(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F24B 1/19 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
F24B1/19
(21)【出願番号】P 2019006927
(22)【出願日】2019-01-18
【審査請求日】2021-12-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (公開者)株式会社三栄書房、(刊行物名)月刊GO OUT 2019年1月号、(発行日)平成30年11月30日、において発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (公開者)株式会社ライズエンジニアリング、(展示会名)GO OUT CAMP 冬 2018 ふともっぱら、(展示日)平成30年12月15-16日、において発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (公開者)株式会社三栄書房、(刊行物名)月刊GO OUT 2019年2月号、(発行日)平成30年12月29日、において発表
(73)【特許権者】
【識別番号】518441047
【氏名又は名称】株式会社ライズエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】森山 竜志
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-37174(JP,A)
【文献】特開平7-19438(JP,A)
【文献】特開2009-47346(JP,A)
【文献】特開2015-135204(JP,A)
【文献】特開2016-205795(JP,A)
【文献】登録実用新案第3091697(JP,U)
【文献】特開平10-61922(JP,A)
【文献】特開昭50-114071(JP,A)
【文献】米国特許第4611572(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24B 1/00-15/10
F23L 1/00-99/00
F23B 10/00-99/00
F23B 5/14-5/18、7/06-7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形燃料を燃焼させる燃焼室と、前記燃焼室の上部後側に接続されて燃焼ガスを排気する排気筒とを備える燃焼装置であって、
前記排気筒の下端部から前記燃焼室内を下方に延びる一対のガイド板と、一対の前記ガイド板の下部前側から下方に延びる邪魔板とを備え、
一対の前記ガイド板は、前記排気筒を挟んだ左右両側に互いに対向するように配置されており、
前記邪魔板は、一対の前記ガイド板の間を跨ぐように配置されている燃焼装置。
【請求項2】
前記燃焼室の前側には、前記燃焼室内を視認可能な透明部を有する開閉扉が設けられており、
前記燃焼室の側部には、前記透明部に沿って外気を導入するように吸気部が形成されている請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記側部は、それぞれの間に断熱用の空気層を形成する内壁および外壁を備え、
前記吸気部は、前記内壁に形成されており、
前記外壁の前記吸気部に対向する位置には、前記吸気部の開度を調整可能なスライド式のシャッターを備える請求項2に記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薪などの固形燃料を燃焼させる装置として、例えば、特許文献1に開示された薪ストーブが知られている。この薪ストーブは、前側に薪投入用扉を備える燃焼室の上部後方に二次燃焼筒が接続された、いわゆるロケットストーブである。燃焼室の内部には二次燃焼用空気誘導板が設けられており、二次燃焼用空気誘導板によって空気を二次燃焼筒に案内し、可燃ガスと混合させて煙の発生を防止するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の薪ストーブは、二次燃焼用空気誘導板を備えることによって、二次燃焼筒内での燃焼が促されるように構成されているため、燃焼室内における燃焼範囲は狭くなり易く、燃焼効率を高める上で更に改良の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、燃焼室内の広範囲で安定した燃焼を行うことができる燃焼装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、固形燃料を燃焼させる燃焼室と、前記燃焼室の上部後側に接続されて燃焼ガスを排気する排気筒とを備える燃焼装置であって、前記排気筒の下端部から前記燃焼室内を下方に延びる一対のガイド板と、一対の前記ガイド板の下部前側から下方に延びる邪魔板とを備え、一対の前記ガイド板は、前記排気筒を挟んだ左右両側に互いに対向するように配置されており、前記邪魔板は、一対の前記ガイド板の間を跨ぐように配置されている燃焼装置により達成される。
【0007】
この燃焼装置において、前記燃焼室の前側には、前記燃焼室内を視認可能な透明部を有する開閉扉が設けられていることが好ましく、前記燃焼室の側部には、前記透明部に沿って外気を導入するように吸気部が形成されていることが好ましい。
【0008】
更に、前記側部は、それぞれの間に断熱用の空気層を形成する内壁および外壁を備えることが好ましく、前記吸気部は、前記内壁に形成されており、前記外壁の前記吸気部に対向する位置には、前記吸気部の開度を調整可能なスライド式のシャッターを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、燃焼室内の広範囲で安定した燃焼を行うことができる燃焼装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る燃焼装置の斜視図である。
【
図4】
図1に示す燃焼装置の使用状態を示す要部拡大正面図である。
【
図5】
図1に示す燃焼装置の他の使用状態を示す要部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃焼装置の斜視図である。
図1に示すように、燃焼装置1は、本体10と、本体10に接続される排気筒20とを備えている。本体10および排気筒20は、例えばホーロー加工した金属板により形成することで、耐熱性を高めることができる。
【0012】
本体10は、開口する前側に開閉扉30を備える筐体状に形成されており、内部に燃焼室50が形成されている。本体10の上部11には開口が形成されており、この開口に排気筒20を差し込むことで、燃焼室50の上部後側に排気筒20が接続される。本体10の下部には複数の脚部40,40が回動自在に取り付けられており、脚部40,40を畳んだ状態から起立させて本体10を支持することができる。
【0013】
排気筒20は、それぞれの断面が正方形状に形成された内周壁21および外周壁22を備えており、内周壁21および外周壁22との間に断熱用の空気層が形成される。排気筒20は、運搬時や保管時などにおいては、本体10から取り外して複数に分割することができる。
【0014】
図2は、
図1に示す燃焼装置の正面図である。
図2に示すように、開閉扉30は、矩形状のフレーム31内に耐熱ガラス等からなる平板状の透明部32を備えており、本体10の開口を覆うようにヒンジ33,33を介して開閉自在に取り付けられて、ロックレバー34の操作により本体10の開口を閉じた状態に保持することができる。本実施形態の開閉扉30は、燃焼室50内の視認性を高めるために透明部32が略全体に形成されているが、一部のみに透明部を形成してもよく、あるいは、透明部を備えない構成にすることも可能である。
【0015】
図3は、
図2のA-A断面図である。また、
図4は、
図2に示す本体10の開閉扉30が開いた状態を示す要部正面図である。
図3および
図4に示すように、本体10は、燃焼室50を区画する上部11、左右の側部12,13、後部14および下部15が、内壁11a~15aおよび外壁11b~15bを備える二重構造となっており、内壁11a~15aと外壁11b~15bとの間に断熱用の空気層が形成されている。
【0016】
左右の側部12,13は、内壁12a,13aの下部前側にそれぞれ多数の通気孔からなる吸気部16,16が形成されると共に、外壁12b,13bにおいて吸気部16,16に対向する位置には、外気導入口17を開閉するシャッター18が設けられている。シャッター18は、外壁12b,13bに沿って、
図5に矢印で示す前後方向にスライド可能に設けられており、摘み部18aを把持してスライドさせることにより、吸気部16の開度を全閉状態から全開状態まで変化させることができる。吸気部16の開口面積は、排気筒20の開口面積と同程度であることが好ましい。
【0017】
図3および
図4に示すように、燃焼室50の後部には一対のガイド板23,23および邪魔板24が設けられている。一対のガイド板23,23は、燃焼室50の上部後側において互いに平行となるように、本体10の後部内壁14aに固定されており、排気筒20を燃焼室50に接続したときに、排気筒20の下端部が一対のガイド板23,23の間に挿入される。邪魔板24は、上端部が一対のガイド板23,23の下部前側に固定されており、下端部が本体10の下部内壁15aに固定されている。
【0018】
上記の構成を備える燃焼装置1は、薪、木片、炭、ペレット等の固形燃料を燃焼室50内に適量投入して着火し、開閉扉30を閉じて左右のシャッター18,18を開くことにより、左右の吸気部16,16から燃焼室50内に外気が取り込まれて固形燃料を燃焼させることができる。燃焼室50で生成された燃焼ガスは、排気筒20を介して外部に排出される。
【0019】
吸気部16から燃焼室50に取り込まれる外気は、燃焼室50の前側において、左右下部から中央上部に向けて流れるため、
図3に矢印F1で示すように、開閉扉30の透明部32に沿って外気が導入される。したがって、透明部32に煤などが付着するのを抑制して燃焼室50内の視認性を長時間良好に維持することができ、燃焼室50内の炎の様子などを楽しむことができる。
【0020】
燃焼室50内には、排気筒20の下端部から燃焼室50内を下方に延びる一対のガイド板23,23と、一対のガイド板23,23の下部前側から下方に延びる邪魔板24とが設けられている。一対のガイド板23,23は、排気筒20を挟んだ左右両側に互いに対向するように配置されており、邪魔板24は、一対のガイド板23,23の間を跨ぐように配置されている。
【0021】
燃焼室50がこのような構成を備えることで、燃焼室50内のガスは、
図3および
図4に示すように、一対のガイド板23,23の間に形成される第1の連通部25、および、邪魔板24の左右両側に形成される第2の連通部26,26を通過して、排気筒20に導かれる。こうして、燃焼室50のガス流れを矢印F2,F3で示すように分散させて、燃焼室50内の広範囲で固形燃料を燃焼させることができるので、燃焼効率を高めることができると共に、燃焼室50の全体に炎が拡がるため演出効果を高めることができる。燃焼室50内の燃焼状態は、シャッター18の操作により適宜調整することができる。
【0022】
本発明の燃焼装置の用途は特に限定されないが、例えば、アウトドアでの暖房用として好適に使用することができる。あるいは、燃焼室50の内壁に設けられた受具19(
図3参照)に網板などを取り付けることで、調理用として使用することもできる。
【符号の説明】
【0023】
1 燃焼装置
10 本体
12,13 側部
12a,13a 内壁
12b,13b 外壁
16 吸気部
18 シャッター
20 排気筒
23 ガイド板
24 邪魔板
30 開閉扉
32 透明部
50 燃焼室