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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20221125BHJP
   B60C 11/12 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B60C11/03 300C
B60C11/03 300E
B60C11/12 A
B60C11/12 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019106020
(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公開番号】P2020199789
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】望月 萌
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-203842(JP,A)
【文献】特開2011-42319(JP,A)
【文献】特開2013-107555(JP,A)
【文献】特開2018-1941(JP,A)
【文献】特開2011-98622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ赤道面のタイヤ幅方向の両側に形成された2つの第1周方向主溝と、第1周方向主溝のそれぞれのタイヤ幅方向の外側に形成された2つの第2周方向主溝と、2つの第1周方向主溝により区画されてタイヤ赤道面に位置する第1陸部と、第1周方向主溝と第2周方向主溝により区画された第2陸部と、を備えたタイヤであって、
第1陸部は、第1陸部をタイヤ幅方向に分割する周方向細溝と、周方向細溝のタイヤ幅方向の両側に形成されて第1周方向主溝と周方向細溝に開口する複数の幅方向溝と、複数の幅方向溝により周方向細溝のタイヤ幅方向の両側に区画された複数のブロックと、を有し、
第2陸部は、第1周方向主溝と第2周方向主溝に開口する複数の幅方向溝と、複数の幅方向溝により区画された複数のブロックと、を有し、
第1陸部において、周方向細溝のタイヤ幅方向の一方側の幅方向溝と他方側の幅方向溝は、タイヤ周方向に互い違いに配置され、
第1陸部のブロックと第2陸部のブロックのそれぞれは、タイヤ周方向の中央部に互いに隣接して形成された複数の幅方向サイプを有し、タイヤ周方向の両側の端壁からタイヤ周方向の中央部に向かってタイヤ幅方向の両側に次第に広がる形状に形成されたタイヤ。
【請求項2】
請求項1に記載されたタイヤにおいて、
第1陸部のブロックと第2陸部のブロックのそれぞれは、2つ又は3つの幅方向サイプを有するタイヤ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたタイヤにおいて、
第2陸部のブロックは、第1陸部のブロックよりもタイヤ幅方向に広いタイヤ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたタイヤにおいて、
第1陸部のブロックに形成された幅方向サイプの数は、第2陸部のブロックに形成された幅方向サイプの数よりも多いタイヤ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたタイヤにおいて、
第1陸部のブロックに形成された幅方向サイプは、第2陸部のブロックに形成された幅方向サイプよりもタイヤ半径方向に深いタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレッド部に複数の周方向主溝と複数の陸部を備えたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
氷路面と雪路面で使用されるタイヤでは、氷路面におけるタイヤの性能(氷上性能)と雪路面におけるタイヤの性能(雪上性能)に応じて、トレッドパターンが設定されており、各種のブロックがトレッド部に形成されている。また、従来、センター陸部と2つのセカンド陸部において、ブロックを2つの小ブロックに分割して、氷雪上性能を向上する空気入りタイヤが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の空気入りタイヤでは、センター陸部とセカンド陸部に複数のラグ溝を形成し、小ブロックに2つのサイプを形成している。サイプの除水効果により、小ブロックと路面の間の水を除去し、サイプ及びラグ溝のエッジ成分(エッジ効果)により、タイヤのグリップ力を向上している。しかしながら、センター陸部とセカンド陸部において、ラグ溝の一端のみが主溝に開口し、ラグ溝の他端が陸部内で閉じている。そのため、雪路面では、雪がラグ溝から出難くなる虞がある。雪がラグ溝に詰まることで、小ブロックの雪上性能に影響が生じることが懸念される。従って、タイヤの氷上性能と雪上性能を両立する観点から、更なる改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-149768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の問題に鑑みなされ、その目的は、タイヤの氷上性能と雪上性能を両立させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、タイヤ赤道面のタイヤ幅方向の両側に形成された2つの第1周方向主溝と、第1周方向主溝のそれぞれのタイヤ幅方向の外側に形成された2つの第2周方向主溝と、2つの第1周方向主溝により区画されてタイヤ赤道面に位置する第1陸部と、第1周方向主溝と第2周方向主溝により区画された第2陸部と、を備えたタイヤである。第1陸部は、第1陸部をタイヤ幅方向に分割する周方向細溝と、周方向細溝のタイヤ幅方向の両側に形成されて第1周方向主溝と周方向細溝に開口する複数の幅方向溝と、複数の幅方向溝により周方向細溝のタイヤ幅方向の両側に区画された複数のブロックと、を有する。第2陸部は、第1周方向主溝と第2周方向主溝に開口する複数の幅方向溝と、複数の幅方向溝により区画された複数のブロックと、を有する。第1陸部において、周方向細溝のタイヤ幅方向の一方側の幅方向溝と他方側の幅方向溝は、タイヤ周方向に互い違いに配置される。第1陸部のブロックと第2陸部のブロックのそれぞれは、タイヤ周方向の中央部に互いに隣接して形成された複数の幅方向サイプを有し、タイヤ周方向の両側の端壁からタイヤ周方向の中央部に向かってタイヤ幅方向の両側に次第に広がる形状に形成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、タイヤの氷上性能と雪上性能を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のタイヤのトレッドパターンを示す平面図である。
図2】本実施形態のブロックを示す平面図である。
図3】本実施形態のタイヤのトレッドパターンの他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のタイヤの一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のタイヤは、車両用の空気入りタイヤ(例えば、トラック・バス用タイヤ、重荷重用タイヤ、乗用車用タイヤ)であり、一般的なタイヤ構成部材により、周知の構造に形成されている。即ち、タイヤは、一対のビード部と、一対のビード部のタイヤ半径方向の外側に位置する一対のサイドウォール部と、路面に接触するトレッド部を備えている。また、タイヤは、一対のビードコアと、一対のビードコアの間に配置されたカーカスと、カーカスの外周側に配置されたベルトと、所定のトレッドパターンを有するトレッドゴムを備えている。
【0010】
図1は、本実施形態のタイヤ1のトレッドパターンを示す平面図であり、トレッド部2のタイヤ周方向Sの一部を模式的に示している。
図示のように、タイヤ1は、トレッド部2に、複数(少なくとも4つ)の周方向主溝10、11、1つの周方向細溝12、複数の幅方向溝13、14、15、複数の幅方向サイプ20、21、複数の陸部30、40、50、及び、複数のブロック31、41、51を備えている。車両の走行時に、タイヤ1は、複数の陸部30、40、50及びブロック31、41、51で路面に接触して転動する。陸部30、40、50及びブロック31、41、51のタイヤ半径方向の外側の面が、路面に接触する踏面である。
【0011】
複数の周方向主溝10、11は、タイヤ周方向Sに沿って延び、タイヤ幅方向Hに間隔をあけて並列している。ここでは、タイヤ1は、タイヤ周方向Sに連続して形成された4つの周方向主溝(2つの第1周方向主溝10、2つの第2周方向主溝11)を備えている。第1周方向主溝10は、複数の周方向主溝10、11のうちでタイヤ幅方向Hの最内側に位置する内側周方向主溝であり、2つの第2周方向主溝11のそれぞれのタイヤ幅方向Hの内側(タイヤ赤道面3側)に形成されている。タイヤ赤道面3は、トレッド部2のタイヤ幅方向Hの中央部に位置している。
【0012】
第1周方向主溝10は、タイヤ赤道面3のタイヤ幅方向Hの両側に形成された中央側周方向主溝であり、タイヤ赤道面3の両側で、タイヤ赤道面3と第2周方向主溝11の間に位置している。第2周方向主溝11は、複数の周方向主溝10、11のうちでタイヤ幅方向Hの最外側に位置する外側周方向主溝であり、2つの第1周方向主溝10のそれぞれのタイヤ幅方向Hの外側(ショルダー部4側)に形成されている。ショルダー部4は、トレッド部2のタイヤ幅方向Hの両外側に位置しており、第2周方向主溝11は、2つの第1周方向主溝10のタイヤ幅方向Hの両外側に形成されている。また、タイヤ赤道面3の両側で、第2周方向主溝11は、ショルダー部4のタイヤ幅方向Hの内側に形成され、第1周方向主溝10とショルダー部4の間に位置している。
【0013】
周方向細溝12は、周方向主溝10、11よりも細い周方向副溝であり、周方向細溝12の幅は、周方向主溝10、11の幅よりも狭い。周方向細溝12は、タイヤ赤道面3に位置しており、2つの第1周方向主溝10の間に形成されている。また、周方向細溝12は、例えば、周方向サイプであり、タイヤ周方向S及びタイヤ赤道面3に沿って延びる。複数の幅方向溝13、14、15は、タイヤ幅方向Hに沿って延びるラグ溝であり、陸部30、40、50に形成されている。幅方向溝13、14、15は、周方向主溝10、11と交差する方向に形成されて、周方向主溝10、11に繋がる。複数の幅方向サイプ20、21は、ブロック31、41に形成された切れ目であり、ブロック31、41の踏面からブロック31、41の内部に向かって形成されて、タイヤ幅方向Hに沿って延びる。
【0014】
複数の周方向主溝10、11により、トレッド部2がタイヤ幅方向Hに区画されて、複数の陸部30、40、50がトレッド部2に形成されている。複数の陸部30、40、50は、周方向主溝10、11により互いにタイヤ幅方向Hに分断された凸部であり、周方向主溝10、11に沿ってタイヤ周方向Sに延びる。また、陸部30、40、50は、ブロック状陸部であり、タイヤ幅方向Hに間隔をあけて並列している。複数のブロック31、41、51は、陸部30、40、50に形成されて、タイヤ周方向Sに配列している。
【0015】
タイヤ1は、5つの陸部(1つの第1陸部30、2つの第2陸部40、2つの第3陸部50)を備えている。第1陸部30は、2つの第1周方向主溝10の間に形成された中央陸部であり、タイヤ赤道面3を含むトレッド部2の中央領域に形成されている。タイヤ赤道面3は、第1陸部30のタイヤ幅方向Hの中央部に位置しており、第1陸部30は、2つの第2陸部40の間に位置している。第2陸部40は、第1周方向主溝10と第2周方向主溝11の間に形成された中間陸部であり、タイヤ赤道面3とショルダー部4の間のトレッド部2の中間領域に形成されている。第3陸部50は、第2周方向主溝11のタイヤ幅方向Hの外側に形成された外側陸部(ショルダー陸部)であり、トレッド部2のタイヤ幅方向Hの外側領域(ショルダー部4側領域)に形成されている。
【0016】
第1陸部30は、2つの第1周方向主溝10により区画されて、タイヤ赤道面3に位置している。また、第1陸部30は、1つの周方向細溝12と、複数の幅方向溝13と、複数のブロック31と、ブロック31に形成された複数の幅方向サイプ20を有している。周方向細溝12は、第1陸部30をタイヤ幅方向Hに分割する分割溝であり、第1陸部30のタイヤ幅方向Hの中央部に位置している。周方向細溝12により、第1陸部30がタイヤ幅方向Hに2つに分割されて、ブロック列が周方向細溝12のタイヤ幅方向Hの両側に形成されている。
【0017】
複数の幅方向溝13は、周方向細溝12のタイヤ幅方向Hの両側に形成されて、第1周方向主溝10と周方向細溝12に開口している。周方向細溝12のタイヤ幅方向Hの両側で、複数の幅方向溝13は、第1周方向主溝10と周方向細溝12の間に形成され、タイヤ周方向Sに間隔を開けて並列している。周方向細溝12のタイヤ幅方向Hの一方側では、幅方向溝13は、周方向細溝12から周方向細溝12のタイヤ幅方向Hの一方側の第1周方向主溝10まで形成されて、一方側の第1周方向主溝10に開口している。周方向細溝12のタイヤ幅方向Hの他方側では、幅方向溝13は、周方向細溝12から周方向細溝12のタイヤ幅方向Hの他方側の第1周方向主溝10まで形成されて、他方側の第1周方向主溝10に開口している。
【0018】
第1陸部30のブロック31は、トレッド部2の中央領域に位置する第1ブロック(中央ブロック)であり、2つの第1周方向主溝10、1つの周方向細溝12、及び、複数の幅方向溝13により、第1周方向主溝10と周方向細溝12の間に形成されている。複数の幅方向溝13は、周方向細溝12のタイヤ幅方向Hの両側で第1陸部30をタイヤ周方向Sに分断している。複数のブロック31は、複数の幅方向溝13により、周方向細溝12のタイヤ幅方向Hの両側に区画されて、タイヤ周方向Sに互いに分断されている。周方向細溝12のタイヤ幅方向Hの両側で、幅方向溝13がブロック31の間に形成され、ブロック31がタイヤ周方向Sに間隔をあけて配置されている。
【0019】
周方向細溝12は、タイヤ幅方向Hの一方側のブロック31と他方側のブロック31の間に位置している。第1陸部30のブロック31は、第1周方向主溝10と周方向細溝12の間に形成された複数の幅方向サイプ20を有している。複数の幅方向サイプ20は、ブロック31のタイヤ周方向Sの中央部に互いに隣接して形成され、タイヤ周方向Sに互いに間隔を開けて並列している。幅方向サイプ20は、第1周方向主溝10から周方向細溝12まで、ブロック31をタイヤ幅方向Hに横断して、第1周方向主溝10と周方向細溝12に開口している。
【0020】
第1陸部30において、周方向細溝12のタイヤ幅方向Hの一方側の複数の幅方向溝13と他方側の複数の幅方向溝13は、タイヤ周方向Sに互い違いに配置されており、タイヤ周方向Sにずらして形成されている。一方側の幅方向溝13と他方側の幅方向溝13は、タイヤ周方向Sにおいて交互に形成されて、周方向細溝12に交互に開口している。幅方向溝13の位置に対応して、周方向細溝12のタイヤ幅方向Hの一方側の複数のブロック31と他方側の複数のブロック31は、タイヤ周方向Sにずらして形成されている。周方向細溝12のタイヤ幅方向Hの両側で、幅方向溝13の周方向細溝12側の端部(開口部)は、ブロック31のタイヤ周方向Sの中央部と対向する位置に形成されている。
【0021】
2つの第2陸部40は、それぞれ第1周方向主溝10と第2周方向主溝11により区画されて、第1陸部30のタイヤ幅方向Hの両側に位置している。タイヤ赤道面3のタイヤ幅方向Hの両側で、第2陸部40は、第1陸部30と第3陸部50の間に位置している。また、第2陸部40は、タイヤ周方向Sに間隔を開けて並列する複数の幅方向溝14と、複数のブロック41と、ブロック41に形成された複数の幅方向サイプ21を有している。複数の幅方向溝14は、第1周方向主溝10と第2周方向主溝11の間に形成されて、第1周方向主溝10と第2周方向主溝11に開口している。幅方向溝14は、第1周方向主溝10から第2周方向主溝11まで、第2陸部40をタイヤ幅方向Hに横断している。
【0022】
第2陸部40のブロック41は、トレッド部2の中間領域に位置する第2ブロック(中間ブロック)であり、第1周方向主溝10、第2周方向主溝11、及び、複数の幅方向溝14により、第1周方向主溝10と第2周方向主溝11の間に形成されている。複数の幅方向溝14は、第2陸部40をタイヤ周方向Sに分断している。複数のブロック41は、複数の幅方向溝14により区画されて、タイヤ周方向Sに互いに分断されている。幅方向溝14がブロック41の間に形成され、ブロック41がタイヤ周方向Sに間隔をあけて配置されている。
【0023】
第2陸部40のブロック41は、第1周方向主溝10と第2周方向主溝11の間に形成された複数の幅方向サイプ21を有している。複数の幅方向サイプ21は、ブロック41のタイヤ周方向Sの中央部に互いに隣接して形成され、タイヤ周方向Sに互いに間隔を開けて並列している。幅方向サイプ21は、第1周方向主溝10から第2周方向主溝11まで、ブロック41をタイヤ幅方向Hに横断して、第1周方向主溝10と第2周方向主溝11に開口している。
【0024】
2つの第3陸部50は、それぞれ第2周方向主溝11により区画されて、第2陸部40のタイヤ幅方向Hの外側に位置している。タイヤ赤道面3のタイヤ幅方向Hの両側で、第3陸部50は、第2陸部40とショルダー部4の間に位置している。また、第3陸部50は、複数の幅方向溝15と、複数のブロック51を有している。複数の幅方向溝15は、第2周方向主溝11とショルダー部4の間に形成されて、タイヤ周方向Sに間隔をあけて並列している。幅方向溝15は、第2周方向主溝11に開口して、第3陸部50をタイヤ幅方向Hに横断している。
【0025】
第3陸部50のブロック51は、トレッド部2の外側領域に位置する第3ブロック(外側ブロック)であり、第2周方向主溝11と複数の幅方向溝15により、第2周方向主溝11のタイヤ幅方向Hの外側に形成されている。複数の幅方向溝15は、第3陸部50をタイヤ周方向Sに分断している。複数のブロック51は、複数の幅方向溝15により区画されて、タイヤ周方向Sに互いに分断されている。幅方向溝15がブロック51の間に形成され、ブロック51がタイヤ周方向Sに間隔をあけて配置されている。また、ブロック51は、幅方向溝15よりも細い幅方向細溝52と、複数のサイプ53を有している。幅方向細溝52とサイプ53は、タイヤ幅方向Hに沿って形成されている。
【0026】
図2は、本実施形態のブロック31、41を示す平面図であり、タイヤ半径方向の外側からみたブロック31、41を示している。図2Aは、第1陸部30の1つのブロック31を示し、図2Bは、第2陸部40の1つのブロック41を示している。
図示のように、第1陸部30のブロック31と第2陸部40のブロック41のそれぞれは、2つ又は3つの幅方向サイプ20、21を有している。ここでは、第1陸部30のブロック31は、2つの幅方向サイプ20を有し、第2陸部40のブロック41は、2つの幅方向サイプ21を有している。
【0027】
第1陸部30(図2A参照)では、幅方向サイプ20により、ブロック31がタイヤ周方向Sに分割されて、サイプ間ブロック32と分割ブロック33がブロック31内に形成されている。サイプ間ブロック32と分割ブロック33は、ブロック31を構成する小ブロックであり、ブロック31は、1つのサイプ間ブロック32と2つの分割ブロック33を有している。サイプ間ブロック32は、タイヤ周方向Sに隣接する2つの幅方向サイプ20の間に形成されて、ブロック31のタイヤ周方向Sの中央部に位置している。分割ブロック33は、タイヤ周方向Sに隣接する幅方向サイプ20と幅方向溝13の間に形成されて、サイプ間ブロック32のタイヤ周方向Sの両側に位置している。
【0028】
ブロック31の幅方向サイプ20は、ブロック31の端壁34からタイヤ周方向Sに離隔して形成されている。ブロック31の端壁34は、幅方向溝13内に位置するブロック31の端面(幅方向溝13の溝壁)であり、ブロック31のタイヤ周方向Sの両側の端部に形成されている。タイヤ周方向Sに隣接する幅方向サイプ20と端壁34のタイヤ周方向Sの距離は、タイヤ周方向Sに隣接する2つの幅方向サイプ20のタイヤ周方向Sの距離よりも長い。そのため、サイプ間ブロック32のタイヤ周方向Sの幅は、分割ブロック33のタイヤ周方向Sの幅よりも狭い。
【0029】
第2陸部40(図2B参照)では、幅方向サイプ21により、ブロック41がタイヤ周方向Sに分割されて、サイプ間ブロック42と分割ブロック43がブロック41内に形成されている。サイプ間ブロック42と分割ブロック43は、ブロック41を構成する小ブロックであり、ブロック41は、1つのサイプ間ブロック42と2つの分割ブロック43を有している。サイプ間ブロック42は、タイヤ周方向Sに隣接する2つの幅方向サイプ21の間に形成されて、ブロック41のタイヤ周方向Sの中央部に位置している。分割ブロック43は、タイヤ周方向Sに隣接する幅方向サイプ21と幅方向溝14の間に形成されて、サイプ間ブロック42のタイヤ周方向Sの両側に位置している。
【0030】
ブロック41の幅方向サイプ21は、ブロック41の端壁44からタイヤ周方向Sに離隔して形成されている。ブロック41の端壁44は、幅方向溝14内に位置するブロック41の端面(幅方向溝14の溝壁)であり、ブロック41のタイヤ周方向Sの両側の端部に形成されている。タイヤ周方向Sに隣接する幅方向サイプ21と端壁44のタイヤ周方向Sの距離は、タイヤ周方向Sに隣接する2つの幅方向サイプ21のタイヤ周方向Sの距離よりも長い。そのため、サイプ間ブロック42のタイヤ周方向Sの幅は、分割ブロック43のタイヤ周方向Sの幅よりも狭い。
【0031】
第1陸部30のブロック31と第2陸部40のブロック41は、それぞれタイヤ半径方向の外側からみたときに、タイヤ周方向Sの両側の端壁34、44からタイヤ周方向Sの中央部に向かって、タイヤ幅方向Hの両側に次第に広がる形状に形成されている。ブロック31、41は、タイヤ半径方向の外側からみたときに、六角形状に形成されており、両側の端壁34、44の間で、タイヤ幅方向Hの両側に向かって突出している。ブロック31、41のタイヤ幅方向Hの幅は、端壁34、44からタイヤ周方向Sの中央部に向かって次第に広くなる。
【0032】
第2陸部40のブロック41は、第1陸部30のブロック31よりもタイヤ幅方向Hに広い広幅ブロックであり、ブロック41のタイヤ幅方向Hの幅の最大値は、ブロック31のタイヤ幅方向Hの幅の最大値よりも大きい。また、ブロック41の踏面の面積は、ブロック31の踏面の面積よりも大きく、ブロック41の体積は、ブロック31の体積よりも大きい。第1陸部30のブロック31に形成された幅方向サイプ20は、第2陸部40のブロック41に形成された幅方向サイプ21よりもタイヤ半径方向に深く、幅方向サイプ20のタイヤ半径方向の深さは、幅方向サイプ21のタイヤ半径方向の深さよりも大きい。
【0033】
車両の走行時には、陸部30、40、50のブロック31、41、51が路面に接触して、タイヤ1が回転する。その際、第1陸部30は、タイヤ赤道面3に位置するため、第1陸部30の接地圧は、他の陸部40、50の接地圧よりも高くなる。第1陸部30では、ブロック31と幅方向溝13を周方向細溝12のタイヤ幅方向Hの両側に形成し、複数の幅方向サイプ20をブロック31に形成している。そのため、接地圧の高い第1陸部30において、ブロック31のエッジ成分が増加するとともに、エッジ成分がタイヤ周方向Sに分散される。これにより、タイヤ1の氷上性能が向上する。
【0034】
第2陸部40では、幅方向溝14が第1周方向主溝10と第2周方向主溝11に開口しており、雪が幅方向溝14から出易い。そのため、幅方向溝14の排雪性能が向上し、雪が幅方向溝14に詰まるのが抑制される。複数の幅方向サイプ21を有するブロック41、及び、幅方向溝14により、タイヤ1の雪上性能が確保される。
【0035】
ブロック31、41のそれぞれは、タイヤ周方向Sの両側の端壁34、44からタイヤ周方向Sの中央部に向かってタイヤ幅方向Hの両側に次第に広がる。そのため、ブロック31、41に種々の方向(例えば、タイヤ周方向S、タイヤ幅方向H、斜め方向)の力が加えられても、ブロック31、41の変形が抑制される。これにより、ブロック31、41に摩耗(例えば、偏摩耗)が生じるのが抑制される。また、ブロック31、41の接地性能が高くなることで、ブロック31、41の氷雪上性能が向上する。ブロック31、41の幅方向サイプ20、21が長くなることで、ブロック31、41のエッジ成分も増加する。
【0036】
従って、本実施形態のタイヤ1では、タイヤ1の氷上性能と雪上性能を両立させることができる。第2陸部40のブロック41が第1陸部30のブロック31よりもタイヤ幅方向Hに広いため、第2陸部40による雪上性能を確実に確保することができる。また、第1陸部30のブロック31に形成された幅方向サイプ20は、第2陸部40のブロック41に形成された幅方向サイプ21よりも深い。その結果、第1陸部30による氷上性能を長期間にわたって確保することができる。
【0037】
ブロック31、41に1つの幅方向サイプ20、21を形成したときには、ブロック31、41のエッジ成分が減ることで、氷上性能と雪上性能に影響が生じる虞がある。これに対し、ブロック31、41に4つ以上の幅方向サイプ20、21を形成したときには、ブロック31、41内のサイプ間ブロック32、42又は分割ブロック33、43のタイヤ周方向Sの幅が狭くなることで、ブロック31、41の耐欠損性能に影響が生じる虞がある。そのため、ブロック31、41には、2つ又は3つの幅方向サイプ20、21を形成するのが好ましい。これにより、氷上性能と雪上性能をより確実に確保できるとともに、ブロック31、41の欠損を抑制することができる。
【0038】
図3は、本実施形態のタイヤ1のトレッドパターンの他の例を示す平面図であり、トレッド部2のタイヤ周方向Sの一部を模式的に示している。
図示のように、ここでは、第1陸部30の1つのブロック31に形成された幅方向サイプ20の数は、第2陸部40の1つのブロック41に形成された幅方向サイプ21の数よりも多い。第1陸部30のブロック31は、3つの幅方向サイプ20を有し、第2陸部40のブロック41は、2つの幅方向サイプ21を有している。ブロック31の幅方向サイプ20をブロック41の幅方向サイプ21よりも多くすることで、接地圧の高い第1陸部30において、ブロック31のエッジ成分を増加することができる。そのため、タイヤ1の氷上性能をより向上することができる。
【0039】
なお、1つのブロック31、41内の複数の幅方向サイプ20、21のタイヤ半径方向の深さに関して、複数の幅方向サイプ20、21を互いに同じ深さに形成してもよく、複数の幅方向サイプ20、21を互いに異なる深さに形成してもよい。また、第2陸部40のブロック41に、3つの幅方向サイプ21を形成してもよい。本実施形態のタイヤ1の構成は、陸部を有する種々のタイヤに適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1・・・タイヤ、2・・・トレッド部、3・・・タイヤ赤道面、4・・・ショルダー部、10・・・第1周方向主溝、11・・・第2周方向主溝、12・・・周方向細溝、13・・・幅方向溝、14・・・幅方向溝、15・・・幅方向溝、20・・・幅方向サイプ、21・・・幅方向サイプ、30・・・第1陸部、31・・・ブロック、32・・・サイプ間ブロック、33・・・分割ブロック、34・・・端壁、40・・・第2陸部、41・・・ブロック、42・・・サイプ間ブロック、43・・・分割ブロック、44・・・端壁、50・・・第3陸部、51・・・ブロック、52・・・幅方向細溝、53・・・サイプ、H・・・タイヤ幅方向、S・・・タイヤ周方向。
図1
図2
図3