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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】運転支援方法及び運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221125BHJP
   B60W 30/08 20120101ALI20221125BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60W30/08
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018093037
(22)【出願日】2018-05-14
(65)【公開番号】P2019200464
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-02-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】三品 陽平
(72)【発明者】
【氏名】高松 吉郎
(72)【発明者】
【氏名】黒川 貴都
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/170647(WO,A1)
【文献】特開2016-122308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G01C 21/00-21/36
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に搭載された、前記自車両の周囲の物体を検出する物体検出部と、前記物体検出部により検出された前記物体に基づいて前記自車両を制御するコントローラと、を備える制御装置における運転支援方法であって、
前記コントローラは、
前記自車両の周囲の道路情報、前記自車両の位置又は姿勢、および、前記物体に基づいて、前記自車両が走行する走行経路と交錯する交錯道路上に、前記物体によって生じる前記物体検出部の死角となる第1領域が存在するか否かを判定し、
前記走行経路のうち、前記交錯道路を走行する他車両および前記物体が通過する確率が所定値以下となる位置の集合を第2領域として算出し、
前記第1領域が存在する場合、前記第2領域の中で前記自車両の停止位置を設定し、
前記停止位置に向かって前記自車両を前進させること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、
前記停止位置に向かって前記自車両を前進させる間、再度算出した前記第2領域に基づいて前記停止位置を更新し、
更新後の前記停止位置に向かって前記自車両を前進させること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、前記第2領域に含まれる複数の位置の中から前記確率が小さい順に従って、前記自車両の停止位置を設定すること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、前記自車両が交差点内を走行する場合に、
前記物体として前記自車両に対向する他車両を検出し、
前記他車両に基づいて前記第1領域を算出すること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項5】
請求項に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、所定車速以下の車速で走行する前記他車両に基づいて前記第1領域を算出すること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、前記第1領域が減少するように前記自車両の位置又は姿勢を制御した後、前記自車両が前記交錯道路を横断する制御を行うこと
を特徴とする運転支援方法。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、
前記自車両が前記交錯道路よりも優先度が低い非優先車線を走行しているか否かを判定し、
前記自車両が前記非優先車線を走行していると判定された場合に、前記第1領域が減少するように前記自車両の位置又は姿勢を制御すること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、前記自車両の位置と前記交錯道路との間に中央分離帯がある場合に、前記自車両が前記交錯道路に進入しない位置を前記停止位置とすること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、交差点内で前記自車両が一方向に旋回し、かつ、前記自車両に対向する対向車両が前記交差点内で前記自車両からみて前記一方向とは逆の方向に旋回する場合に、前記物体検出部が前記対向車両の後端部よりも前記対向車両が走行する車線の幅方向の前記一方向の側に位置するように前記停止位置を設定すること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、前記自車両がカーブ路を走行する場合に、前記自車両が走行する車線に対してカーブ外側で隣接する車線に存在する前記第1領域が最小化される位置を前記停止位置とすること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、前記停止位置が横断歩道の上となる場合には、前記横断歩道の手前の位置に前記停止位置を変更すること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、
所定時間ごとに前記停止位置を更新し、
更新後の停止位置に向かって前記自車両を前進させること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項13】
請求項12に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、前記停止位置が更新されない場合には、前記自車両の運転者に手動制御が必要であることを通知すること
を特徴とする運転支援方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の運転支援方法であって、
前記コントローラは、
前記道路情報に基づいて定まる第3領域を前記交錯道路の上に設定し、
前記第3領域と前記第1領域が重なっていない場合には、前記自車両の発進をおこなうこと
を特徴とする運転支援方法。
【請求項15】
自車両に搭載された、前記自車両の周囲の物体を検出する物体検出部と、前記物体検出部により検出された前記物体に基づいて前記自車両を制御するコントローラと、を備える運転支援装置であって、
前記コントローラは、
前記自車両の周囲の道路情報、前記自車両の位置又は姿勢、および、前記物体に基づいて、前記自車両が走行する走行経路と交錯する交錯道路上に、前記物体によって生じる前記物体検出部の死角となる第1領域が存在するか否かを判定し、
前記走行経路のうち、前記交錯道路を走行する他車両および前記物体が通過する確率が所定値以下となる位置の集合を第2領域として算出し、
前記第1領域が存在する場合、前記第2領域の中で前記自車両の停止位置を設定し、
前記停止位置に向かって前記自車両を前進させること
を特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援方法及び運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前方の物体を検出するセンサを有する車両が、交差点で対向車線を横切って右左折を行う場面において、右左折を待機する間、対向車線からの右左折を待機する車両により、対向車線にセンサの死角が生じることがある。これに対して、対向車線からの車両によるセンサの死角の度合いに応じた右左折のリスクを運転者に報知する運転支援装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-90582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、右左折に対する支援方法が運転者へのリスク報知に留まり、対向車線からの右左折を待機する車両による死角を考慮した停止位置を提案するものではない。そのため、センサの死角を考慮して、自車両の停止・発進判断を行うことができない。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、自車両の周囲の障害物によってセンサに死角が存在する場合であっても、自車両の停止・発進判断を行う運転支援方法及び運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決するために、本発明の一態様に係る運転支援方法及び運転支援装置は、自車両の周囲の道路情報、自車両の位置又は姿勢、および、物体検出部によって検出した、自車両の周囲の物体に基づいて、自車両が走行する走行経路と交錯する交錯道路に存在し、物体によって生じる物体検出部の死角となる第1領域を算出し、第1領域が減少するように自車両の位置又は姿勢を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自車両の周囲の障害物によってセンサに死角が存在する場合であっても、センサの死角を考慮して、自車両の停止・発進判断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る停止位置制御の処理手順を示すフローチャートである。
図3A図3Aは、第1走行シーンを示す平面図である。
図3B図3Bは、第1走行シーンの前期の状態を示す平面図である。
図3C図3Cは、第1走行シーンの後期の状態を示す平面図である。
図4A図4Aは、第2走行シーンの前期の状態を示す平面図である。
図4B図4Bは、第2走行シーンの後期の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。説明において、同一のものには同一符号を付して重複説明を省略する。
【0010】
[運転支援装置の構成]
図1は、本実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る運転支援装置は、物体検出部21と、目的地設定部11と、自己位置推定部13と、地図取得部14と、処理部100と、提示部41と、アクチュエータ51とを備える。
【0011】
物体検出部21は、自車両V1に搭載された、レーザレーダやミリ波レーダ、カメラなど、自車両V1の周囲に存在する物体を検出する物体検出センサを備える。物体検出部21は、複数の異なる種類の物体検出センサを備えるものであってもよい。
【0012】
物体検出部21は、物体検出センサを用いて、自車両V1の周囲の環境を検出する。例えば、物体検出部21は、他車両、バイク、自転車、歩行者を含む移動物体、及び停止車両を含む静止物体を検出し、移動物体及び静止物体の自車両V1に対する位置、姿勢、大きさ、速度、加速度、減速度、ヨーレートを検出する。物体検出部21は、検出結果として、例えば自車両V1の上方の空中から眺めた天頂図(平面図ともいう)における、2次元の物体の挙動を出力する。また、物体検出部21は、自車両V1の周囲に存在する標識(道路標識や路面表示された標識)やガイドレール等を検出するものであってもよい。
【0013】
自己位置推定部13は、自車両V1に搭載された、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)やオドメトリなど自車両V1の絶対位置を計測する位置検出センサを備える。自己位置推定部13は、位置検出センサを用いて、自車両V1の絶対位置、すなわち、所定の基準点に対する自車両V1の位置、姿勢及び速度を計測する。
【0014】
地図取得部14は、自車両V1が走行する道路の構造を示す地図情報を取得する。地図取得部14は、地図情報を格納した地図データベースを所有してもよいし、クラウドコンピューティングにより地図情報を外部の地図データサーバから取得しても構わない。地図取得部14が取得する地図情報には、車線の絶対位置や車線の接続関係、相対位置関係などの道路構造の情報が含まれる。
【0015】
更に、地図取得部14は、更新頻度の高い地図情報(例えば、ダイナミックマップに埋め込まれている情報)を取得する。具体的には、地図取得部14は、1秒以下の頻度で更新される動的情報、1分以下の頻度で更新される准動的情報、1時間以下の頻度で更新される准静的情報を自車両V1の外部から無線通信により取得する。例えば、動的情報には、周辺車両、歩行者、信号機の情報が含まれ、准静的情報には、事故情報、渋滞情報、狭域気象情報が含まれ、准静的情報には、交通規制情報、道路工事情報、広域気象情報が含まれる。これに対して、上記した「道路の構造を示す地図情報」は、1時間以下の頻度で更新される静的情報に相当する。
【0016】
目的地設定部11は、自車両V1の走行経路を設定するために必要な目的地の情報を、ユーザから受け付ける。
【0017】
処理部100は、物体検出部21及び自己位置推定部13による検出結果及び地図取得部14による取得情報に基づいて、自車両V1の経路を生成する。そして、アクチュエータ51は、処理部100からの指令に基づき、生成した経路に従った、自車両V1の位置又は姿勢の制御を行う。また、処理部100からの指令に基づき、提示部41は所定の情報をユーザに提示する。
【0018】
処理部100(制御部またはコントローラの一例)は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。処理部100には、運転支援装置として機能させるためのコンピュータプログラム(走行支援プログラム)がインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、処理部100は、運転支援装置が備える複数の情報処理回路(15、17、30)として機能する。
【0019】
なお、ここでは、ソフトウェアによって運転支援装置が備える複数の情報処理回路(15、17、30)を実現する例を示す。ただし、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路(15、17、30)を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路(15、17、30)を個別のハードウェアにより構成してもよい。更に、情報処理回路(15、17、30)は、車両にかかわる他の制御に用いる電子制御ユニット(ECU)と兼用してもよい。
【0020】
処理部100は、複数の情報処理回路(15、17、30)として、地図内位置演算部15と、自車経路生成部17と、停止位置制御部30とを備える。更に、停止位置制御部30は、交錯位置特定部31と、死角領域算出部32と、発進判断部33と、停止位置決定部35とを備える。
【0021】
地図内位置演算部15は、自己位置推定部13により得られた自車両V1の絶対位置、及び地図取得部14により取得された地図データから、地図上における自車両V1の位置及び姿勢を推定する。例えば、自車両V1が走行している道路、更に当該道路のうちで自車両V1が走行する車線を特定する。
【0022】
自車経路生成部17は、経路探索条件に基づいて、自車両V1の現在地から目的地設定部11によってユーザから受け付けた目的地までの自車両V1の走行経路を生成する。経路探索条件は、地図取得部14によって取得した地図情報や、走行経路及び走行経路周辺の交通情報及び交通法規、時間帯、道路種別並びに経路決定における優先事項等を含むものであってもよい。
【0023】
停止位置制御部30は、物体検出部21によって得られた検出結果と、自車経路生成部17により生成された自車両V1の走行経路に基づいて、自車両V1の停止位置制御を行う。以下に、停止位置制御部30の具体的な構成を説明する。
【0024】
交錯位置特定部31は、自車両V1の走行経路と交錯する道路(以下、交錯道路)を特定し、自車両V1の走行経路上の位置であって、当該交錯道路の領域に自車両V1が進入を開始する位置を交錯位置として特定する。ここで、「交錯」には、「交差」、「接触」、及び「合流」の意味が含まれる。したがって、交錯道路とは、自車両V1の走行制御の際に考慮する必要がある他車両が走行する道路(あるいはその他の障害物が存在する道路)を意味する。
【0025】
また、交錯位置特定部31は、物体検出部21によって検出した物体が通過する領域を算出し、自車両V1の走行経路上の位置であって、算出した領域に自車両V1が進入を開始する位置を交錯位置として特定するものであってもよい。
【0026】
死角領域算出部32は、交錯道路上の、物体検出部21の死角となる死角領域(第1領域)を算出する。より具体的には、交錯位置特定部31は、物体検出部21で検出した物体によって発生する、物体検出部21の死角を算出する。
【0027】
また、死角領域算出部32は、自車両V1の上方の空中から眺めた天頂図(平面図ともいう)における、死角領域の面積を算出する。
【0028】
発進判断部33は、道路情報に基づいて発進判断領域(第3領域)を交錯道路上に設定する。発進判断領域は、自車両V1の発進可否の判断の対象となる領域である。
【0029】
発進判断領域が見通せる場合、すなわち、発進判断領域に物体検出部21の死角が存在しない場合(発進判断領域と死角領域が重なっていない場合)には、発進判断部33は、自車両V1が交錯道路に進入しても、物体検出部21が検出していない物体が死角から急に飛び出してくる可能性は低く、自車両V1が影響を受ける可能性はないと判定する。この場合、処理部100は、停止位置制御を終了し、自車両V1を交錯道路に進入させる制御を行う。
【0030】
なお、発進判断領域は、道路情報のうち、例えば交錯道路の制限速度に基づいて設定される。この場合、交錯道路の制限速度が大きいほど、単位時間あたりに他車両が交錯道路を走行する距離が長いと想定されるため、発進判断領域は、交錯道路に沿って長い距離を有するように設定される。逆に、交錯道路の制限速度が小さいほど、発進判断領域は、交錯道路に沿って短い距離を有するように設定される。
【0031】
また、発進判断領域は、交錯位置に対して上流側の交錯道路上を走行する他車両やバイクなどの移動物体の速度や、自車両V1が交錯領域への進入を完了するまでの時間などに基づいて設定されるものであってもよい。また、発進判断領域は、交錯位置に対して上流側のみに限定して設定されるものであってもよい。
【0032】
停止位置決定部35は、自車両V1の走行経路に沿って自車両V1が通過する領域であって、交錯道路を走行する車両および物体検出部21によって検出した物体が通過する可能性が低い領域(自車両V1以外の車両等が通過する確率が所定値以下である領域)を自車両V1による自車両優先領域(第2領域)として算出する。言い換えると、自車両優先領域とは車両等との接触の可能性が小さい領域である。そして、停止位置決定部35は、自車両優先領域の中で自車両V1の停止位置を設定する。
【0033】
なお、自車両優先領域は、所定の周期で再計算されるものであってもよい。また、停止位置決定部35は、自車両優先領域に含まれる複数の位置の中から、自車両V1以外の車両等が通過する確率が小さい順に従って、自車両V1の停車位置を設定するものであってもよい。
【0034】
提示部41は、処理部100の制御に応じて、ユーザに種々の情報を通知する。提示部41は、例えば、光、画像、文字等を表示する表示装置や、音声を出力するスピーカ等の出力装置から構成される。
【0035】
アクチュエータ51は、処理部100からの実行指令を受信して、自車両V1のアクセルやブレーキ、ステアリング等の各部を駆動する。
【0036】
[停止位置制御の処理手順]
次に、図2のフローチャートを用いて本実施形態に係る停止位置制御の一例を説明する。図2は、本実施形態に係る停止位置制御の処理手順を示すフローチャートである。図2に示す停止位置制御の処理は、車両のイグニッションがオンされると開始される。
【0037】
図2に示す停止位置制御の処理は、自車両V1が予め定めた車速(第1車速)以下に減速したか否かを判定し、自車両V1が第1車速以下に減速したと判定された後に、実行されるものであってもよい。なお、この場合、停止位置制御中の自車両V1の車速が第1車速以下に制限されるものではない点に注意されたい。
【0038】
まず、ステップS101において、交錯位置特定部31は、自車経路生成部17によって生成された自車両V1の走行経路を取得する。
【0039】
ステップS103において、交錯位置特定部31は、自車両V1の走行経路に基づいて交錯道路(自車両V1の走行経路と交錯する道路)を特定する。そして、交錯位置特定部31は、自車両V1の走行経路上の位置であって、当該交錯道路の領域に自車両V1が進入を開始する位置を交錯位置として特定する。
【0040】
ステップS105において、発進判断部33は、道路情報に基づいて発進判断領域を交錯道路上に設定する。
【0041】
ステップS107において、死角領域算出部32は、物体検出部21の死角が存在するか否かを判定する。より具体的には、死角領域算出部32が物体検出部21の死角となる死角領域を算出し、発進判断領域と算出された死角領域が重なっているか否かを判定するものであってもよい。
【0042】
物体検出部21の死角が存在しない場合(ステップS107でNOの場合)には、自車両V1が交錯道路に進入しても、物体検出部21が検出していない物体が死角から急に飛び出してくる可能性は低く、自車両V1が影響を受ける可能性が小さいことが保証される。この場合、処理部100は、停止位置制御を終了し、自車両V1を交錯道路に進入させる制御を行う。
【0043】
一方、物体検出部21の死角が存在する場合(ステップS107でYESの場合)には、ステップS109において、停止位置決定部35は、自車両優先領域の中で自車両V1の停止位置を設定する。
【0044】
そして、ステップS111において、発進判断部33は、設定された停止位置に向かって自車両V1を前進させることが可能であるか否かを判定する。より具体的には、自車両V1の現在の位置と停止位置とを比較し、自車両V1の走行経路に沿って、停止位置が自車両V1の現在の位置よりも前方に存在する場合には、自車両V1を前進させることが可能であると判定する。
【0045】
自車両V1が前進不可である場合(ステップS111でNOの場合)には、ステップS113において、自車両V1が前進不可である旨を、提示部41はユーザに提示する。すなわち、提示部41は、手動制御が必要であることをユーザに通知する。
【0046】
一方、自車両V1が前進可能である場合(ステップS111でYESの場合)には、ステップS115において、処理部100は、アクチュエータ51を介して自車両V1の位置又は姿勢を制御し、自車両V1を停止位置に向かって前進させる。その後、ステップS105に戻る。
【0047】
なお、自車両V1を前進させる間に、ステップS105からステップS111までの処理が行われた結果、すでに設定された停車位置とは異なる停車位置が新たに設定された場合、すなわち、停車位置が更新された場合には、更新前の停止位置での自車両V1の停車は不要となる。この場合、更新後の停車位置に向かって自車両V1を前進させることになる。更新前の停止位置での一時停車が不要であるため、自車両V1の燃費を向上させることができ、さらには、走行時間を短縮できる。
【0048】
また、自車両V1を前進させる間に、ステップS105及びステップS107の処理が行われた結果、物体検出部21の死角が存在しない位置に自車両V1が前進したと判定された場合には、自車両V1が交錯道路に進入しても、物体検出部21が検出していない物体が死角から急に飛び出してくる可能性は低く、自車両V1が影響を受ける可能性が小さいことが保証される。そのため、停止位置での自車両V1の一時停車は不要となる。停止位置での一時停車が不要であるため、自車両V1の燃費を向上させることができ、さらには、走行時間を短縮できる。
【0049】
さらに、物体検出部21の死角が存在しない位置に自車両V1が前進したと判定された場合には、自車両V1が交錯道路に進入する際、物体検出部21が検出していない物体が死角から急に飛び出してくる場合に対応できるよう、自車両V1の車速を小さく抑える必要がない。その結果、自車両V1の交錯道路への進入時間が短縮され、走行時間を短縮できる。さらには、交錯道路に進入する前後での自車両V1の車速の変動が抑えられることで、自車両V1の燃費を向上させることもできる。
【0050】
[停車位置制御の具体例]
次に、図3A図3B図3C図4A図4Bを参照して、走行シーンに基づいて停車位置制御の具体例を説明する。
【0051】
なお、以下で説明する走行シーンは、あくまでも例示であって、本発明が適用可能な範囲が以下で説明する走行シーンに限定されるものではないことはいうまでもない。また、以下では、左側通行を規定する交通法規に従う走行シーンに本発明を適用した例を説明するが、右側通行を規定する交通法規に従う走行シーンに対しても、左右を入れ替えた読み替えを行うことにより本発明を適用可能である。
【0052】
また、以下では、自車両V1が前進する方向に沿った自車両V1の前端部に物体検出部21が備え付けられているとし、物体検出部21の位置が自車両V1の位置を表すものとして説明するが、本発明はこの場合に限定されない。
【0053】
(第1走行シーン)
初めに「第1走行シーン」として、交差点に自車両V1が進入して右折する場合の走行シーンを例に説明する。図3Aは、第1走行シーンを示す平面図である。図3Bは、第1走行シーンの前期の状態を示す平面図である。図3Cは、第1走行シーンの後期の状態を示す平面図である。なお、図3Bは、図3Aに示す状態と同じ時刻の状態を示しており、自車両V1が位置P01に存在する場合が示されている。図3Cは、図3Bに示す状態から時間が経過した状態を示している。
【0054】
図3Aに示す自車両V1は、右折車線を走行する際、減速しながら交差点に到達する。ここで、自車両V1の車速が第1車速以下に減速したと判定された場合に、停止位置制御の処理が開始される。その後、自車両V1は、停止位置制御に従って交差点内を走行する。図3A図3Cでは、停止位置制御に従って走行する際の自車両V1の軌跡が走行経路TR01として示されている。
【0055】
図3Aに示すように、停止位置制御が開始されると、交錯位置特定部31が、自車経路生成部17によって生成された自車両V1の走行経路を取得することにより、交差点内を右折するとの情報を取得する。そして、交錯位置特定部31は、自車両V1の走行経路と交錯する道路である、交錯道路D04を特定する。そして、交錯位置特定部31は、位置P04を交錯位置として特定する。
【0056】
発進判断部33は、交錯道路D04や隣接する車線の道路情報などを含む道路情報に基づいて、発進判断領域R01を設定する。図3B図3Cにおいて、発進判断領域R01は交錯道路D04上の長方形の領域として示されている。
【0057】
例えば、発進判断領域R01の交錯道路D04に沿った長さは、交錯道路D04の制限上限速度によって定められる。この場合、自車両V1が交差点の右折を完了するまでの時間、あるいは、交錯道路D04を通過するまでの時間に、あらかじめ定めたバッファ時間を加算し、得られた合計時間に交錯道路D04の制限上限速度を乗算することで、発進判断領域R01の長さが定められる。
【0058】
次に、発進判断部33は、物体検出部21の死角が存在するか否かを判定する。その判定のため、死角領域算出部32は、検出した物体によって生じる死角を算出する。
【0059】
第1走行シーンでは、自車両V1に対向する他車両V2が存在するため、物体検出部21は他車両V2を物体として検出する。
【0060】
なお、他車両V2は、自車両V1から見て交差点内を左折しようとする車両である。すなわち、自車両V1が交差点内を一方向に旋回する際、自車両V1から見て他車両V2は当該一方向とは逆の方向に交差点内を旋回しようとしている。
【0061】
死角領域算出部32は、他車両V2によって発生する物体検出部21の死角を算出し、死角となる領域をセンサ死角S02として設定する。また、物体検出部21によって検出できる範囲を認識領域S01として設定する。さらに、死角領域算出部32は、発進判断領域R01のうち、センサ死角S02と重なる部分を死角領域R02として設定する。
【0062】
なお、物体検出部21が検出した他車両V2のうち、所定の車速以下の車速で走行する他車両V2のみを、死角領域を算出する処理の対象とするものであってもよい。
【0063】
図3Bの場合、発進判断領域R01のうち一部分がセンサ死角S02と重なった結果、死角領域R02が生じている。このとき、発進判断部33は死角が存在すると判定する。この場合、停止位置決定部35は、自車両優先領域D02を算出し、自車両優先領域D02の中で、位置P02を停止位置として設定する。
【0064】
なお、図3Bでは、走行経路TR01に沿って自車両が通過する領域D03から、交錯道路D04及び他車両V2が通過する可能性が高い領域D01を除く領域を定め、当該領域のうち、自車両V1の現在位置が含まれる領域を、自車両優先領域D02として設定している。しかしながら、自車両優先領域D02の設定方法はこれに限定されない。
【0065】
なお、自車両優先領域D02の中にある複数の位置からある一つの位置を選択して、当該位置を停止位置として設定する方法としては、種々の方法が考えられる。ここでは、物体検出部21によって検出した他車両V2や、交錯道路D04を走行する他車両が通過する確率(以下、通過確率)に基づいて、自車両優先領域D02の中にある位置を選択している。図3Bに示す場合、位置P03よりも位置P02の方が自車両V1の車体に近いため、通常、位置P03における通過確率よりも、位置P02における通過確率の方が小さい。よって、位置P02を停止位置として設定している。
【0066】
なお、位置P02、位置P03は、走行経路TR01のうち位置P01から位置P04に至るまでの区間を所定の長さ間隔で区分する点として決められるものであってもよい。
【0067】
発進判断部33は、停止位置として設定された位置P02に向かって自車両V1を前進させることが可能であるか否かを判定する。図3Bの場合、自車両V1の走行経路TR01に沿って、停止位置である位置P02は自車両V1の現在の位置P01よりも前方に存在する。そのため、発進判断部33は、自車両V1を前進させることが可能であると判定する。その結果、処理部100は、アクチュエータ51を介して自車両V1の位置又は姿勢を制御し、自車両V1を位置P02に向かって前進させる。
【0068】
また、自車両V1が位置P02に前進する間にも、再度、自車両優先領域D02の再計算が行われ、上述したように停止位置の更新が行われる。その結果、停止位置は順次更新され、位置P02、位置P03、位置P04のように変化する。停止位置の更新に従って、自車両V1が前進する。
【0069】
今、図3Cに示すように、自車両V1が位置P03まで前進した状況を検討する。図3Cでは、センサ死角S02は発進判断領域R01と重なっていないため、死角領域R02が消滅する。このとき、発進判断部33は死角が存在しないと判定する。
【0070】
図3Cに示す場合、発進判断領域R01の全体を物体検出部21が見通すことができる。よって、自車両V1が交錯道路に進入しても、物体検出部21が検出していない物体が死角から急に飛び出してくる可能性は低く、自車両V1が影響を受ける可能性が小さいことが保証される。また、発進判断領域R01にも物体が存在しないため、自車両V1が交錯道路D04に進入したとしても、自車両V1と衝突の危険性のある物体がないことが保証される。したがって、処理部100は、停止位置制御を終了し、自車両V1を交錯道路D04に進入させた後の、自車両V1が交錯道路D04を横断する際の制御を行う。
【0071】
(第2走行シーン)
次に「第2走行シーン」として、非優先車線から優先車線へ自車両が進入する場合の走行シーンを例に説明する。図4Aは、第2走行シーンの走行シーン前期の状態を示す平面図である。図4Bは、第2走行シーンの走行シーン後期の状態を示す平面図である。なお、図4Aは、自車両V1が非優先車線上の位置P21に存在する場合が示されている。図4Bは、図4Aに示す状態から時間が経過した状態を示している。
【0072】
図4Aに示す自車両V1は、自車両V1が走行する車線よりも優先度が高い車線への親友を開始しようとする際、減速しながら交差点に到達する。ここで、自車両V1の車速が第1車速以下に減速したと判定された場合に、停止位置制御の処理が開始される。その後、自車両V1は、停止位置制御に従って優先車線への進入を開始する。図4A図4Bでは、停止位置制御に従って走行する際の自車両V1の軌跡が走行経路TR21として示されている。
【0073】
図4Aに示すように、停止位置制御が開始されると、交錯位置特定部31が、自車経路生成部17によって生成された自車両V1の走行経路を取得することにより、優先車線への進入を開始するとの情報を取得する。そして、交錯位置特定部31は、自車両V1の走行経路と交錯する道路である優先車線を、交錯道路として特定し、位置P22を交錯位置として特定する。
【0074】
発進判断部33は、優先車線の道路情報に基づいて、発進判断領域R21を設定する。図4A図4Bでは、位置P22よりも上流側の優先車線の路肩に停止車両V3が存在する場合、発進判断領域R21は、停止車両V3及び停止車両V3から上流の部分が占める領域が除かれた形状として設定されている。
【0075】
次に、発進判断部33は、停止車両V3によって物体検出部21の死角が生じているか否かを判定する。その判定のため、死角領域算出部32は、物体検出部21で検出した停止車両V3によって生じる死角を算出する。
【0076】
死角領域算出部32は、停止車両V3によって発生する物体検出部21の死角を算出し、死角となる領域をセンサ死角S23として設定する。また、物体検出部21によって検出できる範囲を認識領域S21及び認識領域S22として設定する。ここで、認識領域S21は正面センサによって認識可能な領域、認識領域S22は、側面センサによって認識可能な領域を示している。さらに、死角領域算出部32は、発進判断領域R21のうち、センサ死角S23と重なる部分を死角領域R22として設定する。
【0077】
図4Aの場合、発進判断領域R21のうち一部分がセンサ死角S23と重なった結果、死角領域R22が生じている。このとき、発進判断部33は死角が存在すると判定する。この場合、停止位置決定部35は、自車両優先領域D22を算出し、自車両優先領域D22の中で、位置P22を停止位置として設定する。
【0078】
なお、図4Aでは、走行経路TR21に沿って自車両が通過する領域から、交錯道路である優先車線を除く領域を、自車両優先領域D22として設定している。しかしながら、自車両優先領域D22の設定方法はこれに限定されない。
【0079】
なお、自車両優先領域D02の中にある複数の位置からある一つの位置を選択して、当該位置を停止位置として設定する方法としては、種々の方法が考えられる。
【0080】
発進判断部33は、停止位置として設定された位置P22に向かって自車両V1を前進させることが可能であるか否かを判定する。図4Aの場合、自車両V1の走行経路TR01に沿って、停止位置である位置P22は自車両V1の現在の位置P21よりも前方に存在する。そのため、発進判断部33は、自車両V1を前進させることが可能であると判定する。その結果、処理部100は、アクチュエータ51を介して自車両V1の位置又は姿勢を制御し、自車両V1を位置P22に向かって前進させる。
【0081】
また、自車両V1が位置P22に前進する間にも、再度、自車両優先領域D22の再計算が行われ、上述したように停止位置の更新が行われる。その結果、停止位置は順次更新され、位置P22、位置P23、位置P24のように変化する。停止位置の更新に従って、自車両V1が前進する。
【0082】
今、図4Bに示すように、自車両V1が位置P23まで前進した状況を検討する。位置P21から位置P23まで自車両V1が前進した結果、図4Bにおける死角領域R22の面積は、図4Bにおける死角領域R22の面積よりも小さくなる。すなわち、死角領域R22が減少するように自車両V1の位置又は姿勢が制御されることが分かる。
【0083】
また、優先車線に面する停止車両V3の側面を、優先車線の延在する方向に伸ばした線上の位置P04まで自車両V1が前進した場合、センサ死角S23が発進判断領域R21と重ならない状態となる。
【0084】
自車両V1が位置P04まで前進した状況では、センサ死角S23が発進判断領域R21と重ならないため、死角領域R22が消滅する。このとき、発進判断部33は死角が存在しないと判定する。したがって、処理部100は、停止位置制御を終了し、自車両V1を交錯道路である優先車線に進入させた後の通常の走行制御を行う。
【0085】
(その他の走行シーン)
上述した走行シーンの他にも種々の走行シーンが想定され、本発明が適用可能な範囲が限定されるものではないことはいうまでもない。
【0086】
例えば、自車両V1の位置と交錯道路との間に、中央分離帯がある場合であって、中央分離帯の切れ目を通って、交錯道路への進入、交錯道路の横断を行う場合を想定する。この場合、交錯道路上の死角をなるべく小さくする位置として、中央分離帯の切れ目であって、交錯道路に進入しない位置を停止位置とすることが望ましい。このように、中央分離帯がある場合には、交錯道路に進入しない位置を停止位置とすることにより、自車両V1の安全を確保しながら、交錯道路への進入を実現できる。
【0087】
また、例えば、自車両V1がカーブ路を走行する場合であって、自車両V1が走行する車線に対してカーブ外側で隣接する車線に、自車両V1が進入する場合を想定する。この場合、カーブ外側で隣接する車線上を走行する他車両との衝突を回避するため、カーブ外側で隣接する車線に対する死角が小さくなる位置を停車位置とすることが望ましい。このように、カーブ路を走行中に車線変更を行う場合であっても、カーブ外側で隣接する車線に対する死角が小さくなるため、自車両V1の安全を確保しつつ、かつ、カーブ路においても、迅速な車線変更を実現できる。
【0088】
その他にも、停車位置制御によって設定された停車位置として、横断歩道上の位置が設定される場合には、代わりに、横断歩道の手前の位置を停車位置として設定するものであってもよい。このように横断歩道の手前の位置が停車位置として設定されると、自車両V1が横断歩道上で停止してしまうことが回避される。その結果、横断歩道を歩行する歩行者の妨げとなる場所まで自車両V1が移動してしまうことを回避できる。
【0089】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る運転支援方法及び運転支援装置によれば、物体検出部によって自車両の周囲の物体を検出し、自車両が第1車速以下に減速したか否かを判定し、自車両が前記第1車速以下に減速したと判定された後に、自車両の周囲の道路情報、自車両の位置又は姿勢、および、自車両の周囲の物体に基づいて、自車両が走行する走行経路と交錯する交錯道路に存在し、物体によって生じる物体検出部の死角となる第1領域を算出し、第1領域が減少するように自車両の位置又は姿勢を制御する。
【0090】
これにより、物体検出部によって検出可能な領域が増加し、自車両の周囲の物体によって生じる、物体検出部の死角により走行制御の実行が妨げられる場合であっても、走行制御を実行できる可能性が増加する。その結果、スムーズな走行を実現することができる。また、物体検出部が検出していない物体が死角から急に飛び出してくる場合に対応できるように自車両の車速を小さく抑える必要がないため、自車両の走行時間を短縮できる。さらには、燃費の向上にもつながる。
【0091】
また、本実施形態に係る運転支援方法及び運転支援装置によれば、自車両が交差点内を走行する場合に、物体として自車両に対向する他車両を検出し、他車両に基づいて第1領域を算出するものであってもよい。自車両が交差点内を走行する場合に、他車両によって生じる死角が減少するように自車両の位置又は姿勢が制御されるため、他車両によって物体検出部に死角が生じる場合であっても、交差点内を走行できる可能性が増加する。
【0092】
特に、自車両が交差点を右左折する場合に、交差点内で自車両に対向する他車両による死角が小さくなるよう自車両の制御が行われるため、他車両によって生じる死角から物体が急に飛び出してくる場合のリスクを低減することができる。
【0093】
さらに、本実施形態に係る運転支援方法及び運転支援装置によれば、物体として自車両に対向する他車両を検出し、第2車速以下の車速で走行する他車両に基づいて第1領域を算出するものであってもよい。物体検出部によって検出した他車両のすべてを停止位置制御の対象とするのではなく、交差点内で停止あるいは第2車速以下の車速で走行する他車両のみを対象とすることで、停止位置制御部の計算負荷を低減させることができる。
【0094】
特に、物体検出部に対して長時間の死角を生じさせる他車両を対象とした停止位置制御が行われることになり、死角から物体が飛び出してくる場合のリスクをより効果的に低減できる。
【0095】
また、本実施形態に係る運転支援方法及び運転支援装置によれば、第1領域が減少するように自車両の位置又は姿勢を制御した後、自車両が交錯道路を横断する制御を行うものであってもよい。停止位置制御を行った結果、第1領域が減少して死角から物体が飛び出すリスクが小さくなった後に、停止位置制御を終了して自車両が交錯道路を横断する制御が行われるため、停止位置制御が不要な状況に対して停止位置制御が行われることを抑制できる。その結果、自車両が交錯道路を横断する際の時間を短縮でき、さらには、燃費の向上にもつながる。
【0096】
さらに、本実施形態に係る運転支援方法及び運転支援装置によれば、自車両が交錯道路よりも優先度が低い非優先車線を走行しているか否かを判定し、自車両が非優先車線を走行していると判定された場合に、第1領域が減少するように自車両の位置又は姿勢を制御するものであってもよい。自車両が非優先車線から優先車線へ自車両が進入する場合に停止位置制御を開始することにより、優先車線への進入をスムーズに実現できる。
【0097】
特に、非優先車線から見て、停止車両等の存在により優先車線を見通せない場合であっても、優先車線上に発生する物体検出部の死角が減少するように自車両の位置又は姿勢が制御されるため、自車両が安全に優先車線に対して進入することができるようになる。さらには、優先車線への自車両の進入時に停止位置制御が行われるため、優先車線を走行中の他車両を運転するドライバが、自車両の進入を脅威と感じる可能性を小さく抑えることができる。その結果、優先車線上での他車両の急ブレーキ等を抑制でき、優先車線上での渋滞発生などのリスクを抑えることにもつながる。
【0098】
また、本実施形態に係る運転支援方法及び運転支援装置によれば、走行経路のうち、交錯道路を走行する他車両および物体が通過する確率が所定値以下となる位置の集合を第2領域として算出し、第2領域の中で自車両の停止位置を設定し、停止位置に向かって自車両を前進させるものであってもよい。これにより、自車両が停止位置に前進したとしても、交錯道路を走行する他車両および物体が、自車両と接触する確率が所定値以下であることが保証されるので、停止位置制御において自車両を前進させる制御の安全性を向上させることができる。
【0099】
さらに、本実施形態に係る運転支援方法及び運転支援装置によれば、第2領域に含まれる複数の位置の中から、交錯道路を走行する他車両および物体が通過する確率が小さい順に従って、自車両の停止位置を設定するものであってもよい。これにより、自車両が停止位置に前進したとしても、交錯道路を走行する他車両および物体が、自車両と接触する確率をなるべく小さく保ったまま、自車両を前進させる制御を行うことができる。
【0100】
また、本実施形態に係る運転支援方法及び運転支援装置によれば、自車両の位置と交錯道路との間に中央分離帯がある場合に、自車両が交錯道路に進入しない位置を停止位置とするものであってもよい。この場合、自車両の停止位置は、中央分離帯の切れ目に設定されるため、交錯道路を走行する他車両および物体が通過する確率がほとんどゼロの位置に停止位置が設定されることになる。その結果、自車両の安全を確保しながら、交錯道路への進入を実現できる。
【0101】
さらに、本実施形態に係る運転支援方法及び運転支援装置によれば、交差点内で自車両が一方向に旋回し、かつ、自車両に対向する対向車両が交差点内で自車両からみて一方向とは逆の方向に旋回する場合に、物体検出部が対向車両の後端部よりも対向車両が走行する車線の幅方向の一方向の側に位置するように停止位置を設定するものであってもよい。
【0102】
すなわち、交差点内で自車両と対向する対向車両が、自車両から見て、自車両の右左折する方向とは逆方向へ右左折する場合に、対向車両によって交錯道路上に生じる死角がもっとも小さくなる位置が停止位置として設定される。そのため、対向車両によって生じる死角から物体が急に飛び出してくる場合のリスクを低減することができる。また、交差点内で対向車両とは逆方向に向かう走行経路を自車両が前進することが保証されるので、対向車両との衝突の危険性も低減できる。
【0103】
また、本実施形態に係る運転支援方法及び運転支援装置によれば、自車両がカーブ路を走行する場合に、自車両が走行する車線に対してカーブ外側で隣接する車線に存在する第1領域が最小化される位置を停止位置とするものであってもよい。この場合、カーブ路を走行中に車線変更を行う場合であっても、カーブ外側で隣接する車線に対する死角が小さくなるため、自車両V1の安全を確保しつつ、かつ、カーブ路においても、迅速な車線変更を実現できる。
【0104】
さらに、本実施形態に係る運転支援方法及び運転支援装置によれば、停止位置が横断歩道の上となる場合には、横断歩道の手前の位置に停止位置を変更するものであってもよい。このように横断歩道の手前の位置が停車位置として設定されると、自車両V1が横断歩道上で停止してしまうことが回避される。その結果、横断歩道を歩行する歩行者の妨げとなる場所まで自車両V1が移動してしまうことを回避できる。
【0105】
また、本実施形態に係る運転支援方法及び運転支援装置によれば、所定時間ごとに停止位置を更新し、更新後の停止位置に向かって自車両を前進させるものであってもよい。停車位置が更新された場合には、更新前の停止位置での自車両V1の停車は不要となるため、自車両V1の燃費を向上させることができ、さらには、走行時間を短縮できる。その結果、停止位置制御中に設定された停止位置で自車両が停止・発進を繰り返す頻度を少なくすることができ、スムーズな自車両の前進を実現できる。
【0106】
さらに、本実施形態に係る運転支援方法及び運転支援装置によれば、停止位置が更新されない場合には、自車両の運転者に手動制御が必要であることを通知するものであってもよい。手動制御が必要であることが通知されることで、ユーザが自車両の制御に介入する必要のある状況を認識することができる。
【0107】
また、本実施形態に係る運転支援方法及び運転支援装置によれば、道路情報に基づいて定まる第3領域を交錯道路の上に設定し、第3領域と第1領域が重なっていない場合には、自車両の発進をおこなうものであってもよい。この場合、交錯道路上において、自車両の発進可否の判断の対象となる領域に死角が存在しないことが保証されるため、物体検出部が検出していない物体が死角から急に飛び出してくる可能性が小さい状況をより正確に判定することができる。また、停止位置制御が不要な状況に対して停止位置制御が行われることを抑制できる。その結果、自車両が交錯道路を横断する際の時間を短縮でき、さらには、燃費の向上にもつながる。
【0108】
上述の実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路によって実装されうる。処理回路には、プログラムされたプロセッサや、電気回路などが含まれ、さらには、特定用途向けの集積回路(ASIC)のような装置や、記載された機能を実行するよう配置された回路構成要素なども含まれる。
【0109】
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。この開示の一部をなす論述および図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0110】
本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0111】
11 目的地設定部
13 自己位置推定部
14 地図取得部
15 地図内位置演算部
17 自車経路生成部
21 物体検出部
30 停止位置制御部
31 交錯位置特定部
32 死角領域算出部
33 発進判断部
35 停止位置決定部
41 提示部
51 アクチュエータ
100 処理部
D02,D22 自車両優先領域(第2領域)
D04 交錯道路
R01,R21 発進判断領域(第3領域)
R02,R22 死角領域(第1領域)
V1 自車両
V2 他車両
V3 停止車両

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B