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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】掻取羽根
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/95 20220101AFI20221125BHJP
   B01F 27/07 20220101ALI20221125BHJP
   A47J 27/14 20060101ALI20221125BHJP
   B01F 27/091 20220101ALI20221125BHJP
   B01F 27/112 20220101ALI20221125BHJP
   A47J 43/044 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B01F27/95
B01F27/07
A47J27/14 Q
B01F27/091
B01F27/112
A47J43/044
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018175970
(22)【出願日】2018-09-20
(62)【分割の表示】P 2018025460の分割
【原出願日】2018-02-15
(65)【公開番号】P2018202418
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】P 2017029439
(32)【優先日】2017-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】500148592
【氏名又は名称】株式会社カジワラ
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】梶原 秀浩
(72)【発明者】
【氏名】折井 聡夫
(72)【発明者】
【氏名】川島 秀和
(72)【発明者】
【氏名】笠原 徹
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3179074(JP,U)
【文献】実公昭37-024379(JP,Y1)
【文献】特開2013-106632(JP,A)
【文献】特開2010-187946(JP,A)
【文献】特開2016-059587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 27/00 - 27/96
B01F 35/00 - 35/95
A47J 27/14 - 27/18
A47J 42/00 - 44/02
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面が曲面状の攪拌容器内に向けて傾斜し下端部が前記攪拌容器内に配設され前記攪拌容器に対して公転及び自転する回転軸側に羽根アームを介して掻取り用の羽根部を取り付ける掻取羽根であって、
前記羽根アームは、前記回転軸の下端部に連結支持され前記回転軸側から前記羽根部側に向かって直線状に傾斜配置され前記羽根部側に至る形状に形成され、
前記羽根部により前記攪拌容器の底部中央側と底部外周側とを掻き取る、
ことを特徴とする掻取羽根。
【請求項2】
底面が曲面状の攪拌容器内に向けて傾斜し下端部が前記攪拌容器内に配設され前記攪拌容器に対して公転及び自転する回転軸側に羽根アームを介して掻取り用の羽根部を取り付ける掻取羽根であって、
前記羽根アームは、前記回転軸の下端部に連結支持され前記回転軸側から前記羽根部側に向かって下向きに凸の湾曲状に配置され前記羽根部側に至る形状に形成され、
前記羽根部により前記攪拌容器の底部中央側と底部外周側とを掻き取る、
ことを特徴とする掻取羽根。
【請求項3】
底面が曲面状の攪拌容器内に向けて傾斜し下端部が前記攪拌容器内に配設され前記攪拌容器に対して公転及び自転する回転軸側に羽根アームを介して掻取り用の羽根部を取り付ける掻取羽根であって、
前記羽根アームは、前記回転軸の下端部に連結支持されて前記回転軸側から回転半径方向外側に向かって延設され、且つ延設方向の向きを内側に変えて前記羽根部側に向かう湾曲部を含み前記羽根部側に至る形状に形成され、
前記羽根部により前記攪拌容器の底部中央側と底部外周側とを掻き取る、
ことを特徴とする掻取羽根。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項記載の掻取羽根であって、
前記羽根部は、一対の第1、第2の羽根部を備え、
前記羽根アームは、アーム基部から伸びる二股の第1、第2のアームを備え、
前記第1の羽根部は、前記攪拌容器の底部中央側を掻き取る形状に形成され、
前記第2の羽根部は、前記攪拌容器の底部外周側及び側部間を掻き取る形状に形成された、
ことを特徴とする掻取羽根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理対象となる食材等の被撹拌物を撹拌しながら調理する加熱攪拌装置等に供される掻取羽根に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱釜内に垂下させた攪拌駆動軸の下端部に、掻取羽根を備えた加熱攪拌装置が特許文献1などとして知られている。
【0003】
この加熱攪拌装置は、加熱釜の内面に摺接する掻取羽根を軸周りに回動自在に支持し、この掻取羽根で加熱釜内の食材等の被撹拌物を加熱下等で掻取攪拌する。
【0004】
この掻取羽根は、攪拌駆動軸の下端部に取り付けた支持腕(羽根アーム)の先端部に取付金具を支持し、この取付金具に掻取羽根がボルトナット等により締結固定されている。
【0005】
かかる構造により、攪拌駆動軸が回転すると羽根アームを介して掻取羽根が旋回し、加熱釜内を掻取摺動し、且つ被攪拌物を撹拌する。
【0006】
ところで従来の羽根アームは、肩部を備えた形状となっている。肩部は、アームを構成する金属バーが折り曲げられて両側の二辺が略略直角をなしたものである。
【0007】
そして、羽根部によって掻き取られ掻取羽根の上方へと移動した被攪拌物は、羽根アーム側にさらに移動する。
【0008】
従って、掻取羽根の上方に略直角の肩部が存在すると肩部に被攪拌物が付着し、供回りの始点となる。
【0009】
特に、肩部及びその両側の略略直角を構成する金属バーの二辺に被攪拌物が接触すると、金属バーの受ける力と連続的に掻取羽根の上方へ移動した被攪拌物の相互作用により、掻取羽根を含む金属バーの肩部及びその両側の略略直角の二辺から構成される面を形成し、形成された面は更に大きな力を受けることで供回りし易くなる。特に粘体や固い物性の被攪拌物ほど肩部に付着し易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許4881967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、掻取羽根の上方に羽根アームの略直角の肩部が存在すると肩部に被攪拌物が付着し、供回りの始点となる点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、羽根アームに対する被攪拌物の付着により供回りの始点となることを抑制可能とするために、底面が曲面状の攪拌容器内に向けて傾斜し下端部が前記攪拌容器内に配設され前記攪拌容器に対して公転及び自転する回転軸側に羽根アームを介して掻取り用の羽根部を取り付ける掻取羽根であって、前記羽根アームは、前記回転軸の下端部に連結支持され前記回転軸側から前記羽根部側に向かって直線状に傾斜配置され前記羽根部側に至る形状に形成され、前記羽根部により前記攪拌容器の底部中央側と底部外周側とを掻き取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記構成であるから回転軸側及び羽根部側間に供回りの始点を有さないから、供回りの始点への被攪拌物の付着が無く、供回りの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】加熱撹拌装置の要部縦断面図である。(実施例1)
図2】羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図である。(実施例1)
図3】羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す平面図である。(実施例1)
図4】羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す側面図である。(実施例1)
図5】(A)は、羽根アームの正面図、(B)は、羽根アームの平面図、(C)は、羽根アームの側面図である。(実施例1)
図6】掻取羽根の取り付けを示す要部拡大断面図である。(実施例1)
図7】羽根アームに対する掻取羽根の結合を示す要部拡大背面図である。(実施例1)
図8】掻取羽根の取り付けを示す一部を断面にした分解側面図である。(実施例1)
図9】羽根取付板の拡大背面図である。(実施例1)
図10】ストッパーの拡大背面図である。(実施例1)
図11】第1の掻取羽根の組上げ手順を示す図表である。(実施例1)
図12】羽根アームの変形例に係り、(A)は、正面図、(B)は、平面図、(C)は、側面図である。(実施例1)
図13】(A)は、羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図、(B)は、羽根内ストッパーを示す要部拡大図である。(実施例1)
図14】(A)は、羽根アームに対する掻取羽根の回転規制を行なう羽根内ストッパーの作用を示す正面図、(B)は、羽根内ストッパーの作用を示す要部拡大図である。(実施例1)
図15】(A)は、羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図、(B)は、羽根外ストッパーを示す要部拡大図である。(実施例1)
図16】(A)は、羽根アームに対する掻取羽根の回転規制を行なう羽根外ストッパーの作用を示す正面図、(B)は、羽根外ストッパーの作用を示す要部拡大図である。(実施例1)
図17】結合ピンの変形例を示し、撹拌駆動軸に対する羽根アームの結合ピンによる結合を示す平面図である。(実施例1)
図18】結合ピンの変形例を示し、撹拌駆動軸に対する羽根アームの結合ピンによる結合を示す正面図である。(実施例1)
図19】結合ピンの変形例を示し、撹拌駆動軸に対する羽根アームの結合ピンによる結合手順の説明図である。(実施例1)
図20】結合ピンの変形例を示し、撹拌駆動軸に対する羽根アームの結合ピンによる結合手順の説明図である。(実施例1)
図21】比較例に係る羽根アームを備えた加熱撹拌装置の要部を透視した説明図である。(比較例)
図22】実施例の羽根アームを備えた加熱撹拌装置の要部を透視し比較例の羽根アームと共に示す説明図である。(実施例1、比較例)
図23】加熱撹拌装置の要部縦断面図である。(実施例2)
図24】羽根アームの正面図である。(実施例2)
図25】羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図である。(実施例2)
図26】加熱撹拌装置の要部縦断面図である。(実施例3)
図27】羽根アームの正面図である。(実施例3)
図28】羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図である。(実施例3)
図29】加熱撹拌装置の要部縦断面図である。(実施例4)
図30】羽根アームの正面図である。(実施例4)
図31】羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図である。(実施例4)
図32】加熱撹拌装置の要部縦断面図である。(実施例5)
図33】羽根アームの正面図である。(実施例5)
図34】羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図である。(実施例5)
図35】加熱撹拌装置の要部縦断面図である。(実施例6)
図36】羽根アームの正面図である。(実施例6)
図37】羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図である。(実施例6)
図38】掻取羽根の取り付けを示す要部拡大断面図である。(参考例1)
図39】羽根タブ側から見た取付軸部の端面図である。(参考例1)
図40】羽根部と羽根取付板との一部を断面にした分解断面図である。(参考例2)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、羽根アームに対する被攪拌物の付着により供回りの始点となることを抑制することを可能にするという目的を、以下のように実現した。
【0016】
[請求項1の発明]
請求項1の発明は、攪拌容器の回転軸側に羽根アームを介して掻取り用の羽根部を取り付ける掻取羽根であって、前記羽根アームは、傾斜又は湾曲を介して前記回転軸側から前記羽根部側に至る形状に形成されて前記回転軸側及び前記羽根部側間に供回りの始点となる略直角の肩部を有さないことを特徴とする。
【0017】
[請求項2の発明]
請求項2の発明は、請求項1記載の掻取羽根であって、前記羽根アームは、前記回転軸側から前記羽根部側に向かって直線状に傾斜配置された、又は前記回転軸側から前記羽根部側に向かって連続した弧状に形成された構成でもよい。
【0018】
[請求項3の発明]
請求項3の発明は、請求項1記載の掻取羽根であって、前記羽根アームは、前記回転軸側から回転半径方向外側に向かって延設され、且つ延設方向の向きを内側に変えて前記掻取羽根側に向かう湾曲部を含んでもよい。
【0019】
[請求項4の発明]
請求項4の発明は、請求項1~3の何れか1項記載の掻取羽根であって、前記羽根部は、一対の第1、第2の羽根部を備え、前記羽根アームは、アーム基部から伸びる二股の第1、第2のアームを備えてもよい。
【実施例1】
【0020】
[加熱撹拌装置]
図1は、本発明実施例1に係る加熱攪拌装置の要部縦断面図である。
【0021】
加熱攪拌装置1は、撹拌装置の一例であり、本発明の掻取羽根の構造を適用する縦軸型である。この加熱攪拌装置1は、流動性のある被撹拌物の加熱撹拌等に用いられ、特に、含水粉体やあん等の粉体或いは固体などの流動性の乏しい被撹拌物質、又は塑性流動する物質等の加熱撹拌に好適に用いられる。ただし、流動性の良い被撹拌物に適用してもよい。
【0022】
なお、加熱撹拌装置1は、本発明の掻取羽根の構造を適用するものとして横軸型の構造にも適用できる。また、被撹拌物は、食材に限らず、薬剤、漢方薬、医薬部外品なども含まれる。他の実施例についても同様である。
【0023】
加熱攪拌装置1は、撹拌容器として加熱釜3を備えている。加熱釜3は、実施例の被撹拌物としてあんなどの食材を収容し加熱するものである。
【0024】
加熱釜3は、鉄、銅、ステンレス、又は銅とステンレスの張り合わせ鋼板等の材質をもって、底面が曲面状又は半円状等に成形されている。加熱釜3は、ガス、電気、又はその底部外周を覆う蒸気室SRに供給される蒸気などの適宜の加熱手段によって加熱可能に構成されている。
【0025】
加熱釜3の上方には、筐体カバー5によって覆われた駆動機構6が設けられている。駆動機構6は、モータMの回転駆動力を減速する減速機7を備えている。この減速機7の出力軸8に固定されたチェーンスプロケット9に無端チェーン10が掛けられ、無端チェーン10が太陽軸11のチェーンスプロケット13に噛合されている。
【0026】
太陽軸11の下端部には太陽歯車15が固定され、遊星軸17の先端部に取付けた遊星歯車19と噛合されている。
【0027】
遊星軸17は、太陽軸11に固定された回動ケース21に回転自在に支持されている。回転軸である攪拌駆動軸23は、遊星軸17と軸線を一致させている。この攪拌駆動軸23は、連結機構24によって取り外し自在に連結されている。攪拌駆動軸23は、斜め上方から加熱釜3内に向けて傾斜して配設されている。具体的には、遊星軸17は、鉛直方向に対して所定の傾斜角度を持って配設されている。攪拌駆動軸23の傾斜角度は、好ましくは15~25度だけ傾斜配置されている。
【0028】
攪拌駆動軸23は、後述する第1、第2の掻取羽根25,27の羽根先縁45a、47aを加熱釜3の内面に付勢するためのコイルスプリングが内装されている。このコイルスプリングによりベアリングやローラ等を介して摺動自在に嵌合される中空軸管23aを攪拌駆動軸23は備えている。
【0029】
中空軸管23aの下端部には、二股の連結部70が備えられている。この連結部70に、羽根アーム29が連結支持されている。この羽根アーム29の連結支持は、枢支用の結合ピン30によって連結部70に対する枢支となっている。この枢支点をもって羽根アーム29は、連結部70に対してシーソーのように揺動自在となっている。
【0030】
羽根アーム29は、攪拌駆動軸23における軸回り方向の回動が規制されている。従って、攪拌駆動軸23が軸回り方向に回転すると、これに連れて羽根アーム29が旋回動作するように構成されている。
【0031】
[掻取羽根の構造]
図2は、羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図である。図3は、羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す平面図である。図4は、羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す側面図である。図5(A)は、羽根アームの正面図、(B)は、羽根アームの平面図、(C)は、羽根アームの側面図である。
【0032】
図1図5のように、本発明実施例の掻取羽根は、羽根先縁45a、47aが撹拌容器3に摺接する掻取り用の第1、第2の羽根部45、47を攪拌駆動軸23側に支持された第1、第2の羽根取付板49、65に嵌合結合部である押えピン61及び穴部である取付穴59の嵌合により取り付けるものである。
【0033】
前記羽根アーム29は、アーム基部31から二股に傾斜して延びる第1のアーム33及び第2のアーム35により形成されている。羽根アーム29は、第1、第2のアーム33、35が三角形状の二辺を形成する形態となっている。
【0034】
アーム基部31には、取付受部側としてのピン挿入孔31aが設けられている。前記中空軸管23aの下端部及びピン挿入孔31aに前記結合ピン30が挿入されてアーム基部31が中空軸管23aの連結部70に揺動支持されている。
【0035】
前記第2のアーム35は、第1のアーム33に比較して長く形成されている。但し、第1、第2のアーム33、35の長さ設定は自由である。中空軸管23aの連結部70に対するアーム基部31の結合ピン30回りの揺動は、一定範囲に設定されている。
【0036】
第1、第2の羽根アーム33、35の先端には、取付受部として第1、第2のリング状部37、39が取り付けられている。この構成により、第1、第2のリング状部37、39が回転軸側である攪拌駆動軸23側に設けられた構成となる。
【0037】
第1、第2のリング状部37、39は、貫通した取付孔37a、39aを備えている。取付孔37a、39aは、内周面の軸方向に沿って貫通した凹部としてキー溝状部37b、39bを有している。キー溝状部37b、39bは、それぞれ一対が対向して配置されている。キー溝状部37b、39bの対向配置の方向は、第1、第2の羽根アーム33、35の取付状態で重力方向に交差する方向、例えば水平方向である。この水平方向は、取付相手の第1、第2の掻取羽根25、27との相対的な関係であり、垂直方向になることもある。
【0038】
第1、第2のリング状部37、39には、第1、第2の掻取羽根25,27が第1、第2の取付金具41、43により取り付けられている。第1、第2の取付金具41、43は、ステンレス等で形成されている。但し、第1、第2の取付金具41、43をステンレス以外の金属で形成することもできる。
【0039】
第1、第2の掻取羽根25,27は、第1、第2の羽根部45、47を備えている。第2の羽根部47は、第1の羽根部45よりも大きく形成されている。第1の羽根部45は、加熱釜3の底部中央側を掻き取る形状に形成され、第2の羽根部47は、加熱釜3の底部外周側及び側部間を掻き取る形状に形成されている。
【0040】
なお、第1、第2の羽根部45、47は、共に他方の形状に統一することもできる。
【0041】
第1、第2の羽根部45、47は、テフロン(登録商標)などの樹脂製であり、前記のような羽根先縁45a、47aが加熱釜3の内面に摺接するように取り付けられている。
【0042】
ここで、特許文献1の羽根アームは、立体的に捻った形状をしており、2枚の羽根部の間が平行に開いている。このような形状は羽根部と被攪拌物とが供回りをする傾向がある場合に、この開きが被攪拌物の供回り防止に有効に作用する。
【0043】
一方、本発明の実施例では、特に第1の羽根部45の大きさを小さくすることにより、2枚の羽根の間が広くなり、従来のように捻らない、同一面上の第1、第2のアーム33、35でも十分な空間が確保され、供回りは起こらないか抑制される。
【0044】
この羽根アーム29は、第1、第2のアーム33、35が同一平面上にあるL型の金属バーの形状であり、従来の構造に比べて形状が単純であり、製作が容易な利点がある。
【0045】
羽根アーム29に第1、第2の掻取羽根25,27を取り付けると、図2図4のような形態になる。特に第1の羽根部45は、羽根先縁45aに沿った方向の長さが相対的に短くなっている。この第1の羽根部45の長さでも、二枚の第1、第2の羽根部45、47の旋回移動軌跡は重複し、過熱釜3の底部中央部分は全て掻取るようになっており、焦げ付きを防止し、又は抑制することができる。
【0046】
また、被攪拌物が第1、第2の羽根部45、47の上部を乗り越えて動く場合、特許文献1の従来の構造では羽根アームの水平部が邪魔をして、乗り越え難く、供回りが起き易かった。本発明の実施例の構造は、この問題を生じ難くした。この点については、加熱攪拌装置の動作においてさらに述べる。
【0047】
(第1の掻取羽根の構造)
図6は、掻取羽根の取り付けを示す要部拡大断面図である。図7は、羽根アームに対する掻取羽根の結合を示す要部拡大背面図である。図8は、掻取羽根の取り付けを示す一部を断面にした分解側面図である。図9は、羽根取付板の拡大背面図である。図10は、ストッパーの拡大背面図である。
【0048】
第1、第2の掻取羽根25,27の構造は、ほぼ同一である。但し、第1、第2の羽根部45、47の大きさの相違により第1、第2の取付金具41、43の形状は若干異なる。図6では、第1の羽根アーム33に対する第1の掻取羽根25の取り付け構造を説明し、第2の掻取羽根27の取り付け構造は、第1の掻取羽根25の取り付け構造との相違について説明し、重複した説明は省略する。
【0049】
図6図8のように、第1の掻取羽根25は、第1の羽根部45を第1の羽根取付板49に取り付ける構造である。
【0050】
第1の羽根部45は、第1の羽根アーム33の正転方向前方に鈍角となる所定の角度、例えば、95度(鉛直方向に対して5度)~160度(鉛直方向に対して70度)、好ましくは115度(鉛直方向に対して25度)~125度(鉛直方向に対して35度)の範囲のスクイ角βを形成するように傾斜配置されている。
【0051】
第1の羽根取付板49は、第1の取付金具41の構成部材である。第1の取付金具41は、第1の羽根取付板49と第1の羽根押え板51とストッパー53とストッパーカラー55とを備えている。
【0052】
前記第1の羽根取付板49は、羽根取付部を構成し、取付板部56及び取付結合部としての取付軸部57が一体に形成されている。取付板部56は、取付軸部57の軸心に対し傾斜している。この傾斜により前記スクイ角βが設定されている。
【0053】
図6図9のように、前記取付板部56は、矩形板で形成されている。取付板部56の上縁部56aは、第1の羽根部45の取り付け状態で上縁部45bと面一の平面を形成する。但し、上縁部56a、45b相互が連続的な形態をとる限り、必ずしも平面である必要は無く、曲面などで形成することもできる。要は、上縁部56a、45b間に段差が形成されること無く、食材の残留を抑制できる形状であればよい。また、第1の羽根部45の背面に対して湾曲した連続形状に形成するなどして、上縁部56aを上縁部45bよりも下方の位置とし、又は逆の関係にすることもできる。さらに、上縁部56a、45b間に段差を許容する形態もあり得る。
【0054】
なお、この場合の上下とは、第1の掻取羽根25を羽根先縁45aが下になるように重力方向の上下に向けて見た上下を意味し、左右とは第1の羽根部45を同重力方向の上下に向けて正面から見た左右を意味する。
【0055】
取付板部56の下縁部56bは、斜面となっている。斜面は、第1の羽根部45に向かって下降傾斜し、第1の羽根部45の裏面に連続するような形状となっている。この斜面により取付板部56の下縁部56bと第1の羽根部45の背面との間に段差が形成されること無く、食材の残留を抑制できる。但し、下縁部56bは、斜面を有さない形態もあり得る。
【0056】
取付板部56は、板厚の厚み方向に貫通した取付穴59を穴部として有している。取付穴59は、取付板部56の下部両側に一対が対称に配置されている。取付穴59は、挿入部59a及び嵌合部59bを備えている。嵌合部59bの外側周囲で、取付板部56の背面が押えピン61の頭部61aを係合させ得る係止縁部となる。
【0057】
つまり、穴部である取付穴59は、係合部である頭部61aを係合させ得る係止縁部を外側に有して羽根取付部である第1の羽根取付板49側に備えられた構成となっている。
【0058】
挿入部59aは、ほぼ円形に形成され、後述する押えピン61を挿通させる大きさを備えている。嵌合部59bは、挿入部59aよりも幅狭で前記挿入部59aに連続して形成されている。嵌合部59bは、羽根先縁45aの反対方向の上方へ延びるように形成されている。嵌合部59bの幅は、後述する押えピン61の括れ部63を嵌合させて抜け止めを行なう程度である。嵌合部59bの上端は、押えピン61の括れ部63の軸径に応じて半円状に形成されている。
【0059】
取付穴59は、第1の羽根取付板49の背面側で嵌合部59bの外側に第1の羽根取付板49の背面で構成した係止縁部を有している。係止縁部は、嵌合部59bに嵌合する押えピン61の頭部61aを係止可能に対向させ、頭部61aが係合し得る形態である。
【0060】
前記取付軸部57は、前記第1のリング状部37と共に回転軸側である攪拌駆動軸23への支持を行なう構成である。取付軸部57は、第1のリング状部37に挿入嵌合されて軸周りに相対回転が可能となっている。
【0061】
取付軸部57は、第1の羽根取付板49の背面で取付穴59間の中央のやや上側に配置されている。取付軸部57は、段付き状に形成され、先端部57a、中間部57b、基部57cを備えている。
【0062】
前記先端部57aは、平板状に形成されている。先端部57aの両縁部は、凸部としてキー状部57aaとなっている。キー状部57aaは、キー溝状部に合うキー状に軸方向に沿った形状である。
【0063】
キー状部57aaの対向配置の方向は、第1の羽根アーム33への第1の掻取羽根25の取付状態で例えば重力方向である。
【0064】
第1の掻取羽根25を第1の羽根アーム33へ取り付ける際には、キー状部57aaをキー溝状部37bに合わせて嵌合させ、キー状部57aaをキー溝状部37bに沿って移動させることになる。
【0065】
従って、前記取付軸部57は、外周面の軸方向端部側に前記凹部であるキー溝状部37bに嵌合しつつキー溝状部37bに沿って移動可能な凸部であるキー状部57aaを備えている。
【0066】
なお、キー溝状部37b、キー状部57aaは、軸対称に形成する必要は無く、径方向の一方側のみに形成し、或いは3方、十字等に配置形成することもできる。
【0067】
先端部57aは、取付軸部57の軸方向端部であるが、先端部57aをキー状部57aaの部分よりもさらに突出形成することは自由である。この意味でキー状部57aaは、取付軸部57の外周面の軸方向端部側に備えた構成となる。先端部57aを円形断面としその外周にキー状部57aaを形成することもできる。
【0068】
前記中間部57bは、外周径が取付孔37aの内周径とほぼ同一に形成され、且つ相対回転が可能となっている。中間部57bの軸長は、リング状部37の軸長とほぼ同一に設定されている。
【0069】
前記基部57cは、外周径が取付孔37aの内周径よりも大きく形成されている。基部57cが、第1のリング状部37の一端面に当接した状態で、キー状部57aaが第1のリング状部37の他端面に突出する。取付軸部57が第1のリング状部37に対して相対回転するとキー状部57aaが第1のリング状部37の他端面に対向し、或は密接して軸方向に係合する。
【0070】
前記キー溝状部37b及びキー状部57aaを着脱機構部として取付軸部57を取付孔37aに挿通させてキー状部57aaがキー溝状部37bを通過した位置で取付軸部57を取付孔37aに対し軸回りに相対回転させキー状部57aaのキー溝状部37bに対する回転方向の位置をずらすように手動の着脱を行う構成となる。
【0071】
つまり、取付受部である第1のリング状部37と取付結合部である取付軸部57との間に、取付軸部57を第1のリング状部37に手動で着脱する着脱機構部を備えた構成となる。
【0072】
こうして、前記羽根取付部である第1の羽根取付板49は、前記回転軸である攪拌駆動軸23側への支持を、取付受部である第1のリング状部37及び取付結合部である取付軸部57で行なう。
【0073】
前記第1の羽根部45は、前記取付穴59に対向し得る一対の貫通穴45cを有している。貫通穴45cは、後述の押えピン61を挿通させる大きさで形成されている。つまり、取付穴59の挿入部59aの径よりも僅かに小さな径に形成されている。なお、貫通穴45cの径は、挿入部59aよりも大きく形成することができる。この場合、貫通穴45cの部分に嵌合する押えピン61の根元部の径は、貫通穴45cの径に応じて拡大することになる。
【0074】
前記第1の羽根押え板51は、第1の羽根部45を前記羽根取付部である第1の羽根取付板49に対し挟んで取り付けるための羽根押え部材である。
【0075】
前記第1の羽根押え板51は、第1の羽根取付板49の取付板部56と同形状に形成されている。第1の羽根部45を第1の羽根押え板51及び第1の羽根取付板49により挟むことができる。但し、第1の羽根押え板51及び第1の羽根取付板49は、第1の羽根部45を挟むことができればよく、必ずしも同形状である必要はない。
【0076】
第1の羽根押え板51の上縁部51a、下縁部51bは、斜面となっている。上縁部51aは、第1の羽根部45の上縁部45bに向かって傾斜し、下縁部51bは、第1の羽根部45の前面に向かって傾斜している。
【0077】
上縁部51aは、第1の羽根部45の上縁部45bに達し、形状的に連続している。かかる形状により上縁部51a、45b間に段差が形成されること無く、食材の残留を抑制できる。但し、上縁部51a、45b間に段差が形成される形態もあり得る。
【0078】
下縁部51bの斜面によっても第1の羽根押え板51と第1の羽根部45の前面との間の段差形状が緩和され、食材の残留を抑制できる。但し、下縁部51bは、斜面を有さない形態もあり得る。
【0079】
なお、この場合の上下、左右の方向の意義については上記した通りである。
【0080】
第1の羽根押え板51は、押えピン61を一体的に備えている。押えピン61は、貫通穴45c及び取付穴59に対応して一対備えられている。但し、押えピン61を単一で構成することもできる。
【0081】
押えピン61は、先端側に括れ部63を有している。括れ部63は、頭部61a及び基部61bを同一の外径に形成し、頭部61a及び基部61b間の軸部61cを頭部61a及び基部61bの外径よりも小径に形成して構成した。
【0082】
軸部61cの径は、嵌合部59bの幅と同等に形成されている。頭部61a及び基部61bの外径は、貫通穴45cとほぼ同径に形成され、押えピン61を貫通穴45cに挿通できるようになっている。押えピン61は、貫通穴45cに挿通され、第1の羽根部45から括れ部63が突出する。この括れ部63の突出で、基部61bと軸部61cとの間で基部61bの端面は、第1の羽根部45の背面とほぼ面一となる。但し、基部61bの端面は、第1の羽根部45の背面から多少凹んでもよい。
【0083】
第1の羽根部45から括れ部63が突出する状態において、嵌合結合部である押えピン61は、係合部である頭部61aを有して第1の羽根部45側に備えられた構成となっている。
【0084】
そして、押えピン61を貫通穴45cから挿入部59aに挿通させて第1の羽根部45を第1の羽根取付板49に対し第1の羽根押え板51で挟んでいる。第1の羽根部45が第1の羽根取付板49に沿って羽根先縁45aの反対方向へ相対移動されており、押えピン61の括れ部63が嵌合部59bに嵌合している。この嵌合により、頭部61aが嵌合部59bの外側で係止縁部に対向している。
【0085】
つまり、係合部である頭部61aは、穴部である取付穴59に対する押えピン61の相対的な挿通により取付穴59を貫通し押えピン61と取付穴59との前記挿通の方向に交差する相対移動により取付穴59の係止縁部に対向する。
【0086】
図2図4図6図8図10のように、ストッパー53が設けられ、押えピン61の挿入部59a側への移動を阻止している。但し、第1の羽根部45の羽根先縁45aは、加熱釜3の内面に摺接し、下方への移動が阻止されているので、第1の羽根部45が掻取動作するとき押えピン61の括れ部63が嵌合部59bに嵌合する状態を維持させることができる。このため、ストッパー53は、必須ではない。
【0087】
前記ストッパー53は、第1の羽根取付板49の取付板部56と同様な形状の板材で形成されている。ストッパー53は、基部嵌合孔53aと頭部嵌合孔53bとを備えている。
【0088】
基部嵌合孔53aの径は、第1の羽根取付板49の取付軸部57に対応して取付軸部57の基部57cとほぼ同径に形成されている。基部嵌合孔53aは、ストッパー53の中央に配置形成されている。頭部嵌合孔53bは、取付板部56の取付穴59の嵌合部59bに対応し、基部嵌合孔53aの両側でやや下方に一対形成されている。
【0089】
基部嵌合孔53aは、基部57cに嵌合し、ストッパー53が取付板部56の背面に接合する。この接合で頭部嵌合孔53bは、嵌合部59bに嵌合している押えピン61の頭部61aに嵌合し、頭部61aを係止する。
【0090】
ストッパー53の上縁部53c、下縁部53dは、斜面となっている。下縁部53dの斜面は、取付板部56の下縁部56bの斜面にほぼ連続する形状となっている。かかる形状により下縁部53d、56b間に段差が形成されること無く、食材の残留を抑制できる。
【0091】
前記ストッパーカラー55は、第1のリング状部37とストッパー53との間に介設される部材である。ストッパーカラー55は、円筒状であり、前端に斜面55aが形成されている。
【0092】
ストッパーカラー55の内径は、取付軸部57の基部57cとほぼ同径に形成されている。ストッパーカラー55は、取付軸部57の基部57cに着脱自在に嵌合している。ストッパーカラー55は、取付軸部57に嵌合しつつ第1のリング状部37とストッパー53との間に介在し、斜面55aがストッパー53に接合する。
【0093】
[組み上げ]
図11は、第1の掻取羽根25の組上げ手順を示す図表である。
【0094】
図11は、側面側、背面側双方での組上げ手順をA~Dに示した。なお、図11に無い符号は、図6等を適宜参照する。
【0095】
手順Aでは、矢印1、2のように第1の羽根部45及び第1の羽根押え板51を相互に組み付け動作をさせる。
【0096】
この動作により、第1の羽根部45の前面に第1の羽根押え板51を合わせ、前記のように押えピン61を貫通穴45cに挿通させ、第1の羽根部45の背面から括れ部63を突出させる。
【0097】
次いで、矢印3のように第1の羽根部45及び第1の羽根押え板51と第1の羽根取付板49とを相互に組み付け動作をさせる。
【0098】
この動作により第1の羽根部45の背面に、第1の羽根取付板49の取付板部56の前面を合わる。この合わせにより、前記のように押えピン61の括れ部63を取付板部56の取付穴59において挿入部59に挿通させ、頭部61aを挿入部59外で取付板部56の背面に突出させる。第1の羽根部45を第1の羽根取付板49に対し第1の羽根押え板51で挟む状態とする。
【0099】
手順Bでは、矢印4のように第1の羽根部45及び第1の羽根押え板51と第1の羽根取付板49とを相互に組み付け動作をさせる。
【0100】
この動作により、第1の羽根部45が第1の羽根取付板49と第1の羽根押え板51とにより挟まれた状態で、第1の羽根部45が第1の羽根取付板49に沿って羽根先縁45aの反対方向へ相対移動され、前記のように括れ部63が嵌合部59bに嵌合する。この嵌合により押えピン61の頭部61aが嵌合部59bの外側で係止縁部に係合可能に対向する。この対向は、撹拌駆動軸23の駆動による第1の羽根部45の動作時に第1の羽根部45に働く力により維持される。
【0101】
つまり、第1の羽根部45が撹拌容器3の底部を掻取り摺動するとき、撹拌駆動軸23のコイルスプリングにより撹拌容器3に向けて付勢される。この場合、羽根先縁45aが撹拌容器3の底部に当接するから反力を受ける。
【0102】
この力により第1の羽根部45の下方への移動が阻止される。この移動阻止により押えピン61が嵌合部59bに位置決められ、係止縁部に対する頭部61aの対向を維持させることができる。
【0103】
従って、攪拌駆動時に第1の羽根部45が脱落することは無い。
【0104】
撹拌駆動軸23の静止時においても、撹拌容器3の底部に対し第1の羽根部45が下方への移動が阻止されるから同様に係止縁部に対する頭部61aの対向を維持させることができる。
【0105】
この嵌合状態では、第1の羽根部45の背面と第1の羽根取付板49の前面とが0.1mm程度の隙間で対向し、第1の羽根取付板49の背面に押え押えピン61の頭部61aが対向する。
【0106】
なお、第1の羽根取付板49の背面側に傾斜面を形成し、括れ部63が嵌合部59bに嵌合するとき頭部61aが斜面を乗り上げるようにして楔作用を働かせることもできる。この作用があるときは、第1の羽根部45の背面を第1の羽根取付板49の前面に密接させることもできる。
【0107】
但し、括れ部63での軸部61cの軸長の設定、第1の羽根部45、第1の羽根取付板49、第1の羽根押え板51の板厚の設定の相互作用により、第1の羽根部45、第1の羽根取付板49、第1の羽根押え板51の各間に平均で0.55mm、最低でも0.2mmの隙間を設定することもできる。
【0108】
手順Cでは、矢印dのように取付軸部57に対しストッパー53を組み付け動作させる。
【0109】
この動作により、前記のようにストッパー53の基部嵌合孔53aを取付軸部57の基部57cに嵌合させる。同時にストッパー53の頭部嵌合孔53bを嵌合部59bに嵌合している押えピン61の頭部61aに嵌合させ、頭部61aを係止する。この状態でストッパー53が取付板部56の背面に接合する。
【0110】
手順Dでは、矢印eのように取付軸部57に対しストッパーカラー55を組み付け動作させる。
【0111】
この動作により、ストッパー53の基部嵌合孔53aを取付軸部57の基部57cに嵌合させる。
【0112】
かかる第1の掻取羽根25の組上げ後、取付軸部57を第1のリング状部37に挿通させて第1の掻取羽根25を第1のアーム33に取り付ける。
【0113】
この取付では、取付軸部57のキー状部57aaを取付孔37aのキー溝状部37bに合わせる。この合わせでは、第1の掻取羽根25を取付状態からほぼ90度回転させるように配置し、キー状部57aaをキー溝状部37bに対向させる。
【0114】
次いで、取付軸部57を取付孔37aに挿通させてキー状部57aaがキー溝状部37bを通過するまで押し込む。
【0115】
キー状部57aaがキー溝状部37bを通過した位置で取付軸部57を取付孔37aに対し軸回りに相対回転させる。
【0116】
この実施例では、第1の掻取羽根25の回転位置をほぼ90度戻すことになる。
【0117】
この回転の戻しにより、キー状部57aaのキー溝状部37bに対する回転方向の位置がずれる。
【0118】
この位置ずれにより、第1のリング状部37の一端にストッパーカラー55の後端が対向し、キー状部57aaは、第1のリング状部37の他端に係合する。第1のリング状部37の一端とストッパーカラー55の後端との間、キー状部57aaと第1のリング状部37の他端との間は、相互に密接し、或いは多少の隙間を持って対向する。この対向により第1の掻取羽根25を第1のアーム33に相対回転可能に取り付ける。
【0119】
取り付け状態で水平方向のキー溝状部37bに対してキー状部57aaは垂直方向に向き90度位置がずれる。第1のリング状部37に対する第1の掻取羽根25の揺動範囲が90度を下回っていれば、第1のリング状部37の他端に対するキー状部57aaの係合を維持することができ、第1の掻取羽根25が第1のリング状部37から脱落することはない。
【0120】
第1の掻取羽根25を第1のアーム33に相対回転不能に取り付ける場合は、第1のリング状部37の他端面に回転方向のカム作用を行わせる斜面を形成し、第1の掻取羽根25を第1のアーム33に締結固定することもできる。
【0121】
この場合、前記第1の掻取羽根25の回転の戻しによりキー状部57aaの端部が第1のリング状部37の他端面の斜面に回転方向で乗り上げる形態となる。
【0122】
なお、第1のリング状部37の端面とストッパーカラー55の後端との間、キー状部57aaと第1のリング状部37の端面との間に、平均0.55mm、最低でも0.2mm等の隙間を設定することもできる。
【0123】
(第2の掻取羽根の構造)
図1図2のように、前記第2の掻取羽根27の第2の羽根部47は、前記のように第1の掻取羽根25の第1の羽根部45よりも大きく形状も異なる。このため、第2の取付金具43の第2の羽根取付板65及び第2の羽根押え板67が、第2の羽根部47に応じた大きさ及び形状に設定されている。
【0124】
前記第2の羽根部47は、加熱釜3の底部外周側及び側部間を掻き取るように大きさ及び形状が設定されている。第2の羽根取付板65の取付板部69は、第2の羽根部47の上縁部47bに沿った大きさ及び形状に形成されている。取付板部69は、第1の羽 根取付板49の取付板部56に対し一側に延長され且つ上方に屈曲した大きさ形状となっている。取付板部69の延長した部分の端部側に取付穴59が追加して設けられている。
【0125】
前記第2の羽根押え板67は、第2の羽根部47を挟んで取付板部69に対し対称形状に形成されている。第2の羽根押え板67には、取付板部69の端部側に追加して設けられた取付穴59に応じて押えピン61が追加して設けられている。
【0126】
従って、第2の掻取羽根27においては、第1の掻取羽根25に比較し第2の羽根部47の追加した取付穴59及び押えピン61での結合が上記同様に行われ、合計3か所での結合となっている。なお、取付穴59及び押えピン61での結合は、さらに追加することもできる。
【0127】
第2の掻取羽根27において、ストッパー53等、その他の構造、第2のアーム35への取り付けは、第1の掻取羽根25と同様であり、同符号をもって説明し、重複した説明は省略する。
【0128】
従って、第2の掻取羽根27の組上げ及び第2のアーム35への取り付けは、第1の掻取羽根25とほぼ同様に行わせることができる。
【0129】
[加熱攪拌装置の動作]
次に、本発明実施例に係る加熱攪拌装置の動作について説明する。
【0130】
調理対象となるあんなどの食材(被撹拌物)を加熱釜3内に投入しておき、ガス、電気、電磁誘導、蒸気等の加熱手段によって加熱釜3を加熱しつつ、駆動制御部からの駆動制御信号(正転指令)に従ってモータMを駆動させる。
【0131】
モータMを駆動により、減速機7、出力軸8、チェーンスプロケット9、無端チェーン10、チェーンスプロケット13を介してその回転駆動力が太陽軸11に伝達される。
【0132】
太陽軸11の駆動力は、太陽軸11の太陽歯車15及び回転ケース21に伝達され、太陽歯車15の外周に噛合した遊星歯車19及び遊星軸17が、公転及び自転を繰り返しながら、遊星軸17の下端に連結された攪拌駆動軸23を正転方向に回転駆動する。
【0133】
これにより、攪拌駆動軸23の下端部の羽根アーム29を介して第1、第2の掻取羽根25、27が図6の矢印aの正転方向に公転しながら自転も伴って加熱釜3内を移動し、加熱釜3内の食材を加熱下で掻取攪拌混合する。
【0134】
かかる正転方向での食材の掻取攪拌混合時は、食材が第1、第2の掻取羽根25、27に沿って上方へ滑りながら移動し、第1、第2の掻取羽根25、27を乗り越える。
【0135】
このとき、特許文献1の攪拌調理装置では、羽根アームが羽根部の直上に並設配置されているのに対し、実施例では、第1、第2のアーム33、35が傾斜配置されている。このため、実施例では、食材が第1、第2の掻取羽根25、27を上方へ滑りながら移動し、第1、第2の掻取羽根25、27を乗り越える挙動を円滑に行なわせることができる。
【0136】
つまり、特許文献1の攪拌調理装置では、食材が掻取羽根を乗り越えようとするときに、羽根アームが乗り越えを妨げるのに対し、実施例では、第1、第2の羽根部45、47の上縁部45b、47b上の空間が開放されているから、食材の乗り越えを妨げることが抑制されている。
【0137】
このため、第1、第2の掻取羽根25、27に対する食材の供回り抑制の効果も促進させることができる。
【0138】
また、第1、第2の掻取羽根25、27の各々が、図6のように、正転方向前方に鈍角となる所定のスクイ角βを持っているので、食材を掻き取り上縁に向けてすくい上げながら前記食材の乗り越えを円滑に行なわせる。
【0139】
一方、駆動制御部からの駆動制御信号(反転指令)に従ってモータMが反転方向に駆動されると、第1、第2の掻取羽根25、27が図6の矢印bの反転方向に公転しながら自転も伴って加熱釜3内を移動し、加熱釜3内の食材を加熱下で攪拌混合する。
【0140】
かかる反転回動時では、スクイ角βによって、正転回動時とは逆に、第1、第2の掻取羽根25、27の反転移動に伴って食材が第1、第2の掻取羽根25、27の下縁部45a、47a下へ潜り込もうとする。
【0141】
このため、中空軸管23aを介した第1、第2の掻取羽根25、27の弾接により、正転回動時に加熱釜3の底部に薄く残存した食材の上に水分をより多く含んだ食材が擦り付けられる。この擦り付けにより残存した食材と擦り付けられた食材との間で水分の伝達が行われる。
【0142】
そして、モータMを再び正転させると、反転時に擦り付けられた食材が、その下の残存食材と共に掻き取られ、加熱釜3への焦げ付きを防止することができる。
【0143】
[実施例1の効果]
本発明の実施例1では、上記の構造により、押えピン61を前記貫通穴45c及び挿入部59aに挿通させて頭部61aを取付穴59から第1、第2の羽根取付板49、65の背面側に突出させ第1、第2の羽根部45、47を第1、第2の羽根取付板49、65に対し第1、第2の羽根押え板51、67で挟むことができる。
【0144】
この状態で第1、第2の羽根部45、47を第1、第2の羽根取付板49、65に沿って羽根先縁45a、47aの反対方向へ相対移動させることにより押えピン61の括れ部63を嵌合部59bに嵌合させ嵌合部59bの外側の係止縁部に頭部61aを係合可能に対向させることができる。
【0145】
従って、第1、第2の掻取羽根25、27の組み上げに際し、工具を不要にすることができる。このため人手のみにより第1、第2の掻取羽根25、27の分解清掃を簡単に行わせることができる。
【0146】
第1、第2の掻取羽根25、27の分解清掃が簡単であるため、清掃回数の減少を抑制することができ、食材の掻取羽根の構造として極めて有益である。
【0147】
ステンレス製の第1、第2の羽根取付板49,65に、テフロン(登録商標)製の第1、第2の羽根部45、47を固定する構造は、ボルト・ナット等による締め付け構造ではなく、係合による規制であるため、第1、第2の羽根取付板49,65と第1、第2の羽根部45、47との間は密着しておらず、0.1mm程度の空隙が生じる。この空隙は食品製造中に、製品が出入りをすることを許容し、以下の好ましい効果を与える。
【0148】
分解洗浄を行わなくても製造中の第1、第2の羽根取付板49,65と第1、第2の羽根部45、47との間と間外とでの被攪拌物の置換或いは、置換洗浄がある程度可能であり、分解洗浄の頻度を下げることができる。
【0149】
あん煉りにおいては、第1、第2の羽根部45、47に長時間付着したあんが熱変質し、ガリと呼ばれる塊が生成するが、第1、第2の羽根部45、47の固定を実施例の構造にすると、第1、第2の羽根取付板49,65と第1、第2の羽根部45、47との間と間外とで羽根付着物が徐々に置換されるため、ガリが発生しなくなる。
【0150】
本発明の実施例1では、上記の構造により、キー溝状部37b、39b及びキー状部57aaを着脱機構部として取付軸部57を取付孔37a、39aに挿通させてキー状部57aaがキー溝状部37b、39bを通過した位置で取付軸部57を取付孔37a、39aに対し軸回りに相対回転させキー状部57aaのキー溝状部37b、39bに対する回転方向の位置をずらすようにして抜け止めを行わせることができる。
【0151】
従って、羽根アーム29への第1、第2の掻取羽根25、27の取り付け、取り外しに際しても、工具を不要にすることができる。このため第1、第2の掻取羽根25、27を羽根アーム29から取り外して行なう清掃を簡単に行わせることができる。
【0152】
かかる点からも第1、第2の掻取羽根25、27の分解清掃が簡単であり、清掃回数の減少を抑制することができ、食材の掻取羽根の構造として極めて有益である。
【0153】
[羽根アームの変形例]
図12は、羽根アームの変形例に係り、(A)は、正面図、(B)は、平面図、(C)は、側面図である。なお、羽根アームの基本的な構造は、図5と同様であり、対応する部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0154】
本変形例の羽根アーム29Aでは、図5の羽根アーム29に比較して、アーム基部31が上下に長く形成されている。第1、第2のアーム33、35とその下端の第1、第2のリング状部37、39とが二辺をなす三角形状の形態は、図5の羽根アーム29に比較してアーム基部31が長くなったことに応じて相対的に低くなっている。
【0155】
図12の羽根アーム29Aは、被攪拌物の性状によって図5の羽根アーム29と交換して用いる。羽根アーム29Aの形状は、被攪拌物の性状によっては第1、第2の羽根部45、47の上方を乗り越え易くなり、供回り防止に効果的となる。
【0156】
[羽根ストッパー]
図13図14は、掻取羽根の取付けの変形例を示す。図13(A)は、羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図、(B)は、羽根内ストッパーを示す要部拡大図である。図14(A)は、羽根アームに対する掻取羽根の回転規制を行なう羽根内ストッパーの作用を示す正面図、(B)は、羽根内ストッパーの作用を示す要部拡大図である。なお、羽根アーム及び掻取羽根の基本的な構造は図2等と同様であり、対応する部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0157】
図13のように、第1、第2のリング状部37、39の後端面に羽根内ストッパー37c、39cを突設した。なお、この場合の後端面とは、第1、第2の掻取羽根25、27の正転方向の前面に対するものをいう。
【0158】
第1、第2の掻取羽根25、27を撹拌駆動軸23と共に加熱釜3に対して上昇させると、第1、第2の掻取羽根25、27が第1、第2のリング状部37、39に対して回転し、相互に内向きとなるように下方へ垂れる場合がある。このような第1、第2の掻取羽根25、27の回転に際しキー状部57aaが羽根内ストッパー37c、39cに当接する。この当接により第1、第2の掻取羽根25、27が第1、第2のリング状部37、39に対して回転することを一定範囲で阻止する。
【0159】
羽根内ストッパー37c、39cがない形態では、第1、第2の掻取羽根25、27を撹拌駆動軸23と共に加熱釜3に対して上昇させると、第1、第2の掻取羽根25、27が第1、第2のリング状部37、39に対して回転し、相互に内向きとなり垂直方向下方へ垂れる状況になることがある。
【0160】
このような第1、第2の掻取羽根25、27の状況で第1、第2の掻取羽根25、27を下降させると第1、第2の掻取羽根25、27の垂れた先端が加熱釜3に衝突することになり、下降動作が困難になる。
【0161】
これに対し、羽根内ストッパー37c、39cを突設した形態では、第1、第2の掻取羽根25、27が第1、第2のリング状部37、39に対して回転することを図14のように一定範囲で阻止する。
【0162】
このような、一定範囲での阻止により、第1、第2の掻取羽根25、27が下降して加熱釜3に当接すると、第1、第2の掻取羽根25、27が第1、第2のリング状部37、39に対して回転を円滑に戻し、下降動作を円滑に行なわせることができる。
【0163】
図15(A)は、羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図、(B)は、羽根外ストッパーを示す要部拡大図である。図16(A)は、羽根アームに対する掻取羽根の回転規制を行なう羽根外ストッパーの作用を示す正面図、(B)は、羽根外ストッパーの作用を示す要部拡大図である。
【0164】
図15のように、第1、第2のリング状部37、39の後端面に羽根外ストッパー37d、39dを突設した。
【0165】
第1、第2の掻取羽根25、27は、コイルスプリングが内装された中空軸管23aによる上下動、攪羽根アーム29の攪拌駆動軸23に対する中央接合点の回転運動、第1、第2のリング状部37、39に対すると第1、第2の掻取羽根25、27の接合点での回転運動が可能である。
【0166】
このため、第1、第2の掻取羽根25、27は、被攪拌物の抵抗によりかなり変化した動作ができる。
【0167】
特に被攪拌物が固い場合、2本の第1、第2の掻取羽根25、27が加熱釜3側から反力を受け、図16のように相互に外向きとなる状況になることがある。特に、2本の内、長い方の第2の掻取羽根27は、第2のリング状部39での回転軸の片寄りも有り、第2の羽根部47の長辺側を浮かすような力を加熱釜3側から受け易くなる。
【0168】
このように第1、第2の羽根部45、47が力を受けると第1、第2の羽根部45、47の外端が浮き、極端な場合は復元限界を超えて変位し、第1、第2の羽根部45、47が上方に立った状態で動くことがある。実際のテストにおいても、第1、第2の羽根部45、47の先端が加熱釜3内面から離れて立ち上がった状態となり、この状態で回転を続ける状況が起こった。
【0169】
このような第1、第2の掻取羽根25、27の回転に際し、キー状部57aaが羽根外ストッパー37d、39dに当接して第1、第2の掻取羽根25、27が第1、第2のリング状部37、39に対して回転することを一定範囲で阻止することができる。
【0170】
このような、一定範囲での阻止により、固い被撹拌物であっても第1、第2の掻取羽根25、27により的確に加熱撹拌することができる。
【0171】
なお、羽根内ストッパー37c、39c及び羽根外ストッパー37d、39dを共に採用することもできる。
【0172】
[羽根結合ピンの変形例]
図17図20は、結合ピンの変形例を示す。図17は、撹拌駆動軸に対する羽根アームの結合ピンによる結合を示す平面図である。図18は、撹拌駆動軸に対する羽根アームの結合ピンによる結合を示す正面図である。図19は、撹拌駆動軸に対する羽根アームの結合ピンによる結合手順の説明図である。図20は、撹拌駆動軸に対する羽根アームの結合ピンによる結合手順の説明図である。なお、羽根アーム等の基本的な構造は、図2等と同様であり、対応する部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0173】
図17図20のように、結合ピン30Aは、一端に結合ピンタブ71を有し、他端にアングル部73を有している。結合ピンタブ71は、タブが結合ピン30Aの部材であることからの呼称である。
【0174】
結合ピン30Aの一端にタブ取付用のスリットが形成されている。結合ピンタブ71は、結合ピン30Aのスリットに嵌合するように配置され、タブピン75により回転自在に支持されている。結合ピンタブ71には、長穴71aが形成され、長穴71aがタブピン75に嵌合している。結合ピンタブ71には、回転動作を許容するための円弧部71bが形成されている。
【0175】
従って、結合ピンタブ71は、タブピン75に対して回転自在であると共にタブピン75に対する長穴71aの範囲で直線的な移動が可能となっている。この結合ピンタブ71の回転及び直線的な移動により、結合ピンタブ71は、結合ピン30Aに沿った第1の位置から結合ピン30Aに直交して交差する第2の位置に変位可能としている。
【0176】
アングル部73は、断面がアングル状に形成され、結合ピン30Aの他端に固定されている。アングル部73が中空軸管23aの二股の連結部70の平坦な側面に当接し、下縁部70aにアングル部73の係合面73aが係合する。このアングル部73の連結部70への当接係合で結合ピン30Aの軸回りの回転が規制されるようになっている。
【0177】
なお、連結部70には、アーム嵌合部70bに回転軸側としてのピン挿入孔70cが形成されている。アーム嵌合部70bにアーム基部31が挿入され、ピン挿入孔70c、31aに結合ピン30Aが挿入されて羽根アーム29が中空軸管23aの連結部70に揺動可能に支持されている。羽根アーム29の揺動範囲は、アーム嵌合部70bの二股の奥行き深さにより設定することができる。
【0178】
中空軸管23a下端部の連結部70に羽根アーム29を取り付けるときは、図19図20のように行なう。
【0179】
手順1において、図19の矢印1のように、二股のアーム嵌合部70bに羽根アーム29のアーム基部31を嵌合させる。
【0180】
手順2では、結合ピンタブ71が第1の位置にある結合ピン30Aを矢印2のようにピン挿入孔70c、31aに挿入する。この挿入によりアングル部73を連結部70の側面に当接させ、係合面73aを下縁部70aに係合させる。
【0181】
手順3では、図20のように矢印3のように結合ピンタブ71をタブピン75回りに回転させて結合ピンタブ71を結合ピン30Aの軸線に対し直交させる。このとき、結合ピンタブ71の円弧部71bが連結部70の側面に対して摺動し、結合ピンタブ71の回転動作が許容される。
【0182】
手順4では、図20のように矢印4のように結合ピンタブ71を連結部70の側面に沿って下方へ直線的に移動させ、第2の位置に変位させる。
【0183】
この組付け状態では、連結部70の下縁部70aにアングル部73の係合面73aが係合してロックが行なわれる。このロックにより結合ピン30Aの軸回りの回転が阻止される。この回転の阻止により、結合ピンタブ71が重力方向下方側を向くことで第2の位置が維持され、結合ピン30Aの抜け止めが維持される。
【0184】
ここで、アングル部73が存在せず、結合ピン30Aが軸回りに回転可能である形態では、結合ピンタブ71が水平方向に向く状態になり得る。この状態では、結合ピンタブ71が第1の位置に容易に戻り得るのでロックが外れる恐れがある。
【0185】
これに対し、本実施例では、上記のように結合ピン30Aの軸回りの回転が規制され、結合ピン30Aのロックを維持させることができる。
【0186】
なお、撹拌駆動軸が横軸型の装置では、アングル部73が連結部70に当接及び係合することで結合ピンタブ71の第2の位置での向きを遠心力方向に維持させることになる。
【0187】
嵌合部59bは、挿入部59aよりも幅狭で前記挿入部59aに連続して形成されているものであれば、必ずしも羽根先縁45aの反対方向の上方へ延びるように形成される必要はない。例えば、挿入部59aに対し水平方向など嵌合部59bを延設することもできる。
【0188】
この場合、羽根部を取付板部に沿って水平方向等へ相対移動させ押えピンを嵌合部に嵌合させることになる。この構造では、挿入部と嵌合部との間に、位置決め用の突部等を形成し、押えピンが挿入部から嵌合部へ相対移動するときに突部を乗り越えさせるなどすれば、押さえピンを嵌合部に位置決めることができる。
【0189】
また、嵌合部を挿入部の側部からやや斜め上方に傾斜させるように形成し、或いは上方に鉤状に形成することで押さえピンを嵌合部に位置決めることができる。
【0190】
さらには、嵌合部に嵌合している押さえピンの頭部に前記ストッパー53の頭部嵌合孔53bを嵌合させるような構造にすることで押さえピンを嵌合部に位置決めることができる。
【0191】
[その他]
上記実施例において、取付穴59の嵌合部59bは、羽根先縁45aの反対方向の上方へ延びるように形成されているが、傾斜形成し、或は旋回半径方向の外側へ伸びるように形成する形態にすることもできる。
【0192】
嵌合部59bが傾斜形成、或は上方側へ湾曲形成された場合でも、撹拌駆動軸23の駆動による第1、第2の羽根部45、47の動作時に第1、第2の羽根部45、47に働く下方移動の阻止力により係止縁部に対する頭部61aの対向を維持させる形態にすることもできる。
【0193】
嵌合部59b旋回半径方向の外側へ伸びるように形成された場合は、第1、第2の掻取羽根25、27の自転公転の遠心力及び下方への移動阻止力が羽根部の動作時に羽根部に働く力となり、係止縁部に対する頭部61aの対向を維持させる形態にすることもできる。
【0194】
ストッパー53に代えて、挿入部59aと嵌合部59bとの間に突起を設け、括れ部63での軸部61cが突起を乗り越えて挿入部59aから嵌合部59bへ移動する構成などにより、嵌合部59bからの外れを規制する形態にすることもできる。
【0195】
取付穴59を押えピン61の頭部61aよりも大きな円形等として前記同様の相対移動を許容し、前記ストッパー53の係止構造を採用して押えピン61の頭部61aを位置決める形態にすることもできる。
【0196】
ストッパー53に挿入部59a及び嵌合部59bと同様の構成を備えて括れ部63をストッパー53の嵌合部59bに嵌合させて押えピン61を位置決める形態にすることもできる。
【0197】
押えピン61は、頭部61aを備えればよく、括れ部63は必須ではない。
【0198】
撹拌駆動軸が横軸型の装置では、取付穴59の嵌合部59bは、横方向に形成され、嵌合部に対する押えピンの横方向の位置決めは突起を乗り越えることなどで行わせる。掻取羽根の回転方向では、羽根部が攪拌容器から受ける抵抗や遠心力で押えピンが嵌合部に押し付けられ、押えピンを位置決める。
【0199】
[羽根アームの作用]
上記のように、正転方向での被攪拌物の掻取攪拌混合時は、被攪拌物が第1、第2の掻取羽根25、27に沿って上方へ滑りながら移動し、第1、第2の掻取羽根25、27を乗り越える。第1、第2の掻取羽根25、27を乗り越えた被攪拌物は、羽根アーム29側で第1、第2の掻取羽根25、27の掻取後方へ流通する。
【0200】
図21は、比較例に係る羽根アームを備えた加熱撹拌装置の要部を透視した説明図である。図22は、本発明実施例の羽根アームを備えた加熱撹拌装置の要部を透視し比較例の羽根アームと共に示す説明図である。
【0201】
(羽根アーム肩部)
図21のように、比較例の羽根アーム29は、第1、第2のアーム33、35共に肩部28を備えている。肩部28は、アームを構成する金属バーが折り曲げられて両側の二辺が略略直角をなしたものである。
【0202】
第1、第2の羽根部45、47によって掻き取られ第1、第2の掻取羽根25、27の上方へと移動した被攪拌物は、羽根アーム29側にさらに移動する。
【0203】
従って、第1、第2の掻取羽根25、27の上方に肩部28が存在すると肩部28に被攪拌物が付着し、供回りの始点となる。肩部28及びその両側の略略直角を構成する金属バーの二辺に被攪拌物が接触すると、金属バーの受ける力と連続的に掻取羽根25、27の上方へ移動した被攪拌物の相互作用により、掻取羽根を含む金属バーの肩部28及びその両側の略略直角の二辺から構成される面を形成し、形成された面は更に大きな力を受けることで供回りし易くなる。特に粘体や固い物性の被攪拌物ほど肩部28に付着し易くなる。
【0204】
これに対し、図22のように、第1、第2のアーム33、35が傾斜配置された実施例(Δ型)では、肩部28が存在しないから肩部28への被攪拌物の付着の抑制、相互作用による面の形成が起こらないことで供回りを抑制することができる。
【0205】
つまり、Δ型の実施例では、第1、第2のアーム33、35が傾斜して肩部がなく、第1、第2の掻取羽根25、27の上側や第1、第2のアーム33、35の上側を被攪拌物がスムーズに流れる。
【0206】
(羽根アーム中央空間)
図21のように、比較例は、第1、第2のアーム33、35間の空間(肩の内側部分も含む。)が大きい。しかし、肩部28への被攪拌物の付着が増えると、第1、第2のアーム33、35間の空間も塞がる傾向となり、被攪拌物が通過するための有効空間が少なくなる。
【0207】
これに対し、実施例のΔ型は、被攪拌物の付着が少ないか無いので、第1、第2のアーム33、35間の空間が常に確保され易く、被攪拌物の抜け、通りが良い。第1、第2のアーム33、35の対向内側と第1、第2の羽根部45、47の上縁部との間の角度は、比較例に比べて小さくなるが、第1、第2の羽根部45、47が第1、第2のアーム33、35に対して第1、第2のリング状部37、39で回動できる。このため第1、第2のアーム33、35の対向内側と第1、第2の羽根部45、47の上縁部との間に被攪拌物が付着し難く、被攪拌物の流れを維持することができる。
【0208】
(缶壁との空間)
図21図22のように、第2の掻取羽根27が加熱釜3の缶壁に最も近寄った際に、第2の掻取羽根27、第2のアーム35、加熱釜3の缶壁間にできる空間が肩部が存在する比較例では小さくなる。このため、この空間での被攪拌物の通りが悪くなる。
【0209】
これに対し、実施例のΔ型の斜めの第1、第2のアーム33、35では、第2の掻取羽根27、第2のアーム35、加熱釜3の缶壁間の空間が肩部を省くことで拡大され、この空間での被攪拌物の通りが良い。
【0210】
(コスト)
Δ型は、比較例に比べて肩部が無く、且つ図5(B)のように第1、第2のアーム33、35が同一平面内にある単純形状であり、安価に製造することができる。
【0211】
このように、攪拌容器3の攪拌駆動軸23(回転軸)側に支持されるアーム基部31と、前記アーム基部31から延びる第1、第2のアーム33、35(アーム)と、前記第1、第2のアーム33、35先端部に備えられ掻取り用の第1、第2の羽根部45、47(羽根部)を取り付けるための第1、第2のリング状部37、39(アーム先端部)とを備えた羽根アーム29であって、前記第1、第2のアーム33、35(アーム)は、角状の肩部を有さず直線状又は湾曲状若しくはこれらの組み合わせの形状となっている。また、アームは、第1、第2のアーム33、35を備えた二股状である。かかる構造により、上記効果を奏することができる。
【0212】
[羽根アームの実施例2]
図23図25は、実施例2に係る羽根アームである。図23は、加熱撹拌装置の要部縦断面図である。図24は、羽根アームの正面図である。図25は、羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図である。なお、本実施例2においても基本的な構成は上記実施例と同様であり、同一又は対応する構成部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0213】
図23図25のように、本実施例2の羽根アーム29は、第1、第2のアーム33、35が連続した弧状に形成されている。本実施例2では、第1のアーム33の第1のリング状部37からアーム基部31を通り、第2のアーム35の第2のリング状部39に至るまで連続した略半円弧状に形成されている。第1、第2のアーム33、35の湾曲形状は、円弧以外の湾曲で形成することもできる。第1、第2のアーム33、35の一方を直線状、他方を弧状等に形成し、或いは一方を下向きに凸の弧状等に形成することもできる。かかる変更により第1、第2のアーム33、35による攪拌機能を増すことができる。上記実施例同様に第2のアーム35は、第1のアーム33よりも長く形成されている。但し、第1、第2のアーム33、35の長さ設定は自由である。
【0214】
従って、本実施例2においても図21の比較例に比べてΔ型と同様の作用効果を奏する。
【0215】
しかも、本実施例2は、第1、第2のアーム33、35間の湾曲内側の空間がΔ型よりも大きく、被攪拌物の抜け、通りが良い。
【0216】
さらに、第1、第2のアーム33、35の湾曲内側と第1、第2の羽根部45、47の上縁部との間の角度も略直角に近く、この部分での被攪拌物の抜け、通りも良い。
【0217】
[羽根アームの実施例3]
図26図28は、実施例3に係る羽根アームである。図26は、加熱撹拌装置の要部縦断面図である。図27は、羽根アームの正面図である。図28は、羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図である。なお、本実施例3においても基本的な構成は上記実施例1と同様であり、同一又は対応する構成部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0218】
図26図28のように、本実施例3の羽根アーム29は、第1、第2のアーム33、35が連続した弧状に形成されている。本実施例3の第1、第2のアーム33、5は、変形例1よりも曲率の小さな湾曲状であり、第1のアーム33の第1のリング状部37からアーム基部31を通り、第2のアーム35の第2のリング状部39に至るまで合わせて変形例1よりも大きな円の一部として連続した円弧に形成されている。第1、第2のアーム33、35の湾曲形状は、円弧以外の湾曲で形成することもできる。第1、第2のアーム33、35の一方を直線状、他方を湾曲状に形成し、或いは一方を下向きに凸の湾曲状に形成することもできる。かかる変更により第1、第2のアーム33、35による攪拌機能を増すことができる。第2のアーム35は、上記実施例同様に第1のアーム33よりも長く形成されている。但し、第1、第2のアーム33、35の長さ設定は自由である。
【0219】
従って、本実施例3においても図21の比較例に比べてΔ型と同様の作用効果を奏する。
【0220】
しかも、本実施例3は、第2の掻取羽根27、第2のアーム35、加熱釜3の缶壁間の空間が実施例2よりも拡大され、この空間での被攪拌物の通りがさらに良い。しかも、第1、第2のアーム33、35が第1、第2の羽根部45、47の上縁部に沿うような形態となり、且つ第1、第2の羽根部45、47が第1、第2のアーム33、35に対して第1、第2のリング状部37、39で回動できる。このため第1、第2のアーム33、35の湾曲内側と第1、第2の羽根部45、47の上縁部との間に被攪拌物が付着し難く、被攪拌物の流れを維持することができる。
【0221】
[羽根アームの実施例4]
図29図31は、実施例4に係る羽根アームである。図29は、加熱撹拌装置の要部縦断面図である。図30は、羽根アームの正面図である。図31は、羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図である。なお、本実施例4においても基本的な構成は上記実施例1と同様であり、同一又は対応する構成部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0222】
図29図31のように、本実施例4の羽根アーム29は、第1、第2のアーム33、35が実施例2に対し逆の下向きに凸の湾曲状(π型)となっている。第1、第2のアーム33、35の湾曲形状は、円弧以外の湾曲で形成することもできる。第1、第2のアーム33、35の一方を直線状、他方を下向きに凸の湾曲状に形成することもできる。かかる変更により第1、第2のアーム33、35による攪拌機能を増すことができる。上記実施例同様に第2のアーム35は、第1のアーム33よりも長く形成されている。但し、第1、第2のアーム33、35の長さ設定は自由である。
【0223】
従って、本実施例4においても図21の比較例に比べてΔ型と同様の作用効果を奏する。
【0224】
しかも、本実施例4は、第2の掻取羽根27、第2のアーム35、加熱釜3の缶壁間の空間が実施例3よりもさらに拡大され、この空間での被攪拌物の通りがさらに良い。また、第1、第2のアーム33、35が第1、第2の羽根部45、47の上縁部に実施例3よりも沿うような形態となり、且つ第1、第2の羽根部45、47が第1、第2のアーム33、35に対して第1、第2のリング状部37、39で回動できる。この回動により図31のように、攪拌回転位置によっては第1のアーム33が第1の羽根部45のコーナー部に重なり、第2のアーム35が第2の羽根部47の内側側縁部と重なる状態にもなり得る。これらのため第1、第2のアーム33、35と第1、第2の羽根部45、47の上縁部との間に被攪拌物が付着し難く、被攪拌物の流れを維持することができる。
【0225】
[羽根アームの実施例5]
図32図34は、実施例5に係る羽根アームである。図32は、加熱撹拌装置の要部縦断面図である。図33は、羽根アームの正面図である。図34は、羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図である。なお、本実施例5においても基本的な構成は上記実施例1と同様であり、同一又は対応する構成部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0226】
図32図34のように、本実施例5の羽根アーム29は、第1、第2のアーム33、35が、アーム基部31と第1、第2のリング状部37、39(アーム先端部)との間に延設方向を内向きに変える湾曲部を含む形状である。本実施例5では、第1、第2のアーム33、35が、それぞれ半円弧部33a、35aを備え、半円弧部33a、35aの両端が旋回半径方向に直線的に延設され、アーム基部31及び第1、第2のリング状部37、39に結合されている。つまり、半円弧部33a、35aは、アーム基部31側から延びる直線部の延設方向を内向きに変えて第1、第2のリング状部37、39側に指向させている。上記実施例同様に第2のアーム35は、第1のアーム33よりも長く形成されている。但し、第1、第2のアーム33、35の長さ設定は自由である。
【0227】
従って、本実施例5においても図21の比較例に比べ、略略直角の肩部28が存在しない形態においてΔ型と同様の作用効果を奏する。
【0228】
しかも、本実施例5は、第1のアーム33が第1の羽根部45のコーナー部或いは側縁部に重なり、第2のアーム35が第2の羽根部47の上縁部から上方に突き出る状態になる。このため、第1、第2のアーム33、35と第1、第2の羽根部45、47との間での被攪拌物の付着は抑制される。第1、第2のアーム33、35は、撹拌子的な作用を奏する。
【0229】
[羽根アームの実施例6]
図35図37は、実施例6に係る羽根アームである。図35は、加熱撹拌装置の要部縦断面図である。図36は、羽根アームの正面図である。図37は、羽根アームに対する掻取羽根の取付けを示す正面図である。なお、本実施例6においても基本的な構成は上記実施例1と同様であり、同一又は対応する構成部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0230】
図35図37のように、本実施例6の羽根アーム29は、実施例5同様に第1、第2のアーム33、35が、アーム基部31と第1、第2のリング状部37、39(アーム先端部)との間に延設方向を内向きに変える湾曲部を含む形状である。本実施例6では、半円弧部33a、35aから第1、第2のリング状部37、39に向かう直線部が旋回半径方向に対し下降傾斜するようにして第1、第2のリング状部37、39に結合されている。上記実施例同様に第2のアーム35は、第1のアーム33よりも長く形成されている。但し、第1、第2のアーム33、35の長さ設定は自由である。
【0231】
従って、本実施例6においても図21の比較例に比べ、略略直角の肩部28が存在しない形態においてΔ型と同様の作用効果を奏する。
【0232】
しかも、本実施例6においては、第1のアーム33が第1の羽根部45のコーナー部或いは上縁部に重なり、第2のアーム35が第2の羽根部47の上縁部から上方に突き出る状態になる。このため、第1、第2のアーム33、35と第1、第2の羽根部45、47との間での被攪拌物の付着は抑制される。第1、第2のアーム33、35は、撹拌子的な作用を奏する。
【0233】
[参考例1]
図38は、参考例1に係り、掻取羽根の取り付けを示す要部拡大断面図である。図39は、羽根タブ側から見た取付軸部の端面図である。なお、基本的な構造は、実施例1の図6等と同様であり、対応する部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。また、第1、第2の掻取羽根の相違については、実施例1と同様であり、第1の掻取羽根について説明する。
【0234】
図38図39のように、本参考例1の第1の掻取羽根25Bは、第1のリング状部37の取付孔37aにキー溝状部を有さず、ストレートに形成されている。
【0235】
取付軸部57Bの先端57Baには、羽根タブ77を有している。羽根タブ77は、タブが第1の掻取羽根25B側の部材であることからの呼称である。
【0236】
取付軸部57Bの先端57Baには、タブ取付用のスリット57Babが形成されている。羽根タブ77は、のスリット57Babに嵌合するように配置され、タブピン79により回転自在に支持されている。羽根タブ77には、長穴77aが形成され、長穴77aがタブピン79に嵌合している。羽根タブ77には、回転動作を許容するための円弧部77bが形成されている。
【0237】
従って、羽根タブ77は、タブピン79に対して回転自在であると共にタブピン79に対する長穴77aの範囲で直線的な移動が可能となっている。この羽根タブ77の回転及び直線的な移動により、羽根タブ77を取付軸部57Bに沿った第1の位置から取付軸部57Bに直交して交差する第2の位置に変位可能としている。
【0238】
従って、取付受部である第1のリング状部37と取付結合部である取付軸部57Bとの間に、取付軸部57Bを第1のリング状部37に手動で着脱する着脱機構部として羽根タブ77を備えた構成となっている。
【0239】
第1の掻取羽根25を第1のリング状部37に取り付けるときは、取付軸部57Bを第1の位置にある羽根タブ77と共に第1のリング状部37の取付孔37aに挿入させ、ストッパーカラー55を第1のリング状部37に当接させる。
【0240】
次いで、羽根タブ77が取付孔37aを通過した位置で羽根タブ77をタブピン75回りに回転させて羽根タブ77を取付軸部57Bの軸線に対し直交させる。このとき、羽根タブ77の円弧部77bが第1のリング状部37の端面に対して摺動し、羽根タブ77の回転動作が許容される。
【0241】
次いで、羽根タブ77を第1のリング状部37の端面に沿って下方へ直線的に移動させ、羽根タブ77を第2の位置に変位させる。
【0242】
この第2の位置で羽根タブ77が第1のリング状部37の端面に係合するロックにより取付軸部57Bの抜け止めが行なわれる。
【0243】
従って、羽根タブ77を着脱機構部として羽根アーム29に対し第1の掻取羽根25Bの手動の着脱を行うことができる。
【0244】
なお、第1のリング状部37の端面とストッパーカラー55の後端との間、第2の位置で羽根タブ77と第1のリング状部37の端面との間は、隙間を形成しない形態とし、或いは平均0.55mm、最低でも0.2mm等の隙間を設定する形態とすることもできる。
【0245】
[参考例2]
図40は、参考例2に係り、羽根部と羽根取付板との一部を断面にした分解断面図である。なお、基本的な構造は、実施例1の図6等と同様であり、対応する部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。また、第1、第2の掻取羽根の相違については、実施例1と同様であり、第1の掻取羽根について説明する。
【0246】
図40のように、本参考例2の第1の掻取羽根25Cは、羽根押え板を有さず、押えピン61Cが第1の羽根部45Cと一体に設けられている。押えピン61Cの基部61bと第1の羽根部45Cの前面及び背面とは、ほぼ面一に設定されている。
【0247】
組上げに際しては、第1の羽根部45Cを第1の羽根取付板49に重ねるようにして押えピン61Cを挿入部59aに挿通させる。この挿通により押えピン61Cの頭部61aを第1の羽根取付板49の取付板部56から突出させ、第1の羽根部45Cを取付板部56に合わせる。そして、第1の羽根部45Cを取付板部56に沿って羽根先縁45aの反対方向へ相対移動させ押えピン61Cを嵌合部59bに嵌合させる。
【0248】
この場合、第1の羽根部45Cと取付板部56との間を、実施例1同様に密接させる形態とし、或いは隙間を設定する形態にすることができる。
【0249】
ストッパー53、ストッパーカラー55等の構造は、実施例1同様である。また、図40の第1の羽根取付板49を図6と同様のものを採用したが、図38の実施例2の形態を採用することもできる。
【0250】
本参考例では、部品点数が減少し、分解清掃、組立て、部品管理が容易になる。また、部材接合面の数が減少し、部材間への食材の蓄積滞留を減少させることが可能となる。
【0251】
本実施例において、押えピン61Cを第1の羽根取付板49側に一体的に又は別体に備え、取付穴59を第1の羽根部45C側に備える形態にすることもできる。
【0252】
この場合、取付穴59の挿入部59aから嵌合部59bの位置関係は逆となり、嵌合部59bが羽根先縁45aに向かって嵌合部59bに連続することになる。
【0253】
第2の掻取羽根についても実施例1で説明した関係において第1の掻取羽根25Cと同様である。
【符号の説明】
【0254】
1 掻取撹拌装置
3 加熱釜(攪拌容器)
23 撹拌駆動軸(回転軸)
25、25B、25C 第1の掻取羽根
27、27B、27C 第2の掻取羽根
28 肩部
29 羽根アーム
33 第1のアーム
35 第2のアーム
45、45C 第1の羽根部
47、47C 第2の羽根部
図1
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