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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】放射性廃棄物の熱による体積減少
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/32 20060101AFI20221125BHJP
   G21F 9/30 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G21F9/32 Z
G21F9/30 571F
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019527206
(86)(22)【出願日】2017-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 US2017062042
(87)【国際公開番号】W WO2018094066
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-11-13
(31)【優先権主張番号】62/422,990
(32)【優先日】2016-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519174849
【氏名又は名称】アトキンス エナジー グローバル ソリューションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ATKINS ENERGY GLOBAL SOLUTIONS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】スコット ディー プール
(72)【発明者】
【氏名】ルー リュー
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ミルナー
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3207355(JP,U)
【文献】特表2002-521701(JP,A)
【文献】特開2015-131277(JP,A)
【文献】国際公開第2016/122866(WO,A1)
【文献】実開昭60-006949(JP,U)
【文献】特開2012-207134(JP,A)
【文献】特開昭61-038499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/32
G21F 9/30
F23G 5/027
B09B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動床反応器内で、放射性核種で汚染された脱水廃棄物を分解する方法であって、
前記脱水廃棄物を前記流動床反応器に供給することと、
乾燥活性廃棄物を前記流動床反応器に供給することと、
床媒体を流動化させて前記流動床反応器内に流動床を形成するために、前記流動床反応器に、過熱蒸気を含む流動化ガスを注入することと、
前記脱水廃棄物及び前記乾燥活性廃棄物を前記流動床反応器内において還元状態下で分解することと、を含む方法であり、
前記脱水廃棄物は、使用済みイオン交換樹脂を含み、
前記脱水廃棄物が、70重量%以下の含水量を有するとともに、任意に自由水の実質的に全部が除去される、非スラリー状で前記流動床反応器に連続的に供給され
前記使用済みイオン交換樹脂及び前記乾燥活性廃棄物の供給比率を選択して、最終廃棄産物の放射能を閾値未満にする、方法。
【請求項2】
前記脱水廃棄物が、使用済み粒状活性炭を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記使用済み粒状活性炭は、70重量%以下の含水量を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
スクリュー機構を使用して、前記脱水廃棄物を前記流動床反応器に供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記脱水廃棄物を前記流動床反応器に供給する前に、凝集防止添加剤を前記脱水廃棄物に添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記流動床反応器に酸素を注入して前記還元状態を制御することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記流動床反応器を650℃~850℃の温度で動作することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記流動床反応器を出るガス流から固体を分離すること、および前記固体を循環させて前記流動床反応器に戻すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
流動床反応器内で、使用済みイオン交換樹脂および乾燥活性廃棄物を共処理する方法であって、
前記使用済みイオン交換樹脂を前記流動床反応器に供給することと、
前記乾燥活性廃棄物を前記流動床反応器に供給することと、
床媒体を流動化させて前記流動床反応器内に流動床を形成するために、前記流動床反応器に、過熱蒸気を含む流動化ガスを注入することと、
前記使用済みイオン交換樹脂および前記乾燥活性廃棄物を前記流動床反応器内において還元状態下で分解することと、を含み、
前記使用済みイオン交換樹脂は、70重量%以下の含水量を有するとともに、任意に自由水の実質的に全部が除去される、非スラリー状で前記流動床反応器に連続的に供給され
前記使用済みイオン交換樹脂及び前記乾燥活性廃棄物の供給比率を選択して、最終廃棄産物の放射能を閾値未満にする、方法。
【請求項10】
1つ以上のスクリュー機構を用いて、前記使用済みイオン交換樹脂および前記乾燥活性廃棄物を前記流動床反応器に供給することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記流動床反応器に凝集防止添加剤を供給することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記流動床反応器に酸素を注入して前記還元状態を制御することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記流動床反応器を650℃~850℃の温度で動作することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記流動床反応器を出るガス流から固体を分離すること、および前記固体を循環させて前記流動床反応器に戻すことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記使用済みイオン交換樹脂が、脱水された使用済みイオン交換樹脂である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記使用済みイオン交換樹脂は70重量%以下の含水量を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記脱水廃棄物を前記流動床反応器に供給することは、
前記流動床反応器の壁を貫通して延びる供給アダプタ装置を通して、650℃~850℃の温度で動作する前記流動床反応器に、前記脱水廃棄物を供給することと、
前記供給アダプタ装置を通して冷却剤流体を循環させることによって、前記供給アダプタ装置を冷却することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
スクリュー機構を使用して、前記脱水廃棄物を、前記供給アダプタ装置を通して移動させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記供給アダプタ装置は排出端を含み、
前記脱水廃棄物は、前記排出端を通って前記流動床反応器に入り、
前記排出端は、前記流動床反応器の内部に面する一方の側と、前記冷却剤流体に接触する反対側とを有するサーマルカラーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記流動床反応器内で、前記脱水廃棄物を蒸気改質することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
流動床反応器内で、放射性核種で汚染された乾燥活性廃棄物を分解する方法であって、
800℃~1100℃の温度で動作する前記流動床反応器に、前記乾燥活性廃棄物を供給することと、
使用済みイオン交換樹脂を前記流動床反応器に供給することと、
床媒体を流動化させて前記流動床反応器内に流動床を形成するために、前記流動床反応器に、過熱蒸気を含む流動化ガスを注入することと、
前記乾燥活性廃棄物及び前記使用済みイオン交換樹脂を前記流動床反応器内において還元状態下で分解することと、を含み、
前記使用済みイオン交換樹脂は、非スラリー状で前記流動床反応器に連続的に供給され、70重量%以下の含水量を有するとともに、任意に自由水の実質的に全部が除去され、
前記使用済みイオン交換樹脂及び前記乾燥活性廃棄物の供給比率を選択して、最終廃棄産物の放射能を閾値未満にする、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
放射性廃棄物の長期貯蔵および/または処理には費用がかかる。コストを削減し、利用可能な貯蔵および処理用スペースをより良く利用するための1つの方法は、放射性廃棄物の体積を減少させることである。ほとんどの放射性廃棄物は、大量の非放射性物質、特に有機物を含む。この物質を除去し、および/またはよりコンパクトな形態に変換して、廃棄物の体積を減少させることができる。
【0002】
熱処理は、廃棄物の体積を減少させるための最良の方法の1つである。熱処理は、他の方法では達成できないレベルまで、廃棄物の体積を減少させることができる。1つの一般的な熱処理方法は焼却である。それは何十年にもわたって、都市廃棄物処理業において体積減少のために使用されてきた。
【0003】
残念ながら、焼却には多くの欠点がある。1つは、反応が、ダイオキシンおよびフラン化合物の形成が促進される酸素に富んだ環境下において高温で起こることであり、ダイオキシンおよびフラン化合物は厳しく、かつますます増加する規制による制限を受ける。もう一つは、高温条件がセシウムやテクネチウムのような比較的低い沸点を持つ放射性核種を揮発させることである。これらの物質は下流工程で除去されなければならず、このことはプロセスの複雑さおよびコストを増大させる。これらの欠点のため、原子力産業における焼却の適用は制限されてきた。
【0004】
水蒸気改質は放射性廃棄物中の有機物の熱による体積減少のための1つのアプローチであり、近年注目を集めている。水蒸気改質プロセスにおいて、放射性廃棄物は1つまたは2つの流動床改質器に供給され、流動床改質器は放射性廃棄物の制御された酸化反応および還元反応をもたらすために、適温かつ周囲圧力付近に維持される。このプロセスは、放射性核種を揮発させることなく、廃棄物からの水分の完全な蒸発、有機物の破壊、および硝酸塩の窒素ガスへの変換を可能にする。
【0005】
従来の水蒸気改質プロセスはある程度の成功および商業的な受け入れを経験してきたが、依然としていくつかの欠点を有する。1つの欠点は、それらが熱分解および水蒸気改質反応のためのエネルギーを提供するために、反応器への可燃性固体材料の添加を必要とすることである。この材料の添加はプロセスのコストを増大させ、材料中に固体不純物が導入されることによって、体積減少の程度を潜在的に減少させる。もう1つの欠点は、それらが一般に乾燥放射性廃棄物(DAW)、使用済みイオン交換樹脂(IER)などのような異なる廃棄物ストリ-ムを共処理することができないことである。
【0006】
廃棄物処理を単純化して容易にするために、異なる廃棄物ストリームを効果的に処理し得る統合熱プロセスを有することが望ましいであろう。それは、DAWや使用済みIERのような、量および物理的特性が大幅に異なる廃棄物ストリームにおいて、特に望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
使用済みイオン交換樹脂(IER)、使用済み粒状活性炭(GAC)、乾燥放射性廃棄物(DAW)、および原子力発電所の廃液処理システムに通常は不適合な薬液を含む、原子力発電所の運転から発生する放射性廃棄物の変換および体積減少のためのシステムおよび統合処理方法が開示される。この方法は、使用済みIER、使用済みGAC、またはDAWを単独でまたは互いに組み合わせて処理するように構成し得る単一の流動床反応器を使用し、それによって原子力施設用の「ワンストップ」ソリューションを提供する。
【0008】
このシステムは、供給原料の調製および取扱システム、流動床反応器システム、固体分離システム、およびオフガス処理システムを含む。体積減少は、熱分解、水蒸気改質、酸化などを含む、反応器システム内の複雑な反応ネットワークを介して達成される。反応を進行させ、廃棄物を安定化させるために、反応系に添加剤を添加することができる。この方法は、放射性廃棄物の体積を効果的に減少させ、それを処理または長期貯蔵に適した水のない安定した最終産物に変換することができる。廃棄物の有機成分の大部分はCOと水蒸気に変換され、気体排出物を環境に優しいものにする。
【0009】
いくつかの実施形態では、この方法は、流動床反応器内で、脱水された使用済みIERおよび/または脱水された使用済みGACなどの脱水廃棄物を処理することを含み得る。脱水廃棄物はまた、均一な最終廃棄産物を生成するために、DAWのような他の乾燥放射性廃棄物と一緒に共処理され得る。スラリーに対して可能であるよりも低い供給速度で廃棄物を流動床反応器に供給するこが可能になるので、廃棄物を脱水することは有利である。これにより、原子力施設によって生成された比較的少量の脱水廃棄物を、該施設によって生成された比較的多量のDAWと連続的に共処理することが可能になる。
【0010】
本概要は、以下の詳細な説明においてさらに記載される概念のセレクションを単純化された形で紹介するために提供されている。本明細書の発明の概要および背景技術は、開示された主題の重要な概念または不可欠な態様を特定することを意図するものではなく、また、特許請求の範囲を制限または限定するために使用されるべきでない。例えば、特許請求の範囲は、列挙された主題が発明の概要に記載されたいずれかもしくは全ての態様を含み、および/または背景技術に記載された問題のいずれかに対処するかどうかに基づいて限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】放射性核種で汚染された廃棄物を水蒸気改質するためのプロセスの一実施形態のプロセスフロー図である。
図2】DAWが流動床反応器の側面を通して供給されるDAW供給システムの一実施形態のプロセスフロー図である。
図3】DAWが流動床反応器の底部を通って供給されるDAW供給システムの別の実施形態のプロセスフロー図である。
図4】使用済みIERがスラリーとして流動床反応器に供給される使用済みIER供給システムの一実施形態のプロセスフロー図である。
図5】使用済みIERが脱水固体として流動床反応器に供給される使用済みIER供給システムの別の実施形態のプロセスフロー図である。
図6】流動床反応器が再循環構成にある、放射性核種で汚染された廃棄物を水蒸気改質するためのプロセスの別の実施形態のプロセスフロー図である。
図7】流動化ガスと共に反応器の底部を通して酸素が上方に供給される、流動床反応器の一実施形態を示す図である。流動床反応器は、ワンパス構成(A)、部分再循環構成(B)、および完全再循環構成(C)で示されている。
図8】廃棄物フィードが入る位置の真上の反応器の側面を通して酸素が供給される、流動床反応器の別の実施形態を示す図である。流動床反応器は、ワンパス構成(A)、部分再循環構成(B)、および完全再循環構成(C)で示されている。
図9】反応器の底部を通って上向きに、および廃棄物フィードが入る位置の真上の反応器の側面を通って酸素が供給される、流動床反応器の別の実施形態を示す図である。流動床反応器は、完全再循環構成で示されている。
図10】熱がウィンドボックス区画によって流動床反応器に提供される流動床反応器の別の実施形態を示す図である。
図11】高温フィルターの3つの異なる実施形態を示す図である。各実施形態は、フィルターの底部における粒子ブリッジを防ぐために、異なる方法を使用する。
図12】熱酸化装置からのオフガスが流動床反応器のための流動化ガスとして使用される、放射性核種で汚染された廃棄物を水蒸気改質するためのプロセスの別の実施形態を示す図である。
図13図13は、その長手方向軸に沿った供給アダプタ装置の一実施形態の断面図である。
図14図13の供給アダプタ装置の供給端の図である。
図15】装置の長手方向軸を横切る軸に沿った、図13の供給アダプタ装置の断面図である。
図16】熱プロセスから冷却流体への熱移動を容易にするために、供給アダプタ装置の排出端に配置されるように構成されたサーマルカラーの一実施形態の斜視図である。
図17図13の供給アダプタ装置のサーマルコアの斜視図である。
図18図13の供給アダプタ装置のサーマルコアの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施形態および他の実施形態は、添付の図面と関連して開示されている。
【0013】
放射性核種で汚染された廃棄物を熱分解するために使用することができる、システムおよびプロセスが開示される。具体的には、本システムおよびプロセスは、廃棄物中の有機物を分解し、それによって最終廃棄産物の体積および質量を減少させるために使用することができる。これにより、放射性廃棄物の長期貯蔵および/または処理のための費用が削減される。
【0014】
図1は、放射性廃棄物の体積を熱的に減少させるために使用することができるプロセスの一実施形態のプロセスフロー図である。一般に、このプロセスは水蒸気を用いた熱分解に頼る水蒸気改質プロセスであり、反応器内において所望の温度を維持するために任意に酸素を補充することができる。このプロセスは、供給原料の調製および取扱システム22、流動床反応器システム24、固体分離システム26、およびオフガス処理システム28を含む、システム20によって行われる。
【0015】
供給原料の調製および取扱システム22は、乾燥放射性廃棄物(DAW)供給システム30および使用済みイオン交換樹脂(IER)供給システム32を含む。流動床反応器システム24は流動床反応器34を含む。固体分離システム26は、サイクロン36および高温フィルター38を含む。オフガス処理システム28は、熱酸化装置40、スクラバー42、ドライヤシステム44、およびろ過システム46、48を含む。
【0016】
システム20およびそのサブシステム22、24、26、28に対して多数の変更を加えることができることを理解されたい。例えば、供給原料の調製および取扱システム22は、DAW、使用済みIER、使用済み粒状活性炭(GAC)または他の任意の種類の放射性廃棄物用の単一の供給システムを含み得る。供給原料の調製および取扱システム22はまた、図1に示される2つの供給システムよりも多くの供給システムを含み得る。同様に、流動床反応器システム24もまた、直列、並列、またはその両方に配置された複数の流動床反応器を含み得る。固体分離システム26はまた、図1に示された2つよりも多いのまたは少ない分離ユニットを含み得る。それはまた、異なるタイプの分離ユニットを含み得る。
【0017】
本プロセスは、任意の適切な放射性廃棄物を処理するために使用され得る。いくつかの実施形態では、それは低レベルおよび中レベルの放射性廃棄物を処理するために使用され得る。他の実施形態では、それは商業用原子力発電所によって生成された放射性廃棄物を処理するために使用され得る。さらに他の実施形態では、本プロセスは、商業用原子力発電所によって生成された低レベルおよび中レベルの放射性廃棄物を処理するために使用され得る。
【0018】
本プロセスは、様々な異なる放射性廃棄物を処理するために使用することができる。適切な廃棄物の例には、使用済みIER、使用済みGAC、およびDAW、特に商業用原子力発電所で生成されたものが含まれる。適切な廃棄物の他の例には、典型的な廃液処理システムと適合しない薬液などの様々な液体、スラッジ、固体有機廃棄物などが含まれる。
【0019】
使用済みIERは、原子力発電所または他の施設において、汚染水から放射性核種を除去するために使用されるイオン交換樹脂である。使用済みIERには放射性核種がロードされており、放射性廃棄物として処理する必要がある。使用済みGACは、原子力発電所または他の施設において、汚染水から放射性核種を除去するために使用される粒状活性炭である。それにも放射性核種がロードされており、放射性廃棄物として処理する必要がある。
【0020】
DAWは、原子力発電所または他の施設の汚染されたエリア内および汚染されたシステム上で行われた作業の結果として生じる廃棄物である。それは、上記施設の運転および保守中に生成される汚染された廃棄物である。DAWには、個人用保護服、ペーパータオル、ボロ布、手袋、ゴム長靴、ビニール袋、シーツおよび換気用エアフィルターなどのようなものが含まれる。
【0021】
廃棄物はまた、その含水量に基づいて特徴付けることができる。使用済みIERおよび使用済みGACは、一般に含水固体廃棄物と見なされる。含水固体廃棄物は、処理なしで、連邦規則10CFRパート61(10 CFR 61)に基づく処理制限を超えるのに十分な自由水を含む任意の固体廃棄物である。含水固体廃棄物ではない固体廃棄物は、これらの基準を満たさないものである。含水廃棄物とは、さらなる処理のために収集タンクに汲み上げるのに十分な水分を含む廃棄物を意味する。ほとんどの含水固体廃棄物は廃液処理から生成される。
【0022】
上述したように、本プロセスは、廃棄物の体積を大幅に減少させるために使用することができる。体積減少の程度は、廃棄物の特性に大きく依存する。例えば、DAWはより多くの量の有機物を含有しているので、所与の体積のDAWは同じ体積のIERよりもより減少させることができる。
【0023】
本プロセスは、少なくとも約5:1、または少なくとも約10:1で、DAWの体積を減少させるために使用することができる。本プロセスはまた、約5:1~約40:1、または約10:1~約50:1で、DAWの体積を減少させるためにも使用することができる。本プロセスはまた、約40:1以下、または約50:1以下で、DAWの体積を減少させるためにも使用することができる。
【0024】
本プロセスは、少なくとも約3:1、または少なくとも約5:1で、使用済みIERの体積を減少させるために使用することができる。本プロセスはまた、約3:1~約15:1、または約5:1~約10:1で、使用済みIERの体積を減少させるためにも使用することができる。本プロセスはまた、約15:1以下、または約10:1以下で、使用済みIERの体積を減少させるためにも使用され得る。
【0025】
図1に戻ると、供給システム30、32は、それぞれDAWおよび使用済みIERを流動床反応器システム24に供給する。DAW供給システム30は以下のように動作する。DAWは最初に選別ステージ50を通って供給され、そこで処理に不適当なアイテムが取り除かれる。これらのアイテムは典型的には比較的高い密度を有し、そのため流動化中に粒子は流動床反応器34内で徐々に下方へ移動し、底部に蓄積する。
【0026】
DAWは、多くの方法のうちのいずれかで選別され得る。例えば、DAWはグローブボックスを使用して手動で選別することができる。DAWはグローブボックスを通して供給され、作業者は処理に適さないアイテムを取り除く。選別ステージは粗く、容易に分離できる大きな対象物の除去に集中することが好ましい。小さなアイテム、および分離するためにかなりの努力を必要とする処理可能な材料と処理不可能な材料との組み合わせを含むアイテムは、シュレッダーによるさらなる処理のために下流に送ることができる。
【0027】
選別された後、DAWは次にシュレッダー52を通して供給され、シュレッダー52は廃棄物のサイズを低減し、それをより狭い粒度分布に均質化する。シュレッダー52は、金属部品のような硬く強固なアイテム、ならびに上記で説明した理由により処理不可能と考えられるいくつかのアイテムを処理することができる。換言すると、シュレッダー52は、ほとんどあらゆる種類の廃棄物を処理するために使用することができる。
【0028】
シュレッダー52の代わりに、任意の適切な粒径低減装置を使用し得ることを理解されたい。唯一の要件は、該装置が粒子サイズを低減すること、および/または廃棄物の均一性を高めることができるべき点である。そのような装置の例には、クラッシャー(crushers)、粉砕機(pulverizers)、グラインダー(grinders)およびミル(mills)などが含まれる。また、一般的な慣習として、シュレッダー52または他の粒径低減装置を防塵のある密閉チャンバー内で操作することがしばしば望ましい。
【0029】
シュレッダー52は、DAWを任意の適切な粒径に低減するように構成され得る。好ましい実施形態では、シュレッダー52は、約0.5インチ(12.7mm)から約1インチ(25.4mm)の範囲の開口部を有するスクリーンに対して、DAWを細断するように構成される。上記範囲は、次のファクターに基づいて選択される:(1)廃棄物を0.5インチ未満の粒径に小さくすると、著しく粉塵が発生する可能性がある;(2)0.5インチ未満の粒径は、早すぎるエルトリエーション(premature elutriation)を増加させ、そのため粒子は流動床反応器中で十分な滞留時間を有さない;(3)1インチ超の粒径は流動床では十分に流動化せず、滞留時間の延長をもたらし、処理量および転換率に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0030】
サイズが低減されたDAW粒子は、フィーダー54(あるいは、供給装置または供給機構)を用いて流動床反応器34に供給される。フィーダー54は、DAW粒子を流動床反応器34に移送することができる任意の適切な装置または機構であり得ることを理解されたい。適切なフィーダーの例には、スクリューまたはオーガ供給機構および油圧式供給機構などが含まれる。
【0031】
DAW供給物は、任意の適切な場所で流動床反応器34に入ることができる。例えば、DAW供給物は流動床反応器34の側壁を通して、または流動床反応器34の底部を通して入ることができる。図2は、流動床反応器34の側壁、好ましくは流動化ガス分配器64の数インチ上を通って入るように構成されたDAW供給物の例を示す。図3は、流動床反応器34の底部と流動化ガス分配器64の真上の開口とを通って入るように構成されたDAW供給物の例を示す。一般に、DAW供給物は流動床反応器34の流動化部分に入ることが望ましい。
【0032】
図2~3に示すように、DAWは、チャンバーまたはパイプ60の頂部に配置されたトップバルブまたは第1バルブ58と、チャンバー60の底部に配置されたボトムバルブまたは第2バルブ62とを含む垂直ロックホッパー56を用いて、流動床反応器34に供給され得る。バルブ58、62は、ボールバルブ、ナイフバルブまたはゲートバルブなどのような任意の適切な種類のバルブであり得る。
【0033】
バルブ58、62は以下の順序で作動させることができる:(1)トップバルブ58が開き、DAW粒子がチャンバー60に入る;(2)トップバルブ58が閉じる;(3)チャンバー60内の圧力がフィーダー54および流動床反応器34内の圧力と同じになるまで、チャンバー60をガス(例えば、窒素ガス)で加圧する;(4)ボトムバルブ62が開き、バッチ全体がボトムバルブ62より下になるまで、DAW粒子が落下し、および/または水平フィーダー54に押しつけられる;(5)ボトムバルブ62が閉じ、チャンバー60が上流ユニットの運転の圧力レベルまで減圧される;(6)DAW粒子は、気密性高トルクスクリューフィーダー(例えば、押出ダイのない押出機)を用いて流動床反応器34に供給される。
【0034】
上述のように、フィーダー54は任意の適切な種類のフィーダーであり得る。しかしながら、ダイのない押出機のような高トルクスクリューフィーダーは、たとえDAW粒子が溶融し、凝集し、またはそうでなければ反応器34の高熱のために物理的変化を受けたときでも、DAW粒子を流動床反応器34に供給することができるので有利であり得る。押出機スクリューは流動床反応器34の壁を貫通して延びていてもよく、その先端は該壁の内面と同一平面上にあってもよい。押出機はまた、以下に記載される供給アダプタ装置と関連するもののような冷却ジャケットを備えることができる。
【0035】
使用済みIER供給システム32は、使用済みIERを受け取り、保持し、流動床反応器34に供給するために使用される。IER供給システム32は、使用済みIERを流動床反応器34に供給することができる限り、任意の適切な構成を有し、多数の適切な装置のうち任意のものを使用することができることを理解されたい。以下の議論は使用済みIERを供給することに焦点を当てているが、使用済みGACにも等しく適用可能であることを理解されたい。システム32、73、または他のいくつかのシステムに関連して開示された特徴のいずれか1つまたは組み合わせを有する別個の供給システムを使用して、使用済みGACは、使用済みIERと一緒に、または使用済みIERとは別に供給され得る。
【0036】
図1に示す使用済みIER供給システム32は、使用済みIERをスラリーとして流動床反応器34に供給するように構成されたスラリーベースのシステムである。図4は、使用済みIER供給システム32の同じ実施形態をより詳細に示す。使用済みIERは、最初に保持タンク66にバッチ式で、または連続的に送られる。使用済みIERは、ポンプ68(例えば、ペリスタポンプまたはプログレッシブキャビティポンプなど)を用いて、一定の流速で流動床反応器34に連続的に供給される。
【0037】
使用済みIERビーズ/粉末を流動床反応器34中に懸濁および/または輸送するために、水が使用される。典型的には、スルーシング(sluicing)IERスラリーの含水量は、75~90重量%である。使用済みIERは、設計された処理速度で流される(sluiced)。最大流速は、流動床反応器34のサイズによって制限される。最小流速は、使用済みIERの特性によって制限される。流れは、使用済みIERを溶液中において懸濁状態に保ち、沈殿しないように十分な速さでなければならない。また、輸送ラインまたは輸送パイプは、使用済みIERがラインを詰まらせるのを防止するために、一定のサイズでなければならない。例えば、使用済みIERビーズの場合、最小速度は、内径(ID)0.5インチのスラリー輸送パイプにて、0.25gpm(2ft/時間)である。
【0038】
流動床の凝集を防止し、および/または最終廃棄産物を安定化させるために、1つまたは複数の添加剤70を任意選択で使用済みIER供給流に添加することができる。添加剤70は、任意の適切な方法で、IER供給流に添加することができる。例えば、添加剤70は、IER供給スラリー中に粉末/粒子として供給されるスラリーまたはスクリュー(screw)の形態で、IER供給流中に供給され得る。
【0039】
流動床の凝集は、流動床反応器を運転するときの一般的な問題である。Li、Na、Kおよびホウ酸塩(borate)などのようなアルカリ金属成分は、反応温度で低融点共晶(例えば、ケイ酸アルカリ)を形成し得る。低融点共晶は特定の温度下で粘着性になり、床粒子に結合し、かつ低融点共晶同士で互いに結合する。床粒子の凝集は、流動床反応器34の非流動化(defluidization)および予定外の運転停止をもたらし得る。凝集した床を修理するためのコストがはるかに高いので、凝集は、高放射能環境においてはるかに大きな問題となり得る。
【0040】
使用済みIERおよびDAWは、しばしばかなりの量のナトリウム(Na)化合物およびカリウム(K)化合物を含んでおり、床の凝集の危険性が高くなることがある。床材料が凝集するのを防ぐために、凝集防止添加剤または凝集防止剤(AA)を廃棄物フィードに添加することができる。AA材料またはAA材料中の活性成分は、問題のある成分(アルカリ金属など)と反応して高融点共晶を形成するべきであり、その反応は低融点共晶形成反応よりも競争的(competitive)であるべきである。
【0041】
適切なAA材料の例には、問題のある成分と結合して高融点共晶を形成することができるアルミニウム化合物および鉄化合物が含まれる。供給物のアルカリ金属に対するアルミニウム化合物および/または鉄化合物のモル比は、約0.2~約1.5の範囲であり得る。例えば、アルミニウム化合物および/または鉄化合物の投与量は以下のレシピに従うことができる:ホウ素(B)1モル当たり1.5モルのアルミニウム化合物および/または鉄化合物、ナトリウム(Na)1モル当たり1モルのアルミニウム化合物および/または鉄化合物、カリウム(K)1モル当たり1モルのアルミニウム化合物および/または鉄化合物、Li1モル当たり1モルのアルミニウム化合物および/または鉄化合物。例えば、40重量%のMICRAL 632(アルミナ3水和物)または酸化鉄(Fe)と、60重量%の水を含むスラリーを、IER供給スラリーに添加することができる。
【0042】
使用するAA材料の量は、アルカリ金属およびホウ素などの問題のある成分について廃棄物を分析することによって決定することができる。必要とされるAA材料の量は、廃棄物中に既に存在しているAA材料の量だけ減らすことができる。沸騰水型原子炉(boiling water reactors)からの使用済みIERには、しばしばかなりの量のFeが含まれており、容易にAAとして機能する。流動床の凝集を防止することに加えて、アルミニウム化合物および/または鉄化合物はまた、最終廃棄産物を安定化させるのに役立つスピネルを形成することができる。最終廃棄産物の好ましい形態は、高い浸出抵抗(leach resistance)を有する水を含まない安定した産物である。
【0043】
使用済みIERはまた、図5に示すIER供給システム73を用いて、流動床反応器34に供給することができる。供給システム32、73はいくつかの類似点を共有するが、主な違いは、使用済みIER供給システム73が使用済みIERをスラリーとして流動床反応器34に供給しないことである。代わりに、使用済みIERは脱水され、流動床反応器34に機械的に供給される。
【0044】
用語「脱水された(dewatered)」は、一般に、使用済みIERからの自由水の除去を意味する。したがって、脱水された使用済みIERは、自由水の全部または実質的に全部が除去された使用済みIERである。脱水された使用済みIERの含水量は、使用済みIERスラリーについての約75重量%~約90重量%と比較して、典型的には約45重量%~約55重量%である。いくつかの実施形態では、脱水された使用済みIERは、70重量%以下または60重量%以下の含水量を有する。
【0045】
脱水された使用済みIERは、いくつかの方法で流動床反応器34に供給することができる。例えば、使用済みIERは、IERが脱水される保持タンク66にバッチ輸送され得る。脱水された使用済みIERは任意の添加剤70と混合され、次いで、フィーダー72によって流動床反応器34に供給される。添加剤70は、粉末または微粒子として、脱水された使用済みIERに添加され得る。フィーダー72は、フィーダー54に関連して開示されたもののいずれかを含む任意の適切なタイプの供給機構であり得る。例えば、フィーダー72は、端部にダイを有さない押出機のような高トルクスクリューフィーダーであり得る。
【0046】
別の例では、使用済みIERを第1のタンクにバッチ式で、または連続的に輸送し、次いで第2のタンクに流して(sluiced)、そこで脱水することができる。脱水された使用済みIERは、次に保持タンク66に供給される。脱水された使用済みIERを流動床反応器34に供給するプロセスは、上記と同じである。
【0047】
脱水された使用済みIERを流動床反応器34に供給することは、いくつかの利点を与える。1つは、使用済みIERスラリー中の自由水をガス化する必要がないので、よりエネルギー効率的であるということである。もう1つは、使用済みIERがもはや、スラリーのように最小供給速度制限を受けないことである。これにより、DAWのような他の廃棄物と共に、少量の使用済みIERを流動床反応器34に連続的に供給することが可能になる。使用済みIERの最小供給速度要件を排除することによって、エネルギー消費を最小化し、かつ最終廃棄産物中において所望の放射活性を与えるために、異なる廃棄物の供給速度を最適化するための柔軟性が提供される。
【0048】
エネルギー消費に関しては、使用済みIERを処理するとき(脱水されたもの、スラリーのいずれであろうと)、水蒸気改質のためのエネルギーを供給するために、チャコールまたは石炭などのような可燃性材料を反応器34に添加することがしばしば必要である。可燃性材料を添加することはいくつかの欠点を有する。一つは、それがプロセスのコストを増加させるということである。もう一つは、これらの材料に内在する不純物が導入され、該不純物は最終的に最終廃棄産物になり、全体的な体積の減少に悪影響を及ぼすことである。
【0049】
可燃性材料の必要性は、使用済みIERを、DAWのような大量の有機物を有する他の廃棄物と共処理することによって、低減または排除することができる。DAWはチャコールなどの一般的に使用される可燃性材料と同等の発熱量を持ち、それにも関らずDAW自体はプロセスを通過する必要がある。使用済みIERとDAWを共処理すると、それらを別々に処理する場合と比較して、最終廃棄産物の量が最小化される。さらに、DAWを処理することによって生成される最終廃棄産物または改質残留物は、典型的には、使用済みIERを処理することによって生成される最終廃棄産物または改質残留物よりも放射性が低い。使用済みIERとDAWを共処理することは、最終廃棄物パッケージの放射能レベルを均一にするという利益を提供する。
【0050】
商業用原子力発電所におけるDAWに対する使用済みIERの典型的な体積比は、1:6~1:15である。廃棄物が、全範囲の原子力発電所廃棄物を処理する廃棄物処理施設において、オンサイトで処理されるか、またはオフサイトで処理され、使用済みIERがスラリーとして流動床反応器34に供給される場合、運転時間の大部分がDAWのみを処理するのに費やされる一方で、最定フロー要件を満たすために、使用済みIERはキャンペーンベースで処理されなければならない。
【0051】
しかしながら、使用済みIERがスラリーとして流動床反応器34に供給されない場合、使用済みIERは、反応温度を維持するのに必要なエネルギーを提供するDAWと一緒に、減少した速度で流動床反応器34に同時供給され得る。事実上、DAWは、流動床反応器34において可燃性材料の代わりとして使用される。依然としてキャンペーンベースで使用済みIERにおいて処理をすることが可能であることを理解されたい。
【0052】
使用済みIERとDAWを共処理することは、以下のような多くの利点を与える:(1)原子力施設の廃棄物のほとんどを1つのプロセスで除去すること;(2)チャコールのような可燃材料の使用を避けるか、または当該可燃物の量を減らし、エネルギーの観点からそれを自立させ、コストを削減し、不所望の不純物を含むことによる体積減少への悪影響を防止すること;(3)使用済みIERとDAWの供給比率を調整することによって、最終廃棄産物の放射能を操作すること。
【0053】
図1を参照すると、流動床反応器34は、有機物のガス化および体積減少を達成するための主要な単位操作である。一般に、流動床反応器34は、廃棄物を分解し、水蒸気改質するために使用され、有機部分は主として合成ガスにガス化される。床媒体は、主に過熱水蒸気で流動化される。廃棄物の熱分解および水蒸気改質に必要な熱を提供する酸化反応を促進するために、少量の酸素を流動床反応器34に供給することもできる。すべての処理不能のDAW粒子は、流動床反応器34の底部から定期的にオーガによって処理され得る。
【0054】
流動化ガスは、流動床反応器34の底部に配置された分配器64を通って上方に流れる。ガスの流速は最小流動化速度より大きく、最小流動化速度とは床粒子にかかる抗力が該粒子の重量に等しく、床に流体的挙動を与える流速である。流体的環境は、激しい混合と固体/気体の接触を提供する。これにより、材料間の熱および物質の移動が大幅に改善されるため、優れた温度分布を伴って反応が均一に起こる。
【0055】
流動床反応器34は、流動化ガスによって流動化される媒体の床を含む。床媒体は、好ましくは不活性(化学的に反応しない)、耐摩耗性、および耐粉砕性である。床媒体は、球形粒子が好ましいものの、任意の適切な形状を有することができる。床媒体はまた、任意の適切なサイズを有し得る。いくつかの実施形態では、床媒体の直径は約200ミクロン~約2000ミクロン、好ましくは約400ミクロン~約1000ミクロンである。
【0056】
床媒体は、任意の適切な材料で作られることができる。例えば、床媒体は、焼結粘土およびボーキサイトプロッパント(bauxite proppant)などでできていてもよい。改質残留物との相互作用によって凝集する傾向があるため、床媒体としてシリカを使用することは一般的に推奨されない。
【0057】
流動床反応器34は、底部に配置されたオーガを含み得る。オーガは、流動床反応器34の底部に沈殿する重い粒子を除去するために、定期的に運転され得る。除去された粒子は、最終廃棄産物または改質残留物中において、システム20から除去された他の固体と混合される。
【0058】
流動床反応器34は、任意の適切な温度で運転することができる。一般に、流動床は良好な温度制御を提供する。流動床エリアは、廃棄物が反応し、温度が最も高い場所である。反応温度(または流動床エリア内の温度)は、約650℃~約850℃、好ましくは約700℃~約750℃に制御され得る。より高い温度は反応を加速させるが、以下の要因によって、一般に反応温度の上限が設定される:(1)温度が高くなるとCsおよびTcの揮発が増加すること、(2)特定のCO分圧下におけるDAW中のCa化合物の焼成と炭酸化、(3)下流の装置における凝集および堆積は、流動床反応器34と下流の分離装置との間の大きな温度変動のために問題となり得る。
【0059】
いくつかの状況では、使用済みIERのようなより高濃度の放射性核種を有する他の形態の放射性廃棄物に適するよりも高い温度で、VLLW DAWのような超低レベル放射性廃棄物(VLLW;100kBq/kg未満)を処理することが望ましいかもしれない。より高い温度は、熱酸化装置に到達する前に、有機物が粘着性残留物としてプロセス装置上で凝縮および/または堆積するのを防ぐのを助ける。これらの状況では、流動床反応器34は、約600℃~約1100℃、約850℃~約1100℃、約900℃~約1100℃、または約950℃~約1100℃の温度で運転することができる。
【0060】
これらの温度で使用済みIERおよびその他のより高レベルの廃棄物を処理することは、放射性核種を揮発させるであろうから、一般的に望ましくないことに注意すべきである。しかしながら、VLLW DAWのようなVLLWを処理する場合は、比較的低い放射性核種含有量を有し、且つより高い温度の利点が放射性核種を揮発させるという欠点を上回るため、より高い温度が有利である。VLLW廃棄物中の数少ない放射性核種は、環境中に放出されないように、下流のガスろ過プロセスで捕捉される。
【0061】
これらのより高い温度で動作するために、プロセスおよび/またはシステム構成要素、特に流動床反応器34と熱酸化装置40との間のものは、Haynes556、Inconel617およびHaynes230などのような高温合金を使用して製造することができ、ならびに/または耐火性熱シールドを含むことができる。また、耐火性熱シールドの使用は、よりエキゾチックでなくおよび/またはより安価な材料から、プロセス装置を製造することを可能にし、例えば、ニクロム合金で作られたヒートトレースを含むことを可能にし得る。
【0062】
流動床反応器34は、任意の適切な圧力で運転することができる。例えば、反応器34は、フリーボードにおいて大気圧で、好ましくはフリーボードにおいて微陰圧で運転することができる。微陰圧で運転することによって、ガスおよび/または放射性粒子がシステム20から漏れる危険性が低減される。このことは放射能の封じ込めを維持するのを助ける。いくつかの実施形態では、流動床反応器34は、約-50水柱インチ(約-12.5kPa)~約-25水柱インチ(約-6kPa)または約-35水柱インチ(約-8.7kPa)の圧力(フリーボードにおける)で、運転することができる。
【0063】
流動化ガスは、ガス分配器64を通って流動床反応器34に入る。流動化ガスは、約450℃~約600℃に過熱されている蒸気であり得る。いくつかの実施形態では、蒸気は一次流動化ガスおよび反応性ガスである。廃棄物粒子は主として、式1による分解、式2による水蒸気改質、および式3~6による酸化を受ける。廃棄物の有機部分と水(使用済みIER中の)はガス化され、それによって元の廃棄物に比べて最終的な固体廃棄産物または改質残留物の体積が大幅に低減される。
【0064】
流動床反応器34内で生成された合成ガスは、CO、H、HO、水蒸気、COおよび炭化水素を含む反応から生成される。
【化1】

流動化ガスの水蒸気は、有機分解または可燃性材料の添加(特定の状況下で使用済みIERを処理するための)に由来する炭素と反応し、水素と一酸化炭素ガスを生成する。
【化2】

炭素、一酸化炭素および水素ガスは、以下のように酸化され得る。
【化3】

一酸化炭素と水蒸気は水性ガス転化反応を起こすことができ、炭素酸化物と水素に変換される。
【化4】
【0065】
流動床反応器34は、反応温度を維持するためのエネルギーが炭素質材料を酸化することによって供給されても、還元条件下で維持されるべきである。これは、流動床反応器34内の酸素フガシティを制御することによって行うことができる。
【0066】
酸素フガシティは、流動床反応器34に供給される酸素の量を制御することによって調整することができる。必要であれば、酸素を添加して流動床反応器34内の酸化還元条件を「強還元性」(無酸素)から「通常の還元性」まで、そしてさらに「比較的酸化性」まで変えることができる。一般に、反応条件を還元側に保ち、ダイオキシン/フランの不所望な形成を防ぎ、所望の水蒸気改質反応温度を維持し、いくつかの放射性核種の揮発を防ぎ、かつ/またはNOの形成を最小限に抑えることが望ましい。
【0067】
式1および式2で表されるようなシステム24内の吸熱反応に必要な熱を供給することを含めて、流動床反応器34の内部の反応温度を維持するのに必要な最小量の酸素を供給することが一般に望ましい。いくつかの実施形態では、反応器に供給される酸素は、流動床反応器34に入るガスの総体積の20体積%を超えない。他の実施形態では、当量比は0.5以下であり、残留酸素は流動床反応器34から去らない。当量比は、完全なストイキ燃焼に必要な酸素量に対する供給された酸素量の比である。
【0068】
図1では、流動床反応器34はワンパス構成である。廃棄物は流動床反応器34に入り、有機物はガス化され、炭素質固体粒子、無機固体および/または床微粉を含む同伴粒子がガス流中に出る。サイクロン36および高温フィルター38は、処理および/または長期貯蔵のために同伴粒子を分離する。
【0069】
ワンパス構成では、流動床反応器34は、2つの区画、すなわち(1)反応器34の下部に位置する流動床ゾーン、および(2)反応器34の上部に位置する解放フリーボードゾーン、を有する。フリーボードゾーンは、流動床ゾーンと比較してより大きい直径を有する。フリーボードゾーンのより大きな直径は、空塔空間速度(superficial space velocity)の減少をもたらす。このことは、同伴粒子の大部分が流動床エリアに落下して戻ることをもたらす。
【0070】
流動床反応器34は、流動床区画で測定される任意の適切な空塔基準の空間速度を有し得ることを理解されたい。一般に、空塔空間速度は良好な流動化を生みだし、かつその一方で床材料のエルトリエーション(elutriation)を最小にするべきである。いくつかの実施形態では、空塔基準の空間速度は、約1.1フィート/秒~約2.5フィート/秒(約33.5cm/秒~約76cm/秒)、約1.2フィート/秒~約2.0フィート/秒(約36.5cm/秒~約61cm/秒)、約1.3フィート/秒~約1.7フィート/秒(約39.5cm/秒~約52cm/秒)、または約1.4フィート/秒~約1.6フィート/秒(約42.5cm/秒~約49cm/秒)であり得る。
【0071】
流動床反応器34は、ワンパス床構成の代わりに再循環床構成で運転することができる。再循環床構成の一例を図6に示す。再循環床構成では、同伴粒子はサイクロン36によって分離され、流動床反応器34に戻される。粒子は、細かくなりすぎるかまたは軽くなりすぎてサイクロン36によって分離できなくなるまで、このようにして再循環する。この構成は、そうでなければ最終廃棄産物になるであろう固体炭素質粒子を反応させることによって、廃棄物の体積減少を改善する。
【0072】
このワンパス構成では、流動化ガスは、軽く細かい廃棄物粒子(light fine waste particle)、無機物およびチャー(char、未反応炭素)を含む改質残留物、および長期間流動化されて分離可能な(elutriable)サイズおよび/または重量にまで摩耗したいくらかの床媒体を巻き込んでいる。ガス流中の全てまたはほとんど全ての粒子が改質残留物中に集められる。ワンパス構成では、改質残留物は5重量%~20重量%の残留炭素質材料を含む。
【0073】
再循環構成では、未反応の炭素および/または炭素質中間体は、より良い転化率、したがってより大きな体積減少を達成するために、複数回処理される。再循環モードはまた、より高いガス速度およびより速い流動化を可能にし、このことはさらに混合および/または熱移動および物質移動を改善し、凝集の危険性を減少させる。再循環構成では、改質残留物は5重量%以下または4重量%以下の残留炭素質材料を含む。
【0074】
流動床反応器34の構成は、いくつかの方法で変えることができることを理解されたい。例えば、再循環構成では、2つ以上のサイクロン36を使用して廃棄物粒子を分離し、それらを流動床反応器34に循環させることができる。サイクロン36は直列および/または並列に配置することができる。一実施形態では、直列に配置された2つのサイクロン36を使用して、ガス流から廃棄物粒子を分離して、それらを流動床反応器34に循環させることができる。
【0075】
流動床反応器34は、完全循環床または部分循環床として運転することができる。相違点は、完全再循環床では全ての粒子が流動床反応器34を通ってサイクロン36に流れ、部分再循環床では一部の粒子だけが流動床反応器34を通ってサイクロン36に流れることである。完全再循環床の構成における流動床反応器34は、一般に、拡張された(expanded)フリーボードゾーンを含まない。代わりに、流動床反応器34は、その全長に沿って同一またはほぼ同一の直径を有する。対照的に、部分再循環床における流動床反応器34は、一般に、拡張された(expanded)フリーボードゾーンを含む。
【0076】
流動床反応器34は、ワンパス構成A、部分再循環構成B、および完全再循環構成C(均一直径、フリーボードゾーンなし)で図7に示されている。完全再循環構成では、廃棄物は流動床反応器34に入り、ガス化される。炭素質固体中間体、無機固体、および床材料を含む同伴粒子は、サイクロン36によってガス流から分離され、流動床反応器34に循環して戻される。固体は、細かくなりすぎてサイクロン36によって捕捉できなくなるまで、流動床反応器34を通って往復し続ける。
【0077】
再循環構成における流動化ガスは、任意の適切な空塔基準の空間速度を有し得ることを理解されたい。一般に、流動化ガスの空塔空間速度は、部分再循環構成においてよりも完全再循環構成において高くなり得る。例えば、完全再循環構成では、流動床区画で測定された流動化ガスの空塔基準の空間速度は、約4フィート/秒(約122cm/秒)~約6フィート/秒(約183cm/秒)であり得る。部分再循環構成では、流動床区画で測定された流動化ガスの空塔基準の空間速度は、約2フィート/秒(約61cm/秒)~約4フィート/秒(約122cm/秒)であり得る。
【0078】
流動床反応器34に酸素を添加するという主題に戻ると、酸素は任意の適切な方法で流動床反応器34に供給することができることを理解されたい。図7~9は、流動床反応器34に酸素を供給するための様々な配置を示す。酸素は、熱分解および水蒸気改質反応のためのエネルギーを供給するために使用され得る。
【0079】
図7は、酸素が流動化ガスと共に流動床反応器34に供給される一構成を示す。具体的には、酸素は過熱水蒸気と共にガス分配器64を通って、流動床反応器34内に上向きに流れる。図7は、ワンパス構成A、部分再循環構成B、および完全再循環構成C(空塔空間速度はAからCの順に増加する)における流動床反応器34を示す。
【0080】
図8は、廃棄物が流動床反応器34の側面に入る位置よりわずかに上の位置で、酸素が流動床反応器34に供給される別の構成を示す。酸素は、この高さで、反応器34の周囲に分布する単一の開口部または複数のポートもしくは開口部を通って、流動床反応器34に入ることができる。廃棄物フィードの入口のすぐ上で酸素を添加することは、より高密度のフィード粒子のいくつかが流動床の底部に蓄積するのを防ぐのを助けることができる。この構成はまた、廃棄物フィードの入口近くでより高い酸素濃度をもたらす結果になり得て、その領域にホットスポットを生じさせる可能性がある。図8は、ワンパス構成A、部分再循環構成B、および完全再循環構成Cにおける流動床反応器34を示す。
【0081】
別の構成では、酸素は、図7に示すように流動化ガスと共に、そして図8に示すように反応器34の側面を通して、流動床反応器34に供給することができる。同じ全流量を維持するために、各位置における流速は減少させることができる。
【0082】
図9は、酸素が複数のレベルで流動床反応器34に供給される別の構成を示す。それはまた、流動床反応器34の底部を通して流動化ガスと共に酸素が供給されることを示す。しかしながら、他の実施形態は、流動床反応器34の側面を通して酸素ガスを供給することのみを含み得て、底部を通して酸素ガスを供給することは含み得ないことを理解されたい。図9に示す構成は、完全再循環モードで運転しているときに、流動床反応器34に特に適用可能である。複数のレベルで酸素を加えることは、所与の領域が過度に酸素に富むようになり、流動床のその位置において還元状態が変化するのを防止するのを助ける。
【0083】
図10は、流動床反応器34内の熱分解および水蒸気改質反応に熱を供給するための別の配置を示す。この構成では、流動床に酸素を供給して、供給物および/または添加された可燃性材料の酸化から発生する熱を使用する代わりに、流動床に入る前にウィンドボックス区画74内で燃料を燃焼させることによってエネルギーを供給する。
【0084】
燃料はウィンドボックス区画74で燃焼され、発生したガス(COおよび水蒸気)は熱く、熱分解および水蒸気改質反応をサポートするために使用し得るエネルギーを流動床に運ぶ。また、燃料を燃焼させることによって生成された反応熱を使用して、流動化ガス蒸気を過熱することができる。
【0085】
この構成の1つの利点は、実際の流動床ゾーンを含む流動床反応器34を完全な還元状態に維持することができる点である。別の利点は、最終廃棄産物中に集まる固体不純物を生成するチャコール(charcoal)のような固体可燃性燃料の代わりに、気体燃料を使用できることである。別の利点は、流動床反応器34を通る、より高い流動化ガス流速を可能にすることである。このことは、流動床反応器34が部分再循環モードまたは完全再循環モードで運転されるときに、特に望ましい。酸化還元状態を微調整するために、酸素は依然として上記の方法のいずれかで供給され得る。
【0086】
流動床反応器34を加熱するために、他の方法を使用することができることを理解されたい。そのような方法の1つは、電気加熱エレメントを使用して流動床反応器34を加熱することである。加熱エレメントは流動床反応器34の内側に、好ましくは流動床反応器34の外側の周りに配置することができる。加熱エレメントは、流動床反応器34内の高度に摩耗性の環境の外側で、より長もちするであろう。電気加熱は、流動床反応器が約10インチ(約25.4センチメートル)以下の直径を有する、より小さなサイズのシステムに特に適しているかもしれない。酸化還元状態を微調整するために、酸素は依然として上記の方法のいずれかで供給され得る。
【0087】
図1を参照すると、ガスはいくらかの同伴固体と共に流動床反応器34を去り、固体分離システム26に入る。図1に示す実施形態では、固体分離システム26は、サイクロン36と高温フィルター38とを含む。サイクロン36は、固体の粗分離を行い、分離負荷の大部分を引き受ける。残りの固体は高温フィルター38によって除去される。固体分離システム26は、オフガス流から99.9%を超える固体の除去を達成し得る。固体は固体収集容器76に捕捉され、最後には最終廃棄産物として処理される。
【0088】
流動床反応器34から熱酸化装置40までの装置および配管の温度は、ガス流中の炭化水素が熱酸化装置40で消費され得る前に凝縮するのを防止するのに十分な高温に維持することができる。図1に示される実施形態では、ガスの温度を、サイクロン36の出口において少なくとも600℃超に、かつ高温フィルター38の出口において少なくとも500℃超に、好ましくは少なくとも550℃超に維持することによって、これを達成することができる。所望の温度を維持するために、装置および配管はまた、十分に断熱され、かつ/またはヒートトレースを施すことまでもされ得る。
【0089】
高温フィルター38は、サイクロン36からの高温オフガス流から同伴微粉を分離するように構成される。図11は、高温フィルター38の適切な構成のいくつかの例を示す。一般に、高温フィルター38は、少なくとも600℃まで、好ましくは少なくとも700℃までの温度に耐え得るフィルターエレメント78を含む。これらの温度に耐えるフィルターエレメント78の例には、焼結金属および/またはセラミックで作られたものが含まれる。
【0090】
図11に示す実施形態では、フィルターエレメント78はアウトサイド-イン方式で運転するように構成され、アウトサイドーイン方式とは、ガスが入口開口部82を通って高温フィルター38内のチャンバー80に流れ込み、固体が保持されるフィルターエレメント78の外側表面を通過し、フィルターエレメント78の内側を通って進み、出口開口部84を通って出る、ことを意味する。
【0091】
ガス流中の固体は、フィルターエレメント78の外面に蓄積する傾向がある。フィルターエレメント78を定期的にバックパルスすることによって、これを除去することができる。例えば、フィルターエレメント78は、高温フィルター38を横切る圧力降下が予め設定された閾値を超えるときに、バックパルスされ得る。
【0092】
フィルターエレメント78から除去された固体は落下して、高温フィルター38の底部に蓄積する。いくつかの場合において、固体は、高温フィルター38の底部において排出口を塞ぐブリッジを形成し得る。図11は、粒子のブリッジを防止および/または破壊し得る高温フィルター30のいくつかの実施形態を示す。
【0093】
左の実施形態は、ブリッジ固体を粉砕するために、回転トングまたはチェーンなどのような機械的装置86を使用する。中央の実施形態は、ブリッジ固体を空気圧で粉砕するために、側面からの一定のまたはパルス状のガス(例えば、窒素ガス)流を使用する。右の実施形態は、ブリッジ固体を空気圧で粉砕するために、頂部からのパルス状のガス(例えば窒素ガス)流を使用する。
【0094】
ブリッジ固体を粉砕するためにガスを使用するそれらの実施形態では、ガスは少なくとも500℃超、好ましくは少なくとも650℃超の温度に加熱されるべきである。また、フィルターエレメント78の内部および周囲の温度は、少なくとも500℃超に維持されるべきである。中央および右の実施形態は、可動機械部品を持たず、したがって維持がより容易であるので好ましい。ブリッジ固体の形成を防止し、かつ/またはブリッジ固体を粉砕するために、他の多くの方法を使用し得るを理解されたい。
【0095】
図1を参照すると、ガス流は固体分離システム26を去り、オフガス処理システム28に入る。具体的には、オフガス流は熱酸化装置40に入り、そこで還元ガス成分(H、CO、CHなど)は、ガスを約1000℃~約1200℃に加熱する天然ガス炎によって、COおよびHOに変換される。オフガス流は、熱酸化装置40に入る前に、任意に空気と混合され得る。
【0096】
熱酸化装置40からのガスは次にスクラバーシステム42に行き、そこで水酸化ナトリウム溶液中で80℃未満の温度に、好ましくは数秒以内に、急冷される。HCL、SO2およびNOxなどのすべてのガス状酸性成分は取り除かれ(scrubbed)、水蒸気は凝縮される。スクラバーバス(scrubber bath)のpHは、水酸化ナトリウム溶液を絶えず補充することによって、約6.5~約7.5に維持することができる。一般に、二次廃棄塩(secondary waste-salt)の量を著しく増加させる二酸化炭素の除去を防ぐために、溶液のpHを6.5よりはるかに低くしないことが望ましい。
【0097】
スクラバーシステム42からのスクラバー液は、水を除去するために、ドライヤシステム44内で噴霧乾燥される。乾燥された固体粒子は、ろ過システム46で蒸気含有ガス流から分離される。乾燥された塩は、二次産物としてろ過システム46から収集される。
【0098】
スクラバーシステム42からのオフガスは、主に二酸化炭素ガスおよび窒素ガス、そして場合によってはいくらかの残留酸素ガスからなる。それとろ過システム46からのオフガス流は、大気中に放出される前に最終ろ過システム48を通過する。一実施形態では、ろ過システム48は、ガス流中のあらゆる追加の不純物を除去するHEPAフィルターを含む。
【0099】
図12は、熱酸化装置40からのオフガスの一部が流動床反応器34のための流動化ガスとして使用される、システム20の代替実施形態を示す。この実施形態は、エネルギー消費、水在庫(water inventory)、および全体の排出量を有利に低減することができる。
【0100】
図12は、再循環構成(部分再循環または完全再循環)における流動床反応器34を示す。しかしながら、流動床反応器34がワンパス構成にあるときには、熱酸化装置40からのオフガスも再循環させることができることを理解されたい。
【0101】
熱酸化装置40からのオフガス流は約950℃~約1100℃の温度を有し、オフガス流は主に水蒸気および二酸化炭素からなる。熱酸化装置40の設計は、オフガス流の圧力が約15psig(約103kPa)~約50psig(約345kPa)であるようになっており、これは流動化ガスの圧力要件と一致する。
【0102】
オフガス流は、システム20における全体的な質量バランスを維持するために分割される。ブリード流は、上に開示したように下流プロセスを通過する。再循環されたオフガス流は相当量の水蒸気を含み、それにより追加の新鮮な水蒸気の必要性は排除されずとも低減される。
【0103】
この実施形態はいくつかの利点を有する:(1)エネルギー消費量の大幅な削減(流動化ガスを生成/過熱するのに、最小限のエネルギーが必要/エネルギーは必要とされない;減少した量のオフガスを急冷するのに必要なエネルギーが少ない);(2)水の消費量が少なく、施設からの水蒸気の排出が少ない;(3)下流装置および蒸気発生器の潜在的に著しい小型化。DAWおよび使用済みIER中には、トリチウムがないか、または最小限のレベルのトリチウムしかないため、トリチウムレベルを上昇させることなく、システム内で水(水蒸気)を再循環させることが可能である。
【0104】
図13図15は、供給材料が高温の単位操作に供給されているときに、供給材料の熱誘導反応を防止するために使用することができる供給アダプタ装置90の一実施形態を示す。図13は、その長手方向軸に沿った供給アダプタ装置90の断面図を示す。図14は、供給アダプタ装置90の供給端の端面図を示す。図15は、供給アダプタ装置90の長手方向軸を横切る軸に沿った断面図を示す。システム20という文脈において、廃棄物を流動床反応器34に供給するために、供給アダプタ装置90を使用することができる。
【0105】
供給アダプタ装置90は、廃棄物が流動床反応器34に入る前に、廃棄物が分解したり、またはそうでない場合は反応したりするのを防ぐように構成される。反応器34に入る前に、DAWおよび脱水された使用済みIERがいかなる有意な反応も受けずに流動床反応器34に供給されることを可能にすることは、フィーダー54、72を伴う使用に特に適している。それは、スラリー供給流のような他の供給流と共に使用することもできる。しかしながら、スラリーは、流動床反応器34に達する前に供給流を冷却する水を含み、それによって供給アダプタ装置90をほとんど不要にする。
【0106】
廃棄物が流動床反応器34に入るための最良の位置の1つは、流動床の下部内である。この例が図2~3に示されている。これにより、フィーダー54、72および廃棄物は流動床反応器34内の一番熱いゾーンと直接接触し、流動床からの熱移動を受けやすくなる。
【0107】
廃棄物が流動床に物理的に入る前に、フィーダー54、72内で反応することは望ましくない。また、上記で説明したように、水のような冷却剤流体を廃棄物と共に流動床に供給することは望ましくない。廃棄物が流動床に入る前に、供給アダプタ装置90が廃棄物を冷却する。供給アダプタ装置90は、フィーダー54、72に結合され、流動床反応器34の壁または底部を通って延びることができる。上述のように、フィーダー54、72は、押出機などのような高トルクスクリューフィーダーを含む任意の適切なフィーダーであり得る。また、供給アダプタ装置90は、冷却液または冷却ガスなどの冷却剤流体を用いて能動的に冷却され得る。
【0108】
供給アダプタ装置90は、冷却剤を供給流中に導入することなく、熱プロセスに至る廃棄物供給流中における熱誘導反応を防止するように構成される。これは、プロセスから供給アダプタ装置90のノズルへの熱エネルギーの伝達を制限し、ノズルに伝達される熱エネルギーを除去し、供給流自体から熱エネルギーを除去することによって達成される。
【0109】
供給アダプタ装置90は、該装置90を貫通する供給ボア96を画定するボアチューブまたはボアスリーブ94を囲むハウジング92を含む。供給アダプタ90はまた、ボアチューブ94を囲むサーマルコア98と、サーマルコア98を囲むアイソレータチューブまたはリング100とを含む。それはまた供給端102および排出端104を含む。サーマルコア98は、ボアチューブ94から熱を伝達排除し、廃棄物が熱くなりすぎることおよび分解することを防ぐように構成される。
【0110】
ハウジング92は、プロセスフランジ106、供給フランジ108、本体110、および本体延長部112を含む。本体延長部112は、供給アダプタ装置90の排出端104に配置されたサーマルカラーまたはリング114を含む。サーマルカラー114は、ボアチューブ94を囲み、ハウジング92の外面までずっと延びている比較的厚い材料である。
【0111】
プロセスフランジ106は、供給アダプタ装置90をプロセス反応器または容器、この場合は流動床反応器34、に結合するために使用される。供給フランジ108は、供給アダプタ装置90を供給流送出装置に結合するために使用される。例えば、供給フランジ108は、供給アダプタ装置を、ダイなしの押出機のようなスクリューベースの供給装置に結合するために使用され得る。
【0112】
本体110はフランジ106、108を互いに結合し、冷却流体を封じ込める。それはまた、冷却流体の供給ラインおよび排出ラインのための接続点を提供し、本体延長部112およびボアチューブ94を支持する。接続点の構成は必要に応じて変えることができる。本体110はまた、装置90に出入りする冷却流体の流れを容易にする内容積を有する。本体延長部112は、プロセスフランジ106に結合されて、流動床反応器34内に外向きに延びる。それはまた冷却流体を封じ込める。本体110および本体延長部112の構成は、様々な用途の要件を満たすように変更することができることを理解されたい。
【0113】
ボアチューブ94は、供給フランジ108に接続し、ハウジング本体110の中心、ハウジング本体延長部112、およびサーマルカラー114を通って延びる。ボアチューブ94は供給流を含み、供給流を冷却流体から分離する。スクリューフィーダーまたは押出機を使用する供給システムの場合、ボアチューブ94はスクリューフィーダーまたは押出機のボアの延長部となる。ボアチューブ94を通って、供給アダプタ装置90の排出端104までずっと延びる延長スクリュー(extended screws)を使用することができる。このようにして、廃棄物は、排出端104を含めて、装置90を通してずっとスクリューで固定される(engaged)。延長スクリューは一体型冷却システムを含むことができる。また、1以上の耐熱コーティングまたは耐摩耗コーティングをボアチューブ94に塗布して、供給ボア96を通る廃棄物の通過を容易にすることができる。
【0114】
図13および図15を参照すると、サーマルカラー114は、供給アダプタ装置90の排出端104に配置される。それはリングであって、ハウジング本体延長部112の一部であり、ボアチューブ94を支持する。サーマルカラー114は供給アダプタ装置90の末端にあり、そこで熱プロセスと接触し、冷却流体を熱プロセスから分離する。サーマルカラー114は、サーマルコーティングで被覆することができる。
【0115】
運転中、サーマルカラー114は、熱プロセスを廃棄物供給システム30、73から分離する熱障壁として機能する。サーマルカラー114の一端または側面は熱プロセスにさらされ、他端または側面は冷却流体にさらされる。サーマルカラー114によって吸収された熱エネルギーは、サーマルカラー114を通って伝導され、次いで冷却流体にリジェクトされる。このことは、プロセスおよび冷却条件に応じて、サーマルカラー114の長さに沿って温度勾配を生じさせ得る。あるいは、サーマルカラー114は、冷却流体の代わりに、または冷却流体に加えて、サーマルコア98と直接接触するように配置され得る。この実施形態では、熱伝導剤を使用して、熱エネルギーをサーマルカラー114からサーマルコア98に伝達することができる。
【0116】
サーマルコア98は、高い熱伝導率を有し、ボアチューブ94の外面と直接接触するように配置されたチューブまたはスリーブである。サーマルコア98は、ハウジング内の冷却剤供給ゾーンからサーマルカラー114に隣接する領域まで延びる。サーマルコア98は、その長さに沿って内部パッセージ116を有し、内部パッセージ116はサーマルコア98の長さに沿って冷却流体供給源からの冷却流体の流れを方向付け、サーマルカラー114に衝突する噴出物中に冷却流体を放出する。
【0117】
冷却流体は、サーマルコア98の周りを流れ、ハウジング本体延長部112内のチャネルまたはキャビティ118を通って逆流し、そこで装置90から排出される。冷却流体は、チャネル118を通って逆流するときに、サーマルコア98から熱エネルギーを除去する。ボアチューブ94と直接接触しているサーマルコア98は、ボアチューブ94から熱エネルギーを除去し、ボアチューブ94はプロセス供給流から熱エネルギーを除去する。
【0118】
アイソレータチューブ100は、サーマルコア98を囲み、チャネル118中の出て行く冷却流体から、パッセージ116中の入ってくる冷却流体を分離した状態に保つ。事実上、アイソレータチューブ100は、装置90の内容積を2つのゾーンに分割する。1つは冷却流体を供給するためのものであり、パッセージ116を含む。もう一つは、冷却流体を除去および排出するためのものであり、チャネル118を含む。
【0119】
冷却流体または冷却剤は、液相中または気相中のいずれかの任意の適切な熱伝達流体であり得る。適切な液体の冷却流体の例には、限定されないが、水道水(service water)、復水器冷却水(condenser water)および冷水(chilled water)などが含まれる。気体の冷却流体の例とには、限定されないが、窒素、アルゴン、フレオンおよび圧縮空気などが含まれる。冷却剤流体は、熱性能を高めるために、液相/気相の変化を受け得る。
【実施例
【0120】
以下の実施例は、開示された主題をさらに説明するために提供される。それらは、決して特許請求の範囲を制限または限定するために使用されるべきではない。
【実施例1】
【0121】
本実施例では、脱水イオン交換樹脂(IER)供給物およびIERスラリー供給物を用いて熱による体積減少プロセスを試験して、異なる供給物がプロセスにどのように影響したかを決定した。脱水IER供給物は約55%の含水量を有し、ダイなしのスクリュー押出機を使用して流動床反応器に供給された。IERスラリー供給物は約85%の含水量を有し、ペリスタポンプ(peristaltic pump)を使用して流動床反応器に供給された。流動床反応器の直径は15インチであった。
【0122】
IERスラリー供給物は1回の運転で試験した。脱水IER供給物は2回の運転で試験し、2回目の運転の供給速度は1回目の試験の供給速度より50%大きかった。試験結果を下の表1に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
データは、脱水IERを流動床反応器に供給することが少なくとも2つの利点をも与えることを示している。第一に、チャコール(charcoal)の供給速度を著しく減少させることを可能にする。このことはプロセスのコストを下げ、チャコール中の不純物による廃棄物の体積減少への悪影響を最小にする。第二に、スルーシング(sluicing)IERと比較して、所与のサイズの流動床反応器の処理量を増加させる。
【実施例2】
【0125】
本実施例では、異なる供給物組成を用いて熱による体積減少プロセスを試験して、それらがプロセスにどのように影響するかを決定した。試験した供給物組成は次の通りであった:(1)IERスラリー供給物、(2)乾燥放射性廃棄物(DAW)供給物、(3)DAWとIERの混合物(DAWとIERは流動床反応器に入る前に混合された)、ならびに(4)DAWとIERを連続的に流動床反応器に同時供給した(DAWとIERは別々に反応器に供給された)。供給物1は流動床反応器にポンプで送り込み、供給物2~4はダイなしの押出機を用いて流動床反応器にスクリュー供給した。試験結果を下の表2に示す。
【0126】
【表2】
【0127】
データは、DAWとIERを一緒に処理することが少なくとも2つの利点を与えることを示している。第一に、定常状態運転中にチャコールを全く加える必要がない。このことはプロセスのコストを下げ、チャコール中の不純物による廃棄物の体積減少への悪影響を最小にする。第二に、DAWとIERの組み合わせによって生成された改質残留物(RR)の放射能は、IER単独よりも低かった。このことは、2つの廃棄物を一緒に処理することが最終パッケージの放射能を制御する上で、いくらかの柔軟性を提供することを証明している。このことは、原子力発電所から入ってくる廃棄物の放射能レベルが大幅に異なる状況において有用である。
【実施例3】
【0128】
本実施例では、乾燥放射性廃棄物(DAW)を、熱による体積減少プロセスの流動床反応器内に首尾よく供給する能力を試験した。DAWを流動床反応器に供給するための従来の方法は、DAWを水と混合してスラリーを形成し、それを反応器内に供給することである。水は、DAWが流動床反応器に入る前に反応するのを防ぐための冷却剤として作用する。この試験は、DAWがスラリーの形態でなくても反応器に供給され得るかどうかを決定するために行われた。
【0129】
供給アダプタ装置を用いて、スクリュー押出機を流動床反応器に連結した。供給アダプタ装置は流動床反応器の壁を貫通して13.5インチ延びており、該流動床反応器の壁は金属外壁および内部耐火性ライナーを含んでいた。供給アダプタ装置のシェルは、装置を冷却するために冷却剤流体が循環する内部流体チャネルを含んでいた。冷却剤流体は-3℃の温度で供給され、5gpmの速度で循環された。一般に、供給アダプタ装置の構成は、図面に示され記載されたものと類似または同一である。
【0130】
一連のプロセス試験が行われた間、流動床反応器は900℃で50時間超運転された。運転温度は反応器の通常の運転温度の最高点であり、それは約700~約900℃である。ダイなしの2インチ押出機を使用して、供給アダプタ装置を通して流動床反応器内にDAWを供給した。供給アダプタ装置のノズルまたは排出口は流動床反応器の内壁の内側にあり、その前面は高温の流動床に直接面していた。
【0131】
流動床反応器の壁を通って延びる供給アダプタ装置の区画は、反応器の壁の外面での220℃から耐火性ライナーの内面での900℃までの温度勾配を経験した。供給アダプタ装置は、流動床反応器の壁からの伝導熱移動と、それが面している流動床エリアからの放射熱移動とによって加熱された。
【0132】
押出機自体には溶融は観察されず、供給アダプタ装置のノズルには溶融残留物または炭化残留物は観察されなかった。ノズルの端部に多少の変色があったが、これはノズルの外壁と流動床反応器内へのポートの壁との間のエリアに侵入した、いくらかの重質炭化水素蒸気の凝縮によるものであった。しかしながら、全体として、結果は、DAW廃棄物フィードが反応器内に供給されるときに、供給アダプタ装置がそれを首尾よく遮蔽することを示した。
【実施例4】
【0133】
本実施例では、異なるDAW供給組成物およびプロセス条件を用いて熱による体積減少プロセスを試験して、それらがプロセスにどのように影響するかを決定した。3種類の供給物が試験された。供給物のうち2つはDAWのみ(供給物タイプAと供給物タイプB)を含み、1つはDAWとIERの組み合わせ(供給物タイプC)を含んでいた。プロセスは、流動床反応器、反応器の下流に配置されたサイクロン分離器、および高温反応器の下流に配置された高温フィルターを含んでいた。プロセスは、固体はいずれもサイクロンから流動床反応器に戻るように再循環されないワンパスモードと、または固体の一部がサイクロンから流動床反応器に再循環される部分再循環モードのいずれかで運転された。各試験のプロセス条件ならびに結果を表3Aおよび表3Bに示す。
【0134】
【表3A】
【表3B】
【0135】
結果は、このプロセスのいくつかの注目すべき側面を明らかにしている。1つは、供給物がIERを含むプロセス条件を含めていずれのプロセス条件下でも、プロセスの定常状態運転に追加の燃料が必要ではなかったことである。もう一つは、プロセスが700~750℃の温度で運転されたときに、無視できる程度のダイオキシン形成があったことである。さらに別のことは、部分再循環条件で流動床を運転することが、ワンパス運転と比較して、還元および炭素転化率を大幅に改善したことである。結果はまた、システムの運転パラメータを最適化することによって、および/または、例えば、流動床反応器を完全再循環状態で運転することにより、その設計をさらに変更することによって、廃棄物の体積/重量の減少をさらに最適化する可能性があることを示している。
【0136】
結果は、反応器がより酸素不足の場合、炭素転化率は、反応器がより還元的でない状態で運転している場合ほど高くなかったことを示す。しかしながら、より高い反応器温度(すなわち、850~900℃)では、流動床の高温を維持するためのエネルギーを提供するために、より多くの酸素(したがってより高い程度の酸化)が必要とされた。より高温での運転では、いくらかのダイオキシン形成があった。それにもかかわらず、これらの条件における大気への放出点でのダイオキシンレベルは、すべて0.05ng/dscm以下であった。より高い反応器温度(すなわち、850~900℃)で観察されたサイクロン中に、いくらかのカルシウム化合物の望ましくない蓄積があった。
【0137】
<例示的な実施形態>
以下では、開示されている主題のいくつかの例示的な実施形態を参照する。以下の実施形態は、開示された主題の様々な特徴、特性、および利点のうちの1つまたは複数を含み得る、いくつかの選択された実施形態のみを例示する。したがって、以下の実施形態は、全ての可能な実施形態を包括するものとして見なされるべきではない。
【0138】
1つの方法は、原子力施設からの放射性廃棄物の体積を減少させることを含み得る。放射性廃棄物は、使用済みのIERおよび/またはDAWを含み得る。本方法は、使用済みIERのみ、DAWのみ、またはIERとDAWの両方の体積を減少させるために使用することができる。
【0139】
DAWはサイズを小さくして、高トルクスクリューフィーダーまたは押出機(押出ダイなし)を用いて流動床反応器内に供給することができる。使用済みIERは、スラリーとして流動床反応器内にポンプ輸送することができる。廃棄物ストリームは、主に過熱水蒸気によって流動化される不活性床を有する反応器内で、ガス化され得る。
【0140】
廃棄物は還元条件下で、流動床反応器内において反応させることができる。凝集を防ぎ、廃棄物を安定化するのを助けるために、アルミニウム化合物または鉄化合物のような凝集防止材料を流動床に添加することができる。生成されたガスと同伴された(entrained)固体粒子は、サイクロンによって、次いでさらに高温フィルターによって分離され得る。回収された固体は、未処理廃棄物フィード中の放射能の大部分を有するが、著しく低減された体積であり、貯蔵または処理のために安全である。サイクロンを使用せずに、高温フィルターのみで固体を捕捉することもできる。
【0141】
ガス流は、大気中に放出される前に、さらにオフガス処理システムによって処理され、該オフガス処理システムは、H、CO、HS、CHおよび他の炭化水素を酸化する熱酸化装置、ガス流を迅速にクエンチしてHCl、SOなどの酸性ガス成分を除去するスクラバーシステム、ならびに最終ガス精製のためのフィルターシステムを含む。
【0142】
流動床反応器は、熱分解および水蒸気改質を含む複雑な反応ネットワークを含む。反応器は、酸素フガシティまたは酸素濃度を制御することによって適切な酸化還元状態に維持され、それによって反応温度を維持するためのエネルギーが確保される。
【0143】
プロセスは、放射性粒子および/または放射性ガスの漏れを防ぐために、負圧で運転することができる。システムの圧力は流動床反応器のフリーボードに基づいて制御することができる。一実施形態では、圧力は、約-50水柱インチ(約-12.5kPa)~約-25水柱インチ(約-6kPa)である。
【0144】
流動床の反応温度は約650℃~約800℃、好ましくは約725℃~約750℃であり得る。反応は、流動床反応器内で最高温度を有する流動床領域で起こり得る。CsおよびTcの揮発を防ぐために、温度が約800℃を超えないことが望ましいことがある。
【0145】
本方法は、通常運転中または定常状態運転中に燃料の添加に頼らない方法で運転することができる。本方法はまた、定常状態、始動中、および/またはホットスタンバイ中に高温を維持するために、チャコールのような追加の燃料に頼るように方法で運転することもできる。
【0146】
流動床反応器内の反応の酸化還元条件は、反応器に添加される酸素の量を調調節することによって調整することができる。反応後ガス流において、酸素の体積濃度は1体積%未満に制御されることができ、水素の体積濃度は4体積%未満であることができ、メタンの体積濃度は5体積%未満であることができ、一酸化炭素濃度は10体積%未満であることができる。これを行うことは、流動床反応器の安全な運転を確実にするのを助け得る。
【0147】
あるいは、反応条件は、さらに還元性の高い条件(さらに少ない酸素投与量)を生成するように制御され得る。水素の体積濃度は10体積%超であることができ、一酸化炭素の体積濃度は4体積%超であることができ、メタンの体積濃度は5体積%超であることができ、測定可能な酸素は存在しないことができる。水素、一酸化炭素、メタンおよび他の炭化水素は本質的に熱酸化装置の燃料である。水蒸気改質器が高度に還元的な条件で運転され、その結果生じる生成ガスが高い燃料含有量を有するとき、熱酸化装置は追加の燃料投与なしで運転することができる。
【0148】
酸素と過熱水蒸気は、流動化ガス分配器を通して流動床反応器に一緒に供給され得る。あるいは、酸素は、廃棄物供給口のわずかに上の位置で流動床反応器に供給され得る。別の代替法は、各位置での供給量を減らして、上記の2つの位置の両方で同時に酸素を流動床反応器に供給することである。別の代替法は、上記の両方の位置ならびに1つ以上の追加の位置で流動床反応器に酸素を供給し、加えられる全酸素量が同じままであるように、各位置での供給量を減らすことである。これは、流動床反応器が完全再循環モードで運転されているときに特に有用であり得る。
【0149】
使用済みIERは、脱水形態で流動床反応器に供給することができる。これは、高トルクスクリューフィーダー(例えば、ダイのない押出機)を用いて行うことができる。この供給方法は、スラリーのように最小供給速度制限を受けないので、DAWとともに流動床反応器に少量ずつ連続的に供給することができる。これにより、プロセスがよりフレキシブルになる。DAWと使用済みIERの相対的な供給量を調節して、最終廃棄物パッケージの放射能を調整することができる。
【0150】
DAW用のフィーダー54は、水平配置で流動床反応器の側壁に結合することができる。DAWはまた、1つ以上のスクリューフィーダーを用いて流動床反応器の底部を通して垂直に供給され得る―例えば、1つのスクリューフィーダーがDAWを主に横方向に反応器の下側に輸送し、別のスクリューフィーダーがそれを反応器の底部を通して垂直に上向きに輸送する。いずれのDAW供給配置についても、DAW供給物の入口点は流動化ガス分配器の上方にあり得る。スクリューフィーダーは、高トルクを生み出すことが可能であり得る。1つの適切なスクリューフィーダーは、端部にダイを有さない押出機である。
【0151】
減容水蒸気改質プロセスは、完全循環流動床反応器システムを使用して運転することができる。流動床材料は、供給物、中間体および改質残留物と共にFBRを通過する。サイクロンは大部分の固体を分離し、それらを流動床反応器に戻す。固体は、小さすぎ、かつ/または軽すぎて、サイクロンによって分離することができなくなるまで、流動化反応器を通って循環し続ける。
【0152】
本プロセスはまた、部分循環流動床反応器システムを使用して運転することもできる。部分再循環流動床プロセスでは、流動床材料の大部分は流動床反応器から分離されない(not elutriated)。サイクロン(複数可)によって捕捉された固体は、再処理のために流動床反応器に戻される。再循環は、固体が小さすぎ/軽すぎて、サイクロンによって分離することができなくなるまで続く。
【0153】
ワンパススルーシステムの場合、流動化ガスの空塔空間速度(superficial space velocity)は、約1.1フィート/秒~約2.0フィート/秒(約33.5cm/秒~約61cm/秒)であることができ、好ましくは約1.4フィート/秒~約1.6フィート/秒(約42.5cm/秒~約49cm/秒)であることができる。完全再循環システムの場合、流動化ガスの空塔空間速度は、約4フィート/秒~約6フィート/秒(約122cm/秒~約183cm/秒)であることができる。部分再循環システムの場合、流動化ガスの空塔基準の空間速度は、約2フィート/秒~約4フィート/秒(約61cm/秒~約122cm/秒)であることができる。
【0154】
フィーダーは、フィーダー内の材料に対する高温プロセスの熱的影響を最小限に抑えるように構成された供給アダプタ装置を用いて、流動床反応器に結合することができ、それによってプロセスの円滑さおよび完全性が保証される。供給アダプタ装置は、直接取り付けられたおよび/または貫通しているプロセス接続のために冷却が必要とされる、すべての高温熱プロセスに使用することができる。
【0155】
高温フィルターは、複数のフィルターエレメントを含むことができ、かつ/またはアウトサイド-インフローパターンを使用することができる。固体は、フィルターエレメントの外面に保持され得る。フィルターエレメントは窒素で定期的にバックパルスされ得る。底部の円錐形区画の壁は、あらゆるブリッジ粒子を破壊するように構成された機械的トングまたはチェーンを有し得る。あらゆるブリッジ粒子を破壊するのに、高圧ガス流を用いることもできる。高圧ガス流は、フィルターの周囲の降水管を介して、または円錐の壁に位置する孔を介して提供され得る。振動装置も円錐の外面に適用することができる。
【0156】
アルミニウム化合物または鉄(Fe3+)化合物などの凝集防止材料を流動床に添加して、廃棄物の凝集を防ぎ、廃棄物をさらに安定化するのを助けることができる。問題となるアルカリ金属(複数可)に対する、AlまたはFeのモル比は、約0.2~約1.5、好ましくは約0.8~約1.1であることができる。廃棄物のアルカリ含有量は、廃棄物が流動床反応器に供給される前に決定することができる。
【0157】
DAWなどの任意の固体廃棄物のサイズは、廃棄物が流動床反応器に供給される前に、低減および/または標準化され得る。例えば、固体廃棄物のサイズは、特にワンパススルー構成の場合、約1インチ(約2.54cm)以下、好ましくは約0.5インチ~約0.75インチ(約1.27cm~約1.9cm)に低減させることができる。
【0158】
このプロセスはウインドボックス(wind box)を含むことができ、該ウィンドボックス内で燃料(例えば、天然ガス)が燃焼される。ウィンドボックスからの高温の燃焼ガスは、流動床反応器にエネルギーを供給すると共に、流動化ガスとして作用するために使用することができる。
【0159】
熱酸化装置からの高温排気ガスは再循環され、その全部または一部を流動床反応器用の流動化ガスの供給源として使用することができる。熱酸化装置からの排気ガス(2つの主要成分のうちの1つとして水蒸気を有する)は、再循環ガス流とブリード流とに分割することができる。再循環ループは流動化ガス分配器に進む。熱損失を最小限に抑えるために、再循環ループを断熱し、できるだけ短く保つことができる。ブリード流は、温度クエンチング(temperature quenching)および酸性ガス洗浄のためにスクラバーシステムに進むことができる。この構成により、エネルギーを大幅に節約し、水の消費量を削減し、プラントの総排出量を削減することができる。
【0160】
熱酸化装置に到達する前に有機物がプロセス装置上で凝縮および/または堆積するのを防ぐために、VLLW DAWを処理するのに、より高温のプロセスを使用することができる。例えば、流動床反応器は、約600℃~約1100℃、約850℃~約1100℃、約900℃~約1100℃、または約950℃~約1100℃の温度で運転できるように構成することができる。
【0161】
これらの温度で使用済みIERを処理することは、放射性核種を揮発させるであろうから、一般的に望ましくないことに留意すべきである。しかしながら、DAWは放射性核種の含有量が低く、より高い温度はDAW中の有機物が粘着性残留物としてプロセス装置上で凝縮するのを妨げるので、DAWを処理するときにはより高い温度が有利である。DAW中の少数の放射性核種は、下流のガスろ過プロセスで捕捉され得る。
【0162】
これらのより高い温度で運転するために、プロセスおよび/またはシステム構成エレメント、特に流動床反応器と熱酸化装置との間のものは、ヘインズ556(Haynes 556)、インコネル617(Inconel 617)およびヘインズ230(Haynes 230)などのような高温合金を使用して製造することができ、かつ/または耐火性熱シールドを含むことができる。また、耐火性熱シールドの使用は、よりエキゾチックでなく、かつ/またはより安価な材料からプロセス装置を製造し、例えばニクロム合金で作られたヒートトレースを含むことを可能にし得る。
【0163】
プロセス/システム内の潜在的凝縮物から廃棄物および危険物を除去する最終的な破壊のために、凝縮性油および揮発性物質がTOXに運ばれるように、VLLW DAWを処理する際に温度を約600℃から1100℃に上昇させるプロセスを提供する。これを達成するために、FBRSと熱酸化装置(TOX)を含むプロセス/システム構成エレメント、およびFBRSとTOXの間のプロセス/システム構成エレメントは、限定されないが、ヘインズ556(Haynes 556)、インコネル617(Inconel 617)、ヘインズ230(Haynes 230)などの高温合金から特定のデザインに製造されることができ、および/または、限定されないが、ニクロム合金などのよりエキゾチックでなく/より安価な材料および断熱ヒートトレースの使用を容易にするために、耐火性熱ヒートシールドを含むことができる。これは、プロセス/システム材料の化学的および機械的腐食/侵食の設計認識、ならびに前記腐食/侵食を軽減するための具体的な設計変更を含む。
【0164】
<用語と解釈上の規定>
用語「結合された(coupled)」は、2つのメンバーを互いに直接的または間接的に結合することを意味する。そのような結合は、本質的に静止していても、本質的に可動でもよい。そのような結合は、2つのメンバーまたは2つのメンバーおよび任意の追加の中間メンバーが、互いに単一体として一体的に形成されているか、あるいは2つのメンバーまたは2つのメンバーおよび任意の追加の中間メンバーが互いに取り付けられていることによって、達成され得る。そのような結合は、本質的に永久的であっても、あるいはその代わりに本質的に取り外し可能または解放可能であってもよい。
【0165】
「結合された(coupled)」という用語は、本質的に永久的であるか、あるいは本質的に解放可能および/または取り外し可能である結合を含む。永久的な結合とは、元に戻すことができない、または元の状態に戻すことができない方法で、構成エレメントを互いに結合することを指す。解放可能な結合とは、元に戻すことができる、または元の状態に戻すことができる方法で、構成エレメントを互いに結合することを指す。
【0166】
特許請求の範囲または明細書に記載されているいかなる方法も、別段の指定がない限り、ステップが特定の順序で実行されることを要求すると解釈されるべきではない。また、本方法は、別段の指定がない限り、列挙したステップを任意の順序で実行するためのサポートを提供すると解釈されるべきである。
【0167】
「左」、「右」、「前」、「後」などのような空間的または方向的な用語は、図面に示されているように、主題に関連する。しかしながら、記載された主題は様々な代替の向きをとることができ、したがって、そのような用語は限定的であると見なされるべきではないことを理解されたい。
【0168】
「the」、「a」、「an」などの冠詞は、単数形または複数形を意味する場合がある。また、先行する「どちらか(either)」(あるいは、「または(or)」が明白に排他的であることを示す他の類似の言葉、例えば、xまたはyのうちの1つだけ(only one of x or y)、など)なしで使用される時、「または(or)」という語は、包括的であると解釈される(例えば、「xまたはy(x or y)」は、xまたはyの一方または両方を意味する)。
【0169】
用語「および/または」も包括的であると解釈されるべきである(例えば、「xおよび/またはy」は、xまたはyの一方または両方を意味する)。「および/または」か「または」が3つ以上の項目のグループに対する接続詞として使用される場合、そのグループは1つの項目のみ、すべての項目をまとめて、または項目の任意の組み合わせもしくは数を含むと解釈されるべきである。
【0170】
有する(have)、有している(having)、含む(include)、含んでいる(including)という用語は、含む(comprise)、含んでいる(comprising)という用語と同義であると解釈されるべきである。これらの用語の使用はまた、これらの用語が「からなる」または「から本質的になる」に置き換えられている、より狭い代替の実施形態を開示し、サポートを提供するものとして理解されるべきである。
【0171】
別段の指定がない限り、本明細書(特許請求の範囲以外)で使用されるすべての数または表現、例えば、寸法、物理的特性などを表すものは、用語「およそ(約)」によってすべての場合において修飾されると理解される。少なくとも、そして特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、「およそ(約)」という用語によって修飾されている本明細書または特許請求の範囲に列挙されている各数値パラメータは、列挙されている有効桁数を考慮して、かつ通常の丸め技法を適用することによって組み立てられるべきである。
【0172】
全ての開示された範囲は、各範囲に包含される、あらゆるすべての部分範囲またはあらゆる全ての個別の値を列挙する特許請求の範囲を包含し、かつサポートを提供するものと理解されるべきである。例えば、記載された1~10の範囲は、最小値の1から最大値の10までの間で、かつ/または最小値の1および最大値の1を含むあらゆる全ての部分範囲または個別の値を列挙する請求項を含み、それらに対するサポートを提供すると考えられるべきである;すなわち、1以上の最小値で始まり10以下の最大値で終わるすべての部分範囲(例えば、5.5~10および2.34~3.56など)、または1から10までの任意の値(例えば、3、5.8および9.9994など)。
【0173】
全ての開示された数値は、いずれの方向にも0~100%の範囲で可変であると理解されるべきであり、したがってそのような値、またはそのような値によって形成され得るあらゆる全ての範囲もしくは部分範囲を列挙する請求項に対するサポートを提供する。例えば、記載された8という数値は0から16まで(どちらの方向にも100%)変化し、その範囲自体(例えば、0から16)、その範囲内の任意の部分範囲(例えば、2から12.5)、またはその範囲内の任意の個別の値(例えば、15.2)を列挙する請求項に対するサポートを提供すると理解されるべきである。
【0174】
図面は、縮尺に合わせて描かれている1つ以上の実施形態および/または縮尺に合わせて描かれていない1つ以上の実施形態を示すものとして解釈されるものとする。このことは、図面が、例えば、(a)全てが縮尺に合わせて描かれている、(b)全てが縮尺に合わせて描かれていない、または(c)1つ以上の特徴が縮尺に合わせて描かれており、かつ1つ以上の特徴が縮尺に合わせて描かれてない、ことを示すものとして解釈され得ることを意味する。したがって、図面は、図示された特徴のうちの任意のもののサイズ、比率、および/または他の寸法を、単独でまたは互いに対して列挙するためのサポートを提供するのに役立ち得る。さらに、そのようなサイズ、比率、および/または他の寸法はすべて、いずれの方向にも0~100%の範囲で可変であると理解されるべきであり、したがって、そのような値、またはそのような値によって形成され得るありとあらゆる範囲もしくは部分範囲を列挙する請求項をサポートするものである。
【0175】
特許請求の範囲に記載された用語には、広く使用されている一般的な辞書および/または関連する技術的な辞書中の関連エントリーを参照することによって決定されるそれらの通常の及び慣習的な意味、当業者によって一般に理解されている意味などが与えられるべきであり、これは以下の例外がある場合を除いて、これらの情報源の任意の1つまたは組み合わせによって与えられる最も広い意味が、請求項の用語に与えられるべきである(例えば、エントリーの組み合わせの中で最も広い意味を与えるために、2つ以上の関連辞書エントリーを組み合わせるべきである、など。)という理解を伴うものである。
(a)用語がその通常のおよび慣習的な意味よりも拡張的な方法で使用されている場合、その用語にはその通常のおよび慣習的な意味に加えて、追加の拡張的な意味が与えられるべきある、または
(b)「この文書で使用されているように」という語句または類似の言葉に続けて用語を使用することによって、その用語が異なる意味を持つことを明示的に定義した場合(例:「この用語は~を意味する」、「この用語は~として定義される」、「本開示の目的上、この用語は~を意味するものとする」、など)。
特定の実施例への言及、「すなわち(i.e.)」の使用、「発明(invention)」という用語の使用などは、例外(b)をもたらすこと、またはそうでなければ特許請求の範囲で列挙された用語の範囲を限定することを意味しない。例外(b)が適用される状況以外では、本明細書に含まれるものは、特許請求の範囲の放棄または否認と見なされるべきではない。
【0176】
特許請求の範囲に記載されている主題は、本明細書に記載または例示されている任意の実施形態、特徴、または特徴の組み合わせと同一の範囲にわたるものではなく、かつ同一の範囲にわたるものと解釈されるべきではない。特徴または特徴の組み合わせの実施形態が1つだけ本明細書に例示および説明されている場合でも、このことは当てはまる。
【関連出願の相互参照】
【0177】
<参照による援用>
以下に列挙する各文書の全内容は、参照により本明細書に援用される。本明細書と1つ以上の援用された文書の両方で同じ用語が使用されている場合、本明細書中でその用語が異なる意味を持つことを明確に定義されていない限り、これらの出典のいずれか1つまたはそれらの組み合わせによって与えられる最も広い意味を持つものと解釈されるべきである。以下のいずれかの文書と本明細書との間に矛盾がある場合は、本明細書が優先するものとする。援用された主題は、明示的に列挙または示された主題の範囲を限定または狭めるために使用されるべきではない。
-2016年11月16日に出願され、「放射性廃棄物の熱による体積減少(Thermal Volume Reduction of Radioactive Wastes,)」と題された、米国仮特許出願第62/422,990号。
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