(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ワイヤおよびケーブル絶縁層ならびにジャケット層のための湿気硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 51/06 20060101AFI20221125BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20221125BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20221125BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20221125BHJP
C09D 151/06 20060101ALI20221125BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20221125BHJP
C09D 183/04 20060101ALI20221125BHJP
H01B 3/44 20060101ALI20221125BHJP
H01B 7/295 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
C08L51/06
C08K3/013
C08K3/36
C08L83/04
C09D151/06
C09D7/61
C09D183/04
H01B3/44 L
H01B7/295
(21)【出願番号】P 2020503293
(86)(22)【出願日】2018-07-31
(86)【国際出願番号】 US2018044496
(87)【国際公開番号】W WO2019027955
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-16
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】チャン、イーチー
(72)【発明者】
【氏名】ユイ、シンティー
(72)【発明者】
【氏名】チャウダリー、バァラァトゥ、アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィトゥッキー、ジェラルド、ローレンス
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-505332(JP,A)
【文献】特表2016-522306(JP,A)
【文献】特表2012-521485(JP,A)
【文献】特開平09-291116(JP,A)
【文献】特開平01-098655(JP,A)
【文献】特開平11-060748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
H01B 3/16- 3/56
H01B 7/295
C09D 1/00- 10/00
101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋性組成物であって、
(A)シラン官能基化ポリオレフィンと、
(B)充填剤であって、前記充填剤の総重量に基づいて、50重量%超のシリカを含み、前記シリカが、0.01μm~50μmの中央値粒子サイズ(D50)を有する、充填剤と、
(C)反応性直鎖状シリコーン含有ポリマー、非反応性直鎖状シリコーン含有ポリマー、および非反応性分岐状シリコーン含有ポリマーからなる群から選択される、4重量%~20重量%のシリコーン含有ポリマーと、
(D)前記架橋性組成物の総重量に基づいて、0.00重量%~20重量%のシラノール縮合触媒と、を含む、架橋性組成物。
【請求項2】
(A)架橋されたシラン官能基化ポリオレフィンと、
(B)充填剤であって、前記充填剤の総重量に基づいて50重量%超のシリカを含み、前記シリカが、0.01μm~50μmの中央値粒子サイズ(D50)を有する、充填剤と、
(C)反応性直鎖状シリコーン含有ポリマー、非反応性直鎖状シリコーン含有ポリマー、および非反応性分岐状シリコーン含有ポリマーからなる群から選択される、4重量%~20重量%のシリコーン含有ポリマーと、
(D)0.00重量%~20重量%のシラノール縮合触媒と、を含む、被覆導体のためのジャケット層。
【請求項3】
前記架橋されたシラン官能基化ポリオレフィンが、シラングラフト化エチレン系ポリマーである、請求項2に記載のジャケット層。
【請求項4】
前記充填剤が、前記充填剤の総重量に基づいて、90重量%超~100重量%のシリカを含む、請求項3に記載のジャケット層。
【請求項5】
前記充填剤が、シリカのみからなる、請求項4に記載のジャケット層。
【請求項6】
前記シリコーン含有ポリマーが、反応性直鎖状ポリシロキサンおよび非反応性直鎖状ポリシロキサンからなる群から選択される、請求項2に記載のジャケット層。
【請求項7】
前記ジャケット層の総重量に基づいて、
(A)前記架橋されたシラングラフト化ポリオレフィンが、架橋されたシラングラフト化ポリエチレンである、10重量%~80重量%の前記架橋されたシラン官能基化ポリオレフィンと、
(B)10重量%~80重量%の前記充填剤と、
(C)4重量%~20重量%の前記シリコーン含有ポリマーと、を含む、請求項3に記載のジャケット層。
【請求項8】
前記充填剤が、前記充填剤の総重量に基づいて、0重量%~0.5重量%の金属を含む、請求項2に記載のジャケット層。
【請求項9】
前記ジャケット層が、1.10~1.70の湿潤絶縁抵抗比を有する、請求項2に記載のジャケット層。
【請求項10】
前記ジャケット層が、水平燃焼試験に合格する、請求項9に記載のジャケット層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、湿気硬化性組成物に関する。一態様では、本開示は、高い湿潤電気絶縁抵抗および難燃性を有する湿気硬化性組成物に関する一方、別の態様では、本開示は、湿気硬化性組成物と、それを含む被覆導体と、を備える、ワイヤおよびケーブルのための絶縁層またはジャケット層に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
シラン官能基化ポリオレフィン(例えば、シラングラフト化ポリオレフィン)を含有する湿気硬化性組成物は、しばしば、ワイヤおよびケーブルのための被覆、かつ特に、絶縁層またはジャケット層を形成するために使用される。組成物の難燃性を改善するために、難燃性充填剤または充填剤の組み合わせが追加される。難燃性充填剤化合物は、概して、昇温時に分解して、熱を放出または吸収する。例えば、金属水和物およびその他のハロゲンを含まない難燃性充填剤は、高温に曝露されると、不活性ガスを放出し、吸熱分解反応を介してエネルギーを吸収する。しかしながら、昇温時に分解する、かかるハロゲンを含まない充填剤化合物を使用する難燃性組成物は、低い湿潤電気絶縁抵抗を有する傾向がある。
【0003】
シリカもまた、難燃性充填剤として考慮されている。しかしながら、シリカは吸熱分解反応を受けないため、シリカは、概して、少量しか使用されない。結果として、当該技術分野は、湿気硬化性組成物中の主要な難燃性充填剤としてシリカを使用する、難燃性組成物の必要性を認識している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、被覆導体のための絶縁またはジャケット層の架橋性組成物を提供する。一実施形態では、架橋性組成物は、(A)架橋されたシラン官能基化ポリオレフィンと、(B)充填剤であって、充填剤の総重量に基づいて、50重量%超のシリカを含む、充填剤と、(C)反応性直鎖状シリコーン含有ポリマー、非反応性直鎖状シリコーン含有ポリマー、および非反応性分岐状シリコーン含有ポリマーからなる群から選択される、シリコーン含有ポリマーと、(D)架橋性組成物の総重量に基づいて、0.00重量%~20重量%のシラノール縮合触媒と、を含む。
【0005】
別の実施形態では、本開示は、被覆導体のための絶縁またはジャケット層を提供する。一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、(A)架橋されたシラン官能基化ポリオレフィンと、(B)充填剤であって、充填剤の総重量に基づいて、50重量%超のシリカを含む、充填剤と、(C)反応性直鎖状シリコーン含有ポリマー、非反応性直鎖状シリコーン含有ポリマー、および非反応性分岐状シリコーン含有ポリマーからなる群から選択される、シリコーン含有ポリマーと、(D)絶縁層の総重量に基づいて、0.00重量%~20重量%のシラノール縮合触媒と、を含む。
【0006】
別の実施形態では、本開示は、被覆導体を提供する。一実施形態では、被覆導体は、導体と、導体上の被覆と、を備え、被覆は、(A)架橋されたシラン官能基化ポリオレフィン、(B)充填剤であって、充填剤の総重量に基づいて、50重量%超のシリカを含む、充填剤、(C)反応性直鎖状シリコーン含有ポリマー、非反応性直鎖状シリコーン含有ポリマー、および非反応性分岐状シリコーン含有ポリマーからなる群から選択される、シリコーン含有ポリマー、ならびに(D)被覆の総重量に基づいて、0.00重量%~20重量%のシラノール縮合触媒、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義および試験方法
元素周期表へのいかなる参照も、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この周期表の元素の族への参照は、族の番号付与の新しい表記法による。
【0008】
米国特許慣行の目的のため、いかなる参照される特許、特許出願、または刊行物の内容も、特に定義の開示(本開示に具体的に提供されるいかなる定義とも矛盾しない程度において)および当該技術分野の一般知識に関して、それらの全体が参照により組み込まれる(またはその米国版に相当するものが、参照により同様に組み込まれる)。
【0009】
本明細書に開示されている数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値のすべての値を含む。明確な数値(例えば、1もしくは2、または3~5、または6、または7)を含む範囲については、任意の2つの明確な数値間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)。
【0010】
相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、または当該技術分野で慣習的でない限り、すべての部およびパーセントは重量に基づき、すべての試験方法は本開示の出願日時点で最新のものであり、すべての試験方法は本開示の出願日時点で最新のものである。
【0011】
「アルキル」および「アルキル基」とは、飽和直鎖状、環状、または分岐状炭化水素基を指す。「アリール基」とは、単一の芳香族環、あるいは一緒に融合しているか、共有的に連結しているか、またはメチレンもしくはエチレン部分などの共通基に連結している複数の芳香族環であり得る、芳香族置換基を指す。芳香族環(複数可)としては、とりわけ、フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびビフェニルを挙げることができる。具体的な実施形態では、アリールは、1~200個の炭素原子、1~50個の炭素原子、または1~20個の炭素原子を有する。
【0012】
「アルファ-オレフィン」、「α-オレフィン」、および同様の用語は、炭化水素分子または置換炭化水素分子(すなわち、例えば、ハロゲン、酸素、窒素など、水素および炭素以外の1つ以上の原子を含む炭化水素分子)を指し、炭化水素分子は、(i)唯一のエチレン系不飽和であって、この不飽和が、第1の炭素原子と第2の炭素原子との間に位置する、唯一のエチレン系不飽和、ならびに(ii)少なくとも2個の炭素原子、好ましくは3~20個の炭素原子、場合によっては、好ましくは4~10個の炭素原子、および他の場合には、好ましくは4~8個の炭素原子、を含む。エラストマーが調製されるα-オレフィンの非限定的な例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ドデセン、およびこれらのモノマーのうちの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0013】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」および同様の用語は、2つ以上のポリマーの組成物を意味する。そのようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。このようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、およびドメイン構成を測定および/もしくは同定するために使用される任意の他の方法から決定されるような、1つ以上のドメイン構成を含んでも含まなくてもよい。ブレンドは、積層体ではないが、積層体の1つ以上の層がブレンドを含んでもよい。
【0014】
「カルボキシレート」とは、カルボン酸の塩またはエステルを指す。
【0015】
本明細書で使用する際、「組成物」は、組成物、ならびに組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物を含む材料の混合物を含む。
【0016】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、任意の追加の構成成分、工程、または手順の存在を、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、除外することを意図するものではない。曖昧さを避けるために、「含む(comprising)」という用語を使用して請求されるすべての組成物は、別途記載がない限り、任意の追加の添加剤、アジュバント、またはポリマー化合物であるか否かにかかわらず化合物を含んでもよい。対照的に、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、任意の他の構成成分、工程、または手順を除外する。「~からなる(consisting of)」という用語は、具体的に列挙されていない任意の構成成分、工程、または手順を除外する。「または」という用語は、別途記載がない限り、列挙されたメンバーを個々に、および任意の組み合わせで指す。単数形の使用には、複数形の使用が含まれ、またその逆も含まれる。
【0017】
「導体」は、任意の電圧(DC、AC、または過渡的)でエネルギーを伝達するための細長い形状の要素(ワイヤ、ケーブル、光学ファイバ)である。導体は、典型的に、少なくとも1本の金属ワイヤまたは少なくとも1本の金属ケーブル(アルミニウムまたは銅など)であるが、光学ファイバであってもよい。導体は、単一のケーブルでも、一緒に束ねられた複数のケーブル(すなわち、ケーブルコアまたはコア)でもよい。
【0018】
「架橋性」、「硬化性」、および同様の用語は、物品に成形される前または後のポリマーが、硬化も架橋もされておらず、実質的な架橋を誘発した処理に供されても曝露されてもいないが、ポリマーが、かかる処理(例えば、水への曝露)に供されるかまたは曝露されたときに実質的な架橋をもたらすであろう添加剤(複数可)または官能性を含むことを意味する。
【0019】
「架橋された」および同様の用語は、ポリマー組成物は、物品に成形される前または後に、90重量パーセント以下のキシレンまたはデカリン抽出性(extractable)(すなわち、10重量パーセント以上のゲル含有量)を有することを意味する。
【0020】
「硬化された」および同様の用語は、ポリマーが、物品に成形される前または後に、架橋を誘発した処理に供されたか曝露されたことを意味する。
【0021】
密度を、ASTM D792、方法Bに従って測定する。結果を、1立方センチメートル当たりのグラム(g)(g/ccまたはg/cm3)で記録する。
【0022】
動的粘度は、剪断流に対する流体の抵抗であり、Pa・s(パスカル秒)、mPa・s(ミリパスカル秒)、またはMPa・s(メガパスカル秒)で報告される。剪断粘度は、
【数1】
によって計算され、式中、ηは、パスカル秒で測定される剪断粘度であり、τは、パスカルで測定される剪断応力であり、
【数2】
は、毎秒測定される剪断速度である。本開示の目的のために、動的粘度は、ASTM D445に従って測定される。
【0023】
「エチレン/α-オレフィンポリマー」は、ポリマーの重量に基づいて過半量の重合エチレンと、1つ以上のα-オレフィンコモノマーと、を含有するポリマーである。
【0024】
「エチレン系ポリマー」、「エチレンポリマー」、または「ポリエチレン」は、ポリマーの重量に基づいて、50重量%以上または過半量の重合エチレンを含有するポリマーであり、任意に、1つ以上のコモノマーを含んでもよい。好適なコモノマーとしては、アルファ-オレフィンおよび不飽和エステルが挙げられるが、これらに限定されない。好適な不飽和エステルとしては、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、およびビニルカルボキシレートが挙げられる。アクリレートおよびメタクリレートの好適な非限定的な例としては、エチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、および2エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。ビニルカルボキシレートの好適な非限定的な例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオナート、およびビニルブタノアートが挙げられる。したがって、一般用語「エチレン系ポリマー」は、エチレンホモポリマーおよびエチレンインターポリマーを含む。「エチレン系ポリマー」および用語「ポリエチレン」は、互換可能に使用される。エチレン系ポリマー(ポリエチレン)の非限定的な例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状ポリエチレンが挙げられる。直鎖状ポリエチレンの非限定的な例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、多成分エチレン系コポリマー(EPE)、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(オレフィンブロックコポリマー(OBC)としても知られる)、シングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、実質的に直鎖状または直鎖状のプラストマー/エラストマー、中密度ポリエチレン(MDPE)、および高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。概して、ポリエチレンは、チーグラーナッタ触媒などの不均一系触媒システム、4族遷移金属およびメタロセン、非メタロセン金属中心、ヘテロアリール、ヘテロ原子アリールオキシエーテル、ホスフィンイミンなどの配位子構造を含む均一系触媒システムを用いて、気相流動床反応器、液相スラリープロセス反応器、または液相溶液プロセス反応器で製造することができる。不均一系触媒および/または均一系触媒の組み合わせもまた、単一反応器または二重反応器の構成のいずれかに使用することができる。ポリエチレンは、触媒なしで、高圧反応器内で製造することもできる。
【0025】
「官能基」および同様の用語は、特定の化合物に特徴的な反応を与えることに関与する原子の部分または群を指す。官能基の非限定的な例としては、ヘテロ原子含有部分、酸素含有部分(例えば、アルコール、アルデヒド、エステル、エーテル、ケトン、およびペルオキシド基)、ならびに窒素含有部分(例えば、アミド、アミン、アゾ、イミド、イミン、ニトレート、ニトリル、およびニトライト基)が挙げられる。
【0026】
水平燃焼試験は、UL-2556に従って管理される。試料(30ミルのポリマー層/壁厚を備える14AWG銅ワイヤ)の水平に対して20°の角度にバーナーを設定する。1回限りの炎を30秒間、検体の中間に適用する。綿が発火する(秒単位で報告される)か、炭の長さが100mmを超えると、試料は不合格である。
【0027】
「加水分解性シラン基」および同様の用語は、水と反応するシラン基を意味する。これらには、加水分解してシラノール基を生じさせることができ、次いで縮合してモノマーまたはポリマーを架橋することができる、モノマーまたはポリマー上のアルコキシシラン基が含まれる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。したがって、このインターポリマーという総称は、コポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0029】
動粘度は、流体の剪断粘度対密度の比であり、St(ストークス)またはcSt(センチストークス)で報告される。本明細書の目的のために、動粘度は、ASTM D445に従ってBrookfield社の粘度計を使用して、40℃で測定される。
【0030】
中央値粒子サイズ、またはD50は、粒子の50%がD50以下の直径を有し、粒子の50%がD50より大きい直径を有する粒子直径である。
【0031】
ポリエチレンに対するメルトインデックス(MI)測定は、以前は「条件E」として既知であり、またI2としても既知である、ASTM D1238、条件190℃/2.16キログラム(kg)重量に従って実行され、10分当たりの溶出グラム数で報告される。
【0032】
「金属」には、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、Fr、Ra、Ac、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、およびCn、ならびにランタニドおよびアクチニドを含む、元素周期表に金属として列挙されているすべての元素が含まれる。
【0033】
「金属を含まない」、「金属を含まない充填剤」、または「金属を含まない組成物」とは、0重量%、または0重量%超、または0.05重量%、または0.1重量%~0.15重量%未満、または0.2重量%未満、または0.3重量%未満、または0.4重量%未満、または0.5重量%未満の金属を含有する、充填剤または組成物である。
【0034】
「湿気硬化性」および同様の用語は、組成物が水に曝露されると硬化する、すなわち、架橋することを示す。湿気硬化は、硬化触媒(例えば、シラノール縮合触媒)、促進剤などの助けを借りても借りなくてもよい。
【0035】
「ポリマー」は、同じ種類であるか異なる種類であるかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物である。したがって、ポリマーという総称は、「ホモポリマー」(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下で、1種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すために用いられる)、および「インターポリマー」という用語を包含し、これはコポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを指すのに用いられる)、ターポリマー(3つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられる)、および3つより多くの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。例えば、触媒残渣などの微量の不純物が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれ得る。また、例えばランダム、ブロックなどのすべての形態のコポリマーも包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」および「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれ重合エチレンまたはプロピレンと、1つ以上の追加の重合性α-オレフィンコモノマーとから調製される、上に説明するコポリマーを示す。ポリマーはしばしば、1つ以上の特定のモノマー「から作製される」、特定のモノマーもしくはモノマーの種類「に基づく」、または特定のモノマー含有量「を含有する」などとして称されるものの、この文脈において、「モノマー」という用語は、非重合種ではなく、特定のモノマーの重合レムナントを指していることが理解されることに留意されたい。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものと称される。
【0036】
「ポリオレフィン」および同様の用語は、単純なオレフィンモノマー、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンなどから誘導されるポリマーを意味する。オレフィンモノマーは、置換または非置換であり得、置換である場合、置換基は多岐にわたり得る。
【0037】
「プロピレン系ポリマー」、「プロピレンポリマー」、または「ポリプロピレン」は、ポリマーの重量に基づいて、50重量%以上または過半量の重合エチレンを含有するポリマーであり、任意に、1つ以上のコモノマーを含んでもよい。したがって、一般用語「プロピレン系ポリマー」は、プロピレンホモポリマーおよびプロピレンインターポリマーを含む。
【0038】
「室温」とは、25℃+/-4℃を意味する。
【0039】
「シース」とは、総称であり、ケーブルに関して使用される場合、絶縁カバーまたは層、ジャケット層などを含む。
【0040】
比重は、標準の密度に対する物質の密度の比率である。液体の場合、標準は水である。比重は、無次元量であり、ASTM D1298に従って測定される。
【0041】
重量平均分子量(Mw)はポリマーの重量平均分子量として定義され、数平均分子量(Mn)はポリマーの数平均分子量として定義される。多分散性インデックスは、以下の技術に従って測定される。ポリマーは、140℃のシステム温度で操作される、3つの直鎖状混合床カラム(Polymer Laboratories(10ミクロンの粒子サイズ))を装備したWaters 150℃高温クロマトグラフィーユニットでのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって分析される。溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、それから試料の約0.5重量%溶液が注入のために調製される。流速は1.0ミリリットル/分(mm/分)であり、注入サイズは100マイクロリットル(μL)である。分子量の決定を、狭い分子量分布のポリスチレン標準(Polymer Laboratoriesから)をそれらの溶出量と組み合わせて使用することにより推測する。同等のポリエチレン分子量は、次の式を誘導するように、(参照により本明細書に組み込まれる、Journal of Polymer Science,Polymer Letters,Vol.6,(621)1968の中のWilliamsおよびWardによって記載される)ポリエチレンおよびポリスチレンのための適切なMark-Houwink係数を使用することによって決定される。
Mポリエチレン=(a)(Mポリスチレン)bを誘導することによって決定される。
この式において、a=0.4316であり、b=1.0である。
【0042】
重量平均分子量Mwは、式:
Mw=Ε(wi)(Mi)
に従って、通常の様式で計算され、式中、wiおよびMiは、それぞれ、GPCカラムから溶出するi番目の画分の重量画分および分子量である。一般に、エチレンポリマーのMwは、42,000~64,000、好ましくは44,000~61,000、より好ましくは46,000~55,000の範囲である。
【0043】
湿潤絶縁抵抗(IR)は、典型的には、10ft(3.048メートル)の長さのワイヤが90℃の電気水浴中に浸漬された、コイル状の湿気硬化性被覆導体(30ミルのポリマー層/壁厚を備える14AWG銅ワイヤ)に対して行われる。水が一方の電極であり、ワイヤ導体が他方の電極であるような様式で、ワイヤをメガオームメーターに接続する。そのようにして、絶縁層の直流(DC)電気抵抗を、500Vが印加された状態で測定する。試料を600Vの交流(AC)下で寝かせながら、初期測定を水浸の6~24時間後に行い、すべての後続の測定を、典型的には、最大12週間の期間にわたって7日の頻度で行う。10~12週間前に、10ftの長さのワイヤで測定された平均抵抗が1000Mオーム未満である場合、検体は、試験に不合格であったとみなされ、「不合格」とラベル付けされる。10~12週前に、1000Mオームよりも高い抵抗を示す検体の場合、湿潤絶縁抵抗比は、10~12週中に記録された平均IRを6~8週中に記録された平均IRで除算することにより算出される。
【0044】
「ワイヤ」は、単一撚線の伝導性金属、例えば、銅もしくはアルミニウムまたは単一撚線の光学ファイバである。
【0045】
詳細な説明
一実施形態では、本開示は、被覆導体のためのジャケット層として使用するための架橋性組成物を提供する。本明細書で使用される場合、「ジャケット層」は、絶縁層を包含する。一実施形態では、ジャケット層は、絶縁層である。
【0046】
一実施形態では、本開示は、被覆導体のための絶縁またはジャケット層の架橋性組成物であって、架橋性組成物が、(A)シラン官能基化ポリオレフィンと、(B)充填剤であって、充填剤の総重量に基づいて、50重量%超のシリカを含む、充填剤と、(C)シリコーン含有ポリマーと、(D)架橋性組成物の総重量に基づいて、0.00重量%~20重量%のシラノール縮合触媒と、を含む、架橋性組成物を提供する。
【0047】
一実施形態では、本開示は、(A)架橋されたシラン官能基化ポリオレフィンと、(B)充填剤であって、充填剤の総重量に基づいて、50重量%超のシリカを含む、充填剤と、(C)シリコーン含有ポリマーと、(D)絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、0.00重量%~20重量%のシラノール縮合触媒と、を含む、被覆導体のための絶縁またはジャケット層を提供する。
【0048】
(A)シラン官能基化ポリオレフィン
架橋性組成物は、シラン官能基化ポリオレフィンを含む。
【0049】
一実施形態では、シラン官能基化ポリオレフィンは、シラン官能基化ポリオレフィンの総重量に基づいて、0.1重量%、または0.3重量%、または0.5重量%、または0.8重量%、または1.0重量%、または1.2重量%、または1.5重量%~1.8重量%、または2.0重量%、または2.3重量%、または2.5重量%、または3.0重量%、または3.5重量%、または4.0重量%、または4.5重量%、または5.0重量%のシランを含有する。
【0050】
一実施形態では、シラン官能基化ポリオレフィンは、ASTM D-792によって測定した場合、0.850g/cc、または0.860g/cc、または0.875g/cc、または0.890g/cc~0.900g/cc、または0.910g/cc、または0.915g/cc、または0.920g/cc、または0.930g/cc、または0.940g/cc、または0.950g/cc、または0.960g/cc、または0.965g/ccの密度を有する。
【0051】
一実施形態において、シラン官能基化ポリオレフィンは、アルファ-オレフィン/シランコポリマーまたはシラングラフト化ポリオレフィン(Si-g-PO)である。
【0052】
アルファ-オレフィン/シランコポリマーは、アルファ-オレフィン(エチレンなど)と加水分解性シランモノマー(ビニルシランモノマーなど)との共重合によって形成される。一実施形態では、エチレン/シランコポリマー中のアルファ-オレフィン/シランコポリマーは、エチレンと、加水分解性シランモノマーと、任意に、不飽和エステルとの共重合によって調製される。エチレン/シランコポリマーの調製は、例えば、USP3,225,018およびUSP4,574,133に記載されており、各々が参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
シラングラフト化ポリオレフィン(Si-g-PO)は、加水分解性シランモノマー(ビニルシランモノマーなど)をベースポリオレフィン(ポリエチレンなど)の主鎖にグラフト化することによって形成される。一実施形態では、グラフト化は、ペルオキシドなどのフリーラジカル発生剤の存在下で行われる。加水分解性シランモノマーは、最終物品を形成するように、Si-g-POを最終物品に組み込むか、もしくは配合する前に、または組成物の押出と同時に、ベースポリオレフィンの主鎖にグラフト化され得る。例えば、一実施形態では、Si-g-POは、Si-g-POが(B)充填剤、(C)シリコーン含有ポリマー、(D)シラノール縮合触媒、および他の任意の構成成分と配合される前に、形成される。別の実施形態では、Si-g-POは、ポリオレフィン、加水分解性シランモノマーを配合し、(B)充填剤、(C)シリコーン含有ポリマー、(D)シラノール縮合触媒、と共に触媒/助剤を配合することにより形成され、および他の任意の構成成分と共に触媒/助剤をドラフト化(drafting)することによって形成される。
【0054】
Si-g-POのベースポリオレフィンは、エチレン系またはプロピレン系のポリマーであり得る。一実施形態では、ベースポリオレフィンは、エチレン系ポリマーであり、シラングラフト化エチレン系ポリマー(Si-g-PE)をもたらす。好適なエチレン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレンホモポリマー、ならびに不飽和エステルおよび/またはアルファ-オレフィンなどの1つ以上の重合性コモノマーを含有するエチレンインターポリマーが挙げられる。
【0055】
アルファ-オレフィン/シランコポリマーまたはSi-g-POを作製するために使用される加水分解性シランモノマーは、アルファ-オレフィン(例えば、エチレン)と効果的に共重合して、アルファ-オレフィン/シランコポリマー(例えば、エチレン/シランコポリマー)を形成するか、またはアルファ-オレフィンポリマー(例えば、ポリオレフィン)にグラフト化および架橋させて、Si-g-POを形成するであろう、シラン含有モノマーである。例示的な加水分解性シランモノマーは、以下の構造を有するものである。
【化1】
式中、R
’は、水素原子またはメチル基であり、xおよびyは、0または1であるが、但し、xが1であるとき、yが1であることを条件とし、nは、1~12を含む、好ましくは1~4の整数であり、各
’’は独立して、1~12個の炭素原子を有するアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アラルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ)、1~12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロパノイルオキシ)、アミノもしくは置換アミノ基(アルキルアミノ、アリールアミノ)、または1~6個を含む炭素原子を有する低級アルキル基などの加水分解性有機基であるが、但し、3つのR
’’基のうちの1つ以下がアルキルであることを条件とする。
【0056】
好適な加水分解性シランモノマーの非限定的な例としては、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニル、またはガンマ-(メタ)アクリルオキシアリル基などのエチレン性不飽和ヒドロカルビル基、および例えば、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルボニルオキシ、またはヒドロカルビルアミノ基などの加水分解性基を有する、シランが挙げられる。加水分解性基の例としては、メトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロプリオニルオキシ、およびアルキルまたはアリールアミノ基が挙げられる。
【0057】
一実施形態では、加水分解性シランモノマーは、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ガンマ-(メタ)アクリルオキシ、プロピルトリメトキシシラン、およびこれらのシランの混合物などの不飽和アルコキシシランである。
【0058】
アルファ-オレフィン/シランコポリマーを作製するために使用される好適な不飽和エステルの非限定的な例としては、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、またはビニルカルボキシレートが挙げられる。好適なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチルなどが挙げられる。一実施形態では、アルキル基は、1個、または2~4個、または8個の炭素原子を有する。好適なアルキルアクリレートの非限定的な例としては、エチルアクリレート、メチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、および2-エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。好適なアルキルメタクリレートの非限定的な例としては、メチルメタクリレートおよびn-ブチルメタクリレートが挙げられる。一実施形態では、カルボキシレート基は、2~5個、または6個、または8個の炭素原子を有する。好適なビニルカルボキシレートの非限定的な例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオナート、およびビニルブタノアートが挙げられる。
【0059】
一実施形態では、シラン官能基化ポリオレフィンは、シラン官能基化ポリエチレンである。「シラン官能基化ポリエチレン」は、シランと、ポリマーの総重量に基づいて50重量%以上、または過半量の重合エチレンとを含有するポリマーである。
【0060】
一実施形態では、シラン官能基化ポリエチレンは、シラン官能基化ポリエチレンの総重量に基づいて、(i)50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%、または95重量%~97重量%、または98重量%、または99重量%、または100重量%未満のエチレンと、(ii)0.1重量%、または0.3重量%、または0.5重量%、または0.8重量%、または1.0重量%、または1.2重量%、または1.5重量%~1.8重量%、または2.0重量%、または2.3重量%、または2.5重量%、または3.0重量%、または3.5重量%、または4.0重量%、または4.5重量%、または5.0重量%のシランと、を含有する。
【0061】
一実施形態では、シラン官能基化ポリエチレンは、ASTM D1238(190℃/2.16kg)に従って測定される、0.1g/10分、または0.5g/10分、または1.0g/10分、または2g/10分、または3g/10分、または5g/10分、または8g/10分、または10g/10分、または15g/10分、または20g/10分、または25g/10分、または30g/10分~40g/10分、または45g/10分、または50g/10分、または55g/10分、または60g/10分、または65g/10分、または70g/10分、または75g/10分、または80g/10分、または85g/10分、または90g/10分のメルトインデックス(MI)を有する。
【0062】
一実施形態では、シラン官能基化ポリエチレンは、エチレン/シランコポリマーである。
【0063】
一実施形態では、エチレン/シランコポリマーは、エチレンおよび加水分解性シランモノマーを唯一のモノマー単位として含有する。
【0064】
一実施形態では、エチレン/シランコポリマーは、任意に、C3、またはC4~C6、またはC8、またはC10、またはC12、またはC16、またはC18、またはC20のα-オレフィン、不飽和エステル、およびそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、エチレン/シランコポリマーは、エチレン/不飽和エステル/シラン反応器コポリマーである。
【0065】
好適なエチレン/シランコポリマーの非限定的な例としては、各々がミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから入手可能なSI-LINK(商標)DFDA-5451 NTおよびSI-LINK(商標)AC DFDB-5451 NTが挙げられる。
【0066】
エチレン/シラン反応器コポリマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0067】
一実施形態では、シラン官能基化ポリエチレンは、Si-g-PEである。
Si-g-PEのベースエチレン系ポリマーは、ベースエチレン系ポリマーの総重量に基づいて、50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%、または95重量%~97重量%、または98重量%、または99重量%、または100重量%のエチレンを含む。
【0068】
一実施形態では、Si-g-PEのベースエチレン系ポリマーは、ASTM D-792によって測定した場合、0.850g/cc、または0.860g/cc、または0.875g/cc、または0.890g/cc~0.900g/cc、または0.910g/cc、または0.915g/cc、または0.920g/cc、または0.930g/cc、または0.940g/cc、または0.950g/cc、または0.960g/cc、または0.965g/ccの密度を有する。
【0069】
一実施形態では、Si-g-PEのベースエチレン系ポリマーは、ASTM D1238(190℃/2.16kg)に従って測定される、0.1g/10分、または0.5g/10分、または1.0g/10分、または2g/10分、または3g/10分、または5g/10分、または8g/10分、または10g/10分、または15g/10分、または20g/10分、または25g/10分、または30g/10分~40g/10分、または45g/10分、または50g/10分、または55g/10分、または60g/10分、または65g/10分、または70g/10分、または75g/10分、または80g/10分、または85g/10分、または90g/10分のメルトインデックス(MI)を有する。
【0070】
一実施形態では、Si-g-PEのベースエチレン系ポリマーは、均一なポリマーである。均一なエチレン系ポリマーは、1.5~3.5の範囲の多分散性インデックス(Mw/MnまたはMWD)、および本質的に一様なコモノマー分布を有し、示差走査熱量測定(DSC)によって測定した場合、単一で比較的低い融点によって特徴付けられる。実質的に直鎖状エチレンコポリマー(SLEP)は、均一なエチレン系ポリマーである。
【0071】
本明細書で使用される場合、「実質的に直鎖状」とは、バルクポリマーが平均で、合計1000個の炭素(主鎖および分枝炭素の両方を含む)当たり約0.01個の長鎖分枝、または合計1000個の炭素(主鎖および分枝炭素の両方を含む)当たり約0.05個の長鎖分枝、または合計1000個の炭素(主鎖および分枝炭素の両方を含む)当たり約0.3個の長鎖分枝から、合計1000個の炭素(主鎖および分枝炭素の両方を含む)当たり約1個の長鎖分枝、または合計1000個の炭素(主鎖および分枝炭素の両方を含む)当たり約3個の長鎖分枝で置換されていることを意味する。
【0072】
「長鎖分岐」または「長鎖分岐状」(LCB)とは、コモノマー中の炭素の数よりも少なくとも1つ少ない炭素の鎖長を意味する。例えば、エチレン/1-オクテンSLEPは、少なくとも7個の炭素の長さの長鎖分岐を備える主鎖を有し、エチレン/1-ヘキセンSLEPは、少なくとも5個の炭素の長さの長鎖分岐を有する。LCBは、13C核磁気共鳴(NMR)分光法を使用することによって、制限された程度まで、識別することができ、例えば、エチレンホモポリマーの場合、Randallの方法(Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29(2&3).p.285-297)を使用して定量化することができる。USP4,500,648は、LCB頻度が式LCB=b/Mwによって表され得ることを教示しており、式中、bは、分子当たりのLCBの重量平均数であり、Mwは、重量平均分子量である。分子量平均およびLCB特性は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)および固有粘度法によって決定される。
【0073】
SLEPおよびそれらの調製方法は、USP5,741,858およびUSP5,986,028においてより十分に記載されている。
【0074】
一実施形態では、Si-g-PEのベースエチレン系ポリマーは、エチレン/不飽和エステルコポリマーである。不飽和エステルは、エチルアクリレートなどの、本明細書に開示されている任意の不飽和エステルであり得る。一実施形態では、Si-g-PEのベースエチレン系ポリマーは、エチレン/エチルアクリレート(EEA)コポリマーである。
【0075】
一実施形態では、Si-g-PEのベースエチレン系ポリマーは、エチレン/α-オレフィンコポリマーである。α-オレフィンは、3、または4~6、または8、または10、または12、または16、または18、または20個の炭素原子を含む。好適なα-オレフィンの非限定的な例としては、プロピレン、ブテン、ヘキセン、およびオクテンが挙げられる。一実施形態では、エチレン系コポリマーは、エチレン/オクテンコポリマーである。エチレン系コポリマーがエチレン/α-オレフィンコポリマーである場合、Si-g-POは、シラングラフト化エチレン/α-オレフィンコポリマーである。
【0076】
Si-g-PEのベースエチレン系ポリマーとして有用な好適なエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーの非限定的な例としては、Dow Chemical Companyから入手可能なENGAGE(商標)およびINFUSE(商標)樹脂が挙げられる。
【0077】
一実施形態では、シラン官能基化ポリオレフィンは、以下の特性の一方または両方を有するシラングラフト化エチレン/C4-C8アルファ-オレフィンポリマーである。
(i)0.850g/cc、または0.860g/cc、または0.875g/cc、または0.890g/cc~0.900g/cc、または0.910g/cc、または0.915g/cc、または0.920g/cc、または0.925g/cc、または0.930g/cc、または0.935g/ccの密度、および
(ii)0.1g/10分、または0.5g/10分、または1.0g/10分、または2g/10分、または5g/10分、または8g/10分、または10g/10分、または15g/10分、または20g/10分、または25g/10分、または30g/10分~30g/10分、または35g/10分、または45g/10分、または50g/10分、または55g/10分、または60g/10分、または65g/10分、または70g/10分、または75g/10分、または80g/10分、または85g/10分、または90g/10分のメルトインデックス。一実施形態では、シラングラフト化エチレン系ポリマーは、特性(i)および(ii)の両方を有する。
【0078】
シラン官能基化ポリオレフィンは、架橋性組成物の総重量に基づいて、10重量%、または20重量%、または30重量%、または40重量%、または50重量%~60重量%、または80重量%、または90重量%、または95重量%の量で存在する。
【0079】
シラン官能基化ポリオレフィンのブレンドを使用することもでき、シラン官能基化ポリオレフィン(複数可)を、ポリマーが(i)互いに混和性または相溶性になる程度まで、および(ii)シラン官能基化ポリオレフィン(複数可)が、70重量%、または75重量%、または80重量%、または85重量%、または90重量%、または95重量%、または98重量%、または99重量%~100重量%未満のブレンドを構成する程度まで、1つ以上の他のポリマーで希釈することができる。
【0080】
シラン官能基化ポリオレフィンは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0081】
(B)充填剤
架橋性組成物は、充填剤を含み、充填剤は、充填剤の総重量に基づいて、50重量%超のシリカ(二酸化ケイ素(SiO2))を含む。
【0082】
シリカは、天然シリカであっても、合成シリカであってもよい。合成シリカは、ヒュームドシリカ、電気アークシリカ、融合シリカ、シリカゲル、および沈降性シリカを含む。
【0083】
一実施形態では、シリカは、0.01μm、または0.1μm、または0.5μm、または1.0μm、または5.0μm、または10.0μm~20.0μm、または25.0μm、または30.0μm、または35.0μm、または40.0μm、または45.0μm、または50.0μmの中央値粒子サイズ(D50)を有する。
【0084】
シリカは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0085】
シリカが唯一の充填剤であっても、充填剤が1つ以上の追加の充填剤を含んでもよい。一実施形態では、充填剤は、シリカと組み合わせた1つ以上の追加のまたは二次充填剤を含む。好適な二次充填剤の非限定的な例としては、酸化アルミニウム(アルミナ、Al2O3)、酸化チタン(チタニア、TiO2)、炭化ケイ素(SiC)、ガラス粒子、ガラスビーズ、プラスチックグリッツ、石英、石炭フライアッシュ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、金属酸化物、無機材料、天然材料、アルミナ三水和物、アルミナシリケート、水酸化マグネシウム、ボーキサイト、タルク、マイカ、重晶石、カオリン、ポストコンシューマーガラス、ポスト工業用ガラス、合成および天然繊維、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0086】
一実施形態では、充填剤は、充填剤の総重量に基づいて、50重量%超、または60重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%、または95重量%、または96重量%、または97重量%、または98重量%~99重量%、または99.1重量%、または99.2重量%、または99.3重量%、または99.4重量%、または99.5重量%、または99.6重量%、または99.7重量%、または99.8重量%、または99.9重量%、または100重量%未満、または100重量%のシリカを含む。
【0087】
一実施形態では、シリカが唯一の充填剤である。唯一の充填剤として、シリカは、いかなる他の充填剤も除いた充填剤である。さらなる実施形態では、シリカは、以下の充填剤、酸化アルミニウム(アルミナ、Al2O3)、酸化チタン(チタニア、TiO2)、炭化ケイ素(SiC)、ガラス粒子、ガラスビーズ、プラスチックグリッツ、石英、石炭フライアッシュ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、金属酸化物、無機材料、天然材料、アルミナ三水和物、アルミナシリケート、水酸化マグネシウム、ボーキサイト、タルク、マイカ、重晶石、カオリン、ポストコンシューマーガラス、ポスト工業用ガラス、ならびに合成および天然繊維、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを除く、絶縁またはジャケット層中の唯一の充填剤である。
【0088】
一実施形態では、シリカが唯一の充填剤であり、充填剤は金属を含まない。金属を含まない充填剤は、充填剤の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.05重量%、または0.1重量%~0.15重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%の金属を含有する。本明細書で使用される場合、「金属」には、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、Fr、Ra、Ac、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、およびCn、ならびにランタニドおよびアクチニドを含む、元素周期表に金属として列挙されているすべての元素が含まれる。
【0089】
一実施形態では、充填剤は、本明細書に記載される2つ以上の充填剤のブレンドである。
【0090】
一実施形態では、充填剤または2つ以上の充填剤のブレンドは、架橋性組成物の総重量に基づいて、10重量%、または20重量%、または40重量%~50重量%、または60重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%の量で存在する。
【0091】
充填剤は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0092】
(C)シリコーン含有ポリマー
絶縁またはジャケット層は、反応性直鎖状シリコーン含有ポリマー、非反応性直鎖状シリコーン含有ポリマー、および/または非反応性分岐状シリコーン含有ポリマーから選択されるシリコーン含有ポリマーを含む。一実施形態では、シリコーン含有ポリマーは、反応性直鎖状シリコーン含有ポリマーまたは非反応性直鎖状シリコーン含有ポリマーである。
【0093】
シリコーン含有ポリマーは、25℃で、0.95g/cc、または0.96g/cc、または0.97g/cc~0.98g/cc、または0.99g/cc、または1.00g/ccの密度を有する。
【0094】
室温で液体の場合、シリコーン含有ポリマーは、25℃で、1cSt、または50cSt、または100cSt、または500cSt、または1,000cSt、または5,000cSt、または10,000cSt~15,000cSt、または25,000cSt、または50,000cSt、または75,000cSt、または1,000,000cSt、または5,000,000cStの動粘度を有する。
【0095】
一実施形態では、シリコーン含有ポリマーは、反応性直鎖状シリコーン含有ポリマーまたは非反応性直鎖状シリコーン含有ポリマーである。
【0096】
一実施形態では、シリコーン含有ポリマーは、ポリシロキサンである。ポリシロキサンは、一般構造(I)を有するポリマーである。
【化2】
式中、R
2およびR
3は各々、水素またはアルキル基であるが、但し、シリコーン含有ポリマーが直鎖状ポリシロキサンである場合、R
2およびR
3は両方ともHまたはメチル基でなければならないことを条件とする。
【0097】
一実施形態では、ポリシロキサンは、一般構造Iを有する直鎖状ポリシロキサンであり、式中、R2およびR3は独立して、Hまたはメチル基である。一実施形態では、ポリシロキサンは、一般構造Iを有する直鎖状ポリシロキサンであり、式中、R2およびR3は各々、メチル基である。
【0098】
一実施形態では、直鎖状ポリシロキサンは、反応性であっても、非反応性であってもよい。反応性直鎖状ポリシロキサンは、少なくとも1つの末端官能基、すなわち、ポリマーの末端の官能基を含む。好適な官能基の非限定的な例としては、ヒドロキシシロキシ基またはアルコキシシロキシ基など、加水分解または縮合反応のいずれかを経ることがある基が挙げられる。非反応性直鎖状ポリシロキサンは、末端アルキル基または芳香族基を有する。
【0099】
好適な直鎖状ポリシロキサンの非限定的な例としては、直鎖状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、直鎖状ポリ(エチル-メチルシロキサン)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。非反応性直鎖状ポリシロキサンの非限定的な例は、Dow Corningから入手可能な、末端-Si(CH3)3基を有するポリジメチルシロキサンポリマーのPMX-200である。反応性直鎖状ポリシロキサンの非限定的な例は、Dow Corningから入手可能な、末端シラノール(例えば、-Si(CH3)2OH)官能性を有するポリジメチルシロキサンポリマーのXIAMETER(登録商標)OHX-4000である。
【0100】
一実施形態では、ポリシロキサンは、一般構造(II)を有する分岐状ポリシロキサンである。
【化3】
式中、xは、0または1であり、各Rは独立して、1つ以上の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基であり、Aは、架橋単位のモル比であり、0より大きく、Bは、直鎖状単位のモル比であり、0より大きく、A+Bは、1.00に等しい。上記の構造IIでは、各「くさび結合」または
【化4】
は、別のポリシロキサン鎖中のSiへの結合を示す。
【0101】
一実施形態では、A:Bの比は、1:99、または5:95、または25:75~95:5、または97:3、または99:1である。
【0102】
一実施形態では、分岐状ポリシロキサンは、直鎖状単位のブロックおよび架橋単位のブロックを有するブロックポリシロキサン、または異なる構造の天然分布を有する架橋単位および直鎖状単位のランダムな平衡分布を有するランダムなポリシロキサンである。
【0103】
分岐状ポリシロキサンは、非反応性分岐状ポリシロキサンである。
【0104】
一実施形態では、シリコーン含有ポリマーは、本明細書に記載される2つ以上のシリコーン含有ポリマーの混合物である。2つ以上のシリコーン含有ポリマーの混合物は、0重量%、または5重量%、または10重量%、または20重量%、または30重量%、または40重量%~50重量%、または60重量%、または70重量%、または75重量%、または80重量%、または85重量%、または90重量%、または95重量%の直鎖状ポリシロキサンからなり、これは、(i)反応性であるか、(ii)非反応性であるか、または(iii)反応性直鎖状ポリシロキサンおよび非反応性直鎖状ポリシロキサン、ならびに10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または40重量%、または50重量%~60重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%、または95重量%、または100重量%の非反応性分岐状ポリシロキサンの両方のブレンドである。
【0105】
一実施形態では、シリコーン含有ポリマーまたはシリコーン含有ポリマーのブレンドは、架橋性組成物の総重量に基づいて、2重量%超、または3重量%、または4重量%、または4.25重量%、または4.5重量%、または4.75重量%~5重量%、または5.5重量、または6重量%、または7重量%、または8重量%、または9重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%の量で存在する。
【0106】
シリコーン含有ポリマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0107】
(D)シラノール縮合触媒
一実施形態では、組成物は、ルイス酸およびブレンステッド酸および塩基などのシラノール縮合触媒を含む。「シラノール縮合触媒」は、シラノール官能基化ポリオレフィンの架橋を促進する。ルイス酸は、ルイス塩基からの電子対を受け入れることができる化学種である。ルイス塩基は、電子対をルイス酸に供与することができる化学種である。好適なルイス酸の非限定的な例としては、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジメチルヒドロキシスズオレエート、ジオクチルスズマレエート、ジ-n-ブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、第一スズアセテート、第一スズオクトエート、ならびにナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、およびナフテン酸コバルトなどの様々な他の有機金属化合物が挙げられる。好適なルイス塩基の非限定的な例としては、一級、二級、および三級アミンが挙げられる。「シラノール縮合触媒は、典型的には、湿気硬化用途に使用される。
【0108】
シラノール縮合触媒は、ケーブル製造加工中に架橋性組成物に添加される。このように、シラノール官能基化ポリオレフィンは、押出機を出る前になんらかの架橋を経験し、押出機を出た後、保管、輸送、または使用されている環境中に存在する湿度に曝露されると、架橋を完了し得るが、架橋の大部分は、最終組成物が湿気(例えば、サウナ浴または冷却浴)に曝露されるまで遅延される。
【0109】
一実施形態では、シラノール縮合触媒は、触媒マスターバッチブレンドに含まれ、触媒マスターバッチは組成物に含まれる。触媒マスターバッチは、1つ以上の担体樹脂中にシラノール縮合触媒を含む。一実施形態では、担体樹脂は、シランで官能基化されて、シラン官能基化ポリオレフィンまたは本組成物中で反応しない別のポリマーになる、ポリオレフィン樹脂と同じである。一実施形態では、担体樹脂は、2つ以上のかかる樹脂のブレンドである。好適な担体樹脂の非限定的な例としては、ポリオレフィンホモポリマー(例えば、ポリプロピレンホモポリマー、ポリエチレンホモポリマー)、プロピレン/アルファ-オレフィンポリマー、およびエチレン/アルファ-オレフィンポリマーが挙げられる。
【0110】
好適な触媒マスターバッチの非限定的な例としては、The Dow Chemical CompanyからSI-LINK(商標)の商品名で販売されるものが挙げられ、SI-LINK(商標)DFDA-5481 NatureおよびSI-LINK(商標)AC DFDA-5488 NTを含む。SI-LINK(商標)DFDA-5481 Naturalは、1-ブテン/エテンポリマー、エテンホモポリマー、フェノール化合物酸化防止剤、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)(シラノール縮合触媒)、およびフェノールヒドラジド化合物のブレンドを含有する触媒マスターバッチである。SI-LINK(商標)AC DFDA-5488 NTは、熱可塑性ポリマー、フェノール化合物酸化防止剤、および疎水性酸触媒(シラノール縮合触媒)のブレンドを含有する触媒マスターバッチである。
【0111】
一実施形態では、シラノール縮合触媒は、本明細書に記載される2つ以上のシラノール縮合触媒のブレンドである。
【0112】
一実施形態では、シラノール縮合触媒または2つ以上のシラノール縮合触媒のブレンドは、架橋性組成物の総重量に基づいて、0.002重量%、または0.005重量%、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.05重量%、または0.08重量%、または0.1重量%、または0.15重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または0.6重量%、または0.8重量%、または1.0重量%~1.5重量%、または2重量%、または4重量%、または5重量%、または6重量%、または8重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%の量で存在する。
【0113】
一実施形態では、組成物は、架橋性組成物の総重量に基づいて、0.5重量%、または1.0重量%、または2.0重量%、または3.0重量%、または4.0重量%~5.0重量%、または6.0重量%、または7.0重量%、または8.0重量%、または9.0重量%、または10.0重量%、または15.0重量%、または20.0重量%の触媒マスターバッチを含有する。
【0114】
シラノール縮合触媒は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0115】
(E)任意の添加剤
一実施形態では、架橋性組成物は、1つ以上の任意の添加剤を含む。好適な添加剤の非限定的な例としては、金属不活性化剤、湿気捕捉剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、安定剤、着色剤、紫外線(UV)吸収剤または安定剤(例えば、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)および酸化チタン)、他の難燃剤、相溶化剤、充填剤、および加工助剤が挙げられる。UV安定剤の非限定的な例としては、ヒンダードが挙げられる。
【0116】
金属不活性化剤は、金属表面および微量の金属鉱物の触媒作用を抑制する。金属不活性化剤は、微量の金属および金属表面を、例えば、封鎖によって、不活性な形態に変換する。好適な金属不活性化剤の非限定的な例としては、1,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジン、2,2’-オキサミンドビス[エチル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、およびオキサリルビス(ベンジリデンヒドラジド)(OABH)が挙げられる。一実施形態では、架橋性組成物は、OABHを含む。金属不活性化剤は、架橋性組成物の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.03重量%、または0.04重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.5重量%、または1重量%、または2重量%、または3重量%~5重量%、または6重量%、または7重量%、または8重量%、または9重量%、または10重量%の量で存在する。
【0117】
湿気捕捉剤は、架橋性組成物中の望ましくない水を除去または不活性化して、架橋性組成物中の望ましくない(時期尚早の)架橋および他の水性開始反応(water-initiated reaction)を防ぐ。湿気捕捉剤の非限定的な例としては、オルトエステル、アセタール、ケタール、またはアルコキシシランなどのシランから選択される有機化合物が挙げられる。一実施形態では、湿気捕捉剤は、アルコキシシランである。湿気捕捉剤は、架橋性組成物の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.03重量%、または0.04重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%~0.3重量%、または~0.5重量%、または~0.75重量%、または~1.0重量%、または~1.5重量%、または~2.0重量%、または~3.0重量%の量で存在する。
【0118】
「酸化防止剤」は、ポリマーの加工中に起こり得る酸化を最小限に抑えるために使用することができる化学的化合物の種類またはクラスを指す。好適な酸化防止剤としては、高分子量ヒンダードフェノール、および硫黄、および多官能性フェノール(リン含有フェノールなど)が含まれる。代表的なヒンダードフェノールとしては、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-ベンゼン;ペンタエリスリチルテトラキス-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート;n-オクタデシル-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート;4,4’-メチレンビス(2,6-tert-ブチル-フェノール);4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-o-クレゾール);2,6-ジ-tertブチルフェノール;6-(4-ヒドロキシフェノキシ)-2,4-ビス(n-オクチル-チオ)-1,3,5トリアジン;ジ-n-オクチルチオ)エチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンゾエート;およびソルビトールヘキサ[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオネート]が挙げられる。一実施形態では、組成物は、BASFからIrganox(登録商標)1010として市販されているペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を含む。酸化防止剤は、架橋性組成物の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.03重量%、または0.04重量%、または0.05重量%、または0.06重量%、または0.07重量%、または0.08重量%、または0.09重量%、または0.1重量%~0.12重量%、または0.14重量%、または0.16重量%、または0.18重量%、または0.2重量%、または0.25重量%、または0.3重量%、または0.5重量%、または1重量%、または2重量%の量で存在する。
【0119】
ブロッキング防止剤、安定剤、着色剤、紫外線(UV)吸収剤または安定剤、その他の難燃剤、相溶化剤、充填剤、および加工助剤を含むその他の任意の添加剤は、組成物の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.1重量%~1重量%、または2重量%、または3重量%、または5重量%、または10重量%の量で存在する。
【0120】
架橋性組成物
一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、架橋性組成物の反応生成物であり、架橋性組成物は、(A)シラン官能基化ポリオレフィンと、(B)充填剤であって、充填剤の総重量に基づいて、50重量%超のシリカを含む、充填剤と、(C)シリコーン含有ポリマーと、(D)架橋性組成物の総重量に基づいて、0.002重量%~20重量%のシラノール縮合触媒と、を含む。
【0121】
一実施形態では、シラン官能基化ポリオレフィンは、架橋性組成物の総重量に基づいて、10重量%、または20重量%、または30重量%、または40重量%、または50重量%~60重量%、または80重量%、または90重量%、または95重量%の量で存在する。
【0122】
一実施形態では、充填剤は、充填剤の総重量に基づいて、50重量%超のシリカを含み、架橋性組成物の総重量に基づいて、10重量%、または20重量%、または40重量%~50重量%、または60重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%の量で存在する。
【0123】
一実施形態では、充填剤は、充填剤の総重量に基づいて、50重量%、または60重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%、または95重量%、または96重量%、または97重量%、または98重量%~99重量%、または99.1重量%、または99.2重量%、または99.3重量%、または99.4重量%、または99.5重量%、または99.6重量%、または99.7重量%、または99.8重量%、または99.9重量%、または100重量%未満、または100重量%のシリカを含む。
【0124】
一実施形態では、架橋性組成物は、シリカ充填剤以外、充填剤がまったくない。
【0125】
一実施形態では、シリコーン含有ポリマーは、架橋性組成物の総重量に基づいて、2重量%超、または3重量%、または4重量%、または4.25重量%、または4.5重量%、または4.75重量%~5重量%、または5.5重量、または6重量%、または7重量%、または8重量%、または9重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%の量で存在する。
【0126】
一実施形態では、シラノール縮合触媒は、架橋性組成物の総重量に基づいて、0.002重量%、または0.005重量%、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.05重量%、または0.08重量%、または0.1重量%、または0.15重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または0.6重量%、または0.8重量%、または1.0重量%~1.5重量%、または2重量%、または4重量%、または5重量%、または6重量%、または8重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%の量で存在する。
【0127】
一実施形態では、金属不活性化剤は、架橋性組成物の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.03重量%、または0.04重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.5重量%、または1重量%、または2重量%、または3重量%~5重量%、または6重量%、または7重量%、または8重量%、または9重量%、または10重量%の量で存在する。
【0128】
一実施形態では、湿気捕捉剤は、架橋性組成物の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.03重量%、または0.04重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%~0.3重量%、または~0.5重量%、または~0.75重量%、または~1.0重量%、または~1.5重量%、または~2.0重量%、または~3.0重量%の量で存在する。
【0129】
一実施形態では、酸化防止剤は、架橋性組成物の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.03重量%、または0.04重量%、または0.05重量%、または0.06重量%、または0.07重量%、または0.08重量%、または0.09重量%、または0.1重量%~0.12重量%、または0.14重量%、または0.16重量%、または0.18重量%、または0.2重量%、または0.25重量%、または0.3重量%、または0.5重量%、または1重量%、または2重量%の量で存在する。
【0130】
一実施形態では、1つ以上の添加剤、例えば、ブロッキング防止剤、安定剤、着色剤、UV吸収剤または安定剤、その他の難燃剤、相溶化剤、充填剤、および加工助剤は、架橋性組成物の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.1重量%~1重量%、または2重量%、または3重量%、または5重量%、または10重量%の量で存在する。
【0131】
一実施形態では、架橋性組成物は、金属を含まない。金属を含まない架橋性組成物は、架橋性組成物の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.05重量%、または0.1重量%~0.15重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%の金属を含有する。本明細書で使用される場合、「金属」には、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、Fr、Ra、Ac、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、およびCn、ならびにランタニドおよびアクチニドを含む、元素周期表に金属として列挙されているすべての元素が含まれる。
【0132】
架橋性組成物は、個々の構成成分および添加剤を乾式ブレンドまたは溶融ブレンドすることによって調製され得る。溶融ブレンドは、将来の使用のためにペレット化するか、またはすぐに押出機に伝達して、絶縁またはジャケット層および/または被覆導体を形成することができる。便宜上、ある特定の成分は、溶融加工またはマスターバッチなどによって事前に混合することができる。
【0133】
一実施形態では、架橋性組成物は、湿気硬化性である。
【0134】
架橋性組成物は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0135】
絶縁またはジャケット層
一実施形態では、架橋性組成物を使用して、ジャケット層を形成する。一実施形態では、ジャケット層は、絶縁層である。
【0136】
絶縁またはジャケット層を製造するための加工は、架橋性組成物を少なくともシラン官能基化ポリオレフィンの溶融温度まで加熱し、次いで、ポリマー溶融ブレンドを導体上に押出することを含む。「上に」という用語は、溶融ブレンドと導体との間の直接接触または間接接触を含む。溶融ブレンドは、押出可能な状態にある。
【0137】
絶縁またはジャケット層は、架橋されている。一実施形態では、架橋は、押出機内で始まるが、ごくわずかな程度である。別の実施形態では、架橋は、組成物が湿気への曝露により硬化する(「湿気硬化」)まで遅延される。
【0138】
本明細書で使用される場合、「湿気硬化」とは、シラン官能基化ポリオレフィンの水への曝露による加水分解性基の加水分解であり、シラノール基をもたらし、次いでシラノール基が縮合して(シラノール縮合触媒の助けを借りて)シラン連結を形成する。シラン連結は、ポリマー鎖を共役させるか、または別様に架橋させて、シラン共役ポリオレフィンを製造する。湿気硬化反応の概略図は、以下の反応(V)で提供される。
【化5】
【0139】
一実施形態では、湿気は水である。一実施形態では、湿気硬化は、絶縁もしくはジャケット層または被覆導体を湿度の形態の水(例えば、気体状態の水または蒸気)に曝露するか、あるいは絶縁もしくはジャケット層または被覆導体を水浴中に沈水させることによって行われる。相対湿度は、100%にもなることがある。
【0140】
一実施形態では、湿気硬化は、室温(周囲条件)~最大100oCの温度で、1時間、または4時間、または12時間、または24時間、または3日間、または5日間~6日間、または8日間、または10日間、または12日間、または14日間、または28日間、または60日間の持続時間にわたって行われる。
【0141】
一実施形態では、本開示は、(A)架橋されたシラン官能基化ポリオレフィンと、(B)充填剤であって、充填剤の総重量に基づいて、50重量%超のシリカを含む、充填剤と、(C)シリコーン含有ポリマーと、(D)絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、0.00重量%~20重量%のシラノール縮合触媒と、を含む、被覆導体のための絶縁またはジャケット層を提供する。
【0142】
一実施形態では、シラン官能基化ポリオレフィンは、絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、10重量%、または20重量%、または30重量%、または40重量%、または50重量%~60重量%、または80重量%、または90重量%、または95重量%の量で存在する。
【0143】
一実施形態では、充填剤は、充填剤の総重量に基づいて、50重量%超のシリカを含み、絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、10重量%、または20重量%、または40重量%~50重量%、または60重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%の量で存在する。
【0144】
一実施形態では、充填剤は、充填剤の総重量に基づいて、50重量%、または60重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%、または95重量%、または96重量%、または97重量%、または98重量%~99重量%、または99.1重量%、または99.2重量%、または99.3重量%、または99.4重量%、または99.5重量%、または99.6重量%、または99.7重量%、または99.8重量%、または99.9重量%、または100重量%未満、または100重量%のシリカを含む。
【0145】
一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、唯一の充填剤としてシリカを含有する。シリカは、他の充填剤を除く唯一の充填剤である。
【0146】
一実施形態では、シリコーン含有ポリマーは、絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、2重量%超、または3重量%、または4重量%、または4.25重量%、または4.5重量%、または4.75重量%~5重量%、または5.5重量、または6重量%、または7重量%、または8重量%、または9重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%の量で存在する
【0147】
一実施形態では、シラノール縮合触媒は、絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、0.00重量%、または0.001重量%、または0.002重量%、または0.005重量%、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.05重量%、または0.08重量%、または0.1重量%、または0.15重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または0.6重量%、または0.8重量%、または1.0重量%~1.5重量%、または2重量%、または4重量%、または5重量%、または6重量%、または8重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%の量で存在する。
【0148】
一実施形態では、金属不活性化剤は、絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.03重量%、または0.04重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.5重量%、または1重量%、または2重量%、または3重量%~5重量%、または6重量%、または7重量%、または8重量%、または9重量%、または10重量%の量で存在する。
【0149】
一実施形態では、湿気捕捉剤は、絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.03重量%、または0.04重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%~0.3重量%、または~0.5重量%、または~0.75重量%、または~1.0重量%、または~1.5重量%、または~2.0重量%、または~3.0重量%の量で存在する。
【0150】
一実施形態では、酸化防止剤は、絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.03重量%、または0.04重量%、または0.05重量%、または0.06重量%、または0.07重量%、または0.08重量%、または0.09重量%、または0.1重量%~0.12重量%、または0.14重量%、または0.16重量%、または0.18重量%、または0.2重量%、または0.25重量%、または0.3重量%、または0.5重量%、または1重量%、または2重量%の量で存在する。
【0151】
一実施形態では、1つ以上の添加剤、例えば、ブロッキング防止剤、安定剤、着色剤、UV吸収剤または安定剤、その他の難燃剤、相溶化剤、充填剤、および加工助剤は、絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.1重量%~1重量%、または2重量%、または3重量%、または5重量%、または10重量%の量で存在する。
【0152】
一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、唯一の充填剤としてシリカを含み(シリカは、他のすべての充填剤を除いて存在する)、絶縁またはジャケット層は、金属を含まない。金属を含まない絶縁またはジャケット層は、絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.05重量%、または0.1重量%~0.15重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%の金属を含有する。本明細書で使用される場合、「金属」には、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、Fr、Ra、Ac、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、およびCn、ならびにランタニドおよびアクチニドを含む、元素周期表に金属として列挙されているすべての元素が含まれる。
【0153】
一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、5ミル、または10ミル、または15ミル、または20ミル~25ミル、または30ミル、または35ミル、または40ミル、または50ミル、または75ミル、または100ミルの厚さを有する。
【0154】
一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、Horizontal Flame UL2556で定義される水平燃焼試験に合格する。水平燃焼試験に合格するためには、絶縁またはジャケット層は、合計100mm未満の炭を有していなければならない。一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、水平燃焼試験中に、合計20mm、または25mm、または30mm~50mm、または55mm、または60mm、または70mm、または75mm、または80mm、または90mm、または100mm未満の炭を有する。
【0155】
一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、1.10、または1.15、または1.20、または1.25~1.30、または1.35、または1.40、または1.45、または1.50、または1.55、または1.60、または1.70の湿潤絶縁抵抗比を有する。
【0156】
一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、1.10、または1.15、または1.20、または1.25~1.30、または1.35、または1.40、または1.45、または1.50、または1.55、または1.60、または1.70の湿潤絶縁抵抗比を有し、水平燃焼試験に合格する。
【0157】
絶縁またはジャケット層1:一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、(A)絶縁またはジャケット層の総量に基づいて、40重量%、または45重量%、または47重量%、または50重量%~52重量%、または55重量%、または60重量%のシラングラフト化ポリエチレンと、(B)絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、40重量%、または42重量%、または45重量%~50重量%、または52重量%、または55重量%、または60重量%の充填剤であって、充填剤の総重量に基づいて、50重量%超のシリカを含む、充填剤と、(C)絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、4.75重量%、または4.8重量%、または4.9重量%、または5重量%~5.1重量%、または5.2重量%、または5.3重量%のシリコーン含有ポリマーと、(D)絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、0.00重量%、または0.001重量%、または0.002重量%、または0.005重量%、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.05重量%、または0.08重量%、または0.1重量%、または0.15重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または0.6重量%、または0.8重量%、または1.0重量%~1.5重量%、または2重量%、または4重量%、または5重量%、または6重量%、または8重量%、または10重量%のシラノール縮合触媒と、を含む。
【0158】
絶縁またはジャケット層2:一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、(A)絶縁またはジャケット層の総量に基づいて、40重量%、または45重量%、または47重量%、または50重量%~52重量%、または55重量%、または60重量%のシラングラフト化ポリエチレンと、(B)絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、40重量%、または42重量%、または45重量%~50重量%、または52重量%、または55重量%、または60重量%のシリカ充填剤であって、シリカ充填剤が、その他の充填剤を除いた唯一の充填剤である、充填剤と、(C)絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、4.75重量%、または4.8重量%、または4.9重量%、または5重量%~5.1重量%、または5.2重量%、または5.3重量%のシリコーン含有ポリマーと、絶縁またはジャケット層の総重量に基づいて、0.00重量%、または0.001重量%、または0.002重量%、または0.005重量%、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.05重量%、または0.08重量%、または0.1重量%、または0.15重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または0.6重量%、または0.8重量%、または1.0重量%~1.5重量%、または2重量%、または4重量%、または5重量%、または6重量%、または8重量%、または10重量%のシラノール縮合触媒と、を含む。
【0159】
一実施形態では、絶縁層は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する絶縁もしくはジャケット層1、または絶縁もしくはジャケット層2に従う。
(i)金属を含まない、および/または
(ii)1.10オーム以上、または1.15オーム、または1.20オーム、または1.25オーム~1.30オーム、または1.35オーム、または1.40オーム、または1.45オーム、または1.50オーム、または1.55オームの湿潤絶縁抵抗比オームである、および/または
(iii)水平燃焼テストに合格する。
【0160】
一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、特性(i)~(iii)のうちの少なくとも2つ、または3つすべてを有する。
【0161】
一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、絶縁もしくはジャケット層1、または絶縁もしくはジャケット層2に従い、シリコーン含有ポリマーは、反応性直鎖状ポリシロキサンであり、絶縁またはジャケット層は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
(i)金属を含まない、および/または
(ii)1.10以上、または1.15、または1.20、または1.25~1.30、または1.35、または1.40、または1.45、または1.50、または1.55の湿潤絶縁抵抗比である、および/または
(iii)水平燃焼テストに合格する。
【0162】
一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、特性(i)~(iii)のうちの少なくとも2つ、または3つすべてを有する。
【0163】
一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、絶縁もしくはジャケット層1、または絶縁もしくはジャケット層2に従い、シリコーン含有ポリマーは、非反応性直鎖状ポリシロキサンであり、絶縁またはジャケット層は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
(i)金属を含まない、および/または
(ii)1.10以上、または1.15、または1.20、または1.25~1.30、または1.35、または1.40、または1.45、または1.50、または1.55の湿潤絶縁抵抗比である、および/または
(iii)水平燃焼テストに合格する。
【0164】
一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、特性(i)~(iii)のうちの少なくとも2つ、または3つすべてを有する。
【0165】
一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、絶縁もしくはジャケット層1、または絶縁もしくはジャケット層2に従い、シリコーン含有ポリマーは、非反応性分岐状ポリシロキサンであり、絶縁またはジャケット層は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
(i)金属を含まない、および/または
(ii)1.10以上、または1.15、または1.20、または1.25~1.30、または1.35、または1.40、または1.45、または1.50、または1.55の湿潤絶縁抵抗比である、および/または
(iii)水平燃焼テストに合格する。
【0166】
一実施形態では、絶縁またはジャケット層は、特性(i)~(iii)のうちの少なくとも2つ、または3つすべてを有する。
【0167】
シリカは昇温時に分解してガスを放出しないが、驚くべきことに、絶縁またはジャケット層が水平燃焼試験に合格することが発見された。いかなる特定の理論にも拘束されないが、シリカとシリコーン含有ポリマーは予想外の相乗効果を示すと考えられる。シリコーン含有ポリマーは、昇温時に分解し、シリカ粒子を結び付ける無機炭を形成する。さらに、驚くべきことに、絶縁またはジャケット層が改善された湿潤絶縁抵抗を有することが発見された。いかなる特定の理論にも拘束されないが、シリカ粒子の表面はシラン官能基化ポリオレフィンと相互作用し、シリカ粒子のより良い分布をもたらし、シラン官能基化ポリオレフィンマトリックス中により離散的に、より良く分散されると考えられる。シリカ粒子が互いに接触すると、水がシリカの界面を突破する可能性がある。しかしながら、粒子が互いに接触していない場合、水が界面に浸透するのはより困難である。
【0168】
絶縁またはジャケット層は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0169】
被覆導体
一実施形態では、本開示は、導体上の被覆を備える被覆導体であって、被覆が、(A)架橋されたシラン官能基化ポリオレフィンと、(B)充填剤であって、充填剤の総重量に基づいて、50重量%超のシリカを含む、充填剤と、(C)シリコーン含有ポリマーと、(D)被覆の総重量に基づいて、0.00重量%~20重量%のシラノール縮合触媒と、を含む。
【0170】
被覆導体を製造するための加工は、架橋性組成物を少なくともシラン官能基化ポリオレフィンの溶融温度まで加熱し、次いで、ポリマー溶融物を導体上に押出することを含む。「上に」という用語は、溶融ブレンドと導体との間の直接接触または間接接触を含む。溶融ブレンドは、押出可能な状態にある。
【0171】
被覆は、架橋されている。一実施形態では、架橋は、押出機内で始まるが、ごくわずかな程度である。別の実施形態では、架橋は、組成物が湿気への曝露により硬化する(「湿気硬化」)まで遅延される。
【0172】
一実施形態では、湿気は水である。一実施形態では、湿気硬化は、被覆導体を湿度の形態の水(例えば、気体状態の水)に曝露するか、あるいは絶縁もしくはジャケット層または被覆導体を水浴中に沈水させることによって行われる。相対湿度は、100%にもなることがある。
【0173】
一実施形態では、湿気硬化は、室温(周囲条件)~最大100℃の温度で、1時間、または4時間、または12時間、または24時間、または2日間、または3日間、または5日間~6日間、または8日間、または10日間、または12日間、または14日間、または28日間、または60日間の持続時間にわたって行われる。
【0174】
一実施形態では、シラン官能基化ポリオレフィンは、被覆の総重量に基づいて、10重量%、または20重量%、または30重量%、または40重量%、または50重量%~60重量%、または80重量%、または90重量%、または95重量%の量で存在する。
【0175】
一実施形態では、充填剤は、充填剤の総重量に基づいて、50重量%超のシリカを含み、架橋性組成物の総重量に基づいて、10重量%、または20重量%、または40重量%~50重量%、または60重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%の量で存在する。
【0176】
一実施形態では、充填剤は、充填剤の総重量に基づいて、50重量%、または60重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%、または95重量%、または96重量%、または97重量%、または98重量%~99重量%、または99.1重量%、または99.2重量%、または99.3重量%、または99.4重量%、または99.5重量%、または99.6重量%、または99.7重量%、または99.8重量%、または99.9重量%、または100重量%未満、または100重量%のシリカを含む。
【0177】
一実施形態では、被覆は、唯一の充填剤としてシリカを含有する。シリカは、他の充填剤を除く唯一の充填剤である。
【0178】
一実施形態では、シリコーン含有ポリマーは、被覆の総重量に基づいて、2重量%超、または3重量%、または4重量%、または4.25重量%、または4.5重量%、または4.75重量%~5重量%、または5.5重量、または6重量%、または7重量%、または8重量%、または9重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%の量で存在する。
【0179】
一実施形態では、シラノール縮合触媒は、被覆の総重量に基づいて、0.00重量%、または0.001重量%、または0.002重量%、または0.005重量%、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.05重量%、または0.08重量%、または0.1重量%、または0.15重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または0.6重量%、または0.8重量%、または1.0重量%~1.5重量%、または2重量%、または4重量%、または5重量%、または6重量%、または8重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%の量で存在する。
【0180】
一実施形態では、金属不活性化剤は、被覆の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.03重量%、または0.04重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.5重量%、または1重量%、または2重量%、または3重量%~5重量%、または6重量%、または7重量%、または8重量%、または9重量%、または10重量%の量で存在する。
【0181】
一実施形態では、湿気捕捉剤は、被覆の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.03重量%、または0.04重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%~0.3重量%、または~0.5重量%、または~0.75重量%、または~1.0重量%、または~1.5重量%、または~2.0重量%、または~3.0重量%の量で存在する。
【0182】
一実施形態では、酸化防止剤は、被覆の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.02重量%、または0.03重量%、または0.04重量%、または0.05重量%、または0.06重量%、または0.07重量%、または0.08重量%、または0.09重量%、または0.1重量%~0.12重量%、または0.14重量%、または0.16重量%、または0.18重量%、または0.2重量%、または0.25重量%、または0.3重量%、または0.5重量%、または1.0重量%、または2.0重量%の量で存在する。
【0183】
一実施形態では、1つ以上の添加剤、例えば、ブロッキング防止剤、安定剤、着色剤、UV吸収剤または安定剤、難燃剤、相溶化剤、充填剤、および加工助剤は、被覆の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.01重量%、または0.1重量%~1重量%、または2重量%、または3重量%の量で存在する。
【0184】
一実施形態では、被覆は、金属を含まない。本明細書で使用される場合、「金属を含まない」という用語は、被覆の総重量に基づいて、0重量%、または0重量%超、または0.05重量%、または0.1重量%~0.15重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%の金属を含有することを意味する。本明細書で使用される場合、「金属」には、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、Fr、Ra、Ac、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、およびCn、ならびにランタニドおよびアクチニドを含む、元素周期表に金属として列挙されているすべての元素が含まれる。
【0185】
被覆は、1つ以上の内層であり得る。被覆は、導体を全体的にまたは部分的に覆うか、またはそうでなければ取り囲むかもしくは包むことができる。被覆は、導体を囲む唯一の構成成分であり得る。あるいは、被覆は、導体を包む多層ジャケットまたはシースのうちの1層であってもよい。一実施形態では、被覆は、導体と直接接触する。別の一実施形態では、被覆は、導体を囲む中間総と直接接触する。
【0186】
一実施形態では、被覆は、5ミル、または10ミル、または15ミル、または20ミル~25ミル、または30ミル、または35ミル、または40ミル、または50ミル、または75ミル、または100ミルの厚さを有する。
【0187】
一実施形態では、被覆導体は、1.00以上、または1.10超、または1.20超の湿潤絶縁抵抗比を有する。
【0188】
一実施形態では、被覆導体は、1.00以上、または1.05、または1.10、または1.15、または1.20、または1.25~1.30、または1.35、または1.40、または1.45、または1.50、または1.55、または1.60、または1.70の湿潤絶縁抵抗比を有する。
【0189】
一実施形態では、被覆導体は、水平燃焼試験に合格する。水平燃焼試験に合格するためには、被覆導体は、合計100mm未満の炭を有していなければならない。一実施形態では、被覆導体は、水平燃焼試験中に、合計0mm、または5mm、または10mm~50mm、または55mm、または60mm、または70mm、または75mm、または80mm、または90mm、または100mm未満の炭を有する。
【0190】
一実施形態では、被覆導体上の被覆は、絶縁もしくはジャケット層1、または絶縁もしくはジャケット層2に従い、被覆導体は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
(i)被覆が金属を含まない、および/または
(ii)1.10以上、または1.15、または1.20、または1.25~1.30、または1.35、または1.40、または1.45、または1.50、または1.55の湿潤絶縁抵抗比である、および/または
(iii)被覆導体が水平燃焼テストに合格する。
【0191】
一実施形態では、被覆導体は、特性(i)~(iii)のうちの少なくとも2つ、または3つすべてを有する。
【0192】
一実施形態では、被覆導体上の被覆は、絶縁もしくはジャケット層1、または絶縁もしくはジャケット層2に従い、シリコーン含有ポリマーは、反応性直鎖状ポリシロキサンであり、被覆導体は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
(i)被覆が金属を含まない、および/または
(ii)1.10以上、または1.15、または1.20、または1.25~1.30、または1.35、または1.40、または1.45、または1.50、または1.55の湿潤絶縁抵抗比である、および/または
(iii)被覆導体が水平燃焼テストに合格する。
【0193】
一実施形態では、被覆導体は、特性(i)~(iii)のうちの少なくとも2つ、または3つすべてを有する。
【0194】
一実施形態では、被覆導体上の被覆は、絶縁もしくはジャケット層1、または絶縁もしくはジャケット層2に従い、シリコーン含有ポリマーは、非反応性直鎖状ポリシロキサンであり、被覆導体は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
(i)被覆が金属を含まない、および/または
(ii)1.10以上、または1.15、または1.20、または1.25~1.30、または1.35、または1.40、または1.45、または1.50、または1.55の湿潤絶縁抵抗比である、および/または
(iii)被覆導体が水平燃焼テストに合格する。
【0195】
一実施形態では、被覆導体は、特性(i)~(iii)のうちの少なくとも2つ、または3つすべてを有する。
【0196】
一実施形態では、被覆導体上の被覆は、絶縁もしくはジャケット層1、または絶縁もしくはジャケット層2に従い、シリコーン含有ポリマーは、非反応性分岐状ポリシロキサンであり、被覆導体は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
(i)被覆が金属を含まない、および/または
(ii)1.10以上、または1.15、または1.20、または1.25~1.30、または1.35、または1.40、または1.45、または1.50、または1.55の湿潤絶縁抵抗比である、および/または
(iii)被覆導体が水平燃焼テストに合格する。
【0197】
一実施形態では、被覆導体は、特性(i)~(iii)のうちの少なくとも2つ、または3つすべてを有する。
【0198】
一実施形態では、被覆は、ジャケット層である。一実施形態では、ジャケット層は、絶縁層である。
【0199】
被覆導体は、本明細書に開示される2つ以上の一実施形態を含むことができる。
【0200】
本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例において詳細に記載する。
【実施例】
【0201】
材料
ENGAGE 8402は、0.902g/ccの密度、および30g/10分のMIを有するエチレン-オクテンコポリマーである。
【0202】
VTMSは、25℃で0.968g/mLの密度、および沸点123℃を有するビニルトリメトキシシランである。
【0203】
Luperox 101は、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサングラフト化開始剤である。
【0204】
充填剤1は、5ミクロンのD90、および99.4%の純度を有する、結晶性シリカ充填剤のMin-U-Sil 5である。
【0205】
充填剤2は、0.8μmの中央値粒子サイズを有する水酸化マグネシウム表面処理充填剤のHuber Zerogen 100SVである。
【0206】
充填剤3は、0.8~1.2μmの平均粒子サイズを有する水酸化マグネシウム表面処理充填剤のKisuma 5Jである。
【0207】
充填剤4は、表面処理を伴わない、1.1μmの中央値粒子サイズを有する、炭酸カルシウム充填剤のHuber Q1である。
【0208】
充填剤5は、1.1μmの中央値粒子サイズを有する炭酸カルシウム表面処理充填剤のHuber Q1Tである。
【0209】
充填剤6は、表面処理を伴わない、12μmの中央値粒子サイズを有する炭酸カルシウムのOMYACARB(登録商標)10である。
【0210】
AOは、Irganox 1010(酸化防止剤)である。
【0211】
シリコーン含有ポリマー1(SCP1)は、25℃で0.978の比重、および1,000,000センチストークスの動粘度を有する、非反応性直鎖状ポリジメチルシロキサン(ジメチルシロキサン、トリメチルシロキシ末端)のXIAMETER(登録商標)PMX-200(1M cSt)である。
【0212】
SCP2は、25℃で0.978の比重、および60,000センチストークスの動粘度を有する、非反応性直鎖状ポリジメチルシロキサン(ジメチルシロキサン、トリメチルシロキシ末端)のXIAMETER(登録商標)PMX-200(60k cSt)である。
【0213】
SCP3は、0.972g/ccの密度、および2,000mPa.sの動的粘度を有する末端シラノール基(ジメチルシロキサン、ヒドロキシ末端)を備える反応性直鎖状ポリジメチルシロキサンのXIAMETER(登録商標)OHX-4000である。
【0214】
金属不活性化剤(MD)は、オキサリルビス(ベンジリデン)ヒドロキシドである。
【0215】
湿気捕捉剤(MS)は、ヘキサデシルトリメトキシシランである。
【0216】
ENGAGE 8450は、0.902g/ccの密度、および3.0g/10分のMIを有するエチレン/オクテンコポリマーである。
【0217】
DFH-2065は、The Dow Chemical Companyから入手可能な、0.65グラム/10分のメルトインデックス、および0.920g/ccの密度を有する、直鎖状低密度ポリエチレンである。
【0218】
DFDA-1216 NTは、The Dow Chemical Companyから入手可能な、0.92g/ccの密度、および2.3g/10分のメルトインデックスを有する、低密度ポリエチレン(LDPE)である。
【0219】
ジブチルスズジラウレートは、シラノール縮合触媒である。
【0220】
1,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジンは、酸化防止剤である。
【0221】
テトラキス(メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート))メタンは、安定剤である。
【0222】
試料調製
シラングラフト化ポリエチレンは、二軸押出機による反応性押出によって調製される。ベース樹脂(ENGAGE 8402)の総重量に基づいて、1.8重量%のビニルトリメトキシシラン(VTMS)と、ベース樹脂(ENGAGE 8402)の総重量に基づいて、900ppmのLuperox 101とを秤量して一緒に混合した後、約10~15分間磁気攪拌して、一様な液体混合物を達成する。混合物をスケール上に留置し、液体ポンプ注入に接続する。ENGAGE 8402を、ZSK-30押出機のメインフィーダーに供給する。ZSK-30のバレル温度プロファイルを以下のように設定する。
【表1】
ペレットの水温は可能な限り10℃(50°F)に近く、チラーの水温は可能な限り4℃(40℃)に近い。
【0223】
ポリエチレンにグラフト化されるVTMSの量を、赤外分光法によって決定する。スペクトルを、Nicolet 6700 FTIR機器で測定する。絶対値を、表面汚染による干渉なしに、FTIRモードによって測定する。1192cm-1および2019cm-1(内部の厚さ)での吸収比率を決定する。1192/2019ピーク高さの比率を、DFDA-5451(the Dow Chemical CompanyからSI-LINK 5451として入手可能)中のVTMSの既知のレベルの標準と比較する。結果は、シラングラフト化ポリエチレン(Si-g-PE)のグラフト化VTMS含有量が、ポリマーの総質量に基づいて、約1.7質量%であることを示す。
【0224】
Si-g-PEを、約140℃でBrabenderに添加し、シリカ充填剤、シリコーン含有ポリマー、金属不活性化剤、湿気捕捉剤、および酸化防止剤Irganox 1010を、Si-g-PEが以下の表1および3に指定されている量で溶融した後、ボウル内に添加する。混合物を、約5分間混合する。
【0225】
次いで、混合物を、ワイヤ押出用に小片にペレット化する。押出工程では、以下の表2に記載されるマスターバッチの形態のシラノール縮合触媒をペレット化混合物に添加して、ワイヤを直径0.064の銅ワイヤ上に押出する。壁厚を約30ミルに設定し、押出温度は140℃~165℃のヘッド温度である。全組成物中のシラノール縮合触媒の濃度は、0.01重量%~0.5重量%の範囲である。
【0226】
押出されたワイヤを90℃の水浴中で一晩硬化させ、硬化されたワイヤを15フィート(4.572メートル)の長さのセグメントに切断する。該当する場合、水中に浸漬される10フィートの長さのセグメントの湿潤IRを記録し、湿潤IR比を記録する。
【0227】
UL-2556に従って、水平燃焼試験を押出されたワイヤに適用する。試料(30ミルの壁厚を備える14AWG銅ワイヤ)の水平に対して20°の角度にバーナーを設定する。1回限りの炎を30秒間、検体の中間に適用する。綿が発火する(秒単位で報告される)か、または試料炭が100mmを超えると、試料は不合格である。試料の水平に対して20°の角度にバーナーを設定する。綿が発火するか、または試料炭が100mmを超えると、不合格となる(UL 1581、1100.4)。
【表2-1】
【表2-2】
【表3】
【0228】
本発明の実施例1および2は、難燃性を示し(すなわち、各々が水平燃焼試験に合格し)、各々が1.10オーム超の湿潤IRも有する。それに比べて、シリコーン系ポリマーを含まないシリカ充填剤を含有する比較試料1および2は、1.00オーム超の湿潤IRを有するが、水平燃焼試験は不合格である。比較試料3は、5重量%未満のシリコーン系ポリマーを含有し、水平燃焼試験に不合格である。比較試料4~11は、シリカ以外の充填剤を含有し、1.10オーム未満の湿潤IRを有する。
【0229】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、実施形態の一部、および異なる実施形態の要素の組み合わせを含むこれらの実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲の範囲に該当するものとして含むことが、特に意図されている。