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特許7182544疑似共振バック型の高周波DC電圧コンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】疑似共振バック型の高周波DC電圧コンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
H02M3/155 Q
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019531937
(86)(22)【出願日】2017-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2017083094
(87)【国際公開番号】W WO2018109185
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】1662501
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513280061
【氏名又は名称】スリーディー プラス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デュビュ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ペロー,ニコラ
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-151324(JP,A)
【文献】特開2015-216712(JP,A)
【文献】特開2008-236859(JP,A)
【文献】特開2012-139023(JP,A)
【文献】特開2004-364488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疑似共振バック型のDC電圧コンバータであって、変換の対象となる電圧レベルを受け取るように設計された第1の端子を有する入力ポートと、変換後の電圧レベルを供給するように設計された第1の端子を有する出力ポートと、前記入力ポートの第2の端子を前記出力ポートの第2の端子に接続している接地線と、前記入力ポートの前記第1の端子に直列に接続された第1のスイッチと、前記DC電圧コンバータの前記出力ポートの前記第1の端子に接続された入力端子、および前記第1のスイッチの制御端子に接続された出力端子を有する調整回路と、を備える疑似共振バック型のDC電圧コンバータにおいて、前記調整回路が、
-前記第1のスイッチの閉成状態または開放状態に応じて上昇または降下するリップル電圧を発生させるように構成され、
-変換後の電圧の平均レベルと基準電圧との間の差に比例して設定信号を発生させるように構成され、
-前記設定信号と、前記リップル電圧が加えられた前記変換後の電圧レベルとの間で第1の比較を実行するように構成され、かつ、
-前記第1の比較の結果に応じて、所定の期間の間、前記第1のスイッチの前記閉成を制御する起動信号をその出力上で発生させるか、または発生させないように構成されており、
-前記調整回路が、
-前記起動信号を送達することが可能な出力を有する制御回路と、
-前記比較の前記結果を送達するように設計された出力であって、前記制御回路の第1の入力に接続されている前記出力を有する比較器回路と、
をさらに備え、
-前記調整回路が、
-前記リップル電圧が加えられた前記変換後の電圧レベルを送達するように構成された追加のリップル回路であって、前記DC電圧コンバータの前記出力ポートの前記第1の端子に接続された第1の入力、前記制御回路の出力に接続された第2の入力、および前記比較器回路の第1の入力に接続された出力を有する前記追加のリップル回路と、
-前記設定信号を送達するように設計された誤差増幅器であって、前記DC電圧コンバータの前記出力ポートの前記第1の端子に接続された第1の入力、前記基準電圧を受け取るように構成された第2の入力、および前記比較器回路の第2の入力に接続された出力を有する前記誤差増幅器と、
をさらに備え、
-前記制御回路が、
-前記第1のスイッチの前記閉成または前記開放、
-前記追加のリップル回路の前記第2の入力上での、前記上昇または降下する電圧の発生、
を制御するようにさらに構成されており、
前記DC電圧コンバータが、
-前記第1のスイッチと直列に接続された共振インダクタであって、第1の端子であって、前記第1のスイッチに接続されている前記第1の端子および第2の端子を有する共振インダクタと、
-第1の端子および第2の端子を有する共振キャパシタであって、前記共振キャパシタの前記第1の端子が、前記共振インダクタの前記第2の端子に接続されている共振キャパシタと、
-一方では、前記共振キャパシタの前記第1の端子に接続され、他方では、前記共振キャパシタの前記第2の端子に接続された第2のスイッチと、
をさらに備え、
前記調整回路は、前記共振インダクタの前記第2の端子と、前記接地線との間の前記電圧が負になると、前記第2のスイッチ用の起動信号を発生させるように構成された電圧比較回路であって、かつ、前記第1のスイッチの前記閉成を制御する前記起動信号の前記発生に対応して前記第2のスイッチを開放するための信号を発生させるように構成された電圧比較回路を備えるDC電圧コンバータ。
【請求項2】
請求項1に記載のDC電圧コンバータであって、低域通過出力フィルタもまた備えるDC電圧コンバータ。
【請求項3】
請求項1に記載のDC電圧コンバータであって、前記調整回路が、過負荷から保護するための保護回路であって、前記第2のスイッチを流れる電流を測定するための電流測定回路を含む保護回路と、比較器回路であって、
-所定の制限電流信号の第1の入力、
-前記第2のスイッチを流れる前記電流を測定するための前記電流測定回路に接続された第2の入力、
を有する比較器回路と、を含み、
過負荷から保護するための前記保護回路が、前記制御回路の第2の入力に接続された出力をさらに有し、前記制御回路が、その出力上で、前記第1の入力と前記第2の入力との間の比較に応じて、信号を送達するように構成され、かつ、前記第2のスイッチを流れる前記電流を表す前記信号が、少なくとも前記所定の制限電流信号と等しい限り、前記第1のスイッチの前記開放を制御するように構成されている、DC電圧コンバータ。
【請求項4】
請求項3に記載のDC電圧コンバータであって、前記電流測定回路が、前記共振キャパシタの前記第2の端子と、前記接地線との間に接続された抵抗器を備えるDC電圧コンバータ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のDC電圧コンバータであって、前記第1のスイッチと並列に接続されたフライホイールダイオードであって、前記入力ポートの前記第1の端子に接続されたカソードを有するフライホイールダイオードを備えるとともに、前記第1のスイッチを通って流れる電流が前記フライホイールダイオードを流れるときに、前記第1のスイッチを開放するように前記所定の期間が選択される、DC電圧コンバータ。
【請求項6】
請求項1、3、4のいずれか一項に記載のDC電圧コンバータであって、動作の最大周波数を制限するために、所定の最小期間の間、前記制御回路が前記第1のスイッチを開放するように構成されているDC電圧コンバータ。
【請求項7】
請求項1、3、4のいずれか一項に記載のDC電圧コンバータであって、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが、100ns以下の、および好ましくは、10ns以下の切り換え時間を示すDC電圧コンバータ。
【請求項8】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが、GaN技術を用いて製造される、請求項7に記載のDC電圧コンバータ。
【請求項9】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが、フライホイールダイオードを備える請求項1に記載のDC電圧コンバータ。
【請求項10】
疑似共振バック型のDC電圧コンバータによって電圧を変換するための方法であって、前記DC電圧コンバータが、変換の対象となる電圧レベルを受け取るように意図された第1の端子を有する入力ポートと、変換後の電圧レベルを供給するように設計された第1の端子を有する出力ポートと、前記入力ポートの第2の端子を前記出力ポートの第2の端子に接続している接地線と、前記入力ポートの前記第1の端子に直列に接続された第1のスイッチと、前記DC電圧コンバータの前記出力ポートの前記第1の端子に接続された入力端子、および前記第1のスイッチの制御端子に接続された出力端子を有する調整回路と、を備え、
-前記第1のスイッチの閉成状態または開放状態に応じて、上昇または降下するリップル電圧を発生させるためのステップと、
-変換後の電圧の平均レベルと基準電圧との間の差に比例して設定信号を発生させるためのステップと、
-前記設定信号と、前記リップル電圧が加えられた前記変換後の電圧レベルとの間を比較するためのステップと、前記比較の結果に応じて、
-所定の期間の間、前記第1のスイッチの前記閉成を制御する起動信号を発生させるか、または発生させないためのステップと、
を含む方法であって、疑似共振バック型の前記DC電圧コンバータが、前記第1のスイッチと直列に接続された共振インダクタであって、第1の端子であって、前記第1のスイッチに接続されている前記第1の端子および第2の端子を有する共振インダクタと、第1の端子および第2の端子を有する共振キャパシタであって、前記共振キャパシタの前記第1の端子が、前記共振インダクタの前記第2の端子に接続されている共振キャパシタと、一方では、前記共振キャパシタの前記第1の端子に接続され、他方では、前記共振キャパシタの前記第2の端子に接続された第2のスイッチと、もまた備え、
-前記共振インダクタの前記第2の端子と前記接地線との間の前記電圧が、負になると、前記第2のスイッチを閉成するための信号を発生させるためのステップと、
-前記第1のスイッチの前記閉成を制御する前記起動信号の前記発生に対応して前記第2のスイッチを開放するための信号を発生させるためのステップと、
をさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、スイッチモード電源の分野である。より具体的には、本発明は、とりわけ、負荷点調整装置用途のための、疑似共振バック型の非絶縁DC/DC電圧コンバータに関する。DC電圧の変換は、携帯型コンピュータのバッテリによってプロセッサに送達される電圧の変換など、デバイスの電源電圧を変換する必要性から生じて、宇宙で使用する環境など、はるかにもっと重要な環境内で動作させる用途まで、多くの技術分野において用いられている。
【背景技術】
【0002】
概して言えば、出力におけるDC/DC電圧コンバータの機能は、下流側に位置するデバイスに供給するために、入力に存在する電圧を上昇させるか、または降下させるかのいずれかである。図1は、先行技術によるバック型コンバータを示す。このコンバータは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)型の2つの電圧制御されたスイッチQhsおよびQlsと、コンバータの出力電圧レベルVoutを、第1のスイッチQhsを流れる電流からの信号Mes.Iの関数として調整可能にする電流制御モードの調整回路と、を備える。この調整回路は、
-例えば、フリップフロップを有する、スイッチの開閉を制御可能にするような、プログラムされた論理回路、または有線の論理回路の形態を取り得る制御回路107と、
-コンバータの出力電圧レベルと基準電圧との間の差に比例して設定信号Iconsを発生させる誤差増幅器MEAと、
-第1のスイッチを流れる電流からの信号と、設定信号との比較を可能にする比較器Compと、
を備える。
【0003】
コンバータは、出力において、出力インダクタLoutおよび出力キャパシタCoutによって形成された、低域通過フィルタもまた備える。制御回路の入力に接続された発振器Oscにより、第1のスイッチを発振器のパルスの立ち上がりエッジで制御することが可能になっている。バック型コンバータは、その動作期間内に2つの別個の動作状態を含む。各動作状態は、第1のスイッチQhsの状態によって特徴付けされる。第1のスイッチQhsの閉成状態の間、「ON」と呼ばれる動作状態が得られ、一方、「OFF」と呼ばれる動作状態は、第1のスイッチの開放状態に相当する。
【0004】
発振器は、制御回路107の入力ONに接続され、第1のスイッチを閉成する指令HS_Cmdを発生させることによって、発振器のパルスの立ち上がりエッジで1つの動作期間をトリガすることが可能になっている。この閉成指令は、コンバータの「ON」動作状態を開始する。発振器は、アナログ回路によって、または共振器によって、もしくは水晶振動子によって実装することができ、コンバータの動作周波数を固定する。
【0005】
第1の位相(「ON」動作状態)では、第1のスイッチQhsは閉じている。電流は、出力インダクタを流れる電流の値に達するまで、急速に増加し、次に、電流は、この第1の位相の終了時に最大値に達するまで、速度を落として増加する。出力インダクタの電流は増加し、Qhsの電流と等しい。この位相全体の間、第2のスイッチQlsは開いている(開放する指令はスイッチQhsを閉成する直前に行われている)。Qhsを閉成する指令、およびQlsを開放する指令は、コンバータの動作周波数とともに増加する損失をともなって行われる。
【0006】
第2の位相(「OFF」動作状態)では、スイッチQhsは、開放する指令を受け取り、次に、スイッチQlsは、閉成する指令を受け取る。出力インダクタの電流は、Qlsの電流と等しく、かつ、低下している。Qhsを開放する指令、および、これより程度は少ないが、Qlsを閉成する指令は、損失をともなって行われ、コンバータの動作周波数とともに増加する。
【0007】
変換後の出力電圧の調整は、線形であり、2つの入れ子型制御ループを含む。第1のループは外部にあり、(例えば)その第1の入力に接続された基準電圧Vrefと、その第2の入力に接続された変換後の電圧レベルとの間の差の関数である電流像である設定信号Iconsの発生を可能にする誤差増幅器MEAで形成される。この第1のループは、変換後の電圧レベルの平均値を制御する。第2のループは内部にあり、その第1の入力が設定信号Iconsに与えられ、その第2の入力が、第1のスイッチを流れる電流像である信号Imesに与えられる比較器Compで形成されている。この第2のループにより、電流の最大値に対する制御が可能になっている。Qhsを開放する指令は、電流の像信号Mes.Iが像信号Iconsの値に達するときに生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この型のコンバータでは、リアクタンス素子は嵩が高い。
【0009】
リアクタンス素子のサイズ、したがってコンバータのサイズの縮小を目指した既知の解決策の1つは、スイッチの切り換え周波数を増大することにある。にもかかわらず、切り換え周波数のこの増大により、スイッチング損失が増大し、電磁的不適合の問題につながる。電圧レベルの調整速度は、この型のコンバータにとって重要な要因である。なぜなら、コンバータが課す電流需要(最新世代のデジタル負荷に対する高くて急激な需要)に関係なく、一定の電圧を負荷に送達可能にするからである。先行技術において実施されている調整の原理では、調整速度は、誤差増幅器の速度によって、および出力電圧を安定して制御するための安定性許容範囲の遵守によって制限されている。この安定性もまた、出力負荷の性質(ユーザの選択)によって影響を受ける場合がある。安定したシステムを有するためには、設計段階中に調整の最大速度が固定され、それは、ユーザにより決定された選択によって向上させること(例えば、出力キャパシタを追加すること)ができない。この種の調整は、出力キャパシタンスを増やすことによって補償する必要があり、コンバータのサイズを最小化することができないという妥協につながる。
【0010】
本発明は、出力電圧を大きくし過ぎる必要なく、リアクタンス構成要素を小型化し、出力でフィルタ処理解決策を追加することによって、ユーザが、動的性能特性をさらに向上させることができるようにするために、出力電圧の高速調整を得ることを目指すものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、出力電圧レベルの調整は、高速の動的挙動をこのように有する非線形回路によって行われる。この種の調整は、閉成した切り換え位相の継続時間が一定なCOT(Constant On Time(オン時間固定方式の)の略)トランジスタを有するコンバータに特に良く適している。この調整の要素の1つは、コンバータの出力電圧レベルでリップル電圧を加えることである。この追加のリップル電圧は、第1のスイッチの閉成状態または開放状態に応じて、上昇または降下し、電圧ノイズの存在、または負荷の性質に関係なく、安定した調整動作を保証する。高い動作周波数を可能にするトランジスタは、特に、GaN(窒化ガリウム)基板上のHEMTs(High Electron Mobility Transistors:高電子移動度トランジスタ)とすることができる。最後に、コンバータは、トランジスタを流れる電流が所定の臨界値に達すると、電荷を転送するための次の反復を停止可能にする、過負荷から保護するための回路を配置している。
【0012】
本発明の1つの主題は、疑似共振バック型のDC電圧コンバータであって、変換の対象となる電圧レベルを受け取るように意図された第1の端子を有する入力ポートと、
変換後の電圧レベルを供給するように設計された第1の端子を有する出力ポートと、前記入力ポートの第2の端子を前記出力ポートの第2の端子に接続している接地線と、入力ポートの前記第1の端子に直列に接続された第1のスイッチと、コンバータの出力ポートの前記第1の端子に接続された入力端子、および前記第1のスイッチの制御端子に接続された出力端子を有する調整回路と、を備え、前記調整回路が、
-前記第1のスイッチの閉成状態または開放状態に応じて、上昇または降下するリップル電圧を発生させるように構成され、
-変換後の電圧の平均レベルと基準電圧との間の差に比例して設定信号(Vcons)を発生させるように構成され、
-前記設定信号と、前記リップル電圧が加えられた前記変換後の電圧レベルとの間で第1の比較を実行するように構成され、かつ、
-前記第1の比較の結果に応じて、所定の期間の間、前記第1のスイッチの閉成を制御する起動信号をその出力上で発生させるか、または発生させないように構成されている、疑似共振バック型のDC電圧コンバータ。
【0013】
このような電圧コンバータの特定の実施形態によれば、
-前記調整回路は、前記起動信号を送達するように設計された出力を有する制御回路と、前記比較の前記結果を送達するように設計された出力であって、前記制御回路の第1の入力に接続されている前記出力を有する比較器回路と、をさらに備えることができる。
-前記調整回路は、前記リップル電圧が加えられた前記変換後の電圧レベルを送達するように構成された追加のリップル回路であって、前記コンバータの出力ポートの前記第1の端子に接続された第1の入力、前記制御回路の出力に接続された第2の入力、および前記比較器回路の第1の入力に接続された出力を有する追加のリップル回路と、前記設定信号を送達するように設計された誤差増幅器であって、前記コンバータの出力ポートの前記第1の端子に接続された第1の入力、前記基準電圧を受け取るように構成された第2の入力、および前記比較器回路の第2の入力に接続された出力を有する前記増幅器と、をさらに備えることができる。
-前記制御回路は、前記第1のスイッチの閉成または開放、前記追加のリップル回路の前記第2の入力上での、前記上昇または降下する電圧の発生、を制御するようにさらに構成されてもよい。
-前記コンバータは、前記第1のスイッチと直列に接続された共振インダクタであって、第1の端子であって、前記第1のスイッチに接続されている前記第1の端子および第2の端子を有する共振インダクタと、第1の端子および第2の端子を有する共振キャパシタであって、前記第1の端子が、共振インダクタの第2の端子に接続されている共振キャパシタと、一方では、共振キャパシタの前記第1の端子に接続され、他方では、共振キャパシタの前記第2の端子に接続された第2のスイッチと、をさらに備えることができる。
-前記コンバータは、低域通過出力フィルタを備えてもまたよい。
-前記調整回路は、過負荷から保護するための回路であって、前記第2のスイッチを流れる電流を測定するための回路を含む回路と、所定の制限電流信号の第1の入力、前記第2のスイッチを流れる電流を測定するための前記回路に接続された第2の入力、を有する比較器回路と、を含むことができ、過負荷から保護するための前記回路は、前記制御回路の第2の入力に接続された出力をさらに有し、前記制御回路は、その出力上で、前記第1の入力と前記第2の入力との間の比較に応じて、信号を送達するように構成され、かつ、前記第2のスイッチを流れる電流を表す前記信号が、少なくとも前記所定の制限電流信号と等しい限り、前記第1のスイッチの開放を制御するように構成されている。より具体的には、前記電流測定回路は、共振キャパシタの第2の端子と、前記接地線との間に接続された抵抗器を備えることができる。
-前記コンバータは、前記第1のスイッチに並列に接続されたフライホイールダイオードであって、第1のポートの第1の端子に接続されたカソードを有するフライホイールダイオードを備えてもまたよく、前記第1のスイッチを通って流れる電流が前記フライホイールダイオードを流れるときに、前記第1のスイッチを開放するように前記所定の期間が選択されている。
-前記制御回路は、所定の最小期間の間、前記第1のスイッチを開放するように構成することができる。
-前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、100ns以下の、および好ましくは、10ns以下の切り換え時間を示すことができる。より具体的には、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、GaN技術を用いて製造することができる。
【0014】
本発明の別の主題は、疑似共振バック型のDC電圧コンバータによって電圧を変換するための方法であって、この電圧コンバータは、変換の対象となる電圧レベルを受け取るように意図された第1の端子を有する入力ポートと、変換後の電圧レベルを供給するように設計された第1の端子を有する出力ポートと、前記入力ポートの第2の端子を前記出力ポートの第2の端子に接続している接地線と、入力ポートの前記第1の端子に直列に接続された第1のスイッチと、コンバータの出力ポートの前記第1の端子に接続された入力端子、および前記第1のスイッチの制御端子に接続された出力端子を有する調整回路と、を備えるとともに、
-前記第1のスイッチの閉成状態または開放状態に応じて、上昇または降下するリップル電圧を発生させるためのステップと、
-変換後の電圧の平均レベルと基準電圧との間の差に比例して設定信号を発生させるためのステップと、
-前記設定信号と、前記リップル電圧が加えられた前記変換後の電圧レベルとの間を比較するためのステップと、前記第1の比較の結果に応じて、
-所定の期間の間、前記第1のスイッチの閉成を制御する起動信号を発生させるか、または発生させないためのステップと、
を含む方法である。
【0015】
このような方法の1つの実施形態によれば、前記疑似共振バック型のDC電圧コンバータが、前記第1のスイッチと直列に接続された共振インダクタであって、第1の端子であって、前記第1のスイッチに接続されている前記第1の端子および第2の端子を有する共振インダクタと、第1の端子および第2の端子を有する共振キャパシタであって、前記第1の端子が、共振インダクタの第2の端子に接続されている共振キャパシタと、一方では、共振キャパシタの前記第1の端子に接続され、他方では、共振キャパシタの前記第2の端子に接続された第2のスイッチと、もまた備え、共振インダクタの第2の端子(MP)と接地線との間の電圧が、負になると、第2のスイッチを閉成するための信号を発生させるためのステップと、前記第1のスイッチの閉成を制御する起動信号の発生に対応して第2のスイッチを開放するための信号を発生させるためのステップと、をさらに含む方法。
【0016】
本発明は、以下の、非限定的な例として提示されている説明を読むことにより、また、添付の図面によって、より一層良く理解されるとともに、他の特徴および利点が、よりはっきりと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】既に説明した、先行技術によるバック型電圧コンバータの電気回路図を図示する。
図2】本発明の1つの実施形態による疑似共振バック型コンバータの電気回路図を図示する。
図3図2のコンバータのための追加のリップル回路の1つの実施形態を図示する。
図4図2のコンバータからの変換後の出力電圧を調整する原理の、タイミング図を図示する。
図5図2のコンバータを過負荷から保護する原理の、タイミング図を図示する。
図6】本発明の第2の実施形態による疑似共振バック型コンバータの電気回路図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明では、スイッチおよびトランジスタという用語は、相互に交換可能に使用される。同様に、コンバータの出力電圧は、Voutとして識別される場合もあれば、変換後の電圧レベルとして識別される場合もある。
【0019】
図2は、本発明の1つの実施形態による電圧バック型コンバータを図示する。この実施形態では、コンバータの「ON」位相だけが、事前に定義された一定の持続時間を有する。第1のスイッチQhsの閉成期間に相当する一定の持続時間は、ソフトスイッチング、言いかえれば、閉成と同時に、共振インダクタLrが直列に存在するためにゼロ電流で生じる切り換えを得て、開放と同時に、スイッチの電流が負であり、したがって、並列に位置したダイオードを流れるときに生じる切り換えを得るように計算される。コンバータは、変換の対象となる電圧レベルを受け取るように設計された入力ポート201と、変換後の電圧レベルを供給可能にする出力ポート206と、を有する。入力ポート201は、第1の端子202と、第2の端子203と、を備える。出力ポート206もまた、第1の端子204と、第2の端子205と、を備える。接地線は、第2の端子203と、第2の端子205との間に接続されている。第1の端子202と、第2の端子203との間に、コンバータの入力ポート201と並列に接続された、キャパシタCinにより、変換の対象となる電圧レベルのフィルタ処理が可能になる。HEMTによって形成された第1のスイッチQhsは、一方では、入力ポートの第1の端子202に直列に接続され、他方では、共振インダクタLrの第1の端子214に接続されている。1つの実施形態によれば、スイッチQhsは、カソードが端子202に接続されたフライホイールダイオードと並列に接続されている。1つの好適な実施形態によれば、HEMTは、GaN技術を用いる。GaNの選択は、様々な型の放射線に対する堅牢性、低接触抵抗性、および切り換え速度が高速であることで、ソフトスイッチングを有するシステムにおいて障害を生じないことにより妥当であるとされる。利点として、トランジスタにより、数nsから数十nsまでの、好ましくは、100ns以下、あるいは10nsまでの切り換え時間でさえもが可能になる。共振インダクタLrの第2の端子は、共振キャパシタCrの第1の端子および測定点MPに接続されている。第2のスイッチQlsは、共振キャパシタCrの第1の端子と、第2の端子との間に接続されている(1つの代替的な解決策は、キャパシタCrの第2の端子を接地に接続することにある)。1つの好適な実施形態によれば、カソードが測定点MPに接続されたフライホイールダイオードは、スイッチQlsと並列に接続されている。しかしながら、このダイオードの存在は絶対に必要なものではない。1つの実施形態によれば、抵抗器Rshにより、第2のスイッチQlsを流れる電流の測定が可能になる。抵抗器は、共振キャパシタCrの第2の端子と、接地線との間に接続されている。低域通過出力フィルタは、測定点MPと第1の端子204との間に接続されたインダクタLoutと、第1の端子204と第2の端子205との間に接続されたキャパシタCoutと、を含む。コンバータの出力ポートに接続された、追加のリップル回路Ond.Add.と、誤差増幅器MEAと、比較器210と、制御回路207と、を含む調整回路211により、
-第1のスイッチQhsの閉成状態には上昇し、第1のスイッチQhsの開放状態には降下する、リップル電圧を発生させることと、
-平均的な変換後の電圧レベルと、基準電圧Vrefとの間の差に比例して、設定信号を発生させることと、
-設定信号Vconsと、リップル電圧が加えられた変換後の電圧レベルとの間で第1の比較を行うことと、
-第1の比較の結果に応じて、図4に示されている所定の期間TONの間、前記第1のスイッチの閉成を制御するための起動信号をその出力上で発生させるか、または発生させないことと、が可能になる。より正確には、図2の実施形態では、起動信号は、設定電圧以下の、リップル電圧が加えられた変換後の電圧レベル用の第1のスイッチの閉成を制御する。
【0020】
追加のリップル回路Ond.Add.の第1の入力は、コンバータの出力ポート206の第1の端子204に接続されており、一方、第2の入力は、やはり第1のスイッチQhs用の起動信号を送達するように設計されている制御回路207の出力に接続されている。追加のリップル回路の電気回路図が図3に示されている。設定信号Vconsの発生を可能にする誤差増幅器MEAは、基準電圧Vrefに接続された第1の入力と、コンバータの出力ポート206の第1の端子204に接続された第2の入力と、を有する。第1の比較の実施を可能にする比較器210は、誤差増幅器MEAの出力に接続された第1の入力と、追加のリップル回路Ond.Add.の出力に接続された第2の入力と、を有する。制御回路207の第1の入力に接続された比較器210の出力は、変換後の電圧レベルおよびリップルの追加を表す信号の減少が、設定信号Vconsと等しくなると、第1のスイッチの閉成を制御する起動信号の発生を可能にする第1の比較の結果を表す2進信号を供給する。1つの実施形態では、制御回路207は、FPGA(Field Programmable Gate Array:書き替え可能ゲートアレイ)などのプログラム可能な回路である。この調整は、無条件に安定した制御モードで用いられる比較器に基づくため、非常に高速で出力電圧を制御することが可能になる。このように最大速度で調整することにより、優れた動的性能特性を有するコンバータを形成することが可能になる。静的調整性能は、完全に調整された平均出力電圧を得るために、比較器に適用された設定値を修正するMEAによって提供される。調整回路211の過負荷からの保護は、所定の電流制限信号Ilimの第1の入力と、第2のスイッチQlsを流れる電流を測定するための回路に接続された第2の入力と、を有する比較器212を含む。第1のスイッチQhsは、電流I QlsがIlimよりも高い限り、制御することができず、これにより、コンバータの最大出力電流を制限する。コンバータの最大出力電流は、実際には、値Ipic(Ilimよりも高い)に位置し、この値は、一定のTonによって決まる。図5は、過負荷からの保護の動作のタイミング図を示す。さらに、制御回路207は、過渡的な位相の間にコンバータの動作の最大周波数を制限可能にする所定の最小期間の間、第1のスイッチQhsを開放するように構成されている。
【0021】
図6は、本発明の第2の実施形態による疑似共振バック型コンバータの電気回路図を図示する。調整回路211は、共振インダクタの第2の端子MPと接地線との間の電圧が、負になると、第2のスイッチQls用の起動信号LS_cmdを発生させるように構成され、かつ、第1のスイッチQhsの閉成を制御する起動信号HS_cmdの発生に対応して第2のスイッチQlsを開放するための信号を発生させるように構成された電圧比較回路213を備える。このように制御回路207は、図2によって図示された実施形態に関して追加の入力MP_lowを備える。
【0022】
図3は、図2にOnd.Add.によって表されている追加のリップル回路の1つの特定の実施形態の電気回路図を示す。追加のリップル回路により、一方では、第1のスイッチQhsの閉成状態または開放状態に応じて、上昇または降下するリップル電圧を発生させることが可能になり、他方では、このように発生させたリップルを変換後の電圧レベルに加えることが可能になる。抵抗器Rs1およびRs2を備える分圧器は、変換後の出力電圧Voutと接地との間に接続されている。Rs2は、出力電圧Voutに接続されたその第1の入力を表す第1の端子と、Rs1の第1の端子に接続された第2の端子と、を有する。Rs1の第2の端子は接地に接続されている。分圧器の中間点は、比較器回路の第1の入力に接続された追加のリップル回路の出力を表す。2つのキャパシタCi1およびC2が、直列に接続されている。キャパシタCi1の第1の端子もまた、変換後の電圧出力Voutに接続されており、第2の端子は、一方では、キャパシタC2の第1の端子に、他方では、抵抗器Ri1の第1の端子に接続されている。Ri1の第2の端子は、制御回路の出力に接続されており、一方、C2の第2の端子もまた、分圧器の中間点に接続されている。
【0023】
別の実施形態では、追加のリップル回路は、制御回路とともに専用回路に組み込むことができる。
【0024】
図4は、変換後の電圧レベルVoutを調整し、これが実質的に一定であるようにする原理を図示するタイミング図を示す。変換後の電圧レベルが干渉ノイズを感知し過ぎることを回避するためには、変換後の電圧レベルの最大値と最小値との間に、最小限の変動差が必要である。信号Ond.は、第1のスイッチQhsの閉成状態または開放状態に応じて追加のリップル回路によって生じた、上昇または降下するリップル電圧を表す。リップルを発生させ、次に、図3に示されている回路によって変換後の電圧レベルに加える。変換後の電圧レベルにリップルOnd.を追加した結果が、信号Vout+Ond.で表されている。この信号は、Voutと等しいDC成分を含む第1のスイッチQhsの閉成状態または開放状態に応じて、上昇または降下する電圧を表す。時間401の前には、信号Vout+Ondは減少し、設定信号404と等しくなる。信号Vout+Ondと設定信号404との間がこのように等しいことにより、比較器の出力における信号Vlowの「高」状態への移行をもたらす。信号Vlowは、制御回路の第1の入力で、第1のスイッチの閉成を制御する起動信号HS_Cmdを発生させる制御回路の内部制御論理に送信される。起動信号HS_Cmdは、信号Vout+Ondがその間に増加する期間Tonにわたって「高」状態にとどまる。時間402において、HS_Cmdは、「低」状態になり、最大である信号Vout+Ondは、低減し始める。変換後の信号Vout+Ondは、第1のスイッチを起動するための新たな周期を開始する設定信号404と再び等しくなる時間403まで、減少する。
【0025】
図5は、図2の好適な実施形態による、過負荷からの保護を調整する原理を示すタイミング図を図示する。Voutのタイミング図は、変換後の電圧レベルを示す。時間501まで、過負荷からの保護に対する機能は有効ではない。これは、電流I Qlsが、許容限界値Ilimよりも小さいままであるからである。時間501において、電流I Qlsは、短時間の間、値Ilimに達し、これにより、短時間の間、I_highの「高」状態502へと切り換えられる。時間501におけるI QlsによるIlimの超過は、時間503においてHS_Cmdを伝導しないようにするには、振幅および時間が十分に広範ではない。他方、時間504においては、I Qlsによる電流Ilimの超過は、振幅および時間が広範にわたっている。これにより、時間505において、I_highを「高」状態へと移行させ、HS_Cmdを「高」状態へと移行させないようになる。時間506において、HS_Cmdが「低」状態であるために電荷の転送を受け取っていない変換後の電圧レベルVoutが減少し、これにより、V_lowの「高」状態への移行をもたらす。時間507において、電流I Qlsは十分に減少して、HS_Cmdの「高」状態への移行が可能になる。変換後の電圧レベルVoutは、依然として低すぎるので、V_lowは「高」状態にとどまる。時間507において、HS_Cmdの「高」状態に移行させるための別の指令が、有効にされる。出力過負荷が(時間509の前に)減少すると、電流が減少し、信号I_highが再びゼロまで低減し、出力電圧Voutは、時間509において基準レベルまで増加し、過負荷状態での動作期間の終了に相当するV lowの「低」状態への移行をもたらす。さらに、図2に示されている制御回路207は、
-測定点MPと接地線との間の電圧が負になると、これはQlsと並列のフライホイールダイオードの伝導が差し迫っていることの指標であるが、第2のスイッチQlsを閉成するように構成され、
-V lowが「高」状態になると、これは第1のスイッチQhsがおそらく閉成状態(「ON」)になっていることの指標であるが、第2のスイッチQlsを開放するように構成されている。
【0026】
1つの実施形態による電流測定回路は、ホール効果センサを備える。別の実施形態では、GaNトランジスタは、III-V材料で、および好ましくは、ワイドバンドギャップで開発されたトランジスタに置き換えられる。調整回路の機能はすべて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)などの専用回路に実装し、組み込むことができる。先行技術のコンバータは、典型的には約90%の効率を提供する。このようなレベルの性能では、効率の増進には多大な労力を要する。にもかかわらず、本発明の主題のコンバータは、95%の効率で性能特性の大幅な向上を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6