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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】グレーチング
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/06 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
E03F5/06 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020051762
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021147976
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】595126082
【氏名又は名称】中尾技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101627
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 宜延
(72)【発明者】
【氏名】中尾 吉也
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-008887(JP,U)
【文献】特開2001-227051(JP,A)
【文献】特開2000-087441(JP,A)
【文献】特開2010-222892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部分に透孔を設けて、帯幅方向が起立配設される複数の帯板状主部材と、
帯状板の帯幅方向の両側部を残して中央部に、孔長辺が帯状板の帯幅方向になる長孔を、長手方向に所定ピッチで複数設けた孔空き板が、横断面⊃状に曲がり、前記中央部は該長孔を平面視櫛歯状の凹溝とする屈曲部に成形されると共に、該横断面⊃状屈曲部の上側と下側の先端部分で前記両側部が折り曲げられ、上方と下方へ夫々延在する外鍔に成形された一対の仲介部材と、
横断面コ字状の加工部に成形され、且つその両端部分が向き合うよう折れ曲がる曲げ端部に成形された一対の側縁部材と、
前記コ字状加工部の空間内で前記外鍔を前記曲げ端部に係止させて、該側縁部材から外方へ張り出す一対の前記仲介部材付き該側縁部材に係る前記屈曲部が複数の前記主部材を挟み、且つ各主部材の両端部分が前記各凹溝に夫々嵌入して、該屈曲部の横断面⊃状部内に収められる前記透孔の群に貫通配置された通し棒と、を具備し、
且つ前記側縁部材から前記屈曲部が外方へ張り出す前記仲介部材付き該側縁部材に係る該仲介部材と該側縁部材とを溶接結合し、さらに、複数の前記主部材のうち、最外側に配される一端側と他端側の両主部材にて、該主部材と前記通し棒を結合させる溶接部分が形成され、平面視矩形に一体化されてなることを特徴とするグレーチング。
【請求項2】
前記仲介部材付き該側縁部材に係る該仲介部材と該側縁部材とを溶接結合するのに、前記仲介部材付き該側縁部材の一端又は両端で、該仲介部材と該側縁部材を溶接結合する請求項1記載のグレーチング。
【請求項3】
前記仲介部材付き前記側縁部材に係る該仲介部材と該側縁部材とを溶接結合するのに代えて、前記コ字状加工部の空間内で、前記曲げ端部に係止させた前記外鍔の背面と該コ字状加工部の内壁面とに当接させて、そのコ字状加工部の空間内に挿着される詰め体を、さらに具備する請求項1又は2に記載のグレーチング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルーム向けフロアパネルや排水溝等の上面開口に蓋をするグレーチングに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、排水溝の上面開口に蓋をするグレーチングは、近年、景観向上やハイヒール等が入り込まないように、その隙間が狭くなる傾向にある。これに伴って、主部材間のピッチが小さくなり、一つのグレーチングに組込む主部材の本数が増えている。グレーチングmは主部材fの両端を側板8に溶接するため(図14)、溶接個所9は増えた主部材本数の二倍になる。溶接作業者の負担が大きくなっている。
こうしたことから、グレーチングの改良発明がいくつか提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-227051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1はその請求項1に記載のごとく「…前記帯材の中間部分を残してロック孔を設けた連結係止片を両端に突設したベアリングバー群と、前記連結係止片を通して前記ロック孔を突き出すベアリングバー連結孔を側板に並設して前記ベアリングバー群と組合せる側枠部材と、…ロック部材からなり、該ロック部材によって前記組合せ状態を、がたつき不発生形態にロックする構造を特徴とするグレーチング。」であり、溶接負担なしにできるが、別の作業負担が大で、コスト増になっていた。
ベアリングバー(本発明の主部材に相当)は荷重を受け支える部材用に頑丈に造られている。全てのベアリングバーの両端に、ロック孔を設けた連結係止片を突設加工を施すのは大変であり、コスト増となった。また、この連結係止片と側板に並設するベアリングバー連結孔との寸法精度を高めないと、がたつき不発生形態とするのが難しかった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するもので、組込む主部材の本数が増えても、溶接個所を大幅に減らしながら、品質確保と低コスト化をも実現するグレーチングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、両端部分に透孔を設けて、帯幅方向が起立配設される複数の帯板状主部材と、帯状板の帯幅方向の両側部を残して中央部に、孔長辺が帯状板の帯幅方向になる長孔を、長手方向に所定ピッチで複数設けた孔空き板が、横断面⊃状に曲がり、前記中央部は該長孔を平面視櫛歯状の凹溝とする屈曲部に成形されると共に、該横断面⊃状屈曲部の上側と下側の先端部分で前記両側部が折り曲げられ、上方と下方へ夫々延在する外鍔に成形された一対の仲介部材と、横断面コ字状の加工部に成形され、且つその両端部分が向き合うよう折れ曲がる曲げ端部に成形された一対の側縁部材と、前記コ字状加工部の空間内で前記外鍔を前記曲げ端部に係止させて、該側縁部材から外方へ張り出す一対の前記仲介部材付き該側縁部材に係る前記屈曲部が複数の前記主部材を挟み、且つ各主部材の両端部分が前記各凹溝に夫々嵌入して、該屈曲部の横断面⊃状部内に収められる前記透孔の群に貫通配置された通し棒と、を具備し、且つ前記側縁部材から前記屈曲部が外方へ張り出す前記仲介部材付き該側縁部材に係る該仲介部材と該側縁部材とを溶接結合し、さらに、複数の前記主部材のうち、最外側に配される一端側と他端側の両主部材にて、該主部材と前記通し棒を結合させる溶接部分が形成され、平面視矩形に一体化されてなることを特徴とするグレーチングにある。
請求項2の発明たるグレーチングは、請求項1で、仲介部材付き該側縁部材に係る該仲介部材と該側縁部材とを溶接結合するのに、前記仲介部材付き該側縁部材の一端又は両端で、該仲介部材と該側縁部材を溶接結合することを特徴とする。請求項3の発明たるグレーチングは、請求項1又は2で、仲介部材付き前記側縁部材に係る該仲介部材と該側縁部材とを溶接結合するのに代えて、前記コ字状加工部の空間内で、前記曲げ端部に係止させた前記外鍔の背面と該コ字状加工部の内壁面とに当接させて、そのコ字状加工部の空間内に挿着される詰め体を、さらに具備することを特徴とする。
【0007】
(作用)
請求項1の発明のごとく、一対の側縁部材から外方へ夫々張り出す屈曲部に挟まれる、主部材の両端部分が各凹溝に夫々嵌入すると、各凹溝に主部材を夫々嵌入するだけで、主部材を所定ピッチで配設できる。仲介部材が屈曲部に成形されて平面視櫛歯状の凹溝の溝口が開いているので、特許文献1のベアリングバー連結孔に比べて主部材を円滑嵌入できる。屈曲部の横断面⊃状部内に収まる前記透孔の群に通し棒が貫通配置されるようになると、特許文献1のようなロック孔を設けた連結係止片を突設する加工を要しない。主部材は両端部分に透孔を設けるだけで済む。
請求項1の構成であると、コ字状加工部内で外鍔を曲げ端部に係止させて、側縁部材から外方へ夫々張り出す屈曲部の状態となった仲介部材付き側縁部材の一端又は両端で、例えば仲介部材と側縁部材を溶接すれば、両者が一体化する。そして、横断面⊃状部内に収められた透孔の群に貫通配置される通し棒を、該通し棒の両端部二箇所で、最外側に配された主部材と溶接結合すると、各主部材を係止保持する通し棒が、凹溝からの各主部材の動きを止めて仲介部材の屈曲部と一体化する。これに、側縁部材と仲介部材の前記両端二箇所での前記溶接が加われば、側縁部材とも一体化することになって、グレーチングを構成する主部材,仲介部材,側縁部材全てを一体化できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のグレーチングは、主部材と側縁部材とを連結する仲介部材を設けた構成にすることによって、グレーチングに組込む主部材の本数が増えても、溶接個所はごく少なくて済み、溶接作業の負担を軽減し、さらに品質の安定確保と低コスト化をも実現するなど多大な効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1のグレーチングの平面図である。
図2】孔空き板の平面図である。
図3】仲介部材の部分斜視図である。
図4】凹溝に主部材を組み込む説明断面図である。
図5図4の主部材を凹溝に嵌入した説明断面図である。
図6図1のVI-VI線断面において、透孔の群に通し棒を貫通する説明斜視図である。
図7】(イ)が図1の矩形グレーチングにおける短辺側の側面図、(ロ)が詰め体とグレーチング端部の斜視図である。
図8】本グレーチングを連ねる説明平面図である。
図9】Iバーを用いた実施形態2のグレーチングの部分斜視図で、参考図である。
図10図9のグレーチングにおける図4に相当する断面図である。
図11図9のグレーチングにおける図5に相当する断面図である。
図12】Tバーを用いた実施形態3のグレーチングの部分斜視図である。
図13図12のTバーの頭部を屈曲部の横断面⊃状部上に載置し、係止させた断面図である。
図14】従来技術のグレーチングの説明平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るグレーチングについて詳述する。
図1は実施形態1のグレーチングの平面図、図2は孔空き板の平面図、図3は仲介部材の斜視図、図4は凹溝に主部材を組み込む断面図、図5図4の凹溝に主部材を嵌入した断面図、図6は透孔の群に通し棒を貫通する説明斜視図、図7は(イ)がグレーチングの短辺側の側面図、(ロ)が詰め体とグレーチング端部の斜視図、図8はグレーチングを連ねる平面図、図9は実施形態2のグレーチングの部分斜視図で、参考図図10図9のグレーチングにおける図4に相当する断面図、図11図9のグレーチングにおける図5に相当する断面図、図12は実施形態3のグレーチングの部分斜視図、図13図12のTバーの頭部を屈曲部の横断面⊃状部上に載置し、係止させた断面図を示す。尚、各図は判り易くするため要部を強調図示し、また本発明と直接関係しない部分を省略する。
【0011】
(1)実施形態1
【0012】
グレーチング1は、複数の主部材2と、一対の仲介部材3と、一対の側縁部材5と、一対の通し棒6とを具備する(図1図13)。ここでは、厨房床面Sの排水溝Dに蓋をするグレーチング1に適用する。
【0013】
主部材2は、ステンレス鋼製(又は炭素鋼製等)の帯板状金属加工品で、両端部分29に透孔25が設けられる。長手方向等断面形状のフラットバー2Aにして、その両端部分29の帯幅方向中央に、板面を貫通する透孔25が設けられた図1図8ごとくの主部材2とする。主部材2は、排水溝Dを跨ぐべくその溝幅に合わせた長さで、帯幅方向が起立配設される。主部材2が排水溝Dの長手方向に所定ピッチで複数配されるグレーチング1であり、排水溝Dに蓋をしたときに、各主部材2が溝開口の上からの荷重を受け支えるグレーチング1の主要部になる(図7)。そのため、ベアリングバーとかメインバーとも呼ばれている。
帯板状の主部材2が帯幅方向を垂直にし、隣接する主部材2との間に隙間εを確保しながら平行に並べられてグレーチング1に組み立てられる。ここで、平行に並べたときの上下端部が中間部分よりも厚くなる図9のIバー2Bや、上部のみが厚くなる図12のTバー2C、さらに図示を省略するが、横断面7字状の通称セブンバーと呼ばれるものも、帯板状長手方向の両端部分29に透孔25を設ければ、本発明でいう主部材2とする。
【0014】
仲介部材3は屈曲部31と外鍔35とを具備する長尺の曲げ加工品で、一対備わる(図3)。孔長辺4101が帯状板の帯幅方向になる長孔410を、長手方向に所定ピッチで複数設けた図2の孔空き板4が、グレーチング1で排水溝Dを跨いで蓋をする図7(イ)の側面視で、横断面⊃状に曲がり、該長孔410を平面視櫛歯状の凹溝310とする屈曲部31に成形される。且つ該横断面⊃状屈曲部31の上側と下側の先端部分45が折り曲げられ、上方、下方へ夫々延在する外鍔35に成形される。各主部材2と側縁部材5との間に介在して両者を連結する仲介部材3である。尚、図7(イ)の側面視で、屈曲部が横断面⊃状に曲がると上述したが、本発明の「⊃状」には「>状」を含む。横断面が⊃状の屈曲部31と同様、横断面を>状にした屈曲部31の凹溝310に主部材2の端部分を嵌入し、横断面>状部内に透孔25を収めることができるからである。
仲介部材3は、例えば次のようにして造られる。
【0015】
まず、帯状板の帯幅方向の両側部45を残して中央部41に、孔長辺4101が帯幅方向になる長孔410を、長手方向に所定ピッチで複数設けた孔空き板4を成形する(図2)。両側部45は、帯幅方向のゾーンでいうと、前記屈曲部31のうち外鍔35用の先端部分になっている。隣接する長孔410間の距離Pが隙間εの幅になる。次に、この孔空き板4の中央部41が、図2の中央センター水平ライン部分で横断面⊃状に折り曲げられて、長孔410が平面視櫛歯状の凹溝310とする屈曲部31に成形され、さらに横断面⊃状の屈曲部31の上側と下側の先端部分で両側部45が夫々折り曲げられ、上方と下方へ夫々延在する外鍔35に成形されて、図3ごとくの仲介部材3となる。ここで、本発明における上方,下方とは、排水溝Dの上面開口に蓋をする図7(イ)のグレーチング1の状態で、紙面上方向,紙面下方向をいう。
側縁部材5に組込んだ仲介部材3の上記凹溝310に、その溝口から主部材2を嵌め込んで、グレーチング1が組立てられる(図4,図5)。この組立てで、主部材2の側端面291が側縁部材5の後述する曲げ端部55に当接できるように、凹溝310の溝底の位置が決められる。溝底は外鍔35の領域に配されてもよいが、図4,図5のごとく平面視櫛歯状の凹溝310の溝底となる溝短辺3102が外鍔35の基端近くに設定されるのが好ましい。仲介部材3の必要強度を得やすいからである。長孔410を構成する孔短辺4102の長さWは、凹溝310に主部材2の主要部21を嵌め込むことができるよう、主部材2の厚みに合わせている。
外鍔35を曲げ端部55に係止してコ字状空間51Sに収め、屈曲部31が側縁部材5の外方へ、具体的には排水溝Dの中央へ向けて張り出す構造にして、仲介部材3が側縁部材5に組付けられる。
【0016】
側縁部材5は、横断面コ字状の加工部51に成形され、且つその両端部分が折れ曲がって向き合う曲げ端部55に成形された長手方向等断面形状の金属製加工部材である。本実施形態は、コ字状加工部51の立壁部分511が主部材2の横断面高さ(帯幅方向長さ)に略一致する。立壁部分511の上端及び下端から略直角に曲がって水平部分512がコ字状になるよう延在し、さらに両水平部分512の先端で折れて、図4のごとく相手方の曲げ端部55に近づくよう曲げ端部55が延設された側縁部材5になっている。そして、コ字状加工部51の空間51S内で曲げ端部55に前記仲介部材3の外鍔35を係止させて、屈曲部31が両曲げ端部55,55間の開口を通ってコ字状空間51S外へ張り出せる側縁部材5とする。仲介部材3は、例えば図7(イ)の側縁部材5のコ字状空間51S内へ、外鍔35の部位を紙面手前から挿入して、しかる後、曲げ端部55に外鍔35を係止する。
【0017】
本実施形態は、前記外鍔35を曲げ端部55に係止させる際の作業性向上のため、コ字状空間51Sは大きめにしている。よって、仲介部材3と側縁部材5とがガタつかぬよう、仲介部材3と側縁部材5とを、長手方向両端部分で溶接結合する(図7のイ)。符号9は溶接部分を示す。図7(イ)は図1の矩形グレーチング1の短辺側側面図であり、グレーチング最外側に配された主部材2αと、仲介部材3の長手方向端部分及び側縁部材5の長手方向端部分が現れる。グレーチング1には各主部材2を挟む仲介部材3付き側縁部材5が一対設けられるので、本実施形態は計四箇所が、図7のごとく溶接結合される。図1の矩形グレーチング1でいえば、四つの角部で仲介部材3と側縁部材5とを溶接結合するが、仲介部材3と側縁部材5の簡便なガタつき防止には、図1のグレーチング1で例えば下側の左右二箇所の溶接結合でもよい。該溶接結合により、仲介部材3付き側縁部材5として一体になる。
【0018】
尚、前記仲介部材3の端部分と側縁部材5の端部分との溶接結合に代え、図7(ロ)ごとくの詰め体7で仲介部材3を側縁部材5に固定してもよい。曲げ端部55に係止させた外鍔35の背面35bとコ字状加工部51の内壁面51bとに当接させるよう、そのコ字状加工部51の空間51S内に詰め体7が挿着される。詰め体7は、図示のごとく楔形状で、先端に向けコ字状加工部51の空間51S内に収まるテーパ状であり、外鍔35をコ字状加工部51の内壁面51bに当接状態にして、コ字状加工部51の空間51S内へ詰め体7を挿入し、コ字状加工部51の内壁面51b及び外鍔背面35bに圧着する。
【0019】
通し棒6は仲介部材3や側縁部材5と略同じ長さがある長尺の軸状部材である。グレーチング1を構成する複数の主部材2,一対の仲介部材3,一対の側縁部材5が組付けられた後の透孔25の群に、通し棒6が挿着される(図6)。
コ字状加工部51の空間51S内で外鍔35を曲げ端部55に係止させて、一対の側縁部材5から外方へ、すなわち排水溝Dの中央へ向けて夫々張り出す仲介部材3の屈曲部31が各主部材2を挟み、各主部材2の両端部分29が各凹溝310に嵌入する。主部材2の両端部分29が各凹溝310に夫々嵌入して、屈曲部31の横断面⊃状部内31Uに収められる透孔25が、図5の紙面垂直方向に主部材2の数だけ配される。該透孔25の群に通し棒6が貫通配置される。透孔25の群に通し棒6が貫通配置されると、透孔25を有する各主部材2は、透孔25を⊃状部内31Uに収めた屈曲部31と曲げ端部55によって、図5の紙面と水平方向の動きが規制される。
【0020】
主部材2群の両側で、仲介部材3付き側縁部材5に係る屈曲部31の横断面⊃状部内31Uに収まる透孔25の群に通し棒6を挿通する。そして、複数配列されたなかの最外側に配された主部材2αだけ、透孔25周りの該主部材2の部位292で、通し棒6と溶接結合する(図7のイ)。尚、図7は溶接部分9を示すべく、通し棒6を透孔25よりも小さく描いている。グレーチング1で最外側に配される主部材2αは、一端側と他端側に二箇所あり、両方に、主部材2と通し棒6を結合させる溶接部分9が形成される。該溶接部分9があると、透孔25を通し棒6が挿通するので、その他の主部材2も通し棒6,仲介部材3に係止され、一体化する。
尚、後述する図9のごとく、最外側に配される主部材2αよりも仲介部材3が外方に突出する場合、通し棒6は、最外側に配される主部材2αに代えて、仲介部材3の長手方向端部分と溶接結合させてもよい。斯かる場合も、主部材2の全てが通し棒6,仲介部材3に係止され、一体化する。
【0021】
かくして、主部材2,仲介部材3,側縁部材5,通し棒6が夫々固定一体化されたグレーチング1が出来上がる。通し棒6によって、各主部材2が仲介部材3付き側縁部材5に一体化保持され、図1,図7(イ)のような所望のグレーチング形状が出来上がる。
【0022】
本実施形態は図1のごとく平面視矩形のグレーチング1であるが、さらに図8の上方側にある参考形態のグレーチング1のように、側縁部材5に突出部59が設けられるとより好ましくなる。主部材2の両端部分29が各凹溝310に夫々嵌入して、各主部材2が仲介部材3付き側縁部材5に挟まれ、該側縁部材5に係る長手方向の一端側が、複数配された主部材2のうちの最外側のもの2αよりも突き出して、突出部59が形成される。この突出部59の突出し長さを隙間εの幅に合わせている。グレーチング1をつないだ後のグレーチング1の連結箇所に、同図の鎖線図示ごとくの隙間εが確保される。グレーチング1を連結した際の見栄え向上につながる。
【0023】
(2)実施形態2
実施形態2のグレーチングは、主部材2を実施形態1のフラットバー2Aに代えて、図9図11ごとくのIバー2Bとする。Iバー2Bは長手方向に向け側面視「I」字状の等断面形状の汎用部材である。主部材2が横断面I字状のIバー2Bにして、該主部材2の両端部分29で、横断面が板状になる主要部21が屈曲部31の凹溝310に嵌入し、且つ該主要部21よりも上方に延在するIバー2Bの頭部22が屈曲部31の横断面⊃状部上31aに載置し、係止される構成とする(図11)。凹溝310の溝短辺3102が、主要部21の厚みに合せて設定されている。Iバー2Bの頭部22が屈曲部31の横断面⊃状部上31aに載置し、係止されることによって、該Iバー2Bが仲介部材3に上下方向で位置決めされ且つ安定保持される。Iバー2Bの頭部22とは、図9のごとく側面視で板状の主要部21よりも上方に延在し且つテーパ部221を経由して厚みが増す厚肉部分である。本発明の頭部22は該テーパ部221も含むものとする。尚、図9は最外側の主部材2αよりも側縁部材5を突出させて短めの突出部59を形成する参考図である。他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0024】
(3)実施形態3
実施形態3のグレーチングは、実施形態1のフラットバー2Aに代えて、主部材2をTバー2Cとする(図12)。主部材2が断面T字状のTバー2Cにして、図5,図6と同じようにTバー2Cの両端部分29で帯幅方向の中央に透孔25を設ける。主部材2の両端部分29で、横断面が板状になる主要部21が屈曲部31の凹溝310に嵌入し、且つ該主要部21よりも上方に延在するTバー2Cの上面2aが側縁部材5の上方側水平部分512と面一になっている。図13は、さらにTバー2Cの両端部分29に設ける透孔25の位置を図示のごとく若干上方へ移動させて、頭部22が屈曲部31の横断面⊃状部上31aに載置し、係止される構成とする。Tバー2Cの頭部22が屈曲部31の横断面⊃状部上31aに載置し、係止され、該Tバー2Cが仲介部材3によって上下方向の位置決めがなされ且つ安定保持される。Tバー2Cの頭部22とは、側面視で板状の主要部21よりも上方に延在し且つテーパ部221を経由して水平方向厚みがTの字の頭部分となって水平板状に増す部分である。本発明の頭部22は該テーパ部221も含むものとする。
【0025】
本実施形態のようにTバー2Cを主部材2とすると、フラットバー2AやIバー2Bに比べて、同じ本数を用いた場合であっても、図12のごとくグレーチング1の上面1aでの隙間εが狭くなる。ハイヒール等が入り込まないようにする対策として打ってつけとなる。
尚、主部材2を全てTバー2Cとしてもよいが、本実施形態は最外側に配される主部材2αだけ図12のようなフラットバー2Aとしている。グレーチング1の枠外側面を平坦
にして、使い勝手,見栄え良くするためである。同図には、最外側に配される主部材2と通し棒6を結合させる溶接部分9が形成されるが、これを省略する。他の構成は実施形態1,2と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。図中、符号23はIバーの下部、符号2aは主部材2の上端面、符号D1は排水溝Dの溝側壁、D2は段差面を示す。
【0026】
(4)効果
このように構成したグレーチングは、溶接個所を大幅に減らすことができる。図1はグレーチング1を簡略図示するが、例えば、図3で、主部材2の嵌入用凹溝310の溝短手幅Wを4mmとし、溝間距離Pを6mmと設定すると、長手方向が1mのグレーチング1に対し、主部材2は101本必要となる。従来のグレーチングmは図14のごとく各主部材fの両端二箇所で側板8に溶接結合させねばならず、計202箇所で溶接部分9を要する。一方、本発明によれば、図1における矩形グレーチング1の四つ角部で仲介部材3と側縁部材5の両端部分29とを溶接結合する四箇所に加え、透孔25の群に挿通した通し棒6と、最外側に配された透孔25周りの主部材2αの部位とを溶接結合する四箇所を足すだけでよい。最外側の主部材2αよりも屈曲部31が外方に突き出す場合は、主部材2αに置き換えて該屈曲部にしてもよい。計八箇所で済む。従来、負担が大きかった溶接作業を大幅削減できる。従来の図14に示すグレーチングmは景観向上等から隙間εの幅が狭くなれば、溶接部分9は増える傾向にあるが、本発明によれば主部材2が増えても上記溶接結合する部分は計八箇所で変わらない。
さらに、仲介部材3と側縁部材5との両端部分での溶接結合は、図7のような詰め体7に置き換えることによって溶接箇所をさらに半減できる。
【0027】
仲介部材3はフォーミング加工等によって凹溝310を設けた屈曲部31と外鍔35を容易に形成でき、該仲介部材3付き側縁部材5にして、各凹溝310に主部材2を夫々嵌入すれば、主部材2をそのまま自動的に所定ピッチで配設するグレーチング1の組付けができる。そして、屈曲部31の横断面⊃状部内31Uに収められる透孔25の群に通し棒6を貫通配置させると、グレーチング1の組付け完了になる。後は、上述した八箇所ほど溶接結合させるだけで、本グレーチング1を完成させることができる。グレーチング作製の作業性向上につながり、低コスト化を実現する。
【0028】
また、特許文献1は主部材2の両端に連結係止片が突設する加工を要し、全ての主部材2に対してその加工が必要で大変な負担となっていたが、本発明ではフラットバー2AやIバー2B等に対し、所定長さに切断するだけで済む。特にIバー2Bになると、特許文献1では頭部22や下部は厚肉部分でこれらの部分を切り取って加工するのは作業時間も大幅増え、コストアップにつながっていたが、本発明は連結係止片を設けないのでこうした問題が発生しない。
加えて、特許文献1はグレーチング1に組立て完成した段階で、連結係止片が枠部材の中空部内に収まってしまう。連結係止片は、両側枠部材間に配されるベアリングバー(本発明の主部材2に相当)の長さに入らない。よって、主部材2用の基材の歩留りが低下する。主部材2の両端に連結係止片を設けることになるので、歩留りは最大でも「{側枠部材間に配される主部材2の長さ/(側枠部材間に配される主部材2の長さ+連結係止片の突出長さ×2)}×100」%である。一方、本発明は、主部材2が帯板状にカットされ、その側端面291が図4,図5のように側縁部材5の曲げ端部55に当接するので、主部材2用の基材を最大100%利用できる。主部材2用の基材から主部材2として有効利用される歩留りは断然高い。一個のグレーチング1には多くの主部材2が組込まれるので、低コスト化に大きく寄与する。
【0029】
そして、主要部よりも上方に延在するIバー2Bの頭部22又はTバー2Cの頭部22が屈曲部31の上側表面31aたる横断面⊃状部上に載置して、係止されると、凹溝310に主部材2を嵌入し終えれば、主部材2を水平方向だけでなく上下方向にも位置決めできる。多数ある主部材2の仲介部材3付き側縁部材5への位置合わせ調整が不要になり、組付け作業性が格段に向上する。
【0030】
また、曲げ端部55に係止させた外鍔35の背面35bとコ字状加工部51の内壁面51bとに当接させて、そのコ字状加工部51内に挿着される詰め体7を、具備すると、側縁部材5から外方へ夫々張り出す屈曲部31の状態となった仲介部材3付き側縁部材5の長手方向両端部分で、仲介部材3と側縁部材5との溶接結合を省くことができる。
さらに、側縁部材5に係る長手方向の一端側が、複数配された主部材2のうちの最外側のものよりも突き出して、突出部59が形成されると、図8のごとく、側溝Dの開口上面に本グレーチング1を連ねて蓋をした場合、グレーチング1のつなぎ目でもグレーチング1に形成された隙間εに合わせる隙間εを設けることができる。隙間εが定間隔で配されるので、景観向上に貢献する。
このように本発明のグレーチングは、上述した数々の優れた効果を発揮し、極めて有益である。
【0031】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。主部材2,仲介部材3,凹溝310,側縁部材5,通し棒6,詰め体7等の形状,大きさ,個数,材料,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。
【符号の説明】
【0032】
1 グレーチング
2 主部材
2α 最外側に配される主部材(最外側の主部材)
25 透孔
29 両端部分
291 側端面
3 仲介部材
31 屈曲部
31U 横断面⊃状部内
310 凹溝
35 外鍔
35b 外鍔の背面
4 孔空き板
41 中央部
410 長孔
4101 孔長辺
45 側部(先端部分)
5 側縁部材
51 コ字状加工部(横断面コ字状の加工部)
51 コ字状加工部の空間内
55 曲げ端部
6 通し棒
7 詰め体
9 溶接部分
P 長孔間の距離(溝間距離)
W 孔短辺の長さ(溝短手幅)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14