(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】プロセス監視デバイス
(51)【国際特許分類】
A61L 2/28 20060101AFI20221125BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20221125BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20221125BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20221125BHJP
G01N 31/22 20060101ALI20221125BHJP
A61L 101/32 20060101ALN20221125BHJP
A61L 101/22 20060101ALN20221125BHJP
A61L 101/36 20060101ALN20221125BHJP
【FI】
A61L2/28
A61L2/18
A61L2/18 102
G01N21/27 Z
A61B1/12 510
G01N31/22 121G
A61L101:32
A61L101:22
A61L101:36
(21)【出願番号】P 2019530705
(86)(22)【出願日】2017-12-07
(86)【国際出願番号】 US2017065009
(87)【国際公開番号】W WO2018106860
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-12-04
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ニース,ティモシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ボンマリート,ジー.マルコ
(72)【発明者】
【氏名】クレイプール,クリストファー ジェイ.
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/164329(WO,A1)
【文献】特開2001-013129(JP,A)
【文献】特開2008-032689(JP,A)
【文献】特開2005-152451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒剤がそこを通って流れるときに
前記消毒剤の流出物が生じる滅菌デバイス内に、医療用デバイスを配置すること、
前記流出物の一部内に、
物品を配置することと、
前記
流出物の一部を前記
物品のプロセスインジケータと接触させること
を含む方法であって、
前記物品が、
第1の主面及び両端部を有する第1の基材であって、前記両端部が第1の端部及び第2の端部を含む、第1の基材と、
前記第1の主面の少なくとも一部の上にコーティングとして配置されているプロセスインジケータであって、グルタルアルデヒド、オルトフタルアルデヒド、過酸化水素、ペルオキシ酢酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの液状消毒剤と反応することができるプロセスインジケータと、
第1の主面を有する第2の基材と、を備え、
流路が、前記プロセスインジケータの一部及び前記第2の基材の前記第1の主面の一部によって形成され、前記両端部の間に延びており、
流路が、前記第1の端部から前記第2の端部を通る消毒剤の流体経路を画定し、
前記プロセスインジケータが、第1の主面の少なくとも一部の上に配置されている合成アミン含有化合物を含み、当該合成アミン含有化合物が、一級アミノ基又は二級アミノ基のうちの少なくとも1つを含み、
前記消毒剤を前記医療用デバイスと接触させるのに、所定の消毒剤曝露基準が存在する、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、液状消毒剤を使用して医療用デバイスを消毒する方法及び物品に関する。粘膜に触れる再利用可能な医療用デバイス又はアイテムは、医療技術分野で一般的に使用されている。このようなデバイスの例としては、再利用可能な可撓性内視鏡、気管内チューブ、麻酔呼吸回路、及び呼吸療法用器具が挙げられる。体内に挿入されると、これらの医療用デバイスは、潜在的病原体を含む患者の生体材料及び微生物で非常に汚染される可能性がある。医療用デバイスを注意深く再処理することは、相互汚染、及び患者間の病原体の起こり得る伝染のリスクを低減するために極めて重要である。
【0002】
可撓性内視鏡は、医療用デバイスのスポルディング(Spaulding)の分類によればセミクリティカルとみなされ、したがって、こうしたデバイスを高水準消毒によって汚染除去することが必要である。したがって、内視鏡と再利用可能なアクセサリはどちらも、使用前、使用中及び使用後、並びに洗浄後及び高水準消毒前を含めた、それらの使用及び再生処理の過程で頻繁に目視検査することが推奨される。しかしながら、目視に基づく検証方法を可撓性内視鏡に適用するときには厳しい制限があり、それは、こうしたデバイス内の複雑で狭い管腔を直接的に目視検査することができないためである。
【0003】
可撓性内視鏡を、病原性微生物、及び内視鏡処置を受ける患者間での疾病の伝染を軽減する水準まで洗浄及び消毒するために、自動内視鏡洗浄装置(automated endoscope reprocessor、AER)が用いられる。AERを消毒するために、液状消毒剤は、典型的には、所定の時間AERを介して再循環される。通常、使用者にとって入手可能な情報は、主に時間及び温度の情報からなる、AER装置自体によって提供されるパラメータ情報のみである。AERは、典型的には、消毒サイクルの有効性を確かめることが可能な化学的パラメータを監視しない。AERはまた、典型的には、消毒剤が医療用デバイスから流出する方法に関するフィードバックを提供しない。
【0004】
いくつかの解決策は、AERと共に使用するための様々なプロセスインジケータを提供するが、プロセスインジケータは、AERに関する問題を診断するために使用することができる液状消毒剤の流れに関する詳細を必ずしも提供するわけではない。
【発明の概要】
【0005】
本開示の態様は、消毒剤がどのように医療用デバイスから流出するかの視覚的フィードバックを提供する物品に関する。
【0006】
特に、本開示の態様は、消毒剤を検出するための物品に関する。物品は、第1の基材を有することができる。第1の基材は、第1の主面及び両端部を有し得る。物品はまた、プロセスインジケータを有することができる。プロセスインジケータは、第1の主面の少なくとも一部上に配置される。プロセスインジケータは、グルタルアルデヒド、オルトフタルアルデヒド、過酸化水素、及びペルオキシ酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの液状消毒剤と反応する。物品は、プロセスインジケータの一部によって形成され、両端部の間に延びている、流路を有することができる。
【0007】
本開示は、物品を収容するキット、並びに消毒プロセスにおいて物品を使用する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】第1の基材及びそれを通って長手方向に延びている流路を有する物品の正面断面図である。
【
図2A】第2の基材及びそれを通って長手方向に延びている流路を有する物品の正面断面図である。
【
図3】機械的取り付け部を有する物品の正面断面図である。
【
図4A】複数の流路を有する物品の正面斜視図である。
【
図5】漏斗形デバイスを有する、
図2~4の物品のいずれかの正面斜視図である。
【
図7】間隔要素を有する物品の正面-側面斜視図である。
【
図8】間隔要素及び漏斗形デバイスを有する物品の正面-側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の態様は、プロセスインジケータの少なくとも一部から形成される流路に関する。
【0010】
本開示のいずれかの実施形態の詳細な説明に先立ち、本発明はその適用において、以下の説明に記載又は以下の図面に例示の構成の詳細及び構成要素の配置に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実践又は実行することが可能である。また、本明細書において使用される語法及び専門用語は説明を目的としたものであり、限定するものとみなしてはならないことを理解されたい。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」、又は「有する(having)」、及びこれらの変化形の使用は、その後に列記される項目及びこれらの同等物、並びに追加的な項目を包含することを意味する。特定されるかないしは他の方法で制限されない限り、用語「支持される」、及び「連結される」、並びにその変化形は、幅広く使用され、直接的及び間接的支持並びに連結の両方を包含する。更に、「接続される」及び「結合される」とは、物理的又は機械的な接続又は結合に制限されない。他の実施形態が利用されてもよく、また、構造的又は論理的な変更が、本開示の範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解されたい。更に、「前」、「後」、「上」、「下」等の用語は、各要素の互いに対する関係を説明するためにのみ使用されるものであるが、装置の特定の向きを示すこと、装置の必要若しくは必須な向きを指示若しくは示唆すること、又は本明細書に記載される発明が使用時にどのように使用、装着、表示、若しくは配置されるかを指定することを目的とするものでは決してない。
【0011】
本開示全体を通して、別個の実施形態として開示されているが、
図1~10の実施形態の構成要素は、別段の指示がない限り、同様に番号付けされ得る。
【0012】
図1A~1Cは、物品100の例示的な実施形態を示す。物品100は、消毒プロセスの消毒表示を実行することができる。物品100は、基材110と、それに長手方向に延びている流路142を更に画定するプロセスインジケータ120とを有することができる。
【0013】
プロセスインジケータ120は、基材110上に(例えば、薄膜又はコーティングとして)配置することができる。プロセスインジケータ120は、例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、噴霧、ブラッシング、ロールコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、及びスロットコーティングを含む本明細書に記載の好適な方法によって、基材に適用することができる。
【0014】
好ましくは、基材110は、消毒剤と反応しないように選択される。基材は、多孔質又は不透過性、及び/又は不透明若しくは透明であってもよいが、好ましくは透明であってもよい。好適な基材の例としては、紙、金属、ガラス、及び/又はプラスチック/ポリマーシート、フィルム、膜、布地(例えば、不織布、又は織布)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0015】
好適なポリマー材料としては、これらに限定されるものではないが、ポリオレフィン、ポリ(イソプレン)、ポリ(ブタジエン)、ポリウレタン、シリコーン、ポリスチレン、フッ素化ポリマー、塩素化ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリイミド、ポリエーテル、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(スルホン)、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ビニルアセテート)、ビニルアセテートのコポリマー、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルアルコール)、及びポリ(カーボネート)が挙げられる。
【0016】
好適なポリオレフィンとしては、これらに限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(1-ブテン)、エチレンとプロピレンとのコポリマー、αオレフィンコポリマー(例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、及び1-デセンのコポリマー等)、ポリ(エチレン-co-1-ブテン)及びポリ(エチレン-co-1-ブテン-co-1-ヘキセン)が挙げられる。
【0017】
好適なフッ素化ポリマーとしては、これらに限定されるものではないが、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(フッ化ビニリデン)、フッ化ビニリデンのコポリマー(例えばポリ(フッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン)等)、及びクロロトリフルオロエチレンのコポリマー(例えばポリ(エチレン-co-クロロトリフルオロエチレン)等)が挙げられる。
【0018】
好適なポリアミドとしては、これらに限定されるものではないが、ポリ(イミノ(1-オキソヘキサメチレン))、ポリ(イミノアジポイルイミノヘキサメチレン)、ポリ(イミノアジポイルイミノデカメチレン)、及びポリカプロラクタムが挙げられる。好適なポリイミドとしては、これに限定されるものではないが、ポリ(ピロメリットイミド)が挙げられる。好適なポリ(エーテルスルホン)としては、これらに限定されるものではないが、ポリ(ジフェニルエーテルスルホン)及びポリ(ジフェニルスルホン-co-ジフェニレンオキシドスルホン)が挙げられる。好適なビニルアセテートのコポリマーとしては、これらに限定されるものではないが、ポリ(エチレン-co-ビニルアセテート)と、コポリマー中でアセテート基のうちの少なくともいくつかが加水分解され、各種のポリ(ビニルアルコール)を生成するようなコポリマーと、が挙げられる。いくつかの実施形態では、セルロース紙は、単独で、又は前述のポリマー材料のフィルム若しくは膜と組み合わせて使用されてもよい。基材110の選択は、プロセスインジケータ120によって影響を受けてもよく、本明細書で更に説明される。
【0019】
いくつかの実施形態では、プロセスインジケータ120は、層を形成することができる。層は、基材110の表面にわたって連続的であってもよく、均一な厚さを有することができる。他の実施形態では、プロセスインジケータ120は、1つ以上の不均一な堆積物を形成する。一般に、プロセスインジケータ120の種類、厚さ、又は均一性は、特に重要ではない。反応済みプロセスインジケータ組成物を消毒剤で容易かつ正確に観察することができるように、十分な量のプロセスインジケータ物質が存在することが好ましい。
【0020】
プロセスインジケータ120は、グルタルアルデヒド、オルトフタルアルデヒド、過酸化水素、及びペルオキシ酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの液状消毒剤と反応する(直接的又は間接的に)任意の消毒剤特異的組成物であり得る。いくつかの例としては、グルタルアルデヒドの存在を表示するために、亜硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、重炭酸アンモニウム、又は酢酸アンモニウムが挙げられる。アルデヒド反応性基を有する組成物(本明細書に記載の合成アミン含有化合物など)は、オルトフタルアルデヒドの存在を表示するためのものである。過酸化水素又はペルオキシ酢酸の存在を表示するための様々な組成物は、例えば、米国特許第7481975号、米国特許第7670552号、及び米国特許第6566090号に提供されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、液状消毒剤との組成物の反応は、液状消毒剤の存在の視覚的な表示を作り出す。組成物はまた、液体中の消毒剤の濃度強度を表示することができる。
【0022】
プロセスインジケータ120は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年5月5日出願の米国特許出願第62/332,243号(代理人整理番号78258US002)及び2016年5月5日出願の同第62/332,255号(代理人整理番号78340US002)に記載されたものなどの合成アミン含有ポリマーから形成することができる。
【0023】
少なくとも1つの実施形態では、プロセスインジケータ120は、消毒剤中のアルデヒドと1つ以上の合成アミン含有化合物との反応に少なくとも部分的に依存する。いくつかの例示的実施形態では、合成アミン含有化合物は、少なくとも1つの合成アミン含有ポリマーを含む。いくつかの好ましい実施形態では、合成アミン含有ポリマーは、ポリエチレンイミン(PEI)から誘導される。
【0024】
PEIは、直鎖状、分枝状、及び樹状などのいくつかの形態で入手可能である。直鎖状PEIは、下記の式Iで表すことができる:
【化1】
式中、---は、連続した直鎖状ポリマーエチレンイミン由来単位又はHを示す。直鎖状PEIは、ポリ(2-オキサゾリン)又はN-置換アジリジンのような他のポリマーの後修飾によって利用可能である。直鎖状PEIは市販されており、かつ/又は既知の方法によって製造可能である。
【0025】
例示的な分枝状PEI断片は、下記の式IIで表すことができる:
【化2】
式中、---は、連続した直鎖状及び/又は分枝状のポリマーエチレンイミン由来単位又はHを示す。分枝は典型的には、程度の差はあれランダムであるので、分枝状PEIは、典型的には、この一般型の多くの化合物を混合物として含有する。分枝状PEIは、アジリジンの開環重合によって合成することができる。分枝状PEIは市販されており、かつ/又は既知の方法によって製造可能である。
【0026】
樹状PEIは、分枝状PEIの特殊な事例である。例示的な(4世代の)樹状PEIは、下記の式IIIで表される:
【化3】
【0027】
この場合、PEIは、第一級アミノ基及び第三級アミノ基のみを含有する。樹状PEIは市販されており、かつ/又は既知の方法によって製造可能である。
【0028】
本出願の目的のために、用語「ポリエチレンイミン」はまたエトキシル化ポリエチレンイミンを含み、これは、一級アミノ基の一部又は全て(好ましくは50%未満、30%未満、又は更には10%未満)の一級アミノ基と1つ以上のエチレンオキシド分子との反応によって形成することができる。本明細書で用いる場合、用語「ポリエチレンイミン」は、プロトン化された形態も含む。
【0029】
一実施形態では、プロセスインジケータは、少なくとも1つの分枝状PEIを含むか、それから本質的になるか、又は更にはそれからなる。このような実施形態はインジケータとして有効であり得るが、分枝状PEIが消毒剤に浸出する傾向があり得る。この理由から、PEIの浸出速度を低減することが望ましい場合がある。この実施形態は、例えば、グルタルアルデヒドが消毒剤中で使用される場合、ジアルデヒドであるグルタルアルデヒドが、一級アミノ基と反応するときに分枝状PEIの架橋をもたらし得るため、有用であり得る。
【0030】
別の実施形態では、浸出は、分枝状PEIを、その上に配置される第1の基材110に電子ビームグラフトすることによって低減又は除去される。1つの方法では、基材110をPEIと接触させ、グラフト化を引き起こすのに十分な電子ビーム放射に曝露する。電子ビーム発生器は、Energy Sciences,Inc.(Wilmington,Mass.)製のESI「ELECTROCURE」EB SYSTEM、及びPCT Engineered Systems,LLC(Davenport,Iowa)製のBROADBEAM EB PROCESSORを含む様々な供給源から市販されている。任意の所与の1つの装置及び照射試料位置に関して、送達される線量は、「Practice for Use of a Radiochromic Film Dosimetry System」と題されたASTM E-1275に従って測定することができる。抽出器グリッド電圧、ビーム直径、及び/又はソースまでの距離を変更することによって、様々な線量率を得ることができる。例示的な電子ビーム線量は、150~400keV、好ましくは250~350keVの加速電圧で、約5キログレイ(kGys)~約100kGysであり得る。電子ビームグラフト化はまた、例えば、米国特許第8,551,894号(Seshadriら)に記載されているものなどの方法によって達成することができ、アミン反応性リガンド(例えば、臭素原子又はアクリルオキシ基)が基材110上にグラフトされ、次いで得られた官能基化基材をPEIと接触させて、PEIを基材110に結合させる化学反応をもたらす。PEIの基材110への電子ビームグラフト化に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2007/0154703号(Wallerら)に見出すことができる。好適な基材は、好ましくは多孔質であるが、これは必須ではない。
【0031】
PEIコーティングされた基材110が、AER消毒剤又はすすぎ溶液中に浸出し得る外来性PEIを含有しないように、製造中にPEIコーティング(例えば、120)及び基材110を洗浄することによっても低減することができる。
【0032】
PEIの分子量は、特定の用途の必要条件に応じて調整してもよい。いくつかの実施形態では、PEIは、少なくとも500g/モル、少なくとも1500g/モル、少なくとも2000g/モル、少なくとも5000g/モル、少なくとも15000g/モル、少なくとも30000g/モル、少なくとも60000g/モル、又は少なくとも100000g/モルの数平均分子量(MW)を有する。
【0033】
電子ビームグラフト化用の例示的な基材としては、多孔質膜、多孔質不織布ウェブ、紙、及び多孔質繊維が挙げられる。いくつかの実施形態において、ポリエチレンイミンは、(架橋剤を用いた)アミン反応性の加水分解性オルガノシランとの反応前に架橋される。好適な架橋剤は、アミノ基に対して共有結合を形成する、複数(例えば、2、3、4、又は5個)のアミン反応性基を有する。架橋剤は、2つのアミン反応性基を有することが好ましい。典型的には、架橋は、PEIと架橋剤とを(分子内架橋に好都合な)比較的高い希釈条件下で単に組み合わせることによって影響され、鎖間架橋によるゲル化を最小化する。適切な条件の決定は、当業者の能力の範囲内である。
【0034】
好適な架橋剤の例としては、以下の式によって表される架橋剤が挙げられ、
R3-Z-R3
R3は、1~12個の炭素原子を含有するアミン反応性基を表す。好ましくは、R3は、1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子、更により好ましくは1~3個の炭素原子を含有する。
【0035】
例示的なアミン反応性基R
3としては、イソシアネート基(-N=C=O)、オキシラニル基
【化4】
グリシドキシ
【化5】
アクリル基
【化6】
アクリロキシ基
【化7】
2~5個の炭素原子を有するカルボアルコキシ基(例えば、カルボエトキシ基
【化8】
又はカルボメトキシ基
【化9】
)、ビニルスルホニル基
【化10】
環状無水物基(例えば、
【化11】
)、アルキルカルバマート(alkylcarbamato)基(例えば、
【化12】
)、ハロアルキル基(例えば、BrCH
2-又はClCH
2-)、及びアクリルアミド基(すなわち、
【化13】
)が挙げられる。
【0036】
Zは1~8個の炭素原子を含有する二価の有機基を表す。いくつかの実施形態では、Zは、O、N、及びSからなる群から選択される1~6個のヘテロ原子を更に含有する。
【0037】
好適な二価の有機基Zとしては、例えば、1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子、更により好ましくは1~3個の炭素原子を有するヒドロカルビレン基;1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキレンオキシアルキレン;1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有するジ(アルキレン)アミノ基;1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキレンチアアルキレン基が挙げられる。
【0038】
基Zの具体例としては、メチレン、エチレン、1,2-及び1,3-プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ヘキシレン、オクチレン、エチルシクロヘキサン-4,2’-ジイル、エチレンオキシエチレン、エチレンアミノエチレン、エチレンオキシプロピレン、エチレンチアエチレン、及びエチレン(メチル)アミノエチレンが挙げられる。これらのうち、エチレン及び1,3-プロピレンが特に好ましい。
【0039】
PEIに好適な架橋剤としては、例えば、多官能性化合物、例えば、ハロヒドリン(例えば、エピクロロヒドリン);多官能性アクリレート(例えば、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート);ジアルデヒド(例えば、オキサアルデヒド、マロンジアルデヒド、プロパンジアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、2-ヒドロキシ-ヘキサンジアル、フタルアルデヒド、1,4-ベンゼンジアセトアルデヒド、4,4-(エチレンジオキシ)-ジベンゼンアルデヒド、及び2,6-ナフタレンジアルデヒドなどのアルキル、アリール又はアルカリルジアルデヒド);ジエポキシド(例えば、脂肪族、脂環族及びグリシジルエーテルジエポキシド、例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジペンテンジオキシド、ビス-フェノールAのジグリシジルエーテル、ビス-フェノールFのジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルなど);ジエステル(例えば、アジピン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、及びマレイン酸ジメチル);ジビニルスルホン;多官能性アクリルアミド(例えば、ピペラジンジアクリルアミド、ジアクリルアミド、N,N-メチレンジアクリルアミド、及びN,N’-(エタン-1,2-ジイル)ジアクリルアミド);ポリイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート);及びポリアジリジニル化合物(例えば、トリス-(1-アジリジニル)ホスフィンオキシド);カルボジイミド(例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド);及びN-ヒドロキシスクシンイミドなどが挙げられる。更なる架橋剤が当該技術分野において知られており、当業者は利用可能である。
【0040】
好ましくは、PEI中の利用可能な第一級窒素原子の1~10パーセント、より好ましくは3~8パーセントとの反応をもたらす量の架橋剤が用いられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、二級アミンと一級アミンとの比の増加は、色又は他のスペクトル測定において異なるコントラストをもたらす。例えば、分枝状又はデンドリマー状PEIにおける二級アミン対一級アミンの比は、少なくとも1:1、少なくとも3:1、少なくとも5:1、又は更には少なくとも10:1であってもよい。
【0042】
架橋剤は、一級及び/又は二級アミノ基に対して相当量(又は化学量論比)よりかなり少ない量で使用される。架橋剤量は、未反応のポリマー中に、少なくとも4分の1の、又は更には少なくとも半分のNH基を残すことができる。所望であれば、未反応のNH基の全体的な平均頻度を増加させるために、過剰な未反応PEIを部分的に架橋されたポリマー反応生成物の溶液に添加してもよい。
【0043】
別の実施形態では、プロセスインジケータは、少なくとも1つの架橋分枝状グアニル化PEIを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。グアニル化PEIは、例えば、米国特許出願公開第2016/0096802号(Rasmussenら)に記載されている手順に従って、グアニル化剤を使用して作製することができる。本明細書で使用される場合、用語「グアニル化剤」は、グアニイノ官能性化合物を提供するためにアミン化合物のアミノ部分と反応性である化合物を意味する(例えば、グアニル化剤とアミノ部分との反応は、付加反応又は置換反応を通して、その場でグアニジノ部分を形成することができる)。
【0044】
例示的なグアニル化剤としては、O-アルキルイソ尿素塩、S-アルキルイソチオ尿素塩、カルボジイミド、シアナミド、アミジノ官能性塩、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましいグアニル化剤としては、O-アルキルイソ尿素塩、カルボジイミド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。置換反応によってアミンと反応することができる好適なグアニル化剤の代表例としては、O-メチルイソ尿素スルフェート(O-メチルイソ尿素ヘミスルフェートとしても知られている)、O-メチルイソ尿素硫酸水素塩、O-メチルイソ尿素アセテート、O-エチルイソ尿素硫酸水素塩、O-エチルイソ尿素塩化水素、S-メチルイソチオ尿素スルフェート(S-メチルイソチオ尿素ヘミスルフェートとしても知られている)、S-メチルイソチオ尿素硫酸水素塩、S-メチルイソチオ尿素アセテート、S-エチルイソチオ尿素硫酸水素塩、S-エチルイソチオ尿素塩化水素、クロロホルムアミジン塩酸塩、1-アミジノ-1,2,4-トリアゾール塩酸塩、3,5-ジメチルピラゾール-1-カルボキサミジンニトレート、ピラゾール-1-カルボキサミジン塩酸塩、N-アミジノピラゾール-1-カルボキサミジン塩酸塩、及びこれらの組み合わせが挙げられる。付加反応によってアミンと反応することができる好適なグアニル化剤の代表的な例としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、シアナミド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
好ましいグアニル化剤としては、O-メチルイソ尿素スルフェート、O-メチルイソ尿素硫酸水素塩、O-メチルイソ尿素アセテート、O-エチルイソ尿素硫酸水素塩、O-エチルイソ尿素塩化水素、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特に好ましいグアニル化剤としては、O-メチルイソ尿素スルフェート、O-メチルイソ尿素アセテート、ジイソプロピルカルボジイミド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。このようなグアニル化剤は既知であり、既知の方法によって調製することができる。グアニル化剤の少なくとも一部も市販されている。
【0046】
別の実施形態では、プロセスインジケータは、架橋されたシリル化分枝状ポリエチレンイミンを含むか、それから本質的になるか、又は更にはそれからなる。分枝状シリル化ポリエチレンイミンは、例えば、アミン反応性オルガノシランカップリング剤と、分枝状PEI中に存在する一級アミンの少なくとも一部と反応により、シリル化分岐状PEIをもたらすことによって調製することができる。好適なアミン反応性オルガノシランカップリング剤の例としては、以下の式:
R3-Z-SiY3
によって表される化合物が挙げられ、
式中、R3及びZは、先に定義されたとおりであり、各Yは独立して加水分解性基を表す。
【0047】
用語「加水分解性基」は、本明細書で用いる場合、加水分解され得る基を示し、すなわち、加水分解性基は水と反応することができ、基材110の表面上の基(例えば、水酸基)と更に反応可能なシラノール基(Si-OH基)を提供することを意味する。加水分解反応及び縮合反応は自発的に、かつ/又は、加水分解/縮合触媒の存在下で起こり得る。加水分解性基の例としては、塩素、臭素、ヨウ素又はフッ素等のハライド基、アルコキシ基(-OR’(式中、R’は好ましくは1~6個、より好ましくは1~4個の炭素原子を含むアルキル基を表し、任意選択的に1つ以上のハロゲン原子により置換されてもよい)、アシルオキシ基(-O-(C=O)-R’’(式中、R’’はR’について定義したとおりである))、アリールオキシ基(-OR’’’(式中、R’’’は好ましくは6~12個、より好ましくは6~10個の炭素原子を含むアリール部分を表し、任意選択的にハロゲン及びC1~C4アルキル基(任意選択的に1つ以上のハロゲン原子により置換されてもよい)から独立して選択される1つ以上の置換基により置換されてもよい)が挙げられる。上記式において、R’、R’’及びR’’’は、分枝状構造を含み得る。
【0048】
いくつかの好ましい実施形態において、各Yは、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシ、アセトキシ、塩素、及び臭素から独立に選択され、これらのうち、メトキシ及びエトキシが特に好ましい。
【0049】
好適なアミン反応性オルガノシランカップリング剤の例としては、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、2-イソシアネートエチルトリエトキシシラン、2-イソシアネートエチルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2,3-エポキシプロピルトリメトキシシラン、2,3-エポキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。
【0050】
好適なアミン反応性の加水分解性オルガノシランは、商業的供給源から購入することができ(例えば、Gelest,Inc.(Morrisville,Pennsylvania)よりシランカップリング剤として)、かつ/又は既知の方法によって調製することができる。アミン反応性の加水分解性オルガノシランは、第一級アミノ基と、かつ任意に、第二級アミノ基及び/又は第三級アミノ基と反応性であることが好ましい。アミン反応性の加水分解性オルガノシランは、二級基及び三級基よりも、(たとえこれらがあったとしても)一級アミノ基とより迅速に反応することが好ましい。
【0051】
本実施形態では、典型的には、PEI中の一級アミノ基の5~70パーセント、好ましくは一級アミノ基の10~40パーセントを、シランカップリング剤と反応させる。反応は、典型的には有機溶媒中で実施されるが、所望により、水が存在してもよい。シラン官能化PEIを基材110上にコーティングし、乾燥させる際に、加水分解性基が加水分解し、他のシラン基へのシロキサン架橋が形成される。この結果、架橋されたPEIが基材110上に配置され、基材110に応じ、架橋されたPEIは、基材110に化学的に結合され得る(例えば、セルロース系紙の場合のように、例えば、基材がその表面に利用可能な水酸基を有している場合)。例示的な基材は、本明細書に記載のいずれかの基材を含み得る。
【0052】
別の実施形態では、合成アミン含有化合物は、シリカに化学的に結合されたポリエチレンイミンを含む。これは、例えば、シリカナノ粒子の酸性化分散体を基材110(例えば、セルロース紙又は本明細書の他の箇所に記載される基材)上にコーティングし、乾燥させて基材上にシリカコーティングを形成することによって達成され得る。シリカ表面を(例えば、ディップコーティング、噴霧、又は、スピンコーティングにより)、アミン反応性シランカップリング剤(例えば、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン又は3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン若しくは本明細書に記載の他のカップリング剤)と接触させると、その表面上にアミン反応性基を有するシリカの反応及び官能化を引き起こす。
【0053】
続いて、官能化表面をPEIと接触させると、PEIとシリカとの共有結合がもたらされ、それによって再循環消毒剤への浸出が低減される。酸性化シリカナノ粒子分散体及びそれによって調製された酸焼結シリカコーティングの調製に関する更なる詳細は、例えば、米国特許出願公開第2015/0232673号(Jingら)、同第2015/0203790号(Strerathら)、同第2015/0252196号(Strerathら)、及び同第2015/0246350号(Sunら)に見出すことができる。
【0054】
シリカに化学的に結合したポリエチレンイミンはまた、シリカ粒子(例えば、コロイダルシリカ粒子)をアミノ官能性加水分解性シラン(例えば、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン)と組み合わせる多工程プロセスによって調製することもできる。得られたアミノ官能性シリカ粒子の分散体を、シリル化分枝状ポリエチレンイミンの第2の分散体(例えば、上記のように調製可能)と混合する。次いで、得られた混合物を、基材110上にコーティングし、乾燥させる。
【0055】
所望であれば、ポリアリルアミン(PAA)は、本明細書に記載される様々な実施形態において、ポリエチレンイミンに置換されるか、又はポリエチレンイミンと組み合わされてもよい。ポリアリルアミンは、市販の供給源(例えば、Sigma-Aldrich Corp.)から得ることができるか、又は既知の方法に従って調製することができる。
【0056】
PAAの分子量は、特定の用途の必要条件に応じて調整してもよい。いくつかの実施形態では、PAAは、少なくとも500g/モル、少なくとも5000g/モル、少なくとも15000g/モル、少なくとも30000g/モル、少なくとも60000g/モル、又は少なくとも100000g/モルの数平均分子量(MW)を有する。
【0057】
プロセスインジケータ120は、組成物を使用して適用することができる。組成物は、有機及び/又は水性であり得る液体媒体を含むことが好ましいが、これは必要条件ではない。存在する場合、液体媒体は、概して、液体媒体と組成物の他の成分との間の反応を最小とするように選択しなくてはならない。有機媒体の例としては、アルコール及びエーテルが挙げられる。水性液体媒体の例としては、水、及び水-アルコール混合物(例えば、水-イソプロパノール混合物)が挙げられる。液体媒体が存在する場合、他の成分を液体媒体中に溶解又は分散させることが好ましい。任意の量の液体媒体を用いることができ、その量は、典型的には、特定の組成物及び/又は目的の用途によって異なる。
【0058】
任意に、組成物は、ポリマーバインダーを更に含む場合がある。液体媒体が存在する実施形態において、追加のポリマーバインダーは、液体媒体中に分散可能又は可溶であることが好ましい。例示的な追加のポリマーバインダーとしては、水溶性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びポリマーラテックス(例えば、ポリウレタンラテックス、アクリルラテックス、及び酢酸ビニルラテックス)などが挙げられる。
【0059】
好適なポリマーバインダーはフィルム形成ポリマーバインダーを含み、例えば、ラテックスとして提供される場合がある。いくつかの好ましい実施形態では、ラテックスを組成物に添加した後に、組成物を基材110上に堆積させる。好適なフィルム形成ポリマーとしては、アクリル(例えば、ポリブチルアクリレート及びポリメチルメタクリレート)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(及び部分的又は完全に加水分解されたエチレン-酢酸ビニルコポリマー)、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、天然及び合成ゴム、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。フィルム形成ポリマーバインダーは、自己架橋性であってもよい。
【0060】
存在する場合、フィルム形成ポリマーバインダーは、好ましくは、フィルム形成ポリマーバインダーと合成アミン含有化合物との合計総重量に基づいて、最大50重量%、より好ましくは1~30重量%、そしてより好ましくは5~25重量%の量で存在する。
【0061】
組成物は、様々な添加剤、例えば、増粘剤、フィラー、芳香剤、抗酸化剤、UV安定剤、及び界面活性剤などを、任意に、更に含んでもよい。
【0062】
本開示に係る組成物は、典型的には、様々な成分を容器中で単に混合することにより、任意に加熱又は冷却して混合することにより、調製することができる。
【0063】
本開示による組成物は、例えば、基材110の第1の主面110Aの少なくとも一部を組成物でコーティングした後、少なくとも一部の加水分解性基を加水分解し、PEI鎖間及び/又はPEI鎖と基材との間に共有結合架橋(例えば、Si-O-Si単位を有する)を形成することによって物品100を製造する方法に有用である。加水分解は、乾燥又は静置に際し、自発的に起こり得る。任意に行われる加熱は、いくつかの例において有利な場合がある。
【0064】
物品100の様々な構造が可能である。
図1Aでは、円形断面を有する物品100が示されている。物品100の幅は、横方向軸Dxに沿った端部から端部までの測定値である直径によって提供され得る。基材110は、第1の主面110Aと、第2の主面110Bとを有することができる。プロセスインジケータ120は、チャネル142をその中に形成する第1の主面110Aの少なくとも一部の上に配置することができる。いくつかの実施形態では、プロセスインジケータ120は、物品100の一部の全周を含み得る第1の主面110Aの全体に配置される。いくつかの実施形態では、プロセスインジケータ120は、長手方向軸D
Lに沿った第1の基材の全長(
図1Bに示すように)及び物品100の周囲の一部に沿って配置される。
【0065】
第2の主面110Bは、物品110の外側部分を形成することができ、消毒システムの環境に曝露されてもよい。
【0066】
第1の基材110は、
図1B及び1Cに示される端部113及び115を有することができる。本明細書で論じられるように、第1の基材110は、表面110Aの全て又は一部の上に配置されているプロセスインジケータ120を有することができる。流路142は、プロセスインジケータ120の少なくとも一部から端部113と115との間に確立することができる。
【0067】
流路142は、プロセスインジケータ120及び/又は第1の基材110の少なくとも一部(例えば、基材110の露出部分又はその中に画定されたプロセスインジケータ120を有する部分)によって画定され得る。例えば、プロセスインジケータ120が第1の基材110を部分的に覆う場合、流路142は、第1の基材110とプロセスインジケータ120とによって部分的に画定され得る。
【0068】
流路142は、1つ以上の壁を有することができる。本実施形態では、流路142は、プロセスインジケータ120の一部から形成された単一の壁を有することが示されている。流路142は、特定の幅x(横方向軸に沿って測定される)及び特定の高さy(横方向Dxに垂直な軸に沿って測定される)を有することができる。物品100において、流路142は、内径(すなわち、x)によって測定することができる。
【0069】
流路142は、長手方向軸D
Lに沿って配向され得る。例えば、流路142は、長手方向に延びており、横方向軸線D
xに垂直である。長手方向軸に沿った端部113から端部115までの距離は、(
図1Cに示すように)lである。
【0070】
流路142の様々な構成が可能であるが、流路は、一般に、その長さl以下である幅xを有する。流路142はまた、所望の長さに従って切断及び成形され得る。例えば、端部113、115間の距離lは、4インチ以下、3インチ以下、2インチ以下、1インチ以下であってもよい。少なくとも1つの実施形態では、流路142の幅xは、0.5インチ以下、0.375インチ以下、0.25インチ以下、又は0.125インチ以下であってもよい。
【0071】
消毒剤は、端部113から端部115まで流路142を通って流れることができる。端部113は、第1の領域を有することができ、流出する端部115は第2の領域を有することができる(それぞれ、流路によって画定される)。いくつかの実施形態では、第1の領域は、消毒剤フローによる背圧を生成するために、第2の領域よりも大きい。背圧は、プロセスインジケータ120を、背圧のない場合より容易に消毒剤の存在に反応させることができる。
【0072】
背圧は、複数の技術を使用して達成することができる。いくつかの実施形態では、端部115は封止され得る。例えば、物品100は、内視鏡の先端に隣接して、又は更にはその周囲に嵌合された靴下に似た仕掛けであってもよい。
【0073】
図1Cは、端部113及び端部115の少なくとも一部をそれぞれ覆う膜112及び膜114を示す。膜は、第1の領域、第2の領域、又はその両方によって画定される領域を覆うことができる。膜112及び膜114は任意であり得る。例えば、膜112の不在及び膜114の存在は、背圧を作り出し得る。膜112はまた、消毒剤が端部113を通って流れるときに背圧を作り出すために、膜114よりも大きい孔径を有し得る。
【0074】
物品100はまた、第1の基材110の第2の主面110Bの上に配置されている接着剤150を含むことができる。接着剤150は、物品100が、自動内視鏡洗浄装置(AER)に見られる表面などの表面に接着するように配置することができる。接着剤150は、取り付け面と平面状であってもよい。いくつかの実施形態では、接着剤150は、感圧接着剤であり得る。
【0075】
図2Aは、2つの基材を使用する物品200を示す。物品200は、第1の主面210Aと、第2の主面210Bとを有する第1の基材210を有することができる。第1の基材210は、
図1A~1Cの第1の基材110のものと同様であり得る。
【0076】
物品200はまた、第1の主面210Aの少なくとも一部分の上に配置されているプロセスインジケータ220を有することができる。プロセスインジケータ220は、第1の主面220Aを有することができる。
【0077】
第1の基材210は、少なくとも1つの面を更に有することができる。第1の基材210は、長手方向面(例えば、233又は235)及び側面を有することができる。長手方向面(例えば、233又は235)は、物品200の側面上の長手方向軸DLに沿って配向された面によって画定され得る。例えば、長手方向面はまた、流路242の配向によって画定され得る。長手方向面の長さ(例えば、233又は235)はまた、第1の基材210の長さlによって画定され得る。第1の基材210の長さは、第1の側面と第2の側面との間の距離である。側面は、横方向軸Dxに沿って配向された面によって画定される。
【0078】
物品200はまた、第2の主面210Bの上に配置されているポリマーフィルム260を有してもよい。ポリマーフィルム260は、物品200の保護層を形成することができる。いくつかの実施形態では、ポリマーフィルムは、長手方向面(例えば、233又は235)に沿って第1の基材及びプロセスインジケータ220にわたって延びている。ポリマーフィルム260は、任意の弾性ポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、ポリマーフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであり得る。厚さは所望の耐久性に応じて変化させることができるが、PETフィルムの厚さは、1万分の1インチ未満であり得る。ポリマーフィルム260を第2の主面210Bに固定するために、第2の主面210Bとポリマーフィルム260との間に接着剤を任意に配置することができる。
【0079】
物品200は、第1の主面230Aと、第2の主面230Bとを有する第2の基材230を有することができる。第2の基材230は、第1の主面210Aを有する流路242を形成するために使用することができる。具体的には、第1の主面230Aは、第1の主面220Aを有する流路242を形成することができる。第2の基材230は、プロセスインジケータ220が第1の基材210と第2の基材230との間に挟まれ得るように配置することができる。第2の基材230は、接着剤250によって表面に取り付けることができる。
【0080】
流路242を形成するために、第2の基材230は、長手方向面(例えば、233又は235)に近接した位置で、第1の基材210及び/又はプロセスインジケータ220に取り付けることができる。例えば、第2の基材230は第1の基材210の縁部に取り付けることができる。第2の基材230はまた、第1の基材210への取り付け中にプロセスインジケータ220の少なくとも一部と接触することができる。好ましくは、第2の基材230は、第1の基材の長手方向縁部領域(本明細書に記載される)を通して第1の基材210に取り付けられる。長手方向縁部領域は、取り付け領域とすることができる。長手方向縁部領域は、流路242を依然として形成しながら、第2の基材230との取り付け点を形成することができる場所とすることができる。流路幅xは、距離bに基づいて測定することができ、一方、長手方向縁部領域は距離aによって画定することができる。
【0081】
取り付け部は、物品200の層の少なくとも一部を結合することができる(第2の基材230をプロセスインジケータ220に接着する接着剤232に示されるように)。取り付け部は、長手方向面233、235から取り付け部の最も内側の部分までの距離である距離aによって示される。いくつかの実施形態では、aは、bの80%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下である。いくつかの実施形態では、aは、a+bの距離の30%以下、20%以下、10%以下、5%以下である。
【0082】
取り付け部は、機械的、接着剤、又は接合であってよい。より狭い流路242が所望される場合、取り付け部は、長手方向面から離れて取り付けられ得る(距離aを増加させ、距離bを減少させる)。
【0083】
図3は、物品300が機械的取り付け部309及び311を含むことを除いて、
図2A~2Bの物品200と同様の構造の物品300を示している。取り付け部309は、長手方向面335から更に内側に(物品200に対して)(長手方向縁部内)に取り付けられている。距離a’は、距離b’によって画定される流路幅342を減少させる物品200内の距離aよりも大きくすることができる。距離aは、物品200から変化しないままである。2つの機械的取り付け部は、層(第1の基材310、プロセスインジケータ320、及び第2の基材330)を貫通する。機械的取り付け部は、リベットとして描かれている。
【0084】
図2Bに戻ると、流路242は、物品200の端部213と215との間に形成することができる。物品200は、少なくとも2つの壁、主面220Aによって形成される一方の壁と、主面230Aによって形成された別の壁とを有する流路242を示す。接着剤232はまた、流路242の側壁を形成してもよい。
【0085】
物品200は、流路242を通る消毒剤の流れを促進する特徴部を有することができる。例えば、第1の主面210A及び第1の主面230Aの一部は、プロセスインジケータ220内に消毒剤を引き込むために、疎水性又は親水性のいずれかで作製することができる。例えば、第1の主面230Aは疎水性であってもよく、第1の主面210Aは親水性であってもよい。
【0086】
物品200はまた、間隔要素240を含むことができる。間隔要素240は、消毒剤が流路242を通って流れるように開口部を維持することによって流路242を維持する(したがって、流路242の圧潰を防止する)。間隔要素240は、基材のいずれかと一体化されるか、又はそれらとは別個の機械的デバイスであり得る。
図2Aでは、間隔要素240は、流路242に挿入された剛性管として示されている。いくつかの実施形態では、間隔要素は、流路242の少なくとも一部を形成する。間隔要素240は、プロセスインジケータ220と第2の基材230との間に概ね挟まれ得る。間隔要素が存在する場合、流路242の高さは、間隔要素240によって画定され得る。
【0087】
間隔要素240は、様々な材料から形成することができる。例えば、間隔要素240は、チューブの本体から形成された1つ以上の開口部を更に有するチューブであってもよい。他の例では、間隔要素240はまた、スポンジ又は不織布ポリマー若しくは発泡体であってもよい。
【0088】
本明細書で論じられるように、間隔要素240はまた、第2の基材230と一体化することができる。
【0089】
図4A~4Bは、第2の基材430に一体化された間隔要素440を有する物品400を示している。いくつかの実施形態では、第2の基材430は、プロセスインジケータ420が第1の主面430Aを有する少なくとも1つの流路を形成するように、高精細表面であり得る。
【0090】
図4Bに示すように、間隔要素440は、複数の部材とすることができる。部材434及び438のうちの少なくとも2つは、他の部材436に対して隆起することができる。部材のうちの少なくとも1つ、例えば434は、長手方向軸に沿って第2の基材430の長さの少なくとも一部を通って延びており、第2の基材430に対して非平面状である。いくつかの実施形態では、部材434は、第2の基材の全長にわたって延びている。
【0091】
部材434の表面は、概ね真っ直ぐであり、第2の基材430の主面430Aと角度αを形成するように配置される。角度αは、流路の構造的一体性が維持されるように、1~179度であり得る。好ましくは、角度αは、約90度である。部材434は、流路442の高さを画定する高さhを有することができる。いくつかの実施形態では、高さは少なくとも0.01ミリメートル、少なくとも0.1ミリメートル、又は少なくとも0.5ミリメートルであってもよい。
【0092】
部材436は、高さhよりも低い高さh’を有することができる。いくつかの実施形態では、部材436は任意であり、流路の高さに寄与しない。しかしながら、追加の消毒剤の流れ管理は、部材436によって影響される場合がある。部材436はまた、第2の基材430の長さの少なくとも一部を通って延びており、第2の基材430に対して非平面状である。いくつかの実施形態では、部材436は、第2の基材430に対して垂直である。
【0093】
流路幅は、部材434と部材438との間の距離を含むxによってもたらすことができる。部材は、部材間の間隔によって画定され得る。例えば、部材436及び部材438からの距離は、少なくとも0.2ミリメートルであり得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、部材438はまた、部材438から離れて延びており、かつ第2の基材430に平行である部分を有することができる。
【0095】
図5は、漏斗形デバイス570を有する物品500を示している。物品500は、第1の基材510と、その上に配置されているプロセスインジケータ520とを有することができる。プロセスインジケータ520は、本明細書に記載されるようにチャネルを形成する第2の基材530の上に少なくとも部分的に配置することができる。
【0096】
漏斗形デバイス570は、1つ以上の流路の端部513内に消毒剤流を方向付けるように構成することができる。例えば、第1の端部572は、消毒剤の流れを受容し、それを端部513に向けて方向付けることができる。漏斗形デバイス570は、第1の基材510の上に嵌合するために十分な高さを有することができる。漏斗形デバイス570は、幅X1を有する第1の端部572と、幅X2を有する第2の端部とを有することができる。少なくとも1つの実施形態では、幅X1は、少なくともX2の幅である。漏斗形デバイス570はまた、長さLを有することができる。長さLは、所望の消毒剤の流れの程度に応じて変更することができる。
【0097】
図6では、第2の基材630は、第1の基材610よりも大きい面積を有することができる。プロセスインジケータは、図示されていない。物品600の幅及び長さは、AERから必要とされる圧力に影響を及ぼし得る。一般に、プロセスインジケータ部分の長さ対幅の比(例えば、長さL及び幅x)は、2:1以下、3:1以下、4:1以下である。
【0098】
図7では、内視鏡790は、間隔要素740を使用して本開示の物品701に嵌合されている。間隔要素740は、内視鏡790に実質的に適合するように実質的にU字形であってもよく、物品701(
図2の物品200のものと同様である)に挿入される。間隔要素740は、第2の基材730と接触することができる。間隔要素740は、第2の基材730とプロセスインジケータ720との間に配置することができる。プロセスインジケータ720は、基材710の一部の上に付着させることができる。図示されるように、プロセスインジケータ720は、基材710が切り取られた状態で示されており、物品701の内部に配置されていることを意味する。消毒剤は、内視鏡790を通って、プロセスインジケータ720及び第2の基材から形成された流路内に流れることができる。消毒剤は、消毒の視覚的な表示を提供することができるプロセスインジケータ720に接触することができる。
【0099】
図8では、内視鏡790は、間隔要素740の上に静止するように配置されている。内視鏡790からの流出物は、漏斗形デバイス770内に集中させることができる。内視鏡790の先端と漏斗形デバイス770との間にスタンドオフ距離dが存在してもよい。消毒剤は、内視鏡790から漏斗形デバイス770へと流れることができる。漏斗形デバイス770は、
図7に記載されるように、流路を通る消毒剤の流れを集中させることができる。
【0100】
図9は、消毒デバイス900の斜視図を示している。消毒デバイス900は、消毒が行われるベースン997を含む。消毒デバイス900は、医療用デバイス(例えば、内視鏡)990が取り付けられた消毒剤ポート999を含むことができる。医療用デバイス990は、ベースン997内に配置することができる。消毒剤が消毒ポート999及び医療用デバイス990を通って流れると、医療用デバイス990の端部で流出物998が生成される。流出物998は、ベースン997内に集まる。物品901は、物品901が流出物998の表示を提供できるように、ベースン997内に配置される。物品901は、
図1~8からの物品の物品と同様であり得る。
【0101】
物品901は、流出物998からの特定のスタンドオフ距離dで長手方向軸DL沿って配向され得る。例えば、物品901は、医療用デバイスの流出物998と流路との間のスタンドオフ距離dが、3インチ以下、2インチ以下、1インチ以下、又は0.5インチ以下であるように配置することができる。
【0102】
物品901は、流路の少なくとも一部が流出物に配向されるように配置することができる。例えば、流路の大部分は、流出物998に向かって配向され得る。
【0103】
消毒剤は、例えば、ホルムアルデヒド及びジアルデヒド(例えば、フルタルアルデヒド、グルタルアルデヒド、又はオルトフタルアルデヒド)、及びこれらの組み合わせなどの医療用装置を消毒することが知られているアルデヒドを含んでもよい。消毒剤は、例えば、水、有機溶媒(例えばプロピレングリコール)、又はこれらの混合物などの液体媒体中にアルデヒドを含んでもよい。適切な希釈レベルは、工業規格及び/又は規制基準によって規定され得る。消毒剤中のアルデヒドの濃度が十分である場合、アルデヒドと合成アミン含有化合物との反応は、容易に観察され得る色及び/又は他のスペクトル特性(例えば、誘電率)変化を有し得る製品をもたらす。
【0104】
本開示を実施するのに好適な医療用物品990の例としては、例えば、把持具(例えば、鉗子)、クランプ、閉塞器、リトラクタ、伸延具、ポジショナー、定位デバイス、機械的カッター(例えば、メス、ラッセル、ラスプ、トロカール、ドリルビット、ロギュール、リーマー、リッジリーマー、骨そうは器、ハサミ、ブローチ)、拡張器、検鏡、封止デバイス(例えば、外科用ステープラ)、針(例えば、潅注又は注入用)、チップ(例えば、潅注又は吸引用)、チューブ(例えば、潅注又は吸引用)、ツール(例えば、股関節インパクタ、ねじ回し、スプレッダ、ハンマー、スプレッダブレース、プローブ、キャリア、アプライヤー、切断レーザーガイド、定規、カリパス、ドリルキー)、電動デバイス(例えば、デルマトーム、超音波組織破砕装置、クリオトーム、ドリル)、及び有腔デバイスが挙げられる。有腔デバイスは、消毒剤がそれを通して導入され得る少なくとも1つの内部導管を有する。有腔デバイスの例としては、例えば、関節鏡、腹腔鏡、胸腔鏡、膀胱鏡、鼻鏡、気管支鏡、大腸内視鏡、総胆管鏡、超音波内視鏡、小腸内視鏡、食道鏡、胃内視鏡、喉頭鏡、鼻喉頭鏡、S状結腸鏡、及び十二指腸鏡などの内視鏡が挙げられる。
【0105】
内視鏡は、少なくとも1つの内部導管を有することができ、消毒剤は、少なくとも1つの内部導管を通って再循環される。
【0106】
物品901が流出物998の一部内に配置されると、物品901のプロセスインジケータは、消毒剤と接触することができる。消毒剤を医療用デバイス990と接触させるために、所定の消毒剤曝露基準が存在し得る。一般に、所定の消毒剤曝露基準は、医療用デバイス990の消毒のための業界認識標準に対応する。所定の消毒剤曝露基準は、医療用デバイスの消毒のための業界及び/又は政府の標準並びに/若しくはガイドライン又はプロトコル、あるいは医療用デバイス製造業者の特定の消毒処置に対応し得る。例としては、ANSI/AAMI ST91:2015「Flexible and semi-rigid endoscopic processing in health care facilities」,American National Standards Institute,Washington,D.C.、及び「Standards of Infection Prevention in Reprocessing of Flexible Gastrointestinal Endoscopes」,Society of Gastroenterology Nurses and Associates,Inc.(SGNA),Chicago,Illinois,2015が挙げられる。
【0107】
消毒デバイス900は、並列に設定することができる。例えば、消毒剤は、ポンプによって医療用デバイス990及び物品901を通して再循環される。消毒剤は、物品901が医療用デバイス990と並列に流れるようにチューブを通して迂回され得る。
【0108】
消毒サイクルの完了後、ユーザーは物品901を観察し(例えば、視覚的又は機器的に)、所定の消毒剤曝露(例えば、最小有効濃度(MEC)、時間、及び/又は温度)が達成されたかどうかを判定することができる。そうでない場合には、プロセスを継続又は再開することができる。プロセスインジケータを観察するために役立つ方法の例としては、人間の眼、反射分光法、透過分光法、蛍光分光法、リン光分光法、及び電気容量による観察が挙げられる。このような方法は、当該技術分野において周知であり、対応する市販の装置を使用することができる。
【0109】
物品901の観察が、所定の消毒剤曝露基準に対する不適切な消毒を示す場合(すなわち、不合格の場合)、通常、更なる処理が、物品901が所定の消毒剤曝露基準に対して適切な消毒を示すまで(すなわち、合格するまで)実行されるか、又は医療用デバイス990が、任意選択的に再洗浄され、プロセス全体が繰り返されてもよい。物品901の観察が、所定の消毒剤曝露基準に対する適切な消毒を示す場合(すなわち、合格の場合)、消毒/洗浄プロセスを中断することができる。
【0110】
ユーザーは、物品901を分光的に観察し(例えば、反射、透過、及び/又は蛍光分光法によって)、所定の消毒剤曝露基準をそれから予測する少なくとも1つのパラメータ(例えば、1つ以上の波長における反射率、透過率、及び/又は蛍光)を得ることができる。例えば、観察は1つ以上の波長で行われてもよく、この波長は、任意選択的に基準波長と比較され得る。監視されるパラメータは、形成されるプロセスインジケータと、消毒剤中のアルデヒドの反応生成物の量とを直接的又は間接的に相関させる任意のパラメータであってもよい。例示的なパラメータとしては、可視色(又は色変化)、1つ以上の波長における光反射率、静電容量、及び1つ以上の波長における蛍光を挙げることができる。パラメータは、連続的に又は周期的に得られてもよい。
【0111】
更に、所定の消毒剤曝露基準が達成されたかどうかを判定することができる。この工程は、典型的には、観察されたパラメータを、所定の消毒剤曝露基準に対応するパラメータの値と比較することと、次いで、所定の消毒剤曝露基準が達成されたと決定することと、を含む。そうでない場合、プロセスは、所定の消毒剤曝露基準が満たされるまで継続されるか、又はサイクル全体が繰り返される。
【0112】
図10は、物品1001と共に使用することができる取り付けガイド1096を示す。取り付けガイド1096は、医療用デバイス1090に対して一貫して物品1001を配置することができる。いくつかの実施形態では、取り付けガイドは、医療用デバイス1090(例えば、内視鏡)が衝撃から保護されるように設計された器具保護具であり得る。他の実施形態では、取り付けガイド1096は、医療用デバイス1090に限定された保護を提供してもよく、又は保護を提供しなくてもよい。取り付けガイド1096は、好ましくは抗菌性であり、消毒剤条件に対して構造的に耐性である剛性材料から作製することができる。材料の例としては、ポリマー、紙、又は更にはセラミックが挙げられる。取り付けガイド1096は、1つ以上の固定手段(例えば、1094、1095)を有することができる。固定手段(例えば、1094、1095)は、医療用デバイス1090を取り付けガイド1096に固定することができ、ゴム、ポリマー、又は更に金属クリップであってもよい。
【0113】
図10に示すように、固定手段(例えば、1094、1095)は、取り付けガイド1096の本体から形成された垂直スリットである。固定手段1095は、医療用デバイス1090の先端を固定することができる。固定手段1095は、取り付けガイド1095上の第1の垂直スリット及び第2の垂直スリットから形成することができ、医療用デバイス1090をスリットに通すことができる。同様に、固定手段1094は、医療用デバイス1090の移動を更に防止することができ、固定手段1095と同様に形成することができる。
【0114】
取り付けガイド1096はまた、上述のように医療用物品1001を配置するための1つ以上の印付けされた領域1092、1093を有することができる。印付けされた領域1092は、医療用デバイス1090をどのように配置するかの視覚的な表示を提供することができる。印付けされた領域1093は、物品1001をどのように配置するかの視覚的な表示を提供することができる。印付けされた領域1092によって画定される配置は、消毒剤流出物1098に対する特定のスタンドオフ距離dを維持することができる。
【0115】
例示的な実施形態の列挙
実施形態1.第1の主面及び両端部を有する第1の基材と、
第1の主面の少なくとも一部の上に配置されているプロセスインジケータと、を備え、
流路が、プロセスインジケータの一部によって形成され、両端部の間に延びている、物品である。
【0116】
実施形態1a.流路を通って輸送された流体が、プロセスインジケータに接触する、実施形態1に記載の物品である。
【0117】
実施形態1b.流路の第1の壁が、プロセスインジケータの一部によって形成される、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0118】
実施形態1c.第1の主面を有する第2の基材を更に備え、流路が、第2の基材の第1の主面の一部によって更に形成される、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0119】
実施形態1d.流路の第2の壁が、第2の基材の第1の主面の一部によって形成される、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0120】
実施形態1e.両端部が、第1の端部及び第2の端部を含み、流路が、第1の端部から第2の端部を通る消毒剤の流体経路を画定する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0121】
実施形態1f.プロセスインジケータが、グルタルアルデヒド、オルトフタルアルデヒド、過酸化水素、及びペルオキシ酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの液状消毒剤と化学反応する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0122】
実施形態2.プロセスインジケータが、第1の基材と第2の基材との間に挟まれている、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0123】
実施形態3.第1の基材が、少なくとも1つの面を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0124】
実施形態4.第2の基材が、プロセスインジケータの少なくとも一部に結合されている、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0125】
実施形態5.第2の基材が、第1の基材の少なくとも一部に固定されている、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0126】
実施形態6.第1の基材が、少なくとも第1の長手方向面を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0127】
実施形態7.第1の長手方向面が、流路に平行である、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0128】
実施形態8.第1の長手方向面が、長手方向軸に沿った第1の基材の長さによって画定される、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0129】
実施形態9.第2の基材が、第1の基材の第1の長手方向面によって画定される少なくとも領域を介して、第1の基材の少なくとも一部に固定されている、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0130】
実施形態9a.領域が、第1の基材の幅の30%以下の距離によって更に画定される、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0131】
実施形態9b.流路が領域によって画定される、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0132】
実施形態10.第1の基材が、少なくとも第1の側面を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0133】
実施形態11.第2の基材が、第1の側面を通して第1の基材に固定されない、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0134】
実施形態12.プロセスインジケータが、第1の基材の全表面の上に配置されている、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0135】
実施形態13.第1の基材が、積層加工紙である、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0136】
実施形態14.第1の基材が、ポリマーである、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0137】
実施形態15.第1の基材が、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0138】
実施形態16.PETフィルムが、1万分の1インチ以下の厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0139】
実施形態17.第1の基材が、少なくとも第1の長手方向面と、第2の長手方向面とを有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0140】
実施形態18.第2の基材が、第1の基材の少なくとも第2の長手方向面を通して、第1の基材の少なくとも一部に固定されている、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0141】
実施形態19.第2の基材の第1の主面が、疎水性である、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0142】
実施形態20.第2の基材の第1の主面が、親水性である、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0143】
実施形態21.第1の基材の第1の主面が、疎水性である、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0144】
実施形態22.第1の基材の第1の主面が、親水性である、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0145】
実施形態23.間隔要素を更に含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0146】
実施形態23a.間隔要素が、プロセスインジケータと第2の基材との間に挟まれている、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0147】
実施形態23b.間隔要素が、流路の少なくとも一部に配置されている、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0148】
実施形態24.間隔要素が、不織布物品である、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0149】
実施形態24a.間隔要素が、スポンジである、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0150】
実施形態25.間隔要素が、チューブである、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0151】
実施形態26.チューブが、チューブの本体から形成された複数の開口部を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0152】
実施形態27.間隔要素が、第2の基材と一体化されている、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0153】
実施形態28.間隔要素が、第2の基材の長さの少なくとも一部に延び、かつ第2の基材に対して非平面である第1の部材を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0154】
実施形態29.第1の部材が、第2の基材に対して約90度の角度を形成するように配置される、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0155】
実施形態30.第1の部材が、第1の部材から離れる方向に延び、かつ第2の基材に平行な部分を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0156】
実施形態31.第1の部材が、第2の基材の全長にわたって延びている、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0157】
実施形態32.間隔要素が、第2の基材の長さの少なくとも一部に延び、かつ第2の基材に対して非平面である第2の部材を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0158】
実施形態33.間隔要素が、複数の部材を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0159】
実施形態34.第2の基材が、高精細表面である、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0160】
実施形態35.第1の部材の高さが、少なくとも0.01ミリメートルである、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0161】
実施形態36.複数の部材が、第2の部材を含み、第1の部材が、第2の部材から少なくとも0.05ミリメートル離間している、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0162】
実施形態37.第1の部材の面が、真っ直ぐであり、第2の基材の面と45度以下の角度を形成するように配置されている、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0163】
実施形態38.両端部が、4インチ以下の距離を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0164】
実施形態39.両端部が、3インチ以下の距離を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0165】
実施形態40.両端部が、2インチ以下の距離を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0166】
実施形態41.両端部が、0.5インチ以下の距離を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0167】
実施形態42.両端部が、0.375インチ以下の距離を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0168】
実施形態43.両端部が、0.25インチ以下の距離を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0169】
実施形態44.両端部が、0.125インチ以下の距離を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0170】
実施形態44a.第1の基材の長さ対幅の比が、5:1以下である、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0171】
実施形態44b.第1の基材の長さ対幅の比が、4:1以下である、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0172】
実施形態44c.第1の基材の長さ対幅の比が、3:1以下である、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0173】
実施形態44d.第1の基材の長さ対幅の比が、2:1以下である、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0174】
実施形態45.流路に隣接して配置された漏斗形デバイスを更に備える、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0175】
実施形態46.漏斗形が、消毒剤を流路内に方向付けるように更に配置されている、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0176】
実施形態47.組成物が、化合物が分散又は溶解される水性液体媒体を更に含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0177】
実施形態48a.プロセスインジケータが、亜硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0178】
実施形態48b.プロセスインジケータが、第1の主面の少なくとも一部の上に配置されている合成アミン含有化合物を含み、合成アミン含有化合物が、一級アミノ基又は二級アミノ基のうちの少なくとも1つを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0179】
実施形態48c.合成アミン含有化合物が、合成アミン含有ポリマーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0180】
実施形態48d.合成アミン含有ポリマーが、
i)分枝状ポリエチレンイミン、
ii)基材に電子ビームグラフトされた分枝状ポリエチレンイミン、
iii)架橋分枝状ポリエチレンイミン、
iv)架橋分枝状グアニル化ポリエチレンイミン、又は
v)架橋分枝状シリル化ポリエチレンイミンのうちの少なくとも1つを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0181】
実施形態49.架橋分枝状シリル化ポリエチレンイミンが、ポリエチレンイミンと、少なくとも2つのアミン反応性基を含有する化合物との架橋反応生成物を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0182】
実施形態49a.化合物が、式:
R3-Z-SiY3
によって表された少なくとも1つのアミン反応性オルガノシロキサンカップリング剤であり、
式中
R3は、1~12個の炭素原子を含有するアミン反応性基を表し、
Zは1~8個の炭素原子を含有する二価の有機基を表し、
各Yは独立して加水分解性基を表す、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0183】
実施形態49b.化合物が分散又は溶解される水性液体媒体を更に含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0184】
実施形態49c.R3が、1~3個の炭素原子を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0185】
実施形態49d.R3が、イソシアネート基、オキシラニル基、グリシドキシ基、アクリロキシ基、カルボエトキシ基、カルボメトキシ基、ビニルスルホニル基、及びアクリルアミド基からなる群から選択される、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0186】
実施形態49e.Zが、O、N、及びSからなる群から選択される1~6個のヘテロ原子を更に含有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0187】
実施形態49f.Zが、1~3個の炭素原子を含有するアルキレン基を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0188】
実施形態49g.各Yが、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシ、アセトキシ、塩素、及び臭素から独立して選択される、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0189】
実施形態49h.少なくとも1つのアミン反応性の加水分解性オルガノシランが、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、2-イソシアネートエチルトリエトキシシラン、2-イソシアネートエチルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2,3-エポキシプロピルトリメトキシシラン、2,3-エポキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、及び3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0190】
実施形態49i.ポリマーバインダーを更に含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0191】
実施形態50.合成アミン含有ポリマーが、アミン官能性ポリシロキサンを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0192】
実施形態51.合成アミン含有化合物が、シリカに化学的に結合されたポリエチレンイミンを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0193】
実施形態52.第1の基材が、第2の主面を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0194】
実施形態53.第1の表面の第2の主面上に配置されているポリマーフィルムを更に含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0195】
実施形態54.ポリマーフィルムが、PETフィルムである、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0196】
実施形態55.PETフィルムが、1万分の1インチ以下の厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0197】
実施形態56.第1の表面の第2の主面とポリマーフィルムとの間に配置されている接着剤を更に含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0198】
実施形態57.第2の基材が、第2の主面を含み、第2の表面の第2の主面上に配置されている接着剤を更に含む、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0199】
実施形態58.接着剤が、感圧接着剤である、先行する実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0200】
実施形態59.先行する実施形態のいずれかに記載の物品
を備える、キットである。
【0201】
実施形態60.剥離ライナーと、
切断デバイスと、
を更に備える、実施形態59に記載のキットである。
【0202】
実施形態61.取り付けガイド
を更に備える、先行する実施形態のいずれかに記載のキットである。
【0203】
実施形態61a.取り付けガイドが、医療用デバイスを配置するための1つ以上のスリットを有する、先行する実施形態のいずれかに記載のキットである。
【0204】
実施形態62.取り付けガイドが、医療用デバイスを、医療用デバイスからの消毒剤の流出物が2インチ以下のスタンドオフ距離を有するように位置付けるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のキットである。
【0205】
実施形態63.スタンドオフ距離が、取り付けガイド上に印付けされている、先行する実施形態のいずれかに記載のキットである。
【0206】
実施形態63.消毒剤がそこを通って流れるときに流出物が生じる滅菌デバイス内に、医療用デバイスを配置すること、
流出物の一部内に、先行する実施形態のいずれかに記載の物品を配置することと、
消毒剤をプロセスインジケータと接触させること
を含む方法であって、消毒剤を医療用デバイスと接触させるのに、所定の消毒剤曝露基準が存在する、方法である。
【0207】
実施形態64.プロセスインジケータを分光的に観察し、所定の消毒剤曝露基準を予測する少なくとも1つのパラメータをそれから取得することと、
所定の消毒剤曝露基準が達成されたことを決定することと、
を更に含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0208】
実施形態65.消毒剤が、少なくとも1つのジアルデヒドを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0209】
実施形態66.消毒剤が、フルタルアルデヒド又はオルトフタルアルデヒドのうちの少なくとも1つを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0210】
実施形態67.所定の消毒剤曝露基準が、医療用デバイスの消毒のための業界認識された標準に対応する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0211】
実施形態68.医療用デバイスが、少なくとも1つの内部導管を有する内視鏡を備え、消毒剤が少なくとも1つの内部導管を通って再循環される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0212】
実施形態69.少なくとも1つのパラメータが、光反射率を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0213】
実施形態70.少なくとも1つのパラメータが、可視色を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0214】
実施形態71.少なくとも1つのプロセスパラメータインジケータが、連続的に取得される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0215】
実施形態72.物品を配置することが、流路の少なくとも一部が流出物に配向されているように物品を配置すること
を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0216】
実施形態73.物品を配置することが、流路の大部分が流出物に配向されているように物品を配置すること
を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0217】
実施形態74.物品を配置することが、医療用デバイスの流出物と流路との間のスタンドオフ距離が3インチ以下であるように物品を配置すること
を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0218】
実施形態75.医療用デバイスの流出物と流路との間のスタンドオフ距離が、2インチ以下である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0219】
実施形態76.医療用デバイスの流出物と流路との間のスタンドオフ距離が、1インチ以下である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0220】
実施形態77.医療用デバイスを取り付けガイドと接触させることを更に含み、物品を配置することが、物品を取り付けガイド上に配置することを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【実施例】
【0221】
試料調製(Ex1~EX2):
実施例1(EX1)
厚さ約2.5ミルのポリエステル/アイオノマーフィルム(E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)からSURLYNの商品名で市販されている)を、Whatman 410 Grade濾紙(厚さ約7.3ミル)の片面に積層することによって、基材材料を調製した。分枝状ポリエチレンイミン(Thermo Fisher Scientific,Waltham,Massachusettsから入手可能な、50重量%水溶液として、MW60,000g/モル)を、蒸留水を添加して10重量%に希釈した。この溶液を、反転グラビア印刷を用いて、2016年5月5日に出願された米国特許出願第62/332,243号(代理人整理番号78258US002)の実施例PI4に記載されているように、基材材料の紙側にコーティングした。次いで、コーティングされた基材を100℃で5分間乾燥して、ポリエチレンイミン化学的インジケータ(PEI CI)を形成し、1cm×5cmのサイズ単位に切断した。
【0222】
PEI CIを、接着剤でコーティングされた10ミルのポリエステルテレフタレート(PET)トップフィルム(接着剤は、厚さ2ミルであり、PEI CIのPETフィルム側が接着剤に面し、PEIがコーティングされたWhatman紙側は接着剤から離れている状態で、3M Companyから300LSE転写接着剤として市販されている)の接着剤側に接着した。PETフィルムは、3M Companyからモデル番号シリーズ990ポリエステルフィルム9901000で市販されており、これは親水性処理された側及び反対側の未処理の疎水性側を有する。次いで、PEI CIを、高精細化された水分管理テープである3M凝縮管理フィルム(St.Paul,MNの3M Companyから入手可能)の下層と、PEIコーティングされた側が凝縮管理フィルムの高精細表面に面するように、接着剤コーティングされた10ミルのPETトップフィルムとの間に挟ませた。この構成では、一連のチャネルが、PEI CIストリップと高精細表面との間に長さ方向に形成される。
【0223】
実施例2(EX2)
下記を除いては、実施例1(EX1)を繰り返した。分枝状ポリエチレンイミン(略称bPEI、MW 60,000g/モル、50重量%水溶液として)を、30重量%のポリウレタン分散体(モデル#CS 8057、Incorez Copolymer Ltd.,United Kingdomから入手可能)と蒸留水とに混合し、bPEI:ポリウレタン分散体の重量比が1:1のコーティング配合物を形成した。このポリウレタン/ポリエチレンイミン(PU/PEI)組成物を、積層加工紙の紙側の代わりに10ミルのPETフィルム上に直接コーティングした。
【0224】
試験方法:
内視鏡(Olympus Corporation(Japan)製のモデルOlympus PCFタイプS)を、AER(Medivators Inc.(Minneapolis,MN)からモデルDSD-201として市販されている)のベースン内に配置した。洗剤洗浄相なしの標準AERサイクルを、0.35%OPAを消毒剤として使用して実行した。内視鏡からの消毒剤の流量は、約800ml/分であった。例示的な物品を、内視鏡の直接流路内に1サイクル配置した。鮮明度を表1に記録した。
【0225】
【0226】
試料調製(EX3~EX5):
実施例3(EX3)
下記を除いては、実施例1(EX1)を繰り返した。PU/PEI組成物のプロセスインジケータを10ミルのPETフィルムの上層と下層との間に挟み、PU/PEI CIの、PU/PEIコーティング側がPETフィルム(3Mシリーズ990ポリエステルフィルム9901000)の底部の親水性処理側に面するようにした。この構造において、PU/PEI CIの幅を有する単一のチャネルが、PU/PEI CIストリップとPET底部フィルムの親水性処理表面との間に長さ方向に形成される。PET底部フィルムを、3M 300 LSE転写接着剤を使用して物品の全長(縁部に沿って)に接着し、PU/PEI CIと底部PETフィルムとの間に直接接着剤を用いなかった。PET底部フィルムとPEI CIとの間にチャネルを形成させた。ラベル試料をAERベースン壁に接着するために使用される接着剤は、3M CompanyからVHB転写接着剤として入手可能であった。
【0227】
実施例4(EX4)
PU/PEI CIが底部PETフィルムの未処理の疎水性側に面していることを除いて、EX3と同じように試料を調製した。この構造において、PU/PEI CIの幅を有する単一のチャネルが、PU/PEI CIストリップとPET底部フィルムの未処理の疎水性表面との間に長さ方向に形成される。
【0228】
実施例5(EX5)
PU/PEIインジケータの代わりにPEIインジケータを使用したことを除いて、CE1と同じように試料を調製した。
【0229】
試験方法:
内視鏡(Olympus Corporation(Japan)製のモデルOlympus PCFタイプS)を、AER(Medivators Inc.(Minneapolis,MN)からモデルDSD-201として市販されている)のベースン内に配置した。洗剤洗浄相なしの標準AERサイクルを、0.35%OPAを消毒剤として使用して実行した。内視鏡からの消毒剤の流量は、約800ml/分であった。例示的な物品を、内視鏡の直接流路内に1サイクル配置した。鮮明度を記録し、表2にランク付けした(1は最高の鮮明度を有する)。
【0230】
【0231】
試料調製(EX6~EX10):
実施例6(EX6)-下記を除いては、上記EX4と同様である。
図6を参照すると、化学的インジケータストリップxの幅は、0.5インチで一定に保持された。距離s及びtは、1インチであった。距離v及びuは、ゼロであった。ストリップの長さlは、2インチであった。
実施例7(EX7)-長さlが2.5インチであったことを除いて、EX6と同じように試料を調製した。
実施例8(EX8)-長さlが3インチであったことを除いて、EX6と同じように試料を調製した。
実施例9(EX9)-長さlが3.5インチであったことを除いて、EX6と同じように試料を調製した。
実施例10(EX10)-長さlが4インチであったことを除いて、EX6と同じように試料を調製した。
【0232】
試験方法:
内視鏡(Olympus Corporation(Japan)製のモデルOlympus PCFタイプS)を、AER(Medivators Inc.(Minneapolis,MN)からモデルDSD-201として市販されている)のベースン内に配置した。標準AERサイクルを、0.35%OPAを消毒剤として使用して実行した。内視鏡からの消毒剤の流量は、約800ml/分であった。例示な物品を、内視鏡の直接流路内に1サイクルの間配置し、スタンドオフ距離は、物品の流路から内視鏡の先端まで1インチであった。このサイクルは、15分の洗剤洗浄相を含まなかった。鮮明度を記録し、表3にランク付けした。
【0233】
【0234】
試料調製(EX11~EX14):
実施例11(EX11)-下記を除いては、上記EX4と同様である。
図6を参照すると、化学的インジケータストリップxの長さlは、2インチで一定に保持された。距離s及びtは等しいが、合計幅に関して変化した。距離v及びuは、ゼロであった。ストリップの幅xは、0.5インチであった。
実施例12(EX12)-幅xが0.375インチであったことを除いて、EX11と同じように試料を調製した。
実施例13(EX13)-幅xが0.25インチであったことを除いて、EX11と同じように試料を調製した。
実施例14(EX14)-幅xが0.125インチであったことを除いて、EX11と同じように試料を調製した。
【0235】
試験方法:
内視鏡(Olympus Corporation(Japan)製のモデルOlympus PCFタイプS)を、AER(Medivators Inc.(Minneapolis,MN)からモデルDSD-201として市販されている)のベースン内に配置した。標準AERサイクルを、0.35%OPAを消毒剤として使用して実行した。内視鏡からの消毒剤の流量は、約800ml/分であった。
図9を参照すると、例示な物品を、内視鏡の直接流路内に1サイクルの間配置し、スタンドオフ距離dは、物品の流路から内視鏡の先端まで1インチであった。このサイクルは、15分の洗剤洗浄相を含まなかった。鮮明度を記録し、表4にランク付けした。
【0236】
【0237】
試料調製(EX15~EX18):
実施例15(EX15)-表示ストリップをEX11と同じように調製した。スタンドオフ距離は、1インチであった。
実施例16(EX16)-表示ストリップをEX11と同じように調製した。スタンドオフ距離は、1.5インチであった。
実施例17(EX17)-表示ストリップをEX11と同じように調製した。スタンドオフ距離は、2インチであった。
実施例18(EX18)-表示ストリップをEX1と同じように調製した。スタンドオフ距離は、3インチであった。
【0238】
試験方法:
内視鏡(Olympus Corporation(Japan)製のモデルOlympus PCFタイプS)を、AER(Medivators Inc.(Minneapolis,MN)からモデルDSD-201として市販されている)のベースン内に配置した。標準AERサイクルを、0.35%OPAを消毒剤として使用して実行した。内視鏡からの消毒剤の流量は、約800ml/分であった。
図9を参照すると、例示な物品を、スタンドオフ距離dが、物品の流路から内視鏡の先端まで1インチから3インチまで変化する流路の方向に、1サイクルの間配置した。このサイクルは、15分の洗剤洗浄相を含まなかった。鮮明度を表5に記録した。
【0239】