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特許7182475木製横架材と鋼製横架材との接合構造および受け金物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】木製横架材と鋼製横架材との接合構造および受け金物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20221125BHJP
   E04B 1/30 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
E04B1/58 506T
E04B1/30 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019007485
(22)【出願日】2019-01-21
(65)【公開番号】P2020117879
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】395021066
【氏名又は名称】ナイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090114
【弁理士】
【氏名又は名称】山名 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100174207
【弁理士】
【氏名又は名称】筬島 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】西村 航平
(72)【発明者】
【氏名】石丸 亮
(72)【発明者】
【氏名】岡田 忠義
(72)【発明者】
【氏名】平田 恒一郎
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 祐司
(72)【発明者】
【氏名】小田 祐二
(72)【発明者】
【氏名】今泉 隆之
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-115608(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/78656(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38-1/61
E04B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製横架材と鋼製横架材とを受け金物を介して直交方向に接合してなる接合構造であって、
前記木製横架材は、その上面に前記受け金物を位置決めするための切欠き凹部が設けられ、
前記鋼製横架材は、その端部の両側面から左右に突き出す掛止部が設けられ、
前記受け金物は、前記木製横架材の切欠き凹部に位置決めする位置決め部と、前記木製横架材の側面に定着する定着部と、前記鋼製横架材の端部を支持する支持部と、前記支持部の前方に延設され前記鋼製横架材の掛止部が掛け止まる被掛止部とを備えており、
前記位置決め部が前記木製横架材の切欠き凹部に位置決めされ、前記定着部が前記木製横架材の側面に定着された前記受け金物の被掛止部に前記鋼製横架材の掛止部が掛け止められると共に、前記支持部に前記鋼製横架材の端部が支持されて接合されることを特徴とする、木製横架材と鋼製横架材との接合構造。
【請求項2】
前記鋼製横架材の掛止部は、前記鋼製横架材の両側面を貫通させたボルト等の棒状部材であり、
前記受け金物の被掛止部は、前記棒状部材を落とし込み可能な凹溝状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載した木製横架材と鋼製横架材との接合構造。
【請求項3】
前記凹溝状の溝壁部のうち前方側の溝壁部は、下方から上方に向けて前記木製横架材と離間するように形成していることを特徴とする、請求項2に記載した木製横架材と鋼製横架材との接合構造。
【請求項4】
前記受け金物の前記支持部は、前記鋼製横架材の端部の底面を支持する受部と、前記受部の両側縁部から前記鋼製横架材の両側面に沿って立ち上がる立壁部とを有し、各立壁部は前記定着部と平面視略L字状に一体化されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載した木製横架材と鋼製横架材との接合構造。
【請求項5】
前記受け金物は、前記木製横架材の側面と前記鋼製横架材の端面とを接触させないための遮蔽部を備えていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載した木製横架材と鋼製横架材との接合構造。
【請求項6】
前記鋼製横架材の上面に、前記木製横架材よりも断面サイズが小さい小型木製横架材が重合され、前記小型木製横架材も前記木製横架材に接合されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載した木製横架材と鋼製横架材との接合構造。
【請求項7】
前記小型木製横架材の上面と前記木製横架材の上面とは略面一に揃えられていることを特徴とする、請求項6に記載した木製横架材と鋼製横架材との接合構造。
【請求項8】
木製横架材と鋼製横架材との接合構造に用いられる受け金物であって、
前記木製横架材の上面に形成された切欠き凹部に位置決めする位置決め部と、前記木製横架材の側面に定着する定着部と、前記鋼製横架材の端部を支持する支持部と、前記支持部の前方に延設され前記鋼製横架材の両側面から左右に突き出した掛止部が掛け止まる被掛止部とを備えていることを特徴とする、受け金物。
【請求項9】
前記木製横架材と前記鋼製横架材とを接触させないための遮蔽部も備えていることを特徴とする、請求項8に記載した受け金物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物、特には木造軸組構法(在来工法)により構築される建築物における木製横架材と鋼製横架材との接合構造の技術分野に属する。
なお、前記横架材は、主に大梁や小梁等の梁部材を指すが、胴差し、土台等の水平に架設する部材全体を含む意である。
【背景技術】
【0002】
一般に、木造軸組構法によって構築される建築物の骨組みは、土台、柱材、梁材や筋交いなどの軸組を組み立てて構築される。前記建築物には、大梁、胴差し、土台等の横架材に床荷重を支える小梁等の横架材が所定の間隔をあけて複数本設けられており、小梁等の横架材の両端部が大梁等の横架材に、例えば特許文献1に示したような金物を用いて強固に接合されている。
【0003】
前記特許文献1に係る金物は、同文献1の図1図2等に示したように、上下のフランジ材5、6をウエブ材7で結合して断面がI字形を呈する木製のI型ビーム1の端部を横架材(土台)3に固定するための金物4であって、一対の対面させた縦壁8a、8bと、両縦壁の下端を結合した受壁9と、それぞれの縦壁の前記横架材側に、縦壁から外側へほぼ直角に屈曲して一体に形成された取付け壁10a、10b、及び取付け壁の上部から横架材側へほぼ直角に屈曲して一体に形成された水平な掛け壁11a、11bとを備え、受け壁を除いてそれぞれの壁に釘孔12が形成されていると共に、一対の縦壁にI型ビームの下方フランジの内側面に係合する係止爪13a、13bを一対の縦壁間である内側へと突出させ、かつ、それぞれの係止爪は外側方向へ弾性変形可能に設けたI型ビーム取付け金物4である(請求項1等を参照)。
【0004】
前記特許文献1によれば、前記I型ビーム取付け金物4にI型ビーム1を上方から嵌め込むと、I型ビーム1の端部は取付け金物4の受壁9に支持されると同時に、下方フランジ材6の内側面(上面)に縦壁の係止爪13a、13bが係合するので、相手方である横架材3との突当て位置を確認して取付け金物4を横架材3及びI型ビーム1へ釘打ちすれば、I型ビーム1は簡単に突当て位置が確保されると共に“ころび”が防止され、また、下方フランジ材6の内側面に係合した係止爪13a、13bによってI型ビーム端部の浮き上がりが抑止されるので床鳴りが防止される効果がある旨の記載が認められる(明細書の段落[0006]参照)
【0005】
ところで、前記特許文献1に係るI型ビーム1は、同文献1の明細書の[背景技術]の項に列挙された従来技術文献1、2に開示されているように、いわゆる木製の小梁を指すが、木造軸組構法(在来工法)により構築される建築物には、木製の小梁のほかに鋼製の小梁も用いられる(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3126276号公報
【文献】特許第4057943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に開示されたI型ビーム取付け金物は、取り付け対象物が前記I型ビーム1のような木製の小梁である場合には前記段落[0004]に記載した効果が認められるものの、取り付け対象物が前記特許文献2に開示したような鋼製の小梁である場合には、鋼製の小梁は木製の小梁と比して剛性・強度が非常に高い(硬い)ため、前記係止爪13a、13bによる係止効果が十分に発揮できず、その結果、前記した「ころび」や「床鳴り」を十分に防止できない問題があった。
加えて、鋼製部材(鋼製横架材)を用いる上では、より部材の許容差を吸収できる接合部の仕様が求められるところ、単に係止爪13a、13bを設けて弾性変形に期待する構造の前記I型ビーム取付け金物では確実性に欠け、施工不可能な差となってしまう問題があった。
【0008】
本発明は、上述した背景技術の問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、木製横架材と接合する相手材が木製横架材である場合はもとより、鋼製横架材であっても部材の許容差を吸収できる(より具体的に、例えば木造フレームの建て方誤差や鋼管梁の長さ許容差を吸収し、設計図面(寸法の)通りの正確な位置に梁を配置して固定できる)、施工性、確実性に優れた木製横架材と鋼製横架材との接合構造および前記接合構造に用いる受け金物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造は、木製横架材と鋼製横架材とを受け金物を介して直交方向に接合してなる接合構造であって、
前記木製横架材は、その上面に前記受け金物を位置決めするための切欠き凹部が設けられ、
前記鋼製横架材は、その端部の両側面から左右に突き出す掛止部が設けられ、
前記受け金物は、前記木製横架材の切欠き凹部に位置決めする位置決め部と、前記木製横架材の側面に定着する定着部と、前記鋼製横架材の端部を支持する支持部と、前記支持部の前方に延設され前記鋼製横架材の掛止部が掛け止まる被掛止部とを備えており、
前記位置決め部が前記木製横架材の切欠き凹部に位置決めされ、前記定着部が前記木製横架材の側面に定着された前記受け金物の被掛止部に前記鋼製横架材の掛止部が掛け止められると共に、前記支持部に前記鋼製横架材の端部が支持されて接合されることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した木製横架材と鋼製横架材との接合構造において、前記鋼製横架材の掛止部は、前記鋼製横架材の両側面を貫通させたボルト等の棒状部材であり、
前記受け金物の被掛止部は、前記棒状部材を落とし込み可能な凹溝状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した木製横架材と鋼製横架材との接合構造において、前記凹溝状の溝壁部のうち前方側の溝壁部は、下方から上方に向けて前記木製横架材と離間するように形成していることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載した発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載した木製横架材と鋼製横架材との接合構造において、前記受け金物の前記支持部は、前記鋼製横架材の端部の底面を支持する受部と、前記受部の両側縁部から前記鋼製横架材の両側面に沿って立ち上がる立壁部とを有し、各立壁部は前記定着部と平面視略L字状に一体化されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載した発明は、請求項1~4のいずれか1項に記載した木製横架材と鋼製横架材との接合構造において、前記受け金物は、前記木製横架材の側面と前記鋼製横架材の端面とを接触させないための遮蔽部を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載した発明は、請求項1~5のいずれか1項に記載した木製横架材と鋼製横架材との接合構造において、前記鋼製横架材の上面に、前記木製横架材よりも断面サイズが小さい小型木製横架材が重合され、前記小型木製横架材も前記木製横架材に接合されることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載した発明は、請求項6に記載した木製横架材と鋼製横架材との接合構造において、前記小型木製横架材の上面と前記木製横架材の上面とは略面一に揃えられていることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載した発明に係る受け金物は、木製横架材と鋼製横架材との接合構造に用いられる受け金物であって、
前記木製横架材の上面に形成された切欠き凹部に位置決めする位置決め部と、前記木製横架材の側面に定着する定着部と、前記鋼製横架材の端部を支持する支持部と、前記支持部の前方に延設され前記鋼製横架材の両側面から左右に突き出した掛止部が掛け止まる被掛止部とを備えていることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載した発明は、請求項8に記載した受け金物において、前記木製横架材と前記鋼製横架材とを接触させないための遮蔽部も備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造および受け金物によれば、下記する効果を奏する。
(1)木製横架材(木製大梁)と鋼製横架材(鋼製小梁)との間に介在させる受け金物の特徴的な形状的特性により、鋼製横架材に設けた掛止部を受け金物に設けた被掛止部に掛け止めるだけで簡単かつ確実に部材の許容差を効果的に吸収できる。具体的には、例えば木造フレームの建て方誤差や鋼管梁の長さ許容差を吸収し、設計図面(寸法の)通りの正確な位置に梁部材を配置して固定できる。
よって、所定の強度・剛性を備えることはもとより健全性に非常に優れた木製横架材と鋼製横架材との接合構造を実現できる。
(2)木製横架材に前記受け金物の位置決め用の切欠き凹部を形成して実施するので、受け金物の設置部位の目印になるだけでなく、鋼製横架材の架設部位を想定できる。よって、作業性(施工性)に優れた木製横架材と鋼製横架材との接合構造を実現できる。
(3)請求項5及び請求項9に係る発明によれば、受け金物に設けた遮蔽部の遮蔽効果により、強度・剛性が高い鋼製横架材の端面が木製横架材の側面にめり込むことを確実に防止できるので、梁接合部の回転剛性を向上させることができる等、さらに健全性に優れた木製横架材と鋼製横架材との接合構造を実現できる。
(4)その他、実施例3、4に係る重ね梁の実施例について、小型木製横架材は、鋼製横架材に関係なく独立して水平荷重を負担する構成で実施する場合、小型木製横架材のみで水平荷重を負担することを前提とした構造設計を実現できるので、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で定められた存在床倍率を満たす設計を容易に行うことができ、構造性能実験等を行う必要がない。更に言えば、荷重に対する役割分担を明確化した横架材(小梁)構造を実現できると云える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造について、木製横架材(木製大梁)に受け金物を取り付ける段階を示した斜視図である。
図2図1の木製横架材に取り付けた受け金物に鋼製横架材(鋼製小梁)の一端部を接合する段階を示した斜視図である。
図3図1の木製横架材に取り付けた受け金物に鋼製横架材(鋼製小梁)の一端部を接合した状態を示した斜視図である。
図4図3に係る木製大梁と鋼製小梁との接合状態を示した左側面図である。
図5】Aは、実施例1に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造に用いる受け金物を示した正面図であり、Bは、Aの左側面図であり、Cは、Aの平面図である。
図6】実施例2に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造について、木製横架材(木製大梁)に受け金物を取り付ける段階を示した斜視図である。
図7図6の木製横架材に取り付けた受け金物に鋼製横架材(鋼製小梁)の一端部を接合する段階を示した斜視図である。
図8図6の木製横架材に取り付けた受け金物に鋼製横架材(鋼製小梁)の一端部を接合した状態を示した斜視図である。
図9図8に係る木製大梁と鋼製小梁との接合状態を示した左側面図である。
図10】実施例3に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造について、木製横架材(木製大梁)に受け金物を取り付ける段階を示した斜視図である。
図11図10の木製横架材に取り付けた受け金物に鋼製横架材(鋼製小梁)及び小型木製横架材(木製小梁)の一端部を接合する段階を示した斜視図である。
図12図10の木製横架材に取り付けた受け金物に鋼製横架材(鋼製小梁)及び小型木製横架材(木製小梁)の一端部を接合した状態を示した斜視図である。
図13図12に係る木製大梁と鋼製小梁及び木製小梁との接合状態を示した左側面図である。
図14】実施例4に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造について、木製横架材(木製大梁)に受け金物を取り付ける段階を示した斜視図である。
図15図14の木製横架材に取り付けた受け金物に鋼製横架材(鋼製小梁)及び小型木製横架材(木製小梁)の一端部を接合する段階を示した斜視図である。
図16図14の木製横架材に取り付けた受け金物に鋼製横架材(鋼製小梁)及び小型木製横架材(木製小梁)の一端部を接合した状態を示した斜視図である。
図17図16に係る木製大梁と鋼製小梁及び木製小梁との接合状態を示した左側面図である。
図18】木製小梁と木製大梁とを接合するために用いる差込式の接合部材を示した斜視図である。
図19】前記差込式の接合部材を用いて木製小梁と木製大梁とを接合した状態を示した斜視図である。
図20図19に係る木製小梁と木製大梁との接合状態を示した左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造および受け金物の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
本発明に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造は、木製横架材と鋼製横架材とを受け金物を介して直交方向に接合してなる接合構造であり、建築物、特には木造軸組構法(在来工法)により構築される建築物に好適に実施される。
実施例1に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造は、図1図5に示したように、前記木製横架材1は、その上面に前記受け金物3を位置決めするための切欠き凹部11が設けられ、前記鋼製横架材2は、その長手方向の端部の両側面から左右に突き出す掛止部21が設けられ、前記受け金物3は、前記木製横架材1の切欠き凹部11に位置決めする位置決め部31と、前記木製横架材1の側面12に定着する定着部32と、前記鋼製横架材2の端部を支持する支持部33と、前記支持部33の前方に延設され前記鋼製横架材2の掛止部21が掛け止まる被掛止部34とを備えている。
そして、前記位置決め部31が前記木製横架材1の切欠き凹部11に位置決めされ、前記定着部32が前記木製横架材1の側面12に定着された前記受け金物3の被掛止部34に前記鋼製横架材2の掛止部21が掛け止められると共に、前記支持部33に前記鋼製横架材2の端部が支持されて接合されている。
【0022】
前記木製横架材1は、本実施例では木製大梁1とされ、一例として断面サイズが縦寸360mm程度、横寸120mm程度の構造用集成材で実施されている。
前記木製大梁(木製横架材)1の上面に設けられる切欠き凹部11は、前記受け金物3を位置決めするためのものであり、本実施例では、前記受け金物3の左右の位置決め部31、31に合わせて2箇所に形成されている。
前記切欠き凹部11の形状は、平板状に形成された前記位置決め部31がずり動かない程度に受け入れる大きさとすることが好ましく、本実施例では前記位置決め部31(幅寸45mm程度、板厚3.2mm程度)に対し、受け入れ可能な同等寸法に切り欠いて実施されている。
前記受け金物3の左右の位置決め部31、31は、前記木製大梁1の左右の切欠き凹部11、11内に嵌めるように位置決めしたとき、作業上の安全性を考慮し、木製大梁1の上面よりも上方に突き出ない程度(略面一)の大きさで実施することが好ましい。
【0023】
なお、前記木製横架材(木製大梁)1の断面サイズは勿論前記に限定されない。スパンは6~8mが一般的であるがこれも特に限定されない。
また、前記木製横架材1の一例として本実施例では木製大梁1で実施しているがこれに限定されない。木製の大梁や小梁等の梁部材のほかに、胴差し、土台等の水平に架設する部材であれば実施可能である。
さらに、前記木製横架材(木製大梁)1には、後述する羽子板ボルト5のボルト部51を通すための貫通孔13(図4参照)が予め形成されているが、図4以外の図面では図示の便宜上省略している。
【0024】
前記鋼製横架材2は、本実施例では鋼製小梁2とされ、一例として断面サイズが縦寸435mm程度、横寸120mm程度、板厚6mm程度の角形鋼管で実施されている。
前記鋼製小梁(鋼製横架材)2の両側面に設けられる左右に突き出す掛止部21は、前記受け金物3に掛け止めて部材の許容差を吸収するほか、事後の接合作業を効率良く行うためのものであり、本実施例では、鋼製小梁2の端部の左右両側面を略水平に貫通させた頭付きボルト21aの先端部を座金21cを介してナット21bで締結することにより形成している。つまり、本実施例では、前記頭付きボルト21aの軸部が前記掛止部21の役割を果たす構成で実施している。
ちなみに図中の符号2a~2cは、ボルト孔を示している。
【0025】
なお、前記鋼製横架材(鋼製小梁)2の断面サイズは勿論前記に限定されない。スパンは6~8mが一般的であるがこれも特に限定されない。
前記鋼製小梁2は、前記角形鋼管に限定されず、H形鋼やC形鋼等の形鋼材でも同様に実施できる。もっとも、角形鋼管は、例えばH形鋼と比較してねじれに強いので、前記木製大梁1、1間がロングスパンであっても補強が不要で、設計が容易であり、梁部材として好適である。もとより、前記角形鋼管の板厚を厚くすれば鋼製小梁2の断面寸法を小さくできるので、より広い空間を有する建築物を構築できる。
また、前記鋼製横架材2の一例として本実施例では鋼製小梁2で実施しているがこれに限定されない。木製の大梁や小梁等の梁部材のほかに、胴差し、土台等の水平に架設する部材であれば実施可能である。
さらに、前記掛止部21は前記ボルト21a等の棒状部材で実施すると、取り付けやすく強度も高いので好ましいがこれに限定されるものではない。要するに、鋼製小梁(鋼製横架材)2の左右両側面に突き出すような突起物を形成できれば同様に実施可能である。
【0026】
前記受け金物3は、本実施例では、前記木製大梁1の前記切欠き凹部11、11に位置決めする平板状の位置決め部31、31と、前記位置決め部31、31に略直角に垂設され前記木製大梁1の側面12に定着する左右の定着部32、32と、前記定着部32、32の下端部同士を略水平に連結する構成で前記鋼製小梁2の端部を支持する支持部33と、前記支持部33の前方に延設され前記鋼製小梁2の掛止部21が掛け止まる被掛止部34、34とを備えている。
また、前記支持部33は、本実施例では、前記鋼製小梁2の端部の底面を支持する受部33aと、前記受部33aの両側縁部から前記鋼製小梁2の両側面に沿って立ち上がり、前記鋼製小梁2のずり動きを拘束する立壁部33b、33bとを有し、図5Cが分かりやすいように、前記立壁部33bは前記定着部32と平面視略L字状に一体化した(折り曲げた)形状で実施されている。
【0027】
前記受け金物3の被掛止部34は、前記掛止部21(頭付きボルト21aの軸部)を落とし込み可能な凹溝状に形成され、本実施例では、下方から上方に向けて末広がりとなるテーパー状に形成されている。テーパー状の代わりに湾曲状、屈曲状に形成してもよい。このように前記被掛止部34を下方から上方に向けて末広がり形状で実施する意義は、前記鋼製小梁2の掛止部21を受け入れつつ徐々にスムーズに設計図面通りの部位に無理なく引き寄せて部材の許容差を確実に吸収するためにある。この効果を発揮するには、前記凹溝状の溝壁部のうち少なくとも前方側の溝壁部34a(図5B参照)を下方から上方に向けて前記木製大梁1と離間するように形成して実施することが好ましい。より具体的には、下方から上方に向けて前記木製大梁1と離間するようにテーパー状に傾斜(前傾)させたり湾曲状や屈曲状に形成したりして実施することが好ましい。
【0028】
前記受け金物3の大きさは、一例として、前記位置決め部31が、前記した幅寸45mm程度、板厚3.2mm程度であり、前記定着部32が、上辺45mm程度、下辺10mm程度、高さ445.4mm程度、板厚3.2mm程度であり、前記支持部33の受部33aが、幅寸120mm程度、突き出し寸法が85mm程度、前記立壁部33bが、幅寸50mm程度、高さが445.4mm程度で実施されている。
ちなみに、図中の符号31a(左右に計2箇所)、32a(左右に計12箇所)は、ビス6を通すビス孔を示し、符号32b(左右に計2箇所)は、羽子板ボルト5のボルト部51を通すボルト孔を示し、符号33c(左右に計2箇所)は、支持ボルト7を通すボルト孔を示している。前記ビス孔31a等の数量は、構造設計等に応じて適宜増減可能である。
【0029】
なお、前記受け金物3の大きさは勿論前記に限定されず、木造軸組構法に用いる前記木製大梁1、前記鋼製小梁2等の部材の大きさを含む構造設計に応じて適宜設計変更可能である。前記被掛止部34の形成部位も前記鋼製小梁2の掛止部21の設置部位に応じて適宜設計変更可能である。
【0030】
次に、木製大梁(木製横架材)1と鋼製小梁(鋼製横架材)2とを受け金物3を介して直交方向に接合してなる接合構造を実現するための接合手段について説明する。なお、以下に説明する手順はあくまでも一例に過ぎないことを念のため特記しておく。
先ず準備段階として、前記木製大梁1を木造軸組構法により、対向する平行な配置に6~8m程度の間隔をあけて2本架設する。この段階で、対向する木製大梁1、1に設けた切欠き凹部11、11は、軸線が略一致する配置(線対称配置)に設けられている。
【0031】
次に、図1に示したように、前記受け金物3を、その左右の位置決め部31、31が、それぞれ対応する前記木製大梁1の切欠き凹部11、11内に載置して位置決めし、定着部32、32を前記木製大梁1の側面12に当接させる。そうすると、前記位置決め部31、31の上面は木製大梁1の上面と略面一になり不陸を生じることもなく、また、前記受け金物3は木製大梁1に安定した状態で吊り下げることができるので、その後に行う作業も効率良く進めることができる。
次に、前記受け金物3の位置決め部31及び定着部32にそれぞれ設けたビス孔31a、32aにビス6を通し、それぞれ前記木製大梁1の上面と側面12にねじ込むことにより前記受け金物3を、図2に示したように前記木製大梁1に定着させる。
対向する平行な配置に設けた一方の木製大梁1にも同様に受け金物3の取り付け作業を行い、もって、受け金物3、3同士を相対峙させる。
【0032】
しかる後、前記受け金物3、3の間に、所定の高さまで吊り上げた前記鋼製小梁2を架設する作業を行う。
前記鋼製小梁2の両端部には予め前記掛止部21を設けておき、図2図3に段階的に示したように、その長手方向の一端部を前記受け金物3の支持部33(受部33a、立壁部33b)内へ嵌め込む。その際に、前記一端部側の前記掛止部21のボルト軸部を前記受け金物3の被掛止部(凹溝部)34内へ落とし込む。前記掛止部21を形成する頭付きボルト21aとナット21bは締結作業時に前記被掛止部34の板厚分(本実施例では3.2mm程度)だけ緩めておき、掛け止め作業が一段落した段階で本締めすることが好ましい。
【0033】
そうすると、前記鋼製小梁2の一端部は、前記被掛止部34の溝壁部34aの前傾姿勢の傾斜効果により徐々に前記受け金物3側、ひいては木製大梁1側へ引き寄せられ、構造設計図面通りの正確な位置に配置される。前記鋼製小梁2の他端部についても同様の作業をほぼ同時期に行い、やはり構造設計図面通りの正確な位置に配置される。
しかる後、芯が一致したボルト孔2b、33cへ前記支持ボルト7を略水平に貫通させ、座金9を介してナット8で締結することにより前記鋼製小梁2を前記受け金物3に定着させる。
【0034】
その後、図3図4に示したように、2つの羽子板ボルト5、5を、前記木製大梁1に形成した前記貫通孔13、13に略水平に貫通させて前記鋼製小梁2の両側面を挟むように位置決めし、そのボルト部51、51をナット10、10により締結する。そして、前記鋼製小梁2の両側面に設けたボルト孔2c、2cと羽子板部52、52に設けたボルト孔(図示略)との芯を一致させ、芯が一致したボルト孔へ支持ボルト7を略水平に貫通させ、座金9を介してナット8で締結することにより前記鋼製小梁2を前記木製大梁1に定着させる。
前記鋼製小梁2の他端部についても同様の作業をほぼ同時期に行い、もって、前記鋼製小梁2を受け金物3、ひいては木製大梁1に架設する。
【0035】
かくして、実施例1に係る木製大梁(木製横架材)1と鋼製小梁(鋼製横架材)2との接合構造は、前記位置決め部31が前記木製大梁1の切欠き凹部11に位置決めされ、前記定着部32が前記木製大梁1の側面12に定着された前記受け金物3の被掛止部34に前記鋼製小梁2の掛止部21が掛け止められると共に、前記支持部33(受部33a、立壁部33b、33b)に前記鋼製小梁2の端部が支持されて接合され、設計図面通りの接合構造(架設構造)を呈する。
【0036】
したがって、実施例1に係る木製大梁(木製横架材)1と鋼製小梁(鋼製横架材)2の接合構造によれば、所定の強度・剛性を備えた接合構造を実現できることはもとより、前記鋼製小梁2に設けた掛止部21を前記受け金物3に設けた被掛止部34に掛け止めることにより簡単かつ確実に部材の許容差の吸収できるので、設計図面通りの接合構造を実現できる。
【実施例2】
【0037】
図6図9は、実施例2に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造を示している。
この実施例2に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造は、上記実施例1と比し、前記受け金物3に、前記木製横架材(木製大梁)1と前記鋼製横架材(鋼製小梁)2とを接触させないための遮蔽部35を付設している点が相違する。その他の構成は実施例1と同一なので同一の符号を付してその説明を省略する。
【0038】
この実施例2に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造は、前記受け金物3に前記遮蔽部35を付設したにすぎないので、接合要領については上記実施例1と特に変わりはない。よって、前記段落[0036]に記載した上記実施例1と同様の作用効果を奏する。
加えて、前記遮蔽部35による遮蔽効果により、強度・剛性が高い前記鋼製小梁2の端面が前記木製大梁1の側面にめり込むことを確実に防止できるので、梁接合部の回転剛性を向上させることができる等、健全性に優れた接合構造を実現できる。
なお、前記遮蔽部35の形状は図示例に限定されず、要するに、前記木製横架材(木製大梁)1と前記鋼製横架材(鋼製小梁)2とを接触させない形状であればよい。例えば、図14に示すような、高さ寸法が低い遮蔽部35を備えた受け金物3であっても同様の効果を発揮できる。
【実施例3】
【0039】
図10図13は、実施例3に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造を示している。この実施例3に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造は、上記実施例1と比し、主として前記鋼製横架材(鋼製小梁)2の構成が相違する。
【0040】
すなわち、実施例3に係る鋼製小梁2は、その上面に、前記木製大梁(木製横架材)1よりも断面サイズが小さい木製小梁(小型木製横架材)4が重合され、前記木製小梁4もその両端部が前記木製大梁1に接合されている。また、前記木製小梁4の上面と前記木製大梁1の上面とは略面一に揃えられている。すなわち、この実施例3に係る鋼製小梁2は、上記実施例1に係る鋼製小梁2よりも前記木製小梁4を高さ分だけ低く成形した鋼製小梁2を用いて実施している。
具体的に、この実施例3に係る鋼製小梁2は、断面サイズが縦寸330mm程度、横寸120mm程度、板厚6mm程度の角形鋼管で実施されている。前記木製小梁4は、断面サイズが縦寸105mm程度、横寸120mm程度の角材で実施されている。
【0041】
ちなみに、前記木製小梁4の縦寸及び横寸を105mm以上で実施する意義は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で定められた存在床倍率を満たすことができ、構造性能試験等や構造解析等で性能確認等する必要がないからである。もっとも、前記木製小梁4の縦寸及び横寸は105mm以上に限定されるわけではない。構造性能試験や構造解析等で性能確認等した場合には、それぞれ105mm未満とした構成で実施することもできる。
【0042】
次に、前記鋼製小梁2及び前記木製小梁4を前記木製大梁1に接合する手段について説明する。
前記鋼製小梁2を前記木製大梁1に接合する手段は、鋼製小梁2の高さ寸法が低くなったものの特に変わりはないのでその説明を割愛する(図2図4図11図13とを対比して参照)。
【0043】
前記木製小梁4を前記木製大梁1に接合する手段を行うにあたり、先ず木製大梁1、1間に前記鋼製小梁2を架設しておき、架設した鋼製小梁2の上面に前記木製小梁4を載せて位置決めする。そうすると寸法上、前記木製小梁4の上面は、前記木製大梁1の上面と略面一になり、前記木製小梁4の両側面は、前記鋼製小梁2の両側面と略面一になる。
次に、前記段落[0034]で説明した前記鋼製小梁2を前記木製大梁1に接合した要領と同様に、図12図13に示したように、2つの羽子板ボルト5、5を、前記木製大梁1に形成した貫通孔13、13に略水平に貫通させて前記木製小梁4の両側面を挟むように位置決めし、そのボルト部51、51をナット10、10により締結する。そして、前記木製小梁4の両側面を略水平に貫通させておいたボルト孔(図示略)と羽子板部52、52に設けたボルト孔(図示略)との芯を一致させ、芯が一致したボルト孔へ支持ボルト7を略水平に貫通させ、座金9を介してナット8で締結することにより前記木製小梁4を前記木製大梁1に定着させる。
すなわち、実施例3に係る木製大梁1と受け金物3は、前記木製小梁4を増設することに伴い、貫通孔13、ボルト孔32bを増設している。
前記木製小梁4の他端部についても同様の作業をほぼ同時期に行い、もって、前記木製小梁4も受け金物3、ひいては木製大梁1に架設する。
【0044】
かくして、実施例3に係る前記鋼製小梁2(及び前記木製小梁4)と前記木製大梁1との接合構造は、前記位置決め部31が前記木製大梁1の切欠き凹部11に位置決めされ、前記定着部32が前記木製大梁1の側面12に定着された前記受け金物3の被掛止部34に前記鋼製小梁2の掛止部21が掛け止められると共に、前記支持部33(受部33a、立壁部33b、33b)に前記鋼製小梁2の端部が支持され、設計図面通りの接合構造(架設構造)を呈する。前記木製小梁4もまた同様に、前記鋼製小梁2の上面に載置する構成で前記支持部33(立壁部33b、33b)に前記木製小梁4の端部が支持され、設計図面通りの接合構造を呈する。
【0045】
この実施例3に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造は、上記したように、接合要領について上記実施例1と特に変わりはなく、よって、前記段落[0036]に記載した上記実施例1と同様の作用効果を奏する。
その他、この実施例3では、上下に配置した木製小梁4と鋼製小梁2とを、地震力等によるせん断力を負担するような接合を行わないことで、木製小梁4が鋼製小梁2から独立して水平荷重を負担する構成を実現することができる。もちろん、前記木製小梁4と前記鋼製小梁2とを接合した構成で実施することもできる。
【実施例4】
【0046】
図14図17は、実施例4に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造を示している。この実施例4に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造は、上記実施例3と比し、前記受け金物3に、前記木製横架材(木製大梁)1と前記鋼製横架材(鋼製小梁)2とを接触させないための遮蔽部35を付設している点が相違する。その他の構成は実施例3と同一なので同一の符号を付してその説明を省略する。
【0047】
この実施例4に係る木製横架材と鋼製横架材との接合構造は、前記受け金物3に前記遮蔽部35を付設したにすぎないので、接合要領については上記実施例3と特に変わりはない。よって、前記段落[0045]に記載した上記実施例3と同様の作用効果を奏する。
加えて、前記遮蔽部35による遮蔽効果により、強度・剛性が高い前記鋼製小梁2の端面が前記木製大梁1の側面にめり込むことを確実に防止できるので、梁接合部の回転剛性を向上させることができる等、健全性に優れた接合構造を実現できる。
【0048】
なお、前記遮蔽部35の形状は図示例に限定されず、要するに、前記木製横架材(木製大梁)1と前記鋼製横架材(鋼製小梁)2とを接触させない形状であればよい。
【0049】
以上、上記実施例1~4を図面に基づいて説明したが、本発明は図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションを含むことを念のため申し添える。
【0050】
例えば、上記実施例3、4に係る木製小梁4は、前記木製大梁1に対し、羽子板ボルト5で接合しているがこれに限定されず、図18図20に例示したような差込み型の接合部材6を用いて接合することもできる。
具体的に、前記接合部材6は、前記木製小梁4の端部に形成されたスリット状の切り欠き溝41に差し込まれる板状の小梁側接合部61と、前記木製大梁1の側面部に形成されたT字形スリット状の切り欠き溝14に差し込まれる平面視が略T字形状の大梁側接合部62とで構成されている。
前記小梁側接合部61には、2箇所にピン孔63とピン受け64が形成され、前記木製小梁4の側面にも前記ピン孔及びピン受けと対応する部位に芯を一致させた略同一形状のピン孔42が2つ平行に形成されている。
前記木製小梁4に形成された切り欠き溝41は、その上面から前記小梁側接合部61を差し込むことができ、差し込んだ小梁側接合部61の上端が木製小梁4の上面から突き出すことなく内部に嵌まって納まる形状、大きさに形成されている。
一方、前記木製大梁1に形成された切り欠き溝14も、その上面から前記大梁側接合部62を差し込むことができ、差し込んだ大梁側接合部62の上端が木製大梁1の上面から突き出すことなく内部に嵌まって納まる形状、大きさに形成されている。
そして、前記木製小梁4を前記鋼製小梁2の上面に載せて位置合わせをした際に、図19に示すように、前記木製小梁4に形成された切り欠き溝41と、木製大梁1に形成された切り欠き溝14とで、平面的に見て連通する略T溝形状となる構成を呈する。
【0051】
前記木製小梁4と木製大梁1とを前記接合部材6を用いて接合する要領は、先ず、前記木製小梁4を鋼製小梁2の上面に載せて、木製小梁4に形成された切り欠き溝41の位置を、木製大梁1に形成された切り欠き溝14の位置に合わせて平面的に見て連通するT字状となるように位置決めする。
次に、前記接合部材6を、木製小梁4及び木製大梁1の上面から前記切り欠き溝41及び14の内部へ差し込む。そして、前記小梁側接合部61のピン孔63及びピン受け64の位置を、前記木製小梁4のピン孔42、42の位置に合わせる。そして、各ピン孔42、63、及びピン受け64へドリフトピン20を通して前記接合部材6を木製小梁4に固定し、もって前記木製小梁4が木製大梁1に接合される。
なお、前記木製小梁4の切り欠き溝41に予め接合部材6の小梁側接合部61を差し込み、各ピン孔42等に通したドリフトピン20で固定した状態で木製小梁4を所要の高さまで吊り上げ、大梁側接合部62を木製大梁1の切り欠き溝14に差し込みつつ、前記木製小梁4を鋼製小梁2の上面に載せて接合する方法でも実施できる。
【符号の説明】
【0052】
1 木製横架材(木製大梁)
11 切欠き凹部
12 側面
13 貫通孔
14 切り欠き溝
2 鋼製横架材(鋼製小梁)
21 掛止部
21a 頭付きボルト
21b ナット
21c 座金
2a、2b、2c ボルト孔
3 受け金物
31 位置決め部
31a ビス孔
32 定着部
32a ビス孔
32b ボルト孔
33 支持部
33a 受部
33b 立壁部
33c ボルト孔
34 被掛止部
34a 溝壁部
35 遮蔽部
4 小型木製横架材(木製小梁)
41 切り欠き溝
42 ピン孔
5 羽子板ボルト
51 ボルト部
52 羽子板部
6 接合部材
61 小梁側接合部
62 大梁側接合部
63 ピン孔
64 ピン受け
7 支持ボルト
8 ナット
9 座金
10 ナット
20 ドリフトピン
30 ビス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20