IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ワコムの特許一覧

<>
  • 特許-アクティブスタイラスの検出方法 図1
  • 特許-アクティブスタイラスの検出方法 図2
  • 特許-アクティブスタイラスの検出方法 図3
  • 特許-アクティブスタイラスの検出方法 図4
  • 特許-アクティブスタイラスの検出方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】アクティブスタイラスの検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20221125BHJP
   G06F 3/03 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G06F3/041 510
G06F3/03 400
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018187806
(22)【出願日】2018-10-02
(65)【公開番号】P2020021444
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】62/712,790
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】久野 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】原 英之
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/066100(WO,A1)
【文献】特開平08-221180(JP,A)
【文献】特開2014-146093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1335
1/13363
G06F3/03
3/041-3/047
G09F9/30-9/46
G09G3/12-3/14
3/30-3/3291
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示駆動を行う表示コントローラにより実行されるアクティブスタイラスの検出方法であって、
前記アクティブスタイラスが、第1の表示フレーム内で、複数ビット値を含む第1のパケットを送信する第1の送信ステップと、
前記アクティブスタイラスが、前記第1の表示フレーム内で、前記第1のパケットを再度送信する第2の送信ステップと、
前記表示コントローラが、第1の表示駆動期間内において前記表示駆動を行うことにより、前記第1の表示フレームを構成する複数の画素データのうちの一部を表示するステップと、
前記表示コントローラが、前記第1の表示駆動期間に続くブランク期間内において前記第1及び第2の送信ステップのいずれかにより送信された前記第1のパケットを受信するステップと、
前記表示コントローラが、前記ブランク期間に続く第2の表示駆動期間内において前記表示駆動を行うことにより、前記第1の表示フレームを構成する複数の画素データのうちの他の一部を表示するステップと、を含み、
前記表示コントローラは、前記第1の表示フレームと、該第1の表示フレームに続く第2の表示フレームとで、前記第1の表示駆動期間の開始位置及び終了位置の少なくともいずれか一方を変更する制御を行う
クティブスタイラスの検出方法。
【請求項2】
表示駆動を行う表示コントローラにより実行されるアクティブスタイラスの検出方法であって、
前記アクティブスタイラスが、複数の表示フレームのそれぞれにおいて、予め所定のインターバル時間を空けて設定された複数のパケット送信期間のそれぞれの中に収まるようパケットの送信を実行するステップと、
前記表示コントローラが、前記複数の表示フレームそれぞれの前記複数のパケット送信期間内において、前記アクティブスタイラスが送信したパケットを受信するステップと、
前記表示コントローラが、前記複数のパケット送信期間の間に設定された前記インターバル時間を維持しつつ前記表示駆動を行う表示駆動期間の開始タイミング及び終了タイミングを変更しながら、前記表示駆動を実行するステップと、
を含むアクティブスタイラスの検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクティブスタイラスの検出方法に関し、特に、表示駆動を実行する表示コントローラにおけるアクティブスタイラスの検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネルの駆動に用いられる表示コントローラには、アクティブスタイラスの検出を行えるように構成されたものがある。この種の表示コントローラにおいては、表示のために画素を駆動する期間(表示駆動期間)と、アクティブスタイラスが送信したペン信号を受信する期間(ブランク期間)とが時分割で設けられる。ブランク期間は、画素の駆動動作が行われない期間であり、典型的には、垂直ブランク期間、水平ブランク期間、或いは、所定個の水平ブランク期間を集約してなる期間等によって構成される。ブランク期間内においては、画素の駆動動作に起因するノイズが発生しないので、表示コントローラは、ノイズが少ない状態でペン信号を受信することができる。
【0003】
特許文献1には、このような表示コントローラの一例が開示されている。同文献には、表示コントローラからアクティブスタイラスに対し、アップリンク信号を用いて、1表示フレーム内におけるブランク期間の位置を通知する技術が開示されている。これによれば、アクティブスタイラスは、アップリンク信号を送信してきた表示コントローラに対してペン信号を送信するべきタイミングを知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6166497号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アップリンク信号は、ブランク期間の位置の通知の他にも様々な用途で用いられるものであるから、毎フレーム、ブランク期間の位置を通知するために使用することはできない。そうすると、特許文献1の技術によれば、ブランク期間の位置を再通知できるようになるまでの数フレームの間、表示コントローラはブランク期間の位置を変更できないことになる。こうしてブランク期間の位置が固定されてしまうと、複数の表示フレームにおいて連続して、同じ位置で表示駆動動作が不連続となるため、視認され得る横ラインの発生や音鳴りといった表示品質上の課題が発生する。
【0006】
このような課題に関して、特許文献1には、各ブランク期間において短い補助アップリンク信号を送信することが記載されている。この補助アップリンク信号を使えば、表示コントローラからアクティブスタイラスに対してブランク期間の正確な位置を通知できるため、上記課題を解決することも可能である。しかしながら、ただでさえ短いブランク期間の一部を補助アップリンク信号によって占有されてしまうため、アクティブスタイラスからペン信号に含めて送信できるデータの量が減少してしまう結果となる。
【0007】
したがって、本発明の課題の一つは、ペン信号により送信できるデータの量を確保しつつ、視認され得る横ラインの発生や音鳴りといった表示品質上の課題をクリアできるアクティブスタイラスの検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によるアクティブスタイラスの検出方法は、表示駆動を行う表示コントローラにより実行されるアクティブスタイラスの検出方法であって、前記アクティブスタイラスが、第1の表示フレーム内で、複数ビット値を含む第1のパケットを送信する第1の送信ステップと、前記アクティブスタイラスが、前記第1の表示フレーム内で、前記第1のパケットを再度送信する第2の送信ステップと、前記表示コントローラが、第1の表示駆動期間内において前記表示駆動を行うことにより、前記第1の表示フレームを構成する複数の画素データのうちの一部を表示するステップと、前記表示コントローラが、前記第1の表示駆動期間に続くブランク期間内において前記第1及び第2の送信ステップのいずれかにより送信された前記第1のパケットを受信するステップと、前記表示コントローラが、前記ブランク期間に続く第2の表示駆動期間内において前記表示駆動を行うことにより、前記第1の表示フレームを構成する複数の画素データのうちの他の一部を表示するステップと、を含むアクティブスタイラスの検出方法である。
【0009】
本発明の第2の側面によるアクティブスタイラスの検出方法は、表示駆動を行う表示コントローラにより実行されるアクティブスタイラスの検出方法であって、前記アクティブスタイラスが、複数の表示フレームのそれぞれにおいて、予め所定のインターバル時間を空けて設定された複数のパケット送信期間のそれぞれの中に収まるようパケットの送信を実行するステップと、前記表示コントローラが、前記複数の表示フレームそれぞれの前記複数のパケット送信期間内において、前記アクティブスタイラスが送信したパケットを受信するステップと、前記表示コントローラが、前記複数のパケット送信期間の間に設定された前記インターバル時間を維持しつつ前記表示駆動を行う表示駆動期間の開始タイミング及び終了タイミングを変更しながら、前記表示駆動を実行するステップと、を含むアクティブスタイラスの検出方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の側面によれば、アクティブスタイラスが第1の表示フレーム内で同内容のパケットを少なくとも2回送信するので、表示コントローラは、補助アップリンク信号を送信することなく、自身の都合でブランク期間の位置を変えることができる。したがって、ペン信号により送信できるデータの量を確保しつつ、視認され得る横ラインの発生や音鳴りといった表示品質上の課題をクリアできる。
【0011】
本発明の第2の側面によれば、表示コントローラは、補助アップリンク信号を送信することなく、表示駆動期間の開始タイミング及び終了タイミングを変更することができる。したがって、少なくとも表示駆動期間の開始タイミング及び終了タイミングが固定されることによって生じ得る表示品質上の課題については、ペン信号により送信できるデータの量を確保しつつクリアすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態によるアクティブスタイラス1の検出方法を示す図である。
図2】本発明の第1の実施の形態の変形例によるアクティブスタイラス1の検出方法を示す図である。
図3】本発明の第2の実施の形態による表示駆動期間DPを説明する図である。
図4】本発明の第2の実施の形態によるアクティブスタイラス1の検出方法を示す図である。
図5】本発明の背景技術によるアクティブスタイラス100の検出方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるアクティブスタイラス1の検出方法を示す図である。同図に示すアクティブスタイラス1及び表示コントローラ2はそれぞれ、表示面へのペン入力を可能にする位置検出システムを構成する装置である。このうちアクティブスタイラス1は、ユーザによって把持可能に構成されたペン型の装置であり、位置検出システムの入力装置を構成する。また、表示コントローラ2は、タブレット端末などのコンピュータに内蔵される集積回路であり、図示しないプロセッサから供給される表示データに従って図示しない表示装置を駆動する役割と、表示面内におけるアクティブスタイラス1の位置を検出してプロセッサにレポートする役割と、アクティブスタイラス1が送信したデータを受信し、プロセッサに転送する役割とを担う。
【0015】
なお、表示装置としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなど各種の表示装置が使用可能である。また、表示装置の駆動方式としても、アクティブマトリクス方式、単純マトリクス方式など各種の方式が使用可能である。
【0016】
アクティブスタイラス1と表示コントローラ2とは、双方向に通信可能に構成される。以下、表示コントローラ2からアクティブスタイラス1に対して送信される信号を「アップリンク信号UL」と称し、アクティブスタイラス1から表示コントローラ2に対して送信される信号を「ペン信号P」と称する。
【0017】
ペン信号Pは、無変調のバースト信号と、アクティブスタイラス1からの送信データによって変調されたデータ信号とを時分割で含む信号である。バースト信号は、表示コントローラ2にアクティブスタイラス1の位置を検出させるために送信される。
【0018】
アップリンク信号ULは、表示コントローラ2からアクティブスタイラス1の動作を制御するためのコマンドを含む信号である。コマンドには、例えば、アクティブスタイラス1がペン信号Pを送信すべきタイミングを示すタイミング情報や、アクティブスタイラス1がデータ信号に含めて送信すべきデータ(筆圧値、スタイラスIDなど)を示す送信データ情報などが含まれる。このうちタイミング情報に関して、表示コントローラ2及びアクティブスタイラス1は、予め、表示フレームの時間長(アクティブスタイラス1がアップリンク信号ULを受信するタイミングからの時間長)と、表示フレーム内における複数のブランク期間の配置と、複数のブランク期間のうちアクティブスタイラス1がペン信号Pの送信に用いることができるものを特定する情報とをそれぞれ含む複数のプリセット情報を記憶している。タイミング情報は、これら複数のプリセット情報のうちの1つを特定する情報である。
【0019】
アクティブスタイラス1のペン先近傍には、ペン先電極が設けられる。また、表示コントローラ2は、表示面内に配置される複数の線状電極(図示せず)に接続される。表示コントローラ2は、これらの線状電極と、ペン先電極との間に形成される静電容量を介して、アップリンク信号ULの送信とペン信号Pの受信とを行う。バースト信号であるペン信号Pを受信した表示コントローラ2は、各線状電極における受信強度に基づき、表示面内におけるアクティブスタイラス1の位置を検出する。また、データ信号であるペン信号Pを受信した表示コントローラ2は、受信したデータ信号を復調することによってアクティブスタイラス1が送信したデータを取得する。
【0020】
アクティブスタイラス1は、ペン先電極を介してアップリンク信号ULを受信したことに応じて、バースト信号と、アップリンク信号UL内の送信データ情報により指定されたデータを含むデータ信号とを含むペン信号Pを生成する。そして、生成したペン信号Pを、アップリンク信号UL内のタイミング情報により示される複数のブランク期間に分割して送信するよう構成される。以下の説明では、こうして分割送信されるペン信号Pの各部分を「パケット」と称する場合がある。各パケットは、複数ビット値を含んで構成されるデータである。表示コントローラ2は、順次受信される各パケットを結合することによりペン信号Pを取得し、上述したように、アクティブスタイラス1の位置の検出と、アクティブスタイラス1が送信したデータの受信とを行う。
【0021】
以下、表示コントローラ2によるアクティブスタイラス1の検出方法について具体的に説明するが、その前に本発明の背景技術によるアクティブスタイラスの検出方法とその課題について説明し、その後、本実施の形態によるアクティブスタイラス1の検出方法について詳しく説明する。なお、以下で説明する背景技術は、それ自体が本願の発明者により発明されたものであり、本願の優先日の時点で公知になっているものではない。
【0022】
図5は、本発明の背景技術によるアクティブスタイラス100の検出方法を示す図である。なお、同図に示すアクティブスタイラス100及び表示コントローラ200は、以下に説明するアクティブスタイラス100の検出方法以外の点では、本発明によるアクティブスタイラス1及び表示コントローラ2と同様である。
【0023】
図5に示す表示フレームFk-1,Fk,Fk+1はそれぞれ、k-1番目の表示フレーム、k番目の表示フレーム、k+1番目の表示フレームを表している。また、期間DPは、表示コントローラ200が表示装置を駆動する期間(表示駆動期間)を表し、期間BPは、表示コントローラ200による表示装置の駆動が休止している期間(ブランク期間)を表している。符号BPの末尾に付した数字は、1表示フレーム内におけるブランク期間BPの通番である。ただし、ある表示フレームに対応する最初のブランク期間BP0は、その表示フレームの直前に位置している。各表示駆動期間DPにおいて表示コントローラ200は、表示装置を構成する複数の画素のうちの一部を駆動することにより、対応する表示フレームを構成する複数の画素データのうちの一部を表示するよう構成される。
【0024】
図5の下段には、k番目の表示フレームFkと、k+1番目の表示フレームFk+1とにおける表示駆動期間DPとブランク期間BPとの関係を示している。また、図5の上段には、アクティブスタイラス100がアップリンク信号ULを受信する期間と、ペン信号Pを構成する複数のパケットのそれぞれを送信する期間とを示している。なお、符号Pの末尾に付した数字は、ペン信号Pを構成する複数のパケットの通番を表している。
【0025】
図5に示すように、1つの表示フレーム内には複数の表示駆動期間DPが所定の時間間隔Yで配置される。各表示駆動期間DPの時間長は一定値Xである。隣接する2つの表示駆動期間DPの間の時間間隔がYであることから、各ブランク期間BPの時間長は一定値Yとなる。
【0026】
表示フレームFkに対応する表示駆動を行うとき、表示コントローラ200はまず、ブランク期間BP0においてアップリンク信号ULを送信する。アクティブスタイラス100は、こうして送信されたアップリンク信号ULを基準として表示コントローラ200との間にフレーム同期を確立するとともに、アップリンク信号ULから上述したタイミング情報又は送信データ情報を取得する。なお、表示コントローラ200はアップリンク信号ULにより常にタイミング情報及び送信データ情報を送信するわけではなく、変更の必要が生じた場合にのみ、これらを送信するよう構成される。アクティブスタイラス1は、タイミング情報又は送信データ情報を取得した場合、取得したこれらの情報を記憶し、次にタイミング情報又は送信データ情報が取得されるまでの間、記憶したこれらの情報に従って動作する。
【0027】
アクティブスタイラス100は、取得した又は記憶しているタイミング情報により示される複数のブランク期間BPそれぞれのタイミングで、ペン信号Pを構成する各パケットを送信するよう構成される。表示コントローラ200は、こうして送信されたペン信号Pに基づいて、上述したように、アクティブスタイラス1の位置の検出と、アクティブスタイラス1が送信したデータの受信とを行う。
【0028】
より具体的に言えば、表示コントローラ200は、第1の表示駆動期間DP内において表示駆動を行うことにより、表示フレームFkを構成する複数の画素データのうちの一部を表示した後、第1の表示駆動期間DPに続くブランク期間BP内においてアクティブスタイラス100が送信したパケットを受信し、さらに、そのブランク期間BPに続く第2の表示駆動期間DP内において表示駆動を行うことにより、表示フレームFkを構成する複数の画素データのうちの他の一部を表示する、という一連の動作を行うことにより、表示駆動と各パケットの受信とを行う。
【0029】
以上のような検出方法によれば、アップリンク信号ULによりタイミング情報を再通知するまでの間、表示コントローラ200はブランク期間BPの位置を変更できないことになる。こうしてブランク期間BPの位置が固定されてしまうと、複数の表示フレームにおいて連続して、同じ位置で表示駆動動作が不連続となるため、視認され得る横ラインの発生や音鳴りといった表示品質上の課題が発生する。本実施の形態は、1つの表示フレーム内で同じパケットを2回以上送信するようにアクティブスタイラス1を構成することにより、この課題を解決しようとするものである。以下、図1を再度参照しながら、本実施の形態によるアクティブスタイラス1の検出方法について詳しく説明する。
【0030】
初めに、本実施の形態による表示コントローラ2が送信するタイミング情報には、図5に示した背景技術と同様の情報が設定される。すなわち、タイミング情報により通知されるブランク期間BPの配置は、図5に示したブランク期間BPの配置を示すものとなる。
【0031】
図1の上段には、アクティブスタイラス1がアップリンク信号ULを受信する期間と、ペン信号Pを構成する複数のパケットのそれぞれを送信する期間とを示している。同図に示すように、アクティブスタイラス1が表示フレームFk内において、タイミング情報により通知されたブランク期間BPを利用してパケットP1~Pn(nは2以上の自然数)の送信を行う点は、図5に示した背景技術と同様である。本実施の形態によるアクティブスタイラス1は、この送信に加え、パケットP1~Pnのそれぞれと同じデータを含む他のパケットP1(-/+)~Pn(-/+)の送信も行うよう構成される。ただし、-の記号は、対応するパケットの直前に送信される同内容のパケットを示し、+の記号は、対応するパケットの直後に送信される同内容のパケットを示す。
【0032】
別の言い方をすれば、アクティブスタイラス1は、表示フレームFk(第1の表示フレーム)内で、複数ビット値を含むパケットPm(mは1~nの整数。第1のパケット)を送信し(第1の送信ステップ)、同じ表示フレームFk内で、このパケットPmを再度送信する(第2の送信ステップ)よう構成される。図1の例では、この再送信が1回目の送信から連続して2度にわたり実行されており、したがって1つの表示フレームFk内において、同内容のパケットPm-,Pm,Pm+が連続して送信されている。
【0033】
アクティブスタイラス1がこのようなパケットの送信を行う結果として、表示コントローラ2は、パケットPm-の送信期間、パケットPmの送信期間、及びパケットPm+の送信期間の中から、ブランク期間BPの位置を任意に選択することができるようになる。図1の下段(a)~(d)はそれぞれ、こうして各ブランク期間BPの位置が任意に選択された結果としての、表示フレーム内におけるブランク期間BPの配置の一例を表している。
【0034】
具体的に説明すると、(a)に示すパターンは、基本となるパケットP1~Pnの送信期間にブランク期間BPが配置された場合を示している。この配置は、図5に示した背景技術と同じ配置である。(b)に示すパターンは、すべてのmについて、パケットPmの直前に送信されるパケットPm-の送信期間にブランク期間BPが配置された場合を示している。(c)に示すパターンは、すべてのmについて、パケットPmの直後に送信されるパケットPm+の送信期間にブランク期間BPが配置された場合を示している。(d)に示すパターンは、mの値ごとにパケットPm-,Pm,Pm+のいずれかが選択され、選択されたパケットの送信期間にブランク期間BPが配置された場合を示している。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態によるアクティブスタイラス1の検出方法によれば、アクティブスタイラス1が1つの表示フレーム内で同内容のパケットを少なくとも2回送信しているので、表示コントローラ2は、補助アップリンク信号を送信することなく、自身の都合でブランク期間BPの位置を変えることができる。したがって、ペン信号Pにより送信できるデータの量を確保しつつ、視認され得る横ラインの発生や音鳴りといった表示品質上の課題をクリアすることが可能になる。
【0036】
なお、本実施の形態では、同内容のパケットが連続して送信される例を示したが、本発明は、同内容のパケットが連続送信されない場合にも好適に適用可能である。
【0037】
例えば、図2は、本発明の第1の実施の形態の変形例によるアクティブスタイラス1の検出方法を示す図である。同図下段の(a)は、表示フレームFkにおける表示駆動期間DP及びブランク期間BPの配置を示し、(b)は、表示フレームFk+1における表示駆動期間DP及びブランク期間BPの配置を示している。同図に示すように、本変形例によるアクティブスタイラス1は、同内容の2つのパケットPm,Pm+を、間隔を空けて送信している。本変形例によっても、表示コントローラ2は、補助アップリンク信号を送信することなく、自身の都合でブランク期間BPの位置を変えることができる。したがって、本実施の形態と同様に、ペン信号Pにより送信できるデータの量を確保しつつ、視認され得る横ラインの発生や音鳴りといった表示品質上の課題をクリアすることが可能になる。
【0038】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、複数のパケット送信期間の間に設定されたインターバル時間を維持しつつ表示駆動を行う表示駆動期間の開始タイミング及び終了タイミングを変更しながら、表示駆動を実行するように表示コントローラ2を構成することにより、少なくとも表示駆動期間の開始タイミング及び終了タイミングが固定されることによって生じ得る表示品質上の課題については、ペン信号により送信できるデータの量を確保しつつクリアできるようにするものである。その他の点では第1の実施の形態と同様であるので、以下では、第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、第1の実施の形態との相違点に着目して説明を行う。
【0039】
図3は、本実施の形態による表示駆動期間DPを説明する図である。同図に示すように、本実施の形態においては、複数の表示フレームのそれぞれに複数のパケット送信期間PSが予め設定される。個々の表示フレームに設定される複数のパケット送信期間PSは、所定時間長Xのインターバル時間を空けて、各表示フレーム内に配置される。アクティブスタイラス1は、このパケット送信期間PSの中に収まるように、ペン信号Pを構成するパケットの送信を行う。
【0040】
表示コントローラ2は、複数の表示フレームそれぞれの複数のパケット送信期間PS内において、アクティブスタイラス1が送信したパケットを受信するよう構成される。受信したパケットに対して表示コントローラ2が行う処理は、第1の実施の形態で説明したとおりである。
【0041】
そして表示コントローラ2は、所定時間長Xのインターバル時間内に、表示装置の駆動を行うよう構成される。ここで、所定時間長Xは、各表示フレーム内における所定時間長Xの合計値が全画素分の表示駆動を実施するために必要な時間よりも少し長くなるように設定されており、表示コントローラ2は、表示駆動のためにインターバル時間のすべてを使う必要がない。そこで本実施の形態による表示コントローラ2は、複数のパケット送信期間の間に設定されたインターバル時間を維持しつつ表示駆動を行う表示駆動期間DPの開始タイミング及び終了タイミングを変更しながら、表示駆動を実行するように構成される。より具体的には、図3に示すように、インターバル時間の始期から時間長RSの範囲で表示駆動期間DPの開始タイミングを調整し、インターバル時間の終期から時間長RSの範囲で表示駆動期間DPの終了タイミングを調整するように構成される。
【0042】
図4は、本実施の形態によるアクティブスタイラス1の検出方法を示す図である。同図下段の(a)は、表示フレームFkにおける表示駆動期間DPの配置を示し、(b)は、表示フレームFk+1における表示駆動期間DPの配置を示している。同図に示すように、本実施の形態による表示コントローラ2は、各表示駆動期間DPの開始タイミング及び終了タイミングを、複数のパケット送信期間PSの間に設定されたインターバル時間を維持する範囲で適宜変更しながら、表示駆動を実行する。したがって、表示駆動期間DPの開始タイミング及び終了タイミングが固定されることを防止することができる。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態によるアクティブスタイラス1の検出方法によれば、表示コントローラ2は、補助アップリンク信号を送信することなく、表示駆動期間DPの開始タイミング及び終了タイミングを変更することができる。したがって、少なくとも表示駆動期間DPの開始タイミング及び終了タイミングが固定されることによって生じ得る表示品質上の課題については、ペン信号Pにより送信できるデータの量を確保しつつクリアすることが可能になる。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【0045】
例えば、上記実施の形態ではアクティブスタイラス1の検出に着目して説明したが、本発明は、指などによるタッチの検出を行う場合にも好適に適用可能である。この場合、パケットの送信期間に代え、タッチ検出用信号の送信期間が設けられる。
【0046】
また、本発明は、上述した複数の線状電極の一部が表示装置内の画素駆動用の電極(例えば、液晶ディスプレイにおける共通電極)を兼ねる装置(例えば、インセル型のタブレット端末)に対しても、好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 アクティブスタイラス
2 表示コントローラ
BP ブランク期間
DP 表示駆動期間
F 表示フレーム
P ペン信号
Pm パケット
PS パケット送信期間
UL アップリンク信号
図1
図2
図3
図4
図5