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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】車両用空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B60H1/00 102P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018157502
(22)【出願日】2018-08-24
(65)【公開番号】P2020029236
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 太一
(72)【発明者】
【氏名】古澤 将志
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-074816(JP,A)
【文献】特開2014-162378(JP,A)
【文献】特開平07-269750(JP,A)
【文献】特開2004-138279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調ケースに着脱自在に取り付けられ、前記空調ケースの外周面に沿って延びる配管を空調ケースに支持する配管支持部材を備えた車両用空気調和装置であって、
前記配管が延びる方向である配管延伸方向と直交する方向の前記配管支持部材の移動によって、前記空調ケースに対する前記配管支持部材の係合と係合の解除とが切り換えられ、前記配管支持部材の配管延伸方向の移動を許容する第1係合部と、
配管延伸方向の前記配管支持部材の移動によって、前記空調ケースに対する前記配管支持部材の係合と係合の解除とが切り換えられ、前記配管支持部材の配管延伸方向と直交する方向の移動を許容する第2係合部とを、備え、
前記第1係合部は、前記空調ケース及び前記配管支持部材の一方に設けられ、前記配管延伸方向に延びる軸部と、前記空調ケース及び前記配管支持部材の他方に設けられ、前記第1係合部の前記軸部の外周部に係合することによって前記第1係合部の前記軸部を保持する保持部と、を有し、
前記第2係合部は、前記空調ケース及び前記配管支持部材の一方に設けられ、配管延伸方向と直交する方向に延びる軸部と、前記空調ケース及び前記配管支持部材の他方に設けられ、前記第2係合部の前記軸部の外周部に係合することによって前記第2係合部の前記軸部を保持する保持部と、を有している、
車両用空気調和装置。
【請求項2】
前記第1係合部及び前記第2係合部の一方又は両方には、当該軸部に対する当該保持部の係合状態の解除を規制する係合解除規制部が設けられている、
請求項に記載の車両用空気調和装置。
【請求項3】
前記係合解除規制部は、前記保持部の保持する当該軸部の外周部を周方向に囲む形状を有し、弾性によって径方向外側に移動可能に設けられており、前記保持部の周方向の端部の外周面に当接する、
請求項に記載の車両用空気調和装置。
【請求項4】
前記配管支持部材は、前記第1係合部及び前記第2係合部を介して、前記空調ケースに取り付けられた状態において、締結部材によって前記空調ケースに固定される、
請求項1~のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に用いられる車両用空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両に搭載されている車両用空気調和装置は、熱交換器を収容した空調ケースを備えており、熱交換器によって温度及び湿度を調整した空気を、車両の車室内に供給している。この種の熱交換器には、例えば、銅管またはアルミニウム管といった配管が接続され、冷媒回路を流通する冷媒や、冷却水回路を流通する冷却水が流入する。
【0003】
ところで、車両において、空調ケースの周りには、空調ケースの外周面に沿って配管が延びている。このような配管は、車両の走行等によって発生する配管自体の振動を防ぐため、配管支持部材によって空調ケースに支持されている。
【0004】
例えば、特許文献1に開示された車両用空気調和装置は、配管支持部材を配管の延びる方向(以下、配管延伸方向と記載する。)と直交する方向から着脱している。
【0005】
また、特許文献2に開示された車両用空気調和装置は、第1パーツと第2パーツとの間に配管を挟持することによって、空調ケースに配管を支持している。そして、特許文献2に開示された車両用空気調和装置は、第2パーツを第1パーツに対して配管延伸方向と直交する方向から着脱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-48752号公報
【文献】特開2011-20521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に開示された車両用空気調和装置は、配管延伸方向と直交する方向に車載機器がある場合に、熱交換器のメンテナンスの作業として配管支持部材を着脱するための作業用スペースが無い。従って、配管支持部材の着脱の作業を行うために、車載機器、例えば、車室から座席等を取り外し、空調ケースを取り出す必要がある。このため、特許文献1及び2に開示された車両用空気調和装置は、熱交換器のメンテナンスの効率が悪いという問題があった。
【0008】
本発明の目的の一例は、上記問題を解消し、配管支持部材を配管延伸方向と直交する方向とは異なる方向から着脱可能とすることによって、熱交換器のメンテナンスの効率を向上し得る、車両用空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における車両用空気調和装置は、空調ケースに着脱自在に取り付けられ、前記空調ケースの外周面に沿って延びる配管を空調ケースに支持する配管支持部材を備えた車両用空気調和装置であって、前記配管が延びる方向である配管延伸方向と直交する方向の前記配管支持部材の移動によって、前記空調ケースに対する前記配管支持部材の係合と係合の解除とが切り換えられ、前記配管支持部材の配管延伸方向の移動を許容する第1係合部と、配管延伸方向の前記配管支持部材の移動によって、前記空調ケースに対する前記配管支持部材の係合と係合の解除とが切り換えられ、前記配管支持部材の配管延伸方向と直交する方向の移動を許容する第2係合部とを、備えている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、配管支持部材を配管延伸方向と直交する方向とは異なる方向から着脱可能とすることによって、組立作業の効率を維持しつつ、熱交換器のメンテナンスを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置の具体的構成を示す斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置の配管支持部材と空調ケースとの係合を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置の配管支持部材を説明するための図であり、図4(a)は配管支持部材の正面図であり、図4(b)は配管支持部材の底面図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置の空調ケースを説明するための図であり、図5(a)は空調ケースの正面図であり、図5(b)は空調ケースの底面図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置の配管支持部材の配管延伸方向と直交する方向からの着脱を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置の配管支持部材の配管延伸方向からの着脱を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置について図1図7を参照しながら説明する。
【0013】
最初に、本実施形態に係る車両用空気調和装置の概略構成について図1を用いて説明する。
【0014】
図1に示すように本実施形態に係る車両用空気調和装置1は、例えば、車両(油圧ショベル等)の車室(キャブ)内の床面の近傍に設置されており、車室内の温度及び湿度を調整するための装置である。また、図1に示すように本実施形態に係る車両用空気調和装置1は、チャンバ2と、送風機3と、空調ケース10と、配管20と、配管支持部材30と、を備えている。
【0015】
チャンバ2は、送風機3の上方に配置されており、送風機3及び空調ケース10は、互いに幅方向に並ぶように配置されている。チャンバ2には、送風機3によって吸入された車室内及び車室外の一方又は両方の空気が流入する。そして、チャンバ2に流入した空気は、送風機3によって、空調ケース10内に流入する。そして、空調ケース10内に流入した空気は、空調ケース10内に設置されている熱交換器によって、温度及び湿度が調整されて、車室内に供給される。
【0016】
また、空調ケース10の周囲には、空調ケース10内の熱交換器に接続されている配管20が、空調ケース10の外周の前面に沿って上下方向に延びるように設置されている。この配管20は、空調ケース10に着脱自在に取り付けられる配管支持部材30によって空調ケース10に支持されている。尚、配管20は、例えば、銅管またはアルミニウム管等が挙げられる。
【0017】
続いて、本実施形態に係る車両用空気調和装置1の具体的構成について図2~5を用いて説明する。
【0018】
図2図5に示すように、本実施形態では、配管支持部材30は、第1係合部40と第2係合部50とによって、空調ケース10に着脱自在に取り付けられている。また、本実施形態では、配管支持部材30は、幅方向の両端に第1係合部40の軸部41と係合解除規制部43とを備えている。
【0019】
また、配管支持部材30は、2つの第1係合部40の軸部41の間に第2係合部50の軸部51を備えている。本実施形態では、第2係合部50の軸部51は、配管支持部材30の幅方向の中央部に設置されている。更に、図2図5に示すように、本実施形態では、配管支持部材30は、第2係合部50の軸部51の上方に貫通部62を備えている。
【0020】
図2図5に示すように、本実施形態では、空調ケース10は、外周面に沿って延びるように設置されている2本の配管20それぞれの斜め後方に第1係合部40の保持部42を備えている。また、保持部42は、空調ケース10において、配管支持部材30の幅方向の端部に備えられている軸部41と係合できる位置に設置されている。
【0021】
また、図2図5に示すように、本実施形態では、空調ケース10は、2本の配管20の間の後方に第2係合部50の保持部52を備えている。保持部52は、空調ケース10において、配管支持部材30の幅方向の中央部に備えられている軸部51と係合できる位置に設置されている。更に、図2図5に示すように、本実施形態では、空調ケース10は、第2係合部50の保持部52の上方に締結部60を備えている。
【0022】
第1係合部40の軸部41は、下方に延びており、下端側が下方に向かって先細りの形状を有している。
【0023】
第1係合部40の保持部42は、空調ケース10から突出した弾性を有する1対の保持片から成る。また、保持片の間隔は、軸部41の径よりも小さくなるように形成されており、軸部41の外周部を挟持することができる。
【0024】
第1係合部40の係合解除規制部43は、弾性を有する外周部43aと、外周部43aの内面から径方向内側に延びるように形成された2つのリブ43bと、から構成されている。
【0025】
係合解除規制部43の外周部43aは、保持部42の保持する軸部41の外周部を周方向に囲む形状であり、弾性によって径方向外側に移動可能となっている。
【0026】
また、係合解除規制部43のリブ43bは、軸部41と保持部42とが係合している状態において、保持部42の周方向の端部の外周面に当接している。
【0027】
第2係合部50の軸部51は、空調ケース10の前方から空調ケース10に向かって延びており、後端側が後方に向かって先細りの形状を有している。なお、本実施形態においては、軸部51は、空調ケース10に対して配管支持部材30の取り付け位置を案内する機能を有している。
【0028】
第2係合部50の保持部52は、空調ケース10から突出した弾性を有する1対の保持片から成る。また、保持片の間隔は、軸部51の径よりも小さくなるように形成されており、軸部51の外周部を挟持することができる。
【0029】
締結部60は、第1係合部40及び第2係合部50を介して、配管支持部材30が空調ケース10に取り付けられた状態において、ねじ状の締結部材61を、配管支持部材30の貫通部62に貫通させて、取り付けることによって、配管支持部材30を空調ケース10に固定する。
【0030】
[装置動作]
続いて、本実施形態に係る車両用空気調和装置1における配管支持部材30の着脱について図6及び図7を用いて説明する。
【0031】
図6に示すように、本実施形態では、配管支持部材30は、第1係合部40を介して、前後方向に空調ケース10に着脱できる。また、図7に示すように、本実施形態では、配管支持部材30は、第2係合部50を介して、上下方向に空調ケース10に着脱できる。
【0032】
配管延伸方向と直交する方向から配管支持部材30を空調ケース10に取り付ける場合には、図6に示すように、まず、配管支持部材30を空調ケース10の前方から空調ケース10に接近させる。
【0033】
そして、配管支持部材30は、空調ケース10の前方から接近する保持部42の保持片が、軸部41の外周部を当接しつつ径方向外側に広がる。また、配管支持部材30が空調ケース10の前方から空調ケース10に接近することによって、第2係合部50の軸部51が保持部52に挿入される。
【0034】
そして、保持部42の保持片は、径方向外側への広がりに伴って、径方向内側に付勢を発揮する。このため、保持部42全体が軸部41の外周部を囲むことによって、軸部41と保持部42とが係合する。そして、軸部41は保持部42に保持される。
【0035】
そして、軸部41と保持部42とが係合している状態において、2つの係合解除規制部43のリブ43bそれぞれは、係合解除規制部43の外周部43aの弾性変形によって径方向内側に付勢されている。そして、2つの係合解除規制部43のリブ43bそれぞれは、当接している保持部42の周方向の端部の外周面に対して、付勢力を加え続ける。このため、保持部42は、係合解除規制部43によって、一対の保持片の広がりが抑制される。
【0036】
そして、配管20は、空調ケース10の前方から軸部41と保持部42とを係合させることによって、配管支持部材30と空調ケース10とに挟持される。そして、配管支持部材30は、貫通部62を貫通させた締結部材61を、締結部60に取り付けることによって、空調ケース10に固定される。
【0037】
配管延伸方向と直交する方向から配管支持部材30を空調ケース10から取り外す場合には、図6に示すように、まず、貫通部62を介して締結部60に取り付けられている締結部材61を締結部60から取り外すことによって、空調ケース10と配管支持部材30との固定を解除する。そして、空調ケース10の前方に配管支持部材30を移動させることによって、配管支持部材30と空調ケース10とを離間させる。
【0038】
このとき、配管支持部材30の移動に伴って、保持部42の保持片が径方向外側に広がる。そして、2つの係合解除規制部43のリブ43bそれぞれは、係合解除規制部43の外周部43aの弾性によって、保持部42の周方向の端部の外周面に当接しながらに径方向外側に移動する。
【0039】
そして、係合解除規制部43の外周部43aが弾性変形によって径方向内側に戻らない大きさの外力を空調ケース10の前方から加えながら、配管支持部材30を空調ケース10から離間させる。これにより、第2係合部50の軸部51は保持部52から取り外され、軸部41と保持部42との係合状態が解除される。
【0040】
このように、第1係合部40は、配管支持部材30を配管延伸方向と直交する方向に移動させることによって、軸部41と保持部42との係合又は係合の解除を切り換えることができる。また、第2係合部50は、配管支持部材30を配管延伸方向と直交する方向に移動させることによって、保持部52に対して軸部51が前後方向に挿通されることになり、配管延伸方向と直交する方向への移動を許容している。
【0041】
配管延伸方向から配管支持部材30を空調ケース10に取り付ける場合には、図7に示すように、まず、配管支持部材30を空調ケース10の上方から空調ケース10に接近させる。
【0042】
そして、配管支持部材30は、空調ケース10の上方から接近する保持部52の保持片が、軸部51の外周部を当接しつつ径方向外側に広がる。また、配管支持部材30が空調ケース10の上方から空調ケース10に接近することによって、第1係合部40の軸部41が保持部42に挿入される。
【0043】
そして、保持部52の保持片は、径方向外側への広がりに伴って、径方向内側に付勢を発揮する。このため、保持部52全体が軸部51の外周部を囲むことによって、軸部51と保持部52とが係合する。そして、軸部51は保持部52に保持される。
【0044】
そして、配管20は空調ケース10の上方から軸部51と保持部52とを係合させることによって、配管支持部材30と空調ケース10とに挟持される。そして、配管支持部材30は、貫通部62を貫通させた締結部材61を、締結部60に取り付けることによって、空調ケース10に固定される。
【0045】
配管延伸方向から配管支持部材30を空調ケース10から取り外す場合には、図7に示すように、まず、貫通部62を介して締結部60に取り付けられている締結部材61を締結部60から取り外すことによって、空調ケース10と配管支持部材30との固定を解除する。そして、空調ケース10の上方に配管支持部材30を移動させることによって、配管支持部材30と空調ケース10とを離間させる。
【0046】
そして、空調ケース10の上方に配管支持部材30を空調ケース10から離間させることによって、第1係合部40の軸部41は保持部42から取り外される。これにより、軸部51と保持部52との係合状態が解除される。
【0047】
このように、第2係合部50は、配管支持部材30を配管延伸方向に移動させることによって、軸部51と保持部52との係合又は係合の解除を切り換えることができる。また、第1係合部40は、配管支持部材30を配管延伸方向に移動させることによって、保持部42に対して軸部41が上下方向に挿通されることになり、配管延伸方向への移動を許容している。
【0048】
[実施形態による効果]
以上のように本実施形態では、配管支持部材30を配管延伸方向と直交する方向に移動させることによって、第1係合部40の軸部41と保持部42との係合又は係合の解除が切り換えられ、第2係合部50の保持部52に対して軸部51が前後方向に挿通される。また、本実施形態では、配管支持部材30を配管延伸方向に移動させることによって、第2係合部50の軸部51と保持部52との係合又は係合の解除が切り換えられ、第1係合部40の保持部42に対して軸部41が上下方向に挿通される。つまり、本実施形態では、第1係合部40及び第2係合部50によって、配管支持部材30を配管延伸方向と直交する方向又は配管延伸方向に移動させて、空調ケース10に対する配管支持部材30の係合と係合の解除とを切り換えている。
【0049】
これにより、本実施形態では、配管支持部材30を配管延伸方向と直交する方向と異なる方向から着脱が可能なため、熱交換器のメンテナンスの効率を向上させることができる。
【0050】
また、保持部42は軸部41の外周部と係合することによって軸部41を保持し、保持部52は軸部51の外周部と係合することによって軸部51を保持している。
【0051】
このため、本実施形態では、より簡便な構造で配管支持部材30と、空調ケース10とを、異なる方向から着脱可能なため、コストを低減させることができる。
【0052】
また、本実施形態では、軸部41と保持部42とが係合している状態において、係合解除規制部43の外周部43aが弾性変形によって径方向内側に戻ろうとするため、第1係合部40の係合解除規制部43のリブ43bは、保持部42の周方向の端部の外周面に付勢力を加え続けている。
【0053】
このため、本実施形態では、係合解除規制部43は、保持部42と軸部41との係合状態を、より確実に固定できる。
【0054】
また、本実施形態では、第1係合部40及び第2係合部50によって配管支持部材30が空調ケース10に取り付けられた状態において、ねじ状の締結部材61を、配管延伸方向と直交する方向から、配管支持部材30の貫通部62に貫通させて、空調ケース10の締結部60に取り付けている。
【0055】
このため、本実施形態では、配管支持部材30と空調ケース10とをより確実に固定できる。
【0056】
尚、本実施形態では、配管支持部材30が第1係合部40の軸部41及び第2係合部50の軸部51を備え、空調ケース10が、第1係合部40の保持部42及び第2係合部50の保持部52を備えているが、これに限られないものとする。配管支持部材30が第1係合部40の保持部42及び第2係合部50の保持部52を備え、空調ケース10が第1係合部40の軸部41及び第2係合部50の軸部51を備えていても良いものとする。
【0057】
また、本実施形態では、第1係合部40が係合解除規制部43を備えているが、これに限られないものとする。第1係合部40及び第2係合部50の一方または両方が、軸部と共に係合解除規制部を備えていても良いものとする。
【0058】
また、本実施形態では、配管支持部材30と空調ケース10との着脱方向として、配管延伸方向と直交する方向を挙げているが、厳密な意味での直交に限定されないものとする。つまり、配管延伸方向に対して配管支持部材30と空調ケース10との着脱方向が概ね直交する状態であれば良いものとする。
【0059】
また、本実施形態では、車両として、油圧ショベル等の建設機械のキャブに対して本発明を適用したものを示したが、車両用空気調和装置であれば何でもよく、建設機械に限られないものとする。また、本実施形態における空調ケース10から配管支持部材30を着脱する方向は、図面に限定されないものとする。
【0060】
また、本実施形態では、配管支持部材30が2本の配管20を支持しているが、支持される配管20の本数はこれに限定されず、1本以上であれば良いものとする。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明によれば、車両の車室内に設置されている車両用空気調和装置の熱交換器のメンテナンスの効率を向上させることができる。本発明は、車両分野において有用である。
【符号の説明】
【0062】
1………車両用空気調和装置
2………チャンバ
3………送風機
10……空調ケース
20……配管
30……配管支持部材
40……第1係合部
41……軸部
42……保持部
43……係合解除規制部
43a…外周部
43b…リブ
50……第2係合部
51……軸部
52……保持部
60……締結部
61……締結部材
62……貫通部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7