IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-照明装置 図1
  • 特許-照明装置 図2
  • 特許-照明装置 図3
  • 特許-照明装置 図4
  • 特許-照明装置 図5
  • 特許-照明装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20221125BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20221125BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221125BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20221125BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20221125BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20221125BHJP
【FI】
F21S2/00 230
F21V8/00 360
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:15
F21Y115:20
F21Y115:30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018160298
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2020035602
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】阿南 真一
(72)【発明者】
【氏名】村上 忠史
(72)【発明者】
【氏名】ベ ヒョジェ
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-243552(JP,A)
【文献】特開2011-061411(JP,A)
【文献】特開2015-173057(JP,A)
【文献】特開2009-152152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 8/00
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/20
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に光取り出し領域を有し、少なくとも一方の端面が光入射面とされる棒状の導光体と、
前記導光体の前記光入射面に向けて光を照射する光源と、
前記導光体の撓みを許容した状態で、前記導光体の両端部の位置が固定されるように、前記導光体を支持する支持部と、
前記導光体が撓んだ際に、当該導光体の撓みを、前記導光体からの光の出射方向に案内する壁状のガイド部と、を備え
前記ガイド部の少なくとも一部は、前記導光体が撓む前から当該導光体に接触してい
照明装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記導光体に対して当該導光体の軸方向に沿った圧縮力を付与した状態で、前記導光体を支持している
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記導光体の前記光入射面と前記光源との間に配置され、前記導光体に対して前記圧縮力を付与する光源保護部材を有する
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記導光体の光取り出し領域に対して重なるように配置された反射部材と、
前記導光体が撓んだ際に、前記光取り出し領域に対する前記反射部材の接触を維持する維持部とを有する
請求項1~3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記維持部は、前記導光体が撓んだ際に、前記反射部材に沿って前記光取り出し領域がスライドするように、当該導光体を支持している
請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記導光体は、前記光取り出し領域を有する直線状の第一部位と、前記第一部位の一端部から連続し、先端面が前記光入射面をなす第二部位とを備え、
前記第二部位の少なくとも一部は曲がっている
請求項1~5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記導光体は、当該導光体の軸方向での断面視における外形が略円形状であり、
当該導光体が撓んだ状態での曲率半径は、前記導光体の前記断面視での直径の5倍以上である
請求項1~6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記導光体の一対の端面のそれぞれは前記光入射面であり、
前記光源は、一対の前記光入射面のそれぞれに対応するように複数設けられている
請求項1~7のいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状の導光体を備える照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源が発した光を棒状の導光体の端部から入射して、導光体の外周面から放出する照明装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-199752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、長尺状の導光体の長手方向の両端部の各々に光源を配置して導光体の長手方向の両端部から導光体に光を入射させた場合、熱又は水分等によって導光体が膨張又は収縮して光源から出射する光の導光体への入光効率が低下するという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、長尺状の導光体の少なくとも一端部に光源を配置した場合であっても、光源から導光体に入射する光の入光効率が低下することを抑制することができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る照明装置は、外周面に光取り出し領域を有し、少なくとも一方の端面が光入射面とされる棒状の導光体と、導光体の光入射面に向けて光を照射する光源と、導光体の撓みを許容した状態で、導光体の両端部の位置が固定されるように、導光体を支持する支持部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導光体が膨張又は収縮をしたとしても、光源と導光体の端部との位置関係を維持可能な照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る照明装置の斜視図である。
図2図2は、実施の形態に係る照明装置の断面図である。
図3図3は、実施の形態に係る照明装置の断面図である。
図4図4は、変形例1に係る照明装置の断面図である。
図5図5は、変形例2に係る照明装置の断面図である。
図6図6は、変形例3に係る照明装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る照明装置について説明する。
【0012】
[構成]
まず、本発明の実施の形態に係る照明装置の構成について説明する。図1は、実施の形態に係る照明装置10の斜視図である。図2は、実施の形態に係る照明装置10の断面図である。図3は、実施の形態に係る照明装置10の断面図である。具体的には、図2は、図3におけるII-II切断線を含む切断面を見た断面図であり、図3は、図2におけるIII-III切断線を含む切断面を見た断面図である。本実施の形態では、照明装置10は、建物の天井に設置され、照明装置10の下方に向けて照明光が出射される場合を例示する。なお、照明装置10の設置姿勢によっては、照明光の出射方向は下方とならないため、以降の説明で出現する「上下方向」、「左右方向」はあくまで一例である。
【0013】
図1図3に示すように、照明装置10は、筐体20と、一対の光源30と導光体40と、反射部材50とを備えている。なお、図1では、筐体20を破線で図示している。
【0014】
筐体20は、一対の光源30と、導光体40と、反射部材50とを収容している。筐体20は、これら以外にも、外部の電源に電気的に接続された電源部(図示省略)を収容している。電源部は、一対の光源30に対して電気的に接続されており、各光源30に対して電力を供給する。具体的には、電源部は制御部を備えており、当該制御部が各光源30に対する電力供給を制御することで、各光源30の点灯及び消灯を制御する。制御部は、さらに各光源30の調光調色制御も行うことが可能である。
【0015】
筐体20は、長尺な箱状に形成されており、その一部が透光性を有している。具体的には、筐体20は、導光体40の外周面に対向する部分が透光性を有している。導光体40の外周面から放出された光は、筐体20における透光性を有した部分を透過して、筐体20の外方へと放出される。本実施の形態では、筐体20における透光性を有した部分が開口である場合を例示するが、当該部分は透光性を有した部材で形成されていてもよい。透光性を有した部材としては、例えば透明部材、光拡散部材、レンズ部材などが挙げられる。
【0016】
図2及び図3に示すように、筐体20は、下方が開放された矩形箱状に形成されている。筐体20内には、上から順に反射部材50、導光体40が配置されている。図2に示すように、導光体40は、筐体20の一対の長側壁21によって直接的に挟まれた状態となっている。
【0017】
また、図3に示すように、筐体20の一対の短側壁22には、それぞれ光源30が固定されている。一対の光源30は、それぞれ導光体40の各端面に対して対向するように配置されている。
【0018】
筐体20は、温度または吸湿による膨張を起因とした導光体40の撓みを許容した状態で、導光体40の両端部の位置が固定されるように導光体40を支持する支持部である。具体的には、筐体20は、導光体40を長手方向で挟む一対の光源保護部材25を有している。各光源保護部材25は、導光体40と光源30との間に介在することで、光源30を保護する部材である。一対の光源保護部材25のそれぞれは、筐体20内において、各光源30に対して所定の間隔をあけた位置に固定されている。一対の光源保護部材25のそれぞれには、導光体40の各光入射面41が当接している。つまり、一対の光源保護部材25は、導光体40を長手方向で挟持している。各光源保護部材25は、導光体40が温度または吸湿による膨張を起因として膨張したとしても、当該光源保護部材25が変形しない程度の剛性を有している。このため、光源保護部材25は、導光体40が光源30に接触したり、光源保護部材25自体が光源30に接触することを防止している。このように、光源保護部材25は光源30を保護している。また、導光体40は、一対の光源保護部材25によって挟持されているために、当該導光体40の両端部の位置は、筐体20内で固定された状態となる。
【0019】
一対の光源保護部材25は、温度または吸湿による膨張以前の導光体40に対して、当該導光体40の軸方向における所定の圧縮力を付与した状態で、導光体40を挟持している。所定の圧縮力とは、温度または吸湿による膨張以前の導光体40をわずかに圧縮変形させる程度の圧縮力であればよい。このように予め導光体40が圧縮変形されているので、導光体40が熱膨張した際に当該導光体40をスムーズに撓ませることができる。撓み時においては、導光体40の撓みは、筐体20の一対の長側壁21によって下方に案内される。前述したように、筐体20は、下方が開放されているために、導光体40が撓んで下方に変位したとしても、当該撓みが規制されない。つまり、筐体20は、導光体40の撓みを許容した状態で当該導光体40を収容している。
【0020】
また、各光源保護部材25には、光源30の光軸方向に沿う貫通孔26が形成されている。これにより、各光源30からの光は、各光源保護部材25の貫通孔26を介して、導光体40の各端面に入射することになる。以降、導光体40の各端面を光入射面41と称す。
【0021】
光源30は、基板と、発光素子とを備えている。基板は矩形状の基板であり、導光体40の各光入射面41に対向するように配置されている。基板における導光体40の光入射面41に対向する主面に発光素子が実装されている。
【0022】
発光素子は、いわゆるSMD(Surface Mount Device)型のLED素子である。SMD型のLED素子とは、具体的には、樹脂成型されたキャビティの中にLEDチップが実装され、キャビティ内に蛍光体含有樹脂が封入されたパッケージ型のLED素子である。なお、光源30は、このような構成に限定されるものではなく、基板上にLEDチップが直接的に実装されたCOB(Chip On Board)型の光源が用いられてもよい。また、光源30が有する発光素子は、LED素子に限定されるものではなく、例えば、半導体レーザ等の半導体発光素子、または、有機EL(Electro Luminescence)や無機ELなどのEL素子等その他の固体発光素子であってもよい。
【0023】
反射部材50は、導光体40の光取り出し領域44(後述)から漏れ出た光に対して反射性を有するシート状の光学部材である。具体的には、反射部材50は、例えばアルミニウム(Al)などの光反射性を有する金属材料で形成されている。反射部材50は、導光体40の光取り出し領域44に対して重なるように配置されている。反射部材50は、導光体40の光取り出し領域44から漏れ出た光を反射して、再度、導光体40内に入射させる。
【0024】
次に、導光体40について詳細に説明する。図2及び図3に示すように、導光体40は、軸方向視の外形が概ね均一な棒状の導光体である。具体的には、導光体40は、略円柱状の長尺で中密な導光体である。導光体40は、ポリカーボネートや、アクリル樹脂などの透光性の樹脂から形成されているが、その他の透光性を有する材料から形成されていてもよい。
【0025】
ここで、「略円柱状」とは、軸方向視の外形が円形を基準としたものとする。つまり、一見して円形が基準となっていることが認識できる形状であればよい。略円柱状には、軸方向視の外形が円形であるものだけでなく、円形の一部が切り欠かれた形状、円形の一部が突出した形状、または円形の外周縁に微小な凹凸が形成された形状が含まれるものとする。これらの形状は組み合わされていてもよい。また、円形には、楕円形、長円形を含めてもよい。本実施の形態では、導光体40は、軸方向視において、円形の一部が切り欠かれた形状である場合を例示する。
【0026】
導光体40は、軸方向視において一部が切り欠かれた平面部42と、円弧状の曲面部43とを有している。曲面部43は、全体として滑らかな曲面である。導光体40は、筐体20内において、平面部42が上方を向き、曲面部43が下方を向く姿勢で配置されている。
【0027】
導光体40の平面部42には、導光体40内を進行する光を反射して曲面部43から外部に取り出すための光取り出し領域44が設けられている。このため、光取り出し領域44も平坦状である。図2では、平面部42の一部に対して光取り出し領域44が形成されている場合を図示しているが、平面部42の全体に対して光取り出し領域44が形成されていてもよい。光取り出し領域44には、反射部材50が接触するように重ねられている。導光体40の平面部42と反射部材50との間には、導光体40と反射部材50とを接合する接着部60が設けられている。接着部60は、接着剤により形成されており、導光体40に対して光学的な影響が小さい箇所に配置されている。導光体40と反射部材50とが接着部60によって接合されているので、導光体40が撓んだとしても、導光体40と反射部材50との接触が維持される。つまり、接着部60は、導光体40が撓んだ際に、光取り出し領域44に対する反射部材50の接触を維持する維持部である。
【0028】
光取り出し領域44には、導光体40の内方に向けて凹む複数の凹部45が行列状に配列されている。換言すると、光取り出し領域44は、複数の凹部45が形成された領域とも言える。
【0029】
凹部45は、平面視において点状のプリズムである。凹部45の具体的形状としては、例えば、円錐台状、角錐台状、円錐体状、角錐体状などが挙げられる。なお、凹部45は長尺な溝状のプリズムであってもよい。ここで、光取り出し領域44に含まれる複数の凹部45は、レーザ加工によって形成されるものである。光取り出し領域44が平坦状であると、いずれの凹部45を形成する際においてもレーザの焦点を合わせやすい。このため、複数の凹部45を精度高く加工することができる。
【0030】
導光体40内を進行する光は、光取り出し領域44の各凹部45の内面で反射することで曲面部43側へ向かい、最終的に曲面部43から下方に出射して照明光となる。ところで、導光体40内を進行する光の一部は、光取り出し領域44で反射せずに透過して外方へと漏れてしまう。その光取り出し領域44からの漏れ光は、反射部材50で反射されて、再度、平面部42から導光体40内に進入する。光取り出し領域44から進入した光は、導光体40の曲面部43から下方に向けて出射して、照明光となる。
【0031】
また、導光体40は、光源30が点灯すると光源30からの伝熱や周囲温度の上昇、または吸湿などによって膨張する。図2及び図3では、膨張後の導光体40及び反射部材50を二点鎖線L1で図示している。
【0032】
導光体40は、一対の光源保護部材25によって挟持されているので、この温度または吸湿による膨張で導光体40の中央部が、筐体20の一対の長側壁21に案内されながら下方へと撓む。撓みの方向は、照明光の出射方向と同じく下方であるので、撓み中あるいは撓み後においても、導光体40は、幅方向(図2における左右方向)で撓み前と同じ位置から照明光を出射させることができる。また導光体40がねじれて出射方向が変化することもない。つまり、一対の長側壁21は、導光体40からの光の出射方向に向けて導光体40の撓みを案内するガイド部である。
【0033】
また、反射部材50は、接着部60によって導光体40に接合されているので、導光体40の撓みに追従して撓むこととなる。つまり、導光体40が撓んだとしても、反射部材50と導光体40の光取り出し領域44との接触状態が維持されている。このため、温度または吸湿による膨張後においても、光取り出し領域44からの漏れ光を反射部材50で確実に反射して、再度導光体40内に進入させることができる。
【0034】
また、一対の光源保護部材25は、導光体40を挟持することで、筐体20内での導光体40の両端部の位置を固定している。これにより、導光体40が温度または吸湿により膨張したとしても、導光体40の一対の光入射面41と、一対の光源30との位置関係が維持される。
【0035】
ここで、導光体40が撓んだ状態での曲率半径r1(図3参照)は、導光体40の断面視での直径d1(図2参照)の5倍以上であれば、ここで、「導光体40が撓んだ状態での曲率半径」とは、光源30からの伝熱によって、最も導光体40が温度または吸湿により膨張した撓んだ状態での曲率半径である。この状態での曲率半径は、各種実験、またはシミュレーションなどを行うことによって、設計時点で推定することが可能である。導光体40が急峻に湾曲してしまうと、当該部位から漏れ光が生じるおそれがあるが、曲率半径r1と直径d1とが上記の関係性を満たしていれば、撓んだ状態における導光体40からの漏れ光を実質的に無視できる量に抑制することができる。
【0036】
なお、光源30が消灯した場合には、導光体40に対する伝熱もなくなるために、導光体40は収縮することになる。また、周囲温度が低下することによっても同様に導光体40は収縮することになる。これにより、導光体40の撓みが解消されて、導光体40は元の形状に復元される。復元時においても、導光体40の中央部が、筐体20の一対の長側壁21に案内されながら上方へと移動する。
【0037】
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る照明装置10は、外周面に光取り出し領域44を有し、少なくとも一方の端面が光入射面41とされる棒状の導光体40と、導光体40の光入射面41に向けて光を照射する光源30と、導光体40の撓みを許容した状態で、導光体40の両端部の位置が固定されるように、導光体を支持する筐体20(支持部)とを備えている。
【0038】
これによれば、筐体20が、温度または湿度による膨張を起因とした導光体40の撓みを許容した状態で、導光体40の両端部の位置が固定されるように導光体40を支持している。このため、光源30からの伝熱によって導光体40が撓んだとしても、導光体40の光入射面41と光源30との位置関係を維持することができる。したがって、導光体40の温度または湿度による膨張を起因とした照明光の配光特性の乱れを抑制することができる。
【0039】
なお、上記実施の形態では、導光体40が温度または湿度による膨張を起因として撓む場合を例示した。しかし、自重を起因として導光体40が撓んだり、経年劣化を起因として導光体40が撓んだとしても、導光体40の両端部の位置が固定されているので、導光体40の光入射面41と光源30との位置関係を維持することも可能である。
【0040】
また、筐体20は、導光体40に対して当該導光体40の軸方向に沿った圧縮力を付与した状態で、導光体40を支持している。
【0041】
これによれば、導光体40は、筐体20により所定の圧縮力が付与されているので、温度または湿度による膨張前には圧縮変形した状態となる。予め導光体40が圧縮変形されていれば、導光体40が熱膨張した際に当該導光体40をスムーズに撓ませることができる。また逆に導光体40が収縮した場合には、予め付与されている圧縮力の一部が開放され、撓みが小さくなり、前記と同様に配光特性への影響を抑制することが可能である。
【0042】
また、筐体20は、導光体40の光入射面41と光源30との間に配置され、導光体40に対して圧縮力を付与する光源保護部材25を有している。
【0043】
例えば、導光体40の光入射面41に対して光源30を当接させることで、導光体40に対して圧縮力を付与することも可能である。しかし、この場合、光源30にも負荷が作用するため、光源30を損傷させるおそれがある。上述したように、導光体40の光入射面41と光源30との間に配置された光源保護部材25が、導光体40に対して圧縮力を付与しているので、光源30を保護することができる。
【0044】
また、照明装置10は、導光体40が撓んだ際に、当該導光体40の撓みを、導光体40からの光(照明光)の出射方向に案内する一対の長側壁21(ガイド部)を備えている。
【0045】
これによれば、一対の長側壁21が導光体40の撓みを照明光の出射方向に案内するので、撓み中あるいは撓み後においても、導光体40は、幅方向(図2における左右方向)で撓み前と同じ位置から照明光を出射させることができる。さらに撓みによる導光体40のねじれも抑制できるため、出射方向の変化も回避することが可能である。したがって、撓みの前後においても、照明光の出射性能を維持することができる。
【0046】
また、照明装置10は、導光体40の光取り出し領域44に対して重なるように配置された反射部材50と、導光体40が撓んだ際に、光取り出し領域44に対する反射部材50の接触を維持する接着部60(維持部)とを有している。
【0047】
これによれば、反射部材50は、接着部60によって導光体40に接合されているので、導光体40の撓みに追従して撓むこととなる。つまり、導光体40が撓んだとしても、反射部材50と導光体40の光取り出し領域44との接触状態が維持されている。このため、温度または湿度による膨張後においても、光取り出し領域44からの漏れ光を反射部材50で確実に反射して、再度導光体40内に進入させることができる。したがって、導光体40の温度または湿度による膨張を起因とした配光及び光学効率への影響を抑制することができる。
【0048】
また、導光体40は、当該導光体40の軸方向での断面視における外形が略円形状であり、当該導光体40が撓んだ状態での曲率半径r1は、導光体40の断面視での直径d1の5倍以上である。
【0049】
これによれば、曲率半径r1と直径d1とが上記の関係性を満たしていれば、撓んだ状態における導光体40の曲げ量を小さくすることができる。したがって、導光体40からの漏れ光を抑制することができ、導光体40の温度または湿度による膨張又は収縮を起因とした配光及び光学効率への影響を抑制することができる。
【0050】
また、導光体40の一対の端面のそれぞれは光入射面41であり、光源30は、一対の光入射面41のそれぞれに対応するように複数設けられている。
【0051】
これによれば、一対の光入射面41のそれぞれに対応するように光源30が複数設けられている場合においても、筐体20は、導光体40の撓みを許容した状態で、導光体40の両端部の位置が固定されるように導光体40を支持している。したがって、導光体40が撓んだとしても、複数の光源30のそれぞれと、導光体40の一対の光入射面41のそれぞれとの位置関係を維持することができる。したがって、導光体40の温度または湿度による膨張又は収縮を起因とした照明光の配光特性の乱れを抑制することができる。
【0052】
[変形例1]
上記実施の形態では、維持部として、接着剤から形成された接着部60を例示した。しかし、維持部では、接着以外の手法によって光取り出し領域に対する反射部材の接触を維持してもよい。変形例1では、反射部材50aの一部が導光体40aに嵌合することで、光取り出し領域に対する反射部材の接触を維持する場合について説明する。なお、以下の説明において、上記実施の形態と同一の部分においては、同一の符号を付して、その説明を省略する場合がある。
【0053】
図4は、変形例1に係る照明装置10Aの断面図である。具体的には、図4図2に対応する図である。図4に示すように、筐体20aは、一対の長側壁21aが導光体40aの直径よりも広い幅で対向配置されている。反射部材50aは、その両端部501aが、一対の長側壁21aと導光体40との間で下方に張り出している。反射部材50aの両端部501aには、突起502aが設けられており、この突起502aが、導光体40aの外周面に形成された切欠き49aに嵌合している。これにより、反射部材50aは、導光体40aの撓みに追従して撓むこととなる。つまり、反射部材50aの突起502aは、光取り出し領域44に対する反射部材50aの接触を維持する維持部の一例である。なお、切欠き49aは、導光体40aにおける光学的な影響が小さい箇所に配置されていることがよい。
【0054】
[変形例2]
上記実施の形態では、維持部として、接着剤から形成された接着部60を例示した。しかし、維持部では、接着以外の手法によって光取り出し領域に対する反射部材の接触を維持してもよい。変形例2では、導光体40が撓んだ際に、反射部材50に沿って光取り出し領域44がスライドすることで、光取り出し領域に対する反射部材の接触を維持する場合について説明する。なお、以下の説明において、上記実施の形態と同一の部分においては、同一の符号を付して、その説明を省略する場合がある。
【0055】
図5は、変形例2に係る照明装置10Bの断面図である。具体的には、図5図2に対応する図である。図5に示すように、筐体20bは、一対の長側壁21bが導光体40の直径よりも広い幅で対向配置されている。また、筐体20bの下端部には、開放された部分を閉塞するカバー部材61bが設けられている。カバー部材61bは、例えば上述したような透光性を有した部材から形成されている。カバー部材61bは、筐体20bに固定された状態で、導光体40の下端部に接触し、導光体40を支持している。また、カバー部材61bは、反射部材50に対して平行に配置されている。導光体40は、カバー部材61b及び反射部材50に対して上下方向で挟まれているので、当該導光体40の撓みは、カバー部材61b及び反射部材50に沿いながら幅方向(図5における左右方向)に案内されることになる。図5では、温度または湿度による膨張後の導光体40を二点鎖線L2で図示している。つまり、導光体40の光取り出し領域44も反射部材50に沿って幅方向にスライドするため、光取り出し領域44と反射部材50との接触が維持される。このように、カバー部材61bは、導光体40が撓んだ際に、光取り出し領域44に対する反射部材50の接触を維持する維持部の一例である。
【0056】
以上のように、カバー部材61bは、導光体40が撓んだ際に、反射部材50に沿って光取り出し領域44がスライドするように、当該導光体40を支持している。
【0057】
これによれば、導光体40が撓んだ際に、反射部材50に沿って光取り出し領域44がスライドするので、反射部材50と導光体40の光取り出し領域44との接触状態が維持されている。このため、温度または湿度による膨張後においても、光取り出し領域44からの漏れ光を反射部材50で確実に反射して、再度導光体40内に進入させることができる。
【0058】
また、反射部材50に沿って光取り出し領域44がスライドするので、導光体40が撓んだとしても断面視において導光体40が回転しない。これにより、導光体40が撓んだとしても照明光の出射方向を維持することができる。
【0059】
[変形例3]
上記実施の形態では、略円柱状の長尺な導光体40を例示した。変形例3では、両端部が曲がった導光体40cを例示して説明する。なお、以下の説明において、上記実施の形態と同一の部分においては、同一の符号を付して、その説明を省略する場合がある。
【0060】
図6は、変形例3に係る照明装置10Cの断面図である。具体的には、図6図3に対応する図である。
【0061】
図6に示すように、変形例3に係る照明装置10Cに備わる導光体40cは、両端部が曲がった略U字状の形状となっている。具体的には、導光体40cは、第一部位401cと、一対の第二部位402cとを備えている。第一部位401cは、直線状に形成されており、その下端部が筐体20cの開口に対向するように配置されている。また、第一部位401cの上端部は、平面部42cとなっており、この平面部42cには、光取り出し領域44cが概ね全長にわたって形成されている。また、平面部42cには、反射部材50が光取り出し領域44cが重なるように配置されている。
【0062】
一対の第二部位402cは、第一部位401cの両端部から連続して伸び出ており、その途中で曲がっている。具体的には、一対の第二部位402cは、先端面が上方を向くように、その一部が外方に向けた凸形状に湾曲している。これにより、第二部位402cは、第一部位401cよりも形状的な観点から柔軟性を有することになる。
【0063】
また、一対の第二部位402cのそれぞれの先端面に対向するように、筐体20c内には一対の光源30が配置されている。一対の光源30のそれぞれからの光は、一対の第二部位402cのそれぞれの先端面から当該第二部位402c内に入射する。つまり、一対の第二部位402cのそれぞれの先端面は、光入射面41cである。
【0064】
また、照明装置10Cに備わる筐体20cは、上から順に、一対の光源30、一対の光源保護部材25及び導光体40cを配置した状態でこれらが突出しない深さの収容凹部29cを有している。各光源保護部材25は、導光体40cと光源30との間に介在することで、光源30を保護する部材である。一対の光源保護部材25のそれぞれは、筐体20内において、各光源30に対して所定の間隔をあけた位置に固定されている。一対の光源保護部材25のそれぞれは、導光体40cの各光入射面41cに当接し、当該導光体40cを支持している。これにより、導光体40cの両端部の位置が、筐体20c内で固定される。この状態で導光体40cが光源30からの熱によって膨張した場合には、第一部位401cは軸方向に伸長する。このとき、一対の第二部位402cでは、曲がった部分に応力が集中するため、当該曲がった部分が第一部位401cの伸長を吸収するように撓むこととなる(図6における二点鎖線L3参照)。したがって、光源30からの伝熱によって導光体40cが撓んだとしても、導光体40cの光入射面41cと光源30との位置関係を維持することができる。なお、この撓んだ部分における曲率半径は、導光体40cの断面視での直径の5倍以上であるとよい。具体的には、この撓んだ部分の内周部分の曲率半径が、導光体40cの断面視での直径の5倍以上であるとよりよい。
【0065】
ここで、筐体20cの一対の長側壁21cは、導光体40cを直接挟んでおり、当該導光体40cの一対の第二部位402cの撓みを、所定の方向(図6における紙面に平行な方向)に案内するようになっている。
【0066】
以上のように、導光体40cは、光取り出し領域44cを有する直線状の第一部位401cと、第一部位401cの一端部から連続し、先端面が光入射面41cをなす第二部位402cとを備え、第二部位402cの少なくとも一部は曲がっている。
【0067】
これによれば、導光体40cでは、第一部位401cに対して連続する第二部位402cの少なくとも一部が曲がっているので、温度または湿度による膨張時には第二部位402cにおける曲がった部分を撓ませて、第一部位401cの直線性を維持することができる。このため、第一部位401cの光取り出し領域44cが変形しにくくなり、導光体40cの温度または湿度による膨張を起因とした照明光の配光特性の乱れをより抑制することができる。
【0068】
なお、変形例3では、第一部位401cと、一対の第二部位402cとが全体として一体成型されている場合を例示した。しかし、元々別体の第一部位と、一対の第二部位とを接合することで、一体化された導光体を形成してもよい。この場合、第一部位と、一対の第二部位とを異なる材料で形成することも可能である。このため、材質の観点から、第二部位を第一部位よりも柔軟に形成することも可能である。
【0069】
また、変形例3では、略U字状の導光体40cを例示したが、略L字状の導光体であってもよい。この場合、一つの導光体に対して第二部位は一つ設けられることになる。
【0070】
[その他]
以上、本発明に係る照明装置について、上記実施の形態及び各変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態及び各変形例に限定されるものではない。
【0071】
例えば、上記実施の形態では、導光体40の軸方向視形状が略円形状である場合を例示したが、各導光体の軸方向視形状は如何様でもよい。その他の形状としては、楕円形状、長円形状、多角形状などが挙げられる。導光体40の軸方向視形状を調整することで、所望の配光の照明光を得ることが可能である。
【0072】
また、上記実施の形態では、光取り出し領域44が平坦状である場合を例示した。しかし、光取り出し領域は曲面状であってもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では導光体40の各端面に対して光源30が設けられている場合を例示したが、導光体の一端面に対してのみ光源が設けられていてもよい。また、導光体の各端面に対して複数の光源が配置されていてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、筐体20が導光体40の軸方向における所定の圧縮力を付与した状態で、導光体40を支持している場合を例示した。しかし、筐体は、導光体の両端部の位置を固定しているのであれば、導光体に対して圧縮力を付与していなくてもよい。
【0075】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
10、10A、10B、10C 照明装置
20、20a、20b、20c 筐体(支持部)
21 長側壁(ガイド部)
25 光源保護部材
30 光源
40、40a、40b、40c 導光体
41、41b、41c 光入射面
44、44b、44c 光取り出し領域
50 反射部材
60 接着部(維持部)
61a カバー部材(維持部)
401c 第一部位
402c 第二部位
502a 突起(維持部)
d1 直径
r1 曲率半径
図1
図2
図3
図4
図5
図6