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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】遊技情報表示装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
A63F7/02 350Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018151933
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020025725
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000101204
【氏名又は名称】株式会社oneA
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 雅人
【審査官】森川 能匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-079466(JP,A)
【文献】特開2003-284864(JP,A)
【文献】特開2005-080826(JP,A)
【文献】特開2003-239609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技情報を表示する遊技情報表示部と、遊技者の操作を受ける操作部とが設けられた装置本体と、
遊技機の上方において、遊技島の壁面に、前記壁面と前記装置本体との間の前後方向の距離を変えることで前記装置本体の前後方向の位置を調整可能に、前記装置本体を支持する支持部とを備え
前記支持部は、前記壁面に固定される壁側固定部と、前記装置本体に固定される装置側固定部とを備え、
前記壁側固定部と前記装置側固定部とは、一方の少なくとも一部が他方に入り込むことで、前後方向に相対的にスライド可能に連結され、
前記壁側固定部及び前記装置側固定部は、ともに前後方向に延びる筒状部を有し、前記筒状部の一方が他方を覆うように相対的にスライド可能であり、かつ、外側に位置する前記筒状部の内壁面と内側に位置する前記筒状部の外壁面とが互いに近接している
ことを特徴とする遊技情報表示装置。
【請求項2】
請求項に記載の遊技情報表示装置において、
前記支持部は、前後方向の離散する位置で前記壁側固定部と前記装置側固定部の相対位置をロックさせるロック機構を備えている
ことを特徴とする遊技情報表示装置。
【請求項3】
請求項に記載の遊技情報表示装置において、
前記ロック機構は、前記壁側固定部及び前記装置側固定部の一方に設けられた係合部と他方に設けられた被係合部とが互いに係合することでロックするように構成され、かつ、前記装置本体を持ち上げることで、前記係合部と前記被係合部のロックが解除されるように構成されている
ことを特徴とする遊技情報表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の遊技情報表示装置において、
前記支持部は、前記装置本体と遊技場の壁面との間において、互いに着脱可能に前後方向に積層された少なくとも2枚の積層板により構成され、かつ、前記積層板のうちの前端に位置する前板が前記装置本体に、後端に位置する後板が前記壁面にそれぞれ固定されている
ことを特徴とする遊技情報表示装置。
【請求項5】
請求項に記載の遊技情報表示装置において、
前記装置本体と前記支持部の前板との間、及び、前記積層板同士の間は、それぞれ、一方側の表面に設けられた係合部と他方側の表面に設けられた被係合部とが、上下方向及び水平方向の相対移動を規制するように係合することで連結されている
ことを特徴とする遊技情報表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の上方に設置される遊技情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技場では、パチンコ機やパチスロ機が設置される遊技島の上方に、遊技者に遊技情報を提供するための遊技情報表示装置が設置されている(例えば、特許文献1の図1参照)。一般的に、遊技情報表示装置の前面には、上記遊技情報を表示するための表示部と、遊技場の従業員を呼び出したり、遊技情報表示装置の設定を変更したりするための押ボタンやタッチパネル等で構成された操作部とが設けられている。
【0003】
ところで、近年、特許文献2に示されるように、遊技機前枠の上側に大型の上側装飾部が設けられた遊技機が提供されている(例えば、特許文献2の図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-245687号公報
【文献】特許6365995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、遊技情報装置は、遊技機が取り付けられる壁面やその上側に設けられた幕板の表面に取り付けられている。しかしながら、遊技機に対して、特許文献2のような大型の上側装飾部が設けられると、遊技者が遊技情報表示装置の情報を視認しにくくなったり、呼出手段や情報表示操作手段の操作がしにくくなったりすることがある。
【0006】
一方で、遊技機の中には、特許文献2に示されるような大型の上側装飾部が設けられていないタイプの遊技機も多数存在しており、遊技機の前面に装飾部が設けられた遊技機と、装飾部が設けられていない遊技機とが混在している状況となっている。さらに、装飾部が設けられている場合にも、その大きさが遊技機によって異なるという状況が生じている。
【0007】
上記の点に鑑み、遊技機の装飾の形態にかかわらず、表示情報の視認性及び操作性の高い遊技情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る遊技情報表示装置は、遊技情報を表示する遊技情報表示部と、遊技者の操作を受ける操作部とが設けられた装置本体と、遊技機の上方において、遊技島の壁面に、前記壁面と前記装置本体との間の前後方向の距離を変えることで前記装置本体の前後方向の位置を調整可能に、前記装置本体を支持する支持部とを備えている。
【0009】
本態様の遊技情報表示装置では、装置本体を支持する支持部によって、装置本体の前後方向の位置が調整できるようになっている。装置本体には、遊技情報表示部や操作部が設けられているので、これらを遊技者に近づけたり、壁側に近づけたりすることができる。これにより、遊技場において、遊技機の装飾部の形態等に応じて、装置本体の位置を前後方向に調整することができるようになる。例えば、遊技機の前面に装飾部が設けられていないような遊技機が設置された遊技島では、装置本体が壁側に近づくように調整し、遊技機の前面に装飾部が設けられている遊技機が設置された遊技島では、その装飾部の前側へのせり出し具合に応じて、装置本体の前後方向の位置を調整する、といったことができるようになる。したがって、遊技機の装飾の形態にかかわらず、遊技情報表示部の視認性及び操作部の操作性を高めることができる。
【0010】
前記支持部は、前記壁面に固定される壁側固定部と、前記装置本体に固定される装置側固定部とを備え、前記壁側固定部と前記装置側固定部とは、一方の少なくとも一部が他方に入り込むことで、前後方向に相対的にスライド可能に連結されていてもよい。
【0011】
このように、支持部を壁側固定部と前記装置側固定部とが相対的にスライドする方式にすることで、装置本体の前後方向の位置調整する際に、支持部の取付け/取り外しすることなく位置調整をすることができる。
【0012】
前記壁側固定部及び前記装置側固定部は、ともに前後方向に延びる筒状部を有し、前記筒状部の一方が他方を覆うように相対的にスライド可能であり、かつ、外側に位置する前記筒状部の内壁面と内側に位置する前記筒状部の外壁面とが互いに近接していてもよい。
【0013】
このような構成にすることで、外側に位置する筒状部の内壁面と、内側に位置する筒状部の外壁面とが互いに干渉するので、筒状部に、支持部の上下方向及び水平方向へのぐらつきを抑制する抑制機能を兼ねさせることができる。
【0014】
前記支持部は、前後方向の離散する位置で前記壁側固定部と前記装置側固定部の相対位置をロックさせるロック機構を備えている。
【0015】
このようなロック機構を設けることで、装置本体の前後の調整位置のバリエーションを増やすことができる。
【0016】
前記ロック機構は、前記壁側固定部及び前記装置側固定部の一方に設けられた係合部と他方に設けられた被係合部とが互いに係合することでロックするように構成され、かつ、前記装置本体を持ち上げることで、前記係合部と前記被係合部のロックが解除されるように構成されていてもよい。
【0017】
このような構成にすることで、遊技場の従業員等がより簡単に(例えば、片手で)装置本体の前後方向の位置を調整することができるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、遊技機の装飾の形態にかかわらず、表示情報の視認性及び操作性の高い遊技情報表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】遊技情報表示装置(収納状態)の使用状態図
図1B】遊技情報表示装置(引出状態)の使用状態図
図2A】第1実施形態の遊技情報表示装置(収納状態)を右斜め上側から見た斜視図
図2B】第1実施形態の遊技情報表示装置(収納状態)を右斜め下側から見た斜視図
図2C図2BのIIC-IIC線断面図
図2D図2BのIID-IID線断面図
図3A】第1実施形態の遊技情報表示装置(引出状態)を右斜め上側から見た斜視図
図3B】第1実施形態の遊技情報表示装置(引出状態)を右斜め下側から見た斜視図
図3C図3BのIIIC-IIIC線断面図
図3D図3BのIIID-IIID線断面図
図3E】支持部の引出位置でのロック機構について説明するための図
図4】第2実施形態の遊技情報表示装置の側面図
図5A】積層板の構成例を示す正面図、平面図、及び側面図
図5B】積層板の構成例を示す背面図
図6A】遊技情報表示装置(収納状態)の使用状態図
図6B】遊技情報表示装置(引出状態)の使用状態図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用範囲あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
【0021】
<本願発明の前提となる知見>
図1A及び図1Bに示すように、従来から、遊技情報表示装置1は、遊技機8の上方において、遊技島の壁面Waに取り付けられている。
【0022】
図1Aの実線で示すように、従来から知られている遊技機8(以下、説明の便宜上、従来型遊技機という)では、前面に装飾部81が設けられていないものが多かった。もしくは、遊技機8の前面に装飾部81が設けられていても、装飾部81のうちの遊技機8の枠体(図示省略)の上側に位置する上側装飾部81aの前側への突出量が少なかった。したがって、遊技機8の枠体の厚さを考慮して遊技情報表示装置1を遊技機8の上方に設置さえすれば、遊技者Pの遊技情報表示装置1を見る視線が遊技機8の装飾部81によって遮られるようなことはなかった。
【0023】
一方で、近年、大当たりに当選したことへの高揚感を高める観点から、遊技機の前面に突出するような装飾部81が設けられている遊技機(以下、説明の便宜上、新型遊技機と称する)が増加している。特に、特許文献2に示されるように、前側への突出量が大きい上側装飾部81aを取り付けた遊技機8もあり、今後も増えていく可能性がある。
【0024】
このような新型遊技機では、図1Aの仮想線で示すように、装飾部81(特に、上側装飾部81a)によって、後述する遊技情報表示装置1を見る遊技者Pの視線(図1Aの破線参照)がさえぎられる可能性がある。また、上側装飾部81aが邪魔になって、後述する遊技情報表示装置1の操作部22の操作がしにくくなることが起こっている。
【0025】
現在、遊技場では、従来型遊技機と、新型遊技機とが混在している。また、新型遊技機においても、機種ごとに上側装飾部81aの突出量が異なっている。
【0026】
そこで、本願発明者らは、遊技場(遊技島W)の壁面Waと後述する装置本体2との間の前後方向の距離を変えることで装置本体2の前後方向の位置を調整できるようにすることにより、遊技機8の装飾の形態にかかわらず、表示情報の視認性及び操作性の高い遊技情報表示装置1を提供することができると考えた。
【0027】
具体的に、本開示では、遊技場(遊技島W)の壁面Waに対して装置本体2を支持するための支持部3を設けており、この支持部3によって、遊技場の壁面Waと装置本体2との間の前後方向の距離を変えることで装置本体2の前後方向の位置を調整できるように構成されている点に特徴がある。
【0028】
<第1の実施形態>
まず、本願発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態では、支持部3をスライド式にした例について説明する。本実施形態では、図1A及び図2A図2Dにおいて、装置本体2を後側に移動させた状態(以下、収容状態という)を示しており、図1B及び図3A図3Dにおいて、装置本体2を前側に移動させた状態(以下、引出状態という)を示している。以下、図面を参照しつつ、具体的に説明する。
【0029】
なお、本開示では、遊技者Pの座っている側を「前」、遊技島Wの壁面Wa側を「後」と定義する。また、上記で定義した前後に基づいて、「左」及び「右」を定義する。
【0030】
遊技情報表示装置1は、遊技情報表示部21及び操作部22が設けられた装置本体2と、遊技場に立設された遊技島Wの遊技機8上方の壁面Waに装置本体2を支持する支持部3とを備えている。
【0031】
遊技情報表示部21は、装置本体2の前面に設けられており、対応する遊技機8の遊技情報や、該遊技機8に対応したキャラクター画像等の遊技情報を表示する。なお、遊技情報表示部21は、1つに限定されるものではない。例えば、図2Aに示すように、遊技情報表示部21を2つ以上の領域(図2Aでは、21a,21bと記載)に分けるようにしてもよい。また、遊技情報表示部21(21a,21b)は、遊技情報の表示ができるように構成されていればよいので、具体的な形態は、特に限定されるものではない。例えば、遊技情報表示部21の表示パネルとして、パネル形式の液晶表示部や、7セグ方式の液晶表示部、タッチパネル式の表示部等を採用することができる。
【0032】
図2Aに示すように、操作部22は、装置本体2の前面に設けられており、遊技場の従業員を呼び出す呼出操作部22aや、遊技情報表示部21の表示内容を切り替えたり、表示項目等の設定・変更等をしたりするための設定操作部22b等を備えている。なお、操作部22a,22bの数は、特に限定されない。また、遊技情報表示部21が、タッチパネル式の表示部の場合、遊技情報表示部21が操作部22を兼ねることができる。
【0033】
装置本体2は、前面(遊技情報表示部21の表示画面)が、上下方向(鉛直方向)に対して所定の傾斜角度θ(例えば、20°程度)前側に傾くように、支持部3に取り付けられている(図1A参照)。このように、遊技情報表示部21の表示画面を傾けて設置することにより、遊技者Pに対して遊技情報を見やすくすることができる。また、遊技者Pが操作部22の操作をしやすくすることができる。
【0034】
図2Dに示すように、装置本体2は、支持部3に支持固定される基台23と、基台の前端に一体的に設けられた表示パネル部24とを備えている。
【0035】
基台23は、後端部の上下方向の高さが支持部3の前端の高さとほぼ同じであり、側断面視で前側に向かうのにしたがって徐々に下辺が下側に広がるように傾斜している。基台23の上辺は、表示パネル部24の手前までは略水平であり、表示パネル部24の手前で上側に向かって大きく立ち上がるように傾斜している。そして、基台23の上辺の前端と下辺の前端との前後方向の互いの位置をずらして、上辺の前端が前側にくるようにすることで、表示パネル部24が遊技島Wの壁面Waに対して傾斜角度θで前傾するようになっている。
【0036】
なお、遊技情報表示部21の具体的な内部構成については、本願との関連性が低いので、ここではその詳細説明を省略する。また、同様の趣旨で、図2C,D及び図3C,Dにおいて、遊技情報表示部21の内部構成の図示を省略している。
【0037】
図3Aに示すように、支持部3は、遊技機8上方の壁面Waに固定される壁側固定部4と、装置本体の後面に固定される装置側固定部5とを備えている。
【0038】
図3Cに示すように、壁側固定部4は、正面視で矩形筒状の壁側筒状部41と、壁側筒状部41を構成する周壁の後端同士を接続する壁側固定板42とを備えている。
【0039】
壁側固定板42には、壁側固定板42を壁面Waにねじ止め固定するために用いる複数のねじ孔46が前後方向に貫通形成されている。そして、壁側固定部4では、ねじ孔46の前側が開放されていて、壁側固定板42を壁面Waに当接させた状態で、正面(前面)から壁面Waに対してねじ止め固定することができるようになっている。なお、壁側固定部4を壁面Waに固定する方法は、ねじ止めに限定されない。例えば、壁側固定板42の裏面に粘着テープや接着剤等による接着層(図示省略)を形成し、その接着層を介して壁側固定部4が壁面Waに固定されるようにしてもよい。
【0040】
装置側固定部5は、正面視で矩形筒状の装置側筒状部51と、装置側筒状部51を構成する周壁の前端同士を接続する装置側固定板52とを備えている。
【0041】
装置側筒状部51は、壁側筒状部41の上下左右の外側を覆うように構成され、装置側筒状部51と壁側筒状部41とが前後方向に相対的にスライド可能に構成されている。そして、装置側筒状部51の内壁面51aと壁側筒状部41の外壁面41aとが、互いに近接するように構成されているのが好ましい(図2C及び図2D参照)。
【0042】
これにより、装置側筒状部51及び壁側筒状部41が互いに干渉しあって上下方向及び左右方向への移動や回動が規制されるので、装置本体2がぐらついたり、がたついたりするのを防ぐことができる。なお、本開示において、「近接する」とは、お互いが離れた状態でかつお互いに近くにあることに加えて、互いに接近することにより一部または全部が互いに当接しているものを含む概念である。
【0043】
装置本体2の引出状態では、図3C及び図3Dに示すように、左右両側及び上下両側において、装置側筒状部51の前端部と壁側筒状部41の後端部とが前後方向に重なり部分を有するように構成されている。そして、その重なり部分において、装置側筒状部51の内壁面51aと壁側筒状部41の外壁面41aとが、互いに近接した状態で対向するように構成されている。これにより、遊技情報表示部21の引出状態においても、互いの上下方向及び左右方向への移動や回動が規制され、装置本体2がぐらついたり、がたついたりするのを防ぐことができる。
【0044】
さらに、支持部3は、装置本体2の収容状態における収容位置と、装置本体2の引出状態における引出位置とのそれぞれにおいて、壁側固定部4と装置側固定部5の前後方向の相対位置をロックさせるロック機構を備えている。
【0045】
まず、収容位置におけるロック機構について説明する。
【0046】
図2Dに示すように、壁側固定部4の前上の隅角部には、壁側固定部4の左右方向の中間位置において、左右方向に離間させた2箇所に、壁側筒状部41の上壁の外壁面41aから上側に突出する鉤状の係合爪部43が設けられている。係合爪部43は、係合部に相当する。
【0047】
装置側固定部5には、収容位置における係合爪部43と対応する位置に、係合爪部43を下から上に向かって嵌め込むことができるように形成された係合孔53が形成されている。係合孔53は、平面視で矩形状であり、かつ、装置側筒状部51の上壁に対して上下方向に貫通形成されている。係合孔53は、被係合部に相当する。
【0048】
係合爪部43は、収容位置以外では、装置側筒状部51の上壁に押されて若干下側に撓むように構成されている。そして、係合爪部43が装置側筒状部51により撓まされた状態で収容位置以外の場所から収容位置に移動すると、係合爪部43の撓みが解除されて、係合爪部43が係合孔53に入り込むことで係合する。これにより、壁側固定部4と装置側固定部5の前後方向の相対移動が規制され、両者の前後方向の相対位置がロックされる。すなわち、収容位置におけるロック機構は、壁側固定部4の係合爪部43と、装置側固定部5の係合孔53とが係合することによって実現される。
【0049】
この収容位置におけるロック機構は、装置本体2(表示パネル部24)を持ち上げることで、ロックが解除されるように構成されている。具体的には、装置本体2が持ち上げられると、それに伴って基台23も持ち上がるので、基台23に固定された装置側固定部5も持ち上げられる。そうすると、装置側固定部5の前端に設けられた係合孔53も持ち上げられるので、壁側固定部4の係合爪部43と、装置側固定部5の係合孔53との係合が解除される。そして、例えば、作業者(従業者)が、その持ち上げた状態を維持しながら、装置本体2を手前側に引き出すことによって、装置本体2を収容位置から引出位置に向かって移動させることができる。
【0050】
このような構成にすることにより、遊技場の従業員が、片手で簡単にロックを解除させて、装置本体2を前後方向に移動させることができるという効果が得られる。
【0051】
なお、係合部(係合爪部43)及び被係合部(係合孔53)の形状は、上記実施形態に限定されるものではなく、係合部と被係合部の係合により前後方向の相対位置がロックされるように構成されていればよい。例えば、被係合部が、係合孔53に代えて、例えば、有底の凹部(図示省略)により構成されていてもよい。さらに、ロック機構は、係合部と被係合部の係合により実現されるものとしたが、これに限定されず、ねじ止め式等の他のロック機構であってもよい。
【0052】
次に、引出位置における抜け止め機構及びロック機構について説明する。
【0053】
抜け止め機構は、支持部3の上端側において抜け止めする上段抜止部と、支持部3の下端側において抜け止めする下段抜止部と、支持部の上下左右方向の中間位置で抜け止めする中段抜止部とにより構成されている。
【0054】
図3Dに示すように、上段抜止部は、前述の係合爪部43と、装置側固定部5の後上の隅角部に設けられた係合爪部55とによって構成されている。係合爪部55は、装置側筒状部51の上壁の内壁面51aから下側に突出する鉤状構造であり、係合爪部43と左右方向の位置をあわせるように設けられている。そして、引出位置において、係合爪部55と係合爪部43とが係合することで、抜け止めができるようになっている。
【0055】
下段抜止部は、壁側固定部4の前下の隅角部に設けられた係合爪部44と、装置側固定部5の後下の隅角部に設けられた係合爪部54とによって構成されている。係合爪部44は、壁側筒状部41の下壁の外壁面41aから下側に突出する鉤状構造であり、係合爪部43と左右方向の位置が揃うように2箇所に設けられている。係合爪部54は、装置側筒状部51の下壁の内壁面51aから上側に突出する鉤状構造であり、係合爪部44と左右方向の位置をあわせるように設けられている。そして、引出位置において、係合爪部54と係合爪部44とが係合することで、抜け止めができるようになっている。
【0056】
図3Cに示すように、中段抜止部は、係合爪部43と左右方向の位置が揃うように壁側固定部4に設けられた抜止フック48と、装置側固定部5に設けられた抜止フック58とによって構成されている。抜止フック48は、壁側固定板42の前面における上下方向の中間位置から前側に向かって立設され、壁側筒状部41の前端近傍で後に向かって折り返された平面視でJ字形状の板である。抜止フック58は、装置側固定板52の後面における上下方向の中間位置から後側に向かって立設され、装置側筒状部51の後端近傍で前に向かって折り返された平面視でJ字形状の板である。そして、抜止フック48と抜止フック58とが、左右方向に対応する位置に設けられていて、引出位置において、抜止フック48及び抜止フック58の、互いの折り返し部分が係合し合って抜け止めできるようになっている。
【0057】
このように、本実施形態では、支持部3の複数箇所に抜け止め機構を設けることにより、装置本体2が大型化しても、装置本体2をしっかりと支持し、かつ、引出位置に引き出された状態においても確実に抜け止めができるようになっている。
【0058】
次に、支持部3の引出位置におけるロック機構について説明する。
【0059】
図3Eは、支持部3の引出位置でのロック機構を例示しており、図3BのIIID-IIID線相当の断面図として示している。図3Eに示すように、装置側筒状部51の上壁の内壁面51aには、前後方向の任意の位置に係合爪部43を係合させるための凹部56が形成されている。同様に、装置側筒状部51の下壁の内壁面51aには、凹部56との前後方向の位置をあわせて係合爪部44を係合させるための凹部57が形成されている。そして、係合爪部43と凹部56とが係合し、係合爪部44と凹部57とが係合することにより、壁側固定部4と装置側固定部5との前後方向の相対移動が規制されるように構成されている。図3Eでは、(1)装置本体2が完全に引き出された全引出位置、(2)全引出位置と収容位置との中間位置の2箇所において、係合爪部43,44と対応する位置に、凹部56,57が互いに離間させて形成されている例を示している。このような凹部56,57を形成することにより、装置本体2を任意の位置でロックさせることができるようになる。ここで、凹部56,57の位置は、前後方向に離間させた2箇所に限定されず、1箇所でもよいし、前後方向に離間させた3箇所以上でもよい。また、図3Dに示すように、装置側固定部5に凹部56,57が形成されていないような構成にしてもよい。
【0060】
以上のように、本実施形態において、遊技情報表示装置1の支持部3は、壁側固定部4の壁側筒状部41が装置側固定部5の装置側筒状部51に入り込むことで、前後方向にスライド可能に連結された構成になっている。換言すると、遊技情報表示装置1では、装置本体2の前後方向の位置、すなわち、遊技情報表示部21及び操作部22の前後方向の位置を調整することができるようになっている。これにより、従来型遊技機及び新型遊技機の双方において、遊技機8の装飾の形態にかかわらず、遊技情報表示装置1の表示情報の視認性及び操作部の操作性を高めることができる。
【0061】
さらに、遊技場の壁面Waと、装置本体2との距離を調整することができるので、幕板Mの開閉時の回避構造として使用することもできる。例えば、図6Aに示すように、収容位置において使用している場合に、装置本体2の表示パネル部24が幕板Mに干渉して幕板Mが開くことができないような場合がある。そのような場合においても、図6Bに示すように、装置本体2を引出位置に移動させ、装置本体2の表示パネル部24が幕板Mに干渉しないようにして、遊技場の従業者(以下、単に従業者という)が幕板Mを開閉できるようにすることができる。
【0062】
そして、本実施形態では、装置本体2を持ち上げることで、収容位置におけるロックが解除されるようにしているので、例えば、図6Aの状態において、従業者が幕板Mを開閉する際に、片手でロック機構のロックを解除して、装置本体2を引き出すことができる。これにより、従業者の作業負担を軽減すると共に、遊技者に席を立たせる等の不快な思いをさせることなく、従業者が玉詰まりの解消等の作業を行うことができる。
【0063】
なお、上記実施形態では、収容位置において、装置側筒状部51が壁側筒状部41の全体を覆うように重ねて配置され、その状態から装置側筒状部51と壁側筒状部41とが相対的にスライドするように構成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、装置側固定部5及び壁側固定部4のうちの一方の少なくとも一部が他方に入り込むことで、装置側固定部5と壁側固定部4とが、前後方向に相対的にスライド可能に連結されていてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、ロック機構は、遊技情報表示装置1の収容位置と引出位置において、壁側固定部4と装置側固定部5の前後方向の相対位置をロックさせるものとしたがこれに限定されない。例えば、ロック機構が、収容位置と引出位置に加えて、または、代えて、両位置の中間位置において、壁側固定部4と装置側固定部5の相対位置をロックさせるように構成されていてもよい。これにより、調整位置のバリエーションを増加させることができる。
【0065】
また、上記実施形態では、支持部3は、遊技島Wの壁面Waに取り付けられるものとしたが、これに限定されず、支持部3が幕板Mの表面Maに取り付けられていてもよく、同様の効果が得られる。
【0066】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について、図4図5A図5Bを参照しつつ説明する。なお、第1の実施形態と共通の構成要素について、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。例えば、装置本体2は、第1の実施形態と共通であり、ここではその詳細説明を省略する。
【0067】
本実施形態では、支持部3は、装置本体2と遊技島Wの壁面Waとの間において、互いに着脱可能に前後方向に積層された少なくとも2枚の積層板6により構成されている。そして、その積層板6のうちの前端に位置する前板6aが装置本体2に、後端に位置する後板6bが壁面Waにそれぞれ固定されている。図4には、上段に支持部3が2枚の積層板6で構成されている例を示している。同様に、図4の中段に、支持部3が3枚の積層板6で構成されている例を、図4の下段に、支持部3が4枚の積層板6で構成されている例を示している。
【0068】
図4の上段、中段、下段の構成のいずれにおいても、積層板6の前板6aが装置本体2に固定され、後板6bが壁面Waにそれぞれ固定されている。そして、図4の中段及び下段では、前板6aと後板6bとの間に中板6cを挟んでおり、この中板6cの枚数を変更することにより、装置本体2の前後方向の位置を調整することができるようになっている。
【0069】
図5A図5Bには、積層板6の構成の一例を示している。
【0070】
積層板6の前面には、上側の左右方向の中間位置(2箇所)に、前側に配置される積層板6の後面、もしくは、装置本体2の後面に設けられた被係合部64に係合して相互間を固定させるための係合フック61が設けられている。
【0071】
係合フック61は、積層板6の前面において、上側に向かって略L字状に折り曲がるように突設された構成を有する。前述のとおり、被係合部64は、積層板6の後面または装置本体2の後面において、係合フック61と対応する位置に設けられていて、下側に向かって開放するように凹んだ有底の収容部64aを有する。そして、この収容部64aに対して、下側から係合フック61が挿入されて収容されることで、前後の積層板6同士、または、前板6aと装置本体2とが互いに固定されるようになっている。
【0072】
さらに、積層板6の係合フック61の左右方向の中央には、上下方向に延びるリブ61aが形成され、積層板6の収容部64aには、リブ61aと対応する位置に、上下方向に延びる切欠部64bが形成されている。これにより、収容部64aに係合フック61が収容されたときに、リブ61aが切欠部64bが入り込んで、前後の積層板6間での水平方向(左右方向)の移動が規制されるようになっている。
【0073】
また、積層板6の左右方向の両端には、積層板6の前面に突設され、左右両外側に向かって略L字状に折り曲げられた一対の係合フック62が設けられている。積層板6の左右方向両端の上側の隅角部には、上下方向に延びる溝が形成されていて、係合フック62を上側からスライド挿入して、互いに水平方向(左右方向)の移動を規制するように係合させることができるようになっている。
【0074】
さらに、積層板6には、前後方向に貫通するねじ孔63が複数形成されていて、積層板6を後板6bとして機能させる際に、積層板6(後板6b)を壁面Waにねじ止め固定することができるようになっている。
【0075】
以上のように、本実施形態によると、支持部3が、装置本体2と遊技場の壁面Waとの間に積層された積層板6によって構成されるようにしているので、積層板6の枚数を変更することにより、第1実施形態と同様に、装置本体2の前後方向の位置、すなわち、遊技情報表示部21及び操作部22の前後方向の位置を調整することができる。これにより、従来型遊技機及び新型遊技機の双方において、遊技機8の装飾の形態にかかわらず、遊技情報表示装置1において、遊技情報表示部21の表示情報の視認性及び操作部22の操作性を高めることができる。さらに、第1実施形態と同様に、装置本体2の表示パネル部24が幕板Mに干渉しないようにして、従業者が幕板Mを開閉できるような構成にすることが可能である。
【0076】
なお、図5では、複数の積層板6の厚さが互いに等しい場合の例を示しているが、これに限定されない。例えば、前板6a、中板6c、後板6bの一部又は全部の厚さが互いに異なっていてもよい。例えば、中板6cとして、互いに厚さが異なる中板6cを複数種類用意して、その中から最適な中板6cを選択して前板6aと後板6bとの間に装着するようにしてもよい。
【0077】
また、上記第1及び第2実施形態において説明した構成は、互いに組み合わせて使用するようにしてもよい。例えば、第2実施形態で説明した、水平方向の移動規制構成を第1実施形態の装置側固定部5と装置本体2との固定部分に適用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、遊技機の装飾の形態にかかわらず、遊技情報表示装置の表示情報の視認性及び操作部の操作性を高めることができるので、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0079】
1 遊技情報表示装置
2 装置本体
21 遊技情報表示部
22 操作部
3 支持部
4 壁側固定部
41 壁側筒状部
5 装置側固定部
51 装置側筒状部
Wa 壁面
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5A
図5B
図6A
図6B