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▶ アクテガ メタル プリント ゲーエムベーハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】金属印刷構造体
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/00 20060101AFI20221125BHJP
   B41F 17/00 20060101ALN20221125BHJP
   B41M 1/22 20060101ALN20221125BHJP
【FI】
B41M3/00 Z
B41F17/00
B41M1/22
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018513939
(86)(22)【出願日】2016-05-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-07-26
(86)【国際出願番号】 IB2016053154
(87)【国際公開番号】W WO2016189519
(87)【国際公開日】2016-12-01
【審査請求日】2019-03-14
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】1509080.6
(32)【優先日】2015-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1514618.6
(32)【優先日】2015-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1514619.4
(32)【優先日】2015-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1603997.6
(32)【優先日】2016-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1604989.2
(32)【優先日】2016-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517411427
【氏名又は名称】アクテガ メタル プリント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランダ ベンジオン
(72)【発明者】
【氏名】アブラモヴィッチ サギ
(72)【発明者】
【氏名】クラシリニコフ アントン
(72)【発明者】
【氏名】アシェル タマル
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】吉村 尚
【審判官】松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-045777(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0127829(US,A1)
【文献】カナダ国特許出願公開第2520442(CA,A1)
【文献】特表2004-508918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0208351(US,A1)
【文献】特表2010-511757(JP,A)
【文献】特表2005-502121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M1/00-3/18
B41M7/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)受像面を有する印刷基材と、
(b)前記受像面を覆い、前記受像面に設けられた粒子受容面を有する受容層であって、1000nm以上の厚さを有している、受容層と、
(c)前記粒子受容面に付着して前記粒子受容面上で単層を形成する、複数の粒子と、
を備えた印刷構造体であって、
前記複数の粒子が、金属からなるフレーク形状の粒子、金属からなるプレートレット形状の粒子、金属コートによる金属様の外観を有するフレーク形状の粒子、及び金属コートによる金属様の外観を有するプレートレット形状の粒子、からなる群から選択される少なくとも何れかであり、
前記複数の粒子の数平均アスペクト比(ASPavg)が、
ASPavg=Lavg/Havg
により定義され、式中、Lavgは前記複数の粒子の数平均最大長さ寸法であり、Havgは前記複数の粒子の数平均最大厚さであり、
前記複数の粒子が、以下の構造的性質、すなわち、
(A)前記数平均最大長さ寸法(Lavg)が0.04μm以上800μm以下である、
(B)前記数平均最大厚さ(Havg)が5nm以上1200nm以下である、
(C)前記数平均アスペクト比(ASPavg)が2/1以上100/1以下である、
を示し、かつ、
前記単層が、20%以上100%以下の光学表面被覆率を有し、
前記粒子の外表面が疎水性を有する、印刷構造体。
【請求項2】
前記単層には、バインダーが存在していないまたは実質的に存在していない、請求項1記載の印刷構造体。
【請求項3】
前記単層が、重量または体積でみて、20%以下のバインダーを含有している、請求項1または2に記載の印刷構造体。
【請求項4】
前記受容層の前記厚さが、1.2μm以上800μm以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の印刷構造体。
【請求項5】
前記数平均最大長さ寸法(Lavg)が、0.04μm以上600μm以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の印刷構造体。
【請求項6】
前記数平均最大厚さ(Havg)が、5nm以上1000nm以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の印刷構造体。
【請求項7】
前記粒子が非疎水性を有していて、疎水性層が、少なくとも部分的に前記粒子の各々を覆っている、請求項1から6のいずれか一項に記載の印刷構造体。
【請求項8】
前記疎水性層が、無機疎水性層である、請求項7に記載の印刷構造体。
【請求項9】
前記疎水性層が有機疎水性層である、請求項7に記載の印刷構造体。
【請求項10】
前記有機疎水性層が、脂肪酸、油、および油性物質からなる群のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の印刷構造体。
【請求項11】
前記脂肪酸、前記油、および前記油性物質が、6以上50以下の炭素数をもつ主鎖を有する、請求項10に記載の印刷構造体。
【請求項12】
前記疎水性層が、15nm以下の厚さを有する、請求項7から11のいずれか一項に記載の印刷構造体。
【請求項13】
前記粒子の有機含有量が、重量でみて15%以下である、請求項1から12のいずれか一項に記載の印刷構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属印刷法で得ることができる印刷構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
基材上に、金属化された表面またはパターンを印刷する方法として、主に2つのアプローチが存在する。
最も一般的に使用されるのはホイルイメージングであり、これは2つの広いカテゴリーに分類される。箔押し(foil stamping)としても知られているホットホイルブロッキング(hot foil blocking)では、基材に対向して配置される箔(以下、ホイルともいう)上に、加熱した金型(以下、ダイともいう)をスタンプする。ホイルは、コーティングを有し、このコーティングは金属コーティングであることが多く、熱および圧力の印加によってコーティングを基材に接着させて基材上にダイのデザインを残す。同時に、金属コーティングが除去されたホイル上には、対応する形状の枯渇領域が残される。箔融着(Foil fusing)またはコールドホイルスタンピング(cold foil stamping)は、ダイの必要性を回避する関連したプロセスであり、接着剤で覆われたイメージ領域にホイルが接着される。粘着性イメージは、オフセット印刷機、フレキソ印刷機およびグラビア印刷機であれば印刷版または円筒を使用して、セリグラフィックプリンタであれば印刷画面を使用して、またはデジタルプリンタであればイメージに固有のパターンを使用して作成することができる。かかるホイルは、典型的には、担体フィルムと、インプレッションの際に後続の顔料または金属層の分離を可能にする剥離層と、および先行する色付与層の印刷基材への付着を容易にする接着層をこの順序で積層して備えている。例えば剥離層と金属層との間のラッカーのような追加的層をこの基本構造に介在させることができる。かかる金属ホイルは数十マイクロメートルの厚さでありうるが、かかる積層ホイルにおける完全に連続した金属層またはフィルムの厚さは一般に数マイクロメートル、典型的には1マイクロメートル未満であり、一部の金属ホイルではさらに100ナノメートル未満の薄型かつ一体型の金属被覆を提供する。
【0003】
箔押しや箔融着の主な短所の1つは、基材上に所望のイメージを形成するために転写されないホイル領域を連続印刷のために回収することができないがために、各スタンプ/融着プロセス中に大量のホイルが浪費される、という点である。ホイル、特に金属ホイルは高価であるため、ホイルイメージングプロセスは比較的高コストな方法であり、典型的にはホイルのロールは一度しか使用できず、廃棄してみると使用されたのはわずかな割合にとどまるということになる。
【0004】
第2のアプローチでは、インク配合物中に懸濁された金属粒子によって金属的な外観を提供する。任意の他の従来のインクと同様の仕方で印刷基材に対して金属粒子を塗布し、着色剤は代替的に顔料または染料とすることも考えられる。金属インクの使用は、ホイル印刷に固有の無駄を減らすことができるものの、異なる欠点をもたらす。この選択肢を利用する印刷方法は、例えば、箔印刷に見合うだけの印刷品質を達成しないことが報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人は、よりコスト効率に優れ、環境にやさしく、それでいて高品質でもある印刷構造体を生産する改良された印刷方法およびシステムの必要性を認識している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願人は、同時係属中の出願においてさらに詳細に記載された新規な印刷方法を発明した。本開示は、当該方法によって得られる印刷構造体に関するものであり、したがって、本教示の理解を容易にするために本明細書で簡単に紹介する。
【0007】
この印刷方法は、ドナー表面を提供してこのドナー表面を個々の粒子で(例えばコーティングステーションにおいて)コーティングするとともに、以下の各ステップを繰り返し行うことを含む。すなわち、
(i)基材表面を(例えば、処理ステーションで)処理して、基材表面の少なくとも選択された領域に対するこれら粒子の親和性を、ドナー表面に対するこれら粒子の親和性よりも大きくするステップと、
(ii)ドナー表面に対して(例えば、インプレッションステーションにおいて)基材表面を押圧して粒子の単層をドナー表面の領域から基材表面の選択された領域にのみに転写させる(これにより選択された領域に対応する領域においてドナー表面露出された領域を形成する)ステップと、
(iii)上記(ii)のステップで露出されたドナー表面の領域のみを新しい粒子層で再コーティングして、基材表面に対する後続画像の印刷を可能とするステップと、を繰り返し行うことを含む。
【0008】
粒子で被覆されたドナー表面は、ホイルイメージングで使用されるホイルと同様の仕方で使用される。しかし、ホイルイメージングとは異なり、各インプレッションによってドナー表面上の粒子層の連続性に生じるダメージを、基材の選択された領域への転写によって先にあった層が剥離されたドナー表面の露出領域のみを再コーティングすることで修復することができる。
【0009】
各インプレッション後にドナー表面上の粒子層を修復することができる理由は、粒子が、相互に付着しあうよりも一層強固にドナー表面に対して付着するように選択されているからである。これにより、新しい粒子がコーティングされた層は実質的に個々の粒子の単層となる。用語「単層(monolayer)」については以下においてより厳密に定義するが、本明細書においては、‐理想的には‐各粒子が、基材(例えば、インプレッションに先立つコーティング装置のドナー表面や印刷基材の受容面)と直接接触している少なくとも一部分を有しているような層を記述するために用いられている。かかる表面に接触している粒子間で幾分か重なり合いが生じうるが、層は表面の面積の大部分において粒子1個分のみの厚さでありうる。これは、粘着テープが、ある表面から粉末を拾い上げるために使用されたときに粉末粒子の1つの層のみを拾い上げるのと同じ理由で生じる。粘着テープがまだ真新しいのであれば粉末は粉末がテープ表面全体を覆うまで粘着テープにくっつくと考えられる。しかしながら、ひとたび接着剤が粉末で覆われてしまえば、粉末粒子は互いに強固にくっつきあわずに単純にテープからブラッシングや送風で除去されうるのみであるから、テープはもはや粉末を拾い上げるのに用いることができない。同様に、本明細書における単層は、ドナー表面と十分に接触している粒子から形成されており、したがって、典型的には粒子1個分の厚さである。例えば、余剰物抽出、艶出しまたはその他の類似のステップ(これらの一部については一例として以下、詳細に説明する)を経たコーティングステーションの出口においても、粒子がドナー表面に付着したままの場合には、接触が十分である、といわれる。
【0010】
ドナー表面にその平面状(例えば実質的に平行な)表面の大半にわたって接触している薄片状の粒子を例にとると、結果として得られる単層の厚さ(表面に対して垂直な方向)は、概ね粒子の厚さに対応すると考えられ、それゆえ、単層の平均厚さは単層を形成している個々の粒子の平均厚さから近似しうる。しかしながら、隣接する粒子同士の部分的な重なり合いが生じうるので、単層の厚さも場所によっては、重なり合いの形によって、例えば、粒子同士がなす角度、および/または粒子とドナー表面とがなす角度によって、および/または、重なり合いの程度等によって、構成要素である粒子の寸法の数倍程度にまで増すことになる。単層は、したがって、粒子に固有の最薄寸法の約1倍、約2倍、約3倍または他の中間値に応じた最大厚さ(T)を有する。フレーク、プレートレット等については、粒子の厚さが最薄寸法となり、他方、概ね球形の粒子については、本質的に粒子の直径が「最薄」寸法となる。粒子またはその集団の最薄固有寸法の厚さは、一般的に顕微鏡技術、例えば、SEMまたはSEM-FIB画像により推定され、そして、各粒子について、または、画像の全視野について、定量的に判定することができる。
【0011】
層は粒子の単層モザイクであるので、コーティングステーション進入時に、表面に、すでに非連続的である粒子層(前回付与された連続的な層の選択された領域から粒子が剥離されているために非連続となっている粒子層)がある場合、以前に付与された層の未損傷の領域上に新鮮な粒子を堆積させることなく、それらの非連続的である領域のみに粒子を再補充することができる。
【0012】
上述した印刷方法によって、粒子がドナー表面上で単層を形成することができ、ドナー表面から転写された粒子がまた基材表面上の選択された領域において単層を形成することが理解されるであろう。本開示はこの発明に係る方法を用いて印刷されることができる印刷構造体に関する。
【0013】
比較的明るいエフェクトまたはマット(艶消し)な外観のためには、粒子のモザイクの領域カバー率は、艶出しまたは鏡面状の外観におけるよりも小さい(例えば50%)。高度な艶出し外観のためには、粒子のモザイクは、基材に転写された粒子によってもたらされる反射が所望の視覚効果にとって適切であるように、対象表面を十分に被覆することができる。同じ効果について、かつ、他の全てのパラメータが等価的であると仮定すると、比較的高い反射性および/または印刷基材に対してより一層平行な配向を有する粒子は、比較的低い反射性および/またはより一層ランダムな/基材に対してより低い平行度を有する粒子におけるよりも低い、対象表面の数パーセントの面積のみをカバーすればよいこともある。相対的反射性は、各粒子の属性に関連しており、また、基材の特性や背景画像の特徴によっても影響を受けうるものであり、そして、このような考慮事項はいずれも金属印刷の分野における当業者によって容易に理解される。「十分な」被覆をする、ということによって意味されるところは、関連性を有する基材領域上の粒子の被覆が裸眼で知覚可能な欠陥、例えば、視覚的に発見可能な程度にかつ意図した視覚効果にとって有害な程度に基材表面上に顕在化するような粒子のモザイクにおける非連続箇所や孔がない、ということである。被覆されるべき領域として選択された基材領域の表面の面積の少なくとも50%、或いは少なくとも60%、或いは少なくとも70%を被覆することで、十分な被覆率とすることができる(すなわち、十分に連続的な粒子の層を提供できる)。
【0014】
ハイエンドな鏡面状の外観については、被覆されるべき基材の選択された領域の実質的に全体が覆われてもよい。「実質的に(substantially)」覆うということが意味するところは、十分に覆うことに関する限り、関連性を有する基材領域上の粒子の被覆が視認可能な欠陥、例えば、裸眼によって発見可能な程度に基材表面上に顕在化するような粒子のモザイクにおける非連続箇所や孔がない、ということである。被覆されるべき領域として選択された基材領域の表面の面積の少なくとも85%、或いは少なくとも90%、或いは少なくとも95%を被覆することで、実質的な被覆率とすることができる(すなわち、十分に連続的な粒子の層を提供できる)。
【0015】
基材表面またはその一部の上のかかる十分にまたは実質的に連続的な粒子の層は、ドナー表面からの同じ粒子の転写によってもたらされるので、これに対応して、十分に被覆されたドナー表面では、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%が粒子に被覆されており、他方、実質的に完全に被覆されたドナー表面では、少なくとも80%、少なくとも85%または少なくとも90%または少なくとも95%が粒子に被覆されていると理解されるべきである。前述のとおり、よりローエンドなエフェクトについては、50%未満の領域被覆率でも満足的でありうる。このように、所望のエフェクトに応じて、および用いられる粒子に応じて、最大50%の領域被覆率をもつ単層を本教示にしたがって用いることができる。考慮すべき表面に応じて、百分率による領域被覆率は、少なくとも10%、少なくとも20%または少なくとも30%でありうる。
【0016】
マットなエフェクトについては、粒子はかかる見た目を提供するために選択することができ、または、かかる効果を提供するような仕方で印刷基材上に配向することができる。容易に理解されるように、基材の表面に対して非平行である粒子は、たとえ反射性であっても、全体的なマットなエフェクトをもたらすような仕方で光を回折させることがある。マットなエフェクトは、したがって、比較的粗い表面を有する基材を用いることにより実現することができ、比較的薄い受容層は粒子受容面または比較的厚い受容層をもつ任意の他の基材の粗度を維持し、粒子受容面はかかる「非平行」またはランダムな粒子の配向およびマットなエフェクトを提供する表面粗度を提供するようにパターンを付与される。
【0017】
特定の対象表面中の粒子によって覆われた領域の割合は、当業者に公知の多数の方法によって評価することができる。それらの方法には、既知の被覆率点の較正曲線の確定と組み合わせて光学密度を決定する方法、粒子または基材のいずれかが十分に透過的であれば、透過率を測定する方法、または、逆に、例えば粒子が反射性であれば、反射光の測定する方法が含まれる。
【0018】
本明細書において用いられるように、粒子によって覆われた関心対象としての表面の面積の割合を判定する好ましい方法は以下のとおりである。調査対象表面から(例えば、ドナー表面または印刷基材から)、1cmの縁部を有する正方形の試料を切断する。試料を光学顕微鏡(Olympus社、BX61 U‐LH100‐3)およびレーザー共焦点顕微鏡(Olympus社、LEXT OLS30ISU)のいずれかで最大×100倍の倍率(少なくとも約128.9μm×128.6μmが得られる)で分析する。不透明な基材(例えば、紙)上に印刷された各試料について、少なくとも3つの代表的な画像を反射率モードで取り込む。取り込んだ画像を、米国国立衛生研究所(NIH)によって開発されたパブリックドメインJava(登録商標)画像処理プログラムであるImageJを使用して分析した。画像は、8ビット、グレースケールで表示され、また、プログラムに対しては、反射粒子(より明るい画素)と、隣接または近接する粒子との間に存在しうる空隙(かかる空隙はより暗いピクセルとして現れる)との間の存在する可能性のある隙間と、の間で相違する反射率の閾値を提案するように指示を与えた。訓練を受けたオペレータは、必要に応じて提案された閾値を調整することができるが、典型的には閾値を確認する。画像分析プログラムは、続いて処理を進めて粒子を表す画素量と粒子間間隙の覆われていない領域の量とを測定し、これに基づいて、被覆面積の割合を容易に計算することができる。同一試料の異なる画像区画に対して行われた測定結果を平均する。試料が透明基材(例えば、半透明プラスチックホイル)上に印刷されている場合、同様の分析を透過率モードで行うことができ、粒子はより暗い画素として現れ、空隙はより軽いものとして現れる。かかる方法によって、または当業者に知られている任意の実質的に類似の分析技術によって得られた結果は、光学表面被覆率と呼ばれ、パーセントまたは比として表すことができる。
【0019】
印刷が基材の全表面上で行われる場合、例えば接着剤であってもよい受容層は、ドナー表面に対して押圧される前にローラによって基材に付与されてもよい。一方、印刷が基材の選択された領域でのみ行われる場合には、任意の従来の印刷方法、例えばダイまたは印刷プレートを用いて、または受容層基材の表面上に噴きつけることによって、接着剤を付与することができる。さらなる可能性として、適切な活性化手段によって選択的に「粘着性」とされる活性化可能な受容層で基材の表面全体を被覆することが可能である。選択的に付与されるか選択的に活性化されるかにかかわらず、かかる場合の受容層は、基材上に印刷される画像の少なくとも一部を構成するパターンを形成する。
【0020】
本明細書における用語「粘着性の(tacky)」は、インプレッションステーションでドナー表面と基材とを互いに対して押しづける際に、基材表面またはその選択された任意の領域が、粒子をドナー表面から分離し、および/または粒子を基材上に保持するのに十分な程度の粒子に対する親和性を有することを表す場合にのみ用いられる。必ずしも触れてみたときに粘着性である必要はない。基材の選択された領域におけるパターンの印刷を可能にするために、必要に応じて活性化される受容層の粒子への親和性は、裸の基材の粒子に対する親和性よりも大きい必要がある。この文脈では、基材は、受容層を欠いている場合、または場合によっては、適切に活性化される受容層がない場合には「裸(bare)」と呼ばれる。ほとんどの用途との関係では裸の基材は、受容層の選択的親和性を可能にするために、粒子に対して実質的に親和性を有さないが、特定の印刷効果に対しては、ある程度の残余親和性は許容しうる(例えば、視覚的に検出できない場合)。
【0021】
受容層は、例えば、ドナー表面に押しつけられる前に放射線(例えば、紫外線、赤外線および近赤外線)に曝露されることによって活性化されてもよい。受容層活性化の他の手段には、温度、圧力、(例えば再湿潤性接着剤のための)湿気、さらには超音波が含まれ、基材の受容層表面を処理するこのような手段を組み合わせて適合性受容層を粘着性とすることができる。
【0022】
基材の表面に付与される受容層の性質は、とりわけ、基材ごとに、付与様式および/または選択された活性化方法に応じて異なりうるが、かかる配合物は当該分野で公知であり、本発明の印刷方法およびシステムの理解のためにさらに詳細には説明しない。手短にいえば、意図された基材と適合的でありかつ想定される粒子に対する十分な粘着性、相対親和性を、任意選択的には活性化時に、示すことができる熱可塑性、熱硬化性またはホットメルトポリマーを本発明の実施のために用いることができる。好ましくは、受容層は、所望の印刷効果(例えば、透明、透明、および/または無色)を妨げないように選択される。
【0023】
適切な接着剤の所望の特性
(すなわち、受容層を非粘着性状態から粘着性状態に選択的に変化させ、基材の選択された領域が十分に粒子に対して接着性をもつようになり、粒子をドナー表面から分離するようになるように、基材の選択された領域に対する親和性を増大させること)は、受容層の活性化に比較的短時間での処理が求められることと関連する。迅速な活性化時間により、受容層を高速印刷で利用することが可能になる。本開示の実施において好適な接着剤は、好ましくは、基材が活性化ステーションからインプレッションステーションまで移動するのにかかる時間よりも長くない時間内に活性化されることができるものである。いくつかの実施形態においては、受容層の活性化は、インプレッション時に実質的に瞬間的に行われることができる。他の実施形態においては、活性化ステーションまたは活性化ステップがインプレッションに対して先行していてもよく、その場合、受容層は、10秒または1秒未満の時間内、特に、約0.1秒未満の時間内、さらには0.01秒未満の時間内に活性化することができる。この時間は、本明細書において受容層の「活性化時間(activation time)」という。
【0024】
十分な親和性を獲得すべく活性化を必要とする受容層は、受容層がその粘着性を喪失する前にドナー表面から印刷基材への粒子の転写を少なくとも可能とするに十分に長い間かかる状態にとどまる必要がある。一部の印刷システムにおいては、受容層は、粘着性を有する状態で堆積されるように、インプレッションステーションの上流で「インライン」で各基材に対して付与されてもよい。意図されたシステムにおいて受容層が十分に粘着性を有する期間は、本明細書において、受容層の「開放時間(open time)」という。好適な接着剤は、転写条件および/または特定の印刷システムまたはプロセスの後続ステーションまたはステップと整合的な開放時間を示す。例えば印刷システムが複数のコーティングステーションを備えるべきものとされている場合、第1のステーションに到達する時点または到達する前に選択的に活性化される受容層は、基材の処理が異なる部位に対して付与される第2のコーティングステーションに受容層が到達する前に、非粘着性の状態に戻り、多くの場合は異なる特性(例えば異なる色)を有する粒子に付着する。いくつかの印刷システムにおいては、受容層は、恒常的に粘着性であってもよく、その「無限(infinite)」の開放時間は、事実上(de facto)、粒子の後続の付与によって限定され、これらの粒子は、追加的な粒子にさらに付着するその後の能力を妨げる。
【0025】
一般的には活性化された接着剤の開放時間は、好適には、少なくとも約0.01秒から数秒(例えば、最大10秒)の間であり、しかし、より長い開放時間(例えば数分)がある種の用途については好適であることもあり、受容層が粘着性のある段階(換言すれば「すでに活性化されている(already activated)」)で、インプレッションステーションの上流で、かつ、所望のパターンにおいて付与される(例えば基材が粘着性のある材料によってその表面上に堆積されることによって処理される)場合には、「無限」の開放時間が好適となりうる。
【0026】
受容層を活性化または基材の受像側に対して付与するのに用いられた印刷方法とは独立に、かかる付与または活性化は任意選択的に所望のパターンを形成すべく選択的とされているが、印刷構造体に好適な受容層は以下のように選択してもよい。
【0027】
既述のとおり、好適な受容層は、本教示にしたがって単層を形成するうえで粒子との十分な親和性を有する必要がある。この親和性は、代替的には両者の間の密な接触とみなすことができ、受容層の表面上に粒子を保持するために十分な程度である必要があり、そして、層と粒子とのそれぞれの物理的および/または化学的特性からもたらされうる。例えば、受容層は、十分な印刷品質を提供するのに十分に高い硬度を有していてもよいが、層に対する粒子の付着を許容するのに十分な程度には低い硬度を有する。かかる最適範囲は、十分な接触を形成するために粒子のレベルで受容層が「局所的に変形可能(locally deformable)」であることを可能にすること、とみなすことができる。かかる親和性または接触性は、化学的な結合によって追加的に増大させることができる。例えば、受容層を形成する材料は、可逆的結合(非共有静電相互作用、水素結合およびファンデルワールス相互作用を支持する)によって、または、共有結合によって粒子を保持するのに好適な官能基を有するように選択することができる。同様に、受容層は、意図された印刷基材に対して好適なものである必要があり、上記全ての考慮事項は当業者に知られている。
【0028】
受容層は、例えば印刷基材にしたがっておよび/または所望の印刷効果にしたがって広範囲にわたる厚さを有することができる。比較的厚い受容層は「エンボス(embossing)」相を提供し、デザインは包囲している基材の表面よりも高くされる。比較的薄い受容層は、印刷基材の表面の輪郭に追従することができ、例えば、粗い基材についてはマットなエフェクトを可能にする。艶出し相については、受容層の厚さは典型的には基材の粗さをマスクして平らな表面を提供するように選択される。例えば、プラスチックフィルムのように非常に滑らかな基材については、受容層は、ほんの数十ナノメートル、例えば、50nmの表面粗さを有するポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレン・テレフタレート(PET)ホイル)については約100nm、の厚さを有していてもよく、より一層滑らかなPETフィルムであればさらにより一層薄い受容層の利用が可能となる。数ミクロンまたは数十ミクロン程度のより一層粗い表面を有する基材には、同じ寸法範囲の厚さ、または、艶出し効果、したがってなんらかの基材粗度の平準化/マスキングが望まれる場合には同程度の寸法範囲の厚さ、を有する受容層が有益でありうる。したがって、基材および/または所望の効果にしたがって、受容層は、少なくとも10nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも500nmまたは少なくとも1,000nmの厚さを有することができる。触覚および/または視覚による検出によって認識可能な効果については、受容層はさらに、少なくとも1.2マイクロメートル(μm)、少なくとも1.5μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも5μm、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも50μmまたは少なくとも100μmの厚さを有していてもよい。一部の効果および/または基材(例えば段ボール、ボール紙、布、革等)は、ミリメートルの範囲の厚さを有する受容層を必要とすることがあるが、受容層の厚さは典型的には800マイクロメートル(μm)を超えず、最大600μm、最大500μm、最大300μm、最大250μm、最大200μm、または最大150μmである。
【0029】
印刷が行われた後で、すなわち、粒子がドナー表面から処理後のプレスされた基材表面(すなわち受容層)の粘着性を有する部分に転写された後で、印刷されたイメージを固定または艶出しするために熱および/または圧力を加えるなどによって基材をさらに処理してもよく、および/または基材は、印刷表面を保護するためにワニス(例えば無色または着色された透明、半透明または不透明な保護膜)で被覆されてもよく、および/または、基材は、異なる色のインクで(例えば前景イメージを形成する)刷り重ねを施されてもよい。いくつかの転写後ステップ(例えばさらなる圧力)が印刷された基材の表面全体に対して行われてもよい一方、他のステップはその選択された部分に対してのみ施されてもよい。例えば、ワニスは、イメージの選択された部分に対して選択的に施されてもよく、例えば、粒子に覆われた選択された領域に対して施されてもよく、任意選択的には、着色効果をさらに付与してもよい。
【0030】
粒子は、基材の表面に付与される任意の材料を含んでもよい。特に、粒子として好適な材料は、所望の印刷効果を提供する化合物を含み、ポリマー樹脂(例えば、非熱可塑性ポリマー)に一般的に結合される着色剤(例えば、顔料および染料)、および、所望の印刷効果を有する(例えば金属的な外観または艶出し効果などを提供する)任意の他の材料を包含しうる。
【0031】
達成すべき効果が、例えば金属印刷に用いられるような、ホイルイメージングに類似している場合、粒子は、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、スズ、チタン、金または銀、または鋼、ブロンズまたは真鍮などの合金、ならびに主として金属を含有する同様の金属化合物などの金属の粒またはフレークであってもよい。本物の金属で構成されていることに加えて、好適な粒子は、同様の視覚効果を提供する化合物(例えば、金属外観を有するポリマーまたはセラミック材料で構成されている)から作製することができる。このような「金属様(metal-like)」材料は、典型的には、主として非金属であり、場合によっては金属として知覚される光反射率を提供するために役立つ金属コートである。一例として、PVD(物理気相成長)法を用いて製造された粒子であって、ポリマーホイルが真空中で対象金属(クロム、マグネシウムおよび上述の例示の金属を含む)で蒸気コーティングされ、その後個々のフレークを形成するために粉砕されるような粒子は、ポリマー骨格が保持されている場合は金属様粒子を形成することがあり、ポリマーが堆積プロセス後に除去される場合には「金属性(metallic)」とみなすことができる。
【0032】
達成されるべき効果が、光輝性および/または真珠光沢および/または真珠層状の効果を含む場合、合成高分子(例えばポリアクリレートの多層構造を含む)、フッ化マグネシウム、白雲母、アラゴナイト、ルチルまたはアナターゼ二酸化チタン、雲母化合物(典型的には金属酸化物でコーティングされた化合物)などを粒子に使用することができる。本物の金属粒子を含めて前述の例示的粒子の全てを、簡素化のため総称的に「金属様(metal-looking)」(すなわち、金属化合物に類似した視覚的効果を提供する)粒子と呼んでいるが、いずれもコーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。
【0033】
物理的手段、ただしより典型的には化学的手段によって施することができる粒子のコーティングは、とりわけ、(例えば、固結防止剤などで達成可能なように)粒子が相互に粘着することを低減または防止することができ、(例えば、粒子の電荷を増加させることによって達成可能なように)粒子間の反発力を増加させることができ、粒子を望ましくない化学修飾から保護する(例えば、金属および合金の酸化またはその他の任意の金属様粒子の有害な経時的劣化を低減、防止または遅延させる)ことができ、または、要求されるところに応じて、ドナー表面に対するまたは基材の選択された領域に対する粒子の親和性をさらに増加させる(例えば、被覆/表面の疎水性を変更する)ことができる。
【0034】
本教示に係る印刷システムおよび方法にとって好適な粒子は、例えば、(i)ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、安息香酸およびオレイン酸(これらに限定されない)を含む群から選択される非改質または改質カルボン酸または脂肪酸、(ii)アマニ油、ヒマワリ油、パーム油、大豆油およびヤシ油などの植物油、鉱油および合成油(これらに限定されない)を含む群から選択される油性物質、ならびに、(iii)コーティングされるコア粒子と同じまたは異なる材料でありうる酸化物、の1つまたは複数によってコーティングされてもよい。例えば、アルミニウム粒子は、酸化アルミニウムまたは二酸化ケイ素でコーティングされてもよく、雲母粒子は、例えば、二酸化チタンおよび酸化鉄でコーティングされてもよい。粒子コーティングは、コア粒子の着色効果を任意選択的に変更することができ、これは、例えば、いくつかの金属酸化物または顔料入りポリマー(例えば、無機または有機吸収顔料を含有するポリアクリレート)を用いて達成することができる。かかる着色効果は、コア粒子の選択、またはコア粒子の部分的な酸化からも生じる可能性がある。
【0035】
着色されたポリマーであれ金属的外観を有するものであれ、粒子は、一旦印刷基材に転写されると、粒子は、艶出しまたは艶消しイメージを提供することができ、そして、選択された粒子にしたがって任意の他の種類の所望の効果を提供することができる。
【0036】
上記方法を実装し、本明細書に開示した印刷構造体の作製を可能とする印刷システムは、コーティングステーションを備えていてもよく、このコーティングステーションは、流体中に懸濁/浮遊した粒子であって、相互に付着するよりもより一層強固にドナー表面に付着する粒子の供給源と、流体中に懸濁/浮遊した粒子をドナー表面に付着させて表面上に粒子コーティングを形成させるような仕方で流体をドナー表面に付与するためのアプリケーション装置と、流体を抽出し、表面と直接接触していない余剰粒子を除去して、コーティングステーションを出る際に粒子の単層のみをドナー表面に付着させたままにするように構成された余剰物抽出システムと、を備えている。
【0037】
アプリケーション装置は、流体および浮遊粒子をドナー表面上に直接噴霧するためのスプレーヘッドを備えていてもよい。代替的には、アプリケーション装置は、流体および懸濁/浮遊粒子を表面上へ塗りつけるように構成された回転可能アプリケータを備えてもよい。粒子が液体流体中のアプリケーション装置によって付与される場合、装置は、必要であれば、次ステーションに到達するまでに粒子コーティングを実質的に乾燥させる乾燥要素をさらに備えていてもよい。いくつかの実施形態においては、ドナー表面上の粒子は、インプレッションステーションにおいて基材上の受容層と接触時に実質的に乾燥している。
【0038】
本開示では、「に懸濁/浮遊した(suspended1 in)」という用語およびその派生形は、同一または異なる相の材料の任意の特定のタイプの混合物をさすものではなく、「によって担持される(carried by)」などの用語として理解されるべきである。
【0039】
本印刷構造体の作成に適した印刷システムは、オフラインのスタンドアローンマシンであってもよく、または印刷機および/または他の仕上げ装置とインラインのものであってもよい。例えば、例えば、本開示に係る印刷システムは、オフセット機、フレキソ印刷機、グラビア印刷機、セリグラフ印刷機およびデジタル印刷機における1つのステーションまたはモジュールとして機能することができる。
【0040】
さらに、本教示に適した印刷システムは、コーティングステーションの上流に、受容層を形成するためまたは基材を処理して受容層を形成するためのステーションを超えるものを備えていてもよい。例えば、システムは、背景画像を付与するためのステーションを含むことができ、受容層は、その後、(インプレッションに続いて)すでに付与された背景上に前景画像を形成するために付与されるか、または活性化される。逆に、受容層は背景画像を形成することができるが、他方、前景画像は後から付与される。前景画像および背景画像は、印刷される画像の別個の部分を形成することができるが、重なり合ってもよい。特定の画像を印刷するために前景画像と背景画像の両方が所望される場合は、任意の印刷システムによって付与することができる。
【0041】
例えば、着色された周囲のフレキソ印刷のための第1のステーションで背景イメージを付与することができ、受容層は、背景画像と少なくとも部分的に重なり合うような仕方で、または分離された基材の非重複領域におけるような仕方で、第2のステーションで付与することができる。
【0042】
上述の印刷方法および印刷システムは、出版産業および包装産業を含む、商業用および装飾用印刷における幅広い用途を有することができ、例えば、装飾仕上げ(例えば、豪奢な包装)を行い、偽造防止対策(例えば、銀行券)を施すのに役立つことができる。
【0043】
本開示の一態様によれば、印刷構造体が提供され、この印刷構造体は、(a)受像面を有する印刷基材と、(b)前記受像面を少なくとも部分的に覆い、前記受像面に対して遠位側に設けられた粒子受容面を有する受容層と、(c)前記粒子受容面に付着して前記粒子受容面上で単層を形成する、複数の個子の粒子と、を備えている。
【0044】
本開示の別の態様によれば、金属化された印刷構造体が提供され、この印刷構造体は、(a)受像面を有する印刷基材と、(b)前記受像面を少なくとも部分的に覆い、前記受像面に対して遠位側に設けられた粒子受容面を有する受容層と、(c)前記粒子受容面に付着して前記粒子受容面上で単層を形成する、複数の金属粒子と、を備えている。
【0045】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、前記複数の粒子の数平均アスペクト比(ASPavg)が、
ASPavg=Lavg/Havg
により定義され、式中、Lavgは前記複数の粒子の数平均長さ寸法または数平均最大長さ寸法であり、Havgは前記複数の粒子の数平均固有厚さまたは数平均最大厚さであり、数平均アスペクト比(ASPavg)は少なくとも1.5:1である。
【0046】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、複数の粒子は最大800マイクロメートルの平均長さ寸法を有し、平均長さ寸法は複数の粒子の数平均固有長さ寸法または数平均最大長さ寸法である。
【0047】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、複数の粒子は、最大1200nmの最大平均厚さを有し、最大平均厚さは、複数の粒子の数平均厚さまたは数平均最大厚さである。
【0048】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、平均長さ寸法は、最大600マイクロメートル、最大400μm、最大250μm、最大150μm、最大100μm、最大80μm、最大60μm、最大40μm、最大25μm、最大20μm、最大15μm、最大12μm、最大10μm、最大8μm、最大6μm、最大4μm、最大3μm、最大2μm、最大1.5μm、最大1.2μm、最大1.0μm、最大0.8μm、最大0.7μm、最大0.65μm、または最大0.6μmである。
【0049】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、平均長さ寸法または数平均長さ寸法は、少なくとも0.04マイクロメートル、少なくとも0.05μm、少なくとも0.06μm、少なくとも0.08μm、少なくとも0.10μm、少なくとも0.12μm、少なくとも0.15μm、または少なくとも0.20μmである。
【0050】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、前記最大平均厚さまたは数平均最大厚さは、最大1000nm、最大800nm、最大600nm、最大500nm、最大400nm、最大350nm、最大300nm、最大250nm、最大200nm、最大175nm、最大150nm、最大125nm、または最大100nmである。
【0051】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、最大平均厚さまたは数平均最大厚さは、少なくとも5nm、少なくとも7nm、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも20nm、少なくとも25nm、少なくとも30nm、少なくとも40nm、または少なくとも50nmである。
【0052】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、平均または数平均アスペクト比(ASPavg)は、少なくとも1.5:1、少なくとも1.75:1、少なくとも2:1、少なくとも2.5:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、または少なくとも6:1である。
【0053】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、平均または数平均アスペクト比(ASPavg)は、少なくとも8:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1または少なくとも20:1、少なくとも25:1、または少なくとも30:1である。
【0054】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、複数の粒子の平均または数平均アスペクト比(ASPavg)は、最大100:1、最大75:1、最大60:1、最大50:1、または最大45:1である。
【0055】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、平均または数平均アスペクト比(ASPavg)は、最大40:1、最大35:1、最大30:1、最大25:1、最大20:1、最大15:1、最大12:1、最大10:1、または最大7:1である。
【0056】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、平均または数平均アスペクト比(ASPavg)が、1.5:1から50:1、1.5:1から30:1、1.5:1から20:1、1.5:1から15:1、1.5:1から10:1、1.5:1から8:1、または1.5:1から6:1の範囲内である。
【0057】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、平均または数平均アスペクト比(ASPavg)は、少なくとも2:1、少なくとも2.25:1、少なくとも2.5:1、少なくとも3:1、少なくとも3.5:1または少なくとも4:1である。
【0058】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、粒子は、疎水性表面を有している。
【0059】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、粒子は非疎水性を有していて、疎水性層が粒子の各々の表面に付着されていているとともに、少なくとも部分的に前記粒子の各々を包み込んでいる。
【0060】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、疎水性層は、任意選択的に酸化物を含む、無機疎水性層である。
【0061】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、疎水性層は有機疎水性層である。
【0062】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、有機疎水性層は、脂肪酸、油および油性物質からなる群のうちの少なくとも1つを含む、主として含む、または本質的に前記少なくともいずれか1つからなる。
【0063】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、脂肪酸、油および油性物質が、少なくとも6、任意選択的に6から50、6から30、6から24、または10から24の範囲内の炭素数をもつ主鎖を有する。
【0064】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、疎水性層は、最大15nm、最大10nm、最大7nm、最大5nm、最大4nm、最大3nm、最大2.5nm、または最大2nmの厚さを有する。
【0065】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、粒子の有機含有量は、重量でみて最大15%、最大12%、最大10%、最大8%、最大6%、または最大4%である。
【0066】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、単層には、高分子バインダーなどのバインダーが存在していないまたは実質的に存在していない。このことは、化学的方法および物理的方法を含む、当業者によって容易に理解される様々な方法によって検証または確認することができる。例えば、バインダーが実質的に存在していない単層は、AFM解析による上面図によって、可視的に区別しうる粒子を示すと考えられる一方、バインダーの存在下では、かかる形状は典型的にはマスクされると考えられ、これら粒子の境界は検出可能であるとしても不鮮明である。
【0067】
従来の印刷技術で使用されるような金属インクに見出されうるポリマーバインダーは、典型的には、水性担体中に配合されるインクに対して親水性である。かかる公知の金属インク組成物を使用して金属インク画像を付着させると、担体は除去され(例えば、蒸発され)、印刷された基材上には、隣接する粒子間を架橋するとともに、3次元方向全てにおいてランダムに形成されたこれら粒子の配置の上を覆う、バインダーの連続的なフィルムが残され、この連続的なフィルムは概ね粒子を拘束するとともに粒子をオーバーコーティングする。かかる伝統的な印刷構造体における、幾分連続的なフィルムまたはマトリックスを生じさせるこのようにして形成されたポリマーバインダーの実質的な連続体は、典型的に、周囲環境への粒子表面の直接暴露を防止または低減する。バインダーが金属粒子量と相関する量のインク中に存在しているので、また、従来の金属インクは典型的には比較的高い金属充填量(例えば少なくとも20重量%)を特徴とするので、ポリマーバインダーは一般にかかるインクの重要な部分を構成する。
【0068】
従来のインクのポリマーバインダーは、広範囲の化学ファミリーに属することができるが、一般的には、基材へのその固定(例えば、乾燥、硬化、アニーリングなどによる)のようなインク処理に要求される温度が基材の耐熱性と整合的となるように選択される。したがって、例えば、従来の硬化性金属インクのバインダーは、典型的には、150℃未満の温度、またはさらに120℃未満の温度で硬化を受ける。
【0069】
本発明の印刷方法に適した粒子組成物は、バインダー(例えば、ポリマーバインダー)を含む必要はない。したがって、かかる「バインダーレス」な粒子組成物を使用して本開示にしたがって得られる印刷構造体は、これに対応してかかるバインダーが存在しないか、または実質的に存在しない。印刷構造体におけるバインダーの存在は、顕微鏡技術(例えば、共焦点顕微鏡またはAFM)によって光学的に評価することができる。当業者には容易に理解されるように、バインダーを含む印刷構造体の上面図は明確な連続トポロジーを示すが、本教示に係る印刷構造体では、隣接する単層粒子間の間隙は、それが存在するのであれば認識可能である(かかる現象をマスクする可能性のある保護膜がない場合)。
【0070】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、単層は、最大20%、最大15%、最大10%、もしくは最大5%のバインダー、または最大3%もしくは最大2%の高分子バインダーなどのバインダーを含有している。単層内のバインダーの割合は、層は、かかる存在を評価するために当業者によって選択される方法論にしたがって重量あたりの重量または体積あたりの体積で提供することができる。
【0071】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、単層は、粒子受容面に付着しない複数の粒子を含み、この単層は、粒子の数でみて最大50%、最大40%、最大35%、最大30%、最大25%、最大20%、最大15%、最大10%、最大7%、最大5%、最大3%、または最大2%の粒子を含む。典型的には、これらの数値は視野技術を用いて得られる。
【0072】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、単層は、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の光学表面被覆率を有している。
【0073】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、単層は、20%から100%、40%から100%、50%から100%、60%から100%、80%から100%、または80%から95%の範囲内の光学表面被覆率を有している。
【0074】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、接着層は、受像面の一部分のみに設けられている。
【0075】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、接着層は、予め定められたパターンにしたがって、受像面の一部分のみに設けられている。
【0076】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、単層は、受像面のこの部分のみに設けられている。
【0077】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、印刷構造体は、単層を被覆し、任意選択的に封止する保護膜をさらに備えている。
【0078】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、前記保護膜は、色付きまたは無色の透明、半透明または不透明の層である。有利には、任意選択的な保護膜は、粒子の単層に満足的に付着しおよび/または前記単層の下側にある受容層と整合的である。粒子への保護膜の付着は、任意選択的に、表面に対するプラズマまたはコロナによる物理的処理によって強化することができる。受容層がインプレッション後処理を必要とするような実施形態においては、保護膜は、好ましくはかかる処理を可能にする。もし、例えば、特定の受容層が粒子の特定の受容層への転写に続いて仕上げUV硬化を必要とするならば、粒子の単層上に付与された保護膜は、かかる硬化を達成するのに必要な紫外線の透過を許容する必要がある。
【0079】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、ASPavgは、少なくとも5個の粒子を含む視野(好ましくは代表視野)において評価される。
【0080】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、この代表視野は、少なくとも10個、少なくとも15個または少なくとも20個の粒子を含む。
【0081】
ここに記載した好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、この代表視野は、5個から100個、10個から100個、10個から50個、15個から50個、または20個から50個の粒子を含む。
【0082】
以下、本開示の実施形態について、添付の図面を参照して例を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1図1は、本開示の印刷システムの一実施形態を概略的に示す図である。
図2図2は、代替的粒子付与装置を有する実施形態を示す図1と同様の図である。
図3A図3Aは、本開示に係るインプレッションステーションにまだ供給されていない、フレキソ印刷によって付与された受容層の代替的パターンを有する黒色背景の紙基材上の写真である。
図3B図3Bは、インプレッションステーションを出る白い紙の基材に付与された図3Aに示されたものと同じパターンの写真である。
図3C図3Cは、インプレッションステーションを出る透明プラスチック基材上に塗布された図3Aに示されたのと同じパターンの写真である。
図3D図3Dは、インプレッションステーションを出るときの、図3Aに示されるのと同じ基材の写真である。
図4A図4Aから図4Dは、それぞれ図3Aから図3Dの詳細を拡大して示す図である。
図4B図4Aから図4Dは、それぞれ図3Aから図3Dの詳細を拡大して示す図である。
図4C図4Aから図4Dは、それぞれ図3Aから図3Dの詳細を拡大して示す図である。
図4D図4Aから図4Dは、それぞれ図3Aから図3Dの詳細を拡大して示す図である。
図5A図5Aは、ホットホイルスタンピングによって製造された金属化された基材表面の、共焦点顕微鏡によって捕捉された画像である。
図5B図5Bは、オフセット印刷によって製造された金属化された基材表面の、共焦点顕微鏡によって捕捉された画像である。
図5C図5Cは、グラビア印刷によって製造された金属化された基材表面の、共焦点顕微鏡によって捕捉された画像である。
図5D図5Dは、フレキソ印刷によって製造された金属化された基材表面の、共焦点顕微鏡によって捕捉された画像である。
図5E図5Eは、本開示の印刷システムおよび方法を使用して製造された金属化された基材表面の、共焦点顕微鏡によって捕捉された画像である。
図5F図5Fは、本開示の印刷システムおよび方法において使用される粒子コーティングされたドナー表面の、共焦点顕微鏡によって捕捉された画像である。
図6A図6Aは、本開示の印刷システムおよび方法を使用して製造された金属化された基材表面の断面を示す、FIB-SEMによって捕捉された画像である。
図6B図6Bは、先行技術のオフセット技術を用いて製造された金属化された基材表面の断面を示す、FIB-SEMによって捕捉された画像である。
図6C図6Cは、本開示の印刷システムおよび方法を使用して製造された金属化された基材表面の断面を示す、FIB-SEMによって捕捉された画像である。
図6D図6Dは、従来技術のオフセット技術を用いて製造された金属化された基材表面の断面を示す、FIB-SEMによって捕捉された画像である。
図7A図7Aおよび7Bは、本開示に係る印刷システムおよび方法を用いて得られる印刷構造体の断面を概略的に示す図である。
図7B図7Aおよび7Bは、本開示に係る印刷システムおよび方法を用いて得られる印刷構造体の断面を概略的に示す図である。
図7C図7Cから図7Eは、公知の印刷方法を用いて得られる印刷構造体の断面を概略的に示す図である。
図7D図7Cから図7Eは、公知の印刷方法を用いて得られる印刷構造体の断面を概略的に示す図である。
図7E図7Cから図7Eは、公知の印刷方法を用いて得られる印刷構造体の断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
以下の説明は、図面と共に、非限定的な例によって、本開示の教示がどのように実施されうるかを当業者に対して明らかにするものである。図面は説明の便宜上のものであり、本開示の根本的な理解に必要な程度を越えて詳細に実施形態の構造的細部を示すようないかなる試みもなされていない。明瞭性および簡潔性のために、図面に示されたいくつかの対象は必ずしも同一縮尺で描かれていない。
【0085】
印刷システムの全体的説明
図1は、ドナー表面として機能する外面12を有するドラム10を示した図である。ドラムが矢印で示されるように時計回りに回転するのに応じて、ドラムは粒子コーティング装置14の下を通過し、この粒子コーティング装置14において、ドラムは微粒子の単層コーティングを獲得する。続いて、この表面はインプレッションステーション18を通過し、このインプレッションステーション18において、印刷基材20はドラム10と圧胴22との間で圧縮される。印刷基材20の表面の選択された領域24は、ドナー表面12と接触する前に、例えば以下に記載される方法のいずれかにより粘着性とされる。これが、微粒子の単層を基材の粘着性領域に付着させ、ドナー表面12から分離させる。かかる粒子が転写される印刷基材20の面は、受像面50と呼ばれてもよい。粘着性の区画に対応するドナー表面上の領域または受容層をもつ基材の選択された領域は、粒子の転写によって枯渇する。その後、ドナー表面12は、コーティング装置14に戻ってこのサイクルを完了することができ、コーティング装置14では、インプレッションステーション18において基材20の選択された領域24に先に付与された粒子が転写された暴露された領域にのみ、新鮮な単層粒子コーティングが付与される。
【0086】
図1の実施形態においては、基材20は、処理ステーションとしてイメージングシステム16を使用することにより照射に曝すことによって、選択された領域24において活性化されかつ粘着性とされる受容層(例えば、接着剤で構成されている)をその上に有するが、その詳細については後述する。一方、図2の実施形態においては、ドナー表面12に接触する前に、基材20は、ダイ30とローラ32との間の処理ステーション36を通過する。ダイ30は、塗布ローラ34から接着剤を拾い上げ、ダイパターンにしたがって受容層26(例えば、接着剤層)を基材上に配置するエンボスパターンを有する。印刷が基材20の表面全体を覆うものである場合、ダイ30はプレーンローラによって置換してもよい。ローラ30、32および34は、付加的なタイプの回転処理ステーション36を形成することができ、例えば、オフセット、輪転グラビア、フレキソ印刷または回転シルクスクリーン印刷によって受容層の塗布および/または活性化に役立ちうる。イメージングシステム16によって示されるような処理ステーションは、デジタル処理ステーションと呼ばれることがあり、回転システム36によって示されるような処理ステーションは、アナログ処理ステーションと呼ばれることがある。
【0087】
上記の例はまた、活性(粒子に対して十分な親和性を有していてすでに粘着性のある)または「活性化可能な(activatable)」受容層または接着剤を有する基材の調製のための2つの選択肢を示している。ある場合には、かかる調製はオフラインで行うことができ、印刷システムは、かかるオフラインで調製された基材をインプレッションステーションに送ることができる基材搬送システムのみを必要とし、ここでは、活性化は、受容層が付与された処理ステーションの下流において、または、インプレッションステーションにおいて行われる。別の場合には、基材への受容層の付加または基材の活性化は、印刷工程の他の工程とインラインで行うことができる。
【0088】
印刷基材上に接着剤または任意の他のタイプの受容層を選択的に付与または活性化するためのさらなる方法が適用可能であることは当業者に明らかであるから本明細書では詳細に説明する必要はなく、また、前述した2つの例は非限定的な実施例である。例えば、受容層は、シルクスクリーン印刷によって処理ステーションに適用することができ、任意選択的に、インプレッションステーションに先立つ下流の活性化ステーションでさらに活性化することができる。活性化は、例えば、粒子の接触前に受容層を硬化させることを含むことができる。いくつかの実施形態においては、硬化(またはさらなる硬化)は、転写後加工ステップ(例えば、基材上の硬化性受容層上への粒子の固定化を改善する)としても機能することができる。
【0089】
粒子コーティング装置
図1の実施形態における粒子コーティング装置14は、ドラム10の軸に沿って互いに整列された複数のスプレーヘッド1401を備えており、したがって図面の部分には1つのみが示されている。スプレーヘッドのスプレー1402は、ベルハウジング1403内に閉じ込められており、その下側リム1404は、ベルハウジング1403とドラム10との間の狭い隙間のみを残してドナー面に近似するように成形されている。スプレーヘッド1401は、共通供給レール1405に接続されており、この共通供給レール1405は、スプレーヘッド1401に対して、ドナー表面12をコーティングするのに使用される微粒子が懸濁/浮遊した加圧流体担体(気体または液体)を供給する。必要であれば、粒子は、特にスプレーヘッドへの供給の前に、規則的にまたは常時混合されてもよい。粒子は、例えば、毎分0.1~10リットルの流速範囲、または毎分0.3~3リットルの範囲内で、コーティング装置内で循環させることができる。ハウジング1403の内部空間によって形成されたプレナム1406内に閉じ込められたスプレーヘッド1401からの流体および余剰粒子は、矢印で示される適切な吸引源に接続された出口パイプ1407を介して抽出され、スプレーヘッド1401に再循環させることができる。
【0090】
ハウジング1403とドラム10のドナー表面12との間に本質的に存在しなければならない狭いギャップを通ってスプレー流体および粒子が漏出するのを防ぐために、ハウジング1403とドナー表面12との間に実効的なシールを実現することが重要である。かかるシールを実現する様々な方法が、図面に概略的に示されている。
【0091】
シールの最も単純な形態は、ワイパーブレード1408である。かかるシールはドナー表面と物理的に接触するため、ハウジング1403の出口側、すなわちスプレーヘッド1401の下流側で使用された場合、コーティングに刻み目をつける可能性がある。このため、このようなシールを使用する場合、シールはスプレーヘッド1401の上流および/またはハウジング1403の軸方向端部にのみ配置されることが好ましい。用語「上流」および「下流」は、ドナー表面12がコーティングステーションを通過する際のドナー表面12上の点を基準とする。
【0092】
図1はまた、ドナー面12に接触する部材を用いることなく、ハウジング1403とドラム10との間の密封隙間から、粒子が懸濁/浮遊した流体が流出することを防止する方法も示している。ハウジング1403の全周にわたって延びているギャラリー1409は、ギャラリー1409とシーリングギャップとの間の流体連通を確立するために、ハウジング1403のリム全体に延びる一連の微細通路1410によって接続されている。
【0093】
第1の実施形態においては、ギャラリー1409は、余剰抽出システムの吸引源に接続され、これは、アウトレット1407または別のアウトレットに接続されているのと同じ吸引源であってもよい。この場合、ギャラリー1409は、ハウジング1403を出る前に間隙を通過する流体を抽出する働きをする。また、低圧は、ドナー表面12と直接接触していない粒子をドラム10から吸引し、また、スプレーされる流体が液体である場合には、粒子コーティング装置14を出る前にコーティングを少なくとも部分的に乾燥させるために、余剰液体を吸い取る。
【0094】
余剰液体は、コーティング装置の出口側に配置された液体抽出ローラ(図示せず)を用いて代替的かつ追加的に除去することができる。表面がスポンジ状の液体吸収特性(例えば独立気泡発泡体)を有するかかるローラは、独立して、ドラム10の速度および方向とは異なる速度および/または方向で回転するように駆動することができる。液体抽出ローラは、ドナー表面12上にコーティングされた粒子と接触し、その液体吸収外面内に、必要であれば、基材20への粒子の選択的転写に先立ってドナー表面上に保持された粒子の層に影響を与えることがないように有利には十分に滑らかかつ平坦とされた液体吸収外面内にそれを引き込むことによって余分な液体を抽出することができる。抽出ローラが余剰液体の吸収に続いて回転し続けると、抽出ローラはローラを絞ってその吸収表面から抽出液体を放出するように配置されたワイパーまたは他の好適な手段に近づく。粒子コーティングされたドナー表面からそのようにして抽出されローラ該表面から排出された液体の即座の除去を許容するために、吸引入口がかかるスクラップ機に隣接して配置されることができる。このように除去された液体が排除された後、ローラはそのサイクルを完了し、ドナー表面に再び接触し、余分な液体をさらに抽出することができる。
【0095】
上述したように、印刷システムは、粒子コーティングが実質的に乾燥した形態で次のステーションに到達することを可能にするために、コーティング装置14の出口側に、またはさらに下流に乾燥機(例えば、高温または低温送風機)をさらに備えていてもよい。
【0096】
代替的な実施形態においては、ギャラリー1409は、プレナム1406内の圧力よりも高い圧力のガス源に接続される。スプレーヘッド1401を通るプレナムへの流体供給速度および出口を通じた抽出速度プレナム1406は、周囲大気圧よりも高い圧力または低い圧力のいずれかでありうる。
【0097】
プレナムが大気圧より低い圧力にある場合、ギャラリー1409は大気圧であれば十分であり、またはギャラリーを完全に省くことができる。この場合、密閉間隙内の圧力がプレナム1406内の圧力を超えるので、間隙を通るガス流は、流体の流出の危険なしにハウジングの内部に向かう。
【0098】
プレナムが大気圧より高い場合、ギャラリー1409は、加圧ガス供給源、好ましくは空気に接続されてもよい。この場合、空気は、通路1410を通って圧力下で密封ギャップ内に押し込まれ、2つの流れに分割される。1つの流れは、プレナム1406に向かって流れ、粒子が懸濁/浮遊している流体の流出を防止する。この流れはまた、ドナー表面と直接接触しない粒子を取り除きおよび/または同伴し、担体流体が液体である場合にはコーティングの乾燥を支援する。第2の流れは、懸濁/浮遊した粒子のない清浄な空気だけであるので、問題を生じることなくコーティング装置から退避することになる。第2のガス流はまた、コーティング装置14を出る前に、ドナー表面12上の粒子コーティングのさらなる乾燥を支援することができる。所望であれば、ガス流を加熱してかかる乾燥を促進することができる。
【0099】
代替的の実施形態においては、前述のギャラリー1409は、全ての側面でプレナム1406を密封するようにハウジングの全周にわたっては延在しない。ギャラリー1409は、(部分的な)ギャラリー、または、スプレーヘッドの下流または上流のいずれかに配置された1つ以上のエアーナイフ(ネガティブまたはポジティブフローを伴う)、および/またはドラムの軸に対して平行なおよび/またはスプレーヘッドの側方端部の中間アプリケータ、および/またはドラムの軸に対して垂直アプリケータの組み合わせであってもよい。出口側の「部分的な」ギャラリーは、いくつかの実施形態においては、粒子の乾燥を追加的または代替的に促進する気体送風機(例えば、冷たい空気または熱い空気)として機能し、この場合、通路1410は、十分な流量を提供するようにされていてもよい。
【0100】
図2に示す実施形態においては、ドナー表面12上に直接スプレーされる流体中で運ばれる代わりに、懸濁/浮遊した粒子が中間アプリケータ1420に付与
されている。アプリケータ1420は、ドラム10の軸に平行な軸をもつ、例えばスポンジ状ローラである。流体および懸濁/浮遊粒子は、図2に示されているような仕方でアプリケータ1420に噴霧されてもよく、または、アプリケータが多孔質であるか、もしくは中央軸から半径方向に伸びるゆるい布ストリップを有する自動洗車で利用される「ブラシ」と同様の仕方で構成されている場合には、流体はアクスルハブを介して導入され、アクスル(図示せず)の孔から退避させることができる。ローラまたはファブリックストリップの材料は、形成されたコートの完全性に影響を与えることなく、換言すれば粒子の層を傷つけることなく、表面上で粒子を塗りつけるように選択された「比較的軟らかい」ものでなければならない。アプリケータの表面またはその剛毛またはストライプは、(独立気泡ポリエチレン、独立気泡PVAまたは独立気泡シリコーンのような)独立気泡発泡体を適切に含むことができる。または比較的柔らかい連続気泡フォーム(ポリウレタンフォームなど)である、または綿、絹または超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)布のような織物である。
【0101】
ローラまたはブラシ1420がその軸周りに回転して、ドラム10のドナー面12と接触すると、粒子を付与する。アプリケータ1420の外面はドナー面と同じ線速度を有する必要はなく、例えば、最大で約10倍高くなる。それは、ドラム10と同じ方向に、または反対方向に回転することができる。アプリケータは、モータ(図示せず)によって独立して駆動されてもよく、または歯車、ベルト、摩擦などによってドラム10によって駆動されてもよい。
【0102】
粒子コーティング装置14は、ローラ1420によって示されるように、2つ以上のアプリケータ(例えば、2つまたは3つのアプリケータ)のように複数の粒子のアプリケータを備えてもよい。かかるアプリケータのそれぞれは追加的に、アプリケータ自体の粒子の供給を有していてもよい。かかるアプリケータは、場合によっては、ドナー表面上に粒子のある程度の艶出し仕上げまたは平坦化を提供してもよく、または必要に応じて、後述のローラ40のような別個の要素によって提供されてもよい。
【0103】
コーティング装置は、クリーニングローラ(図示せず)をさらに備えることができる。クリーニングローラは、粒子の供給を行わない点を除いて、アプリケータローラと構造が類似している。クリーニングローラは、例えば、液体を付与することができる。この液体は、アプリケータローラにおける粒子の流体担体に相当するもので、粒子を除いたものである。
【0104】
粒子
コーティング粒子の形状および組成は、実際には、基材20の表面に付与される作用の性質に依存する。ホイル印刷と同様の効果を達成しようとする印刷システムでは、粒子は、好都合には、金属または金属様の材料である。高品質の印刷については、付与された単層コーティングの粒子間の隙間を最小にするために、粒子はできるだけ微細であることが望ましい。粒子サイズは、所望の画像解像度に依存し、いくつかの用途では、10μm(マイクロメートル)またはおそらくさらに大きい(すなわち、より大きなサイズを有する)粒子サイズ(例えば、直径または最長寸法)が適切であることが判明しうる。不規則なプレートレットの最長寸法は、平均して100μmに達することさえある。しかし、画像品質を向上させるためには、粒子サイズが、マイクロメートルの小さい分数または分数、より好ましくは、数十または数百ナノメートルであることが好ましい。商業的に入手可能なフレークは、約60~900nmの厚さと、約1~5μmの代表平面寸法(例えば、ほぼ円形のフレークについては平均直径、または、より規則的でない平面投影をもつプレートレットについては平均「相当直径(equivalent diameter)」、これはまた最短/最長寸法によって特徴づけられる)とを有することがあるが、フレークは、15nm、20nm、25nm、30nm、40nm、または50nmというわずかな厚さおよび100~1000nmまたは500~800nm近辺の平均または相当直径を有するように調製することもできる。金属様の粒子を使用する場合、実用的なサイズ範囲の大部分にわたって、粒子サイズが小さいほど、達成可能な輝きの程度がより大きく、かかる粒子が実質的に同一の配向を有している場合(例えば、フレーク様粒子が、大部分が互いに整列して、比較的平坦な表面を形成して鏡面光反射を形成する場合)にはより近いものほど鏡面状の仕上がりに近づけることができると考えられている。しかしながら、粒子の化学的および/または物理的性質に典型的に依存する特定の閾値以下では粒子が望ましくないエッジ効果を示すことがあり意図された印刷にとって好適でなくなる可能性があるため、粒子のサイズはあまり小さくする必要はない。したがって、意図された視覚効果、ならびに他の印刷パラメータ(例えば、基材および/または受容層の粗さ)または印刷システムの動作パラメータ(例えば、印圧または艶出し剪断および同様の要因)に依存しうる理想的なサイズ決定は、印刷技術の当業者によって日常的な実験によって経験的に行うことができる。
【0105】
マットまたは光沢のある外観、および印刷基材に一旦転写された中間外観を達成するために、金属および金属調の材料の粒子を使用することができる。かかる外観は、ある程度まで、追加のステップ(例えば、艶出し、ニス塗装等)によって後から変更させてもよい。
【0106】
比較的規則的であっても不規則であってもよいその形状に依存して、粒子は、それらの長さ、幅、厚さ、平均または相当直径、またはそれらのX、YおよびZ次元の代表的測定によって特徴づけられうる。一般に、粒子の寸法は、それらの形状の平面投影(例えば、垂直および/または水平投影)上で評価される。典型的には、かかるサイズは、粒子の集団の平均として提供され、顕微鏡法および動的光散乱法(DLS)のような技術分野において公知の任意の技術によって判定することができる。DLS技術では、粒子は同等の挙動の球に近似され、サイズは流体力学的直径の点で提供されうる。DLSはまた、集団のサイズ分布を評価することを可能にする。本明細書で用いるように、例えば10μm以下のサイズを有する粒子は、形状に依存して、少なくとも1つの寸法が10μmより小さく、おそらく2つまたは3つの寸法を有する。D50(集団の50%まで)が意図されたサイズにほぼ等しい場合、粒子は平均して任意の所望のサイズの好みを満たすといわれている。一方、D90がほぼ意図されたサイズである粒子の集団は、大部分の粒子(集団の90%まで)がこれを満たすことを意味する。
【0107】
本質的ではないが、粒子は、好ましくは均質な形状であってもよく、および/または集団の中央値に対して対称的な分布内であってもよく、および/または比較的狭いサイズ分布内であってもよい。
【0108】
以下の2つの条件のうちの少なくとも1つが当てはまる場合、粒子サイズ分布は比較的狭いといわれる。
(A)粒子の90%の流体力学的直径と粒子の10%の流体力学的直径との間の差が150nm以下、または100nm以下、またはさらに50nm以下であり、数学的には、(D90-D10)≦150nmなどで表すことができる。および/または、
(B)(a)粒子の90%の流体力学的直径と粒子の10%の流体力学的直径との間の差および(b)粒子の50%の流体力学的直径が2.0以下、または1.5以下、または1.0以下であり、数学的に(D90-D10)/D50≦2.0などで表すことができる。
【0109】
粒子は、任意の適切なアスペクト比、すなわち、粒子の最小寸法と、当該最小寸法に直交する最大平面における相当直径との間の無次元の比を有することができる。相当直径は、例えば、その最大直交面の最長寸法と最短寸法との間の算術平均でありうる。かかる寸法は、一般に、かかる粒子の供給者によって提供され、特に、走査型電子顕微鏡SEM(好ましくは平面寸法について)によって、および、集束イオンビームFIB(好ましくは、厚さおよび長さ(長)寸法について)によって、などを含む顕微鏡検査法のような公知の方法によって、多数の代表的な粒子について評価することができる。ほぼ球形の形状をもつ粒子は、約1:1のアスペクト比によって特徴づけられるが、フレーク状粒子は、100:1以上のアスペクト比(すなわち、粒子の平面投影の最長の長さの平均値または場合によってそれらの平均または相当直径の平均値と、粒子の平均厚さとの間の比)を有しうる。限定するものではないが、本教示に係る粒子は、約100:1以下、約75:1以下、約50:1以下、約25:1以下、約10:1以下、またはさらには約2:1以下のアスペクト比(または平均アスペクト比)を有しうる。いくつかの実施形態においては、本教示に係る粒子は、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも25:1、少なくとも40:1、または少なくとも70:1のアスペクト比(または平均アスペクト比)を有していてもよい。いくつかの実施形態においては、本教示による粒子は、2:1から500:1、4:1から500:1、8:1から500:1、10:1から500:1、10:1から100:1、20:1から500:1、20:1から300:1、20:1から250:1、20:1から200:1、または、20:1から100:1の範囲内のアスペクト比(または平均アスペクト比)を有していてもよい。少なくとも10:1のアスペクト比(または平均アスペクト比)を有する粒子は、一般にプレートレットとみなされ、数でみてかかる粒子の少なくとも50%を含む粒子の集団は、主に(mainly)プレートレットを含むといわれ、数でみてかかる粒子の少なくとも70%を含む粒子の集団は、支配的に(predominantly)プレートレットを含むといわれる。
【0110】
これらの実施形態においては、粒子群の(全体的または平均的な)アスペクト比は、体積平均化、表面積平均化、または数平均化されてもよい。
【0111】
いくつかの実施形態においては、代表的な粒子のアスペクト比は、本明細書でさらに詳細に説明するように、SEM技術および/またはSEM-FIB技術によって推定することができる。母集団のアスペクト比を正確に特徴づけることができる代表的な粒子または代表的な粒子群を選択する間に、母集団内の粒子のアスペクト比をより正確に特徴づけることができる統計学的手法がより多く得られることが理解されよう。したがって、本開示のいくつかの実施形態においては、粒子のアスペクト比は、画像取込装置の代表的な視界(例えば、SEM)を全体として分析することによって決定されてもよい。典型的には、倍率は、単一の視野内に少なくとも5個の粒子、少なくとも10個の粒子、少なくとも20個の粒子、または少なくとも50個の粒子が配置されるように調整される。上記のように、粒子群の(全体的または平均的な)アスペクト比は、体積平均化、表面積平均化、または数平均化することができる。
【0112】
以下の明細書の部分および特許請求の範囲の部分において使用される用語「アスペクト比」または「特定のアスペクト比」は、粒子の最小寸法と、最小寸法に対して直交する最大平面における相当寸法との間の比をいう。
【0113】
以下の明細書の部分および特許請求の範囲の部分において使用される用語「相当直径」は、その最大直交面の最長寸法と最短寸法との間の算術平均をいう。
【0114】
以下の明細書の部分および特許請求の範囲の部分において使用される用語「平均アスペクト比」または「全体アスペクト比」は、それぞれが特定のアスペクト比を有する複数の粒子のアスペクト比をさす。
【0115】
特に、独立請求項1において使用されるように、複数の粒子の数平均アスペクト比(ASPavg)は、
ASPavg=Lavg/Havg
によって定義され、式中、Lavgは複数の粒子の数平均化された長さ寸法であり、Havgは複数の粒子の数平均化された最大厚さである。
【0116】
以下の明細書の部分および特許請求の範囲の部分において使用されるように、「数平均化」値は平均値であり、各粒子の値には粒子の大きさにかかわらず同一の重みづけが割り当てられる。
【0117】
以下の明細書の部分および特許請求の範囲の部分において使用される用語「最大厚さ」は、少なくとも「数平均最大厚さ」の文脈においては、粒子の幅狭方向における最大厚さをさし、SEM-FIBなどの撮像装置の視野内で観察される。
【0118】
以下の明細書の部分および特許請求の範囲の部分において使用される用語「長寸法」は、少なくとも「数平均化された長い寸法」の文脈においては、SEM-FIBのような撮像装置の視野内で見た場合の粒子の最大長寸法であって、最大長寸法は、その粒子の最大厚さの線に直交する。
【0119】
付与される視覚効果への影響に加えて、粒子は、少なくとも視覚的効果が望まれる時間にわたって、または保護膜が付与されるまで、ドナー表面との、続いて所望の基材領域(例えば、受容層)との十分な接触領域を提供するのに適した形状および/または寸法を有していてもよい。
【0120】
それらの組成および/またはそれらが受けるプロセス(例えば粉砕、リサイクル、艶出しなど)に依存して、粒子は親水性の相違がある場合には異なる程度で疎水性でありうる。粒子の疎水性と親水性との間のバランスが時間と共にシフトするので、粒子の疎水性が優勢である場合、このプロセスは効率的であると予想される。さらに、粒子は、本質的に親水性の材料から作製されてもよく、その場合、粒子コーティングの付与によって疎水性にされうる。かかる粒子コーティングに適した材料は、粒子に対する親和性を有する親水性端部(例えば、金属酸化物に対するカルボン酸官能基の親和性)および疎水性の尾部を有することができる。本開示では、かかる粒子は、本質的に疎水性であるか、または疎水性または疎水性になるようにコーティングされていても、実質的に疎水性であるといわれる。
【0121】
一実施形態においては、粒子はアルミニウムであり、粒子を疎水性にし、互いの粘着能力を低下させ、それらの酸化を減少させるカルボン酸でコーティングする。かかる粒子のステアリン酸でコーティングされた場合の疎水性は、ドナー表面についてより詳細に記載された方法にしたがって、脱イオン水の液滴によって形成される接触角を測定することによって評価された。かかるコーティングされた粒子は130.1±6°の濡れ角を示した。しかしながら、90°を超える任意の濡れ角を有する粒子が好適でありうる。
【0122】
粒子の疎水性は、粒子の化学組成に固有の既知の特性でありうる。必要に応じて、疎水性または親水性の程度は、粒子またはコーティングが可能な場合にはそのコーティングのバルク材料の、かなりの表面上の基準液体(典型的には脱イオン水)の液滴の接触角の測定によって評価することができる。当業者は、標準的な技術にしたがって、親水性または疎水性の程度を特徴づけるために接触角を使用しうることを容易に理解するであろう。90°を超える接触角は疎水性表面を示すことができ、この値より低い接触角は親水性表面を示すことができる。さらに、所定量の粒子を脱イオン水に導入することによって、粒子のスケールで疎水性を評価することができる。疎水性粒子は、リーフィング挙動を示し、空気界面に向かって移動するが、親水性粒子は非リーフィングパターンを示し、水担体中でかなりランダムな分布を維持することができる。かかる相分離またはその欠如は、非水混和性油相の添加によって促進されうるもので、この場合、疎水性粒子は油相に向かって移動し、親水性粒子は水性相に残る傾向がある。初期水試料および最終分離相における粒子の濃度の決定は、相分離を典型的には所与の試料に対して3回実施し、粒子の疎水性または親水性挙動を評価することを可能にする。試験する粒子の量当たりローズベンガル染料の既知の割合を使用する表面吸着アッセイのような追加の方法を使用することができる。染料は、表面積の関数として粒子の疎水性表面に吸着する。水性相に残っている非結合染料は、分光光度法によって測定することができ、粒子の疎水性に見合った結合量の推定値を提供する。相対的な疎水性は、吸収された量と非結合量との間の色素の分配比を計算することによって決定することができる。同様に、ナイルブルー染料を使用して、粒子表面の親水性を測定することができる。さらなる方法が知られており、適切でありうる。本明細書で使用される場合、用語「疎水性」などは、上記の特徴づけ方法の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つまたは3つ)にしたがって疎水性を示す粒子および材料に使用される。
【0123】
粒子は、それらがドナー表面上または中間アプリケータ上に噴霧されるとき、気体または液体の流体のいずれかによって担持されうる。粒子を液体中に懸濁させる場合、コストを低減し環境汚染を最小限にするために、液体は水性であることが望ましい。かかる場合、粒子を形成または粒子をコーティングするために使用される材料は疎水性であることが望ましい。疎水性粒子は、水性担体からより容易に分離し、ドナー表面に付着してコートするそれらの傾向を促進する。コーティング装置のドナー表面へのかかる粒子の優先的な親和性は、それらの担体に向かってではなく互いに向かって、特に有利であると考えられる。粒子コーティング(好ましくは、疎水性表面上の疎水性粒子によって形成することができることが好ましい)上のガス流を吹き込むことは、ドナー表面と直接接触しない粒子を除去および/または運び去るのに役立ち、また、ドナー表面上に存在するコーティングを少なくとも部分的に乾燥させるのに役立つ。
【0124】
基材20にホイルイメージングと同様の効果を加える場合、粒子は、言及したとおり、金属またはより一般的には金属様のものであってもよく、コーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。かかる粒子が生成される(一般に粉砕によって)仕方が理由で、粒子は平板状となる傾向があり、必須ではないが、粒子が光反射面を有し、平面寸法が基材の表面と実質的に整列している。かかる粒子は艶出し加工に役立つものであり、噴霧中に高圧を使用するか、または図2に示す任意選択的ローラ40およびカウンタローラ42のような艶出し仕上げローラのいずれかによって運ばれてもよい。
【0125】
粒子層が基材に転写された後に粒子層を艶出し仕上げすることに加えて、またはこれに代えて、粒子層がドナー表面12上にまだ存在する間に粒子層を艶出し加工することが可能である。したがって、艶出しローラまたは他のワイピング要素がコーティング装置14のすぐ下流に、またはコーティング装置14の一部として配置される。
【0126】
艶出しは、乾燥ローラまたは湿潤ローラ(例えば、粒子が懸濁/浮遊している流体、例えば水で含浸および/または洗浄されたもの)を用いて行うことができる。中間アプリケータが使用される場合には、粒子を表面に付与することに加えて、少なくとも部分的に粒子を艶出し加工するということも排除できない。艶出しの間に、粒子のサイズは、コーティング装置への最初の注入時のそれらの元のサイズと比較して減少し、代替的におよび追加的に、艶出しされた粒子はドナー表面に対して実質的に平行な態様で配向されると考えられる。
【0127】
任意選択的艶出し仕上げローラの外面は、ドラムのドナー面および/または存在する場合には中間アプリケータの外面とは異なる線速度で回転することができる。このローラの外面は、ドラムに対して同一方向または反対方向に回転することができる。
【0128】
粒子担体
粒子担体、すなわち粒子が懸濁/浮遊される流体は、液体であっても気体であってもよい。液体の場合、担体は好ましくは水をベースとし、気体の場合は、担体は好ましくは空気である。担体は水性液体であるが、粒子は担体に対して疎液性(すなわち親和性がまったくない)であってもよく、例えば疎水性であってもよい。その結果、粒子は液体中に部分的に分散され、部分的に相分離される(同種または異なる相の材料のかかる混合物の全てのタイプは、本明細書中、用語「懸濁した/浮遊した(suspended)」によって包含される)。粒子に加えて、担体は、分散剤、界面活性剤、水混和性溶媒、共溶媒、安定剤、保存剤、粘度調整剤、pH調整剤などのような、粒子製剤の分野で公知の任意の添加剤を含むことができる。かかる添加剤およびそれらの典型的な濃度は、全て、分散の技術分野の当業者に知られており、本明細書でさらに詳細に説明する必要はない。粒子およびドナー表面の疎水性に影響を与えない添加剤(またはその混合物)が好ましい。かかる薬剤、特に分散剤は、液体中の懸濁粒子の安定性を維持するか、または増加させるのを助長することができる(必要ならば、相分離した形態を含む)。液体担体はまた、必要に応じて適用可能な場合には、粒子被覆として作用する余剰非結合材料を含有することができる。かかる添加剤およびそれらの混合物は、好ましくは、ドナー表面に向かう液体担体の全体的な不活性に影響しない(例えば、粒子の適切な被覆/付着による表面の有害な膨潤を回避または低減する)。
【0129】
液体担体は、少なくとも80重量%の水(すなわち、全組成物の80重量%)、または少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%、さらには少なくとも95重量%を含有する場合、水性であるといわれる。前述のように、最終加工用の水性組成物は主に水を含有することができるが、より多量の固体粒子(および存在する場合には添加剤)およびより少量の水を含有する中間水性組成物を調製することが可能であることが理解されるべきである。かかる中間組成物は、必要に応じて所望の作業濃度に希釈することができるが、より少量で貯蔵および/または出荷することができる濃縮物として機能しうる。濃縮物は、例えば、約80重量%の固形分および約20重量%の水混和性共溶媒を含むことができ、水は濃縮物の希釈中に添加される。
【0130】
ドナー表面
いくつかの実施形態において、ドナー表面12は、典型的にはシリコーン系材料から一般に調製されて、本明細書に開示された特性を有するように調整されたエラストマーで作成された疎水性表面である。シリコーンベースのポリ(ジメチルシロキサン)ポリマーが好適であることが見出されている。一実施形態においては、3つのシリコーン系ポリマー、すなわち全組成物重量(重量%)のうち約44.8重量%の量のビニル末端ポリジメチルシロキサン5000cSt(DMS V35、Gelest社、CAS No.68083-19-2)、末端ビニル基およびペンダントビニル基の両方を含む約19.2重量%の量のビニル官能性ポリジメチルシロキサン(Polymer XP RV5000、Evonik Hanse社、CAS No.68083-18-1)、および、約25.6重量%の分枝構造ビニル官能性ポリジメチルシロキサン(VQM Resin-146、Gelest社、CAS No.68584-83-8)を混合することによって流体硬化性組成物を調製した。ビニル官能性ポリジメチルシロキサンの混合物に対して、白金触媒、例えば約0.1重量%の量の白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(SIP6831.2、Gelest社、CAS No.68478-92-2)、より良好に効果条件を制御するための抑制剤、例えば、約2.6重量%の量のEvonik Hanse社のInhibitor 600、および、最後に、約7.7重量%の量のメチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー(HMS301、Gelest社、CAS No.68037-59-2)のような、付加硬化を開始させる反応性架橋剤が添加された。この添加硬化性組成物を、直後に、ドナー表面の支持体上に滑らかなレベリングナイフ(例えば、ドラム10に取り付け可能なエポキシスリーブ)により短時間適用した。かかる支持体を、ドナー表面材料の支持体への接着性を強化するため任意選択的に処理した(例えば、コロナまたはプライミング物質で)。塗布された流体を、ドナー表面を形成するために換気オーブン中で100から120℃で2時間硬化した。
【0131】
疎水性は、受容層を担持する基材上に形成された粘着性フィルムによる選択的剥離に曝された粒子が、分裂することなく基材にきれいに転写されることを可能にするものである。
【0132】
ドナー表面は疎水性であるべきである、すなわち、粒子の水性担体との濡れ角が90°を超えるべきである。濡れ角は、液体/空気/固体界面でのメニスカスによって形成される角度であり、90°を超えると、水はビードを発生しやすくなり、濡れず、したがって表面に付着する。濡れ角または平衡接触角θ0は、後退(最小)接触角θおよび前進(最大)接触角θの間でありかつ濡れ角は、後退(最小)接触角θおよび前進(最大)接触角θから計算されるところ、プロセスの運転条件と関連する所与の温度および圧力で評価することができる。これは、周囲温度(約23℃)および圧力(約100kPa)において、液体-蒸気界面が固体ポリマー表面と交わる5μlの体積を有する液滴を介して、ゴニオメーターまたは液滴形状分析器を用いて測定される。接触角測定は、例えば、接触角アナライザー(Kruss社「Easy Drop」(商標)FM40Mk2)を用いて、基準液体として蒸留水を用いて行うことができる。
【0133】
かかる測定は、上記のように調製されたドナー表面の試料(2cm×2cmの大きさ)に対して行われた。結果は、「ドロップ形状解析」プログラム、サークルコンピュータ法を用いて分析したところ、上記ドナー表面の前進接触角θは101.7°±0.8°であり、後退接触角θは99.9°±3.1°であった。典型的には、この方法によって調製されたドナー表面は、約95°から約115°の範囲、概ね110°を超えない接触角を有していた。
【0134】
この疎水性は、ドナー表面を形成するポリマーに固有の特性であってもよく、または疎水性添加剤をポリマー組成物中に含有させることによって増強されてもよい。ポリマー組成物の疎水性を促進しうる添加剤は、例えば、油(例えば、合成油、天然油、植物油または鉱油)、ワックス、可塑剤およびシリコーン添加剤でありうる。かかる疎水性添加剤は、それらのそれぞれの化学的性質または量がドナー表面の適切な形成を妨げない限り、そして例えばポリマー材料の十分な硬化を損なわない限り、任意のポリマー材料と適合しうる。
【0135】
ドナー表面の粗さまたは仕上げは、印刷された金属化表面上に複製される。したがって、鏡面仕上げまたは非常に光沢のある外観が必要な場合、マットまたはサテンの外観が望まれる場合よりも、ドナー表面がより滑らかでなければならない。これらの視覚効果は、印刷基材および/または受容層の粗さからも導くことができる。
【0136】
ドナー表面は、粒子が互いに付着する傾向よりも強く、コーティング装置14を用いて粒子を強く付着させるのに適したショアー硬度を有していてもよい。シリコーンベースの表面の硬度は変化してもよく、例えばドナー表面の厚さおよび/または結合対象たる粒子の厚さに依存する。比較的薄いドナー表面(例えば、100μm以下)の場合、シリコーン系材料は、中ないし低硬度を有することができ、他方、比較的厚いドナー表面(例えば、約1mmまで)の場合、シリコーン系材料は比較的高い硬度を有することができると考えられている。さらに、より大きな粒子は、比較的小さな粒子を受容するのに必要な硬度よりも低い硬度を有するドナー表面から典型的に利益を得ることができる。いくつかの実施形態においては、約60ショアーAから約80ショアーAの間の比較的高い硬度がドナー表面に適している。他の実施形態においては、60,50,40,30または20ショアーA未満の中低硬度が満足的である。
【0137】
図中のドナー面12は、ドラム10の外面であるが、これは必須ではなく、任意選択的に、ガイドローラ上に案内されかつ適切な張力で維持されて少なくともコーティング装置を通過するベルトの形態を有する無端転写部材の表面であってもよい。
【0138】
ドナー表面は、印刷システムの特定のアーキテクチャから生じる実用的または特別な考慮事項に追加的に対応することができる。例えば、ドラム上に装着され、十分な耐摩耗性を有し、使用される粒子および/または流体に対して不活性であり、および/または関連する任意の動作条件(例えば、圧力、張力など)でありうる。かかる特性を満たすことは、ドナー表面の寿命を有利に増加させる傾向がある。
【0139】
処理ステーション
上述したように、受容層(例えば、接着剤または活性化可能な接着剤)パターンを印刷基材に適用する多くの方法が知られており、特に、図2に概略的に示されている可能な代替的アナログ処理ステーション36に関連して説明した従来の非デジタル印刷システムにおいて知られている。図1に概略的に示されているイメージングシステム16は、ドナー表面12に塗布された粒子コーティングがインプレッションステーションで基材20に転写される基材上の領域を選択する1つの方法を提供する。かかるイメージングシステムは、デジタル印刷システムのためのデジタル処理ステーションの実施において必要とされる。
【0140】
例示的なイメージングシステム16は、正確に予め決められかつ互い違いにされた複数の位置における行の対(複数の対)として任意選択的に配置されるVCSEL(垂直空洞表面発光レーザー)チップ1602のようなレーザー源のアレイを担持する支持体1601を含むことができる。支持体1601は、チップによって生成されうる顕著な熱に対処するために流体冷却されてもよい。チップ1602によって放射されたレーザービームは、GRIN(グラディエントインデックス)ロッドレンズの対応する対(各チップ1602およびその上の全てのレーザー素子、対応する集束レンズ1603に関連する)として構成されたレンズ1603によって集束される。1つ以上のレーザー素子の作動のためにチップに供給される信号は、移送システム(図1に図示せず)によって図示された矢印の方向にインプレッションステーション18に向かう基材20の移動と同期される。
レーザービームによる各ピクセルの照射の効果は、そのピクセルの基材20上の不活性受容層を粘着性状態に変換(受容性フィルムを活性化)して、前記ピクセルがドナー表面12を被覆する粒子に後で付着するようにすることである。換言すれば、受容層のかかる照射媒介活性化は、粒子がドナー表面と有する親和性よりも粒子に対する親和性のより高い選択された領域24を基材上にもたらし、活性化領域はドナー表面12から粒子を選択的に分離することができる同じ選択されたパターンにしたがってそれらを基材上に保持する。
【0141】
カラー印刷に使用する場合、図1および図2に示すシステムは1つの色でしか印刷できないが、複数のタワーで同じ基材を連続して通過させ、互いに同期し、それぞれ異なる色を印刷させることによって、多色印刷を実現することができる。代替的には、さらに、十分に明るい色調を有する粒子の上に有色透明保護膜(または部分的な前景画像)を付与することによって、異なる色を得ることができる。例えば、「金」の外観は、「銀」のアルミニウム粒子を覆って黄橙色の色合いを重ねて印刷することによって実現することができる。
【0142】
基材
図面に示した印刷システムは、粒子が裸の基材(すなわち、適切な受容層がない領域)よりもドナー表面に対してより高い親和性を有する限り、特定の種類の基材に限定されない。基材は、紙またはカードの個々のシートであってもよく、または連続ウェブの形態を有してもよい。基材は、ファブリックまたは革製とすることもできる。粒子が基材に付与される方法のために、粒子は基材の表面上に存在する傾向がある。これにより、無関係な品質の用紙に高品質の印刷を実現することができる。さらに、基材の材料は、繊維状である必要はなく、任意のタイプの表面、例えばプラスチックフィルムまたは剛性ボードであってもよい。
【0143】
先に説明したように、基材は所望の外観に適合する任意の所望の粗さを有することもできるが、かかる意図された効果は受容層のレベルで調節することもできる。
【0144】
いくつかの印刷基材は、コーティングされた形態またはコーティングされていない形態で供給されうるか、またはそれらの意図された使用を容易にするために他の方法で前処理されうることが想起されるべきである。例えば、基材は、受容層の後の基材への接着性を高めうるプライミング材料でコーティングされてもよく、または基材に施されうる任意の他の同様のステップを可能にしてもよい。本明細書において、用語「基材」は、印刷される画像または印刷された画像に対する物理的支持体としての形態、材料およびコーティング(単数または複数)に関係なく、最も広い意味で理解されるべきであり、その上に転写されるべき粒子を担持する。
【0145】
インプレッションステーション
図示されたインプレッションステーション18は、ドラム10およびその外部ドナー面12に押しつけられる滑らかな圧胴22のみを備える。圧胴22は、基材搬送システムの一部を形成してもよく、その場合、圧胴22は、個々の基材シートの前縁と係合するためのグリッパーを備えていてもよい。代替的には、圧胴は、粒子が転写されている印刷基材をさらにエンボス加工するための形状を有していてもよい。さらに、インプレッションステーションは、基材の反対側に粒子を転写するように配置された第2のドナー表面を有していてもよく、両面印刷を可能にすることができる。
【0146】
印刷生成物の例
図3Aから図3Dは、本教示にしたがって使用されて得られる印刷基材の写真を示す。これらの基材は、図2に概略的に示すような印刷システムを用いつつ、以下のように変更を行ったうえで印刷した。
【0147】
手短にいえば、印刷基材として合成紙(二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)White Matt P25 Synthetic54 Glassine Liner 60gsm, Nirotech Adhesives & Coating Technologies, Israel)またはポリプロピレンプラスチック箔を使用し、その上にラッカー(Wessco(R) 3501 UV-varnish of Schmid Rhyner AG, Switzerland)を30m/分の線速度でフレキソ印刷して形成し、十分な硬化をして、受容層(26)を形成した。得られた層の厚さをレーザー共焦点顕微鏡法(Olympus社、LEXT)によって判定したところ、約3.6~4.2μmであった。実質的に単層を形成するようにドナー表面上に供給される被覆ステーションに供給された粒子は、アルミニウムフレーク(中国泉州マンホン金属粉末社により供給されるアルミニウム粉末6150、CAS番号7429-90-5)であり、約4μmの平均直径および約70nmの平均厚さを有する粗い小板形状を有する。粒子は、約3重量%の重量濃度で水中に供給され、中間アプリケータ1420として働く回転円筒形スポンジに噴霧された。ドナー表面12は、ビニル官能化ポリジメチルシロキサン(PDMS)硬化性配合物およびその調製は上記に詳述した。インラインで塗布された受容層のパターンを含む印刷基材は、周囲温度、30m/分の線速度で本発明の印刷システムに供給され、インプレッションステーションのニップで加えられた力は約12kg-f/cmであった。
【0148】
図3Aは、インプレッションステーションへの供給前の基材の写真を示し、より暗いパターンは、上述したフレキソ印刷によって付与された受容層に対応する。受容層の視認性を向上させるために、BOPP白色合成紙基材を受容層パターンの付与前に黒色背景画像でプレプリントした。図3Bは、インプレッションステーションから出た後の白色BOPP紙基材の写真を示し、より暗いパターンは、ドナー表面上に被覆されたアルミニウム粒子との接触によってドナー表面から転写された粒子に対応する。図3Cおよび図3Dは、対照的金属化パターンを有する同様のインプレッション後の写真を示し、図3Cで使用された基材は(画像のために白い背景に置かれた)透明プラスチックホイルであり、図3Dで使用された基材は、図3Aの黒色の紙である。
【0149】
図4Aから図4Dは、それぞれ、図3Aから図3Dの断面の拡大図である。理解されるように、基材上にパターン化された受容層は、インプレッションステーションの下流で対応する金属印刷画像を提供するように、インプレッションステーションにおいてアルミニウム粒子をドナー表面から適切に分離した。かかる画像は、いかなる方法でも(例えば、艶出しなし、ワニス塗装なしなど)さらに処理されなかった。転写がドナー表面12上の対応する領域を露出させ(図示せず)、この領域にはコーティングステーションでの次のサイクルの完了時に新しい粒子が補充されることにさらに留意されたい。
【0150】
追加の例が、図2に概略的に示されているような印刷システム内の代替的処理ステーションを用いつつ、以下のような変更を加えて印刷された。手短にいえば、印刷基材として写真用紙 (HP, USA) を使用し、その上にラッカー(UV Screen Tactile Varnish, Cat. No. UVD0-1200-408N, Flint Group, Germany)を塗布して所望の画像パターン(文章および図解を含む)を形成した。ラッカーは、回転シルクスクリーン印刷により20m/分の線速度で付与し、スクリーンの表面は36%、メッシュサイズは165μmであった。基材上に形成された層は、硬化ステーションに搬送される間に(例えば、約10秒以下で)自己平坦化した。ラッカー被覆されかつパターン化された基材は、裸の基材を供給する巻き出しローラ、受容層の所望のパターンを含む基材を収集する巻取りローラ、および、ウェブ基材がその供給側からその供給側へ搬送する経路を設定する中間ローラおよび支持フレームを含む基材輸送システムによって運び出した。硬化ステーションは、処理ステーションの下流(ここでラッカーを付与した)および送給用巻取りローラの上流に配置され、UV硬化性ラッカーを部分的に硬化させるためにUVランプを含むものとした。受容層は、付与される受容層に有害ではない態様で基材の巻取りを可能にするために、接触するのに十分に乾燥するように硬化させることが好ましい。さらに、受容層は、典型的には、(インプレッションステーション18で粒子に接触するとき)印刷中に粒子に対して十分な親和性を有するように、十分に未硬化のままである必要がある。本例では部分的硬化によりひとたび十分に乾燥されると、受容層は、後続の粒子の付与のための所望のパターンを形成した。このようにして形成された受容層は、レーザー共焦点顕微鏡法(Olympus社、LEXT)によって判定されたところ、基材の表面より約52μmから65μmの厚さを有していた。
【0151】
基材の上記調製はオフラインで行われ、基材は、先に記載されたものと同様の標準的な基材輸送システムを使用して、本教示に係る印刷システムのインプレッションステーションに供給された。受容層の視認性を向上させるために、紙基材に受容層パターンを付与する前に黒色背景画像を予め印刷した。
【0152】
選択的パターンの粒子への親和性は粒子のドナー表面に対する親和性よりも高いところ、印字中に粒子によって被覆されるパターンを含む印刷基材を0.2m/秒の線速度で供給したが、システムは、任意の他の適切な速度(例えば、しばしば2m/秒まで、さらには15m/秒以上まで)で動作してもよい。圧接ステーション18のニップでの、ドナー面12と圧胴22との間の力は約8kg-f/cmであり、ニップでもニップの上流でも加熱を行わずに周囲温度(約23℃)で印刷を行った。かかる運転条件は、限定するものとして解釈されるべきではない。
【0153】
粒子(前述と同じ)を水中に約0.1重量%の重量濃度でコーティングステーションに供給して、PDMS製のドナー表面12上に単層を形成した。添加硬化性配合物および調製物については上記詳述したとおりである。
【0154】
結果(図示せず)は図3A、3D、4Aおよび4Dに示したものと同様であった。すなわち、プレプリントステーションに供給される前のプレプリント基材20は、背景基材より暗いパターンを示し、印画時に粒子に付着する(すなわち、乾燥ラッカーが受容層26を形成する)ことにより、パターンが材料から形成された。回転ドラム10の外面との接触およびドナー表面12上に予めコーティングされたアルミニウム粒子の転写に続いて、インプレッションステーション18から出た後の同じ基材は、パターンの金属化バージョンを示した。このことは、基材上にパターン形成された受容層が、インプレッションステーションの下流で対応するパターンを有する金属印刷画像を提供するように、インプレッションステーションにおいてアルミニウム粒子をドナー表面から適切に分離することをさらに示すものである。
【0155】
基材20が処理される様々なステーションに沿って搬送される速度および/またはその後のステーション間の距離は、基材は通常動作中であるとしても「滞留時間」とも呼ばれる各ステップの持続時間を調整するために使用されうる。例えば、処理ステーションにおける滞留時間は、選択された領域24の活性化レベルまたは付与された受容層26の厚さ(構成物質の粘度およびその堆積方法に応じて数マイクロメートルから数百マイクロメートル)に影響を及ぼしうる。シルクスクリーン印刷用途によって得られる受容層の厚さは、典型的には50μmから500μm、より典型的には200μm以下である。受容層の頂部(次に、粒子の層)と基材との間のある距離があることが望ましい場合には、「エンボス加工」外観を提供するように改質することができる。フレキソ印刷を利用する場合、典型的には1μmから50μm、より典型的には15μm以下の厚さを有するより薄い受容層を形成することができる。
【0156】
受容層26を形成するための物質の付与とそれに続くステップ(例えば、乾燥、硬化、粒子の接触など)の設定との間の滞留時間は、受容層の外表面のトポグラフィに影響を及ぼすことがあると考えられている。例えば、光沢効果のために、十分な時間が与えられた場合、まさに塗布されたばかりのコーティングは、基材の表面上に平坦化して、実質的に均一な厚さを有するおよび/または比較的滑らかな外面を有する受容層を形成しうる。かかる場合、受容層を形成する物質は、粒子への適応性を改善しおよび/または粒子の均一に配向したモザイクとしての印刷基材への粒子の移動を改善するために、受容層の外表面のトポロジー的特性をさらに改善するための脱気時間(すなわち、受容層中に「閉じ込められている」気泡を低減または除去する)を有することが好ましい場合がある。各ステーションにおけるおよびそれに続く滞留時間は、所望の印刷効果およびプロセスで使用される材料(例えば、基材、受容層および粒子のタイプ)に依存する。かかるプロセス調整は、印刷技術の当業者に知られていることが理解されよう。
【0157】
金属化印刷生成物の拡大図
公知の技術および本発明によって得られた印刷生成物の拡大図を、粒子によって覆われている面積の割合の評価に関連して先に説明した方法で、共焦点顕微鏡によって撮影した。本開示に係る印刷生成物は、紙からなる印刷基材上にシルクスクリーン印刷によって受容層を付与することによって得られた。ドナー表面およびアルミニウム粒子は前述のとおりであり、粒子は水性組成物の3重量%の重量濃度であった。印字中に粒子によって被覆される受容層のパターンを含む印刷基材は、線速0.5m/secで、周囲温度で印字し、インプレッションステーションのニップ部にかかる力は約12kg-f/cmであった。
【0158】
全ての画像が同じ倍率である代表拡大写真を図5Aから図5Fに示す。同図のパネルAからDは、(A)ホイルスタンピング(熱間および冷間技術により実質的に類似の外観が得られる)、(B)オフセット印刷、(C)グラビア印刷および(D)フレキソ印刷によって得られるような、従来の金属化された印刷生成物の上面図を示す画像を示す。図5Eは、本開示の一実施形態による印刷生成物の同様の拡大図を示しているが、比較のために、パネル(F)は、(E)で拡大された画像を形成するために印刷基材上に印刷される、コーティングステーションのドナー表面上に形成された単層の粒子を示す。全ての画像の左下角のスケールバーは40μmに相当する。
【0159】
パネル(A)において分かるように、ホイル印刷は、ホットホイル印刷(図示のように)であってもコールドホイル印刷であっても、予想したとおり、撮像領域の全域を覆う連続的金属フィルムが得られた。従来どおりに得られたパネル(B)から(D)に示す粒子層は、典型的には、以下の態様の少なくとも1つ、すなわち、(a)重なり合う粒子のスタックを含む層、(b)おそらくそれぞれの従来の印刷技術の限界の結果として、複数スタックがランダムに分布している、(c)層の厚さは、特にランダムに分布したスタックの存在下では不規則である、および/または(d)おそらく各従来の印刷技術の限界の結果として、隣接する粒子間の複数の空隙がランダムに分布している、のいずれかの点で不均一である。パネル(B)から(D)の画像が撮影されたところの従来の印刷生成物の一般的な外観は、本教示に係る比較的光沢のある印刷生成物よりも曇りがあると広く認識できることが観察される。興味深いことに、ドナー表面上に形成された粒子の層でさえ、従来の印刷生成物よりも比較的光沢があることがありうる。このことは、表面を金属化するために従来から付与されているような粒子が不規則な配向のものであり、艶出し効果のために十分な光反射を提供するのに不十分であることを示唆している。換言すれば、実質的に平行な粒子の「反射電位」は、「非平行」なランダムな配向を有する粒子の「散乱」効果によって減少または相殺される。本方法は、粒子の印刷に依存するかかる比較技術とは対照的に、比較的高い光沢によって支持され原子間力顕微鏡法(AFM)および得られた印刷生成物の断面で行われるFIB測定によって確認されるように、基材の顕著に平行な粒子のより均一な配向を可能にする。
【0160】
印刷された試料の金属化表面の光沢は、任意の適切な機器によって測定することができる。本実施例では、ヘイズ・グロス・リフレクトメーター(BYK社、カタログ番号AG-4601)を用い、照射器と検出器とが互いに対して40°のアーク距離を有するようにしたうえで、照射器に入射光を照射させるとともに検出器に表面に対して垂直な20°の角度の反射光を測定させた。試験を行った全ての試料は、4cm×2cmのサイズを有する紙基材上に印刷され、従来の技術に対応する金属化試料については市販のプリンタから取得した。各技術について、少なくとも3つの無作為に受信した試料に対して試験を行い、それらの光沢値の平均値をとった。それぞれの従来の印刷金属被覆技術がより高い結果をもたらすことは否定できないが、以下の光沢値が代表的であるとみなされ、本教示にしたがって付与され印刷される粒子の均一な配向を支持するものとして提供される。
【0161】
本明細書に開示されたとおりに印刷された金属化表面(シルクスクリーンアプリケータを使用)は、426光沢ユニット(Gloss Unit;GU)の平均光沢を示した。比較のために、5枚のホイル印刷試料が489GUの平均光沢を示した。4つのオフセット印刷された試料は約22GUの平均光沢を有していた。3つのグラビア印刷試料は約63GUの平均光沢を有していた。3つのフレキソ印刷された試料は約55GUの平均光沢を有していた。したがって、本技術は、金属の連続膜が典型的には基材表面に実質的に平行であるホイル印刷に比肩しうる光沢を粒子の単層で提供する。個々の粒子に依拠する従来の技術と比較して、本開示は、約6.8倍のグラビア生成光沢、約7.7倍のフレキソ印刷光沢および約19倍オフセット生成光沢に相当する著しく高い光沢を可能にすることが分かる。
【0162】
かかる光沢値を各プロセスに関係する粒子またはフィルムの特徴的な寸法に対して正規化することにより、本印刷方法の優れた結果のさらなる尺度を提供することができる。マイクロメートルあたり光沢単位で提供される、サイズあたりの光沢(Gloss Per Size;GPS)パラメータは、本明細書では、光沢生成粒子またはフィルムの特徴的な平面寸法で除した印刷試料の光沢として定義される。光沢は上記のように測定することができ、各印刷技術または印刷された試料に関連する反射面の特性寸法は、共焦点顕微鏡法によって測定することができる。典型的には、かかる寸法は、試験される印刷された基材上にサンプリングされた粒子の集団を代表するとみなされる少なくとも20個の異なる粒子の平均直径または他の特徴的な寸法である。既存の印刷技術では、典型的には、10μmまたは5μm未満の小さなフレークを避けるべきであると考えられており、顕著な金属特性をもつ粒子は約30μmまたはそれ以上の相当直径を必要とする。かかる小さなフレークは、特に5μmより小さい場合、かなりのエッジ散乱効果を引き起こし、印刷構造体の金属光沢および光沢を低下させることが予想される。より小さい粒子は、フレークの平行構成をとる傾向性は大きな粒子のそれよりも低くなりうると考えられ、印刷基材の表面に対して平行であるときのかかる整列もまた光沢に寄与する。
【0163】
上記の光沢の結果に対して、オフセット印刷構造体でサンプリングされた粒子では寸法は約5μmであり、また、フレキソ印刷およびグラビア印刷構造体でサンプリングされた粒子の場合は約10μmであるのと比較して、本発明に係る印刷構造体の粒子の平均固有寸法が約2μmであることを考慮しつつ、また、ホイル印刷構造体の連続層については無限数を任意に1000μmに設定したうえで、かかる分析を上記光沢結果に対して適用した。本明細書に開示された方法によって得られた印刷構造体について計算されたGPSは約230GU/μmであった。入手可能な試料で評価された、既知の技術について計算されたGPSは10GU/μmを超えなかった。それでもなお、かかる技術は、より高い光沢を有する印刷された構造体および/またはより小さい特性寸法を有する粒子から形成され、最大20GU/μmのGPS、または最大30GU/μm、または最大40GU/μm、さらには最大50GU/μmまでのGPSをもたらすことができるということは排除できない。そうであるとしても、ここに開示された本発明の印刷構造体のGPSが顕著に高いことは明らかである。本教示に係る印刷構造体は、光反射表面を有する粒子を使用する場合、少なくとも100GU/μm、または少なくとも150GU/μm、または少なくとも200GU/μm、または少なくとも300GU/μm、または少なくとも400GU/μm、または少なくとも500GU/μmを有することができると考えられている。いくつかの実施形態においては、インスタント印刷構造体のGPSは、5000GUI/μm以下、または4000GUI/μm未満、または3000GUI/μm未満でありうる。かかるパラメータは、光沢が印刷された構造体の所望の品質である場合にのみ、関連性があることが理解される。粒子が印刷構造体に光沢を与えることを意図していない場合、結果として得られる印刷構造体のGPSは100GU/μm未満になりうる。
【0164】
代替的基材処理
受容層を、フレキソ印刷により合成紙基材(イスラエル国Nirotech Adhesives&Coating Technologies社の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)ホワイトマットP25合成54ガラスラインライナー60gsm)に塗布した同様の印刷実験を行った。スイスのSchmid Rhyner AG社のWessco(登録商標)3501 UV-ワニスを基材20に塗布し、十分な硬化をして、受容層26を形成した。得られた層の厚さは約3.6~4.2μmであった。金属化イメージ(上記のようなアルミニウムの粒子で被覆された)の外観は、図3Aから図4Dに示されており、シルクスクリーンによる受容層で得られた画像と比較可能である(データは示さず)。さらに、かかる処理された基材上に形成された粒子の層は、シルクスクリーンによる受容層で得られた画像の拡大図で以前に観察されたものと同様であった(データは示さず)(参考として図5Eを参照されたい)。
【0165】
面積被覆率または光学表面被覆率は、前述のように評価した。簡単に説明すると、BOPPの透明なプラスチックホイルに受容層をフレキソ印刷することによって試料を同様に調製し、光学顕微鏡(オリンパスBX61 U‐LH100‐3)によって金属化領域の画像(例えば、受容層に形成されている)を倍率送信モードで分析した。3つの試料(それぞれ3つの画像の平均である)の結果は、81.3%、84.9%および86.4%であった。
【0166】
シルクスクリーン印刷によって付与される受容層を、フレキソ印刷によって付与される受容層と比較するために、追加のパラメータを測定した。これらの2つの技術は、本技術の基材を処理する方法の非限定的な例である。レーザー共焦点顕微鏡(Laser Confocal Microscopy)を用いて、各層の上面の領域の粗さ(粒子でコーティングする前)を測定した。粒子が付与された紙印刷基材の面積粗さを基準として測定した。基材の平均ベースライン面積粗さRaは0.61μmであった。この基材上に受容層をシルクスクリーン印刷(層厚約52~65μm)で塗布した場合、受容層の上面の面積粗さRaは約0.46μmであった。この基材上にフレキソ印刷(層厚3.6~4.2μm)で受容層を塗布したところ、接着層の最表面の面積粗さRaは0.7μmであった。本技術にとっては本質的ではないが、所望の印刷効果に依存して、比較的低い粗さ(例えば、Ra≦2μmまたはRa≦1μm)を有する受容層は、より均一な粒子の配向を好み、したがって、可能性としてはより光沢のある外観を好む。特に、基材上で適切に平坦化するおよび/または脱気に十分な時間が与えられているより厚い受容層は、基材の固有の粗さの一部を「吸収」し、その部分を減少させ、比較的薄い受容層よりもより低い粗さを有する最表面を生じるとも考えられており、これは、より厳密に基材表面の輪郭に追従する。可視的な印刷効果に対する受容層の厚さの寄与度は、それ自体が平滑な基材(例えば、プラスチック材料からなる印刷基材)については低下することが予想される。
【0167】
金属化された印刷生成物の断面
図6Aは、本教示による印刷基材上に塗布された粒子の層の断面の拡大図を示す集束イオンビーム走査電子顕微鏡画像である。金属化された印刷基材は、上記のように調製され、受容層はシルクスクリーン印刷によって塗布された。印刷した試料を印刷基材から切断し、導電性接着剤で顕微鏡スタブに取り付けた。スタブ支持試料を、スパッタリングによって白金の2~3nmの薄層で被覆した。このようにして調製した試料を、その後、FIB-SEM顕微鏡(Zeiss Crossbeam 340)を用いて、より厚い白金堆積物で断面のために被覆した。SEMカラムから54°の角度で試料に衝突させたイオン化ガリウムを用いて断面化を実施し、その画像を1.20kVの電圧、2mmの作動距離、SEMカラムおよびインレンズ検出器で採取した。
【0168】
図6Aに表示された画像において捕捉された5つのプレートレット状粒子をそれぞれ502a~502eと表記する。白い形状として顕出する断面を有する粒子は、粒子がインプレッションステーションで転写された受容層に対応するより暗いフィルム上に示されている。画像中の粒子の上の灰色がかった保護膜は、断面の調製および本分析のために付与された白金保護堆積物に対応する。各粒子の最大厚さを測定した(例えば、FIB顕微鏡の画像分析ソフトウェアを使用して)ところ、それぞれ粒子502a~502eについて約47nm(H1)、54nm(H2)、64nm(H3)、33nm(H4)および72nm(H5)であることが判明した。
【0169】
それぞれの粒子の最大厚さの線に対して直交するのは、その粒子の長い寸法である。最大長寸法は各粒子について測定することができる。粒子502cの最大長寸法はL3のラベルを付してある。粒子502eの最大長寸法に付したラベルはL5である。
【0170】
粒子502aは視野内で完全には視認できないため、粒子502aは様々な平均値計算から除外される。
【0171】
粒子の数平均最大厚さは、
Havg=SUM(H1...HN)/N
で定義され、式中、Nは、評価されたグループ内の粒子の数である。この場合、粒子502aは除外され、4個の粒子が残っている。したがって、Havgは(54+64+33+72)/4、すなわち約56nmである。
【0172】
Lavgも同様に計算され、4つの「適格」粒子の数平均アスペクト比(ASPavg)を次式のように計算することができる。
ASPavg=Lavg/Havg
【0173】
図6Aから明らかなように、粒子は、印刷基材または印刷基材の局所的なトポグラフィに対して概してまたは実質的に平行に配向される。粒子がドナー表面から実質的に「そのまま」移送されることを考慮すると、基材上に一旦塗布された状態で現在表面を上にしている粒子の表面は、以前はコーティングステーションのドナー表面に面していたと仮定することができる。したがって、粒子の上方/上面からの粒子の配置の観察から、全ての粒子が、ある程度、ドナー表面と直接接触していると推測することができる。白金保護膜(試料調製に使用される)は、本質的に、微小距離で粒子の輪郭に追従することを観察することができ、かかる近接性を妨げる分子(ポリマーバインダーなど)を実質的に含まない粒子の層を示唆するものである。粒子と白金析出物との間の小さな隙間は、少なくとも部分的に粒子コーティング、この場合は脂肪酸に起因すると考えられる。
【0174】
図6Bは、粒子のオフセット印刷金属層の断面の拡大図を示すFIB-SEM画像であり、試料は実質的に前述したように調製され、画像は電圧5kVおよび作動距離4.2mm。図示されているように、粒子502f~502jはそれぞれ約1マイクロメートル以上の長さを有する。より顕著には、粒子は、少なくとも部分的に重複する粒子の少なくとも4つの層からなるスタックを形成し、502fは502gと重なり、502gはさらに502hと重なり、502hは502iと重なる。粒子のかかる層の分布およびそれらの個々の配向は、様々な技術の異なる試料の間で変化しうるが、広くマトリックス内の粒子の3Dアレイとみなすことができる。いくつかの可能性が、以下にさらに説明される図7Cおよび図7Dに模式的に例示されている。
【0175】
図6BのSEM画像に戻ると、かかる粒子間の隙間はそれらの厚さのオーダーであるように見える。例えば、502fと502gとの間の隙間は、これらのフレークの平均厚さの約1.5倍から2.5倍である。比較のため図6Aに戻ると、502bと502cとの間の同様の実質的な重なりを示す距離は、かかる「間隙」にわたる粒子の厚さよりも明らかに小さい。既知の技術にしたがって印刷された粒子間に形成された間隙は、粒子の隣接するアレイ(および場合によっては隣接するアレイを包囲する)の間のバインダーの存在によって引き起こされると考えられる。
【0176】
図6Cは、本教示による印刷基材上に塗布された粒子の層の断面の拡大図を示すFIB-SEM画像であり、粒子の層は続いてワニス(Wessco(登録商標)3501UV-ワニス)で被覆したうえで、UV硬化した。フレキソ印刷により受容層を塗布した金属化印刷基材を上記のように調製した。印刷した試料を印刷基材から切断し、導電性接着剤で顕微鏡スタブに取り付けた。スタブにより支持された試料を、スパッタリングによって白金の2~3nmの薄層で被覆した。このようにして調製した試料を、その後、FIB-SEM顕微鏡(Zeiss Crossbeam 340)を用いて、より厚い白金堆積物で断面のために被覆した。SEMカラムから54°の角度で試料に衝突させたイオン化ガリウムを用いて断面を行い、そのイメージを5.0kVの電圧、4.1mmの作動距離でSEMカラムおよびインレンズ検出器で採取した。
【0177】
図6Cは、基材が画像のより明るい最下部として現れるFIB-SEM画像の下部を示し、プラチナ保護膜はこのセクションには現れない。見て分かるように、粒子は、微小な縁部の重なりおよび短い隙間を伴って互いに実質的に整列され、明るい破線(broken line)を形成し、ダッシュ(dashes)は個々の粒子に対応する。そのように形成された粒子の層は、基材の表面と、より正確には受容層の粒子受容表面と実質的に平行であり、断面における粒子の位置は受容層の表面に対応する。受容層およびワニス保護膜は、本発明の画像において同様の黒色で現れるので、本方法にしたがって付与された粒子の層は、2つの間の境界であると見ることができ、ワニス保護膜は単層配置に影響しない。
【0178】
図6Dは、従来方式により印刷された金属粒子層の断面を示すFIB-SEM画像であり、金属インク(Super Sheen Silver 877、英国KingfisherInks社)は、本明細書において開示された印刷プロセスにおいて例示される粒子組成物として、水性である。従来の金属インクは、典型的には粒子を包み込むかなりの量のバインダー樹脂を含有しているので、この印刷された試料にはワニス保護膜は塗布されなかった。断面を先に記載したように調製し、画像を、図6Cに詳述したのと同じ装置を用いて5kVの電圧および4.2mmの作動距離で採取した。
【0179】
図6Dは、FIB-SEM画像の一部を示し、バインダーの暗いフィルムが、画像の最下部の薄い色の基材と最上部の試料調製のために塗布された白金保護膜との間に出現する。従来使用されている水性金属インクの粒子は、バインダーによって形成されたより暗い帯の中に白っぽい帯として出現する。見て分かるように、粒子は、後続の層の粒子間に頻繁な実質的な重なりを伴う少数の層を形成する。本比較試料では、粒子はリーフィング挙動を示し、バインダーフィルム内のそれらの分布は、基材から支配的に遠位であった(以下にさらに説明する図7Dに概略的に示すとおり)。
【0180】
上述の印刷方法によって得ることができる様々なタイプの粒子層は、図7Aおよび図7Bに提示したx-y平面に沿う断面に概略的に図示されている。外面504を有する粒子502は、細長い断面形状(例えば、小板状粒子に対応する)を有するものとして図示してあるが、これは限定的なものとして解釈されるべきではない。粒子502は、受容層26の上に配置され、それ自体、印刷基材20の受像面80上に選択的に付与され、かかる配置は、粒子の単層510を有する印刷構造体500をもたらす。先に説明したように、粒子502の外面504は疎水性でありうる。
【0181】
以下の明細書および特許請求の範囲の項で使用されるように、ドナー表面などの基材上に配置された粒子に関する用語「単層(monolayer)」は、個々の粒子(典型的にはモザイク状層)の層をいい、数でみて粒子の少なくとも85%、より典型的には少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%が直接的にドナー表面に接触している。
【0182】
以下の明細書および特許請求の範囲の項で使用されるように、「単層(monolayer)」という用語は、印刷基材などの基材に固定された粒子に関して、数でみて粒子の少なくとも85%、より典型的には、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%が、直接的に基材の受容層に接触している、個々の粒子(典型的にはモザイク状層)の層をいう。以上詳述したように、FIB-SEM断面像(等)を用いて接触または非接触の判定を行うと、種々の粒子が、実際には粒子が別の平面では受容層と接触する際に、受容層と非接触の状態に見えることがある。したがって、接触または非接触の判定が断面視野のような断面画像に基づくものである場合、用語「単層」は、数でみて粒子の少なくとも70%、より典型的には、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、直接的に基材の受容層に接触している、個々の粒子の層をいう。
【0183】
本発明の単層(ドナー表面上に配置された粒子および印刷基材上に配置された粒子双方に関する単層)は、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の表面被覆率、または、20%から100%、40%から100%、50%から100%、60%から100%、80%から100%、または80%から95%の範囲内の表面被覆率を有していてもよい。表面被覆率は、図5Eおよび図5Fに提供されたSEM画像のような、粒子担持表面に対して正常に取られたSEM画像の分析によって評価することができる。この分析は、当業者に周知の強固な手順に従って、手作業で、または画像分析ソフトウェアを用いて行うことができる。分析は、当業者に周知のロバストな手順にしたがって、手作業で、または画像分析ソフトウェアを用いて行うことができる。
【0184】
先に説明したように、粒子502の表面504は、この特定の実施形態においては、疎水性である。
【0185】
図7Aを参照すると、いくつかの粒子が部分的に重なり合うように示されており、セクションAをみると、「T」で表される全体的な粒子層の厚さを生じるような重なりを生じる。セクションBにおいて、粒子は連続的に図示してあるが、セクションCは、印刷基材20の長手方向に対して概ね直交する方向から識別しうるように、隣り合う粒子の間の間隙を示している。セクションDにおいて、粒子502’は、このx-y断面に現れるように、受容層と接触しないものとして示されている。しかし、かかる重なり合う粒子は、z方向に沿って別の点(図示せず)で受容層と接触しうるように、下側層と接触する粒子上に配置されてもよい。セクションEにおいて、粒子502”は、2つ以上の隣接粒子によって重なり合って示されている。
【0186】
図7Bは、粒子の単層510が保護膜520でさらに被覆されている代替的な実施形態を示す。図示されていないが、微小気泡が受容層26(およびその上に配置されている粒子の単層510)とそれに続く保護膜520との間の界面またはその近傍において閉じ込められていることがある、と考えられる。かかる現象は、FIB-SEM技術または他のロバストな方法によって評価することができるかかる層間境界の可視化を容易にすることができる。
【0187】
単層510は、図7Aおよび図7Bに受容層の上に形成されているように示されているが、動作条件および選択された材料に応じて、緩やかに浸透して層内に部分的に埋め込まれうるものであることに留意すべきである。さらに、実質的に510と同様の層をドナー表面12上に形成することができる。
【0188】
図7Cから7Eは、既知の印刷技術を利用して得ることができる印刷構造体の断面を概略的に示す図である。例示的な図はどれも縮尺どおりに描かれていないので、比較は単に定性的なものである。
【0189】
図7Bおよび7Cは、粒子およびバインダーの通常の混合物を含むインクを用いて調製された印刷構造体を示し、かかるインクは、当該技術分野の印刷方法によって印刷基材20に印刷される。層530は、かかる既知のインクおよび方法を使用しながら、基材上に典型的に形成されたバインダーフィルムまたはマトリックスを示す。見て分かるように、かかる技術は、一般に、印刷基材の表面からより遠く離れた層内の粒子がしばしば基材と直接接触することがない粒子の層を生成する。技術、使用される材料、および動作条件によって、粒子は大きく2つのカテゴリーに分類されるパターンを呈しうる。図7Cは、粒子506が非リーフィング挙動を示し、粒子がバインダーマトリックス内に少なくとも部分的にランダムに分布および/または配向している状況を概略的に示す。粒子506の外面は疎水性である必要はない。図7Dは、粒子508がリーフィング挙動を示し、粒子がバインダーフィルムと空気との間の界面に向かって移動する傾向がある別の状況を概略的に示す。かかる現象は、図6Bに表示された粒子502kで観察される。したがって、かかる既知の印刷構造体の粒子は、分布勾配を形成する傾向があり、それらの密度は空気との界面により近い。リーフィング粒子はまた、典型的にはバインダーマトリックス内でより均一に配向する。図7Eは、金属ホイル印刷から得られた代表的な金属化画像を示す。かかる印刷構造体では、典型的には、接着層540は、金属層を基材20に取り付けることができるように、金属層550と共に転写される。本開示によって可能な本発明の印刷構造体の文脈で先に例示したように、従来技術の印刷構造体にさらに保護膜を施すことができる(図示せず)。
【0190】
従来の金属インクの堆積から得られる金属化された印刷物の断面は、上記の本発明の印刷構造体と以下の少なくとも1つによって異なると予想される。(A)従来の金属インクの粒子は複数の層を形成し、殆どの粒子は基板の表面と直接接触しない。(B)従来の金属インクの粒子は、基材の表面に対してランダムに配向することができる。(C)従来の金属インクの粒子は、かなりの量のバインダーポリマーによって埋め込まれるか、または取り囲まれている。(D)従来の金属インクの粒子は、バインダーマトリックス全体にわたって濃度勾配を形成することができ、それらの密度は空気との界面に近づくにつれて高くなる。(E)従来の金属インクの粒子は、「内部層」と「内部層」との間の物理的境界を欠くマトリックス内に粒子の3Dアレイを形成することがある。
【0191】
本発明者らは、本教示による印刷構造体が、たとえ導電性コアを有するか、または導電性材料からなる金属粒子から構成されている場合でさえ、「完全な」面積被覆を有する印刷構造体についても驚くほど非導電性であることを見出した。かかる観察は、4点プローブを用いて行われ、かかる印刷構造体を有する物品を電子レンジ内で安全に加熱することを可能にする。
【0192】
本開示の明細書および特許請求の範囲では、動詞のそれぞれが、必ずしもメンバーの完全なリストではないことを示すために、各動詞「含む(comprise)」、「含む(include)」および「有する(have)」ならびにこれらの活用形は、当該動詞の目的語または目的語群が必ずしも動詞の主語または主語群の部材、コンポーネント、要素、ステップまたは部分の完全なリストではないことを示すために用いられる。これらの用語は、「からなる(consisting of)」および「本質的にからなる(consisting essentially of)」という用語を包含する。
【0193】
本明細書で用いる単数形「a」、「an」および「the」は、複数形への言及を含み、文脈上別段の指示がない限り、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数の」を意味する。
【0194】
「上(upper)」、「下(lower)」、「右(right)」、「左(left)」、「底部(bottom)」、「の下に(below)」、「低くされた(lowered)」、「下(low)」、「上(top)」、「の上に(above)」、「高くされた(elevated)」、「高い(high)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「後方(backward)」、「前方(forward)」、「上流(upstream)」および「下流(downstream)」などの位置的または運動的な用語ならびにこれらの文法的派生語は、本明細書では、説明を目的としたものにとどまり、ある構成要素間の配置または変位を説明するため、第1の構成要素もしくは第2の構成要素または両者を示すために用いられることがある。かかる用語は、例えば、「底部」構成要素が「上部」構成要素より下方にあることを必ずしも示すものではない。かかる方向、構成要素またはその両方は、反転、回転により、空間移動により、水平方向にまたは垂直方向に、あるいは同様にして変更されてもよい。
【0195】
別段の記載がない限り、選択肢のリストの最後の2つのメンバー間の表現「および/または」の使用は、リストされた選択肢のうちの1つまたは複数の選択肢が適切であり、作成されうることを示す。
【0196】
本開示では、特に明記しない限り、本技術の実施形態の1つまたは複数の特徴の条件または関係特性を変更する「実質的に」および「約」などの形容詞は、その条件または特性が、意図される本開示の本実施形態の動作に許容可能な公差内に、あるいは実施される測定および/または使用される測定機器から予想される変動の範囲内で定義されることを意味すると理解されるべきである。
【0197】
本開示は特定の実施形態および一般的に関連する方法に関して記載されているが、実施形態および方法の変更および置換は当業者には明らかであろう。本開示は、本明細書に記載の特定の実施例によって限定されるものではないと理解されるべきである。
【0198】
本開示の開示を理解または完結するのに必要な程度において、特に本出願人の優先権出願を含む、本明細書に言及された刊行物、特許および特許出願は全て、ここに完全に提示したとおり、参照によりその全体が明示的に組み込まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E