(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】耳部付きパンチ金型及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
B21D 5/01 20060101AFI20221125BHJP
B21D 5/02 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B21D5/01 T
B21D5/02 G
B21D5/02 C
B21D5/02 F
(21)【出願番号】P 2019182635
(22)【出願日】2019-10-03
【審査請求日】2022-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】林 史郎
(72)【発明者】
【氏名】小山田 修朗
(72)【発明者】
【氏名】小名木 陽介
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特許第5555459(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/01
B21D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に対して傾斜する傾斜部を有した固定パンチと、
前記固定パンチに前記傾斜部に沿う方向へ昇降可能に設けられ、幅方向外側に張り出した耳部を有した可動パンチと、
前記固定パンチに対する前記可動パンチの相対的な昇降動作に連動する連動部材と、
前記固定パンチに幅方向へ移動可能に設けられ、外部操作部材の移動動作によって幅方向へ移動し、前記連動部材に当接可能な当接子を有し、前記可動パンチの相対的な昇降動作を行うための作動部材と、
前記当接子が前記連動部材に当接するように前記作動部材を幅方向内側へ付勢する付勢部材と、を備え、
板状のワークに接触する前に、前記当接子を前記連動部材に当接させた状態で、前記可動パンチの先端部が前記固定パンチの先端部に整合するように構成されていることを特徴とする耳部付きパンチ金型。
【請求項2】
前記固定パンチと前記可動パンチを連結する連結リンクを備え、
前記連動部材が前記連結リンクに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の耳部付きパンチ金型。
【請求項3】
前記作動部材が幅方向外側へ移動して、前記可動パンチが前記固定パンチ上における下降端に位置した直後に、前記当接子と前記連動部材との当接状態が解除されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耳部付きパンチ金型。
【請求項4】
前記外部操作部材は、プレスブレーキの上部テーブルに設けられたパンチ金型交換ユニットにおける金型保持部材であって、
前記固定パンチに前記金型保持部材を係止させるための係止穴が形成され、前記作動部材は前記金型保持部材を当接又は係止させるための被操作部を有し、前記被操作部が前記係止穴と同じ高さ位置に位置していることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれ1項に記載の耳部付きパンチ金型。
【請求項5】
鉛直方向に対して傾斜する傾斜部を有した固定パンチと、前記固定パンチに前記傾斜部に沿う方向へ昇降可能に設けられかつ幅方向外側に張り出した耳部を有した可動パンチと、前記固定パンチに対する前記可動パンチの相対的な昇降動作に連動する連動部材と、前記固定パンチに幅方向へ移動可能に設けられかつ前記連動部材に当接可能な当接子を有しかつ前記可動パンチの相対的な昇降動作を行うための作動部材と、前記当接子が前記連動部材に当接するように前記作動部材を幅方向内側へ付勢する付勢部材を備えた耳部付きパンチ金型を動作するための方法であって、
板状のワークの被曲げ部を折り曲げた直後であってかつ前記耳部の真上にワーク又は製品の横フランジが位置する場合において、
前記耳部付きパンチ金型をダイ金型に対して相対的に上昇させる際に、外部操作部材の移動動作によって前記作動部材を前記付勢部材の付勢力に抗して幅方向外側へ移動させることにより、前記可動パンチがその自重によって前記固定パンチに対して相対的に下降しながら、前記耳部と横フランジとの干渉を回避するように幅方向内側へ移動すること特徴とする耳部付きパンチ金型の動作方法。
【請求項6】
ワークの被曲げ部を折り曲げる前であってかつ前記耳部の真下に横フランジが位置する場合において、
前記耳部付きパンチ金型を前記ダイ金型に対して相対的に下降させる際に、前記外部操作部材の移動動作によって前記作動部材を前記付勢部材の付勢力に抗して幅方向外側へ移動させることにより、前記可動パンチがその自重によって前記固定パンチに対して相対的に下降しながら、前記耳部と横フランジとの干渉を回避するように幅方向内側へ移動し、
その直後に、前記外部操作部材の移動動作によって前記作動部材を幅方向内側へ移動させることにより、前記当接子と前記連動部材を当接させた状態で、前記可動パンチが前記固定パンチに対して相対的に上昇しながら、前記耳部を横フランジの真下に位置させるように幅方向外側へ移動することを特徴とする請求項5に記載の耳部付きパンチ金型の動作方法。
【請求項7】
前記外部操作部材は、プレスブレーキの上部テーブルに設けられたパンチ金型交換ユニットにおける金型保持部材であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の耳部付きパンチ金型の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状のワーク(板金)に対して箱曲げ等の曲げ加工を行う際に用いられる耳部付きパンチ金型、及び耳部付きパンチ金型を動作させるための方法に関する。
【0002】
プレスブレーキによる曲げ加工の分野においては、板状のワークの複数の被曲げ部を順次折り曲げて、板金Wの箱曲げを行うことにより、横フランジ(内フランジ)を有した箱状の製品を製作することがある。ワークに対して箱曲げを行う際には、ワーク又は製品の横フランジとの干渉を回避するために耳部付きパンチ金型が用いられる。耳部付きパンチ金型は、プレスブレーキの上部テーブルの下端部に固定したパンチホルダに保持される。
【0003】
耳部付きパンチ金型は、鉛直方向に対して傾斜する傾斜部を有した固定パンチと、固定パンチに傾斜部に沿う方向へ昇降可能に設けられた可動パンチとを備えている。可動パンチは、幅方向外側に張り出した耳部を有している。また、耳部付きパンチ金型は、2つのタイプに大別される。第1の耳部付きパンチ金型は、ワークに接触する前において、可動パンチが固定パンチに対して下方向に突出するように構成されている(特許文献1及び特許文献2参照)。第2の耳部付きパンチ金型は、ワークに接触する前において、可動パンチの先端部が固定パンチの先端部に整合するように構成されている(特許文献3参照)。
【0004】
第1のタイプの耳部付きパンチ金型は、固定パンチと可動パンチを連結する連結リンクを備えている。連結リンクの一端部は、固定パンチに回転自在に連結されており、連結リンクの他端部は、可動パンチに回転自在に連結されている。また、第1のタイプの耳部付きパンチ金型は、上部テーブルの下降動作によって可動パンチの先端部がワークに接触すると、可動パンチの先端部が固定パンチの先端部に整合するまで、可動パンチが固定パンチに対して相対的に上昇するように構成されている。
【0005】
そして、第1のタイプの耳部付きパンチ金型においては、ワークの被曲げ部を折り曲げた直後に、上部テーブルの上昇動作によって固定パンチが上昇すると、可動パンチがその自重によって固定パンチに対して相対的に下降しながら、耳部と横フランジとの干渉を回避するように幅方向内側へ移動する。これにより、耳部の真上に横フランジが位置してあっても、耳部と横フランジとの干渉を回避しつつ、耳部付きパンチ金型をワーク又は製品から抜くことができる(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0006】
第2のタイプの耳部付きパンチ金型は、固定パンチに設けられかつ固定パンチの傾斜部に沿う方向へ昇降可能な可動子を有したエアシリンダと、可動子に設けられかつ可動パンチの被係止部に下方向から係止可能なフック部材とを備えている。エアシリンダは、フック部材を可動パンチの被係止部に係止させた状態で、可動パンチを固定パンチの傾斜部に沿う方向へ固定パンチに対して相対的に昇降させる。第2のタイプの耳部付きパンチ金型は、ワークに接触する前に、フック部材を可動パンチの被係止部に係止させた状態で、可動パンチの先端部が固定パンチの先端部に整合するように構成されている。
【0007】
そして、第2のタイプの耳部付きパンチ金型においては、ワークの被曲げ部を折り曲げた直後であってかつ耳部の真上に横フランジが位置する場合には、まず、エアシリンダの駆動により可動子を下降させて、フック部材と被係止部との係止状態を解除する。その後、上部テーブルの上昇動作によって固定パンチが上昇すると、可動パンチがその自重によって固定パンチに対して相対的に下降しながら、耳部と横フランジとの干渉を回避するように幅方向内側へ移動する。これにより、耳部と横フランジとの干渉を回避しつつ、耳部付きパンチ金型をワーク又は製品から抜くことができる(特許文献3参照)。
【0008】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1から特許文献3の他に、特許文献4から特許文献8に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2004-58106号公報
【文献】特開2002-178038号公報
【文献】特開2018-20335号公報
【文献】特開2015-3330号公報
【文献】特開2007-203310号公報
【文献】特許第4672868号公報
【文献】特許第5947861号公報
【文献】特開2016-112667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、第1のタイプの耳部付きパンチ金型においては、プレスブレーキが光学式安全装置(特許文献4及び特許文献5等参照)を装備した場合に、可動パンチが光学式安全装置の投光器からの監視光を遮ることになる。そのため、光学式安全装置による監視動作を行うことできず、それに伴い、上部テーブルを低速でしか下降させることができない。
【0011】
また、第2のタイプの耳部付きパンチ金型においては、可動パンチが光学式安全装置の投光器からの監視光を遮ることがないものの、可動パンチを固定パンチに対して相対的に昇降させるエアシリンダが必須の構成要素になる。そのため、耳部付きパンチ金型が大型化すると共に、エアシリンダにエアを供給するエア配管を含む、耳部付きパンチ金型の構成が複雑化する。
【0012】
つまり、耳部付きパンチ金型の大型化及び構成の複雑化を抑えつつ、プレスブレーキが光学式安全装置を装備した場合に、光学式安全装置による監視動作を安定的に行うことが困難であるという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、構成要素からアクチュエータを除外し、かつプレスブレーキが光学式安全装置を装備した場合に、光学式安全装置の投光器からの監視光を遮ることがない、耳部付きパンチ金型、及びその動作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1実施態様に係る耳部付きパンチ金型は、鉛直方向に対して傾斜する傾斜部を有した固定パンチと、前記固定パンチに前記傾斜部に沿う方向へ昇降可能に設けられ、幅方向外側に張り出した耳部を有した可動パンチと、前記可動パンチの相対的な昇降動作に連動する連動部材と、前記固定パンチに幅方向へ移動可能に設けられ、外部操作部材の移動動作(移動操作)によって幅方向へ移動し、前記連動部材に当接可能な当接子を有し、前記可動パンチの相対的な昇降動作を行うための作動部材と、前記当接子が前記連動部材に当接するように前記作動部材を幅方向内側へ付勢する付勢部材と、を備える。第1実施態様に係る耳部付きパンチ金型は、板状のワーク(板金)に接触する前に、前記当接子を前記連動部材に当接させた状態で、前記可動パンチの先端部が前記固定パンチの先端部に整合するように構成されている。
【0015】
第1実施態様によると、ワークの被曲げ部を折り曲げた直後であってかつ前記耳部の真上にワーク又は製品の横フランジ(内フランジ)が位置する場合において、次のように前記耳部付きパンチ金型を動作させる。前記耳部付きパンチ金型をダイ金型に対して相対的に上昇させる際に、前記外部操作部材の移動動作によって前記作動部材を前記付勢部材の付勢力に抗して幅方向外側へ移動させる。すると、前記可動パンチがその自重によって前記固定パンチに対して相対的に下降しながら、前記耳部と横フランジとの干渉を回避するように幅方向内側へ移動する。これにより、前記耳部と横フランジとの干渉を回避しつつ、前記耳部付きパンチ金型をワーク又は製品から抜くことができる。
【0016】
また、前述のように、前記耳部付きパンチ金型は、ワークに接触する前に、前記当接子を前記連動部材に当接させた状態で、前記可動パンチの先端部が前記固定パンチの先端部に整合するように構成されている。そのため、プレスブレーキが光学式安全装置を装備した場合に、前記可動パンチが前記光学式安全装置の投光器からの監視光を遮ることがない。
【0017】
更に、前述のように、前記作動部材が前記外部操作部材の移動動作によって幅方向へ移動する。前記作動部材の前記当接子は、前記可動パンチの相対的な昇降動作に連動する前記連動部材に当接可能である。そのため、エアシリンダ等のアクチュエータを用いることなく、前記可動パンチを前記固定パンチの前記傾斜部に沿う方向へ前記固定パンチに対して相対的に昇降させることができる。換言すれば、前記耳部付きパンチ金型の構成要素からエアシリンダ等のアクチュエータを除外することができる。
【0018】
第2実施態様に係る耳部付きパンチ金型の動作方法は、鉛直方向に対して傾斜する傾斜部を有した固定パンチと、前記固定パンチに前記傾斜部に沿う方向へ昇降可能に設けられかつ幅方向外側に張り出した耳部を有した可動パンチと、前記固定パンチに対する前記可動パンチの相対的な昇降動作に連動する連動部材と、前記固定パンチに幅方向へ移動可能に設けられかつ前記連動部材に当接可能な当接子を有しかつ前記可動パンチの相対的な昇降動作を行うための作動部材と、前記当接子が前記連動部材に当接するように前記作動部材を幅方向内側へ付勢する付勢部材を備えた耳部付きパンチ金型を動作するための方法であって、板状のワーク(板金)の被曲げ部を折り曲げた直後であってかつ前記耳部の真上にワーク又は製品の横フランジ(内フランジ)が位置する場合において、前記耳部付きパンチ金型をダイ金型に対して相対的に上昇させる際に、外部操作部材の移動動作によって前記作動部材を前記付勢部材の付勢力に抗して幅方向外側へ移動させることにより、前記可動パンチがその自重によって前記固定パンチに対して相対的に下降しながら、前記耳部と横フランジとの干渉を回避するように幅方向内側へ移動する。
【0019】
第2実施態様によると、第1実施態様と同様の作用を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、前記耳部付きパンチ金型の大型化及び構成の複雑化を抑えつつ、プレスブレーキが前記光学式安全装置を装備した場合に、前記光学式安全装置による監視動作を安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施形態に係る箱曲げ用パンチ金型組及びその周辺の正面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る箱曲げ用パンチ金型組及びその周辺の左側面図である。
【
図3】
図3(a)は、実施形態に係る耳部付きパンチ金型の側面図であり、
図3(b)は、実施形態に係る耳部付きパンチ金型の正面図である。
図3(a)(b)は、可動パンチが固定パンチ上における上昇端に位置した状態を示している。
【
図4】
図4(a)は、実施形態に係る耳部付きパンチ金型の側面図であり、
図4(b)は、実施形態に係る耳部付きパンチ金型の正面図である。
図4(a)(b)は、可動パンチが固定パンチ上における下降端に位置した状態を示している。
【
図5】
図5(a)は、実施形態に係る耳部付きパンチ金型の斜視図であり、可動パンチが固定パンチ上における上昇端に位置した状態を示している。
図5(b)は、実施形態に係る耳部付きパンチ金型の斜視図であり、可動パンチが固定パンチ上における下降端に位置した状態を示している。
【
図6A】
図6A(a)(b)(c)(d)は、耳部付きパンチ金型の動作方法を説明する図である。
【
図6B】
図6B(a)(b)(c)(d)は、耳部付きパンチ金型の動作方法を説明する図である。
【
図7】
図7(a)(b)(c)(d)は、耳部付きパンチ金型の動作方法を説明する図である。
【
図8A】
図8A(a)(b)(c)は、耳部付きパンチ金型の動作方法を説明する図である。
【
図8B】
図8B(a)(b)(c)は、耳部付きパンチ金型の動作方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態について
図1から
図8Bを参照して説明する。
【0023】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられる」とは、直接的に設けられることの他に、別部材を介して間接的に設けられることを含む意である。また、「幅方向」とは、耳部付きパンチ金型の幅方向、又は箱曲げ用パンチ金型組の幅方向のことであり、水平方向の1つである左右方向のことをいう。「幅方向外側」とは、幅方向の片側であって耳部付きパンチの中心側から離反する方向のことをいう。「幅方向内側」とは、幅方向の片側であって幅方向外側の反対方向のことをいう。図面中、「FF」は前方向、「FR」は後方向、「C」は幅方向、「Co」は幅方向外側、「Ci」は幅方向内側、「L」は左方向、「R」は右方向、「U」は上方向、「D」は下方向をそれぞれ指している。
【0024】
図1及び
図2に示すように、実施形態に係る箱曲げ用パンチ金型組10は、ダイ金型12との協働により板状のワーク(板金)Wの箱曲げ(曲げ加工の一例)を行う際に用いられる。換言すれば、箱曲げ用パンチ金型組10は、ワークWの箱曲げによって横フランジ(内フランジ)Mfを有した箱状の製品Mを製作する際に用いられる。箱曲げ用パンチ金型組10は、一対の耳部付きパンチ金型14と、一対の耳部付きパンチ金型14の間に配置された中間パンチ金型16とからなる。箱曲げ用パンチ金型組10は、プレスブレーキの上部テーブル18の下端部に固定したパンチホルダ20に保持される。ダイ金型12は、プレスブレーキの下部テーブル22の上端部に固定したダイホルダ24に保持される。
【0025】
続いて、箱曲げ用パンチ金型組10における耳部付きパンチ金型14の具体的な構成について説明する。
【0026】
図2から
図5に示すように、耳部付きパンチ金型14は、固定パンチ26を備えており、固定パンチ26は、その基端側(上端側)に、パンチホルダ20に保持されるシャンク部26sを有している。固定パンチ26は、先端側(下端側)における幅方向外側に、鉛直方向に対して傾斜する傾斜部(傾斜面)26gを有している。固定パンチ26には、凹んだ段差部26uが傾斜部26gに沿って形成されている。また、固定パンチ26の傾斜部26gの上端には、下方向に突出した突起部26bが形成されている。固定パンチ26のシャンク部26sの近傍には、パンチ金型交換ユニット28における金型保持部材30を係止させるための係止穴26hが形成されている。
【0027】
ここで、パンチ金型交換ユニット28は、上部テーブル18の背面側に左右方向へ移動可能に設けられかつパンチホルダ20に対して耳部付きパンチ金型14等のパンチ金型の交換を行う。金型保持部材30を含むパンチ金型交換ユニット28は、特許文献6及び特許文献7に示す公知の構成からなる。金型保持部材30を含むパンチ金型ユニット28は、パンチ金型を保持する左右方向用移動アクチュエータとしてのサーボモータ32の駆動により上部テーブル18に対して左右方向へ移動する。金型保持部材30は、前後用移動アクチュエータとしてのエアシリンダ34の駆動により上部テーブル18に対して前後方向へ移動する(
図2参照)。
【0028】
図3から
図5に示すように、固定パンチ26の傾斜部26gには、可動パンチ36が傾斜部26gに沿う方向へ昇降可能に設けられている。可動パンチ36は、固定パンチ26の傾斜部26gに接触対向する相手傾斜部(相手傾斜面)36gを有している。可動パンチ36は、その先端側(下端側)に、幅方向外側に張り出した耳部36eを有している。また、可動パンチ36は、固定パンチ26上における上昇端と下降端との間で固定パンチ26の傾斜部26gに沿う方向へ固定パンチ26に対して相対的に昇降する。可動パンチ36が固定パンチ26上における上昇端に位置すると、可動パンチ36の先端部は、固定パンチ26の先端部と整合する。可動パンチ36は、固定パンチ26上における上昇端に位置すると、固定パンチ26の突起部26bに当接する。換言すれば、固定パンチ26の突起部26bは、可動パンチ36の相対的な昇降動作を規制するストッパとしての機能を有する。
【0029】
可動パンチ36には、凹んだ段差部36uが相手傾斜部36gに沿って形成されている。可動パンチ36の段差部36uには、固定パンチ26の段差部26uに摺接する摺接プレート38が複数の取付ボルト(図示省略)を介して一体的に設けられており、摺接プレート38は、可動パンチ36の一部として捉えることもできる。また、固定パンチ26の段差部26u側における突起部26bに遠い側には、摺接プレート38の下端側を摺接可能に保持する第1保持プレート40が設けられている。固定パンチ26の段差部26u側における突起部26bに近い側には、摺接プレート38の上端側を摺接可能に保持する第2保持プレート42が設けられている。
【0030】
耳部付きパンチ金型14は、固定パンチ26と可動パンチ36を連結する連結リンク44を備えている。連結リンク44の一端部は、固定パンチ26に連結ピン46を介して回転可能に連結されており、連結リンク44の他端部は、可動パンチ36に連結ピン48を介して回転可能に連結されている。なお、耳部付きパンチ金型14が連結リンク44を備える代わりに、特許文献3に示すように、固定パンチ26にガイドプレート(図示省略)を設けかつガイドプレートに固定パンチ26の傾斜部26gに平行なガイド孔(図示省略)を形成してもよい。この場合には、可動パンチ36にガイドプレートのガイド孔に案内されるガイドローラ(図示省略)を設ける。
【0031】
連結リンク44の一端部には、可動パンチ36の相対的な昇降動作に連動して幅方向へ移動する連動部材50が一体的に設けられている。換言すれば、可動パンチ36には、連動部材50が連結リンク44を介して連結されている。連動部材50は、可動パンチ36の相対的な上昇動作によって幅方向内側へ連動して移動する。連動部材50は、可動パンチ36の相対的な下降動作によって幅方向外側へ連動して移動する。連動部材50は、連結リンク44と共通の部材により構成されており、連結リンク44の一部として捉えることもできる。なお、前述のように、耳部付きパンチ金型14が連結リンク44の代わりにガイドプレート及びガイドローラを備える場合には、連動部材50を可動パンチ36又はガイドローラのローラ軸に連結する。
【0032】
連結リンク44の中間部には、当接ネジ52が設けられている。当接ネジ52は、可動パンチ36が固定パンチ26上における下降端に位置すると、第1保持プレート40に当接する。換言すれば、第1保持プレート40は、可動パンチ36の相対的な下降動作を規制するストッパとしての機能を有する。
【0033】
固定パンチ26の表面には、LM(Linear Motion)ガイド54が設けられている。LMガイド54は、固定パンチ26の表面に設けられかつ幅方向に延びたLMレール56と、LMレール56に幅方向に移動可能に設けられたLMブロック58とを有している。また、LMブロック58には、可動パンチ36の相対的な昇降動作を行うための作動部材60が幅方向へ移動可能に設けられている。換言すれば、固定パンチ26の表面には、作動部材60がLMガイド54を介して幅方向へ移動可能に設けられている。
【0034】
作動部材60は、その幅方向外側に、上方向に向かって延びるアーム部60aを有している。作動部材60は、アーム部60aの先端側に、外部操作部材としての金型保持部材30を当接させるための平板状の被操作部60mを有している。被操作部60mは、固定パンチ26の係止穴26hと同じ高さ位置に位置している。作動部材60は、金型保持部材30を被操作部60mに当接させた状態で、金型保持部材30の左右方向の移動動作によって幅方向へ移動する。金型保持部材30は、エアシリンダ34の駆動により前方向へ移動した状態で、サーボモータ32の駆動により左方向又は右方向へ移動することによって被操作部60mに当接する。なお、作動部材60が金型保持部材30を当接させるための被操作部60mを有する代わりに、金型保持部材30を係止させるための被操作部(図示省略)を有してもよい。
【0035】
作動部材60は、その幅方向内側に、連動部材50に当接可能な当接子としてカムフォロア62を有しており、カムフォロア62は、作動部材60の一部を構成する。カムフォロア62は、幅方向に直交する水平な軸心回りに回転可能である。また、固定パンチ26には、作動部材60の幅方向外側の移動を規制するピン状のストッパ64が設けられており、ストッパ64は、作動部材60の一部に当接可能である。
【0036】
固定パンチ26と作動部材60との間には、付勢部材としての引張スプリング66が設けられており、引張スプリング66は、カムフォロア62が連動部材50に当接するように作動部材60を幅方向内側へ付勢する。引張スプリング66の一端部は、固定パンチ26に止めネジ68を介して固定されており、引張スプリング66の他端部は、作動部材60に止めネジ70を介して固定されている。また、作動部材60には、引張スプリング66を保護する保護カバー72が設けられている。なお、耳部付きパンチ金型14が付勢部材として引張スプリング66を備える代わりに、圧縮スプリング(図示省略)又はウレタン等の弾性体(図示省略)を備えてもよい。
【0037】
耳部付きパンチ金型14は、ワークWに接触する前に、引張スプリング66の付勢力によってカムフォロア62を連動部材50に当接させた状態で、可動パンチ36が固定パンチ26上における上昇端に位置するように構成されている。換言すれば、耳部付きパンチ金型14は、ワークWに接触する前に、引張スプリング66の付勢力によってカムフォロア62を連動部材50に当接させた状態で、可動パンチ36の先端部が固定パンチ26の先端部に整合するように構成されている。
【0038】
耳部付きパンチ金型14は、作動部材60が引張スプリング66の付勢力に抗して幅方向外側へ移動して、可動パンチ36が固定パンチ26上における下降端に位置した直後に、ストッパ64が作動部材60の一部に当接するように構成されている。換言すれば、耳部付きパンチ金型14は、作動部材60が引張スプリング66の付勢力に抗して幅方向外側へ移動して、可動パンチ36が固定パンチ26上における下降端に位置した直後に、カムフォロア62と連動部材50との当接状態が解除されるように構成されている。
【0039】
続いて、
図1を参照して、箱曲げ用パンチ金型組10における中間パンチ金型16の構成について簡単に説明する。
【0040】
図1に示すように、中間パンチ金型16は、側面形状と側断面形状が同一形状になっている。中間パンチ金型16の側面形状(側断面形状)は、固定パンチ26の幅方向内側の側面形状と同一形状になっている。また、中間パンチ金型16は、その基端側(上端側)に、パンチホルダ20に保持されるシャンク部16sを有している。中間パンチ金型16のシャンク部16sの近傍には、金型保持部材30を係止させるための係止穴16hが形成されている。なお、箱曲げ用パンチ金型組10は1つの中間パンチ金型16を備える代わりに、複数の中間パンチ金型16を備えてもよい。箱曲げ用パンチ金型組10の構成要素から中間パンチ金型16を除外してもよい。
【0041】
続いて、実施形態に係る耳部付きパンチ金型の動作方法を含めて、実施形態の作用及び効果について説明する。実施形態に係る耳部付きパンチ金型の動作方法は、耳部付きパンチ金型14の動作させるための方法である。
【0042】
[実施形態の通常の作用]
作業者(図示省略)又は曲げ加工ロボット(図示省略)に保持されたワークWの被曲げ部がダイ金型12の所定位置(ダイ金型12のV溝の中心線上)に位置するように、ワークWをダイ金型12にセットする。そして、可動パンチ36の先端部を固定パンチ26の先端部に整合させた状態で、上部テーブル18の下降動作によって箱曲げ用パンチ金型組10を下降させる。これにより、箱曲げ用パンチ金型組10とダイ金型12との協働によりワークWの被曲げ部を折り曲げることができる。その後、上部テーブル18の上昇動作によって箱曲げ用パンチ金型組10を上昇させることにより、箱曲げ用パンチ金型組10をダイ金型12に対して離反させる。なお、加工ロボットは、例えば特許文献8等に示す公知の構成からなり、ワークWの曲げ加工を補助する多関節ロボットである。
【0043】
前述の動作を適宜に繰り返すことにより、作業者又は曲げ加工ロボットに保持されたワークWの複数の被曲げ部を順次折り曲げて、ワークWの箱曲げを行うことができ、横フランジMfを有した箱状の製品Mを製作することができる。
【0044】
[耳部付きパンチ金型の動作方法]
図6A及び
図6Bに示すように、作業者に保持されたワークWのいずれかの被曲げ部を折り曲げる前であってかつ耳部36eの真下に横フランジMfが位置している場合においては、次の動作を実行する。
【0045】
箱曲げ用パンチ金型組10(耳部付きパンチ金型14)が横フランジMfの高さよりも僅かに高い所定の第1高さ位置に位置するまで、上部テーブル18の下降動作によって箱曲げ用パンチ金型組10を高速で下降させる(
図6A(a)(b)参照)。箱曲げ用パンチ金型組10が所定の第1高さ位置に位置した直後に、箱曲げ用パンチ金型組10を低速で下降させる(
図6A(c)(d)参照)。箱曲げ用パンチ金型組10の下降速度を低速に切り替える直前に、光学式安全装置(特許文献4及び特許文献5等参照)による監視動作を無効にする。なお、光学式安全装置は、例えば特許文献4及び特許文献5等に示す公知の構成からなり、箱曲げ用パンチ金型組10等のパンチ金型とダイ金型12との間への異物の侵入を監視する。
【0046】
箱曲げ用パンチ金型組10の下降速度を低速に切り替えた直後に、金型保持部材30の左右方向の一方側の移動動作によって作動部材60を引張スプリング66の付勢力に抗して幅方向外側へ移動させる。すると、可動パンチ36がその自重によって固定パンチ26上における下降端まで固定パンチ26に対して相対的に下降しながら、耳部36eと横フランジMfとの干渉を回避するように幅方向内側へ移動する(
図6(b)(c)参照)。耳部36e全体が横フランジMfよりも低い高さ位置に位置した後に、金型保持部材30の左右方向の他方側の移動動作によって作動部材60を引張スプリング66の付勢力も相まって幅方向内側へ移動させる。すると、カムフォロア62と連動部材50を当接させた状態で、可動パンチ36が固定パンチ26上における上昇端まで固定パンチ26に対して相対的に上昇しながら、耳部36eを横フランジMfの真下に位置させるように幅方向外側へ移動する((
図6(c)(d)参照)、耳部付きパンチ金型14の第1の干渉回避動作)。これにより、耳部36eと横フランジMfとの干渉を回避しつつ、ワークWの被曲げ部を折り曲げることができる(
図6B(a)参照)。
【0047】
また、
図6Bに示すように、作業者に保持された横フランジMf付きのワークWのいずれかの被曲げ部を折り曲げた直後であってかつ耳部36eの真上に横フランジMfが位置している場合においては、次の動作を実行する。
【0048】
上部テーブル18の上昇動作によって箱曲げ用パンチ金型組10(耳部付きパンチ金型14)を上昇させる際に、金型保持部材30の左右方向の一方側の移動動作によって作動部材60を引張スプリング66の付勢力に抗して幅方向外側へ移動させる。すると、可動パンチ36がその自重によって固定パンチ26上における下降端まで固定パンチ26に対して相対的に下降しながら、耳部36eと横フランジMfとの干渉を回避するように幅方向内側へ移動する((
図6B(a)(b)参照)、耳部付きパンチ金型14の第2の干渉回避動作)。これにより、耳部36eと横フランジMfとの干渉を回避しつつ、耳部付きパンチ金型14をワークW又は製品Mから抜くことができる(
図6B(c)参照)。
【0049】
なお、箱曲げ用パンチ金型組10を元の高さ位置(上昇端)に位置させた後に、金型保持部材30の左右方向の他方側の移動動作によって作動部材60を引張スプリング66の付勢力も相まって幅方向内側へ移動させる。すると、カムフォロア62と連動部材50を当接させた状態で、可動パンチ36が固定パンチ26上における上昇端まで固定パンチ26に対して相対的に上昇する。これにより、耳部付きパンチ金型14を元の状態(初期状態)に戻すことができる(
図6B(c)(d)参照)。
【0050】
更に、
図7に示すように、作業者に保持されたワークWのいずれかの被曲げ部を折り曲げる前に、次の動作を実行してもよい。
【0051】
箱曲げ用パンチ金型組10(耳部付きパンチ金型14)が横フランジMfの高さよりも耳部36eの厚み分だけ低い所定の第2高さ位置に位置するまで、上部テーブル18の下降動作によって箱曲げ用パンチ金型組10を高速で下降させる(
図7(a)(b)参照)。そして、上部テーブル18の下降動作を一旦停止して(
図7(b)参照)、耳部36eと横フランジMfとの干渉を回避しながら、ワークWの被曲げ部がダイ金型12のV溝(図示省略)の中心に位置するように、ワークWをダイ金型12にセットする(
図7(c)参照)。その後、上部テーブル18の下降動作を再開する。これにより、耳部付きパンチ金型14の第1の干渉回避動作を省略して、ワークWの被曲げ部を折り曲げることができる(
図7(d)参照9。
【0052】
図8A及び
図8Bに示すように、曲げ加工ロボットに保持されたワークWのいずれかの被曲げ部を折り曲げる前であってかつ耳部36eの真下に横フランジMfが位置している場合においては、次の動作を実行する。なお、曲げ加工ロボットを用いて箱曲げ等の曲げ加工を行う場合には、プレスブレーキは光学式安全装置を装備していない。
【0053】
まず、金型保持部材30の左右方向の一方側の移動動作によって作動部材60を引張スプリング66の付勢力に抗して幅方向外側へ移動させる。すると、可動パンチ36がその自重によって固定パンチ26上における下降端まで固定パンチ26に対して相対的に下降しながら、幅方向内側へ移動する(
図8A(a)参照)。その後、箱曲げ用パンチ金型組10(耳部付きパンチ金型14)が横フランジMfの高さよりも僅かに高い所定の第1高さ位置に位置するまで、上部テーブル18の下降動作によって箱曲げ用パンチ金型組10を高速で下降させる。
【0054】
箱曲げ用パンチ金型組10が所定の第1高さ位置に位置した直後に、箱曲げ用パンチ金型組10を低速で下降させる。そして、耳部36e全体が横フランジMfよりも低い高さ位置に位置した後に、金型保持部材30の左右方向の他方側の移動動作によって作動部材60を引張スプリング66の付勢力も相まって幅方向内側へ移動させる。すると、カムフォロア62と連動部材50を当接させた状態で、可動パンチ36が固定パンチ26上における上昇端まで固定パンチ26に対して相対的に上昇しながら、耳部36eを横フランジMfの真下に位置させるように幅方向外側へ移動する(
図8A(b)(c)参照)。これにより、耳部36eと横フランジMfとの干渉を回避しつつ、ワークWの被曲げ部を折り曲げることができる(
図8B(a)参照)。
【0055】
また、
図8Bに示すように、曲げ加工ロボットに保持された横フランジMf付きのワークWのいずれかの被曲げ部を折り曲げた直後であってかつ耳部36eの真上に横フランジMfが位置している場合においては、次の動作を実行する。
【0056】
上部テーブル18の上昇動作によって箱曲げ用パンチ金型組10(耳部付きパンチ金型14)を上昇させる際に、金型保持部材30の左右方向の一方側の移動動作によって作動部材60を引張スプリング66の付勢力に抗して幅方向外側へ移動させる。すると、可動パンチ36がその自重によって固定パンチ26上における下降端まで固定パンチ26に対して相対的に下降しながら、耳部36eと横フランジMfとの干渉を回避するように幅方向内側へ移動する((
図8B(b)参照)、耳部付きパンチ金型14の第2の干渉回避動作)。これにより、耳部36eと横フランジMfとの干渉を回避しつつ、耳部付きパンチ金型14をワークW又は製品Mから抜くことができる(
図8B(c)参照)。
【0057】
[実施形態の特有の作用及び効果]
前述のように、耳部付きパンチ金型14は、ワークWに接触する前に、引張スプリング66の付勢力によってカムフォロア62を連動部材50に当接させた状態で、可動パンチ36の先端部が固定パンチ26の先端部に整合するように構成されている。そのため、プレスブレーキが光学式安全装置を装備した場合に、可動パンチ36が光学式安全装置の投光器からの監視光を遮ることがない。
【0058】
前述のように、作動部材60は、金型保持部材30の左右方向の移動動作によって幅方向へ移動する。作動部材60のカムフォロア62は、可動パンチ36の相対的な昇降動作に連動して幅方向へ移動する連動部材50に当接可能である。 耳部付きパンチ金型14は、作動部材60が引張スプリング66の付勢力に抗して幅方向外側へ移動して、可動パンチ36が固定パンチ26上における下降端に位置した直後に、カムフォロア62と連動部材50との当接状態が解除されるように構成されている。そのため、エアシリンダ等のアクチュエータを用いることなく、可動パンチ36を固定パンチ26の傾斜部26gに沿う方向へ固定パンチ26に対して相対的に昇降させることができる。換言すれば、耳部付きパンチ金型14の構成要素からエアシリンダ等のアクチュエータを除外することができる。
【0059】
従って、実施形態によれば、耳部付きパンチ金型14の大型化及び構成の複雑化を抑えつつ、プレスブレーキが光学式安全装置を装備した場合に、光学式安全装置による監視動作を安定的に行うことができる。
【0060】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、例えば、次のように、種々の態様で実施可能である。
【0061】
上部テーブル18の昇降動作によって一対の耳部付きパンチ金型14を含む箱曲げ用パンチ金型組10を昇降させる代わりに、下部テーブル22の昇降動作によってダイ金型12を昇降させてもよい。換言すれば、箱曲げ用パンチ金型組10をダイ金型12に対して相対的に昇降させればよい。また、パンチ金型交換ユニットの金型保持部材30を外部操作部材として用いる代わりに、上部テーブル18の背面側又は正面側に左右方向へ移動可能に設けられた移動体を外部操作部材として用いてもよい。
【0062】
そして、本発明に包含される権利範囲は、光学式安全装置を装備したプレスブレーキのパンチホルダ20に耳部付きパンチ金型14が保持された場合だけでなく、光学式安全装置を装備していないプレスブレーキのパンチホルダ20に耳部付きパンチ金型14が保持された場合にも及ぶものである。また、本発明に包含される権利範囲は、パンチホルダ20に耳部付きパンチ金型14が保持された場合だけでなく、パンチホルダ20に保持される前の状態の耳部付きパンチ金型14にも及ぶものである。
【符号の説明】
【0063】
10 箱曲げ用パンチ金型組
12 ダイ金型
14 耳部付きパンチ金型
16 中間パンチ金型
18 上部テーブル
20 パンチホルダ
22 下部テーブル
24 ダイホルダ
26 固定パンチ
26s シャンク部
26g 傾斜部
26u 段差部
26b 突起部
26h 係止穴
28 パンチ金型交換ユニット
30 金型保持部材
32 サーボモータ(左右移動用アクチュエータ)
34 エアシリンダ(前後移動用アクチュエータ)
36 可動パンチ
36g 相手傾斜部
36u 段差部
36e 耳部
38 摺接プレート
40 第1保持プレート
42 第2保持プレート
44 連結リンク
46 連結ピン
48 連結ピン
50 連動部材
52 当接ネジ
54 LMガイド
56 LMレール
58 LMブロック
60 作動部材
60a アーム部
60m 被操作部
62 カムフォロア(当接子)
64 ストッパ
66 引張スプリング(付勢部材)
68 止めネジ
70 止めネジ
72 保護カバー
W ワーク(板金)
M 製品
Mf 横フランジ