(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】光源ユニット及び照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20221125BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20221125BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20221125BHJP
F21V 7/09 20060101ALI20221125BHJP
F21Y 107/50 20160101ALN20221125BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221125BHJP
【FI】
F21S2/00 350
F21V29/503 100
F21V29/76
F21V7/09 510
F21Y107:50
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2018186013
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-02-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海路 博司
(72)【発明者】
【氏名】村上 忠史
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-135074(JP,A)
【文献】特開2010-123971(JP,A)
【文献】特表2015-534241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 29/503
F21V 29/76
F21V 7/09
F21Y 107/50
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固体発光素子を有する実装基板と、
放熱部材と、
前記実装基板及び前記放熱部材が取り付けられる取付部材と、
電気絶縁性を有する熱伝導シートと、
前記実装基板及び前記熱伝導シートを押さえる押さえ部材と、を備え、
前記取付部材の中心を通る一軸線の長手方向の一方を前方とすると共に他方を後方とし、前後方向と直交する方向の一方を上方とすると共に他方を下方とし、
前記取付部材の前面に、前記実装基板が取り付けられる台座部を有し、
前記取付部材の後面に前記放熱部材を有し、
前記台座部の前記実装基板が取り付けられる基板取付面の法線ベクトルの向きを取付面向きとしたとき、前記取付面向きが前方に対して下方に傾いており、
前記押さえ部材が前記台座部に取り付けられることにより前記実装基板
が前記熱伝導シートを介して前記基板取付面に取り付けられ
て、前記実装基板と前記台座部とが熱的に連結されており、
前記押さえ部材には、前記複数の固体発光素子に対応する位置にそれぞれ透過窓が形成されており、前記透過窓は前記複数の固体発光素子に一対一で対応するように形成されている
光源ユニット。
【請求項2】
反射板を更に備え、
前記反射板は、前記固体発光素子を起点として前方よりも上方側の領域に配置される
請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記反射板は、隣接する前記固体発光素子の間に仕切壁を有する
請求項2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記反射板は、前記複数の固体発光素子毎に、前記固体発光素子を起点として前方よりも下方側の領域に配置される、前後方向から見て上方を向く凹面からなる下反射面を有し、
前記仕切壁は、前記下反射面とつながっている
請求項3に記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記仕切壁の左右方向における側面は、前記下反射面となる凹面と滑らかにつながる凹面を有する
請求項4に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記取付面向きが前方に対して傾く角度は、30度以上60度以下である
請求項1~5のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項7】
複数の前記実装基板と、前記複数の実装基板にそれぞれ対応する複数の前記台座部と、を備え、
前記複数の台座部は、前記取付部材の前記前面に上下に沿って並ぶように配置されている
請求項1~6のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記複数の台座部の前記取付面向きの前方に対して傾く角度が、全て同じである
請求項7に記載の光源ユニット。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の光源ユニットと、前記光源ユニットが取り付けられる器具本体と、を備える
照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源ユニット及び照明器具に関し、更に詳しくは、実装基板、放熱部材及び取付部材を備える光源ユニット及びこの光源ユニットを備える照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1記載の照明器具を例示する。この従来例は、光源ユニット及び器具本体を備え、光源ユニットは、実装基板、放熱部材及び取付部材を備えている。取付部材の前面側に実装基板が設けられ、取付部材の後面側に放熱部材が設けられている。
【0003】
実装基板は、取付部材の前面に取り付けられ、取付基板に実装されているLEDは、光軸の向きが前方を向いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の従来例では、取付部材の前面が前方を向く状態では、LEDが発する光を斜め下方に効率良く照射することが難しい。また、光を斜め下方に効率良く照射するため、LEDの光軸を斜め下方に向けると、取付部材の前面が斜め下方を向くように取付部材を傾ける必要があるが、この場合、取付部材が占める空間の前後方向の長さが長くなってしまう。
【0006】
本開示は、取付部材が占める空間の前後方向の長さが長くなることを抑えつつ、光を斜め下方に効率良く照射することができる光源ユニット及び照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る一形態の光源ユニットは、固体発光素子を有する実装基板と、放熱部材と、前記実装基板及び前記放熱部材が取り付けられる取付部材と、を備える。前記取付部材の中心を通る一軸線の長手方向の一方を前方とすると共に他方を後方とし、前後方向と直交する方向の一方を上方とすると共に他方を下方とする。前記光源ユニットは、前記取付部材の前面に、前記実装基板が取り付けられる台座部を有する。前記光源ユニットは、前記取付部材の後面に前記放熱部材を有する。前記台座部の前記実装基板が取り付けられる基板取付面の法線ベクトルの向きを取付面向きとしたとき、前記取付面向きが前方に対して下方に傾いている。
【0008】
本開示に係る一形態の照明器具は、前記光源ユニットと、前記光源ユニットが取り付けられる器具本体と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の光源ユニット及び照明器具にあっては、取付部材が占める空間の前後方向の長さが長くなることを抑えつつ、光を斜め下方に効率良く照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る照明装置の前斜め上方より見た斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の照明装置(一部を除く)の前斜め上方より見た分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の照明装置の取付板(取付部材)及びLEDモジュールを含む部分の前斜め下方より見た分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の取付板(取付部材)及びLEDモジュールを含む部分の一部を分解した状態の側面図である。
【
図5】
図5は、同上の照明装置の取付枠(取付部材)及び放熱部材を含む部分の後斜め下方より見た分解斜視図である。
【
図6】
図6Aは、同上の照明装置の反射ブロックの正面図である。
図6Bは、同上の照明装置の反射ブロックの背面図である。
【
図7】
図7Aは、同上の反射ブロックの側面図である。
図7Bは、同上の反射ブロックの側断面図である。
【
図8】
図8は、同上の反射ブロック及びLEDモジュールの要部の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、光源ユニット及び照明器具に関し、更に詳しくは、実装基板と放熱部材と取付部材とを備える光源ユニット及びこの光源ユニットを備える照明器具に関する。
【0012】
以下、本開示に係る光源ユニット10及び照明器具1の一実施形態について、
図1~
図8に基いて説明する。
図1に照明器具1の斜視図を示し、
図2に照明器具1の一部を除く分解斜視図を示す。
【0013】
まず、本実施形態の光源ユニット10について説明する。光源ユニット10は、
図2に示すように、LEDモジュール2と、取付部材3と、放熱部材5と、反射板ブロック6と、カバーブロック7と、を備える。
【0014】
ここで、光源ユニット10及び照明器具1における上下方向、左右方向及び前後方向を規定する。
図2に示すように、取付部材3の中心(特に図示せず)を通る一軸線の長手方向の一方を前方Fとすると共に、他方を後方Bとする。更に、前後方向と直交する方向の一方を上方Uとすると共に、他方を下方Dとする。更に、前後方向及び上下方向と直交する方向の一方を左方Lとすると共に、他方を右方Rとする。
図2に示す上下方向、左右方向及び前後方向は、照明器具1の標準的な使用状態における上下方向、左右方向及び前後方向である。
【0015】
LEDモジュール2は、
図3に示すように、固体発光素子としてのLED21(light Emitting Diode、発光ダイオード)と、実装基板20とを有する。LED21は、従来周知であるパッケージ型の白色LEDである。実装基板20は、左右方向を長手方向とする矩形状のアルミニウムからなる基板で構成される。LED21は、実装基板20の前面に、左右方向に複数(図示例では6個)並べて実装される。LED21の光軸の向き23は、実装基板20の前面の法線ベクトルの向きと一致する。LED21は、光軸の向き23に発せられる光の輝度が最も高く、発せられる光の向きが光軸の向き23から傾くに従って、光の輝度が低下していく。
【0016】
また、実装基板20の前面に、2個のレセプタクルコネクタ22が実装される。これら2つのレセプタクルコネクタ22は、実装基板20の前面に形成される配線用の導体(不図示)を介して、各LED21の電極(カソード及びアノード)と接続される。実装基板20は、取付部材3に取り付けられる。
【0017】
図2に示すように、取付部材3は、取付枠31と、取付枠31の内部に固定される取付板30と、を有する。
【0018】
図5に示すように、取付枠31は、アルミダイキャスト製品等、金属により形成されるが、PBT(Polybutylene terephthalate)樹脂などの透光性を有しない合成樹脂材料により形成されてもよい。取付枠31は、正面視矩形状をしており、内部に取付板30が配置される開口32を有する。取付枠31は、上下方向の中央部に左右方向に掛け渡される横架橋部33を有し、横架橋部33の上側に上開口321が位置し、横架橋部33の下側に下開口322が位置する。更に、取付枠31は、上開口321の左右方向の中央部に上下方向に掛け渡される縦架橋部34を有し、縦架橋部34の左側に上左開口3211が位置し、縦架橋部34の右側に上右開口3212が位置する。同様に、取付枠31は、下開口322の左右方向の中央部に上下方向に掛け渡される縦架橋部34を有し、縦架橋部34の左側に下左開口3221が位置し、縦架橋部34の右側に下右開口3222が位置する。上左開口3211、上右開口3212、下左開口3221及び下右開口3222は同じ大きさで、配置される取付板30は同じであり、特に区別されない。
図2は、上左開口3211に配置される取付板30のみが取り外されている状態を示す。
【0019】
図3に示すように、取付板30は、アルミダイキャスト製品等、金属により形成されるが、PBT樹脂などの透光性を有しない合成樹脂材料により形成されてもよい。取付板30は、正面視矩形状をしている。取付板30の前面は、前方Fを向いている。言い換えると、取付板30の前面の法線ベクトルの向き300は、前方F向きである。取付板30には、前後に貫通するいわゆるばか孔からなる貫通孔301が複数(図示例では10個)形成されている。取付板30は、取付枠31の上左開口3211に配置され、複数のビスからなる固着具371(図示例では10個)がそれぞれ貫通孔301に通されて、取付枠31に形成された雌ねじを有する固着孔(不図示)にねじ込まれる。これにより、取付板30が、取付枠31の上左開口3211に位置する状態で取付枠31に取り付けられる。取付枠31の上右開口3212、下左開口3221及び下右開口3222に位置する取付板30も同様にして取り付けられる。
【0020】
取付板30(取付部材3)は、前面に、実装基板20が取り付けられる台座部4を有する。台座部4は、取付板30と一体に形成されている。取付枠31、取付板30及び台座部4が、取付部材3を構成している。取付板30の前面(ただし台座部4が位置しない部分)が、取付部材3の前面を構成する。
【0021】
光源ユニット10は、複数の実装基板20と、複数の実装基板20にそれぞれ対応する複数の台座部4と、を備えている。更に説明すると、取付板30(取付部材3)は、複数(図示例では5個)の台座部4を有している。複数の台座部4は、取付板30の前面に上下に沿って並ぶように配置されている。
【0022】
台座部4の前面は、実装基板20の後面が取り付けられる基板取付面40となる。基板取付面40の形状は、実装基板20の形状と概ね同じに形成されている。基板取付面40の大きさは、実装基板20の大きさよりも若干大きく形成されている。本実施形態では、実装基板20は、押さえ部材35及び熱伝導シート36とともに台座部4に取り付けられる。
【0023】
押さえ部材35は、PBT樹脂などの透光性を有しない合成樹脂材料により形成される、板状の部材である。押さえ部材35の形状は、実装基板20の形状と概ね同じに形成されている。押さえ部材35の大きさは、実装基板20の大きさよりも若干大きく、基板取付面40の大きさと略同じに形成されている。押さえ部材35には、実装基板20の各LED21に対応する位置にそれぞれ、LED21が発する光を透過させる透過窓351が形成されている。押さえ部材35には、透過窓351と異なる位置に、いわゆるばか孔からなり、複数(図示例では5個)のビスからなる固着具372がそれぞれ通される複数(図示例では5個)の貫通孔352が形成されている。
【0024】
熱伝導シート36は、電気絶縁性と熱伝導性に優れた材料(例えば、シリコーン樹脂)により形成される、板状の部材である。熱伝導シート36の形状は、実装基板20の形状と概ね同じに形成されている。熱伝導シート36の大きさは、実装基板20の大きさよりも若干大きく、基板取付面40の大きさと略同じに形成されている。
【0025】
実装基板20及び熱伝導シート36には、押さえ部材35の貫通孔352に対応する位置にそれぞれ、固着具372を避けるための切欠201,361が形成されている。また、台座部4には、押さえ部材35の貫通孔352に対応する位置にそれぞれ、固着具372がねじ込まれる雌ねじを有する固着孔41が形成されている。
【0026】
実装基板20、押さえ部材35及び熱伝導シート36は、台座部4の基板取付面40に近い側から熱伝導シート36、実装基板20及び押さえ部材35の順に重ねられる。固着具372が、前方F側より押さえ部材35の貫通孔352、実装基板20の切欠201及び熱伝導シート36の切欠361に通されて、台座部4の固着孔41にねじ込まれて、実装基板20、押さえ部材35及び熱伝導シート36が台座部4に取り付けられる。これにより、実装基板20、熱伝導シート36及び台座部4は熱的に連結される。
【0027】
図4に示すように、基板取付面40の法線ベクトルの向きを取付面向き42としたとき、取付面向き42は、前方Fに対して下方Dに角度θ1で傾いている。角度θ1は、少なくとも、0度より大きくかつ90度より小さい。好ましくは、角度θ1は、30度以上かつ60度以下であり、図示例では45度である。
【0028】
台座部4の基板取付面40に取り付けられている実装基板20のLED21の光軸の向き23が前方Fに対して下方Dに傾く角度θ2は、取付面向き42が前方Fに対して下方Dに傾く角度θ1と同じである。従って、角度θ2は、角度θ1と同様に、少なくとも、0度より大きくかつ90度より小さい。好ましくは、角度θ2は、30度以上かつ60度以下であり、図示例では45度である。
【0029】
本実施形態では、複数の台座部4の取付面向き42の前方Fに対して傾く角度θ1は全て同じであるが、台座部4によって角度θ1が異なってもよい。また、LED21の光軸の向き23が前方Fに対して下方Dに傾く角度θ2は全て同じであるが、LED21によって角度θ2が異なってもよい。
【0030】
これにより、取付部材3の前面が前方Fを向いたままで、取付部材3が占める空間の前後方向の長さが短い状態のまま、光を斜め下方に効率良く照射することができる。
【0031】
また、角度θ1及び角度θ2が30度以上かつ60度以下であるため、前方Fに対して下方Dに30度以上かつ60度以下の角度で傾く方向に光を効率良く照射することができる。
【0032】
図5に示すように、放熱部材5は、取付部材3の後面に取り付けられる。放熱部材5は、取付基板51、放熱板53及びパイプ55を有する。取付基板51は、アルミニウムからなり、正面視矩形状をしている。取付基板51には、複数の放熱板53が取り付けられる。放熱板53は、アルミニウムからなり、側面視矩形状をしている。放熱板53は、取付基板51に溶接により取り付けられる。また、取付基板51及び放熱板53には、冷却水を通すパイプ55が通されている。パイプ55は、取付基板51に形成された溝52に嵌まると共に、放熱板53に形成された貫通孔54を通る状態で、配置される。
【0033】
放熱部材5は、押さえ枠11により押さえられて、取付部材3に取り付けられる。押さえ枠11は、合成樹脂からなり、正面視矩形状をしている。押さえ枠11は、押さえ枠固定部材12により押さえられて、取付部材3に取り付けられる。押さえ枠固定部材12は、鋼板からなるが、他の金属、あるいは合成樹脂等からなるものであってもよい。押さえ枠固定部材12は、貫通孔121を有している。また、取付枠31の後面には、雌ねじを有する固着孔311が形成されている。
【0034】
取付基板51、押さえ枠11及び押さえ枠固定部材12は、この順で前方Fより後方Bに向けて重ねられる。ビスからなる固着具131が後方B側より押さえ枠固定部材12の貫通孔121に通されて、取付枠31の固着孔311にねじ込まれて、放熱部材5が取付部材3に取り付けられる。これにより、放熱部材5及び取付部材3は熱的に連結される。
【0035】
反射板ブロック6は、
図6A~
図7Bに示すように、合成樹脂からなり、枠部60及び反射板61を有する。反射板61のうちの上反射板611は、
図8に示すように、LED21を起点として前方Fよりも上方U側の領域に配置され、この領域を覆う。上反射板611は、左右方向から見て下方Dを向く凹面からなる上反射面62を有する。上反射面62は鏡面である。このような上反射面62を有する上反射板611が配置されることにより、LED21から発せられた光が前方Fよりも上方U側に向かうのが抑えられる。
【0036】
本実施形態では、LED21を起点として上反射面62の前方F側の端部に至る向きは、前方Fに対して下方Dに角度θ3で傾いている。このため、LED21から発せられた光は、前方Fに対して下方Dに角度θ3の向きよりも上方U側に向かうのが抑えられる。角度θ3は、0度以上でかつ45度以下である。好ましくは、角度θ3は、10度である。
【0037】
また、上反射面62の前方F側の端部における上反射面62に沿う向きは、前方Fに対して下方Dに角度θ5で傾いている。角度θ5は、30度以上でかつ40度以下で、好ましくは34.2度である。
【0038】
また、反射板61のうちの下反射板612は、
図8に示すように、LED21を起点として前方Fよりも下方D側の領域に配置され、この領域を覆う。下反射板612は、複数のLED21毎に、LED21を起点として前方Fよりも下方D側の領域に配置される下反射面63を有する。下反射面63は鏡面である。下反射面63は、
図6Aに示すように、LED21毎に、前後方向から見て上方Uを向く凹面からなる。本実施形態では、LED21を起点として下反射面63の前方F側の端部に至る向きは、前方Fに対して下方Dに角度θ4(
図8参照)で傾いている。角度θ4は角度θ3より大きい。角度θ4は、30度以上でかつ90度以下である。好ましくは、角度θ4は、34度である。
【0039】
このような下反射面63により、LED21から発せられた光は、前方Fに対して下方Dに角度θ4の向きよりも下方D側に向かうのが抑えられる。これにより、少なくとも直接LED21から発せられた光は、前方Fに対して下方Dに傾く角度θ4と角度θ3との間の角度で(例えば10度以上でかつ34度以下の角度で)照射される。
【0040】
また、LED21から前方Fに対して下方Dに角度θ3の向きよりも上方U側に向かうように発せられた光は、上反射面62で反射して下方Dに向かうため、無駄にならずロスが生じにくい。
【0041】
また、反射板61は、隣接するLED21の間に仕切壁64を有する。仕切壁64は、下反射板612から上方に向けて起立しており、下反射面63とつながっている。仕切壁64の左右方向における側面641は、下反射面63となる凹面と滑らかにつながる凹面を有する。すなわち、下反射面63は、前後方向から見て上方Uを向く凹面からなり、側面641は下反射面63の凹面に滑らかに(尖った部分がなく)つながり、上方U及び前後方向から見て左右方向における内方を向く凹面からなる。
【0042】
反射板61が仕切壁64を有することにより、LED21から発せられ、前方Fに対して左右方向の外側に傾いた方向に向かう光が、仕切壁64で、左右方向において前方Fに近い方を向くように内側に反射される。これにより、LED21から発せられた光がより多く光軸の向き23に近い向きに照射される。
【0043】
また、仕切壁64が下反射面63とつながっているため、LED21から発せられた光が仕切壁64と下反射面63との間から漏れることがなく、光の照射の効率が低下するのを抑えることができる。
【0044】
また、側面641が下反射面63となる凹面と滑らかにつながる凹面を有するため、側面641で反射された光が、下反射面63で反射された光と滑らかにつながり、光の分布の変化が滑らかとなる。
【0045】
また、上反射面62が左右方向から見て下方Dを向く凹面からなるため、LED21から発せられ上反射面62で反射した光は、大きく下方Dに向かうのが抑えられ、前方Fに対して下方Dに傾く角度θ4と角度θ3との間の角度で照射されやすくなる。
【0046】
また、LED21から前方Fに対して下方Dに角度θ4の向きよりも下方D側に向かうように発せられた光は、下反射面63で反射して上方Uに向かうため、無駄にならずロスが生じにくい。また、下反射面63が、LED21毎に、前後方向から見て上方Uを向く凹面からなるため、LED21から発せられ、前方Fに対して左右方向に傾いた方向に向かう光が、下反射面63で、左右方向において前方Fに近づくように反射される。
【0047】
枠部60は、
図6Aに示すように、各LEDモジュール2毎に配置される上反射板611及び下反射板612をまとめてユニット化している。枠部60には、ビスからなる固着具132(
図2参照)が通される切欠601が形成されている。
【0048】
反射板ブロック6は、
図2に示すように、取付板14及びブラケット15を介して取付枠31(取付部材3)に取り付けられる。取付板14は、合成樹脂からなり、固着具132が通される貫通孔141を有している。ブラケット15は、固着具132が通される貫通孔を有する前片151と、ビスからなる固着具133が通される貫通孔を有する後片153と、前片151と後片153とを連結する中片152と、を有する。
【0049】
固着具133が前方F側より後片153の貫通孔に通されて、取付枠31の前面に形成された固着孔にねじ込まれて、ブラケット15が取付部材3に取り付けられる。枠部60及び取付板14は、この順で前方Fより後方Bに向けて重ねられる。固着具132が前方F側より枠部60の切欠601及び取付板14の貫通孔141に通されて、取付枠31の固着孔にねじ込まれて、反射板ブロック6が取付部材3に取り付けられる。
【0050】
図2に示すように、カバーブロック7は、取付部材3の前面に取り付けられる。カバーブロック7は、カバー71と、パッキン73と、押さえ枠75と、を有する。カバー71は、透光性を有する合成樹脂により形成される、正面視矩形状をしたものである。カバー71のフランジには、ビスからなる固着具77が通される切欠72が形成される。パッキン73は、枠状をしており、カバー71のフランジと同様の正面視矩形状をしたものである。パッキン73には、固着具77が通される切欠74が形成される。押さえ枠75は、枠状をしており、カバー71のフランジ及びパッキン73と同様の正面視矩形状をしたものである。押さえ枠75には、固着具77が通される貫通孔76が形成される。また、取付枠31の前面には、雌ねじを有する固着孔312が形成されている。
【0051】
押さえ枠75、パッキン73及びカバー71のフランジは、この順で前方Fより後方Bに向けて重ねられる。固着具77が、前方F側より押さえ枠75の貫通孔76、パッキン73の切欠74及びカバー71の切欠72に通されて、取付枠31の固着孔312にねじ込まれて、カバーブロック7が取付部材3に取り付けられる。
【0052】
図1に示すように、照明器具1は、光源ユニット10(
図2参照)と、光源ユニット10が取り付けられる器具本体16と、を備える。器具本体16は、配線ボックス17及び放熱部材5に接触するのを抑える網状部18を有する。更に、照明器具1は、照明器具1が取り付けられる壁面等に取り付けられるアーム19を有する。アーム19により、壁面等に対する取付部材3の向きが可変となる。
【0053】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0054】
上記実施形態では、光源ユニット10は、反射板ブロック6及びカバーブロック7を備えていたが、これらを備えなくてもよい。
【0055】
上記実施形態で規定した上下方向、左右方向及び前後方向は、照明器具1の実際の使用状態における上下方向、左右方向及び前後方向と一致する必要はなく、説明のために便宜上規定した方向である。
【0056】
上記実施形態では、取付枠31、取付板30及び台座部4が取付部材3を構成していたが、取付部材3はこれら以外の構成を備えてもよいし、取付枠31等の構成を備えなくてもよい。台座部4は、取付板30と一体に形成されず、別体に形成された後、取付板30に一体的に取り付けられてもよい。
【0057】
上記実施形態では、光源ユニット10は、複数の実装基板20及び台座部4を備えているが、実装基板20と台座部4とをそれぞれ一個のみ備えてもよい。
【0058】
上記実施形態では、透過窓351は、押さえ部材35の実装基板20の各LED21に一対一で対応するようにそれぞれ形成されているが、複数のLED21に対応して一個の透過窓351が形成されてもよい。
【0059】
上記実施形態では、取付面向き42が前方Fに対して傾く角度θ1及び光軸の向き23が前方Fに対して下方Dに傾く角度θ2は、30度以上かつ60度以下(特に45度)であったが、この範囲になくてもよい。すなわち、角度θ1は、0度より大きくかつ30度より小さい角度、又は、60度より大きくかつ90度より小さい角度であってもよい。
【0060】
上記実施形態では、反射板ブロック6は合成樹脂からなるものであったが、アルミダイキャスト製品等、金属により形成されてもよい。
【0061】
以上、述べた上記実施形態及びその変形例から明らかなように、第1の態様の光源ユニット10は、LED21を有する実装基板20と、放熱部材5と、実装基板20及び放熱部材5が取り付けられる取付部材3と、を備える。取付部材3の中心を通る一軸線の長手方向の一方を前方Fとすると共に他方を後方Bとし、前後方向と直交する方向の一方を上方Uとすると共に他方を下方Dとする。取付部材3の前面に、実装基板20が取り付けられる台座部4を有する。取付部材3の後面に放熱部材5を有する。台座部4の実装基板20が取り付けられる基板取付面40の法線ベクトルの向きを取付面向き42としたとき、取付面向き42が前方Fに対して下方Dに傾いている。
【0062】
第1の態様によれば、取付部材3の前面が前方Fを向いて、取付部材3が占める空間の前後方向の長さが短い状態のまま、光を斜め下方に効率良く照射することができる。
【0063】
第2の態様では、第1の態様との組み合わせにより実現される。第2の態様では、光源ユニット10は、反射板61を更に備える。反射板61は、LED21を起点として前方Fよりも上方U側の領域に配置される。
【0064】
第2の態様によれば、反射板61(上反射板611)により、LED21から発せられる光が前方Fよりも上方U側に向かうのが抑えられる。
【0065】
第3の態様では、第2の態様との組み合わせにより実現される。第3の態様では、反射板61は、隣接するLED21の間に仕切壁64を有する。
【0066】
第3の態様によれば、LED21から発せられ、前方Fに対して左右方向の外側に傾いた方向に向かう光が、仕切壁64で、左右方向において前方Fに近い方を向くように内側に反射される。
【0067】
第4の態様では、第3の態様との組み合わせにより実現される。第4の態様では、仕切壁64は、下反射面63とつながっている。
【0068】
第4の態様によれば、LED21から発せられた光が仕切壁64と下反射面63との間から漏れることがない。
【0069】
第5の態様では、第4の態様との組み合わせにより実現される。第5の態様では、仕切壁64の左右方向における側面641は、下反射面63となる凹面と滑らかにつながる凹面を有する。
【0070】
第5の態様によれば、側面641で反射された光が、下反射面63で反射された光と滑らかにつながる。
【0071】
第6の態様では、第1~5のいずれかの態様との組み合わせにより実現される。第6の態様では、取付面向き42が前方Fに対して傾く角度は、30度以上60度以下である。
【0072】
第6の態様によれば、前方Fに対して下方Dに30度以上かつ60度以下の角度で傾く方向に光を効率良く照射することができる。
【0073】
第7の態様では、第1~6のいずれかの態様との組み合わせにより実現される。第7の態様では、光源ユニット10は、複数の実装基板20と、複数の実装基板20にそれぞれ対応する複数の台座部4と、を備える。複数の台座部4は、取付部材3の前面に上下に沿って並ぶように配置されている。
【0074】
第7の態様によれば、複数の実装基板20を有する場合でも、取付部材3が占める空間の前後方向の長さが短い状態のまま、光を斜め下方に効率良く照射することができる。
【0075】
第8の態様では、第7の態様との組み合わせにより実現される。第8の態様では、複数の台座部4の取付面向き42の前方Fに対して傾く角度が、全て同じである。
【0076】
第8の態様によれば、所定の向きで光を強く照射することができる。
【0077】
第9の態様では、第1~8のいずれかの態様との組み合わせにより実現される。第9の態様では、照明器具1は、光源ユニット10と、光源ユニット10が取り付けられる器具本体16と、を備える。
【0078】
第9の態様によれば、照明器具1の取付部材3の前面が前方Fを向いたままで、取付部材3が占める空間の前後方向の長さが短い状態のまま、光を斜め下方に効率良く照射することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 照明器具
10 光源ユニット
16 器具本体
20 実装基板
21 LED
3 取付部材
4 台座部
40 基板取付面
5 放熱部材
61 反射板
611 上反射板
B 後方
D 下方
F 前方
U 上方