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特許7182331コンクリート型枠装置の支持枠のための支持枠スタンド、コンクリート型枠装置の支持枠の積層方法及びコンクリート型枠装置の構築方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】コンクリート型枠装置の支持枠のための支持枠スタンド、コンクリート型枠装置の支持枠の積層方法及びコンクリート型枠装置の構築方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
E21D11/10 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022120766
(22)【出願日】2022-07-28
(65)【公開番号】P2022168318
(43)【公開日】2022-11-07
【審査請求日】2022-09-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】315014567
【氏名又は名称】有限会社 伊藤
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】土田 実
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-161962(JP,A)
【文献】特開2021-105267(JP,A)
【文献】中国実用新案第213419107(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107060802(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの覆工コンクリートの打設に用いられるコンクリート型枠装置において、コンクリート成形用の面板を支持するための支持枠の底面に対して着脱可能に固定される底辺部と、その底辺部の一端部から延長されて、先端部において前記支持枠の側面に着脱可能に固定される上辺部とを有するコンクリート型枠装置の支持枠のための支持枠スタンド。
【請求項2】
前記底辺部及び前記上辺部を、前記支持枠を傾斜状態に支持する位置関係にした請求項1に記載のコンクリート型枠装置の支持枠のための支持枠スタンド。
【請求項3】
前記底辺部及び前記上辺部を、前記支持枠を直立状態に支持する位置関係にした請求項1に記載のコンクリート型枠装置の支持枠のための支持枠スタンド。
【請求項4】
トンネルの覆工コンクリートの打設に用いられるコンクリート型枠装置において、コンクリート成形用の面板を支持するための支持枠を請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の支持枠スタンドによって起立状態に維持するとともに、複数の前記各支持枠を整列状態で積層し、さらに、前記支持枠間を連結して支持枠ユニットを構成するコンクリート型枠装置の支持枠の積層方法。
【請求項5】
前記支持枠を傾斜状態で起立させる請求項4に記載のコンクリート型枠装置の支持枠の積層方法。
【請求項6】
前記支持枠スタンドは、前記支持枠を傾斜方向の下側から支える請求項5に記載のコンクリート型枠装置の支持枠の積層方法。
【請求項7】
前記支持枠間には、隣接する前記支持枠との間の間隔を保持するスペーサを設ける請求項4に記載のコンクリート型枠装置の支持枠の積層方法。
【請求項8】
前記スペーサは、前記支持枠の傾斜方向に沿う面内において回動可能である請求項7に記載のコンクリート型枠装置の支持枠の積層方法。
【請求項9】
前記支持枠を直立状態で起立させる請求項4に記載のコンクリート型枠装置の支持枠の積層方法。
【請求項10】
トンネルの覆工コンクリートの打設に用いられるコンクリート型枠装置において、コンクリート成形用の面板を支持するための支持枠を請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の支持枠スタンドによって起立状態に維持するとともに、複数の前記各支持枠を整列状態で積層し、さらに、前記支持枠間を連結して支持枠ユニットを構成し、次いで、前記支持枠ユニットを前記トンネルの建設現場に仮置きし、その後、前記支持枠ユニットの前記支持枠を順次前記コンクリート型枠装置として構築するコンクリート型枠装置の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの覆工用コンクリートを成形するためのコンクリート型枠装置に関するものである。特に、本発明は、そのコンクリート型枠装置において、覆工コンクリート成形用の面板を支持する支持枠のための支持枠スタンド、コンクリート型枠装置の支持枠の積層方法及びコンクリート型枠装置の構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、この種のコンクリート型枠装置が開示されている。
このようなコンクリート型枠装置においては、分解された状態の多数の部品が工場等からトラックの荷台に積載されて、トンネル建設現場に搬送される。そして、それらの部品がトンネル内で組み立てられる。
【0003】
すなわち、図1及び図2は、コンクリート型枠装置11を示す。このコンクリート型枠装置11の支持枠15は、覆工コンクリートCを成形するための面板21を支持するものである。この支持枠15の工場からトンネルTN内への搬入に際して、支持枠15を倒伏状態でトラック搬送することは、支持枠15が大きすぎてトラックTRの荷台Lからはみ出すおそれがある。このため、従来、支持枠15の搬送に際して支持枠15は組み立てられることなく、支持枠15を構成する分解状態の多数の部品が結束された状態でトラックTRの荷台Lに載せられて搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-5719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
つまり、前記のように、従来は、トンネルTNの建設現場の地面S上において、支持枠15の部品を組み合わせて支持枠15を組み立てる必要がある。この場合、支持枠15は覆工コンクリートCの内周面全体を成形する面板21を支持するものであるため、前記のように大きいものであって、部品の点数も多い。しかも、この支持枠15は、1台のコンクリート型枠装置11には少なくとも5基程度が用いられる。従って、トンネルTN内の組み立てに際しては、地面上には、多くの部品を仮置きしたり、並べたりするエリアが必要なるとともに、組み立てにはクレーンも用いられる。これらのことから、トンネルTN内において組み立てのための広いスペースが占拠されることになる。一方、トンネルTN内には余分なスペースを確保することはないので、支持枠15の組み立て期間中は、前記のように、広いスペースが支持枠15の組み立てのために占拠されて、トラックの車両移動や、他の作業の遂行ができなくなる。従って、トンネル建設の工期が長くなる原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンクリート型枠装置の支持枠のための支持枠スタンドにおいては、トンネルの覆工コンクリートの打設に用いられるコンクリート型枠装置において、コンクリート成形用の面板を支持するための支持枠の底面に対して着脱可能に固定される底辺部と、その底辺部の一端部から延長されて、先端部において前記支持枠の側面に着脱可能に固定される上辺部とを有することを特徴とする。
【0007】
以上の構成においては、支持枠スタンドの底辺部を支持枠の底面に固定するとともに、上辺部を支持枠の側面に固定すれば、支持枠を起立状態で保持できる。従って、支持枠の倒伏状態と比較して支持枠の投影面積が小さくなる。このため、前記のように支持枠を分解状態にすることなく、トラックによって搬送できる。よって、トンネル建設現場においては、支持枠に脚部を組み立てたりするスペースがあればよい。従って、トンネル内において、トラックの移動や、他の作業の妨げになることほとんどなくなって、トンネル建設の工期を短くできる。
【0008】
本発明のコンクリート型枠装置の支持枠の積層方法においては、トンネルの覆工コンクリートの打設に用いられるコンクリート型枠装置において、コンクリート成形用の面板を支持するための支持枠を前記支持枠スタンドによって起立状態に維持するとともに、前記各支持枠を整列状態で積層し、さらに、支持枠間を連結して支持枠ユニットを構成することを特徴とする。
【0009】
以上の積層方法によれば、支持枠ユニットの支持枠を整列状態で積層して起立させることができるために、支持枠の倒伏状態と比較して支持枠ユニットの投影面積が小さくなってコンパクトな状態になる。従って、支持枠を分解状態にすることなく、トラックによって容易に搬送できる。そして、トンネル建設現場においては、小さな部品を仮置きしたり、組み立てたりする必要がなく、支持枠を立てたり、支持枠に脚部を組み立てたりするスペースがあればよい。従って、トンネル内において、狭いスペースを短時間専有すればよい。よって、トンネル内において、トラックの移動や、他の作業の妨げになることほとんどなくなって、トンネル建設の工期を短くできる。
【0010】
本発明のコンクリート型枠装置の構築方法においては、トンネルの覆工コンクリートの打設に用いられるコンクリート型枠装置において、コンクリート成形用の面板を支持するための支持枠を前記支持枠スタンドによって起立状態に維持するとともに、前記各支持枠を整列状態で積層し、さらに、支持枠間を連結して支持枠ユニットを構成し、その支持枠ユニットをトンネルの建設現場に仮置きし、その後、前記支持枠ユニットの支持枠を順次コンクリート型枠装置として構築することを特徴とする。
【0011】
以上の構築方法によれば、前記のように、トラックによる搬送が容易になるとともに、分解状態の支持枠の個々の構成部材をトンネルの建設現場に降ろして、並べた上で、その場で支持枠の煩雑な組付け作業を行う必要はない。このため、支持枠の組付けのために、トンネル内の地面を占拠する時間を大幅に短くすることができる。従って、トンネルの建設の工期を短縮できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、トンネル建設の工期を短縮できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】コンクリート型枠装置の使用状態を示す簡略断面図。
図2】コンクリート型枠装置の簡略側面図。
図3】支持枠及び頂部骨組み材を示す簡略側面図。
図4】増し材の移動前における支持枠及び頂部骨組み材を示す簡略側面図。
図5】支持架台の分解正面図。
図6】支持枠の斜視図。
図7】支持枠を積層した支持枠ユニットをトラックの荷台に積載した状態の斜視図。
図8】支持枠ユニットの斜視図。
図9】支持枠スタンドの斜視図。
図10】支持枠スタンド部分の支持枠ユニットの斜視図。
図11】支持枠スタンド部分の支持枠ユニットの側断面図。
図12】補助脚部分の支持枠ユニットの斜視図。
図13】補助脚部分の支持枠ユニットの側断面図。
図14】第2連結スペーサ部分の斜視図。
図15】(a)は、補助脚の斜視図、(b)は、第1連結スペーサの斜視図、(c)は、第2連結スペーサの斜視図、(d)は、第2連結スペーサを前記(c)とは異なる方向から見た斜視図。
図16】変更例を示す支持枠ユニットの断面図。
図17】同じく変更例を示す支持枠の下部の一部断面図。
図18】別の変更例を示す半部断面図。
図19】さらに別の変更例を示す半部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〈コンクリート型枠装置11〉
はじめに、図1図6を中心に、前記コンクリート型枠装置11及び支持枠15の構成を概略的に説明する。
【0015】
図1及び図2に示すように、トンネルTNの地面Sにおける一対の平行なレールR上には、覆工コンクリートCの打設に用いられるコンクリート型枠装置(以下、型枠装置という)11がトンネルTNの延長方向に沿って移動可能に支持される。
【0016】
図1図3及び図4に示すように、型枠装置11のベース基枠12上に複数の支持架台13がトンネルTNの延長方向に沿って相互間隔をおいて固定されている。
図1及び図5に示すように、支持架台13は、左右一対の脚部材14と、その脚部材14上に位置する支持枠15とを備える。図5及び図6に示すように、支持枠15は、脚部材14上の梁材16と、その梁材16上に同梁材16の延長方向に沿って立設固定された複数の支柱17と、支柱17の上端間に架設固定された円弧状の頂部骨組み材18とを備えている。
【0017】
図1に示すように、支持架台13の組付け状態において、頂部骨組み材18の両端には、下方に延びる側部骨組み材19が連結固定されるとともに、その側部骨組み材19の下端には下部骨組み材20が連結固定されている。これらの側部骨組み材19及び下部骨組み材20は、図示しない部材を介して支持架台13に支持される。図1及び図2に示すように、各骨組み材18,19,20の外周面間にコンクリート成形用の複数枚の面板21が張設固定される。
【0018】
そして、図1に示すように、トンネルTNの内壁と面板21との間に覆工コンクリートCが打設されるとともに、面板21によって覆工コンクリートCの内面が成形される。
図5及び図6に示すように、左右の前記脚部材14は支持枠15の梁材16の下面に固定される。梁材16の下面には脚部材14間に挟まれた補助材24が固定されている。
【0019】
〈支持枠15の積層方法及び支持枠スタンド41の構成〉
次に、本発明を具体化したコンクリート型枠装置11の支持枠15の積層方法及び支持枠スタンド41の実施形態について説明する。なお、図8図15等において、一点鎖線は、ボルト及びナット(以下、ボルト・ナットという)42の位置を示す。
【0020】
図7及び図8から明らかなように、支持枠15をトラックTRの荷台Lに積載して搬送する際に、支持枠15は以下のようにユニット化される。
図7及び図8に示すように、平行状態で、かつ整列状態で積層された複数の支持枠15は、一対の支持枠スタンド41によって、傾斜状態で支持されて、支持枠ユニット36となる。支持枠スタンド41は、後述の底辺部41aにおいてトラックTRの荷台Lに載置される。この場合、各支持枠15の下端は、トラックTRの荷台Lの床面上に近接する。支持枠スタンド41は、傾斜方向における最下部の支持枠15に固定される。
【0021】
図9図11に示すように、支持枠スタンド41は、底辺部41aと、その底辺部41aの一端部から延長されるとともに、傾斜された上辺部41bとによってコーナが鋭角(40~80度程度)のアングル状をなしている。底辺部41aの先端部には、先端側が上向きになった支持部41cが形成されている。この支持部41cの上面に支持枠15の梁材16が支持される。支持枠スタンド41の両端、すなわち底辺部41a及び上辺部41bの各先端にボルト・ナット42のボルトが挿通される挿通孔35が形成されている。そして、図8及び図11に示すように、支持枠スタンド41の底辺部41aが支持部41cの孔35において支持枠15の梁材16の底面(下面)の孔37に対してボルト・ナット42によって着脱可能に固定される。また、支持枠スタンド41の上辺部41bの先端部が孔35において支柱17の側面の取付部17aの孔37に対してボルト・ナット42によって着脱可能に固定される。
【0022】
そして、図7に示すように、支持枠スタンド41によって支持された支持枠15が傾斜された起立状態が維持されるように、底辺部41aと上辺部41bの両端の位置関係が設定されている。つまり、支持枠スタンド41が底辺部41aにおいてトラックTRの荷台L上に設置された状態において、支持枠15の底辺部41aと上辺部41bの両端の位置関係によって支持枠15の傾斜角度が決定される。
【0023】
図8図12図13及び図15(a)に示すように、支持枠ユニット36の各支持枠15における補助材24の両端面24aには、補助脚43が取り付けられている。補助脚43の本体部43aの下端には、設置板43bが設けられている。また、本体部43aには円形の中心孔44と、その中心孔44を中心に円弧状に延びる長孔45とが形成されている。そして、中心孔44及び長孔45と補助材24の孔25とにボルト・ナット42のボルトを挿通してそのボルトにナットが螺合される。このとき、長孔45の円弧長さの範囲内において中心孔44のボルトを軸として補助脚43が支持枠15の傾斜方向に沿う面内において回動可能である。
【0024】
図8図14及び図15(b),(c),(d)に示すように、支持枠ユニット36の支持枠15の支柱17には、第1連結スペーサ46が取り付けられている。支持枠ユニット36の梁材16には、第2連結スペーサ47が取り付けられている。また、隣接する第1,第2連結スペーサ46,47が相互に連結されている。この第1,第2連結スペーサ46,47により、各支持枠15の傾斜角度が保持されるとともに、隣接する支持枠15間が離間するように支持枠15間における相互間隔が保持される。支持枠スタンド41と第1,第2連結スペーサ46,47とにより支持具ユニットが構成されている。
【0025】
図8及び図15(b)に示す第1連結スペーサ46は、その両端に連結部46aが形成されている。両連結部46a間の間隔は、支持枠15の厚さより長くなっている。第1連結スペーサ46には中心孔44とその中心孔44を中心とした円弧状の長孔45とが形成されている。連結部46aには、複数の長孔46cが形成されている。そして、中心孔44,長孔46c及び支柱17の孔(図示しない)を通るボルトを有したボルト・ナット42によって第1連結スペーサ46が支持枠15の複数の支柱17の長さ方向中間部に取り付けられる。また、中心孔44のボルトを中心軸として長孔45の長さの範囲内において第1連結スペーサ46は支持枠15の傾斜方向に沿う面(上下方向の面)内において回動可能である。連結部46aは隣接する他の第1連結スペーサ46の連結部46aと接合されて、長孔46cの部分においてボルト・ナット42によって固定される。このため、各支持枠15間が離間状態においてそれらの間の間隔が保持される。
【0026】
図8図14及び図15(c),(d)に示す第2連結スペーサ47は、下部側部材47aと上部側部材47bとを備えている。下部側部材47aは、下部に設置板47cを有するとともに、両端に連結部47dを有する。両連結部47d間の間隔は、支持枠15の厚さより長くなっている。下部側部材47aには複数の挿通孔48が形成されている。連結部47dには挿通孔47eが形成されている。上部側部材47bの上端には取付部材51が固着されており、この取付部材51には複数の挿通孔52が形成されている。上部側部材47bは、軸49によって下部側部材47aに回動可能に連結されている。上部側部材47bには、軸49を中心に延びる円弧状の長孔50が形成されている。長孔50は、下部側部材47aの挿通孔48と対向している。長孔50及び一箇所の挿通孔48には、ボルト・ナット42のボルトが挿通される。
【0027】
そして、軸49を中心として長孔50の長さの範囲内で下部側部材47aと上部側部材47bとが回動可能になっているとともに、上部側部材47bの取付部材51が梁材16の下面に挿通孔52の部分においてボルト・ナット42によって取り付けられる。また、隣接する下部側部材47aの連結部47dが挿通孔47eの部分において相互にボルト・ナット42によって連結される。従って、この部分においても支持枠15間の間隔が離間状態に保持される。
【0028】
そして、図8及び図9に示すように、増し材18aを有する4基の支持枠15と、増し材18aを有しない1基の支持枠15とをトラックTRの荷台L上で支持枠スタンド41を用いて整列状態で、かつ傾斜状態で重ねる。増し材18aは、図示しない連結金具を用いて頂部骨組み材18に固定される。増し材18aを有しない支持枠15が傾斜方向の下端に位置される。
【0029】
支持枠15の積層手順は、例えば、補助脚43及び第1,第2連結スペーサ46,47が取り付けられた1基の支持枠15に一対の支持枠スタンド41を取り付けて、その支持枠スタンド41によって支持枠15を傾斜状態で傾斜方向の下側から保持する。その支持枠15上に補助脚43及び第1,第2連結スペーサ46,47が取り付けられた別の支持枠15を整列状態で平行に沿わせて積層する。そして、隣接する第1,第2連結スペーサ46,47の連結部46a,47dを連結する。このとき、ボルト・ナット42を締め付けることによって、第1,第2連結スペーサ46,47を傾斜状態の支持枠15に固定する。さらに、補助脚43の設置板43bがトラックTRの荷台Lに沿う角度でボルト・ナット42を締め付けることによって、補助脚43を支持枠15に固定する。
【0030】
このようにして、支持枠15を順次積層する。
以上のようにすれば、図7及び図8に示すように、複数の支持枠15が連結されて平行をなすとともに、相互間隔をおいた平行な整列状態で、かつ傾斜状態で積層固定された図8及び図9に示す支持枠ユニット36が構成される。そして、支持枠スタンド41の底辺部41a,補助脚43及び第2連結スペーサ47の下部側部材47aが支持枠ユニット36の脚となる。
【0031】
〈支持枠ユニット36の搬送方法,型枠装置11の構築方法及び解体方法〉
この支持枠ユニット36は、トラックTRの荷台L上に積載設置される。支持枠ユニット36は、図示しないワイヤによってトラックTRの荷台Lに括り付けられて、この状態で搬送される。
【0032】
支持枠ユニット36を積載したトラックTRはトンネルTN内の施工現場に進入する。そして、支持枠ユニット36は荷解きされるとともに、支持枠15は、第1,第2連結スペーサ46,47間の連結が解除されながら、上側のものから順に分離される。分離された支持枠15は、型枠装置11の打設予定位置に隣接して設定された作業エリアの地面Sに降ろされる。支持枠スタンド41は、その両端のボルト・ナット42が外されて地面Sに降ろされる。
【0033】
作業エリアの地面Sに降ろされた支持枠15は、支持枠スタンド41,補助脚43及び第1,第2連結スペーサ46,47を用いて、再度図8に示す傾斜状態にされて、仮置きされる。あるいは、支持枠15を傾斜状態にすることなく、横倒し状態で整然と重ねて、第1,第2連結スペーサ46,47を用いて相互に連結することによって崩れないように仮置きしてもよい。
【0034】
次いで、支持枠15を重ねた状態から第1,第2連結スペーサ46,47間の連結を解除しながら1基ずつ順に分離して、その支持枠15から補助脚43及び第1,第2連結スペーサ46,47が外される。
【0035】
図1及び図5に示すように、支持枠15の下側両端部に脚部材14が固定されて、支持架台13とする。その後、図3に示すように、支持枠15を有する各支持架台13は、あらかじめ設置された型枠装置11のベース基枠12上に順次組み付けられる。そして、支持架台13上に各種の部材(図示しない)が組み付けられるとともに、その支持架台13に側部骨組み材19,下部骨組み材20が支持される。図4に示すように、増し材18aは、連結金具が外されて、支持架台13上のトンネルTNの延長方向に延びるとともに、コンクリート型枠装置11の一部を構成する横材上(図示しない)において移動される。
【0036】
そして、図1及び図2に示すように、頂部骨組み材18,側部骨組み材19及び下部骨組み材20上に面板21が貼り付けられる。このようにして、型枠装置11の構築が終了する。その後、トンネルTNの内周面と型枠装置11との間に覆工コンクリートCが打設される。
【0037】
型枠装置11の解体は、前記構築手順と逆の手順で実行される。
(実施形態の効果)
従って、本実施形態においては、以下の効果がある。
【0038】
(1)傾斜状態の支持枠15よりなる支持枠ユニット36は、トラックTRの荷台L上における投影面積が小さいものとなる。従って、この支持枠ユニット36をトラックTRの荷台Lに載せて容易に搬送できる。このため、支持枠15を個々の構成部材に分解する必要がなくなって、支持枠15の積み下ろし等において取り扱いが容易になる。
【0039】
(2)そして、トンネルTNの建設現場においては、従来とは異なり、分解状態の支持枠15の個々の構成部材をトンネルTNの建設現場に降ろして、並べた上で、その場で支持枠15の煩雑な組付け作業を行う必要はない。このため、支持枠15の組付けのために、トンネルTN内の地面Sを占拠する時間を大幅に短くすることができる。よって、トンネルTN内において、トラックTR等の車両通行のための時間を長くできるとともに、支持枠15以外の型枠装置11の構成部材の取り扱いに要する時間を長くできる。従って、トンネルTNの建設における型枠装置11の構築の工期を短縮できる。型枠装置11の解体は、構築時とは逆の手順で実行されるため、同様に、解体の工期を短縮できる。
【0040】
(3)支持枠スタンド41として、底辺部41aと上辺部41bとの長さの比や底辺部41aと上辺部41bとの間の角度を異ならせることによって、底辺部41aと上辺部41bとの位置関係が相違するものを複数種類用意する。つまり、支持枠15を異なる角度に傾斜させるための支持枠スタンド41を複数種類用意する。このようにすれば、トラックTRの荷台Lの幅や支持枠15の大きさに合わせて、支持枠ユニット36の支持枠15の傾斜角度を複数選択できる。このとき、補助脚43,第1連結スペーサ46及び第2連結スペーサ47の下部側部材47aは、回動することによって支持枠15の傾斜角度の相違に対応できる。
【0041】
(4)第1,第2連結スペーサ46,47により、支持枠ユニット36の隣接する支持枠15間を連結状態で間隔を保持させることができるため、支持枠15どうしの擦過等による同支持枠15の損傷を防止できる。
【0042】
(5)支持枠スタンド41及び補助脚43が支持枠ユニット36の脚を構成するため、起立状態の支持枠15がトラックTRの荷台Lとの接触等によって損傷することを防止できる。
【0043】
(変更例)
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化することもできる。
【0044】
・補助脚43及び第2連結スペーサ47のうちの一方を省略すること。
図16及び図17を示すように、支持枠ユニット36の各支持枠15を傾斜させることなく、直立させること。支持枠15は、水平方向において整列状態で積層されている。そして、各支持枠15は、第1連結スペーサ46及び第2連結スペーサ47によって相互間隔を保持した状態で連結される。また、各支持枠15の下端には補助脚43が取り付けられている。そして、支持枠ユニット36を挟むように、支持枠ユニット36の両側にそれぞれ一対の支持枠スタンド41が前記実施形態と同様にして設けられる。この変更例においては、支持枠スタンド41の底辺部41aの先端部における傾斜した支持部41cは設けられていない。底辺部41aの下面が、第2連結スペーサ47の下面と同じ高さ位置となるように、底辺部41aは上下幅が広く形成されている。また、支持枠15を直立状態で支持できる位置関係となるように、上辺部41bを長く、しかも、底辺部41aに対する傾斜角度を小さくしている。
【0045】
図18に示すように、支持枠スタンド41の底辺部41aの長さを短くするとともに、上辺部41bを下側の直立部41dと上側の傾状部41eとによって構成して、図16における支持枠スタンド41の全体の左右幅を狭くすること。このようにすれば、支持枠ユニット36と支持枠スタンド41とよりなる全体の幅を狭くできて、支持枠ユニット36をトラックTRの幅狭の荷台Lに載せる場合に有利である。
【0046】
図19に示すように、支持枠スタンド41の底辺部41aの長さを短くするとともに、上辺部41bを下側の直立部41dと上側の水平部41fとによって構成して、図18の構成と同様に、図16における支持枠スタンド41の全体の左右幅を狭くすること。従って、支持枠ユニット36と支持枠スタンド41とよりなる全体の幅を狭くできて、支持枠ユニット36をトラックTRの幅狭の荷台Lに載せる場合に有利である。
【0047】
図7図16に示す実施形態において、上辺部41bを直立させること。このようにすれば、底辺部41aを短くすることができて、支持枠スタンド41の全体の左右幅を狭くすることができる。
【0048】
図16図17の実施形態において、支持枠スタンド41を左右いずれか一方の側にのみ設けること。
(他の技術的思想)
前記両実施形態及び変更例から把握される技術的思想は以下の通りである。
【0049】
(A)請求項1に記載の支持枠スタンド41と、支持枠15に着脱可能に取り付けられ、隣接する支持枠15どうしを連結する連結スペーサ46,47とを有する支持枠の支持具ユニット。
【0050】
この構成においては、支持枠ユニット36の支持枠15を連結状態に維持できるため、支持枠ユニット36の搬送において有用である。
(B)請求項1に記載の支持枠スタンド41と、支持枠15に着脱可能に取り付けられ、隣接する支持枠15どうしを連結するとともに、支持枠15間の間隔を保持する連結スペーサ46,47とを有する支持枠の支持具ユニット。
【0051】
この構成においては、支持枠ユニット36の支持枠15間の相互間隔を保持できるため、支持枠15の損傷等を回避できる。
(C)請求項1に記載の支持枠スタンド41と、支持枠15の下端に着脱可能に取り付けられる補助脚43とを有する支持枠の支持具ユニット。
【0052】
この構成においては、支持枠スタンド41と補助脚43とによって支持枠15が起立した状態の支持枠ユニット36の設置状態を安定させることができる。
(D)請求項4に記載の積層方法において積層された支持枠ユニット36をトラックTRの荷台Lに積載して搬送する搬送方法。
【0053】
この方法によれば、支持枠ユニット36をトラックTRの荷台L上において投影面積を小さい状態にできるため、支持枠15を分解することなく搬送できる。
【符号の説明】
【0054】
11…コンクリート型枠装置
15…支持枠
16…梁材
17…支柱
18…頂部骨組み材
21…面板
36…支持枠ユニット
41…支持枠スタンド
41a…底辺部
41b…上辺部
46…第1連結スペーサ
47…第2連結スペーサ
C…覆工コンクリート
TN…トンネル
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