(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】有機太陽光発電用の高性能ワイドバンドギャップポリマー
(51)【国際特許分類】
H01L 51/46 20060101AFI20221125BHJP
C08G 61/12 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01L31/04 152B
C08G61/12
(21)【出願番号】P 2020504368
(86)(22)【出願日】2018-07-18
(86)【国際出願番号】 US2018042724
(87)【国際公開番号】W WO2019023025
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-04-20
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519019872
【氏名又は名称】フイリツプス66カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン,ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ウッディ,キャシー
(72)【発明者】
【氏名】パン,フアロング
(72)【発明者】
【氏名】イヤーム,テシク
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-051556(JP,A)
【文献】国際公開第2014/042091(WO,A1)
【文献】特表2017-534621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/42-51/48
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反復単位A、ただし反復単位Aは
【化1】
を含んでなり;
反復単位B、ただし反復単位Bは
【化2】
または
【化3】
を含んでなり;および
少なくとも1つの任意の反復単位D、ただし反復単位Dはアリール基を含んでなる、
を含んでなるコポリマーであって、
X
1
,X
2
,X
3
,およびX
4
は:H,Cl,F,CN、アルキル、アルコキシ、エステル、ケトン、アミドおよびアリール基からなる群から独立して選択され、そして
R
1
,R
2
,R
3
,R
4
,R
5
およびR
6
は:H,Cl,F,CN,アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、エステル、ケトンおよびアリール基からなる群から独立して選択され、
アリール基が3,3’ジフルオロ-2,2’-ビチオフェンである
、
コポリマー。
【請求項2】
反復単位A、ただし反復単位Aは
【化1】
を含んでなり;
反復単位B、ただし反復単位Bは
【化2】
または
【化3】
を含んでなり;および
少なくとも1つの任意の反復単位D、ただし反復単位Dはアリール基を含んでなる、
を含んでなるコポリマーであって、
X
1
,X
2
,X
3
,およびX
4
は:H,Cl,F,CN、アルキル、アルコキシ、エステル、ケトン、アミドおよびアリール基からなる群から独立して選択され、そして
R
1
,R
2
,R
3
,R
4
,R
5
およびR
6
は:H,Cl,F,CN,アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、エステル、ケトンおよびアリール基からなる群から独立して選択され、
前記コポリマーが反復単位E:
【化5】
を含んでなる
、
コポリマー。
【請求項3】
反復単位A、ただし反復単位Aは
【化1】
を含んでなり;
反復単位B、ただし反復単位Bは
【化2】
または
【化3】
を含んでなり;および
少なくとも1つの任意の反復単位D、ただし反復単位Dはアリール基を含んでなる、
を含んでなるコポリマーであって、
X
1
,X
2
,X
3
,およびX
4
は:H,Cl,F,CN、アルキル、アルコキシ、エステル、ケトン、アミドおよびアリール基からなる群から独立して選択され、そして
R
1
,R
2
,R
3
,R
4
,R
5
およびR
6
は:H,Cl,F,CN,アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、エステル、ケトンおよびアリール基からなる群から独立して選択され、
前記コポリマーが反復単位F:
【化6】
を含んでなる
、
コポリマー。
【請求項4】
反復単位A、ただし反復単位Aは
【化1】
を含んでなり;
反復単位B、ただし反復単位Bは
【化2】
または
【化3】
を含んでなり;および
少なくとも1つの任意の反復単位D、ただし反復単位Dはアリール基を含んでなる、
を含んでなるコポリマーであって、
X
1
,X
2
,X
3
,およびX
4
は:H,Cl,F,CN、アルキル、アルコキシ、エステル、ケトン、アミドおよびアリール基からなる群から独立して選択され、そして
R
1
,R
2
,R
3
,R
4
,R
5
およびR
6
は:H,Cl,F,CN,アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、エステル、ケトンおよびアリール基からなる群から独立して選択され、
前記コポリマーが反復単位G:
【化7】
を含んでなる
、
コポリマー。
【請求項5】
反復単位A、ただし反復単位Aは
【化1】
を含んでなり;
反復単位B、ただし反復単位Bは
【化2】
または
【化3】
を含んでなり;および
少なくとも1つの任意の反復単位D、ただし反復単位Dはアリール基を含んでなる、
を含んでなるコポリマーであって、
X
1
,X
2
,X
3
,およびX
4
は:H,Cl,F,CN、アルキル、アルコキシ、エステル、ケトン、アミドおよびアリール基からなる群から独立して選択され、そして
R
1
,R
2
,R
3
,R
4
,R
5
およびR
6
は:H,Cl,F,CN,アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、エステル、ケトンおよびアリール基からなる群から独立して選択され、
前記コポリマーが反復単位H:
【化8】
を含んでなる
、
コポリマー。
【請求項6】
反復単位A、ただし反復単位Aは
【化1】
を含んでなり;
反復単位B、ただし反復単位Bは
【化2】
または
【化3】
を含んでなり;および
少なくとも1つの任意の反復単位D、ただし反復単位Dはアリール基を含んでなる、
を含んでなるコポリマーであって、
X
1
,X
2
,X
3
,およびX
4
は:H,Cl,F,CN、アルキル、アルコキシ、エステル、ケトン、アミドおよびアリール基からなる群から独立して選択され、そして
R
1
,R
2
,R
3
,R
4
,R
5
およびR
6
は:H,Cl,F,CN,アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、エステル、ケトンおよびアリール基からなる群から独立して選択され、
前記コポリマーが1.8eVより大きいポリマーバンドギャップを形成する、
コポリマー。
【請求項7】
反復単位E、ただし反復単位Eは
【化11】
を含んでなり;
反復単位H、ただし反復単位Hは
【化12】
を含んでなり;
任意の反復単位J、ただし反復単位Jは
【化13】
を含んでなり;および
反復単位K、ただし反復単位Kは
【化14】
を含んでなる、
を含んでなるコポリマーであって、
X
1,X
2,X
3,およびX
4は:H,Cl,F,CN、アルキル、アルコキシ、エステル、ケトン、アミドおよびアリール基からなる群から独立して選択され;
R
1,R
2,R
3,およびR
4は:H,Cl,F,CN,アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、エステル、ケトンおよびアリール基からなる群から独立して選択され、そして
Dはアリール基を含んでなる前記コポリマー。
【請求項8】
反復単位F、ただし反復単位Fは
【化16】
を含んでなり;
反復単位G、ただし反復単位Gは
【化17】
を含んでなり;
反復単位J、ただし反復単位Jは
【化18】
を含んでなり;および
反復単位K、ただし反復単位Kは
【化19】
を含んでなる、
コポリマーであって、
X
1,X
2,X
3,およびX
4は:H,Cl,F,CN、アルキル、アルコキシ、エステル、ケトン、アミドおよびアリール基からなる群から独立して選択され;
R
5およびR
6は:H,Cl,F,CN,アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、エステル、ケトンおよびアリール基からなる群から独立して選択され、そして
Dはアリール基を含んでなる前記コポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との関係
本出願は、「有機太陽光発電用の高性能ワイドバンドギャップポリマー」という表題の2017年7月28日に出願された米国特許仮出願第65/538,362号明細書、および米国特許出願第16/038,364号明細書の利益および優先権を主張するPCT国際出願であり、双方とも引用により全部、本明細書に編入する。
【0002】
連邦政府により資金提供を受けた研究開発に関する記載
なし
【0003】
本発明は、有機太陽光発電用の高性能ワイドバンドギャップ(wide-bandgap)ポリマーに関する。
【背景技術】
【0004】
太陽光発電を使用する太陽エネルギーには、光を電気に変換する活性な半導体材料が必要である。現在、シリコンに基づく太陽電池がそれらの高い電力変換効率から優位を保っている技術である。最近、有機材料に基づく太陽電池が、特に材料および処理において潜在的に低コストであるという興味深い特性を示した。
【0005】
有機太陽光発電電池は、従来のシリコンに基づく装置と比べた場合に多くの有望な利点を有する。有機太陽光発電電池は重量が軽く、使用する材料が経済的で、しかも柔軟なプラスチックホイルのような低コスト基材に付着することができる。しかし有機太陽光発電装置は一般に、比較的電力変換効率が低い(入射光子 対 生成されるエネルギーの比)。これは一部は活性層の形態によると考えられる。生成した電荷担体は、再結合(recombination)または消光が起こる前にそれらの各電極に移動しなければならない。励起子の拡散長は、一般に光吸収長よりもかなり短く、これには厚く抵抗が高い電池で多数回または高度に折りたたまれるインターフェースを使用すること、あるいは薄い電池で低い光吸収効率との間の妥協点を求めることが必要となる。
【0006】
キノキサリンジチオフェンコポリマーの有機太陽光発電用への最初の使用が報告されたのは2008年であった。キノキサリンジチオフェン構造の1つの魅力的な特徴は、それが臭素原子またはトリメチルスタンニル基のいずれかで容易に官能化されることができ、すなわちそれを広範なコモノマーと共重合できるようにする点である。開回電圧を上げることができるキノキサリンジチオフェンコポリマーを見出す必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
反復単位A、ただし反復単位Aは
【化1】
を含んでなり;
反復単位B、ただし反復単位Bは
【化2】
または
【化3】
を含んでなり;および
少なくとも1つの任意の反復単位D、ここで反復単位Dはアリール基を含んでなる、
を含んでなるコポリマー。このコポリマーにおいて、X
1,X
2,X
3,およびX
4は:H,Cl,F,CN、アルキル、アルコキシ、エステル、ケトン、アミドおよびアリール基からなる群から独立して選択され、そしてR
1,R
2,R
3,R
4,R
5およびR
6は:H,Cl,F,CN,アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、エステル、ケトンおよびアリール基からなる群から独立して選択される。
【0008】
反復単位E、ただし反復単位Eは
【化4】
を含んでなり;
反復単位H、ただし反復単位Hは
【化5】
を含んでなり;
任意の反復単位J、ただし反復単位Jは
【化6】
を含んでなり;および
反復単位K、ただし反復単位Kは
【化7】
を含んでなる、
を含んでなるコポリマー。このコポリマーにおいて、X
1、X
2、X
3およびX
4は:H,Cl,F,CN、アルキル、アルコキシ、エステル、ケトン、アミドおよびアリール基から独立して選択され;R
1、R
2,R
3およびR
4は:H,Cl,F,CN、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、エステル、ケトンおよびアリール基からなる群から独立して選択され;そしてDはアリール基を含んでなる。
【0009】
反復単位F、ただし反復単位Fは
【化8】
を含んでなり;
反復単位G、ただし反復単位Gは
【化9】
を含んでなり
任意の反復単位J、ただし反復単位Jは
【化10】
を含んでなり;
および
反復単位K、ただし反復単位Kは
【化11】
を含んでなる、
を含んでなるコポリマー。このコポリマーにおいて、X
1、X
2、X
3およびX
4は:H,Cl,F,CN、アルキル、アルコキシ、エステル、ケトン、アミドおよびアリール基から独立して選択され;R
5およびR
6は:H,Cl,F,CN、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、エステル、ケトンおよびアリール基からなる群から独立して選択され;そしてDはアリール基を含んでなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明およびその利点のより完全な理解は、添付の図面と一緒に以下の説明を参照することにより得ることができる。
【
図1】従来の装置の構造および本発明の装置の構造を表す。
【
図7】QDT-Brの
1H NMRスペクトルを表す。
【
図8】QDT-SnMe
3の
1H NMRスペクトルを表す。
【
図9】非対称ビチオフェンモノマーを形成する第一工程のNMRスペクトルを表す。
【
図10】非対称ビチオフェンモノマーを形成する第二工程のNMRスペクトルを表す。
【
図11】非対称ビチオフェンモノマーを形成する第三工程のNMRスペクトルを表す。
【
図12】非対称ビチオフェンモノマーのNMRスペクトルを表す。
【
図13】ベンゾジチオフェンを形成する異なる方法を表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
ここで今、本発明の好適な構成(1もしくは複数)の詳細な説明に移り、本発明の特徴および概念は他の構成でも実現できること、ならびに本発明の範囲は記載または具体的に説明する態様に限定されないと理解すべきである。本発明の範囲は、続く請求の範囲により限定されるのみであると意図している。
【0012】
本明細書で使用するように、「アルキル」は脂肪族炭化水素鎖を指す。1つの態様では、脂肪族炭化水素鎖は、1から約100個の炭素原子、好ましくは1から30個の炭素原子、より好ましくは1から20個の炭素原子であり、そしてメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソぺンチル、ネオ-ペンチル、n-ヘキシルおよびイソヘキシルのような直鎖および分岐鎖を含む。本出願では、アルキル基は置換および非置換アルキル基の可能性を含むことができる。
【0013】
本明細書で使用する「アルコキシ」は基R-O-を指し、ここでRは1から100個の炭素原子のアルキル基である。本出願では、アルコキシ基は置換および非置換アルコキシ基の可能性を含むことができる。
【0014】
本明細書で使用する「アリール」は、約5から約50個の炭素原子(およびその中の炭素原子数の範囲および具体的数の全ての組み合わせおよび部分的組み合わせ)を有する、場合により置換されたモノ-、ジ-、トリ-、または他の多環式芳香族環系を指し、約6から約10個の炭素原子が好適である。非限定的例には例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびフェナントレニルを含む。アリール基は場合により1もしくは1以上のRxで置換され得る。本出願では、アリール基は置換アリール基、架橋アリール基および縮合アリール基の可能性を含むことができる。
【0015】
本明細書で使用する「エステル」は、式―COORの基を表し、式中Rは「アルキル」、「アリール」、「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロアリール」部分を表すか、あるいは上記定義のように置換されたものを表す。
【0016】
本明細書で使用する「ケトン」は、-C(O)Rxのような炭素原子に連結されたカルボニル基を有する有機化合物を表し、ここでRxはアルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニルまたは複素環であることができる。
【0017】
本明細書で使用する「アミド」は、式「-C(O)NRxRy」の基を表し、式中、RxおよびRyは、同じか、または独立してH、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニルまたは複素環であることができる。
【0018】
本発明の特定態様の以下の例を与える。各例が本発明の説明により提供され、本発明の多くの態様の1つ、および以下の例が本発明の範囲を限定し、または定めると読まれるべきではない。
【0019】
装置の構造
太陽光発電装置として使用する場合、構造は従来の構造の装置でよいが、他の点は逆構造の装置であることができる。従来構造の装置は一般に、正電荷(正孔)を集めるための基材として透明なアノード、および負電荷(電子)を集めるためのカソードを含む多層構造で構成され、そして光活性層が2つの電極間に挟まれている。追加の電荷移動中間層が、正孔および電子移動を容易にするために活性層と電極との間に挿入される。各電荷移動層は、1もしくは複数の層からなることができる。逆装置は従来構造の装置と同じ多層構造を有するが、電子を集めるための基材として透明なカソード、および正孔を集めるためにカソードを使用する。また逆装置は2つの電極間に挟まれた光活性層および追加の電荷移動層も有する。
図1は従来装置の構造および逆装置の構造を表す。
【0020】
反復単位A:
1つの態様では、反復単位Aはキノキサリンジチオフェン(QDT)モノマー
【化12】
である。反復単位Aにおいて、X
1、X
2、X
3およびX
4は、H,Cl,F,CN、アルキル、アルコキシ、エステル、ケトン、アミドおよびアリール基から独立して選択される。
【0021】
QDTモノマーは、それを最終的な重合反応に調製するために様々なハロゲン原子およびスタンナンで官能化することができる。1つの非限定的例では、官能化QDTモノマーの形成が
図2に示されている。
【0022】
図2に示すように、化合物1の形成は、2-エチルヘキシルブロミド(17.3mL、0.097モル)を乾燥テトラヒドロフラン(250mL)中の新たに粉砕したマグネシウム(2.61g、0.107モル)混合物に滴下することにより調製した2-エチルヘキシルマグネシウムブロミド溶液の形成から始まる。一旦添加が完了したら、2-エチルヘキシルマグネシウムブロミド溶液を室温で約2時間撹拌した。しばらくして乾燥テトラヒドロフラン(100mL)中のLiBr(17g、0.196モル)溶液を、乾燥テトラヒドロフラン(150mL)中のCuBr溶液に加えた。次いでCuBr/LiBr/テトラヒドロフラン溶液を-78℃に冷却し、そして2-エチルヘキシルマグネシウムブロミド溶液を滴下した。一旦その移行が終了したら塩化オキサリル(3.33mL、0.039モル)を加えた。反応物を次第に室温に温め、そして約18時間撹拌した。反応は、反応物を飽和NH
4Cl水溶液(500mL)に注ぐことにより止めた。次いでテトラヒドロフラン層を取り、そして水性層をエチルエーテルで抽出した。合わせた有機層を乾燥し、濾過し、そして濃縮した。粗生成物をヘキサンで希釈し、そして340gのBiotageカートリッジに乗せ、次いで5-20%のジクロロメタン/ヘキサン勾配を用いて精製した。生成物を含む画分を濃縮して黄色い油を得た(1.63g;収率15%)。化合物1の
1H NMRスペクトルを
図3に表す。
【0023】
化合物2の形成は、高温でオーブン乾燥したシュレンクフラスコにFeCl
3(10.9g、67.481ミリモル)を入れ、次いで真空状態とし、そしてアルゴンを再充填(3x)して形成した。乾燥ジクロロメタン(140mL)はカニューレを介してフラスコに加え、次いで3,3’-テニル(5g、22.494ミリモル)を1回で加えた。反応物を室温でアルゴン下にて撹拌した。約2時間後、反応を水(~100mL)で止め、そして撹拌した。溶媒はrotovapを介して除去し、そして固体を水に懸濁し、室温に一晩放置した。固体を濾過し、そして水で洗浄し、次いで風乾し、そしてジエチルエーテル(~200mL)で洗浄した。次いで黒い固体(4.5g、収率91%)を濾過により集め、アセトニトリルで洗浄し、そして真空下で乾燥した。化合物2の
1H NMRスペクトルを
図4に表す。
【0024】
化合物3の形成は、化合物2(2g、0.009モル)、200-プルーフのエタノール(100mL)、およびヒドロキシルアミン塩酸クロライド(1.577g、0.023モル)を、250mLの丸底フラスコにアルゴン流下で加えた。次いでフラスコに復水器およびアルゴン入口を乗せることができ、そして反応物を22時間、加熱還流した。次いで反応物を室温に冷却し、そして炭素担持パラジウム(10%、200mg)を加える。復水器の上に添加漏斗を加え、そして漏斗にエタノール(25mL)中のヒドラジン一水和物(15mL)溶液を充填した。反応物を65℃に加熱した後、ヒドラジン溶液を滴下した。一旦添加が完了したら、反応物を85℃で20時間加熱した。反応混合物を冷却し、次いで濾紙を通して濾過し、次いで残渣をエタノールで洗浄した。溶媒を真下で除去し、そして生じた固体を水に分散し、そして濾過した。固体を水、そして冷エタノールで洗浄し、そしてフラスコに移し、そして真空下で数時間、放置した。得られた生成物は褐色固体(1.75g、収率87%)であった。化合物3の
1H NMRを
図5に示す。
【0025】
化合物4の形成は、化合物3(1.6g、7.262ミリモル)および化合物1(2.154g、7.625ミリモル)を50mLのシュレンクフラスコ中で合わせることにより形成する。フラスコを真空とし、そしてアルゴンを再充填し、次いで酢酸を加え、そして反応物を100℃で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、次いで水で希釈し、そして分液漏斗に移した。水性層をジクロロメタンで抽出した。水性層をNa
2CO
3で中和し、そしてジクロロメタンで抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥し(MgSO
4)、濾過し、そして濃縮した。粗生成物をジクロロメタンに溶解し、シリカゲルに吸着させ、そして100gのBiotageカートリッジで0-60%のジクロロメタン/ヘキサン勾配を用いて精製した。所望の生成物を含む画分を濃縮して黄色い固体を得た(1.55g、収率46%)。化合物4の
1H NMRスペクトルを
図6に示す。
【0026】
QDT-Brの形成は、化合物4(400mg、0.857ミリモル)をテトラヒドロフラン(9mL)に溶解し、次いでN-ブロモスクシンイミド(0.32g、0.002モル)に溶解し、そして室温で16時間撹拌することにより形成した。反応混合物を水に注ぎ、そしてジクロロメタンで抽出した(3x)。合わせた有機抽出物を乾燥し(MgSO
4)、濾過し、そして濃縮した。粗生成物をジクロロメタンに溶解し、シリカゲルに吸着させ、そして100gのBiotageカラムで0-50%のジクロロメタン/ヘキサン勾配を用いて精製した。主要ピークからの画分を濃縮して黄色い固体を得た(440mg、収率82%)。QDT-Brの
1H NMRスペクトルを
図7に示す。
【0027】
QDT-SnMe
3の形成は、アルゴンを充填したシュレンクフラスコ中で、化合物4(1.15g、2.464ミリモル)および乾燥テトラヒドロフラン(25mL)を合わせることにより形成した。溶液を-78℃まで冷却し、次いでn-BuLi(ヘキサン中の2.5M、2.4mL、5.913ミリモル)の溶液で滴下処理した。反応物を-78℃で1時間撹拌し、続いて室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を再度-78℃に冷却し、そしてゆっくりとSnMe
3Cl溶液(ヘキサン中の1M、7.392mL、7.392モル)で処理した。反応物をゆっくり室温に温め、そして16時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、そしてジクロロメタンで抽出した(3x)。合わせた有機抽出物を水で洗浄し、乾燥し(MgSO
4)、そして濾過し、そして濃縮して黄色い油を得た。イソプロパノール、メタノールそしてエタノールから再結晶化を試みたが、物質は常に油であった(oiled out)。生じた緑がかった油(850mg、収率44%)を、さらなる精製をせずに使用した。QDT-SnMe
3の
1H NMRスペクトルを
図8に示す。
【0028】
反復単位B:
1つの態様では、反復単位Bは非対称ビチオフェンモノマー
【化13】
またはベンゾジチオフェン
【化14】
である。反復単位Bにおいて、R
1,R
2,R
3,R
4,R
5およびR
6はCl,F,CN、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、エステル、ケトンおよびアリール基からなる群から独立して選択される。
【0029】
非限定的例では、非対称ビチオフェンモノマーの形成を以下に記載する。非対称ビチオフェンモノマーの形成は、3-(2-ヘキシルデシル)チオフェンの合成から始めることができる。3首の500mLフラスコに、マグネシウム(削状)(3.184g、0.131モル)を加えた。7-(ブロモメチル)ペンタデカン(20g、0.066モル)を、添加漏斗に加えた。系を真空とし、そしてアルゴンを3回、入れ戻した(backfilled)。少量のヨウ素を加えた後、10mLの無水THFをフラスコに加え、そして90mLの無水THFを添加漏斗に加えた。反応は、最初に10mLの7-(ブロモメチル)ペンタデカン溶液を加えた後、加熱還流することにより開始した。2時間還流した後、室温に冷却した。別の100mLのシュレンクフラスコに、3-ブロモチオフェン(10.68g、0.066モル)およびNi(dppp)Cl
2(1.78g、3.3ミリモル)を、100mLの無水THF中で可溶化し、次いで反応混合物にゆっくりと移した。反応混合物をさらに70℃で3時間灌流した後、室温で一晩撹拌した。反応は砕氷に注ぐことにより止めた。冷HCl水溶液を加えて固体を溶解した。生成物をヘキサンで抽出し、そして無水MgSO
4で乾燥した。粗生成物はヘキサンを溶出液としてカラムクロマトグラフィーにより精製し、次いで減圧蒸留して生成物として無色透明な液体を得た(6.80g、33.6%)。NMRスペクトルを
図9に示す。
【0030】
非対称ビチオフェンモノマーの形成の第2段階は、2-ブロモ-3-(2-ヘキシルデシル)チオフェンの合成から始めることができる。3-(2-ヘキシルデシル)チオフェン(5g、0.016モル)を200mLのシュレンクフラスコに加えた。系を真空にし、そしてアルゴンを3回、戻し入れた後、200mLの無水THFを加えた。溶液を-78℃に冷却した後、N-ブロモスクシンイミド(2.884g、0.016モル)を遮光して数回に分けて加えた。反応混合物を一晩撹拌した。反応は、Na
2CO
3水溶液を加えることにより止めた。生成物をヘキサンで抽出し、次いで無水MgSO
4で乾燥した後、溶媒を除去した。生成物はシリカゲルカラムで溶出液としてヘキサンを用いてさらに精製し、そして真空で乾燥した後に無色の液体(5.48g、収率87.3%)を得た。NMRスペクトルを
図10に示す。
【0031】
非対称ビチオフェンモノマーの形成の第3段階は、3-(2-ヘキシルデシル)-2,2’-ビチオフェンの合成から始めることができる。2-ブロモ-3-(2-ヘキシルデシル)チオフェン(5.68g、0.015モル)、トリブチル(チオフェン-2-イル)スタンナン(5.471g、0.015モル)およびPd
2(dba)
3(0.268g、0.293ミリモル)、P(o-tol)
3(0.357g、1.173ミリモル)を、200mLのシュレンクフラスコ中で合わせた。系を真空にし、そしてアルゴンを3回、戻し入れた後、100mLの無水トルエンを注入した。反応物を105℃で24時間加熱し、そして室温に冷却した。トルエン溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、そして生じた残渣をシリカゲルカラムで純粋なヘキサンを溶出液として用いて精製した。粗生成物の減圧蒸留により最終生成物として無色の液体を得た(4.34g、収率74.1%)。NMRスペクトルを
図11に示す。
【0032】
非対称ビチオフェンモノマーの形成の最終段階は、(3-(2-ヘキシルデシル)-[2,2’-ビチオフェン]-5,5’-ジイル)ビス(トリメチルスタンナン)(HDTT)の合成から始めることができる。3-(2-ヘキシルデシル)-2-(チオフェン-2-イル)チオフェン(4.15g、10.6ミリモル)を200mLのシュレンクフラスコに加えた。系を真空とし、そしてアルゴンを3回、戻し入れた後、100mLの無水THFを加えた。溶液を-78℃に冷却した後、n-ブチルリチウム(9.35mL、THF中の2.5M、23.4ミリモル)を滴下した。反応物を室温で1.5時間撹拌した後、再度-78℃に冷却した。塩化トリメチルスズ(26.56mL、THF中の1.0M、26.556ミリモル)溶液を滴下した。生じた混合物を一晩撹拌した。50mLの水を加えた。生成物をヘキサンで抽出した。有機層を水で3回洗浄した後、無水Na
2SO
4で乾燥した。溶媒を除去し、次いでヘキサンに溶解し、そしてメタノールで2回洗浄した。溶媒を除去した後、生成物として緑色の液体を得た(5.05g、収率66.4%)。NMRスペクトルを
図12に示す。
【0033】
非限定的例では、
図13にベンゾジチオフェンを形成する異なる方法を表す。従来の方法を
図13に示すが、本発明はベンゾジチオフェンを形成する任意の1つの特異
的方法に限定されない。
図13では、(i)塩化オキサリル;(ii)ジエチルアミン;(iii)n-ブチルリチウム、次いで水;(iv)アルキンリチウム;(v)SnCl
2,HCl;(vi)Pd/C,H2;(vii)Zn,NaOH,H
2O;(viii)ブロモアルカン,TBAB;(ix)芳香族リチウム;(x)n-ブチルリチウム,クロロトリメチルスタンナンまたは2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン;および(xi)Pd触媒。
【0034】
任意の反復単位D
1つの態様では、少なくとも1つの任意の反復単位Dは、約5から約50個の炭素原子(およびその中の炭素原子数の範囲および具体的数の全ての組み合わせおよび部分的組み合わせ)を有する、場合により置換されたモノ-、ジ-、トリ-、または他の多環式芳香族環系を指し、約6から約20個の炭素原子が好適である。非限定的例には例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびフェナントレニルを含む。アリール基は場合により1もしくは1以上のRxで置換され得る。本出願では、アリール基は置換アリール基、架橋アリール基および縮合アリール基の可能性を含むことができる。唯一の反復単位Dがコポリマー中に存在することが可能であるが、多数の反復単位Dがコポリマー中に存在できることも構想される。
【0035】
1つの態様では、アリール基は:
【化15】
およびそれらの組み合わせからなることができ、ここでR’R’’、R’’’およびR’’’’は:H、Cl、F、CN、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、エステル、ケトンおよびアリール基から独立して選択される。別の態様では、アリール基は3,3’ジフルオロ-2,2’-ビチオフェンである。
【0036】
コポリマー
反復単位A、反復単位Bおよび任意の反復単位Dは、合わせるとコポリマーを生じる。コポリマーはレジオ―ランダム(regio-random)またはレジオ―レギュラー(regio-regular)であることができる。コポリマーは太陽光発電材料として使用できると構想される。またコポリマーは電子装置の活性層として使用できると構想される。1つの態様では、反復単位A、BおよびBの数は、コポリマー中、約3から約10,000の範囲であることができる。別の態様では、コポリマーは1.8eVより大きいポリマーバンドギャップを形成することができる。
【0037】
幾つかの態様では、コポリマーは反復単位E:
【化16】
として反復単位AおよびBの組み合わせを含むことができる。
【0038】
幾つかの態様では、コポリマーは反復単位F:
【化17】
として反復単位AおよびBの組み合わせを含むことができる。
【0039】
幾つかの態様では、コポリマーは反復単位G:
【化18】
として反復単位AおよびDを含むことができる。
【0040】
幾つかの態様では、コポリマーは反復単位H:
【化19】
として反復単位AおよびDを含むことができる。
【0041】
1つの態様では、コポリマー中の反復単位Aの量は1重量%から99重量%の範囲であることができる。
【0042】
1つの態様では、コポリマー中の反復単位Bの量は1重量%から99重量%の範囲であることができる。
【0043】
1つの態様では、コポリマー中の反復単位Dの量は0重量%から99重量%の範囲であることができる。
【0044】
アノード
有機太陽光発電装置で使用する場合、コポリマーはアノードと併せて使用することができる。有機太陽光発電装置用のアノードは、有機太陽光発電装置として作動することができる任意の従来から知られているアノードであることができる。使用できるアノードの例には:酸化インジウムスズ、アルミニウム、炭素、グラファイト、グラフェン、PEDOT:PSS、銅、金属ナノワイヤー、Zn99InOx、Zn98In2Ox、Zn97In3Ox、Zn95Mg5Ox、Zn90Mg10Ox、およびZn85Mg15Oxを含む。
【0045】
カソード
有機太陽光発電装置で使用する場合、コポリマーはカソードと併せて使用することができる。有機太陽光発電装置用のカソードは、有機太陽光発電装置として作動することができる任意の従来から知られているカソードであることができる。使用できるカソードの例には:酸化インジウムスズ、炭素、グラファイト、グラフェン、PEDOT:PSS、銅、銀、金、金属ナノワイヤーを含む。
【0046】
電子移動層
有機太陽光発電装置で使用する場合、コポリマーは電子移動層に付着させることができる。有機太陽光発電装置用に最適化された市販されている電子移動層を使用することができる。1つの態様では、電子移動層は(AOx)yBO(1-y)を含んでなることができる。この態様では、(AOx)yおよびBO(1-y)が金属酸化物である。AおよびBは、理想的な電子移動層を達成するために選択される異なる金属であることができる。1つの態様では、Aはアルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、銅、ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、タングステン、マグネシウム、インジウム、バナジウム、チタンおよびモリブデンであることができる。
【0047】
1つの態様では、Bはアルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、銅、ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、タングステン、バナジウム、チタンおよびモリブデンであることができる。
【0048】
(AOx)yBO(1-y)の例には:(SnOx)yZnO(1-y)、(AlOx)yZnO(1-y)、(AlOx)yInOz(1-y)、(AlOx)ySnOz(1-y)、(AlOx)yCuOz(1-y)、(AlOx)yWOz(1-y)、(InOx)yZnO(1-y)、(InOx)ySnOz(1-y)、(InOx)yNiOz(1-y)、(ZnOx)yCuOz(1-y)、(ZnOx)yNiOz(1-y)、(ZnOx)yFeOz(1-y)、(WOx)yVOz(1-y)、(WOx)yTiOz(1-y)および(WOx)yMoOz(1-y)を含む。
【0049】
代わりの態様では、様々なフラーレンドーパントを(AO
x)
yBO
(1-y)と組み合わせて、有機太陽光発電装置用の電子移動層を作成することができる。組み合わせることができるフラーレンドーパントの例には、
【化20】
および[6,6]-フェニル-C
60-ブチリック-N-2-トリメチルアンモニウムエチルエステルヨージドを含む。
【0050】
【化21】
の態様では、R’はN、O、S、CまたはBのいずれかから選択することができる。他の態様では、R”はアルキル鎖または置換アルキル鎖であることができる。置換アルキル鎖の置換基の例には、ハロゲン、N、Br、O、Si,またはSを含む。1つの態様では、R”は
【化22】
から選択することができる。使用することができる他のフラーレンドーパントの他の例には:[6,6]-フェニル-C
60-ブチリック-N-(2-アミノエチル)アセトアミド、[6,6]-フェニル-C
60-ブチリック-N-トリエチレングリコールエステル、および[6,6]-フェニル-C
60-ブチリック-N-2-ジメチルアミノエチルエステルを含む。
【0051】
ポリマーの合成
サンプルA:
シュレンクフラスコ内で、QDT-Br(53.53mg、0.086ミリモル)、(3-(2-ヘキシルデシル)-[2,2’-ビチオフェン]-5,5’-ジイル)ビス(トリメチルスタンナン)(61.40mg、0.086ミリモル)、P(o-tol)
3(4.17mg、0.014ミリモル)、およびPd
2dba
3(3.14mg、0.003ミリモル)を合わせ、次いで2時間脱気した。アルゴンを再充填した後、乾燥クロロベンゼン(1.7mL)を加え、そして反応混合物は、溶液を凍結するために液体窒素を使用しながら3回の凍結脱気(freeze-pump-thaw)サイクルを介して脱気した。次いで溶液を125℃に加熱し、そしてアルゴン雰囲気下で21時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、メタノール(50mL)に注ぎ、そしてポリマーを濾過により集めた。ポリマーはソックレー抽出により精製し、アセトンそしてヘキサンで順次洗浄した。このコポリマー、サンプルAをヘキサン画分から回収した(62mg、収率82%)。
【化23】
【0052】
サンプルB:
シュレンクフラスコ内で、QDT-Br(55.42mg、0.089ミリモル)、スタンナン、1,1’-[3,3’’’-ビス(2-オクチルドデシル)[2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’-クアテルチオフェン]-5,5’’’-ジイル]ビス[1,1,1-トリメチル(108.00mg、0.089ミリモル)、P(o-tol)
3(4.32mg,0.014ミリモル)およびPd
2dba
3(3.25mg、0.003ミリモル)を合わせ、次いで2時間脱気した。アルゴンを再充填した後、乾燥ジクロロベンゼン(1.8mL)を加え、そして反応混合物は、溶液を凍結するために液体窒素を使用しながら3回の凍結脱気サイクルを介して脱気した。次いで溶液を125℃に加熱し、そしてアルゴン雰囲気下で21時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、メタノール(50mL)に注ぎ、そしてポリマーを濾過により集めた。ポリマーはソックレー抽出により精製し、アセトンそしてヘキサンで順次洗浄した。このコポリマー、サンプルBをヘキサン画分から回収した(89mg、収率72%)。
【化24】
【0053】
サンプルC:
シュレンクフラスコ内で、QDT-Br(50.00mg、0.080ミリモル)、スタンナン、1,1’-ナフト[1,2-b:5,6-b’]ジチオフェン-2,7-
ジイルビス[1,1,1-トリメチル(45.31mg、0.080ミリモル)、P(o-tol)
3(3.90mg、0.013ミリモル)およびPd
2dba
3(2.93mg、0.003ミリモル)を合わせ、次いで2時間脱気した。アルゴンを再充填した後、乾燥ジクロロベンゼン(1.6mL)を加え、そして反応混合物は、溶液を凍結するために液体窒素を使用しながら3回の凍結脱気サイクルを介して脱気した。次いで溶液を125℃に加熱し、そしてアルゴン雰囲気下で23時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、メタノール(50mL)に注ぎ、そしてポリマーを濾過により集めた。ポリマーはソックレー抽出により精製し、アセトン、ヘキサン、そしてクロロホルムで順次洗浄した。このコポリマー、サンプルCをクロロホルム画分から回収した(22mg、収率37%)。
【化25】
【0054】
サンプルD:
シュレンクフラスコ内で、QDT-SnMe
3(40.00mg、0.050ミリモル)、2,1,3-ベンゾチアジアゾール、4,7-ビス[5-ブロモ-4-(2-オクチルドデシル)-2-チエニル]-5,6-ジフルオロ(45.31mg、0.080ミリモル)、P(o-tol)
3(2.46mg、0.008ミリモル)およびPd
2dba
3(1.85mg、0.002ミリモル)を合わせ、次いで2時間脱気した。アルゴンを再充填した後、乾燥クロロベンゼン(1.0mL)を加え、そして反応混合物は、溶液を凍結するために液体窒素を使用しながら3回の凍結脱気サイクルを介して脱気した。次いで溶液を125℃に加熱し、そしてアルゴン雰囲気下で23時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、メタノール(50mL)に注ぎ、そしてポリマーを濾過により集めた。ポリマーはソックレー抽出により精製し、アセトン、そしてヘキサンで順次洗浄した。このコポリマー、サンプルDをヘキサン画分から回収した(55mg、収率78%)。
【化26】
【0055】
サンプルE:
シュレンクフラスコ内で、QDT-Br(100.3mg、0.161ミリモル)、(3-(2-ヘキシルデシル)-[2,2’-ビチオフェン]-5,5’-ジイル)ビス(トリメチルスタンナン)(57.5mg、0.08ミリモル)、スタンナン、1,1’-[4,8-ビス[5-(2-エチルへキシル)-2-チエニル]ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル]ビス[1,1,1-トリメチル(72.6mg、0.08ミリモル)、P(o-tol)
3(7.8mg、0.026ミリモル)、およびPd
2dba
3(5.9m、0.006ミリモル)を合わせ、次いで1時間脱気した。アルゴンを再充填した後、乾燥クロロベンゼン(3.2mL)を加え、そして反応混合物は、溶液を凍結するために液体窒素を使用しながら3回の凍結脱気サイクルを介して脱気した。次いで溶液を130℃に加熱し、そしてアルゴン雰囲気下で24時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、メタノール(50mL)に注ぎ、そしてポリマーを濾過により集めた。ポリマーはソックレー抽出により精製し、アセトン、ヘキサン、そしてクロロホルムで順次洗浄した。このコポリマー、サンプルEをクロロホル画分から回収した(130mg、収率85%)。
【化27】
【0056】
サンプルF:
シュレンクフラスコ内で、QDT-Br(100.1mg、0.160ミリモル)、(3-(2-ヘキシルデシル)-[2,2’-ビチオフェン]-5,5’-ジイル)ビス(トリメチルスタンナン)(80.4mg、0.11ミリモル)、スタンナン、1,1’-(3,3’-ジフルオロ[2,2’-ビチオフェン]-5,5’-ジイル)ビス[1,1,1-トリメチル(25.4mg、0.05ミリモル)、P(o-tol)
3(7.8mg、0.026ミリモル)およびPd
2dba
3(5.9mg、0.006ミリモル)を合わせ、次いで1時間脱気した。アルゴンを再充填した後、乾燥クロロベンゼン(3.2mL)を加え、そして反応混合物は、溶液を凍結するために液体窒素を使用しながら3回の凍結脱気サイクルを介して脱気した。次いで溶液を130℃に加熱し、そしてアルゴン雰囲気下で24時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、メタノール(50mL)に注ぎ、そしてポリマーを濾過により集めた。ポリマーはソックレー抽出により精製し、アセトン、ヘキサン、そしてクロロホルムで順次洗浄した。このコポリマー、サンプルFをクロロホル画分から回収した(100mg、収率99%)。
【化28】
【0057】
有機太陽光発電装置の作製
亜鉛/スズ酸化物(ZTO):フェニル-C60-ブチリック-N-(2-ヒドロキシエチル)アセトアミド(PCBNOH)のゾル-ゲル溶液は、酢酸亜鉛二水和物または酢酸スズ(II)を2-メトキシエタノールおよびエタノールアミンに溶解することにより調製した。具体的には、ZTO:PCBNOHゾル-ゲル電子移動層溶液は、3.98gのZn(OAc)2、398mgのSn(OAc)2 および20.0mgのPCBNOHを、54mLの2-メトキシエタノール中で996μLのエタノールアミンを加えながら混合することにより調製した。次いで溶液は、2-メトキシエタノールを加えて65%にさらに希釈し、そして少なくとも1時間撹拌した後、インジウムスズ酸化物基材上にスピンキャスティング(spin casting)して電子移動層を形成した。
【0058】
ポリマーおよび受容体、PC70BM、およびノン―フラーレン受容体3,9-ビス(2-メチレン-(3-(1,1-ジシアノメチレン)-インダノン))-5,5,11,11-テトラキス(4-ヘキシルフェニル)-ジチエノ[2,3-d:2’,3’-d’]-s-インダセノ[1,2-b:5,6-b’]ジチオフェン(ITIC)を1:1.2の比でクロロベンゼンに26mg/mLの濃度で溶解し、光活性層溶液を得た。この溶液を撹拌し、そして80℃に一晩、窒素充填グローブボックス中で加熱した。翌日、3.0容量%の1,8-ジヨードオクタン(DIO)を加えた後、光活性層にスピンコーティングした。
【0059】
インジウムスズ酸化物を形成したガラス基材を、アセトンおよびイソプロパノール中で連続的に超音波処理して清浄化した。各15分の工程を2回繰り返し、そして新しく清浄化した基材を60℃で一晩放置し、乾燥させた。作製を進めながら、基材はさらに1.5分間、UV-オゾン室で清浄化し、そして電子移動層を直ちに上にスピンコーティングした。
【0060】
ゾル-ゲル電子移動層溶液は、0.25μmのポリ(ビニリデンフルオリド)フィルターを備えた酸化インジウムスズで直接濾過し、そして4000rpmにて40秒、スピンキャスティングした。次いでフィルムは、250℃で15分間アニールし、そして窒素充填グローブボックスに直接移した。
【0061】
光活性層は、この溶液を用いて600rpmで40秒のスピンコーティングを介して電子移動層に付着させ、そして基材を110℃で前加熱し、そして一晩の溶媒アニーリングのためにガラス製のペトリ皿に移した。
【0062】
アニーリング後、基材を真空エバポレーターに乗せ、ここでMoO3(正孔移動層)およびAg(アノード)を順次、熱蒸発により付着させた。付着は<4x10-6トルの圧で生じた。MoO3およびAgはそれぞれ5.0nmおよび120nmの厚さを有した。次いでサンプルはエポキシ結合剤を使用してガラスにカプセル化し、そしてUV光で3分間処理した。
【0063】
UV可視吸収分光法
吸収分光法は、300から1000nmの波長範囲で行いそして測定した。ブランクとなるガラススライドのバックグラウンドをすべてのスペクトルから差し引いた。ポリマーの薄いフィルムサンプルは、10mg/mL溶液のポリマー(50:50のクロロベンゼン:ジクロロベンゼン中の)を、1200rpmでガラススライドにスピンキャスティングすることにより調製した。
図14はポリマーのUV可視吸収スペクトルを表す。
【0064】
代表的な電流密度
代表的な電流密度―電圧特性を以下に表1に表す。
【表1】
【0065】
【0066】
Jsc(mA/cm2)短絡電流密度(Jsc)は、ゼロバイヤスで太陽電池から流れ出る電流密度である。Voc(V)開放電圧(Voc)は、外部回路の電流がゼロの電圧である。FF(%)曲線因子(FF)は、開放電圧および短絡電流で割った最大電力点の比である。PCE(%)太陽光発電電池の電力変換効率(PCE)は、使用可能な電気に転換される太陽光発電装置を照らソーラーエネルギーの割合である。Rs(Ωcm2)太陽光発電電池を通る直列抵抗(Rs)。Rsh(Ωcm2)太陽光発電電池を通る並列抵抗。
【0067】
最後にいかなる参考文献、特に本出願の優先日以後の公開日を有するいかなる参考文献の考察も、本発明に対する先行技術とは認められないことに留意すべきでる。同時に以下の全ての請求の範囲は、本発明の追加の態様としてこの詳細な説明または明細書に引用により編入される。
【0068】
本明細書に記載したシステムおよび方法は、詳細に記載されてきたが、様々な変化、置換および変更を、以下の特許請求の範囲により定められる本発明の精神および範囲から逸脱せずに行うことができると理解すべきである。当業者は、好適な態様を研究し、そして厳密には本明細書に記載したものではない本発明を実施する他の方法を確認することができるかもしれない。本発明者は本発明の変形および均等物が特許請求の範囲内にあると同時に、説明、要約および図面は本発明の範囲を限定するために使用されるものではないことを意図している。本発明は以下の請求の範囲およびそれらの均等物のようにできる限り広いことを明確に意図するものである。