(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】モータアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
H02K5/22
(21)【出願番号】P 2018168654
(22)【出願日】2018-09-10
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000220125
【氏名又は名称】東京パーツ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阿部 浩和
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-146966(JP,U)
【文献】実開昭64-54754(JP,U)
【文献】特開2007-89266(JP,A)
【文献】特開2012-90510(JP,A)
【文献】特開平9-63672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータケースと、前記モータケースに装着されたブラケットと、前記モータケースと前記ブラケットに軸支された回転軸と、前記回転軸に固定された整流子と、前記ブラケットに固定されて前記整流子に給電する給電端子と、を有するモータと、
給電用ターミナルを有するコネクタ側ターミナルと、
前記モータと前記コネクタ側ターミナルを内部で固定する、下ケースと上ケースとからなるハウジングを備え、
前記下ケースは、底板と、前記底板の周辺から立設された側板と、を有し、
前記上ケースは、上板と、前記上板の周辺から下設された側板と、を有し、
前記下ケースと前記上ケースは、
前記底板および前記上板からそれぞれ内側に
立設された立上部を有し、
前記下ケースの立上部と前記上ケースの立上部は、それぞれ前記下ケースの側板と前記上ケースの側板から離間した位置に設けられ、
前記下ケースの立上部と前記上ケースの立上部は、それぞれ端部を有し、
前記2つの端部は、前記下ケースと前記上ケースの組み込み方向から見て、重畳部分を有し、
前記給電用ターミナルは、前記コネクタ側ターミナルから、前記組み込み方向に対して垂直な第1方向に引き出されており、
前記給電端子は、前記モータから、前記第1方向に引き出されており、
前記給電用ターミナルと前記給電端子の少なくとも一部は、前記重畳部分に配置されて前記2つの立上部に挟持されていることを特徴とする
モータアクチュエータ。
【請求項2】
前記給電用ターミナルと前記給電端子は、前記重畳部分から前記第1方向に延出されていることを特徴とする請求項1に記載のモータアクチュエータ。
【請求項3】
前記2つの端部間には、前記組み込み方向に隙間が形成されており、
前記給電用ターミナルと前記給電端子を重ね合わせた前記組み込み方向の高さは、前記2つの立上部の前記隙間より若干高いことを特徴とする請求項1に記載のモータアクチュエータ。
【請求項4】
前記給電用ターミナルと前記給電端子のどちらか一方は、前記重畳部分において、波板であることを特徴とする請求項3に記載のモータアクチュエータ。
【請求項5】
前記給電端子は、前記ブラケットから径方向外側に引き出されており、
前記側板には、外部コネクタの差し込み口が設けられており、
前記差し込み口と前記モータは、前記モータの軸方向において重畳せずに、前記側板は、前記ブラケットと直接対向するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のモータアクチュエータ。
【請求項6】
前記給電用ターミナルは、一方の給電用ターミナルと、他方の給電用ターミナルを有し、
前記給電端子は、一方の給電端子と、他方の給電端子を有し、
前記一方の給電用ターミナルと前記一方の給電端子は、前記重畳部分で重なり、
前記他方の給電用ターミナルと前記他方の給電端子は、前記重畳部分で重なり、
前記2つの端部のうち一方には突部が形成されており、
前記2つの端部のうち他方には前記突部に嵌合する突溝が形成されており、
重なった前記一方の給電用ターミナルと前記一方の給電端子と、重なった前記他方の給電用ターミナルと前記他方の給電端子との間には、嵌合した前記突部と前記突溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータアクチュエータ。
【請求項7】
前記モータは、モータ用ブラシを有し、
前記モータ用ブラシの一端は、前記整流子に接しながら前記ブラケットの内側に固定されており、前記モータ用ブラシの他端は、前記給電端子であることを特徴とする請求項1に記載のモータアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両用空調装置における送風経路切換ドアを作動させるためのモータアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のモータアクチュエータとして、例えば、特許文献1には、駆動源としての給電端子を有するモータと、外部コネクタの差し込み口に配されて外部の電力をモータに供給するコネクタ側ターミナルと、コネクタ側ターミナルに接続されてモータの給電端子に弾性力が付与される状態で接触する一対の給電用ターミナルと、を備えるアクチュエータ装置が記載されている。これにより、外部の電力をモータの給電端子に供給することができ、モータが動作すると、このアクチュエータ装置に接続された送風経路切換ドアが動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のアクチュエータ装置では、給電用ターミナルがモータの給電端子に弾性力が付与される状態で接触しているため、モータ自体や車両等の振動により、給電用ターミナルとモータの給電端子の接触部で接触不良になりやすく接触信頼性が低下したり、びびり音が生じて特に静粛性が求められる電気自動車では問題が生じる可能性がある。
【0005】
また、特許文献1に記載されたアクチュエータ装置は、給電用ターミナルとモータの給電端子との接続を容易に行うことができるという観点では有用な技術ではあるが、モータをケースに取付ける際に、給電用ターミナルとモータの給電端子との位置関係にずれが生じると、接触不良が生じる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、びびり音をなくして接触信頼性を高めたモータアクチュエータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のモータアクチュエータは、
モータケースと、前記モータケースに装着されたブラケットと、前記モータケースと前記ブラケットに軸支された回転軸と、前記回転軸に固定された整流子と、前記ブラケットに固定されて前記整流子に給電する給電端子と、を有するモータと、
給電用ターミナルを有するコネクタ側ターミナルと、
前記モータと前記コネクタ側ターミナルを内部で固定する、下ケースと上ケースとからなるハウジングを備え、
前記下ケースは、底板と、前記底板の周辺から立設された側板と、を有し、
前記上ケースは、上板と、前記上板の周辺から下設された側板と、を有し、
前記下ケースと前記上ケースは、前記底板および前記上板からそれぞれ内側に立設された立上部を有し、
前記下ケースの立上部と前記上ケースの立上部は、それぞれ前記下ケースの側板と前記上ケースの側板から離間した位置に設けられ、
前記下ケースの立上部と前記上ケースの立上部は、それぞれ端部を有し、
前記2つの端部は、前記下ケースと前記上ケースの組み込み方向から見て、重畳部分を有し、
前記給電用ターミナルは、前記コネクタ側ターミナルから、前記組み込み方向に対して垂直な第1方向に引き出されており、
前記給電端子は、前記モータから、前記第1方向に引き出されており、
前記給電用ターミナルと前記給電端子の少なくとも一部は、前記重畳部分に配置されて前記2つの立上部に挟持されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
よって、給電用ターミナルと給電端子は、立上部により挟持される構造のため、モータ自体や車両等の振動により、接触不良になりにくく接触信頼性が向上して、びびり音が生じずにすむ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るモータアクチュエータ1の完成品であって、(a)は平面図であり、(b)は(a)の切断線A-Aの断面図である。
【
図2】
図1(a)の上ケース20のみを内側から見た平面図(a)であり、
図1(a)の上ケースを除いた平面図(b)である。
【
図3】
図2(b)の出力軸32と減速ギア31を除いた平面図(a)、(a)の切断線B-Bの断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、
図1(b)において、上ケース20と下ケース10の組み込み方向を「組み込み方向」と呼び、
図1(b)において、組み込み方向に対して垂直な第1方向を「第1方向」と呼び、
図2(b)において、組み込み方向と第1方向に対して垂直な回転軸53に対して平行な方向を「軸方向」と呼び、
図2(b)において、回転軸53を中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を例示的に説明する。
【0012】
本発明のモータアクチュエータ1は、
図1ないし
図3に示されており、例えば、空気調整装置の気流調節弁の駆動源などに用いられる。
【0013】
モータアクチュエータ1は、下ケース10と、上ケース20と、減速ギヤ31と、出力軸32と、コネクタ側ターミナル40と、モータ50と、を有する。
【0014】
下ケース10は、略四辺形の底板11と、底板11の周縁から立設された側板12と、側板12により形成された開口端部を有する。
上ケース20は、略四辺形の上板21と、上板21の周縁から下設された側板22と、側板22により形成された開口端部を有する。
【0015】
上ケース20の開口端部が下ケース10の開口端部に組み込みされて所定の内部空間を有するハウジング2が形成されている。このハウジング2の内部には、モータ50と、減速ギヤ31と、出力軸32と、コネクタ側ターミナル40が配されている。
また、下ケース10には、モータ50を挿入して固定する凹部16が形成されており、上ケース20には、モータ50を挿入して固定する凹部26が形成されている。
【0016】
また、下ケース10は、内側に1つの立上部13を有する。この立上部13は、底板11から組み込み方向に立設されており、平面状の端部13aを有する。
また、上ケース20は、内側に1つの立上部23を有する。この立上部23は、上板21から組み込み方向に立設されており、平面状の端部23aを有する。
2つの端部13a、23aは、第1方向と軸方向に対して平行に形成されており、2つの端部間には、組み込み方向に隙間が形成されている。
【0017】
この2つの端部13a、23aは、組み込み方向から見て、重畳部分を有する。特に、2つの端部13a、23aの外形は、組み込み方向から見て、同じ形状となっている。
この隙間の重畳部分には、後述の給電用ターミナル42と給電端子56bが配置されている。そして、給電用ターミナル42と給電端子56bを重ね合わせた組み込み方向の高さは、2つの端部13a、23aの隙間より若干高く形成されている。
【0018】
また、上ケース20にある立上部の端部23aの略中央には、突部23bが第1方向に形成されている。
また、下ケース10にある立上部の端部13aの略中央には、この突部23bに嵌合する突溝13bが形成されている。
【0019】
また、ハウジング2の側板12、22の一つには、その側板12、22から突出する1個の外部コネクタの差し込み口14、24が形成されている。この差し込み口14、24には、外部装置から不図示のコネクタが差し込まれる。外部装置は、そのコネクタを差し込み口14、24に差し込んだとき、差し込み口14、24に設けられた後述のコネクタピン43に電気的に接続される。
【0020】
また、差し込み口14、24は、モータ50の後述のブラケット52と直接対向する側板12、22に形成されている。この側板12、22は軸方向と垂直方向に形成されている。また、差し込み口14、24とモータ50は、モータの軸方向に重畳せずに配置されている。また、差し込み口の挿入方向は、モータの軸方向と平行となっている。
【0021】
減速ギヤ31は、2個有し、後述のウォームギヤ58に連結される。
出力軸32は、硬質樹脂で形成され、外周に溝を有するフランジ状の出力ギヤを有し、出力ギヤは、減速ギヤ31に連結される。また、出力軸32は、下ケース10と上ケース20に形成された軸孔により軸支される。
出力軸32の一面には、出力軸32を位置を検出するパターン基板33が固定されており、パターン基板33は出力軸32の回転に対応して回転する。
【0022】
コネクタ側ターミナル40は、パターン基板33と接触するパターン用ブラシ41と、給電端子56bに接続される給電用ターミナル42と、外部装置との接続用のコネクタピン43と、これらを保持する絶縁樹脂による保持部44と、からなる。
このコネクタ側ターミナル40は、保持部44に一体的に設けられた取付部の穴に、下ケース10に設けられた突起を挿通して、熱かしめにて固定されている。
【0023】
パターン用ブラシ41は、パターン基板33と摺接することにより、出力軸32の位置に相当する電圧値が検出され、出力軸32の回転位置が分かる。
2つの給電用ターミナル42は、外部装置からの電力をモータの給電端子56bに供給するものである。
2つの給電用ターミナル42は、一方の給電用ターミナルと、他方の給電用ターミナルを有し、保持部44から、第1方向に、それぞれ引き出されている。つまり、2つの給電用ターミナル42は、組み込み方向から見て重畳しないように、軸方向の上側と下側に位置を変えて配置されており、かつ、軸方向から見て同じ高さになるように配置されている。
コネクタピン43は、差し込み口14、24に固定され、外部装置のコネクタと接続できる。
【0024】
モータ50は、モータケース51と、ブラケット52と、固定子と、回転子と、モータ用ブラシ56と、を有し、下ケース10と上ケース20の凹部16、26に挿入されて固定されている。
【0025】
モータケース51は、金属材料により形成され、円筒部と上板からなり、上板の中央部にはラジアル軸受が圧入されている。
ブラケット52は、モータケース51の開口部に嵌着され、樹脂等の絶縁材料によって一体成形されている。ブラケット52の中央部には、円形の凹部が形成されており、凹部の底面はスラスト軸受となっている。凹部にはラジアル軸受が圧入されている。ブラケット52の外径は、円筒部の内径と略同一である。
【0026】
固定子は、モータケース51の円筒部の内周面に固着されており、円筒形状で円周方向に沿ってN極、S極が交互に着磁された永久磁石からなる。
回転子は、回転軸53と、回転軸53に固定され薄い鋼鈑を複数枚積層してなる電機子コアと、電機子コアにコイル状に巻回された銅線と、回転軸53に固定されて銅線に電気的に接続された整流子54と、を有する。
回転軸53がラジアル軸受に挿通されて回転自在に支承される。そして、回転軸53の一端はモータケース51から突出してウォームギヤ58が固着され、他端はスラスト軸受により支承されている。
【0027】
また、ブラケット52の下端には、側板12、22が近接して配されている。
【0028】
ブラケット52には、整流子54に摺接して電流を流すように一対のモータ用ブラシ56が設けられている。
モータ用ブラシ56は、銅若しくは銅合金のような導電弾性材料により、全体を略平板状に形成されている。
【0029】
2つのモータ用ブラシ56は、ブラケット52の内側に回転軸53を中心に線対称に配置されている。
モータ用ブラシの一端56aは、整流子54に接しながらブラケット52の内側に固定されており、モータ用ブラシの他端56bは、ブラケット52から径方向外側に(第1方向に)引き出された給電端子となっている。モータ用ブラシと給電端子は切れ目のない同一部材により構成されている。
2つのモータ用ブラシ56があるため、給電端子56bは、一方の給電端子と、他方の給電端子を有する。
【0030】
2つのモータ用ブラシの一端56aは、組み込み方向から見て軸方向の同じ位置に固定されている。仮に、モータ用ブラシの全体形状が平板状であると、2つのモータ用ブラシの他端(すなわち、2つの給電端子56b)がブラケット52から径方向外側に引き出されると、組み込み方向から見て、2つの給電端子56bが重畳してしまう。すると、組み込み方向から見て、重畳した2つの給電端子56bと、軸方向の上側と下側に位置を変えた2つの給電用ターミナル42は、2つの立上部13、23により挟持できず、電気的な接続をできなくなる。
【0031】
そこで、2つの給電端子56bは、組み込み方向から見て、軸方向の上側と下側に位置を変えた2つの給電用ターミナル42の位置に重なるように、軸方向の上側と下側に形状を変形させている(
図2(b))。このため、2つの給電用ターミナル42と、2つの給電端子56bは、2つの立上部13、23により挟持できて、電気的な接続をできる。つまり、一方の給電用ターミナルと一方の給電端子は、2つの立上部13、23により挟持できて電気的な接続をできて、また、他方の給電用ターミナルと他方の給電端子は、2つの立上部13、23により挟持できて電気的な接続をできる。
【0032】
また、2つの給電端子56bは、ブラケット52から径方向外側に(第1方向に)それぞれ引き出されている。仮に、モータ用ブラシの全体形状が平板状であると、この2つの給電端子56bは、軸方向から見て、異なる高さに配置される。すると、軸方向から見て、異なる高さに配置された2つの給電端子56bと、同じ高さに配置された2つの給電用ターミナル42は、平面状の端部13a、23aにより挟持できず、電気的な接続をできなくなる。
【0033】
そこで、2つの給電端子56bは、軸方向から見て、同じ高さになるように形状を変形させている(
図3(b))。このため、2つの給電端子56bと、2つの給電用ターミナル42は、平面状の端部13a、23aにより挟持できて、電気的な接続をできる。つまり、一方の給電用ターミナルと一方の給電端子は、2つの立上部13、23により挟持できて電気的な接続をできて、また、他方の給電用ターミナルと他方の給電端子は、2つの立上部13、23により挟持できて電気的な接続をできる。
【0034】
また、ブラケット52から径方向外側に引き出された2つの給電端子56bは、それぞれ波板となっている。
【0035】
また、給電用ターミナル42と給電端子56bは、重畳部分に配置されていると共に、重畳部分から第1方向に延出された状態で、2つの立上部13、23に挟持されて電気的に接続されている。
具体的に、一方の給電用ターミナルと一方の給電端子は、重畳部分で重なると共に、重畳部分から第1方向に延出された状態で、2つの立上部13、23に挟持されて電気的に接続されている。また、他方の給電用ターミナルと他方の給電端子は、重畳部分で重なると共に、重畳部分から第1方向に延出された状態で、2つの立上部13、23に挟持されて電気的に接続されている。また、重なった一方の給電用ターミナルと一方の給電端子と、重なった他方の給電用ターミナルと他方の給電端子の間には、嵌合した突部23bと突溝13bが配置されており、重なった一方の給電用ターミナルと一方の給電端子と、重なった他方の給電用ターミナルと他方の給電端子は、絶縁されている。
【0036】
上述の構成により、モータの回転が、ウォームギヤ58、減速ギヤ31、出力軸32を介して、例えば、空気調整装置の気流調節弁の回転軸に伝達できる。
【0037】
本例のモータアクチュエータ1は、モータ50と、コネクタ側ターミナル40と、ハウジング2を有する。
モータ50は、モータケース51と、モータケース51に装着されたブラケット52と、モータケース51とブラケット52に軸支された回転軸53と、回転軸53に固定された整流子54と、ブラケット52に固定されて整流子54に給電する給電端子56bと、を有する。
コネクタ側ターミナル40は、給電用ターミナル42を有する。
ハウジング2は、モータ50とコネクタ側ターミナル40を内部で固定する、下ケース10と上ケース20とからなる。
【0038】
そして、下ケース10と上ケース20は、内側にそれぞれ立上部13、23を有する。
下ケースの立上部13と上ケースの立上部23は、それぞれ端部13a、23aを有する。
2つの端部13a、23aは、下ケース10と上ケース20の組み込み方向から見て、重畳部分を有する。
給電用ターミナル42は、コネクタ側ターミナル40から、組み込み方向に対して垂直な第1方向に、引き出されている。
給電端子56bは、モータ50から、第1方向に引き出されている。
給電用ターミナル42と給電端子56bの少なくとも一部は、重畳部分に配置されて2つの立上部13、23に挟持されている。
【0039】
よって、給電用ターミナルと給電端子は、2つの立上部により挟持される構造のため、モータ自体や車両等の振動により、接触不良になりにくく接触信頼性が向上して、びびり音が生じずにすむ。
【0040】
また、給電用ターミナル42と給電端子56bは、重畳部分から第1方向に延出されている。
給電用ターミナルと給電端子が、立上部の重畳部分に、僅かに重なって配置されていると、コネクタ側ターミナルまたはモータをケースに取付けた際に位置ずれがある場合、給電用ターミナルと給電端子は、立上部により挟持されない可能性がある。
しかし、給電用ターミナルと給電端子が、重畳部分から第1方向に延出されていると、コネクタ側ターミナルまたはモータをケースに取り付ける際の位置ずれが吸収できて、接触不良を生じない。
【0041】
また、2つの端部13a、23aの間には、組み込み方向に隙間が形成されている。
給電用ターミナル42と給電端子56bを重ね合わせた組み込み方向の高さは、2つの立上部の隙間より若干高い。
よって、給電用ターミナルと給電端子は2つの立上部に挟持されて確実に導通できる。
【0042】
また、給電用ターミナル42と給電端子56bのどちらか一方は、重畳部分において、波板である。
よって、給電用ターミナルと給電端子が重畳部分において板状である場合に比べて、この場合の給電用ターミナルと給電端子は弾性的に接圧されるため、立上部に過大な応力が加わりにくくできて、信頼性を向上できる。
【0043】
また、給電端子56bは、ブラケット52から径方向外側に引き出されている。
ハウジング2は、側板12、22を有する。
側板12、22には、外部コネクタの差し込み口14、24が設けられている。
差し込み口14、24とモータ50は、モータの軸方向において重畳せずに、側板12、22は、ブラケット52と直接対向するように配置されている。
よって、給電端子がブラケットから軸方向外側に引き出されている場合に比べて、側板がブラケットと直接対向するように配置されているため、ハウジングを小型化できる。
【0044】
また、給電用ターミナル42は、一方の給電用ターミナルと、他方の給電用ターミナルを有する。
給電端子56bは、一方の給電端子と、他方の給電端子を有する。
一方の給電用ターミナルと一方の給電端子は、重畳部分で重なる。
他方の給電用ターミナルと他方の給電端子は、重畳部分で重なる。
2つの端部13a、23aのうち一方には突部23bが形成されている。
2つの端部13a、23aのうち他方には突部23bに嵌合する突溝13bが形成されている。
重なった一方の給電用ターミナルと一方の給電端子と、重なった他方の給電用ターミナルと他方の給電端子との間には、嵌合した突部23bと突溝13bが形成されている。
よって、重なった一方の給電用ターミナルと一方の給電端子と、重なった他方の給電用ターミナルと他方の給電端子は、嵌合した突部と突溝により電気的にショートしない。
【0045】
また、モータ50は、モータ用ブラシ56を有する。
モータ用ブラシの一端56aは、整流子54に接しながらブラケット52の内側に固定されており、モータ用ブラシの他端56bは、給電端子である。
よって、モータ用ブラシの他端が給電端子であるため、モータ用ブラシと給電端子が別体の構成に比べて、部品点数が少なくなる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上述以外にも種々変形して実施することが可能である。
【0047】
上述の給電用ターミナル42は、重畳部分において、平板であり、給電端子は、重畳部分において、波板であったが、これに限定されない。
例えば、給電用ターミナルが、重畳部分において、波板であり、給電端子が、重畳部分において、平板であってもよい。
また、例えば、給電用ターミナルと給電端子は、重畳部分において、共に、平板でもよい。この場合の給電用ターミナルと給電端子を重ね合わせた組み込み方向の高さは、2つの立上部の隙間とほぼ同じとする。
【0048】
また、上述の給電用ターミナル42と給電端子56bは、重畳部分に配置されていると共に重畳部分から第1方向に延出されているが、これに限定されない。
例えば、給電用ターミナルと給電端子は2つの立上部により挟持されて導通すればよく、給電用ターミナルと給電端子の少なくとも一方は、重畳部分に配置されていると共に重畳部分から第1方向に延出されなくもてよい。
【0049】
また、上述のモータ用ブラシの他端は給電端子となりモータ用ブラシと給電端子は切れ目のない同一部材により構成されているが、モータ用ブラシと給電端子が別部材に構成されて電気的に接続された構成でもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 モータアクチュエータ
2 ハウジング
10 下ケース
11 下ケースの底板
12 下ケースの側板
13 立上部
13a 立上部の端部
13b 立上部の端部の突溝
14 上ケースの差し込み口
16 凹部
20 上ケース
21 上ケースの上板
22 上ケースの側板
23 立上部
23a 立上部の端部
23b 立上部の端部の突部
24 下ケースの差し込み口
26 凹部
31 減速ギヤ
32 出力軸
33 パターン基板
40 コネクタ側ターミナル
41 パターン用ブラシ
42 給電用ターミナル
43 コネクタピン
44 保持部
50 モータ
51 モータケース
52 ブラケット
53 回転軸
54 整流子
56 モータ用ブラシ
56a モータ用ブラシの一端
56b モータ用ブラシの他端(給電端子)
58 ウォームギヤ