置面に電気的に吸着固定させる静電チャック(ESC)電極が設けられることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
被処理物の載置面を上面に備えた載置台と載置台を下面側から支持する支持部材と、一方の端部が載置台の下面側に気密に接合されている第1筒状部材と、第1筒状部材の内側に配置され、かつ、一方の端部が載置台の下面側に気密に接合されている第2筒状部材と、を有するウエハ保持体。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本開示に係るウエハ保持体の一具体例としてのウエハ加熱ヒータの模式的な縦断面図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1のウエハ加熱ヒータが有する第1筒状部材及び第2筒状部材の気密接合部分の第1の形態を示す部分断面図である。
【
図2B】
図2Bは、
図1のウエハ加熱ヒータが有する第1筒状部材及び第2筒状部材の気密接合部分の第2の形態を示す部分断面図である。
【
図2C】
図2Cは、
図1のウエハ加熱ヒータが有する第1筒状部材及び第2筒状部材の気密接合部分の第3の形態を示す部分断面図である。
【
図2D】
図2Dは、
図1のウエハ加熱ヒータが有する第1筒状部材及び第2筒状部材の気密接合部分の第4の形態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上記したようにウエハ加熱ヒータのウエハ載置台は内部に抵抗発熱体等の電極を有しているため、これに給電する端子部がウエハ載置台の下面側に設けられている。また、ウエハ載置台には熱電対等の温度センサーが取り付けられることがあり、この場合もその端子部が下面側に設けられることになる。これら端子部は半導体ウエハの処理の際にウエハ載置台と共に600℃程度まで昇温するので、CVDやエッチング等に用いる反応性ガスとしてチャンバー内に導入されるハロゲンガス等の腐食性ガスから保護することが必要となる。
【0008】
そこで、抵抗発熱体等に設けられる電極の端子部やそれに接続される引出線を筒状部材の内側に収納すると共に、該筒状部材の両端部をそれぞれウエハ載置台の底面及びチャンバーの床面に気密シールすることが考えられる。しかし、ウエハ載置台は一般に昇温と降温が繰り返されるため、筒状部材とウエハ載置台との接合部分がこのヒートサイクルによって破損することがあった。更に、メンテナンスを行う際に筒状部材に横方向の外部応力がかかって上記接合部分が破損することがあった。
【0009】
また、ウエハ載置台には冷却のための冷媒の循環路を内部に設けたり、ウエハ載置面に載置した半導体ウエハを真空吸引するための溝をウエハ載置面に設けたりすることがあり、前者の場合は当該冷媒の供給・排出用流路を、後者の場合は当該溝に連通する流路をウエハ載置台の下面側に設けることが必要になる。これら流路もリークが生じないようにウエハ載置台に確実に気密シールする必要があるが、上記したヒートサイクル等の応力によって破損することがあった。本開示は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、被処理物の載置台とこれを支持する支持部材とからなるウエハ保持体において、該載置台に設けられた筒状部材にヒートサイクルなどの応力がかかっても破損しにくい構造を提供する。
【0010】
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。本開示のウエハ保持体は、被処理物の載置面を上面に備えた載置台と載置台を下面側から支持する支持部材と、一方の端部が載置台の下面側に気密に接合されている第1筒状部材と、第1筒状部材の内側に配置され、かつ、一方の端部が載置台の下面側に気密に接合されている第2筒状部材と、を有するウエハ保持体である。これにより載置台と第2筒状部材との接合部分の強度を向上させることができる。
【0011】
上記のウエハ保持体においては、載置台に少なくとも一部が埋設されている電極を有し、電極は第2筒状部材の内側に収容されていてもよい。
さらに、上記のウエハ保持体においては、載置台に少なくとも一部が埋設されている温度センサーと、温度センサーから引き出された引出線とを有し、温度センサーと引出線とが第2筒状部材の内側に収容されていてもよい。
さらに、上記のウエハ保持体においては、載置台に少なくとも一部が埋設されている電極と載置台に少なくとも一部が埋設されている温度センサーと、温度センサーから引き出された引出線とを有し、電極と温度センサーと引出線とが第2筒状部材の内側に収容されていてもよい。これにより、電極、温度センサーやその引出線を腐食性雰囲気から隔離することができる。あるいは、載置台は内部に流路を有し、載置面は溝を有し、第2筒状部材の内側が流路又は溝に連通する流路として構成されていてもよい。これにより、第2筒状部材の内側の流路と外側との間のリークを確実に防ぐことができる。
【0012】
また、上記のウエハ保持体においては、載置台は半導体ウエハ載置用のセラミックス製の円板形状を有し、載置台の内部に埋設された抵抗発熱体をさらに有してもよい。この場合は、ウエハ保持体を搭載する半導体製造装置の信頼性を向上させることができる。なお、「円板形状」とは、図形的に正確な円板を意図するものではなく、外観として円板と認識される構成であることが意図される。以降、同様の意味で「略円板状」と記載することもある。
【0013】
次に、本開示のウエハ保持体の一具体例として、
図1に示す半導体製造装置100に搭載されるウエハ加熱ヒータ2をとりあげて説明する。
図1に示す半導体製造装置100は、半導体ウエハ30に対してエッチング処理やCVD処理などの薄膜処理が行われるチャンバー1と、その内部に搭載されたウエハ加熱ヒータ2とから主に構成され、ウエハ加熱ヒータ2は、ウエハ載置面21aを上面に備えた好適にはセラミックスからなる略円板状のウエハ載置台21と、これを下面から支持する好適にはセラミックスからなる略円筒形状の支持部材22とを有している。上記のウエハ載置台21や支持部材22の好適な材質であるセラミックとしては、例えば窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム等を挙げることができる。
【0014】
ウエハ載置台21の内部には、所定の回路パターンを有する抵抗発熱体21bがウエハ載置面21aに対して平行に埋設されている。抵抗発熱体21bの形態には特に制約はない。例えばステンレス箔などの金属箔をパターニング加工したものやタングステン等の金属粉を含んだペーストをスクリーン印刷及び焼成して形成したものでもよいし、モリブデンコイルでもよい。ウエハ載置台21の内部には、更に熱電対21cが設けられている。熱電対21cの一部は支持部材22の内側でウエハ載置台21の下面側から突出している。なお、抵抗発熱体21bの両端部に接続する図示しない電極も支持部材22の内側でウエハ載置台21の下面側から同様に突出している。
【0015】
熱電対21cには引出線23の一端部が接続しており、引出線23は支持部材22の内側を下端まで延在し、チャンバー1の底面に設けられている貫通孔1aを通ってチャンバー1の外部に引き出されている。支持部材22の両端部は外側に屈曲したフランジ形状になっており、支持部材22の上端部では該フランジ形状の上端面とウエハ載置台21の下面とを焼結により接合してもよいし、該フランジ形状部分を貫通するネジ等の結合手段によってウエハ載置台21の下面に接合してもよい。一方、支持部材22の下端部では上記した上端部と同様にしてチャンバー1の底面に接合してもよいが、クランプ等の結合手段により取外し自在に結合することが好ましい。
【0016】
熱電対21c及びその引出線23を収容する好適にはセラミックで形成される外径6~30mm程度、肉厚0.5~5mm程度の第2筒状部材24が支持部材22の内側に設けられている。第2筒状部材24の上端部は、ウエハ載置台21の下面側に気密に接合されている。第2筒状部材24の下端部は貫通孔1aを通ってチャンバー1の下部から突出している。そして、第2筒状部材24のウエハ載置台21との接続部(第2筒状部材24の外側)に、好適にはセラミックで形成される内径6~30mm程度、肉厚0.5~5mm程度、長さ1~30mm程度の第1筒状部材25が配置されている。第1筒状部材25は第2筒状部材24よりも短く構成されている。第1筒状部材25の一方の端部である上端部は、ウエハ載置台21の下面側に気密に接合されている。つまり、ウエハ加熱ヒータ2は、第1筒状部材25の内側に配置され、かつ、一方の端部が載置台の下面側に気密に接合されている第2筒状部材24を備えている。
【0017】
かかる構成により、上記したヒートサイクル等により第2筒状部材24に対してその延在方向に垂直な方向の応力がかかっても、第2筒状部材24の上端部とウエハ載置台21の下面側との接合部に働く力を第2筒状部材24の上端部の接合部分と第1筒状部材25の上端部の接合部分とに分散させることができる。これにより、当該応力に対する強度を向上させることができるので、第2筒状部材24の内側において高い気密性を確保することができ、ウエハ加熱ヒータ2を搭載する半導体製造装置100の信頼性が向上する。
【0018】
第2筒状部材24の上端部及び第1筒状部材25の上端部は、
図2A~D(第1の形態~第4の形態)に示すように、ガラスなどの封止機能を有する封止材26によってウエハ載置台21の下面側に接合することが好ましい。封止材26による接合では、
図2A(第1の形態)に示すように、ウエハ載置台21の下面にそのまま第2筒状部材24及び第1筒状部材25の上端部を好適にはそろえた状態で接合してもよい。また、
図2B~Dに示すように、ウエハ載置台21の下面に環状の溝を設けてその内側に第2筒状部材24及び第1筒状部材25の少なくとも一方の上端部を嵌め込んでもよい。
【0019】
図2Aに示す構造は、ウエハ載置台21の下面に溝を形成しないので製作コストを抑えることができる。一方、より高い強度が求められる場合は
図2B(第2の形態)、
図2C(第3の形態)に示す構造が好ましい。なお、
図2Bに示す構造は、第2筒状部材24のみを溝に嵌め込む場合である。
図2Cに示す構造は、第1筒状部材25のみを溝に嵌め込む場合である。
図2D(第4の形態)に示す構造は、第2筒状部材24と第1筒状部材25の両方を溝に嵌め込む場合である。第2筒状部材24と第1筒状部材25の両方を溝に嵌め込む場合は、
図2Dに示すように溝内に第2筒状部材24を第1筒状部材25よりも深く挿入させる場合に限定するものではなく、その逆でもよいし両方の先端部を同じ深さで挿入してもよい。
【0020】
上記のウエハ保持体であるウエハ加熱ヒータ2では、第2筒状部材24の内側に熱電対21c及びその引出線23である電気線を収容する場合について説明した。なお、ウエハ載置台21に埋設されている抵抗発熱体21b、RF回路、ESC回路などに設けられる電極及びその給電線を第2筒状部材24の内側に収容してもよい。あるいは、ウエハ載置台21の内部やウエハ載置面21aに設けた冷媒の循環路や吸引チャック用の溝に連通する流路として第2筒状部材24の内側空間を使用してもよい。また、第1筒状部材25で接合部を補強した第2筒状部材24は、支持部材22の内側のみならず支持部材22の外側に設けてもよい。
【0021】
更に、支持部材22の両端部を気密にシールし、腐食性雰囲気になる支持部材22の外側から支持部材22の内側を隔離してもよい。この場合、支持部材22の内側を不活性ガス雰囲気にしてもよい。また、上記した第2筒状部材24の内側に電極等を収容する場合は、第2筒状部材24の内側を不活性ガス雰囲気にしてもよい。不活性ガスとしては、電極等の構成材料を劣化させるような反応を起こさないガスであれば特に制約はない。具体的には、He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rnのような希ガスや、N2ガスなどを使用することができる。これらの中では、コストなどの観点からN2やArが好ましい。
【実施例】
【0022】
窒化アルミニウム粉末99.5質量部に焼結助剤として酸化イットリウム0.5質量部を加え、更にバインダー、有機溶剤を加えて、ボールミル混合することにより、スラリーを作製した。得られたスラリーをスプレードライ法で噴霧することにより顆粒を作製し、これをプレス成形して2枚の同形状の成形体を作製した。これら成形体を窒素雰囲気中にて700℃の条件で脱脂した後、窒素雰囲気中において1850℃で焼結して、2枚の窒化アルミニウム焼結体を得た。得られた焼結体を、直径330mm、厚み8mmの円板状に加工した。このときの表面粗さはRaで0.8μm、平面度は50μmであった。
【0023】
これら2枚の窒化アルミニウム焼結体のうち、一方の焼結体の片面に抵抗発熱体を形成すべくW(タングステン)ペーストを線幅が全て4mmとなるようにスクリーン印刷により塗布してから窒素雰囲気中にて700℃で脱脂した後、窒素雰囲気中にて1830℃で焼成した。これにより略同心円状の回路パターンを有する抵抗発熱体を形成した。次に、もう一方の窒化アルミニウム焼結体の片面に接着用の窒化アルミニウムを主成分とする接着材料を塗布してから脱脂を行った。そして、これら2枚の窒化アルミニウム焼結体を抵抗発熱体を覆うように重ね合わせて接合させた。このようにして得た接合体に対してその片面に抵抗発熱体の両端部にそれぞれ達する2つの穴をザグリ加工し、各穴に抵抗発熱体の端部に当接するようにW(タングステン)製電極を嵌入した。
【0024】
図2Dに示すように、接合体の同じ片面に熱電対用の穴をザグリ加工し、熱電対21cを取り付けた。また、この熱電対用のザグリ穴を囲むように、後述する第2筒状部材24及び第1筒状部材25の上端部の嵌入用の環状の溝をザグリ加工した。なお、この環状の溝の穴の底部には段差を設けて第2筒状部材24の溝の深さが5mm、第1筒状部材25の溝の深さが3mmとなるようにした。
【0025】
このようにして作製したウエハ載置台21の上記W製電極及び熱電対21cを嵌入させた面に、両端部にフランジ部を有する内径60mm、高さ150mm、肉厚2mmのAlN製の円筒状の支持部材22の一端部をネジで接合した。なお、フランジ部とウエハ載置台の接合面との間はO-リングを用いて気密にシールした。そして、支持部材の内側でウエハ載置台21の下面から突出している電極に給電線を接続した。
【0026】
支持部材22の一端部が接合されたウエハ載置台21をCVD装置のチャンバー内に搭載し、支持部材22の他端部をチャンバーの底部にO-リングで気密シールした状態でクランプを用いて固定した。更に、
図1および
図2Dに示すように、熱電対21c及びその引出線23を収容する外径10mm、肉厚2mm、長さ175mmのセラミック製の第2筒状部材24の上端部を上記ウエハ載置台21の下面側の環状の溝に嵌入させた。更に第2筒状部材24の上部に外径14mm、肉厚2mm、長さ8mmのセラミック製の第1筒状部材25を配置し、その上端部をウエハ載置台21の下面側の環状の溝に嵌入させた。つまり、第2筒状部材24を第1筒状部材25の内側に配置した。
【0027】
この環状の溝内に封止用ガラスを入れ、第2筒状部材24及び第1筒状部材25の上端部とウエハ載置台21の下面側とを封止用ガラスを溶融させ気密に接合した。なお、第2筒状部材24の下側はチャンバーの底部に設けた貫通孔を通り、該貫通孔と第2筒状部材24の外周面との間はO-リングで気密にシールした。このようにして試料1のウエハ加熱ヒータ2を作製した。
【0028】
比較のため、第1筒状部材25を使用せずに第2筒状部材24のみを用いて熱電対21c及びその引出線23を収容した以外は上記試料1と同様にして試料2のウエハ加熱ヒータを製作した。試料1及び2のウエハ加熱ヒータ2の各々に対して、抵抗発熱体に給電したり該給電を停止したりすることでウエハ載置台21の温度を室温と500℃との間で昇降温させるヒートサイクルを10サイクル繰り返した。その結果、試料1では第2筒状部材24とウエハ載置台21の下面側との間で気密シールが確保されていたが、試料2では第2筒状部材24とウエハ載置台21の下面側との間にリークが発生した。
【0029】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0030】
1 チャンバー
1a 貫通孔
2 ウエハ加熱ヒータ
21 ウエハ載置台
21a ウエハ載置面
21b 抵抗発熱体
21c 熱電対
22 支持部材
23 引出線
24 第2筒状部材
25 第1筒状部材
26 封止材
30 半導体ウエハ
100 半導体製造装置