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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ばね式張力バランサの引き出し搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B60M 1/26 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B60M1/26 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019023109
(22)【出願日】2019-02-13
(65)【公開番号】P2020131730
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】591048830
【氏名又は名称】日本電設工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】田川 晴一
(72)【発明者】
【氏名】田村 崇
(72)【発明者】
【氏名】濱田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】川崎 伯晃
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-290410(JP,A)
【文献】特開2004-42780(JP,A)
【文献】特開2010-173545(JP,A)
【文献】特開2017-210055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60M 1/26
B60M 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばねを内蔵し後方の基端側が支持構造物に係止される外筒と、この外筒内に入れ子式に嵌挿され前方の先端が外筒の先端側へ突出するように配置され前記ばねにより外筒の基端側へ引き込む方向に付勢される内筒とを備え、内筒の先端側に架空線が接続され当該架空線に一定の張力を付与するばね式張力バランサの当該内筒を所望位置まで外筒から引き出した状態で設置現場まで搬送するための装置であって、
前記バランサを保持する架台と、前記内筒を所望位置まで前記外筒から引き出すための油圧シリンダを含む引き出し部材と、引き出された前記内筒を前記外筒に固定することによって前記引き出し部材の撤去を許容する固定部材とを具備し、
前記架台は、前記外筒を水平に固定して保持する外筒支持部と、前記油圧シリンダを着脱自在に係止する少なくとも一対のシリンダ係止部とを具備し、
前記引き出し部材は、前記内筒の先端部に着脱自在に固定される引き出し金具と、この引き出し金具と前記シリンダ係止部との間に着脱自在に固定される少なくとも一対の前記油圧シリンダとを具備し、
前記固定部材は、引き出された前記内筒の先端部に着脱自在に固定される固定ヨークと、この固定ヨークと前記外筒の先端部との間に介設されるテンション部材とを具備することを特徴とするばね式張力バランサの引き出し搬送装置。
【請求項2】
前記内筒は、前方の先端部から半径方向下方へ延出して前記外筒の外周に沿って後方へ軸線方向へ延びる内筒引き出し長のインジケータを具備し、
前記架台は、上部が開放した直方体トラス構造の鋼製の架台本体を含み、
前記外筒支持部は、前記インジケータを下方に向け、当該インジケータが接地しない高さ位置において前記外筒を水平に載せ受けるように、前記架台本体の内側に複数固着されることを特徴とする請求項1に記載のばね式張力バランサの引き出し搬送装置。
【請求項3】
前記内筒は、それの軸線方向前後に並んだ第1及び第2の垂直方向の係止孔を有するクレビスを先端側に具備し、
前記架台のシリンダ係止部は、前記油圧シリンダを前記内筒の両外側をそれの軸線と平行に前後方向に延びるように保持可能に配置され、
前記引き出し金具は、前記内筒の軸線と直交して左右方向に前記クレビスを貫通し中間部において前記クレビスの第1の係止孔に係止され両端部において前記一対の油圧シリンダのピストンロッドを接続可能に構成され、
前記固定ヨークは、前記内筒の軸線と直交して左右方向に水平に前記クレビスを貫通し中間部において前記クレビスの第2の係止孔に係止され、
前記テンション部材は、前記外筒の先端側に当接する当接部材と、この当接部材に一端が連結され前記内筒の左右外側を水平に並んで内筒と平行に伸び他端側が前記ヨークの両端部に接続される長さ調整自在の一対のテンションロッドとを具備することを特徴とする請求項1に記載のばね式張力バランサの引き出し搬送装置。
【請求項4】
前記架台は、後方に配置される第1の前記シリンダ係止部と、前方に配置される第2の前記シリンダ係止部とを具備し、
前記油圧シリンダは、前記第1のシリンダ係止部から前記第2のシリンダ係止部へと係止位置を変更可能に構成され、それにより前記内筒を2段階に分けて外筒から引き出し可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載のばね式張力バランサの引き出し搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ばね式張力バランサは、設置したときに所定の張力を得られるように、予めばね力に抗して、内筒を外筒から所定長さ引き出す工程を必要とする。本発明は、バランサの保管施設内等における内筒の引き出し工程において、作業用の支持架台として用いられ、引き出し工程が終了したら、そのまま、張力バランサを設置現場まで運搬するための搬送用架台として用いられるばね式張力バランサの引き出し搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ばね式張力バランサを設置現場において張力の調整を行わずに、と架空線と接続できるように、予め製造工場等、所要の設備を有する施設において、外筒から内筒を所望長さ引き出す張力調整が行われる。張力調整後、張力バランサは、固定装置により、外筒と内筒を固定された状態で設置現場へ搬送される。固定装置は、張力バランサが、架空線へ接続された後、撤去される。この固定装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
この装置は、ばね式張力バランサの外筒(ケーシング)と内筒(ロッド)との間に着脱自在に介設されるもので、外筒の端部に当接する当接部材と、この当接部材に一端が連結され、内筒の両側をこれと平行に所定長さ伸びる一対の抗圧杆と、内筒の軸線と直交する方向に伸び、中間部が内筒のクレビス(引手)に係止され、両端において一対の抗圧杆の他端に連結される固定ヨークとを具備する。固定装置を張力バランサに装着することにより、電車線に対する所定の張力が得られるまで内筒をばね力に抗して外筒から引き出した状態を抗圧杆で維持する。張力バランサを設置した後に、固定装置を撤去すれば、張力バランサは所定の張力で電車線を引き留めることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-42780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記張力バランサの張力調整作業には、所要の設備を必要とするので、張力バランサが製造工場から納入された後、保管されている施設内では張力調整作業を行うことができない。このため、従来は、張力バランサを所要の設備を有する製造工場等に戻して張力調整をした後、そこから設置現場へ搬送している。製造工場等から設置現場への張力バランサの搬送は、付属する張力のインジケータが損傷しないように、これを上向きにしてパレット上に搭載した状態で行われる。張力バランサは、張力のインジケータを下向きにして設置する必要があるから、設置作業に当たっては、上下の向きを180°変えて高所へ吊り上げなければならない。この際インジケータが損傷しないように慎重に作業を進める必要があり、これが作業効率を低下させる要因となっている。
したがって、本発明の第1の課題は、張力バランサを支持して張力調整作業を製造工場以外の保管施設内等で容易に行うことができ、そこから設置現場への搬送と設置作業を効率的に行うことができるばね式張力バランサの引き出し搬送装置を提供することである。本発明の第2の課題は、加えて、インジケータに損傷を与えることなく、張力バランサの搬送と設置作業を行うことができるばね式張力バランサの引き出し搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明のばね式張力バランサの引き出し搬送装置1は、バランサ400を保持する架台100と、内筒420を所望位置まで外筒410から引き出す引き出し部材200と、引き出された内筒420を外筒410に固定することによって引き出し部材200の撤去を許容する固定部材300とを具備する。架台100は、外筒410を水平に固定して保持する外筒支持部120と、引き出し部材200の油圧シリンダ220を着脱自在に係止するシリンダ係止部130,131とを具備する。引き出し部材200は、内筒420の先端部に着脱自在に固定される引き出し金具210と、この引き出し金具210とシリンダ係止部130,131との間に着脱自在に固定される油圧シリンダ220とを具備する。固定部材300は、引き出し部材200により所望の引き出し位置まで引き出された内筒420の先端部に着脱自在に固定される固定ヨーク310と、この固定ヨーク310と外筒410の先端部との間に着脱自在に介設されるテンション部材320とを具備する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のばね式張力バランサの引き出し搬送装置1によれば、架台100上に張力バランサ400を支持した状態で、引き出し部材200によって容易に内筒420を外筒410から引き出し、張力の調整を行うことができ、調整後は、固定部材300により内筒420を外筒410に固定して引き出し部材200を撤去し、そのまま架台100上に張力バランサ400を固定して設置現場まで搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るばね式張力バランサの引き出し搬送装置における架台の正面図である。
図2図1の引き出し搬送装置の架台の平面図である。
図3図1の引き出し搬送装置の架台の側面図である。
図4図1のIV-IV矢視図斜視図である。
図5図1のV-V矢視図である。
図6図1のVI-VI矢視図である。
図7図1の引き出し搬送装置による引き出し操作を順を追って示す一部の平面図である。
図8図1の引き出し搬送装置による引き出し操作を順を追って示す一部の平面図である。
図9図1の引き出し搬送装置による引き出し操作を順を追って示す一部の平面図である。
図10図1の引き出し搬送装置による引き出し操作を順を追って示す一部の平面図である。
図11図1の引き出し搬送装置による引き出し操作を順を追って示す一部の平面図である。
図12図1の引き出し搬送装置による引き出し操作を順を追って示す一部の平面図である。
図13図7の状態の引き出し搬送装置の側面図である。
図14図10の状態の引き出し搬送装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図3において、引き出し搬送装置1を用いて張力の調整を行い、かつ搬送を行うばね式張力バランサ400は、ばねを内蔵し、後方の基端側が図示しない支持構造物に係止される外筒410と、この外筒410内に入れ子式に嵌挿され前方の先端が外筒410の先端側へ突出するように配置され、内蔵ばねにより外筒410の基端側へ引き込む方向に付勢される内筒420とを備え、内筒420の前方先端側に図示しない架空線が接続され、それにより架空線に一定の張力を付与する公知の張力バランサである。内筒420は、前方の先端部から半径方向下方へ延出して外筒410の外周に沿って後方へ軸線方向に延びる内筒引き出し長のインジケータ421を具備する。張力バランサ400は、下方から視認できるように、インジケータ421を下方に向けた状態で設置される。内筒420は、クレビス422を先端側に具備する。クレビス422は、内筒420の軸線方向前後に並んだ第1及び第2の垂直方向の係止孔422a,422bを有する。
【0010】
図7ないし図14に示すように、引き出し搬送装置1は、バランサ400を保持する架台100と、内筒420を所望位置まで外筒410から引き出すための油圧シリンダ220を含む引き出し部材200と、引き出された内筒420を外筒410に固定することによって引き出し部材200の撤去を許容する固定部材300とを具備する。
【0011】
図1ないし図6に示すように、架台100は、上部が開放した直方体トラス構造の鋼製の架台本体110と、外筒410を水平に固定して保持する外筒支持部120と、引き出し部材200の油圧シリンダ220を着脱自在に係止するシリンダ係止部130,131とを具備する。シリンダ係止部130は、後方左右に一対、シリンダ係止部131は、前方左右に一対それぞれ設けられる。
【0012】
外筒支持部120は、バランサ400の外筒410を水平に載せ受けるように、架台本体110の内側に複数固着される。外筒支持部120は、インジケータ421に干渉しないように左右に分かれて配置され、インジケータ421を下方に向け、かつインジケータ421が接地しない高さ位置においてバランサ400を水平に支持する。最前部の外筒支持部120の前端部には、前端当接部140が設けられる。前端当接部140は、外筒支持部120上に載せ受けられた外筒410の前端部の下半分の左右を当接させることにより、バランサ400の前方への移動を拘束する。
【0013】
図7図10に示すように引き出し部材200は、内筒420の先端部に着脱自在に固定される引き出し金具210と、この引き出し金具210とシリンダ係止部130,131との間に着脱自在に固定される一対の油圧シリンダ220とを具備する。
【0014】
引き出し金具210は、内筒420の軸線と直交して左右方向に水平にクレビス422を貫通し、中間部においてクレビス422の第1の係止孔422aにボルト211にて係止され、両端部において一対の油圧シリンダ220のピストンロッド221を接続可能である。
【0015】
油圧シリンダ220は、フランジ部222をシリンダ係止部130,131に係止され、バランサ400の左右側面に沿ってそれの軸線と平行に設置される。
【0016】
図示の実施形態においては、油圧シリンダ220は、架台の小型化の要請により、比較的小型のものが用いられる。このため、内筒420の引き出し長が油圧シリンダ220の伸張長さに足りない場合、二段階に分けて引き出し操作を行う。
【0017】
すなわち、図7に示すように、油圧シリンダ220を後方のシリンダ係止部130へ係止して第一段階の引き出し操作を行ったところで、図8に示すように、固定部材300により内筒420を外筒410に固定した後、油圧シリンダ220を後方のシリンダ係止部130から取り外し、図9図10に示すように、前方のシリンダ係止部131へ係止位置を移動して第二段階の引き出し操作を行うように構成される。このため、図3に示すように、後方のシリンダ係止部130と前方のシリンダ係止部131とは、油圧シリンダ220の着脱操作時に干渉を生じないように、設置位置が、バランサ400の中心軸周りに180°ずらしてある。したがって、図13図14に示すように、引き出し金具210は、油圧シリンダ220の係止位置を変更する際に、180°回転させてクレビス422に固定される。
【0018】
なお、内筒420の引き出し長が油圧シリンダ220の伸張長さに足りれば、シリンダ係止部130,131は一対のみで足り、2回に分けた引き出し操作も不要である。
【0019】
図8に示すように、固定部材300は、内筒420を引き出し位置において外筒410に固定するものであり、所望の引き出し位置まで引き出された内筒420と外筒410との間に介設される。固定部材300は、内筒420の先端側のクレビス422に固定される固定ヨーク310と、この固定ヨーク310と外筒410の先端部との間に介設されるテンション部材320とを具備する。
【0020】
固定ヨーク310は、内筒420の軸線と直交して左右方向に水平にクレビス422を貫通し、中間部においてクレビス422の第2の係止孔422bに角ピン311で係止される。
【0021】
テンション部材320は、当接部材321と、伸縮自在の一対のテンションロッド322とを具備する。当接部材321は、概略半円弧状の板材からなり、外筒410の先端部上半分に当接するように配置される。一対のテンションロッド322は、当接部材321に一端が固定され、他端側がヨーク310の両端部に接続される。テンションロッド322は、設置状態において内筒420の左右外側を水平に並んで内筒420と平行に前方へ伸びる。
【0022】
図示の実施形態の引き出し搬送装置1を用いた内筒420の引き出し工程を説明する。
【0023】
図1ないし図6に示すように、引き出し搬送装置1上にバランサ400をセットする。このとき、バランサ400のインジケータ421を下方に向け、クレビス422を水平に配置すると共に、外筒410の先端を前端当接部140に当接させる。
【0024】
次いで、図7図13に示すように、油圧シリンダ220を第1のシリンダ係止部130に係止すると共に、引き出し金具210をクレビス422の係止孔422aにボルト211で固定し、それの両端をピストンロッド221に接続する。油圧シリンダ220を図示しない油圧機に接続して仮想線で示すように、内筒420を所定長さ前方へ引き出す。
【0025】
次いで、油圧をかけたまま、図8に示すように、固定ヨーク310をクレビス422の第2の係止孔422bに角ピン311で取り付けると共に、テンション部材320の当接部材321を外筒410の先端に当接させ、テンションロッド322の長さを調整し、その先端を固定ヨーク310の両端に接続する。これで外筒410に対して所定の引き出し位置で内筒420が固定される。この引き出し操作により内筒420が所望の長さ引き出した後、油圧シリンダ220の油圧を解除し、ピストンロッド221を引き出し金具210から外すと共に、油圧シリンダ220と引き出し金具210を取り外せば、図8に示すように、引き出し工程は終了する。
【0026】
第2段の引き出し操作を必要とする場合には、図14に示すように、引き出し金具210を180°回転させてクレビス422に接続し、図9に示すように、油圧シリンダ220を第2の係止部131に係止し、ピストンロッド221の先端を引き出し金具210に接続する。油圧シリンダ220を加圧してピストンロッド221を少し突出させ、これにバランサ400の荷重が移ったことを確認したら、テンションロッド322を固定ヨーク310から外し、図10に示すように、油圧シリンダ220を再び加圧し、第2段の引き出し操作を行い、内筒420を所望の位置まで引き出す。
【0027】
第2段の引き出し操作が完了したら、図11に示すように、再び固定ヨーク310をクレビス422の第2の係止孔422bに角ピン311で取り付けると共に、テンション部材320の当接部材321を外筒410の先端に当接させ、テンションロッド322の長さを調整し、その先端を固定ヨーク310の両端に接続すれば、外筒410に対して所望の引き出し位置で内筒420が固定される。
【0028】
次いで、油圧シリンダ220の油圧を解除し、図12に示すように、ピストンロッド221を引き出し金具210から外すと共に、油圧シリンダ220と引き出し金具210を取り外す。
【0029】
ここまでの作業は、架台100に付属の引き出し部材200及び固定部材300を用いて、バランサ400の保管施設内において行うことができる。
【0030】
第1段または第2段の引き出し操作により、内筒420を所定長さ外筒410から引き出した図12に示す状態で、バランサ400をベルト等で架台100に固定し、この状態で、架台100に乗せて、バランサ400を設置現場へ搬送する。
【0031】
設置現場では、地上で架台100に対するバランサ400の拘束を解き、固定部材300を取り付けたまま、バランサ400を所定の取り付け高さ位置まで吊り上げ、外筒410の後端側を図示しない支持物に接続すると共に、内筒の先端側を図示しない電車線等の架空電に接続して荷重を架空線に移した後、固定部材300を取り外してバランサ400の設置が完了する。バランサ400は、インジケータ421を下方に向けた、設置姿勢と同じ上下方向の向きで架台100に保持されているから、設置工事に当たって、バランサ40の姿勢を上下転倒させる工程は不要である。
【符号の説明】
【0032】
1 引き出し搬送装置
100 架台
110 架台本体
120 外筒支持部
130 第1のシリンダ係止部
131 第2のシリンダ係止部
140 前端当接部
200 引き出し部材
210 引き出し金具
211 ボルト
220 油圧シリンダ
221 ピストンロッド
222 フランジ部
300 固定部材
310 固定ヨーク
311 角ピン
320 テンション部材
321 当接部材
322 テンションロッド
400 ばね式張力バランサ
410 外筒
420 内筒
421 インジケータ
422 クレビス
422a 第1の係止孔
422b 第2の係止孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14