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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】画像収集システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20221125BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20221125BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20221125BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20221125BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G06T1/00 330A
G08G1/00 A
G08B25/00 510M
H04N7/18 J
G07C5/00 Z
G06T1/00 330B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018126748
(22)【出願日】2018-07-03
(65)【公開番号】P2020008930
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】落合 磯次
(72)【発明者】
【氏名】坂野 淳
【審査官】板垣 有紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-211888(JP,A)
【文献】特開2016-076142(JP,A)
【文献】特開2019-205078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G08G 1/00
G08B 25/00
H04N 7/18
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載装置と、前記車載装置を搭載した車両を管理する管理装置と、を備える画像収集システムであって、
前記管理装置は、
取得すべき画像の特徴を規定する条件を、対象エリアとともに入力するための入力部と、
前記条件および前記対象エリアを前記車載装置に送信する送信部と、を備え、
前記車載装置は、
前記管理装置から送信された前記条件および前記対象エリアを登録する登録部と、
車載カメラで撮影された画像データを収集する画像収集部と、
前記対象エリアで撮影されて収集された前記画像データが前記条件を満たすか否かを画像認識により判断する画像判断部と、
前記条件を満たすと判断された画像データを取得して保存する画像保存部と、
保存された前記画像データを、所定の提供先へ送信する画像送信部と、
を備え
前記条件は、場所の特徴を示す場所条件と、人物の特徴を示す人物条件と、を含み、
前記管理装置において、
前記送信部は、前記対象エリアで運行中の車両、または、前記対象エリアに向かう予定である車両に搭載された前記車載装置に対して、前記条件および前記対象エリアを送信し、
前記車載装置において、
前記画像判断部は、当該車載装置が搭載された車両が、前記対象エリアに到達した場合に、前記画像データが前記場所条件および前記人物条件を満たすか否かを判断することを特徴とする画像収集システム。
【請求項2】
前記管理装置の前記送信部は、前記所定の提供先を示す提供先情報を前記車載装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像収集システム。
【請求項3】
前記画像保存部は、前記画像判断部によって前記条件を満たさないと判断された画像データを削除することを特徴とする請求項1に記載の画像収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像収集システムおよび車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライブレコーダー等の車載装置では、車両に搭載されたカメラで撮影された画像データ(動画データ)が収集され、収集された画像データは車載装置内部のメモリやSDカード等の記録媒体に記録されている。車載装置を利用する運送会社等の事業者では、複数の車両の運行を管理する管理装置と、各車両に搭載された車載装置とを通信可能に接続した画像収集システムが用いられることがある。図5に、従来の画像収集システムの例を示す。図5の画像収集システムは、トラックTに搭載された車載装置と、無線基地局8と、ネットワーク60と、事業者の事務所に設置された管理装置150と、を備えて構成される。車載装置は、「常時記録」または「トリガ記録」により画像データを記録する。「常時記録」とは、車載装置が起動(記録開始)してから記録終了まで画像データを収集するモードである。また、「トリガ記録」とは、予め指定された場所に到達した場合、または、予め指定されたショック等の条件を満たした場合に、画像データを収集するモードである。図5に示す画像収集システムでは、車載装置によって常時記録又はトリガ記録により一定時間ごとに記録された画像データが、記録される都度、無線基地局8及びネットワーク60を介して管理装置150に送信される。
【0003】
画像データは、しばしば、公官庁や地方自治体等による捜査や捜索に用いられる場合がある。画像データを防犯用や監視用に用いるシステムとして、例えば、特許文献1では、関係者から入手登録した照合用データと、車外状況を撮影した車載カメラから得られた画像情報とを、生体認証的若しくは文字認証的に照合し、照合結果を関係者に通報するシステムが提案されている。また、特許文献2では、カメラで記録された車両周辺の画像ならびに画像記録時の位置及び時間を記録する記録装置を有し、事故・犯罪が発生した際にラジオ放送により画像提供要請を受信し、要請された画像と記録されている画像が一致した場合その旨を運転者に通知するシステムが提案されている。また、特許文献3では、運転者の顔画像を車載カメラで撮影し、運転者顔画像情報及び車両の位置情報をデータベースへ送信して、人物探索に活用するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-211888号公報
【文献】特開2011-180693号公報
【文献】特開2014-232421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像収集システムにおいて、公官庁や地方自治体等の依頼者からの捜査協力や捜索協力の依頼に応じて、車載装置が記録した画像データが提供される場合、依頼者は、常時記録またはトリガ記録された膨大な画像データを確認し、捜査対象または捜索対象となる人物が含まれる画像を特定する必要がある。膨大な画像データの中から必要な画像を特定するには、手間がかかる。また、車載装置において画像データを記録するためには、一定量の記録エリア、すなわち、メモリが必要となり、車載装置が高額となる場合がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車載カメラが収集した画像データを必要な分だけ即時に提供できる画像収集システム提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る画像収集システム、下記(1)~()を特徴としている。
(1) 車載装置と、前記車載装置を搭載した車両を管理する管理装置と、を備える画像収集システムであって、
前記管理装置は、
取得すべき画像の特徴を規定する条件を、対象エリアとともに入力するための入力部と、
前記条件および前記対象エリアを前記車載装置に送信する送信部と、を備え、
前記車載装置は、
前記管理装置から送信された前記条件および前記対象エリアを登録する登録部と、
車載カメラで撮影された画像データを収集する画像収集部と、
前記対象エリアで撮影されて収集された前記画像データが前記条件を満たすか否かを画像認識により判断する画像判断部と、
前記条件を満たすと判断された画像データを取得して保存する画像保存部と、
保存された前記画像データを、所定の提供先へ送信する画像送信部と、
を備え
前記条件は、場所の特徴を示す場所条件と、人物の特徴を示す人物条件と、を含み、
前記管理装置において、
前記送信部は、前記対象エリアで運行中の車両、または、前記対象エリアに向かう予定である車両に搭載された前記車載装置に対して、前記条件および前記対象エリアを送信し、
前記車載装置において、
前記画像判断部は、当該車載装置が搭載された車両が、前記対象エリアに到達した場合に、前記画像データが前記場所条件および前記人物条件を満たすか否かを判断することを特徴とする画像収集システム。
) 前記管理装置の前記送信部は、前記所定の提供先を示す提供先情報を前記車載装置に送信する
ことを特徴とする上記(1)の構成の画像収集システム。
) 前記画像保存部は、前記画像判断部によって前記条件を満たさないと判断された画像データを削除する
ことを特徴とする上記(1)の構成の画像収集システム
【0008】
上記(1)の構成の画像収集システムによれば、車載カメラで撮影された画像データのうち、捜査等の対象となる対象エリアで撮影され条件を満たした画像のみを所定の提供先へ送信するので、提供先が必要とする画像のみを即時に提供することができる。
例えば、公官庁や地方自治体から、「通達」、「速報」、「捜索願」等の情報が提供さ
れた場合、もしくは、「捜査協力」や「捜索協力」を依頼された場合に、管理者が管理装置にて捜査または捜索の対象者に関する情報を条件として入力することにより、車載装置では、車載カメラで撮影された画像データのうち、その条件を満たす画像データのみが取得され、所定の提供先へ送信される。このとき、車載装置において、捜査協力等の依頼者である公官庁等を所定の提供先として登録しておけば、捜査等の対象者が撮影されている可能性の高い画像データを依頼者に直接リアルタイムで送信できる。したがって、依頼者は、必要な画像を短時間で確認できる。
また、車載装置において、必要な画像のみを記録することから、車載装置の記録容量を最低限とすることができ、安価な車載装置で本画像収集システムを実現できる。
更に、上記()の構成の画像収集システムによれば、管理装置が管理する一または複数の車両のうち、対象エリアに到達した車両に搭載された車載装置にのみ、本件の画像収集を行わせることができる。よって、公官庁等から捜査等の依頼を受けた管理者が画像収集に関する条件(取得すべき画像の特徴を規定する条件)を入力した場合であっても、捜査等の対象となる対象エリアを通過しないであろう車両に搭載された車載装置は、通常通り、車載カメラで撮影した画像データの常時記録またはトリガ記録を行うことができる。
上記()の構成の画像収集システムによれば、画像データの提供先が予め車載装置に登録されていない場合であっても、車載装置は管理装置から提供先情報を取得できるので、依頼者に直接画像データを送信できる。
上記()の構成の画像収集システムによれば、条件を満たさない画像データを削除するため、記録容量(メモリ)を節約できる
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車載カメラで撮影された画像データのうち、依頼された対象となる対象エリアで撮影され条件を満たした画像のみを所定の提供先へ送信するので、提供先が必要とする画像のみを即時に提供することができる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態における画像収集システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、画像収集システムにおいて取得すべき画像に関する情報を、管理装置にて登録する処理の流れを示す図である。
図3図3は、車載装置による画像収集の流れを示す図である。
図4図4は、画像収集の具体例を示す図である。
図5図5は、従来の画像収集システムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。本実施形態の画像収集システムは、トラック運送会社、バス会社等の事業者の設備として導入される。
【0013】
図1は、本発明の実施形態における画像収集システム5の構成の一例を示す図である。画像収集システム5は、トラック、バス等の車両の運行状況を管理するシステムに搭載され、運行記録装置(以下、車載装置という)10と、ネットワーク60を介して車載装置10と接続され、車載装置10を搭載した車両を管理する管理装置50とを含んでいる。管理装置50は、事業者の本社や営業所に設置された事務所PCである。
【0014】
ネットワーク60は、インターネット等のネットワーク(パケット通信網)であり、広域通信を行う無線基地局8が接続されている。車載装置10は、アンテナ7と無線基地局8を介してネットワーク60と接続される。また、ネットワーク60には管理装置50が接続されており、ネットワーク60は車載装置10と管理装置50との間で行われるデータ通信を中継する。車載装置10と無線基地局8との間の通信は、LTE(Long Term Evolution)/4G((4th Generation)等のモバイル通信網(携帯回線網)で行われてもよいし、無線LAN(Local Area Network)で行われてもよい。
【0015】
車載装置10は、車両に搭載され、出入庫時刻、走行距離、走行時間、走行速度、速度オーバー、エンジン回転数オーバー、急発進、急加速、急減速等の運行データを記録するとともに、映像を撮像可能なカメラ機能を有するデジタルタコグラフである。車載装置10は、CPU11、揮発性メモリ26B、不揮発性メモリ26A、記録媒体18、音声部19、入力装置22及び表示部27を有する。
【0016】
CPU11は、車載装置10の各部を統括的に制御する。不揮発性メモリ26Aは、CPU11によって実行される動作プログラム等を格納する。揮発性メモリ26Bは、CPU11のアクセスにより、データの読み出しおよび書き込みが自在な半導体メモリデバイスである。揮発性メモリ26Bは、CPU11が扱う様々なデータを一時的に保持するために利用される。
【0017】
記録媒体18は、乗務員によって所持される、SDカード等である。CPU11は、カードI/F(図示せず)に接続された記録媒体18に対し運行データ等のデータを書き込む。通常は、車両が営業所に戻ると、乗務員が記録媒体18のデータを管理装置50で保存する。
【0018】
音声部19は、内蔵スピーカおよびブザーを有し、警報等の音声を発する。入力装置22は、数字や各種ファンクションを入力するための操作キーや各種ボタンを有する。表示部27は、LCD(liquid crystal display)等で構成され、通信や動作の状態の他、警報等を表示する。
【0019】
また、車載装置10は、速度I/F12A、エンジン回転I/F12B、外部入力I/F13、機器連動部14、アナログ入力I/F29、GPS受信部15、カメラI/F16、モニタ入力I/F28、外部出力I/F30及び広域通信部24を有する。
【0020】
速度I/F12Aには、車両の速度を検出する車速センサ(図示せず)からの速度パルスが入力される。エンジン回転I/F12Bには、エンジン回転数センサ(図示せず)からの回転パルスが入力される。外部入力I/F13には、外部機器(図示せず)が接続され、外部機器からの信号が入力される。機器連動部14には、オプションの車載機器や他の機器との連動を行うための信号が入力される。
【0021】
アナログ入力I/F29には、冷凍庫等の庫内温度を検知する温度センサ(図示せず)、燃料量を検知する燃料量センサ(図示せず)等の信号が入力される。CPU11は、これらのI/Fを介して入力される情報を基に、各種の運転状態を検出する。GPS受信部15は、GPSアンテナ15aに接続され、GPS衛星から送信される信号を受信し、時刻と現在位置(GPS位置情報)を取得する。
【0022】
カメラI/F16には、カメラ23が接続される。カメラ23は、車両に設置され、車両の周辺および車内の少なくとも一方を撮影して所定時間長(例えば、60秒)毎に動画データを生成する。なお、所定時間長とは、2分、4分等、固定時間であってもよく、また、車載装置10のユーザが任意に設定可能な時間であってよい。カメラ23は、例えば魚眼レンズを通して撮像される撮像面に、30万画素、100万画素、200万画素等の画素が配置されたイメージセンサを有する。イメージセンサは、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサで構成されてもよいし、CCD(電荷結合素子)センサで構成されてもよい。カメラ23で撮像された映像の動画データは、揮発性メモリ26Bや記録媒体18に時系列に記録される。
【0023】
また、カメラ23は、車両の前方の他、車両の後方、左側方、右側方を撮像可能なように、複数設けられたものでもよいし、各方向を撮像する複数のイメージセンサが1つの筐体に収容されたものでもよい。したがって、カメラ23は、車両前方の映像の他、左右方向の映像、後方の映像も同時に撮像可能である。また、カメラ23は、車室内を撮像可能である。なお、カメラ23は、任意の角度方向(例えば45°方向)の映像を撮像可能であってもよく、可視光を撮像する以外に、夜間でも撮像可能なように、赤外線カメラを備えてもよい。
【0024】
モニタ入力I/F28は、室内モニタ、バックモニタ等からの入力信号を受け付ける。外部出力I/F30は、外部機器(図示せず)が接続され、外部機器へ信号を出力する。広域通信部24は、アンテナ7及び携帯回線網(モバイル通信網)を介して無線基地局8に接続されると、無線基地局8と繋がるインターネット等のネットワーク60を介して、管理装置50と広域通信を行う。
【0025】
一方、管理装置50は、汎用のコンピュータ装置で構成され、車両の運行状況を管理する。管理装置50は、CPU31、通信部32、表示部33、記憶部34、操作部36、車両データベース(DB)45を有する。
【0026】
CPU31は、管理装置50の各部を統括的に制御する。通信部32は、ネットワーク60を介して車載装置10と通信可能である。また、通信部32は、ネットワーク60に接続された他の車載装置とも接続可能であり、必要なデータを送受信可能である。通信部32は、車載装置10が取得すべき画像の特徴を規定する条件および対象エリアを車載装置10に送信する送信部として機能する。
【0027】
表示部33は、運行管理画面の他、情報入力画面等を表示する。記憶部34は、車両の位置情報を地図上に表示するためのシステム解析ソフトウェア等、各種プログラムを格納する。また、記憶部34は、車載装置10に画像収集を行わせるために必要なプログラムやデータを格納し、車載装置10から送信された画像データを格納する。
【0028】
操作部36は、キーボードやマウス等を有し、管理装置50の管理者の操作を受け付ける。操作部36は、車載装置10が取得すべき画像の特徴を規定する条件を、対象エリアとともに入力するための入力部として機能する。車両データベース(DB)45は、車載装置10を搭載した各車両を管理するためのデータベースである。管理項目として、走行速度、距離、エンジン回転速度、およびGPSデータ(車両の現在位置)が含まれている。
【0029】
上記構成を有する画像収集システム5の動作を示す。画像収集システム5を導入した事業者が、公官庁や地方自治体から捜査協力や捜索協力を依頼された場合に、車載装置10にて、捜査や捜索の対象となる人物を含む画像データを収集する例を想定する。
【0030】
図2は、画像収集システム5において取得すべき画像に関する情報を、管理装置50にて登録する処理の流れを示す図である。図4は、画像収集の具体例を示す図である。図4に示すように、画像収集システム5を導入した事業者に対して、公官庁や地方自治体等の依頼者70から、「通達」、「速報」、「捜索願」等の情報が提供され、「捜査協力」や「捜索協力」を依頼された場合、事業者の管理者Mは、図2に示す流れに沿って情報入力を行う。
【0031】
管理者Mは、依頼者70から画像収集に関する情報を入手する。CPU31は、管理装置50の操作部36が操作されることによって、情報入力を開始する(S1)。図4に示すように、管理者Mは、依頼者70より「情報」を入手した場合、情報登録内容である、「情報種類」、「情報範囲」及び「画像の提供先」を入力する。「情報種類」は、捜査や捜索の対象となる人物の種類であり、「犯罪者」、「行方不明者」、「迷子」等である。「情報範囲」は、捜索や捜査の対象となる範囲(場所)であり、「地区」、「繁華街、ビル」、「人のいないところ」、「河川」等である。「画像の提供先」は、収集した画像を提供する先の「アドレス」、「担当者」等である。管理者Mは、ステップS1において、依頼者70側の「アドレス」及び「担当者名」等を入力する。尚、「画像の提供先」が前回の画像収集で指定された提供先(アドレス)と同じ場合は、入力を省略してよい。
【0032】
次に、管理装置50のCPU31は、「情報種類」が、「犯罪者」、「迷子」及び「行方不明者」のいずれに該当するかを判断する(S2)。CPU31は、「情報」のレベルによって、「範囲」の入力方法を層別する。ステップS2で「情報種類」が「犯罪者」であった場合、CPU31は、ステップS3に進む。管理者Mは、「情報範囲」の入力に際して、まず、「情報範囲_1」として、「情報範囲」が「地区」であるか「住所・道路」であるかを入力し、CPU31はいずれが入力されたかを判断する(S3)。ステップS3において、管理者Mは、依頼者70より入手した「情報」から「位置情報」を選択する。「位置情報」の内容によって、「情報範囲_1」を入力するための具体的なエリア指定方法が層別される。「情報範囲_1」として「地区」を入力する場合、管理者Mは、管理装置50の表示部33に表示された地図上で、マウス等の操作部36を操作することにより、捜査や捜索の対象となる地区を含む円形の範囲を指定する(S4)。ステップS3において、「情報範囲_1」として「住所・道路」を入力する場合、管理者Mは、表示部33に表示された地図上で、操作部36により四か所のポイントを指定し、各ポイントを接続した四角形の範囲を指定する(S5)。尚、範囲の指定は、円形や四角形に限定されず、例えば楕円形や三角形等の多角形であってもよい。
【0033】
ステップS4又はステップS5で範囲が指定された後、CPU31は、「情報範囲_2」として、対象となる範囲(場所)の要因(特徴)が管理者Mによって入力されたか否かを判断する(S6)。ステップS6において、管理者Mは、依頼者70より入手した「情報」から、「場所」に関する要因を選択する。CPU31は、「場所」の要因の内容によって、必要な認識方法を層別する。ステップS6において、「場所」の要因が有る場合、CPU31は、内容に応じて場所に関する認識要因(場所の特徴を示す場所条件)を管理者Mに入力させる(S7)。具体的には、CPU31は、(1)ビルの有無として、「大きな建物」が入力されたことを認識する、(2)人の多さとして、「繁華街」が入力されたことを認識する(捜査等の対象者が隠れている可能性がある)、及び(3)その他の要因として、「河川」が入力されたことを認識する(対象者が隠れている可能性がある。要因の入力は、and及びorのいずれかを選択できるようにしてもよい。ステップS7で要因が入力された後、CPU31は、ステップS8に進む。また、ステップS6において、「場所」の要因がない場合、CPU31はステップS8に進む。
【0034】
ステップS8において、CPU31は、管理者Mによって入力された情報に、対象となる人物の要因(特徴)があるかを判断する。ステップS8において、CPU31は、管理者Mによって入力された情報から人物に関する「画像認識」の要因を選択する。CPU31は、この要因の内容によって、必要な認識方法を層別する。ステップS8において人物の要因が有る場合、CPU31は、内容に応じて、人物に関する認識要因(人物の特徴を示す人物条件)を管理者Mに入力させる(S9)。具体的には、CPU31は、(1)身体的特徴として、「背が高い」、「性別」、(2)服装の特徴として、「色」、「形」、(3)その他の特徴として、「髪型」、「体型」、「障害」、等が入力されたことを認識する。ステップS9で要因が入力された後、CPU31は、ステップS10に進む。また、ステップS8において、「特徴」が不明な場合、ステップS10に進む。このようにして、CPU31は、車載装置10に画像収集を行わせる際に必要な、取得すべき画像の特徴を規定する条件を認識する。
【0035】
ステップS10において、CPU31は、車両データベース45を参照して、対象車両を検索する。対象車両は、捜査や捜索の対象となる対象エリア、すなわち、「情報範囲_1」で指定したエリアで運行中の車両、または、対象エリアに向かう予定である車両である。ステップS10の検索処理の後、CPU31はステップS23に進む。
【0036】
一方、ステップS2において、「情報種類」が「迷子」であると判断された場合、CPU31はステップS11に進む。ステップS11では、管理者Mは、表示部33に表示された地図上で、操作部36により四か所のポイントを指定して四角形の範囲を指定することにより、「情報範囲_1」として「住所・道路」を入力する。CPU31は、「情報範囲_2」として「場所」に関する要因の有無を判断し(S12)、ありの場合はステップS13に進み、なしの場合はステップS14に進む。ステップS13において、CPU31は、「情報範囲_2」として、「場所」の要因(場所条件)を管理者Mに入力させる。具体的には、CPU31は、(1)人の少なさとして、「一人でいること」、(2)その他として、「河川」、「橋」(転落の可能性がある)、が入力されたことを認識する。ステップS13で要因が入力された後、CPU31はステップS14に進む。CPU31は、ステップS14において、対象となる人物の要因(特徴)があるか判断し、ありの場合はステップS15に進み、なしの場合はステップS10に進む。ステップS15では、CPU31は、人物に関する認識要因を管理者Mに入力させる。具体的には、CPU31は、は、(1)身体的特徴として、「背が低い」、「性別」、(2)服装の特徴として、「色」、「形」、(3)その他の特徴として、「髪型」、「体型」、等が入力されたことを認識する。ステップS15で要因が入力された後、CPU31はステップS10に進む。また、ステップS14において、「特徴」が不明な場合、CPU31はステップS10に進む。
【0037】
また、ステップS2で、「情報種類」が「行方不明者」であると判断された場合、CPU31はステップS16に進む。ステップS16において、「情報範囲_1」の入力に際し、CPU31は、「情報範囲」が「地区」であるか「住所・道路」であるかを判断し、「地区」である場合、CPU31は管理者Mに対象となる地区を含む円形の範囲を地図上で指定させ(S17)、「住所・道路」である場合は対象となる住所・道路を含む四角形の範囲を地図上で指定させる(S19)。次に、CPU31は、は、「情報範囲_2」として「場所」に関する要因が入力されたか否かを判断し(S18)、入力ありの場合はステップS20に進み、なしの場合はステップS21に進む。ステップS20において、CPU31は、管理者Mに、「情報範囲_2」として、「場所」の要因(場所条件)を入力させる。具体的には、管理者Mは、(1)人の少なさとして、「一人でいる」、(2)その他として、「河川」、「橋」(転落の可能性がある)、が入力されたことを認識する。ステップS20で要因が入力された後、CPU31はステップS21に進む。CPU31は、ステップS21において、対象となる人物の要因(特徴)があるか判断し、ありの場合はステップS22に進み、「特徴」が不明な場合はステップS10に進む。ステップS22では、CPU31は、管理者Mに人物に関する認識要因を入力させる。具体的には、管理者Mは、(1)身体的特徴として、「背が高い」、「性別」、(2)服装の特徴として、「色」、「形」、(3)その他の特徴として、「髪型」、「体型」、「障害」、等を入力させる。ステップS22で要因が入力された後、CPU31はステップS10に進む。
【0038】
ステップS10において対象車両が検索された結果、CPU31は、該当車両があるか否かを判断する(S23)。CPU31は、対象車両が存在する場合はステップS24に進み、存在しない場合は処理を終了する。ステップS24において、CPU31は、対象車両Tに搭載された車載装置10から、車両Tの現在位置及び走行速度等の情報を含む最新車両データを取得する。次に、ステップS25において、CPU31は、車両Tへの情報登録及び連絡を行う。通信部32は、CPU31の指示により、「情報範囲_1」で指定したエリア(指定位置、対象エリア)並びに「場所」及び「人物」に関する画像判断の要因(取得すべき画像の特徴を規定する条件)を車載装置10に送信する。また、画像の提供先である依頼者70の「アドレス」及び「担当者名」等の情報も、同様に車載装置10に送信される。ステップS25の処理の後、CPU31は、画像提供先である依頼者70へ、該当車両が存在する旨を連絡して(S26)、処理を終了する。
【0039】
図3は、車載装置10による画像収集の流れを示す図である。運行中の車両Tに搭載された車載装置10は、管理装置50からの要求に応じて、自車両Tの現在位置及び走行速度等の情報を含む最新車両データを管理装置50に送信する(図2のステップS24参照)。そして、車載装置10は、管理装置50から、指定位置及び画像判断の要因を含む情報を受信するまで待機する(S32)。「情報」には、対象エリア及び取得すべき画像の特徴を規定する条件(場所の特徴を示す場所条件及び人物の特徴を示す人物条件)、並びに、「画像の提供先」が含まれる。広域通信部24によって管理装置50から「情報」を受信すると(S32)、車載装置10のCPU11は、受信した「情報」を揮発性メモリ26Bに記録し、登録する(S33)。ステップS33において、CPU11は、情報が登録され記録モードが変更された旨を音声部19に出力させる。これにより、車両Tの運転者は、車載装置10の記録モードが変更されたことを把握でき、通常と異なるタイミングで画像データの記録が行われる場合であっても、車載装置10の故障でないことを認識できる。ステップS33において、図4に示す例では、「情報種類」として「行方不明者」、「情報範囲_1(対象エリア)」として「地区(XX市)」、「情報範囲_2(場所条件)」として「ビル有、繁華街(人が多い)」、「特徴(人物条件)」として「男性、太っている」という「情報」が登録される。
【0040】
その後、CPU11は、カメラ23で撮影された画像データを収集する(S34)。収集された画像データは、揮発性メモリ26Bに一時的に記録される。車両Tが指定位置に到達した場合(S35)、CPU11は、指定位置で撮影されて収集された画像データに対して画像認識を行い、当該画像データが画像判断の要因(取得すべき画像の特徴を規定する条件)を満たすか否か判断する(S36)。条件を満たす画像データが存在する場合(S37)、CPU11は、条件を満たすと判断された画像データを取得して、揮発性メモリ26Bに保存する(S38)。そしてCPU11の指示により、広域通信部24は、保存された画像データを、提供先である依頼者70のアドレスへ送信する(S40)。一方、条件を満たすと判断された画像データが存在しない場合(S37)、CPU11は当該画像データを削除して(S39)、ステップS34に戻り画像データの収集を続ける。条件を満たさない画像データを削除することにより、記録容量(メモリ)を節約できる。図4に示す例では、GPS衛星9からの受信信号により車両TがXX市に到達したと判断された場合、CPU11は、到達した時点で撮影された画像データに対して画像認識を行う。「ビル有、繁華街(人が多い)」及び「男性、太っている」という条件が満たされた場合、CPU11は当該画像データを揮発性メモリ26Bに保存する。そして、保存された、条件に該当する画像データが依頼者70にリアルタイムで送信される。したがって、依頼者70は、必要とする画像データのみを受信できるため、短時間で画像を確認でき、捜査や捜索に役立てることができる。
【0041】
以上のように、本発明に係る画像収集システム及び車載装置の実施形態によれば、車載カメラで撮影された画像データのうち、捜査等の対象となる対象エリアで撮影され条件を満たした画像のみを所定の提供先へ送信するので、提供先が必要とする画像のみをリアルタイムに提供することができる。
【0042】
尚、本実施形態では、画像収集に関する情報が依頼者70から提供された場合について説明したが、公共情報、有料サービス、及び画像収集システムを導入している事業者の自社情報、等により提供されてもよい。この場合、収集した画像データは、管理装置50が指定した提供先に送信してもよいし、管理装置50に保存してもよい。
【0043】
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で種々の変形や改良等を伴うことができる。
【0044】
ここで、上述した本発明に係る画像収集システム及び車載装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車載装置(10)と、前記車載装置を搭載した車両を管理する管理装置(50)と、を備える画像収集システム(5)であって、
前記管理装置(50)は、
取得すべき画像の特徴を規定する条件を、対象エリアとともに入力するための入力部(操作部36)と、
前記条件および前記対象エリアを前記車載装置に送信する送信部(通信部32)と、を備え、
前記車載装置は、
前記管理装置から送信された前記条件および前記対象エリアを登録する登録部(CPU11)と、
車載カメラで撮影された画像データを収集する画像収集部(CPU11)と、
前記対象エリアで撮影されて収集された前記画像データが前記条件を満たすか否かを画像認識により判断する画像判断部(CPU11)と、
前記条件を満たすと判断された画像データを取得して保存する画像保存部(CPU11、揮発性メモリ26B)と、
保存された前記画像データを、所定の提供先へ送信する画像送信部(広域通信部24)と、
を備えることを特徴とする画像収集システム。
[2] 前記条件は、場所の特徴を示す場所条件と、人物の特徴を示す人物条件と、を含み、
前記管理装置において、
前記送信部は、前記対象エリアで運行中の車両、または、前記対象エリアに向かう予定である車両に搭載された前記車載装置に対して、前記条件および前記対象エリアを送信し(S25)、
前記車載装置において、
前記画像判断部は、当該車載装置が搭載された車両が、前記対象エリアに到達した場合に(S35でYES)、前記画像データが前記場所条件および前記人物条件を満たすか否かを判断する(S36、S37)
ことを特徴とする上記[1]の構成の画像収集システム。
[3] 前記管理装置の前記送信部は、前記所定の提供先を示す提供先情報を前記車載装置に送信する(S25)
ことを特徴とする上記[1]の構成の画像収集システム。
[4] 前記画像保存部は、前記画像判断部によって前記条件を満たさないと判断された画像データを削除する(S39)
ことを特徴とする上記[1]の構成の画像収集システム。
[5] 車両に搭載され、外部の管理装置と通信可能な車載装置(10)であって、
前記管理装置から送信された、対象エリアおよび取得すべき画像の特徴を規定する条件を登録する登録部(CPU11)と、
車載カメラで撮影された画像データを収集する画像収集部(CPU11)と、
前記対象エリアで撮影されて収集された前記画像データが前記条件を満たすか否かを画像認識により判断する画像判断部(CPU11)と、
前記条件を満たすと判断された画像データを取得して保存する画像保存部(CPU11、揮発性メモリ26B)と、
保存された前記画像データを、所定の提供先へ送信する画像送信部(広域通信部24)と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【符号の説明】
【0045】
5 画像収集システム
8 無線基地局
9 衛星
10 車載装置
11 CPU
12A 速度I/F
12B エンジン回転I/F
13 外部入力I/F
14 機器連動部
15 GPS受信部
15a アンテナ
16 カメラI/F
18 記録媒体
19 音声部
22 入力装置
23 カメラ
24 広域通信部
26A 不揮発性メモリ
26B 揮発性メモリ
27 表示部
28 モニタ入力I/F
29 アナログ入力I/F
30 外部出力I/F
31 CPU
32 通信部
33 表示部
34 記憶部
36 操作部
45 車両データベース(DB)
50 管理装置
60 ネットワーク
70 依頼者
M 管理者
T 車両
図1
図2
図3
図4
図5