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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】魚釣用リール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/015 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
A01K89/015 B
A01K89/015 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019223293
(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公開番号】P2021090386
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】狩野 秀太
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-18068(JP,A)
【文献】特開2019-122326(JP,A)
【文献】特開2015-216867(JP,A)
【文献】特開平10-4842(JP,A)
【文献】実開昭60-55369(JP,U)
【文献】特開平8-308446(JP,A)
【文献】特開2001-136875(JP,A)
【文献】実開平2-81174(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体の左右の側板間に回転自在に支持されたスプールと、
左右の前記側板のうちの一方の前記側板に設けられたハンドルと、
前記ハンドルの回転操作に連動し、前記スプールに釣糸を平行に案内するレベルワインド装置と、を備え、
前記レベルワインド装置は、釣糸を案内する釣糸案内部と、左右の前記側板間に回転自在に支持され、前記釣糸案内部を往復動させる回転駆動部と、を有しており、
他方の前記側板の前部には、他方の前記側板よりも前方へ向けて突出し、他方の前記側板から一方の前記側板に架設されるガード部が備わり、
前記ガード部の内側には、前記回転駆動部が支持されていることを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】
他方の前記側板は、前記スプールの軸方向から視て略円形状を呈しており、
前記ガード部は、他方の前記側板の外周縁部から前方に向けて突出しており、
前記回転駆動部の支持部は、前記ガード部の突出部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
左右の前記側板は、支柱で連結される左右のフレームと、左右の前記フレームの外側に取り付けられる左右のサイドプレートと、を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の魚釣用リール。
【請求項4】
他方の前記側板の外形状は、一方の前記側板の外形状よりも小さいことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の魚釣用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、両軸受型タイプの魚釣用リールには、左右側板間に回転可能に支持されたスプールに対して釣糸を均等に巻回するために、レベルワインド装置が配設されている(例えば、特許文献1参照)。このレベルワインド装置は、一方の側板側に回転可能に配設されたハンドルの巻き取り操作に連動して、スプールの前方で左右に往復動する釣糸案内体を備えている。釣糸案内体に釣糸が挿通されることで、スプールに対して釣糸を平行に巻回することが可能である。
【0003】
特許文献1の魚釣用リールでは、釣糸案内体の前方に、左右側板間に亘るようにしてガード部が架設されている。ガード部は、実釣時における仕掛け投入後等の魚釣り操作時に、反ハンドル側の側板をパーミングした手の指が釣糸案内体に触れてしまうのを防止する役割をなす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-018068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、仕掛けの誘導操作性の向上、アタリ待機時や巻き取り操作時等のパーミング性の向上、及び携帯性の向上等のために、リール本体の小型化が魚釣用リールの重要な要素の1つとなっている。特に、レベルワインド装置を備える魚釣用リールでは、反ハンドル側の側板を感度よく掌でしっかりと包み込むようにパーミングできることが重要であり、加えて、リール本体に対する手の指の保護やパーミング性の向上を図ってリール本体の握持保持性を総合的に向上させることも重要である。しかしながら、従来の魚釣用リールは、手の指の保護とパーミング性の向上とを両立させる操作性に十分ではなく、そのために、一層の小型化が望まれている状況にある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために創作されたものであり、側板の小型化を図り、手の指の保護及びパーミング性を含めた操作性の向上を図ることができる魚釣用リールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る魚釣用リールは、リール本体の左右の側板間に回転自在に支持されたスプールと、左右の前記側板のうちの一方の前記側板に設けられたハンドルと、前記ハンドルの回転操作に連動し、前記スプールに釣糸を平行に案内するレベルワインド装置と、を備えている。前記レベルワインド装置は、釣糸を案内する釣糸案内部と、左右の前記側板間に回転自在に支持され、前記釣糸案内部を往復動させる回転駆動部と、を有している。他方の前記側板の前部には、他方の前記側板よりも前方へ向けて突出し、他方の前記側板から一方の前記側板に架設されるガード部が備わる。前記ガード部の内側には、前記回転駆動部が支持されている。
【0008】
この魚釣用リールでは、他方の側板よりも前方へ向けて突出するガード部を利用して、レベルワインド装置の回転駆動部を他方の側板よりも前側(外側)に支持することができる。したがって、回転駆動部を左右の側板の内側で支持した場合に比べて、ハンドルが設けられていない他方の側板を効率よく小型化することができる。したがって、他方の側板を、感度よく掌でしっかりと包み込むように握持できる。このことは、仕掛けの誘導操作性の向上、アタリ待機時や巻き取り操作時等のパーミング性の向上、及び携帯性の向上等に寄与する。
また、回転駆動部は、ガード部で保護されるので、パーミング時に手の指が回転駆動部に直接触れることが防止される。したがって、魚釣操作性の向上を図ることができる。
【0009】
また、他方の前記側板は、前記スプールの軸方向から視て略円形状を呈していることが好ましく、前記ガード部は、他方の前記側板の外周縁部から前方に向けて突出していることが好ましい。その場合には、前記回転駆動部の支持部は、前記ガード部の突出部分に設けられていることが好ましい。
【0010】
このように構成することによって、他方の側板を掌でしっかりと包み込むように握持できるので、パーミング性が向上する。また、回転駆動部の支持部を他方の側板の内側に設けた場合に比べて、他方の側板の外形状を小さくでき、効率よく他方の側板の小型化を図ることができる。したがって、感度よく掌でしっかりと包み込むように他方の側板を握持できる。
【0011】
また、左右の前記側板は、支柱で連結される左右のフレームと、左右の前記フレームの外側に取り付けられる左右のサイドプレートと、を備えていることが好ましい。
【0012】
このように、左右の側板を、左右のフレームと、左右のサイドプレートとから構成した場合にも、他方の側板の外形状を小さくでき、他方の側板の小型化を図ることができる。また、フレームに一体的に支持部を形成することが可能であるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0013】
また、他方の前記側板の外形状は、一方の前記側板の外形状よりも小さいことが好ましい。
【0014】
このように構成することによって、他方の側板の外形状を小さくでき、他方の側板の小型化を図ることができるので、より感度よく掌でしっかりと包み込むように他方の側板を握持できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、側板の小型化を図り、手の指の保護及びパーミング性を含めた操作性の向上を図ることができる魚釣用リールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る魚釣用リールの全体構成を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る魚釣用リールのリール本体を示す左側面図である。
図3】実施形態に係る魚釣用リールのリール本体を示す平面図である。
図4】実施形態に係る魚釣用リールのリール本体を示す正面図である。
図5】実施形態に係る魚釣用リールのフレームを示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は図5(a)におけるVb-Vb線断面図であり、(c)は図5(a)におけるVc-Vc線断面図である。
図6】実施形態に係る魚釣用リールのフレームを示す平面図である。
図7】実施形態に係る魚釣用リールのガード部を示す図であり、(a)は拡大断面図であり、(b)は回転駆動部が組み込まれた状態の拡大断面図である。
図8】実施形態に係る魚釣用リールのリール本体を示す図であり、(a)はリール本体の左フレームから左サイドプレートを取り外した状態を示す斜視図、(b)はリール本体から左サイドプレート及び表示装置を取り外した状態を示す斜視図である。
図9】実施形態に係る魚釣用リールをパーミングした際の様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、魚釣用リールの実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明において、「前後」「上下」「左右」を言うときは、図1に示した方向を基準とする。
【0018】
図1に示すように、魚釣用リール1Rは、両軸受型のリールである。魚釣用リール1Rは、左右に離間して配置される左右の側板2a,2bを有するリール本体1と、右側の側板2bに回転自在に支持されるハンドル7と、左右の側板2a,2b間に配置されたスプール8と、釣りに関する情報を表示可能な表示装置9と、を備えている。
【0019】
リール本体1は、小型化されており、釣人がリール本体1を掌と手指で包むように把持すること、つまり、パーミングすることが可能になっている。
リール本体1の前部には、公知のレベルワインド装置20が備わる。レベルワインド装置20は、釣糸を案内する釣糸案内部21と、左右の側板2a,2b間に回転自在に支持され、釣糸案内部21を左右方向に往復動させる回転駆動部として機能する螺軸22と(図7(b)参照)、を有している。
【0020】
左右の側板2a,2bは、図示しない軸受により、スプール8が固定されるスプール軸を回転自在に支持している。左右の側板2a,2bは、左右に離間して配置された左右のフレーム3a,3b(図5各図参照)と、左右のフレーム3a,3bのそれぞれの外側に配置される左右のサイドプレート4a,4bと、を備えている。
なお、本実施形態では、別体の左フレーム3aと左サイドプレート4aとを組み合わせて左側板2aを形成し、別体の右フレーム3bと右サイドプレート4bとを組み合わせて右側板2bを形成しているが、特に限定されない。例えば、左フレーム3aと左サイドプレート4aとが一体形成された左側板2aであってもよく、右フレーム3bと右サイドプレート4bとが一体に形成された右側板2bであってもよい。
【0021】
左右のフレーム3a,3bは、図5(a)~(c)に示すように、これらの間に延在する上下の支柱5a,5bで一体的に連結されている。上側の支柱5aは、図5(b)(c)に示すように、断面略I字形状を呈している。上側の支柱5aには、表示装置9の後部が当接して位置決めされる。下側の支柱5bは、前後に離間して一対備わる。下側の支柱5bには、釣竿200(図9参照)のリールシート201(図9参照)の魚釣用リール1Rを装着するための脚部5c(図1参照)が取り付けられている。
【0022】
左右のフレーム3a,3bの前部上部には、図5各図に示すように、左右のフレーム3a,3b間に亘るように扁平な板状の台座6が一体的に設けられている。台座6の上面には、表示装置9が取り付けられる(図1図2参照)。台座6には、図6に示すように、取り付け用のネジ(不図示)が挿通されるネジ挿通孔6a,6bが貫通形成されている。取り付け用のネジは、台座6の下方からネジ挿通孔6a,6bにそれぞれ挿通され、表示装置9のネジ穴(不図示)に螺合される。
【0023】
さらに、左右のフレーム3a,3bの前部の上下方向略中央部には、図1図3に示すように、左右のフレーム3a,3bに亘るように架設されたガード部10が一体的に設けられている。ガード部10の詳細は後記する。なお、図3ではスプール8やレベルワインド装置20を省略している。
【0024】
左フレーム3aは、図5(b)に示すように、側面視で略円形状を呈している。左フレーム3aの内面には、スプール8の左端部を支持する円筒状の支持部3cが形成されている。支持部3cの周囲において、スプール8のフランジ部の内側には、仕掛けの放出に伴い回転するスプール8に制動力を付与しバックラッシュの発生を防止するための公知の制動装置(不図示)が設けられている。また、左フレーム3aの内面には、スプール8の外形サイズに適合した環状のスプールカバー3dが形成されている。
【0025】
左フレーム3aと左サイドプレート4aとの間には、表示装置9を作動させるための電池(不図示)が収容されている。電池は、左サイドプレート4aのキャップ4a1(図1参照)を取り外すことにより交換可能である。
【0026】
左サイドプレート4aの左側面は、リール本体1の左側面を構成している。左サイドプレート4aの左側面は、縁部がテーパ状に形成されている。これにより、左サイドプレート4aの全体が丸みを帯びている。このため、パーミング時にリール本体1の左側面に左手の掌を当て易く、把持性(握り易さ)が向上している(図9参照)。
【0027】
右フレーム3bは、図5(c)に示すように、側面視で略円形の環状を呈している。右フレーム3bの外径は、左フレーム3aの外径よりも大きい。つまり、左フレーム3aの外形状が右フレーム3bの外形状よりも小さくなっている。右フレーム3bには、スプール8の挿通孔3fが形成されている。挿通孔3fの後縁部には、弧状のスプールカバー3gが形成されている。
【0028】
右フレーム3bと右サイドプレート4bとの間には、ギヤボックスが構成されている。ギヤボックス内には、ハンドル7を支持するハンドル軸(不図示)と、ハンドル軸に回転自在に支持された駆動歯車(不図示)と、公知のドラグ機構(不図示)と、駆動歯車と歯合してスプール軸に動力を伝達するピニオン(不図示)と、公知のクラッチ機構とが収容されている。なお、ドラグ機構、クラッチ機構は公知なものであるため、詳細な説明を省略する。
【0029】
また、右フレーム3bと右サイドプレート4bとの間には、釣糸の繰り出し量や巻き取り量を計測するスプール回転検出部等が収容されている。スプール回転検出部等で計測された情報は、表示装置9へ入力される。
【0030】
左フレーム3a及び右フレーム3bの前部には、図1図3図6に示すように、前方へ向けて突出するガード部10が架設されている。ガード部10は、左フレーム3aの前部の外周縁部から前方に突出する突出部3a1と、右フレーム3bの前部の外周縁部から前方に突出する突出部3b1と、これらの突出部3a1,3b1を繋ぐ前カバー部11と、を備えている。ガード部10は、全体が板状を呈しており、左フレーム3a及び右フレーム3bに一体に形成されている。ガード部10は、図3図6に示すように、平面視で凹状を呈している。
【0031】
ガード部10の内側には、図1に示すように、レベルワインド装置20の螺軸22と、釣糸案内部21の下部とが位置している。ガード部10は、螺軸22を、前方及び左右側方から覆っている。また、ガード部10は、左右のフレーム3a,3b間に架設されていることから、補強部材として機能している。
【0032】
左フレーム3aの突出部3a1の内面には、図5(b)に示すように、側面視円形で有底凹状とされた支持穴(支持部)3a2が開口形成されている。支持穴3a2は、レベルワインド装置20の螺軸22の左端部を筒体22aの左端部及び軸受3m(図7(b)参照)を介して支持している。
【0033】
支持穴3a2は、図5(b)に二点鎖線で示すように、左フレーム3aの外周縁部3eの延長線L1よりも前側に位置している。本実施形態では、支持穴3a2の略中心が延長線L1上に位置しており、支持穴3a2の略半分が延長線L1よりも前側に配置されている。つまり、支持穴3a2は、左フレーム3aの外周縁部3eの延長線L1よりも径方向内側となる領域に全体が収まることなく、延長線L1よりも径方向外側となる領域にオフセットしている。このようにオフセットした分、左フレーム3aの内側には、スプール8(図1参照)の配置スペースが好適に確保されている。したがって、左フレーム3aの小径化を図りつつ、スプール8の大径化を図ることができる。
【0034】
右フレーム3bの突出部3b1は、左フレーム3aの突出部3a1に対応する位置に設けられている。右フレーム3bの突出部3b1は、右フレーム3bが左フレーム3aに比べて大径である分、図5(c)に示すように、外周縁部3hからの突出量が左フレーム3aの突出部3a1の突出量に比べて小さくなっている。突出部3b1には、側面視円形の支持孔3b2が形成されている。支持孔3b2は、左フレーム3aの支持穴3a2に対向している(図7(a)参照)。
【0035】
支持孔3b2は、図7(b)に示すように、レベルワインド装置20の螺軸22の右端部を筒体22aの右端部及び軸受3nを介して支持している。支持孔3b2は、図5(b)に二点鎖線で示すように、右フレーム3bの外周縁部3hの延長線L2よりも前側に位置している。本実施形態では、支持孔3b2の前部の一部が延長線L2よりも前側に位置している。つまり、支持孔3b2は、右フレーム3bの外周縁部3hの延長線L2よりも径方向内側となる領域に全体が収まることなく、延長線L2よりも径方向外側となる領域に若干オフセットしている。
【0036】
前カバー部11は、図7(b)に示すように、レベルワインド装置20の螺軸22と平行に設けられている。前カバー部11は、螺軸22を覆う筒体22aの外面との間に隙間S1を形成して筒体22a(螺軸22)の前方に配置されている。前カバー部11の上下方向の大きさは、図4に示すように、正面側から視て螺軸22(筒体22a)の全体が隠れる大きさに形成されている。なお、前カバー部11は、螺軸22に対して傾斜するように設けてもよい。
なお、図2に示すように、釣糸案内部21は、前カバー部11と表示装置9との前端部同士を結ぶ仮想線L3よりも後方(内側)となる領域に配置されている。これにより、釣糸案内部21に対して手指が接触し難くなっている。
【0037】
表示装置9は、実釣時の釣りに関する情報、例えば、釣糸の繰り出し量や巻き取り量を計測し、その計測結果の情報を釣糸の繰り出し量や巻き取り量として表示部9a(図1参照)に表示可能である。表示装置9は、表示内容の切り替えや計測結果の情報をリセットするためのスイッチ9bを有している。表示装置9の内部には、釣糸の繰り出し量や巻き取り量を演算する制御基板(不図示)が備わる。
【0038】
表示装置9は、図8(a)(b)に示すように、左側面9cの左側方に突出する突部9dを備えている。突部9dは、左フレーム3aの上部の外周部に形成された切欠部3jに対して組み付けられる。
突部9dは、左フレーム3aの外周面と面一に組み付けられる円弧状の上面9eを備えている。組付部9dの左側面9cには、左フレーム3aに対する組付手段として機能する位置決め穴9fが形成されている。位置決め穴9fには、左サイドプレート4aに設けられた位置決めピン(不図示)が挿入される。表示装置9は、この位置決め穴9fに左サイドプレート4aの位置決めピンが挿入されることで左側板2aに位置決めされる。
【0039】
上面9eは、突部9dが左フレーム3aの切欠部3jに組み付けられることで、左フレーム3aの外周面の一部を構成している。上面9eは、左フレーム3aの外周面に連続して当該外周面とともにパーミング時のパーミング領域をなす。このパーミング領域には、パーミング時に左手の親指の腹部が当接される(図9参照)。
【0040】
表示装置9の左側面9cは、図1に示すように、左フレーム3aの外周面及び表示装置9の突部9dの上面9eに連続して立ち上がる略垂直な面を形成している。この左側面9cには、パーミング時に左手の親指の側部を当てつけることができ、前記したパーミング領域とともにパーミング時のパーミング領域として機能する。つまり、リール本体1の上部には、左フレーム3aの上面、左サイドプレート4aの上面、表示装置9の突部9dの上面9e及び表示装置9の左側面9cとからなるパーミング領域が構成されている。
【0041】
表示装置9の上面は、図2に示すように、右フレーム3bの頂部3a3と略同じ高さとなっている。つまり、表示装置9の上面は、側面視で右フレーム3bの頂部3a3に連続して前方に延在しており、右フレーム3bの上方に突出しないようになっている。
【0042】
次に、リール本体1のパーミングについて説明する。パーミングする際には、図9に示すように、左手の掌をリール本体1の左側面である左サイドプレート4aに当てがい、親指を左フレーム3a及び左サイドプレート4aの上面前側に当てつつ、人差し指をガード部10の突出部3a1から前カバー部11にかけて当てる。そして、他の3つの手指で釣竿200のグリップ(リールシート)201を握る。
【0043】
この場合、左フレーム3a及び左サイドプレート4aの上面に当てつけた親指が、表示装置9の左側面9cに同時に当て付けられるので、親指が滑り難く、親指の保持性が高い。
また、人差し指をガード部10の突出部3a1から前カバー部11にかけて当てることができるので、親指以外の4本の指で釣竿200のグリップ201を握った場合に比べて、パーミング性が高まる。したがって、魚釣操作性が向上する。
【0044】
また、ガード部10の前カバー部11が、螺軸22(筒体23)を覆っており、実釣時に、人差し指が螺軸22等に触れることが防止されるので、魚釣操作性に優れる。
【0045】
以上説明した本実施形態の魚釣用リール1Rによれば、左右のフレーム3a,3bよりも前方へ向けて突出するガード部10を利用して、レベルワインド装置20の螺軸22を左右のフレーム3a,3bよりも前側(外側)に支持することができる。したがって、螺軸22を左右のフレーム3a,3bの内側で支持した場合に比べて、少なくともハンドル7が設けられない左フレーム3a側を可能な限り小型化することができる。したがって、反ハンドル側となる他方の側板2aを、感度よく掌でしっかりと包み込むように握持できる。このことは、仕掛けの誘導操作性の向上、アタリ待機時や巻き取り操作時等のパーミング性の向上、及び携帯性の向上等に寄与する。
【0046】
また、螺軸22は、ガード部10で保護されるので、パーミング時に手の指が螺軸22に直接触れることが防止される。したがって、魚釣操作性の向上を図ることができる。
【0047】
また、左フレーム3a(左サイドプレート4a)は、スプール8の軸方向から視て略円形状を呈しているので、掌でしっかりと包み込むように握持できる。これにより、パーミング性が向上する。
また、左右のフレーム3a,3bの支持穴3a2及び支持孔3b2の前側にカバー部10を一体成形することにより、螺軸22の支持部がガード部10によって効率よく補強されるので、良好な釣糸の平行巻き機能を安定して維持できる。
【0048】
また、螺軸22の支持穴3a2は、左フレーム3aの突出部3a1側にオフセットされている。これにより、左フレーム3aの内側に支持孔3a2を設けた場合に比べて、左フレーム3a及び左サイドプレート4aの外形状を小さくでき、左側板2aの小型化、ひいてはリール本体1の小型化を図ることができる。したがって、感度よく掌でしっかりと包み込むように握持できる魚釣用リール1Rが得られる。
【0049】
また、螺軸22の支持穴3a2及び支持孔3b2が前記のように前側にオフセットされているので、左右の側板2a,2bを、複数の部材からなる左右のフレーム3a,3bと、左右のサイドプレート4a,4bとから構成した場合にも、左右の側板2a,3bの小型化、ひいてはリール本体1の小型化を図ることができる。また、左右のフレーム3a,3bを成形する際に、一体的に支持穴3a2及び支持孔3b2を形成することが可能であるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0050】
また、左フレーム3a(左側板2a)は、右フレーム3b(右側板2b)よりも小径に形成されているので、外形状を小さくでき、左フレーム3a(左側板2a)の小型化、ひいてはリール本体1の小型化を図ることができる。したがって、より感度よく掌でしっかりと包み込むように握持できる魚釣用リール1Rが得られる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
例えば、ガード部10は、内側に螺軸22(筒体22a)を支持するものであればよく、種々の形状のものを採用することができる。
【0052】
また、右フレーム3bを前記実施形態のものより大径に形成したり外形状を大きく形成した場合には、右フレーム3bに突出部3b1を設けることなく、右フレーム3bの外周縁部3hの延長線L2より径方向内方の内面等にガード部10の前カバー部11の右端部が接続されるように構成してもよい。この場合には、右サイドプレート4bと組み合わせて右側板2としてもよい。
【0053】
また、左右のフレーム3a,3bは、スプール8の軸方向から視て略円形状に形成されたものに限られることはなく、種々の形状のものを採用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 リール本体
1R 魚釣用リール
2a 側板(左側板)
2b 側板(右側板)
3a 左フレーム
3b 右フレーム
3a1,3b1 突出部(ガード部)
3a2 支持穴(支持部)
3b2 支持孔(支持部)
3e,3h 外周縁部
4a 左サイドプレート
4b 右サイドプレート
5a,5b 支柱
7 ハンドル
8 スプール
11 カバー部(ガード部)
20 レベルワインド装置
21 釣糸案内部
22 回転駆動部(螺軸)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9