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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】自動車両用の灯火モジュール
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/04 20060101AFI20221125BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20221125BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20221125BHJP
   F21S 41/689 20180101ALN20221125BHJP
   F21S 41/33 20180101ALN20221125BHJP
   F21S 41/663 20180101ALN20221125BHJP
   F21S 41/125 20180101ALN20221125BHJP
   F21W 102/135 20180101ALN20221125BHJP
【FI】
B60Q1/04 E
F21V29/503 100
F21V29/70
F21S41/689
F21S41/33
F21S41/663
F21S41/125
F21W102:135
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018085675
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2018188139
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-14
(31)【優先権主張番号】1753694
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】マリー、ペラリン
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-118833(JP,A)
【文献】特開2012-071786(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0362572(US,A1)
【文献】特開2006-164687(JP,A)
【文献】特開2015-050115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/04
F21V 29/503
F21V 29/70
F21S 41/689
F21S 41/33
F21S 41/663
F21S 41/125
F21W 102/135
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの光源(2,4)と、前記光源(2,4)によって放出された光線を光学的に偏向させるための光学的偏向装置(6,8)と、偏向された光線を成形するための成形用光学部品(10)と、前記光学的偏向装置と前記成形用光学部品との間に配置されて、少なくとも2つの別個の位置をとることのできる遮蔽体(12,112)とを備えた、自動車両用の灯火モジュール(1)において、
前記少なくとも2つの光源(2,4)は、前記成形用光学部品(10)の光軸(11)に沿って異なる位置に配置され、前記光源(2,4)が、前記遮蔽体(12,112)の位置の関数として制御されることを特徴とする灯火モジュール。
【請求項2】
前記光源(2,4)が、前記遮蔽体(12,112)の位置の関数として互いに独立して制御されることを特徴とする請求項1に記載の灯火モジュール。
【請求項3】
前記遮蔽体(12,112)の指令モジュール(16)から生じる情報を受け取るように構成された、前記光源(2,4)の点灯を制御するためのモジュール(14)を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の灯火モジュール。
【請求項4】
前記遮蔽体(12,112)の前記指令モジュール(16)は、前記遮蔽体を第1位置または第2位置に置くよう、当該遮蔽体を駆動するための機構に指示するように構成されており、その第1位置においては、前記光源によって放出された光線の第1部分が前記遮蔽体により遮断され、その第2位置においては、前記光源によって放出された光線が前記遮蔽体により全く遮断されないか、或いは前記第1部分に比べて少ない量が遮断されることを特徴とする、請求項3に記載の灯火モジュール。
【請求項5】
前記光学的偏向装置は、前記光源(2,4)のうちの1つとそれぞれ関連付けられた反射器(7,9)を備えていることを特徴とする、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の灯火モジュール。
【請求項6】
少なくとも2つの反射器(7,9)が、前記成形用光学部品(10)の光軸(11)に沿って順次配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の灯火モジュール。
【請求項7】
少なくとも2つの反射器(7,9)が、互いに異なる焦点距離(F1,F2)を有するように構成されていることを特徴とする、請求項5または6に記載の灯火モジュール。
【請求項8】
2つの反射器のうちの1番目(7)が、2つの反射器のうち2番目の反射器(9)の焦点距離(F2)よりも短い焦点距離(F1)を有すること、および、2つの反射器のうち当該2番目の反射器(9)が、2つの反射器のうち前記1番目の反射器(7)と前記遮蔽 体(12,112)との間に配置されていることを特徴とする、請求項6または7に記載の灯火モジュール。
【請求項9】
前記少なくともつの光源(2,4)のうちの少なくとも1つは、発光強度を変更することのできる1つないし複数の発光手段を備え、前記光源によって放出される光線の発光強度を変化させることによって、前記光源が前記遮蔽体の位置の関数として制御されることを特徴とする、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の灯火モジュール。
【請求項10】
前記少なくともつの光源(2,4)のうちの少なくとも1つは、前記少なくとも1つの光源(2,4)は、選択的にアドレス指定可能な複数の発光素子を備え、これらの発光素子を点灯および/または消灯させることによって、前記光源が前記遮蔽体(12,112)の位置の関数として制御されることを特徴とする、請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の灯火モジュール。
【請求項11】
前記光源(2,4)のそれぞれが、この光源によって放出される光線の光強度を前記遮蔽体の位置の関数として変更するように制御され、その変更は、前記遮蔽体(12,112)が1つの位置から他の位置へと遷移するときに、前記強度を低下させる方向、または前記強度を上昇させる方向に行われ、前記遮蔽体が1つの所与の位置からもう1つの位置へと遷移するときに2つの光源同士が反対の方向に制御されることを特徴とする、請求項1から10のうちのいずれか一項に記載の灯火モジュール。

【請求項12】
前記遮蔽体(12,112)が、横方向軸線回りの回転方向に可動となっていることを特徴とする、請求項1から11のうちのいずれか一項に記載の灯火モジュール。
【請求項13】
前記遮蔽体(112)が2つの壁体(44,46)を備え、それらの壁体(44,46)は、前記遮蔽体が光線を遮るための第1位置にあるときに、前記成形用光学部品の光軸に沿って互いに相対的にずらされた位置をとるように構成されていることを特徴とする、請求項1から12のうちのいずれか一項に記載の灯火モジュール。
【請求項14】
冷却用構成要素(20)を備え、その冷却用構成要素(20)上に前記光源(2,4)と前記光学的偏向装置(6,8)とが直接的ないし間接的に固定され、当該冷却用構成要素が、前記光源に対して前記光学的偏向装置とは反対の側に配置されていることを特徴とする、請求項1から13のうちのいずれか一項に記載の灯火モジュール。
【請求項15】
請求項1から14のうちのいずれか一項に記載の灯火モジュール(1)を備えた自動車両用のヘッドライト。
【請求項16】
自動車両用の照明方向であって、カットオフビームを投射することによって第1の防眩照明機能が作り出され、第2の遮られないビームを投射することによって第2の長距離用照明機能が作り出され、カットオフビームから遮られないビームへの遷移が、特に光源によって放出された光線を通して遮蔽体を傾斜させることによって実施され、その傾斜中に、少なくとも1つの第1光源および1つの第2光源によって放出される光強度が、投射されるよう企図されるビームの関数として制御され、前記第1光源および前記第2光源は、遮られないビームを作り出すよう企図されるときには、前記第2光源の光強度を増加させるとともに前記第1光源の光強度を減少させるように制御されるのに対して、カットオフビームを作り出すよう企図されるときには、前記第1光源の光強度を増加させるとともに前記第2光源の光強度を減少させるように制御される、照明方法。
【請求項17】
前記第1光源が、モジュールによって放出されるビームの幅に渡って拡張する光線を放出するように構成され、前記第2光源が、当該モジュールによって放出されるビームの中央に集中した光線を放出するように構成されている、請求項16に記載の照明方法において、光強度を増加させる前記第1光源の制御が、前記第2光源の発光の強度を減少させることと同時に、かつ、カットオフビームを作り出すように光線を部分的に遮るための位置への前記遮蔽体の傾斜と同時に行われることを特徴とする、請求項16に記載の照明方法。
【請求項18】
前記第1光源が、モジュールによって放出されるビームの幅に渡って拡張する光線を放出するように構成され、前記第2光源が、当該モジュールによって放出されるビームの中央に集中した光線を放出するように構成されている、請求項16または17記載の照明方法において、光強度を減少させる前記第1光源の制御が、前記第2光源の発光の強度を増加させることと同時に、かつ、遮られないビームを作り出すように全ての光線を通すことを可能とする空隙位置への前記遮蔽体の傾斜と同時に行われることを特徴とする、請求項16または請求項17に記載の照明方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車両用の、照明および/または合図の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両には、夜間や限られた明かりの場合に車両前方の道路を照らすように企図されたヘッドライトが装備されている。これらのヘッドライトは、一般的には2つの照明モード:第1の「ハイビーム」モードおよび第2の「ロービーム」モードで使用することができる。「ハイビーム」モードは、これらのヘッドライトの光軸周辺に集中したビームで、車両前方の遠くの道路を強く照らすことを可能とする。「ロービーム」モードは、より短距離の道路照明を与えるが、それにも拘わらず、光軸の両側と水平線の下側とに拡張したビームで、他の道路使用者らを眩惑することなく良好な視認性をもたらす。これら2つの照明モードは、車両の遭遇する運転条件に応じて交互に用いられ、車両の手動による指令を用いて、或いは寧ろ適切な指令装置を用いて自動的に、逐次実施される。
【0003】
2つの別個のモジュール同士が同じヘッドライト内に統合されていて、これらのモジュールによって作り出されるべき「ハイビーム」および「ロービーム」の各モードに関連したビームについて知られている。
【0004】
更に、ロービーム機能とハイビーム機能の両方を単一のモジュールで作り出すように、2つの光源ないしは光源の組が設けられた灯火モジュールが知られている。それは、この複数の機能を作り出すためのモジュールの数を、かくして全体的な光ビームの所要空間を限定することを可能とする。ロービームの放出が企図されるときには、第1の光源が点灯され、放出された光線の一部を遮蔽体が遮る。それは、水平線を越えて光線が放出されることなく、カットオフビーム型の第1のビーム(即ち、車両に最も近い道路現場を照らす部分的なビーム)の形状に倣うためである。ハイビームの放出が企図されるときには、2つの光源の同時点灯が命じられる。それは、第1の光源による前述したような第1のビームと、第2の光源による付加的なビームとを形成するためである。
【0005】
そのような解決策の欠点は、「ロービーム」を形成する第1のビームと、「ハイビーム」を形成する追加的なビームとの間における暗黒線条の存在である。その暗黒線条は、遮蔽体の自由端縁部に対応している。2つの半ビーム同士の重ね合わせによって形成される全体的なビームが連続しておらず、これが運転者を妨害してしまい得るのである。
【0006】
例えばロービームを形成するビームの部分(その光強度は、第1の光源の特徴によって規定される)と、ハイビームを形成するビームの部分(その光強度は、第2の光源の特徴によって規定される)との間における光のコントラストなど、その他の諸問題も生じてしまう。
【0007】
第2の光源は、高強度の光線を放出するように設計されねばならない。特に、複数の発光ダイオードによって形成される第2の光源の場合、ハイビーム機能にはこれらのダイオードの多くをあてがうに値するが、この機能はロービーム機能よりも少ない場合にしか実施されないのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、これら種々の欠点への解決策をもたらす灯火モジュールを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため本発明は、少なくとも2つの光源と、光源によって放出された光線を偏向させるための装置と、偏向された光線を成形するための光学部品と、光学的偏向装置と成形用光学部品との間に配置されて、少なくとも2つの別個の位置をとることのできる遮蔽体とを備えた、自動車両用の灯火モジュールを提案することを目指している。本発明によれば、光源が遮蔽体の位置の関数として制御される。特に、各光源の点灯ないし消灯が遮蔽体の位置次第となるようにするか、或いは寧ろ、これらの光源の光束が遮蔽体のこの位置の関数として放出されるようにすることへの備えがなされ得る。かくして、灯火モジュールのこれら2つの構成要素同士の同時制御を通じて、「ハイビーム」モードにてビーム内に暗黒線条が存在することなく、2つの型式のビームを投射するように構成された、単一のモジュールを提案することが可能となる。
【0010】
別々に、或いは組み合わせて採用される本発明の種々の特徴によれば、以下のような備えがなされ得る。
- 光源が、遮蔽体の位置の関数として互いに独立して制御され、
- 当該灯火モジュールが、遮蔽体の指令モジュールから生じる情報を受け取るように構成された、光源の点灯を制御するためのモジュールを備え、
- 遮蔽体の指令モジュールは、遮蔽体を第1の部分的に遮る位置または第2の空隙位置に置くよう、当該遮蔽体を駆動するための機構に指示するように構成されており、その第1の部分的に遮る位置においては、光源によって放出された光線の一部分が遮蔽体により遮断され、その第2の空隙位置においては、光源によって放出された光線が遮蔽体により全く遮断されないか、或いは、多くとも第1の位置で遮蔽体によって遮断される光線の部分に比べて少ない量が遮断され(第1部分に対して少ない、若しくは小さい量という用語は、第2の空隙位置にある遮蔽体によって第1部分に相当する光線の量の多くとも10%が遮断されることを意味するものと理解されたい)、
- 偏向装置は、光源のうちの1つとそれぞれ関連付けられた複数の反射器を備え
- 偏向装置は、光軸に沿って順次配置された2つの反射器を備え、
- 偏向装置は、光軸に対して横方向に隣り合って配置された少なくとも2つの反射器を備え(横方向軸線は、各光源の支持面内で光軸に垂直な軸線であると理解されたい)、
- 少なくとも2つの反射器が、互いに異なる焦点距離を有するように構成され、
- 2つの反射器のうち1番目の反射器が、2つの反射器のうち2番目の反射器の焦点距離よりも短い焦点距離を有し、2つの反射器のうち当該2番目の反射器が、2つの反射器のうち1番目の反射器と遮蔽体との間に配置され、
- 当該灯火モジュールが3つの反射器を備え、3つの反射器のうちの1番目が、他の2つの反射器の焦点距離よりも長い焦点距離を有し、3つの反射器のうち、この1番目の反射器が他の2つの反射器同士の間に配置され、
- 少なくとも1つの光源は、発光強度を変更することのできる1つないし複数の発光手段を備え、光源によって放出される光線の発光強度を変化させることによって、光源が遮蔽体の位置の関数として制御され、
- 少なくとも1つの光源は、選択的にアドレス指定可能な複数の発光素子を備え、これらの発光素子を点灯および/または消灯させることによって、光源が遮蔽体の位置の関数として制御され、
- 光源のそれぞれが、この光源によって放出される光強度を遮蔽体の位置の関数として変更するように制御され、その変更は、遮蔽体が1つの位置から他の位置へと遷移するときに、強度を低下させる方向、または強度を上昇させる方向に行われ、遮蔽体が1つの所与の位置からもう1つの位置へと遷移するときに2つの光源同士が反対の方向に制御され、
- 遮蔽体が、横方向軸線回りの回転方向に可動となっており(横方向軸線は、従前のように各光源の支持体の平面内において光軸に垂直な軸線であるものと理解されたい)、
- 遮蔽体が2つの壁体を備え、それらの壁体は、遮蔽体が光線を部分的に遮るための第1位置にあるときに、光軸に沿って互いに相対的にずらされた位置をとるように構成されており(この第1の遮る位置において、1つの壁体の自由端縁部は、レンズの赤色焦点面の近傍に置かれ、別の壁体の自由端縁部は、レンズの青色焦点面の近傍に置かれる)、
- 当該灯火モジュールが冷却用構成要素を備え、その冷却用構成要素上に各光源と光学的偏向装置とが直接的ないし間接的に固定され、当該冷却用構成要素が、光源に対して偏向装置とは反対の側に配置され(冷却用構成要素が下にある状態で各構成要素が垂直方向に並べられるモジュールの特定の構成が、好適なものとなり得る)、
【0011】
本発明は更に、前述したような灯火モジュールを備えた自動車両用のヘッドライトに関するものである。
【0012】
本発明は更に、自動車両用の照明方向であって、カットオフビームを投射することによって第1の防眩(グレアフリー)照明機能が作り出され、第2の遮られないビームを投射することによって第2の長距離用照明機能が作り出され、カットオフビームから遮られないビームへの遷移が、特に光源によって放出された光線を通して遮蔽体を傾斜させることによって実施され、その傾斜中に、少なくとも1つの第1光源および1つの第2光源によって放出される光強度が、投射されるよう企図されるビームの関数として制御され、遮られないビームを作り出すよう企図されるときには、第1光源が第2光源よりも高い強度で発光するように制御されるのに対して、カットオフビームを作り出すよう企図されるときには、第1光源が第2光源よりも低い強度で発光するように制御される、照明方法に関するものである。
【0013】
第1光源が、モジュールによって放出されるビームの幅に渡って拡張する光線を放出するように構成され、第2光源が、当該モジュールによって放出されるビームの中央に集中した光線を放出するように構成されることへの備えがなされ得るが、この場合の照明方法は、光強度を低下させることによる第1光源の制御が、第2光源の発光の強度の上昇と同時に、かつ、カットオフビームを作り出すように光線を部分的に遮るための位置への遮蔽体の傾斜と同時に行われる、ことを特徴とし得る。
【0014】
変形例として、光強度を上昇させることによる第1光源の制御が、第2光源の発光の強度の低下と同時に、かつ、遮られないビームを作り出すように全ての光線を通すことを可能とする空隙位置への遮蔽体の傾斜と同時に行われ得る。
【0015】
本発明の更なる特徴、詳細、および利点は、以下の図面に示される本発明の種々の実施形態を参照して(例として与えられる)詳細な説明を読み取ることで、よりはっきりと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態による灯火モジュールの模式図であって、「ロービーム」型のビームを放出するための第1作動モードを表すよう、各光源によって放出された光線の一部の経路を示す図。
図2図1の灯火モジュールの模式図であって、「ハイビーム」型のビームを放出するための第2作動モードを表すよう、各光源によって放出された光線の一部の経路を示す図。
図3】本発明の第2実施形態による灯火モジュールの模式図であって、一方の光源と関連付けられる一方の反射器における一方の焦点上に配置された双壁型遮蔽体の効果をより特定的に示す図。
図4】斯かる双壁型遮蔽体の実施形態の斜視図。
図5】本発明の第1実施形態による灯火モジュールの模式平面図であって、「ハイビーム」型のビームを放出するための第1作動モードを表すよう、各光源によって放出された光線の一部の経路を示す図。
図6】灯火モジュールから距離を置いた壁面上に投射することができる際の「ハイビーム」型のビームを示すと共に、異なるビームを形成する光線の放出に対応した各光源の制御を示す模式的表現の図。
図7】灯火モジュールから距離を置いた壁面上に投射することができる際の「ロービーム」型のビームを示すと共に、異なるビームを形成する光線の放出に対応した各光源の制御を示す模式的表現の図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による灯火モジュール1は、自動車両のヘッドライト内に設置されるよう企図されている。このモジュールは、少なくとも2つの光源2,4であって、それらの光源が放出するであろう光線を光学的に偏向させるための装置6,8とそれぞれ関連付けられる光源2,4に加えて、偏向された光線を成形するための光学部品10も備えている。当該成形用光学部品は、光学的偏向装置6,8のそれぞれに共通のものである。放出された光線はかくして、灯火モジュール1を出て、照明および/または合図用のビームの形成に関与するために偏向させられるのである、ということを理解されたい。本発明によれば、灯火モジュールは、特に各光源の制御の関数として、少なくとも2つの型式の光ビームを放出することができるように構成されている。それらの光ビームのうちには「ロービーム」型のビームと「ハイビーム」型のビームとがあるが、それらは、それぞれ水平線上のカットオフを伴うか否かの形状の点と、それぞれの光強度によっての両者で互いに異なっている。即ち、光強度はそれぞれ、ビーム全体に渡って均一な強度であるか、「ロービーム型」のビームに対して、ビームの中央部とビームの縁部との間で強度が低下し得る比較的均一な強度であるか、或いは寧ろ、中央部で最大となり側方でより拡散した強度である。更に、「ハイビーム」型のビームの最大強度は、「ロービーム」型のビームの最大強度よりも高く、特に約2倍高くなっている。
【0018】
図示例において、成形用光学部品10は、光軸11を画定する集束レンズの形状をしており、その光軸11上に光源2,4のそれぞれが配置されている。各光源の位置は、本発明の範囲から逸脱することなく僅かに異なることができ、これらの光源は光軸のやや下か、やや上に定置され得る。
【0019】
灯火モジュールは更に、光学的偏向装置6,8と成形用光学部品10との間に配置された遮蔽体12を備えている。当該遮蔽体12は、少なくとも2つの別個の位置、特に2つの末端位置(図1および図3に示す光線を部分的に遮るための第1位置と、図2に示す第2の空隙位置と含む)をとるよう、可動となっている。
【0020】
灯火モジュール1は更に、1つないし複数の指令ないし制御モジュール14,16を備えている。それらのモジュール14,16はそれぞれ、光源2,4の作動、および/またはこれらの光源によって放出される光束、および/または遮蔽体12の位置を制御するように構成されている。
【0021】
本発明によれば、各光源2,4が、遮蔽体12の位置の関数として、点灯と、強度ないし放出光束との両者の点で制御される。また、灯火モジュール1は、各光源の動作を制御するためのモジュール14を備えている。そのモジュール14は、遮蔽体の位置を指図するのに専用な別個の指令モジュール16から生じる情報を受け取るように構成されている。2つの指令および制御モジュール14,16は、(少なくとも指令モジュール16から制御モジュール14へ向かう方向に)情報が交換されることを可能とするように構成された通信手段を備えている。図1および図2には、2つのモジュール同士の間の有線接続が示されている。但し、通信手段は無線通信手段から成っていることができる、ということを理解されたい。
【0022】
以降、特に図6および図7を参照して、如何にして各光源が遮蔽体の位置の関数として制御されるかの説明が与えられることとなる。特に、少なくとも1つの光源が1つないし複数の発光手段(発光強度を変更することのできるもの)を具備していて、当該光源によって放出される光線の発光強度を変化させることによって、当該光源が遮蔽体の位置の関数として制御されることへの備えをなすことが可能である。
【0023】
このようにして、それぞれの光源を、遮蔽体の位置の関数として、この光源によって放出される光束を変更するように制御することができる。その光束は、遮蔽体が1つの所与の位置から他の位置へと遷移するときに、光束を減少させる方向か、或いは光束を増大させる方向に変更される。以下のことを読み取ることによって、遮蔽体を1つの所与の位置から別の位置へと遷移させるときに、2つの光源同士を特に反対方向に制御することができる、ということを理解されたい。更に、本発明により、遮蔽体の位置が変化する毎に光束を増減させることよって各光源を制御しつつ、ある光源を、全ての場合に他の光源によって放出される光束よりも多い光束を放出するように保つことが可能である。
【0024】
各光学的偏向装置6,8は、本発明によれば、反射器7,9を備えていて、これらの反射器7,9が光源2,4のうちの1つとそれぞれ関連付けられている。それぞれの光源と光学的偏向装置とは、支持体18に対して不動に連結されており、その支持体18上には熱交換装置20も設置されている。
【0025】
各光源は、特に支持体18の第1面21上、とりわけ略楕円状の反射器の方を向いた上面上に配置されている。熱交換装置20は、この第1面21とは反対側の面上で支持体に固定されることができ、或いは、この支持体と一体となるように製造されることさえできる。図示例においては、光源2,4と反射器7,9とが支持体18の上面上に配置され、熱交換装置20が各光源の下に配置されるように、各構成要素が垂直方向に並べられている。
【0026】
図1から図4に示す実施形態においては、2つの光源と2つの反射器とが設けられ、各反射器は、対応する光源に対して決められた位置にするために、支持体18に対して不動に連結されている。
【0027】
特に、各反射器は、楕円状ないし略楕円状の内側反射面22を伴った殻の形状をしている。その結果、各反射器は2つの焦点を有しており、対応する光源が第1の焦点の所に定置される。光源は自らの光エネルギーの大部分を内側反射面に向かって放出するが、その光源が反射器の第1焦点近傍に配置されているが故に、放出された光線は反射器の第2焦点に向かって偏向させられる。光源によって放出された光線が当たる内側反射面22の区域における楕円状ないし略楕円状の性質により、それらの光線は、第2焦点へと精確に転移するため、或いは第2焦点の周囲に比較的大きな拡張距離で転移するため、また、かくして成形用光学部品によって投射された後に適切なビームを形成するであろうスポットを形成するために偏向させられる。
【0028】
それらの反射器は、第2焦点同士が互いの近傍に配置され、有利には一致するように、形状が構成され、互いの相対的な位置が定められている。
【0029】
光源と反射器とによって形成される各組立体については、光軸を含む垂直断面内において、光源2,4は、一方では実質的に、成形用光学部品(この場合はレンズ)により画定される光軸11上に配置され、他方では対応する反射器7,9の第1焦点f17,f19上に配置されることによって、反射器7,9の方に向けられている。更に、この反射器の第2焦点f2は、レンズの物体焦点と略一致している。それは、第1焦点f17,f19から放出されて第2焦点を通過するために偏向された光線が、レンズから装置の外側へ向かって光軸と平行に出て行くことができるようにである。
【0030】
2つの反射器7,9同士は、光軸11に沿って前後に並んで配置されている。
【0031】
第1反射器7は、第1光源2と関連付けられて光軸11上に配置される第1光学的偏向装置6を形成する。また第2反射器9は、第2光源4と関連付けられる第2光学的偏向装置8を成形するが、その偏向装置8もまた、第1光源と、成形用光学部品10を形成するレンズとの間で光軸11上に置かれるよう、この光軸上に配置される。
【0032】
第2反射器9は、その後方部分、即ち成形用光学部品の方を向いた部分において、第1反射器と一続きをなすように開いている。その結果、第1反射器の反射面によって成形用光学部品に向かって偏向された光線は、第2反射器の存在によって影響を受けることはない。
【0033】
本発明によれば、2つの反射器7,9は、互いに異なる焦点距離を有するように構成されている。各図に示す場合、第1反射器は、第2反射器の焦点距離F2よりも短い焦点距離F1を有している。2つの反射器のうち第2反射器は、先に明記したように、第1反射器と遮蔽体との間に配置されている。
【0034】
第1反射器7の短い焦点距離によって、広い光ビームを投射することが可能となる。このことは、道路現場全体に渡って広がるビームを生じさせるのに好適であるが、それは「ロービーム」型のビームにとって望ましいことである。更に、図4で見ることができるように、第1反射器7の内側反射面の形状は、第2焦点の両側へ偏向された光線を第1拡張距離d1(図5に示す)に渡って広げるように計算されている。
【0035】
この目的のために、反射面は特に、光軸の周囲に画定されるストリップの楕円状の形状と、この面の縁部上での略楕円状の形状とで画成することができる。
【0036】
第2反射器9の長い焦点距離は、反対に光軸の周囲に集中するビームが投射されることを可能とする。それより、遙かに集中した箇所をビーム内に形成することが可能となるが、それは「ハイビーム」型のビームにとって望ましいことである。更に、図4で見ることができるように、第2反射器9の内側反射面の形状は、偏向された光線の最小限の拡張のために計算されている。それにより、第2焦点の両側におけるこれらの光線の拡張が、第1拡張距離d1よりも短い(この場合は最小限の)第2拡張距離に渡って生じる。その結果、それは第2焦点と一致し、第2反射器によって反射された全ての光線(図5に二重矢印で示す)が、成形用光学部品10から光軸と平行に出て行く。これは、無限遠で光軸の周囲に集中した像に帰着し、それがビームのスポット、即ち照らすべき道路現場上を中心とした最大光束の箇所をもたらす。
【0037】
反対に、拡張距離d1のせいで、第1反射器によって偏向された光線の一部(図5に一重矢印で示す)は、成形用光学部品10から光軸に対して発散することにより出て行く。これは、無限遠での拡張ビームに帰着する。
【0038】
かくして、図5は平面図として次のことを示している、ということを理解されたい。即ち、如何にして、反射器同士の互いにずらされた異なる焦点距離での配置が、第1光源と第1反射器とで形成される組立体を、ビームの幅を作り出すのに専用のものとすることを可能とする一方で、第2光源と第2反射器とで形成される組立体はビームのスポットをもたらすか、ということである。
【0039】
図1から図4に見ることができるように、遮蔽体12は、この遮蔽体の自由端縁部が両反射器の第2焦点付近に置かれるよう、灯火モジュール1内に配置されている。
【0040】
図1および図2に示す第1実施形態において、遮蔽体12は、横方向軸線(即ち、灯火モジュールの光軸に垂直な軸線)回りの回転方向に可動となっている。また、遮蔽体12はプレートから成っているが、その端縁部24が光学的偏向装置の第2焦点付近にあるよう構成されている。遮蔽体12の位置を指図することによって、関連した指令モジュール16から駆動機構(この場合は、遮蔽体と関連付けられた図示しないアクチュエータ)への指示を通じて、遮蔽体を(前述したように)光線を部分的に遮るための第1位置から、第2の空隙位置へと転移させることが可能となる。その第1位置においては、光源によって放出された光線の第1部分が遮蔽体によって遮断され(図1)、第2位置においては、光源によって放出された光線が、遮蔽体によっては全く遮断されないか、或いは、多くとも当該光線のうち、第1位置においては遮蔽体によって遮断される第1部分の方を向いた僅かな量が遮蔽体によって遮断される(図2)。
【0041】
遮蔽体12は、略中央にある段部を形成する傾斜部分を有したプロファイルの自由端縁部24を備えることができる。それは、遮蔽体12が光線を部分的に遮る位置にあるときに投射されるカットオフビームを示す図7に見ることができるように、道路現場の他側にて到来する車両を眩惑する危険性を伴うことなく道路現場のより遠くの照明を可能とする、そのような段部を、ビームが自らの上部に有するようにである。
【0042】
遮蔽体の原理は、次のように理解されたい。即ち、第1焦点f17,f19へと精確ではなく放出された光線R1や、或いは寧ろ、内側反射面の完全に楕円状ではない形状のせいで第2焦点f2の両側に拡張された光線は、第2焦点f2の上流側で光軸と交差するときに遮断されるが、これらの光線は、遮断されなかったとすれば、レンズの物体焦点の上流側で光軸と交差することから、レンズを出て行く際に上方へ向けられるであろう、ということを理解されたい。
【0043】
遮蔽体を用いること、および、それが傾斜可能であることによって、同じ灯火モジュールにおいて、カットオフビームを投射することによる第1の防眩照明機能と、第2の遮られないビームを投射することによる第2の長距離用照明機能との両方を作り出すことが可能となる。
【0044】
ここで、灯火モジュールの動作、そして特に遮蔽体の位置の関数としての各光源の制御を説明することとする。
【0045】
本発明を実施する際には最も多くの場合にそうであるように、第1の防眩照明機能用のカットオフビームを作り出すことが目的であるとき、制御モジュール14は、第1の短焦点距離反射器7と関連付けられる第1光源2の高負荷作動に関する指示と、第2の長焦点距離反射器9と関連付けられる第2光源4の低負荷作動に関する指示とを発信する。読み取りを容易にするために、第1の防眩照明機能の実施形態を描く図1は、最大負荷時に、ある数(この場合は3つ)の光線を放出する第1光源を模式的に示しているが、その光線の数は、第2光源によって低負荷時に放出される光線の数(この場合は1つ)よりも多い。
【0046】
本発明によれば、種々の光源に、異なる出力で発光するように構成された複数の発光素子が設けられているのが有利である。そのため、第1光源は、50luxの最大強度で光ビームを形成するであろう最大負荷時の光線を放出するのに適した発光素子を備え、第2光源は、50luxから100luxの間の強度で光ビームを形成するであろう最大負荷時の光線を放出するのに適した発光素子を備える。
【0047】
第1の防眩照明機能の場合には、例えば、均一に拡張されるビームを有することによって、約50luxの最大強度で道路現場を照らすことが目的である。そのため、第2光源によって放出される光束は、第1光源によって放出される光束の値に近い値まで持っていくように減少される。
【0048】
当該「lux」強度値が、25mの所に置かれた光軸に垂直な平面に渡ってのビーム投射について、この平面上で行う計測で得られる、ということは注目に値する。更に、上述した50luxや100luxの値はヘッドライトの発光値に関するものであって、ヘッドライトの発光値と、ヘッドライト内に収容された灯火モジュールの発光値との間には15%までのずれが記録され得る、ということを理解されたい。
【0049】
図1に示すように、第1の防眩照明機能を得る目的で、遮蔽体12が光線を部分的に遮る位置されるために制御される。それは、水平線を越えて投射されるであろう、かくして他の使用者達を眩惑しそうな光線を遮断するようにである。図7に見ることができるように、遮蔽体12の端縁部24と同等の輪郭のカットオフ縁部32を伴った、ロービーム30と呼ばれるビームが作り出される。そのビーム30は、第1光源によって放出されて第1の短焦点距離反射器によって偏向された光線を成形することで形成される第1の広い区域34と、その第1の広い区域内での光束よりも(それぞれの光源によって放出された光線同士の重ね合わせのために)光束が僅かに多い第2の区域35とを備えている。
【0050】
第1の防眩照明機能から第2の照明機能へ遷移せよとの指令を使用者が送るとき、或いは寧ろ、この第2の照明機能へ遷移するのが好ましい諸条件を、車両に搭載された要素が検出したとき、即ち別の道路使用者を眩惑する危険を必然的に冒すことなく高い光度の必要性が検知されたときには、遮蔽体を部分的遮断位置から空隙位置へと転移させることによって、カットオフビームから、遮られないビームへの遷移が実施される。図示の場合においては、指令モジュール16からの指示を通じて遮蔽体が回動させられ、その結果、図2に見ることができるように、その遮蔽体はもはや、各光源によって放出された光線の中には置かれないのである。
【0051】
本発明によれば、遮蔽体の転移に関する情報が、制御モジュール14に1つないし複数の光源を作動させる指示の切っ掛けとなり続けるよう、考慮される。特に、指令モジュール16が、遮蔽体の転移に関する情報を指令モジュールへ直接的に伝えるように構成されることへの備えをなすことができる。
【0052】
同時に、遮蔽体の転移に続いて、指令モジュール14は、2つの光源それぞれを作動させるための少なくとも1つの指示を生成し、発信する。その作動指示は、オン/オフ指示や、作動強度に関する指示を含むことができる。
【0053】
本発明の特定の実施形態においては、第1と第2のいずれの照明機能を実施する意図であろうとも2つの光源が恒久的に点灯され、それぞれの光源によって放出される光強度が、投射されるのを望まれるビームの関数として制御される。
【0054】
特に、制御モジュール14は、第1光源2の低負荷作動に関する指示と、第2光源の全負荷作動に関する指示とを発信する。
【0055】
本発明の特定の実施形態においては、一方の光源の光束の減少と、他方の光源の光束の増加とを制御することが、遮蔽体の位置の変化と同時に実行される、ということを理解されたい。
【0056】
かくして、第1の場合において、第1光源をその光束を増加させるように制御することは、第2光源の光束を減少させることと同時に、またカットオフビームを作り出すように光線を部分的に遮るための位置へと遮蔽体を傾斜させることと同時に生じさせることができる。
【0057】
更に、第2の場合において、第1光源をその光束を減少させるように制御することは、第2光源の光束を増加させることと同時に、また遮られないビームを作り出すように全ての光線を通すのを許容する空隙位置へと遮蔽体を傾斜させることと同時に生じさせることができる。
【0058】
「ロービーム」型の第1の防眩照明機能から「ハイビーム」型の第2の照明機能へと遷移するとき、作動指示は、第1光源による光線の放出に由来する光束を減少させる要求と、第2光源による光線の放出に由来する光束を増加させる要求とに対応している。
【0059】
図6に見ることができるように、これはハイビームと呼ばれる遮られないビーム38に帰着する。そのビーム38は、第1光源によって放出されて第1の短焦点距離反射器によって偏向された光線を成形することで形成される第1の広い区域40と、ビームの中央の所の第2の区域42とを備え、その第2の区域42が、第1の広い区域40内よりも光束の多い区域となっている。
【0060】
以降、ロービーム型の照明モードへの転換が求められる状況が識別されるとき、即ち、「ハイビーム」型の第2の照明機能から「ロービーム」型の第1の防眩照明機能へと遷移するとき、作動指示は、第1光源による光線の放出に由来する光束を増加させる要求と、第2光源による光線の放出に由来する光束を減少させる要求とに対応している。
【0061】
本発明によれば、光束の増減を管理するように各光源を作動させるための指示は、次のように規定することができる。即ち、ハイビーム38の第1の広い区域40、ロービーム30の第1の広い区域34、ロービーム30の第2の中央区域36、およびハイビーム38の第2の中央区域42が重視されるかどうかよって、これらの区域それぞれにおける光束が増加するようにである。対応する各区域が図6および図7に示されており、投射されるビームに従って各光源の作動の大きさを決める、この発展性を示している。それらの区域は、光束の多いほど密に各区域に書き込まれた線を有している。
【0062】
光学的偏向装置6,8を形成する各反射器の形状および配置は、変化させることができ、特に光軸に対して横方向に互いに近接して並べられた少なくとも2つの反射器を含むことができる。例えば、光学的偏向組立体に3つの反射器を備えさせようとすることが可能である。その場合、3つの反射器のうち第1の反射器が、他の2つの反射器の焦点距離よりも長い焦点距離を有し、3つの反射器のうち、この第1の反射器が他の2つの反射器同士の間に配置される。
【0063】
ここで本発明の第2実施形態を、特に図3の例示を参照して説明することとするが、それは遮蔽体112が2つの壁体を備えている点で第1実施形態と異なっている。
【0064】
そのような双壁型遮蔽体は、特に「ロービーム」型のビームを形成する場合におけるカットオフ上での色収差問題に対処するのに用いられる。実際、反射器は、各光線同士がそれらの波長とは無関係に同じ経路を有する、色消し(色収差補正)システムから成っている。しかしながら、図示するような厚い凸平レンズにより形成された成形用光学部品は、色収差が大きいものであり、即ち各光線の経路がそれらの波長によって左右されてしまうのである。各反射器およびレンズに共通の光軸11に沿ったレンズの物体焦点の位置は、重視される波長によって決められることとなる。特に、簡素化の目的のために、可視光のうち青色と赤色の波長を重視し、かくしてレンズについて青色焦点Fbと赤色焦点Frとを規定することができる。
【0065】
当該システムが備え付けられたときには、バックフォーカス(後ろ側焦点)調節によって、レンズを、その青色焦点Fbまたは赤色焦点Frが各反射器の第2焦点と一致するように定置することが可能となる。無限遠、或いはヘッドライトの寸法に対して相当に遠い距離において、図1および図2に示すような単一遮蔽体の物理的限界の像は、レンズのバックフォーカス調節次第で色が変わり、特に(各反射器の第2焦点と一致する青色焦点Fb、或いは逆に赤色焦点Frを伴うならば)赤色、或いは逆に青色となり得る。
【0066】
この場合、壁体44,46同士が光軸に沿ってずらされるように構成された双壁型遮蔽体112の使用によって、色収差鋭敏性が減じられる。第1の形状構成位置において、遮蔽の各壁体の端縁部124は、光軸付近に置かれている。その状態では、第1壁体44の縁部がレンズの赤色焦点面Fr近傍の平面内に位置し、第2壁体46の縁部がレンズの青色焦点面Fb近傍の平面内に位置している。この配置は、2つの独立して連なった遮蔽体を実施することによって同等に作り出すことができる、ということを理解されたい。
【0067】
この場合、2つの壁体は、打ち抜かれて略V字形やU字形に(凹んだ方を上方に向けて)折り曲げられた単一の切抜き金属部品から形成される。その結果、遮蔽体は、回転の軸線がその上に形成される基部48を備えている。各壁体は、図3に示すように遮蔽体が光線を遮るための第1位置にあるときには、光軸に沿って互いに相対的にずらされる位置をとるように構成されている。
【0068】
第2壁体46は、上端縁部124を定める不透明な横方向ストリップ50と、このストリップの下で光軸の両側に広がる、光線に対して透明な区域52とを備えているのが好ましい。
【0069】
遮蔽体112の壁体44,46における端縁部の切抜き同士は、図4に示すように略同一である。上端縁部の水平な上部と水平な低部とが、傾斜した縁部によって互いに連結されている。そして、青色焦点面Fbと関連付けられる壁体46についての水平な上部と傾斜した縁部との交点を、光軸上に位置合わせすることへの備えをなすことができる。
【0070】
各縁部の切抜き同士によって、色変化の全くない自然な光ビームのカットオフを得ることを可能とする、像同士の重ね合わせがもたらされる。
【0071】
第2壁体については、カットオフに対応した上部、即ち横方向ストリップ50のみが、ビームの色変化の危険性を排除するのを助け、その結果、透明な区域52の存在が組立体の色消し性を変えることはない、ということを理解されたい。但し、この透明な区域52は、光線がビームを形成するのを助けることは可能とする。結果として得られるのは、ヘッドライトの測光的な性能の実質的改善、およびカットオフ近傍でのより集中した箇所の達成である。
【0072】
上記の説明は、本発明がその言明した目的を如何にしてかなえることができるか、特に、次のことを伴った2つの別個の照明機能が作り出されるのを可能とする灯火モジュールを如何にして提案するのかを明確に説明している。即ち、特に「ロービーム」のビームの品質における均一性、ビームの一方ないし他方の生成に関連した光源のそれぞれを形成する各発光素子の使用の最適化、および(適切ならば)色変化のないカットオフビームの達成である。
【0073】
もちろん、非限定的な例として説明されてきたばかりの自動車両用の灯火モジュールに対しては、当業者によって種々の変更が成される得るが、それは防眩ビームを得るのが目的であるときにビームの一部をカットするのにも用いられる遮蔽体の位置の関数として、光源の発光動作特性が決められる限りにおいてである。例えば、1つないし複数の光源を形成する各発光素子を制御することに代えて、1つないし複数の付加的なフィルタ(そ(れら)の配置が、各光源によって放出される光束を遮蔽体の位置の関数として増減させるのを助けるもの)を制御することによって光束を制御することへの備えがなされ得る。
【0074】
いずれにしても、本発明は、この文書で具体的に説明された実施形態には決して限定されるものではなく、特に如何なる等価な手段や、これらの手段を用いた如何なる技術的な組合せにも及ぶものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7