(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】食品処理システム
(51)【国際特許分類】
A21C 1/14 20060101AFI20221125BHJP
A23P 30/00 20160101ALI20221125BHJP
F16D 55/28 20060101ALI20221125BHJP
F16D 65/18 20060101ALI20221125BHJP
F16H 1/14 20060101ALI20221125BHJP
F16D 121/16 20120101ALN20221125BHJP
F16D 121/22 20120101ALN20221125BHJP
F16D 127/04 20120101ALN20221125BHJP
F16D 129/04 20120101ALN20221125BHJP
【FI】
A21C1/14
A23P30/00
F16D55/28 B
F16D65/18
F16H1/14
F16D121:16
F16D121:22
F16D127:04
F16D129:04
(21)【出願番号】P 2017246367
(22)【出願日】2017-12-22
【審査請求日】2020-07-30
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1)発行者名 富士変速機株式会社 2)刊行物名 富士変速機株式会社の製品カタログ「食品機械向けギヤードモータ」表紙~19頁 3)発行日 平成29年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237835
【氏名又は名称】富士変速機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小塚 悦宏
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】槙原 進
【審判官】平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-209766(JP,A)
【文献】特開2009-23765(JP,A)
【文献】登録実用新案第3146556(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 1/00 - 15/04
A23P 10/00 - 30/40
A47J 9/00 - 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を入力するための入力部を備え、食品を処理するための食品処理装置と、
前記食品処理装置の前記入力部に接続され、前記食品処理装置を駆動するための
ギヤードモータと、
前記食品処理装置及び前記
ギヤードモータを制御するための制御部と、を備え、
前記
ギヤードモータのハウジング外面には、食品及び周囲環境に使用されていない色を有する塗装膜が形成され
、
前記塗装膜が前記ギヤードモータから剥がれ落ちて食品に異物が混入した場合において、前記異物の色を区別することで前記異物が前記ギヤードモータ起因であることの特定を可能とすることを特徴とする食品処理システム。
【請求項2】
前記塗装膜は、青色顔料を含有することを特徴とする請求項1に記載の食品処理システム。
【請求項3】
前記塗装膜は、ウレタン樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品処理システム。
【請求項4】
前記塗装膜は、抗菌剤を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の食品処理システム。
【請求項5】
前記
ギヤードモータは、
外面に前記塗装膜を有する前記ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、電力によって回転する回転駆動軸を有する駆動部と、
前記ハウジングの外部の前記食品処理装置に駆動力を出力する出力軸と、
前記ハウジングに収容され、前記回転駆動軸の回転を前記出力軸に減速して伝達する減速機構と、
前記ハウジングに収容され、前記駆動部の回転を選択的に制動するブレーキ機構と、を備え、
前記ブレーキ機構は、
前記回転駆動軸に連結されたブレーキ軸と、
前記ブレーキ軸とともに回転可能に前記ブレーキ軸に固定されたブレーキライニングと、
前記ブレーキライニングに圧接する制動位置と、前記ブレーキライニングと離隔する制動解除位置との間で移動可能に前記ハウジングに支持された制動プレートと、
前記制動プレートを前記ブレーキライニングに付勢する付勢バネと、
前記制動プレートに接続され、前記制動位置から前記制動解除位置に前記制動プレートを移動させるためのブレーキ開放ハンドルと、
を備え、
前記駆動部の非励磁状態で前記制動プレートが前記ブレーキライニングに圧接する制動位置をとり、前記ブレーキ開放ハンドルを傾動させることにより、前記制動プレートが前記ブレーキライニングと離隔し、ブレーキが手動で解除されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の食品処理システム。
【請求項6】
前記ブレーキ開放ハンドルの傾動角度は8度であることを特徴とする請求項5に記載の食品処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品に対して加工、搬送、梱包等の処理を行うための食品処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品の加工、搬送、梱包等の処理をライン式にオートメーション化するために種々の食品処理装置や食品処理システムが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1は、乾燥具材を切り出す機能を有する食品搬送装置を開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。食品搬送装置(10)は、乾燥具材(11)を収納するホッパ(12)と、ホッパ(12)内の乾燥具材(11)の検出するレベルセンサ(27)と、乾燥部材(11)をホッパ(12)内へ供給するための供給モータ(26)が設けられている。そして、ホッパ(12)に連結されて、乾燥具材(11)を切り出す、下方傾斜したパイプフィーダ(13)と、パイプフィーダ(13)を回転させるモータ(21)とが設けられている。次に、パイプフィーダ(13)から投下された乾燥具材11を受けるバケット(14)と、バケット(14)内の乾燥具材(11)をソレノイド(22)の駆動により排出する開閉蓋(14a)が設けられている。そして、そのバケット(14)が受けた乾燥具材(11)を計量するロードセル(23)も設けられている。制御部(20)は、DCモータであるモータ(21)及び供給モータ(26)のその印加電圧をON/OFFして回転制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような食品搬送装置において、食品を搬送又は加工するために複数のモータ(駆動装置)が使用される。このような複数のモータを用いた環境では、モータ起因で食品に異物が混入することが多々ある。本発明は、従来の食品処理システムにおいてモータ起因の異物の発見や異物の発生箇所特定が困難であったことに着目したものである。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、駆動装置起因の異物の発見や異物の発生箇所特定を容易とする食品処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の食品処理システムは、
駆動力を入力するための入力部を備え、食品を処理するための食品処理装置と、
前記食品処理装置の前記入力部に接続され、前記食品処理装置を駆動するための駆動装置と、
前記食品処理装置及び前記駆動装置を制御するための制御部と、を備え、
前記駆動装置のハウジング外面には、食品及び周囲環境に使用されていない色を有する塗装膜が形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の食品処理システムは、請求項1に記載の食品処理システムにおいて、前記塗装膜は、青色顔料を含有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の食品処理システムは、請求項1又は2に記載の食品処理システムにおいて、前記塗装膜は、ウレタン樹脂を主成分とすることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の食品処理システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の食品処理システムにおいて、前記塗装膜は、抗菌剤を含有することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の食品処理システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の食品処理システムにおいて、前記駆動装置は、
外面に前記塗装膜を有する前記ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、電力によって回転する回転駆動軸を有する駆動部と、
前記ハウジングの外部の前記食品処理装置に駆動力を出力する出力軸と、
前記ハウジングに収容され、前記回転駆動軸の回転を前記出力軸に減速して伝達する減速機構と、
前記ハウジングに収容され、前記駆動部の回転を選択的に制動するブレーキ機構と、を備え、
前記ブレーキ機構は、
前記回転駆動軸に連結されたブレーキ軸と、
前記ブレーキ軸とともに回転可能に前記ブレーキ軸に固定されたブレーキライニングと、
前記ブレーキライニングに圧接する制動位置と、前記ブレーキライニングと離隔する制動解除位置との間で移動可能に前記ハウジングに支持された制動プレートと、
前記制動プレートを前記ブレーキライニングに付勢する付勢バネと、
前記制動プレートに接続され、前記制動位置から前記制動解除位置に前記制動プレートを移動させるためのブレーキ開放ハンドルと、
を備え、
前記駆動部の非励磁状態で前記制動プレートが前記ブレーキライニングに圧接する制動位置をとり、前記ブレーキ開放ハンドルを傾動させることにより、前記制動プレートが前記ブレーキライニングと離隔し、ブレーキが手動で解除されることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の食品処理システムは、請求項5に記載の食品処理システムにおいて、前記ブレーキ開放ハンドルの傾動角度は8度であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一形態の食品処理システムによれば、駆動装置の外面には、食品及び周囲環境に使用されていない色を有する塗装膜が形成されていることにより、駆動装置から塗装膜が剥がれ落ちた場合、異物の色を区別することにより、即座に駆動装置起因の異物であることを特定することができる。また、異物の色と食品の色と容易に区別することができるので、駆動装置起因の異物の発見も容易となる。これにより、本発明の食品処理システムは、駆動装置起因の異物の発見や異物の発生箇所特定を容易とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態の食品処理システムを示す概略図。
【
図2】
図1の食品処理システムで用いられたギヤードモータの正面図。
【
図9】
図7において、ギヤードモータのブレーキを解除した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明の食品処理システムを例示的に示す概略図である。本実施形態の食品処理システム10では、食品原料の投入から出荷用製品の回収まで、ライン式に食品の搬送・加工・梱包が実行される。すなわち、食品処理システム10は、オートメーション化されたシステムである。該食品処理システム10は、ユーザに操作される制御部11と、駆動力を入力するための入力部を有し、食品を処理するための複数の食品処理装置12,13,14,15,17と、各食品処理装置12,13,14,15,17を駆動するための複数のギヤードモータ(駆動装置)100と、食品原料を投入するための原料投入部18と、加工された製品を最終的に回収するための製品回収部19とを備える。食品処理システム100は、食品処理工場などの周囲環境内に設置される。また、制御部11は、操作パネル等を介してユーザによって操作されてもよい。
【0017】
より具体的には、原料投入部18の下流に隣接して第1の食品搬送装置12が配置され、該第1の食品搬送装置12がギヤードモータ100に接続されている。第1の食品搬送装置12及びギヤードモータ100は、制御部101によってその動作が制御される。第1の食品搬送装置12は、例えば、ベルトコンベヤやロボットアームである。そして、食品搬送装置12は、原料投入部18から投入された食品原料(加工前食品)を食品加工装置15に搬送するように制御される。
【0018】
食品加工装置15は、第1の食品搬送装置12の下流に連設され、搬送された食品原料を加工するように機能する。食品加工装置15は、例えば、撹拌、切断、混合、粉砕、捏ね、加熱、乾燥、冷凍などの任意の加工を食品原料に行うものである。該食品加工装置15は、その機械的動作のためにギヤードモータ100に接続され、その動作が制御部11によって制御される。そして、制御部11による制御下において、食品加工装置15で加工された食品が第2の食品搬送装置13に送られる。
【0019】
第2の食品搬送装置13は、ギヤードモータ100に接続され、その動作が制御部11によって制御される。第2の食品搬送装置13は、例えば、ベルトコンベヤやロボットアームであるが、第1の食品搬送装置12と異なってもよい。そして、該第2の食品搬送装置13は、食品加工装置15によって加工された食品を食品梱包装置17に送るように制御される。
【0020】
食品梱包装置17は、第2の食品搬送装置13の下流に連設され、加工された食品を梱包するように機能する。食品梱包装置17は、例えば、製袋、真空封止などの任意の梱包処理を食品に行うものである。該食品梱包装置17は、その機械的動作のためにギヤードモータ100に接続され、その動作が制御部11によって制御される。そして、制御部11による食品梱包装置17で梱包された製品が第3の食品搬送装置14に送られる。
【0021】
第3の食品搬送装置14は、ギヤードモータ100に接続され、その動作が制御部11によって制御される。第3の食品搬送装置14は、例えば、ベルトコンベヤやロボットアームであるが、第1,第2の食品搬送装置12,13と異なってもよい。そして、該第3の食品搬送装置14は、食品梱包装置17によって梱包された食品を最終製品として製品回収部19に送るように制御される。梱包された食品は、製品回収部19で最終製品として回収される。
【0022】
本実施形態の食品処理システム10では、食品処理装置するための駆動装置として、複数(本実施形態では5)のギヤードモータ100が採用されている。ギヤードモータ100の構成は、以下に
図2乃至
図9を参照して説明される。
【0023】
本実施形態のギヤードモータ100は、外面を定めるハウジング101と、該ハウジング101に収容され、電力によって回転する回転駆動軸107を有する駆動部105と、該ハウジング101の外部の食品処理装置に駆動力を出力する出力軸103と、該ハウジング101に収容され、回転駆動軸の回転を出力軸103に減速して伝達する減速機構109と、該ハウジングに収容され、駆動部105の回転を選択的に制動するブレーキ機構110と、を備える。なお、本実施形態のギヤードモータ100では、ハウジング101内部から異物がグリース漏れ等を抑えるべく、ハウジング101外部に露出する駆動箇所において十分な封止処理が施されている。また、グリースとして、食品機械用グリースが封入されている。
【0024】
ギヤードモータ100のハウジング101外面には、食品及び周囲環境に使用されていない色を有する塗装膜が形成されている。本実施形態では、周囲環境は、工場の床や壁であり、青色顔料が使用されていない。また、処理対象の食品は青色を含んでいない。そして、本実施形態では、ハウジング101外面を被覆する塗装膜は、ウレタン樹脂を主成分とし、青色顔料(すなわち、青色のみからなる顔料)を含有する。換言すると、ハウジング101外面は青色系に塗装されている。そして、青色顔料は、青色を発色する顔料として使用可能であれば、無機、有機、天然または合成を問わない。例えば、青色顔料として、群青(ウルトラマリンブルー),コバルトブルー,紺青(プルシアンブルー)等の無機系顔料、フタロシアニンブルー,アルカリブルー,インダンスロンブルー等の有機系顔料が好適に用いられる。なお、食品が米や小麦粉を原料とする場合、白色は同系色となるので塗装膜に白色系が採用されない。また、工場の床が緑色の場合、塗装膜に緑色系が採用されない。塗装膜はハウジング101内面にも形成されてもよい。
【0025】
また、本実施形態では、塗装膜は、雑菌の繁殖を抑制するための抗菌剤をさらに含有する。抗菌剤としては、例えば、銀又は銅を含有する無機質抗菌剤が選択され得る。具体的には、無機質抗菌剤は、硝酸銀、ハロゲン化銀、酸化銀のうちの少なくとも1種を硝子原料等とともに加熱し、その後、粉砕して形成した平均粒径0.01~20μm程度の粒子である。このような抗菌性の粒子を塗装膜中に含有させることで、塗装膜に抗菌作用を発揮させることができる。
【0026】
図6に示すように、ギヤードモータ100の略中央部分には、外部電源に接続された電力供給部106から電力が供給されて駆動する駆動部105が設けられている。駆動部105は、電力で回転する回転駆動軸107を備える。そして、駆動部105は、減速機構109及びブレーキ機構110の両方に接続されている。減速機構109は、回転駆動軸107の先端と噛合可能なハイポイドギヤを含み、出力軸103に回転駆動軸107の回転を所定のギア比で減速して出力するように構成されている。出力軸103は、キー状の空洞であり、食品処理装置の入力部としての入力軸(図示せず)を挿入して、回転駆動力を食品処理装置に出力するように構成されている。他方、ブレーキ機構110は、駆動部105に作用して、ギヤードモータ100の非励磁状態で、回転駆動軸107の回転を制動するように構成されている。
【0027】
ブレーキ機構110は、
図7及び
図8に示すように、駆動部105の回転駆動軸107に連結されたブレーキ軸111と、該ブレーキ軸111に固定されたブレーキライニング112と、該ブレーキライニング112に圧接する制動位置と、該ブレーキライニング112と離隔する制動解除位置との間で移動可能にハウジング101に支持された制動プレート113と、該制動プレート113をブレーキライニング112に付勢する付勢バネ114と、該制動プレート113に接続され、制動位置から制動解除位置に制動プレート113を移動させるためのブレーキ開放ハンドル115と、を備える。
【0028】
より詳細には、ブレーキ軸111は、回転駆動軸107と同軸で一体的に回転するように回転駆動軸107に連結されて軸方向に延伸している。ブレーキ軸111の外周側に、ブレーキライニング112が固定されている。ブレーキライニング112は、ブレーキ軸111の周方向に延びる摩擦材からなる環状体であり、圧接する対象に対して制動力を発揮する。制動プレート113は、ブレーキライニング112の軸方向一面に対向配置された磁性金属製の環状体である。制動プレート113は、3つのガイドピン117によって、ハウジング101に対して軸方向に遊動可能に支持されている(
図7,8参照)。つまり、制動プレート113は、軸方向一面とハウジング101内面との間、又は、軸方向他面とブレーキライニング112との間に隙間を形成可能に支持されている。そして、ハウジング101内面の窪みには付勢バネ114が収容されている。該付勢バネ114は、制動プレート113の軸方向の一面に圧縮状態で当接し、制動プレート113をブレーキライニング112に対して付勢するように作用する。また、ハウジング101内面の凹部には、制動プレート113の軸方向の一面に対向するようにコイル116が配置されている。そして、ブレーキ開放ハンドル115がハウジング101外面に回動式に支持されている。
【0029】
ブレーキ開放ハンドル115は、
図3,8に示すように、1本の操作軸115aと、該操作軸115aから2叉に分岐した分岐軸115bと、ハウジング101内部で分岐軸115b基端と制動プレート113を連結する連結軸115cとを備える。ブレーキ開放ハンドル115は、連結軸115cを中心にブレーキ軸111の軸方向両側に約16度の範囲(片側に約8度傾動可能)で傾動可能である。また、連結軸115cによって、ブレーキ開放ハンドル115の回動に従って制動プレート113が軸方向に移動するように構成されている。
【0030】
図7に示すギヤードモータ100の非励磁状態では、制動プレート113が付勢バネ114の弾性力でブレーキライニング112に圧接している。制動プレート113とブレーキライニング112の圧接によって、回転駆動軸107への制動力が発生している。そして、ギヤードモータ100の励磁状態では、コイル116に電流が流れることで磁力が発生し、制動プレート113がコイル116側に磁気牽引される。その結果、制動プレート113がブレーキライニング112から離隔し、回転駆動軸107の制動が解除される。
【0031】
また、ギヤードモータ100の非励磁状態において、ブレーキ開放ハンドル115を傾動させることによっても、回転駆動軸107の制動を解除することができる。
図9に示すように、ブレーキ開放ハンドル115が傾動することで、制動プレート113がブレーキライニング112から離隔するように移動し、回転駆動軸107の制動が解除される。すなわち、ブレーキ開放ハンドル115を操作することにより、ギヤードモータ100の非励磁状態においてブレーキを手動で解除することが可能である。
【0032】
以下、本発明の一実施形態の食品処理システム10の作用効果について説明する。
【0033】
本実施形態の食品処理システム10によれば、ギヤードモータ100の外面には、食品及び周囲環境に使用されていない青色の塗装膜が形成されている。特に、青色顔料は、食品に使用されることはほとんどなく、食品に混入された異物を視覚的に発見し易いことから、食品処理システム10において最適である。これにより、ギヤードモータ100から塗装膜が剥がれ落ちた場合、異物の色を区別及び発見することが可能となり、即座にギヤードモータ100起因の異物であるか否かを判別することができる。したがって、本発明の食品処理システム10は、ギヤードモータ100起因の異物の発見や異物の発生箇所特定を容易とする。
【0034】
また、本実施形態の食品処理システム10では、ギヤードモータ100の非励磁状態で回転駆動軸107の制動を解除するブレーキ開放ハンドル115が設けられている。これにより、ユーザは、食品処理システム10のラインにおいて、ギヤードモータ100のメンテナンスや停電時等の復旧作業を安全且つスピーディーに行うことが可能である。また、ブレーキ開放ハンドル115の一方への傾動角度を8度であることにより、不意に回転駆動軸107の制動が解除されることを防ぎ、且つ、回転駆動軸107の制動を容易に解除することが可能である。
【0035】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0036】
10 食品処理システム
11 制御部
12 第1の食品搬送装置
13 第2の食品搬送装置
14 第3の食品搬送装置
15 食品加工装置(食品処理装置)
17 食品梱包装置(食品処理装置)
18 原料投入部
19 製品回収部
100 ギヤードモータ(駆動装置)
101 ハウジング
103 出力軸
105 駆動部
106 電力供給部
107 回転駆動軸
109 減速機構
110 ブレーキ機構
111 ブレーキ軸
112 ブレーキライニング
113 制動プレート
114 付勢バネ
115 ブレーキ開放ハンドル
115a 操作軸
115b 分岐軸
115c 連結軸
116 コイル
117 ガイドピン