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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】吸入器ハウジング
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20221125BHJP
   A61M 11/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
A61M11/00 D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019531114
(86)(22)【出願日】2017-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 AU2017051340
(87)【国際公開番号】W WO2018102870
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-12-02
(31)【優先権主張番号】2016905026
(32)【優先日】2016-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519203611
【氏名又は名称】レインボー, ヒース
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レインボー, ヒース
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-043108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0190473(US,A1)
【文献】特表2003-503117(JP,A)
【文献】特表2001-518323(JP,A)
【文献】米国特許第06293279(US,B1)
【文献】米国特許第04637528(US,A)
【文献】特開昭58-061756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
A61M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を含有する容器を少なくとも部分的に受け入れるように適合された受け部と、薬剤が分注される分注部とを備える吸入器ハウジングであって、
前記受け部が前記分注部の下端に位置する保持部材を備え、前記受け部の長手方向が上下方向に向いているとき、前記保持部材が前記受け部の最下面を構成しており、
前記分注部が、前記薬剤が前記吸入器ハウジングから通って出るマウスピース部を備え、
前記受け部および前記分注部は、前記受け部および前記分注部が互いに少なくとも部分的に重なる格納状態と使用状態との間で、互いに対して相対的に移動可能であり、該分注部および該受け部が、摺動移動および旋回移動の両方を用いて、前記格納状態と前記使用状態との間を移動するように構成されており、
前記保持部材が溝を有し、前記溝が前記分注部の縁部を受け入れることで、前記ハウジングを使用状態に保持しており、
前記分注部が、前記受け部と前記分注部が互いに周りで旋回する旋回点である、1つ以上の突起部を備え
前記受け部に1つ以上の凹部、チャネル、または開口部が設けられており、前記1つ以上の突起部が、前記格納状態と前記使用状態との間で、前記1つ以上の凹部、チャネル、または開口部内で動き、
前記受け部の下端がドーム形であり、前記格納状態において前記マウスピース部の内側から前記分注部を密閉する、吸入器ハウジング。
【請求項2】
前記受け部は実質的に管状である、請求項1に記載の吸入器ハウジング。
【請求項3】
前記受け部は、その長手方向に延びる部分の少なくとも一部に沿って延びる穴を備える、請求項1または請求項2に記載の吸入器ハウジング。
【請求項4】
前記穴は、前記受け部の開放端から前記受け部内に延びる、請求項3に記載の吸入器ハウジング。
【請求項5】
前記受け部は、前記吸入器ハウジングを、衣料品、バッグ、またはベルトのアイテムに対して接続可能に適合された1つ以上の接続部材を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸入器ハウジング。
【請求項6】
前記吸入器ハウジングを前記格納状態に保持するように構成されている1つ以上の接続部材をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の吸入器ハウジング。
【請求項7】
前記受け部は、前記容器からの前記薬剤の分注を補助するように適合された作動部を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の吸入器ハウジング。
【請求項8】
前記作動部は、ノズルを備え、前記ノズルを通して前記薬剤が使用者の口の方へ向けられる、請求項7に記載の吸入器ハウジング。
【請求項9】
前記ノズルは、前記受け部の長手方向軸に対して60°~120°の間の角度となる向きに方向づけられている、請求項8に記載の吸入器ハウジング。
【請求項10】
前記吸入器ハウジングが前記格納状態にあるときに、前記分注部は、前記受け部の上に少なくとも部分的に重なる、請求項1~9のいずれか1項に記載の吸入器ハウジング。
【請求項11】
前記1つ以上の凹部、チャネル、または開口部の端部に対する前記1つ以上の突起部の当接が、前記受け部に対する前記分注部の摺動移動の限界を規定する、請求項1に記載の吸入器ハウジング。
【請求項12】
前記吸入器ハウジングを前記格納状態から前記使用状態へと移動させるためには、分注部に対する受け部の、摺動移動の形態となる第1の移動と、それに続く旋回移動の形態となる第2の移動とが必要となる、請求項10又は11に記載の吸入器ハウジング。
【請求項13】
前記保持部材がニップルを備える、請求項1~12のいずれか1項に記載の吸入器ハウジング。
【請求項14】
前記使用状態において、前記分注部と前記受け部とは、80°~110°の間の角度となる向きに互いに方向づけられている、請求項1~13のいずれか1項に記載の吸入器ハウジング。
【請求項15】
前記分注部は、1つ以上の切り欠き部を備え、前記切り欠き部は、前記受け部の少なくとも外面が、使用状態において、前記切り欠き部の端部の少なくとも一部と隣接するか、またはそれに近接して位置するようにサイズ決めされている、請求項1~14のいずれか1項に記載の吸入器ハウジング。
【請求項16】
前記分注部は、第1の開放端と、反対側の第2の開放端と、を備え、
前記第1の開放端を通って前記薬剤が前記受け部から前記分注部に入り、
前記第2の開放端を通って前記薬剤が前記分注部から出る、請求項1~15のいずれか1項に記載の吸入器ハウジング。
【請求項17】
前記分注部の前記第2の開放端は、前記吸入器ハウジングをスペーサに接続可能とするように適合された成形部を備える、請求項16に記載の吸入器ハウジング。
【請求項18】
前記分注部の前記第2の開放端は、カバー部材が設けられている、請求項16または請求項17に記載の吸入器ハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入器ハウジングに関する。特に、本発明は、比較的コンパクトな吸入器ハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
吸入器は、肺を介して体内に薬を投与するための医療機器である。吸入器は、喘息、インフルエンザ、または慢性気管支炎および肺気腫などの疾患を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの疾患の治療に長年使用されてきた。
【0003】
典型的には、(吸入器または喘息ポンプとしても知られる)吸入器は、アクチュエータを有するプラスチックハウジングに取り付けられた、薬(推進剤を含む)の加圧キャニスタを備える。作動時には、吸入器は定量の薬をエアロゾルの形態で使用者の口を介して肺内へと放出する。
【0004】
従来の吸入器ハウジングは、典型的には比較的かさばるものであり、すなわち、例えば、ポケットまたは小さなハンドバッグに入れて携帯することが困難となるか、または厄介となり得る。これは、使用者に吸入器を携帯しないことを選択させてしまい、吸入器を携帯していないときに、(例えば、)喘息発作を起こした場合、健康を危険にさらす可能性がある。
【0005】
したがって、使用者がより頻繁に吸入器を持ち運ぶことを奨励するために、よりかさばらないように比較的コンパクトな吸入器を提供することが可能であるならば、利点がある。
【0006】
先行技術の刊行物が本明細書中で言及される場合、この参照は、その刊行物がオーストラリアまたは他の国において、一般的知識の一部を形成するということを認めるものではないということは明らかに理解されるであろう。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上述の欠点の少なくとも1つを少なくとも部分的に克服する、つまり消費者に、有用で商業的な選択を提供することができる吸入器ハウジングに関する。
以上の観点から、本発明の一形態は、概して、薬剤を含有する容器を少なくとも部分的に受け入れるように適合された受け部と、薬剤が分注される分注部と、を備える吸入器ハウジングであって、受け部および分注部は、受け部および分注部が互いに少なくとも部分的に重なる格納状態と使用状態との間で、互いに対して相対的に移動可能となっており、分注部および受け部は、摺動移動および旋回移動の両方を用いて格納状態と使用状態との間を移動するように構成され、吸入器ハウジングは、この吸入器ハウジングを使用状態に保持するように適合された1つ以上の保持部材を備える。
【0008】
受け部は、任意の適切なサイズ、形状、または構成とすることができる。しかしながら、前述のように、受け部は、薬剤を収容する容器を少なくとも部分的に受け入れられるようになっている。したがって、本発明の好ましい一実施形態では、受け部は、内部に開口部を有していてもよく、それを通して容器を受け入れることができる。そして、開口部は受け部の任意の適切な位置に配置することができる。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、受け部は実質的に管状であってもよい。この実施形態では、受け部は任意の断面形状としてもよく、受け部の断面形状は実質的に円形とすることが好ましい。また、好ましくは、受け部の少なくとも一端は開口しており、受け部の開放端には、容器を少なくとも部分的に受け入れる開口が形成される。
【0010】
好ましい一実施形態では、受け部は、少なくともその長さ部分に沿って延びる穴を備えていてもよい。好ましくは、穴は、受け部の開放端から受け部内に延びる。本発明のこの実施形態では、容器は少なくとも部分的に穴内に受け入れられることが想定される。
【0011】
穴は任意の適切な直径のものとすることができる。しかしながら、本発明の好ましい実施形態では、穴の直径は容器の直径よりわずかに大きい。このようにして、容器は受け部内にぴったりと保持され得る。
【0012】
穴には1つ以上の保持部材を設けることができる。保持部材は、任意の適切な形態とすることができるが、好ましい一実施形態では、保持部材は、受け部の内面から穴の中に向かって内側に延びる1つ以上の突起部を備えることができる。1つ以上の突起部は、1つ以上のリブ、指状突起部、ランド状突起部、歯状突起部など、またはそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。好ましくは、容器が受け部に受け入れられると、1つ以上の突起部が容器の外面と当接し、それによって摩擦係合によって受け部内に容器を保持するのを助けることができる。
【0013】
突起部が1つ以上のリブを含む本発明の実施形態では、リブは任意の適切な方法で方向づけられていてもよい。しかしながら、好ましい一実施形態では、1つ以上のリブは、穴の長手方向軸と実質的に平行な方向、つまり、受け部の長手方向軸と平行な方向に穴の内面に沿って延びていてもよい。
【0014】
1つ以上の突起部は、穴の内面の周りに均等に離間して配置されていてもよく、またはランダムな間隔で配置されていてもよい。好ましくは、1つ以上の突起部は、突起部と容器との間の摩擦係合を強化するために、実質的に穴の内面全体の周りに配置される。
【0015】
受け部は、任意の適切な長さとすることができる。例えば、受け部は、容器が受け部内に完全に受け入れることができるように、少なくとも容器と同じ長さとすることができる。より好ましくは、受け部は、容器が受け部内に部分的に受け入れられるように、容器よりも長さを短くすることができる。このようにして、使用者は、空になったときに受け部から容器を取り出すために、あるいは容器から薬剤の分注を行うために、受け部に対して容器を動かすよう容器を押すために、この容器の一部にすぐにアクセスできる。
本発明のいくつかの実施形態では、吸入器ハウジングは、アイテムに対してこの吸入器ハウジングを接続可能とするように適合された1つ以上の接続部材を備えていてもよい。アイテムは、任意の適切な形態とすることができ、衣料品、ベルト、バッグなどのアイテム、またはそれらの任意の適切な組み合わせを含み得る。接続部材は、任意の適切な形態とすることができ、そして1つ以上のストラップ、バックル、ボタン、クランプ、ループ、タイ、プレススタッド、マグネットフック&ループコネクタ、ジッパーなどを含み得る。より好ましくは、接続部材は、吸入器ハウジングのアイテムへの接続を容易とするように適合された1つ以上のクリップを含み得る。1つ以上の接続部材のうちの1つは、吸入器ハウジングを格納状態に保持するように構成されてもよい。
【0016】
接続部材は、吸入器ハウジングとは別体に形成することができ、それに対して固定されるように適合されていてもよいし、一時的に接続されように適合されていてもよい。しかしながら、接続部材は、吸入器ハウジングと一体的に形成されることがより好適である。
【0017】
接続部材は、受け部、分注部、またはその2つの組み合わせに設けられていてもよい。接続部材は受け部に配置されていることが最適である。
【0018】
容器は、薬剤および噴射剤を含む加圧金属キャニスタを備え、大部分は従来のものであり得ることが理解されるであろうが、任意の適切な形態とすることができる。薬剤は、喘息、インフルエンザ、または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に典型的に使用され得ると考えられるが、任意の適切な疾患または障害の治療に使用することができる。
【0019】
受け部は、容器からの薬剤の分注を補助するように適合された作動部をさらに備えてもよい。任意の適切な作動部が提供され得る。
【0020】
容器は内部にバルブを備え、それを通して薬剤が容器から出ることが想定される。容器は、この容器から外側に延びるバルブステムを備えることがさらに想定されうる。したがって、本発明のこれらの実施形態では、バルブステムが作動部と当接するか、または作動部に近接するように、容器を受け部に受け入れて保持することが想定し得る。好ましくは、(典型的には容器に加えられる手動の圧力による)受け部に対する容器のさらなる移動は、(バルブステムが作動部と当接することにより容器をバルブステムに対して移動させることによって)バルブを作動させることができるので、薬剤(および好ましくは定量の薬剤)を容器から放出することができる。
【0021】
本発明の好ましい一実施形態では、作動部は、受け部に対する容器のさらなる移動が作動するとき、バルブステムが当接部との当接により受け部に対して相対的に移動できないようにバルブステムに当接する当接部を備えてもよい。代わりに、容器がバルブステムに対して相対的に移動し、それによってバルブが開き、ある量の薬剤が分注される。容器の構造は従来通りであり、これについてのさらなる説明は必要とされない。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、作動部は、容器から分注された薬剤が膨張してエアロゾルを形成することができる膨張室をさらに備えてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、作動部は、出口をさらに備えてもよく、それを通して(例えば、エアロゾル形態の)薬剤を使用者に向けることができる。好ましくは、出口は、薬剤を使用者の口の方に向けることができるように配置されている。本発明のいくつかの実施形態では、出口はノズルを有していてもよく、出口は任意の適切な形態とすることができる。
【0023】
出口は任意の適切な方向に向けることができる。例えば、出口は、薬剤が受け部の長手方向軸と実質的に同軸または平行である方向に、出口を通じて分注されるように方向づけられていてもよい。あるいは、出口は、受け部の長手方向軸に対して180°未満の角度となる向きに方向づけられていてもよい。例えば、出口は、受け部の長手方向軸に対して約30°~約150°の間の角度となる向きに方向づけることができる。より好ましくは、出口は、受け部の長手方向軸に対して約60°~約120°の間の角度となる向きに方向づけることができる。最も好ましくは、出口は、受け部の長手方向軸に対して約90°の角度となる向きに方向づけることができる。
【0024】
前述のように、受け部は、それを通じて容器をこの受け部内に受け入れることができる第1の開放端を有してもよい。受け部の反対側の第2の端部もまた開いていてもよい。しかしながら、より好ましくは、受け部の反対側の第2の端部は実質的に閉じられていてもよい。また、本発明の好ましい一実施形態では、作動部における開口部として、受け部の第2の端部において唯一の開口部を備えてもよい。
【0025】
また、受け部の反対側の第2の端部において成形部を設けることが想定できる。成形部を適切な形状として提供することができるが、成形部の目的は、吸入器ハウジングが使用状態にあるときに、分注部の内面に当接するか、または近接して配置されることであると理解されるであろう。このように、成形部の存在によって、受け部と分注部との間の薬剤の損失を低減または排除することができる。これは、薬剤を定量容器から配る際に、特に重要となる。薬剤の損失(つまり、吸入または摂取用の、使用者に届かない容器から放出された薬剤)は、使用者が必要量または所望の量より少ない量の薬剤を受け取っていることを意味する。これは、使用者の症状、軽減といった使用者の状態について無効な、または不十分な治療となり得る。
【0026】
受け部の成形部は、任意の適切な形状とすることができる。例えば、成形部は、角錐台、立方体、球、円錐、円柱など、またはそれらの任意の適切な組み合わせとしてもよい。本発明の一実施形態では、成形部は、実質的にドーム形状であってもよい。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、成形部には、内部に1つ以上の凹部、スロット部、溝部、開口部など(またはそれらの任意の組合せ)が設けられていてもよい。本発明のこの実施形態では、分注部の内面には、ハウジングが使用状態になると、成形部内の1つ以上の凹部、スロット部、溝部、または開口部内に収容されるように適合された1つ以上の突起部(リブ、凸部、歯状部など、またはそれらを組み合わせた形状)を設けることが想定できる。このようにして、ハウジングは、使用者の要求に応じて、使用状態に保持され得る。好ましくは、突起部は、可聴信号(クリックなど)を使用者に与え、ハウジングが使用状態にあることを使用者に知らせるように、凹部、スロット部、溝部、または開口部内に受け入れられていてもよい。
【0028】
本発明の代替の一実施形態では、成形部に1つ以上の突起部が設けられており、一方、分注部の内面に、1つ以上の凹部、スロット部、溝部、または開口部などが設けられていてもよい。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、使用状態において薬剤が出口から分注部へと出るように、出口が受け部の側壁に設けられていてもよい。あるいはまた、出口は、受け部の側壁から内側に離間して配置されていてもよい。本発明のこの実施形態では、受け部の側壁には、内部に開口部を設けることができ、これを通じて出口を出る薬剤が受け部から分注部へと通過する。
【0030】
分注部は、任意の適切なサイズ、形状、または構成とすることができる。前述のように、分注部および受け部は、格納状態において少なくとも部分的に互いに重なっている。したがって、受け部が管状部材を有する本発明の実施形態では、分注部も管状部材を有することが想定できる。好ましくは、分注部は、少なくともその長さ部分に沿って、受け部の断面形状と同一または類似の断面形状を有することができる。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態では、受け部は、格納状態で、分注部の上に少なくとも部分的に重なることができる。したがって、本発明のこの実施形態では、分注部は、格納状態で受け部内に少なくとも部分的に受け入れられることができる。
【0032】
あるいはまた、分注部は、格納状態で、受け部の上に少なくとも部分的に重なっていてもよい。この実施形態では、受け部は、格納状態で分注部内に少なくとも部分的に受け入れられる。本発明のこの実施形態では、管状となる分注部の内径は、管状となる受け部の外径と実質的に等しいか、またはそれよりわずかに大きいものとすることが想定できる。このようにして、受け部は、分注部内に比較的ぴったりと受け入れられる。これにより、受け部に対する分注部の望ましくない、あるいは偶発的な移動を、低減または排除することができる。
【0033】
分注部は、格納状態と使用状態との間で受け部に対して任意の適切な方法で相対的に移動することができる。しかしながら、本発明の好ましい一実施形態では、分注部は、格納状態と使用状態との間で受け部に対して摺動移動によって相対的に移動することができる。したがって、本発明のこの実施形態では、受け部および分注部は、伸縮動作により互いに相対的に移動することができる。
【0034】
受け部に対する分注部の相対的な摺動移動は、任意の適切な技術を用いて達成され得る。しかしながら、好ましくは、受け部に対する分注部の相対的な摺動移動は、分注部が受け部に対して摺動可能に移動するために使用者が分注部および/または受け部に力を加えることによる手動によって達成されてもよい。
【0035】
分注部は、受け部に対して相対的に任意の距離を移動するように適合させることができる。しかしながら、より好ましくは、分注部が受け部に対して摺動可能に移動し得る距離を制限するために、1つ以上の移動制限部材が設けられていてもよい。受け部に対する分注部の移動の制限を規定する1つ以上の停止部材(突起部、リブなど)などの任意の適切な移動制限部材を設けてもよい。
【0036】
本発明の好ましい一実施形態では、分注部または受け部の一方において、1つ以上の凹部、チャネル、開口部などを設けることができるとともに、受け部の分注部の他方において、1つ以上の突起部を設けることができる。本発明のこの実施形態では、吸入器ハウジングを組み立てるときに、1つ以上の突起部を、1つ以上の凹部、チャネル、開口部などの中に配置することが想定される。
【0037】
分注部および受け部が、格納状態と使用状態との間で移動するとき、突起部は開口部、凹部、またはチャネル内を移動してもよいということは想定されうるだろう。しかしながら、チャネル、凹部、または開口部の反対側の端部に対する突起部の当接によって、受け部に対する分注部の移動の限界を規定してもよい。
【0038】
本発明の最も好ましい実施形態では、チャネル、凹部、または開口部は、受け部に、より具体的には受け部の外面に設けられていてもよい。また、1つ以上の突起部は、分注部に、より具体的には分注部の内面に設けられていてもよい。
【0039】
1つ以上の凹部、チャネル、または開口部は、任意の適切なサイズまたは形状とすることができ、そして任意の適切な向きに配置することができる。しかしながら、好ましくは、1つ以上の凹部、開口部のチャネルは、受け部の長手方向軸に対して実質的に平行になる向きに、または分注部の長手方向軸に対して実質的に平行になる向きに方向づけられていてもよい。
【0040】
任意の適切な数のチャネル、凹部、または、開口部、および突起部を提供することができる。しかしながら、これは1つの突起部を、各凹部、チャネル、または開口部内に配置することができることを想定し得る。
【0041】
本発明の好ましい一実施形態では、一対の凹部、チャネル、または開口部が備えられていてもよい。本発明のこの実施形態では、一対の凹部、チャネル、または開口部は、好ましくは受け部に備えられていてもよい。
【0042】
本発明の好ましい一実施形態では、一対の凹部、チャネル、または開口部は、受け部に備えられていてもよい。凹部、チャネル、または開口部は、任意の適切な位置にかつ任意の適切な向きで設けることができる。しかしながら、好ましくは、一対の凹部、チャネル、または開口部は、受け部の周りに、互いに離間して設けられていてもよい。より好ましくは、一対の凹部、チャネル、または開口部は、受け部の周りに、互いに約180°離間して設けられていてもよい。
【0043】
前述のように、受け部および分注部は、格納状態と使用状態との間での摺動移動により互いに相対的に移動することができる。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態では、格納状態と使用状態との間で、受け部および分注部を移動させるために2つの移動が必要とされる場合がある。
【0044】
2つの移動は任意の適切な形態とすることができる。しかしながら、本発明の好ましい一実施形態では、第1の移動は摺動移動とすることができ、第2の移動は旋回移動とすることができる。好ましくは、格納状態から、受け部および分注部が互いに摺動して、次いで互いに対して旋回して使用状態へと移動する。一方、使用状態から、分注部および受け部は、好ましくは、互いに対して旋回して、次いで互いに対して摺動して格納状態になる。
【0045】
受け部に対する分注部の相対的な旋回移動は、摺動移動に続く任意の適切な時点で起こり得る。しかしながら、本発明の好ましい実施形態では、受け部および分注部は、旋回移動が起こり得る前に、(例えば、停止部材の位置、またはチャネル、凹部、または開口部内の突起部によって規定される)摺動移動の限界まで互いに対して摺動してもよい。
【0046】
旋回移動は、旋回点の周りで起こり得る。本発明の好ましい一実施形態では、分注部が受け部に対して旋回する旋回点を、チャネル、凹部、または開口部内に配置された突起部の停止部材としてもよいし、旋回点を任意の適切な形態としてもよい。
【0047】
分注部および受け部は、互いに対して任意の適切な距離をあけて旋回してもよい。しかしながら、吸入器ハウジングが使用状態にあるとき、分注部および受け部は約60°~約130°の間の角度となる向きに互いに方向づけることが想定できる。より好ましくは、使用状態において、分注部および受け部は、互いに約70°~約120°の間の角度となる向きに方向づけられていてもよい。さらにより好ましくは、使用状態において、分注部と受け部とは、互いに約80°~約110°の間の角度となる向きに方向づけられていてもよい。最も好ましくは、使用状態において、分注部と受け部とは、互いに約100°の角度となる向きに方向づけられていてもよい。
分注部が受け部に対して旋回して使用状態になると、吸入器ハウジングが使用状態に入ったという表示を使用者に提供することができる。例えば、分注部および/または受け部には、分注部および受け部を使用状態に保持するように適合された1つ以上の保持部材を設けることができる。つまり、1つ以上のキャッチ、留め金、戻り止めなど、またはそれらの任意の適切な組み合わせなど、任意の適切な保持部材が提供され得る。保持部材は、吸入器ハウジングが使用状態にあることを使用者に示す方法で係合または接続することが想定し得る。例えば、保持部材は、吸入器ハウジングが使用状態にあることを示すために、可聴音(例えば、クリック音など)を用いて係合または接続することができる。1つ以上の保持部材は、しまりばめで互いに係合するニップルおよび対応するアパーチャを備えていてもよい。
【0048】
あるいはまた、吸入器ハウジングは、受け部と分注部との間での摩擦係合により使用状態に保持されてもよい。
【0049】
本発明の一実施形態では、凹部は、その端部に保持部が設けられていてもよい。好ましくは、保持部は、分注部に対する受け部の旋回移動が可能となるチャネルの端部に設けられていてもよい。本発明のこの実施形態では、保持部材は、凹部の拡張部を有していてもよく、任意の適切な保持部が備えられている。受け部と分注部とが互いに対して旋回すると、突起部がこの拡張部内に移動し、それによって吸入器ハウジングを使用状態に保持または係止できることを想定し得る。分注部が受け部に対して旋回するとき、突起部は単にこの拡張部内へと移動してもよく、また、旋回移動に続く受け部に対する分注部のさらなる摺動移動が、突起部を拡張部内へと移動させるために必要となる場合がある。拡張部は、凹部に対して任意の適切な向きに配置することができる。しかしながら、本発明の好ましい一実施形態では、拡張部は凹部に対してある角度となる向きに方向づけられている。例えば、拡張部は、凹部の長手方向軸に対して約30°~約150°の間の角度となる向きに方向づけられていてもよい。より好ましくは、拡張部は、凹部の長手方向軸に対して約60°~約120°の間の角度となるむきに方向づけられていてもよい。最も好ましくは、拡張部は、凹部の長手方向軸に対して約90°の角度となる向きに方向づけられていてもよい。
【0050】
吸入器ハウジングは、ハウジングへの力(特に使用者によって加えられる手動の力)の印加によって使用状態から外れることができ、それによって突起部をその拡張部内での保持状態から逸脱するように移動させることが想定され得る。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態では、分注部および/または受け部には、1つ以上の切り欠き部が設けられていてもよい。切り欠き部は、任意の適切なサイズ、形状、または構成としてもよく、好ましくは、切り欠き部は、その端部から分注部および/または受け部内に延びる。
【0052】
最も好ましくは、1つ以上の切り欠き部が分注部に設けられていてもよい。この実施形態では、使用状態において、受け部の一部が切り欠き部内に受け入れられることが想定し得る。好ましくは、切り欠き部は、使用状態において、受け部の少なくとも外面が、切り欠き部の縁部の少なくとも一部と当接して、または近接して配置され得るような大きさとすることができる。本発明のいくつかの実施形態では、受け部と切り欠き部の縁部との当接により、分注部に対する受け部の旋回移動の限界を規定することができる。
【0053】
前述のように、分注部を、実質的に管状としてもよい。分注部の少なくとも一端を開放端としてもよく、本発明の好ましい実施形態では、分注部の両端を開放端としてもよい。本発明のこの実施形態では、受け部から出る薬剤は、その第1の開放端を通じて分注部に入ることが想定し得る。次いで、薬剤は、分注部の反対側の第2の開放端を通じて分注部から出ることができる(この時点では、使用者によって吸入または摂取されてもよい)。
【0054】
(それを通じて薬剤が吸入器ハウジングから出る)分注部の第2の開放端は、任意の適切な形態とすることができる。本発明のいくつかの実施形態では、第2の開放端は、分注部の残余部分と同じ直径を有してもよい。本発明の代替の一実施形態では、分注部の第2の開放端に成形部が設けられていてもよい。成形部は、例えば、使用者がこの成形部の周りに口をより快適に置くことができるように設けられていてもよい。あるいはまた、成形部は、例えば、スペーサなどの他のアイテムと接続されるように設けられていてもよい。本発明のこの実施形態では、成形部は、スペーサへの接続を容易にするように成形することができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態では、分注部の第2の開放端に、カバー部材が設けられていてもよい。限定はしないが、キャップまたはプラグなどの任意の適切なカバー部材を設けることができる。吸入器ハウジングが使用されていないときにカバー部材は、分注部(または存在する場合は成形部)の第2の開放端部に保持されるように適合されることが想定し得るが、カバー部材は任意の適切なサイズ、形状、または構成としてもよい。
【0056】
好ましくは、カバー部材は、分注部の開放端を覆うように配置され、分注部の側壁に沿って少なくとも途中まで延びるように適合されている。したがって、本発明のこの実施形態では、カバー部材はキャップを備えていてもよい。好ましくは、キャップは、底壁と、そこから延びる1つ以上の側壁とを有し、1つ以上の側壁は分注部の側壁に沿って延びている。なお、キャップは、任意の適切な技術を用いて分注部に保持されていてもよい。例えば、キャップは、摩擦係合によって分注部に保持されていてもよい。あるいはまた、キャップおよび分注部は、キャップを分注部に接続する(そして、キャップを分注部に保持する)ように適合された1つ以上の接続部材を備えてもよい。例えば、1つ以上のクランプ、留め金、ピンなどの任意の適切な接続部材を提供することができる。あるいはまた、キャップと分注部との間におけるねじ込み係合を介して、キャップを分注部に保持するように適合させてもよい。
【0057】
本発明の一実施形態では、分注部またはキャップは、分注部の外周またはキャップの内面、特にキャップの側壁の内面の周りの少なくとも途中まで延びた溝またはチャネルが設けられていてもよい。分注部またはキャップの他方には、キャップを分注部に保持するために溝またはチャネルと係合して保持されるようになっている(リップなどの形態の)突起部が設けられていてもよい。
【0058】
最も好ましい一実施形態では、分注部には溝または凹部を設けることができ、一方、キャップにはリップを設けることができる。
【0059】
吸入器ハウジングは、任意の適切な材料から製造することができる。例えば、吸入器ハウジングは、金属、ガラス、ポリマー物質、ガラス繊維などから製造することができる。本発明の好ましい一実施形態では、吸入器ハウジングは、プラスチックなどの1つ以上の種類のポリマー物質から製造することができる。特に、吸入器ハウジングは、ポリエチレンテレフタレート(PETまたはPETE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)など、またはそれらの任意の適切な組み合わせから製造することができる。
【0060】
吸入器ハウジングは、任意の適切な技術から製造することができる。しかしながら、好ましくは、ハウジングは成形技術を用いて製造することができる。吸入器ハウジングは、単一部品として成形されてもよく、または互いに固定された、または一時的に接続するように適合された2つ以上の部品として成形されてもよい。
【0061】
薬剤容器またはキャニスタは、(長さおよび直径の両方に関して)様々な異なるサイズで提供することができ、そして様々な異なる用量の薬剤を含むことを想定し得る。結果として、本発明の吸入器ハウジングを、異なるサイズのキャニスタに適応させるために、いくつかの異なるサイズで製造することが想定し得る。全てのキャニスタサイズに対して、キャニスタは、受け部内において摩擦係合状態でぴったりと保持されることが想定し得る。したがって、受け部および/または分注部の直径および/または長さは、任意のサイズのキャニスタにぴったりと適応させるように変えることを想定し得る。このようにして、本発明の吸入器ハウジングは、より小型に作られ、したがって持ち運びが容易になり、小型バッグ(例えば、小型ハンドバッグ)の使用時、または従来の吸入器ではかさばりすぎて、ポケットなどの中に快適に運ぶことができなかった衣服の着用時ですら、運動時に置き忘れる可能性が低くなる。
【0062】
なお、本明細書に記載の構成のいずれもが、本発明の範囲内で、本明細書に記載の他の構成の任意の1つ以上と任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0063】
また、本明細書におけるいかなる先行技術への言及も、先行技術が一般的知識の一部を形成するということを認めるように解釈されるものでもなく、またいかなる形態をも示唆するものと解釈されるべきでものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本発明の好ましい構成、実施形態、および変形は、本発明を実施するのに十分な情報を当業者に提供する以下の詳細な説明から理解することができる。詳細な説明は、決して、前述の発明の概要の範囲を限定するものと見なされるべきではない。詳細な説明は、以下のように多数の図面を参照する。
図1】本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジングの等角図を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジングの等角図を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジングの断面図を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジングの側面図を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジングの平面図を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジングの側面図を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジングの断面図を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジングの等角図を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジングの断面図を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジングの等角図を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジングの断面図を示す図である。
図12】本発明の代替実施形態に係る、使用状態にある吸入器ハウジングの等角図を示す図である。
図13】使用状態にある、図12の吸入器ハウジングの側面図を示す図である。
図14】使用状態にある、図12の吸入器ハウジングの正面図を示す図である。
図15】使用状態にある、図14のA-Aを通る吸入器ハウジングの断面図を示す図である。
図16図15の吸入器ハウジングの部分Bの拡大断面図を示す図である。
図17】格納状態にある、図12の吸入器ハウジングの側面図を示す図である。
図18】格納状態にある、図12の吸入器ハウジングの上面図を示す図である。
図19】格納状態にある、図18のC-Cを通る吸入器ハウジングの断面図を示す図である。
図20】格納状態にある、図12の吸入器ハウジングの端面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1および図2には、本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジング10の等角図が示されている。格納状態にあるハウジング10が示されており、受け部11が分注部12内に部分的に受け入れられている。
【0066】
受け部11と分注部12とは共に実質的に管状であり、分注部12は受け部11よりもわずかに大きい直径を有しており、そのため、分注部は格納状態で受け部と部分的に重なる。
【0067】
受け部11の第1の端部13は、加圧キャニスタ14(図2に示す)の形態で容器を受け入れるように開いている。キャニスタ14は、吸入器ハウジング10を通じて分注されるべき薬剤を収容する。
【0068】
受け部11の内面15には、リブ16とキャニスタ14との間で摩擦係合をもたらすように適合された複数のリブ16が設けられており、それによってハウジング10からのキャニスタ14の望ましくない偶発的な取り外しを防止することができる。
【0069】
分注部12には、その外面に切り欠き部17が設けられている。吸入器ハウジングが使用状態にあるとき、受け部11の外面の一部は、切り欠き部17内に受け入れられ、それによって、外面は、切り欠き部5の領域15において分注部12の縁部18に当接する(またはそれに近接して保持される)。
【0070】
図1および図2に示す本発明の実施形態では、分注部12の端部には、分注部12の開放端(隠されている)を覆い、かつ分注部12の側壁の一部に沿って延びるキャップ19が設けられる。キャップ19は、(典型的には使用者が口を上に置く)分注部12の開放端(隠されている)の汚染を防ぎ、また薬剤が誤って放出された場合に、薬剤が使用者のポケット、ハンドバッグなどの中に入る代わりにハウジング10内に確実に保持されるようにする。当業者であれば、開放端の内側と係合する(プラグと非常によく似た)キャップを含む他のタイプのキャップおよび/またはカバーを使用して同様の機能を提供できることは容易に理解するであろう。
【0071】
図3には、図2の吸入器ハウジング10の断面図が示されている。この図では、格納状態にあるとき、分注部12は受け部11の一部に重なっていることが分かる。キャニスタ14は、受け部11内に収容され、管状の受け部11の穴20内に配置されたリブ16と摩擦係合により内部に保持される。
【0072】
キャニスタ14は、キャニスタ14から外方へ延び、当接面22を有した作動部30に当接するバルブステム21を備える。ハウジング11に対するキャニスタ14のさらなる移動はまた、バルブステム21に対するキャニスタ14の移動をもたらし、それによってバルブを作動させ、キャニスタ14から薬剤を分注する。薬剤は、受け部11の側壁における開口部23を通じて受け部11に存在する。吸入器ハウジング10が使用状態にあるとき、開口部23を通って出た薬剤は分注部12に入り、図3においてキャップ19が設けられている分注部12の端部を通ってハウジングを出る。
【0073】
キャップ19には、キャップ19の側壁25の内面の周りの途中まで延びるリブ24が設けられている。リブ24は、分注部12の外面の周りの途中まで延びる溝26内に受け入れられる。このようにして、キャップ19は、吸入器ハウジング10に保持されており、キャップ19の望ましくないまたは偶発的な取り外しの危険性が低減または排除される。
【0074】
図3では、分注部12の内面に一対の突起部27が設けられていることが分かる。突起部27は、受け部11の外面において、チャネル28内に受け入れられる。吸入器ハウジング10が格納状態と使用状態との間で移動するとき、最初のうちは、分注部12および受け部11は互いに対して摺動する。受け部11に対する分注部12の摺動移動の限界は、チャネル28の両端部への突起部27の当接によって規定される。
【0075】
図4は、本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジング10の側面図を示す。この図では、吸入器ハウジング10は、薬剤を使用者に分注することができる使用状態にある。
【0076】
ハウジング10を図1図3に示す格納状態から図4に示す使用状態に移動させるために、分注部12および受け部11は、最初に、互いに対して相対的に摺動移動する。分注部12および受け部11は、分注部12の内面の突起部(隠されている)が受け部11の側壁のチャネル28の端部に当接するまで、互いに対して相対的に摺動する。この時点で、受け部11および分注部12は、図4に示される使用状態へと互いに対して旋回される。
【0077】
受け部11と分注部とが互いに対して旋回する旋回点は、チャネル28内に位置する突起部(隠されている)の位置となる。受け部11に対する分注部12の旋回移動の限界は、受け部11の壁が分注部12の切り欠き部17の縁部18に当接する点によって規定される。
【0078】
使用状態では、受け部11と分注部12との間の夾角が約100°となるように、受け部11と分注部12とが互いに対して方向づけられている。
【0079】
図4に示す使用状態では、キャニスタ14が受け部11内にさらに押し込まれる方向にキャニスタ14に力を加えることによって薬剤が使用者に分注される。受け部11に対するキャニスタ14のこの動きは、バルブ(隠されている)を作動させ、それによって、薬剤を受け部11の作動部(隠されている)に放出する。典型的には、薬剤は作動部(隠されている)内にエアロゾルを形成し、そして受け部11から分注部12内に向けられる。
【0080】
典型的には、使用者は、分注部12の開放端31の上に口を置いており、受け部11から分注部12に入る薬剤が、開放端31を通って吸入される、または摂取される使用者の口の中へと分注部12から出る。
【0081】
図5は、本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジング10の平面図を示す。図5の吸入器ハウジング10は、図4に示したものと同じである。
【0082】
図5では、受け部11の内面15上のキャニスタとリブ16との間の摩擦係合をより明確に見ることができる。また、吸入器が使用状態にあるときの受け部11と分注部12の切り欠き部17の縁部18との間の当接をより明確に見ることができる。
【0083】
さらに、分注部12における溝26をこの図に見ることができる。この溝26は、キャップ(図示せず)のリブ(図示せず)がその中に保持されるように設けられており、それによって分注部12からキャップ(図示せず)が、望ましくなく、偶然に取り外される可能性を低減または排除することができる。
【0084】
図6は、本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジング10の側面図を示す。図6の吸入器ハウジング10は、吸入器ハウジング10を使用者のベルト、衣服、バッグなどに保持することを可能にするクリップ29を図6に示される吸入器ハウジングが備えている点を除き、図4の構成と本質的に同一である。
【0085】
図7は、本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジング10の断面図を示す。この図では、吸入器ハウジング10は、図4図6に示すように使用状態にある。
【0086】
この図では、ハウジング10の作動部30の機能がより明確に分かる。キャニスタ14のバルブステム21は、当接部と当接する範囲に配置されているので、(典型的にはキャニスタ14の端部に手動の力を加えることによって達成される)キャニスタ14のさらなる受け部11内への移動は、キャニスタ14に対するバルブステム21の相対的な移動をもたらす。これにより、次にキャニスタ14内のバルブ(図示せず)が作動し、バルブステム21を介して作動部30内に薬剤が分注される。
【0087】
作動部30は、キャニスタ14を出る薬剤が入って膨張してエアロゾルを形成する膨張室31を備えている。次いで、エアロゾルは、作動部30の出口32および受け部11の側壁の開口部34を通って作動部30を出て、分注部12内の穴33に入る。次いで、薬剤は分注部12を出て、そこで使用者によって吸入または摂取される。
【0088】
図7では、作動部に隣接する受け部11の端部35が閉端であることに留意されたい。このようにして、受け部11を出る薬剤は開口部34を通って導かれ、他のどの方向にも受け部11から出ることはできない。開口部34を通して導かれない任意の薬剤は使用者に届かず、これは使用者が必要な量の薬剤を受け取らないことを意味するので、これは、キャニスタ14が定量の薬剤を提供するにあたり重要となる。
【0089】
作動部11に隣接する受け部11の端部35は、実質的にドーム形であることにも留意されたい。受け部11の端部35にこのような成形部51を設けることによって、端部35と分注部12の内面との間の間隙が低減または排除され、それによって、端部35と分注部12との間の薬剤の損失の危険性が低減または排除され得る。
【0090】
図8は、本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジング10の等角図を示す。吸入器ハウジング10は、分注部12の開放端31が成形部36を備えていることを除いて、図4に示されるものと本質的に同じである。成形部36は、分注部12をスペーサ(図示せず)などの他のアイテムに容易に接続できるように成形されている。
【0091】
図9は、本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジング10の断面図を示す。図9に示す吸入器ハウジング10は、図8のものにキャップ19を追加したものである。
【0092】
キャップ19は、分注部12の開放端31を覆うカバー部材37を備える。また、キャップ19は、成形部36の外面に沿って延びる環状側壁25を備える。側壁25の内面には、成形部36の外面の周りの途中まで延びる溝26内に収容されるリブ24が設けられている。このようにして、キャップ19は、吸入器ハウジング10で保持され、キャップ19の望ましくない、偶発的な取り外しの危険性を低減したり、排除したりする。
【0093】
図10は、本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジングの等角図を示す。具体的には、図10は、本発明の一実施形態に係る受け部11の等角図を示す。
【0094】
この図では、受け部11の側壁にチャネル28が設けられている。分注部(図示せず)の内面の突起部(図示せず)は、受け部11および分注部(図示せず)を格納状態と使用状態との間で移動させるために、チャネル28内を摺動する。
【0095】
図10では、チャネル28は、拡張部50を備えている。拡張部50は、チャネル28に対して約90°の向きとなるように方向づけられており、分注部(図示せず)が受け部11に対して旋回すると、分注部(図示せず)の内面の突起部(図示せず)が拡張部50内に移動し、それによってハウジングを使用状態に保持する。
【0096】
図11には、本発明の一実施形態に係る吸入器ハウジング10の断面図が示されている。この図では、受け部11の閉端35にある成形部51は、その内部に溝52が設けられている。溝52は、ハウジング10が使用状態にあるときにその中で分注部12の縁部53を受け入れるようになっている。
【0097】
分注部12の縁部53が溝52に入ると、可聴スナップまたはクリック音が発せられ、それによってハウジング10が使用状態にあることを使用者に示すことが想定し得る。さらに、溝52内における縁部53の収容は、使用状態からのハウジング10の偶発的で、望ましくない動きを低減したり、排除したりする。
【0098】
また、受け部11の成形部51には、使用状態からのハウジング10の偶発的で、望ましくない動きをさらに低減したり、排除したりするようになっている拡大部54が設けられている。
【0099】
図12は、本発明の代替の一実施形態に係る吸入器ハウジング100の等角図を示す。ハウジング100は、ハウジング10と同様であり、そして薬剤が使用者に分注され得る使用状態と格納状態との間で動くことができる。
【0100】
特に、ハウジング100は、受け部105および分注部110を備え、これらは両方とも実質的に管状であり、以下に概説するように、互いに対して旋回および摺動するように構成される。受け部105は、その内部に加圧キャニスタ115を形成する容器を備え、分注部110は、スペーサ(図示せず)などの他のアイテム、または患者によって直接使用されるような他のアイテムへの分注部110の接続を容易にするように成形された成形マウスピース部120を備える。
【0101】
分注部110の内面には、受け部105においてチャネル125内に受け入れられる一対の突起部(分注部12の突起部と非常に似ている)が設けられている。分注部110の内面の突起部は、受け部105および分注部110を、格納状態と使用状態との間で移動させるために、チャネル125内を摺動する。
【0102】
チャネル125は、分注部110が受け部105に対して旋回すると突起部が拡張部内へと移動して、これによってハウジング100を使用状態に保持するように、チャネル125に対して約90°の向きに方向づけられた、拡張部50と類似する拡張部(分注部110によって隠されている)を備える。
【0103】
図13に最もよく示されているように、分注部110の下部は、特に使用中にキャニスタ115に力が加えられたときに、分注部110に強度および剛性を与えるように構成された支持リブ130を備える。このように、リブ130は、圧力がその下側に加えられたときに、分注部110の変形を防ぐことができる。ハウジング100はさらに、クリップ29と同様に、吸入器ハウジング10を使用者のベルト、衣服、バッグなどに保持することを可能にするクリップ135を受け部105にさらに備えている。
【0104】
図15に最もよく示されているように、受け部105の下端は、圧入(しまりばめ)構成で、分注部110の対応する保持アパーチャ内に延在し、その中で係止する、ニップル140の形態の保持部材を含む。ニップル140は、保持アパーチャ内で係止されると、受け部105が分注部110に対して旋回することを防止し、ハウジングを使用状態に保持する。
【0105】
保持アパーチャは、第1のリブ130と第2のリブ130との間に配置されている。このようにして、アパーチャによって引き起こされる分注部110の脆弱さを、リブ130によって補償する。このことは、使用者がハウジング100を保持する(そして押す)位置にアパーチャが配置されるときに特に有用である。
【0106】
図15では、図14のA-Aに沿った吸入器ハウジング100の断面図が示されている。キャニスタ115は、ハウジング10と同様に、キャニスタ14から外方へ延びて作動部30に当接するバルブステム21を備える。このようにして、ハウジング100対するキャニスタ115の移動は、バルブを作動させてキャニスタ115からの薬剤の分注を引き起こす。薬剤は、マウスピース部120を通ってハウジングから出る。
【0107】
ハウジング100を使用状態から格納状態に移動させるために、ニップルが保持アパーチャを離れるまで分注部110および受け部105に対して旋回方向に力が加えられ、突起部(隠されている)が拡張部を離れてチャネルに入ることを可能にする。この時点で、分注部110の軸と受け部105の軸とを一直線として、図17に示すように、受け部105の端部が分注部110内に収容されるように、互いを旋回させることができる。特に、分注部110は、受け部105よりもわずかに大きい直径を有しているので、分注部110は、格納状態では部分的に受け部105に重なる。
【0108】
格納状態では、クリップ135に隣接する受け部105の側壁に配置された第2のニップル155の形態となる保持部材が、分注部110の保持アパーチャ内に延在して圧入する(しまりばめとなる)配置で係止する。ニップル155は、保持アパーチャに係止されると、受け部105が分注部110に対して旋回することを防止し、ハウジングを格納状態に保持する。これは、例えばポケットまたは財布の中に保持されたときにハウジング100が誤って旋回して開いてしまうことを防ぐという点で特に有用である。
【0109】
成形マウスピース部120には、マウスピース部120を覆うキャップ145が設けられており、ほこり、ごみ、または破片がマウスピース部120に入るのを防ぐ。キャップ145には、マウスピース部の溝150に受け入れられたリブ(隠されている)が設けられており、キャップ145と係合してその上でキャップ145を保持する。
【0110】
図20に最もよく示されているように、分注部110の幅110aが分注部110の高さ110bよりも大きくなるような、分注部110は断面が楕円形である。これにより、格納状態にあるときにハウジング100が転がるのを防止する。
【0111】
(もしあれば)本明細書および特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という語および「備える(comprises)」および「備える(comprise)」を含むその派生語は、記載された整数のそれぞれを含むが、1以上のさらなる整数の包含を排除しない。
【0112】
本明細書を通して「1つの実施形態」または「一実施形態」と言及することは、その実施形態に関連して説明した特定の構成、構造、または特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所での「1つの実施形態では」または「一実施形態では」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の構成、構造、または特徴は、1つ以上の組み合わせで任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0113】
規則に従って、本発明を構造的または方法的構成に多少なりとも特有の言語で説明した。本明細書に記載の手段は本発明を実施する好ましい形態を含むので、本発明は図示または記載された特定の構成に限定されないことを理解すべきである。したがって、本発明は、当業者によって適切に解釈される(もしあれば)添付の特許請求の範囲の適切な範囲内のその形態または修正のいずれかで特許請求される。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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