(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】飲料ディスペンサ用のボトルカバー
(51)【国際特許分類】
B67D 3/00 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B67D3/00 K
(21)【出願番号】P 2018180091
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109472
【氏名又は名称】森本 直之
(72)【発明者】
【氏名】石鍋 健太郎
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05454492(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を供給するボトルと、上記ボトルが搭載されて上記飲料を飲用するために適量ずつ出すディスペンサ本体とを備えた飲料ディスペンサに用いられ、上記ディスペンサ本体に搭載された上記ボトルを覆う飲料ディスペンサ用のボトルカバーであって、
上記ボトルカバーは、上記ディスペンサ本体に対面する下面が開放され、上記ボトルの側面を覆う側面部と、上記ボトルの上面を覆う上面部とを有した立体構造を呈し、上記側面部は、上記飲料ディスペンサの外面と面一になる
よう構成されており、
上記立体構造は、上記側面部が分離可能である分離機構、上記側面部が展開可能である展開機構、上記側面部が折畳み可能である折畳み機構のうち、少なくともいずれかの機構を備えている
ことを特徴とする飲料ディスペンサ用のボトルカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルに充填した飲料を適量ずつ出して小分けすることができる飲料ディスペンサに用いる飲料ディスペンサ用のボトルカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料水において、健康面や安全面に安心できるものを求める傾向が強くなっている。また、災害に備えて飲料水を備蓄するという考え方も浸透してきた。飲料水として、水道水を飲むのではなくボトルで購入する、という社会的な認識が拡大している。
【0003】
このような情況のもと、大容量のボトルによって飲料水を販売する宅配水のビジネスが拡大している。このビジネスでは、大容量のボトルから飲料水を小分けするディスペンサをユーザーに提供し、大容量のボトルに飲料水を充填してユーザーに販売する。このようなビジネスにおいて各メーカーは、それぞれ独自のディスペンサをユーザーに提供している。日本国内ではウォーターサーバとも呼ばれ、宅配水ビジネスの主流となっている。
【0004】
上記のような飲料水ディスペンサに関する先行技術として、本出願人は、下記にあげる特許文献1を把握している。
【0005】
上記特許文献1には、つぎの記載がある。
[0030] 同図に示すように、本実施の形態の飲料水ディスペンサ10は、飲料水15を供給するための供給部11と、当該供給部11を着脱自在に設置することが可能な本体部12とを少なくとも備える構成である。
[0031] 供給部11は、飲料水15を貯蔵するボトル13と、本体部12に着脱自在に設置可能なボトルカバー14とを備える。
[0036] ボトルカバー14は、本体部12の筐体19の上部に着脱自在に載置されている。また、ボトルカバー14は、ボトル13を外嵌被覆することで、当該ボトル13を保護している。さらに、ボトルカバー14の形状及びサイズは、少なくともボトル13を外嵌被覆することができれば、特に限定されない。本実施の形態では、ボトルカバー14の全体形状は、略立方体状となっており、かつ、その外面が筐体19の外面と面一となる様にサイズ設定されている。
[0038] ボトルカバー14の構成材料としては特に限定されず、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等が挙げられる。
[0042] ボトルカバー14の厚さは、外光の透過率を考慮して適宜設定することができる。具体的には、1mm~5mmの範囲内が好ましく、2mm~3mmの範囲内がより好ましい。
【0006】
上記特許文献1に示されたものは、本体部12の上部にボトル13が搭載され、それを覆うようにボトルカバー14が設けられている。上記ボトルカバー14は、下面に開放する箱状を呈しており、透明または半透明の樹脂が成形されてできている。
【0007】
このようなボトルカバー14に必要な機能は、第1に、ボトル13を保護することである。仮に、ボトルカバー14がなければ、地震などの災害や人為的なミスにより、ボトル13に外力が加わり、ボトル13が破損して飲料水が漏れ出すおそれがある。
第2に、衛生面ならびに見栄えを良くすることである。上記ボトル13は、装填してから内部の飲料水を使い切るまで、数日を要することが多い。ボトルカバー14がなければ、ボトル13上にほこりやゴミが堆積し、衛生的に好ましくない。
第3に、ボトル13内の飲料水の残量を認識できることも必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のボトルカバー14は、つぎのような問題を抱えている。
【0010】
(1)物流コスト
上記の飲料水ディスペンサは、上記本体部12とボトルカバー14を最初にユーザー宛に配送し、あとは飲料水入りのボトル13を発注に応じて配送することが行われる。ユーザーでは、上記本体部12にボトル13を装填し、その上からボトルカバー14を被せる作業を行い、使い始めることができる。
【0011】
上記ボトル13の容量は、国内では12L程度のものが主流である。その大きさは、例えば直径24cm程度、高さ30cm程度となる。したがって、上記ボトルカバー14としては、例えば、縦、横がそれぞれ25cm、高さが35cm程度のものが必要となる。7L程度の小型のボトル13も使用されることがあるが、ボトルカバー14には、12Lタイプと同じものがそのまま流用されることが多い。
【0012】
このようなボトルカバー14は、輸送の際に嵩張るため、物流費用を押し上げる一因となっている。たとえば、最初に本体部12とボトルカバー14を配送するにあたって、ボトルカバー14の配送費用が三分の一以上を占めることもある。昨今の物流業界は、飛躍的に増大する荷物量に対して人手不足が慢性化し、料金もじりじりと押し上がっている。このため、宅配水ビジネスにおいても、物流コストの削減が深刻な事業課題となっている。
【0013】
(2)作業性
また、ボトル13交換のときに、本体部12の上部に搭載されたボトル13のさらに上方において、ボトルカバー14の抜き差しを行わなければならない。この作業はユーザー側で行わねばならない。お年寄りや女性など、小柄で力の強くない人にとっては、有り難くない作業性である。
【0014】
(3)安全性
上記ボトルカバー14は、上述したように、縦横それぞれ25cm、高さが35cmの下面に開放する箱状である。成型時に樹脂材料を流すため、その厚みは数mm程度が必要であり、樹脂製品といってもかなりの重量である(実際には1kg以上ある)。抜き差しする作業のときに誤って落下させることも考えられる。そうすると、床に傷をつけることもあるし、足のうえに落ちれば、生爪を剥がすといった冗談で済まない怪我の原因にもなる。
【0015】
(4)設計上の不利益
下面に開放する箱状を呈したボトルカバー14を樹脂成形でつくるには、抜き勾配を設けなければならないため、どうしても下面側に広がる形状となる。ボトル13の容量からボトル13の大きさが決まり、それに応じてボトルカバー14の大きさも決まってくる。ボトルカバー14が下広がりであれば、本体部12をそれに合わせた大きさにする必要がある。このように、ボトルカバー14の形状に制約を受けて、本体部12が大型化しているという不利益を生んでいるのが実情である。
【0016】
(5)経済性
下面に開放する箱状を呈したボトルカバー14を樹脂成形でつくるには、大型の金型が必要で、金型のコストが高い。また、ボトルカバー14の一部に破損が生じた場合、ボトルカバー14の全体を取り替える必要がある。
また、上記特許文献1では、ボトルカバーに光線のフィルタ機能を設けることが提案されているが、そのような高価な樹脂でボトルカバー14を成形するのは、非常に不経済である。
【0017】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、つぎの目的をもってなされた。
物流コスト、作業性、安全性、設計上の不利益および経済性の各問題を解決しうる飲料ディスペンサのボトルカバーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、請求項1記載の飲料ディスペンサのボトルカバーは、つぎの構成を採用した。
飲料を供給するボトルと、上記ボトルが搭載されて上記飲料を飲用するために適量ずつ出すディスペンサ本体とを備えた飲料ディスペンサに用いられ、上記ディスペンサ本体に搭載された上記ボトルを覆う飲料ディスペンサ用のボトルカバーであって、
上記ボトルカバーは、上記ディスペンサ本体に対面する下面が開放され、上記ボトルの側面を覆う側面部と、上記ボトルの上面を覆う上面部とを有した立体構造を呈し、上記側面部は、上記飲料ディスペンサの外面と面一になるよう構成されており、
上記立体構造は、上記側面部が分離可能である分離機構、上記側面部が展開可能である展開機構、上記側面部が折畳み可能である折畳み機構のうち、少なくともいずれかの機構を備えている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の飲料ディスペンサのボトルカバーは、下面が開放されて側面部と上面部を有する立体構造を呈している。上記下面はディスペンサ本体に対面し、上記側面部はボトルの側面を覆い、上記上面部はボトルの上面を覆う。上記側面部は、上記飲料ディスペンサの外面と面一になる。これにより、上記ボトルのサイズについて特に限定されず、飲料水の貯蔵量等に応じて、適宜設定することができる。
【0021】
また、請求項1記載の飲料ディスペンサのボトルカバーは、上記立体構造は、分離機構、折畳み機構、展開機構のうち、少なくともいずれかの機構を備えている。
上記分離機構は上記側面部が分離可能である。上記側面部を分離することにより、上記立体構造を複数のパーツに分割し、各パーツを重ね合わせることで嵩を小さくできる。また、ボトルの上方に抜き差ししない取り付け取り外しが可能となる。
上記展開機構は上記側面部が展開可能である。上記側面部を展開して上記立体構造を展開することにより、嵩を小さくできる。また、ボトルの上方に抜き差ししない取り付け取り外しが可能となる。
上記折畳み機構は上記側面部が折畳み可能である。上記側面部を折り畳んで上記立体構造を折畳むことにより、嵩を小さくできる。また、ボトルの上方に抜き差ししない取り付け取り外しが可能となる。
【0022】
請求項2記載のボトルカバーは、下記の利点が生まれる。
(1)物流コスト
上記分離機構、上記展開機構、上記折畳み機構の少なくともいずれかを採ることにより、上記立体構造の嵩を小さくできる。このため、配送の際の梱包サイズを小さくし、物流コストを節減することができる。
(2)作業性
上記分離機構、上記展開機構、上記折畳み機構の少なくともいずれかを採ることにより、ボトル交換のときに、ディスペンサ本体に搭載されたボトルの上方に抜き差ししないで取り付け取り外しができるようになり、作業性が格段に向上する。
(3)安全性
上記分離機構、上記展開機構、上記折畳み機構の少なくともいずれかを採ることにより、成型時の樹脂の流れがよい設計が可能で、厚みを薄くできる。このため、従来品より大幅に重量を軽くでき、誤って落下させたときの危険が少なく、安全性が高くなる。
(4)設計上の不利益
上記分離機構、上記展開機構、上記折畳み機構の少なくともいずれかを採ることにより、下面側に広がるというボトルカバーの形状的な制約がなくなるため、それに伴ってディスペンサ本体が大型化するような不利益が生じない。
(5)経済性
上記分離機構、上記展開機構、上記折畳み機構の少なくともいずれかを採ることにより、成型の金型を小型化でき、金型のコストを下げることができる。また、上記分離機構を採った場合には、ボトルカバーの一部に破損が生じた場合、破損した一部のパーツだけを交換できる。また、ボトルカバーに光線のフィルタ機能を設ける場合も、一部のパーツだけに適用でき、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明が適用される飲料ディスペンサの一例を示す断面模式図である。
【
図2】上記飲料水ディスペンサにおけるディスペンサ本体30を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態のボトルカバーを示す図である。
【
図4】第2実施形態のボトルカバーを示す図である。
【
図5】第3実施形態のボトルカバーを示す図である。
【
図6】第4実施形態のボトルカバーを示す図である。
【
図7】第5実施形態のボトルカバーを示す図である。
【
図8】第6実施形態のボトルカバーを示す図である。
【
図9】第7実施形態のボトルカバーを示す図である。
【
図10】第8実施形態のボトルカバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
つぎに、本発明を実施するための形態を説明する。
【0025】
〔飲料ディスペンサ10〕
図1は、本発明を適用することができる飲料ディスペンサの一例を示す。ここでは、ミネラルウォーター等の飲料水に用いられる飲料水ディスペンサ10を説明する。
図2は、上記飲料水ディスペンサ10におけるディスペンサ本体30である。
【0026】
上記飲料水ディスペンサ10は、飲料を供給するボトル20と、上記ボトル20が搭載されて上記飲料を飲用するために適量ずつ出す上記ディスペンサ本体30とを備えている。上記ディスペンサ本体30に上記ボトル20が搭載された状態で、上記ボトル20がボトルカバー40で覆われる。
【0027】
〔ボトル20〕
上記ボトル20は、ボトルネック状の注水口21を有した容器である。
【0028】
上記ボトル20は、内部に貯留されている飲料水25を外部から視認可能な透明性を有する。外部から視認可能な透明性とは、ボトル20の外部から飲料水25の存在を目視で確認できる程度の透明性を意味する。上記ボトル20の構成材料としては特に限定されず、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等を用いることができる。
【0029】
上記ボトル20のサイズについては特に限定されず、飲料水25の貯蔵量等に応じて、適宜設定することができる。
【0030】
上記ボトル20の厚さは特に限定されず、硬質容器とするか軟質容器とするか等の理由により、適宜設定することができる。
【0031】
上記ボトル20として硬質容器を用いる場合、その厚さは、機械的強度や形状保持性が確保され、破損しない範囲内であれば特に限定されない。この場合、飲料水25の供給により、当該飲料水25が減少し、上記ボトル20内部の圧力が低下しても、当該ボトル20は減容しない。
【0032】
上記ボトル20として軟質容器を用いる場合、その厚さは、硬質容器よりも薄く、かつ、機械的強度や形状保持性が確保され、破損しない範囲内であれば特に限定されない。この場合、飲料水25の供給により、当該飲料水25が減少し、上記ボトル20内部の圧力が低下して当該ボトル20が減容することになる。
【0033】
〔ディスペンサ本体30〕
上記ディスペンサ本体30は、筐体39の上面に、上記ボトル20が注水口21が下向きとなる状態で着脱可能に搭載されるボトル搭載部26が設けられている。上記ボトル搭載部26の中央には、上記注水口21を受ける注水口受け31が設けられている。上記注水口受け31の中央には、上記ボトル20の注水口21に差し込まれ、飲料水25を取り入れるための取水管32が立っている。
【0034】
上記ディスペンサ本体30は、上記取水管32に取り入れられた飲料水25を貯留する貯留槽33を有している。上記貯留槽33の内部にはセパレータ34が設けられている。上記セパレータ34は、当該貯留槽33に貯留されている飲料水25を、常温で貯留する常温水層34Aと、冷却して貯留する冷却水層34Bに区分する。上記冷却水層34Bに相当する貯留槽33の周囲には、上記冷却水層34B内の飲料水25を冷却する冷却管35が設けられている。
【0035】
上記貯留槽33の下には、温水槽36が配置されている。上記温水槽36は、上記貯留槽33の常温水層34Aと供給管37で連通されている。これにより、上記常温水層34Aに貯留された常温の飲料水25が、供給管37を通って上記温水槽36内に供給される。
【0036】
上記冷却水層34B内の飲料水25(冷水)は、冷水管37Aを通って冷水コック38Aから取り分けられる。
上記温水層36内の飲料水25(温水)は、温水管37Bを通って温水コック38Bから取り分けられる。
【0037】
〔ボトルカバー40〕
以下、本発明のボトルカバー40について詳述する。
上記ボトルカバー40は、上記飲料水ディスペンサ10に用いられるものであって、上記ディスペンサ本体30に搭載された上記ボトル20を覆うものである。
【0038】
図1および
図2では、上記ボトルカバー40は、その側面部2が筐体39の外面と面一となるよう、サイズと形状が設定されている。
【0039】
上記ボトルカバー40は、ディスペンサ本体30の筐体39の上部に、着脱自在に載置される。上記ボトルカバー40は、筐体39の上部に載置された状態で、ボトル20の外側を覆うことができる。
つまり、上記ボトルカバー40は、上記ディスペンサ本体30に対面する下面が開放され、上記ボトル20の側面を覆う側面部2と、上記ボトル20の上面を覆う上面部1とを有した立体構造を呈している。
【0040】
上記立体構造は、分離機構、展開機構、折畳み機構のうち少なくともいずれかの機構を備えている。
上記分離機構は、上記側面部2が分離可能な機構である。
上記展開機構は、上記側面部2が展開可能な機構である。
上記折畳み機構は、上記側面部2が折畳み可能な機構である。
上記各機構の詳細は、具体的な実施形態とともに後述する。
【0041】
上記ボトルカバー14を構成する材料としては特に限定されるものではない。後述する各種の態様に応じ、各種の材料を適用することができる。例えば、PP(プリプロピレン),PE(ポリエチレン),PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂材料、不織布や紙等の繊維性材料、木材や竹等の木質材料等をあげることができる。これらは単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0042】
◆第1実施形態
〔分離機構〕
図3は、本発明の第1実施形態のボトルカバー40Aを示す。この例は、上記立体構造が上記分離機構を備えたものである。
【0043】
上記ボトルカバー40Aは、複数に分割されたパーツを組み立てることにより、立体の上記ボトルカバーが形成されるように構成されている。
【0044】
この例では、上記分離機構は、上記ボトル20の上面を覆う上面部1に対し、上記ボトル20の側面を覆う側面部2が分離し、さらに、上記側面部2が、筐体39における前後左右に相当する4つに分離されている。
【0045】
つまり上記複数のパーツは、具体的には、上記上面部1を構成する天板部41と、上記側面部2を構成する前板部42,左右の側板部43,背板部44とを含んで構成されている。
【0046】
上記天板部41は、左右の側辺部が下方に湾曲している。上記左右の側辺部には、側板部43に接合するための接合片41Aが突出形成されている。上記接合片41Aにはリベット穴が設けられている。
上記前板部42は、左右の側辺部と上辺部が後方に湾曲し、下面に開放する浅箱状を呈している。上記左右の側辺部と上辺部には、それぞれ側板部43と天板部41に接合するための接合片42Aが突出形成されている。上記接合片42Aにはリベット穴が設けられている。
上記背板部44は、左右の側辺部と上辺部が前方に湾曲し、下面に開放する浅箱状を呈している。上記左右の側辺部と上辺部には、それぞれ側板部43と天板部41に接合するための接合片44Aが突出形成されている。上記接合片44Aにはリベット穴が設けられている。
上記左右の側板部43には、上記各リベット穴に対応するところにリベット穴があけられている。
【0047】
上記ボトルカバー40Aは、天板部41,前板部42,左右の側板部43,背板部44を組み合わせ、リベット穴にリベットを打つことにより、組み立てることができる。
【0048】
上述した分割構造では、上記複数のパーツ同士を接合する接合部が、上記立体構造の稜に沿って配置されている。このようにすることにより、各パーツの嵩が小さくなり、各パーツを梱包したときの梱包サイズを小さくできる。
【0049】
また、上記ボトルカバー40Aは、ポリプロピレンなどの樹脂製とすることができる。このとき、各パーツの嵩が小さくなるため、成型する金型自体を小型化でき、コスト面で有利になる。また、樹脂の流れがよいため薄肉化でき、コスト面で有利であるだけでなく、ボトルカバー40A自体を軽量化し、作業性や安全面で有利である。また、従来品のような深い立体構造に比べて抜き勾配が小さくてすむ。さらに、ボトルカバー40Aを下広がりにしなくてもよいため、ディスペンサ本体30が大型化することもない。ボトルカバー40Aをボトル20の容量に合わせた大きさに組み立てることが可能となり、ボトル20の容量にフィットしたボトルカバー40Aの装着が可能となる。さらに、分割した各パーツを、ディスペンサ本体30を出荷用に梱包する際に、通水部のホコリ避けとして用いることができる。また、各パーツに異なる着色をするなど、デザインの自由度が高くなる。
【0050】
〔第1実施形態の効果〕
本実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0051】
本実施形態のボトルカバー40Aは、下面が開放されて側面部2と上面部1を有する立体構造を呈している。上記下面はディスペンサ本体30に対面し、上記側面部2はボトル20の側面を覆い、上記上面部1はボトル20の上面を覆う。上記立体構造は分離機構を備えている。上記分離機構は上記側面部2が分離可能である。上記側面部2を分離することにより、上記立体構造を複数のパーツに分割し、各パーツを重ね合わせることで嵩を小さくできる。また、ボトル20の上方に抜き差ししない取り付け取り外しが可能となる。
【0052】
本実施形態のボトルカバー40Aは、下記の利点が生まれる。
(1)物流コスト
上記立体構造の嵩を小さくできる。このため、配送の際の梱包サイズを小さくし、物流コストを節減することができる。
(2)作業性
ボトル交換のときに、ディスペンサ本体に搭載されたボトルの上方に抜き差ししないで取り付け取り外しができるようになり、作業性が格段に向上する。
(3)安全性
成型時の樹脂の流れがよい設計が可能で、厚みを薄くできる。このため、従来品より大幅に重量を軽くでき、誤って落下させたときの危険が少なく、安全性が高くなる。
(4)設計上の不利益
下面側に広がるというボトルカバーの形状的な制約がなくなるため、それに伴ってディスペンサ本体が大型化するような不利益が生じない。
(5)経済性
成型の金型を小型化でき、金型のコストを下げることができる。また、上記分離機構を採った場合には、ボトルカバーの一部に破損が生じた場合、破損した一部のパーツだけを交換できる。また、ボトルカバーに光線のフィルタ機能を設ける場合も、一部のパーツだけに適用でき、経済的である。
【0053】
◆第2実施形態
〔展開機構+分離機構〕
図4は、本発明の第2実施形態のボトルカバー40Bを示す。この例は、上記立体構造が上記展開機構と分離機構を備えたものである。
【0054】
この実施形態では、分離機構により得られる複数のパーツのうち少なくともひとつが、立体を切り開いた展開状部材を組み立てることにより、立体のパーツが形成されるように構成されている。
【0055】
図4(A)は、上記ボトルカバー40Bの分解斜視図である。
上記ボトルカバー40Bは、複数に分割されたパーツを組み立てることにより、立体の上記ボトルカバーが形成されるように構成されている。
この例では、第1パーツ51と第2パーツ55の複数に分割されている。
【0056】
図4(B)は、上記第1パーツ51を展開した状態の斜視図である。
上記第1パーツ51は、前板部51Aと左右の側板部51Bが薄肉ヒンジ部52を介して連結されている。
上記前板部51Aの上辺には、第2パーツに接合するための接合片53Aが突出形成されている。上記接合片53Aには、リベット穴が設けられている。
上記側板部51Bの上辺には、第2パーツに接合するための接合片53Bが突出形成されている。上記接合片53Bには、リベット穴が設けられている。
上記側板部51Bの左右の側片には、第2パーツに接合するための接合片53Cが突出形成されている。上記接合片53Cには、リベット穴が設けられている。
【0057】
図4(C)は、上記第2パーツ55を展開した状態の斜視図である。
上記第2パーツ55は、天板部56Aと左右の背板部56Bが薄肉ヒンジ部57を介して連結されている。
【0058】
上記ボトルカバー40Bは、薄肉ヒンジ部52に沿って折り曲げて組み立てた第1パーツ51と、薄肉ヒンジ部57に沿って折り曲げて組み立てた第2パーツ52を組み合わせ、リベット穴にリベットを打つことにより、組み立てることができる。
【0059】
この分割構造では、上記複数のパーツ同士を接合する接合部が、上記立体構造の稜に沿って配置されている。このようにすることにより、各パーツの嵩が小さくなり、各パーツを梱包したときの梱包サイズを小さくできる。
上記展開構造では、薄肉ヒンジ部52,57を、上記立体構造の稜に沿って配置している。このようにすることにより、樹脂の流れにくい薄肉ヒンジ部52,57の数を最小限にし、成型が容易になる。
【0060】
〔第2実施形態の作用効果〕
本実施形態は、パーツの数が少なく、組み立てが容易である。
それ以外は上記第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0061】
〔変形例〕
図4では展開機構と分離機構を組み合わせたものを説明したが、分離機構がなく、展開機構だけで展開可能なボトルカバーを構成し、立体を切り開いた展開状部材を組み立てることにより、立体の上記ボトルカバーが形成されるように構成することもできる。
【0062】
◆第3実施形態
〔折畳み機構〕
図5は、本発明の第3実施形態のボトルカバー40Cを示す。この例は、上記立体構造が上記折畳み機構を備えたものである。
【0063】
この実施形態は、上記折畳み機構により側面部2を折畳み可能としたものである。
このボトルカバー40Cは、側面部2が、上下方向に伸縮する蛇腹構造になっていて、縮めた状態で折畳まれる構造になっている。上面部1と側面部2は接合されている。
【0064】
上記蛇腹構造は、紙・布・プラスチック・金属などのシート状の部材で作られる、山折りと谷折りの繰り返し構造である。角筒状とすることもできるし、円筒状とすることもできる。
【0065】
上記蛇腹構造は、筒状の骨材にシートを張った提灯状の構造とすることもできる。この場合、上記筒状の骨材は、多数の環状骨を積層した構造とすることもできるし、らせん状とすることもできる。また、この場合、上記蛇腹構造を伸ばした状態で維持するための支柱部材を設けるのが好ましい。
【0066】
〔第3実施形態の作用効果〕
本実施形態は、蛇腹を伸ばせばボトルカバー40Cが完成し、蛇腹を縮めれば折畳むことができる。立体構造の組み立てと折畳みが容易である。
それ以外は上記第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0067】
〔変形例〕
図5では、上面部1と側面部2が接合され、折畳み機構として蛇腹構造を備えた立体構造のボトルカバー40Cを説明したが、これに分離機構を組み合わせ、上面部1に対して側面部2を分離するようにしてもよい。
【0068】
◆第4実施形態
〔折畳み機構+分離機構〕
図6は、本発明の第4実施形態のボトルカバー40Dを示す。この例は、上記立体構造が上記折畳み機構と分離機構を備えたものである。
この実施形態は、上記折畳み機構により側面部2を折畳み可能とし、分離機構により上面部1に対して側面部2を分離可能としたものである。
【0069】
図6(A)は、上面部1と側面部2を分離した状態の平面図である。
図6(B)は、側面部2を折畳んだ状態である。
図6(C)は、上面部1と側面部2を分離した状態の側面図である。
【0070】
このボトルカバー40Dは、側面部2が、波板状の蛇腹部材から構成されている。上記波板状の蛇腹部材は、紙・布・プラスチック・金属などのシート状の部材を、山折りと谷折りを繰り返したものである。山折りと谷折りの折れ線に直交する方向に、容易に引き延ばしたり湾曲させたりすることができる。上記側面部2を引き延ばしながら湾曲させて円筒状にすることにより、側面部2を形成する。円筒状に形成した側面部2の上に、円形の上面部1を載せてボトルカバー40Dとする。上記側面部2は、山折りと谷折りを元どおりに折って縮めた状態で折畳まれる構造になっている。
【0071】
〔第4実施形態の作用効果〕
本実施形態は、波板状の蛇腹部材を引き延ばし湾曲させて容易に側面部2を形成し、それに上面部1を載せればボトルカバー40Dが完成する。上面部1を外して波板状の蛇腹部材を容易に折畳むことができる。立体構造の組み立てと折畳みが容易である。
それ以外は上記第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0072】
◆第5実施形態
〔分離機構+開放部〕
図7は、本発明の第5実施形態のボトルカバー40Eを示す。この例は、上記立体構造が上記分離機構を備え、側面部2の一部に開放部3を有するものである。
【0073】
具体的には、
図3に示したものの背板部44を有しない構造であり、背板部44に相当する部分が開放部3になっている。それ以外は
図3に示すものと同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0074】
〔第5実施形態の作用効果〕
本実施形態は、上記開放部3からボトル20内の飲料の残量を視認することができる。したがって、ボトルカバー40Eに必ずしも透明部を設ける必要がなく、全体に着色するなど、デザインの自由度が高くなる。
それ以外は上記第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0075】
◆第6実施形態
〔展開機構+分離機構+開放部〕
図8は、本発明の第6実施形態のボトルカバー40Fを示す。この例は、上記立体構造が上記展開機構と分離機構を備え、側面部2の一部に開放部3を有するものである。
【0076】
具体的には、
図4に示したものの背板部56Bを有しない構造であり、背板部56Bに相当する部分が開放部3になっている。それ以外は
図4に示すものと同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0077】
〔第6実施形態の作用効果〕
本実施形態は、上記開放部3からボトル20内の飲料の残量を視認することができる。したがって、ボトルカバー40Eに必ずしも透明部を設ける必要がなく、全体に着色するなど、デザインの自由度が高くなる。
それ以外は上記第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0078】
◆第7実施形態
〔分離機構〕
図9は、本発明の第7実施形態のボトルカバー40Gを示す。この例は、上記立体構造が上記分離機構を備えたものである。
図9(A)は、上面部1と側面部2を分離した状態の平面図である。
図9(B)は、上面部1と側面部2を分離した状態の斜視図である。
【0079】
上記ボトルカバー40Gは、全体として有天円筒状を呈し、複数に分割されたパーツを組み立てることにより、立体の上記ボトルカバーが形成されるように構成されている。
【0080】
この例では、上記分離機構は、上記ボトル20の上面を覆う上面部1に対し、上記ボトル20の側面を覆う側面部2が分離し、さらに、上記側面部2が、縦割り状に4つに分離されている。
【0081】
つまり上記複数のパーツは、具体的には、上記上面部1を構成する円形の天板部61と、円筒状の側面部2から構成され、上記側面部2は円筒が縦割りに4分割された4枚の曲面板62から構成されている。上記曲面板62同士は、たとえばリベット63により接合することができる。
【0082】
〔第7実施形態の作用効果〕
本実施形態は、4枚の曲面板62が同一形状であるため、パーツを共通化できる。
それ以外は上記第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0083】
◆第8実施形態
〔分離機構〕
図10は、本発明の第8実施形態のボトルカバー40Hを示す。この例は、上記立体構造が上記分離機構を備えたものである。図は、上面部1と側面部2と分離した状態の斜視図である。
【0084】
上記ボトルカバー40Hは、全体として有天角筒状を呈し、複数に分割されたパーツを組み立てることにより、立体の上記ボトルカバーが形成されるように構成されている。
【0085】
この例では、上記分離機構は、上記ボトル20の上面を覆う上面部1に対し、上記ボトル20の側面を覆う側面部2が分離し、さらに、上記側面部2が、輪切り状に6つに分離されている。
【0086】
つまり上記複数のパーツは、具体的には、上記上面部1を構成する円形の天板部71と、角筒状の側面部2から構成され、上記側面部2は角筒が輪切りに6分割された6つの枠体72から構成されている。上記枠体72同士は、たとえば図示しない凹凸嵌合機構により接合することができる。
【0087】
〔第8実施形態の作用効果〕
本実施形態は、6つの枠体72が同一形状であるため、パーツを共通化できる。
それ以外は上記第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0088】
◆その他の変形例
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明したが、本発明は図示した実施形態に限定する趣旨ではなく、各種の態様に変形して実施することができ、本発明は各種の変形例を包含する趣旨である。
【0089】
たとえば、
図5や
図6の折畳み機構を有するボトルカバー40C,40Dにおいて、蛇腹状の側面部2に開放部を設けることもできる。
【符号の説明】
【0090】
1:上面部
2:側面部
3:開放部
10:飲料ディスペンサ
20:ボトル
21:注水口
25:飲料水
26:ボトル搭載部
30:ディスペンサ本体
31:注水口受け
32:取水管
33:貯留槽
34:セパレータ
34A:常温水層
34B:冷却水層
35:冷却管
36:温水槽
37:供給管
37A:冷水管
37B:温水管
38A:冷水コック
38B:温水コック
39:筐体
40:ボトルカバー
40A:ボトルカバー
40B:ボトルカバー
40C:ボトルカバー
40D:ボトルカバー
40E:ボトルカバー
40F:ボトルカバー
40G:ボトルカバー
40H:ボトルカバー
41:天板部
41A:接合片
42:前板部
42A:接合片
43:側板部
44:背板部
44A:接合片
51:第1パーツ
51A:前板部
51B:側板部
52:薄肉ヒンジ部
53A:接合片
53B:接合片
53C:接合片
55:第2パーツ
56A:天板部
56B:背板部
57:薄肉ヒンジ部
61:天板部
62:曲面板
63:リベット
71:天板部
72:枠体