(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】変換部材、およびそれを備えた継手
(51)【国際特許分類】
F16L 19/04 20060101AFI20221125BHJP
F16L 19/02 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
F16L19/04
F16L19/02
(21)【出願番号】P 2018237301
(22)【出願日】2018-12-19
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】大前 清敬
(72)【発明者】
【氏名】刀谷 真史
(72)【発明者】
【氏名】中野 篤
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-532452(JP,A)
【文献】特許第5883907(JP,B1)
【文献】特開2006-161873(JP,A)
【文献】特開2006-316806(JP,A)
【文献】実開平04-056286(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 19/00-21/08,33/22,47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口端にスリーブが圧入されたチューブと、前記スリーブおよび前記チューブを内側に含むナットとを継手の筒状本体に接続するための円筒部材であって、
ガスケットを挟んで前記筒状本体へ接続される第1周壁端部と、
前記スリーブおよび前記ナットへ接続される第2周壁端部と
を備え、
前記第1周壁端部は周方向の環状溝および雌ねじ形成部を含み、
前記第2周壁端部は雄ねじ形成部を含み、
前記第1周壁端部の環状溝には、前記ガスケットの側面から軸方向へ突出した環状突起が圧入され、
前記第1周壁端部の雌ねじ形成部には、前記筒状本体の周壁端部に設けられた雄ねじ形成部がねじ込まれ、
前記第2周壁端部の雄ねじ形成部には前記ナットが
ねじ込まれ、
前記第1周壁端部の雌ねじ形成部と前記第2周壁端部の雄ねじ形成部とが互いに逆ねじである、
変換部材。
【請求項2】
開口端にスリーブが圧入されたチューブと、前記スリーブおよび前記チューブを内側に含むナットとを継手の筒状本体に接続するための円筒部材であって、
ガスケットを挟んで前記筒状本体へ接続される第1周壁端部と、
前記スリーブおよび前記ナットへ接続される第2周壁端部と
を備え、
前記第1周壁端部は、軸方向へ突出した環状突起および雌ねじ形成部を含み、
前記第2周壁端部は雄ねじ形成部を含み、
前記第1周壁端部の環状突起は、前記ガスケットの側面に形成された周方向の環状溝に圧入され、
前記第1周壁端部の雌ねじ形成部には、前記筒状本体の周壁端に設けられた雄ねじ形成部がねじ込まれ、
前記第2周壁端部の雄ねじ形成部には前記ナットが
ねじ込まれ、
前記第1周壁端部の雌ねじ形成部と前記第2周壁端部の雄ねじ形成部とが互いに逆ねじである、
変換部材。
【請求項3】
前記第2周壁端部は周方向の環状溝を含み、当該環状溝には、前記スリーブの周壁端部から軸方向へ突出した環状突起が圧入される、請求項1
または請求項2に記載の変換部材。
【請求項4】
機器の開口部にチューブを接続するための継手であって、
前記機器の開口部のまわりに同軸に設けられた筒状本体と、
前記筒状本体の周壁端部に配置されたガスケットと、
前記ガスケットを挟んで前記筒状本体へ接続された第1周壁端部、および雄ねじ形成部を含む第2周壁端部を有する、請求項1から
請求項3までのいずれか1項に記載の変換部材と、
前記変換部材の第2周壁端部へ接続された第1周壁端部、および前記チューブの開口端に圧入された第2周壁端部を有するスリーブと、
前記チューブが挿入され、かつ前記変換部材の雄ねじ形成部がねじ込まれたナットと
を備えた継手。
【請求項5】
機器の開口部にチューブを接続するための継手であって、
前記機器の開口部のまわりに同軸に
設けられ、雄ねじ形成部を含む周壁端部を有する筒状本体と、
側面から軸方向へ突出した環状突起を含み、前記筒状本体の周壁端部に配置されたガスケットと、
前記環状突起が圧入された周方向の環状溝と雄ねじ形成部とを含み、前記ガスケットを挟んで前記筒状本体の周壁端部へ接続された第1周壁端部
と、雄ねじ形成部を含む第2周壁端部
とを有する円筒状の変換部材と、
前記変換部材の第2周壁端部へ接続された第1周壁端部、および前記チューブの開口端に圧入された第2周壁端部を有するスリーブと、
前記筒状本体の雄ねじ形成部にねじ込まれた第1雌ねじ形成部と、前記変換部材の第1周壁端部の雄ねじ形成部にねじ込まれた第2雌ねじ形成部とを有する中間ナットと、
前記チューブが挿入され、かつ前記変換部材の
第2周壁端部の雄ねじ形成部がねじ込まれたナットと
を備え、
前記中間ナットの第1雌ねじ形成部と第2雌ねじ形成部とが互いに逆ねじである
継手。
【請求項6】
機器の開口部にチューブを接続するための継手であって、
前記機器の開口部のまわりに同軸に
設けられ、雄ねじ形成部を含む周壁端部を有する筒状本体と、
側面に周方向の環状溝を含み、前記筒状本体の周壁端部に配置されたガスケットと、
軸方向へ突出して前記環状溝に圧入された環状突起と雄ねじ形成部とを含み、前記ガスケットを挟んで前記筒状本体の周壁端部へ接続された第1周壁端部
と、雄ねじ形成部を含む第2周壁端部を
とを有する円筒状の変換部材と、
前記変換部材の第2周壁端部へ接続された第1周壁端部、および前記チューブの開口端に圧入された第2周壁端部を有するスリーブと、
前記筒状本体の雄ねじ形成部にねじ込まれた第1雌ねじ形成部と、前記変換部材の第1周壁端部の雄ねじ形成部にねじ込まれた第2雌ねじ形成部とを有する中間ナットと、
前記チューブが挿入され、かつ前記変換部材の
第2周壁端部の雄ねじ形成部がねじ込まれたナットと
を備え、
前記中間ナットの第1雌ねじ形成部と第2雌ねじ形成部とが互いに逆ねじである
継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は継手等に関し、特にスリーブを利用してチューブを接続するものに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスにおいては、ウェハへのレジストの塗布、ウェハの洗浄等に様々な薬液が使用される。これらの薬液を扱うチューブ、継手、バルブ、ポンプ等の配管設備が半導体装置の製造ラインには含まれる。この配管設備の特徴としては、薬液に直に触れる部分がすべてフッ素樹脂で構成される点と、洗浄等のメンテナンスが比較的頻繁である点とが挙げられる。前者は、金属汚染による半導体の結晶欠陥、および電気的特性の劣化を防ぐことを目的とし、後者は、微粒子による配線の加工不良、および有機物による成膜異常を防ぐことを目的とする。これらの特徴を踏まえてこの配管設備には、高いシール性に加えて、組み立てと分解との容易性が求められる。
【0003】
たとえば特許文献1に開示された継手は、チューブの接続にスリーブを使用する。これにより、一旦分解された後に再構成されても高いシール性を保つ。スリーブは継手本体と同様にフッ素樹脂製であり、一方の周壁端がチューブの開口端に圧入され、他方の周壁端が継手本体の周壁端とシール構造を形成する。このシール構造ではスリーブの周壁端がたとえば、全周から軸方向へ突出した環状突起を含む。この環状突起は、継手本体の周壁端に形成された周方向の環状溝に圧入される。スリーブの周壁端はその他に、周方向の環状溝を含む。この環状溝には、継手本体の周壁端の全周から軸方向へ突出した環状突起が圧入される。突起は溝よりも径方向の幅がわずかに大きいので、径方向において隙間なく溝に圧着する。その結果、シール性が高く維持される。チューブが継手から分離される際には、スリーブがチューブと共に取り外される。これにより、チューブが継手本体へ直に接続される場合よりも、チューブの分離とその後の再接続とが容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体プロセスの多段階化が進むにつれて、配管設備は複雑化する。これに伴う半導体の製造ラインの過剰な大規模化を避ける目的で、配管設備の更なる小型化が求められている。この要求に応えるための工夫の1つとして、ポンプ、バルブ、センサ等の機器間で開口部(吸入口、出口)を接続する際の継手を、次のように簡単化することが試みられている。各機器の開口部には、雄ねじ形成部(外周面にねじが形成された円筒形状の構造体)を含む継手本体が同軸に設けられる。一方の雄ねじ形成部が右ねじであれば、他方の雄ねじ形成部は左ねじにする。両方の雄ねじ形成部は、間にガスケットが挟まれるように単一のナットにねじ込まれる。このナットは、内周面の片側には右方向の雌ねじを含み、反対側には左方向の雌ねじを含む。これによりこのナットは、両方の継手本体の雄ねじ形成部に同時にねじ込み可能である。こうして、2本の雄ねじ形成部の内部空間が連通し、機器間の流路として利用される。
【0006】
この継手は、2本の雄ねじ形成部、および単一のナットとガスケットで構成された簡単な構造であるので、小型化が容易である。しかし、その反面、この継手は、本体の雄ねじが左ねじである場合、チューブを接続するための既存の継手との連結ができない。既存の継手は通常、右ねじだからである。
【0007】
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に機器間接続用の継手を簡単な構造に維持したまま、この継手にチューブ接続用の既存の継手を接続可能にすると共に、それらの間のシール性を高く維持することが可能な変換部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点における変換部材は、開口端にスリーブが圧入されたチューブと、スリーブおよびチューブを内側に含むナットとを継手の筒状本体に接続するための円筒部材であって、ガスケットを挟んで筒状本体へ接続される第1周壁端部と、スリーブおよびナットへ接続される第2周壁端部とを備えている。第1周壁端部は周方向の環状溝および雌ねじ形成部を含み、第2周壁端部は雄ねじ形成部を含む。第1周壁端部の環状溝には、ガスケットの側面から軸方向へ突出した環状突起が圧入される。第1周壁端部の雌ねじ形成部には、筒状本体の周壁端部に設けられた雄ねじ形成部がねじ込まれ、第2周壁端部の雄ねじ形成部にはナットがねじ込まれる。
【0009】
本発明の第2の観点における変換部材は、開口端にスリーブが圧入されたチューブと、スリーブおよびチューブを内側に含むナットとを継手の筒状本体に接続するための円筒部材であって、ガスケットを挟んで筒状本体へ接続される第1周壁端部と、スリーブおよびナットへ接続される第2周壁端部とを備えている。第1周壁端部は、軸方向へ突出した環状突起および雌ねじ形成部を含み、第2周壁端部は雄ねじ形成部を含む。第1周壁端部の環状突起は、ガスケットの側面に形成された周方向の環状溝に圧入される。第1周壁端部の雌ねじ形成部には、筒状本体の周壁端に設けられた雄ねじ形成部がねじ込まれ、第2周壁端部の雄ねじ形成部にはナットがねじ込まれる。
【0010】
本発明の第3の観点における変換部材は、開口端にスリーブが圧入されたチューブと、スリーブおよびチューブを内側に含むナットとを継手の筒状本体に接続するための円筒部材であって、ガスケットを挟んで筒状本体へ接続される第1周壁端部と、スリーブおよびナットへ接続される第2周壁端部とを備えている。第1周壁端部は周方向の環状溝および雄ねじ形成部を含み、第2周壁端部は雄ねじ形成部を含む。第1周壁端部の環状溝には、ガスケットの側面から軸方向へ突出した環状突起が圧入される。第2周壁端部の雄ねじ形成部にはナットがねじ込まれる。第1周壁端部の雄ねじ形成部には、筒状本体の周壁端部に設けられた雄ねじ形成部と共通の中間ナットがねじ込まれる。
【0011】
本発明の第4の観点における変換部材は、開口端にスリーブが圧入されたチューブと、スリーブおよびチューブを内側に含むナットとを継手の筒状本体に接続するための円筒部材であって、ガスケットを挟んで筒状本体へ接続される第1周壁端部と、スリーブおよびナットへ接続される第2周壁端部とを備えている。第1周壁端部は、軸方向へ突出した環状突起および雄ねじ形成部を含み、第2周壁端部は雄ねじ形成部を含む。第1周壁端部の環状突起は、ガスケットの側面に形成された周方向の環状溝に圧入される。第2周壁端部の雄ねじ形成部にはナットがねじ込まれる。第1周壁端部の雄ねじ形成部には、筒状本体の周壁端部に設けられた雄ねじ形成部と共通の中間ナットがねじ込まれる。
【0012】
第2周壁端部は周方向の環状溝を含んでいてもよい。この環状溝には、スリーブの周壁端部から軸方向へ突出した環状突起が圧入されてもよい。
【0013】
本発明の1つの観点における継手は、機器の開口部にチューブを接続するための継手であって、機器の開口部のまわりに同軸に設けられた筒状本体と、筒状本体の周壁端部に配置されたガスケットと、ガスケットを挟んで筒状本体へ接続された第1周壁端部、および雄ねじ形成部を含む第2周壁端部を有する、上記第1から第4までのいずれか1つの観点における変換部材と、変換部材の第2周壁端部へ接続された第1周壁端部、およびチューブの開口端に圧入された第2周壁端部を有するスリーブと、チューブが挿入され、かつ変換部材の雄ねじ形成部がねじ込まれたナットとを備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明による上記の変換部材では、第1周壁端部の環状突起がガスケットの環状溝に圧入され、または、第1周壁端部の環状溝にガスケットの環状突起が圧入される。さらに、第1周壁端部の雌ねじ形成部に継手の筒状本体の雄ねじ形成部がねじ込まれ、または、第1周壁端部の雄ねじ形成部と継手の筒状本体の雄ねじ形成部とが共通のナットにねじ込まれる。一方、第2周壁端部の雄ねじ形成部にナットがねじ込まれる。これにより、筒状本体の雄ねじ形成部が右ねじと左ねじとのいずれであっても、筒状本体の雄ねじ形成部とナットとのいずれにも変換部材は接続可能である。こうして、この変換部材は、機器間接続用の継手を簡単な構造に維持したまま、その継手にチューブ接続用の既存の継手を接続可能にすると共に、それらの間のシール性を高く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a)は、相互に接続された2台の機器ユニットの外観を示す斜視図であり、(b)は、これらの機器ユニットの間を接続する継手の分解図である。
【
図2】
図1の(a)が示す直線II-IIに沿った縦断面図である。
【
図3】(a)は、流量計の出口にチューブを接続した継手の外観を示す斜視図であり、(b)はこの継手の分解図である。
【
図4】
図3の(a)が示す直線IV-IVに沿った縦断面図である。
【
図5】流量計の出口にチューブを接続する継手の変形例の分解図である。
【
図6】
図5が示す直線VI-VIに沿った縦断面図である。
【
図7】
図6が示す継手の筒状本体と変換部材との間のシール構造について、変形例を示す縦断面図である。
【
図8】
図6が示す変換部材について、変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[機器ユニット間の接続]
【0017】
図1の(a)は、相互に接続された2台の機器ユニットの外観を示す斜視図であり、(b)はこれらの機器ユニットの間を接続する継手100の分解図である。
図2は、
図1の(a)が示す直線II-IIに沿った縦断面図である。たとえば、機器ユニットの一方は流量計510であり、機器ユニットの他方はバルブ520である。継手100はたとえば流量計510の出口とバルブ520の入口との間に設置されている。継手100は、流量計510の筒状本体111、バルブ520の筒状本体112、ガスケット120、および共通ナット130を備えている。
【0018】
筒状本体111、112は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等のフッ素樹脂から成る円筒部材であり、軸方向の長さが共通ナット130よりも短い。筒状本体111、112は雄ねじ形成部を含む。雄ねじ形成部は、筒状本体111、112のうち、外周面にねじが形成された円筒部分である。筒状本体111、112は流量計510の出口とバルブ520の入口とのそれぞれに1つずつ、同軸に設けられている。流量計510の筒状本体111とバルブ520の筒状本体112とは、形状とサイズとが同一であるが、雄ねじ形成部が互いに逆ねじである。筒状本体111、112の周壁端部には周方向の環状溝113、114が形成されている。
【0019】
ガスケット120は、PTFE、PFA等のフッ素樹脂から成る円環部材であり、筒状本体111、112と同軸に配置されている。ガスケット120の内径は、筒状本体111、112の内径と等しく、またはそれらよりもわずかに大きい。ガスケット120の外径は、筒状本体111、112の環状溝113、114の外径よりもわずかに大きい。ガスケット120は2本の筒状本体111、112の周壁端部の間に挟まれる。すなわち、ガスケット120の一方の側面は流量計510の筒状本体111の周壁端部へ接続され、他方の側面はバルブ520の筒状本体112の周壁端部へ接続される。ガスケット120の各側面は環状突起121、122を含む。環状突起121、122は、ガスケット120の径方向における中心部から軸方向(図ではY軸方向)へ突出しており、筒状本体111、112の環状溝113、114に圧入される。
【0020】
共通ナット130は、PTFE、PFA、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂から成る円筒部材であり、筒状本体111、112と同軸に配置されている。共通ナット130の内径は筒状本体111、112の外径と等しい。
図2が示すように、共通ナット130は、第1雌ねじ形成部131および第2雌ねじ形成部132を含む。雌ねじ形成部131、132は、共通ナット130のうち、内周面にねじが形成された円筒部分である。第1雌ねじ形成部131は流量計510の筒状本体111の雄ねじ形成部と噛み合い、第2雌ねじ形成部132はバルブ520の筒状本体112の雄ねじ形成部と噛み合う。一般に、接続対象の2台の機器ユニット510、520間では筒状本体111、112の雄ねじ形成部が互いに逆ねじであり、共通ナット130の2本の筒状本体111、112の間では雌ねじ形成部131、132が互いに逆ねじである。たとえば流量計510の筒状本体111の雄ねじ形成部が右ねじである場合、バルブ520の筒状本体112の雄ねじ形成部が左ねじであり、共通ナット130の第1雌ねじ形成部131が右ねじであり、第2雌ねじ形成部132が左ねじである。これにより、共通ナット130は両方の筒状本体111、112の雄ねじ形成部に同時にねじ込み可能である。すなわち、共通ナット130には、流量計510の筒状本体111の雄ねじ形成部がねじ込まれると同時に、その反対側にバルブ520の筒状本体112の雄ねじ形成部がねじ込まれる。こうして、単一の共通ナット130が2本の筒状本体111、112を、間にガスケット120が挟まれた状態で接続する。
-筒状本体とガスケットとの間のシール構造-
【0021】
2本の筒状本体111、112とガスケット120とはシール構造を形成している。このシール構造では、ガスケット120の両側面で環状突起121、122が、筒状本体111、112の環状溝113、114に圧入されている。環状突起121、122は環状溝113、114よりも径方向の幅がわずかに大きいので、環状突起121、122の外周面と内周面とのそれぞれから環状溝113、114の外周面と内周面とへ、径方向の圧力P1が加わる。これにより環状突起121、122の外周面と内周面とがそれぞれ、環状溝113、114の外周面と内周面とに隙間なく圧着する。
【0022】
このシール構造では更に、筒状本体111、112の各周壁端部がテーパ面115を含み、ガスケット120の各側面がテーパ面125を含む。筒状本体111、112のテーパ面115は環状溝113、114の内径側に位置し、筒状本体111、112の軸方向(Y軸方向)に沿って筒状本体111、112から外へ向かうにつれて径が広がるように軸方向(Y軸方向)に対して傾斜している。ガスケット120のテーパ面125は環状突起121、122の内径側に位置し、ガスケット120の軸方向(Y軸方向)に沿ってガスケット120から外へ向かうにつれて径が狭まるように、軸方向(Y軸方向)に対して傾斜している。筒状本体111、112に共通ナット130がねじ込まれた状態では、筒状本体111、112のテーパ面115とガスケット120のテーパ面125とは傾きが等しい。さらに、筒状本体111、112のテーパ面115の全体にはガスケット120のテーパ面125の全体から圧力P2が加わるので、両テーパ面115、125が互いに隙間なく圧着する。こうして、筒状本体111、112とガスケット120との間が密封される。
[機器ユニットとチューブとの間の接続]
【0023】
図3の(a)は、流量計510の出口にチューブ300を接続する継手150の外観を示す斜視図であり、(b)はこの継手150の分解図である。チューブ300は、PTFE、PFA等のフッ素樹脂から成る白色または半透明な管である。継手150は、上記の筒状本体111とガスケット120との他に、変換部材160、スリーブ170、およびナット180を備えている。
【0024】
変換部材160は、PTFE、PFA等のフッ素樹脂から成る円筒部材であり、筒状本体110と同軸に配置されている。変換部材160は第1周壁端部161と第2周壁端部162とを含む。第1周壁端部161は、ガスケット120を挟んで筒状本体111へ接続される部分である。第1周壁端部161の内径は筒状本体111の外径に等しい。第1周壁端部161は雌ねじ形成部167(
図4参照。)を含む。雌ねじ形成部167は軸方向(Y軸方向)へ伸びており、そこに筒状本体111の雄ねじ形成部がねじ込まれる。第2周壁端部162は、スリーブ170およびナット180へ接続される部分であり、内径がスリーブ170の外径よりも大きく、外径がナット180の内径と等しい。第2周壁端部162は雄ねじ形成部168(
図4参照。)を含む。雄ねじ形成部168は軸方向(Y軸方向)へ伸びており、そこにナット180がねじ込まれると、雄ねじ形成部168の内側にスリーブ170とチューブ300の端部とが収容される。
【0025】
スリーブ170は、PTFE、PFA等のフッ素樹脂から成る円筒部材であり、筒状本体111と同軸に配置されている。スリーブ170はガスケット120と内径が等しい。スリーブ170は第1周壁端部171と第2周壁端部172とを含む。第1周壁端部171は、変換部材160の第2周壁端部162へ接続される部分であり、第2周壁端部172は、チューブ300へ接続される部分である。第2周壁端部172は膨出部173を含む。膨出部173は、スリーブ170の軸方向(Y軸方向)の位置に応じて外径がなだらかに増減しており、軸方向(Y軸方向)における第2周壁端部122の中央部に径が最大となる部分(ピーク)を含む。このピークの外径はチューブ300の内径よりも大きいので、膨出部173がチューブ300の開口端へ圧入されることにより、その開口端を内側から拡げる。この拡張に逆らうチューブ300の弾性力は、チューブ300の開口端がスリーブ170の膨出部173を抱き込むように作用するので、その開口端がスリーブ170にしっかりと固定される。
【0026】
ナット180は、PTFE、PFA、PVDF等のフッ素樹脂から成る円筒部材であり、筒状本体111と同軸に配置されている。ナット180の外径は、筒状本体111から軸方向(Y軸の正方向)へ離れるにつれ、2段階に狭まっている。これに従って、ナット180は第1部分181と第2部分182とに分けられる。筒状本体111に近い第1部分181は雌ねじ形成部を含む(図は示していない)。雌ねじ形成部は筒状本体111に向かって軸方向(Y軸の負方向)へ伸びている。雌ねじ形成部に変換部材160の第2周壁端部162の雄ねじ形成部がねじ込まれると、ナット180の内部にスリーブ170が収容される。筒状本体111から遠い第2部分182は、内側にチューブ300の開口端が挿入される部分であり、内径がチューブ300の外径に等しく、またはそれよりもわずかに大きい。
-変換部材の成すシール構造-
【0027】
図4は、
図3の(a)が示す直線IV-IVに沿った縦断面図である。変換部材160のうち、第1周壁端部161の雌ねじ形成部167は筒状本体111の雄ねじ形成部と噛み合い、第2周壁端部162の雄ねじ形成部168はナット180の雌ねじ形成部と噛み合う。このように、筒状本体111とナット180との間に変換部材160が介在することにより、筒状本体111の雄ねじ形成部が右ねじと左ねじとのいずれであっても、通常は右ねじであるナット180を筒状本体111に接続することができる。
【0028】
変換部材160の第1周壁端部161は、ガスケット120を間に挟んで筒状本体111とシール構造を形成している。このシール構造は、
図4を
図2と比較すれば明らかなとおり、筒状本体111、112間のシール構造と同様である。すなわち、変換部材160の第1周壁端部161は、筒状本体112の環状溝114と同様な環状溝164を含む。この環状溝164にガスケット120の環状突起122が圧入される。環状突起122は環状溝164よりも径方向の幅がわずかに大きいので、環状突起122の外周面と内周面とのそれぞれから環状溝164の外周面と内周面とへ、径方向の圧力P1が加わる。これにより、環状突起122の外周面と内周面とがそれぞれ、環状溝164の外周面と内周面とに隙間なく圧着する。
【0029】
変換部材160の第1周壁端部161は更に、筒状本体112のテーパ面115と同様なテーパ面165を含む。このテーパ面165は環状溝164の内径側に位置し、軸方向に沿って筒状本体111から外側(Y軸の正方向)へ向かうにつれて径が狭まるように、軸方向(Y軸方向)に対して傾斜している。第1周壁端部161の雌ねじ形成部167に筒状本体111の雄ねじ形成部がねじ込まれた状態では、第1周壁端部161のテーパ面165とガスケット120のテーパ面125とは傾きが等しい。さらに、ガスケット120のテーパ面125の全体から第1周壁端部161のテーパ面165の全体に圧力P2が加わるので、両テーパ面125、165が互いに隙間なく圧着する。こうして、ガスケット120と変換部材160との間が密封される。
【0030】
変換部材160の第2周壁端部162は雄ねじ形成部168の内側でスリーブ170とシール構造を形成している。第2周壁端部162は雄ねじ形成部168の内径側に、周方向の環状溝166を含む。一方、スリーブ170は第1周壁端部171に環状突起174を含む。この環状突起174は第1周壁端部171の全周から軸方向(図ではY軸の負方向)へ突出しており、第2周壁端部162の雄ねじ形成部168がナット180にねじ込まれると、第2周壁端部162の環状溝166に圧入される。環状突起174は環状溝166よりも径方向の幅がわずかに大きいので、環状突起174の外周面と内周面とのそれぞれから環状溝166の外周面と内周面とへ径方向の圧力P3が加わる。これにより、環状突起174の外周面と内周面とがそれぞれ、環状溝166の外周面と内周面とに隙間なく圧着する。こうして、変換部材160とスリーブ170との間が密封される。
【0031】
図4が示すように、変換部材160の第1周壁端部161から第2周壁端部162が軸方向(Y軸方向)へ突出している。第2周壁端部162の雄ねじ形成部168はナット180の雌ねじ形成部と噛み合っている一方、第2周壁端部162の内周面はスリーブ170に接触している。雄ねじ形成部168の内径はスリーブ170の外径よりもわずかに狭いので、雄ねじ形成部168の内周面がスリーブ170の第1周壁端部171の外周面に対して径方向に圧力P4を加える。これにより、雄ねじ形成部168がスリーブ170をしっかりと保持する。
[実施形態の利点]
【0032】
本発明の上記の実施形態による変換部材160では、第1周壁端部161の環状溝164にガスケット120の環状突起122が圧入され、第1周壁端部161の雌ねじ形成部167に筒状本体111の雄ねじ形成部がねじ込まれる。一方、第2周壁端部162の環状溝166にスリーブ170の環状突起174が圧入され、第2周壁端部162の雄ねじ形成部168にナット180がねじ込まれ、第2周壁端部162の内周面にスリーブ170が接触する。これにより、筒状本体111の雄ねじが右ねじと左ねじとのいずれであっても、筒状本体111とナット180とのいずれにも変換部材160は接続可能である。こうして、この変換部材160は、機器ユニット510、520間の接続用の継手100を簡単な構造に維持したまま、その継手100にチューブ300を接続するための既存のスリーブ170とナット180とを接続可能にすると共に、それらの間のシール性を高く維持することができる。
[変形例]
【0033】
(1)本発明の上記の実施形態による変換継手160は、流量計510とバルブ520との間の接続用継手100を、流量計510とチューブ300との間の接続用継手150に流用することを可能にする。このような流用は、ポンプ等、他の機器ユニットに対しても可能である。
【0034】
(2)筒状本体111、112が共通ナット130から分離した状態では、筒状本体111、112のテーパ面115とガスケット120のテーパ面125とは、傾きが等しくても、異なっていてもよい。
図2が示すように、筒状本体111、112に共通ナット130がねじ込まれた状態では、筒状本体111、112のテーパ面115にガスケット120のテーパ面125から圧力P2が加わるので、両テーパ面115、125は互いに隙間なく圧着し、傾きが等しくなる。
【0035】
(3)筒状本体111から変換部材160が分離した状態では、ガスケット120のテーパ面125と変換部材160の第1周壁端部161のテーパ面165とは傾きが等しくても、異なっていてもよい。
図4が示すように、第1周壁端部161の雌ねじ形成部167に筒状本体111の雄ねじ形成部がねじ込まれた状態では、ガスケット120のテーパ面125から第1周壁端部161のテーパ面165に圧力P2が加わるので、両テーパ面125、165は互いに隙間なく圧着し、傾きが等しくなる。
【0036】
(4)
図3、
図4が示す変換部材160は、第1周壁端部161の雌ねじ形成部167が筒状本体111の雄ねじ形成部と噛み合うことにより、筒状本体111と直に接続される。その他に、以下に示すように、変換部材がナットを間に挟んで筒状本体111と接続されるようにすることも可能である。
【0037】
図5は、流量計510の出口にチューブ300を接続する継手の変形例の分解図である。
図6は、
図5が示す直線VI-VIに沿った縦断面図である。この継手は、
図3、
図4が示す継手150とは次の2点で異なる。第1に、変換部材260の第1周壁端部261の形状が異なり、特に雌ねじ形成部167に代えて雄ねじ形成部267を含む。第2に、中間ナット200が追加されている。その他の構成要素は、
図3、
図4が示す継手150の構成要素と共通である。
図5、
図6では、これら共通の構成要素に、
図3、
図4が示す符号と同じ符号が付されている。また、これら共通の構成要素の詳細については、上記の実施形態についての説明を援用する。
【0038】
変換部材260は、PTFE、PFA等のフッ素樹脂から成る円筒部材であり、筒状本体110と同軸に配置されている。この変換部材260は、
図3、
図4が示す変換部材160とは第1周壁端部261が異なる。第1周壁端部261は、ガスケット120を挟んで筒状本体111へ接続される部分である。第1周壁端部261の外径は筒状本体111の外径と等しい。第1周壁端部261は雄ねじ形成部267を含む。雄ねじ形成部267は軸方向(Y軸方向)へ伸びており、そこに中間ナット200がねじ込まれる。
【0039】
中間ナット200は、PTFE、PFA、PVDF等のフッ素樹脂から成る円筒部材であり、筒状本体111と同軸に配置されている。中間ナット200の内径は筒状本体111の外径と等しい。中間ナット200は、第1雌ねじ形成部201および第2雌ねじ形成部202を含む。雌ねじ形成部201、202は、中間ナット200のうち内周面にねじが形成された円筒部分である。第1雌ねじ形成部201は筒状本体111の雄ねじ形成部と噛み合い、第2雌ねじ形成部202は変換部材260の第1周壁端部261の雄ねじ形成部267と噛み合う。たとえば筒状本体111の雄ねじ形成部が右ねじである場合、第1周壁端部261の雄ねじ形成部267が左ねじであり、中間ナット200の第1雌ねじ形成部201が右ねじであり、第2雌ねじ形成部202が左ねじである。これにより、中間ナット200が筒状本体111と第1周壁端部261との両方の雄ねじ形成部に同時にねじ込み可能である。すなわち、中間ナット200には、筒状本体111の雄ねじ形成部がねじ込まれると同時に、その反対側に第1周壁端部261の雄ねじ形成部267がねじ込まれる。こうして、中間ナット200が筒状本体111と第1周壁端部261を、間にガスケット120が挟まれた状態で接続する。この場合、
図3、
図4が示す場合とは異なり、変換部材260がガスケット120の軸を中心に回転することがないので、変換部材260の回転摺動に起因する擦過傷等を防ぐことができる。
【0040】
(5)本発明の上記の実施形態による機器ユニット510、520の間のシール構造では、継手の筒状本体111、112が周壁端部に環状溝113、114を含み、ガスケット120が側面に環状突起121を含む。逆に、継手の筒状本体が環状突起を含み、ガスケットが環状溝を含んでいてもよい。これに併せて変換部材も第1周壁端部に環状突起を含んでいてもよい。
【0041】
図7は、
図6が示す継手の筒状本体111と変換部材260との間のシール構造について、変形例を示す縦断面図である。筒状本体111は、周壁端部の全周から軸方向(Y軸の正方向)へ突出した環状突起311を含む。同様に、変換部材260の第1周壁端部261は、全周から軸方向(Y軸の負方向)へ突出した環状突起361を含む。一方、ガスケット320は各側面に周方向の環状溝321を含む。環状突起311、361は環状溝321に圧入されている。環状突起311、361は環状溝321よりも径方向の幅がわずかに大きいので、環状突起311、361の外周面と内周面とのそれぞれに対して環状溝321の外周面と内周面とから、径方向の圧力P5が加わる。これにより、環状突起311、361の外周面と内周面とのそれぞれに、環状溝321の外周面と内周面とが隙間なく圧着する。
【0042】
このシール構造では更に、筒状本体111の周壁端部が第1テーパ面313と第2テーパ面314とを含む。同様に、変換部材260の第1周壁端部261が第1テーパ面363と第2テーパ面364とを含む。一方、ガスケット320の各側面が第1テーパ面323と第2テーパ面324とを含む。
【0043】
筒状本体111の第1テーパ面313は環状突起311の内径側に位置し、筒状本体111の軸方向に沿って外側(Y軸の正側)へ向かうにつれて径が狭まるように、軸方向(Y軸方向)に対して傾斜している。筒状本体111の第2テーパ面314は環状突起311の外径側に位置し、筒状本体111の軸方向に沿って外側(Y軸の正側)へ向かうにつれて径が広がるように、軸方向(Y軸方向)に対して傾斜している。
【0044】
筒状本体111の環状突起311とテーパ面313、314とに対し、変換部材260の第1周壁端部261の環状突起361とテーパ面363、364とは形状が、あたかも鏡像のように対応する関係にある。すなわち、第1周壁端部261の第1テーパ面363は環状突起361の内径側に位置し、筒状本体111の軸方向に沿って外側(Y軸の正側)へ向かうにつれて径が広がるように、軸方向(Y軸方向)に対して傾斜している。第1周壁端部261の第2テーパ面364は環状突起361の外径側に位置し、筒状本体111の軸方向に沿って外側(Y軸の正側)へ向かうにつれて径が狭まるように、軸方向(Y軸方向)に対して傾斜している。
【0045】
ガスケット320の第1テーパ面323は環状溝321の内径側に位置し、ガスケット320の軸方向(Y軸方向)に沿ってガスケット320から外へ向かうにつれて径が広がるように、軸方向(Y軸方向)に対して傾斜している。ガスケット320の第2テーパ面324は環状溝321の外径側に位置し、ガスケット320の軸方向(Y軸方向)に沿ってガスケット320から外へ向かうにつれて径が狭まるように、軸方向(Y軸方向)に対して傾斜している。
【0046】
筒状本体111、ガスケット320、および変換部材260が分離した状態では、第1テーパ面313、323、363の間で傾きが等しくても異なっていてもよく、第2テーパ面314、324、364の間で傾きが等しくても異なっていてもよい。
図7が示すように、筒状本体111、ガスケット320、および変換部材260が中間ナット200で接続された状態では、第1テーパ面313、323、363の傾きが等しくなり、第2テーパ面314、324、364の傾きが等しくなる。これは、筒状本体111の第1テーパ面313と変換部材260の第1テーパ面363とにはガスケット320の第1テーパ面323から圧力P6が加わり、筒状本体111の第2テーパ面314と変換部材260の第2テーパ面364とにはガスケット320の第2テーパ面324から圧力P7が加わることによる。圧力P6、P7とそれぞれの反力とにより第1テーパ面313、323、363同士が互いに隙間なく圧着し、第2テーパ面314、324、364同士が互いに隙間なく圧着する。こうして、筒状本体111、ガスケット320、および変換部材260の間が密封される。
【0047】
同様に、スリーブ170の第1周壁端部171が環状突起174に代えて環状溝を含んでいてもよく、変換部材260の第2周壁端部162が環状溝166に代えて環状突起を含んでいてもよい。また、
図4が示す筒状本体111と変換部材160との間のシール構造についても同様な変形が可能である。
【0048】
(6)
図8は、
図6が示す変換部材260の変形例460を示す縦断面図である。
この変換部材460は、
図6が示す変換部材260とは、第1周壁端部461と第2周壁端部462との間にフランジ469を含む点でのみ異なる。フランジ469は、変換継手460の外周面から径方向へ突き出た環状の突起であり、外周面が軸方向(Y軸方向)において平坦である。ユーザーがフランジ469に指を当てて変換継手460を保持することにより、中間ナット200に第1周壁端部461をねじ込みやすくなる。なお、フランジ469は、第1周壁端部461と第2周壁端部462との間に代えて、
図6が示す第1周壁端部261または第2周壁端部162の少なくとも一方に重なるように形成されていてもよい。
【0049】
(7)本発明の上記の実施形態による継手100、150の樹脂材料は、フッ素樹脂には限られない。その他に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテルエテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド等、種々の樹脂が使用可能である。これらは、継手100、150の使用分野または用途、チューブ300の材質等に応じて適宜に選択される。
【0050】
(8)本発明の上記の実施形態による継手100、150は、半導体、液晶、または有機ELの製造装置の内部以外にも、各種プラントの配管、医療・医薬分野の配管等において使用される複数の配管および機器等を接続する部材としても使用可能である。
【符号の説明】
【0051】
111、112 継手の筒状本体
113、114 筒状本体の環状溝
120 ガスケット
121、122 ガスケットの環状突起
150 継手
160 変換部材
161 変換部材の第1周壁端部
162 変換部材の第2周壁端部
164 変換部材の第1周壁端部の環状溝
166 変換部材の第2周壁端部の環状溝
167 変換部材の雌ねじ形成部
168 変換部材の雄ねじ形成部
170 スリーブ
171 スリーブの第1周壁端部
172 スリーブの第2周壁端部
174 スリーブの環状突起
180 ナット
260 変換部材の変形例
300 チューブ
510 ポンプ