(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】病床管理業務支援システム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/20 20180101AFI20221125BHJP
【FI】
G16H40/20
(21)【出願番号】P 2017230930
(22)【出願日】2017-11-30
【審査請求日】2020-07-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年6月1日に、ニッセイ情報テクノロジー株式会社のウェブサイト(http://www.nissay-it.co.jp/solution/medi-sinus.html)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】500104314
【氏名又は名称】ニッセイ情報テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101845
【氏名又は名称】佐藤 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100147784
【氏名又は名称】塩谷 享子
(72)【発明者】
【氏名】内田 元
(72)【発明者】
【氏名】小池 恒仁
(72)【発明者】
【氏名】西 綾子
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-226571(JP,A)
【文献】特開2007-006927(JP,A)
【文献】特開2017-146936(JP,A)
【文献】特開2015-171468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子端末からの指示を受けて、病院全体の病床の状況を、建物構成・病棟・病室の並びに従って表示する、病床管理業務支援システムであって、
患者IDに関連付けて、当該患者の氏名と生年月日と性別コードを含む情報を記憶する患者基本情報記憶手段と、
在院する1患者につき1レコード作成され、患者IDに関連付けて、病棟コードと病室コードと病床コードと診療科コードと主治医コードと主治医名と入院年月日を含む情報を記憶する在院患者情報記憶手段と、
1患者につき毎日1レコード作成され、患者IDに関連付けて入院年月日と診療年月日と病棟コードと病室コードと病棟/病床区分(一般病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、のいずれかを示す)と診療科コードと、重症者判定フラグ(重症者以外であれば0、重症者であれば1)、の項目を含む情報を記録する看護必要度情報記憶手段と、
段組位置と階層位置とに関連付けて、建物構造番号とフロアサイズ(幅)とフロアサイズ(高さ)を含むデータを記憶する建物構造マスタ記憶手段と、
段組位置と階層位置とブロック位置と部屋位置とベッド位置とに関連付けて、建物構造詳細番号と病床サイズを含むデータを記憶する建物構造詳細マスタ記憶手段と、
診療科に関するデータを管理するマスタであって、診療科コードに関連付けて、診療科名と診療科名(略称)を含むデータを管理する診療科マスタ記憶手段と、
各病室及び各病床に関するデータを管理するマスタであって、病棟コードと病室コードと病床コードに関連付けて、建物構造詳細番号と、病室名と、病棟/病床区分を含むデータを記憶する病床マスタ記憶手段と、
建物構造詳細マスタ記憶手段に記憶されている建物構造詳細番号ごとに、病床マスタ記憶手段から建物構造詳細番号が一致するレコードを抽出し、
当該建物構造詳細番号を有する病床マスタ記憶手段のレコードに含まれる病床コードが一致する在院患者情報を在院患者情報記憶手段から抽出する表示用データ取得手段と、
上記表示用データ取得手段で取得された在院患者情報と当該在院患者情報に含まれる患者IDに基づいて患者基本情報記憶手段から取得した患者基本情報と当該在院患者情報に含まれる診療科コードに基づいて診療科マスタ記憶手段から取得した診療科名称とから抽出した各病床の病棟/病床区分・病室名・診療科・氏名・年齢・性別の表示及び当該患者IDを基に看護必要度情報記憶手段から重症者判定フラグが重症者である患者であるか否かを判定し該当する場合に重症者である表示を含む病床詳細情報を、
当該建物構造詳細番号に基づいて建物構造マスタ記憶手段及び建物構造詳細マスタ記憶手段で定義された構造に従って表示する病床詳細情報表示処理手段と、
を備えた、病床管理業務支援システム。
【請求項2】
上記の病床詳細情報は、一病床毎に縦長の矩形状エリアに表示され、患者の氏名は縦書きに表示される、請求項1に記載の病床管理業務支援システム。
【請求項3】
各病棟に関するデータを管理するマスタであって、病棟コードと建物構造番号と病棟名と病棟/病床区分と病床数を含むデータを記憶する病棟マスタ記憶手段と、
病棟別の稼働率データを生成するために、病棟マスタ記憶手段に記憶されている各病棟コードについて、病床マスタ記憶手段から当該病棟コードが一致するレコードを抽出し、当該病棟コードと抽出された病床マスタのレコードの病床コードとが一致する在院患者情報を在院患者情報記憶手段から抽出し、抽出された在院患者情報からあらかじめ定義されたカウント条件及び患者IDを基に、在院患者数をカウントし、当該病棟の病床数(届出病床に限る)と在院患者数とから、病棟毎に病棟稼働率を計算して表示する病棟稼働率表示処理手段をさらに備えた、請求項1に記載の病床管理業務支援システム。
【請求項4】
一回の入退院につき1レコードが作成され、患者IDに関連づけて、入院年月日とSEQ(同日入退院再入院を管理する番号)と退院年月日を含む情報を記録する入退院履歴情報記憶手段と、
患者の病院内の1回の移動につき1レコードが作成され、患者IDに関連付けて入院年月日とSEQ(同日入退院再入院を管理する番号)と診療年月日と病棟コードと病室コードと病床コードと診療科コードとを含む情報が記録される移動履歴情報記憶手段と、
をさらに備え、
入退院履歴情報記憶手段と移動履歴情報記憶手段とから、前日の在院患者を抽出し、その患者IDを基に、看護必要度情報記憶手段から重症者判定フラグが重症者を示す患者数を求め、在院患者数との割合を計算して表示する重症者割合表示処理手段をさらに備えた、請求項3に記載した、病床管理業務支援システム。
【請求項5】
一回の入院予約につき1レコード作成され、患者IDと入院決定オーダー番号に関連付けて、入院予定年月日と病棟コードと病室コードと病床コードを含む情報を記憶する入院決定オーダー情報記憶手段と、
一回の転棟予約につき1レコード作成され、患者IDと転棟決定オーダー番号に関連付けて、転棟予定年月日と病棟コードと病室コードと病床コードを含む情報を記憶する転棟決定オーダー情報記憶手段と、
一回の退院予約につき1レコード作成され、患者IDと退院決定オーダー番号に関連付けて、退院予定年月日を含む情報を記憶する退院決定オーダー情報記憶手段と、
をさらに備え、
表示用データ取得手段が、病棟コード毎に病床マスタ記憶手段から取得した病床コードが入院決定オーダー情報記憶手段に記憶されている病床コードに一致する場合は当該病床に入院予定を表示し、当該病床コードが転棟決定オーダー情報手段又は退院決定オーダー情報記憶手段に記憶されている病床コードに一致する場合には当該病床に転出予定を表示し、
表示用データ取得手段が、病棟コード毎に病床マスタ記憶手段から取得した病床コードを在院患者情報記憶手段から抽出できずかつ当該病床コードが入院決定オーダー情報記憶手段から抽出できない場合、又は、当該病床コードが在院患者情報記憶手段から抽出されても当日の転出予定があり転入予定がない場合は、病床は空きであると判定する、
請求項1に記載の病床管理業務支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、病院等の医療機関において、病床管理者に病床管理に必要な情報を効率よく提供するための病床管理業務支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病床管理とは、病院等の医療機関における入院患者のベッド(病床)を効果的、効率的に稼働させるために管理・調整を行うことをいう。病床管理は、病院の収入の多くの部分を占める入院収入に直結する重要な業務であり、主な業務としては、入院が必要となった患者のスムーズな受け入れのためのベッドの調整・確保、患者の転棟・転床の調整、退院の調整、予約入院のためのベッドの調整、等がある。
【0003】
ここで、病床管理に関する先行技術文献としては、以下に記載する特許文献1~特許文献4が存在する。
【0004】
特許文献1は、入院予約データに対して、複数のベッドに対する割当シミュレーションを様々な条件に基づいて効率的に実行するシステムを開示している。
【0005】
特許文献2は、従来の病床管理が、主として財務上の観点から病床の利用率を上げることに主眼が置かれたものであるのに対して、患者に対する診療サービスの安全性や質の維持・向上を図るために、患者の複数の属性又は複数のニーズに合致した病床条件を特定できる病床管理支援システムを開示している。
【0006】
特許文献3は、病棟ごとにすべての居室について各居室の入院患者の氏名を入院日数と共に一覧表示させ、一覧表示させた各居室の入院患者を一覧表示中で移動させ移動後の居室でデータ更新可能な入退院管理装置を開示している。
【0007】
特許文献4は、患者の症状を表す患者情報と、病棟内の施設と病床との配置関係を表すマップ情報から、患者の症状に応じた病床の情報を抽出する病床管理支援システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2009-163378
【文献】特開2012-146249
【文献】特開2013-246793
【文献】特開2014-041439
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
日本における医療・介護分野の問題に目を向けると、平成37年(2025年)には3人に一人が65歳以上(5人に一人が75歳以上)という超高齢化社会を迎えることになり、医療や介護の需要が増大するため、こうした医療需要に対応できる医療提供体制をめざし、国による医療制度改正が進められている。
【0010】
各医療機関における従来の一般病床と療養病床については、その医療機能を分化して、各病床機能を、高度急性期機能(急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能、主な病床区分としてICU病棟、HCU病棟)、急性期機能(急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能、主な病床区分として一般病棟)、回復期機能(急性期を経過した患者の在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能、主な病床区分として地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟)、慢性期機能(長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能、主な病床区分として療養病棟)に区分し、各医療機関が担っている医療機能(病棟単位)を都道府県に報告する病床機能報告制度が採用された。上記した病床区分では、上からの記載順に入院基本料が高→低となっているが、さらに、病床機能を見直し、急性期から回復期への転換が進められている。それぞれの病床区分については、医療機関の機能や設備、診療体制、入院患者に関する重症者割合・平均在院日数・在宅復帰率等の基準値が定められており、この施設基準に適合することにより診療報酬の加算を受けられることになっているが、その施設基準が、平成28年度の改正により、回復期の病棟を増やすことが病院経営に効果的になるように基準値が変更され、平成30年度の改正により、一般病棟がさらに厳しく評価される見込みになっている。
【0011】
上記した改正により、一般病棟では重症者を扱い、容体の回復により回復期・療養機能への移動が厳密化され、病院全体として、入院患者をどの病棟で扱うことが病院経営上でプラスとなるかを考慮することがより求められるようになる。
【0012】
しかしながら、患者を移動(転棟・退院)させる際には、病院側の都合だけでなく、患者都合も考慮して、総合的に判断しなければならない。それぞれの立場から考慮すべき事項につき、下記に列記する。
【0013】
<病院側>
a.入院収入単価
病院経営としては、患者に提供すべき医療サービスにより、最適な(より高い)診
療報酬を得るための努力をする必要があり、考慮すべき事項として以下の項目が挙
げられる。
・転棟のタイミング ・DPC点数/入院期間 ・転棟先の点数
・入退院数(一般病棟) ・病床稼働率(回復期病棟)
b.施設基準の維持
当該病院の医療提供体制に見合う施設基準を維持し、最適な(より高い)入院基本
料を得るための努力をする必要があり、少なくとも以下の項目を考慮する必要があ
る。
・平均在院日数 ・リハビリ平均単位 ・在宅復帰率
・重症者割合(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)
【0014】
<患者側>
c.診療状況
患者の容体や診療の予定に関する医師・看護師の判断が求められる。少なくとも、
以下の項目が考慮される必要がある。
・検査予定/検査結果 ・手術予定/手術結果 ・リハビリ予定
・ADL(日常生活動作) ・感染症
【0015】
<病院側・患者側の双方>
d.移動先調整
患者を転棟・退院させる場合には、移動先を本人・家族の状況を含めて調整する
必要がある。少なくとも、以下の項目が考慮される必要がある。
・入院先/転棟先のベッド調整 ・病棟の負担度 ・看護師の配置
・患者本人の希望 ・家族の希望
e.関係者との合意
最適な判断ができているかを確認するためには、少なくとも以下の関係者との合意
が必要と考えられる。
・医事課 ・MSW(医療ソーシャルワーカー) ・リハビリ
・病棟師長 ・医師
【0016】
上記したように、最近の病床管理業務においては、病院側及び患者側の様々な事情を考慮した総合的な判断が求められる。一方、先に述べた特許文献1~特許文献4に開示されている技術は、入院予約に対してどのように病床を割り当てるか、あるいは、病棟ごとの病床の管理に主眼があり、このような総合的な判断が求められる病床管理業務に対する十分な解決手段を提供するものではない。また、電子カルテを中心に病院内のシステム化は進んでいるが、電子カルテのみでは、以下に記載するように病床管理についての機能が不足している。上記したa~eの事項について、具体的な問題点を以下に記載する。
【0017】
a.入院収入単価
・どのタイミングで転棟・退院すれば、入院収入単価を最大化できるか不明。
・医事課からDPC情報を取り寄せる必要有。
【0018】
b.施設基準の維持
・看護必要度や在宅復帰率を考慮しながら、病院全体で患者の移動を考える手段
がない。
・リハビリの介入状況や平均単位を確認する手段がない。
【0019】
c.診療状況
・電子カルテは患者単位で情報管理されており、複数の患者の情報収集に非常に
手間がかかる。
・カルテの記載箇所・方法が統一されておらず、どこを見ればよいか探すのに
苦労する。
【0020】
d.移動先調整
・入院先ベッドを調整する際に、他の病棟の負担度合いや空床がわかりづらい。
・退院先の調整状況は、ソーシャルワーカーから情報を取り寄せる必要がある。
【0021】
e.関係者との合意
・転棟・退院の判断に必要な情報を一元化できず、効率的に確認・判断出来ない。
・病院全体の利用状況を俯瞰して、最適な患者移動が行えているかを確認する
手段がない。
【0022】
本願発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、特に、各病床における患者の状況や病床全体の稼働状況、各病棟別や病院全体の利用状況など、病床管理に必要な情報を把握しやすい形で表示できる機能を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明による病床管理業務支援システムは、電子端末からの指示を受けて、病院全体の病床の状況を、建物構成・病棟・病室の並びに従って表示する、病床管理業務支援システムであって、患者IDに関連付けて、当該患者の氏名と生年月日と性別コードを含む情報を記憶する患者基本情報記憶手段と、在院する1患者につき1レコード作成され、患者IDに関連付けて、病棟コードと病室コードと病床コードと診療科コードと主治医コードと主治医名と入院年月日を含む情報を記憶する在院患者情報記憶手段と、各病室及び各病床に関するデータを管理するマスタであって、病棟コードと病室コードと病床コードに関連付けて、建物構造詳細番号と、病室名と、病棟/病床区分を含むデータを記憶する病床マスタ記憶手段と、段組位置と階層位置とに関連付けて、建物構造番号とフロアサイズ(幅)とフロアサイズ(高さ)を含むデータを記憶する建物構造マスタ記憶手段と、段組位置と階層位置とブロック位置と部屋位置とベッド位置とに関連付けて、建物構造詳細番号と病床サイズを含むデータを記憶する建物構造詳細マスタ記憶手段と、診療科に関するデータを管理するマスタであって、診療科コードに関連付けて、診療科名と診療科名(略称)を含むデータを管理する診療科マスタ記憶手段と、病棟コード毎に、該当する病室コード及び病床コードを病床マスタ記憶手段から取得し、取得した病床コードを含む在院患者のレコードを、在院患者記憶情報手段から抽出するとともに、病棟コードマスタ記憶手段から当該病棟コードの建物構造番号を取得し、病床マスタ記憶手段から当該病床コードの建物構造詳細番号を取得する表示用データ取得手段と、上記表示用データ取得手段によって取得した建物構造番号及び建物構造詳細番号に定義された建物構造及び建物構造詳細に従って、表示用データ取得手段で取得されたデータ及び患者基本情報記憶手段から患者IDを基に取得した各病床の病棟/病床区分・病室名・診療科・氏名・年齢・性別を含む病床詳細情報を、建物構成・病棟・病室の並びに従って表示する表示処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
上記の病床管理業務支援システムにおいて、上記の病床詳細情報は、一病床毎に縦長の矩形状エリアに表示され、患者の氏名は縦書きに表示させることを特徴とする。
【0025】
上記の病床管理業務支援システムは、一回の入院予約につき1レコード作成され、患者IDと入院決定オーダー番号に関連付けて、入院予定年月日と病棟コードと病室コードと病床コードを含む情報を記憶する入院決定オーダー情報記憶手段と、一回の転棟予約につき1レコード作成され、患者IDと転棟決定オーダー番号に関連付けて、転棟予定年月日と病棟コードと病室コードと病床コードを含む情報を記憶する転棟決定オーダー情報記憶手段と、一回の退院予約につき1レコード作成され、患者IDと退院決定オーダー番号に関連付けて、退院予定年月日を含む情報を記憶する退院決定オーダー情報記憶手段と、各病棟に関するデータを管理するマスタであって、病棟コードに関連付けて、建物構造番号と病棟名と病棟/病床区分と病床数を含むデータを記憶する病棟マスタ記憶手段と、をさらに備え、上記した病床詳細情報が、入院予定、転棟予定又は退院予定の表示をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、各病床における患者の状況や病床全体の稼働状況、各病棟別や病院全体の利用状況など、病床管理に必要な情報を把握しやすい形で表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施の形態による病床全体マップの画面表示の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示した画面表示の概要を示すブロック図である。
【
図3】
図2中、6階の符号aで示す部分の画面表示の拡大図である。
【
図4】
図2中、6階の符号bで示す部分の概略を示す図である。
【
図5】
図2中、符号c1及びc2で示す部分の概略を示す図である。
【
図6】
図2中、符号d1及びd2で示す部分の概略を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態によるハードウェア構成及び処理の概要を示すブロック図である。
【
図8】病床管理業務支援データベース3、病床管理業務支援用マスタ群5及び病床管理情報6に含まれるデータの詳細を示したブロック図である。
【
図9】患者基本情報301のレコードの項目を示した図である。
【
図10】在院患者情報302のレコードの項目を示した図である。
【
図11】入院決定オーダー情報303のレコードの項目を示した図である。
【
図12】転棟決定オーダー情報304のレコードの項目を示した図である。
【
図13】退院決定オーダー情報305のレコードの項目を示した図である。
【
図14】看護必要度情報306のレコードの項目を示した図である。
【
図15】病棟マスタ501のレコードの項目を示した図である。
【
図16】病床マスタ502のレコードの項目を示した図である。
【
図17】建物構造マスタ503のレコードの項目を示した図である。
【
図18】建物構造詳細マスタ504のレコードの項目を示した図である。
【
図19】診療科マスタ505のレコードの項目を示した図である。
【
図20】病棟稼働率・重症者割合データ601の生成を示すブロック図である。
【
図21】病床マップデータ602の生成を示すブロック図である。
【
図22】病床詳細データ603の生成を示すブロック図である。
【
図23】月間稼働率・重症者割合データ604の生成を示すブロック図である。
【
図24】月間目標達成率データ605の生成を示すブロック図である。
【
図25】入退院履歴情報312のレコードの項目を示す図である。
【
図26】移動履歴情報314のレコードの項目を示す図である。
【
図27】DPC情報313のレコードの項目を示す図である。
【
図28】診療科目標マスタ510のレコードの項目を示す図である。
【
図29】月間目標達成率を表示する画面表示の一例を示す図である。
【
図31】入院患者移動情報311のレコードの項目を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明による病床管理業務支援システム(以下、「本システム」という)の実施の形態について説明する。
【0029】
最初に、本システムの主たる機能である、病床管理者が病床管理に必要な病院全体の状況及び患者の詳細状況を効率よく把握するために表示される画面の例について、
図1及び
図2を用いて説明する。
【0030】
図1は、本システムにより表示される病院全体の稼働状況を示す画面(この画面表示を、以下、「病床全体マップ」という)の1例であり、
図2は、
図1に示した画面の概要を説明するために、
図1に示す構成に対応して作成したブロック図である。病床全体マップで、先ず特徴的であるのは、フロア別あるいは病棟種別毎のブロック単位で、各ブロックに属する病床の詳細が、建物構成(階数、方角)/病棟/病室の並びを直感的にイメージしやすいレイアウトで表示されていることである。例えば、フルHDの解像度で、約350床程度が表示できるので、医療機関のうち4分の3程度は、一画面で全病床の詳細を表示することが可能になる。
【0031】
図2中、符号aで示す部分は、各フロア別あるいは病棟種別毎の病床詳細状況を把握するために表示される部分であり、
図3に、6階に該当するaの部分を拡大して示す。
図3に示すように、実際の病室の並び順に従って、各病室の部屋番号(病室名)が表示され、その病室の各病床の患者情報を、空病床も含めて表示している。部屋番号は、病床区分を識別する色表示のタイトルバックを背景に表示される。それぞれの病床の患者情報は縦長に表示され、上から順番に、診療科名、患者名(読みやすく縦書きに表示)、年齢、退院予定・転出予定、入院予定・転入予定を含む情報が表示されている。また、患者名を男女別に色分けして表示している。さらに、当該患者が、感染症であることや、重症者であることを、色別のアンダーバーなどで表示することも可能である。
【0032】
図2中、符号bで示す部分は、フロア別あるいは病棟種別毎の、現在(表示時点)及び月間の空き状況及び看護負担度合いを示している。
図4は、6階に該当するbの部分の表示の概略を示す。
図4に示すように、上から順番にフロア又は病棟種別、病床区分及び病床数、稼働率及び重症者率、手術予定件数、入院予定人数、退院予定人数、稼働率及び重症者率の月間累計、が表示されている。なお、看護負担度合いは、これらの値を総合的に評価して判断することが出来る。
【0033】
図2中、符号c1及びc2で示す部分は、
図5にその概略を示すとおり、現在の病院全体の稼働率と、現在の病床区分別の稼働率・重症者率を示している。
【0034】
図2中、符号d1及びd2で示す部分は、
図6にその概略を示すとおり、月間の病院全体の稼働率と、月間の病床区分別の稼働率・重症者率・復帰率などを示している。
【0035】
なお、
図2中、eの部分は、現在(表示時点)の日時を示している。上記したように、a、b、c1、c2、d1、d2、を一覧出来ることにより、リアルタイムで、各病棟の空き状況、看護負担度合いを一目で共有化でき、また、施設基準が維持できるかどうかを判断するための情報を共有できる。
【0036】
次に、本システムの一実施形態によるハードウェア構成及び処理の概要について、
図7を用いて説明する。
図7に示す病床管理業務支援サーバ1は、本システムにより提供される各機能の実行に関する処理を、コンピュータプログラム及びコンピュータハードウェアの連携により実行する。
【0037】
病床管理業務支援サーバ1は、当該医療機関の電子カルテシステム11からの電子カルテ情報、あるいはその他の形式による電子的な形式の患者情報及び医療情報を含む(例えば、医療事務・DPCシステム12等からのDPC情報等)病床管理業務に必要な情報を一定間隔で取得し、データの再編成・登録・更新等の処理を実行して、本システムにおける機能実行のために必要なファイル形式として、病床管理業務支援データベース3に保存する。なお、病床管理業務支援データベース3に保存するためのファイル形式に生成するための処理は、本システムで実行することは必須ではなく、他のシステムにより生成されたファイルを取得してもよい。
【0038】
病床管理業務支援サーバ1は、Webサーバとしても機能し、当該医療機関の電子端末4からイントラネット・インターネット等のネットワークを介してアクセスを受け、電子端末4からの病床全体マップ7の表示指示に従って、病床管理業務支援データベース3から必要な情報を抽出するとともに、病床管理業務支援用マスタ群5の必要な情報を取得し、双方から取得したデータに基づいて、病床全体マップの表示に必要な病床管理情報6を生成し、病床管理情報6に基づいて表示用処理を実行して、病床全体マップ8を生成して、電子端末4に提供する。
【0039】
なお、
図7において、病床管理業務支援サーバ1は、1つのブロックとして表現されているが、必ずしも単独のハードウェアに限定されることはなく、複数のサーバにより構成してもよい。
【0040】
図8は、
図7に示した病床管理業務支援データベース3、病床管理業務支援用マスタ群5、病床管理情報6に含まれるデータの詳細を示した図である。
【0041】
病床全体マップ8を表示するために、一定間隔で情報を取り込み、病床管理業務支援データベース3に記憶する必須の情報ファイルは、患者基本情報301、在院患者情報302、入院決定オーダー情報303、転棟決定オーダー情報304、退院決定オーダー情報305、を含み、さらに、看護必要度情報306、手術情報310、入院患者移動情報311、入退院履歴情報312、DPC情報313、移動履歴情報314などを保有することにより、病床全体マップ8に表示する項目を増やすことができる。
【0042】
また、病床全体マップ8を表示するために、病床管理業務支援サーバ1が保有する病床管理業務支援用マスタ群5のうち、必須のマスタは、病棟マスタ501、病床マスタ502、建物構造マスタ503、建物構造詳細マスタ504、診療科マスタ505、であり、さらに、診療科目標マスタ510、DPC点数表マスタ512、感染症マスタ513などを保有することにより、病床全体マップ8に表示する項目を増やすことができる。
【0043】
次に、病床管理業務支援データベース3に記憶する必須の各情報ファイルの詳細について説明する。
図9~
図14は、各情報ファイルに記憶されるレコードの項目の内容を示す図である。なお、これらの図中、キーの欄に◎又は○が表示されている項目は必須の項目であり、◎はプライマリキーを示している。
【0044】
図9は、患者基本情報301のレコードの項目を示している。患者基本情報301は、1患者につき1レコード作成され、患者ID、患者カナ氏名、患者氏名(漢字)、患者生年月日、性別コード、の項目を含む。
【0045】
図10は、在院患者情報302のレコードの項目を示している。在院患者情報302は、在院する1患者につき1レコード作成され、患者ID、病棟コード、病室コード、病床コード、診療科コード、主治医コード、主治医名、入院年月日、救護区分名、の項目を含む。
【0046】
図11は、入院決定オーダー情報303のレコードの項目を示している。入院決定オーダー情報303は、一回の入院予約につき1レコード作成され、患者ID、入院決定オーダー番号、入院決定年月日、入院予定年月日、病棟コード、病室コード、病床コード、診療科コード、の項目を含む。
【0047】
図12は、転棟決定オーダー情報304のレコードの項目を示している。転棟決定オーダー情報304は、一回の転棟予約につき1レコード作成され、患者ID、転棟決定オーダー番号、転棟決定年月日、転棟予定年月日、病棟コード、病室コード、病床コード、診療科コード、の項目を含む。
【0048】
図13は、退院決定オーダー情報305のレコードの項目を示している。退院決定オーダー情報305は、一回の退院予約につき1レコード作成され、患者ID、退院決定オーダー番号、退院決定年月日、退院予定年月日、の項目を含む。
【0049】
図14は、看護必要度情報306のレコードの項目を示している。看護必要度情報306は、「重症度、医療・看護必要度」評価に基づく、入院患者の日別の24時時点の評価結果を記録するものであり、退院日には、退院時の評価が記録される。看護必要度情報306は、1患者につき毎日1レコード作成され、患者ID、入院年月日、診療年月日、病棟コード、病室コード、病棟/病床区分(一般病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、のいずれかを示す)、診療科コード、評価票、A評価、B評価、C評価、重症者判定フラグ(重症者以外であれば0、重症者であれば1)、の項目を含む。
【0050】
次に、病床管理業務支援用マスタ群5のうち、必須のマスタの詳細について説明する。
図15~
図19は、各マスタに記憶されるレコードの項目の内容を示す図である。なお、これらの図中、PKの欄に円で囲った数字が表示されている項目はプライマリキーを示している。また、Indexの欄に○で囲った数字が表示されている項目は検索の際にインデックスとなる項目である。
【0051】
図15は、病棟マスタ501が記録するレコードの項目を示している。病棟マスタ501は、例えば、
図2の符号aで示すブロック毎に、病棟名や病床数等を管理するマスタであり、病棟コード、建物構造番号(後述する建物構造マスタ503で定義されている)、病棟名、病棟名(略称)、病棟/病床区分(例えば、一般病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、のいずれかを示すコード)、病床数、表示順、病床稼働率閾値(現在状況)、重症者閾値(現在状況)、病床稼働率閾値(月間累計)、重症者閾値(月間累計)、病棟病床詳細区分、などの項目を含む。
【0052】
図16は、病床マスタ502が記録するレコードの項目を示している。病床マスタ502は、各病室や各病床を管理するマスタであり、病棟コード、病室コード、病床コード、建物構造詳細番号(後述する建物構造詳細マスタ504で定義されている)、病室名(
図1の例では、病室番号が該当する)、部屋タイプ区分、病棟/病床区分、届出区分、等の項目を含む。
【0053】
図17は、建物構造マスタ503が記録するレコードの項目を示している。建物構造マスタ503は、病床全体マップを表示させるための病床全体マップ構造の基となる建物構造情報を管理するマスタであり、段組位置、階層位置、建物構造番号、病棟見出し表示区分、有効区分、分割番号(病院全体を複数頁で表示する場合を想定して、第何番目の頁であるかを示す)、フロアサイズ(幅)、フロアサイズ(高さ)、などの項目を含む。建物構造マスタ503は、病院全体の階層(フロア)レベルまでの表示位置を制御するためのデータである。
【0054】
図18は、建物構造詳細マスタ504が記録するレコードの項目を示している。建物構造マスタ504は、病床全体マップを表示させるための病床全体マップ構造の基となる建物構造詳細情報を管理するマスタであり、段組位置、階層位置、ブロック位置、部屋位置、ベッド位置、建物構造詳細番号、病床サイズ、空きエリアフラグ、空きエリア名、空きエリア背景色、分割番号(病院全体を複数頁で表示する場合を想定して、第何番目の頁であるかを示す)、有効区分、などの項目を含む。建物構造詳細マスタ504は、病院全体の病室・病床レベルの表示位置を制御するためのデータである。
【0055】
図19は、診療科マスタ505が記録するレコードの項目を示している。診療科マスタ505は、診療科名などを管理するマスタであり、診療科コード、診療科名、診療科名(略称)、表示順、表示区分、有効区分、などの項目を含む。
【0056】
次に、
図8に示した病床管理情報6に含まれる各データが、病床管理業務支援データベース3に含まれる情報及び病床管理業務支援用マスタ群5に含まれるマスタデータからどのように生成されるかについて説明する。
【0057】
図20は、病棟稼働率・重症者割合データ601の生成を示す図である。病棟稼働率・重症者割合データ601は、
図2中、bに表示される現在状況に表示される稼働率及び重症者割合を表示するためのデータである。
【0058】
病棟別のデータを生成するために、病棟マスタ501に記憶されている各病棟コードについて、病床マスタ502から当該病棟コードが一致するレコードを抽出し、当該病棟コードと抽出された病床マスタのレコードの病床コードとが一致するレコードを在院患者情報302から抽出する。これにより、抽出された在院患者情報302から在院患者数がカウントされるが、カウントする条件として、例えば、当日の退院済み患者はあらかじめ含めるか否か、当日の入院予定患者については、あらかじめ含めるか否か、本システムのユーザーによって定義することができ、その条件及び患者IDを基に、退院決定オーダー情報305、もしくは、入院決定オーダー情報303を参照する。そして、当該病棟の病床数(届出病床に限る)と在院患者数とから、病棟稼働率を計算する。
【0059】
重症者割合については、前日の評価を現在の値として表示するため、入退院履歴情報312と移動履歴情報314から、前日の在院患者を抽出する。その患者IDを基に、看護必要度情報306から重症者判定フラグが重症者を示す患者数を求め、在院患者数との割合を計算する。
【0060】
以上のようにして抽出したレコード及び計算結果から、病床稼働率・重症者割合データ及び所定の表示項目を、建物構造マスタ503に定義されている構造に従って、表示画面の所定の位置に表示させる。なお、
図4に示した例では、手術件数も表示されているが、手術件数を表示するには、手術情報310を参照する必要がある。
【0061】
図21は、病床マップデータ602の生成を示す図である。病床マップデータ602は、
図2中、aの表示、すなわち、病棟別あるいは病床区分別の病床の詳細が、建物構成(階数、方角)/病棟/病室の並びを直感的にイメージしやすいレイアウトで表示するためのデータである。
【0062】
病床マップデータ602を生成するために、建物構造詳細マスタ504に記憶されている建物構造詳細番号の各レコードに対して、病床マスタ502のレコードから建物構造詳細番号が一致するレコードを抽出し、当該建物詳細番号を有する病床マスタ502のレコードに含まれる病床コードが一致するレコードを在院患者情報302から抽出する。これにより、当該病床コード及び該当する在院患者情報から、それぞれの病床に表示される基本的な情報(
図3参照)の基となる、病室番号、病棟/病床区分、患者ID、診療科コード、主治医コードなどが特定される。患者名及び年齢の表示や性別による色彩表示に必要なデータは、患者IDを基に、患者基本情報301から抽出される。診療科の表示には、診療科コードを基に、診療科マスタ505を参照して表示できる。また、重症者である患者を各病床に表示するためには、患者IDを基に、看護必要度情報306から重症者判定フラグが重症者を示す患者であるかどうかを判断し、該当する場合には重症者であることを表示できる。
【0063】
さらに、入院決定オーダー情報303、転棟決定オーダー情報304、退院決定オーダー情報305を用いて、該当する病床の欄外下に転入予定はカラー表示、転出予定は日付にて情報を表示できる。
【0064】
なお、病床コードが一致するレコードを在院患者情報302から抽出出来なかった場合かつ転入予定がない病床、当日の転出予定があり転入予定がない病床は、空きであると判断する。
【0065】
以上のようにして抽出したレコード及びこれらに含まれる情報から、病床マップに表示する所定の表示項目を、建物構造マスタ503及び建物構造詳細マスタ504に定義されている構造に従って、表示画面の所定の位置に表示させる。
【0066】
図22は、病床詳細データ603の生成を示す図である。病床詳細データ603は、前段で説明した病床マップデータ602から表示される各病床の患者情報を、表示切替により当該病床の患者名に代えて担当医師名を表示させたり、ポップアップ表示などにより通常表示では表示されない患者の情報を表示させるためのデータであり、システム設定マスタ515は、図面によるデータ項目の表示は省略するが、表示切替などを制御するための設定を記録するマスタである。
【0067】
病床マップデータ602又は病床データ603から生成され表示される各病床の患者情報は、
図3に示すように、縦長の矩形状エリアに表示され、特に、患者の氏名を縦長に表示させることに特徴がある。これにより、各病床について多くの患者情報をコンパクトに表示させ、1つの表示画面に多くの病床数を表示させること可能となると共に、患者の氏名を読みやすくすることが出来る。
【0068】
図23は、月間稼働率・重症者割合データ604の生成を示す図である。月間稼働率・重症者割合データ604は、
図2中、d1、d2に表示される月間状況の稼働率及び重症者割合を表示するためのデータである。
【0069】
病棟別のデータを生成するために、病棟マスタ501に記憶されている各病棟コードについて、病床マスタ502から当該病棟コードが一致するレコードを抽出し、当該病棟コードと抽出された病床マスタのレコードの病床コードとが一致するレコードを、入退院履歴情報312と移動履歴情報314から、当該月の開始日から前日までの期間に該当する診療年月日を含むレコードに限定して抽出する。抽出された移動履歴情報314から入院患者延べ数がカウントされる。そして、当該病棟の病床数(届出病床に限る)×日数(当該月の開始日から前日までの日数)と入院患者延べ数とから、月間の病棟稼働率を計算する。重症者割合データについては、上記したように抽出された当月の移動履歴情報314のレコードに含まれる患者IDを基に、看護必要度情報306から重症者判定フラグが重症者を示す患者数を求め、入院患者延べ数との割合を計算する。但し、終日(0時~24時)の外泊となった患者については、重症者を示す患者数と入院患者延べ数の双方について除外して計算する。
【0070】
以上のようにして抽出したレコード及び計算結果から、月間病床稼働率・重症者割合データ及び所定の表示項目を、建物構造マスタ503に定義されている構造に従って、表示画面の所定の位置に表示させる。なお、入退院履歴情報312のデータ項目を、
図25に示す。入退院履歴情報312は、一回の入退院につき1レコードが作成され、患者ID、入院年月日、SEQ(同日入退院再入院を管理する番号)、退院年月日を含む項目を記録する。また、移動履歴情報314のデータ項目を、
図26に示す。移動履歴情報314は、患者の病院内の1回の移動につき1レコードが作成され、患者ID、入院年月日、SEQ(同日入退院再入院を管理する番号)、診療年月日、病棟コード、病室コード、病床コード、診療科コードを含む項目が記録される。
【0071】
図24は、月間目標達成率データ605の生成を示す図である。月間目標達成率データ605は、
図1に示す病床全体マップの画面の切り換え操作により表示される画面に表示するためのデータである。
図29にその画面表示の例を示す。
図29中、fの符号で示す部分に月間目標達成率が表示される。
図30は、
図29のfの符号で示される表示の概略を示したものである。
図30に示されるように、fの部分では、病院全体及び診療科別の目標達成率と入院期間尺度が表示されており、病床管理業務支援データベース3に保持する入院患者移動情報311、DPC情報313及び移動履歴情報314と、病床管理用務支援用マスタ群5に含まれる診療マスタ505及び診療科目標マスタ510とに含まれるデータから計算される。尚、入院期間尺度については、DPC情報を扱う病院を対象としたものである。
【0072】
DPC情報313のレコードの項目を
図27に示す。DPC情報313は、1回の入院につき1レコード作成され、患者ID、入院年月日、SEQ(同日入退院再入院を管理する番号)、退院年月日、様式1入院年月日、主傷病名、入院契機傷病名、医療資源最投入傷病名、DPCコード、DPC名、包括区分(0:出来高、1:包括)、包括評価対象外(0:包括評価、1:包括評価対象外)、包括評価対象外理由、診療報酬改定適用年度、入院期間I点数、入院期間II点数、入院期間III点数、入院期間I日数、入院期間II日数、入院期間III日数、入院期間満了I年月日、入院期間II満了年月日、入院期間III満了年月日、の項目を含む。
【0073】
入院患者移動情報311のレコードの項目を
図31に示す。入院患者移動情報311は、入院患者の1回の移動につき1レコード作成され、患者ID,入院患者移動オーダー番号、移動区分(移動区分を示すコード)、移動区分名(入院、退院、転科、転室・転床、担当変更などの表示)、実施年月日、実施時間、実施フラグ、移動元:病棟コード、移動元:病室コード、移動元:病床コード、移動元:診療科コード、移動元:主治医コード、移動先:病棟コード、移動先:病室コード、移動先:病床コード、移動先:診療科コード、移動先:主治医コード、の項目を含む。
【0074】
図28は、診療科目標マスタ510が記録する項目を示している。診療科目標マスタ510は、目標達成率算出の基となる診療科毎/病院全体の目標値を管理するマスタであり、診療科コード(病院全体のコードも含まれる)、適用開始日時、適用終了日時、1日当り目標入院患者数、1月当り目標入院患者数、目標達成率閾値(高)、目標達成率閾値(低)、入院期間尺度閾値、レコード区分、表示区分、の項目を含む。
【0075】
ここで、入院期間尺度とは、DPCごとに定義されている入院期間(入院期間I~III、特定入院期間超)を共通な指標と位置付けて、患者の在院日数を相対的に表した指標である。入院期間Iの入院期間尺度は、その期間の在院日数により、0.01~1.00で表す。入院期間IIの入院期間尺度は、入院期間Iを含めた在院日数により、1.01~2.00で表す。入院期間IIIの入院期間尺度は、入院期間I及び入院期間IIを含めた在院日数により、2.01~3.00で表す。特定入院期間超(入院期間I~III)の入院期間尺度は、入院期間I~IIIを含めた在院日数により、3.01~で表す。
【0076】
診療科毎の月間目標達成率データ605を生成するために、診療科マスタ505に記憶されている各診療科コードについて、移動履歴情報314から、求めようとする月間の期間(以下、「集計期間」という)に入院している(診療年月日が一致する)患者IDのレコードを取得し、診療科毎にレコード件数を合計することにより、診療科毎の入院患者延べ人数を求める。そして、この入院患者延べ人数を集計期間の経過日数で割ることにより、1日当たりの入院患者数の平均を求め、これを、診療科目標マスタ510から取得した当該診療コードに該当する一日当たり目標入院患者数で割って100を掛けることにより、月間目標達成率を算出する。
【0077】
次に、診療科毎の月間入院期間尺度を生成するために、診療科マスタ505に記憶されている各診療科コードについて、入院患者移動情報311から、移動区分が退院であって、その実施年月日が月間入院期間尺度の算出を実行する日(以下、「当日年月日」という)より前に該当する患者IDのレコードを取得し、この取得した患者IDに該当するDPC情報(入院年月日、入院期間I日数、入院期間満了I年月日、入院期間II日数、入院期間II満了年月日、入院期間III日数、入院期間III満了年月日)を、DPC情報313から取得する。そして、当該患者の入院期間尺度を、入院患者移動情報311から取得した退院の実施年月日を基に、以下のようにして算出する。
【0078】
・実施年月日が、入院期間I満了年月日以前の場合
(実施年月日-入院年月日+1)/入院期間I日数
・実施年月日が、入院期間II満了年月日以前の場合
(実施年月日-入院期間I満了年月日)/(入院期間II日数-入院期間I日数)+1
・実施年月日が、入院期間III満了年月日以前の場合
(実施年月日-入院期間II満了年月日)/(入院期間III日数-入院期間II日数)
+2
・上記以外
(実施年月日-入院期間III満了年月日)/(入院期間III日数-入院期間II日数)
+3
上記の算出により求めた患者ID毎の入院期間尺度を診療科毎に合計し、患者IDのレコード数で割ることにより、月間入院期間尺度を算出する。
【0079】
このようにして算出した月間目標達成率と月間入院期間尺度を、所定のレイアウト設定に従って表示させる。
【0080】
なお、診療科目標マスタ510に含まれる目標達成率閾値や入院期間尺度閾値のデータを基に、診療科毎に算出された月間目標達成率や月間入院期間尺度のレベルを判定して、そのレベルに従って算出された値を色分け表示することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 病床管理業務支援サーバ
3 病床管理業務支援データベース
4 電子端末
5 病床管理業務支援用マスタ群
6 病床管理情報
8 病床全体マップ
11 電子カルテシステム
12 医療事務・DPCシステム