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特許7182318身体部位における体液貯留を識別するためのシステムおよび方法
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  • 特許-身体部位における体液貯留を識別するためのシステムおよび方法 図1
  • 特許-身体部位における体液貯留を識別するためのシステムおよび方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】身体部位における体液貯留を識別するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
A61B5/107 100
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021511617
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 IB2019057279
(87)【国際公開番号】W WO2020044277
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】1814230.7
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521080037
【氏名又は名称】ハートフェルト テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HEARTFELT TECHNOLOGIES LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ハシアー,シェイマス ルイス ゴドフリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,ガレス ポール
(72)【発明者】
【氏名】カシオ,オリアン エリザベート
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0240238(US,A1)
【文献】特開2011-150595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/103 - 5/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体部位における体液貯留を識別するシステムの作動方法であって、前記システムが、
患者の身体部位のサイズに関連する第1のパラメータを測定して、前記身体部位の実際の測定値を取得するステップであって、前記測定は、第1のパラメータの測定値をもたらすための前記身体部位の三次元イメージングを含むステップ
前記患者の身体部位の少なくとも1つの所定の代替パラメータを測定することにより、前記患者の身体部位のサイズに関連する前記第1のパラメータの推定測定値を取得するステップであって、前記推定測定値は、前記少なくとも1つの所定の代替パラメータに対して、少なくとも1つの母集団から導出された値に基づく前記代替パラメータと前記第1のパラメータとの間の関係に基づき得られる、ステップ、および
前記身体部位における体液貯留を評価するために前記患者の身体部位の実際の測定値と前記推定測定値とを比較するステップ
を行うことを含み、
前記第1のパラメータのための三次元イメージングは、実際の身体部位に基づく複数のモーフパラメータを有する第1の可変形状モデルを提供する、方法。
【請求項2】
前記システムが、前記患者の身体部位の少なくとも1つの所定の代替パラメータと、体液貯留のないまたは既知の体液貯留量を有する母集団から導出された値を表す所定のモーフパラメータとに基づく第2のモデルを提供することをさらに含み、前記推定測定値が該第2のモデルに基づき得られる、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記第2のモデルが、体液貯留のない母集団から導出された値を表す所定のモーフパラメータに基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のモデルが複数のモーフパラメータを有する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記システムが、患者の身長、体重、および/または生体インピーダンスに従って前記推定測定値を調整することをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記システムが、患者における体液貯留の変化を追跡するために、時間をおいて繰り返し測定値を取得および処理することをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のパラメータが、身体部位の容積、身体部位の厚さ、または身体部位の周囲長であり、前記所定の代替パラメータが、身体部位の長さ、身体部位の幅、身体部位の重量、身体部位の高さ、身体部位の密度、および身体部位の周囲長のうちの1つまたは複数である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法
【請求項8】
前記身体部位が足である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のパラメータが足の所定領域の容積であり、前記代替パラメータが足の長さである、請求項8に記載の方法
【請求項10】
該方法がコンピュータに実装され、前記コンピュータが、身体部位の実際の測定値と推定測定値との間の特定された差に基づいて患者の健康状態および健康リスクを評価および/または伝達することをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
患者の身体部位における体液貯留を識別するためのシステムであって、該システムは、
身体部位の三次元イメージングを提供するための深度感知カメラ装置を含み、実際の身体部位に基づく第1のパラメータの測定値をもたらす測定機器であって、前記第1のパラメータのための三次元イメージングから実際の身体部位に基づく複数のモーフパラメータを有する第1の可変形状モデルを提供するように構成された測定機器と、
前記身体部位の第1のパラメータの測定値を前記身体部位の第1のパラメータの推定測定値と比較するように構成された測定データ比較ユニットであって、前記推定測定値は、前記患者の身体部位の少なくとも1つの所定の代替パラメータを測定することにより得られ、前記推定測定値は、前記少なくとも1つの所定の代替パラメータに対して、少なくとも1つの母集団から導出された値に基づく前記代替パラメータと前記第1のパラメータとの間の関係に基づき得られる、比較ユニットと、
前記比較ユニットにより実際の測定値と推定測定値を比較した結果に基づいて患者の身体部位の体液貯留を決定するように構成された診断ユニットと
を含む、システム。
【請求項12】
前記深度感知カメラ装置が、少なくとも1つのエミッタおよび1つの検出器アレイ、または少なくとも2つの検出器アレイを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記測定データ比較ユニットが、前記患者の身体部位の少なくとも1つの所定の代替パラメータと、体液貯留のないまたは既知の体液貯留量を有する母集団から導出された値を表す所定のモーフパラメータとに基づく第2のモデル提供するように構成され、該第2のモデルに基づき前記推定測定値が得られる、請求項11または12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足などの身体部位における体液貯留を識別するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
浮腫は、体の一部が過剰な水分を保持する、多くの病気で重要な症状である。これは、心不全(入院の半分以上で末梢性浮腫または足の腫れ(むくみ)が観察される)やがん(リンパ浮腫ががん治療の合併症となることが多い)などの多くの疾患で重要である。
【0003】
浮腫を測定するための最も一般的な方法は、親指を患部に数秒間押し付けてからはずし「圧痕(pitting)」を観察することであり、内部組織液がゆっくりと「圧痕」を埋めるため、浮腫が存在すれば結果として生じるくぼみまたは「圧痕」がゆっくりと充満される。この方法の難しさは、試験の局所的な性質と、圧痕の深さおよび再充満(refilling)の速度の等級付けの困難性により、定量的な測定が不可能なことである。
【0004】
他の一般的に使用される方法は、患部の周囲長または容積を測定し、これを経時的に追跡することである。これらのアプローチは定量的尺度を提供するが、この特定患者のベースラインが分からなければ、特に肥満患者の場合、単一の測定に対する浮腫の影響を定量化することは困難である。リンパ浮腫によく見られる片側性浮腫の場合、患肢の測定値を反対側の肢と比較(例えば、左足と右足を比較)することができ、その場合、容積(または周囲長)の違いは定量的であり、かつ浮腫自体に特異的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、多様な疾患に関連する浮腫の徴候であり得る足などの身体部位における体液貯留を識別するための改善されたシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明の第1の態様は、患者の身体部位における体液貯留を識別する方法を提供し、この方法は、
患者の身体部位のサイズに関連する第1のパラメータを直接的または間接的に測定して、身体部位の実際の測定値(actual measurement)を取得すること、
患者の事前定義された代替パラメータを測定することによって、患者の身体部位のサイズに関連する前記第1のパラメータの推定測定値であって前記代替パラメータと身体部位のサイズとの間の数学的関係に基づいて計算される推定測定値(estimated measurement)を取得すること、および
患者の身体部位の実際の測定値と推定測定値を相関させて、身体部位における体液貯留を評価すること
を含む。
【0007】
好ましくは、第1のパラメータを測定するステップは、身体部位の容積、厚さ、または周囲長を直接的または間接的に測定することを含み、より好ましくは、身体部位の容積、厚さ、または周囲長を得るための身体部位のイメージング(画像化)を含む。
【0008】
本発明の好ましい実施形態では、前記身体部位のイメージングは、第1のパラメータの測定値をもたらすための身体部位の3次元イメージングを含み、好ましくは3次元データを身体部位の3次元モデルと関連付けることを含む。
【0009】
この方法は、数学的モデリングシステムを使用して両方の測定値のセットを実質的に同時に抽出して、実際のモデルと母集団から導出されたモデルパラメータに基づく推定モデルを提供すること、およびそれらモデルを比較して、実際のモデルが身体部位における体液貯留を識別するか否かを決定することをさらに含み得る。第1の容積は、実際の身体部位に基づく複数のモーフパラメータ(morph parameter)を有する第1の可変形状モデル(deformable model)を提供することによって得ることができ、これを、複数のモーフパラメータを有する第2のモデルなど、事前定義されたパラメータと体液貯留とに基づく第2のモデルであって体液貯留のないまたは既知の体液貯留量を有する集団から導出された値(population-derived values)を表す事前定義されたパラメータに基づく第2のモデルと比較し、これにより、体液貯留のない身体部位の形状を推定しながら、その患者の全体的構造(general structure)を適切にモデル化することを可能にし、さらに任意選択で、第1の容積と推定容積との差を計算して患者の身体部位における体液貯留を評価する。
【0010】
本発明によれば、第1のパラメータを測定するステップは、身体部位の容積を直接的または間接的に測定することを含み得る。
【0011】
第1のパラメータを推定するステップは、身体部位の他の複数のパラメータを測定して、これらの測定値に基づいて身体部位の容積を計算することにより、身体部位の容積を直接的または間接的に測定することを含み得る。好ましくは、推定測定値は、身体部位の容積に相関する事前定義された代替パラメータの測定に基づく身体部位の推定容積を含み、前記推定容積は、前記代替パラメータと身体部位との間の数学的関係に基づいて計算される。推定容積は、好ましくは、身体部位の長さ、身体部位の幅、身体部位の重量、身体部位の高さ、身体部位の密度、および身体部位の周囲長のうちの1つまたは複数から選択される測定値に基づいて計算される。前記推定容積は、全体的な患者の身長、体重、および/または生体インピーダンスに従って調整され得る。
【0012】
本発明による方法は、患者における体液貯留の変化を追跡するために、時間をおいて繰り返し(経時的に)測定値を取得および処理することを含み得る。この方法は、コンピュータに実装され、身体部位の実際の測定値と推定測定値との間の特定された差に基づいて患者の健康状態およびリスクを評価および/または伝達(communicate)することをさらに含んでいてよい。
【0013】
好ましくは、身体部位は足である。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、患者の身体部位における体液貯留を識別するためのシステムが提供され、このシステムは、
患者の身体部位のサイズに関連する第1のパラメータを直接的または間接的に測定するための測定機器であって、身体部位の実際の測定値を提供する測定機器と、
身体部位の実際の測定値を身体部位の前記パラメータの推定測定値と比較するように構成された測定データ比較ユニットであって、推定測定値は、患者の代替パラメータの測定に基づき、かつ前記代替パラメータ間の数学的関係に基づいて計算される、測定データ比較ユニットと、
比較ユニットによる比較の結果に基づいて患者の身体部位における体液貯留を決定するように構成された診断ユニットと
を含む。
【0015】
測定機器は、好ましくは、深度感知カメラ装置を含む。深度感知カメラ装置は、少なくとも1つのエミッタおよび1つの検出器アレイ、または少なくとも2つの検出器アレイを備えていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】浮腫のある患者および浮腫のない患者の足長に対する足容積を示すグラフである。
図2】患者の浮腫特有のモーフがない足(図の左側に表示)および浮腫特有のモーフがある足(図の右側に表示)の3Dイメージングによって作成された足モデルである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者の同時係属中の出願(GB2542114B)に記載されている当社の3D四肢容積測定システムの臨床的有効性を評価する過程で、本発明者は驚くべきことに、2つの容積の違いにより、手足における浮腫の徴候である体液貯留の著しく定量的な単一測定値(寸法)を得ることが可能であることを見出した。
【0018】
第1の容積は、患者の対象身体部位から最も直接的に観察されるものである(たとえば、3Dイメージング、または水置換法、または複数の周囲長測定からの円柱セグメント容積の推定、または当技術分野で知られている任意の他の方法による)。第2の容積は、患者の特定の測定されたパラメータ(例えば、患者の身長、体重、および骨の長さ)の間の数学的関係に基づいて計算され、対象身体部位の容積の推定値をもたらすものであり、その数学的関係は、理想的には、浮腫はないが体脂肪の変動などの交絡因子に十分な変動がある、より一般的な患者集団に関連する推定値を提供する。
【0019】
第1の容積測定の簡単な例は、満たされたバケツの水の中に患者が立ったときの水の変位によって、地面から20cmの高さまでの患者の足容積をミリリットル(mL)単位で測定することである。これにより、足の総容積の正確な(行うのは簡単ではないが)測定値が提供される。
【0020】
第2の容積測定の簡単な例は、高さ20cmまでの足容積を、足の親指の先から踵の後ろまで測定した足長に関連付けることであり、容積推定値(mL)は、足長(cm)の60倍である。
【0021】
これらの2つの測定値の差、容積1から容積2を引いたものは、心不全集団の患者を、外来予約時に臨床医によって圧痕性浮腫が存在すると判断された患者と存在しないと判断された患者に分類するのに驚くほど有効な数値を与える。圧痕性浮腫があると臨床的に評価された患者の80%以上が、この尺度によって正(プラス)の容積差を有していたが、一方、圧痕性浮腫がないと臨床的に評価されたまたは健康なボランティアとして参加した患者の80%以上は、この尺度によって負(マイナス)の容積差を有していた。さらに、この差の大きさは、患者における浮腫の程度の主観的な臨床的等級付けとよく相関した。
【0022】
図1は、臨床医による浮腫状態の評価によって分けた、足長と足容積のチャートを示す。
【0023】
当然、足長のみに基づく関係は、体脂肪率に起因する誤差が生じやすい。たとえば患者の身長および体重または生体インピーダンスを含むより複雑なモデルは、例えば交絡因子としての体脂肪の存在下で、浮腫とのより良い相関関係を当然に提供する。
【0024】
代替の好ましいアプローチは、単一の数学的モデリングシステムを使用して、両方の容積セットを一度に抽出することである。たとえば、3Dカメラシステムを使用する場合、一般に、カメラから収集された観測された3D点に可変形状モデルを適合させることが可能である。目的は一般に、仮想モデル表面上の点と観測された3D点との差を最小にするために、例えば骨の関節の角度や長さなどの特定のモデルパラメータの調整を可能にすることである。このようなモデルは、典型的には、モデルの形状を調整するパラメータも含み、これは3Dレンダリングコミュニティでは「モーフ」と呼ばれることが多く、それは、たとえば、仮想の骨の周りの肉のボリュームを変更し、肉のボリュームをある数値範囲にわたりスケーリングすることを可能にする。
【0025】
同じ心不全患者集団でこのようなモデルを構築およびテストしたところ、これらの「モーフ」の一部は、他の「モーフ」よりも浮腫の主観的な臨床的等級付けと非常に強く相関することが分かった。たとえば、足のくるぶしを本質的に平らにする足首の周りのボリューム変化は、患者のBMIとよりも浮腫の臨床的等級付けとより強く相関することが見出された。
【0026】
図2は、特定の患者について、浮腫特有の「モーフ」を適用していない左側と、これらのモーフを適用した右側の、このような3次元足モデルを示す。くるぶしの骨の周りの追加の質量が右のモデルで特に明白である。
【0027】
さらに、体液貯留、ひいては浮腫を減らすことを目的として利尿薬治療のコースを受けている間に、心不全試験中の多くの患者をモニタリングした。したがって、どの「モーフ」が特定患者の経時的な足容積の変化(浮腫の徴候である体液貯留との直接的な相関性を示す)と相関するかを観察することができた。
【0028】
したがって、浮腫推定へのアプローチが可能とされ、第1の容積を提供するために、観察された3D足データは、すべてのモーフパラメータを自由に変更できる可変形状モデルを使用してモデル化された。次に、浮腫と相関することがわかったそれらモーフの値を母集団の平均値にリセットすることにより、第2の容積を計算した。これにより、浮腫のない足の形状を推定しながら、この特定患者の足の全体的構造を適切にモデル化することが可能となる。この手法で計算された2つの容積の差は、利尿薬治療を受けている患者における浮腫の経時変化に特に敏感であり、浮腫の主観的な臨床評価ともよく相関していることが分かった。
【0029】
2つの容積の差は明らかに、さらに処理されてさまざまな有用な指標を提供できる。たとえば、さまざまな閾値容積差よりも大きいまたは小さい差を示す、臨床医が決定した浮腫を有する患者および浮腫を有さない患者の割合を表すことにより、特定の容積差を示す患者が臨床医によって浮腫を有すると評価される確率を推定することができる。これは、特に、本質的に確率論的である他の臨床指標と組み合わせた場合に、患者のリスクスコアリングおよびリスク層別化に役立つ。
【0030】
本発明は、浮腫の徴候である体液貯留の数値尺度(numerical measure)を提供するのに診療所で有用であるだけでなく、適切な方法(3Dカメラなど)を使用して実施される場合、患者の自宅から体液貯留の変化の尺度を提供することができる。これは、患者の病院予約へのまたは臨床チームによる患者への移動を節約できるだけでなく、遠隔医療システムの一部として実装された場合、患者の健康状態の悪化を警告することができる。このようなシステムは、心不全などの慢性疾患に対する現在の非常に高い再入院率をおそらく低下させ、実質的な医療リソースを節約するだけでなく、患者の生活の質を向上させる可能性がある。
【0031】
容積間の「差」は、単純な減法の差である必要はなく、レシオメトリックであってよく、あるいは任意の数の統計的検定または他の数値比較の結果であってもよいことは明らかである。
【0032】
厳密に容積を使用するのとは対照的に、本発明の実施形態では、容積に関連する多数のモデル出力を使用できることも明らかであろう。たとえば、前述の仮想3Dモデルでは、さまざまな場所で厚さまたは周囲長を仮想的に測定し、これらの仮想周囲長測定値を比較することができ、あるいは3Dモデルの表面積を比較することもできる。本発明の目的のために、これらのタイプの比較のすべては、特許請求の範囲の意味の範囲内で可能なサイズ比較の非限定的なリストと見なされるべきである。
最後に、本発明の好ましい実施態様を項分け記載する。
[実施態様1]
患者の身体部位における体液貯留を識別する方法であって、
患者の身体部位のサイズに関連する第1のパラメータを測定して、前記身体部位の実際の測定値を取得すること、
前記患者の身体部位のサイズに関連する前記第1のパラメータの推定測定値を取得すること、および
前記身体部位における体液貯留を評価するために前記患者の身体部位の実際の測定値と推定測定値を相関させること
を含み、
前記測定は、第1のパラメータの測定値をもたらすための前記身体部位の三次元イメージングを含み、
前記第1のパラメータのための三次元イメージングは、実際の身体部位に基づく複数のモーフパラメータを有する第1の可変形状モデルを提供し、これを、事前定義されたパラメータおよび体液貯留に基づく第2のモデルを含む推定測定値と比較することを特徴とする、方法。
[実施態様2]
三次元データを前記身体部位の三次元モデルと関連付けることをさらに含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様3]
前記第2のモデルが、母集団から導出されたパラメータに基づく、実施態様1または2に記載の方法。
[実施態様4]
前記第2のモデルが体液貯留を含まない、実施態様1、2または3に記載の方法。
[実施態様5]
前記第2のモデルが複数のモーフパラメータを有する、実施態様1~4のいずれかに記載の方法。
[実施態様6]
前記推定測定値が、全体的な患者の身長、体重、および/または生体インピーダンスに従って調整される、実施態様1に記載の方法。
[実施態様7]
患者における体液貯留の変化を追跡するために、時間をおいて繰り返し測定値を取得および処理することをさらに含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様8]
前記身体部位が足である、実施態様1に記載の方法。
[実施態様9]
該方法がコンピュータに実装され、身体部位の実際の測定値と推定測定値との間の特定された差に基づいて患者の健康状態およびリスクを評価および/または伝達することをさらに含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様10]
患者の身体部位における体液貯留を識別するためのシステムであって、該システムは、
身体部位の三次元イメージングを提供するための深度感知カメラ装置を含み、三次元データを身体部位の三次元モデルと関連付けて実際の身体部位に基づく第1のパラメータの測定値をもたらす測定機器と、
身体部位の実際の測定値を身体部位の前記パラメータの推定測定値と比較するように構成された測定データ比較ユニットであって、前記推定測定値は第2のモデルを含み、該第2のモデルは事前定義されたパラメータおよび体液貯留に基づく、比較ユニットと、
前記比較ユニットにより実際の測定値と推定測定値を比較した結果に基づいて患者の身体部位の体液貯留を決定するように構成された診断ユニットと
を含む、システム。
[実施態様11]
前記深度感知カメラ装置が、少なくとも1つのエミッタおよび1つの検出器アレイ、または少なくとも2つの検出器アレイを含む、実施態様10に記載のシステム。
[実施態様12]
前記測定機器が、前記第1のパラメータのための三次元イメージングから実際の身体部位に基づく複数のモーフパラメータを有する第1の可変形状モデルを提供するように構成される、実施態様10または11に記載のシステム。
[実施態様13]
前記測定データ比較ユニットが、複数のモーフパラメータを有する前記第2のモデルを含む推定測定値を提供するように構成される、実施態様10~12のいずれかに記載のシステム。
図1
図2