IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 由田新技股▲ふん▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-基板計測システム及び基板計測方法 図1
  • 特許-基板計測システム及び基板計測方法 図2
  • 特許-基板計測システム及び基板計測方法 図3
  • 特許-基板計測システム及び基板計測方法 図4
  • 特許-基板計測システム及び基板計測方法 図5
  • 特許-基板計測システム及び基板計測方法 図6
  • 特許-基板計測システム及び基板計測方法 図7
  • 特許-基板計測システム及び基板計測方法 図8
  • 特許-基板計測システム及び基板計測方法 図9
  • 特許-基板計測システム及び基板計測方法 図10
  • 特許-基板計測システム及び基板計測方法 図11
  • 特許-基板計測システム及び基板計測方法 図12
  • 特許-基板計測システム及び基板計測方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】基板計測システム及び基板計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
G01B11/02 H
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021029350
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2021135300
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】109106628
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】511248629
【氏名又は名称】由田新技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100165663
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 光宏
(72)【発明者】
【氏名】鄒嘉駿
(72)【発明者】
【氏名】林伯聰
(72)【発明者】
【氏名】黄冠勳
(72)【発明者】
【氏名】張▲しゅん▼豪
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-290909(JP,A)
【文献】特開2012-149905(JP,A)
【文献】特開2011-191312(JP,A)
【文献】特開2009-290175(JP,A)
【文献】特開2001-116528(JP,A)
【文献】特開2010-210585(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0206883(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の配線情報を計測する基板計測システムであって、
前記基板の上方から見下ろす形で設置され、前記基板の俯瞰画像を撮影するために使われる第一画像キャプチャ装置と、
前記基板の側面方向に設置され、前記基板の側面画像を撮影するために使われる第二画像キャプチャ装置と、
前記基板、前記第一画像キャプチャ装置および前記第二画像キャプチャ装置間の相対的な位置を調整するために使われる検査台と、
前記俯瞰画像および前記側面画像を受信し、これらに基づき前記基板上の配線情報を生成する処理装置を備え、
前記基板上の配線情報は、上側配線幅、下側配線幅および/または配線側面長さを含み、
前記処理装置は、前記配線情報を基に、前記基板上の配線厚さを取得すること
を特徴とする基板計測システム。
【請求項2】
前記処理装置は、前記配線情報を基に、前記基板上の配線断面積を取得することを特徴とする請求項1に記載の基板計測システム。
【請求項3】
前記処理装置は、前記配線断面積を基に、基板上の配線の導体許容電流(Current-Carry Capacity)を取得することを特徴とする請求項2に記載の基板計測システム。
【請求項4】
前記配線情報は更に、前記基板上の目標配線区域を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板計測システム。
【請求項5】
前記処理装置は、前記配線情報を基に、前記目標配線区域の体積を取得することを特徴とする請求項4に記載の基板計測システム。
【請求項6】
前記処理装置は、ステレオビジョン画像処理により前記基板の配線の三次元画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の基板計測システム。
【請求項7】
前記配線情報は更に、配線の瑕疵情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板計測システム。
【請求項8】
前記第一画像キャプチャ装置または前記第二画像キャプチャ装置は、ラインスキャンカメラまたはエリアスキャンカメラであることを特徴とする請求項1に記載の基板計測システム。
【請求項9】
前記第二画像キャプチャ装置の数量は2以上であり、前記基板の相対する両側の側面方向に設置され、
前記第二画像キャプチャ装置の視野角または傾斜角は調整することができることを特徴とする請求項1に記載の基板計測システム。
【請求項10】
前記検査台は、前記第一画像キャプチャ装置または前記第二画像キャプチャ装置を積載し移動するためのカメラ移動装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板計測システム。
【請求項11】
基板計測方法であって、
第一画像キャプチャ装置を前記基板の上方から見下ろす形で提供し前記基板の俯瞰画像を撮影すること、
第二画像キャプチャ装置を前記基板の側面方向に提供し前記基板の側面画像を撮影すること、
検査台を提供し前記基板、前記第一画像キャプチャ装置及び前記第二画像キャプチャ装置間の相対的な位置を調整すること、
処理装置を提供し前記俯瞰画像および前記側面画像を受信し、これらに基づき 前記基板上の配線情報は、上側配線幅、下側配線幅および/または配線側面長さを含む前記基板上の配線情報を生成し、前記処理装置は、前記配線情報を基に、前記基板上の配線厚さを取得することを含むことを特徴とする基板計測方法。
【請求項12】
前記基板計測方法は更に、処理装置が前記配線情報を基に前記基板上の配線断面積を取得することを特徴とする請求項11に記載の基板計測方法。
【請求項13】
前記基板計測方法は更に、処理装置が前記配線断面積を基に前記基板上の配線の導体許容電流を取得することを特徴とする請求項12に記載の基板計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板計測システムに関し、特に、回路の三次元画像を生成するのに使われる基板計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
科学の発展に伴い、電子製品は小型化、集積化する傾向にある。これまでの一般的な回路設計だと、集積化を行う際、基板の面積、部品の数、製品の性能、ノイズ、特性を並行して考慮する必要がある。そして、集積化の過程で最も直面しやすい問題が、集積化によるノイズの問題である。
【0003】
一般的には、集積化を考えなくてもよい場合は、回路と回路の間に一定の間隔を設けることで、EMI(Electromagnetic Interference)の放射ノイズを避けることができる。しかし集積化の要求下においては、基板上に使える空間が限られており、その結果、エンジニアはレイアウト時に配線の経路を考慮するにとどまらず、回路の全体的な形状にも気を配る必要が出てくる。集積化した回路の設計においては、配線の形態がノイズの発生と大きく関わっている。設計が良くない配線だと、インピーダンスの不一致による反射信号の発生や、コーナーの形状によって電磁誘導が増幅し、周囲の正常な回路に影響を与える可能性がある。
【0004】
現在の製造工程においては、配線の検査は基板を二次元光学画像で撮影し、マシンビジョンにより配線の瑕疵を確認する自動光学検査システム(AOI system)により行うことができる。しかし、従来の技術では画像から配線の表面の瑕疵を見つけることはできても、いくつかの種類の瑕疵は効率的に識別することができない。一方で、配線の形態とインピーダンスの不一致及びノイズ生成の間には密接な関係があり、人力による判別では識別しづらい差異がインピーダンスの不一致やEMIノイズを生み出すリスクがあるため、解決すべき課題である。
【発明の概要】
【0005】
上述の課題に鑑み、本発明は基板上の配線情報を計測するための基板計測システムを提供する。前記基板計測システムは、第一画像キャプチャ装置と、第二画像キャプチャ装置と、検査台と、処理装置とを備える。前記第一画像キャプチャ装置は、前記基板の上方から見下ろす形で設置され、前記基板の俯瞰画像を撮影するために使われる。前記第二画像キャプチャ装置は、前記基板の側面方向に設置され、前記基板の側面画像を撮影するために使われる。前記検査台は、前記基板、前記第一画像キャプチャ装置および前記第二画像キャプチャ装置間の相対的な位置を調整するために使われる。前記処理装置は、前記俯瞰画像および前記側面画像を受信し、これらに基づき前記基板上の配線情報を生成する。
【0006】
本発明の更なる目的は、基板の計測方法を提供することにある。前記計測方法は、第一画像キャプチャ装置を前記基板の上方から見下ろす形で提供し前記基板の俯瞰画像を撮影すること、第二画像キャプチャ装置を前記基板の側面方向に提供し前記基板の側面画像を撮影すること、検査台を提供し前記基板、前記第一画像キャプチャ装置及び前記第二画像キャプチャ装置間の相対的な位置を調整すること、処理装置を提供し前記俯瞰画像および前記側面画像を受信し、これらに基づき前記基板上の配線情報を生成することを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、人間による検査またはマシンビジョンによる検査の正確性を向上させることができ、以って製品の良品率と効率を向上させることができる。
【0008】
本発明は、各配線の許容量を得ることができ、そこから回路基板上の配線の許容電流を計算して得ることができる。
【0009】
本発明は、基板の平面構造の特徴を計測することができる他、基板の立体構造のサイズと欠陥に対し計測、検査することができるため、欠陥の種類をより容易に確認し、製品の製造中における不備を検知しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の基板計測システムを示す説明図である。
図2】本発明の第一実施例を示す外観説明図である。
図3】本発明の第二実施例を示す外観説明図である。
図4】本発明の第三実施例を示す外観説明図である。
図5】基板上の配線の断面図である。
図6】基板上の配線の三次元説明図である。
図7】基板上の配線の座標位置決め図である。
図8】基板上の配線の俯瞰図である。
図9】基板上の配線の側面図である。
図10】本発明の基板計測システムの三次元画像を示す説明図(一)である。
図11】本発明の基板計測システムの三次元画像を示す説明図(二)である。
図12】本発明の基板計測システムの三次元画像を示す説明図(三)である。
図13】本発明の基板計測方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の技術内容を図面に基づいて説明する。なお、これら図面は説明のためのものであるため、実際の比率に従い描かれたものではなく、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
本発明においては、各装置のチップとその協調関係を明確に定義していないが、本発明の技術分野における一般的な従事者であれば、本発明の各装置によって実行される機能が基本的に実行するドライバ及びファームウェアと対応しているプロセッサまたは制御チップを含むことを理解できるはずである。
【0013】
本発明は主に、基板上の配線情報を計測し、前記配線の三次元画像を得ることで瑕疵検査及び配線特性(例えば配線の許容電流)を計測することができる。本発明の「基板」とは、例えばプリント基板(Printed Circuit Board,PCB)、フレキシブルプリント回路基板(Flexible Printed Circuit,FPC)、セラミック基板(Ceramic Substrate)その他表面上に電子回路を形成することのできる基板のことであり、本発明ではこれらに限定しない。
【実施例
【0014】
以下、本発明の好ましい実施例を説明する。図1及び図2は本発明の基板計測システムを示す説明図、第一実施例を示す外観説明図である。
【0015】
本実施例の基板計測システム100は、検査台10と、第一画像キャプチャ装置20と、第二画像キャプチャ装置30と、補助光源40と、処理装置50とを備える。
【0016】
検査台10は、基板B、第一画像キャプチャ装置20及び第二画像キャプチャ装置30間の相対的な位置を調整するために使われる。図2に示す実施例ように、検査台10はコンベア装置、搬送装置その他の積載及び輸送が可能な装置を備え、これにより基板Bを検出エリアDAに移動し、第一画像キャプチャ装置20及び第二画像キャプチャ装置30で基板Bの画像を撮影する。基板Bがフレキシブルプリント回路基板の場合は、検出エリアDA上の基板Bを吸着し基板Bの表面を平らにするため、検査台10に真空吸着装置を備えてもよい。
【0017】
図3に示す実施例のように、検査台10は第一画像キャプチャ装置20または第二画像キャプチャ装置30を把持し移動するためのカメラ移動装置(例えば二軸ステージ、マシンアーム等)を備える。或いは、第一画像キャプチャ装置20と第二画像キャプチャ装置30を同じスタンド上に設置し、スタンド上で第一画像キャプチャ装置20と第二画像キャプチャ装置30の撮影方向を調整することで第一画像キャプチャ装置20と第二画像キャプチャ装置30が同じ位置に焦点を合わせるようにしてもよい。
【0018】
図1及び図2の実施例に戻る。本発明の第一画像キャプチャ装置20は、検査台10の上方から見下ろす形で設置され、基板B表面の俯瞰画像を撮影するために使われる。ここでいう「上方」とは、基板Bの表面の真上のことであり、第一画像キャプチャ装置20の撮影方向はおおよそ基板Bの表面と垂直に交わる方向である。第一画像キャプチャ装置20は光学レンズと、前記光学レンズと結合する感光ユニットとを備える。光学レンズは撮影対象物に向けられ、画像を感光ユニット上に現像する。前記感光ユニットはCCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサなどのうちのひとつである。実施例において、第一画像キャプチャ装置20はラインスキャンカメラまたはエリアスキャンカメラであるが、本発明においてはこれらに限定しない。
【0019】
第二画像キャプチャ装置30は、検査台10の側面方向に設置され、基板B表面の側面画像を撮影するために使われる。ここでいう側面方向とは、基板Bの表面の両端の正面方向または前記配線と一定の傾斜角を維持する斜め上方のことである。第二画像キャプチャ装置30は光学レンズと、前記光学レンズと結合する感光ユニットとを備える。光学レンズは撮影対象物に向けられ、画像を感光ユニット上に現像する。前記感光ユニットはCCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサなどのうちのひとつである。実施例において、第二画像キャプチャ装置30はエリアスキャンカメラまたはラインスキャンカメラであるが、本発明においてはこれらに限定しない。
【0020】
図4に示す実施例のように、第二画像キャプチャ装置30の個数は必要に応じて複数個でもよく、基板Bを挟んで両側の側面方向に設置することで、単一方向からの撮影では得ることのできないもう片側の配線の画像を得ることもできる。第二画像キャプチャ装置30の視野角、傾斜角は調整することができる。
【0021】
第一画像キャプチャ装置20と第二画像キャプチャ装置30は定義上は同じものであるが、これらキャプチャ装置は異なるカメラを組み合わせて実施してもよく、これらの選択は本発明の範囲には属さないことを述べておく。第一画像キャプチャ装置20と第二画像キャプチャ装置30のレンズはテレセントリックレンズを用いても良い。テレセントリックレンズの特性により、一定の被写体距離範囲内でレンズ視差の影響を受けず、倍率も変化せず、同時に広い被写界深度の効果を得ることができる。テレセントリックレンズを使用した実施例において、範囲内の配線エリアを一度にキャプチャすることができ、視差の影響を補正する工程を省くことができる。テレセントリックレンズを使う以外にも、光学レンズは一般的なレンズ、広角レンズ、望遠レンズなどでもよく、本発明においてはこれらに限定しない。
【0022】
実施例において、補助光源40は検査台10に向けられ、検出エリアDA上の基板Bに対し光を補助照射する。補助光源40はバックライト、リングライト、ドームライト、平行光ライト、拡散光ライト等であるが、本発明においてはこれらに限定しない。補助光源40は複数個でもよく、複数個の光源(例えば両側に設置する)にすることで計測効率を向上させることができる。例えば、複数の異なる種類の光源を有するライト制御器を接続し、異なるライトモードの条件下で基板Bの画像を撮影し、異なる画像を対比することで特徴差を明確にし、画像分割や関心領域のキャプチャに貢献することができる。
【0023】
処理装置50は第一画像キャプチャ装置20及び第二画像キャプチャ装置30と電気的に接続され、基板Bの俯瞰画像および側面画像を取得し、前記俯瞰画像および側面画像から基板B上の配線情報を生成する。処置装置50は前記俯瞰画像から前記配線の上側配線幅及び/または下側配線幅からなる配線情報を得ることができる。第一画像キャプチャ装置20は検査台10の表面と完全に垂直にあるとは限らないため、合理的な誤差の範囲内であれば無視するか、または補正工程を経て情報を補正するが、これらの部分は本発明の制限する範囲ではないため詳しく述べない。処理装置50は前記側面画像から前記配線の側面の長さからなる配線情報を得ることができる。第二画像キャプチャ装置30を基板Bの側面の真正面に設置する場合は、配線の厚みを直接得ることができる。斜め上方から配線を撮影することで対象物が重なり干渉する問題を避けることができ、撮影する際の角度、配線の上側配線幅、下側配線幅及び/または配線の側面の長さ(例えば配線側面長さW3及び配線側面長さW4、図5及び図10に示す)から配線の厚みを算出することができる。前記厚みは三平方の定理で算出することができるが、これについては後ほど述べる。
【0024】
処理装置50はプロセッサとストレージ備えるコンピューター、例えば、パーソナルコンピューター、ワークステーション、サーバーその他のコンピューターまたはプロセッサとして構築してもよいが、これらの種類に限定しない。プロセッサは例えば、CPUもしくはプログラム化可能な汎用または特殊用途のマイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックデバイスその他類似する装置またはこれらの装置の組み合わせである。本実施例においては、プロセッサはストレージ内のプログラムを呼び出すのに使われる。前記ストレージは任意の揮発性メモリまたは不揮発性メモリでよいが、本発明においてはこれらに限定しない。
【0025】
配線の厚みの計算方法に関しては、図5を参照されたい。図5は基板上の配線の断面図である。
【0026】
処理装置50が画像から配線の上側配線幅W1、下側配線幅W2および配線側面長さW3を得た後、三平方の定理により基板Bの配線厚さHを得ることができる。図5に示すとおり、処理装置50は上側配線幅W1を確認すると、上側配線と側壁の境目から配線俯瞰角幅S1を確認する。このとき、ピタゴラスの定理(平面上の直角三角形の直角が交わる辺を二乗したものの総和の平方根が斜辺の長さになる)の公式により、配線厚さH、配線側面長さW3、配線俯瞰角幅S1は以下の式で求まる。
【0027】
【数1】
【0028】
配線側面長さW3と配線俯瞰角幅S1は既に分かっているので、計算により配線厚さHが求まる。配線厚さHが求まると、台形公式により当該区間の配線断面積Aが求まる。計算式は次のとおりである。
【0029】
【数2】
【0030】
断面積を求めた後、処理装置50は配線断面積Aから基板Bの配線の導体許容電流(Current-Carry Capacity)を求めることができる。前記配線の導体許容電流を求める計算式は次のとおりである。
【0031】
【数3】
【0032】
このうち、Iは最大許容電流、kは補正係数、ΔTは最大温度差、Aは配線の断面積である。また、撮影した俯瞰画像と側面画像から、画像認識を用いることで配線上の瑕疵を見つけることができ、これにより配線の瑕疵情報を得ることができる。
【0033】
上述の配線断面積Aの形状は台形で例示しているが、矩形その他の形状でも構わず、ここでは限定しない。また、導体許容電流の公式は上述の公式の他に、IPC-2221のようなIPC等関係規定を満たす計算式を使用しても構わない。
【0034】
演算の負荷を軽減するため、処理装置50はルックアップ方式によるルックアップテーブルから前記配線の導体許容電流を求めても構わない。ルックアップテーブルは例えば以下のものである。
【0035】
【表1】
【0036】
ルックアップテーブルの中にはない数値は近傍法または内挿法で計算してもよく、この部分に関しては設計要件により決定されるものである。
【0037】
図6は基板上の配線の三次元説明図である。
【0038】
好ましい実施例においては、処理装置50は画像から基板B上の目標配線区域Lを取得することで、上側配線幅W1、下側配線幅W2、配線側面長さW3、目標配線区域Lを基に、配線断面積Aと配線区域から目標配線区域Lの体積を求めることができる。また別の実施例としては、複数の断面積を求めた後、それぞれの断面積と配線区域の長さから複数の区域の体積を求め、全ての区域の体積の総和から目標配線区域Lの体積を求めることができる。
【0039】
上述の配線情報分析の技術的特徴の他、本発明により得られる配線情報は更に、ステレオビジョン画像処理により配線の三次元画像を構築することができる。
【0040】
ここから、本発明の基板配線の三次元画像の構築方法について説明する。図7から図12までを参照されたい。
【0041】
図7のとおり、処理装置50は前記配線の前記俯瞰画像と前記側面画像を受信した後、前記配線画像の配線の片側境界線に連続した複数の座標位置M(X,Y,Z)…M(X,Y,Z)…M(X,Y,Z)を設定する。前記座標位置の設定はステレオビジョン画像処理(Stereo Vision Algorithm)により行い、画像のピクセル座標(u,v)をワールド座標(X,Y,Z)に変換し、画像内の目標座標位置のキャリブレーションを行う。また別の実施例としては、前記複数の座標位置をもう一方の側面の境界線、中心線やその他判別しやすい参考箇所に設定することもできるが、本発明においてはこれらに限定しない。更に別の実施例としては、特にラインスキャンカメラを利用する実施例においては、前記座標位置をコンベア装置、搬送装置その他類似する装置のデータを受け取ることで確認することもできる。
【0042】
図8に示すとおり、前記座標位置を設定した後、処理装置50は前記俯瞰画像から上側配線幅W1、下側配線幅W2を得る。上側配線幅W1と下側配線幅W2間の相対的な位置は画像の配線両側の配線俯瞰角幅S1、S2の比率から求める。
【0043】
図9に示すとおり、処理装置50は配線の前記側面画像を受信した後、前記側面画像から配線画像中の配線側面長さW3を分析する。
【0044】
上記2つの工程の後、処理装置50は上側配線幅W1、下側配線幅W2、配線俯瞰角幅S1,S2および配線側面長さW3を取得し、上記配線情報の計算から配線厚さHを得られた時、これらの変数が属する座標位置M(X,Y,Z)を記録する。
【0045】
続いて、図10に示すとおり、上側配線幅W1、下側配線幅W2および配線厚さHと対応する座標位置Mn(Xn,Yn,Zn)を取得した時、処理装置50は上側配線幅W1、下側配線幅W2および配線厚さHを基に断面画像を構築する。まず第一配線側面長さW3、第二配線側面長さW4から上側配線幅W1、下側配線幅W2の相対関係を確認し、配線厚さHを確認することで、台形断面の底辺、上辺、高さ、第一斜辺、第二斜辺を確認することができ、そこから三次元断面画像STを構築する。全ての構築された三次元断面画像STから、三次元断面画像STの状態を確認することで、配線の瑕疵情報を得ることができる。
【0046】
最後に、図11および図12に示すとおり、前記複数の配線のサンプル座標位置M(X,Y,Z)…M(X,Y,Z)…M(X,Y,Z)と、それぞれの座標位置M(X,Y,Z)…M(X,Y,Z)…M(X,Y,Z)に対応する三次元断面画像ST1-STNから、画像スタックSTKを構築する。画像スタックSTKが完成した後、画像の間隔の座標位置の間(M(X,Y,Z)…M(X,Y,Z)…M(X,Y,Z))を内挿法で補間する。これにより図11に示す三次元画像を得ることができる。
【0047】
得られた三次元画像は、断面の形状から得られる配線情報から配線の瑕疵情報を得ることができ、これにより瑕疵の種類やタイプを確認することで、目視検査の効率を向上させることができる。
【0048】
ここから、本発明の基板計測方法について説明する。図13は本発明の基板計測方法の工程を示す説明図である。
【0049】
本実施例の提供する基板計測方法は、以下のステップを含む。
【0050】
ハードウェアの配置として、まず、第一画像キャプチャ装置20を基板Bの上方から見下ろす形で設置し、基板Bの俯瞰画像を得る(ステップS01)。同時に、第二画像キャプチャ装置30を基板Bの側面方向に設置し基板Bの側面画像を得る(ステップS02)。
【0051】
検査台10により基板B、第一画像キャプチャ装置20及び第二画像キャプチャ装置30間の相対的な位置を調整する(ステップS03)。
【0052】
ステップS03のうち、基板Bを撮影する第一画像キャプチャ装置20と第二画像キャプチャ装置30の撮影タイミングは前後の順を定める必要はなく、先に第一画像キャプチャ装置20の撮影により俯瞰画像を得るか、先に第二画像キャプチャ装置30の撮影により側面画像を得るか、或いは両方を同時に行ってもよく、この部分については本発明では限定しない。
【0053】
続いて、処理装置50が前記俯瞰画像および前記側面画像を受信し、これらに基づき基板B上の配線情報を生成する(ステップS04)。基板Bの配線情報は、上側配線幅、下側配線幅及び/または配線側面長さを含む。
【0054】
上記上側配線幅、下側配線幅及び/または配線側面長さを得た後、処理装置50は前記上側配線幅、下側配線幅と配線側面長さから基板Bの配線断面積を求める(ステップS05)。
【0055】
最後に、前記配線断面積を得た後、処理装置50は前記配線断面積から基板Bの配線の許容電流を得られる(ステップS06)。
【0056】
上述のとおり、本発明は、配線の三次元画像を構築することで、人間による検査またはマシンビジョンによる検査の正確性を向上させることができ、以って製品の良品率と効率を向上させることができる。また、本発明は、配線の三次元画像を構築することで、各配線の許容量を得ることができ、そこから回路基板上の配線の許容電流を計算して得ることができる。また、本発明は、配線の三次元画像を構築することで、人や機械による検査の際に見つかった欠陥が平面構造か立体構造かを確認することができ、以ってより容易に欠陥のタイプを確認し、製品の製造工程における不備を検知しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0057】
100 基板計測システム
10 検査台
20 第一画像キャプチャ装置
30 第二画像キャプチャ装置
40 補助光源
50 処理装置
B 基板
DA 検出エリア
W1 上側配線幅
W2 下側配線幅
W3 配線側面長さ
W4 配線側面長さ
H 配線厚さ
S1 配線俯瞰角幅
S2 配線俯瞰角幅
ST 三次元断面画像
ST1-STN 三次元断面画像
STK 画像スタック
S01-S06 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13