(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】染毛剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20221125BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20221125BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20221125BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20221125BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20221125BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/92
A61K8/89
A61Q5/10
A61K8/37
A61K8/31
(21)【出願番号】P 2018105126
(22)【出願日】2018-05-31
【審査請求日】2021-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2017230774
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226161
【氏名又は名称】日華化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】天谷 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 亮介
(72)【発明者】
【氏名】澤田 学
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 卓也
(72)【発明者】
【氏名】宮本 丈生
(72)【発明者】
【氏名】菅原 康之
(72)【発明者】
【氏名】中西 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】亀岡 郁雄
(72)【発明者】
【氏名】上甲 恭平
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-145032(JP,A)
【文献】特開2008-303181(JP,A)
【文献】特開平06-199641(JP,A)
【文献】特開平06-172146(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107049841(CN,A)
【文献】特開2018-188376(JP,A)
【文献】Permanent Oil Hair Colour,ID 4882697,Mintel GNPD[online],2017年6月,[検索日2022.06.06],インターネット<https://www.portal.mintel.com>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/0
C07C 211/44
C09B
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/KOSMET(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化染料の酸化重合体、並びに、炭化水素、エステル、油脂及びシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種の主溶媒を含有する
1剤式の染毛剤(ただし、粉末状であるものを除く)。
【請求項2】
水を含有する第1剤と、酸化染料の酸化重合体、並びに、炭化水素、エステル、油脂及びシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種の主溶媒を含有する第2剤(ただし、粉末状であるものを除く)とを備える染毛剤。
【請求項3】
無機アルカリ塩を更に含む、請求項1又は2に記載の染毛剤。
【請求項4】
酸化染料の酸化重合体が二量体及び/又は三量体を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の染毛剤。
【請求項5】
酸化染料の酸化重合体がプレカーサーとカップラーとの酸化共重合体を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の染毛剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、染毛剤等のヘアカラー製品には酸化染料が多く用いられている。酸化染料には、酸性染料、塩基性染料、HC染料等の他の染料と比べて、毛髪に対する染色力や染色堅牢性に優れるという利点がある。
【0003】
酸化染料を用いた染毛剤としては、アンモニア等のアルカリ剤と酸化染料を含む1剤と、過酸化水素等の酸化剤を含む2剤で構成される2剤式の染毛剤が主流である。2剤式の染毛剤は、染毛時に1剤と2剤を混合して毛髪に塗布し、酸化染料を酸化重合させることにより毛髪を染色する。
【0004】
このような従来の酸化染料を用いた染毛剤には、アンモニア等のアルカリ剤による皮膚刺激や臭気の問題、過酸化水素等の酸化剤による毛髪のダメージや皮膚刺激の問題がある。
【0005】
これに対して、特許文献1~3では、酸化染料を予め酸化重合させた酸化重合体を含む染毛剤が提案されている。これらの染毛剤によれば、染毛時にアンモニアや過酸化水素を用いる必要がない、あるいはこれらの量を減らすことができるため、皮膚刺激や臭気、毛髪のダメージ等の問題の改善が期待される。また、特許文献4では、染料の貯蔵安定性を向上させるために、酸化染料の酸化重合体を含む染料を、「エチルアルコール、イソプロピルアルコールおよび第三ブチルアルコール、およびエチレングリコールのモノメチル、モノエチルおよびモノブチルエーテル」の中から選択した溶媒中に含有させた染髪用染料溶液とすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-145032号公報
【文献】特開平6-172146号公報
【文献】特開平6-199641号公報
【文献】特公昭62-7165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者による検討の結果、特許文献4に記載の処方を適用した場合であっても、酸化染料の酸化重合体を含む染毛剤を長期間保存した際に、染色色味や染色濃度の変化の抑制について改善の余地があることが明らかとなった。
【0008】
そこで本発明は、長期間(例えば、3ヶ月間)保存した場合であっても、染色色味や染色濃度の変化がない又は小さい染毛剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面にかかる染毛剤は、酸化染料の酸化重合体、並びに、炭化水素、エステル、油脂及びシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種の主溶媒を含有する。かかる染毛剤は、長期間保存した場合であっても、染色色味や染色濃度の変化がない又は小さく、且つ染色力及び染色堅牢性に優れる。さらに、この染毛剤は、予め酸化重合させた酸化重合体を含むので、染毛時にアンモニア等のアルカリ剤や過酸化水素等の酸化剤を用いる必要がない、あるいはこれらの量を減らすことができる。
【0010】
本発明の一側面にかかる染毛剤は、水を含有する第1剤と、酸化染料の酸化重合体、並びに、炭化水素、エステル、油脂及びシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種の主溶媒を含有する第2剤とを備える。かかる染毛剤は、長期間保存した場合であっても、染色色味や染色濃度の変化がない又は小さく、且つ染色力及び染色堅牢性に優れる。さらに、この染毛剤は、予め酸化重合させた酸化重合体を含むので、染毛時にアンモニア等のアルカリ剤や過酸化水素等の酸化剤を用いる必要がない、あるいはこれらの量を減らすことができる。
【0011】
上記染毛剤は、染色濃度の向上および長期間保存の安定性の観点から、無機アルカリ塩を更に含むことが好ましい。
【0012】
上記酸化染料の酸化重合体は、染色力及び染色堅牢性に優れ、染毛剤を長期間保存する際の染色色味や染色濃度の変化をより小さくする観点から、二量体及び/又は三量体を含むことが好ましい。
【0013】
上記酸化染料の酸化重合体は、染色力及び染色堅牢性に優れ、染毛剤を長期間保存する際の染色色味や染色濃度の変化をより小さくする観点から、プレカーサーとカップラーとの酸化共重合体を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、長期間保存した場合であっても、染色色味や染色濃度の変化がない又は小さく、且つ染色力及び染色堅牢性に優れる染毛剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
本実施形態の染毛剤は、酸化染料の酸化重合体、並びに、炭化水素、エステル、油脂及びシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種の主溶媒を含有する1剤式の染毛剤であってもよい。
【0017】
従来の酸化染料を用いた染毛剤では、染毛時に酸化染料と酸化剤とを反応させながら染色するため、使用前にこれらを別々に保管可能な2剤式とする必要があった。一方、本実施形態の染毛剤においては、酸化染料の酸化重合体がそのまま染料として機能し得るため、必ずしも2剤式とする必要はなく、1剤式の染毛剤とすることができる。
【0018】
また、本実施形態の染毛剤は、水を含有する第1剤と、酸化染料の酸化重合体、並びに、炭化水素、エステル、油脂及びシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種の主溶媒を含有する第2剤とを備える多剤式の染毛剤であってもよい。
【0019】
多剤式の染毛剤は、各剤に所望の性質を付与することができるので、様々なタイプの染毛剤とすることが可能となる。多剤式の染毛剤は、第1剤と第2剤とからなる2剤式であっても、第1剤と第2剤に加えて第3剤等を備える、3剤以上の多剤式であってもよいが、利便性の観点から、2剤式又は3剤式であることが好ましい。
【0020】
染毛剤の剤型は、例えば、ジェルタイプ、液体タイプ、泡タイプ、スプレータイプ、クリームタイプ、オイルタイプ等の、溶媒を含み得る剤型であればよい。これらの剤型と求められる機能に合わせて、上述の1剤式又は多剤式の染毛剤を選択することができる。
【0021】
本実施形態の染毛剤は、酸化染料の酸化重合体、並びに、炭化水素、エステル、油脂及びシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種の主溶媒を含有するものであればよいが、取り扱い性の向上等を目的として、従来公知の成分を加えてもよい。以下、各成分について詳細に説明する。
【0022】
<酸化染料の酸化重合体>
酸化染料とは、酸化処理によって得られる酸化重合体が発色する染料をいう。酸化染料は、単独で酸化され得る「プレカーサー」と、単独では酸化されず、プレカーサーと組み合わせて用いることにより酸化される「カップラー」とに分類される。
【0023】
本明細書中、「酸化染料の酸化重合体」は、少なくとも2つの酸化染料が重合したものであればよく、1種のプレカーサーの酸化重合体であっても、2種以上のプレカーサーの酸化共重合体であっても、少なくとも1種のプレカーサーと少なくとも1種のカップラーとの酸化共重合体であってもよい。これらの中で、染毛剤を長期間保存する際の染色色味や染色濃度の変化をより小さくし、且つ合成しやすい観点から、1種のプレカーサーの酸化重合体、2種のプレカーサーの酸化共重合体、又は、1種のプレカーサーと1種のカップラーとの酸化共重合体であると好ましく、2種のプレカーサーの酸化共重合体、又は、1種のプレカーサーと1種のカップラーとの酸化共重合体であるとより好ましく、1種のプレカーサーと1種のカップラーとの酸化共重合体であると更に好ましい。
【0024】
プレカーサーとしては、例えば、p-フェニレンジアミン、p-アミノフェノール、2,5-ジアミノトルエン、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、p-メチルアミノフェノール、o-フェニレンジアミン、トルエン-3,4-ジアミン、o-アミノフェノール、ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-5-ニトロフェノール、4-アミノ-2-ニトロフェノール、m-フェニレンジアミン等が挙げられる。これらは、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩又は水和物として用いてもよい。
これらの中で、染色力及び染色堅牢性に優れ、且つ染毛剤を長期間保存する際の染色色味や染色濃度の変化をより小さくする観点から、p-フェニレンジアミン、p-アミノフェノール、2,5-ジアミノトルエン、o-アミノフェノール又は4,4’-ジアミノジフェニルアミンが好ましく、p-フェニレンジアミン、p-アミノフェノール又は2,5-ジアミノトルエンがより好ましい。
【0025】
カップラーとしては、例えば、5-アミノ-o-クレゾール、レゾルシン(m-ジフェノール)、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、m-アミノフェノール、2,6-ジアミノピリジン、トルエン-2,4-ジアミン等が挙げられる。これらは、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩又は水和物として用いてもよい。
これらの中で、染毛剤を長期間保存する際の染色色味や染色濃度の変化をより小さくする観点から、5-アミノ-o-クレゾール、レゾルシン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、m-アミノフェノール又は2,6-ジアミノピリジンが好ましい。
【0026】
上述の酸化染料を酸化処理することにより、酸化染料の酸化重合体を合成することができる。酸化処理の方法は、特に限定されないが、例えば、酸化染料を含む水溶液に過酸化水素水等の酸化剤を添加する方法や、酸化染料を含む水溶液に空気を送り込み(エアレーション)、空気酸化する方法、酸化剤(例えばその水溶液)中に酸化染料(例えばその水溶液)を添加する方法、酸化染料(例えばその水溶液)の噴霧状物と酸化剤(例えばその水溶液)の噴霧状物とを接触させる方法等を適用することができる。得られた酸化染料の酸化重合体は、熱水洗浄、再結晶等により精製してもよい。
【0027】
酸化染料の酸化重合体は、少なくとも2つの酸化染料が重合したものであればよいが、染毛剤を長期間保存する際の染色色味や染色濃度の変化がより小さい観点から、二量体及び/又は三量体を含むことが好ましい。酸化染料の酸化重合体における二量体及び/又は三量体の割合は、60質量%以上であると好ましく、70質量%以上であるとより好ましく、80質量%以上であると更に好ましい。
【0028】
本実施形態の染毛剤における酸化染料の酸化重合体の含有量は、染毛剤全量を基準として、例えば0.001~30質量%とすることができる。その中で、染毛剤を長期間保存する際の染色色味や染色濃度の変化がより小さい等の観点から、0.01~20質量%であると好ましく、1~15質量%であるとより好ましい。
【0029】
本実施形態の染毛剤は、上述の酸化染料の酸化重合体を、1種単独で含有していてもよく、2種以上を組み合わせて含有していてもよい。特に、2種以上の酸化染料の酸化重合体を組み合わせると、染毛色を種々調整することができる。
【0030】
<溶媒>
本実施形態の染毛剤は、炭化水素、エステル、油脂及びシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒を主溶媒として含有する。炭化水素、エステル、油脂及びシリコーンは、それぞれ1種単独であっても複数種を含んでいてもよい。染毛剤が溶媒を含有する液状タイプやペースト状タイプであると、粉末タイプの染毛剤よりも取り扱い性に優れる。多剤式の染毛剤である場合には、酸化染料の酸化重合体を含む剤における主溶媒が炭化水素、エステル、油脂及びシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種であればよい。ここで、「主溶媒」とは、溶媒が単独である場合にはその溶媒であり、複数の溶媒を組み合わせて用いた場合には含有量が最も多い溶媒を示す。なお、炭化水素、エステル、油脂及びシリコーンからなる群より選ばれる溶媒が染毛剤中に複数種存在する場合には、染毛剤における当該複数種の溶媒の合計含有量が他の溶媒の合計含有量よりも多ければ、当該複数の溶媒が主溶媒であると解される。例えば、染毛剤が、2種の炭化水素、1種のエステル及び複数種の他の溶媒を含有する場合には、2種の炭化水素及び1種のエステルの合計含有量が他の溶媒の合計含有量よりも多ければ、炭化水素、エステル、油脂及びシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒が主溶媒であると解される。
炭化水素、エステル、油脂及びシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種の主溶媒の含有量は、溶媒全量に対して、30質量%以上であると好ましく、50質量%以上であるとより好ましく、60質量%以上であると更に好ましく、70質量%以上であると特に好ましく、90質量%以上であると極めて好ましい。染毛剤が、炭化水素、エステル、油脂及びシリコーン以外の溶媒を実質的に含有しない態様も好ましい。
【0031】
上記主溶媒は、室温(20~30℃)で液体として存在するものであってもよく、加熱によって融解するものであってもよい。加熱によって融解する主溶媒を用いる場合には、染毛剤の調合の際に融点以上の温度で加熱して調合する。この際の温度の上限は特に限定されないが、例えば、150℃以下とすることができる。
【0032】
炭化水素としては、例えば、ミネラルオイル、α-オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、ポリブテン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、液化石油ガス等を挙げることができる。
これらの中で、ミネラルオイル、マイクロクリスタリンワックス又はワセリンが好ましく、動粘度0.1mm2/s以上1000mm2/s以下(37.5℃時点)のミネラルオイル(JIS K2283:2000 原油及び石油製品-動粘度試験方法及び粘度指数算出方法にて測定)、融点70~100℃(好ましくは80~90℃)のマイクロクリスタリンワックス(JIS K2235:1991 石油ワックス 5.3.2に順ずる)、又は融点50℃以上70℃未満(好ましくは50~60℃)のワセリン(日本薬局方 一般試験法 63融点測定法にて測定)がより好ましい。
【0033】
エステルとしては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、オクタン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、イソオクタン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルへキシル、オレイン酸オレイル、リシノール酸オクチルドデシル、カプリル酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、2-エチルヘキサン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、10~30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グルタミン酸エステル、パルミチン酸デキストリン等を挙げることができる。これらの中で、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸オレイル又はパルミチン酸デキストリンが好ましい。
【0034】
油脂としては、例えば、ローズヒップ油、ツバキ油、ヒマワリ種子油、アボカド油、コメヌカ油、マカダミアナッツ油、ナタネ油、オリーブ油、パーム油、メドウフォーム油、アーモンド油、シア脂、ミンク油等を挙げることができる。これらの中で、シア脂又はヒマワリ種子油が特に好ましい。
【0035】
シリコーンとしては、例えば、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等を挙げることができる。
これらの中で、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、アルキル変性シリコーンが好ましく、動粘度100000mm2/s以下から0.1mm2/s以上(37.5℃時点)のシリコーン(医薬部外品原料規格2006、53粘度測定法にて測定)であればより好ましい。
【0036】
染毛剤における上記主溶媒の含有量は、染毛剤の剤型等に合わせて種々調整することができる。また、染毛剤は、炭化水素、エステル、油脂又はシリコーンを、上記主溶媒とは別に副成分として含有していてもよい。
【0037】
多剤式の染毛剤においては、第2剤の主溶媒として炭化水素、エステル、油脂及びシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するとともに、第1剤の溶媒として水(特に精製水)を含有する。第1剤及び/又は第2剤は、他の溶媒、例えばエタノール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、ベンジルアルコール等のアルコール溶媒、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等のN-アルキルピロリドン;炭酸プロピレン等の炭酸アルキレン;γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン等のラクトン等の有機溶媒を含有していてもよい。
【0038】
多剤式の染毛剤において、第1剤と第2剤に加えて第3剤等を備える場合における第3剤等の溶媒は、染毛剤の剤型等に合わせて種々選択することができる。
【0039】
<任意成分>
本実施形態の染毛剤は、上述の成分に加えて、例えば(A)アルカリ剤、(B)油性成分、(C)界面活性剤、(D)酸化剤、(E)キレート剤、(F)水溶性高分子、(G)防腐剤、(H)その他の染料等を任意成分として含有してもよい。これらの成分は、染毛剤の剤型と求められる機能に合わせて適宜選択することができる。また、多剤式の染毛剤においては、任意成分は、適宜第1剤、第2剤又は第3剤等のいずれに添加されていてもよいが、例えば、第2剤は酸化染料の酸化重合体及び上記主溶媒からなるものとして、第1剤又は第3剤等に任意成分を添加することもできる。
【0040】
((A)成分)
(A)成分は、1種又は2種以上のアルカリ剤である。
アルカリ剤の種類は限定されないが、アンモニア、アルカノールアミン、有機アミン、塩基性アミノ酸及びそれらの塩や無機アルカリ塩を挙げることができる。
【0041】
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等を挙げることができる。
【0042】
有機アミンとしては、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、グアニジン等を挙げることができる。
塩基性アミノ酸としては、アルギニン、リジン等を挙げることができる。
【0043】
無機アルカリ塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物;リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム等のリン酸水素塩又はリン酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸グアニジン、炭酸水素グアニジン等の炭酸塩又は炭酸水素塩を挙げることができる。
【0044】
これらの中でも、染料の染色濃度向上の観点からは、無機アルカリ塩が好ましく、炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウムがより好ましい。また、多剤式の染毛剤における(A)成分として、無機アルカリ塩を含有させる場合には、第2剤に含有させることが好ましい。第2剤を、例えば、酸化染料の酸化重合体、無機アルカリ塩及び上記主溶媒からなるものとしてもよい。
【0045】
(A)成分の配合量は特に限定されないが、染毛剤に(A)成分を配合する場合は、染毛剤全量を基準として、0.1~20.0質量%含まれることが好ましく、0.3~10.0質量%含まれることがより好ましい。
【0046】
((B)成分)
(B)成分は、1種又は2種以上の油性成分であって、上記主溶媒とは異なるものである。
(B)成分の種類は限定されず、高級アルコール、高級脂肪酸、ロウ等が例示される。
【0047】
高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール(セタノール)、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール、及び水添ラノリンアルコール等の飽和又は不飽和の直鎖状の高級アルコールを挙げることができる。
【0048】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等を挙げることができる。
ロウとしては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン等を挙げることができる。
【0049】
これらの中でも、乳化安定性、毛髪への塗布のしやすさ、指通り向上の観点から、特に高級アルコールが好ましい。高級アルコールとしては、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール又はベヘニルアルコールがより好ましい。
【0050】
(B)成分の配合量は特に限定されないが、染毛剤に(B)成分を配合する場合は、染毛剤の乳化安定性、塗布のしやすさ、毛髪とのなじみやすさ、染毛力の観点から、染毛剤全量を基準として、0.1~90質量%含まれることが好ましく、1~70質量%含まれることがより好ましい。
【0051】
((C)成分)
(C)成分は、1種又は2種以上の界面活性剤である。
界面活性剤の種類は限定されず、カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性イオン性の各種界面活性剤を用いることができる。
【0052】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、モノステアリン酸ポリエリレングリコールなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンショ糖脂肪酸エステル、デシルグルコシドなどのアルキルグリコシド等が挙げられる。
【0053】
カチオン性界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムクロリド)、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ジステアルジモニウムクロリド)、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアリルトリモニウムブロミド)、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、パンテニルヒドロキシプロピルステアルジモニウムクロリド、クオタニウム-91等が例示される。
【0054】
アニオン性界面活性剤としては、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテルリン酸、POEセチルエーテルリン酸等のアルキルリン酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、POEラウリルエーテル酢酸ナトリウム等のアルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン(ココイルグルタミン酸TEA)、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム等のN-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノエチル、リン酸ジセチル等のリン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステル等が例示される。
両性イオン性界面活性剤としては、以下の(1)~(5)が例示される。
【0055】
(1)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウラミドプロピルベタイン)、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩又はトリエタノールアミン塩。
【0056】
(2)デシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ベヘニルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩又はトリエタノールアミン塩。
【0057】
(3)ココアンホ酢酸Na(N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、ココアンホプロピオン酸Na(N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、ラウロアンホ酢酸Na(N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、オリーブアンホ酢酸Na、カカオ脂アンホ酢酸Na、ゴマアンホ酢酸Na、スイートアーモンドアンホ酢酸Na、ステアロアンホ酢酸塩、パームアンホ酢酸Na、ピーナッツアンホ酢酸Na、ヒマワリ種子アンホ酢酸Na、綿実アンホ酢酸Na等のN-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩。
【0058】
(4)ココアンホジ酢酸Na、ココアンホジプロピオン酸Na、及びラウロアンホジ酢酸Na等のN-アシルアミノエチル-N-カルボキシメトキシエチルアミノカルボン酸塩。
【0059】
(5)ヒドロキシアルキル(C12-14)ヒドロキシエチルサルコシン。
【0060】
染毛剤中における(B)成分と(C)成分との配合量の質量比は、乳化安定性、毛髪への塗布のしやすさ、染毛力向上といった観点から、(B):(C)=1:1~5:1であることが好ましく、2:1~4:1であることがより好ましく、3:1~4:1であることが更に好ましい。
【0061】
(C)成分の配合量は特に限定されないが、染毛剤に(C)成分を配合する場合は、染毛剤の乳化安定性、塗布のしやすさ等の観点から、染毛剤全量を基準として、0.1~30質量%含まれることが好ましく、1.0~25質量%含まれることがより好ましい。
【0062】
((D)成分)
(D)成分は、1種又は2種以上の酸化剤である。
酸化剤としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、硝酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物などを挙げることができる。
【0063】
((E)成分)
(E)成分は、1種又は2種以上のキレート剤である。
キレート剤としては、グルコン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸(DHEDDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,3-プロパンジアミン四酢酸(1,3PDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIMDA)、L-アスパラギン酸-N,N-二酢酸(ASDA)、アミノトリメチレンホスホン酸(NTMP)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、トリポリリン酸、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、グリセリン酸、グリクロン酸、コハク酸、リンゴ酸、フィチン酸、サリチル酸、安息香酸、酢酸、フェルラ酸、マレイン酸等の化合物、その化合物の塩、その化合物の誘導体、及びその誘導体の塩が例示される。
【0064】
(E)成分の配合量は、染毛剤に(E)成分を配合する場合は、乳化安定性や染毛力などの観点から、染毛剤全量に対して、0.001~2.0質量%であることが好ましい。
【0065】
((F)成分)
(F)成分は、1種又は2種以上の水溶性高分子である。
水溶性高分子としては、具体的には、有機天然高分子、有機半合成高分子、有機合成高分子等、無機高分子等が挙げられる。
【0066】
有機天然高分子としては、セルロース、アラビアガム、グアーガム、ローカストビンガム、カラギーナン、クインスシード、デンプン、グリチルリチン酸、トラガカントガム、キャロブガム、ペクチン、ガラクタン、カラヤガム、アルゲコロイド等の植物系の有機天然高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン、ヒアルロン酸等の微生物系の有機天然高分子、アルブミン、グリコーゲン、コラーゲン、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ムコイチン硫酸、ヒアルロン酸等の動物系の有機天然高分子などが挙げられる。
【0067】
有機半合成高分子としては、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系の有機半合成高分子、カチオン化セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸Na、カルボキシメチルセルロースNa、セルロース末等のセルロース系の有機半合成高分子、アルギン酸Na、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系の有機半合成高分子、カチオン化グアーガム(例えばグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)などが挙げられる。
【0068】
有機合成高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系の有機合成高分子、ポリエチレングリコール等のポリエチレン系の有機合成高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル(VA)共重合体等の共重合系の有機合成高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリエチルアクリレート等のアクリル系の有機合成高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマーなどが挙げられる。
【0069】
無機高分子としては、ベントナイト、ラボナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0070】
((G)成分)
(G)成分は、1種又は2種以上の防腐剤である。
防腐剤としては、例えば、アミノ酸、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、エチルヘキシルグリセリン、サリチル酸、ピロクトンオラミン、パラオキシ安息香酸メチルエステル等が挙げられる。
【0071】
((H)成分)
(H)成分は、1種又は2種以上のその他の染料(酸化染料の酸化重合体以外の染料)である。
その他の染料としては、例えば、酸性染料、塩基性染料、HC染料、分散染料、ニトロ染料等が挙げられる。酸性染料としては、青色1号、紫色401号、黒色401号、だいだい色205号、赤色227号、赤色106号、黄色203号、酸性橙3等が挙げられる。塩基性染料としては、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤76、塩基性赤51、塩基性黄57、塩基性黄87、塩基性橙31等が挙げられる。HC染料としては、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC青2、HC赤1、HC赤3、HC赤7、HC橙1等が挙げられる。分散染料としては、分散紫1、分散青11、分散黒9等が挙げられる。ニトロ染料としては、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、4-ニトロ-m-フェニレンジアミン、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-3-ニトロフェノール、2-アミノ-4-ニトロフェノール、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、2-アミノ-5-ニトロフェノール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、3-メチルアミノ-4-ニトロフェノキシエタノール、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール等が挙げられる。
【0072】
(その他の成分)
本実施形態の染毛剤には、上述の成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を配合することができる。
このようなその他の成分としては、ペプチド、アミノ酸系成分、pH緩衝成分、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ソルビトール、ヒアルロン酸、尿素等の保湿剤、8-オキシキノリン等の安定化剤、システイン、チオグリコール酸、亜硫酸塩、アスコルビン酸等の酸化防止剤、植物抽出物、生薬抽出物、殺菌剤、ビタミン、色素、香料、顔料、紫外線吸収剤、シリカ等の体質粉体等を挙げることができる。
【0073】
染毛剤の粘度は、酸化染料の酸化重合体の分散安定性、及び染毛剤の取り扱い性向上の観点から、10000~160000mPa・sであると好ましく、10000~80000mPa・sであるとより好ましい。なお、染毛剤の粘度は、主溶媒を適宜変更すること等によって、調整することができる。また、染毛剤の粘度は、40000mPa・s未満である場合は、BL型粘度計(東機産業製)、4号ローター、12rpm、20℃で測定することができ、40000mPa・s以上である場合はBH型粘度計(東機産業製)、7号ローター、10rpm、20℃で測定することができる。
【実施例】
【0074】
以下に、本発明を実施例により更に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。なお、実施例中、配合量の単位は「質量部」であり、「残量」とは、各剤における全量を100質量部としたときの他の成分の配合量を除いた残りの量を示す。また、「1,3-PG」は、1,3-プロパンジオールを示し、「1,3-BG」は、1,3-ブチレングリコールを示し、「LPG」は、液化石油ガスを示し、「VA」は酢酸ビニルを示し、「POE」は、ポリオキシエチレンを示し、「AMP」は、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールを示し、「DME」はジメチルエーテルを示す。
【0075】
<染料の分析>
合成例において合成した酸化共重合体(染料)については、下記条件にてLC/MS測定、HPLC測定を行なった。
・LC/MS測定(LC1260:アジレント・テクノロジー製)
TSKgel ODS-100Sカラム(東ソー)、アセトニトリル/水(35/65)溶離液、流速0.6ml/min、検出器UV=430nmおよび280nm
・HPLC測定(UltiMate3000:Thermo Fisher SCIENTIFIC製)
TSKgel ODS-100Sカラム(東ソー)、カラム温度40℃、アセトニトリル/水(35/65)溶離液、流速1.00ml/min、検出器UV=430nmおよび280nm
【0076】
合成した酸化共重合体における重合度(二量体又は三量体)と単量体(酸化染料)の構成は、LC/MS測定による分子量の実測値と、単量体の分子量に基づいて計算した重合体の分子量の計算値とを対比すること等により判定することができる。また、2種以上の酸化染料を用いた場合に、一方の酸化染料(プレカーサー)のみが重合した自己重合体が、合成した酸化共重合体に含まれるか否かは、別途プレカーサーの自己重合体を合成し、LC/MS測定による分子量やHPLC測定のリテンションタイム(原料は280nmで検出、酸化共重合体は430nmで検出)を対比すること等により判定することができる。さらに、合成した酸化共重合体に原料である酸化染料が含まれるか否かは、LC/MS測定による分子量やHPLC測定の際のリテンションタイムを対比すること等により判定することができる。
【0077】
<染料の合成>
・合成例1(染料P1-P1の合成)
2.0Lの蒸留水に、プレカーサーであるp-フェニレンジアミン5.4gを添加し、常温でエアレーションしながら1週間攪拌して空気酸化させた。その後、析出物をろ別し、ろ物を80~90℃の熱水で洗浄して、3.44g(収率64%)の精製物(染料P1-P1)を回収した。
回収した精製物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=6.8分の位置に、全体の100%を占めるピークが検出された。このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=319であった。これは、p-フェニレンジアミンの自己重合体(三量体)の分子量(計算値:318)に対応するものであり、ピークの化合物が自己重合体(三量体)であることが確認された。なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーは検出されなかった。
【0078】
・合成例2(染料P1-P2の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーであるp-フェニレンジアミン1.0g及びp-アミノフェノール0.5g(p-フェニレンジアミンとp-アミノフェノールのモル比は2:1)を添加し、硫酸でpH8に調整し、常温でエアレーションしながら20時間攪拌して空気酸化させた。その後、析出物をろ別し、0.11g(収率7%)のろ取物(染料P1-P2)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=4.6分の位置に全体の75%を占める第1のピークが、リテンションタイム=10.5分の位置に全体の10%を占める第2のピークが検出された。
第1のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=320であった。これは、p-フェニレンジアミンとp-アミノフェノールの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:319)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。また、第1のピークの部分の化合物をアセトニトリル/水=50/50に溶解させると茶色溶液となり、自記分光器(UV-3101PC)にて吸光度415nmに最大ピークを示した。
また、第2のピークの部分の化合物をアセトニトリル/水=50/50に溶解させると黄色溶液となり、自記分光器(UV-3101PC)にて吸光度430nm及び570nmに最大ピークを示した。
なお、HPLC測定では、原料である2種のプレカーサー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0079】
・合成例2’(染料P1-P2’の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーであるp-フェニレンジアミン1.0g及びp-アミノフェノール0.5g(p-フェニレンジアミンとp-アミノフェノールのモル比は2:1)を添加し、硫酸でpH7に調整し、常温でエアレーションしながら24時間攪拌して空気酸化させた。その後、析出物をろ別し、0.29g(収率19%)のろ取物(染料P1-P2’)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=4.6分の位置に全体の2%を占める第1のピークが、リテンションタイム=10.5分の位置に全体の89%を占める第2のピークが検出された。
第1のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=320であった。これは、p-フェニレンジアミンとp-アミノフェノールの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:319)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
なお、第1及び第2のピークの化合物は、それぞれ合成例2における第1及び第2のピークの化合物と同一のものであることが確認された。また、HPLC測定では、原料である2種のプレカーサー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
得られた染料P1-P2’について、合成例2で得られた染料P1-P2と同じ評価を行った結果、染料P1-P2と同様に染色力、染色堅牢性、染色色味安定性及び染色濃度安定性について良好な結果が得られた。
【0080】
・合成例3(染料P1-P3の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーであるp-フェニレンジアミン0.49g及び2,5-ジアミノトルエン硫酸塩1.0g(p-フェニレンジアミンと2,5-ジアミノトルエン硫酸塩のモル比は1:1)を添加し、水酸化ナトリウムでpH10に調整し、常温でエアレーションしながら3日間攪拌して酸化させた。その後、析出物をろ別し、ろ物を80~90℃の熱水で洗浄して、0.58g(収率39%)の精製物(染料P1-P3)を回収した。
回収した精製物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=3.9分の位置に全体の20%を占める第1のピークが、リテンションタイム=8.7分の位置に全体の30%を占める第2のピークが、リテンションタイム=12分の位置に全体の15%を占める第3のピークが検出された。
第1のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=227であった。これは、p-フェニレンジアミンと2,5-ジアミノトルエン硫酸塩の1:1共重合体(二量体)の分子量(計算値:226)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。
第2のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=333であった。これは、p-フェニレンジアミンと2,5-ジアミノトルエン硫酸塩の2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:332)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
第3のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=347であった。これは、p-フェニレンジアミンと2,5-ジアミノトルエン硫酸塩の1:2共重合体(三量体、第2のピークの化合物の異性体)の分子量(計算値:346)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料である2種のプレカーサー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0081】
・合成例4(染料P1-P4の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーであるp-フェニレンジアミン0.3g及び硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物0.2g(p-フェニレンジアミンと硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物のモル比は2:1)を添加し、水酸化ナトリウムでpH10に調整し、常温でエアレーションしながら2日間攪拌して酸化させた。その後、析出物をろ別し、析出物をメタノール溶解させた後、不溶物をろ別し、溶媒を留去して、0.09g(収率18%)の精製物(染料P1-P4)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=5.3分の位置に全体の78%を占めるピークが検出された。
このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=302であった。これは、p-フェニレンジアミンと4,4’-ジアミノジフェニルアミンの1:1共重合体(二量体)の分子量(計算値:301)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料である2種のプレカーサー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0082】
・合成例5(染料P1-C1の合成)
2.0Lの蒸留水に、プレカーサーとしてp-フェニレンジアミン2.16g、カップラーとして5-アミノ-o-クレゾール2.46g(プレカーサーとカップラーのモル比は1:1)を加えた後、常温でエアレーションしながら一週間攪拌して空気酸化させた。
その後、析出物をろ別し、ろ物を80~90℃の熱水で洗浄して、2.93g(収率63%)の析出物(染料P1-C1)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=4.7分の位置に、全体の99%を占めるピークが検出された。このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=228であった。これは、p-フェニレンジアミンと5-アミノ-o-クレゾールの1:1共重合体(二量体)の分子量(計算値:227)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0083】
・合成例6(染料P1-C2の合成)
2.5Lの蒸留水に、プレカーサーとしてp-フェニレンジアミン29.21g、カップラーとしてレゾルシン14.85g(プレカーサーとカップラーのモル比は2:1)、酸化剤として35%過酸化水素水溶液52.56gを加えた後、水酸化ナトリウムでpH10に調整し、常温で6時間攪拌しながら酸化させた。その後、析出物をろ別し、ろ物を80~90℃の熱水で洗浄して、1.21g(収率2.7%)の析出物(染料P1-C2)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=3.2分の位置に、全体の94%を占めるピークが検出された。このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=321であった。これは、p-フェニレンジアミンとレゾルシンの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:320)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0084】
・合成例7(染料P1-C3の合成)
50mLの蒸留水に、プレカーサーとしてp-フェニレンジアミン0.34g、カップラーとして2,4-ジアミノフェノキシエタノール塩酸塩0.50g(プレカーサーとカップラーのモル比は1.5:1)を添加し、酸化剤として35%過酸化水素水溶液1.61gを加えた後、水酸化ナトリウムでpH8に調整し、常温でエアレーションしながら4時間攪拌して酸化させた。その後、硫酸マグネシウムを添加し18時間放置にて塩析後、析出物をろ別し、0.042g(収率5.0%)の析出物(染料P1-C3)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=2.5分の位置に全体の14%を占める第1のピークが、リテンションタイム=2.6分の位置に全体の31%を占める第2のピークが、リテンションタイム=3.0分の位置に全体の37%を占める第3のピークが検出された。
第1のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=273であった。これは、p-フェニレンジアミンと2,4-ジアミノフェノキシエタノール塩酸塩の1:1共重合体(二量体)の分子量(計算値:272)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。
第2のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=275であった。これは、p-フェニレンジアミンと2,4-ジアミノフェノキシエタノール塩酸塩1:1共重合体(二量体、第1のピークの化合物の異性体)の分子量(計算値:274)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。
第3のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=383であった。これは、p-フェニレンジアミンと2,4-ジアミノフェノキシエタノール塩酸塩の2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:382)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0085】
・合成例8(染料P1-C4の合成)
0.5Lの蒸留水に、プレカーサーとしてp-フェニレンジアミン14.9g、カップラーとしてm-アミノフェノール5g(プレカーサーとカップラーのモル比は3:1)を添加し、酸化剤として35%過酸化水素水溶液53.4gを加えた後、硫酸でpH8に調整し、常温で4時間攪拌しながら酸化させた。その後、析出物(染料P1-C4)をろ別し、1.75g(収率9%)の析出物を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=5.3分の位置に、全体の97%を占めるピークが検出された。このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=320であった。これは、p-フェニレンジアミンとm-アミノフェノールの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:319)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0086】
・合成例9(染料P1-C5の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーとしてp-フェニレンジアミン0.20g、カップラーとして2,6-ジアミノピリジン0.2g(プレカーサーとカップラーのモル比は1:1)を添加し、常温でエアレーションしながら4日間攪拌して酸化させた。その後、析出物(染料P1-C5)をろ別し、0.26g(収率65%)の析出物を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=4.3分の位置に、全体の88%を占めるピークが検出された。このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=320であった。これは、p-フェニレンジアミンと2,6-ジアミノピリジンの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:319)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0087】
・合成例10(染料P2-P2の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーであるp-アミノフェノール1.5gを添加し、常温でエアレーションしながら1日間攪拌して空気酸化させた。その後、析出物をろ別し、ろ物を80~90℃の熱水で洗浄して、0.12g(収率8%)の精製物(染料P2-P2)を回収した。
回収した精製物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=5.4分の位置に、全体の86%を占めるピークが検出された。このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=322であった。これは、p-アミノフェノールの自己重合体(三量体)の分子量(計算値:321)に対応するものであり、ピークの化合物が自己重合体(三量体)であることが確認された。なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーは検出されなかった。
【0088】
・合成例11(染料P2-P3の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーであるp-アミノフェノール0.5g及び2,5-ジアミノトルエン硫酸塩1.0g(p-アミノフェノールと2,5-ジアミノトルエン硫酸塩のモル比は1:1)を添加し、酸化剤として35%過酸化水素水溶液3.06gを加えた後、水酸化ナトリウムでpH8に調整し、常温で4日間攪拌して酸化させた。その後、析出物をろ別し、ろ物を80~90℃の熱水で洗浄して0.31g(収率21%)の精製物を回収した。
回収した精製物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=6.1分の位置に全体の24%を占める第1のピークが、リテンションタイム=6.9分の位置に全体の16%を占める第2のピークが、リテンションタイム=8.0分の位置に全体の51%を占める第3のピークが検出された。
第1のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=333であった。これは、p-アミノフェノールと2,5-ジアミノトルエン硫酸塩の2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:332)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
第2のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=335であった。これは、p-アミノフェノールと2,5-ジアミノトルエン硫酸塩の2:1共重合体(三量体、第1のピークの化合物の異性体)の分子量(計算値:334)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
第3のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=348であった。これは、p-アミノフェノールと2,5-ジアミノトルエン硫酸塩の1:2共重合体(三量体)の分子量(計算値:347)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料である2種のプレカーサー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0089】
・合成例12(染料P2-P4の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーであるp-アミノフェノール0.20g及び硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物0.30g(p-フェニレンジアミンと硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物のモル比は2:1)を添加し、水酸化ナトリウムでpH10に調整し、常温で3日間攪拌して酸化させた。その後、析出物をろ別し、0.23g(収率46%)の精製物(染料P2-P4)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=5.3分の位置に全体の67%を占める第1のピークが、リテンションタイム=6.1分の位置に全体の12%を占める第2のピークが検出された。
第1のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=303であった。これは、p-アミノフェノールと硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物の1:1共重合体(二量体)の分子量(計算値:302)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。
第2のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=410であった。これは、p-アミノフェノールと硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物の2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:409)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料である2種のプレカーサー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0090】
・合成例13(染料P2-C1の合成)
2Lの蒸留水に、プレカーサーとしてp-アミノフェノール2.18g、カップラーとして5-アミノ-o-クレゾール2.46g(プレカーサーとカップラーのモル比は1:1)を添加し、常温でエアレーションしながら一週間攪拌して空気酸化させた。
その後、析出物をろ別し、ろ物を80~90℃の熱水で洗浄した、熱水洗浄後の析出物をエタノールに溶解させ、ろ過にてろ液を回収した。ろ液に蒸留水添加にて再結晶を行い、1.83g(収率39%)の精製物(染料P2-C1)を回収した。
回収した精製物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=4.7分の位置に、全体の98%を占めるピークが検出された。このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=229であった。これは、p-アミノフェノールと5-アミノ-o-クレゾールの1:1共重合体(二量体)の分子量(計算値:228)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0091】
・合成例14(染料P2-C2の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーとしてp-アミノフェノール0.5g、カップラーとしてレゾルシン1.00g(プレカーサーとカップラーのモル比は1:2)を添加し、水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調整後、常温でエアレーションしながら3日間攪拌して空気酸化させた。その後、析出物をろ別し、0.07g(収率4.7%)のろ取物(染料P2-C2)を回収した。
回収したろ取物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=3.2分の位置に、全体の97%を占めるピークが検出された。このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=323であった。これは、p-アミノフェノールとレゾルシンの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:322)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0092】
・合成例15(染料P2-C3の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーとしてp-アミノフェノール0.25g、カップラーとして2,4-ジアミノフェノキシエタノール塩酸塩0.50g(プレカーサーとカップラーのモル比は1:1)を添加し、酸化剤として35%過酸化水素水溶液0.80gを加えた後、水酸化ナトリウムでpH8に調整し、常温でエアレーションしながら4時間攪拌して酸化させた。その後、カタラーゼを0.5g添加して過酸化水素を失活させ、酢酸エチルを添加し、下層液を回収した。回収液に硫酸マグネシウム10gを添加し、アセトンを水層と等量加えて混和後、上層を回収し風乾した。風乾後に析出物0.39g(収率52%)の析出物(染料P2-C3)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=3.4分の位置に全体の64%を占めるピークが検出された。
このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=274であった。これは、p-アミノフェノールと2,4-ジアミノフェノキシエタノール塩酸塩の1:1共重合体(二量体)の分子量(計算値:273)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0093】
・合成例16(染料P2-C4の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーであるp-アミノフェノール1.0gと、カップラーとしてm-アミノフェノール1.0g(プレカーサーとカップラーのモル比は1:1)を添加し、酸化剤として35%過酸化水素水溶液0.89gを加えた後、水酸化ナトリウムでpH8に調整し、常温でエアレーションしながら6時間攪拌して酸化させた。その後、析出物(染料P2-C4)をろ別し、0.08g(収率4%)の析出物を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=5.1分の位置に、全体の94%を占めるピークが検出された。このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=322であった。これは、p-アミノフェノールとm-アミノフェノールの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:321)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0094】
・合成例17(染料P2-C5の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーとしてp-アミノフェノール0.20g、カップラーとして2,6-ジアミノピリジン0.2g(プレカーサーとカップラーのモル比は1:1)を添加し、常温でエアレーションしながら4日間攪拌して酸化させた。その後、析出物(染料P2-C5)をろ別し、0.36g(収率90%)の析出物を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=3.2分の位置に全体の9%を占める第1のピークが、リテンションタイム=4.5分の位置に全体の86%を占める第2のピークが検出された。
第1のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=320であった。これは、p-アミノフェノールと2,6-ジアミノピリジンの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:319)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
第2のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=322であった。これは、p-アミノフェノールと2,6-ジアミノピリジンの2:1共重合体(三量体、第1のピークの化合物の異性体)の分子量(計算値:321)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0095】
・合成例18(染料P3-P3の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーである2,5-ジアミノトルエン硫酸塩0.66gを添加し、水酸化ナトリウムでpH8に調整し、常温でエアレーションしながら4時間攪拌して酸化させた。その後、析出物をろ別し、0.013g(収率2%)の析出物(染料P3-P3)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=13.5分の位置に全体の75%を占めるピークが検出された。
このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=361であった。これは、2,5-ジアミノトルエンの共重合体(三量体)の分子量(計算値:360)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
【0096】
・合成例19(染料P3-P4の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーである2,5-ジアミノトルエン硫酸塩0.44g及び硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物0.3g(2,5-ジアミノトルエン硫酸塩と硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物のモル比は2:1)を添加し水酸化ナトリウムでpH10に調整し、常温でエアレーションしながら3日間攪拌して酸化させた。その後、析出物をろ別し、析出物をメタノール溶解させた後、不溶物をろ別し、溶媒を留去して、0.28g(収率38%)の粉末(染料P3-P4)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=6.0分の位置に全体の73%を占めるピークが検出された。
このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=316であった。これは、2,5-ジアミノトルエン硫酸塩と硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物の1:1共重合体(二量体)の分子量(計算値:315)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料である2種のプレカーサー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0097】
・合成例20(染料P3-C1の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーとして2,5-ジアミノトルエン硫酸塩1.09g、カップラーとして5-アミノ-o-クレゾールを0.61g(プレカーサーとカップラーのモル比は1:1)添加し、水酸化ナトリウムでpH10に調整し、常温でエアレーションしながら3日間攪拌して空気酸化させた。その後、析出物をろ別し、0.28g(収率16%)の析出物(染料P3-C1)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=6.1分の位置に、全体の98%を占めるピークが検出された。このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=242であった。これは、2,5-ジアミノトルエン硫酸塩と5-アミノ-o-クレゾールの1:1共重合体(二量体)の分子量(計算値:241)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0098】
・合成例21(染料P3-C2の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーである2,5-ジアミノトルエン硫酸塩1.1gと、カップラーであるレゾルシン0.55g(トルエン-2,5-ジアミン硫酸塩とレゾルシンのモル比は1:1)を添加し、水酸化ナトリウムでpH8に調整し、常温でエアレーションしながら4日間攪拌して酸化させた。その後、析出物をろ別し、0.04g(収率2.4%)の析出物(染料P3-C2)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=3.9分の位置に全体の76%を占めるピークが検出された。
このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=349であった。これは、2,5-ジアミノトルエン硫酸塩とレゾルシンの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:348)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0099】
・合成例22(染料P3-C3の合成)
50mLの蒸留水に、プレカーサーとして2,5-ジアミノトルエン硫酸塩0.69g、カップラーとして2,4-ジアミノフェノキシエタノール塩酸塩0.50g(プレカーサーとカップラーのモル比は1:1.5)を添加し、酸化剤として35%過酸化水素水溶液1.61gを加えた後、水酸化ナトリウムでpH8に調整し、常温でエアレーションしながら4時間攪拌して酸化させた。その後、硫酸マグネシウムを添加し18時間放置にて塩析後、析出物をろ過し、0.06g(収率5.0%)の析出物(染料P3-C3)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=3.8分の位置に全体の78%を占めるピークが検出された。
このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=287であった。これは、2,5-ジアミノトルエン硫酸塩と2,4-ジアミノフェノキシエタノール塩酸塩の1:1共重合体(二量体)の分子量(計算値:286)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0100】
・合成例23(染料P3-C4の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーとして2,5-ジアミノトルエン硫酸塩0.88g、カップラーとしてm-アミノフェノール0.4g(プレカーサーとカップラーのモル比は1:1)を添加し、酸化剤として35%過酸化水素水溶液0.50gを加えた後、水酸化ナトリウムでpH8に調整し、常温でエアレーションしながら3日間攪拌して酸化させた。その後、析出物(染料P3-C4)をろ別し、0.39g(収率30%)の析出物を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=7.4分の位置に、全体の85%を占めるピークが検出された。このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=348であった。これは、2,5-ジアミノトルエン硫酸塩とm-アミノフェノールの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:347)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0101】
・合成例24(染料P3-C5の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーとして2,5-ジアミノトルエン硫酸塩0.44g、カップラーとして2,6-ジアミノピリジン0.2g(プレカーサーとカップラーのモル比は1:1)を添加し、常温でエアレーションしながら4日間攪拌して酸化させた。その後、析出物(染料P3-C5)をろ別し、0.11g(収率17%)の析出物を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=3.3分の位置に、全体の75%を占めるピークが検出された。このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=352であった。これは、2,5-ジアミノトルエン硫酸塩と2,6-ジアミノピリジンの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:351)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0102】
・合成例25(染料P4-P4の合成)
50mLの蒸留水に、プレカーサーである硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物1.02gを添加し、酸化剤として硝酸カリウム0.68gを加えた後、水酸化ナトリウムでpH8に調整し、4時間攪拌して酸化させた。その後、ろ過により、0.29g(収率28%)の析出物(染料P4-P4)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=3.9分の位置に全体の98%を占めるピークが検出された。
このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=393であった。これは、4,4’-ジアミノジフェニルアミンの共重合体(二量体)の分子量(計算値:392)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。
【0103】
・合成例26(染料P4-C1の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーである硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物0.30gと、カップラーである5-アミノ-o-クレゾール0.25g(硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物と5-アミノ-o-クレゾールのモル比は1:2)を添加し、水酸化ナトリウムでpH10に調整し、常温でエアレーションしながら6日間攪拌して酸化させた。その後、析出物をろ別し、0.25g(収率45%)の析出物(染料P4-C1)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=8.4分の位置に全体の94%を占めるピークが検出された。
このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=319であった。これは、4,4’-ジアミノジフェニルアミンと5-アミノ-o-クレゾールの1:1共重合体(二量体)の分子量(計算値:318)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0104】
・合成例27(染料P4-C2の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーである硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物0.30gと、カップラーであるレゾルシン0.20g(硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物とレゾルシンのモル比は1:2)を添加し、水酸化ナトリウムでpH10に調整し、常温でエアレーションしながら6日間攪拌して酸化させた。その後、析出物をろ別し、0.01g(収率2%)の析出物(染料P4-C2)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=6.9分の位置に全体の65%を占めるピークが検出された。
このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=503であった。これは、4,4’-ジアミノジフェニルアミンとレゾルシンの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:502)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0105】
・合成例28(染料P4-C3の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーである硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物0.30gと、カップラーである2,4-ジアミノフェノキシエタノール塩酸塩0.50g(硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物と2,4-ジアミノフェノキシエタノール塩酸塩のモル比は1:2)を添加し、水酸化ナトリウムでpH10に調整し、常温でエアレーションしながら6日間攪拌して酸化させた。その後、析出物をろ別し、0.13g(収率16%)の析出物(染料P4-C3)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=4.8分の位置に全体の60%を占めるピークが検出された。
このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=363であった。これは、4,4’-ジアミノジフェニルアミンと2,4-ジアミノフェノキシエタノールの1:1共重合体(二量体)の分子量(計算値:362)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0106】
・合成例29(染料P4-C4の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーである硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物0.40gと、カップラーであるm-アミノフェノール0.90g(プレカーサーとカップラーのモル比は1:8)を添加し、水酸化ナトリウムでpH10に調整し、常温でエアレーションしながら4日間攪拌して酸化させた。その後、析出物をろ別し、0.30g(収率23%)の析出物(染料P4-C4)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=5.6分の位置に全体の42%を占める第1のピークが、リテンションタイム=7.4分の位置に全体の21%を占める第2のピークが、リテンションタイム=16.2分の位置に全体の23%を占める第3のピークが検出された。
第1のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=305であった。これは、硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物とm-アミノフェノールの1:1共重合体(二量体)の分子量(計算値:304)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。
第2のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=412であった。これは、硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物とm-アミノフェノールの1:2共重合体(三量体)の分子量(計算値:411)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
第3のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=500であった。これは、硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物とm-アミノフェノールの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:499)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0107】
・合成例30(染料P4-C5の合成)
100mLの蒸留水に、プレカーサーである硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物0.3gと、カップラーである2,6-ジアミノピリジン0.2g(プレカーサーとカップラーのモル比は1:2)を添加し、水酸化ナトリウムでpH11に調整し、常温でエアレーションしながら6日間攪拌して酸化させた。その後、析出物をろ別し、0.21g(収率42%)の析出物(染料P4-C5)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=5.8分の位置に全体の21%を占める第1のピークが、リテンションタイム=13.6分の位置に全体の50%を占める第2のピークが検出された。
第1のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=500であった。これは、硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物と2,6-ジアミノピリジンの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:499)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
第2のピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=498であった。これは、硫酸4,4’-ジアミノジフェニルアミン水和物2,6-ジアミノピリジンの2:1共重合体(三量体)の分子量(計算値:497)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(三量体)であることが確認された。
なお、HPLC測定では、原料であるプレカーサーとカップラー、又はプレカーサーの自己重合体は検出されなかった。
【0108】
・合成例31(染料P5-P5の合成)
400mLの蒸留水に、プレカーサーであるo-アミノフェノール2.0gを添加し、水酸化ナトリウムでpH8に調整し、常温でエアレーションしながら4日間攪拌して酸化させた。その後、析出物をろ別し、0.96g(収率48%)の析出物(染料P5-P5)を回収した。
回収した析出物について、HPLC測定を行ったところ、リテンションタイム=7.6分の位置に全体の88%を占めるピークが検出された。
このピークの部分について、LC/MS測定を行ったところ、実測値が[M+H]+=213であった。これは、o-アミノフェノールの共重合体(二量体)の分子量(計算値:212)に対応するものであり、ピークの化合物が共重合体(二量体)であることが確認された。
【0109】
<処方例>
以下の処方例では、動粘度74~77mm2/s(37.5℃時点)のミネラルオイル、融点88℃のマイクロクリスタリンワックス、融点56℃のワセリン、動粘度10000mm2/s(37.5℃時点)のメチルポリシロキサンを用いた。
【0110】
・処方例1-1及び1-2(ヘアカラートリートメントオイルタイプ1剤式)
表1に記載のヘアカラートリートメントオイルタイプ1剤式の染毛剤を調合した。染毛の際には、調合した剤を水洗浄後タオルドライした人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、15分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
【表1】
【0111】
・処方例2-1~2-5(ヘアカラートリートメントクリームオイルタイプ2剤式)
表2に記載の処方で、第1剤及び第2剤から構成されるヘアカラートリートメントクリームオイルタイプ2剤式の染毛剤を調合した。染毛の際には、第1剤と第2剤を4:1の比率で配合し、水洗浄後タオルドライした人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、15分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
なお、処方例2-1、2-3及び2-4については、シア脂の融点を超える80℃で加熱して溶解させた上で、調合した。
【表2】
【0112】
・処方例3(ヘアカラートリートメントクリーム分散剤タイプ)
表3に記載の処方で、第1剤及び第2剤から構成されるヘアカラートリートメントクリーム分散剤タイプの染毛剤を調合した。染毛の際には、第1剤と第2剤を4:1の比率で配合し、水洗浄後タオルドライした人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、15分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
【表3】
【0113】
・処方例4(ヘアカラートリートメントオイル分散剤タイプ)
表4に記載の処方で、第1剤及び第2剤から構成されるヘアカラートリートメントオイル分散剤タイプの染毛剤を調合した。染毛の際には、第1剤と第2剤を4:1の比率で配合し、水洗浄後タオルドライした人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、15分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
【表4】
【0114】
・処方例5-1及び5-2(ヘアカラートリートメントジェルオイルタイプ2剤式)
表5に記載の処方で、第1剤及び第2剤から構成されるヘアカラートリートメントジェルオイルタイプ2剤式の染毛剤を調合した。染毛の際には、第1剤と第2剤を4:1の比率で配合し、人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、15分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
なお、処方例5-1については、シア脂の融点を超える80℃で加熱して溶解させた上で、調合した。
【表5】
【0115】
・処方例6-1及び6-2(ヘアカラー剤クリームオイルタイプ3剤式)
表6に記載の処方で、第1剤、第2剤及び第3剤から構成されるヘアカラー剤クリームオイルタイプ3剤式の染毛剤を調合した。染毛の際には、第1剤と第2剤と第3剤を4:1:5の比率で配合し、人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、30分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
なお、処方例6-1については、シア脂の融点を超える80℃で加熱して溶解させた上で、調合した。
【表6】
【0116】
・処方例7(ヘアカラートリートメントスプレーオイルタイプ)
表7に記載のヘアカラートリートメントスプレーオイルタイプの染毛剤を調合した。染毛の際には、調合した剤を、水洗浄後タオルドライした人毛白髪毛束1gに1.0g塗布し、15分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
【表7】
【0117】
・処方例8-1及び8-2(ヘアカラートリートメント泡タイプ 2剤式)
表8に記載の処方で、第1剤及び第2剤から構成されるヘアカラートリートメント泡タイプ 2剤式の染毛剤を調合した。染毛の際には、第1剤と第2剤を1:1の比率で配合し、人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、30分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
なお、処方例8-1については、シア脂の融点を超える80℃で加熱して溶解させた上で、調合した。
【表8】
【0118】
・処方例9(ヘアカラートリートメントクリームタイプ1剤式)
表9に記載のヘアカラートリートメントクリームタイプ1剤式の染毛剤を調合した。染毛の際には、調合した剤を水洗浄後タオルドライした人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、15分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
【表9】
【0119】
・処方例10-1及び10-2(ヘアカラートリートメントクリームアルコールタイプ2剤式)
表10に記載の処方で、第1剤及び第2剤から構成されるヘアカラートリートメントクリームアルコールタイプ2剤式の染毛剤を調合した。染毛の際には、第1剤と第2剤を4:1の比率で配合し、水洗浄後タオルドライした人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、15分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
【表10】
【0120】
・処方例11(ヘアカラートリートメントオイルアルコールタイプ2剤式)
表11に記載の処方で、第1剤及び第2剤から構成されるヘアカラートリートメントオイルアルコールタイプの染毛剤を調合した。染毛の際には、第1剤と第2剤を4:1の比率で配合し、水洗浄後タオルドライした人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、15分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
【表11】
【0121】
・処方例12(ヘアカラートリートメントジェルタイプ1剤式)
表12に記載のヘアカラートリートメントジェルタイプ1剤式の染毛剤を調合した。染毛の際には、人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、15分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
【表12】
【0122】
・処方例13-1及び13-2(ヘアカラートリートメントジェルアルコールタイプ2剤式)
表13に記載の処方で、第1剤及び第2剤から構成されるヘアカラートリートメントジェルアルコールタイプ2剤式の染毛剤を調合した。染毛の際には、第1剤と第2剤を4:1の比率で配合し、人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、15分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
【表13】
【0123】
・処方例14(ヘアカラー剤クリームタイプ2剤式)
表14に記載の処方で、第1剤及び第2剤から構成されるヘアカラー剤クリームタイプ2剤式の染毛剤を調合した。染毛の際には、第1剤と第2剤を1:1の比率で配合し、人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、30分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
【表14】
【0124】
・処方例15-1及び15-2(ヘアカラー剤クリームアルコールタイプ3剤式)
表15に記載の処方で、第1剤、第2剤及び第3剤から構成されるヘアカラー剤クリームアルコールタイプ3剤式の染毛剤を調合した。染毛の際には、第1剤と第2剤と第3剤を4:1:5の比率で配合し、人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、30分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
【表15】
【0125】
・処方例16(ヘアカラートリートメントスプレーアルコールタイプ)
表16に記載のヘアカラートリートメントスプレーアルコールタイプの染毛剤を調合した。染毛の際には、調合した剤を、水洗浄後タオルドライした人毛白髪毛束1gに1.0g塗布し、15分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
【表16】
【0126】
・処方例17-1及び17-2(ヘアカラートリートメント泡タイプ 1剤式)
表17に記載のヘアカラートリートメント泡タイプ 1剤式の染毛剤を調合した。染毛の際には、調合した剤を、人毛白髪毛束1gに1.5g塗布し、30分30~35℃で放置後水洗し風乾した。
【表17】
【0127】
(実施例、参考例及び比較例)
表19~26に示す染料及び処方例を適用し、染毛剤について以下の評価を行った。また、染料についても以下の評価を行った。その結果を、表19~26に示す。
【0128】
<染毛剤の評価>
・評価方法1(染色濃度(染色力))
上記処方例に記載の方法で毛束の染色を行った。染色後の毛束の染色濃度について、下記の評価基準で専門パネラー20名に評価させた。
◎:非常に濃く染まる
○:濃く染まる
△:薄く染まる
×:非常に薄く染まる
【0129】
・評価方法2(染色堅牢性)
上記処方例に記載の方法で毛束の染色を行った。染色後の毛束を軽く濡らして、表18に記載のシャンプー0.5gを塗布し30秒泡立てながら洗浄した後、流水で30秒洗浄して風乾する工程を3回繰り返すことによりシャンプー褪色試験を行なった。褪色試験前後の毛束について、下記の評価基準で専門パネラー20名に評価させた。
◎ :染色堅牢性が非常に高い(試験前後で褪色がほとんどない)
○ :染色堅牢性が高い(試験前後で褪色が若干認められる)
△ :染色堅牢性が低い(試験前後で褪色が認められる)
× :染色堅牢性が非常に低い(試験前後で褪色が非常に大きい)
【0130】
・評価方法3(染色色味安定性)
上記処方例に記載の方法で染毛剤の各剤を調合した。調合後すぐに各剤を配合して染色を行った毛髪と、調合して1ヶ月と3ヶ月経過してから各剤を配合して染色を行った毛髪の染色色味を比較し、1ヶ月と3ヶ月経過した剤の染色色味について、下記の評価基準で専門パネラー20名に評価させた。
◎ :1ヶ月経過後に染色して変化なし、3ヶ月経過後に染色して変化なし
○ :1ヵ月経過後に染色して変化なし、3ヵ月経過後に染色して僅かに変化した
△ :1ヵ月経過後に染色して変化なし、3ヶ月経過後に染色して大きく変化した
× :1ヶ月経過後に染色して僅かに変化し、3ヶ月経過後に染色して
大きく変化した
×× :1ヶ月経過後に染色して大きく変化しくすみ、
3ヵ月経過後に染色してほとんど染まらなかった
【0131】
・評価方法4(染色濃度安定性)
上記処方例に記載の方法で染毛剤の各剤を調合した。調合後すぐに各剤を配合して染色を行った毛髪と、調合して1ヶ月と3ヶ月経過してから各剤を配合して染色を行った毛髪の染色濃度を比較し、1ヶ月と3ヶ月経過した剤の染色濃度について、下記の評価基準で専門パネラー20名に評価させた。
◎ :1ヵ月後は変化なく、3ヶ月後も変化なし
○ :1ヵ月後は変化なく、3ヶ月後は僅かに薄くなった
△ :1ヶ月後は僅かに薄くなり、3ヶ月後は非常に薄くなった
× :1ヶ月後は非常に薄くなり、3ヵ月後はほとんど染まらなかった
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】