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特許7182315自走ロボット用移載システムおよびこれに用いる移載ロボット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】自走ロボット用移載システムおよびこれに用いる移載ロボット
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20221125BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
E04G21/12 ESW
B25J5/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021127836
(22)【出願日】2021-08-03
【審査請求日】2021-09-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)2021年7月8日 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000065073.htm (2)2021年7月8日 https://www.facebook.com/tatsuya.manabe.5/posts/5779022592168473 (3)2021年7月8日 https://twitter.com/miyakojima6559/status/1413046198596870144 (4)「第4回自動化・省人化ロボット展」 2021年7月14~16日 (5)「大和ハウス技術改善コンクール」 2021年7月19日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2021年07月12日,<https://web.archive.org/web/20210712074625/https://jp.techcruch.com/2021/07/12/construction-robot-tomorobo>
(73)【特許権者】
【識別番号】513192742
【氏名又は名称】建ロボテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞部 達也
(72)【発明者】
【氏名】井上 治久
(72)【発明者】
【氏名】榎本 羊太
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特許第6633720(JP,B1)
【文献】特開2019-039174(JP,A)
【文献】特開平01-014471(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111877769(CN,A)
【文献】建ロボテックが鉄筋結束作業を行う「全自動鉄筋結束トモロボ」を開発、年内量産開始を目指す,[online],2021年07月12日,<https://web.archive.org/web/20210712074625/https://jp.techcruch.com/2021/07/12/construction-robot-tomorobo>,[2022年6月21日 検索]
【文献】建ロボテック、人の代わりに自動で鉄筋結束作業を行い、建設現場の省人化・省力化を実現する『全自動鉄筋結束トモロボ』を開発,[online],2021年07月08日,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000065073.htm,新規性喪失の例外の申立てによる文献,[2021年11月8日検索]
【文献】twitterアカウント「tatsuya manabe」によるツイート,[online],2021年07月08日,https://twitter.com/miya kojima6559/status/141304 6198596870144,新規性喪失の例外の申立てによる文献,[2021年11月8日検索]
【文献】Facebookアカウント「真部 達也」による記事,[online],2021年07月08日,https://www.facebook.com /tatsuya.manabe.5/posts/ 5779022592168473,新規性喪失の例外の申立てによる文献,[2021年11月8日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/12
B25J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工面上に並列配置した複数の第1鉄筋に交差させて敷設した複数の第2鉄筋を走行軌道として走行する自走ロボットを乗降自在に搭載する移載ロボットと、前記複数の第2鉄筋上で前記第1鉄筋の長手方向に架設して前記移載ロボットを前記第1鉄筋の長手方向に移動させる一対のトラバースレールとを備えた自走ロボット用移載システムであって、
前記移載ロボットが、前記トラバースレール上を転動する本体駆動輪と該本体駆動輪により前記トラバースレール上を移動する本体フレームと前記本体駆動輪を駆動するトラバース駆動部とを備えている本体ユニットと、前記トラバースレール上を転動する台車車輪と該台車車輪により前記トラバースレール上を移動する台車フレームと前記自走ロボットを前記第2鉄筋と前記台車フレームとの相互間で乗降自在に移載する乗降補助フレームとからなる台車ユニットとで一体に構成されていることを特徴とする自走ロボット用移載システム。
【請求項2】
施工面上に並列配置した複数の第1鉄筋に交差させて敷設した複数の第2鉄筋を走行軌道として走行する自走ロボットを乗降自在に搭載するとともに、前記複数の第2鉄筋上で前記第1鉄筋の長手方向に架設した一対のトラバースレールに沿って前記自走ロボットを移動させる自走ロボット用移載システムに用いるための移載ロボットであって、
前記トラバースレール上を転動する本体駆動輪と該本体駆動輪の転動により前記トラバースレール上を移動する本体フレームと前記本体駆動輪を駆動するトラバース駆動部とを備えている本体ユニットと、前記トラバースレール上を転動する台車車輪と該台車車輪により前記トラバースレール上を移動する台車フレームと前記自走ロボットを前記第2鉄筋と前記台車フレームとの相互間で乗降自在に移載する乗降補助フレームとからなる台車ユニットとで一体に構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項3】
前記本体ユニットが、前記自走ロボットとの間で通信を行うオペレーション通信部と前記自走ロボットとの間で行った通信の内容に応じて前記トラバース駆動部を制御するトラバース制御部とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の移載ロボット。
【請求項4】
前記本体ユニットが、前記トラバースレールの終端を検知するレール終端検知センサを備え、
前記トラバース制御部が、前記レール終端検知センサからの信号に応じてトラバース駆動部を制御することを特徴とする請求項3に記載の移載ロボット。
【請求項5】
前記本体ユニットが、前記第2鉄筋の位置を検知する第2鉄筋検知センサと該第2鉄筋検知センサからの信号に応じて前記トラバース駆動部を駆動させるオペレーション制御部とを備えていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の移載ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート打設用の配筋工事に用いる鉄筋結束自走ロボットをトラバース移動するための自走ロボット用移載システムおよびこれに用いる移載ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋を走行軌道として自走する鉄筋結束ロボットについては、鉄筋終端部の近傍に到達したことを検知して自動停止し、人力により鉄筋の相互間を移動させるもの(特許文献1参照)、鉄筋結束ロボットが乗降機能を備えたクローラ機構を備えるもの(参考文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6633720号号公報
【文献】特開第2019-39174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の鉄筋結束ロボットは、作業者が鉄筋結束ロボットを自力で持ち上げて鉄筋間を移動する必要があり、特許文献2に記載の鉄筋結束ロボットは、ロボット自体の構成が複雑化し、また正確なクローラを行うための調整が難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、自走ロボットが第2鉄筋を走行軌道として自走しながら第2鉄筋の端部付近まで到達した際に、移載ロボットの乗降補助フレームが自走ロボットを第2鉄筋と台車フレームとの相互間で乗降自在に移載するとともに、自走ロボットが台車フレームに搭載されている状態で移載ロボットがトラバースレールに沿って他の第2鉄筋まで移動するため、作業者が自走ロボットを自力で持ち上げることなく他の第2鉄筋を新たな走行軌道として逆向きに自走させ、その結果、自走ロボットの折り返し作業を簡便に達成することができる自走ロボット用移載システムおよびこれに用いる移載ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本請求項1に係る発明は、施工面上に並列配置した複数の第1鉄筋に交差させて敷設した複数の第2鉄筋を走行軌道として走行する自走ロボットを乗降自在に搭載する移載ロボットと、前記複数の第2鉄筋上で前記第1鉄筋の長手方向に架設して前記移載ロボットを前記第1鉄筋の長手方向に移動させる一対のトラバースレールとを備えた自走ロボット用移載システムであって、前記移載ロボットが、前記トラバースレール上を転動する本体駆動輪と該本体駆動輪により前記トラバースレール上を移動する本体フレームと前記本体駆動輪を駆動するトラバース駆動部とを備えている本体ユニットと、前記トラバースレール上を転動する台車車輪と該台車車輪により前記第2トラバースレール上を移動する台車フレームと前記自走ロボットを前記第2鉄筋と前記台車フレームとの相互間で乗降自在に移載する乗降補助フレームとからなる台車ユニットとで一体に構成されていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0007】
本請求項2に係る発明は、施工面上に並列配置した複数の第1鉄筋に交差させて敷設した複数の第2鉄筋を走行軌道として走行する自走ロボットを乗降自在に搭載するとともに、前記複数の第2鉄筋上で前記第1鉄筋の長手方向に架設した一対のトラバースレールに沿って前記自走ロボットを移動させる自走ロボット用移載システムに用いるための移載ロボットであって、前記トラバースレール上を転動する本体駆動輪と該本体駆動輪の転動により前記トラバースレール上を移動する本体フレームと前記本体駆動輪を駆動するトラバース駆動部とを備えている本体ユニットと、前記トラバースレール上を転動する台車車輪と該台車車輪により前記トラバースレール上を移動する台車フレームと前記自走ロボットを前記第2鉄筋と前記台車フレームとの相互間で乗降自在に移載する乗降補助フレームとからなる台車ユニットとで一体に構成されていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
本請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の構成に加えて、前記本体ユニットが、前記自走ロボットとの間で通信を行うオペレーション通信部と前記自走ロボットとの間で行った通信の内容に応じて前記トラバース駆動部を制御するトラバース制御部とを備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
本請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明の構成に加えて、前記本体ユニットが、前記トラバースレールの終端を検知するレール終端検知センサを備え、前記トラバース制御部が、前記レール終端検知センサからの信号に応じてトラバース駆動部を制御することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
本請求項5に係る発明は、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に係る発明の構成に加えて、前記本体ユニットが、前記第2鉄筋の位置を検知する第2鉄筋検知センサと該第2鉄筋検知センサからの信号に応じて前記トラバース駆動部を駆動させるオペレーション制御部とを備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る発明の自走ロボット用移載システムによれば、施工面上に並列配置した複数の第1鉄筋に交差させて敷設した複数の第2鉄筋を走行軌道として走行する自走ロボットを乗降自在に搭載する移載ロボットと、複数の第2鉄筋上で前記第1鉄筋の長手方向に架設して移載ロボットを前記第1鉄筋の長手方向に移動させる一対のトラバースレールとを備えた自走ロボット用移載システムであって、移載ロボットが、前記トラバースレール上を転動する本体駆動輪と本体駆動輪によりトラバースレール上を移動する本体フレームと本体駆動輪を駆動するトラバース駆動部とを備えている本体ユニットと、トラバースレール上を転動する台車車輪と台車車輪によりトラバースレール上を移動する台車フレームと自走ロボットを第2鉄筋と台車フレームとの相互間で乗降自在に移載する乗降補助フレームとからなる台車ユニットとで一体に構成されていることにより、自走ロボットが第2鉄筋を走行軌道として自走しながら第2鉄筋の端部付近まで到達した際に、移載ロボットの乗降補助フレームが自走ロボットを第2鉄筋と台車フレームとの相互間で乗降自在に移載するとともに、自走ロボットが台車フレームに搭載されている状態で移載ロボットがトラバースレールに沿って他の第2鉄筋まで移動するため、作業者が自走ロボットを自力で持ち上げることなく他の第2鉄筋を新たな走行軌道として逆向きに自走させ、その結果、自走ロボットの折り返し作業を簡便に達成することができる。
【0012】
本発明の請求項2に係る発明の移載ロボットによれば、施工面上に並列配置した複数の第1鉄筋に交差させて敷設した複数の第2鉄筋を走行軌道として走行する自走ロボットを乗降自在に搭載するとともに、複数の第2鉄筋上で第1鉄筋の長手方向に架設した第1トラバースレール及び第2トラバースレールとで構成された一対のトラバースレールに沿って自走ロボットを移動させる自走ロボット用移載システムに用いるための移載ロボットであって、トラバースレール上を転動する本体駆動輪と本体駆動輪の転動によりトラバースレール上を移動する本体フレームと本体駆動輪を駆動するトラバース駆動部とを備えている本体ユニットと、トラバースレール上を転動する台車車輪と台車車輪によりトラバースレール上を移動する台車フレームと自走ロボットを第2鉄筋と台車フレームとの相互間で乗降自在に移載する乗降補助フレームとからなる台車ユニットとで一体に構成されていることにより、自走ロボットが第2鉄筋を走行軌道として自走しながら第2鉄筋の端部付近まで到達した際に、移載ロボットの乗降補助フレームが自走ロボットを第2鉄筋と台車フレームとの相互間で乗降自在に移載するとともに、自走ロボットが台車フレームに搭載されている状態で移載ロボットがトラバースレールに沿って他の第2鉄筋まで移動するため、作業者が自走ロボットを自力で持ち上げることなく他の第2鉄筋を新たな走行軌道として逆向きに自走させ、その結果、自走ロボットの折り返し作業を簡便に達成することができる。
【0013】
本請求項3に係る発明の移載ロボットによれば、請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、本体ユニットが、自走ロボットとの間で通信を行うオペレーション通信部と自走ロボットとの間で行った通信の内容に応じてトラバース駆動部を制御するトラバース制御部とを備えていることにより、自走ロボットと移載ロボットとが相互の通信に基づいて、自走ロボットが現に走行している第2鉄筋に対応する位置まで移載ロボットが自動的に移動して迎えに行き、自走ロボットが第2鉄筋から台車フレームに自動的に移載し、移載ロボットがトラバースレールに沿って他の第2鉄筋に対応する位置に自動的に移動し、自走ロボットが台車フレームから他の第2鉄筋上に自動的に移載するため、自走ロボット及び移載ロボットに初期設定を入力するだけで、複数の第2鉄筋を走行軌道として走行する自走ロボットを、順次他の第2鉄筋上にトラバース移動させて、施工面の全体にわたって走行させる自動的なオペレーションを実現することができる。
【0014】
本請求項4に係る発明の移載ロボットによれば、請求項3に係る発明が奏する効果に加えて、本体ユニットが、トラバースレールの終端を検知するレール終端検知センサを備え、トラバース制御部が、レール終端検知センサからの信号に応じてトラバース駆動部を制御することにより、トラバースレールの終端への到達をレール終端検知センサが検知したことに基づいて、トラバース制御部がトラバース駆動部を停止させるため、移載ロボットの本体駆動輪がトラバースレールの終端を乗り越えて脱輪することを防止することができる。
【0015】
本請求項5に係る発明の移載ロボットによれば、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に係る発明が奏する効果に加えて、本体ユニットが、第2鉄筋の位置を検知する第2鉄筋検知センサと第2鉄筋検知センサからの信号に応じてトラバース駆動部を駆動させるオペレーション制御部とを備えていることにより、移載ロボットによるトラバースレールに沿ったトラバース移動が、第2鉄筋検知センサが検知した第2鉄筋の位置に基いて制御されるため、自走ロボットを移載する際に自走ロボットに向かってトラバース移動した移載ロボットの停止位置が正確に位置決めされ、自走ロボットが第2鉄筋と台車フレームの間で移載する際に乗降補助フレームと第2鉄筋とが正確に接続して、自走ロボットの脱輪を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の自走ロボット用移載システムを示す模式図。
図2】本発明の自走ロボット用移載システムの使用状態を示す模式図。
図3】本発明の移載ロボットに対する自走ロボットの非搭載状態を示す模式的側面図。
図4】本発明の移載ロボットに対する自走ロボットの搭載状態を示す模式的側面図。
図5】本発明の移載ロボットが自走ロボットをトラバース移動する様子を示す模式的平面図。
図6】本発明の移載ロボットの構成を示すブロック図。
図7】本発明の自走ロボット用移載システムによりオペレーションの対象とする自走ロボットの構成を示すブロック図。
図8】本発明の第1実施例における自走ロボット用移載システムの構成を示す模式図。
図9】本発明の第2実施例における自走ロボット用移載システムの構成を示す模式図。
図10A】本発明の第1実施例における制御の流れを示すフロー図。
図10B】本発明の第1実施例における制御の流れを示すフロー図。
図10C】本発明の第1実施例における制御の流れを示すフロー図。
図11A】本発明の第2実施例における制御の流れを示すフロー図。
図11B】本発明の第2実施例における制御の流れを示すフロー図。
図11C】本発明の第2実施例における制御の流れを示すフロー図。
図11D】本発明の第2実施例における制御の流れを示すフロー図。
図11E】本発明の第2実施例における制御の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の自走ロボット用移載システムは、施工面上に並列配置した複数の第1鉄筋に交差させて敷設した複数の第2鉄筋を走行軌道として走行する自走ロボットを乗降自在に搭載する移載ロボットと、複数の第2鉄筋上で前記第1鉄筋の長手方向に架設して移載ロボットを前記第1鉄筋の長手方向に移動させる一対のトラバースレールとを備えた、自走ロボット用移載システムであって、移載ロボットが、前記トラバースレール上を転動する本体駆動輪と本体駆動輪によりトラバースレール上を移動する本体フレームと本体駆動輪を駆動するトラバース駆動部とを備えている本体ユニットと、トラバースレール上を転動する台車車輪と台車車輪によりトラバースレール上を移動する台車フレームと自走ロボットを第2鉄筋と台車フレームとの相互間で乗降自在に移載する乗降補助フレームとからなる台車ユニットとで一体に構成されていることにより、作業者が自走ロボットを自力で持ち上げることなく他の第2鉄筋を新たな走行軌道として逆向きに自走させ、その結果、自走ロボットの折り返し作業を簡便に達成することができるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0018】
また、本発明の移載ロボットは、施工面上に並列配置した複数の第1鉄筋に交差させて敷設した複数の第2鉄筋を走行軌道として走行する自走ロボットを乗降自在に搭載するとともに、複数の第2鉄筋上で第1鉄筋の長手方向に架設した一対のトラバースレールに沿って自走ロボットを移動させる自走ロボット用移載システムに用いるための移載ロボットであって、トラバースレール上を転動する本体駆動輪と本体駆動輪の転動によりトラバースレール上を移動する本体フレームと本体駆動輪を駆動するトラバース駆動部とを備えている本体ユニットと、トラバースレール上を転動する台車車輪と台車車輪によりトラバースレール上を移動する台車フレームと自走ロボットを第2鉄筋と台車フレームとの相互間で乗降自在に移載する乗降補助フレームとからなる台車ユニットとで一体に構成されていることにより、作業者が自走ロボットを自力で持ち上げることなく他の第2鉄筋を新たな走行軌道として逆向きに自走させ、その結果、自走ロボットの折り返し作業を簡便に達成することができるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0019】
たとえば、移載ロボットの本体ユニットを台車ユニットの横に配置して、2つの本体駆動輪が第1トラバースレール及び第2トラバースレール上を転動する構成とし、台車車輪が第1トラバースレール及び第2トラバースレール上を転動する従動輪とすれば、伝達ロッドが不要であり、かつ、自走ロボットをトラバース移動する際の駆動力がバランスよくトラバースレールに分配されるため、安定的にトラバース移動ができる。
【0020】
また、トラバースレールを構成している一対の第1トラバースレールと第2トラバースレールとは、一定の間隔を維持するように間隔維持部材により一体に形成してもよい。
【0021】
さらに、移載ロボットとトラバースレールとを一組だけ準備して、施工面の例えば奥側に配置し、手前側のトラバース移動を人力によるトラバース移動装置で行ってもよい。
【実施例1】
【0022】
以下に、本発明の第1の実施例である自走ロボット用移載システム及び移載ロボットについて、図1乃至図8及び図10A乃至図10Cに基づいて説明する。
【0023】
ここで、図1は、本発明の自走ロボット用移載システムを示す模式図であり、図2は、本発明の自走ロボット用移載システムの使用状態を示す模式図であり、図3は、本発明の移載ロボットに対する自走ロボットの搭載状態を示す模式的側面図であり、図4は、本発明の移載ロボットに対する自走ロボットの搭載状態を示す模式的側面図であり、図5は、本発明の移載ロボットが自走ロボットをトラバース移動する様子を示す模式的平面図であり、図6は、本発明の移載ロボットの構成を示すブロック図であり、図7は、本発明の自走ロボット用移載システムによりオペレーションの対象とする自走ロボットの構成を示すブロック図であり、図8は、本発明の第1実施例における自走ロボット用移載システムの構成を示す模式図であり、図10A乃至図10Cは、本発明の第1実施例における制御の流れを示すフロー図である。
【0024】
本実施例に係る自走ロボット用移載システム100は、図1乃至図6及び図8に示すように、施工面上に並列配置した複数の第1鉄筋TRに交差させて敷設した複数の第2鉄筋LRを走行軌道として走行する自走ロボットRを乗降自在に搭載する移載ロボット110と、複数の第2鉄筋上LRで第1鉄筋TRの長手方向に架設して移載ロボット110を第1鉄筋TRの長手方向に移動させる一対のトラバースレール120とを備えている。
【0025】
移載ロボット110は、台車ユニット111と、本体ユニット112とで一体に構成されている。
【0026】
台車ユニット111は、トラバースレール120上を転動する台車駆動輪111aaと台車従動輪111abとから構成されている台車車輪111aと、この台車車輪111aに本体ユニット112からの駆動力を伝達する伝達ロッド111bと、台車車輪によりトラバースレール120上を移動する台車フレーム111cと、自走ロボットRを第2鉄筋LRと台車フレーム111cとの相互間で乗降自在に移載する乗降補助フレーム111dとから構成されている。
【0027】
乗降補助フレーム111dは、一対の揺動軸部を備える揺動ベース部材111daと、揺動ベース部材111daに固定された中央レール部111dbと、中央レール部11dbに固定された補助レール間隔調整部材111dcと、揺動ベース部材111da及び補助レール間隔調整部材111dcにより間隔調整自在に固定されて逆U字状の断面を有している一対の乗降補助レール部111ddと、中央レール部111dbに固定されて一対の乗降補助レール部111ddの間に配置された鉄筋検知阻害部111deとを備えている。
【0028】
揺動ベース部材111daは、一対の揺動軸部において、台車フレーム111cを構成している一対の軸受け部により揺動自在に軸止されている。この結果、揺動軸部は、台車車輪111aの間に位置決め配置されている。
【0029】
本体ユニット112は、トラバースレール120上を転動する本体駆動輪112aと、この本体駆動輪112aによりトラバースレール120上を移動する本体フレーム112bと、各種の状態を検知するセンサ部112cと、本体駆動輪112aを駆動するトラバース駆動部112dと、乗降補助フレーム111dを乗降位置と搭載位置との間で駆動する乗降補助フレーム駆動部112eと、各種の制御を行うオペレーション制御部112gと、自走ロボットRとの間で通信を行うオペレーション通信部112fとから構成されている。
【0030】
このうち、センサ部112cは、乗降補助フレーム111dが傾斜状態の乗降位置と水平状態の搭載位置とのいずれにあるかを検知する乗降補助フレーム検知センサ112caと、トラバース移動中に乗り越える第2鉄筋LRを検知する第2鉄筋検知センサ112cbと、自走ロボットRが正面に位置しているか否かを検知する自走ロボットセンサ112ccと、トラバースレール120を移動中にトラバースレール120終端部を検知するレール終端検知センサ112cdとを備えている。
【0031】
また、トラバース駆動部112dは、トラバース移動の駆動力を発生させる駆動モータ112daと、この駆動力を本体駆動輪112aに伝達する伝達ベルト112dbとを備えており、さらに、伝達ロッド111bを介して駆動力を台車車輪111aに伝達する。
【0032】
さらに、オペレーション制御部112gは、自走ロボット用移載システム100のオペレータが規定時間等の各種の情報を入力するためのオペレーション入力部112gaと、自走ロボットRとの間で行った通信の内容と第2鉄筋検知センサ112cb及びレール終端検知センサ112cdからの信号に応じてトラバース駆動部112dを駆動させ又は停止させる制御を行うトラバース制御部112gbと、乗降補助フレーム駆動部112eを駆動させ又は停止させて、乗降補助フレーム111dを乗降位置と搭載位置との間で切り替える制御を行う乗降補助フレーム制御部112gcを備えている。
【0033】
トラバースレール120は、移載ロボット110を搭載可能な相互間隔に配置した第1トラバースレール121及び第2トラバースレール122とで構成されている。第1トラバースレール121及び第2トラバースレール122は、第1鉄筋TR又は第2鉄筋LRに結束して固定されている。
【0034】
本実施例の自走ロボット用移載システム100を用いて自走ロボットRのオペレーションを行うには、まず、一対の乗降補助レール部111ddの間隔を、第2鉄筋LRが敷設されている間隔に対応して調整する。本実施例では、図2及び図5に示すように、自走ロボットRがn番目とn+2番目の第2鉄筋LRを軌道として走行するので、一対の乗降補助レール部111ddの間隔を第2鉄筋LRの間隔の2倍に対応させる。
【0035】
具体的には、中央レール部111dbをn+1番目の第2鉄筋LRと対応する位置に配置した際に、一対の乗降補助レール部111ddがそれぞれn番目とn+2番目の第2鉄筋LRと対応する位置で、かつ、中央レール部111dbとそれぞれ平行になるように固定する。
【0036】
次に、自走ロボットRが走行軌道としている第2鉄筋LRの端部付近に、トラバースレール120を敷設して、第1鉄筋TRまたは第2鉄筋LRに結束して固定する。
【0037】
その後、トラバースレール120の上に移載ロボット110を搭載する。この際、図2乃至図5に示すように、本体駆動輪112aが第1トラバースレール121上に配置され、台車車輪111aが第2トラバースレール122上に配置され、かつ、図3に示すように、乗降補助フレーム111dが傾斜した乗降位置において第2鉄筋LRに接続する位置に、移載ロボット110を位置決めする。
【0038】
次に、本発明の自走ロボット用移載システム100の制御の流れを説明する。
【0039】
本実施例に係る自走ロボット用移載システム100は、第2鉄筋LRを走行軌道として走行する自走ロボットRとしての1台の鉄筋結束自走ロボットを第2鉄筋の相互間で移載させるオペレーションを行うため、図8に示すように、移載ロボット110とトラバースレール120とのセットを2組備えているため、便宜的に(A)、(B)の記号を付して区別する。
【0040】
以下、図10A乃至図10Cを参照して、自走ロボット用移載システム100により自走ロボットRをオペレーションする場合の制御の流れと移載ロボット(A)110の動作を説明する。
【0041】
図中のSA01乃至SA09、SB01乃至SB09及びSR01乃至SR22は、それぞれ制御のステップを示している。
【0042】
まず、奥側に配置する移載ロボット(A)110の制御の流れと動作を説明する。
移載ロボット(A)110は、初期状態においては、トラバースレース(A)120上で、自走ロボットRが走行軌道としている第2鉄筋LRに対応する左奥側の位置に配置されている。自走ロボット用移載システム100のオペレータは、移載ロボット(A)110が奥側に配置されていることをオペレーション入力部112gaから入力する。
【0043】
移載ロボット(A)110は、自走ロボットRが手前向きに自走している間は、乗降補助フレーム制御部112gcが乗降補助フレーム駆動部112eを駆動させて乗降補助フレーム111eを水平状態にして、新規呼び出し待ちの状態である(SA01)。
【0044】
移載ロボット(A)110のオペレーション通信部112fが、自走ロボットRが折り返して奥向きに自走し、規定時間が経過した後に停止している状態で発信する進行方向移載ロボット呼出信号を受信したら、オペレーション制御部112gのトラバース制御部112gbがトラバース駆動部112dを構成する駆動モータ112daを駆動させて、移載ロボット(A)110を第1トラバースレール121(A)及び第2トラバースレール122(A)に沿って横方向にトラバース移動させる(SA02)。
【0045】
横方向にトラバース移動を行っている際には、移載ロボット(A)110が第2鉄筋を乗り越える度に第2鉄筋検知センサ112cbが検知するため、停止位置を第2鉄筋LRの位置に基づいて正確に決定することができる。
【0046】
ここで、後述のように、自走ロボットRは、鉄筋結束作業を行いながら奥側から手前側に移動した後、移載ロボット(B)110により第2鉄筋の間隔と同一の距離を横に移動して、さらに鉄筋結束作業を行いながら手前側から奥側に移動するので、移載ロボット(A)110は、第2鉄筋の間隔と同一の距離を横方向にトラバース移動することにより、奥向きに自走して規定時間が経過した後に停止している自走ロボットRの正面に位置することとなる。
【0047】
そこで、オペレーション制御部112gは、駆動モータ112daの駆動を開始する(SA02)。その後、自走ロボットセンサ112ccが正面の自走ロボットRを検知しており、かつ、第2鉄筋検知センサ112cbが第2鉄筋を検知したら駆動モータ112daを停止させる制御を行う(SA03)。なお、この間に第2鉄筋検知センサ112cbからの信号は1回入力されることとなる。
【0048】
移載ロボット(A)110が所定位置に停止したら、図3に示すように乗降補助フレーム111dが乗降位置にあることを乗降補助フレーム検知センサ112caが検知するまで乗降補助フレーム駆動部112eを駆動させて乗降補助フレーム111dを傾斜状態にした後に、オペレーション通信部112fが自走ロボットRに向けて発信許可信号を送信する(SA04)。
【0049】
自走ロボットRが傾斜している一対の乗降補助レール部111ddを上り、自走ロボットRの重心が揺動ベース部材111daを越えると、図4に示すように、自走ロボットRの重量により自動的に乗降補助フレーム111d全体が一対の揺動軸部を中心に揺動して、第2鉄筋LRと離間して水平状態の搭載位置で安定する。この時、逆U字状の断面を有している一対の乗降補助レール部111ddの下端部位が跳ね上がり、第2鉄筋LRと係合している状態(図3)から、第2鉄筋LRとの係合から離脱した状態(図4)になる。
【0050】
自走ロボットRが乗降補助フレーム111dの最奥部まで上り切って完全に移載して停止し、乗降補助フレーム111dが第2鉄筋LRと離間して水平状態の搭載位置で安定的に自走ロボットRを搭載保持する状態になった後に、乗降補助フレーム111eが水平状態になったことを乗降補助フレーム検知センサ112caが検知すると、乗降補助フレーム検知センサ112caから搭載信号がオペレーション制御部112gに入力される。
【0051】
乗降補助フレーム検知センサ112caから搭載信号が入力されたら、オペレーション制御部112gのトラバース制御部112gbがトラバース駆動部112dを構成する駆動モータ112daを駆動させて、図5の矢印に示すように、移載ロボット(A)110をトラバースレース(A)120に沿って横方向にトラバース移動させる(SA05)。
【0052】
この段階で、自走ロボットRは、相互に隣接した4本の第2鉄筋に対して結束作業が終了している。したがって、移載ロボット(A)110が台車ユニット111上に自走ロボットRを搭載した状態で、次に鉄筋結束作業を行うべき第2鉄筋LRまで移動させるためには、第2鉄筋の間隔の3倍の距離をトラバース移動する必要がある。
【0053】
このため、移載ロボット(A)110のオペレーション制御部112gは、駆動モータ112daの駆動を開始し(SA05)、その後に、自走ロボットセンサ112ccが正面の自走ロボットRを検知し、かつ、第2鉄筋検知センサ112cbが第2鉄筋LRを検知したら駆動モータ112daを停止させる制御を行う(SA06)。なお、この間に第2鉄筋検知センサ112cbからの検知信号は3回入力されることとなる。
【0054】
自走ロボットRが走行を開始し、自走ロボットRの重心が揺動ベース部材111daを越えると、自走ロボットRの重量により自動的に乗降補助フレーム111d全体が一対の揺動軸部を中心に揺動し、第2鉄筋LRに接続して傾斜するロボット乗降位置で安定する。この時、逆U字状の断面を有している一対の乗降補助レール部111ddの下端部位が下がって、再度、第2鉄筋LRと係合する状態になる。
【0055】
移載ロボット(A)110が第2鉄筋LRの間隔の3倍の距離をトラバースレール120に沿ってトラバース移動したことにより、自走ロボットRが台車ユニット111に移載する前に走行していたn番目とn+2番目の第2鉄筋LRからそれぞれ3本目となる、n+3番目とn+5番目の第2鉄筋LRに、一対の乗降補助レール部111ddの下端部位が係合することになる。
【0056】
移載ロボット(A)110が所定位置に停止したら、オペレーション通信部112fが自走ロボットRに向けて発信許可信号を送信する(SA07)。
【0057】
自走ロボットRが乗降補助フレーム111eを降りて移動すると、自走ロボットRから送信される信号の強度が低下したことがオペレーション通信部112fからオペレーション制御部112gに入力されて、自走ロボットRが移動したことを確認する(SA08)。
【0058】
以後、乗降補助フレーム111dが搭載位置にあることを乗降補助フレーム検知センサ112caが検知するまで乗降補助フレーム駆動部112eを駆動させて乗降補助フレーム111dを水平状態にした後に、新規呼出待ち状態となり(SA09)、図10Aの繰り返し開始点に戻るループとなる。
【0059】
以上説明した、移載ロボット(A)110のトラバース移動の距離と自走ロボットRの搭載/非搭載との関係を簡潔にまとめると、(1)自走ロボットRの搭載状態で第2鉄筋LRの間隔の3倍の距離を右にトラバース移動する動作と、(2)自走ロボットRの非搭載状態で第2鉄筋LRの間隔と同一の距離を右にトラバース移動する動作とを繰り返すこととなる。
【0060】
次に、手前側に配置する移載ロボット(B)100の制御の流れを説明する。
移載ロボット(B)110は、初期状態においては、トラバースレース(B)120上で、任意の位置に配置されている。自走ロボット用移載システム100のオペレータは、移載ロボット(B)110が手前側に配置されていることをオペレーション入力部112gaから入力する。
【0061】
移載ロボット(B)110の制御の流れのSB01乃至SB09は、それぞれ、移載ロボット(A)110の制御の流れのSA01乃至SA09と以下の点を除いて同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0062】
移載ロボット(A)110の制御の流れとの違いの一つは、移載ロボット(B)110が任意の初期位置からトラバース移動を開始するため、SB03における一巡目のトラバース移動の距離は、初期位置に依存する点にある。
【0063】
また、二巡目以降は、移載ロボット(A)110が、自走ロボットRを第2鉄筋の間隔の3倍の距離を横方向にトラバース移動させている。このため、SB03における二巡目以降のトラバース移動の距離は、第2鉄筋LRの間隔の3倍の距離となるため、第2鉄筋検知センサ112cbからの信号が3回入力されて停止することとなる。
【0064】
一方、第2鉄筋LRに沿って手前方向に走行する自走ロボットRは、配設されている第2鉄筋LRに対し、一本置きの2本の第2鉄筋LRに対して結束作業を行って来ている。したがって、移載ロボット(B)110が台車ユニット111上に自走ロボットRを搭載した状態で、次に鉄筋結束作業を行うべき第2鉄筋LRまでトラバース移動する距離は、第2鉄筋の間隔と同一の距離となる。
【0065】
このため、SB06において、自走ロボットセンサ112ccが正面の自走ロボットRを検知し、かつ、第2鉄筋検知センサ112cbが第2鉄筋LRを検知して駆動モータ112daを停止させる制御を行うまでに、第2鉄筋検知センサ112cbからの検知信号の入力は1回のみとなる。
【0066】
以上説明した、移載ロボット(B)110のトラバース移動の距離と自走ロボットRの搭載/非搭載との関係を簡潔にまとめると、(1)自走ロボットRの搭載状態で第2鉄筋LRの間隔と同一の距離を右にトラバース移動する動作と、(2)自走ロボットRの非搭載状態で第2鉄筋LRの間隔の3倍の距離を右にトラバース移動する動作とを繰り返すこととなる。
【0067】
最後に、本実施例の自走ロボット用移載システム100において、オペレーションの対象となる自走ロボットRの構成、制御の流れ及び動作を説明する。
【0068】
自走ロボットRは鉄筋結束自走ロボットであって、図2乃至図5図7に示すように自走側第1鉄筋検知センサR11及び自走側第2鉄筋検知センサR12を含む各種センサからなる自走側センサ部R10と、自走側車輪R20の転動により移動する自走側フレーム部R30と、自走側入力部R41、自走側走行制御部R42及び結束機制御部R43を備えて各種の制御を行う自走側制御部R40と、自走側車輪R20の駆動を行う自走側走行駆動部R51と鉄筋結束機BDを駆動する結束機駆動部R52とを備えた自走側駆動部R50と、移載ロボット110との通信を行う自走側通信部R60と、鉄筋結束機BDを保持する結束機保持部R70とから構成されている。
【0069】
この自走ロボットRは、図2乃至図5に示すように、自走側車輪R20によって左からn番目の第2鉄筋LRとn+2番目の第2鉄筋LRとを軌道として走行し、自走側第2鉄筋検知センサR12をn+1番目の第2鉄筋LRに当接させることにより第2鉄筋LRの存在を検知して、前進、後退又は停止を自動制御している。また、自走ロボットRの本体に対して上下移動可能な自走側第1鉄筋検知センサR11により、走行中に第1鉄筋TRが直下かつ所定距離以内に存在すことを磁気的に検知して、第1鉄筋TRと第2鉄筋LRとの交差部を結束する動作を自動的に行うものである。
【0070】
まず、自走ロボット用移載システム100のオペレータは、鉄筋施工面の第2鉄筋LRの長さに応じた規定時間を、自走側入力部R41から入力する(SR01)。
【0071】
自走ロボットRは、第2鉄筋LRに沿って手前向きに移動しながら(SR02)、鉄筋に対する結束動作を繰り返し(SR03)、規定時間が経過したら移動と結束動作を停止する(SR04)。その後、進行方向移載ロボット呼び出し信号を移載ロボットBに向けて送信し(SR05)、発信許可信号を受信したら、移動を再開して(SR06)、結束動作を行い(SR07)、乗降補助レール部111ddを上って、移載ロボットBに完全に搭乗したら停止する(SR08)。
【0072】
なお、自走ロボットRが傾斜している一対の乗降補助レール部111ddを上る際には、図7Aに示すように、自走ロボットRの自走側第1鉄筋検知センサR11が、乗降補助フレーム111dの鉄筋検知阻害部111deに当接して押し上げられるので、第1鉄筋TRの検知が妨げられて鉄筋の結束動作は起きない。
【0073】
また、自走ロボットRは、傾斜している一対の乗降補助レール部111ddを上る際には、図4に示すように、前進方向の自走側第2鉄筋検知センサR72が、第2鉄筋LRの代わりに中央レール部111dbを検知しているため、自動的に前進を続ける。
【0074】
乗降補助フレーム111dが水平状態の搭載位置で安定している時には、自走ロボットRの自走側第1鉄筋検知センサR11から第1鉄筋TRまでの距離が十分に大きいため第1鉄筋TRを検知せず、自走ロボットRが結束動作を起こさない。
【0075】
乗降補助フレーム111dが水平状態の搭載位置まで揺動し、自走ロボットRが乗降補助フレーム111dの最奥部まで進んだ際には、図4に示すように、自走ロボットRの前進方向の自走側第2鉄筋検知センサR12が検知する対象物がなくなるため、自走ロボットRは前進走行を終了させて自動的に停止する。
【0076】
その後、移載ロボットBから送信される発信許可信号を受信したら進行方向を切換え(SR09)、予め入力され記録されている規定時間を読み出して設定し(SR10)、乗降補助レール部111ddを下って、奥向きに移動する(SR11)。
【0077】
なお、自走ロボットRが傾斜している一対の乗降補助レール部111ddを下る際には、自走ロボットRの進行方向の自走側第2鉄筋検知センサR12が、第2鉄筋LRの代わりに中央レール部111dbを検知しているため、自動的に走行を続ける。
【0078】
自走ロボットRが傾斜している一対の乗降補助レール部111ddを下る際には、自走ロボットRの自走側第1鉄筋検知センサR11が、乗降補助フレーム111dの鉄筋検知阻害部111deに当接して押し上げられるので、第1鉄筋TRの検知が妨げられて結束動作は起きない。
【0079】
自走ロボットRがさらに走行して、自走側第1鉄筋検知センサR11が乗降補助フレーム111dの鉄筋検知阻害部111deと当接しなくなる位置に至ると、自走側第1鉄筋検知センサR11が本来の位置まで下がるため、自走ロボットRが第1鉄筋TRを検知することができるようになり、鉄筋の結束動作を再開する(SR12)。
【0080】
その後、規定時間が経過したら移動と結束動作を停止する(SR13)。その後、進行方向移載ロボット呼び出し信号を移載ロボットBに向けて送信し(SR14)、発信許可信号を受信したら、移動を再開して(SR15)、結束動作を行い(SR16)、移載ロボットAに搭乗したら停止する(SR17)。
【0081】
その後、移載ロボットAから送信される発信許可信号を受信したら進行方向を切換え(SR18)、予め入力され記録されている規定時間を読み出して設定し(SR19)、手前向きに移動するよう走行を開始して(SR20)、鉄筋の結束動作を繰り返す(SR21)。規定時間が経過したら移動と結束動作を停止する(SR22)。以後、図10Aの繰り返し開始点に戻るループとなる。
【実施例2】
【0082】
以下に、本発明の第2の実施例である自走ロボット用移載システム及び移載ロボットについて、図1乃至図7図9及び図11A乃至図11Eに基づいて説明する。
ここで、図9は、本発明の第2実施例における自走ロボット用移載システムの構成を示す模式図であり、図11A乃至図11Eは、本発明の第2実施例における制御の流れを示すフロー図である。
【0083】
本実施例の自走ロボット用移載システム100の制御の流れを説明する。
【0084】
本実施例に係る自走ロボット用移載システム100は、第2鉄筋LRを走行軌道として走行する自走ロボットRとしての2台の鉄筋結束自走ロボットを第2鉄筋の相互間で移載させるオペレーションを行うため、図9に示すように、移載ロボット110とトラバースレール120とのセットを2組備えているため、便宜的に自走ロボットRに(1)(2)の記号を付して区別し、移載ロボット及びトラバースレールに(A)、(B)の記号を付して区別する。
【0085】
以下、図11A乃至図11Eを参照して、自走ロボット用移載システム100により自走ロボットR(1)及び(2)をオペレーションする場合の制御の流れと移載ロボット(A)の動作を説明する。
【0086】
図中のSA01乃至SA7、SB01乃至SB17、及びSI01乃至SI21及びSII0乃至SII17は、それぞれ制御のステップを示している。
【0087】
まず、奥側に配置する移載ロボット110(A)の制御の流れと動作を説明する。
【0088】
移載ロボット110(A)は、初期状態においては、トラバースレール120(A)上で、自走ロボットRが走行軌道としている第2鉄筋LRに対応する左奥側の位置に配置されている。自走ロボット用移載システム100のオペレータは、移載ロボット(A)110が奥側に配置されていることをオペレーション入力部112gaから入力する。
【0089】
移載ロボット110(A)は、自走ロボットRが手前向きに自走している間は、乗降補助フレーム制御部112gcが乗降補助フレーム駆動部112eを駆動させて乗降補助フレーム111eを水平状態にして、新規呼び出し待ちの状態である(SA01)。
【0090】
図11A乃至図11Cに示した移載ロボット110(A)の制御の流れであるSA02乃至SA09は、実施例1における移載ロボット110(A)の制御の流れを示す図10A乃至図10CのSA02乃至SA09と以下の点を除いて同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0091】
実施例1における移載ロボット110(A)の制御の流れとの違いの一つは、オペレーションの対象とする自走ロボットRが2台であるため、SA02及びSA03において、自走ロボットR(2)が送信した進行方向移載ロボット呼出信号を受信して、自走ロボットR(2)の正面までトラバース移動する点である。
【0092】
また、図11D及び図11Eに示すように、SA10乃至SA17は、実施例1における移載ロボット110(A)の制御の流れを示す図10A乃至図10CのAS02乃至SA09に対応しているが、SA10及びSA11において、自走ロボットR(1)が送信した進行方向移載ロボット呼出信号を受信して、自走ロボットR(1)の正面までトラバース移動することとなる。
【0093】
以上の点で実施例1の制御の流れとは異なることにより、移載ロボット(A)110のトラバース移動の距離が実施例1の場合と異なるものとなる。
【0094】
移載ロボット110(A)の制御の流れは、図11EのSA17から図11Aの繰り返し開始点に戻るループとなる。
【0095】
次に、移載ロボット(B)110の制御の流れを説明する。図11A乃至図11Eに示す移載ロボット(B)110の制御の流れであるSB01乃至SB17は、移載ロボット110(A)の制御の流れであるSA01乃至SA17と以下の点を除いて同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0096】
移載ロボット110(A)の制御の流れとの違いは、オペレーションの対象とする自走ロボットRが2台であるため、SB02及びSB03において、自走ロボットR(1)が送信した進行方向移載ロボット呼出信号を受信して、自走ロボットR(1)の正面までトラバース移動する点と、SB10及びSB11において、自走ロボットR(2)が送信した進行方向移載ロボット呼出信号を受信して、自走ロボットR(2)の正面までトラバース移動する点である。
【0097】
なお、自走ロボットR(1)及び自走ロボットR(2)の構成、制御の流れ及び動作は、自走ロボットRの構成、制御の流れ及び動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0098】
100 自走ロボット用移載システム
110 移載ロボット
111 台車ユニット
111a 台車車輪
111aa 台車駆動輪
111ab 台車従動輪
111b 伝達ロッド
111c 台車フレーム
111d 乗降補助フレーム
111da 揺動ベース部材
111db 中央レール部
111dc 補助レール間隔調整部材
111dd 乗降補助レール部
111de 鉄筋検知阻害部
112 本体ユニット
112a 本体駆動輪
112b 本体フレーム
112c センサ部
112ca 乗降補助フレーム検知センサ
112cb 第2鉄筋検知センサ
112cc 自走ロボットセンサ
112cd レール終端検知センサ
112d トラバース駆動部
112da 駆動モータ
112db 伝達ベルト
112e 乗降補助フレーム駆動部
112g オペレーション制御部
112ga オペレーション入力部
112gb トラバース制御部
112gc 乗降補助フレーム制御部
112f オペレーション通信部
120 トラバースレール
121 第1トラバースレール
122 第2トラバースレール
TR 第1鉄筋
LR 第2鉄筋
R 自走ロボット(鉄筋結束自走ロボット)
R10 自走側センサ部
R11 自走側第1鉄筋検知センサ
R12 自走側第2鉄筋検知センサ
R20 自走側車輪
R30 自走側フレーム部
R40 自走側制御部
R41 自走側入力部
R42 自走側走行制御部
R43 結束機制御部
R50 自走側駆動部
R51 自走側走行駆動部
R52 結束機駆動部
R60 自走側通信部
R70 結束機保持部
BD 鉄筋結束機
【要約】      (修正有)
【課題】鉄筋結束自走ロボットが鉄筋を走行軌道として自走しながら鉄筋の端部付近まで到達した際に、作業者が自走ロボットを自力で持ち上げることなく他の鉄筋を新たな走行軌道として逆向きに自走させ、自走ロボットの折り返し作業を簡便に達成する自走ロボット用移載システムおよびこれに用いる移載ロボットを提供する。
【解決手段】鉄筋を走行する自走ロボットを乗降自在に搭載する移載ロボット110と一対のトラバースレール120とを備え、移載ロボット110がトラバースレール120上を転動する本体駆動輪112aと、本体フレーム112bと、本体駆動輪112aを駆動するトラバース駆動部112dとを備える本体ユニット112と、トラバースレール120上を転動する台車車輪111a、台車フレーム111c、自走ロボットを乗降自在に移載する乗降補助フレーム111dとからなる台車ユニット111とで一体に構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E