(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】炭素被覆遷移金属ナノ複合材料、その製造およびその応用
(51)【国際特許分類】
B22F 1/16 20220101AFI20221125BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20221125BHJP
B01J 23/75 20060101ALI20221125BHJP
B01J 23/755 20060101ALI20221125BHJP
B01J 27/24 20060101ALI20221125BHJP
B01J 33/00 20060101ALI20221125BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20221125BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20221125BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20221125BHJP
B01J 37/18 20060101ALI20221125BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20221125BHJP
B22F 9/30 20060101ALI20221125BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20221125BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20221125BHJP
C01B 32/00 20170101ALI20221125BHJP
C07C 5/03 20060101ALI20221125BHJP
C07C 5/10 20060101ALI20221125BHJP
C07C 13/18 20060101ALI20221125BHJP
C07C 15/073 20060101ALI20221125BHJP
C07C 29/141 20060101ALI20221125BHJP
C07C 29/17 20060101ALI20221125BHJP
C07C 29/19 20060101ALI20221125BHJP
C07C 31/10 20060101ALI20221125BHJP
C07C 31/12 20060101ALI20221125BHJP
C07C 35/08 20060101ALI20221125BHJP
C07C 209/32 20060101ALI20221125BHJP
C07C 211/45 20060101ALI20221125BHJP
C07C 211/46 20060101ALI20221125BHJP
C07C 213/02 20060101ALI20221125BHJP
C07C 215/76 20060101ALI20221125BHJP
C07C 217/82 20060101ALI20221125BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20221125BHJP
C22C 19/03 20060101ALN20221125BHJP
C22C 19/07 20060101ALN20221125BHJP
【FI】
B22F1/16
B01D53/86 150
B01J23/75 A
B01J23/755 A
B01J27/24 A
B01J33/00 F
B01J35/02 H ZNM
B01J37/04 102
B01J37/08
B01J37/18
B22F1/00 L
B22F1/00 M
B22F1/00 R
B22F1/00 S
B22F9/30 Z
B82Y30/00
B82Y40/00
C01B32/00
C07C5/03
C07C5/10
C07C13/18
C07C15/073
C07C29/141
C07C29/17
C07C29/19
C07C31/10
C07C31/12
C07C35/08
C07C209/32
C07C211/45
C07C211/46
C07C213/02
C07C215/76
C07C217/82
C07B61/00 300
C22C19/03 Z
C22C19/07 Z
(21)【出願番号】P 2020504126
(86)(22)【出願日】2018-07-27
(86)【国際出願番号】 CN2018097303
(87)【国際公開番号】W WO2019020086
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】201710627278.5
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509059424
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】栄峻峰
(72)【発明者】
【氏名】呉耿煌
(72)【発明者】
【氏名】謝▲せい▼新
(72)【発明者】
【氏名】宗明生
(72)【発明者】
【氏名】林偉国
(72)【発明者】
【氏名】于鵬
(72)【発明者】
【氏名】紀洪波
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106378449(CN,A)
【文献】特開2009-024204(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0077065(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0306570(US,A1)
【文献】特開2015-227507(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105478755(CN,A)
【文献】Journal of Catalysis,2016年05月28日,Vol.340,p.1-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/16
B01D 53/86
B01J 23/75
B01J 23/755
B01J 27/24
B01J 33/00
B01J 35/02
B01J 37/04
B01J 37/08
B01J 37/18
B22F 1/00
B22F 9/30
B82Y 30/00
B82Y 40/00
C01B 32/00
C07C 5/03
C07C 5/10
C07C 13/18
C07C 15/073
C07C 29/141
C07C 29/17
C07C 29/19
C07C 31/10
C07C 31/12
C07C 35/08
C07C 209/32
C07C 211/45
C07C 211/46
C07C 213/02
C07C 215/76
C07C 217/82
C07B 61/00
C22C 19/03
C22C 19/07
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料であって、
前記炭素被覆遷移金属粒子は、コア-シェル構造を有し、
シェル層は、酸素および/または窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、
コアは、遷移金属ナノ粒子であり、
前記遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、銅および亜鉛からなる群から選択される1種以上であり、
前記ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを少なくとも1つ有する多孔質材料であり、好ましくはメソ細孔の分布ピークを2つ以上有する多孔質材料であ
り、
前記ナノ複合材料の酸浸出における損失は、40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下であり、
前記ナノ複合材料のメソ細孔容積の割合は、合計細孔容積に対して、約50%超、好ましくは約80%超、より好ましくは約90%超、特に好ましくは約95%超である、ナノ複合材料。
【請求項2】
非晶質炭素マトリクスをさらに含むナノ複合材料であって、
前記炭素被覆遷移金属粒子は、前記非晶質炭素マトリクス中に分散され、好ましくは、前記ナノ複合材料は、前記非晶質炭素マトリクスおよびその中に分散された炭素被覆遷移金属粒子からなる、請求項
1に記載のナノ複合材料。
【請求項3】
前記ナノ複合材料の炭素含有量は、約10.0質量%~約60.0質量%であり、かつ遷移金属含有量は、約30.0質量%~約85.0質量%である、請求項
1に記載のナノ複合材料。
【請求項4】
前記炭素被覆遷移金属粒子の前記シェル層は、酸素でドープされた黒鉛化炭素層であり、前記ナノ複合材料の酸素含有量は、約15.0質量%未満、好ましくは約1.0質量%~約10.0質量%、より好ましくは約
1.0質量%~約5.0質量%である、請求項
1~3のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【請求項5】
前記炭素被覆遷移金属粒子の前記シェル層は、酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、前記ナノ複合材料の窒素および酸素の合計含有量は、約15.0質量%未満、好ましくは約0.2質量%~約12.0質量%、より好ましくは約0.5質量%~約10.0質量%、であり、そのうち窒素含有量は、好ましくは約0.1質量%~約10質量%、より好ましくは約1質量%~約5質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【請求項6】
前記ナノ複合材料は、以下の特徴のうち1つ以上:
前記ナノ複合材料のメソ細孔容積は、約0.05cm
3/g~約1.25cm
3/gである;
前記黒鉛化炭素層の厚さは、約0.3nm~約6nm、好ましくは約0.3nm~約3nmである
;
前記コア-シェル構造の粒径は、約1nm~約200nm、好ましくは約3nm~約100nm、より好ましくは約4nm~約50nmであ
る;
をさらに有する請求項1~
5のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【請求項7】
前記炭素被覆遷移金属粒子の前記シェル層は、酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、遷移金属ナノ粒子は、面心立方格子構造および/または六方最密格子構造を有する、請求項1~
6のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【請求項8】
i)遷移金属源および多塩基性有機カルボン酸を含む混合物を、溶媒と混合し、均質な溶液を形成する工程
であって、
前記遷移金属源は、遷移金属の有機酸塩、カーボネート、塩基性カーボネート、酸化物、および水酸化物からなる群から選択される1種以上であり、前記遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、銅、および亜鉛からなる群から選択される1種以上であり;
前記多塩基性有機カルボン酸は、クエン酸、マレイン酸、トリメシン酸、テレフタル酸、リンゴ酸、EDTA、およびジピコリン酸からなる群から選択される1種以上である、工程と、
ii)前記均質な溶液から溶媒を除去し、前駆体を得る工程と、
iii)不活性保護雰囲気下または還元雰囲気下で、前記前駆体を高温熱分解に供する工程と、
iv)任意で、工程iii)で得られた熱分解生成物を、非酸化性強酸での処理に供する工程と、
を含む、炭素被覆された遷移金属粒子を含むナノ複合材料の製造方法。
【請求項9】
工程i)で使用される前記混合物は、前記多塩基性有機カルボン酸とは異なる窒素含有有機化合物および/または酸素含有有機化合物、ならびに任意で、追加の有機化合物をさらに含み、
前記窒素含有有機化合物は、尿素、メラミン、ジシアノジアミン、ヘキサメチレンテトラミンおよびアミノ酸からなる群から選択される1種以上であり、かつ前記酸素含有有機化合物は、ポリオールおよび有機カルボン酸(乳酸等)からなる群から選択される、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記遷移金属の前記有機酸塩は、ヘテロ原子を含まない前記遷移金属の有機カルボン酸塩(酢酸塩等)で
ある、請求項
8または
9に記載の方法。
【請求項11】
前記遷移金属源と前記多塩基性有機カルボン酸との質量比は、約1:0.1~約1:10、好ましくは約1:0.5~約1:5、より好ましくは約1:0.8~約1:3である、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記遷移金属源と前記多塩基性有機カルボン酸と前記窒素含有有機化合物との質量比は、約1:0.1~100:0.1~100、好ましくは約1:0.5~5:0.5~5、より好ましくは約1:0.8~2:1~2である、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
工程i)で使用される前記溶媒は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノールおよびイソプロパノールからなる群から選択される1種以上であり、好ましくは水、エタノールまたはこれらの組み合わせから選択され、最も好ましくは水であり;
工程iii)において、前記不活性保護雰囲気は窒素またはアルゴンであり、かつ前記還元雰囲気は不活性ガスおよび水素の混合ガスであり、前記高温熱分解は、約0.5℃/分~約30℃/分の加熱速度で温度維持段階の温度まで加熱し、次いで前記温度維持段階で約20分間~約600分間温度を一定に保ち、前記温度維持段階で採用される温度は、約400℃~約800℃であり、好ましくは、前記加熱速度は約1℃/分~約10℃/分であり、前記温度は前記温度維持段階で約60分間~約480分間一定に保たれ、かつ前記温度維持段階で採用される温度は約500℃~約800℃であり;および/または
工程iv)で使用される前記非酸化性強酸は、フッ化水素酸、塩酸、硝酸および硫酸からなる群から選択される1種以上であり、好ましくは塩酸および/または硫酸である、請求項
8~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
揮発性有機化合物を前記ナノ複合材料と接触させ、接触酸化反応を行うことを含む、揮発性有機化合物の処理における触媒としての請求項1~
7のいずれか1項に記載のナノ複合材料の使用。
【請求項15】
水素化還元反応における触媒としての請求項1~
7のいずれか1項に記載のナノ複合材料の使用であって、好ましくは、前記水素化還元反応は、p-クロロアニリンを生成するためのp-クロロニトロベンゼンの水素化反応、アニリンを生成するためのニトロベンゼンの水素化反応、アミノフェノールを生成するためのニトロフェノールの水素化反応、p-アニシジンを生成するためのp-ニトロアニソールの水素化反応、シクロヘキサノールを生成するためのフェノールの水素化反応、オレフィンの水素化反応、シクロヘキサン誘導体を生成するための芳香族炭化水素の水素化反応、アルコールを生成するためのアルデヒドの水素化反応、およびアルコールを生成するためのケトンの水素化反応からなる群から選択される、使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2017年7月28日に出願された、発明の名称が「炭素および遷移金属の複合材料、その製造およびその応用」である特許出願第201710627278.5号の優先権を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本出願は、炭素被覆金属ナノ複合材料の分野に関し、特に、炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料、その製造およびその応用に関する。
【0003】
〔背景技術〕
カーボンファイバー、ナノダイヤモンド、カーボンナノチューブ、および(酸化された)グラフェン等のナノカーボン触媒は、接触脱水素化、酸化脱水素化、ハロゲン化、ヒドロキシル化、炭化水素のアルキル化、ならびにアルデヒドおよびケトンの液相酸化および縮合等の一連の反応に対して、触媒作用的活性があることが見出された。一方、ナノカーボン材料は、非金属材料として、酸やアルカリに対する耐食性、安定した化学的性質等の利点を有する。ナノカーボン触媒の活性部位は、主に炭素材料の構造欠陥およびヘテロ原子官能基であり、従って、ナノカーボン触媒の触媒活性を改善するためには、構造欠陥およびヘテロ原子官能基の数を増加させなければならない。しかし、そのような増加は、材料の安定性を低下させるだろう。
【0004】
遷移金属ナノ材料は、その優れた光学的、電気的、磁気的および触媒的特性のために広く関心が持たれているが、遷移金属ナノ粒子の高い反応性のために、遷移金属ナノ粒子は、凝集または酸化され易く、空気中で自然に燃焼することさえあり、このことは、このような材料の性能および応用に大きな影響を及ぼす。
【0005】
遷移金属ナノ材料は、高い触媒活性および乏しい安定性を有する。一方、ナノカーボン材料は、良好な化学的安定性を有するが、それらの触媒活性に対してさらなる改善を必要とすることが分かる。従って、2つの材料を適切に組み合わせることで、新たな相乗効果が生じ得、その結果、独自の性能を有する新規な材料を得ることができる。
【0006】
近年、ナノカーボン被覆金属複合材料が注目されている。このような材料は、1種以上の湾曲した黒鉛化炭素層で形成されたシェルによって緊密に被覆された金属ナノ粒子のコアを含み、金属ナノ粒子が外側から隔離された状態である。その結果、複合材料の安定性が大幅に改善される。そのため、独特のコア-シェル構造を有するこのようなナノ材料は、触媒材料、吸波材料、情報記憶材料、磁気光学材料、生物医学材料、潤滑油添加剤等の分野における、幅広い応用の見込みがある。
【0007】
現在、遷移金属を炭素材料で被覆することがいくつかの関連文献で報告されているが、既存の材料の実用化においては、物質移動効率が低い、炭素被覆率が低いことに起因する使用時の不安定性等の様々な問題に直面している。さらに、それらの製造プロセスにおいては、過酷な製造条件、プロセスの複雑さ、低い被覆率、緊密でない被覆、ならびに酸素含有基を導入するために必要とされる硝酸処理によって引き起こされる炭素コーティング層の損傷のし易さおよび金属コアへの悪影響等の多くの問題が存在する。その結果、それらは工業的な製造および応用に適用できない。
【0008】
現在、当該技術分野で知られている炭素被覆金属ナノ粒子の製造方法には、主に、アーク法、化学気相蒸着(CVD)法、高温熱分解法、ゾルゲル法等が含まれる。
【0009】
アーク法は、使用する装置が複雑である、操作性が悪い、エネルギー消費が大きいという欠点があり、材料の大規模製造には不利である。CVD法は、アーク法と比較して、コストが低く、収率が高く、生産性が高いが、あらかじめ均一な大きさで分散性の良い金属またはその化合物のナノ粒子を製造する必要があるという問題があり、得られる製品には、産生されたカーボンナノチューブおよび非晶質炭素の粒子が付随することが多い。
【0010】
CVD法と同様に、熱分解法の製品の構造および特性は、前駆体材料によって大きく影響される。しかし、熱分解法は、プロセスが簡単で、コストが低く、収率が高く、金属含有量が制御可能である等の利点があり、現在、大規模生産が見込まれる方法の1つである。熱分解法は、主に2つの主なタイプに分けることができ、第1のタイプの方法は、窒素原子を含む炭素源(例えば、ジシアノジアミン、メラミン、高温で容易にメラミンに変換可能な尿素等)と金属源とを直接混合する工程、次いで、不活性または還元性雰囲気下で、混合物を高温熱分解に供する工程を含む。この方法は、黒鉛化効率が低く、シアナミドリガンドの消費が多く、被覆効果が不十分であるという欠点を有する。さらに、この方法はまた、カーボンナノチューブの製造を促進する。別のタイプの方法は、前駆体として、特徴的な反応において金属イオンと窒素含有有機リガンドとの自己集合での結合による周期構造を有する結晶性固体材料(すなわち、金属-有機骨格化合物、MOF)を形成する工程を含む。シアナミドの熱分解法とは異なり、MOF中の金属は原子レベルで均一に分散しているため、MOFは熱分解の理想的な前駆体と考えられ、近年、この分野で話題の研究対象となっている。このような前駆体の製造は、一般に、有機溶媒の使用、ならびに高温および高圧下の反応容器中で行われる反応を必要とする。例えば、中国特許出願公開第CN105965009A号は、高温および高圧条件下で、メタノールおよび水を溶媒として使用し、Ni2+をアスパラギン酸および4,4’-ビピリジンリガンドと配位させ、前駆体を生成する工程、および不活性雰囲気中で前駆体を高温熱分解に供する工程を含む、炭素被覆ニッケルナノ粒子の製造方法を開示している。参考文献「Mesoporous Ni@C hybrids for a high energy aqueousasymmetric supercapacitor device,Electronic Supplementary Material (ESI) for Journal of Materials Chemistry A, 2016, 4, 9670-9676 (DOI: 10.1039/c6ta02339h)」では、炭素源としてイミノ二酢酸、金属源としてNi(NO3)2を用いて、高温および高圧条件下で、自己集合前駆体を生成し、次いで、Ar雰囲気下で前駆体を高温熱分解に供することにより、炭素被覆ニッケルナノ粒子を製造している。参考文献「MOF-derived Ni-based nanocomposites as robust catalyst for chemoselective hydrogenation of functionalized nitro compounds, Bo Tang et. al., RSC Advances, 2017, 7, 1531-1539」は、最初に、高温および高圧条件下で、窒素を含まない有機リガンドを使用して、有機金属骨格前駆体(MOF)を組み立てる工程、次いで、前駆体を高温熱分解に供する工程を含む、多孔質炭素被覆ニッケルナノ粒子複合材料の合成方法を開示している。しかしながら、一般にMOFの製造において、条件は比較的厳しく、使用されるリガンドは高価であり、大量生産を行うことは困難である。さらに、これらの方法は、炭素源として大量の有機化合物の消費を必要とし、従って、効率が低い。かつ、製造された炭素被覆材料の炭素層はより多くの細孔を有し、結果として、コア金属の被覆率が不十分であり、酸浸出における金属の損失がより高い。その結果、当該材料は、使用において不安定である。
【0011】
ゾルゲル法は、ある弱酸とあるカチオンとのキレート化合物を形成し、キレート化合物をポリオールと重合させて固体のポリマー樹脂を形成し、次いで、得られた樹脂を焼成することによって粉末を製造するために使用される。このような方法では、有機酸との化学反応により、ポリマー樹脂中に金属イオンが均一に分散するため、原子レベルで確実に混合することができる。中国特許出願公開第CN105032424A号は、pechini型ゾルゲル法を開示しており、この方法は、配位化合物を含有する水中に、活性金属の前駆体を分散させる工程、ポリオール水溶液および高分子補助剤を添加する工程、担体を添加する工程、分散のために攪拌する工程、水熱反応を行う工程、下層中の固体を分離する工程、および不活性雰囲気中で焼成して、炭素で被覆された活性金属を含む触媒を得る工程を含む。MOF法と同様に、ゾルゲル法もまた、溶媒中で固体の配位ポリマーを製造する必要があり、このような方法によって得られる複合材料の金属粒子は、緊密に被覆されていない。さらに、この方法は、高分子補助剤の使用を必要とし、プロセスが複雑である。
【0012】
メソ細孔材料は一般に、細孔径が2~50nmである細孔構造を有する多孔質材料のクラスを指す。メソ細孔材料は、マクロ分子の分離、吸着および触媒反応において、良好な役割を果たすことができ、ドメイン制限された触媒作用のためのマイクロリアクターとして働くことができる。高い水熱安定性、強い疎水性、有機親和性等の特性のために、メソ細孔炭素材料は、水素化、酸化、分解等の反応において独特の利点を有する。炭素被覆遷移金属材料をメソ細孔構造で製造することができれば、それらの物質移動効率を明らかに改善することができ、それらの機能性能を改善することができ、それらの応用を拡大することができる。現在、メソ細孔炭素材料の製造方法は、主に触媒活性化法、オルガノゲル炭化法およびテンプレート法を含むが、これらの方法は、製造プロセスが依然として複雑すぎる。
【0013】
従来技術で知られている炭素被覆遷移金属材料およびその製造方法は、それぞれの欠点を有する。そのため、依然として、コア金属が炭素層でより良好に被覆され、酸浸出における損失がより低い炭素被覆遷移金属ナノ材料が必要とされており、炭素被覆遷移金属ナノ材料はメソ細孔に富む構造を有することがより望ましい。一方で、炭素源である前駆体の消費が低く、効率が高く、特に、常圧下で、水相中で有機金属前駆体を純粋に製造することができ、より望ましくは、細孔、特にメソ細孔に富む構造を有する炭素被覆遷移金属ナノ材料を高温熱分解によって製造することができる、より単純かつより費用効果の高い炭素被覆遷移金属ナノ材料の製造方法も必要とされている。
【0014】
さらに、工業排ガスは、揮発性有機化合物(VOC)を含むことが多く、これは、一般に、常温で約70Pa超の飽和蒸気圧を有し、常圧で250℃未満の沸点を有する有機化合物、例えばアルカン、芳香族化合物、エーテルアルコール、ハロゲン化炭化水素等を指す。VOCの生成および排出は、化学工業および石油化学工業において最も一般的であり、また、世間で容易に遭遇し得る(例えば、装飾中に生成されるホルムアルデヒド等)。例えば、市販のn-ブタンから無水マレイン酸を製造する場合、上述のVOCが原料として生成され、大気中の酸素分を、触媒に対して100%で製品に変換させることはできない。VOCは光化学スモッグの主な原因の1つとなっており、窒素酸化物、吸入性粒子等と共に、大気の品質管理に関わる重要な汚染物質であると考えられている。さらに、VOCは、高い毒性、発がん性等、いくつかの他の側面において有害である。そのため、揮発性有機化合物を処理するための優れた性能を有する接触酸化材料が、緊急に必要とされている。
【0015】
さらに、従来技術においてニトロベンゼンの水素化を触媒するために使用される触媒は、主に、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、およびロジウム(Rh)等の貴金属をベースとする触媒、ならびに銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉛(Zn)、およびモリブデン(Mo)等の非貴金属をベースとする触媒を含む。現在、ラネーNi触媒は、その低価格および比較的高い触媒活性のために、ニトロベンゼン化合物の水素化還元を触媒してアニリン化合物を生成するために、工業的に最も一般的に使用される触媒である。しかしながら、ラネーNi触媒は、例えば、骨格ニッケルが大気中での発火に非常に弱いために貯蔵できない、水素化の作業場に水素が存在するために爆発が起こり易い、反応副生成物の量が比較的多い、生成物の収率が低い、触媒活性が比較的低い等の多くの欠点を依然として有する。そのため、水素化還元反応、特にニトロベンゼン水素化反応を触媒するのに適した、高い安定性および触媒活性を有する触媒材料が依然として必要とされている。
【0016】
前記背景技術の項で開示された情報は、本出願の背景技術の理解を助ける目的のためにのみ提供されたものであり、そのため、当業者に知られている従来技術を構成しない情報を含み得ることに留意されたい。
【0017】
〔発明の概要〕
従来技術の問題を解決するために、本出願は、コア-シェル構造を有する炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料を提供する。ここで、遷移金属ナノ粒子コアは、黒鉛化炭素シェル層によって緊密に被覆され、その結果、使用中のコア中の遷移金属の損失が低減され、材料性能の安定性がより良好に維持され、材料の安全性が保証される。特に、当該材料はまた、メソ細孔に富む構造を有することができ、その結果、物質移動効率を改善することができる。一方、本出願はまた、簡単で、環境に優しく、効率的な炭素被覆遷移金属ナノ複合材料の製造方法を提供する。ここで、目的とするナノ複合材料の前駆体は、常圧で簡単に混合することによって得ることができ、前駆体の製造は、水相中で純粋に行うことができる。
【0018】
一態様において、本出願は、
炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料であって、
炭素被覆遷移金属粒子は、コア-シェル構造を有し、
シェル層は、酸素および/または窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、
コアは、遷移金属ナノ粒子であり、
ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを少なくとも1つ有する多孔質材料であるナノ複合材料を提供する。
【0019】
好ましくは、ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを2つ以上有する多孔質材料である。
【0020】
好ましくは、ナノ複合材料の酸浸出における損失は、40%以下、より好ましくは30%以下、特に好ましくは10%以下である。
【0021】
好ましくは、ナノ複合材料は、非晶質炭素マトリクスをさらに含み、炭素被覆遷移金属粒子は、非晶質炭素マトリクス中に分散され、より好ましくは、ナノ複合材料は、非晶質炭素マトリクスおよびその中に分散された炭素被覆遷移金属粒子からなる。
【0022】
好ましくは、ナノ複合材料のメソ細孔容積の割合は、約50%超、より好ましくは約80%超、さらにより好ましくは約90%超、特に好ましくは約95%超であり、最も好ましくは約100%であり、より好ましくは、前記ナノ複合材料のメソ細孔容積は、約0.05cm3/g~約1.25cm3/gである。
【0023】
別の態様において、本出願は、
炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料であって、
炭素被覆遷移金属粒子は、コア-シェル構造を有し、
シェル層は、酸素および/または窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、
コアは、遷移金属ナノ粒子であり、
ナノ複合材料の酸浸出における損失は、10%以下であるナノ複合材料
を提供する。
【0024】
好ましくは、ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを少なくとも1つ有する多孔質材料であり、より好ましくはメソ細孔の分布ピークを2つ以上有する多孔質材料である。
【0025】
好ましくは、ナノ複合材料は、非晶質炭素マトリクスをさらに含むナノ複合材料であって、炭素被覆遷移金属粒子は、非晶質炭素マトリクス中に分散され、より好ましくは、ナノ複合材料は、前記非晶質炭素マトリクスおよびその中に分散された炭素被覆遷移金属粒子からなる。
【0026】
好ましくは、ナノ複合材料のメソ細孔容積の割合は、約50%超、より好ましくは約80%超、さらにより好ましくは約90%超、特に好ましくは約95%超であり、最も好ましくは約100%であり、好ましくは、前記ナノ複合材料のメソ細孔容積は、約0.05cm3/g~約1.25cm3/gである。
【0027】
既存の炭素被覆遷移金属ナノ複合材料と比較して、本出願に係るナノ複合材料は、以下の利点のうちの1つ以上を提供することができる:
1)本出願に係るナノ複合材料は、緊密に被覆された黒鉛化炭素層/金属のコア-シェル構造を有し、反応物の遷移金属コアへのアクセスを可能にする細孔チャネルまたは欠陥を有さず、その結果、コア中の遷移金属材料は非常に安定であり、自己引火性がなく、酸腐食に対する耐性があり、より危険性がなく、保管および輸送が容易である。そのため、複合材料の使用における安全性が保証される。
【0028】
2)本出願に係るナノ複合材料は、メソ細孔に富む構造を有し、これは、反応中の反応物および生成物の物質移動および拡散に有益である。ナノ複合材料中の炭素材料は、それ自体に触媒活性を有し、遷移金属との相乗効果を提供することができ、その結果、より高い物質移動効率を達成することができる。特に、ナノ複合材料は、マルチレベルのメソ多孔質構造を有することができ、それによって、より多様な特性をナノ複合材料に付与し、より多くの応用に適したナノ複合材料とする。
【0029】
3)本出願に係るナノ複合材料は、黒鉛化炭素層で被覆された強磁性金属コアを含み、高度な多孔質の構造を有し、その結果、ナノ複合材料は、より良好な、磁気分離機能および吸着機能の組み合わせを提供し、吸着分離の分野での使用に特に適する。
【0030】
4)本願に係るナノ複合材料は、様々な有機反応の触媒として使用することができ、反応における触媒効率を向上させるのに有益である。接触水素化反応に使用される場合、ナノ複合材料は、良好な再現性、高い活性、高い選択性等の利点を示し、工業的用途の見通しが良好である。接触酸化触媒として使用される場合、ナノ複合材料は、良好な低温活性を示し、これは、触媒の燃焼を通じて工業排ガス中に存在する揮発性有機化合物を完全に除去するために、非常に重要である。
【0031】
5)本出願に係るナノ複合材料は、空気中で自己引火性ではないため、接触酸化、接触水素化等の反応におけるナノ複合材料の使用性能に悪影響を及ぼすことなく、一般的な物品のように長時間、大気中で保存することができる。
【0032】
6)本出願に係るナノ複合材料の製造において、ドープ元素の含有量を調整することができ、硝酸処理等の手段により酸素元素を導入する必要がなく、黒鉛化炭素層の電子特性を調整することができるので、ナノ複合材料は、種々の反応を触媒するのに適している。
【0033】
さらに別の態様において、本出願は、
i)遷移金属源および多塩基性有機カルボン酸を含む混合物を、溶媒と混合し、均質な溶液を形成する工程と、
ii)前記均質な溶液から溶媒を除去し、前駆体を得る工程と、
iii)不活性保護雰囲気下または還元雰囲気下で、前記前駆体を高温熱分解に供する工程と、
iv)任意で、工程iii)で得られた熱分解生成物を非酸化性強酸での処理に供する工程と、
を含む、炭素被覆された遷移金属粒子を含むナノ複合材料の製造方法
を提供する。
【0034】
好ましくは、本方法の工程i)で使用される混合物は、多塩基性有機カルボン酸とは異なる窒素含有有機化合物および/または酸素含有有機化合物、ならびに任意で、追加の有機化合物をさらに含み、ここで、窒素含有有機化合物は、好ましくは尿素、メラミン、ジシアノジアミン、ヘキサメチレンテトラミンおよびアミノ酸からなる群から選択される1種以上であり、かつ好ましくは、前記酸素含有有機化合物は、ポリオールおよび有機カルボン酸(乳酸等)から選択される。
【0035】
好ましくは、遷移金属源は、遷移金属の有機酸塩、カーボネート、塩基性カーボネート、酸化物、および水酸化物からなる群から選択される1種以上であり、より好ましくは、遷移金属の有機酸塩は、遷移金属のヘテロ原子を含まない有機カルボン酸塩(酢酸塩等)である。
【0036】
さらに好ましくは、多塩基性有機カルボン酸は、クエン酸、マレイン酸、トリメシン酸、テレフタル酸、リンゴ酸、EDTA、およびジピコリン酸からなる群から選択される1種以上である。
【0037】
好ましくは、工程iv)で使用される前記非酸化性強酸は、フッ化水素酸、塩酸、硝酸および硫酸からなる群から選択される1種以上であり、より好ましくは塩酸および/または硫酸である。
【0038】
既存の炭素被覆遷移金属ナノ複合材料の製造方法と比較して、本出願に係る方法は、以下の利点のうちの1つ以上を提供することができる:
1)本出願に係る方法は、溶媒(例えば、水)中で、遷移金属源と多塩基性有機カルボン酸とを均一に混合することによって得られる前駆体を直接高温熱分解に供するので、より単純かつより効率的であり、前駆体中の遷移金属の原子利用率は100%であり得る。
【0039】
2)本出願に係る方法は、より良好な被覆効果を提供することができ、金属有機骨格構造を有する前駆体の製造における従来技術の以下の欠点、すなわち、自己集合反応における高温高圧反応釜の必要性、大量の有機溶媒の浪費、精製の複雑さ等を克服することができる。ゾルゲル法と比較して、本出願に係る方法では、高分子補助剤を必要とせず、反応工程を簡略化することができる。
【0040】
4)本出願に係る方法によって製造されたナノ複合材料において、ナノ金属粒子は、黒鉛化炭素層でより緊密に被覆され、その結果、より厳しい条件下でナノ複合材料を使用することができる。
【0041】
5)本出願に係る方法において、黒鉛化炭素層中のドープ元素の含有量を調整することができ、硝酸処理等の手段により酸素元素を導入する必要がなく、黒鉛化炭素層の電子特性を調整することができるので、得られるナノ複合材料は、種々の反応を触媒するのに適している。
【0042】
さらに別の態様において、本出願は、本出願に係る方法によって製造された、炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料を提供する。
【0043】
さらなる態様において、本出願は、揮発性有機化合物の処理および水素化還元反応における触媒としての本出願に係るナノ複合材料の使用を提供する。
【0044】
好ましくは、揮発性有機化合物の処理における前記使用は、揮発性有機化合物をナノ複合材料と接触させ、接触酸化反応を行うことを含む。
【0045】
好ましくは、水素化還元反応における前記使用は、p-クロロアニリンを生成するためのp-クロロニトロベンゼンの水素化反応、アニリンを生成するためのニトロベンゼンの水素化反応、アミノフェノールを生成するためのニトロフェノールの水素化反応、p-アニシジンを生成するためのp-ニトロアニソールの水素化反応、シクロヘキサノールを生成するためのフェノールの水素化反応、オレフィンの水素化反応、シクロヘキサン誘導体を生成するための芳香族炭化水素の水素化反応、アルコールを生成するためのアルデヒドの水素化反応、およびアルコールを生成するためのケトンの水素化反応からなる群から選択される反応における使用を含む。
【0046】
〔図面の簡単な説明〕
本明細書の一部を形成する図面は、本出願の理解を助けるために提供され、限定的であると考えられるべきではない。本出願は、以下の詳細な説明と共に図面を参照して、解釈することができる。図面中:
第I部
図1-1は、実施例1-1で得られた前駆体のX線回析(XRD)パターンを示す。
【0047】
図1-2は、実施例1-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の磁気試験の写真を示す。
【0048】
図1-3は、実施例1-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。
【0049】
図1-4は、実施例1-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0050】
図1-5Aは、実施例1-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のN
2吸脱着の等温線を示す図である。
【0051】
図1-5Bは、実施例1-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【0052】
図1-6は、実施例1-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0053】
図1-7は、実施例1-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0054】
図1-8は、実施例1-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【0055】
図1-9は、実施例1-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0056】
図1-10は、実施例1-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0057】
図1-11は、実施例1-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【0058】
図1-12は、実施例1-4で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0059】
図1-13は、実施例1-5で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0060】
図1-14は、実施例1-6で得られた炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0061】
図1-15は、実施例1-6で得られた炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0062】
図1-16は、実施例1-6で得られた炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【0063】
図1-17は、実施例1-7で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0064】
図1-18は、実施例1-7で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0065】
図1-19は、実施例1-7で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【0066】
図1-20は、実施例1-8で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0067】
図1-21は、実施例1-8で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0068】
図1-22は、実施例1-9で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0069】
図1-23は、実施例1-9で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0070】
図1-24は、実施例1-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の磁気試験の写真を示す。
【0071】
図1-25は、実施例1-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0072】
図1-26は、実施例1-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0073】
図1-27は、実施例1-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【0074】
図1-28は、比較例1-4で得られたナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0075】
第II部
図2-1は、実施例2-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の磁気試験の写真である。
【0076】
図2-2は、実施例2-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像である。
【0077】
図2-3は、実施例2-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0078】
図2-4Aは、実施例2-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のN
2吸脱着の等温線を示す図である。
【0079】
図2-4Bは、実施例2-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【0080】
図2-5は、実施例2-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0081】
図2-6は、実施例2-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0082】
図2-7は、実施例2-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【0083】
図2-8は、実施例2-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0084】
図2-9は、実施例2-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0085】
図2-10は、実施例2-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【0086】
図2-11は、実施例2-1で得られた前駆体のXRDパターンを示す。
【0087】
図2-12は、実施例2-4で得られた炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0088】
図2-13は、実施例2-4で得られた炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0089】
図2-14は、実施例2-4で得られた炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【0090】
図2-15は、実施例2-5で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0091】
図2-16は、実施例2-5で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0092】
図2-17は、実施例2-6で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0093】
図2-18は、実施例2-6で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0094】
図2-19は、実施例2-7で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0095】
図2-20は、実施例2-7で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0096】
図2-21は、実施例2-8で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0097】
図2-22は、実施例2-8で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0098】
図2-23は、実施例2-8で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【0099】
図2-24は、実施例2-9で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0100】
図2-25は、実施例2-9で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0101】
図2-26は、実施例2-9で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【0102】
図2-27は、実施例2-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の磁気試験の写真を示す。
【0103】
図2-28は、実施例2-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【0104】
図2-29は、実施例2-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【0105】
図2-30は、実施例2-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【0106】
第III部
図3-1は、実施例3-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P2のXRDパターンを示す。
【0107】
図3-2Aは、実施例3-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P2のN
2吸脱着の等温線を示す図である。
【0108】
図3-2Bは、実施例3-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P2の細孔径分布曲線を示す図である。
【0109】
図3-3は、実施例3-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P2の走査型電子顕微鏡(SEM)画像および透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。
【0110】
図3-4は、実施例3-2で得られた前駆体の熱重量-示差熱分析曲線(TG-DTA)を示す図である。
【0111】
図3-5は、実施例3-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P4のXRDパターンを示す。
【0112】
図3-6は、実施例3-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P4のX線光電子分光法(XPS)スペクトルを示す。
【0113】
図3-7Aは、実施例3-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P4のN
2吸脱着の等温線を示す図である。
【0114】
図3-7Bは、実施例3-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P4の細孔径分布曲線を示す図である。
【0115】
〔発明の詳細な説明〕
以下、具体的な本出願の実施形態および添付の図面を用いて、本出願をさらに詳細に説明する。なお、本出願の具体的な実施形態は、例示する目的でのみで提供され、いかなる方法でも限定的であることを意図しない。
【0116】
本出願の文脈において、明示的に記載された事項に加えて、言及されていない事項は、いかなる変更もなく、当技術分野で知られているものと同じであると見なされる。さらに、本明細書に記載のいずれの実施形態も、本明細書に記載の他の1つまたは複数の実施形態と自由に組み合わせることができ、こうして得られた技術的解決手段またはアイデアは、本出願の元の開示または元の記載の一部と見なされ、そのような組み合わせが明らかに不合理であることが当業者に明らかでない限り、本明細書において開示または予想されていない新規な事項であると見なされるべきではない。
【0117】
また、本明細書に開示されている数値は、実施した例において具体的に開示されている数値のみならず、本明細書に記載されている数値範囲の端点も含み、これらの数値の任意の組み合わせによって得られる範囲は、本出願において開示または列挙されたものとみなされるべきである。別段の指示がない限り、本明細書で定義される数値範囲は、それらの端点を含む。
【0118】
本明細書で使用されるように、用語「含む(comprise(s)/comprising)」および「含む(include(s)/including)」は、「含むが、これに限定されない」とのフレーズと実質的に同等であるオープンエンドの表現である。
【0119】
本明細書で使用されるように、単数形(a, an, the)は、文脈において別段の明確な指示がない限り、複数の態様を含む。従って、例えば、「物(a thing)」に言及する場合、「物(a thing)」は、実施例および図面を参照して実質的に上述される、すべての実施形態および変形におけるような、「物」を、2つ以上含み得る。
【0120】
本明細書で引用されるすべての特許および非特許文献は、教科書および雑誌記事等を含むがこれらに限定されず、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0121】
〔用語の定義〕
特に断らない限り、本明細書で使用される用語は、以下の意味を有すると理解されるべきである。本明細書で直接定義されない用語のいずれも、本出願が属する技術分野における、共通の理解に対応する意味を有すると理解されるべきである。
【0122】
本明細書の文脈において、用語「炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料」および「炭素被覆遷移金属ナノ複合材料」は、互換可能に使用され、「コア-シェル構造」を有する炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料を指す。
【0123】
本明細書で使用される用語「コア-シェル構造」は、遷移金属ナノ粒子であるコアと、遷移金属ナノ粒子の外面を黒鉛化炭素材料で覆うことによって形成される黒鉛化炭素層であるシェル(すなわち、外層)と、を有する複合構造を指す。
【0124】
本明細書で使用される用語「黒鉛化炭素層」は、高分解能透過型電子顕微鏡(層間距離:約0.34nm)下で、非晶質構造ではなく、層状構造として明確に観察することができる炭素構造を指す。遷移金属ナノ粒子を黒鉛化炭素層で被覆して形成される複合材料は、一般に球状または準球状である。
【0125】
本明細書で使用される表現「酸素および/または窒素でドープされた黒鉛化炭素層」は、前記黒鉛化炭素層が「酸素でドープされた黒鉛化炭素層」または「酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層」であることを意味し、これは、一般に、少量の水素でさらにドープされていてもよい。
【0126】
本明細書で使用される「酸素でドープされた黒鉛化炭素層」における「酸素」は、任意の形態で黒鉛化炭素層中に存在する酸素元素を含む、酸素元素を指す。ナノ複合材料の「酸素含有量」は、酸素元素の含有量、すなわち、様々な形態で存在する酸素元素の合計含有量を指す。
【0127】
本明細書で使用される「酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層」における「酸素」および「窒素」は、それぞれ、任意の形態で黒鉛化炭素層中に存在する酸素元素および窒素元素を含む、酸素元素および窒素元素を指す。ナノ複合材料の「酸素含有量」は、酸素元素の含有量、すなわち、様々な形態で存在する酸素元素の合計含有量を指し、同様に、ナノ複合材料の「窒素含有量」は、窒素元素の含有量、すなわち、様々な形態で存在する窒素元素の合計含有量を指す。
【0128】
本明細書中で使用される用語「メソ細孔」は、2nm~50nmの範囲の細孔径を有する細孔を指す。
【0129】
本明細書中で使用される、2nm未満の細孔径を有する細孔は、ミクロ細孔として定義され、一方、50nmを超える細孔径を有する細孔は、マクロ細孔として定義される。
【0130】
本明細書で使用される用語「メソ細孔の分布ピーク」は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法による脱着曲線から計算によって得られる細孔径分布曲線上で観察されるメソ細孔の分布ピークを指す。
【0131】
本明細書で使用される用語「炭素被覆率」は、高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)によって観察することができる、黒鉛化炭素層によって効果的に被覆される遷移金属ナノ粒子の割合を定義するために使用される。
【0132】
本明細書で使用される用語「炭素被覆の緊密度」は、酸浸出試験の結果によって特徴付けることができる、黒鉛化炭素層によって外部環境から隔離された遷移金属ナノ粒子の割合を定義するために使用される。
【0133】
本明細書で使用される用語「酸処理」は、炭素被覆遷移金属ナノ複合材料の製造中に、高温熱分解工程後に得られる熱分解生成物に対して、非酸化強酸処理することを指し、この処理は、ナノ複合材料の製造における任意の工程であり、すなわち、前記処理は、存在する場合、製造の一部をなす。
【0134】
本明細書で使用される用語「酸浸出」は、炭素被覆遷移金属ナノ複合材料を、硫酸水溶液で処理して、「酸浸出における損失」を測定する工程を指し、これは、炭素被覆遷移金属ナノ複合材料の製造の一部をなさない。
【0135】
本明細書で使用される用語「酸浸出における損失」は、炭素被覆遷移金属ナノ複合材料の酸浸出後の遷移金属の損失率を指し、これは、黒鉛化炭素層による遷移金属ナノ粒子の被覆の緊密度を反映するために使用される。遷移金属ナノ粒子が黒鉛化炭素層によって緊密に被覆されていない場合、酸へ溶解することで、酸浸出後にコア中の遷移金属の損失が起こり得る。酸浸出における損失が大きいほど、遷移金属ナノ粒子の黒鉛化炭素層による被覆の緊密度は低く、逆に、酸浸出における損失が小さいほど、遷移金属ナノ粒子の黒鉛化炭素層による被覆の緊密度は高い。
【0136】
本出願において、酸浸出における損失が10%以下であるナノ複合材料は、「緊密に被覆されたナノ複合材料」と定義される。酸浸出における損失が10%以下であることは、ナノ複合材料に含まれる炭素被覆遷移金属粒子が、緊密に被覆されたコア-シェル構造を有すること、すなわち、遷移金属ナノ粒子が、黒鉛化炭素層によって緊密に被覆され、外側から実質的に隔離されていることを示す。
【0137】
第1の態様において、本出願は、炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料であって、炭素被覆遷移金属粒子はコア-シェル構造を有し、シェル層は酸素および/または窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、コアは遷移金属ナノ粒子であり、ナノ複合材料はメソ細孔の分布ピークを少なくとも1つ有する(すなわち、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法による脱離曲線からの計算によって得られるナノ複合材料の細孔径分布曲線において、メソ細孔の分布ピークが少なくとも1つ存在する)多孔質材料であるナノ複合材料を提供する。
【0138】
好ましい実施形態において、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素でドープされた黒鉛化炭素層であり、当該シェル層は、水素および酸素以外の元素でドープされていなくてもよい。
【0139】
別の好ましい実施形態において、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、水素、酸素および窒素以外の元素でドープされていなくてもよい。
【0140】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを2つ以上有する多孔質材料である。
【0141】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料の酸浸出における損失は、40%以下、例えば、約10%~約20%、約20%~約30%、または約30%~約40%、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下であり得る。上述のように、酸浸出による損失は、遷移金属コアの黒鉛化炭素層による被覆の緊密度を反映し、酸浸出における損失が小さいほど、被覆の緊密度が高いことを示す。
【0142】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料は、非晶質炭素マトリクスをさらに含み、炭素被覆遷移金属粒子は、非晶質炭素マトリクス中に分散されていてもよい。より好ましくは、ナノ複合材料は、非晶質炭素マトリクスおよびその中に分散された炭素被覆遷移金属粒子からなる。
【0143】
特に、本出願に係るナノ複合材料は、カーボンナノチューブを全く含まない。
【0144】
好ましい実施形態において、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素でドープされた黒鉛化炭素層であり、ナノ複合材料は、2~7nmの細孔径範囲におけるメソ細孔の分布ピークおよび8~20nmの細孔径範囲におけるメソ細孔の分布ピークを有する;または炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、ナノ複合材料は、2~5nmの細孔径範囲におけるメソ細孔の分布ピークおよび6~15nmの細孔径範囲におけるメソ細孔の分布ピークを有し、さらに好ましくは、ナノ複合材料の合計細孔容積に対する、2~5nmの細孔径範囲におけるメソ細孔容積の割合が、約5%超、例えば約10%~約30%である。
【0145】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料のメソ細孔容積の割合は、合計細孔容積に対して、約50%超、より好ましくは約80%超、さらにより好ましくは約90%超、特に好ましくは約95%超、最も好ましくは約100%である。合計細孔容積に対するメソ細孔容積の割合を制御することによって、複合材料は、メソ細孔に富む構造を有することができ、それによって、より高い物質移動効率を提供する。
【0146】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料のメソ細孔容積は、約0.05cm3/g~約1.25cm3/gである。いくつかの特定の実施形態において、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層が酸素でドープされた黒鉛化炭素層である場合、ナノ複合材料のメソ細孔容積は、約0.30cm3/g~約0.50cm3/gであってもよい。他の特定の実施形態において、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層が酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層である場合、ナノ複合材料のメソ細孔容積は、約0.10cm3/g~約0.30cm3/gであってもよい。
【0147】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料の比表面積は、約140m2/g超、好ましくは約200m2/g超である。
【0148】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料の炭素含有量は、約10.0質量%~約60.0質量%であり、かつ遷移金属含有量は約30.0質量%~約85.0質量%である。いくつかの特定の実施形態において、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層が酸素でドープされた黒鉛化炭素層である場合、ナノ複合材料の炭素含有量は、約15.0%~約40.0%であり、かつ遷移金属含有量は約50.0%~約80.0%であってもよく、あるいは、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層が酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層である場合、ナノ複合材料の炭素含有量は、約30.0%~約50.0%であり、かつ遷移金属含有量は約30.0%~約60.0%であってもよい。
【0149】
好ましい実施形態において、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素でドープされた黒鉛化炭素層であり、ナノ複合材料の酸素含有量は、約15.0質量%未満、好ましくは約1.0%~約10.0%、より好ましくは約0.2%~約5.0%であり、あるいは、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、ナノ複合材料の窒素および酸素の合計含有量は、約15.0質量%未満、好ましくは約0.2%~約12.0%、より好ましくは約0.5%~約10.0%、さらに好ましくは約0.1%~約10%、特に好ましくは約1%~約5%である。
【0150】
いくつかの特定の実施形態において、黒鉛化炭素層は、水素でさらにドープされてもよく、ナノ複合材料の水素含有量は、約0.2~2質量%である。
【0151】
特定の実施形態において、本出願に係るナノ複合材料中、遷移元素は、還元状態(例えば、0価状態)で存在する、すなわち、酸化状態(例えば、酸化物)で存在する遷移金属元素は、存在しない。
【0152】
特に、本出願に係るナノ複合材料中の各成分の含有量の合計は、100%である。
【0153】
好ましい実施形態において、黒鉛化炭素層の厚さは、約0.3nm~約6.0nm、より好ましくは約0.3nm~約3nm、さらにより好ましくは約1nm~約3nmである。
【0154】
好ましい実施形態において、コア-シェル構造を有する炭素被覆遷移金属粒子の粒径は、約1nm~約200nm、より好ましくは約3nm~約100nm、さらにより好ましくは約4nm~約50nmである。
【0155】
好ましい実施形態において、遷移金属は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)および亜鉛(Zn)からなる群から選択される1種以上であり、より好ましくは鉄、コバルト、ニッケルおよび銅のうち1種以上であり、最も好ましくはニッケル(Ni)である。
【0156】
好ましい実施形態において、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素および窒素がドープされた黒鉛化炭素層であり、遷移金属ナノ粒子は、面心立方(fcc)格子構造および/または六方最密(hcp)格子構造を有してもよく、すなわち、面心立方格子構造を有する粒子のみ、六方最密格子構造を有する粒子のみ、または面心立方格子構造を有する粒子と六方最密格子構造を有する粒子との両方が存在してもよい。
【0157】
特定の理論に裏付けされるものではないが、本出願の第1の態様に係るナノ複合材料は、メソ細孔構造を有し、非晶質炭素マトリクスと、「黒鉛化炭素層によって緊密に被覆された(外部から実質的に隔離された)遷移金属ナノ粒子」と、その中に分散された「外部から接触可能な遷移金属ナノ粒子」と、から構成される複合材料であると考えられる。ナノ複合材料の酸素および/または窒素でドープされた黒鉛化炭素層の表面は、欠陥部位に富み、炭素材料は、それ自体が触媒活性を有し、遷移金属ナノ粒子との相乗効果を提供することができる。その結果、ナノ複合材料は、より良好な触媒性能を示す。
【0158】
加えて、本出願の第1の態様に係るナノ複合材料は、メソ細孔に富んだ構造を有しており、反応物や生成物の拡散に有利であり、高い物質移動効率を提供し、これにより、より優れた触媒性能を発揮する。ナノ複合材料が異なる細孔径範囲内のメソ細孔を有するマルチレベルのメソ細孔構造を有する場合、ナノ複合材料は、より独自の性能を提供することができ、より広範囲の用途に適用することができる。
【0159】
本出願の第1の態様に係るナノ複合材料は、黒鉛化炭素層において酸素および/または窒素でドープされ、酸素含有量は、その製造中、ポリオール等の酸素含有有機化合物を追加で導入することによって調節することができ、窒素含有量は、その製造中、ヘキサメチレンテトラミン等の窒素含有有機化合物を追加で導入することによって調節することができる。炭素層の触媒性能は、ナノ複合材料中の窒素および酸素の含有量を調節することによって変更することができ、その結果、異なる反応を触媒するのに好適であり得る。
【0160】
第2の態様において、本出願は、炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料であって、炭素被覆遷移金属粒子はコア-シェル構造を有し、シェル層は、酸素および/または窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、コアは、遷移金属ナノ粒子であり、ナノ複合材料の酸浸出における損失は、10%以下であるナノ複合材料、すなわち、ナノ複合材料は、緊密に被覆されたナノ複合材料である、ナノ複合材料を提供する。
【0161】
好ましい実施形態において、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素でドープされた黒鉛化炭素層であり、当該シェル層は、水素および酸素以外の元素でドープされていなくてもよい。
【0162】
別の好ましい実施形態において、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、当該シェル層は、水素、酸素および窒素以外の元素でドープされていなくてもよい。
【0163】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを少なくとも1つ有する多孔質材料である。より好ましくは、ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを2つ以上有する多孔質材料である。
【0164】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料は、非晶質炭素マトリクスをさらに含んでもよく、炭素被覆遷移金属粒子は、非晶質炭素マトリクス中に分散されている。より好ましくは、ナノ複合材料は、非晶質炭素マトリクスおよびその中に分散された炭素被覆遷移金属粒子からなる。
【0165】
特に、本出願に係るナノ複合材料は、カーボンナノチューブを全く含まない。
【0166】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料のメソ細孔容積の割合は、合計細孔容積に対して、約50%超、より好ましくは約80%超、さらにより好ましくは約90%超、特に好ましくは約95%超、最も好ましくは約100%である。
【0167】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料のメソ細孔容積は、約0.05cm3/g~約1.25cm3/gであり、特にいくつかの実施形態において、ナノ複合材料のメソ細孔容積は、約0.30cm3/g~約0.50cm3/gであってもよい。他のいくつかの特定の実施形態において、ナノ複合材料のメソ細孔容積は、約0.10cm3/gから約0.30cm3/gであってもよい。
【0168】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料の比表面積は、約140m2/g超、好ましくは約200m2/g超である。
【0169】
好ましい実施形態において、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素でドープされた黒鉛化炭素層であり、ナノ複合材料は、2nm~7nmの細孔径範囲におけるメソ細孔の分布ピークおよび8nm~20nmの細孔径範囲におけるメソ細孔の分布ピークを有する;あるいは、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、ナノ複合材料は、2nm~5nmの細孔径範囲におけるメソ細孔の分布ピークおよび6nm~16nmの細孔径範囲におけるメソ細孔の分布ピークを有し、さらに好ましくはナノ複合材料の合計細孔容積に対する2nm~5nmの細孔径範囲におけるメソ細孔容積の割合は、約5%超、例えば約10%~約30%である。
【0170】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料の炭素含有量は、約15.0質量%~約60.0質量%であり、かつ遷移金属含有量は、約30.0質量%~約80.0質量%である。いくつかの特定の実施形態において、ナノ複合材料の炭素含有量は、約30質量%~約60質量%であってもよく、かつ遷移金属含有量は、約30質量%~約60質量%であってもよい。
【0171】
好ましい実施形態において、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素でドープされた黒鉛化炭素層であり、ナノ複合材料の酸素含有量は、約15.0質量%未満、好ましくは約1.0%~約10.0%、より好ましくは約0.2%~約5.0%である;あるいは、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、ナノ複合材の窒素および炭素の合計含有量は、約15.0質量%未満、好ましくは約0.2%~約12.0%、より好ましくは約0.5%~約10.0%、さらに好ましくは約0.1%~約10%、特に好ましくは約1%~約5%である。
【0172】
特定の好ましい実施形態において、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、ナノ複合材料の窒素含有量は、約2質量%~約8質量%である。
【0173】
特定の好ましい実施形態において、炭素被覆された遷移金属粒子のシェル層は、酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、ナノ複合材料の酸素含有量は、約3質量%~約9質量%である。
【0174】
いくつかの特定の実施形態において、黒鉛化炭素層は、水素でさらにドープされていてもよく、ナノ複合材料の水素含有量は、約0.2質量%~約2質量%である。
【0175】
特定の実施形態において、本出願に係るナノ複合材料中、遷移金属元素は、還元状態(例えば、0価状態)で存在する、すなわち、酸化状態(例えば、酸化物)で存在する遷移金属元素は、存在しない。
【0176】
特に、本出願に係るナノ複合材料中の各成分の含有量の合計は、100%である。
【0177】
好ましい実施形態において、黒鉛化炭素層の厚さは、約0.3nm~約6.0nm、より好ましくは約0.3nm~約3nm、さらにより好ましくは約1nm~約3nmである。
【0178】
好ましい実施形態において、コア-シェル構造を有する炭素被覆遷移金属粒子の粒径は、約1nm~約200nm、より好ましくは約3nm~約100nm、さらにより好ましくは約4nm~約50nmである。
【0179】
好ましい実施形態において、遷移金属は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)および亜鉛(Zn)からなる群から選択される1種以上であり、より好ましくは鉄、コバルト、ニッケルおよび銅のうちの1種以上であり、最も好ましくはニッケル(Ni)である。
【0180】
好ましい実施形態において、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層は、酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、遷移金属ナノ粒子は、面心立方(fcc)格子構造および/または六方最密(hcp)格子構造を有する。
【0181】
特定の理論に裏付けされるものではないが、本出願の第2の態様に係るナノ複合材料は、メソ細孔構造を有し、非晶質炭素マトリクスと、その中に分散された「黒鉛化炭素層によって緊密に被覆された(外部から実質的に隔離された)遷移金属ナノ粒子」と、から構成される複合材料であると考えられる。緊密に被覆されていないナノ複合材料と比較して、緊密に被覆されたナノ複合材料は、適用時に、コア中の遷移金属の損失率をより確実に低減することができる。その結果、複合材料は、より効率的に機能することができる。
【0182】
水素化反応を触媒するための活性部位は遷移金属であり、従って、触媒の構造にかかわらず、反応物を金属コアと接触させることが必要であることが、当技術分野で一般に認識されている。しかしながら、遷移金属ナノ粒子が黒鉛化炭素層によって緊密に被覆された本出願に係るナノ複合材料は、有機化合物の水素化還元を触媒する優れた能力を依然として有する。
【0183】
また、本出願の第2の態様に係るナノ複合材料は、メソ細孔に富む組織を有しており、反応物や生成物の拡散に有利であり、高い物質移動効率を提供し、これにより、より優れた触媒性能を発揮する。ナノ複合材料が、異なる細孔径範囲内のメソ細孔を有するマルチレベルのメソ細孔構造を有する場合、ナノ複合材料は、より独自の性能を提供することができ、より広範囲の用途に適用することができる。
【0184】
本出願の第2の態様に係るナノ細孔材料は、黒鉛化炭素層において酸素および/または窒素でドープされ、酸素含有量は、その製造中、ポリオール等の酸素含有有機化合物を追加的に導入することによって調節することができ、窒素含有量はその製造中、ヘキサメチレンテトラミン等の窒素含有有機化合物を追加的に導入することによって調節することができる。炭素層の触媒性能は、ナノ複合材料中の窒素および酸素の含有量を調節することによって変更することができ、その結果、異なる反応を触媒するのに好適であり得る。
【0185】
第3の態様において、本出願は、
i)遷移金属源および多塩基性有機カルボン酸を含む混合物を、溶媒と混合し、均質な溶液を形成する工程と、
ii)均質な溶液から溶媒を除去し、前駆体を得る工程と、
iii)不活性保護雰囲気または還元雰囲気下で、前駆体を高温熱分解に供する工程と、
iv)任意で、工程iii)で得られた熱分解生成物を、非酸化性強酸での処理に供する工程と、
を含む、炭素被覆された遷移金属粒子を含むナノ複合材料の製造方法を提供する。
【0186】
好ましい実施形態において、工程i)で使用される、混合物中の遷移金属源と多塩基性有機カルボン酸との質量比率は、約1:0.1~約1:10、より好ましくは約1:0.5~約1:5、特に好ましくは約1:0.8~約1:3である。
【0187】
好ましい実施形態において、工程i)で使用される混合物は、多塩基性有機カルボン酸とは異なる窒素含有有機化合物および/または酸素含有有機化合物をさらに含む。
【0188】
さらに好ましい実施形態において、工程i)で使用される、混合物中の遷移金属源と多塩基性有機カルボン酸と窒素含有有機化合物との質量比は、約1:0.1~100:0.1~100、より好ましくは約1:0.5~5:0.5~5、特に好ましくは約1:0.8~2:1~2である。
【0189】
さらに好ましい実施形態において、窒素含有有機化合物は、尿素、メラミン、ジシアノジアミン、ヘキサメチレンテトラミンおよびアミノ酸からなる群から選択される1種以上であり、かつ酸素含有有機化合物は、ポリオールおよび有機カルボン酸(乳酸等)から選択される。
【0190】
特定の好ましい実施形態において、工程i)で使用される混合物は、多塩基性有機カルボン酸とは異なる他の有機化合物、窒素含有有機化合物および酸素含有有機化合物をさらに含んでもよい。生成物中に必要とされる炭素源を補うことができ、他のドーピング原子を含まない任意の有機化合物を使用することができ、不揮発性有機化合物が好ましい。より好ましくは、混合物中の他の有機化合物と遷移金属源との質量比は、約0~10:1であり、さらにより好ましくは約0~3:1である。
【0191】
好ましい実施形態において、遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、銅および亜鉛からなる群から選択される1種以上であり、より好ましくは、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅のうち1種以上であり、最も好ましくはニッケルである。
【0192】
好ましい実施形態において、遷移金属源は、遷移金属の有機酸塩、カーボネート、塩基性カーボネート、酸化物、および水酸化物からなる群から選択される1種以上である。
【0193】
遷移金属の有機酸塩は、溶媒中で多塩基性有機カルボン酸と混合して均質な溶液を形成することができる限り、本出願において特に限定されない。例えば、遷移金属の有機酸塩は、ヘテロ原子を含まない遷移金属の有機カルボン酸塩(酢酸塩等)を含むが、これらに限定されない。
【0194】
多塩基性有機カルボン酸は、溶媒中で遷移金属の有機酸塩と混合して均質な溶液を形成することができる限り、本出願において特に限定されない。多塩基性有機カルボン酸は、窒素含有多塩基性有機カルボン酸または窒素を含まない多塩基性有機カルボン酸であってもよく、窒素含有多塩基性有機カルボン酸の場合には、多塩基性有機カルボン酸は、窒素を含まない多塩基性有機カルボン酸と窒素含有有機化合物との組み合わせに相当し得る。すなわち、使用される多塩基性有機カルボン酸が窒素含有多塩基性有機カルボン酸である場合には、窒素含有有機化合物を追加的に導入する必要はなく、このような実施形態も本出願の範囲内である。
【0195】
好ましい実施形態において、多塩基性有機カルボン酸は、クエン酸、マレイン酸、トリメシン酸、テレフタル酸、リンゴ酸、EDTAおよびジピコリン酸からなる群から選択される1種以上である。さらに好ましくは、ジピコリン酸は、2,3-ジピコリン酸、2,4-ジピコリン酸、2,5-ジピコリン酸、2,6-ジピコリン酸、3,4-ジピコリン酸および/または3,5-ジピコリン酸であってもよい。
【0196】
特定の好ましい実施形態において、工程i)で使用される混合物は、遷移金属源および窒素含有多塩基性有機カルボン酸、ならびに任意で、酸素含有有機化合物および/または他の有機化合物を含む。
【0197】
特に好ましい実施形態において、多塩基性有機カルボン酸は、クエン酸を含むがこれに限定されず、窒素含有多塩基性有機カルボン酸は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含むがこれに限定されず、遷移金属源は、遷移金属の酢酸塩を含むがこれに限定されず、窒素含有有機化合物は、ヘキサメチレンテトラミンを含むがこれに限定されず、酸素含有有機化合物は、有機ポリオールを含むがこれに限定されない。
【0198】
好ましい実施形態において、工程i)で使用される溶媒は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノールおよびイソプロパノールからなる群から選択される1種以上であり、より好ましくは水、エタノールまたはこれらの組み合わせから選択され、最も好ましくは水である。
【0199】
好ましい実施形態において、工程ii)において、溶剤は、例えば蒸発によって、例えば、80~120℃での噴霧乾燥によって、または炉内乾燥によって除去することができる。
【0200】
本出願に係る方法の工程ii)において、溶媒の除去後に得られる前駆体は、混合物であってもよく、混合物は、水溶性であってもよい。
【0201】
好ましい実施形態において、工程iii)において、不活性保護雰囲気は、窒素またはアルゴンであり、還元雰囲気は、不活性ガスおよび水素の混合ガスであり;高温熱分解プロセスは、昇温段階および温度維持段階を含み、昇温段階において、温度維持段階で採用されるレベルまで、約0.5~30℃/分の加熱速度で昇温され、温度は、温度維持段階で、約20~600分間一定に保たれ、温度維持段階で採用される温度は、約400~800℃である。より好ましくは、昇温段階で採用される加熱速度は、約0.5~10℃/分、さらに好ましくは約1~10℃/分、特に好ましくは約2.5~10℃/分、最も好ましくは約1~5℃/分であり、温度は、温度維持段階で、約30~480分間、さらに好ましくは約60~300分間一定に保たれ;温度維持段階で採用される温度は、約500~800℃、さらに好ましくは約500~700℃である。
【0202】
好ましい実施形態において、工程iv)において使用される非酸化性強酸は、フッ化水素酸、塩酸、硝酸および硫酸、またはこれらの任意の2種以上の組み合わせ、好ましくは塩酸および/または硫酸を含むが、これらに限定されない。
【0203】
さらに好ましい実施形態において、工程iv)の酸処理は、約30~100℃の温度にて、少なくとも約1時間、好ましくは約60~100℃の温度にて約1~20時間、より好ましくは約70~90℃の温度にて約1~10時間行われる。
【0204】
特定の実施形態において、本出願に係る方法によって製造されたナノ複合材料中、遷移金属元素は、還元状態(例えば、0価状態)で存在する、すなわち、酸化状態(例えば、酸化物)で存在する遷移金属元素は、存在しない。
【0205】
特定の好ましい実施形態において、本出願に係るナノ複合材料の製造方法は、
i)遷移金属源、多塩基性有機カルボン酸、任意で窒素含有有機化合物、任意で酸素含有有機化合物、および任意で他の有機化合物を、水およびエタノールからなる群から選択される溶媒中で混合して、均質な溶液を形成する工程と、
ii)蒸発によって溶媒を除去して、遷移金属を含む水溶性混合物を得る工程と、
iii)不活性雰囲気下または還元性雰囲気下で、水溶性混合物を高温熱分解に供する工程と、
iv)任意で、高温熱分解によって得られた生成物を、酸での処理に供する工程と、
を含む。
【0206】
さらに好ましい実施形態において、蒸発によって溶媒を除去するために採用される方法および条件は、当技術分野で公知の任意の利用可能な技術であってもよく、例えば、約80~120℃での噴霧乾燥、または炉内乾燥であってもよい。
【0207】
さらに好ましい実施形態では、工程i)において、遷移金属源、窒素を含まない多塩基性有機カルボン酸、窒素含有有機化合物、任意の酸素含有有機化合物および任意の追加の有機化合物を、溶媒中で混合する。
【0208】
さらに好ましい実施形態では、工程i)において、遷移金属源、窒素含有多塩基性有機カルボン酸、任意の酸素含有有機化合物および任意の追加の有機化合物を、溶媒中で混合する。
【0209】
従来技術と比較すると、ナノ複合材料の製造方法は、単純かつ効率的であり、高温熱分解に供される前駆体は、遷移金属源、多塩基性有機カルボン酸、任意の窒素含有有機化合物、任意の酸素含有有機化合物、および任意の追加の有機化合物を、水溶液中で直接混合することによって得られる。その結果、得られる前駆体中の遷移金属の原子利用率は100%であり得、金属有機骨格構造を有する前駆体を製造するための従来技術の以下の欠陥、すなわち、自己集合反応に高温および高圧反応釜を必要とすること、多量の炭素源の前駆体を浪費すること、大量の有機溶媒を消費すること、精製が複雑であること等を克服することができる。
【0210】
本出願に係る方法は、金属-有機骨格化合物の形成を必要とせず、製造中に黒鉛化炭素層中のドーピング元素の含有量を容易に調節可能にし、その結果、ナノ複合材料の触媒性能を、異なる触媒反応に対して都合よく調節することができる。
【0211】
加えて、従来技術において、特に、緊密に被覆されたコア-シェル構造とメソ細孔に富む構造との両方を有する複合材料を形成することが必要とされる場合に、緊密に被覆された黒鉛化炭素層および遷移金属コアを有するナノスケールのコア-シェル構造を製造することは、困難である。本出願に係る方法は、この目的を満たすことができるだけでなく、緊密に被覆されたコア-シェル構造とメソ細孔に富むマルチレベルのメソ細孔構造との両方を有する複合材料を提供することができる。
【0212】
第4の態様において、本出願はまた、本出願に係る方法によって製造された、炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料を提供する。
【0213】
特定の実施形態において、本出願に係る方法によって製造されたナノ複合材料の炭素被覆遷移金属粒子は、コア-シェル構造を有し、シェル層は、酸素および/または窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、コアは、遷移金属ナノ粒子である。好ましくは、炭素被覆遷移金属粒子は、球状または準球状であり、炭素被覆遷移金属粒子の粒径は、約1nm~約200nm、好ましくは約3nm~約100nm、より好ましくは約4nm~約50nmである。
【0214】
特定の実施形態において、本出願に係る方法によって製造されたナノ複合材料中、遷移金属元素は、還元状態(例えば、0価状態)で存在する、すなわち、酸化状態(例えば、酸化物)で存在する遷移金属元素は、存在しない。
【0215】
好ましい実施形態において、本出願に係る方法によって製造されるナノ複合材料は、非晶質炭素マトリクスをさらに含み、炭素被覆遷移金属粒子は、非晶質炭素マトリクス中に分散され、より好ましくは、ナノ複合材料は、非晶質炭素マトリクスおよびその中に分散された炭素被覆遷移金属粒子からなる。
【0216】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを少なくとも1つ、好ましくはメソ細孔の分布ピークを2つ以上有する。
【0217】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料のメソ細孔容積は、合計細孔容積に対して、約50%超、より好ましくは約80%超、さらにより好ましくは約90%超、特に好ましくは約95%超、最も好ましくは約100%である。
【0218】
好ましい実施形態において、ナノ複合材料の酸浸出における損失は、40%以下、より好ましくは30%以下、特に好ましくは10%以下である。
【0219】
好ましい実施形態において、遷移金属ナノ粒子は、面心立方格子構造および/または六方最密格子構造を有する。
【0220】
特定の好ましい実施形態において、ナノ複合材料は、本出願の第1の態様に係るナノ複合材料について上述したような特徴を有する。
【0221】
特定の好ましい実施形態において、ナノ複合材料は、本出願の第2の態様に係るナノ複合材料について上述したような特徴を有する。
【0222】
透過型電子顕微鏡試験から分かるように、本出願に係る方法によって製造されたナノ複合材料は、カーボンナノチューブを全く含まない。
【0223】
本出願に係る方法によって製造されたナノ複合材料は、メソ細孔に富む構造を有し、これは、反応物および生成物の拡散に有益であり、より高い物質移動効率を提供し、それによって、より優れた触媒性能を示す。いくつかの実施形態において、単一のバッチで作製された複合材料は、メソ細孔の範囲内に2つの分布ピークを有し、複数のバッチで作製された複合材料が混合される場合、メソ細孔の範囲内により多くの分布ピークが観察され得る。ナノ複合材料が、異なる範囲内の細孔径を有するメソ細孔を有する、マルチレベルのメソ細孔構造を有する場合、ナノ複合材料は、より独特の性能を提供することができ、より広範囲の用途に適用することができる。
【0224】
本出願に係る方法によって製造されたナノ複合材料は、黒鉛化炭素層において酸素および/または窒素でドープされ、酸素含有量は、製造プロセス中、ポリオール等の酸素含有有機化合物を追加的に導入することによって調節することができ、窒素含有量は、製造プロセス中、ヘキサメチレンテトラミン等の窒素含有有機化合物を追加的に導入することによって調節することができる。炭素層の触媒性能は、ナノ複合材料中の窒素および酸素の含有量を調節することによって変更することができ、その結果、異なる反応を触媒するのに好適であり得る。
【0225】
本出願の方法によって製造されたナノ複合材料は、触媒材料、吸波材料、情報記憶材料、磁気光学材料、生物医学材料、潤滑油添加剤等の分野で広く使用することができる。特に、遷移金属が、鉄、コバルト、ニッケルまたは銅である場合、複合材料は、p-クロロアニリンを生成するためのp-クロロニトロベンゼンの水素化反応、アニリンを生成するためのニトロベンゼンの水素化反応、アミノフェノールを生成するためのニトロフェノールの水素化反応、p-アニシジンを生成するためのp-ニトロアニソールの水素化反応、シクロヘキサノールを生成するためのフェノールの水素化反応、オレフィンの水素化反応、シクロヘキサン誘導体を生成するための芳香族炭化水素の水素化反応、アルコールを生成するためのアルデヒドの水素化反応、およびアルコールを生成するためのケトンの水素化反応等の反応の触媒として用いることができる。
【0226】
第5の態様において、本出願はまた、揮発性有機化合物をナノ複合材料と接触させ、接触酸化反応を行うことを含む、揮発性有機化合物の処理における触媒としての本出願に係るナノ複合材料の使用を提供する。
【0227】
好ましい実施形態において、揮発性有機化合物は、工業排ガスに含まれる揮発性有機化合物である。
【0228】
好ましい実施形態において、揮発性有機化合物はブタンを含み、ブタンは、工業排ガスの約0.01体積%~約2体積%を占める。
【0229】
好ましい実施形態において、接触酸化反応は、約200~500℃の温度で、より好ましくは約300~400℃の温度で、さらにより好ましくは約350~400℃の温度で行われる。
【0230】
さらに好ましい実施形態において、接触酸化反応の反応空間速度は、約2000ml~約5000mlの工業排ガス/(hr・g(前記触媒))である。
【0231】
好ましい実施形態において、工業排ガスは、n-ブタンの酸化による無水マレイン酸の製造中に産生される工業排ガスである。
【0232】
本出願に係るナノ複合材料を、揮発性有機化合物の接触酸化反応の触媒として用いる場合、反応の激しさを低減することができる。例えば、無水マレイン酸の製造プロセス中に発生する排ガス中に約0.01~2体積%で存在するブタン成分を、約350℃で、90体積%以上の除去率で接触酸化してCO2にすることができ、ブタン成分を、約400℃で、完全に接触酸化してCO2にすることができる。従来技術と比較すると、反応温度を低下させること、反応空間速度を増加させること等ができ、その結果、化学的製造プロセス中に産生される排ガス中に低濃度で存在するブタンの完全な酸化を、より低い温度で達成することができる。従って、本発明は、工業的用途の見通しが良好である。
【0233】
第6の態様において、本出願はまた、水素化還元反応における触媒としての本出願に係るナノ複合材料の使用を提供する。
【0234】
好ましい実施形態において、水素化還元反応は、p-クロロアニリンを製造するためのp-クロロニトロベンゼンの水素化反応、ニトロベンゼンを製造するためのニトロベンゼンの水素化反応、ニトロフェノールを製造するためのニトロフェノールの水素化反応、p-ニトロアニジンを製造するためのp-ニトロアニソールの水素化反応、シクロヘキサノールを製造するためのフェノールの水素化反応、オレフィンの水素化反応、シクロヘキサン誘導体を製造するための芳香族炭化水素の水素化反応、アルコールを製造するためのアルデヒドの水素化反応、およびアルコールを製造するためのケトンの水素化反応からなる群から選択される。
【0235】
本出願に係るナノ複合材料において、遷移金属コアは、黒鉛化炭素層によって緊密に被覆されている。その結果、輸送時および使用時におけるナノ複合材料の安全性を保証することができる。加えて、ナノ複合材料の黒鉛化炭素層は、有機化合物の水素化還元反応を触媒する優れた能力を有し、これは複合材料の触媒性能のさらなる改善に有益である。
【0236】
特定の好ましい実施形態において、本出願は、以下の技術的解決手段を提供する:
A1.炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料であって、前記炭素被覆遷移金属粒子は、コア-シェル構造を有し、シェル層は、酸素でドープされた黒鉛化炭素層であり、コアは、遷移金属ナノ粒子であり、前記ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを少なくとも1つ有する多孔質材料であるナノ複合材料。
【0237】
A2.前記ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを2つ以上有する多孔質材料である、項目A1に記載のナノ複合材料。
【0238】
A3.前記多孔質材料のメソ細孔容積の割合は、合計細孔容積に対して、約50%超、好ましくは約80%超である、項目A1またはA2に記載のナノ複合材料。
【0239】
A4.前記ナノ複合材料のメソ細孔容積は、約0.05~1.25cm3/gである、項目A1~A3のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0240】
A5.前記ナノ複合材料の酸浸出における損失は、40%以下である、項目A1~A4のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0241】
A6.前記ナノ複合材料の炭素含有量は、約10.0質量%~約60.0質量%であり、かつ遷移金属含有量は、約30.0質量%~約85.0質量%であり;特に、炭素含有量は、約15.0%~約40.0%であり得、遷移金属含有量は、約50.0%~約80.0%であり得る、項目A1~A5のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0242】
A7.前記ナノ複合材料の酸素含有量は、約15.0質量%未満、好ましくは約0.2~5.0%である、項目A1~A6のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0243】
A8.前記黒鉛化炭素層の厚さは、約0.3~6nm、好ましくは約0.3~3nmである、項目A1~A7のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0244】
A9.前記コア-シェル構造の粒径は、約1~200nm、好ましくは約3~100nm、より好ましくは約4~50nmである、項目A1~A8のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0245】
A10.前記遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、銅、および亜鉛から選択される1種以上である、項目A1~A9のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0246】
B1.炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料であって、前記炭素被覆遷移金属粒子は、コア-シェル構造を有し、シェル層は、酸素でドープされた黒鉛化炭素層であり、コアは、遷移金属ナノ粒子であり、前記ナノ複合材料の酸浸出における損失は、10%以下であるナノ複合材料。
【0247】
B2.前記ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを少なくとも1つ有する多孔質材料である、項目B1に記載のナノ複合材料。
【0248】
B3.前記ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを2つ以上有する多孔質材料である、項目B1に記載のナノ複合材料。
【0249】
B4.前記多孔質材料のメソ細孔容積の割合は、合計細孔容積に対して、約50%超、好ましくは約80%超である、項目B1~B3のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0250】
B5.前記ナノ複合材料のメソ細孔容積は、約0.05~1.25cm3/gである、項目B1~B4のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0251】
B6.前記ナノ複合材料の炭素含有量は、約15~60質量%であり、かつ遷移金属含有量は、約30~80質量%であり、特に、炭素含有量は、約30~60%であり得、遷移金属含有量は、約30~60%であり得る、項目B1~B5のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0252】
B7.前記ナノ複合材料の酸素含有量は、約15.0質量%未満、好ましくは約1.0~10.0%である、項目B1~B6のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0253】
B8.前記黒鉛化炭素層の厚さは、約0.3~6.0nm、好ましくは約0.3~3nmである、項目B1~B7のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0254】
B9.前記コア-シェル構造の粒径は、約1~200nm、好ましくは約3~100nm、より好ましくは約4~50nmである、項目B1~B8のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0255】
B10.前記遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、銅、および亜鉛から選択される1種以上であり、好ましくはニッケルである、項目B1~B9のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0256】
C1.炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料であって、前記炭素被覆遷移金属粒子はコア-シェル構造を有し、シェル層は酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、コアは遷移金属ナノ粒子であり、前記ナノ複合材料は、酸浸出における損失が10%以下であるナノ複合材料。
【0257】
C2.前記ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを少なくとも1つ有する多孔質材料である、項目C1に記載のナノ複合材料。
【0258】
C3.前記ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを2つ以上有する多孔質材料である、項目C2に記載のナノ複合材料。
【0259】
C4.前記多孔質材料のメソ細孔容積の割合は、合計細孔容積に対して、約50%超、好ましくは約80%超である、項目C1~C3のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0260】
C5.前記ナノ複合材料の炭素含有量は、約15~60質量であり、かつ遷移金属含有量は、約30~80質量%である、項目C1~C4のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0261】
C6.前記ナノ複合材料の窒素および酸素の合計含有量は、約15質量%未満である、項目C1~C5のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0262】
C7.前記黒鉛化炭素層の厚さは、約0.3~6nm、好ましくは約0.3~3nmである、項目C1~C6のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0263】
C8.前記コア-シェル構造の粒径は、約1~200nm、好ましくは約3~100nm、好ましくは約4~50nmである、項目C1~C7のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0264】
C9.前記遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、好ましくはニッケルから選択される1種以上である、項目C1~C8のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0265】
C10.前記遷移金属ナノ粒子は、面心立方体格子構造および/または六方最密格子構造を有する、項目C1~C9のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0266】
D1.炭素被覆遷移金属粒子を含むナノ複合材料であって、前記炭素被覆遷移金属粒子はコア-シェル構造を有し、シェル層は酸素および窒素でドープされた黒鉛化炭素層であり、コアは遷移金属ナノ粒子であり、前記ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを少なくとも1つ有する多孔質材料であるナノ複合材料。
【0267】
D2.前記ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを2つ以上有する、項目D1に記載のナノ複合材料。
【0268】
D3.前記多孔質材料のメソ細孔容積の割合は、合計細孔容積に対して、約50%超、好ましくは約80%超である、項目D1またはD2に記載のナノ複合材料。
【0269】
D4.前記ナノ複合材料の炭素含有量は、約10.0~60.0質量%であり、かつ遷移金属含有量は約30.0~85.0質量%であり、特に、炭素含有量は約30.0~50.0%であり得、遷移金属含有量は約30.0~60.0%であり得る、項目D1~D3のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0270】
D5.前記ナノ複合材料の窒素および酸素の合計含有量は、約15.0質量%未満、好ましくは約0.2~12.0%、より好ましくは約0.5~10.0%である、項目D1~D4のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0271】
D6.前記窒素含有量は、約15質量%未満、好ましくは約0.1~10%、より好ましくは約1~5%である、項目D1~D5のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0272】
D7.前記ナノ複合材料の酸浸出における損失は、40%以下である、項目D1~D6のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0273】
D8.前記黒鉛化炭素層の厚さは、約0.3~6.0nm、好ましくは約0.3~3nmである、項目D1~D7のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0274】
D9.前記コア-シェル構造の粒径は、約1~200nm、好ましくは約3~100nm、より好ましくは約4~50nmである、項目D1~D8のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0275】
D10.前記遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛から選択される1種以上である、項目D1~D9のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0276】
D11.前記遷移金属ナノ粒子は、面心立方格子構造および/または六方最密格子構造を有する、項目D1~D10のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0277】
E1.i)遷移金属塩および多塩基性有機カルボン酸を含む混合物を、溶媒と混合し、均質溶液を形成する工程と、
ii)前記均質溶液から前記溶媒を除去し、前駆体を得る工程と、
iii)不活性保護雰囲気または還元雰囲気下で、前記前駆体を高温熱分解に供する工程と、
を含む、炭素被覆遷移金属ナノ複合材料の製造方法。
【0278】
E2.前記遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、銅のうち1種以上である、項目E1に記載の方法。
【0279】
E3.前記遷移金属塩は、遷移金属の有機酸塩、炭酸塩、塩基性炭酸塩のうち1種以上であり、好ましくは、前記遷移金属の前記有機酸塩は、前記遷移金属のヘテロ原子を含まない有機カルボン酸塩(酢酸塩等)である、項目E1またはE2に記載の方法。
【0280】
E4.前記多塩基性有機カルボン酸は、クエン酸、マレイン酸、トリメシン酸、テレフタル酸、リンゴ酸、EDTA、およびジピコリン酸のうちの1種以上である、項目E1~E3のいずれか1項に記載の方法。
【0281】
E5.前記遷移金属塩と前記多塩基性有機カルボン酸との質量比は、約1:0.1~10、好ましくは約1:0.5~5、より好ましくは約1:0.8~3である、項目E1~E4のいずれか1項に記載の方法。
【0282】
E6.前記溶媒は、水、エタノールまたはその混合物から選択される、項目E1~E5に記載の方法。
【0283】
E7.工程iii)において、前記不活性保護雰囲気は窒素またはアルゴンであり、前記高温熱分解は、約0.5~30℃/分の加熱速度で温度維持段階の温度まで加熱し、次いで前記温度維持段階で約20~600分間温度を一定に保ち、前記温度維持段階で採用される温度は、約400℃~約800℃であり、好ましくは、前記加熱速度は約1~10℃/分であり、前記温度は前記温度維持段階で60~480分間一定に保たれ、かつ前記温度維持段階で採用される温度は約500~800℃である、項目E1~E6のいずれか1項に記載の方法。
【0284】
E8.前記還元雰囲気は、不活性ガスおよび水素の混合ガスであり、前記高温熱分解は、約0.5~30℃/分の加熱速度で温度維持段階の温度まで加熱し、次いで前記温度維持段階で約20~600分間温度を一定に保ち、前記温度維持段階で採用される温度は約400~800℃であり、好ましくは、前記加熱速度は約1~10℃/分であり、前記温度は前記温度維持段階で約60~480分間一定に保たれ、前記温度維持段階で採用される温度は約500~800℃である、項目E1~E6のいずれか1項に記載の方法。
【0285】
E9.前記工程iii)の後に、前記熱分解生成物を、非酸化性強酸での処理に供する工程をさらに含む、項目E1~E8のいずれか1項に記載の方法。
【0286】
E10.項目E1~E9のいずれか1項に記載の方法によって製造された、炭素被覆遷移金属ナノ複合材料。
【0287】
E11.前記ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを少なくとも1つ、好ましくはメソ細孔の分布ピークを2つ以上有する、項目E10に記載のナノ複合材料。
【0288】
E12.前記ナノ複合材料のメソ細孔容積の割合は、合計細孔容積に対して、約50%超、好ましくは約80%超である、項目E10またはE11に記載のナノ複合材料。
【0289】
E13.前記ナノ複合材料の酸浸出における損失は、40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下である、項目E10~E12のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0290】
E14.前記遷移金属ナノ粒子は、面心立方格子構造および/または六方最密格子構造を有する、項目E10~E13のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0291】
F1.i)遷移金属塩、多塩基性有機カルボン酸、および窒素含有有機化合物を含む混合物を、溶媒と混合し、均質溶液を形成する工程と、
ii)前記均質溶液から前記溶媒を除去し、前駆体を得る工程と、
iii)不活性保護雰囲気または還元雰囲気下で、前記前駆体を高温熱分解に供する工程と、
を含む、炭素被覆遷移金属ナノ複合材料の製造方法。
【0292】
F2.前記遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅から選択される1種以上である、項目F1に記載の方法。
【0293】
F3.前記遷移金属塩は、前記遷移金属の有機酸塩、炭酸塩および塩基性炭酸塩のうちの1種以上であり、好ましくは、前記遷移金属の前記有機酸塩は、前記遷移金属のヘテロ原子を含まない有機カルボン酸塩(酢酸塩等)である、項目F1またはF2に記載の方法。
【0294】
F4.前記多塩基性有機カルボン酸は、クエン酸、マレイン酸、トリメシン酸、テレフタル酸、リンゴ酸、EDTA、およびジピコリン酸から選択される1種以上である、項目F1~F3のいずれか1項に記載の方法。
【0295】
F5.前記窒素含有有機化合物は、尿素、メラミン、ジシアノジアミン、ヘキサメチレンテトラミンおよびアミノ酸から選択される1種以上である、項目F1~F4のいずれか1項に記載の方法。
【0296】
F6.前記遷移金属塩と前記多塩基性有機カルボン酸と前記窒素含有有機化合物との質量比は、約1:0.1~100:0.1~100、好ましくは約1:0.5~5:0.5~5、より好ましくは約1:0.8~2:1~2である、項目F1~F5のいずれか1項に記載の方法。
【0297】
F7.前記溶媒は、水、エタノールおよびその混合物から選択される、項目F1~F6のいずれか1項に記載の方法。
【0298】
F8.工程iii)において、前記不活性保護雰囲気は窒素またはアルゴンであり、前記高温熱分解は、約0.5~30℃/分の加熱速度で温度維持段階の温度まで加熱し、前記温度維持段階で約20~600分間温度を一定に保ち、前記温度維持段階で採用される温度は約400~800℃であり、好ましくは、前記加熱速度は約1~10℃/分であり、前記温度は前記温度維持段階で約60~480分間一定に保たれ、かつ前記温度維持段階で採用される温度は約500~800℃である、項目F1~F7のいずれか1項に記載の方法。
【0299】
F9.前記還元雰囲気は不活性ガスおよび水素の混合ガスであり、前記高温熱分解は、約0.5~30℃/分の加熱速度で前記温度維持段階の温度まで加熱し、前記温度は前記温度維持段階で約20~600分間一定に保たれ、前記温度維持段階で採用される温度は約400~800℃であり、好ましくは、前記加熱速度は約1~10℃/分であり、前記温度維持段階で採用される温度は約500~800℃である、項目F1~F7のいずれか1項に記載の方法。
【0300】
F10.前記工程iii)の後に、前記熱分解生成物を、非酸化性強酸での処理に供する工程をさらに含む、項目F1~F9のいずれか1項に記載の方法。
【0301】
F11.項目F1~F10のいずれか1項に記載の方法によって製造される、炭素被覆遷移金属ナノ複合材料。
【0302】
F12.前記ナノ複合材料は、メソ細孔の分布ピークを少なくとも1つ、好ましくはメソ細孔の分布ピークを2つ以上有する、項目F11に記載のナノ複合材料。
【0303】
F13.前記ナノ複合材料のメソ細孔容積の割合は、合計細孔容積に対して、約50%超、好ましくは約80%超である、項目F11またはF12に記載のナノ複合材料。
【0304】
F14.前記ナノ複合材料の酸浸出における損失は、40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下である、項目F11~F13のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0305】
F15.前記遷移金属ナノ粒子は、面心立方格子構造および/または六方最密格子構造を有する、項目F11~F14のいずれか1項に記載のナノ複合材料。
【0306】
G1.p-クロロニトロベンゼンの水素化によるp-クロロアニリンの製造方法であって、触媒の存在下でp-クロロニトロベンゼンを水素化還元に供する工程を含み、項目A1~A10、B1~B10、C1~C10、D1~D11、E10~E14およびF11~F15のいずれか1項に記載のナノ複合材料が前記触媒として使用される、p-クロロアニリンの製造方法。
【0307】
G2.溶媒中で前記触媒をp-クロロニトロベンゼンと混合する工程と、次いで、生成物を水素化還元する工程と、を含み、前記溶媒は、アルコール、エーテル、アルカンおよび水からなる群から選択される1種以上である、項目G1に記載の方法。
【0308】
G3.前記水素化反応の温度は約60℃から約120℃の間であり、水素圧力は約0.5MPaから約2MPaの間である、項目G1またはG2に記載の方法。
【0309】
H1.ニトロベンゼンの水素化によるアニリンの製造方法であって、ニトロベンゼンを触媒の存在下で水素化還元する工程を含み、項目A1~A10、B1~B10、C1~C10、D1~D11、E10~E14およびF11~F15のいずれか1項に記載のナノ複合材料が前記触媒として使用される、アニリンの製造方法。
【0310】
H2.触媒中で前記触媒とニトロベンゼンとを混合する工程と、次いで、生成物を水素化還元する工程と、を含み、前記溶媒は、アルコール、エーテル、アルカンおよび水からなる群から選択される1種以上である、項目H1に記載の方法。
【0311】
H3.前記水素化反応の温度は約60℃~約120℃であり、水素圧力は約0.5MPa~約2MPaである、項目H1またはH2に記載の方法。
【0312】
I1.ニトロフェノールの水素化によるアミノフェノールの製造方法であって、触媒の存在下でニトロフェノールを水素化還元する工程を含み、項目A1~A10、B1~B10、C1~C10、D1~D11、E10~E14およびF11~F15のいずれか1項に記載のナノ複合材料が前記触媒として使用される、アミノフェノールの製造方法。
【0313】
I2.溶媒中で前記触媒とニトロフェノールを混合する工程と、次いで、生成物を水素化還元する工程と、を含み、前記溶媒は、アルコール、エーテル、アルカンおよび水からなる群から選択される1種以上である、項目I1に記載の方法。
【0314】
I3.前記水素化反応の温度は約50℃~約120℃、水素圧力は約0.5MPa~約2MPaである、項目I1またはI2に記載の方法。
【0315】
J1.p-ニトロアニソールの水素化によるp-アニシジンの製造方法であって、触媒の存在下でp-ニトロアニソールを水素化還元する工程を含み、項目A1~A10、B1~B10、C1~C10、D1~D11、E10~E14およびF11~F15のいずれか1項に記載のナノ複合材料が前記触媒として使用される、p-アニシジンの製造方法。
【0316】
J2.溶媒中で前記触媒をp-ニトロアニソールと混合する工程と、次いで、生成物を水素化還元する工程と、を含み、前記溶媒は、アルコール、エーテル、アルカンおよび水からなる群から選択される1種以上である、項目J1に記載の方法。
【0317】
J3.前記水素化反応の温度は約50℃~約120℃であり、水素圧力は約0.5MPa~約2MPaである、項目J1またはJ2に記載の方法。
【0318】
K1.フェノールの水素化によるシクロヘキサノールの製造方法であって、フェノールを触媒の存在下で水素化還元する工程を含み、項目A1~A10、B1~B10、C1~C10、D1~D11、E10~E14およびF11~F15のいずれか1項に記載のナノ複合材料が前記触媒として使用される、シクロヘキサノールの製造方法。
【0319】
K2.溶媒中で前記触媒とフェノール化合物とを混合する工程と、次いで、生成物を水素化還元する工程と、を含み、前記溶媒は、アルコール、エーテル、アルカンおよび水からなる群から選択される1種以上である、項目K1に記載の方法。
【0320】
K3.前記水素化反応の温度は約150℃から約250℃の間であり、水素圧力は約3MPaから約6MPaの間である、項目K1またはK2に記載の方法。
【0321】
L1.オレフィンを触媒の存在下で水素化還元する工程を含み、項目A1~A10、B1~B10、C1~C10、D1~D111、E10~E14およびF11~F15のいずれか1項に記載のナノ複合材料が前記触媒として使用される、オレフィンの水素化方法。
【0322】
L2.溶媒中で前記触媒と前記オレフィンとを混合する工程と、次いで、生成物を水素化還元する工程と、を含み、前記溶媒は、アルコール、エーテル、アルカン、および水から成る群から選択される1種以上である、項目L1に記載の方法。
【0323】
L3.前記水素化反応の温度は約100℃~約130℃であり、水素圧力は約1MPa~約3MPaである、項目L1またはL2に記載の方法。
【0324】
M1.芳香族炭化水素の水素化によるシクロヘキサン誘導体の製造方法であって、芳香族炭化水素を触媒の存在下で水素化還元する工程を含み、項目A1~A10、B1~B10、C1~C10、D1~D11、E10~E14およびF11~F15のいずれか1項に記載のナノ複合材料が前記触媒として使用される、シクロヘキサン誘導体の製造方法。
【0325】
M2.溶媒中で前記触媒を前記芳香族炭化水素と混合する工程と、次いで、生成物を水素化還元する工程と、を含み、前記溶媒は、アルコール、エーテル、アルカン、および水からなる群から選択される1種以上である、項目M1に記載の方法。
【0326】
M3.前記水素化反応の温度は約200℃~約300℃であり、水素圧力は約3MPa~約6MPaである、項目M1またはM2に記載の方法。
【0327】
N1.アルデヒドの水素化によるアルコールの製造方法であって、触媒の存在下で前記アルデヒドを水素化還元する工程を含み、項目A1~A10、B1~B10、C1~C10、D1~D11、E10~E14およびF11~F15のいずれか1項に記載のナノ複合材料が前記触媒として使用される、アルコールの製造方法。
【0328】
N2.溶媒中で前記触媒を前記アルデヒドと混合する工程と、次いで、生成物を水素化還元する工程と、を含み、前記溶媒は、アルコール、エーテル、アルカン、および水からなる群から選択される1種以上である、項目N1に記載の方法。
【0329】
N3.前記水素化反応の温度は約80℃から約180℃の間であり、水素圧力は約2MPaから約5MPaの間である、項目N1またはN2に記載の方法。
【0330】
O1.ケトンの水素化によってアルコールを製造する方法であって、前記ケトンを触媒の存在下で水素化還元する工程を含み、項目A1~A10、B1~B10、C1~C10、D1~D11、E10~E14およびF11~F15のいずれか1項に記載のナノ複合材料が触媒として使用される、方法。
【0331】
O2.溶媒中で前記触媒と前記ケトンとを混合する工程と、次いで、生成物を水素化還元する工程と、を含み、前記溶媒は、アルコール、エーテル、アルカンおよび水からなる群から選択される1種以上である、項目O1に記載の方法。
【0332】
O3.前記水素化反応の温度は約100℃~約200℃であり、水素圧力は約3MPa~約6MPaである、項目O1またはO2に記載の方法。
【0333】
P1.揮発性有機化合物を処理する方法であって、揮発性有機化合物を触媒の存在下で接触酸化する工程を含み、項目A1~A10、B1~B10、C1~C10、D1~D11、E10~E14およびF11~F15のいずれか1項に記載のナノ複合材料が前記触媒として使用される、方法。
【0334】
P2.前記揮発性有機化合物は、工業排ガスに含まれる揮発性有機化合物、特に、n-ブタンの酸化による無水マレイン酸の生成による工業排ガスである、項目P1に記載の方法。
【0335】
P3.前記揮発性有機化合物はブタンを含み、前記工業排ガス中のブタンの体積割合は約0.01~2%である、項目P2に記載の方法。
【0336】
P4.前記接触酸化反応の温度は約200℃~約500℃、好ましくは約350℃~約400℃であり、前記反応の空間速度は約2000ml~約5000mlの工業排ガス/(hr・g(前記触媒))である、項目P2またはP3に記載の方法。
【0337】
Q1.接触水素化によって有機化合物を還元する方法であって、コア-シェル構造を有する触媒を使用し、還元剤として水素を使用することによって、有機化合物を接触水素化還元する工程を含み、前記コア-シェル構造のシェル層は黒鉛化炭素層であり、コアは遷移金属であり、当該コアは前記黒鉛化炭素層によって緊密に被覆されている、方法。
【0338】
Q2.前記有機化合物は、以下の官能基、すなわちニトロ基、カルボニル基、および炭素-炭素二重結合のいずれか1つまたは任意の組み合わせを含む有機化合物である、項目Q1に記載の方法。
【0339】
Q3.前記触媒の細孔径分布図上のメソ細孔範囲内に2つ以上の分布ピーク(例えば、2つの分布ピーク)が存在する、項目Q1またはQ2に記載の方法。
【0340】
Q4.前記遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、銅および亜鉛、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つである、項目Q1~Q3のいずれか1項に記載の方法。
【0341】
Q5.接触水素化によって有機化合物を還元する方法であって、コア-シェル構造を有する触媒を使用し、還元剤として水素を使用することによって、有機化合物を接触水素化還元する工程を含み、前記コア-シェル構造のシェル層は黒鉛化炭素層であり、コアは遷移金属であり、前記触媒の細孔径分布図上のメソ細孔範囲内に2つ以上の分布ピークが存在する、方法。
【0342】
Q6.前記有機化合物は、以下の官能基、すなわちニトロ基、カルボニル基、および炭素・炭素二重結合のうちの1つまたは任意の組み合わせを含む有機化合物である、項目Q5に記載の方法。
【0343】
Q7.前記触媒の細孔径分布図上のメソ細孔範囲内に2つの分布ピークが存在する、項目Q5またはQ6に記載の方法。
【0344】
Q8.前記遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、銅および亜鉛、またはこれらの任意の組み合わせの1つである、項目Q5~Q7のいずれか1項に記載の方法。
【0345】
Q9.ニトロベンゼンの接触水素化還元によるアニリンの製造方法であって、項目Q1~Q8のいずれか1項に記載の方法を用いて、ニトロベンゼンを接触水素化還元する工程を含む、アニリンの製造方法。
【0346】
Q10.ハロニトロベンゼンの接触水素化還元によるハロアニリンの製造方法であって、項目Q1~Q8のいずれか1項に記載の方法を用いて、ハロニトロベンゼンを接触水素化還元する工程を含む、ハロアニリンの製造方法。
【0347】
Q11.ニトロフェノールの接触水素化還元によるアミノフェノールの製造方法であって、項目Q1~Q8のいずれか1項に記載の方法を用いて、ニトロフェノールを接触水素化還元する工程を含む、アミノフェノールの製造方法。
【0348】
Q12.ニトロアニソールの接触水素化還元によるアミノアニソールの製造方法であって、項目Q1~Q8のいずれか1項に記載の方法を用いて、ニトロアニソールを接触水素化還元する工程を含む、アミノアニソールの製造方法。
【0349】
Q13.コア-シェル構造を有する炭素と遷移金属との複合材料であって、前記コア-シェル構造のシェル層は黒鉛化炭素層であり、コアは遷移金属であり、当該複合材料の細孔径分布図上のメソ細孔範囲内に2つ以上の分布ピークが存在する、複合材料。
【0350】
Q14.前記複合材料の細孔径分布図上のメソ細孔範囲内に2つの分布ピーク(例えば、それぞれ1~7nmおよび8~16nmに2つの分布ピーク)がある、項目Q13に記載の複合材料。
【0351】
Q15.前記遷移金属の粒径は、1nm~200nmの任意の2つの整数値の間の任意の範囲内であり得る(例えば、1、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、および200から選択される任意の2つの値の間の範囲)、項目Q13またはQ14に記載の複合材料。
【0352】
Q16.前記遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、銅および亜鉛、またはこれらの任意の組み合わせの1つである、項目Q13~Q15のいずれか1項に記載の複合材料。
【0353】
Q17.有機化合物の接触水素化還元における、項目Q13~Q16のいずれか1項に記載の複合材料の使用。
【0354】
Q18.前記有機化合物は、以下の官能基、すなわちニトロ基、カルボニル基、および炭素・炭素二重結合の1つまたは任意の組み合わせを含む有機化合物である、項目Q17に記載の使用。
【0355】
本出願は以下の作業実施例によってさらに例示されるが、それらに限定されるものと解釈されるべきではない。
【0356】
〔試薬、器具および試験〕
別段の指示がない限り、本出願で使用されるすべての試薬は分析等級のものであり、使用されるすべての試薬は市販のもの(例えば、Sigma‐Aldrichのもの)である。
【0357】
本出願では、使用したXRD回折計は、島津製作所(日本)のXRD-6000X線粉末回折計であった。XRD試験は、Cuターゲット、Kα線(波長λ=0.154nm)、管電圧40kV、管電流200mA、走査速度10°(2θ)/分の条件で行った。
【0358】
本出願において、遷移金属粒子の平均粒径は、XRDパターンのピーク分離後、シェラー式:D=kγ/(B・cosθ)を用いて計算して得た。式中、kはシェラー定数、すなわちk=0.89を表し、Bは半値幅を表し、θはラジアン(rad)を単位とする回折角を表し、γはX線の波長、すなわち0.154054nmを表す。
【0359】
本出願では、材料の表面形態を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて特徴付けた。使用した走査型電子顕微鏡は、日立S-4800冷電界放出走査型電子顕微鏡であり、走査型電子顕微鏡の試験条件は、粉末試料を試料台上に導電性接着剤で固定して観察し、加速電圧を5kVとした。
【0360】
本出願では、高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)としてJEM-2100(HRTEM)(日本エレクトロニクス(株))を用いた。高分解能透過型電子顕微鏡の試験条件は、加速電圧200kVとした。
【0361】
本出願では、使用したX線光電子分光計(XPS)は、VG scientific Inc.によって製造され、Avantage V5.926ソフトウェアを搭載したESCALab220i-XL X線電子分光計であった。X線光電子分光分析のための試験条件は、単色化A1KαX線の励起源、330Wの電力、および分析試験中は基本、3×10-9mbarの真空であった。さらに、C1sピーク(284.6eV)を用いて電子結合エネルギーを較正し、その後のピーク分離を、XPSPEAKソフトウェアを用いて行った。
【0362】
本出願では、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層が酸素でドープされた黒鉛化炭素層であるナノ複合材料について、Elementar Micro Cube元素分析装置を用いて、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の3つの元素の分析を行った。操作および条件は以下の通りである。試料1~2mgをスズカップに秤量し、自動試料供給ディスクに入れ、ボール弁を介して燃焼管に供給し、燃焼温度1000℃(試料供給時の大気妨害を排除するため、ヘリウムパージを実施)で燃焼させた後、還元銅を用いて燃焼ガスを還元し、二酸化炭素と水を生成させた。混合ガスを2本の脱離カラムで分離し、生成物をTCD検出器に順次送って検出した。酸素元素の分析は、炭素触媒の存在下、熱分解により試料中の酸素を一酸化炭素に変換し、次いでTCDにより一酸化炭素を検出することにより行った。複合材料は炭素、水素、酸素および金属元素のみを含むので、金属元素の合計含有量は、炭素、水素および酸素の合計含有量に基づいて得ることができる。
【0363】
本出願では、炭素被覆遷移金属粒子のシェル層が酸素および窒素がドープされた黒鉛化炭素層であるナノ複合材料について、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)および窒素(N)の4つの元素の分析も、Elementar Micro Cube元素分析装置を用いて行った。操作および条件は以下の通りである。試料1~2mgをスズカップに秤量し、自動試料供給ディスクに入れ、ボール弁を介して燃焼管に供給し、燃焼温度1000℃(試料供給時の大気妨害を排除するため、ヘリウムパージを実施)で燃焼させた後、還元銅を用いて還元し、窒素、二酸化炭素、水を生成した。混合ガスを3本の脱離カラムによって分離し、生成物をTCD検出器に順次送って検出した。酸素元素の分析は、炭素触媒の存在下、熱分解により試料中の酸素を一酸化炭素に変換し、次いでTCDにより一酸化炭素を検出することにより行った。複合材料は炭素、水素、酸素、窒素および金属元素のみを含むので、金属元素の合計含有量は、炭素、水素、酸素および窒素の合計含有量に基づいて得ることができる。
【0364】
本出願において、異なる金属元素間の比率はX線蛍光分光法(XRF)によって決定され、複合材料中の異なる金属元素の含有量は、炭素、水素、酸素および窒素(存在する場合)元素の既知の合計含有量に基づいて計算された。本出願で使用したX線蛍光分光計(XRF)は、Rigaku 3013 X線蛍光分光計であった。X線蛍光スペクトル分析の試験条件は、走査時間100s、空気雰囲気とした。
【0365】
本出願では、試料の細孔構造特性をQuantachrome AS-6B分析器によって測定し、比表面積および細孔容積をBrunauer-Emmett-Taller(BET)方法を用いて得、細孔径分布曲線をBarrett-Joyner-Halenda(BJH)方法による脱着曲線から計算によって得た。
【0366】
本出願では、アジレントGC 7890Bクロマトグラムを用いたオンラインガスクロマトグラフィーにより、10-6の精度でガスの組成を得た。試料導入口からクロマトグラムに試験ガスを導入し、クロマトグラフィーカラムで分離し、各ガス成分の割合を各クロマトグラフィーピークの積分により算出した。
【0367】
本出願において、「酸浸出における損失」は、以下の方法で測定し計算した。
【0368】
試料を硫酸溶液20ml(1mol/l)につき試料1gの割合で硫酸溶液に添加し、90℃で8時間処理し、脱イオン水で中性になるまで洗浄し、乾燥し、秤量し、その後、分析した。酸浸出における損失は、以下のように計算した。
【0369】
酸浸出における損失=[1-(酸浸出後の複合材料中の遷移金属の質量分率×酸浸出後の複合材料の質量)÷(酸浸出を行う複合材料中の遷移金属の質量分率×酸浸出を行う複合材料の質量)]×100%。
【0370】
〔製造実施例および比較例〕
第I部
[実施例1-1]
酢酸ニッケル10gとクエン酸10gを秤量し、脱イオン水30mlに加え、70℃で攪拌して均一溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固して前駆体を得た。
【0371】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を100ml/分の流速で導入し、5℃/分の加熱速度で650℃に加熱し、その温度で2時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0372】
[実施例1-2]
酢酸ニッケル10gとクエン酸20gを秤量し、脱イオン水50mlに加え、80℃で攪拌して均一溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固して前駆体を得た。
【0373】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を150ml/分の流速で導入し、5℃/分の加熱速度で600℃に加熱し、その温度で2時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0374】
[実施例1-3]
酢酸コバルト10gとクエン酸30gを秤量し、脱イオン水50mlに加え、80℃で攪拌して均一溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固して前駆体を得た。
【0375】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を150ml/分の流速で導入し、5℃/分の加熱速度で600℃に加熱し、その温度で2時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆コバルトナノ複合材料を得た。
【0376】
[実施例1-4]
酢酸ニッケル10g、クエン酸10g、マレイン酸3gを秤量し、脱イオン水50mlに加え、60℃で攪拌して均質な溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固して前駆体を得た。
【0377】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を100ml/分の流速で導入し、3℃/分の加熱速度で550℃に加熱し、その温度で8時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0378】
[実施例1-5]
酢酸ニッケル10g、クエン酸7g、ペンタエリスリトール5gを秤量し、脱イオン水150mlに加え、60℃で攪拌して均一溶液を得、連続的に加熱し、蒸発乾固して前駆体を得た。
【0379】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を100ml/分の流速で導入し、加熱速度6℃/分で600℃に加熱し、その温度で1時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0380】
[実施例1-6]
酢酸ニッケル5g、酢酸コバルト5g、クエン酸16.83gを秤量し、脱イオン水30mlを入れたビーカーに入れ、80℃で攪拌して均質な溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固して前駆体を得た。
【0381】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、150ml/分の流速で窒素を導入し、5℃/分の加熱速度で500℃に加熱し、その温度で2時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料を得た。
【0382】
[実施例1-7]
酢酸ニッケル10gとエチレンジアミン四酢酸20gを秤量し、脱イオン水150mlに加え、60℃で攪拌して混合溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固して前駆体を得た。
【0383】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を100ml/分の流速で導入し、加熱速度4℃/分で600℃に加熱し、その温度で2時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0384】
[実施例1-8]
酢酸ニッケル10gとテレフタル酸10gを秤量し、脱イオン水30mlに加え、70℃で攪拌して均質な溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固して前駆体を得た。
【0385】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を100ml/分の流速で導入し、5℃/分の加熱速度で650℃に加熱し、その温度で2時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0386】
[実施例1-9]
酢酸ニッケル10gとジピコリン酸8gを秤量し、脱イオン水150mlに加え、60℃で攪拌して混合溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固して前駆体を得た。
【0387】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を100ml/分の流速で導入し、加熱速度4℃/分で600℃に加熱し、次いで、水素を30ml/分の流速で導入し、その温度で2時間保持し、水素の導入を停止し、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0388】
[実施例1-10]
実施例1-1のプロセスを繰り返し、実施例1-1のプロセスの後に酸処理を行った。すなわち、実施例1-1で得られた材料2gを硫酸水溶液(1mol/l)40mlに添加し、90℃で8時間処理した後、脱イオン水で中性になるまで洗浄し、緊密に被覆された炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0389】
[比較例1-1]
RSC Advances, 2017, 7, 1531-1539に開示されている方法によって、炭素被覆ナノニッケルナノ複合材料を製造した。
【0390】
塩化ニッケル六水和物1gを秤量し、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)58mlに溶解し、また、テレフタル酸2gを秤量し、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)15mlに溶解した。次に、塩化ニッケルのDMF溶液をテレフタル酸のDMF溶液にゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。混合液をオートクレーブに移し、120℃で16時間反応させ、冷却して緑色沈殿を得た。生成物をDMFで3回洗浄し、70℃で乾燥させ、固形物を粉砕して前駆体を得た。
【0391】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を40ml/分の流速で導入し、10℃/分の加熱速度で600℃に加熱し、その温度で1時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0392】
[比較例1-2]
エチレンジアミン四酢酸20gの替わりにエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム20gを使用した以外は、実施例1-7のプロセスを繰り返した。
【0393】
[比較例1-3]
酢酸ニッケル10gの替わりに硝酸ニッケル10gを使用した以外は、実施例1-1のプロセスを繰り返した。
【0394】
[比較例1-4]
酢酸ニッケル固体10gを磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を150ml/分の流速で導入し、5℃/分の加熱速度で600℃に加熱し、その温度で2時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気下で室温まで冷却し、試料材料を得た。
【0395】
[得られた材料の特性決定]
実施例1-1~実施例1-10で得られた材料に含まれる元素の含有質量を表1-1に示す。
【0396】
【0397】
実施例1-1~1-10および比較例1-1~1-4で得られた材料を酸浸出に供し、酸浸出における損失を表1-2に示す。
【0398】
【0399】
表1-1および表1-2のデータから、本出願の実施例1-1~1-9で得られた炭素被覆遷移金属ナノ複合材料では、遷移金属が炭素でより良好に被覆されている、すなわち、金属の大部分が炭素層で緊密に被覆されていることが分かる。
【0400】
実施例1-1~実施例1-9で得られたナノ複合材料を、X線光電子分光法(XPS)試験に供した。その結果から、複合材料中のNiは零原子価状態で存在し、ナノ複合材料中のOは金属-酸素(M-O)結合の形態では存在せず、カルボキシル酸素、カルボニル酸素、および水酸基酸素の形態でのみ存在することが分かる。このことは、コア-シェル構造は、高活性Niナノ粒子を空気から効果的に隔離することができ、コア-シェル構造は完全であるため、ナノ複合材料は過酷な反応条件下での使用に、より適していることを十分に実証する。
【0401】
図1-1は、実施例1-1で得られた前駆体のXRDパターンを示し、前駆体が非晶質材料であることを示唆する。
図1-2は、実施例1-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の磁気試験の写真であり、炭素被覆ニッケルナノ複合材料の懸濁液が磁石に吸着されて急速に透明になることを示し、複合材料が強い磁性を有することを示唆する。
図1-3は、実施例1-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。このTEM画像から、当該材料は、炭素被覆金属粒子を含む複合材料であり、ニッケルナノ粒子の外面に一定の黒鉛化度を有する炭素層がコーティングされて完全なコア-シェル構造を形成していることが分かる。
図1-4は、実施例1-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。このXRDパターンから、前記材料の回折パターンには、黒鉛炭素に対応する回折ピーク(2θ=26°)と、面心立方構造(fcc-Ni)に存在するニッケルに対応する回折ピーク(2θ=44.5°、51.7°、76.4°)があることが分かる。これは、前記材料が、一定の黒鉛化度を有する炭素と、面心立方構造に存在するニッケルとを含むことを示唆する。炭素被覆ニッケルナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して4.7nmである。BET試験は、前記材料の比表面積が146m
2/gであり、細孔容積が0.37cm
3/gであり、そのうちメソ細孔容積が0.365cm
3/gであり、これが合計細孔容積の98.6%を占めることを示す。
図1-5Aと
図1-5Bは、それぞれ、前記材料のN
2吸脱着の等温線とBJH細孔径分布図を示す。これらから、前記材料は、3.77nmと10.26nmにメソ細孔の分布ピークを2つ持つことが分かる。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は36.2%であった。酸浸出における損失は、実質的に変化せずに維持され、酸浸出の時間は前記の方法に基づいて延長された。
【0402】
図1-6は、実施例1-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
図1-6から分かるように、前記材料は、金属ニッケルナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をコアとしたコア-シェル構造を有する。前記材料のXRDパターン(
図1-7)には、黒鉛炭素に対応する回折ピーク(2θ=26°)とfcc-Niに対応する回折ピーク(44.5°、51.9°、76.2°)がある。このことは、前記材料が、一定の黒鉛化度を有する炭素と面中心立方体構造にあるニッケルとを含んでいることを示唆する。炭素被覆ニッケルナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して34.5nmである。BET試験は、前記材料の比表面積が137m
2/gであり、細孔容積が0.343cm
3/gであり、そのうちメソ細孔容積が0.323cm
3/gであり、これが合計細孔容積の94%を占めることを示す。
図1-8は、実施例1-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布を示す図である。
図1-8から分かるように、メソ細孔の2つの分布ピークは、前記材料のBJH細孔径分布曲線上の3.85nmおよび11.53nmに存在する。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は13.2%であった。酸浸出における損失は、実質的に変化せずに維持され、酸浸出の時間は前記の方法に基づいて延長された。
【0403】
図1-9は、実施例1-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料のTEM画像を示す。
図1-9から分かるように、前記材料は、金属コバルトナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコア-シェル構造を有する。前記材料のXRDパターン(
図1-10)には、黒鉛炭素に対応する回折ピーク(2θ=26°)とfcc-Coに対応する回析ピーク(44.3°、51.4°、75.9°)があり、前記材料は一定の黒鉛化度を有する炭素と面心立方構造を有するコバルトを含むことを示唆する。炭素被覆されたコバルトナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して24nmである。BET試験は、前記材料の比表面積が192m
2/gであり、細孔容積が0.398cm
3/gであり、そのうちメソ細孔容積が0.394cm
3/gであり、これが合計細孔容積の99%を占めることを示す。
図1-11は、実施例1-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料の細孔径分布を示す図である。
図1-11から分かるように、メソ細孔の2つの分布ピークは、前記材料のBJH細孔径分布曲線上の3.38nmおよび8.98nmに存在する。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は9.5%であった。酸浸出における損失は、実質的に変化せずに維持され、酸浸出の時間は前記の方法に基づいて延長された。
【0404】
図1-12は、実施例1-4で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
図1-12から分かるように、前記材料は、金属ニッケルナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコア-シェル構造を有する。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は9.5%であった。酸浸出における損失は、実質的に変化せずに維持され、酸浸出の時間は前記の方法に基づいて延長された。
【0405】
図1-13は、実施例1-5で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
図1-13から分かるように、前記材料は、金属ニッケルナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコア-シェル構造を形成している。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は28.6%であった。酸浸出における損失は、実質的に変化せずに維持され、酸浸出の時間は前記の方法に基づいて延長された。
【0406】
図1-14は、実施例1-6で得られた炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料のTEM画像を示す。
図1-14から分かるように、前記材料は、金属ニッケルまたはコバルトナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコア-シェル構造を有する。前記材料のXRDパターン(
図1-15)には、黒鉛炭素に対応する回折ピーク(2θ=25.6°)とfcc-Ni、fcc-Coに対応する回析ピーク(44.3°、51.7°、76.0°)があり、前記材料が一定の黒鉛化度を有する炭素と面心立方構造に存在するニッケルおよびコバルトとを含むことを示唆する。炭素被覆ナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して39nmである。BET試験は、前記材料の比表面積が159m
2/gであり、細孔容積が0.208cm
3/gであり、そのうちメソ細孔容積が0.196cm
3/gであり、これが合計細孔容積の94%を占めることを示す。
図1-16は、実施例1-6で得られた炭素被覆ニッケルコバルトナノ複合材料の細孔径分布を示す図である。
図1-16から分かるように、メソ細孔の2つの分布ピークは、前記材料のBJH細孔径分布曲線上の3.25nmおよび8.94nmに存在する。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は23.1%であった。酸浸出における損失は、実質的に変化せずに維持され、酸浸出の時間は前記の方法に基づいて延長された。
【0407】
図1-17は、実施例1-7で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
図1-17から分かるように、前記材料は、金属ニッケルナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコア-シェル構造を有する。前記材料のXRDパターン(
図1-18)では、黒鉛炭素に対応する回折ピーク(2θ=25.6°)、fcc-Niに対応する回折ピーク(44.4°、51.8°、76.4°)、六方最密充填構造(hcp-Ni)に存在するニッケルに対応する回折ピーク(2θ=41.9°、44.7°、47.5°、62.6°)があり、前記材料が一定の黒鉛化度を有する炭素と面心立方構造および六方最密充填構造に存在するニッケルとを含むことを示唆する。炭素被覆ニッケルナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して7.2nmである。BET試験は、前記材料の比表面積が228m
2/gであり、細孔容積が0.293cm
3/gであり、そのうちメソ細孔容積が0.293cm
3/gであり、これが合計細孔容積の100%を占めることを示す。
図1-19は、実施例1-7で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布を示す図である。
図1-19から分かるように、メソ細孔の2つの分布ピークは、前記材料のBJH細孔径分布曲線上の3.97nmおよび6.39nmに存在する。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は12.4%であった。酸浸出における損失は、実質的に変化せずに維持され、酸浸出の時間は前記の方法に基づいて延長された。
【0408】
図1-20は、実施例1-8で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
図1-20から分かるように、前記材料は、金属ニッケルナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコア-シェル構造を有する。前記材料のXRDパターン(
図1-21)には、黒鉛炭素に対応する回折ピーク(2θ=25.8°)とfcc-Niに対応する回析ピーク(44.6°、51.8°、76.4°)があり、前記材料が一定の黒鉛化度を有する炭素と面心立方構造に存在するニッケルとを含むことを示唆する。炭素被覆ニッケルナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して8.4nmである。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は29.4%であった。酸浸出における損失は、実質的に変化せずに維持され、酸浸出の時間は前記の方法に基づいて延長された。
【0409】
図1-22は、実施例1-9で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
図1-22から分かるように、前記材料は、金属ニッケルナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコア-シェル構造を有する。前記材料のXRDパターン(
図1-23)には、黒鉛炭素に対応する回折ピーク(2θ=25.9°)とfcc-Niに対応する回析ピーク(44.4°、51.7°、76.3°)があり、前記材料が一定の黒鉛化度の炭素と面心立方構造に存在するニッケルとを含むことを示唆する。炭素被覆ニッケルナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して7.5nmである。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は25.6%であった。酸浸出における損失は、実質的に変化せずに維持され、酸浸出の時間は前記の方法に基づいて延長された。
【0410】
図1-24は、実施例1-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の磁気試験の写真であり、炭素被覆ニッケルナノ複合材料の懸濁液が磁石に吸引された後、急速に透明になることを示し、得られた炭素被覆材料が強い磁性を有することを示唆する。
図1-25は、ナノ複合材料のTEM画像を示す。このTEM画像から、前記材料は、金属ニッケルナノ粒子をコアとし、黒鉛炭素をシェルとしたコア-シェル構造を有することが分かる。前記複合材料のX線回折パターンを
図1-26に示したが、これを見ると黒鉛炭素に対応する回折ピーク(2θ=25.7°)とfcc-Niに対応する回折ピーク(44.5°、51.9°、76.2°)があることが分かる。炭素被覆ニッケルナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して4.2nmである。BET試験は、前記材料の比表面積が176m
2/gであり、最高容積が0.381cm
3/gであり、そのうちメソ細孔容積が0.376cm
3/gであり、これが合計細孔容積の98.7%を占めることを示す。
図1-27は、実施例1-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布を示す図である。
図1-27から分かるように、メソ細孔の2つの分布ピークは、前記材料のBJH細孔径分布曲線上の3.80nmおよび10.47nmに存在する。
【0411】
比較例1-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料を、上述の特性決定試験に供した。その結果から、前記材料のXRDパターンに、黒鉛炭素に対応する回折ピーク(2θ=26°)とfcc-Niに対応する回折ピーク(44.5°、51.9°、76.2°)が存在することが分かる。これは、前記材料が、一定の黒鉛化度を有する炭素と面中心立方構造に存在するニッケルとを含むことを示唆する。BET試験は、前記材料の比表面積は159m2/gであり、細孔容積は0.208cm3/gであり、そのうち細孔径が2nmを超える細孔の細孔容積は0.05cm3/gであり、これは合計細孔容積の24%を占めることを示す。前記材料のBJH細孔径分布曲線上には、0.68nmに微細孔の分布ピークが1つしかない。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は92%であった。
【0412】
図1-28は比較例1-4で得られた試料材料のXRDパターンを示す。このXRDパターンから、前記材料の回折パターンには、fcc-Niに対応する回折ピーク(44.2°、51.6°、76.2°)があることが分かる。元素分析装置およびX線蛍光スペクトル分析装置(XRF)で測定すると、前記材料は、1.34質量%の炭素、0.32質量%の水素、0.18質量%の酸素、および98.16質量%のニッケルを含有する。
【0413】
実施例1-1~1-10と比較例1-1~1-3とを比較すると、本出願の方法は、より単純でより効率的であり、本出願の方法では、溶媒(例えば、水)中で遷移金属塩と多塩基性有機カルボン酸とを反応させることにより、高温熱分解に供される前駆体を直接的に製造することができ、原料に含まれる遷移金属の前駆体中の原子利用率を100%とすることができ、従来技術の以下の欠点、すなわち、自己集合反応における高温高圧反応釜の必要性、大量の炭素源前駆体の廃棄、大量の有機溶媒の浪費、精製の複雑さ等を克服することができ、高分子助剤を必要としないため、反応手順を簡略化できることが分かる。
【0414】
さらに、本出願による方法は、緊密に被覆されたナノ複合材料の製造を可能にし、その結果、当該材料は、より厳しい条件下で使用され得る。さらに、本出願による方法は、メソ細孔に富む構造、特にマルチレベルのメソ細孔構造を有する緊密に被覆されたナノ複合材料の製造を可能にし、その結果、当該材料は、より多くの分野での使用に好適である。
【0415】
第II部
[実施例2-1]
酢酸ニッケル10g、クエン酸10g、ヘキサメチレンテトラミン20gを秤量し、脱イオン水30mlに加え、70℃で攪拌して均一溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固させて前駆体を得た。
【0416】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を100ml/分の流速で導入し、5℃/分の加熱速度で650℃に加熱し、その温度で2時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0417】
[実施例2-2]
酢酸ニッケル10g、クエン酸20g、ヘキサメチレンテトラミン20gを秤量し、脱イオン水100mlに加え、80℃で攪拌し、均質な溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固させて前駆体を得た。
【0418】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を150ml/分の流速で導入し、5℃/分の加熱速度で600℃に加熱し、その温度で2時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0419】
[実施例2-3]
酢酸コバルト10g、クエン酸10g、ヘキサメチレンテトラミン20gを秤量し、脱イオン水150mlを入れたビーカーに入れ、60℃で攪拌して均一溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固させて前駆体を得た。
【0420】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を100ml/分の流速で導入し、5℃/分の加熱速度で700℃に加熱し、その温度で1時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆コバルトナノ複合材料を得た。
【0421】
[実施例2-4]
酢酸ニッケル10g、酢酸コバルト10g、クエン酸20g、ヘキサメチレンテトラミン10gを秤量し、脱イオン水150mlを入れたビーカーに入れ、60℃で攪拌し、均質な溶液を形成し、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固させて固形物を得た。
【0422】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を流速100ml/分で導入し、加熱速度4℃/分で600℃に加熱し、その温度で2時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料を得た。
【0423】
[実施例2-5]
酢酸ニッケル10g、クエン酸10g、ジシアノジアミド20gを秤量し、脱イオン水150mlに加え、60℃で攪拌し、均質な溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固させ、固形物を粉砕して前駆体を得た。
【0424】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、100ml/分の流速で窒素を導入し、5℃/分の加熱速度で700℃に加熱し、その温度で1時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0425】
[実施例2-6]
酢酸ニッケル10g、クエン酸10g、尿素20g、マレイン酸3gを秤量し、脱イオン水50mlに加え、60℃で攪拌し、均質溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固させ、固形物を粉砕して前駆体を得た。
【0426】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を100ml/分の流速で導入し、3℃/分の加熱速度で550℃に加熱し、その温度で3時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0427】
[実施例2-7]
酢酸ニッケル10g、テレフタル酸20g、ヘキサメチレンテトラミン20gを秤量し、脱イオン水100mlに加え、80℃で攪拌して均一溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固させて、固形分を粉砕して前駆体を得た。
【0428】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を80ml/分の流速で導入し、8℃/分の加熱速度で800℃に加熱し、その温度で2時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0429】
[実施例2-8]
酢酸ニッケル10g、クエン酸7g、メラミン10g、ペンタエリスリトール5gを秤量し、脱イオン水150mlに加え、60℃で攪拌して均一溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固させて前駆体を得た。
【0430】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を100ml/分の流速で導入し、加熱速度6℃/分で600℃に加熱し、その温度で1時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0431】
[実施例2-9]
酢酸ニッケル20gおよびエチレンジアミン四酢酸10gを秤量し、脱イオン水150mlに加え、60℃で攪拌して均質溶液を形成し、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固させ、固形物を粉砕して前駆体を得た。
【0432】
前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を100ml/分の流速で導入し、加熱速度4℃/分で600℃に加熱し、その温度で2時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0433】
[実施例2-10]
実施例2-1のプロセスを繰り返し、実施例2-1のプロセスの後に酸処理を行った。すなわち、実施例2-1で得られた材料2gを10重量%塩酸100mlに添加し、還流温度で12時間処理し、中性になるまで脱イオン水で洗浄し、120℃で乾燥させて、緊密に被覆された炭素被覆ニッケルナノ複合材料を得た。
【0434】
[比較例2-1]
Ni-MOF材料の製造:窒素ニッケル3.09g、テレフタル酸2.8g、トリエチレンジアミン0.95gを秤量し、ジメチルホルムアミド120mlに加え、120℃で8時間反応させ、密封して、120℃で40時間放置した。生成物を濾過し、ジメチルホルムアミドとメタノールで洗浄し、真空で乾燥させてNi-MOF材料を得た。
【0435】
窒素ドープ炭素被覆ニッケル(Ni@C-N)ナノ材料の合成:得られたNi-MOFを磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温領域に入れ、窒素を100ml/分の流速で導入し、4℃/分の加熱速度で200℃に加熱し、その温度で2時間保持し、次いで500℃に加熱し、その温度で8時間保持し、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、Ni@C-Nナノ材料を得た。
【0436】
[比較例2-2]
酢酸ニッケル10gの替わりに硝酸ニッケル10gを使用した以外は、実施例2-1のプロセスを繰り返した。
【0437】
[比較例2-3]
エチレンジアミン四酢酸10gの替わりにエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム10gを使用した以外は、実施例2-9のプロセスを繰り返した。
【0438】
[得られた材料の特性決定]
実施例2-1~実施例2-11で得られた材料に含まれる元素の含有質量を表2-1に示す。
【0439】
【0440】
実施例2-1~2-11および比較例2-1~2-3で得られた材料を酸浸出に供し、酸浸出における損失を表2-2に示す。
【0441】
【0442】
表2-1および表2-2に示すデータから、本出願の実施例2-1~2-11で得られた炭素被覆遷移金属ナノ複合材料では、遷移金属が炭素によってより良好に包まれている、すなわち、金属の大部分が炭素層によって緊密に被覆されていることが分かる。
【0443】
図2-1は、実施例2-1で得られた酸素および窒素でドープされた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の磁気試験の写真であり、酸素および窒素でドープされた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の懸濁液が磁石に吸引された後、急速に透明になることを示し、当該複合材料が強い磁性を有することを示唆する。
図2-2は、実施例2-1で得られた酸素および窒素でドープされた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
図2-2から分かるように、当該複合材料は炭素被覆金属ニッケル粒子を含み、これらの粒子は、ニッケルナノ粒子の外面上に一定の黒鉛化度を有する炭素層で被覆されて、完全なコア-シェル構造を形成する。
図2-3は、実施例2-1で得られた酸素および窒素でドープされた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
図2-3から分かるように、前記材料の回折パターンには、黒鉛炭素に対応する回折ピーク(2θ=25.96°)と面心立方体構造(fcc-Ni)に存在するニッケルに対応すると回折ピーク(2θ=44.38°、51.83°、76.42°)があり、前記材料が一定の黒鉛化度を持つ炭素と面心立方体構造に存在するニッケルとを含むことを示唆する。炭素被覆ニッケルナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して6.3nmである。BET試験は、前記材料の比表面積が114m
2/gであり、細孔容積が0.181cm
3/gであり、そのうちメソ細孔容積が0.173cm
3/gであり、これが合計細孔容積の95.6%を占めることを示す。
図2-4Aと2-4Bは、それぞれ、前記材料のN
2吸脱着の等温線とBJH細孔径分布図を示し、これらから、前記複合材料は、3.75nmと10.03nmにメソ細孔の2つの分布ピークを持つことが分かる。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は14%であった。
【0444】
図2-5は、実施例2-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像であり、前記材料が、金属ニッケルナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコア-シェル構造を有することを示している。前記材料のXRDパターン(
図2-6)には、黒鉛炭素に対応する回折ピーク(2θ=25.8°)、fcc-Niに対応する回折ピーク(2θ=44.4°、51.9°、76.5°)、六方最密構造(hcp-Ni)に存在するニッケルに対応する回折ピーク(2θ=41.9°、44.4°、47.5°、62.41°)があり、前記材料は一定の黒鉛化度を有する炭素と面心立方構造および六方最密構造に存在するニッケルとを含むことを示唆する。炭素被覆ニッケルナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して31.4nmである。BET試験は、前記材料の比表面積が126m
2/gであり、細孔容積が0.213cm
3/gであり、そのうちメソ細孔容積が0.207cm
3/gであり、これが合計細孔容積の97.1%を占めることを示す。前記材料のN
2吸脱着の等温線およびBJH細孔径分布図(
図2-7)を決定することにより、前記複合材料が3.83nmおよび11.16nmにメソ細孔の2つの分布ピークを有することが観察できる。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は9.3%であった。
【0445】
図2-8は、実施例2-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料のTEM画像であり、前記材料は、金属コバルトナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコア-シェル構造を有することを示している。前記材料のXRDパターン(
図2-9)には、コバルトに対応する回折ピーク(2θ=44.42°)があり、前記材料中に元素コバルトが存在することを示唆する。炭素被覆コバルトナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して17.5nmである。BET試験は、前記材料の比表面積が140m
2/gであり、細孔容積が0.158cm
3/gであり、そのうちメソ細孔容積が0.158cm
3/gであり、これが合計細孔容積の100%を占めることを示す。前記材料のN
2吸脱着の等温線およびBJH細孔径分布図(
図2-10)を決定することにより、前記複合材料が3.77nmおよび13.32nmにメソ細孔の2つの分布ピークを有することが観察できる。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は31.2%であった。
【0446】
図2-11は、実施例2-4で得られた前駆体のXRDパターンであり、得られた前駆体が非晶質物質であることを示している。
図2-12は、実施例2-4で得られた炭素被覆ニッケルコバルトナノ複合材料のTEM画像であり、前記材料が、金属ニッケルまたはコバルトナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコア-シェル構造を有することを示している。前記材料のXRDパターン(
図2-13)には、fcc-Niとコバルトに対応する回折ピーク(2θ=44.5°、51.7°、76.2°)があり、前記材料は、一定の黒鉛化度を有する炭素と面心立方構造に存在するニッケルおよび/またはコバルトとを含むことを示唆する。炭素被覆ナノ粒子の平均粒径はシェラー式により計算して24.4nmである。前記材料の比表面積は182m
2/gであり、細孔容積は0.256cm
3/gであり、そのうちメソ細孔容積は0.256cm
3/gであり、これは合計細孔容積の100%を占める。前記材料のN
2吸脱着の等温線およびBJH細孔径分布図(
図2-14)を決定することにより、前記複合材料が3.7nmおよび6.34nmにメソ細孔の2つの分布ピークを有することが観察できる。酸浸出試験では、材料の酸浸出における損失は38.4%であった。
【0447】
図2-15は、実施例2-5で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像であり、前記材料は、金属ニッケルナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコア-シェル構造を有することを示している。前記材料のXRDパターン(
図2-16)では、黒鉛炭素に対応する回折ピーク(2θ=25.8°)、fcc-Niに対応する回折ピーク(44.4°、51.9°、76.2°)、およびhcp-Niに対応する回折ピーク(2θ=42.1°、44.4°、47.42°、62.63°)があり、このことは、前記材料が、一定の黒鉛化度を有する炭素と面心立方構造および六方最密構造に存在するニッケルとを含むことを示唆する。炭素被覆ナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して7.6nmである。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は31.2%であった。
【0448】
図2-17は、実施例2-6で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像であり、前記材料は、金属ニッケルナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコア-シェル構造を有することを示している。前記材料のXRDパターン(
図2-18)には、fcc-Niに対応する回折ピーク(44.45°、51.8°、76.3°)と、hcp-Niに対応する回折ピーク(2θ=41.6°、44.4°、47.6°、62.6°)があり、前記材料は、一定の黒鉛化度を有する炭素と面心立方構造と六方最密構造に存在するニッケルとを含むことを示唆する。炭素被覆ナノ粒子の平均粒径はシェラー式により計算して28.4nmである。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は25.4%であった。
【0449】
図2-19は、実施例2‐7で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像であり、前記材料は、金属ニッケルナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコア-シェル構造を有することを示している。前記材料のXRDパターン(
図2-20)では、黒鉛炭素に対応する回折ピーク(2θ=26.04°)と、fcc-Niに対応する回折ピーク(44.6°、51.8°、76.3°)とがあり、前記材料は、一定の黒鉛化度を有する炭素と面心立方構造に存在するニッケルとを含むことを示唆する。炭素被覆ナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して4.7nmである。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は16.7%であった。
【0450】
図2-21は、実施例2-8で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像であり、金属ニッケルナノ粒子をコアとし、前記材料は、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコア-シェル構造を有することを示している。前記材料のXRDパターン(
図2-22)には、fcc-Niに対応する回折ピーク(44.4°、51.9°、76.3°)とhcp-Niに対応する回折ピーク(2θ=41.7°、44.4°、47.5°、62.6°)があり、前記材料は、一定の黒鉛化度を持つ炭素と面心立方構造および六方最密構造に存在するニッケルとを含むことを示唆する。炭素被覆ナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して32.4nmである。BET試験は、前記材料の比表面積が228m
2/gであり、細孔容積が0.293cm
3/gであり、そのうちメソ細孔容積が0.289cm
3/gであり、これが合計細孔容積の98.6%を占めることを示す。この材料のN
2吸脱着の等温線およびBJH細孔径分布図(
図2-23)を決定することにより、前記複合材料が3.75nmにメソ細孔の分布ピークを有することが観察できる。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は39.8%であった。
【0451】
図2-24は、実施例2-9で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像であり、前記材料は、金属ニッケルナノ粒子をコアとし、一定の黒鉛化度を有する炭素をシェルとしたコアシェル構造を有することを示している。前記材料のXRDパターン(
図2-25)には、黒鉛状炭素に対応する回折ピーク(2θ=25.9°)とfcc-Niに対応する回折ピーク(44.5°、51.7°、76.3°)があり、前記材料は、一定の黒鉛化度の炭素と面心立方構造に存在するニッケルとを含むことを示唆する。炭素被覆ナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して7.6nmである。BET試験は、前記材料の比表面積が232m
2/gであり、細孔容積が0.313cm
3/gであり、そのうちメソ細孔容積が0.313cm
3/gであり、これが合計細孔容積の100%を占めることを示す。前記材料のN
2吸脱着の等温線およびBJH細孔径分布図(
図2-26)を決定することにより、前記複合材料は4.02nmおよび6.30nmにメソ細孔の2つの分布ピークを有することが観察できる。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は21.7%であった。
【0452】
図2-27は、実施例2-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の磁気試験の写真であり、炭素被覆ニッケルナノ複合材料の懸濁液が磁石に吸引された後、急速に透明になることを示し、前記材料が強い磁性を有することを示唆する。
図2-28は、前記材料のTEM画像を示し、この画像から、前記材料は、炭素被覆金属コア-シェル構造を有するナノ複合材料であり、一定の黒鉛化度を有する炭素層が、ニッケルナノ粒子の外面上に被覆されて完全なコア-シェル構造を形成することが分かる。炭素被覆ニッケルナノ複合材料のX線回折パターンを
図2-29に示したが、そこから黒鉛炭素に対応する回折ピーク(2θ=25.97°)とfcc-Niに対応する回折ピーク(2θ=44.47°、51.34°、76.26°)があることが分かる。炭素被覆ニッケルナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して8.1nmである。BET試験は、前記材料の比表面積が200m
2/gであり、そのうち細孔容積が0.204cm
3/gであり、メソ細孔容積が0.0201cm
3/gであり、これが合計細孔容積の98.6%を占めることを示す。
図2-30は、前記材料のBJH細孔径分布図を示しており、前記複合材料は3.79nmおよび10.01nmにメソ細孔の2つの分布ピークを有することが分かる。
【0453】
比較例2-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料について、上述の特性決定試験に供した。その結果から、炭素被覆ニッケルナノ複合材料は金属ニッケルナノ粒子をコアとし、炭素をシェルとし、粒径28.2nmのコアシェル構造を有することが分かる。前記材料のXRDパターンには、fcc-Niに対応する回折ピーク(44.45°、51.32°、76.16°)があり、前記材料中に面心立方構造でニッケルが存在することを示唆する。酸浸出試験では、前記材料の酸浸出における損失は64.2%であった。
【0454】
実施例2-1~2-11と比較例2-1~2-3とを比較すると、本出願の方法は、より単純かつ効率的であり、遷移金属塩、多塩基性有機カルボン酸および窒素含有化合物の溶媒中での反応によって、高温熱分解に供される前駆体は直接的に製造され、原料に含まれる遷移金属の前駆体中の原子利用率は100%であり、従来技術の以下の欠点、すなわち自己集合反応における高温高圧反応釜の必要性、大量の炭素源前駆体の廃棄、大量の有機溶媒の浪費、金属有機骨格構造を有する前駆体を製造するための精製の複雑さ等を克服することができ、高分子助剤を必要としないため、反応工程を簡略化できることが分かる。
【0455】
第III部
[実施例3-1]
2.92g(10mmol)のエチレンジアミン四酢酸、1.53g(5mmol)の1,3-プロピレンジアミン四酢酸および1.85g(20mmol)の水酸化ニッケルを秤量し、120mlの脱イオン水に添加し、80℃で攪拌して均質溶液を得、この溶液を連続的に加熱し、蒸発乾固させ、固形物を粉砕して前駆体を得た。
【0456】
得られた前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を80ml/分の流速で導入し、加熱速度2.5℃/分で725℃に加熱し、その温度で3.5時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料(P1と称する)を得た。
【0457】
得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P1を0.5mol/L H2SO4溶液50mlに加え、90℃で6時間、攪拌還流した後、この溶液を吸入濾過し、中性になるまで脱イオン水で洗浄した。次に、粉末を100℃の炉内で2時間乾燥させて、炭素被覆ニッケルナノ複合材料(P2と称する)を得た。
【0458】
[実施例3-2]
10mmolのNiCO3と10mmolのクエン酸を秤量し、脱イオン水150mlに加え、70℃で攪拌して均一溶液とし、この溶液を連続的に加熱し蒸発乾固させて、固体を粉砕して前駆体を得た。
【0459】
得られた前駆体を磁器ボートに入れ、それから磁器ボートを管状炉の恒温部に入れ、窒素を100ml/分の流速で導入し、5℃/分の加熱速度で450℃に加熱し、その温度で1時間保持した後、加熱を停止した。生成物を窒素雰囲気中で室温まで冷却し、炭素被覆ニッケルナノ複合材料P3を得た。
【0460】
得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P3を1mol/L HCl溶液60mlに加え、85℃で4時間、攪拌還流した後、この溶液を吸入濾過し、中性になるまで脱イオン水で洗浄した。次に、この粉末を100℃の炉内で2時間乾燥させ、炭素被覆ニッケルナノ複合材料P4を得た。
【0461】
[得られた材料の特性決定]
図3-1は、実施例3-1で得られた材料P2のXRDパターンを示す。
図3-1では、炭素材料の回折ピークとhcp-Niおよびfcc-Niの回折ピークのみが存在し、42°と62°でのhcp-Niの回折ピークはほとんど消滅している。
図3-2Aは、実施例3-1で得られた材料P2のN
2吸着-脱着等温線を示す図であり、
図3-2Bは、実施例3-1で得られた材料P2の細孔径分布を示す図である。
図3-2Bは、材料P2の細孔径分布が3.7nmおよび10.0nmに2つの分布ピークを示すことを示す。測定すると、材料P2の比表面積が253m
2/g、細孔容積が0.481cm
3/gであり、そのうちメソ細孔容積は、合計細孔容積の99.3%を占める。
図3-3は、材料P2のSEMおよびTEM画像を示す。
図3-3(a)から、前記材料は全体として不規則な塊であることが分かる。
図3-3(b)から、炭素マトリックス中にニッケルナノ粒子が均一に分散していることが分かる。
図3-3(c)では、黒鉛シェルと金属コアが明瞭に観察され、ナノ粒子のコア-シェル構造が明確に示されている。元素分析装置で測定すると、材料P2の炭素含有量は46.91wt%、水素含有量は0.42wt%、窒素含有量は1.54wt%、酸素含有量は1.83wt%、正規化ニッケル含有量は49.30wt%である。前記の「試薬、器具および試験」の項に記載した酸浸出における損失の測定方法で測定したところ、実施例3-1で得られた材料P1の酸浸出における損失は40%であり、材料P2の酸浸出における損失は2%未満であり、酸浸出における損失は、実質的に変化せずに維持され、酸浸出時間は前記測定方法に基づいて延長された。
【0462】
図3-4は、実施例3-2で得られた前駆体物質の熱重量-示差熱分析(TG-DTA)の図である。
図3-4から分かるように、前駆体は温度上昇中に2つの吸熱ピークを明確に示す。ここで、366℃における吸熱ピークは、前駆体の高温熱分解および炭化ならびにNi
2+のNi元素への還元のプロセスに対応し、前駆体の質は、400℃以降で比較的安定である。
図3-5は、実施例3-2で得られた材料P4のXRDパターンを示す。
図3-5から、炭素材料の回折ピークとfcc-Niの回折ピークが見て取れる。ニッケルナノ粒子の平均粒径は、シェラー式により計算して8.6nmであった。
図3-6は、実施例3-2で得られた材料P4のXPSパターンを示しており、C、O、Niの電子結合エネルギーピークがはっきりと見られる。
図3-7Aは、実施例3-2で得られた材料P4のN
2吸脱着の等温線を示す図であり、
図3-7Bは、実施例3-2で得られた材料P4の細孔径分布を示す図である。
図3-7Aより、材料P4は、P/P
0=0.4~1.0の範囲でヒステリシスループを明確に示していることが分かる。
図3-7Bから分かるように、材料P4の細孔径分布は、3.5nmおよび6.9nmに2つの分布ピークを示す。材料P4の比表面積は301m
2/gであり、細孔容積は0.453cm
3/gであり、そのうちメソ細孔容積は合計細孔容積の100%を占める。元素分析装置で測定したところ、材料P4の炭素含有量は39.80wt%、水素含有量は1.01wt%、酸素含有量は2.50wt%、正規化ニッケル含有量は56.69wt%であった。前記の「試薬、器具および試験」の項に記載した酸浸出における損失の測定方法で測定したところ、実施例3-2で得られた材料P3の酸浸出における損失は43%であり、材料P4の酸浸出における損失が1%未満であった。酸浸出における損失は、実質的に変化せずに維持され、酸浸出の時間は前記測定方法に基づいて延長された。
【0463】
用途実施例
[実施例4-1]
第I部の製造実施例および比較例で得られた材料および市販のニッケル初級酸化物(NiO)(分析的に純粋、バッチ番号:20160803、Sinopharm Chemical Reagent Co、Ltd.)を、工業でのn-ブタンの酸化による無水マレイン酸の生成中に発生する排ガス中のブタンの完全触媒除去試験用の触媒として、それぞれ使用した。対応する触媒のブタン除去速度の評価を実施し、同じ条件下で評価した場合、ブタン除去速度が速いほど触媒の活性が高い。特に、評価方法は、以下のように行った:
無水マレイン酸生成プロセスから回収したブタン含有排ガスを、触媒を装填した固定床反応器に送り、触媒と接触させて接触酸化反応させ、得られた反応生成物をガスクロマトグラフィー分析し、ブタン除去率を算出した:
ブタン除去率=100%-反応生成物中のブタン体積/無水マレイン生成プロセス由来の排ガス中のブタン体積×100%。
【0464】
無水マレイン酸製造プロセス由来の排ガスは、約1体積%のブタンを含み、残部は空気と微量の一酸化炭素と二酸化炭素であり、反応空間速度は排ガス5000ml/(触媒h・g)であり、評価時間は5時間である。反応温度とブタン除去率を表4-1に示す。
【0465】
【0466】
表4-1から分かるように、本出願の実施例1-1~1-3、1-6および1-8で得られたナノ複合材料は、400℃未満の温度でブタンのCO2への完全酸化を触媒することができ、実施例1-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料および実施例1-6で得られた炭素被覆ニッケルコバルトナノ複合材料を350℃で使用することによって、1体積%のブタンを含む無水マレイン酸生成プロセスで生じた排ガス中のブタン除去率100%を達成することができる。本出願によるナノ複合材料、特に酸処理に供されないナノ複合材料は、接触酸化のための触媒として使用される場合に良好な低温活性を示し、これは、触媒燃焼による工業排ガス中の揮発性有機化合物の完全な除去にとって非常に重要であることが分かる。黒鉛炭素層は、反応条件下で金属活性中心を隔離し、安定化させる役割を果たし、活性中心の凝集および不活性化を効果的に防止することができる。本出願のナノ複合材料を無水マレイン酸生成プロセス由来の排ガスの処理に用いることにより、反応温度を大幅に下げることができ、エネルギー消費を低減することができる。
【0467】
[実施例4-2]
第II部の製造実施例および比較例1-4で得られたナノ複合材料および市販のニッケル初級酸化物(NiO)(分析的に純粋、バッチ番号:20160803、Sinopharm Chemical Reagent Co、Ltd.)を、工業でのn-ブタンの酸化による無水マレイン酸の生成中に発生する排ガス中のブタンの完全触媒除去試験用の触媒としてそれぞれ使用した。対応する触媒のブタン除去率の評価は、以下のように行った:
無水マレイン酸生成プロセスから回収したブタン含有排ガスを、触媒を装填した固定床反応器に送り、触媒と接触させて接触酸化反応させ、得られた反応生成物をガスクロマトグラフィー分析し、ブタン除去率を算出した:
ブタン除去率=100%-反応生成物中のブタン体積/無水マレイン酸生成プロセス由来の排ガス中のブタン体積×100%。
【0468】
無水マレイン酸生成プロセス由来の排ガスは、約1体積%のブタンを含み、残部は空気と微量の一酸化炭素と二酸化炭素であり、反応空間速度は排ガス5000ml/(触媒h・g)であり、評価時間は5時間である。反応温度とブタン除去率を表4-2に示す。
【0469】
【0470】
表4-2から分かるように、本出願の実施例2-1~2-4で得られたナノ複合材料を350℃で使用することにより、1体積%のブタンを含む無水マレイン酸生成処理由来の排ガス中のブタンの100%の除去率を達成することができ、この温度は、比較例1-4の複合材料と市販のニッケル初級酸化物に必要とされる温度よりも著しく低い。本出願のナノ複合材料、特に酸処理に供されないナノ複合材料は、接触酸化のための触媒として使用される場合に良好な低温活性を示し、これは、触媒燃焼による工業排ガス中の揮発性有機化合物の完全な除去にとって非常に重要であることが分かる。黒鉛化炭素層は、反応条件下で金属活性中心を隔離し、安定化させる役割を果たし、活性中心の凝集および不活性化を効果的に防止することができる。本出願のナノ複合材料を無水マレイン酸生成プロセス由来の排ガスの処理に用いることにより、反応温度を大幅に低下させることができ、触媒の安定性を維持することができ、エネルギー消費を低減することができる。
【0471】
[実施例4-3]
実施例1-1で得られたナノ複合材料を、ニトロベンゼンの水素化によるアニリンの生成における触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
ナノ複合材料0.1g、ニトロベンゼン2.7mmol、無水エタノール30mlを反応容器に加え、反応容器をH2で3回パージし、H2を導入して反応容器内を1MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、60℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。ニトロベンゼンの転化率は100%であり、アニリンへの選択率は99.9%であった。
【0472】
[実施例4-4]
実施例1-10で得られたナノ複合材料を、ニトロベンゼンの水素化によるアニリンの生成反応の触媒として使用した。その実験手順は以下の通りであった:
ナノ複合材料0.1g、ニトロベンゼン2.7mmol、無水エタノール30mlを反応容器に加え、反応容器をH2で3回パージし、H2を導入して反応容器内を1MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、60℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。ニトロベンゼンの転化率は100%であり、アニリンへの選択率は99.9%であった。
【0473】
[実施例4-5]
実施例1-1で得られたナノ複合材料を、p-クロロニトロベンゼンの水素化によるp-クロロアニリンの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
ナノ複合材料0.1g、p-クロロニトロベンゼン3mmol、無水エタノール30mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を0.5MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、120℃に加熱し、0.5時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。p-クロロニトロベンゼンの転化率は100%であり、p-クロロアニリンへの選択率は99.5%であった。
【0474】
[実施例4-6]
実施例1-10で得られたナノ複合材料を、p-クロロニトロベンゼンの水素化によるp-クロロアニリンの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
ナノ複合材料0.1g、p-クロロニトロベンゼン2mmol、無水エタノール30mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を1MPaまで昇圧した。得られた混合物を攪拌し、60℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。p-クロロニトロベンゼンの転化率は100%であり、p-クロロアニリンへの選択率は99.9%であった。
【0475】
[実施例4-7]
実施例2-1で得られたナノ複合材料を、ニトロベンゼンの水素化によるアニリン生成反応の触媒として使用した。その実験手順は以下の通りであった:
ナノ複合材料0.1g、ニトロベンゼン2.7mmol、無水エタノール30mlを反応容器に加え、反応容器をH2で3回パージし、H2を導入して反応容器内を1MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、60℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。ニトロベンゼンの転化率は100%であり、アニリンへの選択率は99.9%であった。
【0476】
[実施例4-8]
実施例2-1で得られたナノ複合材料を、p-クロロニトロベンゼンの水素化によるp-クロロアニリンの生成反応の触媒として、使用した。実験手順は以下の通りであった:
ナノ複合材料0.1g、p-クロロニトロベンゼン4.2mmol、無水エタノール50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を0.5MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、120℃に加熱し、0.5時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。p-クロロニトロベンゼンの転化率は100%であり、p-クロロアニリンへの選択率は99.2%であった。
【0477】
[実施例4-9]
実施例1-1で得られたナノ複合材料を、フェノールの水素化によるシクロヘキサノールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.1g、フェノール5.5mmol、水50mを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を3MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、250℃に加熱し、6時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。フェノールの転化率は100%であり、シクロヘキサノールへの選択率は97.8%であった。
【0478】
[実施例4-10]
実施例1-10で得られたナノ複合材料を、フェノールの水素化によるシクロヘキサノールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.2g、フェノール7mmol、水50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を3MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、150℃まで加熱し、8時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。フェノールの転化率は100%であり、シクロヘキサノールへの選択率は99.8%であった。
【0479】
[実施例4-11]
実施例1-1で得られたナノ複合材料を、アセトンの水素化によるイソプロパノールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.1g、アセトン34mmol、シクロヘキサン100mを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を6MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、100℃に加熱し、12時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。アセトンの転化率は100%であり、イソプロパノールへの選択率は97.3%であった。
【0480】
[実施例4-12]
実施例1-10で得られたナノ複合材料を、アセトンの水素化によるイソプロパノールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.2g、アセトン11.6mmol、シクロヘキサン50mを反応釜に加え、反応釜を3回H2でパージし、H2を導入して反応釜内を3MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、150℃に加熱し、8時間反応させた。その後、加熱を停止し、室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。アセトンの転化率は96.4%であり、イソプロパノールへの選択率は99.9%であった。
【0481】
[実施例4-13]
実施例1-1で得られたナノ複合材料を、p-ニトロフェノールの水素化によるp-アミノフェノールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.1g、p-ニトロフェノール3.5mmol、エタノール50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を0.5MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、120℃に加熱し、1時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。p-ニトロフェノールの転化率は100%であり、p-アミノフェノールへの選択率は99.1%であった。
【0482】
[実施例4-14]
実施例1-10で得られたナノ複合材料を、p-ニトロフェノールの水素化によるp-アミノフェノールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
混合材料0.2g、p-ニトロフェノール4.8mmol、エタノール50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を1MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、60℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。p-ニトロフェノールの転化率は100%であり、p-アミノフェノールへの選択率は99.8%であった。
【0483】
[実施例4-15]
実施例1-1で得られたナノ複合材料を、p-ニトロアニソールの水素化によるp-アニシジンの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.1g、p-ニトロアニソール3.2mmol、エタノール50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を0.5MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、120℃に加熱し、0.5時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。p-ニトロアニソールの転化率は100%であり、p-アニシジンへの選択率は99.2%であった。
【0484】
[実施例4-16]
実施例1-10で得られたナノ複合材料を、p-ニトロアニソールの水素化によるp-アニシジンの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
混合材料0.2g、p-ニトロアニソール4.5mmol、エタノール50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を1MPaまで昇圧した。得られた混合物を攪拌した後、80℃まで加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。p-ニトロアニソールの転化率は100%であり、p-アニシジンへの選択率は99.7%であった。
【0485】
[実施例4-17]
実施例1-1で得られたナノ複合材料を、オレフィンの水素化反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.1g、スチレン19mmol、シクロヘキサン100mを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を3MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、100℃に加熱し、3時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。スチレンの転化率は100%であり、エチルベンゼンへの選択率は98.4%であった。
【0486】
[実施例4-18]
実施例1-10で得られたナノ複合材料を、オレフィンの水素化反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.2g、スチレン6.4mmol、シクロヘキサン50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を1.5MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、120℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。スチレンの転化率は100%であり、エチルベンゼンへの選択率は99.9%であった。
【0487】
[実施例4-19]
実施例1-1で得られたナノ複合材料を、芳香族炭化水素の水素化によるシクロヘキサン誘導体の生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.1g、トルエン20mmol、シクロヘキサン100mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を6MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、200℃に加熱し、10時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。トルエンの転化率は98.3%であり、メチルシクロヘキサンへの選択率は97.9%であった。
【0488】
[実施例4-20]
実施例1-10で得られたナノ複合材料を、芳香族炭化水素の水素化によるシクロヘキサン誘導体の生成反応の触媒として用いた。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.2g、トルエン7.2mmol、シクロヘキサン50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を3MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、200℃に加熱し、8時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。トルエンの転化率は95.3%であり、メチルシクロヘキサンへの選択率は99.6%であった。
【0489】
[実施例4-21]
実施例1-1で得られたナノ複合材料を、アルデヒドの水素化によるアルコールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.1g、ブチルアルデヒド28mmol、シクロヘキサン100mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を5MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、80℃に加熱し、8時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。ブチルアルデヒドの転化率は100%であり、n-ブタノールへの選択率は99.6%であった。
【0490】
[実施例4-22]
実施例1-10で得られたナノ複合材料を、アルデヒドの水素化によるアルコールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.2g、ブチルアルデヒド9.2mmol、シクロヘキサン50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を3MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、150℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。ブチルアルデヒドの転化率は97.5%であり、n-ブタノールへの選択率は99.9%であった。
【0491】
[実施例4-23]
実施例2-10で得られたナノ複合材料を、ニトロベンゼンの水素化によるアニリンの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
ナノ複合材料0.1g、ニトロベンゼン2.7mmol、無水エタノール30mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を1MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、60℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。ニトロベンゼンの転化率は100%であり、アニリンへの選択率は99.9%であった。
【0492】
[実施例4-24]
実施例2-10で得られたナノ複合材料を、p-クロロニトロベンゼンの水素化によるp-クロロアニリンの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
ナノ複合材料0.1g、p-クロロニトロベンゼン2.1mmol、無水エタノール30mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を1MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、60℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。p-クロロニトロベンゼンの転化率は100%であり、p-クロロアニリンへの選択率は99.9%であった。
【0493】
[実施例4-25]
実施例2-1で得られたナノ複合材料を、アルデヒドの水素化によるアルコールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.1g、ブチルアルデヒド4.6mmol、シクロヘキサン30mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を3MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、150℃まで加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。ブチルアルデヒドの転化率は99.1%であり、n-ブタノールへの選択率は99.4%であった。
【0494】
[実施例4-26]
実施例2-10で得られたナノ複合材料を、アルデヒドの水素化によるアルコールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.2g、ブチルアルデヒド9.2mmol、シクロヘキサン50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を3MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、150℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。ブチルアルデヒドの転化率は100%であり、n-ブタノールへの選択率は99.4%であった。
【0495】
[実施例4-27]
実施例2-1で得られたナノ複合材料を、芳香族炭化水素の水素化によるシクロヘキサン誘導体の生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.1g、トルエン3.6mmol、シクロヘキサン30mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を3MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、200℃に加熱し、8時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。トルエンの転化率は99.4%であり、メチルシクロヘキサンへの選択率は99.6%であった。
【0496】
[実施例4-28]
実施例2-10で得られたナノ複合材料を、芳香族炭化水素の水素化によるシクロヘキサン誘導体の生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.2g、トルエン7.2mmol、シクロヘキサン50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を3MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、200℃に加熱し、8時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。トルエンの転化率は95.5%であり、メチルシクロヘキサンへの選択率は99.3%であった。
【0497】
[実施例4-29]
実施例2-1で得られたナノ複合材料を、フェノールの水素化によるシクロヘキサノールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.1g、フェノール3.5mmol、水30mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を3MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、150℃に加熱し、8時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。フェノールの転化率は100%であり、シクロヘキサノールへの選択率は99.8%であった。
【0498】
[実施例4-30]
実施例2-10で得られたナノ複合材料を、フェノールの水素化によるシクロヘキサノールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.2g、フェノール7mmol、水50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を3MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、150℃まで加熱し、8時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。フェノールの転化率は100%であり、シクロヘキサノールへの選択率は99.6%であった。
【0499】
[実施例4-31]
実施例2-1で得られたナノ複合材料を、p-ニトロフェノールの水素化によるp-アミノフェノールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.1g、p-ニトロフェノール2.4mmol、エタノール30mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を1MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、60℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。p-ニトロフェノールの転化率は100%であり、p-アミノフェノールへの選択率は99.9%であった。
【0500】
[実施例4-32]
実施例2-10で得られたナノ複合材料を、p-ニトロフェノールの水素化によるp-アミノフェノールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
混合材料0.2g、p-ニトロフェノール4.8mmol、エタノール50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を1MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、60℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。p-ニトロフェノールの転化率は100%であり、p-アミノフェノールへの選択率は99.8%であった。
【0501】
[実施例4-33]
実施例2-1で得られたナノ複合材料を、p-ニトロアニソールの水素化によるp-アニシジンの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.1g、p-ニトロアニソール2.2mmol、エタノール30mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を1MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、100℃まで加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。p-ニトロアニソールの転化率は100%であり、p-アニシジンへの選択率は99.9%であった。
【0502】
[実施例4-34]
実施例2-10で得られたナノ複合材料を、p-ニトロアニソールの水素化によるp-アニシジンの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.2g、p-ニトロアニソール4.5mmol、エタノール50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を1.5MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、80℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。p-ニトロアニソールの転化率は100%であり、p-アニシジンへの選択率は99.9%であった。
【0503】
[実施例4-35]
実施例2-1で得られたナノ複合材料を、ケトンの水素化によるアルコールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.1g、アセトン5.8mmol、シクロヘキサン30mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を3MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、150℃まで加熱し、8時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。アセトンの転化率は99.1%であり、イソプロパノールへの選択率は99.9%であった。
【0504】
[実施例4-36]
実施例2-10で得られたナノ複合材料を、ケトンの水素化によるアルコールの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.2g、アセトン11.6mmol、シクロヘキサン50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を3MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、150℃に加熱し、8時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。アセトンの転化率は97.9%であり、イソプロパノールへの選択率は99.5%であった。
【0505】
[実施例4-37]
実施例2-1で得られたナノ複合材料を、オレフィンの水素化の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.1g、スチレン3.2mmol、シクロヘキサン30mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を1.5MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、120℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。スチレンの転化率は100%であり、エチルベンゼンへの選択率は99.8%であった。
【0506】
[実施例4-38]
実施例2-10で得られたナノ複合材料を、オレフィンの水素化反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料0.2g、スチレン6.4mmol、シクロヘキサン50mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を1.5MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、120℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。スチレンの転化率は100%であり、エチルベンゼンへの選択率は99.6%であった。
【0507】
[実施例4-39]
実施例3-1で得られたナノ複合材料P2を、p-クロロニトロベンゼンの水素化によるp-クロロアニリンの生成反応の触媒として使用した。実験手順は以下の通りであった:
複合材料3g、p-クロロニトロベンゼン10g、無水エタノール200mlを反応釜に加え、反応釜をH2で3回パージし、H2を導入して反応釜内を2MPaに昇圧した。得られた混合物を攪拌し、120℃に加熱し、2時間反応させた。その後、加熱を停止し、生成物を室温まで冷却し、反応釜を減圧して開放し、生成物を取り出してガスクロマトグラフィー分析した。p-クロロニトロベンゼンの転化率は100%であり、クロロアニリンへの選択率は98.5%であった。
【0508】
前記の文脈において、本出願の発明の概念は、その実施形態を参照して記載される。しかし、添付の特許請求の範囲に記載された本出願の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることが当業者には理解されるだろう。従って、説明および図面は限定的にではなく例示的に解釈されるべきであり、すべてのそのような修正および変更は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0509】
【
図1-1】実施例1-1で得られた前駆体のX線回析(XRD)パターンを示す。
【
図1-2】実施例1-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の磁気試験の写真を示す。
【
図1-3】実施例1-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。
【
図1-4】実施例1-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図1-5A】実施例1-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のN
2吸脱着の等温線を示す図である。
【
図1-5B】実施例1-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【
図1-6】実施例1-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図1-7】実施例1-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図1-8】実施例1-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【
図1-9】実施例1-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図1-10】実施例1-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図1-11】実施例1-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【
図1-12】実施例1-4で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図1-13】実施例1-5で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図1-14】実施例1-6で得られた炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図1-15】実施例1-6で得られた炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図1-16】実施例1-6で得られた炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【
図1-17】実施例1-7で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図1-18】実施例1-7で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図1-19】実施例1-7で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【
図1-20】実施例1-8で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図1-21】実施例1-8で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図1-22】実施例1-9で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図1-23】実施例1-9で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図1-24】実施例1-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の磁気試験の写真を示す。
【
図1-25】実施例1-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図1-26】実施例1-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図1-27】実施例1-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【
図1-28】比較例1-4で得られたナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図2-1】実施例2-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の磁気試験の写真である。
【
図2-2】実施例2-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像である。
【
図2-3】実施例2-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図2-4A】実施例2-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のN
2吸脱着の等温線を示す図である。
【
図2-4B】実施例2-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【
図2-5】実施例2-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図2-6】実施例2-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図2-7】実施例2-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【
図2-8】実施例2-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図2-9】実施例2-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図2-10】実施例2-3で得られた炭素被覆コバルトナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【
図2-11】実施例2-1で得られた前駆体のXRDパターンを示す。
【
図2-12】実施例2-4で得られた炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図2-13】実施例2-4で得られた炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図2-14】実施例2-4で得られた炭素被覆ニッケル-コバルトナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【
図2-15】実施例2-5で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図2-16】実施例2-5で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図2-17】実施例2-6で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図2-18】実施例2-6で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図2-19】実施例2-7で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図2-20】実施例2-7で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図2-21】実施例2-8で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図2-22】実施例2-8で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図2-23】実施例2-8で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【
図2-24】実施例2-9で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図2-25】実施例2-9で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図2-26】実施例2-9で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【
図2-27】実施例2-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の磁気試験の写真を示す。
【
図2-28】実施例2-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のTEM画像を示す。
【
図2-29】実施例2-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料のXRDパターンを示す。
【
図2-30】実施例2-10で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料の細孔径分布曲線を示す図である。
【
図3-1】実施例3-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P2のXRDパターンを示す。
【
図3-2A】実施例3-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P2のN
2吸脱着の等温線を示す図である。
【
図3-2B】実施例3-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P2の細孔径分布曲線を示す図である。
【
図3-3】実施例3-1で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P2の走査型電子顕微鏡(SEM)画像および透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。
【
図3-4】実施例3-2で得られた前駆体の熱重量-示差熱分析曲線(TG-DTA)を示す図である。
【
図3-5】実施例3-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P4のXRDパターンを示す。
【
図3-6】実施例3-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P4のX線光電子分光法(XPS)スペクトルを示す。
【
図3-7A】実施例3-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P4のN
2吸脱着の等温線を示す図である。
【
図3-7B】実施例3-2で得られた炭素被覆ニッケルナノ複合材料P4の細孔径分布曲線を示す図である。