(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】袋保持具、及び商品販売データ処理装置
(51)【国際特許分類】
G07G 1/00 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
G07G1/00 301Z
G07G1/00 331C
(21)【出願番号】P 2018128383
(22)【出願日】2018-07-05
【審査請求日】2021-06-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年2月14日~平成30年2月16日に、第52回スーパーマーケット・トレードショー2018にて公開 〔刊行物等〕 平成30年3月6日~平成30年3月9日に、リテールテックジャパン2018にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】本多 洋輝
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-086917(JP,A)
【文献】特開平08-080923(JP,A)
【文献】特開2011-054128(JP,A)
【文献】特開2016-146116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G1/00-G07G5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品販売データ処理装置に装着される袋保持具であって、
商品を詰める袋を保持する袋保持部と、
前記袋保持部が取り付けられた基体部と、
前記商品販売データ処理装置に前記基体部
の一端部を連結し、前記基体部の
一端部を基準として水平方向に前記基体部の向きを切替可能とすると共に、前記基体部の向きの切り替えに応じて前記袋保持部の
水平方向における位置を切替可能とする第一の切替手段と、を有する、
袋保持具。
【請求項2】
前記第一の切替手段は、前記基体部の向きの切り替えに応じて前記袋保持部の向きを切替えるとともに、第1の操作者側に寄せた位置と、第2の操作者側に寄せた位置に切り替える、
請求項1記載の袋保持具。
【請求項3】
前記第一の切替手段は、前記基体部を回動させ、店員と顧客が前記商品販売データ処理装置を挟んで向き合うラインに対して略直交する向き又は略平行な向きに、前記袋保持部の向きを切り替える、
請求項1
又は2記載の袋保持具。
【請求項4】
前記基体部に対し、前記袋保持部を折り畳み可能に取り付ける第二の切替手段、をさらに有する、
請求項1
乃至3いずれかの項に記載の袋保持具。
【請求項5】
前記第一の切替手段は、前記商品販売データ処理装置の縁辺のうち、店員と顧客が前記商品販売データ処理装置を挟んで向き合うラインと略平行な縁辺の略中央となる位置に設けられ、当該略中央部を起点にして前記基体部を回動させ、店員と客が前記商品販売データ処理装置を挟んで向き合うラインに対して略直交する向き又は略平行な向きに、前記袋保持部の向きを切り替える、
請求項1乃至
4いずれかの項に記載の袋保持具。
【請求項6】
袋保持具を備えた商品販売データ処理装置であって、
商品を詰める袋を保持する袋保持部と、
前記袋保持部が取り付けられた基体部と、
前記商品販売データ処理装置に前記基体部
の一端部を連結し、前記基体部の
一端部を基準として水平方向に前記基体部の向きを切替可能とすると共に、前記基体部の向きの切り替えに応じて前記袋保持部の
水平方向における位置を切替可能とする切替手段と、を有する、
商品販売データ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットなどで商品の登録及び精算を行う商品販売データ処理装置に取り付け又は備えられる器具であって、商品を詰める袋を保持するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等に設置され、顧客が購入する商品の登録や精算を行う商品販売データ処理装置には、商品等の品物を載置するレジ台に、商品を詰める袋や顧客が持参した袋等を開口させた状態に保持するアームを備えた器具が取り付けたものがある。通常、顧客は決済のための登録を行った商品をこのような器具で保持した袋に詰めて決済を行った後、商品を収容した袋を当該器具から取り外して持ち帰る。
【0003】
この点、特許文献1では、商品の登録から精算に至る工程を顧客が全て行うフルセルフ専用レジのための装置であって、載置台に立設する立設支持部と、袋を保持するアームと、アームが取り付けられたアーム保持具と、アーム保持具と立設支持部とを接続し、アームの延びる方向を載置台の載置面に対して略平行方向又は略垂直方向に自在とする回転支持部と、アーム保持具を操作するためにアーム保持具に所定量スライド可能にして取り付けられたレバーと、アームの延びる方向を略平行方向とした際に、レバーをスライドさせてレバーの端部を嵌合穴に差し込むことでアーム保持具を固定状態とし、レバーの端部を嵌合穴から抜くようにレバーをスライドさせる解除操作で固定状態を解除するロック機構と、を備える袋保持装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで、特許文献1に記載の袋保持装置のように、フルセルフ専用レジに対応した袋保持具は存在した。
しかしながら、近年では、スーパーマーケット等の店舗の稼働状況等に応じて、顧客が商品の登録から精算を行うレジとして、あるいは店員が商品の登録と袋詰めを行い、顧客が精算を行うレジとして機能するような可変的な商品販売データ処理装置が提供されている。このような商品販売データ処理装置では、状況に応じて袋詰めを行う主体が異なるため、顧客又は店員のどちらかが商品の袋詰めを行うことを前提とした袋保持具では不都合があった。
【0006】
そこで本発明は、状況に応じて、店員が商品の袋詰めを行う場合、あるいは顧客が商品の袋詰めを行う場合があっても、店員又は顧客が商品の袋詰めを行うのに好適な袋保持具を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る袋保持具は、商品販売データ処理装置に装着される袋保持具であって、商品を詰める袋を保持する袋保持部と、前記袋保持部が取り付けられた基体部と、前記商品販売データ処理装置に前記基体部を連結し、前記基体部の向きを切替可能とすると共に、前記基体部の向きの切り替えに応じて前記袋保持部の向きを切替可能とする第一の切替手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、状況に応じて、顧客が商品の登録から精算を行うレジとして、あるいは店員が商品の登録と袋詰めを行い、顧客が精算を行うレジとして機能する商品販売データ処理装置において、商品販売データ処理装置がいずれのレジとして機能する場合でも、顧客又は店員は商品を袋に詰めやく便利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る袋保持具、及び袋保持具を装着した商品販売データ処理装置を示す外観斜視図であって、(a)店員側からみた外観斜視図、(b)顧客側からみた外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る袋保持具、及び袋保持具を装着した商品販売データ処理装置を示す外観斜視図であって、(a)店員側からみた外観斜視図、(b)顧客側からみた外観斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る袋保持具、及び袋保持具を装着した商品販売データ処理装置を示す外観斜視図であって、(a)店員側からみた外観斜視図、(b)顧客側からみた外観斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る袋保持具の第1形態における正面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る袋保持具の第1形態における背面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る袋保持具の第1形態における平面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る袋保持具の第1形態における底面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る袋保持具の第1形態における左側面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る袋保持具の第1形態における右側面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る袋保持具の第1形態における正面側からみた斜視図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る袋保持具の第2形態における平面図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る袋保持具の第2形態における右側面図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る袋保持具の第2形態における正面側からみた斜視図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る袋保持具の第2形態における背面側からみた斜視図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る袋保持具の第3形態における正面図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る袋保持具の第3形態における平面図である。
【
図17】本発明の実施形態に係る袋保持具の第3形態における左側面図である。
【
図18】本発明の実施形態に係る袋保持具の第3形態における正面側からみた斜視図である。
【
図19】本発明の実施形態に係る袋保持具の第3形態における背面側からみた斜視図である。
【
図20】本発明の実施形態に係る袋保持具の第1形態において、袋を掛止させた状態を示す外観斜視図である。
【
図21】本発明の実施形態に係る袋保持具の第1形態において、カゴを載置させた状態を示す外観斜視図である。
【
図22】本発明の実施形態に係る袋保持具の第2形態において、袋を掛止させた状態を示す外観斜視図である。
【
図23】本発明の実施形態に係る袋保持具の第3形態において、袋を掛止させた状態を示す外観斜視図である。
【
図24】本発明の実施形態に係る袋保持具を配置したレイアウトの一例を示す図である。
【
図25】本発明の実施形態に係る袋保持具を配置したレイアウトの一例を示す図である。
【
図26】本発明の他の実施形態に係る袋保持具、及び商品販売データ処理装置が備える機能の一例を示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る袋保持具1について、図を参照して説明する。
本実施形態に係る袋保持具1は、商品販売データ処理装置2に装着され、商品を詰める袋を保持するものである。この袋保持具1は後述するとおり、状況に応じて、
図1、
図2、
図3に示される3つの形態にすることができ、それぞれ、収納された形態(以下、「第1形態」と称することがある)、店員が商品の袋詰めを行うのに好適な形態(以下、「第2形態」と称することがある)、顧客が商品の袋詰めを行うのに好適な形態(以下、「第3形態」と称することがある)である。
以下ではまず、商品販売データ処理装置2及び袋保持具1の構成について説明する。
【0011】
●商品販売データ処理装置2
図1~3に示される商品販売データ処理装置2は、商品の登録や精算を行う装置であり、店員が商品の登録を行う場合には、店員と顧客は商品販売データ処理装置2を挟んで互いに向き合った位置に立ち、店員が商品の登録を行い、店員が袋詰めをしている間に顧客によって精算が行われる。
なお、以下では、店員と顧客が商品販売データ処理装置2を挟んで向き合うラインLとの関係から、袋保持具1の取付位置や部材の動きを特定することがある。また、顧客が商品販売データ処理装置2によって商品の登録から精算までを行い、店員が商品販売データ処理装置2を操作しない場合もあるが、この場合についても、上述のように店員と顧客が用品販売データ処理装置を挟んで向き合った場合のラインLを観念して説明する。
【0012】
この商品販売データ処理装置2は、店員側表示部21や顧客側表示部22のほか、通常のPOSレジスタが備える機構として、商品に付されたバーコードを読み取るスキャナ、情報や指示を直接入力するためのキー等の操作ボタン、現金を処理する釣銭釣札部、レシートを発行する印刷部、クレジットカードなどの決済媒体による決済を可能とする決済部などを備える。
なお、商品販売データ処理装置2は、他の商品販売データ処理装置2や、複数の商品販売データ処理装置2を管理等するストアコントローラなどと通信可能に接続されていてもよい。
【0013】
店員側表示部21と顧客側表示部22は、登録した商品や合計額を表示するディスプレイや、データ表示と合わせて所定のデータの入力を受け付けられるタッチパネルなどによって構成される。
この店員側表示部21と顧客側表示部22は、互いと反対の向きに画面を向けており、店員側表示部21は店員に対して画面を向け、顧客側表示部22は顧客に対して画面を向けている。
また、店員側表示部21と顧客側表示部22は、略直方体状の基台23の上部に設置されており、店員や顧客の目線に近い位置に合わせられている。
【0014】
なお、商品販売データ処理装置2の基台23の側面であって、袋保持具1が装着された箇所の下方には、商品を詰める袋やカゴ、段ボールなどを載置することのできる平板状の載置台24が設けられており、
図21は載置台24にカゴ4を載置させた例を示している。また同様に、袋保持具1が装着されている側面とは反対側の側面にも載置台24が設けられている。ただし、本実施形態に係る袋保持具1の使用において、載置台24はなくてもよいし、両側面のどちらか一方にのみ設けるものとしてもよい。
【0015】
また、本実施形態に係る商品販売データ処理装置2は、通常モード、フルセルフモード、セミセルフモード、の相互に切替可能な3つのモードによる動作が可能である。通常モードは、店員側にて登録処理を実行し、顧客側にて精算処理を実行する動作モードであり、フルセルフモードは、顧客側にて登録処理と精算処理を実行する動作モードであり、セミセルフモードは、少なくとも他の商品販売データ処理装置2から商品の登録情報を受け取って精算のみを実行する動作モードである。
店舗等の運営者は、店舗等の状況に応じてモードを切り替えて商品販売データ処理装置2を使用することができる。そして、通常、通常モードでは店員が商品の袋詰めを行い、フルセルフモード及びセミセルフモードでは顧客が商品の袋詰めを行う。
【0016】
●袋保持具1
図4~
図19に本実施形態に係る袋保持具1を示す。
袋保持具1は、略棒状の一対のアーム13、一対のアーム13が取り付けられた略平板状の基体部12、アーム13を折り畳み可能に基体部12に連結するヒンジh2、商品販売データ処理装置2に取り付けられ、袋保持具1を商品販売データ処理装置2に装着させる取付部11、基体部12を回動可能に取付部11に連結するヒンジh1によって構成される。
なお、袋保持具1は金属、特に本例では強磁性を示す金属材料を主材とし、商品を詰めた袋を保持した状態でも容易に撓んだりすることのない強度を有している。なお、各部材の表面には適宜、塗装を施し、腐食や劣化を防ぐと共に、スーパーマーケット等に配設するのに好適な見栄えを備えさせるとよい。
【0017】
●取付部11
取付部11は、略平板状の部材であって、商品販売データ処理装置2の基台23の側面に取り付けられ、袋保持具1を商品販売データ処理装置2に装着させる。この取付部11には、所定の箇所にネジ孔11aが設けられている。また、商品販売データ処理装置2の側面にも、ネジ孔11aに対応したネジ穴が設けられており、ネジ孔11aを介してネジ穴にネジを螺入させることで、取付板を基台23の側面にネジ止めすることができる。
なお、取付部11を商品販売データ処理装置2の側面に取り付ける手段はネジ止めに限られず、接着剤による接着や溶接など、各種の手段によることができる。
【0018】
取付部11の長さ方向の一端部には、基体部12を取付部11に対して回動可能に連結するヒンジh1が取り付けられている。
また、取付部11は基台23の側面の奥行の約半分程度の長さを有している。そして、取付部11は商品販売データ処理装置2の縁辺のうち、店員と顧客が商品販売データ処理装置2を挟んで向き合うラインLと略平行な縁辺の略中央となる位置にヒンジh1がくるよう、基台23の奥行方向の一端側、本例では店員側に偏った位置に取り付けられている。
【0019】
●ヒンジh1
ヒンジh1は、商品販売データ処理装置2に基体部12を連結し、基体部12の向きを切替可能とすると共に、基体部12の向きの切り替えに応じてアーム13の向きを切替可能とする第一の切替手段を構成する。さらに本例について詳述すると、ヒンジh1は基体部12を取付部11に対して回動可能に連結している。また、このヒンジh1は、基台23の奥行方向の略中央に位置しており、基体部12の背面を取付部11の正面に重ねた状態から、取付部11に対して基体部12が直角な向きを向くように基体部12を回動させて、基体部12の向きを切り替えることができる。また、このように回動させて、基体部12の向きを切り替えた場合、基体部12から一対のアーム13を延び出させた状態においては、アーム13が延出する向きを切り替えることができる。具体的には、アーム13がラインLに対して略直交する向きに延び出した状態から、アーム13がラインLに対して略平行であって、顧客側へ延び出した状態になる。
【0020】
●基体部12
基体部12は、一面側に一対のアーム13が取り付けられた略平板状の部材である。
この基体部12にはその一端部において、ヒンジh1を介して取付部11と連結されている。ヒンジh1は、基体部12を回動可能に取付部11に連結しており、これにより基体部12はヒンジh1を起点にして回動させることができる。基体部12は、背面部が取付部11の正面に当接して取付部11上に重畳した状態から、ヒンジh1を起点として約90度回動させることができ、この状態では、基体部12は取付部11に対して略直角な向きをなしている。
【0021】
基体部12は一定の厚みを有しており、一定の厚みを構成する側面のうち、ヒンジh1が設けられている側の側面には、マグネットm1が取り付けられている。取付部11に対して基体部12が直角となるよう、ヒンジh1を起点に基体部12を回動させると、マグネットm1が設けられた側面は取付部11の正面に当接する。このとき、少なくとも取付部11が、強磁性を示す金属で構成されていれば、基体部12の側面に設けられたマグネットm1は取付部11に吸着し、取付部11に対して基体部12が直角をなした状態に固定される。
なお、本例では、基体部12の側面にマグネットm1を設けたが、これに限らず、基体部12の側面が当接する取付部11の表面にマグネットm1を設けてもよいし、ヒンジh1にマグネットm1を設けてもよい。また、その他のロック機構によって、直角の状態を保持する機構であってもよい。
【0022】
基体部12の幅方向略中央の上端には、取付部11側へ延び出した舌片部121が設けられており、舌片部121上にはさらに、袋を掛止させるための掛止突起121aが設けられている。
掛止突起121aは、舌片部121から上方へ延び出すと共に、鉤爪状に取付部11側へ折曲している。これにより、
図19~22に示されるように、袋3に形成された掛止孔を掛止突起121aに掛止させれば、意図せず袋保持具1から袋3が脱落するのを防ぐことができる。
【0023】
●アーム13
一対のアーム13は、袋を掛止させて保持する袋保持部を構成する部材であって、互いと一定の長さだけ離間して、基体部12の一面側から垂直に延出している。
この一対のアーム13はその基端において、基体部12とヒンジh2によって連結されており、商品を袋に詰めない場合、例えば顧客が自ら持参したカゴ4などを載置台24に置く場合には、互いに向き合う方向へヒンジh2を起点にして折り畳むことができる。
なお、
図21に示されるように、アーム13は載置台24よりも十分に高い位置に設けられており、載置台24にカゴ4を載置させた場合でも、アーム13はカゴ4の上端面よりも高い位置にくる。これにより、収納した状態でも基台23から僅かに外側へ張り出すアーム13に関わらず、カゴ4を基台23側へ寄せて載置させることができる。その結果、カゴ4を載置させる載置台24上スペースを省スペース化できるし、基台部23に近い位置にカゴ4を載置できることで、商品の袋詰めの際に便利である。
【0024】
アーム13の先端には、袋をアーム13上に掛止するための掛止部13aが設けられている。掛止部13aは、水平方向に延び出すアーム13において、側面視、僅かに下方へ凹状に屈曲した部分である。
ここで、
図19~
図22に示されるように、本実施形態に係る袋保持具1によって保持される袋3の一例は、対向して設けられた一対の把持部31と、袋3を閉じるために互いと結わえられる一対の帯片32とを有している。一対の把持部31は、一定の幅を有する帯状の輪であり、アーム13を挿し込むための挿込孔が設けられている。また、帯片32にも、掛止突起121aに掛止させるための掛止孔が設けられている。
把持部31に設けられた挿込孔には夫々、アーム13が挿し込まれ、掛止孔には掛止突起121aが掛止する。複数の袋3は折り畳んだ状態でアーム13及び掛止突起121aに掛止されており、袋詰めを行う場合には、外側の袋3について、把持部31はアーム13に掛止させたまま、一の帯片32を掛止突起121aから外して開口させる。
【0025】
なお、上記の例にかかわらず、顧客が持参した袋を一対のアーム13に掛止させ、当該袋に商品を詰めることもできる。
また、他の例においては、アーム13は一対でなくてもよい。
【0026】
●ヒンジh2
ヒンジh2は、基体部12に対し、アーム13を折り畳み可能に取り付ける第二の切替手段を構成する。さらに本例について詳述すると、ヒンジh2はアーム13を基体部12上に折り畳み可能に連結している。また、このヒンジh2は、基体部12の表面において、ラインLに沿って互いに離間した位置に設けられており、アーム13を互いに向き合う方向に回動させ、一対のアーム13を重畳的に収納させたり、逆にアーム13を互いから離間する方向に回動させ、基体部12上から垂直に延出させたりすることができる。
【0027】
なお、ヒンジh2は、互いと当接、離反する一対の舌片状の可動片からなるところ、当該可動片にマグネットm2を取り付け、一対の可動片が当接した時に、当該一対の可動片を磁性吸着させられるようにしてもよい。これにより、アーム13が基体部12から垂直に延び出した状態に基体部12を固定することができる。
【0028】
●第1形態
続いて、本実施形態に係る袋保持具1の状況に応じた使用形態について説明する。
図1、
図4~
図10、
図20、
図21は、袋保持具1を用いて商品の袋詰めを行わない場合に好適な第1形態を示している。
この第1形態では、基体部12が取付部11に重畳するように折り畳まれると共に、一対のアーム13も折り畳まれている。これにより、載置台24上は開放され、顧客が持参したカゴ4や段ボールなどを置くことができ、カゴ4や段ボールに商品を詰める場合に好適である。
【0029】
●第2形態
図2、
図11~
図14、
図22は、店員が商品の袋詰めを行うのに好適な第2形態を示している。
この第2形態は、
図1、
図4~
図10、
図20、
図21で示した第1形態から、ヒンジh2を起点にして一対のアーム13を互いに離れる方向に回動させることにより形成される。
【0030】
この第2形態では、取付部11に基体部12が重ねられつつ、載置台24上においては、ラインLと直角な向きにアーム13が延出している。また、アーム13は、商品販売データ処理装置2の基台23の奥行方向、店員側に偏った位置から延出している。これにより、一対のアーム13に袋を掛止させつつ、使用する袋を開口させれば、店員が商品の袋詰めを行う場合に好適である。
【0031】
●第3形態
図3、
図15~
図19、
図23は、顧客が自ら、商品の袋詰めを行うのに好適な第3形態を示している。
この第3形態は、
図2、
図11~
図14、
図22で示した第2形態から、ヒンジh1を起点にして基体部12を取付部11から離れる方向に回動させることにより形成される。なお、アーム13は、基体部12が取付部11に重ねられた第1形態、あるいは基体部12を取付部11から回動させた第2形態のいずれの形態からでも、ヒンジh1を起点に回動させて、基体部12から延出させることができる。
【0032】
この第3形態では、載置台24上において、商品販売データ処理装置2の基台23の奥行方向、略中央から、顧客側へアーム13が延出している。これにより、一対のアーム13に袋を掛止させつつ、使用する袋を開口させれば、顧客が商品の袋詰めを行う場合に好適である。
【0033】
●レイアウト
続いて、本実施形態に係る袋保持具1を装着させた商品販売データ処理装置2を複数、配設する場合のレイアウトの一例を説明する。
図24及び
図25の例はいずれも、4台の商品販売データ処理装置2を設置したレイアウトの一例を示している。
図24の例は、全ての商品販売データ処理装置2を、顧客Cが商品の登録から精算まで行うフルセルフモードで機能させている場合を示している。
この例では、4台の商品販売データ処理装置2に装着された袋保持具1はいずれも、第3形態をとっており、商品販売データ処理装置2を使用する顧客Cが袋詰めを行うのに好適な状態になっている。
【0034】
図25の例は、2台の商品販売データ処理装置2を、店員Sが商品の登録を行う通常モードで機能させると共に、他の2台の商品販売データ処理装置2を、商品販売データ処理装置2から商品の登録情報を受け取って精算のみを実行するセミセルフモードで機能させている場合を示している。ここで、2台の商品販売データ処理装置2は、商品の登録と精算を行いつつ、混雑時には商品の登録データを商品販売データ処理装置2に送信して混雑を緩和させる。一方、2台の商品販売データ処理装置2は、商品の登録を実行する商品販売データ処理装置2から精算用のデータを受け付け、顧客Cによる精算処理を実行する。
この例では、2台の商品販売データ処理装置2に装着された袋保持具1は第2形態をとっており、商品の登録を行った店員Sがそのまま商品の袋詰めを行えるようになっている。一方、他の2台の商品販売データ処理装置2に装着された袋保持具1は第3形態をとっており、店員Sによって商品販売データ処理装置2で商品の登録を受けた顧客Cは、そのまま商品販売データ処理装置2のほうへ移って精算を行うと共に、商品の袋詰めを行えるようになっている。
【0035】
以上の本実施形態に係る袋保持具1によれば、状況に応じて、顧客又は店員のいずれが商品の袋詰めを行う場合でも、それぞれの状況に応じて、顧客又は店員が商品の袋詰めを行いやすくすることができる。
【0036】
次に、本発明の他の実施形態に係る袋保持具1について説明する。
本実施形態では、袋保持具1の形態の変更を検知して、商品販売データ処理装置2のモードを移行する。
商品販売データ処理装置2が移行し得るモードには上述の通り、店員が商品の登録を行う通常モード、顧客が商品の登録から精算まで行うフルセルフモード、他の商品販売データ処理装置2から商品の登録情報を受け取って精算のみを実行するセミセルフモード、の相互に切替可能な3つのモードがある。
【0037】
ここで、通常モードの場合には、店員が商品の袋詰めを行う。そのため、袋保持具1を店員が商品の袋詰めを行うのに好適な第2形態に変更した場合には、これを検知して商品販売データ処理装置2を通常モードに移行させる。
一方、フルセルフモード及びセミセルフモードの場合には、顧客が商品の袋詰めを行う。そのため、袋保持具1を顧客が商品の袋詰めを行うのに好適な第3形態に変更した場合には、これを検知して商品販売データ処理装置2をフルセルフモード又はセミセルフモードに移行させる。なお、フルセルフモード又はセミセルフモードのいずれに移行させるかは例えば、設定によっていずれかのモードに移行させるとよい。
【0038】
このような袋保持具1、及び袋保持具1と連動する商品販売データ処理装置2について、モードの移行に必要となる機能の構成を
図26に示す。
袋保持具1は、使用形態を検知する検知部101を有し、商品販売データ処理装置2は、モードの移行を制御する制御部201を有している。
また、袋保持具1と商品販売データ処理装置2は所定の配線等によって接続されており、制御部201は、検知部101によって生成された情報を取得することができる。なお、制御部201は検知部101によって生成された情報を取得するが、これは袋保持具1と商品販売データ処理装置2を所定の配線等で接続する以外にも、無線LANや有線LANといった通信手段による接続によることもできる。
【0039】
検知部101は、袋保持具1の形態について、基体部12が折り畳まれて取付部11上に重ねられた第1形態、又は基体部12が取付部11から離された第2形態あるいは第3形態のいずれの形態であるかを検知する。具体的には、基体部12の側面の所定の箇所と取付部11の正面の対応する箇所に端子を設けると共に、端子同士が当接することによって閉回路を形成する電気回路を設け、その通電状態を検知する。これにより、通電した場合には、基体部12が載置台24上に広げられていることが検知され、通電していない場合には、基体部12が取付部11上に重ねられ、収納された形態にあることが検知される。なお、このような検知方法は一例であって、基体部12の側面にタッチセンサーを設けてもよいし、ヒンジh1に上記のような端子を設けたり、タッチセンサーを設けたりしてもよい。
【0040】
制御部201は、検知部101から取得した、袋保持具1の形態に係る情報に基づき、商品販売データ処理装置2を制御して所定のモードに移行させる。具体的には、袋保持具1の形態が第2形態に移行した場合には、商品販売データ処理装置2を通常モードに移行させる。また、袋保持具1の形態が第3形態に移行した場合には、商品販売データ処理装置2をフルセルフモード又はセミセルフモードに移行させる。なお、フルセルフモード又はセミセルフモードのいずれに移行させるかは上記の通り設定等による。
【0041】
本実施形態に係る袋保持具1によれば、袋保持具1の形態に応じて自動的に商品販売データ処理装置2のモードが適切なモードに移行して便利である。
【0042】
なお、本実施形態に関わらず、商品販売データ処理装置2が移行し得るモードは、店員が商品の登録を行う通常モードと、顧客が商品の登録から精算まで行うフルセルフモードの相互に切替可能な2つのモード、あるいは、店員が商品の登録を行う通常モードと、他の商品販売データ処理装置2から商品の登録情報を受け取って精算のみを実行するセミセルフモードの相互に切替可能な2つのモードとすることもできる。この場合には、袋保持具1が第3形態をとると、前者であればフルセルフモードに移行し、後者であればセミセルフモードに移行する。
【0043】
なお、以上の本実施形態では、袋保持具1は商品販売データ処理装置2に装着される別体として構成したが、これに関わらず、袋保持具1が商品販売データ処理装置2の一部を構成するよう、袋保持具1と商品販売データ処理装置2を一体的に構成させることもできる。
【0044】
また、以上の本実施形態において、基体部12は、ヒンジh1を介して商品販売データ処理装置2に直接、回動可能に連結させることもできる。即ち、基体部12を商品販売データ処理装置2の基台23の側面に装着させることもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 袋保持具
11 取付部
12 基体部
121 舌片部
121a 掛止突起
13 アーム
13a 掛止部
101 検知部
h1、h2 ヒンジ
m1、m2 マグネット
L ライン
2 商品販売データ処理装置
21 店員側表示部
22 顧客側表示部
23 基台
24 載置台
201 制御部
3 袋
4 カゴ