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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】医用画像表示装置及び医用画像表示方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20221125BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20221125BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20221125BHJP
   G06Q 50/22 20180101ALI20221125BHJP
【FI】
A61B5/00 D
A61B6/03 360Q
A61B6/00 360B
G06Q50/22
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018014881
(22)【出願日】2018-01-31
(65)【公開番号】P2019130038
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩村 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕之
(72)【発明者】
【氏名】手塚 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】相澤 吉広
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-094237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像の表示状態の変更前において、(1)前記医用画像に重畳される重畳情報の種別のうち文字列及び数値の種別を識別し、(2)前記医用画像に重畳される重畳情報の種別から前記文字列及び数値の種別を除いたもののうち、少なくとも一部の領域が前記医用画像に含まれる体輪郭内の領域又は前記体輪郭を含む矩形内の領域としての関心領域内に配置される種別をアノテーションと識別する一方で、前記少なくとも一部の領域が前記関心領域内に配置されない種別をシェーマと識別する識別部と、
前記医用画像の表示状態を変更することを契機に、前記識別部によって識別された前記アノテーションの表示状態を変更するように制御する一方で、前記文字列及び数値と前記シェーマとの表示状態を変更しないように制御する表示制御部と
を備える医用画像表示装置。
【請求項2】
前記重畳情報の種別と前記表示状態を変更するか否かを識別する変更情報とが対応付けられて記憶された記憶部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記識別部により識別された前記重畳情報の種別に対応付けられた前記変更情報を前記記憶部から読み出し、読み出した前記変更情報に基づいて、前記重畳情報の表示状態を変更するか否かを制御する、
請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
処理部が、
医用画像の表示状態の変更前において、(1)前記医用画像に重畳される重畳情報の種別のうち文字列及び数値の種別を識別し、(2)前記医用画像に重畳される重畳情報の種別から前記文字列及び数値の種別を除いたもののうち、少なくとも一部の領域が前記医用画像に含まれる体輪郭内の領域又は前記体輪郭を含む矩形内の領域としての関心領域内に配置される種別をアノテーションと識別する一方で、前記少なくとも一部の領域が前記関心領域内に配置されない種別をシェーマと識別し、
前記医用画像の表示状態を変更することを契機に、識別された前記アノテーションの表示状態を変更するように制御する一方で、前記文字列及び数値と前記シェーマとの表示状態を変更しないように制御する、
医用画像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像表示装置及び医用画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等の医療施設では、PACS(Picture Archiving and Communication)が利用されている。PACSによれば、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)等の医用画像生成装置により生成された医用画像データが、病院内のサーバに蓄積される。そして、サーバから操作者(例えば、医者)が使用する表示端末に医用画像データをダウンロードし、表示端末に医用画像として表示することで、医用画像データを視覚的に医者に提供することができる。
【0003】
また、病院内だけでなく、病院外の遠隔地にあるサーバに医用画像データを転送する遠隔システムも開発されている。このような遠隔システムによれば、操作者(例えば、読影医)が常駐する読影センタのサーバに医用画像データを転送することができ、サーバを介して読影医による高度な読影診断が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-307038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、操作者による操作性を向上させることで、読影効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像表示装置は、表示制御部を有する。表示制御部は、医用画像の表示状態を変更することを契機に、当該医用画像に重畳される重畳情報に基づいて、当該重畳情報の表示状態を変更するか否かを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置の構成及び機能を示す概略図。
図2図2は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置において、オーバーレイ情報の種別と変更情報とを対応付けるテーブルの一例を示す図。
図3図3は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置において、オーバーレイ情報の種別の識別動作をフローチャートとして示す図。
図4図4は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置の動作をフローチャートとして示す図。
図5図5は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置において、医用画像データ及び各オーバーレイ情報の一例を表す図。
図6図6は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置において、医用画像及びオーバーレイ情報の初期の表示例を示す図。
図7図7(A)は、医用画像に対する拡大操作後の医用画像及びオーバーレイ情報の表示の比較例を示す図であり、図7(B)は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置において、医用画像に対する拡大操作後の医用画像及びオーバーレイ情報の表示例を示す図。
図8図8は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置において、医用画像に対するスライド操作後の医用画像及びオーバーレイ情報の表示例を示す図。
図9図9は、第2の実施形態に係る医用画像表示装置の構成及び機能を示す概略図。
図10図10は、第2の実施形態に係る医用画像表示装置の動作をフローチャートとして示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、医用画像表示装置及び医用画像表示方法の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置1を示す。医用画像表示装置1は、医用画像管理装置(サーバ)や、ワークステーションや、読影端末等であり、ネットワークを介して接続された医用画像システム上に設けられる。なお、医用画像表示装置1は、オフラインの装置であってもよい。
【0010】
医用画像表示装置1は、処理部11、記憶部12、入力部13、表示部14、及び通信部15を備える。
【0011】
処理部11は、記憶部12に記憶された、プログラムを読み出して実行することにより、医用画像表示装置1の各コンポーネントを統括制御するためのプロセッサである。処理部11がプログラムを実行することにより実現される機能41,42については後述する。
【0012】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、及び光ディスク等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体によって構成される。記憶部12は、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk)等の可搬型メディアによって構成されてもよい。記憶部12は、処理部11において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する記憶回路である。また、OSに、読影者等の操作者に対する表示部14への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力部13によって行うことができるGUI(Graphical User Interface)を含めることもできる。
【0013】
加えて、記憶部12は、医用画像ファイルを記憶する。例えば、医用画像ファイルとは、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に準拠したデータ形式のファイルである。医用画像ファイルは、互いに関連付けられた医用画像データと付帯情報とを有する。医用画像データは、患者に関する医用画像をDICOM規格に従って符号化したデータから成る。例えば、医用画像データは、医用画像を構成する各画素に関する画素データの集合であり、医用画像を構成する各画素の座標と表示色に対応するグレー値又はカラー値を表現している。また、付帯情報は、医用画像データが属する患者ID(Identification)、検査ID、シリーズID、画像ID、画像サイズ、及び画像撮像日時等のDICOM規格において標準的に利用されている情報を含む。
【0014】
また、記憶部12は、付帯情報として、表示された医用画像に重畳される重畳情報、即ち、オーバーレイ情報と、オーバーレイ情報に関連付けられる表示領域情報とを含む。オーバーレイ情報は、その種別として、「文字列」、「数値」、「シェーマ」、「アノテーション」等のうち少なくとも1つのデータを含む。表示領域情報は、オーバーレイ情報が重畳される画面上の領域(座標)を示す。文字列は、文字の集合、つまり、文章を意味する(例えば、図5の符号「OL1」)。数値は、具体的な値を意味する(例えば、図5の符号「OL1」)。シェーマは、身体部位の絵図を意味する(例えば、図5の符号「OL1」)。例えば、シェーマは、人体のモデル画像と、人体のうち医用画像が撮像された位置を示すマーク画像とを含む。
【0015】
アノテーションは、後に医用画像を再び観察する時のために、又は、他人が観察する時のために、医用画像に付される図形、文字、記号等の総称を意味する(例えば、図5の符号「OL3」)。例えば、アノテーションは、計測領域や直線、矢印、計測結果(グラフ等)である。記憶部12は、複数のアノテーションのデータを、操作者により臨床的な意味づけがなされたグループ単位で医用画像のデータに関連付けて記憶する。
【0016】
アノテーションのデータについて、記憶部12は、医用画像データに関連づけて記憶する。アノテーションのデータの記憶形式としては、DICOM・オーバーレイ形式とDICOM・GSPS(グレイスケールソフトコピー提示状態:Gray Scale Presentation State)形式とが挙げられる。
【0017】
第1に、DICOM・オーバーレイ形式の場合、アノテーションのデータは、DICOM・オーバーレイ情報として、医用画像ファイルに組み込まれる。そのため、DICOM・オーバーレイ形式の場合、記憶部12は、オーバーレイ情報としてのアノテーションのデータが組み込まれた医用画像データと、オーバーレイ情報としての文字列、数値、シェーマ等のデータを含む付帯情報とを含む医用画像ファイルを記憶する。
【0018】
第2に、DICOM・GSPS形式の場合、アノテーションのデータは、DICOM・GSPSデータとして、医用画像ファイルの付帯情報に組み込まれる。そのため、DICOM・GSPS形式の場合、記憶部12は、医用画像データと、オーバーレイ情報としてのアノテーション、文字列、数値、シェーマ等のデータを含む付帯情報とを含む医用画像ファイルを記憶する。なお、DICOM・GSPS形式の場合、アノテーションのデータは、医用画像ファイルとは別のファイルで管理されてもよい。以下、特に言及する場合を除き、DICOM・GSPS形式で記憶される場合について説明するが、DICOM・オーバーレイ形式の場合であってもよい。
【0019】
さらに、記憶部12は、オーバーレイ情報の種別と変更情報とが対応付けられたテーブル(図2に図示)を予め記憶する。変更情報とは、医用画像に重畳される各オーバーレイ情報の表示状態を、医用画像に対する拡大、縮小、スライド、回転等の操作に従って変更するか否かを示す情報(変更又は非変更)である。図2に示すように、テーブルは、例えば、オーバーレイ情報の種別としての「文字列又は数値」に、変更情報「非変更」が対応付けられて成る。
【0020】
図1の説明に戻って、入力部13は、操作者によって操作が可能な入力デバイスからの信号を入力する回路と、入力デバイスとを含む。入力デバイスは、トラックボール、スイッチ、マウス、キーボード、走査面に触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。操作者により入力デバイスが操作されると、入力部13はその操作に応じた入力信号を生成して処理部11に出力する。
【0021】
表示部14は、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示デバイスである。表示部14は、処理部11の制御に従って記憶部12から読み出された医用画像ファイルに含まれる医用画像データや、オーバーレイ情報を画像として表示する。
【0022】
通信部15は、パラレル接続仕様やシリアル接続仕様に合わせたコネクタによって構成される。通信部15は、各規格に応じた通信制御を行い、電話回線を通じてネットワークに接続することができる機能を有する。これにより、通信部15は、医用画像表示装置1をネットワークに接続させることができる。
【0023】
処理部11が記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、医用画像表示装置1の処理部11は、表示制御機能41、識別機能42、変更情報取得機能43を実現する。なお、医用画像表示装置1の機能41~43がソフトウェアとして機能する場合を例に挙げて説明するが、機能41~43の一部又は全部は、医用画像表示装置1にASIC等の回路として設けられるものであってもよい。
【0024】
表示制御機能41は、医用画像の表示状態を変更すること、例えば操作者が医用画像の表示状態を変更操作することを契機に、当該医用画像に重畳される重畳情報に基づいて、当該重畳情報の表示状態を変更するか否かを制御する。例えば、表示制御機能41は、表示要求された医用画像データを医用画像として表示部14に表示させると共に、各オーバーレイ情報をその表示領域情報に従って配置して医用画像に重畳する。そして、表示制御機能41は、医用画像の表示状態を変更する操作を契機に、医用画像に重畳されるオーバーレイ情報の表示状態を変更するか否かを判別する。例えば、医用画像が表示要求されると、表示制御機能41は、医用画像上に重畳される各オーバーレイ情報の表示状態を、医用画像に対する拡大、縮小、スライド、及び回転等の操作に従って変更するか否かを判別する。表示制御機能41は、判別の結果、表示状態を変更すると判断されたオーバーレイ情報については、医用画像に対する操作に従って表示状態を変更すると共に、表示状態を変更しないと判断されたオーバーレイ情報については、医用画像に対する操作に因らず表示状態を変更しない制御を行う。なお、表示制御機能41は、表示制御部の一例である。
【0025】
ここで、前述したDICOM・オーバーレイ形式の場合、医用画像に重畳されるオーバーレイ情報には、文字列、数値、及びシェーマ等のデータは含まれるが、アノテーションのデータは含まれない。一方で、前述したDICOM・GSPS形式の場合、医用画像に重畳されるオーバーレイ情報には、文字列、数値、シェーマ等の他、アノテーション、マーキングのデータも含まれる。
【0026】
識別機能42は、医用画像に重畳されるオーバーレイ情報の種別を識別する。例えば、識別機能42は、表示要求された医用画像を含む医用画像ファイルを取得し、医用画像ファイルに含まれる付帯情報に基づいて、オーバーレイ情報の種別を識別する。また、識別機能42は、医用画像ファイルに含まれるオーバーレイ情報の種別を、医用画像に定められた関心領域内に配置されるか否かにより識別する。なお、識別機能42は、識別部の一例である。
【0027】
変更情報取得機能43は、識別機能42による識別により決定されたオーバーレイ情報の種別に対応付けられた変更情報を記憶部12から取得する、即ち、読み出す。なお、変更情報取得機能43は、取得部の一例である。
【0028】
また、表示制御機能41は、変更情報取得機能43によって取得された変更情報に基づいて、表示要求された医用画像に重畳されるオーバーレイ情報の表示状態を変更するか否かを判別することができる。例えば、医用画像が表示要求されると、表示制御機能41は、医用画像に重畳される各オーバーレイ情報の表示状態を、医用画像に対する拡大、縮小、スライド、回転等の操作に従って変更するか否かを変更情報(例えば、図2に図示)に基づいて判別する。表示制御機能41は、医用画像に定められた関心領域に、オーバーレイ情報が含まれるか否かによって、オーバーレイ情報の表示状態を変更するか否かを判別する。
【0029】
続いて、医用画像表示装置1の第1の動作について図3を用いて説明する。図3において、STに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0030】
識別機能42は、表示要求された医用画像を含む医用画像ファイルを取得し、その医用画像ファイルの付帯情報に含まれる各オーバーレイ情報の種別を識別する(ステップST1~ST4)。まず、識別機能42は、表示要求された医用画像を含む医用画像ファイルを取得し、その医用画像ファイルの付帯情報に含まれる各オーバーレイ情報の種別が「文字列又は数値」であるか否かを判断する(ステップST1)。具体的には、ステップST1において、入力部13を介した指示に従って医用画像が表示要求されると、記憶部12から、表示要求された医用画像を含む医用画像ファイルが取得される。取得される医用画像ファイルは、医用画像データ及び付帯情報を含む。付帯情報は、オーバーレイ情報とその表示領域情報を含む。
【0031】
ステップST1の判断にてYESの場合、識別機能42は、当該オーバーレイ情報の種別を「文字列又は数値」と判断する。「文字列又は数値」の例を、図5に符号「OL1」で示す。
【0032】
ステップST1の判断にてNO、即ち、オーバーレイ情報の種別が「文字列又は数値」でないと判断された場合、識別機能42は、ステップST1によって取得された医用画像ファイルの付帯情報に含まれる各オーバーレイ情報の表示領域情報に基づいて、各オーバーレイ情報が、医用画像の関心領域内に配置されるものであるか否かを判断する(ステップST2)。関心領域の例を、図5に符号「R」で示す。ここで、識別機能42は、医用画像に含まれる体輪郭内の領域や、体輪郭を含む矩形内の領域等を関心領域Rとして設定することができる。関心領域は、入力部13を介した指示、または、一般的なエッジ抽出処理により設定される。
【0033】
ここで、識別機能42は、各オーバーレイ情報の少なくとも一部が関心領域内に配置されるものであるか否かを判断してもよいし、各オーバーレイ情報の全部が関心領域内に配置されるものであるか否かを判断してもよい。
【0034】
ステップST2に判断にてYES、即ち、各オーバーレイ情報が関心領域内に配置されるものであると判断された場合、識別機能42は、当該オーバーレイ情報の種別を「アノテーション」と判断する(ステップST3)。「アノテーション」の例を、図5に符号「OL3」で示す。一方、ステップST2に判断にてNO、即ち、各オーバーレイ情報が関心領域内に配置されるものではないと判断された場合、識別機能42は、当該オーバーレイ情報の種別を「シェーマ」と判断する(ステップST4)。「シェーマ」の例を、図5に符号「OL2」で示す。
【0035】
変更情報取得機能43が、図2に示すテーブルを参照し、ステップST1~ST4による識別により決定されたオーバーレイ情報の種別に対応する変更情報を取得すると、表示制御機能42は、取得された変更情報に従って、オーバーレイ情報の表示状態を、医用画像に対する拡大、縮小、スライド、及び回転等の操作に従って変更するか否かを判別する。例えば、図2では、オーバーレイ情報「文字列又は数値」の表示状態は、医用画像に対する操作に因らず変更されない「非変更」として定義される。
【0036】
続いて、第1の動作に続く、医用画像表示装置1の第2の動作について図4を用いて説明する。図4において、STに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0037】
表示制御機能41は、取得された医用画像ファイルに含まれる医用画像データを医用画像として表示部14に表示すると共に、医用画像ファイルに含まれる付帯情報としてのオーバーレイ情報を、対応する表示領域情報に従って医用画像に重畳する(ステップST5)。ステップST5による初期状態の表示例を図6に示す。
【0038】
入力部13を介した指示に従って、表示された医用画像の操作が行なわれると(ステップST6)、表示制御機能41は、操作に従って医用画像を変更表示する。また、表示制御機能41は、各オーバーレイ情報を、オーバーレイ情報の種別に対応付けられた変更情報に基づいて変更するか否かを制御する。オーバーレイ情報の種別が「アノテーションOL2」の場合、表示制御機能41は、医用画像の操作に従って、オーバーレイ情報の表示状態を変更する。また、オーバーレイ情報の種別が「文字列または数値OL1」あるいは「シェーマOL3」の場合、表示制御機能41は、オーバーレイ情報の表示状態を維持する。即ち、ステップST7において、図2に示す変更情報「変更」に相当するオーバーレイ情報「アノテーション」のみが医用画像の操作に追従する。
【0039】
つまり、表示制御機能41は、ステップST7において、オーバーレイ情報の種別が文字列又は数値であるか否か(図3のステップST1)や、オーバーレイ情報が表示される領域が医用画像の関心領域に含まれるか否か(図3のステップST2)によって、オーバーレイ情報の表示状態を変更するか否かを制御する。
【0040】
図7(A)に示す従来の表示例によれば、医用画像の拡大操作に従って、オーバーレイ情報「文字列及び数値」、「アノテーション」、及び「シェーマ」の全ての表示状態が拡大操作に従って拡大変更表示される。一方で、医用画像表示装置1によれば、図7(B)に示すように、医用画像の拡大操作に従って、オーバーレイ情報「アノテーション」のみの表示状態が拡大操作に従って拡大変更表示される。なお、医用画像表示装置1において、医用画像のスライド操作に従って、オーバーレイ情報「アノテーション」のみの表示状態がスライド操作に従ってスライド変更表示される場合の表示例を図8に示す。
【0041】
表示制御機能41は、表示された医用画像に対する操作を続けるか否かを判断する(ステップST8)。例えば、表示制御機能41は、入力部13を介して読影終了の指示があった場合、表示された医用画像に対する操作を終了すると判断する。
【0042】
ステップST8の判断にてYES、即ち、入力部13を介して読影終了の指示があった場合、医用画像表示装置1は、表示要求された医用画像についての表示動作を終了する。一方、ステップST8の判断にてNO、即ち、入力部13を介して読影終了の指示がない場合、医用画像表示装置1は、ステップST6に戻る。
【0043】
以上説明したように、医用画像表示装置1によれば、表示要求された医用画像に対応する複数のオーバーレイ情報を、医用画像の表示状態の変更に従って表示状態を変更するものとしないものに分類することができる。したがって、医用画像表示装置1によれば、操作者による操作性を向上させることができ、もって読影効率を向上させることができる。
【0044】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、オーバーレイ情報毎に変更情報を個別に設定する例を説明する。
【0045】
図9は、第2の実施形態に係る医用画像表示装置1Aを示す。医用画像表示装置1Aは、医用画像表示装置1(図1に図示)の変形例である。
【0046】
医用画像表示装置1Aは、処理部11A、記憶部12、入力部13、表示部14、及び通信部15を備える。なお、医用画像表示装置11Aが備える記憶部12、入力部13、表示部14、及び通信部15の構成及び機能については前述したので説明を省略する。
【0047】
処理部11Aは、記憶部12に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、医用画像表示装置1Aの各コンポーネントを統括制御するためのプロセッサである。処理部11Aがプログラムを実行することにより実現される機能41A,42,43Aについては後述する。
【0048】
処理部11Aが記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、医用画像表示装置1Aの処理部11Aは、表示制御機能41A、識別機能42、変更情報設定機能43Aを実現する。なお、医用画像表示装置1Aの機能41A,42,43Aがソフトウェアとして機能する場合を例に挙げて説明するが、機能41A,42,43Aの一部又は全部は、医用画像表示装置1AにASIC等の回路として設けられるものであってもよい。また、図9において、図1に示す部材と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
変更情報設定機能43Aは、表示制御部41Aによる制御により医用画像に重畳されたオーバーレイ情報毎に、変更情報を設定する。例えば、変更情報設定機能43Aは、入力部13を介した指示に従って、表示されたオーバーレイ情報毎に変更情報を設定する。なお、変更情報設定機能43Aは、設定部の一例である。
【0050】
表示制御機能41Aは、変更情報設定機能43Aによって設定された変更情報に基づいて、表示要求された医用画像に重畳されるオーバーレイ情報の表示状態を変更するか否かを判別する。例えば、医用画像が表示要求されると、表示制御機能41Aは、医用画像に重畳される各オーバーレイ情報の表示状態を、医用画像に対する拡大、縮小、スライド、及び回転等の操作に従って変更するか否かを、設定された変更情報に基づいて判別する。
【0051】
続いて、医用画像表示装置1Aの動作について図10を用いて説明する。図10において、STに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。なお、図10において、図3及び図4に示すステップと同一ステップには同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
表示制御機能41Aは、医用画像ファイルに含まれる医用画像データを医用画像として表示部14に表示すると共に、医用画像ファイルに含まれる付帯情報としてのオーバーレイ情報を、対応する表示領域情報に従って医用画像に重畳する(ステップST15)。変更情報設定機能43Aは、表示されたオーバーレイ情報毎に、変更情報を設定する(ステップST16)。例えば、変更情報設定機能43Aは、入力部13を介した指示に従って、表示されたオーバーレイ情報毎に変更情報を設定する。
【0053】
表示制御機能41Aは、ステップST16によって設定された変更情報に従って、オーバーレイ情報の表示状態を、医用画像に対する拡大、縮小、スライド、及び回転等の操作に従って変更するか否かを判別する(ステップST17)。また、ステップST8の判断にてNO、即ち、入力部13を介して読影終了の指示がない場合、医用画像表示装置1Aは、ステップST16に戻る。つまり、医用画像に対する1度目の操作の前に各オーバーレイ情報の変更情報が設定されても、2度目以降の操作の度に変更情報が再設定されることになる。
【0054】
なお、ステップST8の判断にてNO、即ち、入力部13を介して読影終了の指示がない場合、医用画像表示装置1Aは、ステップST13に戻ってもよい。その場合、医用画像に対する1度目の操作の前に各オーバーレイ情報の変更情報が設定されれば、2度目以降の操作についても当該変更情報が利用されることになる。
【0055】
以上説明したように、医用画像表示装置1Aによれば、表示要求された医用画像に対応する複数のオーバーレイ情報を、医用画像の表示状態の変更に従って表示状態を変更するものとしないものに分類することができる。したがって、医用画像表示装置1Aによれば、操作者による操作性を向上させることができ、もって読影効率を向上させることができる。
【0056】
なお、第1の実施形態に係る医用画像表示装置1の機能と、第2の実施形態に係る医用画像表示装置1Aの機能とを組み合わせてもよい。その場合、変更情報設定機能43Aは、変更情報取得機能43によって取得された変更情報を、医用画像に重畳されたオーバーレイ情報を選択して変更設定することできる。
【0057】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、操作者による操作性を向上させることで、読影効率を向上させることができる。
【0058】
なお、上記実施形態において、「プロセッサ」という文言は、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)の他、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、及び、プログラマブル論理デバイス等の処理回路を意味する。プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等の回路が挙げられる。プロセッサは、記憶媒体に保存されたプログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現する。
【0059】
また、上記実施形態では処理部の単一のプロセッサが各機能を実現する場合の例について示したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理部を構成し、各プロセッサが各機能を実現してもよい。また、プロセッサが複数設けられる場合、プログラムを記憶する記憶媒体は、プロセッサごとに個別に設けられてもよいし、1つの記憶媒体が全てのプロセッサの機能に対応するプログラムを一括して記憶してもよい。
【0060】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1,1A 医用画像表示装置
11,11A 処理部
12 記憶部
41,41A 表示制御機能
42 識別機能
43 変更情報取得機能
43A 変更情報設定機能
図1
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