IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星電子株式会社の特許一覧

特許7182394アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置
<>
  • 特許-アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置 図1
  • 特許-アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置 図2
  • 特許-アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置 図3
  • 特許-アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置 図4
  • 特許-アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置 図5
  • 特許-アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置 図6
  • 特許-アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置 図7
  • 特許-アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置 図8
  • 特許-アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置 図9
  • 特許-アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置 図10
  • 特許-アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置 図11
  • 特許-アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置 図12
  • 特許-アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20221125BHJP
   A61H 3/00 20060101ALI20221125BHJP
   F16H 1/46 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
F16H1/32 B
A61H3/00 B
F16H1/46
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018148376
(22)【出願日】2018-08-07
(65)【公開番号】P2019074202
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】10-2017-0133966
(32)【優先日】2017-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】李 鍾 源
(72)【発明者】
【氏名】朴 永 珍
(72)【発明者】
【氏名】李 演 白
(72)【発明者】
【氏名】金 廷 勳
(72)【発明者】
【氏名】盧 世 坤
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲みん▼ 炯
(72)【発明者】
【氏名】崔 炳 浚
(72)【発明者】
【氏名】崔 ▲ひょん▼ ▲ど▼
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06342012(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
A61H 3/00
F16H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次動力を伝達する複数の動力伝達要素であって、前記複数の動力伝達要素は、同軸の回転運動を行う隣接する第1動力伝達要素及び第2動力伝達要素を含む、複数の動力伝達要素と、
前記第1動力伝達要素及び第2動力伝達要素を連結する弾性要素と、
前記第1動力伝達要素の第1回転角度を測定する第1角度センサと、
前記第2動力伝達要素の第2回転角度を測定する第2角度センサと、
前記第1回転角度及び前記第2回転角度に基づいて前記第1動力伝達要素及び前記第2動力伝達要素の間に作用するトルクを決定するための制御部と、
を含むアクチュエータ。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1回転角度と前記第2回転角度との差に基づいて前記トルクを決定する、請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記複数の動力伝達要素に動力を伝達するためのモータと、
前記モータを収容するモータ収容部と、前記モータの駆動軸に垂直な方向を基準として前記モータ収容部に少なくとも一部がオーバラップされるメイン収容部を含むケースであって、前記メイン収容部は、前記第1動力伝達要素、前記第2動力伝達要素、及び前記弾性要素を収容する、ケースと、
をさらに含む、請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記ケースは、前記モータ収容部及び前記メイン収容部それぞれの一側に脱着自在に結合されるカバーをさらに含む、請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1動力伝達要素は内部に中空部分を有し、
前記弾性要素は、前記第1動力伝達要素の内壁及び前記第2動力伝達要素の外壁の間に配置される、請求項1乃至のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第1動力伝達要素、前記弾性要素、及び前記第2動力伝達要素は一体に形成される、請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記弾性要素は、
ボディ部と、
一端は前記第1動力伝達要素の内壁に固定され、他端は前記第2動力伝達要素の外壁に隣接する第1連結部と、
一端は前記第2動力伝達要素の外壁に固定され、他端は前記第1動力伝達要素の内壁に隣接する第2連結部と、
を含む、請求項又はに記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記ボディ部は円形状であり、
前記第1連結部は、前記ボディ部の第1部分を取り囲む湾曲形状を有し、
前記第2連結部は、前記ボディ部の第2部分を取り囲む湾曲形状を有する、請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記弾性要素は、前記第1動力伝達要素及び前記第2動力伝達要素が共有する回転軸を基準として同じ間隔で複数が離隔配置される、請求項乃至のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記第1動力伝達要素及び前記第2動力伝達要素のいずれか1つの動力伝達要素が他の1つの動力伝達要素に対して設定の角度だけ回転する場合、複数の前記弾性要素のうち隣接する2つの前記弾性要素は互いに接触する、請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記複数の動力伝達要素は、
前記第1動力伝達要素に回転自在に固定される回転軸を有し、前記第1動力伝達要素の回転軸を中心に公転する第1遊星歯車と、
前記第1遊星歯車に動力を伝達するための第1太陽歯車と、
前記第2動力伝達要素の外周面に噛み合って、前記第2動力伝達要素の回転軸を中心に公転する第2遊星歯車と、
前記第2遊星歯車が回転自在に設置され、前記第2動力伝達要素と同軸の回転運動を行うキャリアと、
前記第1遊星歯車及び前記第2遊星歯車に噛み合うリング歯車と、
を含む、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項12】
前記複数の動力伝達要素を駆動するための動力を生成するモータをさらに含み、
前記複数の動力伝達要素は、前記モータ及び前記第1太陽歯車を連結する歯車トレインをさらに含む、請求項11に記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記モータ、前記第1動力伝達要素、前記第2動力伝達要素、及び前記弾性要素は、前記歯車トレインを基準として同じ側に配置される、請求項12に記載のアクチュエータ。
【請求項14】
前記第1動力伝達要素及び前記リング歯車のいずれか1つを選択的に固定させることで、前記第1太陽歯車及び前記キャリアの間の減速比を変更できるストッパモジュールをさらに含む、請求項11乃至13のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項15】
前記ストッパモジュールは、
前記第1動力伝達要素を固定可能な第1ストッパと、
前記リング歯車を固定可能な第2ストッパと、
を含む、請求項14に記載のアクチュエータ。
【請求項16】
前記第2動力伝達要素は楕円状であり、
前記複数の動力伝達要素は、
前記第2動力伝達要素の回転によって弾性変形されるフレクスプラインと、
前記フレクスプラインを取り囲み、前記フレクスプラインの外周面のうち少なくとも一部に噛み合う内歯歯車形状を有するサーキュラスプラインと、
を含む、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項17】
順次動力を伝達する複数の動力伝達要素であって、前記複数の動力伝達要素は、同軸の回転運動を行う隣接する第1動力伝達要素及び第2動力伝達要素を含む、複数の動力伝達要素と、前記第1動力伝達要素及び第2動力伝達要素を連結する弾性要素と、前記複数の動力伝達要素の入力端に動力を伝達するモータと、を含むアクチュエータと、
前記複数の動力伝達要素の出力端から動力が伝達され、ユーザに動力を伝達する駆動フレームと、
を含み、
前記アクチュエータは、前記第1動力伝達要素の第1回転角度を測定する第1角度センサと、前記第2動力伝達要素の第2回転角度を測定する第2角度センサと、前記第1回転角度及び前記第2回転角度に基づいて前記モータ及び前記駆動フレームの間に作用するトルクを決定するための制御部と、をさらに含む、
運動補助装置。
【請求項18】
前記第1角度センサは、前記モータに連結され、前記モータの駆動軸の回転角度を測定し、
前記第2角度センサは、前記駆動フレームに連結され、前記駆動フレームの回転角度を測定する、請求項17に記載の運動補助装置。
【請求項19】
前記複数の動力伝達要素は、第1遊星歯車セット及び第2遊星歯車セットを含み、
前記第1遊星歯車セットは、第1遊星歯車及び前記第1遊星歯車から動力が伝達されるキャリアを含み、
前記第2遊星歯車セットは、第2遊星歯車及び前記第2遊星歯車から動力が伝達される太陽歯車を含み、
前記制御部は、
前記キャリア及び前記太陽歯車それぞれの歯車比に基づいて、前記第1回転角度及び前記第2回転角度を決定し、
前記第1回転角度と前記第2回転角度との差、前記弾性要素の弾性係数に基づいて前記弾性要素に作用するトルクを決定する、請求項17又は18に記載の運動補助装置。
【請求項20】
前記制御部は、前記弾性要素の変形による反作用として作用するトルクを決定する、請求項19に記載の運動補助装置。
【請求項21】
前記弾性要素は、
ボディ部と、
一端は前記第1動力伝達要素の内壁に固定され、他端は前記第2動力伝達要素の外壁に隣接する第1連結部と、
一端は前記第2動力伝達要素の外壁に固定され、他端は前記第1動力伝達要素の内壁に隣接する第2連結部と、
を含む、請求項17乃至20のいずれか1項に記載の運動補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータは動力を用いて機械を動作させる駆動装置であって、ロボット又は産業設備などの様々な装置を駆動させるために使用される。例えば、アクチュエータは、関節の不自由な老人や患者などの人々の歩行を補助する運動補助装置の各関節部を駆動させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、アクチュエータ及びこれを含む運動補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態によれば、アクチュエータは、順次動力を伝達する複数の動力伝達要素であって、同軸の回転運動を行う隣接する第1動力伝達要素及び第2動力伝達要素を含む、複数の動力伝達要素と、前記第1動力伝達要素及び第2動力伝達要素を連結する弾性要素とを含む。
【0005】
前記アクチュエータは、前記第1動力伝達要素の第1回転角度を測定する第1角度センサと、前記第2動力伝達要素の第2回転角度を測定する第2角度センサと、前記第1回転角度及び第2回転角度に基づいて前記第1動力伝達要素及び第2動力伝達要素の間に作用するトルクを決定するための制御部とをさらに含み得る。
【0006】
前記制御部は、前記第1回転角度と第2回転角度との差に基づいて前記トルクを決定し得る。
【0007】
前記アクチュエータは、前記複数の動力伝達要素に動力を伝達するためのモータと、前記モータを収容するモータ収容部と、前記モータの駆動軸に垂直な方向を基準として前記モータ収容部に少なくとも一部がオーバラップされるメイン収容部を含むケース(前記メイン収容部は、前記第1動力伝達要素、第2動力伝達要素、及び弾性要素を収容する)とをさらに含み得る。
【0008】
前記ケースは、前記モータ収容部及び前記メイン収容部それぞれの一側に脱着自在に結合されるカバーをさらに含み得る。
【0009】
前記第1動力伝達要素は内部に中空部分を有し、前記弾性要素は、前記第1動力伝達要素の内壁及び前記第2動力伝達要素の外壁の間に配置され得る。
【0010】
前記第1動力伝達要素、弾性要素、及び第2動力伝達要素は一体に形成され得る。
【0011】
前記弾性要素は、ボディ部と、一端は前記第1動力伝達要素の内壁に固定され、他端は前記第2動力伝達要素の外壁に隣接する第1連結部と、一端は前記第2動力伝達要素の外壁に固定され、他端は前記第1動力伝達要素の内壁に隣接する第2連結部とを含み得る。
【0012】
前記ボディ部は円形状であり、前記第1連結部は、前記ボディ部の第1部分を取り囲む湾曲形状を有し、前記第2連結部は、前記ボディ部の第2部分を取り囲む湾曲形状を有し得る。
【0013】
前記弾性要素は、前記第1動力伝達要素及び第2動力伝達要素が共有する回転軸を基準として同じ間隔で複数が離隔配置され得る。
【0014】
前記第1動力伝達要素及び第2動力伝達要素のいずれか1つの動力伝達要素が他の1つの動力伝達要素に対して設定の角度だけ回転する場合、前記複数の弾性要素のうち隣接する2つの弾性要素は互いに接触し得る。
【0015】
前記複数の動力伝達要素は、前記第1動力伝達要素に回転自在に固定される回転軸を有し、前記第1動力伝達要素の回転軸を中心に公転する第1遊星歯車と、前記第1遊星歯車に動力を伝達するための第1太陽歯車と、前記第2動力伝達要素の外周面に噛み合って、前記第2動力伝達要素の回転軸を中心に公転する第2遊星歯車と、前記第2遊星歯車が回転自在に設置され、前記第2動力伝達要素と同軸の回転運動を行うキャリアと、前記第1遊星歯車及び第2遊星歯車に噛み合うリング歯車とを含み得る。
【0016】
前記アクチュエータは、前記複数の動力伝達要素を駆動するための動力を生成するモータをさらに含み得る。前記複数の動力伝達要素は、前記モータ及び前記第1太陽歯車を連結する歯車トレインをさらに含み得る。
【0017】
前記モータ、第1動力伝達要素、第2動力伝達要素、及び弾性要素は、前記歯車トレインを基準として同じ側に配置され得る。
【0018】
前記アクチュエータは、前記第1動力伝達要素及び前記リング歯車のいずれか1つを選択的に固定させることで、前記第1太陽歯車及び前記キャリアの間の減速比を変更できるストッパモジュールをさらに含み得る。
【0019】
前記ストッパモジュールは、前記第1動力伝達要素を固定可能な第1ストッパと、前記リング歯車を固定可能な第2ストッパとを含み得る。
【0020】
前記第2動力伝達要素は楕円状であり、前記複数の動力伝達要素は、前記第2動力伝達要素の回転によって弾性変形されるフレクスプラインと、前記フレクスプラインを取り囲み、前記フレクスプラインの外周面のうち少なくとも一部に噛み合う内歯歯車形状を有するサーキュラスプラインとを含み得る。
【0021】
一実施形態に係る運動補助装置は、順次動力を伝達する複数の動力伝達要素であって、同軸の回転運動を行う隣接する第1動力伝達要素及び第2動力伝達要素を含む、複数の動力伝達要素と、前記第1動力伝達要素及び第2動力伝達要素を連結する弾性要素と、前記複数の動力伝達要素の入力端に動力を伝達するモータと、を含むアクチュエータと、前記複数の動力伝達要素の出力端から動力が伝達され、ユーザに動力を伝達する駆動フレームとを含む。
【0022】
前記アクチュエータは、前記第1動力伝達要素の第1回転角度を測定する第1角度センサと、前記第2動力伝達要素の第2回転角度を測定する第2角度センサと、前記第1回転角度及び第2回転角度に基づいて前記モータ及び駆動フレームの間に作用するトルクを決定するための制御部とをさらに含み得る。
【0023】
前記第1角度センサは、前記モータに連結され、前記モータの駆動軸の回転角度を測定し、前記第2角度センサは、前記駆動フレームに連結され、前記駆動フレームの回転角度を測定し得る。
【0024】
前記複数の動力伝達要素は、第1遊星歯車セット及び第2遊星歯車セットを含み、前記第1遊星歯車セットは、第1遊星歯車及び前記第1遊星歯車から動力が伝達されるキャリアを含み、前記第2遊星歯車セットは、第2遊星歯車及び前記第2遊星歯車から動力が伝達される太陽歯車を含み、前記制御部は、前記キャリア及び前記太陽歯車それぞれの歯車比に基づいて、前記第1回転角度及び第2回転角度を決定し、前記第1回転角度と第2回転角度との差、前記弾性要素の弾性係数に基づいて前記弾性要素に作用するトルクを決定し得る。
【0025】
前記制御部は、前記弾性要素の変形による反作用として作用するトルクを決定し得る。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、アクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一実施形態に係るアクチュエータ及び駆動フレームを示すブロック図である。
図2】一実施形態に係るアクチュエータ及び駆動フレームのより具体的なブロック図である。
図3】一実施形態に係るアクチュエータ及び駆動フレームを示す斜視図である。
図4】一実施形態に係るアクチュエータの分解斜視図である。
図5図3に示すI-Iの切断線に沿って切断したアクチュエータの断面図である。
図6】一実施形態に係る第1動力伝達要素、第2動力伝達要素、及び弾性要素を示す平面図であり、弾性要素が弾性変形されていない状態を示す。
図7】一実施形態に係る第1動力伝達要素、第2動力伝達要素、及び弾性要素を示す平面図であり、弾性要素が弾性変形された状態を示す。
図8】一実施形態に係る第1動力伝達要素、第2動力伝達要素、及び弾性要素を示す正面図である。
図9】他の実施形態に係る第1動力伝達要素、第2動力伝達要素、及び弾性要素を示す正面図である。
図10】更なる実施形態に係るモータの駆動軸、複数の動力伝達要素及び弾性要素示す正面図である。
図11】更なる実施形態に係るアクチュエータ及び駆動フレームを示すブロック図である。
図12】更なる実施形態に係る第1動力伝達要素、第2動力伝達要素、弾性要素、フレクスプライン、及びサーキュラスプラインを示す平面図であり、弾性要素が弾性変形されていない状態を示す。
図13】更なる実施形態に係る第1動力伝達要素、第2動力伝達要素、弾性要素、フレクスプライン、及びサーキュラスプラインを示す平面図であり、弾性要素が弾性変形された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施形態を例示的な図面によって詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加することにおいて、同じ構成要素に対して、たとえ他の図面上に表示されていても、可能な限り同じ符号にすることを留意しなければならない。また、実施形態の説明において、関連する公知構成又は機能に対する具体的な説明が実施形態に対する理解を妨害するものと判断される場合は、その詳細な説明は省略する。
【0029】
また、実施形態の構成要素を説明することにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することがある。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するだけのものであり、その用語によって当該の構成要素の本質や順序などが限定されることはない。いずれかの構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」、又は「接続」されと記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に「連結」、「結合」、又は「接続」されてもよいが、各構成要素の間に更なる構成要素が「連結」、「結合」、又は「接続」され得ることを理解しなければならないのであろう。
【0030】
図1は、一実施形態に係るアクチュエータ及び駆動フレームを示すブロック図である。
【0031】
図1を参照すれば、アクチュエータ100は駆動フレーム900を駆動させる。駆動フレーム900は、ロボット又は産業設備などに適用され得る。例えば、駆動フレーム900はユーザの体の一側を支持し、ユーザの関節運動を補助する運動補助装置の動力伝達部材であり得る。アクチュエータ100は、モータ110、減速機120、第1角度センサ191、及び第2角度センサ192を含む。
【0032】
モータ110は、駆動フレーム900に伝えられる動力を生成する。モータ110から生成された動力は減速機120を通過する間に減速され、駆動フレーム900に伝えられる。モータ110の出力端は、減速機120の入力端と連結される。
【0033】
減速機120は、モータ110から生成された動力を減速させて駆動フレーム900に伝達する。減速機120は、順次動力を伝達する複数の動力伝達要素を含み得る。例えば、減速機120は、直列に連結される第1動力伝達要素130、弾性要素140、及び第2動力伝達要素150を含む。
【0034】
第1動力伝達要素130は、モータ110から動力が伝達されて回転する。例えば、第1動力伝達要素130は、モータ110の出力端に直接連結される減速機120の入力端、又は、減速機120の入力端から動力が伝達される動力伝達要素である。言い換えれば、第1動力伝達要素130及びモータ110の間には、他の動力伝達要素が連結される。
【0035】
第2動力伝達要素150は、第1動力伝達要素130から動力が伝達され、駆動フレーム900に動力を伝達する。例えば、第2動力伝達要素150は、減速機120の出力端、又は、減速機120の出力端に動力を伝達する動力伝達要素である。言い換えれば、第2動力伝達要素150及び駆動フレーム900の間には他の動力伝達要素が連結される。
【0036】
第1動力伝達要素130及び第2動力伝達要素150は、同軸の回転運動を行う。言い換えれば、第1動力伝達要素130及び第2動力伝達要素150それぞれの回転軸は一致する。
【0037】
弾性要素140は、同軸の回転運動を行う隣接する第1動力伝達要素130及び第2動力伝達要素150の間を直列に連結する。駆動フレーム900上に印加される外力がない場合、モータ110で生成される動力の全ては、第1動力伝達要素130から第2動力伝達要素150に伝えられる。一方、駆動フレーム900上に印加される外力がある場合、モータ110で生成される動力の一部は、弾性要素140を変形させるために使用され、残りは第2動力伝達要素150に伝えられる。例えば、駆動フレーム900が運動補助装置のフレームであるとき、駆動フレーム900上に印加される外力は駆動フレーム900及びユーザ間の相互作用トルクであり得る。このような相互作用トルクが増加する場合、弾性要素140を変形させるトルクの大きさが増加する。
【0038】
第1角度センサ191は、第1動力伝達要素130の回転角度を測定し得る。例えば、第1角度センサ191は、第1動力伝達要素130の一側に連結され、直接的に第1動力伝達要素130の回転角度を測定する。異なる例として、第1角度センサ191は、モータ110の駆動軸の回転角度を測定することにより、モータ110から第1動力伝達要素130までの減速比を考慮して間接的に第1動力伝達要素130の回転角度を測定し得る。第1角度センサ191は、測定された第1動力伝達要素130の回転角度に関する情報を制御部800に送信する。
【0039】
第2角度センサ192は、第2動力伝達要素150の回転角度を測定し得る。例えば、第2角度センサ192は、第2動力伝達要素150の一側に連結され、直接的に第2動力伝達要素150の回転角度を測定する。異なる例として、第2角度センサ192は、駆動フレーム900の一側に連結され、第2動力伝達要素150から駆動フレーム900までの減速比を考慮して間接的に第2動力伝達要素150の回転角度を測定し得る。第2角度センサ192は、測定された第2動力伝達要素150の回転角度に関する情報を制御部800に送信する。
【0040】
制御部800は、メモリ(図示せず)及びプロセシング回路(図示せず)を含む。
【0041】
メモリは、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、RAM、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、及び光学ディスクドライブのうち少なくとも1つを含む。
【0042】
プロセシング回路は、プロセッサ、中央処理装置(CPU)、算術論理演算装置(arithmetic logic unit:ALU)、デジタルシグナルプロセッサ、マイクロ・コンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array:FPGA)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)、システムオンチップ(System-on-Chip)及びマイクロ・プロセッサ又は定義された方式で動作を実行する任意の異なる装置であり得る。また、プロセシング回路は、ユーザの歩行状態を検出し、その結果に基づいてストッパモジュールを駆動して歯車比を変更するよう構成される。
【0043】
したがって、プロセシング回路は、別途の力又はトルクセンサと力増幅器を使用することなく、弾性要素140を通した相互作用力を測定することで、アクチュエータそのものの機能を向上させ、弾性要素140が衝撃を吸収してアクチュエータの耐久性を向上させ得る。弾性要素240は、第1キャリア233及び第2太陽歯車251の間に印加されるトルクによって変形される。弾性要素240は、駆動フレーム900に加えられた衝撃を吸収してアクチュエータの耐久性を向上させることができる。
【0044】
制御部800は、第1角度センサ191及び第2角度センサ192で測定された値に基づいて、第1動力伝達要素130及び第2動力伝達要素150の間に作用するトルクを決定する。例えば、制御部800は、第1動力伝達要素130及び第2動力伝達要素150それぞれの回転角度の差と、弾性要素140の弾性係数値に基づいてトルクを決定する。制御部800は、アクチュエータ100とは物理的に離れていてもよいが、空間が許せばアクチュエータの一部になっていてもよい。
【0045】
弾性要素140の弾性係数値が変形角度とは関係なく一定である場合、制御部800は、第1動力伝達要素130及び第2動力伝達要素150それぞれの回転角度の差を弾性要素140の変形角度として決定し、変形角度に弾性要素140の弾性係数値を乗算し、第1動力伝達要素130及び第2動力伝達要素150の間に作用するトルクを決定できる。言い換えれば、第1動力伝達要素130及び第2動力伝達要素150それぞれの回転角度の差をΔθとし、弾性要素140の弾性係数をkとすれば、制御部800は、相互作用トルクT(interaction torque)を下記の数式(1)により決定する。
【0046】
T=kΔθ (1)
一方、実験又は計算によって決定された弾性要素140の変形角度による相互作用トルクTを予め格納し、変形角度及び格納されたデータに基づいて相互作用トルクTを決定してもよい。この場合、弾性要素140の弾性係数が変形角度に応じて非線形的に変わる場合にも相互作用トルクTを決定できる。
【0047】
制御部800は、相互作用トルクTに基づいて、アクチュエータ100が駆動フレーム900に伝達する動力の大きさを制御する。
【0048】
図2は、一実施形態に係るアクチュエータ及び駆動フレームのより具体的なブロック図であり、図3及び図4は、それぞれ斜視図及び分解斜視図であり、図5は、図3に示すI-Iの切断線に沿って切断した断面図である。
【0049】
図2図5を参照すれば、一実施形態に係るアクチュエータ200は、モータ210、歯車トレイン220、第1遊星歯車セット230、弾性要素240、第2遊星歯車セット250、ストッパモジュール260、ケース270、第1角度センサ291、及び第2角度センサ292を含む。アクチュエータ200は、駆動フレーム900と連結される。図2図5における制御部は、図面を簡略に示すために省略する。
【0050】
第1動力伝達要素及び第2動力伝達要素は、歯車トレイン220、第1遊星歯車セット230、第2遊星歯車セット250を構成している複数の動力伝達要素のうち互いに隣接するように配置され、同軸の回転運動を行う動力伝達要素であり得る。例えば、第1動力伝達要素は、第1遊星歯車セット230の第1キャリア233であってもよく、第2動力伝達要素は、第2遊星歯車セット250の第2太陽歯車251であってもよい(図2及び図4参照)。異なる例として、第1動力伝達要素は、歯車トレイン220の出力端である平歯車223であってもよく、第2動力伝達要素は、第1遊星歯車セット230の入力端である第1太陽歯車231であってもよい。説明の便宜のために、図2図5では、第1動力伝達要素が第1キャリア233であり、第2動力伝達要素が第2太陽歯車251である場合を例示的に説明する。
【0051】
歯車トレイン220は、複数の平歯車221、222、223を含む。複数の平歯車は、直列に連結される第1平歯車221、第2平歯車222、及び第3平歯車223を含む。歯車トレイン220を構成している複数の平歯車の個数は例示的に3個と示したが、平歯車の個数はこれに制限されないことを明らかにする。
【0052】
第1平歯車221は、モータ210の駆動軸211に装着及び分離自在に連結されている。第1平歯車221は、モータ210の駆動軸211によって回転する。
【0053】
第2平歯車222は、第1平歯車221の一側と噛み合う。第2平歯車222の直径は第1平歯車221の直径よりも大きく、第2平歯車222の歯数は第1平歯車221の歯数よりも多い。動力は、第1平歯車221から第2平歯車222まで伝えられる過程で減速される。
【0054】
第3平歯車223は、第2平歯車222の一側と噛み合う。第3平歯車223の直径は第2平歯車222の直径よりも大きく、第3平歯車223の歯数は第2平歯車222の歯数よりも多い。動力は、第2平歯車222から第3平歯車223まで伝えられる過程で減速される。
【0055】
第1遊星歯車セット230は、歯車トレイン220から動力が伝達され、伝達された動力を減速させて第2遊星歯車セット250に伝達する。第1遊星歯車セット230は、第1太陽歯車231、第1遊星歯車232、第1キャリア233、第1リング歯車234、及び回転プレート238を含む。
【0056】
第1太陽歯車231は、第3平歯車223の一側に連結される。第1太陽歯車231及び第3平歯車223は同軸の回転運動を行う。
【0057】
第1遊星歯車232は、第1太陽歯車231及び第1リング歯車234に同時に噛み合う。例えば、第1遊星歯車232は、第1太陽歯車231の外周面に噛み合い、第1リング歯車234の内周面に噛み合う。第1遊星歯車232は、第1太陽歯車231から動力が伝達されて自転(rotation)又は公転(revolution)する。ここで、公転は、第1太陽歯車231の回転中心を基準にして行われる。第1遊星歯車セット230が安定的に動作できるよう、第1遊星歯車232は、第1太陽歯車231の回転中心を基準として放射状に同じ角度だけ離隔配置される。図4は、合計3個の第1遊星歯車232が120度の間隔で離隔配置された状態を示している。
【0058】
第1キャリア233は、第1遊星歯車232の自転軸(rotation axis)に連結され、第1太陽歯車231の回転中心を基準として回転(rotate)する。第1キャリア233は、第1遊星歯車232の公転速度で回転する。言い換えれば、第1キャリア233は、第1遊星歯車232が公転運動するとき回転する。例えば、第1キャリア233は、内部に中空部分が形成されたドーナツ状であり得る。
【0059】
回転プレート238は、第1遊星歯車232それぞれの回転軸を固定させる。第1遊星歯車232は、回転プレート238及び第1キャリア233の間に配置される。回転プレート238は、第1キャリア233と同軸の回転運動を行う。回転プレート238は、中央部分に第1太陽歯車231を通過させるためのホールを含む。回転プレート238は、外周面上にストッパモジュール260の第1ストッパ261に噛み合うための外歯(external teeth)を含む。
【0060】
第1リング歯車234は、第1遊星歯車232の外側を取り囲むリング状の歯車であって、第1遊星歯車232の外周面に形成された歯と噛み合う内歯(internal teeth)が形成された内周面を含む。第1リング歯車234は、内歯の他にも、ストッパモジュール260の第2ストッパ262に噛み合うための外歯を含み得る。
【0061】
第1キャリア233及び第1リング歯車234は、選択的に第1遊星歯車セット230の動力出力端として機能する。
【0062】
第2遊星歯車セット250は、第1遊星歯車セット230から動力が伝達され、伝達された動力を減速させて駆動フレーム900に伝達する。第2遊星歯車セット250は、第2太陽歯車251、第2遊星歯車252、第2キャリア253、及び第2リング歯車254を含む。
【0063】
第2太陽歯車251は、第1遊星歯車セット230の第1キャリア233から動力が伝達されて第2遊星歯車252に伝達する。第2太陽歯車251は、第2遊星歯車252の公転中心に配置される。
【0064】
第2リング歯車254は、第2太陽歯車251と同様に、第2遊星歯車セット250の複数の動力入力端の1つとして機能する。第2リング歯車254は、第1リング歯車234から動力が伝達されて第2遊星歯車252に伝達する。第2リング歯車254は、第2遊星歯車252に噛み合う内歯の他にも、ストッパモジュール260の第2ストッパ262に噛み合うための外歯を含んでもよい。図4に示すように、第2リング歯車254は、第1リング歯車234と一体に形成される。例えば、第1リング歯車234及び第2リング歯車254は、それぞれ統合リング歯車204の上部及び下部を構成している。この場合、第1リング歯車234及び第2リング歯車254の回転速度は同一である。
【0065】
第2遊星歯車252は、第2太陽歯車251及び第2リング歯車254の間で噛み合う。第2遊星歯車252は、第2太陽歯車251又は第2リング歯車254から動力が伝達されて自転又は公転する。ここで、公転は、第2太陽歯車251の回転中心を基準として行われる。
【0066】
第2キャリア253は、第2遊星歯車252の自転軸に連結され、第2太陽歯車251の回転中心を基準として回転する。第2キャリア253は、第2遊星歯車252の公転速度で回転する。このように、第2キャリア253は、第2遊星歯車セット250の動力出力端として機能し、駆動フレーム900に動力を伝達する。
【0067】
弾性要素240は、第1キャリア233(第1動力伝達要素)及び第2太陽歯車251(第2動力伝達要素)の間を連結する。弾性要素240は、駆動フレーム900上に印加される外力によって変形される。第1キャリア233及び第2太陽歯車251の間に作用するトルクにより弾性要素240は変形される。弾性要素240は、駆動フレーム900に加えられる衝撃を吸収することにより、アクチュエータ200の耐久性を向上させ得る。
【0068】
ストッパモジュール260は、回転プレート238を固定できる第1ストッパ261と、統合リング歯車204を固定できる第2ストッパ262と、第1ストッパ261及び第2ストッパ262を駆動するストッパモータ263を含む。
【0069】
第1ストッパ261が回転プレート238の外歯と噛み合う場合、第1キャリア233及び第2太陽歯車251の回転が拘束され、動力は、順次に第1太陽歯車231、第1遊星歯車232、第1リング歯車234、第2リング歯車254、第2遊星歯車252、及び第2キャリア253を介して駆動フレーム900に伝えられる。
【0070】
第2ストッパ262が統合リング歯車204の外歯と噛み合う場合、第1リング歯車234及び第2リング歯車254の回転が拘束され、動力は、順次に第1太陽歯車231、第1遊星歯車232、第1キャリア233、弾性要素240、第2太陽歯車251、第2遊星歯車252、及び第2キャリア253を介して駆動フレーム900に伝えられる。
【0071】
ストッパモータ263は、第1ストッパ261及び第2ストッパ262のいずれか1つのストッパを対応する動力伝達要素に結合させ、他の1つのストッパを対応する動力伝達要素から離隔させる。例えば、ストッパモータ263は、第1ストッパ261を回転プレート238の外歯に噛み合うよう固定させ、第2ストッパ262を統合リング歯車204から離隔させることで低減速モードを実現できる。異なる例として、ストッパモータ263は、第1ストッパ261を回転プレート238から離隔させ、第2ストッパ262を統合リング歯車204の外歯に噛み合うよう固定させることで高減速モードを実現できる。言い換えれば、ストッパモジュール260は、第1動力伝達要素233(第1キャリア)及び統合リング歯車204のいずれか1つを選択的に固定させることで、第1太陽歯車231から第2キャリア253までの減速比を変更し得る。
【0072】
ストッパモータ263は、ユーザの歩行位相を検出するセンサに電気的に接続され、第1ストッパ261及び第2ストッパ262を駆動する。例えば、ユーザが平地歩行の段階である場合、ストッパモータ263は、第1ストッパ261を回転プレート238の外歯に噛み合わせることで低減速モードを実現できる。異なる例として、ユーザが座った状態で立ち上がる動作を行う場合、ストッパモータ263は、第2ストッパ262を統合リング歯車204の外歯に噛み合わせることで高減速モードを実現できる。
【0073】
ケース270は、複数の動力伝達要素を収容する。ケース270は、外部の衝撃から複数の動力伝達要素を保護する。ケース270は、モータ収容部271、メイン収容部272、及びカバー273を含む。
【0074】
モータ収容部271は、モータ210を収容する。例えば、モータ210は、ドーナツ状の固定子と、固定子の内壁で回転するローター(rotor)を含み、モータ収容部271は、モータ210を収容するために円柱状の内部中空部分を備えてもよい。
【0075】
メイン収容部272は、複数の動力伝達要素を収容する。例えば、メイン収容部272は、円柱状の内部中空部分を備え、第1遊星歯車セット230、弾性要素240、第2遊星歯車セット250、及びストッパモジュール260はメイン収容部272の内部中空部分に配置される。
【0076】
カバー273は、モータ収容部271及びメイン収容部272それぞれの一側に脱着自在に結合される。例えば、カバー273は、モータ収容部271及びメイン収容部272それぞれの開口を閉鎖してアクチュエータ200の内部に水の浸透を防止する。カバー273は、複数の結合手段、例えば、ボルト及びナットによってモータ収容部271及びメイン収容部272のそれぞれに結合される。ユーザはカバー273を分離し、複数の動力伝達要素及び弾性要素240を容易に交替できる。
【0077】
モータ収容部271及びメイン収容部272は、モータの駆動軸211に垂直な方向を基準にして少なくとも一部がオーバラップする。モータ収容部271及びメイン収容部272それぞれの内部中空部分は互いに平行で隣接している。この場合、相対的に高さの高いモータ210が、複数の動力伝達要素、すなわち、第1遊星歯車セット230、弾性要素240、及び第2遊星歯車セット250と平行に隣接して配置されるため、全体アクチュエータ200の高さを低く形成することによりユーザから突出される高さを減らすことができる。
【0078】
第1角度センサ291はモータ210に連結され、モータ210の駆動軸211の回転角度を測定する。一方、第2角度センサ292は、複数の動力伝達要素の出力端である第2キャリア253に連結され、第2キャリア253の回転角度を測定する。制御部(図示せず)は、第1角度センサ291及び第2角度センサ292で測定された角度に基づいて、弾性要素240に印加されるトルクを決定する。
【0079】
例えば、制御部は、動力伝達要素間の減速比を考慮して、第1キャリア233及び第2太陽歯車251それぞれの回転角度を決定し、それぞれの回転角度の差と弾性要素240の弾性係数値を乗算して、弾性要素240に印加されるトルクを決定する。
【0080】
駆動フレーム900は、ユーザの一部分の運動を補助するフレームである。例えば、駆動フレーム900はユーザの太ももの一側に連結され、ユーザの股関節の曲げ(flexion)及び伸長(extension)を補助する。なお、駆動フレーム900が連結される位置はこれに制限されないことを明らかである。
【0081】
図6は、一実施形態に係る第1動力伝達要素、第2動力伝達要素、及び弾性要素を示す平面図であり、弾性要素が弾性変形されていない状態を示す。図7は、一実施形態に係る第1動力伝達要素、第2動力伝達要素、及び弾性要素を示す平面図であり、弾性要素が弾性変形された状態を示す。図8は、一実施形態に係る第1動力伝達要素、第2動力伝達要素、及び弾性要素を示す正面図である。
【0082】
図6図7を参照すれば、一実施形態に係る第1動力伝達要素233、第2動力伝達要素251、及び弾性要素240は一体に形成される。第1動力伝達要素233及び第2動力伝達要素251は同軸の回転運動を行い、第1動力伝達要素233及び第2動力伝達要素251それぞれの回転角度の差によって弾性要素240は変形される。
【0083】
第1動力伝達要素233は、内部に中空部分が形成されたドーナツ状を有する。第1動力伝達要素233は、放射状で同じ角度だけ離隔配置されるホールを含む。ホールは、複数の第1遊星歯車232それぞれの回転軸が固定されている。
【0084】
弾性要素240は、第1動力伝達要素233の内壁及び第2動力伝達要素251の外壁の間に配置される。このような構造によれば、アクチュエータ200の高さは減少する。弾性要素240は、ボディ部241、第1連結部242、及び第2連結部243を含む。
【0085】
ボディ部241は、第1動力伝達要素233の内壁に沿って放射状に同じ角度だけ離隔配置される。図6及び図7を参照すれば、8個のボディ部241が第1動力伝達要素233の内壁に沿って45度の間隔で配置される。ボディ部241の個数は、これに制限されないことは明らかである。
【0086】
第1連結部242の一端は第1動力伝達要素233の内壁に固定され、他端はボディ部241のうちボディ部241の中心を基準にして第2動力伝達要素251の外壁に近い部分に固定される。例えば、第1連結部242は、ボディ部241の第1部分を取り囲む湾曲形状である。第1動力伝達要素233及び第2動力伝達要素251が相対的に回転するとき、第1連結部242及びボディ部241の間の間隔は増加したり減少する。例えば、図6及び図7を参照すれば、第1動力伝達要素233が時計回りに回転する間に、相互作用力により第2動力伝達要素251は、第1動力伝達要素233の回転角度よりも小さい角度で回転し、第1連結部242及びボディ部241の間の間隔は増加する。
【0087】
第2連結部243は一端が第2動力伝達要素251の外壁に固定され、他端がボディ部241のうちボディ部241の中心を基準にして第1動力伝達要素233の内壁に近い部分に固定される。例えば、第2連結部243は、ボディ部241の第2部分を取り囲む湾曲形状である。前記第1部分及び第2部分は、ボディ部241の中心を基準にして互いに対向する部分である。第1動力伝達要素233及び第2動力伝達要素251が相対的に回転するとき、第2連結部243及びボディ部241の間の間隔は増加したり減少する。例えば、図6及び図7を参照すれば、第1動力伝達要素233が時計回りに回転する間に、相互作用力により第2動力伝達要素251は、第1動力伝達要素233の回転角度よりも小さい角度で回転し、第2連結部243及びボディ部241の間の間隔は増加する。
【0088】
弾性要素240は、相互作用力により第1動力伝達要素233及び第2動力伝達要素251の回転軸を基準にして同じ間隔で複数が離隔配置される。このような構造によれば、第1動力伝達要素233及び第2動力伝達要素251の間の相対的な回転角度の範囲を制限し得る。
【0089】
複数の弾性要素240のうち、隣接する2つの弾性要素240A、240Bは第1動力伝達要素233及び第2動力伝達要素251が設定の角度だけ相対的に回転する場合、互いに接触する。例えば、隣接する2つの弾性要素240A、240Bのいずれか1つの弾性要素240Aの第1連結部242Aは、他の1つの弾性要素240Bの第2連結部243Bと接触し、第1動力伝達要素233及び第2動力伝達要素251の相対的な回転角度を制限する。例えば、関節の弱い老人の場合、関節の可動角度の範囲が大き過ぎないよう、相対的に多くの個数の弾性要素240を使用し、相対的な回転角度の上限値を低く設定する。
【0090】
モータ210が逆方向に駆動される場合、第1動力伝達要素233は、反時計回りに回転して相互作用力により第2動力伝達要素251は、第1動力伝達要素233の回転角度よりも小さい角度で反時計回りに回転する。この場合、ボディ部241及び第1連結部242の間の距離と、ボディ部241及び第2連結部243の間の距離は減少し、相互作用力が設定の大きさ以上である場合、ボディ部241は、第1連結部242又は第2連結部243に接触する。言い換えれば、ボディ部241、第1連結部242、及び第2連結部243は、第1動力伝達要素233及び第2動力伝達要素251の相対的な回転角度を制限する。ボディ部241は、湾曲形状を有する第1連結部242及び第2連結部243に面接触可能な円形状であり得る。
【0091】
図9は、他の実施形態に係る第1動力伝達要素、第2動力伝達要素及び弾性要素を示す正面図である。
【0092】
図9を参照すれば、弾性要素340は、歯車トレインの出力端である平歯車323と、遊星歯車セットの入力端である太陽歯車351との間に配置される。第1角度センサは、平歯車323の回転角度を直接的又は間接的に測定し、第2角度センサは、太陽歯車351の回転角度を直接的又は間接的に測定する。制御部は、第1角度センサ及び第2角度センサで測定された角度情報に基づいて弾性要素340の変形角度を決定し、変形角度に基づいてアクチュエータ及び外部の間の相互作用の力を決定できる。
【0093】
図10は、更なる実施形態に係るモータの駆動軸、複数の動力伝達要素、及び弾性要素示す正面図である。
【0094】
図10を参照すれば、弾性要素440は、複数の平歯車で構成された歯車トレイン420内に配置される。例えば、歯車トレイン420は、モータの駆動軸411に連結されて動力が伝達される第1平歯車421と、第1平歯車421に噛み合って回転する第2平歯車422と、第2平歯車422と同軸の回転運動を行う第3平歯車423と、第3平歯車423に噛み合って回転する第4平歯車424を含む。
【0095】
弾性要素440は、同軸の回転運動を行う第2平歯車422と第3平歯車423との間に配置される。第1角度センサは、第2平歯車422の回転角度を直接的又は間接的に測定し、第2角度センサは、第3平歯車423の回転角度を直接的又は間接的に測定する。制御部は、第1角度センサ及び第2角度センサで測定された角度情報に基づいて弾性要素440の変形角度を決定し、変形角度に基づいてアクチュエータ及び外部の間の相互作用力を決定できる。
【0096】
図11は、更なる実施形態に係るアクチュエータ及び駆動フレームを示すブロック図である。図12は、更なる実施形態に係る第1動力伝達要素、第2動力伝達要素、弾性要素、フレクスプライン、及びサーキュラスプラインを示す平面図であり、弾性要素が弾性変形されていない状態を示す。図13は、更なる実施形態に係る第1動力伝達要素、第2動力伝達要素、弾性要素、フレクスプライン、及びサーキュラスプラインを示す平面図であり、弾性要素が弾性変形された状態を示す。
【0097】
図11図13を参照すれば、アクチュエータ500は、モータ510、減速機520、第1角度センサ591、及び第2角度センサ592を含む。減速機520は、直列に動力を伝達する歯車トレイン530、弾性要素540、及びハーモニックドライブ(登録商標)550を含む。ハーモニックドライブ550は、ウェーブジェネレータ551、フレクスプライン552、及びサーキュラスプライン553を含む。
【0098】
ウェーブジェネレータ551は楕円状である。ウェーブジェネレータ551の外周面には複数のボールベアリングが備えられる。ウェーブジェネレータ551は、弾性要素540から動力が伝達されて回転する。ウェーブジェネレータ551は、ハーモニックドライブ550の入力端である。
【0099】
フレクスプライン552は、金属の弾性体である。フレクスプライン552は、楕円状を有するウェーブジェネレータ551の回転によって弾性変形される。フレクスプライン552は、ハーモニックドライブ550の出力端である。フレクスプライン552は、外周面上に外歯を備える。
【0100】
サーキュラスプライン553は、リング状である。サーキュラスプライン553は、内周面上にフレクスプライン552の外歯と噛み合う内歯を備える。サーキュラスプライン553の内歯の個数は、フレクスプライン552の外歯の個数よりも多い。フレクスプライン552の長軸の両端部は、サーキュラスプライン553の内周面に噛み合い、フレクスプライン552の短軸の両端部は、サーキュラスプライン553の内周面から離隔される。
【0101】
弾性要素540は、同軸の回転運動を行う歯車トレイン530の出力端である平歯車531と、ハーモニックドライブ550の入力端であるウェーブジェネレータ551(wave generator)の間に配置される。弾性要素540は、アクチュエータ500と駆動フレーム900との間の相互作用力によって変形する。
【0102】
上述したように、図面に基づいて実施形態が説明されたが、当該の技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記の記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順に実行されたり、及び/又は説明された構造、装置などの構成要素が説明された方法と異なる形態に結合又は組み合わせられたり、他の構成要素又は均等物によって置換されても適切な結果が達成できる。したがって、実施形態修正及び変形並びに特許請求の範囲と均等なものなども後述する特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0103】
100、200:アクチュエータ
130:第1動力伝達要素
150:第2動力伝達要素
140、240:弾性要素
110、210:モータ
900:駆動フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13