(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】かご枠構造体及びそれを用いた盛土の復旧方法
(51)【国際特許分類】
E02D 17/20 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
E02D17/20 103G
E02D17/20 106
(21)【出願番号】P 2019070356
(22)【出願日】2019-04-02
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】391047190
【氏名又は名称】岡三リビック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390019323
【氏名又は名称】小岩金網株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000115463
【氏名又は名称】ライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100089635
【氏名又は名称】清水 守
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】中島 進
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武斗
(72)【発明者】
【氏名】小浪 岳治
(72)【発明者】
【氏名】大城戸 秀人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】小池 進文
(72)【発明者】
【氏名】片桐 隆太郎
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-054140(JP,A)
【文献】特開2012-092612(JP,A)
【文献】実開平04-089119(JP,U)
【文献】特開2000-178948(JP,A)
【文献】特開2019-206827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプを収容するパイプ収容かご枠を少なくとも1つ含む複数のかご枠を備えるかご枠構造体であって、
前記パイプ収容かご枠は、前記パイプが通過可能なパイプ通過穴を形成可能なパイプ通過パネルを正面及び背面に有し、
前記パイプ通過パネルは、第1開口を有する第1部分と、前記パイプ通過穴を形成可能なパイプ通過穴形成部を有する第2部分とが組み合わされて形成され、
前記パイプ通過穴形成部は正立姿勢の第2部分の上端に接して位置し、
前記パイプ収容かご枠の正面又は背面の一方
における前記第1部分に
は前記第2部分が正立姿勢で組み合わされ、
正面又は背面の他方
における前記第1部分に
は前記第2部分が倒立姿勢で組み合わされ、前記パイプ収容かご枠の正面と背面とで上下方向の位置が異なるように前記パイプ通過穴を形成可能であることを特徴とするかご枠構造体。
【請求項2】
前記第2部分は、大径線材を有する大目網と小径線材を有する小目網とが組み合わされて形成され、前記パイプ通過穴形成部は、前記大径線材によって周囲が画定され、前記小目網によって塞がれた大網目の1つである請求項1に記載のかご枠構造体。
【請求項3】
前記パイプ通過穴形成部は、前記大網目のうちで最大のものである請求項2に記載のかご枠構造体。
【請求項4】
前記パイプ通過穴は、前記パイプ通過穴形成部の小目網の一部を切り取ることによって形成される請求項2又は3に記載のかご枠構造体。
【請求項5】
前記パイプは、前記パイプ収容かご枠の正面と背面とで上下方向の位置が異なるように傾斜した姿勢で前記パイプ収容かご枠内に収容される請求項1~4のいずれか1項に記載のかご枠構造体。
【請求項6】
前記かご枠は、地盤材料が充填可能であり、複数段に積み重ね可能である請求項1~5のいずれか1項に記載のかご枠構造体。
【請求項7】
前記パイプは、前記地盤材料の流入を防止し、地盤に挿入される挿入部材が通過可能な空間を確保する請求項6に記載のかご枠構造体。
【請求項8】
段切りされた盛土の階段状部分に沿って複数のかご枠を複数段積み上げてかご枠構造体を構築する盛土の復旧方法であって、
前記複数のかご枠は、パイプを収容するパイプ収容かご枠を少なくとも1つ含み、
該パイプ収容かご枠は、前記パイプが通過可能なパイプ通過穴を形成可能なパイプ通過パネルを正面及び背面に有し、
前記パイプ通過パネルは、第1開口を有する第1部分と、前記パイプ通過穴を形成可能なパイプ通過穴形成部を有する第2部分とが組み合わされて形成され、
前記パイプ通過穴形成部は正立姿勢の第2部分の上端に接して位置し、
前記パイプ収容かご枠の正面又は背面の一方
における前記第1部分に
は前記第2部分が正立姿勢で組み合わされ、
正面又は背面の他方
における前記第1部分に
は前記第2部分が倒立姿勢で組み合わされ、前記パイプ収容かご枠の正面と背面とで上下方向の位置が異なるように前記パイプ通過穴を形成可能であることを特徴とする盛土の復旧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、かご枠構造体及びそれを用いた盛土の復旧方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道の線路、すなわち、軌道を地面よりも高い所に通すために、地盤の上に土砂を盛り上げて構築した盛土が広く使用されているところ、豪雨や地震によって盛土が大規模に崩壊した際には、早期復旧が重要であるため、大型土のうを積み上げて迅速に断面を確保する仮復旧を行い、これにより、列車の走行を再開させる。その後、仮土留め工を施工した上で、大型土のうを撤去し、盛土による本復旧を行うようになっている(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】山村、五日市、川中島、藤原、「2013年8月東北地方豪雨による被害と復旧対策(田沢湖線・花輪線)」、SED、No.43、pp.64-71、JR東日本構造技術センター、2014.5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の技術では、仮復旧として仮設構造物である大型土のうの構築、仮土留めの構築及び大型土のうの撤去を行った後、本復旧として本設構造物である盛土の構築を行うので、施工手順が煩雑となってしまう。また、盛土が被災する箇所は、地形的な要因等から弱点箇所となっていることがあり、繰り返し被災する懸念があるので、耐降雨性及び耐震性の向上を図る場合が多く、その場合、本復旧を行う際に排水パイプや補強材の施工の対策が取られるが、これらの対策の設計施工には時間が掛かり、復旧工事が長期化してしまう。例えば、排水パイプは、排水のために地中奥側端が高くなるように傾斜させることが望ましく、補強材は、内部にモルタルを充填する際のモルタルのこぼれだしを防ぐために地中奥側端が低くなるように傾斜させることが望ましいが、このように、排水パイプや補強材を傾斜させる設計施工には、時間が掛かってしまう。
【0005】
ここでは、前記従来の技術の問題点を解決して、仮復旧を行うことなく本復旧を行うことができ、排水パイプや補強材の後施工が可能であり、短期間で、容易に、かつ、確実に盛土を復旧することができるかご枠構造体及びそれを用いた盛土の復旧方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、かご枠構造体においては、パイプを収容するパイプ収容かご枠を少なくとも1つ含む複数のかご枠を備えるかご枠構造体であって、前記パイプ収容かご枠は、前記パイプが通過可能なパイプ通過穴を形成可能なパイプ通過パネルを正面及び背面に有し、前記パイプ通過パネルは、第1開口を有する第1部分と、前記パイプ通過穴を形成可能なパイプ通過穴形成部を有する第2部分とが組み合わされて形成され、前記パイプ通過穴形成部は正立姿勢の第2部分の上端に接して位置し、前記パイプ収容かご枠の正面又は背面の一方における前記第1部分には前記第2部分が正立姿勢で組み合わされ、正面又は背面の他方における前記第1部分には前記第2部分が倒立姿勢で組み合わされ、前記パイプ収容かご枠の正面と背面とで上下方向の位置が異なるように前記パイプ通過穴を形成可能である。
【0007】
他のかご枠構造体においては、さらに、前記第2部分は、大径線材を有する大目網と小径線材を有する小目網とが組み合わされて形成され、前記パイプ通過穴形成部は、前記大径線材によって周囲が画定され、前記小目網によって塞がれた大網目の1つである。
【0008】
更に他のかご枠構造体においては、さらに、前記パイプ通過穴形成部は、前記大網目のうちで最大のものである。
【0009】
更に他のかご枠構造体においては、さらに、前記パイプ通過穴は、前記パイプ通過穴形成部の小目網の一部を切り取ることによって形成される。
【0010】
更に他のかご枠構造体においては、さらに、前記パイプは、前記パイプ収容かご枠の正面と背面とで上下方向の位置が異なるように傾斜した姿勢で前記パイプ収容かご枠内に収容される。
【0011】
更に他のかご枠構造体においては、さらに、前記かご枠は、地盤材料が充填可能であり、複数段に積み重ね可能である。
【0012】
更に他のかご枠構造体においては、さらに、前記パイプは、前記地盤材料の流入を防止し、地盤に挿入される挿入部材が通過可能な空間を確保する。
【0013】
盛土の復旧方法においては、段切りされた盛土の階段状部分に沿って複数のかご枠を複数段積み上げてかご枠構造体を構築する盛土の復旧方法であって、前記複数のかご枠は、パイプを収容するパイプ収容かご枠を少なくとも1つ含み、該パイプ収容かご枠は、前記パイプが通過可能なパイプ通過穴を形成可能なパイプ通過パネルを正面及び背面に有し、前記パイプ通過パネルは、第1開口を有する第1部分と、前記パイプ通過穴を形成可能なパイプ通過穴形成部を有する第2部分とが組み合わされて形成され、前記パイプ通過穴形成部は正立姿勢の第2部分の上端に接して位置し、前記パイプ収容かご枠の正面又は背面の一方における前記第1部分には前記第2部分が正立姿勢で組み合わされ、正面又は背面の他方における前記第1部分には前記第2部分が倒立姿勢で組み合わされ、前記パイプ収容かご枠の正面と背面とで上下方向の位置が異なるように前記パイプ通過穴を形成可能である。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、仮復旧を行うことなく本復旧を行うことができ、排水パイプや補強材の後施工が可能であり、短期間で、容易に、かつ、確実に盛土を復旧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施の形態におけるかご枠構造体を用いた盛土の復旧方法を示す概念図である。
【
図2】本実施の形態におけるかご枠構造体を用いて復旧された盛土を示す概念図である。
【
図3】本実施の形態における構築途中のかご枠構造体を示す写真である。
【
図4】施工された一般的な補強材を示す概念図である。
【
図5】施工された一般的な排水パイプを示す概念図である。
【
図6】本実施の形態におけるかご枠構造体の構成を示す斜視図である。
【
図7】本実施の形態における第2かご枠の前後部網板の他の例を示す図である。
【
図8】本実施の形態における第2かご枠の保孔管傾斜用前後部網板の第1の例を示す図である。
【
図9】本実施の形態における第2かご枠の保孔管傾斜用前後部網板の第2の例を示す図である。
【
図10】本実施の形態における傾斜した保孔管が第2内部空間内に収容された第2かご枠の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は本実施の形態におけるかご枠構造体を用いた盛土の復旧方法を示す概念図、
図2は本実施の形態におけるかご枠構造体を用いて復旧された盛土を示す概念図、
図3は本実施の形態における構築途中のかご枠構造体を示す写真、
図4は施工された一般的な補強材を示す概念図、
図5は施工された一般的な排水パイプを示す概念図である。なお、
図1において、(a)は崩壊した盛土を示す図、(b-1)~(b-3)は従来の技術による盛土の復旧の各工程を示す図、(c-1)~(c-3)は本実施の形態における盛土の復旧の各工程を示す図である。
【0018】
図において、31は、原地盤32の上に構築された地盤としての盛土である。該盛土31は、
図1の画面に対して垂直な方向に延在し、例えば、道路を支持するために使用されるものであってもよいし、河川の堤防として使用されるものであってもよいし、いかなる用途に使用されるものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、鉄道の線路、すなわち、軌道を支持するために使用されるものであるとする。
【0019】
図1(a)には、豪雨や地震によって法面33を含む盛土31の一部が崩壊した状態が示されている。「背景技術」の項で説明した従来の技術では、
図1(b-1)~(b-3)に示されるようにして、崩壊した盛土31を復旧する。すなわち、まず、
図1(b-1)に示されるように、土のう34を積み上げて盛土31の断面を確保する。続いて、
図1(b-2)に示されるように、仮土留め36を施工して土のう34を撤去する。これにより、仮復旧が完了する。次に、
図1(b-3)に示されるように、盛土31を再構築し、法面33も形成する。これにより、本復旧が完了する。
【0020】
これに対し、本実施の形態においては、
図1(c-1)~(c-3)に示されるようにして、崩壊した盛土31を復旧する。すなわち、まず、
図1(c-1)に示されるように、階段状に盛土31を削る段切り施工を行う。続いて、
図1(c-2)に示されるように、段切りされた盛土31の階段状部分に沿ってかご枠構造体10を構築し、該かご枠構造体10内に砕石等の地盤材料を充填するかご工を行う。これにより、本復旧が完了する。その後、
図1(c-3)に示されるように、挿入部材40をかご枠構造体10を通して地盤としての盛土31内に挿入する。これにより、排水性や耐震性を更に向上させることができる。
【0021】
なお、本実施の形態において、かご枠構造体10の各部及びその他の部材の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記かご枠構造体10の各部及びその他の部材が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0022】
本実施の形態におけるかご枠構造体10は、
図2に示されるように、積み上げられた複数の第1かご枠11及び少なくとも1つの第2かご枠12をかご枠として含んでいる。
【0023】
前記第1かご枠11の各々は、一般的なかご枠部材と同様に、略直方体状の第1内部空間17を有し、さらに、該第1内部空間17の底面を画定するかご材としての略長方形状の後述される底部網板13と、前記第1内部空間17の左右の側面を画定するかご材としての略長方形状の後述される一対の側部網板14と、前記第1内部空間17の正面及び背面、すなわち、前後面を画定するかご材としての略長方形状の後述される一対の前後部網板15とを有する。なお、図に示される例において、前記第1内部空間17の上面は、開放されているが、図示されない網板によって画定されていてもよい。また、左右に隣接する第1かご枠11同士は側部網板14を共有し、前後に隣接する第1かご枠11同士は前後部網板15を共有する。そして、前記第1内部空間17内には、
図3に示されるように、砕石等の地盤材料が充填される。
【0024】
また、前記第2かご枠12の各々は、略直方体状の第2内部空間18を有し、さらに、該第2内部空間18の底面を画定する略長方形状の後述される底部網板13と、前記第2内部空間18の左右の側面を画定する略長方形状の後述される一対の側部網板14と、前記第2内部空間18の正面及び背面、すなわち、前後面を画定する略長方形状の後述される一対の前後部網板15とを有する。なお、図に示される例において、前記第2内部空間18の上面は、開放されているが、図示されない網板によって画定されていてもよい。また、前記第2かご枠12は左右に隣接する第1かご枠11と側部網板14を共有し、前後に隣接する第2かご枠12同士は前後部網板15を共有する。
【0025】
そして、パイプ収容かご枠としての第2かご枠12の第2内部空間18内には、
図3に示されるように、砕石等の地盤材料が充填されるとともに縦方向に延在するパイプとしての保孔管21が収容される。また、パイプ通過パネルとしての前後部網板15には、保孔管21が通過可能なパイプ通過穴としての管通過穴19が形成されている。前記保孔管21は、挿入部材40が通過可能な空間を確保するためのパイプであり、かご枠構造体10内において、必ずしも密集して配設される必要はなく、ある程度の間隔を開けて配設されていればよい。したがって、保孔管21が収容される第2かご枠12も、
図2に示されるように、かご枠構造体10内において、ある程度の間隔を開けて配設されていればよい。つまり、保孔管21が収容される第2かご枠12は、かご枠構造体10内の任意の箇所に任意の数だけ、必要に応じて、配設することができる。
【0026】
また、前記保孔管21内を通過する挿入部材40は、
図4に示されるような補強材41又は
図5に示されるような排水パイプ42である。補強材41は、内部にモルタルを充填する際のモルタルのこぼれだしを防ぐために地中奥側端(
図4における右側端)が低くなるように傾斜させることが望ましい。また、排水パイプ42は、排水のために地中奥側端(
図5における右側端)が高くなるように傾斜させる。そのため、保孔管21も、挿入部材40が補強材41であるか、又は、排水パイプ42であるかに合わせて、傾斜させることが望ましい。なお、
図2は、挿入部材40が補強材41である例を示している。
【0027】
次に、前記第2かご枠12の構成について詳細に説明する。まず、保孔管21を傾斜させない場合の例について説明する。
【0028】
図6は本実施の形態におけるかご枠構造体の構成を示す斜視図、
図7は本実施の形態における第2かご枠の前後部網板の他の例を示す図である。なお、
図7において、(a)は下側部を示す図、(b)は上側部を示す図、(c)は下側部と上側部とを組み合わせた状態を示す図である。
【0029】
本実施の形態において、かご材としての底部網板13、側部網板14及び前後部網板15は、炭素鋼等の金属から成る線材を格子状又は網目状に形成した部材であるが、金属板に多数の穴を打ち抜き形成したパンチングメタルのような多孔板であってもよいし、多数の開口を有する板状の部材であれば、いかなる材料から成るものであっても、いかなる形状のものであってもよい。また、網目は、1辺の長さが、例えば、50~200〔mm〕程度の略正方形であるが、いかなる大きさであっても、いかなる形状であってもよい。さらに、前記底部網板13は、例えば、幅方向の寸法が500~2000〔mm〕程度、縦方向の寸法が1000〔mm〕程度の矩形部材であり、側部網板14は、例えば、高さ方向の寸法が500〔mm〕程度、縦方向の寸法が1000〔mm〕程度の矩形部材であり、前後部網板15は、例えば、高さ方向の寸法が500〔mm〕程度、幅方向の寸法が500~2000〔mm〕程度の矩形部材であるが、いかなる大きさであっても、いかなる形状であってもよい。
【0030】
図6に示されるように、第2かご枠12の前後部網板15は、第1部分としての下側部15Aと、第2部分としての上側部15Bとが組み合わされて形成される。そして、前記下側部15Aには、略U字状で上側が開放された第1開口としての下側凹部16Aが形成され、前記上側部15Bには、略U字状で下側が開放された第2開口としての上側凹部16Bが形成され、前記下側部15Aと上側部15Bとを組み合わせると、下側凹部16Aと上側凹部16Bとが組み合わされて、保孔管21が通過可能な大きさの略円形のパイプ通過穴としての管通過穴19が形成される。
【0031】
ここでは、比較的大きな円弧状部分を含む下側凹部16Aが形成された下側部15Aを1種類用意しておくとともに、前記下側凹部16Aの円弧状部分の径以下の径である円弧状部分を含む上側凹部16Bが形成された上側部15Bを用意しておく。なお、該上側部15Bは、円弧状部分の径が異なるものを複数種類用意しておくこともできる。そして、前記上側部15Bを選択的に下側部15Aと組み合わせることによって、前記管通過穴19の径が調整可能である。具体的には、保孔管21の外径に適合する径の円弧状部分を含む上側凹部16Bが形成された上側部15Bを選択し、該上側部15Bを下側部15Aと組み合わせることによって、保孔管21の外径に適合する大きさの管通過穴19を有するパイプ通過パネルとしての前後部網板15を構成することができる。
【0032】
これにより、1種類のみの下側部15Aを使用し、複数種類用意された上側部15Bのうちからいずれかを選択するだけで、複数種類の外径の保孔管21に適合する大きさの管通過穴19を有する前後部網板15を提供することができ、部品点数を削減することが可能となる。なお、必ずしも、円弧状部分の径が異なる第2部分が上側部15Bである必要はなく、円弧状部分の径が異なる第2部分が下側部15Aであってもよいが、ここでは、説明の都合上、第1部分が下側部15Aであって第2部分が上側部15Bである例についてのみ説明する。また、第2部分は3種類以上あってもよいが、ここでは、説明の都合上、第2部分としての上側部15Bが、
図6に示されるように、比較的小さな上側凹部16Bが形成された上側部15Bの例と、
図7に示されるように、比較的大きな上側凹部16Bが形成された上側部15Bの例との2種類である場合についてのみ説明する。
【0033】
図6に示される例では、下側部15Aには比較的大きな下側凹部16Aが形成されている。そして、上側部15Bを下側部15Aと組み合わせると、小径の保孔管21の外径に適合する大きさの小径の管通過穴19を有する前後部網板15を得ることができる。前記小径の保孔管21は、例えば、排水パイプ42を通すために使用される。
【0034】
一方、
図7(b)に示される例において、上側部15Bには、比較的大きな上側凹部16Bが形成されている。なお、
図7(a)に示されるような下側部15Aは、
図6に示される例と同様のものである。そして、
図7(c)に示されるように、上側部15Bを下側部15Aと組み合わせると、大径の保孔管21の外径に適合する大きさの大径の管通過穴19を有する前後部網板15を得ることができる。前記大径の保孔管21は、例えば、補強材41を通すために使用される。
【0035】
図6に示されるように、かご材を組み立てて第2かご枠12を構成する際には、まず、第2内部空間18の前後を画定する下側部15Aが取り付けられる。該下側部15Aは、複数個の仮止め金具22によって、左右に隣接する第1かご枠11の前後部網板15又は側部網板14に仮止めされる。そして、下側凹部16A内を通るように保孔管21が第2内部空間18内に載置された後、前記保孔管21の外径に適合する大きさの上側凹部16Bが形成された上側部15Bを下側部15Aと組み合わせる。これにより、保孔管21の外径に適合する大きさの管通過穴19を有するパイプ通過パネルとしての前後部網板15が構成される。なお、互いに組み合わされた上側部15B及び下側部15Aは、接続金具としての接続コイル23によって左右に隣接する第1かご枠11の前後部網板15に固定される。具体的には、
図7(c)に示されるように、上側部15B及び下側部15Aの左右両端において高さ方向に延在する線材が、左右に隣接する第1かご枠11の前後部網板15の左右両端において高さ方向に延在する線材に、接続コイル23によって固定される。その後、第2内部空間18内における保孔管21の周囲の空間に砕石等の地盤材料が充填される。
【0036】
前記保孔管21は、砕石等の地盤材料が充填される第2内部空間18内に挿入部材40が通過可能な空間を確保するためのパイプであり、例えば、塩化ビニル、炭素鋼等から成るパイプであるが、いかなる種類の材料から成るパイプであってもよいし、いかなる寸法のパイプであってもよい。
【0037】
次に、保孔管21を傾斜させる場合の例について説明する。
【0038】
図8は本実施の形態における第2かご枠の保孔管傾斜用前後部網板の第1の例を示す図、
図9は本実施の形態における第2かご枠の保孔管傾斜用前後部網板の第2の例を示す図である。なお、
図8及び9において、(a)は下側部を示す図、(b)は上側部を示す図、(c)は下側部と上側部とを組み合わせた状態を示す図である。
【0039】
ここでは、前後部網板15が、大目網25と小目網27とを組み合わせたものである場合について説明する。なお、底部網板13及び側部網板14は、
図6に示される例と同様に、大目網25のみから成るものであってもよいし、大目網25と小目網27とを組み合わせたものであってもよい。そして、大目網25は、正方格子状に配設された大径線材25aと、大網目26とを含んでいる。前記大径線材25aは、直径が、例えば、6〔mm〕程度の鋼材であり、前記大網目26は、1辺の長さが、例えば、50~200〔mm〕程度の略正方形である。また、小目網27は、正方格子状に配設された小径線材27aと、小網目28とを含んでいる。前記小径線材27aは、直径が、例えば、1〔mm〕程度の鋼材であり、前記小網目28は、1辺の長さが、例えば、10~40〔mm〕程度の略正方形である。このように、前後部網板15が目の細かい小目網27を含んでいるので、第1内部空間17及び第2内部空間18内に充填される砕石等の地盤材料が小粒の材料から成るものであっても、前後部網板15から外側にこぼれ出ることがない。
【0040】
図8(a)に示されるように、第2かご枠12の前後部網板15における第1部分としての下側部15Aは大目網25のみから成り、また、前記下側部15Aの下側凹部16Aは、略U字状で上側が開放された形状ではあるが、円弧状部分を含んでおらず、全体として矩形の凹部である。
【0041】
図8(b)に示されるように、第2かご枠12の前後部網板15における第2部分としての上側部15Bは、大目網25と小目網27とを組み合わせたものである。そして、前記大目網25の大網目26は、パイプ通過穴形成部として機能する線材省略部である極大網目26aを少なくとも1つ有する。また、図に示される例では、前記大目網25における極大網目26a以外の部分の大網目26は、さらに、長網目26b、短網目26c及び中網目26dに区分けされ、極大網目26a>長網目26b>中網目26d>短網目26cのように大きさが設定されている。なお、前記長網目26b、短網目26c及び中網目26dの区分けは、必ずしもこれに限定されるものでなく、適宜変更することができ、不要であれば、一律の大きさの大網目26だけにすることもできる。
【0042】
前記極大網目26aは、例えば、盛土31を復旧する現場においてかご枠構造体10を構築する際に、
図8(c)に示されるように、小目網27の一部を切り取って管通過穴19を形成する部分である。挿入部材40である補強材41としては、直径が、例えば、最大200〔mm〕程度のものの使用が想定されるから、前記挿入部材40を通す保孔管21が通過する管通過穴19の直径は、200〔mm〕以上必要である、と想定される。そこで、極大網目26aは、1辺の長さが、最大250〔mm〕程度に設定されることが望ましい。これにより、各種の直径の挿入部材40に対応する各種の保孔管21に応じた直径の管通過穴19を前記極大網目26aに形成することができる。また、前後部網板15は、第2内部空間18内に充填された砕石等の地盤材料の圧力である土圧を受ける部分であるところ、経験則によれば、極大網目26aの1辺の長さが約250〔mm〕以下であれば、極大網目26aに対応する小目網27は、大目網25の大径線材25aがなくても、前記土圧に対抗することができ、破断することがない。
【0043】
また、前記極大網目26aは、上側部15Bの幅方向中央部であって、上端又は下端に接して形成されることが望ましい。
図8(b)に示される例では、極大網目26aは、正立姿勢の上側部15Bの上端に接して位置している。これにより、
図8(c)に示されるように、上側部15Bと下側部15Aとを組み合わせた状態において、管通過穴19を前後部網板15の上端に接した部分に形成することができる。なお、
図7(c)に示される例と同様に、上側部15B及び下側部15Aの左右両端において大目網25の高さ方向に延在する大径線材25aが、左右に隣接する第1かご枠11の前後部網板15の左右両端において高さ方向に延在する大径線材25aに、接続コイル23によって固定される。
【0044】
そして、
図8(b)に示されるような極大網目26aが上側部15Bの上端に接して位置する上側部15Bを上下反転させて倒立させると、
図9(b)に示されるように、極大網目26aが上側部15Bの下端に接して位置する状態となる。また、下側部15Aの下側凹部16Aは、
図8(a)及び9(a)に示されるように、下側部15Aの下端に到達するように形成されている。これにより、
図9(c)に示されるように、
図9(b)に示される倒立姿勢の上側部15Bと下側部15Aとを組み合わせた状態において、管通過穴19を前後部網板15の下端に接した部分に形成することができる。
【0045】
したがって、例えば、
図8(c)に示されるような前後部網板15であって管通過穴19を上端に接した部分に形成した前後部網板15が第2内部空間18の正面を画定し、
図9(c)に示されるような前後部網板15であって管通過穴19を下端に接した部分に形成した前後部網板15が第2内部空間18の背面を画定するようにした第2かご枠12を用いてかご枠構造体10を構築する場合に、第2かご枠12を正面が法面33側を向き背面が地中奥側を向くような姿勢とすると、地中奥側端が低くなるように傾斜した姿勢で保孔管21を配設することができる。また、前記第2かご枠12を正面が地中奥側を向き背面が法面33側を向くような姿勢とすると、地中奥側端が高くなるように傾斜した姿勢で保孔管21を配設することができる。これにより、該保孔管21を挿入部材40が補強材41であるか、又は、排水パイプ42であるかに合わせて、傾斜させることができる。
【0046】
次に、傾斜した保孔管21が第2内部空間18内に収容された第2かご枠12について説明する。
【0047】
図10は本実施の形態における傾斜した保孔管が第2内部空間内に収容された第2かご枠の例を示す図である。なお、図において、(a)は概略側面図、(b)~(d)は概略横断面図であって(a)におけるA-A~C-C矢視断面図である。
【0048】
図8(c)に示されるような前後部網板15であって管通過穴19を上端に接した部分に形成した前後部網板15が第2内部空間18の正面を画定し、
図9(c)に示されるような前後部網板15であって管通過穴19を下端に接した部分に形成した前後部網板15が第2内部空間18の背面を画定するようにした第2かご枠12内に保孔管21を収容すると、該保孔管21は、
図10(a)に示されるように、ほぼ水平な底部網板13に対して傾斜した姿勢、すなわち、第2かご枠12の正面と背面とで上下方向の位置が異なるように傾斜した姿勢で配置される。そして、保孔管21の姿勢を安定させるため、また、第2かご枠12を補強するために、第2内部空間18の内部に少なくとも1つの中間網板15Cを配設することが望ましい。なお、
図10には、3つの中間網板15Cを配設した例が示されているが、中間網板15Cの数は任意に設定することができる。
【0049】
また、該中間網板15Cは、実質的には、
図8及び9に示される前後部網板15の下側部15Aと同様の構成を有するものであって、大目網25のみから成るとともに、略U字状で上側が開放された形状ではあるが、円弧状部分を含んでおらず、全体として矩形の凹部16Cを有する。
【0050】
第2かご枠12の第2内部空間18内に収容された保孔管21は、各中間網板15Cの凹部16C内に位置し、該凹部16Cの左右両側を画定して高さ方向に延在する大径線材25aによって、左右方向の変位が規制される。また、前記保孔管21の下面と底部網板13との間の空間に中詰材35を充填することによって、前記保孔管21を下方から支持して、該保孔管21の上下方向の位置を調整する。なお、前記中詰材35としては、砕石等の地盤材料と同様のものを使用することができる。
【0051】
次に、
図10(a)に示されるように、傾斜した保孔管21が第2内部空間18内に収容された第2かご枠12を得るための望ましい方法について説明する。
【0052】
まず、第2内部空間18の内部に少なくとも1つの中間網板15Cを配設するとともに、第2内部空間18の前面及び後面を画定する前後部網板15から上側部15Bを取り外す。この状態で、保孔管21を第2内部空間18内に配置し、前記保孔管21の下面と底部網板13との間の空間に中詰材35を充填することによって長手方向(
図10(a)における左右方向)の各部における保孔管21の上下方向の位置を調整し、該保孔管21を所定角度に傾斜させる。該保孔管21の傾斜が所定角度に設定された後、前面及び後面に取り付けられる上側部15Bの極大網目26aの各々における保孔管21に対応する位置に、小目網27の一部を切り取ることによって、管通過穴19を形成する。そして、該管通過穴19を有する上側部15Bを前面及び後面の下側部15Aに取り付けて前後部網板15を構成した後、第2内部空間18内に砕石等の地盤材料を充填する。これにより、第2内部空間18内に傾斜した保孔管21が収容され、砕石等の地盤材料が充填された第2かご枠12を得ることができる。
【0053】
次に、本実施の形態におけるかご枠構造体10を構築する方法について説明する。
【0054】
本実施の形態におけるかご枠構造体10は、
図2に示されるように、かご材を組み立てて第1かご枠11及び第2かご枠12を階段状に複数段(
図2に示される例では、6段)積み上げて構成される。この場合、かご材を組み立てて1段目を構成して砕石等の地盤材料を充填した後、その上にかご材を組み立てて2段目を構成する。なお、1段目に第1かご枠11のみならず第2かご枠12が含まれる場合には、該第2かご枠12の第2内部空間18内に保孔管21を配設して砕石等の地盤材料を充填した後、その上にかご材を組み立てて2段目を構成する。このような動作を繰り返して、第1かご枠11及び第2かご枠12を階段状に複数段積み上げる。
【0055】
図3には、構築途中のかご枠構造体10が示されている。最上段の第1かご枠11及び第2かご枠12が構成され、該第2かご枠12の第2内部空間18内に保孔管21が配設され、砕石等の地盤材料が充填された状態が示されている。
【0056】
このようにして、段切りされた盛土31の階段状部分に沿って、かご枠構造体10を構築することによって、
図1(c-2)に示されるように、崩壊した盛土31の本復旧が完了する。さらに、排水性や耐震性を向上させる必要があれば、本復旧が完了した後に、
図1(c-3)に示されるように、挿入部材40をかご枠構造体10に通して盛土31内に挿入する。なお、挿入部材40を盛土31内に挿入するために採用される工法は、例えば、RRR-C工法(例えば、非特許文献2参照。)であるが、いかなる種類の工法であってもよい。
【文献】http://www.rrr-sys.gr.jp/rrr-c.html 。
【0057】
図2には、耐震性を向上させるために、挿入部材40として補強材41を選択し、第2かご枠12の第2内部空間18内に配設された保孔管21を通して、前記補強材41を盛土31内に挿入する例が示されている。前述のように、
図8(c)に示されるような前後部網板15であって管通過穴19を上端に接した部分に形成した前後部網板15が第2内部空間18の前面を画定し、
図9(c)に示されるような前後部網板15であって管通過穴19を下端に接した部分に形成した前後部網板15が第2内部空間18の後面を画定するようにした第2かご枠12を用い、該第2かご枠12を前面が法面33側を向き後面が地中奥側を向くような姿勢とすると、
図2に示されるように、地中奥側端が低くなるように傾斜した姿勢で保孔管21を配設することができる。そして、
図4に示されるような補強材41が、保孔管21内を通過して、盛土31内に挿入されている。前記補強材41は、内部にモルタルを充填する際のモルタルのこぼれだしを防ぐために地中奥側端が低くなるように傾斜した姿勢で、盛土31内に挿入されている。このように、前記補強材41が盛土31内に挿入されているので、盛土31との間の固着力を十分に発揮することができ、地盤である盛土31が効果的に補強される。したがって、地震、降雨時等における法面33の崩壊を防止することができる。
【0058】
また、前記補強材41に代えて、
図5に示されるような排水パイプ42を挿入部材40として選択することもできる。前記排水パイプ42は、少なくとも盛土31に挿入される部分の円筒壁面に多数の貫通孔が形成された金属製の多孔管であって、第2かご枠12の第2内部空間18内に配設された保孔管21を通して、盛土31内に挿入される。前述のように、
図8(c)に示されるような前後部網板15であって管通過穴19を上端に接した部分に形成した前後部網板15が第2内部空間18の前面を画定し、
図9(c)に示されるような前後部網板15であって管通過穴19を下端に接した部分に形成した前後部網板15が第2内部空間18の後面を画定するようにした第2かご枠12を用い、該第2かご枠12を前面が地中奥側を向き後面が法面33側を向くような姿勢とすると、地中奥側端が高くなるように傾斜した姿勢で保孔管21を配設することができる。そして、排水パイプ42を、排水のために地中奥側端が高くなるように傾斜させることができる。すると、盛土31内の水分は、貫通孔から排水パイプ42内に進入して、第2かご枠12の正面における前後部網板15に開口する排水パイプ42の末端から外部に排出される。これにより、盛土31の底面近傍から水分を排出することができる。このように、地盤である盛土31内の間隙水圧を低減させ、地震、降雨時等における法面33の崩壊を防止することができる。
【0059】
このように、本実施の形態において、かご枠構造体10は、保孔管21を収容する第2かご枠12を少なくとも1つ含む複数のかご枠を備える。そして、第2かご枠12は、保孔管21が通過可能な管通過穴19を形成可能な前後部網板15を正面及び背面に有し、前後部網板15は、下側凹部16Aを有する下側部15Aと、管通過穴19を形成可能な極大網目26aを有する上側部15Bとが組み合わされて形成され、極大網目26aは正立姿勢の上側部15Bの上端に接して位置し、第2かご枠12の正面又は背面の一方の下側部15Aに上側部15Bが正立姿勢で組み合わされ、他方の下側部15Aに上側部15Bが倒立姿勢で組み合わされ、第2かご枠12の正面と背面とで上下方向の位置が異なるように管通過穴19を形成可能である。したがって、かご枠構造体10を構築する現場等において、管通過穴19を形成することができ、第2かご枠12の正面と背面とで上下方向の位置が異なるように、任意の位置に管通過穴19を形成して保孔管21を傾斜した姿勢で収容することが可能となる。そして、盛土31の復旧に使用すれば、仮復旧を行うことなく本復旧を行うことができ、短期間で、容易に、かつ、確実に盛土31を復旧することができる。
【0060】
また、本実施の形態において、盛土31の復旧方法は、段切りされた盛土31の階段状部分に沿って複数のかご枠を複数段積み上げてかご枠構造体10を構築する。そして、複数のかご枠は、保孔管21を収容する第2かご枠12を少なくとも1つ含み、第2かご枠12は、保孔管21が通過可能な管通過穴19を形成可能な前後部網板15を正面及び背面に有し、前後部網板15は、下側凹部16Aを有する下側部15Aと、管通過穴19を形成可能な極大網目26aを有する上側部15Bとが組み合わされて形成され、極大網目26aは正立姿勢の上側部15Bの上端に接して位置し、第2かご枠12の正面又は背面の一方の下側部15Aに上側部15Bが正立姿勢で組み合わされ、他方の下側部15Aに上側部15Bが倒立姿勢で組み合わされ、第2かご枠12の正面と背面とで上下方向の位置が異なるように管通過穴19を形成可能である。したがって、盛土31の復旧において、仮復旧を行うことなく本復旧を行うことができ、短期間で、容易に、かつ、確実に盛土31を復旧することができる。
【0061】
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示は、かご枠構造体及びそれを用いた盛土の復旧方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 かご枠構造体
12 第2かご枠
15 前後部網板
15A 下側部
15B 上側部
16A 下側凹部
19 管通過穴
21 保孔管
25 大目網
25a 大径線材
26a 極大網目
27 小目網
27a 小径線材
31 盛土
40 挿入部材
41 補強材
42 排水パイプ