(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】点灯装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 47/105 20200101AFI20221125BHJP
【FI】
H05B47/105
(21)【出願番号】P 2018205065
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】201711278454.5
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】李 世春
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 震宇
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-334250(JP,A)
【文献】特開2003-235985(JP,A)
【文献】特開平04-348760(JP,A)
【文献】特開2017-176828(JP,A)
【文献】特開2015-207379(JP,A)
【文献】特開平03-222964(JP,A)
【文献】特開2012-104453(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0015314(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
A61M 21/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光源ユニットを点灯させるための点灯装置であって、
前記点灯装置は、
前記光源ユニットに電流を供給するように配置された点灯回路と、
前記点灯回路に対し調光制御を行うことにより、前記光源ユニットに対し調光を行うように配置された制御回路とを備え、
前記調光制御は睡眠誘導制御を含み、
前記睡眠誘導制御を行うとき、前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の値が増大および低減する変化を行うように、前記制御回路は前記点灯回路に対し制御を行い、
前記睡眠誘導制御を行う期間を複数の区間に分けた場合、前区間における前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の平均値は後区間における前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の平均値より大きく、前記睡眠誘導制御終了時に前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の値は予め定められた値に制御され、
前記睡眠誘導制御を行うとき、前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の変化における誘導時間帯は、ユーザーの呼吸頻度に基づいて設定されており、当該誘導時間帯は前記電流の波形が極小値から極大値に増大する時間帯または当該電流の波形が極小値から極大値に増大した後、極小値に低減する時間帯であ
り、
前記睡眠誘導制御を行うとき、前記複数の区間のうちのいずれか2つの隣接区間が以下の2つの条件のうちのいずれか1つを満たすように、前記制御回路は前記点灯回路に対し制御を行い、
前区間における前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の波形の極大値および極小値はいずれも後区間における前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の波形の極大値および極小値より大きい、および
前区間における前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の波形の極大値は後区間における前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の波形の極大値より大きく、前区間および後区間における前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の波形の極小値は同じであり、
前記複数の区間は、第1の区間、第2の区間および第3の区間を含み、
前記第1の区間内では、前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の波形の極小値が一定で、かつ、当該波形の極大値が低下し続け、
前記第2の区間内では、前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の波形の極大値および極小値がいずれも低下し続け、
前記第3の区間内では、前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の波形の極小値が一定である
点灯装置。
【請求項2】
前記睡眠誘導制御を行うとき、前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の値は少なくとも一部の区間内で正弦波状に変化する
請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記誘導時間帯は3秒~3.75秒の範囲内である
請求項1または2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記第3の区間内では、前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の波形の極小値が0である
請求項
2または3に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記睡眠誘導制御を行う期間において、前記誘導時間帯は3秒~3.75秒の範囲内で段階的に延びる
請求項3に記載の点灯装置。
【請求項6】
前記睡眠誘導制御全体における前記誘導時間帯は3秒、3.16秒、3.33秒、3.53秒、3.75秒のうち複数または全てを含む
請求項5に記載の点灯装置。
【請求項7】
前記予め定められた値は前記光源ユニットを点灯することのできない値である
請求項1~6のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の点灯装置、および
前記少なくとも1つの光源ユニットを備える
照明器具。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光源ユニットの色温度は3000K以下である
請求項8に記載の照明器具。
【請求項10】
前記照明器具はさらに前記点灯回路から供給される電流を受け取り、かつ、色温度が前記少なくとも1つの光源ユニットの色温度より高い第2光源ユニットを備え、
前記少なくとも1つの光源ユニットの照射方向は前記第2光源ユニットの照射方向と異なる
請求項8または9に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明分野に関し、特にユーザーの睡眠を改善することのできる点灯装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
世界保健機関の調査結果によると、27%の人が睡眠問題を抱えている。この問題は中国において急速に進んでおり、生活のテンポが速く、生活のストレスが大きい社会においてより顕著である。最新の調査結果によると、中国では35%~42%の人が睡眠問題に悩まされている。従来の解決方法では、例えば睡眠導入薬を服用するが、この問題を完全には解決できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、音や匂いなどでユーザーの睡眠を改善する各種方法が提案されている。しかし、現在提案されているいずれの方法も不眠症の人々のニーズを未だ満たしていない。
【0004】
これに鑑みて、本発明はユーザーの睡眠を改善することのできる点灯装置および照明器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によると、少なくとも1つの光源ユニットを点灯させるための点灯装置を提供し、前記点灯装置は、前記光源ユニットに電流を供給するように配置された点灯回路と、前記点灯回路に対し調光制御を行うことにより、前記光源ユニットに対し調光を行うように配置された制御回路とを備え、前記調光制御は睡眠誘導制御を含み、前記睡眠誘導制御を行うとき、前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の値が増大および低減する変化を行うように、前記制御回路は前記点灯回路に対し制御を行い、前記睡眠誘導制御を行う期間を複数の区間に分けた場合、前区間における前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の平均値は後区間における前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の平均値より大きく、前記睡眠誘導制御終了時に前記点灯回路から前記光源ユニットに供給する電流の値は予め定められた値に制御される。
【0006】
本発明の他の観点によると、上述のような点灯装置、および前記少なくとも一つ光源ユニットを含む照明器具を提供する。
【発明の効果】
【0007】
調査によると、情緒不安定は睡眠問題を引き起こす要因である。本発明の点灯装置および照明器具を用いて、光源ユニットから発せられる光を明暗変化させ、かつ強度を次第に低下させることにより、ユーザーの情緒を効果的に改善し、かつユーザーを瞑想状態に導くことができ、これにより睡眠を効果的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は本発明の実施例3における点灯装置および照明器具の構成を示す図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例1における点灯回路から光源ユニットに供給する電流の具体的な波形の例を示す図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例1における点灯回路から光源ユニットに供給する電流の具体的な波形の例を示す図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例1における点灯回路から光源ユニットに供給する電流の具体的な波形の例を示す図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例1における点灯回路から光源ユニットに供給する電流の具体的な時間設定の例を示す図である。
【
図6】
図6は本発明の実施例1における点灯回路から光源ユニットに供給する電流の具体的な時間設定の例を示す図である。
【
図7】
図7はテストにより得られるユーザーの入眠感、呼吸頻度および睡眠誘導制御実行時間の関係を示す図である。
【
図8】
図8は本発明の実施例3における点灯装置および照明器具の構成を示す図である。
【
図9】
図9は照明器具が吊り照明である場合の光源ユニットおよび第2光源ユニットの具体的な設置位置および照射方向を示す図である。
【
図10】
図10は照明器具がフロアスタンドである場合の光源ユニットおよび第2光源ユニットの具体的な設置位置および照射方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の例示的な各実施例、特徴および観点を詳細に説明する。明細書に含まれかつ明細書の一部を構成する図面は明細書とともに本発明の例示的な実施例、特徴および観点を示し、本発明の原理を説明するためのものである。図面において同じ符号は機能が同じまたは類似する要素を示す。図面において実施例の各観点を示すが、特に指示しない限り、縮尺どおりに描く必要はない。
【0010】
ここで「例示的」という用語は「例、実施例または説明的に用いられる」ことを意味する。ここで「例示的」として説明される如何なる実施例も他の実施例よりも好ましいまたは有利なものとして解釈されるべきではない。
【0011】
また、本発明をより良く説明するために、下記の具体的な実施の態様において多くの具体的な詳細を示す。当業者は、これら具体的な詳細に関わらず、本発明は同様に実施可能であると理解すべきである。一部の実施例において、本発明の趣旨を明確にするために、当業者にとって周知の方法、手段、要素および回路について詳細な説明は行わない。
【0012】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1における照明器具を示す。照明器具1は点灯装置2および光源ユニット3を含む。点灯装置2が光源ユニット3に電流を供給することにより、光源ユニット3を点灯させる。点灯装置2は、外部電源4から電力を受信し光源ユニット3に電流を供給するための点灯回路21および点灯回路21に対し調光制御を行うことにより光源ユニット3に対し調光を行う制御回路31を含む。
【0013】
電源4は商用電源などの交流電源でもよく、電池などの直流電源でもよい。点灯回路21の構成は電源4のタイプにより異なる。電源4が交流電源である場合、点灯回路21は整流平滑回路や電力変換回路を含んでもよい。整流平滑回路は整流回路や平滑コンデンサを含んでもよい。好ましくは、整流回路はダイオードブリッジを含んでもよい。整流回路は、交流電源から供給される交流電力に対し全波整流を行うように設けられる。平滑コンデンサは、整流回路を全波整流して得られる脈動電圧(脈動電流)に対し平滑化(波紋除去)を行うように設けられる。電力変換回路は降圧チョッパ回路(降圧DC/DCコンバータ)を含み、整流平滑回路から出力される電力を変換して、光源ユニット3が動作するために必要な電流を出力してもよい。電源4が直流電源である場合、点灯回路21は例えば昇圧チョッパ回路、降圧チョッパ回路または昇降圧チョッパ回路のDC/DCコンバータを含み、直流電源から出力される電力を変換して、光源ユニット3が動作するために必要な電流を出力してもよい。
【0014】
制御回路31は点灯回路21における光源ユニット3と直列接続するスイッチに対しスイッチ制御を行い、点灯回路21から光源ユニット3に出力する電流の値を変更することにより、光源ユニット3に対し調光を行ってもよい。
【0015】
光源ユニット3は1つまたは複数の直列および/あるいは並列接続のLED(発光ダイオード)を含んでもよい。光源ユニット3から発せられる光の強度と点灯回路2から光源ユニット3に供給する電流値の大きさとは正比例し、点灯回路21から光源ユニット3に供給する電流値が所定値より小さい場合、光源ユニット3は発光しない。
【0016】
ここで、以上の内容は本発明の点灯装置および照明器具の構成に対する例示的な説明にすぎない。本発明の点灯装置および照明器具の構成は以上の内容に限定されず、当業者は周知の如何なる適切な形式の構成を用いてもよい。
【0017】
以下、本発明のポイントである睡眠誘導制御について説明する。外部から対応する指示を受信あるいは予め定められた条件を満たす(例えば、ユーザーが予め定めたある時点に達する)場合、点灯回路21から光源ユニット3に供給する電流の値が増大および低減する変化を行うように、制御回路31は点灯回路21に対し制御を行うことができ、睡眠誘導制御を行う期間を複数の区間に分けた場合、前区間における点灯回路21から前記光源ユニット3に供給する電流の平均値は後区間における点灯回路21から光源ユニット3に供給する電流の平均値より大きく、睡眠誘導制御終了時に点灯回路21から光源ユニット3に供給する電流の値は予め定められた値に制御される。
【0018】
実際のユーザーのテストによる検証として、電流値が増大および低減する変化を行わせることにより、光源ユニットから発せられる光の明暗変化を生じさせ、人の情緒を安定させ、より容易に睡眠状態に入らせることができる。また、点灯回路21から光源ユニット3に供給する電流の平均値を低下し続け、睡眠誘導制御終了時に当該電流の値が比較的低い予め定められた値まで低下したことを維持することにより、ユーザーがすでに浅い眠り状態に入っている場合に光の強度の突然の変化により驚いて目を覚ますことを避けることができる。
【0019】
睡眠誘導制御時に点灯回路21から光源ユニット3に供給する電流の例は
図2、3、4により示されるとおりである。
図2、3、4の横軸は時間を示し、原点は睡眠誘導制御の実行を開始する時点であり、縦軸は電流値を示し、最大電流値に対する比率で示す。
図2において、電流は正弦波状に変化し、後の正弦波形の電流の最大値および最小値はいずれも前の正弦波形の最大値および最小値より小さく、最小値が0に達した後、最小値が0を維持する場合、各波形の電流の最大値は電流値が0に下がるまで低下し続ける。
【0020】
図3において、電流は正弦波状に変化し、各波形の電流の最小値が0を維持し、各波形の電流の最大値は電流値が0に下がるまで低下し続ける。
【0021】
図4において電流は同様に正弦波状に変化するが、変化パターンは3つの区間で異なる。第1の区間内で、各波形の電流の最小値が10%を維持し、最大値は低下し続ける。第2の区間内で、各波形の電流の最大値および最小値はいずれも前の波形に対し最小値が0に下がるまで低下する。第3の区間内で、各波形の電流の最小値が0を維持し、各波形の電流の最大値は電流値が0に下がるまで低下し続ける。
【0022】
図2、3、4の例を比較して分かるように、
図2により示される電流は睡眠誘導制御の前期に光源ユニット3から発せられる光を更に強くすることができるが、光の明暗変化は
図3、4ほど明確でなく、かつ睡眠誘導制御の後期に光源ユニット3から発せられる光は弱い。
図3により示される電流は最も強い明暗変化を生じさせることにより、より効果的にユーザーの注意を引くことができるが、前期から光源ユニット3が消灯する時間帯が現れ、不便であり、かつ前期の明暗変化が大きすぎて、一部のユーザーに刺激を与える可能性がある。
図4により示される電流には
図3の例と類似する欠点が存在するが、
図3の例に対し若干改善されている。
【0023】
制御回路31中に
図2、3、4に対応する制御プログラムを予め記憶し、点灯回路21から光源ユニット3に対応する電流を供給するように、睡眠誘導制御を実行するとき、当該制御プログラムを自動で実行してもよい。また、さらに、予め記憶された例えば
図2、3、4により示される電流波形のうち睡眠誘導制御時に供給する電流の波形をユーザーが選択するように、照明器具1にユーザーが操作可能な操作器を設けてもよい。例えば、
図2により示される電流波形を予め「緩やか」パターンとして記憶し、
図3により示される電流波形を予め「強い」パターンとして記憶し、
図4により示される電流波形を予め「標準」パターンとして記憶してもよい。ユーザーは自らの必要に応じていずれかのパターンを選択してもよい。
【0024】
ユーザーはさらに操作器により電流波形の編集を行い、所望の波形形状、最大値および最小値、時間長などを設定してもよい。ユーザーが編集を完了した後、点灯回路21から出力される電流がユーザー編集が完了した電流波形と一致するように、制御回路31はユーザー編集が完了したパターンに基づいて点灯回路21を制御してもよい。
【0025】
以上、
図2~4により示される電流波形は例示にすぎず、本発明はこれに限定されない。
図2~4において、電流はいずれも正弦波状に変化し、これにより光源ユニットから発せられる光の強度を平滑に変化させることにより、光の急激な変化によりユーザーに与える刺激を弱めてもよい。しかし、点灯回路21から光源ユニット3に供給する電流は、さらに他の波形形状で増大および低減する変化を行ってもよい(例えば三角波状、台形波状など)。また、本発明は電流の波形形状が睡眠誘導制御期間全体で同じである必要はない。例えば、睡眠誘導制御の前期に電流は三角波の形状で変化し、睡眠誘導制御の後期に電流は正弦波の形状で変化するように設計してもよい。
【0026】
図2~4において、各波形の電流値は前の波形に対し低下し続ける。しかし、本発明はこれに限定されず、電流が同じ波形で複数の周期を繰り返し、その後低下するように設けてもよい。
【0027】
図2~4において、(100%~50%)、(100%~0%)、(100%~10%)などの各種電流の変化幅を例示した。しかし、本発明はこれに限定されない。当業者にとって周知のように、電流の変化幅が大きいほど、光源ユニットの光の明暗変化が明確であり、ユーザーの注意を引くことができるが、同時に光源ユニットの光の明暗変化が大きすぎると、ユーザーに刺激を与える。従って、実際の情況に応じて電流の変化幅を選択してもよい。
【0028】
以下、
図5、6を参照して電流変化の時間長設定を説明する。
図5、6により示されるように、睡眠誘導制御を行うとき、点灯回路21から光源ユニット3に供給する電流の変化における誘導時間帯を3秒~3.75秒の範囲内に設定してもよく、当該誘導時間帯は電流が最小値から最大値に増大する時間帯(
図6により示される)または当該電流が最小値から最大値に増大した後、最小値に低減する時間帯(
図5により示される)である。
【0029】
これは人の呼吸頻度に基づき設けられる。人の呼吸頻度は通常16~20回/分である。テストによる検証として、人は光の明暗変化を感知したとき、通常、無意識に一回の呼吸を完了する時間を、光が暗から明に変化する時間(電流が最小値から最大値に増大する時間帯、例えば
図5、6により示される電流値が0%から100%となる時間帯)または光が暗から明となり再び暗に変化する時間(電流が最小値から最大値に増大した後、最小値に低減する時間帯、例えば
図5、6により示される電流値が0%から100%となり再び0%となる時間帯)と同じに調整する。
【0030】
光が暗から明に変化する時間または光が暗から明となり再び暗に変化する時間が3秒であるとき、人の呼吸頻度を20回/分に導くことができる。光が暗から明に変化する時間または光が暗から明となり再び暗に変化する時間が3.75秒であるとき、人の呼吸頻度を16回/分に導くことができる。
【0031】
従って、点灯回路21から光源ユニット3に供給する電流の変化における誘導時間帯を3秒~3.75秒の範囲内に設定することにより、人の呼吸頻度を16~20回/分内のある値に導き安定させ、睡眠誘導効果を更に高めてもよい。
【0032】
このほか、睡眠誘導効果を更に高めるために、光源ユニット3が発する光の色温度を3000K以下に設けてもよい。当業者にとって周知のように、人は異なる色温度の光に対し異なる心理的感覚を有し、テストによる検証として、異なるシーンに適用する異なる色温度が特定されている。例えば、色温度が6200Kの光は人に目覚め状態を維持させ、通常、学習、朝食、昼食、起床などのシーンに適用され、色温度が5000Kの光は、通常、料理、仕事、衣服選びなどのシーンに適用され、色温度が3500Kの光は、通常、集まりなどのシーンに適用され、色温度が2700Kの光は、通常、夕食、読書などのシーンに適用され、色温度が2500Kの光は、通常、就寝前などのシーンに適用される。光源ユニット3が発する光の色温度を3000K以下に設けることにより、より容易にユーザーをリラックス状態に入らせ、睡眠誘導効果を更に高めることができる。
【0033】
発明者は本発明の照明器具に対するユーザーの実際の感覚をテストした。テスト結果は
図7により示される。睡眠誘導制御実行時間が延びるにつれて、ユーザーの入眠感が増強し、かつユーザーの呼吸頻度が低下する。睡眠誘導制御実行時間が一定の長さに延びると、ほぼ確実にユーザーをスムーズに睡眠状態に入らせることができる。これは本発明の点灯装置および照明器具の睡眠改善に対する有効性を十分に証明している。当該テスト結果によると、睡眠誘導制御の時間を30分以上に設けてもよい。
【0034】
また、ユーザーは操作部により、自己の使用体験に基づいて、睡眠誘導制御の実行時間を設け、睡眠誘導制御終了後、光源ユニット3が完全に消灯する、あるいは低い輝度で点灯し続けるなどのように設けてもよい。
【0035】
(実施例2)
実施例2は実施例1と異なり、睡眠誘導制御時に点灯回路21から光源ユニット3に供給する電流の誘導時間帯は一定でなく、徐々に延びる。睡眠誘導制御の総実行時間を30分とすると、誘導時間帯を3秒として5分実行し、誘導時間帯を3.16秒として5分実行し、誘導時間帯を3.33秒として5分実行し、誘導時間帯を3.53秒として5分実行し、誘導時間帯を3.75秒として10分実行し、その後睡眠誘導制御を終了するように設けてもよい。
【0036】
また、異なる誘導時間帯の設定値の間に遷移時間帯を設け、当該遷移時間帯内に、誘導時間帯を徐々に延ばしてもよい。例えば、3秒の誘導時間帯と3.16秒の誘導時間帯との間に1分の遷移時間帯を設け、当該遷移時間帯内で、誘導時間帯は一定の長さに従って、例えば3.04秒、3.08秒、3.12秒、3.16秒の順序に従って、3秒から徐々に3.16秒に延びる。
【0037】
上述したように、3秒の誘導時間帯は人の呼吸頻度を20回/分に導くことができ、3.16秒の誘導時間帯は人の呼吸頻度を19回/分に導くことができ、3.33秒の誘導時間帯は人の呼吸頻度を18回/分に導くことができ、3.53秒の誘導時間帯は人の呼吸頻度を17回/分に導くことができ、3.75秒の誘導時間帯は人の呼吸頻度を16回/分に導くことができる。
【0038】
テストによる検証として、人はリラックス状態にあるほど呼吸頻度が低く、睡眠状態では、呼吸頻度は通常、最低値16回/分である。以上のように誘導時間帯を徐々に延ばすことにより、ユーザーの呼吸頻度を徐々に低下させ、ユーザーがより早く睡眠状態に入れるようにする。
【0039】
なお、以上の内容は例示にすぎず、本発明はこれに限定されない。各段階の時間は任意に設けてもよく、同じでも、異なってもよい。前記の遷移時間帯は設けてもよく、設けなくてもよい。遷移時間帯の長さおよび誘導時間帯の変化パターンは任意に設けてもよい。また、本発明は前記の5つの誘導時間帯すべてを必ず設定することに限定されず、そのうちの一部のみを含んでもよく、例えば誘導時間帯を順次3秒、3.33秒、3.75秒に設定してもよい。
【0040】
(実施例3)
本発明の実施例による照明器具11を
図8に示す。実施例1と異なり、照明器具11はさらに第2光源ユニット5を含む。当該第2光源ユニット5は点灯回路21から供給される電流を受けて点灯する。第2光源ユニット5の光の色温度を光源ユニット3より高く設定してもよい。このように、1つの照明器具11中に睡眠誘導制御を行うことができ、色温度が低い光源ユニット3および一般照明としての、色温度が高い第2光源ユニット5を収容することにより、1つの照明器具11を用いて睡眠誘導と一般照明を同時に実現することができ、スペースを効果的に節約することができる。
【0041】
第2光源ユニット5による光源ユニット3の睡眠誘導制御に対する影響を減らすために、光源ユニット3が睡眠誘導制御を行うときに第2光源ユニット5が消灯の状態にあるように設け、
図9、10により示されるように、光源ユニット3と第2光源ユニット5の照射方向を異なる方向に設定してもよい。
【0042】
例えば、
図9により示されるように、照明器具11を天井の吊り照明に取り付けるとき、光源ユニット3を照明器具11の外周部に取り付け、光源ユニット3の照射方向を上向き、すなわち天井方向に設定し、第2光源ユニット5を照明器具11の中心部に取り付け、第2光源ユニット5の照射方向を下向き、すなわち床方向に設定することが考えられる。
【0043】
図10に示されるように、照明器具11がフロアスタンドであるとき、光源ユニット3を照明器具11の外周部に取り付け、光源ユニット3の照射方向を下向き、すなわち床方向に設定し、第2光源ユニット5を照明器具11の中心部に取り付け、第2光源ユニット5の照射方向を上向き、すなわち天井方向に設定することが考えられる。
【0044】
前記のように光源ユニット3の照射方向を設定することにより、ユーザーがベッドに横たわり、就寝しようとするとき、光源ユニット3から発せられる光の明暗変化をより明確に見ることができ、これにより光源ユニット3の睡眠誘導制御の効果を強めることができる。
【0045】
なお、前記の光源ユニット3と第2光源ユニット5の設置位置および照射方向の設定は例示にすぎず、本発明はこれに限定されない。照明器具11の具体的構成および設置位置により、光源ユニット3および第2光源ユニット5の設置位置および照射方向を設定してもよい。
【0046】
以上、本発明の各実施例を説明したが、上述の説明は例示的であり、網羅的ではなく、かつ開示された各実施例に限定されるものでもない。説明された各実施例の範囲及び趣旨を超えない場合、当業者にとって多くの修正および変更はいずれも自明である。本文で用いられる用語の選択は、各実施例の原理、実際の適用または市場における技術の技術改良を最適に説明するため、あるいは当業者が本文により開示される各実施例を理解するためのものである。