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<図1>
  • -複合ホイールのリム繊維アーキテクチャ 図1
  • -複合ホイールのリム繊維アーキテクチャ 図2
  • -複合ホイールのリム繊維アーキテクチャ 図3
  • -複合ホイールのリム繊維アーキテクチャ 図4
  • -複合ホイールのリム繊維アーキテクチャ 図5
  • -複合ホイールのリム繊維アーキテクチャ 図6A
  • -複合ホイールのリム繊維アーキテクチャ 図6B
  • -複合ホイールのリム繊維アーキテクチャ 図6C
  • -複合ホイールのリム繊維アーキテクチャ 図7
  • -複合ホイールのリム繊維アーキテクチャ 図8
  • -複合ホイールのリム繊維アーキテクチャ 図9
  • -複合ホイールのリム繊維アーキテクチャ 図10
  • -複合ホイールのリム繊維アーキテクチャ 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】複合ホイールのリム繊維アーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   B60B 5/02 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B60B5/02 F
B60B5/02 E
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020509035
(86)(22)【出願日】2018-08-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 AU2018050871
(87)【国際公開番号】W WO2019033169
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】2017903325
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】517370700
【氏名又は名称】カーボン・レボリューション・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CARBON REVOLUTION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デンミード,アシュリー・ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ロー,ハイドン
(72)【発明者】
【氏名】コーベット,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ディングル,マシュー・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】クウォック,エデン
(72)【発明者】
【氏名】トリップピット,バリー
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/141350(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/162173(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0332391(US,A1)
【文献】米国特許第05985072(US,A)
【文献】実開平06-008002(JP,U)
【文献】特開昭63-068401(JP,A)
【文献】実開昭56-048902(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の複合ホイールのリム部分であって、
前記リム部分は、前記複合ホイールの回転中心軸を中心として形成された成形環を備えるとともに、前記中心軸を中心として前記リム部分の周りに周方向に延在する周方向軸を有し、
前記リム部分は、フープトウ層とバイアスプライ層との交互層から形成された積層ラミネートを含む繊維レイアップを有し、
前記フープトウ層は、前記フープトウ層の繊維が前記リム部分の前記周方向軸と実質的に整列されている細長い繊維トウを含み、前記フープトウ層は、環状に巻回された少なくとも1つの細長い繊維トウから形成され、
前記バイアスプライ層は、前記バイアスプライ層の繊維が前記リム部分の前記周方向軸に対して+θまたは-θの角度で実質的に配向されている少なくとも1つの繊維プライを含み、θは26°~40°である、複合ホイールのリム部分。
【請求項2】
θは28°~40°である、請求項1に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項3】
前記フープトウ層は、前記リム部分における繊維の40~60%を含む、請求項1または2に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項4】
前記バイアスプライ層は、前記リム部分における繊維の40~60%を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項5】
前のバイアスプライ層の繊維配向の(+または-の)錯角である繊維配向角を有する層を提供するように、連続するバイアスプライ層が前記レイアップに配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項6】
バイアスプライは、相互接続された一方向性繊維材料のシートを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項7】
前記バイアスプライは、ステッチされた一方向性シート材料を含む、請求項6に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項8】
バイアスプライは、+(26°~40°)の繊維方向を有する層と、-(26°~40°)の繊維方向を有する層とを含む、2層バイアスプライを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項9】
前記リム部分は、前記リム部分の幅の対向する縁に、内側フランジおよび外側フランジという2つの環状フランジを含み、各バイアスプライは、前記ホイールの前記内側フランジから前記ホイールの前記外側フランジへの連続シートを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項10】
各バイアスプライ層は、隣接するフープトウ層の間に挟まれる、請求項1~9のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項11】
各バイアスプライ層は、突合せ接合部なしで形成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項12】
前記積層ラミネートは、集められたフープ巻回トウから形成された輪郭特徴をさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項13】
輪郭特徴は前記リム部分の周囲に延在しており、環状に巻回された細長い繊維トウから構築される、請求項12に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項14】
前記輪郭特徴は、少なくとも1つのビード、フランジ、リブ、またはステップを含む、請求項12または13に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項15】
前記リム部分はドロップセンター凹部を含み、前記ドロップセンター凹部は、前記ドロップセンター凹部に隣接するセクションよりも減少した、または少ないトウを有する環状セクションを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項16】
前記ドロップセンター凹部に位置する少なくとも1つの補強層をさらに含み、前記補強層は、前記リム部分の前記周方向軸に対して80~100度配向された繊維を有する繊維プライを含む、請求項15に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項17】
少なくとも1つのフープトウ層が、補強層の少なくとも両端上に提供される、請求項15または16に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項18】
(前記中心軸に対する)前記リム部分の径方向に延在するセクションまたは整列されたセクションは、それらに隣接するセクションよりも減少した、または少ないトウを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項19】
前記リム部分は、前記リム部分の幅の対向する縁に、内側フランジおよび外側フランジという2つの環状フランジを含み、前記内側フランジまたは前記外側フランジのうちの少なくとも1つのレイアップは、前記リム部分の前記周方向軸に対して80~100度配向された繊維を有する繊維プライを含む補強層を含む、請求項1~8および10~18のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項20】
前記積層ラミネートの各層における繊維密度は、50~400g/ ある、請求項1~19のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項21】
ラミネート層構造の少なくとも一方の外側にクローズアウトプライ層をさらに含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項22】
クローズアウトプライは、ファブリックプライのシート、フープトウの層、バイアスプライ層、フープ巻回繊維ガラストウ、またはそれらの組合せを含む、請求項21に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項23】
フープトウは、予め施された結合剤を用いて、前記レイアップに位置する、請求項1~22のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項24】
前記繊維は炭素繊維を含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項25】
前記積層ラミネートの前記繊維を包むマトリックス材料をさらに含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項26】
前記マトリックス材料は、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルエステル、エポキシ、熱可塑性物質、類似の化合物、またはそれらの組合せに基づく樹脂を含む、請求項25に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項27】
前記リム部分は、前記複合ホイールのフェース部分と一体的に形成される、請求項1~26のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか1項に記載のリム部分を含む、複合ホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2017年8月18日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2017903325号から優先権を主張し、その内容はこの引用により本明細書に援用されると理解されるべきである。
【0002】
技術分野
本発明は一般に、複合ホイールのリム部分の繊維アーキテクチャおよびレイアップに関する。本発明は、車両および/または飛行機用の複合炭素繊維ホイールに特に利用可能であり、以下においてはその例示的な用途に関連して本発明を開示することが便利であろう。しかしながら、本発明はその用途に限定されるものではなく、多種多様なホイールのフェース部分とリム部分とを接続するために使用され得る、ということが理解されるべきである。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
本発明の背景の以下の説明は、本発明の理解を容易にするよう意図されている。しかしながら、以下の説明は、言及された任意の資料が、本願の優先日の時点で公開され、公知であり、または共通の常識の一部であったという確認または承認ではない、ということが理解されるべきである。
【0004】
複合ホイールは一般に、リム部分とフェース部分という2つの主要セクションを含む。リム部分は、タイヤを受けて載置させるように構成された環構造を含む。フェース部分は、ホイールを車両に固定するために使用されるハブと、ハブとリムとの間に延在してハブとリムとを相互接続する一連のスポークまたはディスクなどの接続構造とを含む。横荷重、縦荷重、およびねじれ荷重がタイヤを介してホイールのリム部分に伝達され、それは次に接続構造において曲げ応力およびねじれ応力を発生させる。
【0005】
出願人は、例えば国際特許公開WO2010/024495A1に記載された一体型複合ホイールを生成してきた。一体型複合ホイールの作成は一般に、別個のリム部分金型および関連する補強材と、フェース部分金型および関連する補強材との使用を必要とする。次に、別個のリム金型部分およびフェース金型部分は、複合ホイール全体が一体的に形成されることを可能にする最終成型プロセスで相互接続される。
【0006】
タイヤと道路との間で発生した荷重をリムを通してスポークに伝達することを支援するために最適な径方向衝撃性能および剛性を有する機械的に効率的な構造を提供するために、剛性と強度とを備えたリム部分が望まれる。
【0007】
複合ホイールのリム部分の形成は、比較的遅い、手動による労働集約的プロセスであり得る。当該プロセスでは、最終成型プロセスでの樹脂の注入に先立って、繊維シート、プライ、トウ、マットおよび/またはプレフォームの手動レイアップを支援するために、リムツールおよび金型が使用される。さらに、リムレイアップにおいて複数の多軸プライ(例えば、2軸または3軸繊維配向プライ)をトウとともに使用することは、プライおよびトウのずれ、隣接するプライの突合せ接合部の分離または離隔、ならびに、最終成型プロセスでいったん圧縮されるとレイアップにしわをもたらす過度の厚さを含む、予備形成後の部品における厚さ変動を通して、製品品質の望ましくない変動を生み出すおそれがある。そのような変動により、形成されたリム部分における剛性および径方向衝撃性能を含む機械的特性が、次善のものになるおそれがある。
【0008】
繊維シート、プライ、トウ、マットおよび/またはプレフォームの手動レイアップを使用して形成される複合ホイールのリム部分の例は、以下を含む。
【0009】
国際特許公開WO2010/141350 A1は、開放空隙と閉鎖空隙とを含み、閉鎖空隙内に位置する湾曲したタイヤ収容表面を有する、自転車用の複合リムを教示する。ホイールのレイアップは、一方向性材料の複数の繊維プライ(シート)の連続的層状化を伴う。一方向性材料の最初のプライが、繊維がリムの周囲と同じ方向に延在する状態で、金型の内径部分内に0°の角度で配置される。最初のプライ上に、一方向性材料のその後のプライが、周囲に対して0°、0°、+45°、+45°、+45°、-45°、-45°、-45°、+90°、+90°、+90°、-90°、-90°、および-90°の角度で配置される。
【0010】
米国特許第2014/0191566 A1号は、半完成の繊維強化プラスチック製品の数層から形成された繊維強化プラスチック材料リムを教示する。リムは従来、リムウェルからなり、その2つの側にはリム肩が隣接し、それはリムフランジへ移行する。リムウェルは、リムフランジへと延在するベースラミネートの数層によって形成され、それらの層の間には、さらなる層が、リム肩の区域およびリムフランジの区域に挿入される。リムのレイアップは、半完成の繊維強化プラスチックプライまたはシートを使用して層状ラミネートを形成する従来のプライ層状化手順を含む。このレイアップは、繊維が本質的に接線方向に、すなわちリムの周方向に整列されている、予備形成ツール上に配置された第1の底層プライを有する。この最低層上に、ホイールの軸方向に、すなわちリムの周方向と垂直に整列された繊維を有する追加の下層が配置される。その後、繊維が本質的に接線方向に整列されている、重なって配置された半完成の繊維強化プラスチック製品の数層が施される。最後に、ベースラミネートの上層のうちの少なくとも1つが施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の先行技術の繊維アーキテクチャの各々は、繊維の予備形成されたシートまたはプライの層からなるラミネートを形成する。しかしながら、繊維シートまたはプライのみを使用することは、繊維レイアップおよびアーキテクチャの構成と、それらの繊維シートまたはプライのレイアップに使用可能なプロセスのタイプとを限定する。
【0012】
したがって、複合ホイールのリム部分のための、改良された、または代替的なアーキテクチャを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
本発明の第1の局面は、車両の複合ホイールのリム部分であって、リム部分は、複合ホイールの回転中心軸を中心として形成された成形環を備えるとともに、中心軸を中心としてリム部分の周りに周方向に延在する周方向軸を有し、前記リム部分は、フープトウ層とバイアスプライ層との交互層から形成された積層ラミネートを含む繊維レイアップを有し、
フープトウ層は、繊維がリム部分の周方向軸と実質的に整列されている細長い繊維トウを含み、フープトウ層は、環状に巻回された少なくとも1つの細長い繊維トウから形成され、
バイアスプライ層は、繊維がリム部分の周方向軸に対して+θまたは-θの角度で実質的に配向されている少なくとも1つの繊維プライを含み、θは26°~40°である、複合ホイールのリム部分を提供する。
【0014】
本発明の別の局面は、フェース部分とリム部分とを有する車両の複合ホイールのリム部分の繊維レイアップであって、リム部分は、複合ホイールの回転中心軸を中心として形成された成形環を備えるとともに、中心軸を中心としてリム部分の周りに周方向に延在する周方向軸を有し、前記繊維レイアップは、フープトウ層とバイアスプライ層との交互層から形成された積層ラミネートを含み、
フープトウ層は、繊維がリム部分の周方向軸と実質的に整列されている細長い繊維トウを含み、フープトウ層は、環状に巻回された少なくとも1つの細長い繊維トウから形成され、
バイアスプライ層は、繊維がリム部分の周方向軸に対して+θまたは-θの角度で実質的に配向されている少なくとも1つの繊維プライを含み、θは26°~40°である、複合ホイールのリム部分の繊維レイアップを提供する。
【0015】
本発明は、車両用の複合ホイールのリム部分における新しい繊維アーキテクチャを提供する。結果として生じるラミネート積層体は、リム部分の周方向軸に対する0°、+θ°、および-θ°という繊維配向角の組合せの繰り返しパターンまたは順序を提供する、連続する層を含む。層状構造の層は、複合ホイールのリム部分の構造に強度を追加する方向に配向された繊維を有する。フープトウ層は、環状に巻回された少なくとも1つの細長い繊維トウから構成され、したがって、リム部分のバレルまたは環形状における剛性を提供する。さらに、各フープトウ層は、ラミネート厚さが制御可能になるように、隣接するバイアスプライ層を拘束する。したがって、例えば(背景で教示されたような)90°のプライといった伝統的なまたは従来のプライベースのレイアップから、本発明の特注のレイアップへの、繊維アーキテクチャの変更は、改良された衝撃、耐久性、および剛性性能をもたらす。
【0016】
出願人は、リム構造全体の安定性および強度を高めるように層間の相乗効果を提供するために、フープトウ層およびバイアスプライ層の繊維方向の選択が慎重に設計されてきたことに言及する。層材料の選択と組合された、選択された繊維配向角は、改良された衝撃、耐久性、および剛性性能を有するリム部分を提供する。
【0017】
耐損傷性を提供する巻回フープトウ層と、ラミネートの厚さを通って延在する薄いプライ層の積層構造を提供するラミネート構造との使用を通して、望ましい径方向衝撃性能が提供される。径方向衝撃はまた、可能であれば突合せ接合部の欠如を通して改良され得る。フープトウ層とバイアスプライ層との使用は、リム部分に望ましい剛性を提供する。
【0018】
改良された機械的効率/性能により、他の現在の炭素繊維ホイールアーキテクチャと比べて、より薄いリムラミネートが可能であるかもしれず、比較的より軽いホイールをもたらす。
【0019】
ここでの「複合」という用語は、構造が層状であるか否かに関わらず、硬化または未硬化の繊維を含む任意のタイプの複合材料を意味するということが理解されるべきである。さらに、硬化または未硬化のプリフォームおよび予備固化プリフォームは、複合材料および本体の重要な下位群である。
【0020】
トウまたは繊維トウとは、多数の個々の繊維、例えば数千本、数万本または数十万本の繊維の束であるということも理解されるべきである。トウプレグとは、少なくとも部分的に含浸された繊維トウである。したがって、フープトウ層は、中心軸を中心とする整列された繊維の少なくとも1つのフープを形成するためにリム部分の環形状の周りに環状に巻回されたトウ/繊維トウを含む。好ましい形態では、フープ層は、リム部分の環形状の周りを複数回環状に巻回された長手方向に細長いトウから形成されたフープ巻回層を含む。
【0021】
プライとは、ともに形成された、または他の態様で接続された繊維のシートまたは層を指すということも理解されるべきである。したがって、バイアスプライとは、繊維がシート内で特定の方向に配向されている(またはバイアスがかけられている)、繊維のシートまたは層を指す。バイアスプライは典型的には、一方向性繊維、すなわち、単一の軸に沿った、または単一の軸と平行である、単一の方向に整列または配向された繊維を実質的に含む。
【0022】
プリフォームとは、繊維を含む複合材料であるということも理解されるべきである。場合によっては、プリフォームは、樹脂などの未硬化のマトリックス材料も含んでいてもよい。いくつかのプリフォームは、マトリックス材料のない乾燥繊維を実質的に含んでいてもよい。マトリックス材料が注入される前にプライをともに保持することを支援するために、結合剤が使用されてもよい。
【0023】
本発明では、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アクリル、ポリエステル、PAN、PET、PE、PPまたはPBO繊維などの合成繊維、麻、ジュート、セルロース繊維などのバイオ繊維、例えばロックウールなどの鉱物繊維、鋼、アルミニウム、真鍮、銅などの金属繊維、ホウ素繊維、またはこれらの任意の組合せからなる群から選択される繊維を含むもののそれらに限定されない、幅広い様々な繊維が使用されてもよい。好ましい一実施形態では、第1の組の繊維および第2の組の繊維は、炭素繊維を含む。
【0024】
(具体的には特定されない場合)レイアップの部分における繊維は、プリプレグ、セミプレグ、織布または不織布、マット、プリフォーム、予備固化プリフォーム、個々の繊維または繊維の群、トウ、トウプレグなどを含む任意の好適な形態で提供されてもよい。繊維は好ましくは、配向された繊維の層として、例えば、特定されたような個々の繊維または繊維の群、繊維トウ、繊維トウプレグ、プリプレグ、セミプレグ、織布または不織布、またはマットとして提供されてもよい。
【0025】
プリプレグとは、繊維、繊維トウ、織布または不織布などの実質的にまたは完全に含浸された集まりを指すということが理解されるべきである。同様に、セミプレグとは、繊維または繊維トウの部分的に含浸された集まりを指すということが理解されるべきである。部分的な含浸は、固化および/または硬化中に乾燥繊維を通してまたは乾燥繊維に沿ってガスの除去を強化する。セミプレグの一例は、繊維の部分的に含浸された層である。
【0026】
織布および不織布とは、実質的に乾燥している、すなわち樹脂などのマトリックス材料によって含浸されていない、個々の繊維または繊維トウの集まりであるということが理解されるべきである。
【0027】
フープトウ層は、リム部分の周方向軸に配向または整列された繊維を提供する。これは、リム部分へのフープ強度を提供する。バイアスプライは、傾斜して配向または整列された繊維を提供し、横方向強度補強をリムの構造に提供する。当該繊維がリム部分の周方向軸から離れるように傾斜する角度θは、26°~40°である。実施形態では、角度θは28°~40°、好ましくは30°~36°、より好ましくは約33°である。最適角度はもちろん、リム部分および複合ホイールのモデルの有限要素解析によって求められ得る。使用される特定の角度θは、複合ホイールおよびリム部分の全体的構成、必要な荷重などに依存する。
【0028】
フープトウ層およびバイアスプライ層は、整列された繊維、すなわち、複合ホイールのリム部分内の特定の方向に整列された繊維を含む。これらの整列された繊維は、それらの層の整列された繊維がリム部分の周方向軸に対して延在する方向において、繊維方向をリム部分へ提供する。フープトウ層は好ましくは、リム部分における繊維方向の40~60%、好ましくは約50%を提供する。同様に、バイアスプライ層は好ましくは、リム部分における繊維方向の40~60%、好ましくは約50%を提供する。実施形態では、これは、リム部分における繊維の40~60%、好ましくは約50%を含むフープトウ層によって達成され得る。同様に、バイアスプライ層は、リム部分における繊維の40~60%、好ましくは約50%を含み得る。
【0029】
積層ラミネートにおけるバイアスプライは、フープトウ層の両側に交互に傾斜した繊維方向を提供するように、レイアップに配置される。したがって好ましくは、前のバイアスプライ層の繊維配向の(+または-の)錯角である繊維配向角を有する層を提供するように、連続するバイアスプライ層がレイアップに配置される。各バイアスプライ層は好ましくは、隣接するフープトウ層の間に挟まれる。したがって、結果として生じるラミネート積層体は、リム部分の周方向軸に対する[0°、+θ、0°、-θ°]という繊維配向角の繰り返しを提供する、連続する層を含む。
【0030】
バイアスプライは一方向性であり、積層ラミネートのその層のために必要な繊維整列/配向を依然として維持しつつ、複雑なリムジオメトリ上に形成されるように利用され得る。いくつかの実施形態では、バイアスプライは、相互接続された一方向性繊維材料、好ましくは相互接続された一方向性トウのシートを含む。その接続は、ステッチされた接続を含み得る。そのようなバイアスプライは、ステッチされた一方向性シート材料、好ましくはステッチされた一方向性トウのシートを含む。単層バイアスプライが好まれるものの、積層ラミネートは、レイアップに1つ以上の2層バイアスプライを含んでいてもよい。いくつかの実施形態は、リム部分の周方向軸に対して、+(26°~40°)の繊維方向を有する層と、-(26°~40°)の繊維方向を有する層とを含む、2層バイアスプライを含んでいてもよい。各2層バイアスプライは、積層ラミネートにおけるフープトウ層の間でラミネートされるであろう。したがって、フープトウの層は、各バイアスプライ層の間に位置する。ここでも、各フープトウ層は、ラミネート厚さが制御されるように、隣接するバイアスプライ層を拘束する。
【0031】
いくつかの実施形態では、複合ホイールのリム部分は、リム部分の幅の対向する縁に、内側フランジおよび外側フランジという2つの環状フランジを含む。実施形態では、各バイアスプライは、ホイールの内側フランジからホイールの外側フランジへの連続シートを含む。したがって、各バイアスプライ層は好ましくは、突合せ接合部なしで形成され得る。
【0032】
しかしながら、代替的な実施形態では、バイアスプライは双方のフランジ間で連続していなくてもよいということが理解されるべきである。バイアスプライが十分に短い場合、それらは、同じ角度のバイアスプライの完全な層をマンドレル上に形成するために、予備形成動作から手動でまたは自動的に採取され、1つずつレイアップされ得る、矩形の「パッチ」として予備形成されてもよい。パッチは重なり合っていてもよい。予備形成動作とは、プライがまず、矩形に予め施された結合剤または熱可塑性材料を使用して、正しいリムプロファイルに形成されることであってもよいということが理解されるべきである。これは、プライを正しい形状にクランプし、材料を冷却して、結合剤/熱可塑性材料を凝固させることによる。予備形成された矩形のパッチは、施されたフープ巻回トウを有し得る。しかしながら、他の予備形成動作も利用され得る。
【0033】
フープトウ層は、環状に巻回された少なくとも1つの細長い繊維トウから形成される。各フープトウ層を形成するために、単一の細長いフープトウを、中心軸を中心としてその周りに巻回してもよいが、フープトウ層は、環状に巻回された細長い繊維トウを、複数、好ましくは多数含み得る。フープトウ層は好ましくは、細長いトウの同心フープの隣接する縁同士が当接する状態で、螺旋状に巻回される。
【0034】
リム部分は典型的には、リム部分の遠位縁から、または当該遠位縁の周りで径方向外側に延在する、内側フランジおよび外側フランジを形成する環状フランジを含む。リム部分はまた、環状フランジのうちの1つからリムの幅に沿って間隔を置いた、リムの表面から径方向外側に延在する、少なくとも1つ、好ましくは2つの環状ビード(内側フランジおよび外側フランジからそれぞれ間隔を置いた内側安全ビードおよび外側安全ビード)を含む。安全ビードは、タイヤの内縁をリム部分上で保持するために使用される。これらの特徴は、レイアップにおける選択された位置でフープ巻回トウを集めるかまたは構築することによって、積層ラミネートの繊維レイアップの一部として形成され得る。実施形態では、積層ラミネートは、集められたフープ巻回トウから形成された輪郭特徴をさらに含む。輪郭特徴は好ましくは、リム部分の周囲に延在しており、環状に巻回された細長い繊維トウから構築される。集められたフープ巻回トウを使用して形成され得る輪郭特徴は、少なくとも1つのビード、フランジ、リブ、またはステップを含む。輪郭特徴はしたがって、リム部分の安全ビード(すなわち、内側安全ビードおよび外側安全ビード)と、縁フランジ(内側フランジおよび外側フランジ)とを含み得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、内側フランジまたは外側フランジのうちの少なくとも1つのレイアップは、リム部分の周方向軸に対して80~100度、好ましくはリム部分の周方向軸に対して約90度配向された繊維を有する繊維プライを含む補強層を含む。内側フランジおよび/または外側フランジにおけるそのような追加のプライは、これらの領域におけるラミネートの亀裂の防止を支援する。補強層は好ましくは、フープトウ層とバイアスプライ層と補強層、または、トウ層とバイアスプライ層とトウ層とバイアスプライ層と補強層を提供するように、レイアップ順序またはパターンに含まれる。他のレイアップ順序も可能であるということが理解されるべきである。
【0036】
リム部分はまた、ドロップセンターを含み得る。ドロップセンターは好ましくは、外側安全ビードに隣接するもののそれから間隔を置いたリム部分の凹んだ部分または溝部分を含む。ドロップセンターの凹部は、タイヤの反対側が対向フランジに寄せられて外される(pulled over and off)間にタイヤのビードがドロップセンターの凹部に押し込まれることを可能にする。
【0037】
複合ホイールのリム部分のドロップセンターを形成する凹部は、積層ラミネートが形成される支持金型面の輪郭付けによって、および/または、ドロップセンター凹部におけるフープトウ層の選択的なまたは減少した施与を通して形成され得る。実施形態では、リム部分はドロップセンター凹部を含み、ドロップセンター凹部は、ドロップセンター凹部に隣接するセクションよりも減少した、または少ないトウを有する環状セクションを含む。
【0038】
減少したフープトウの使用は、場合によっては、ドロップセンター凹部におけるリム部分を、周囲のレイアップと比べて弱くし得る。したがって、ドロップセンターは好ましくは、強化繊維構造、より好ましくは強化プライ層を含む。いくつかの実施形態では、リム部分は、ドロップセンター凹部に位置する少なくとも1つの補強層をさらに含み得る。補強層は好ましくは、リム部分の周方向軸に対して80~100度、好ましくはリム部分の周方向軸に対して約90度配向された繊維を有する繊維プライを含む。補強層の使用は、2軸疲労試験の荷重下でのホイール性能を向上させるよう意図される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのフープトウ層が、補強層の少なくとも両端上に提供される。
【0039】
実施形態では、外側フランジとドロップ凹部との間のレイアップのベース領域は、バイアスプライ層においてリム部分の周方向軸に対して繊維配向角を有する織布を含む。いくつかの実施形態では、この織布は、リム部分の周方向軸に対して+または-30~50度、好ましくはリム部分の周方向軸に対して+または-45度の繊維配向を有する。好ましくは、織布の少なくとも2つ、好ましくは3つの層が使用される。実施形態では、この織布は、複合ホイールのリム部分とハブ部分との間の接続部の一部を形成する。
【0040】
リム部分の輪郭形状の垂直セクションまたはフランジ(すなわち、径方向に延在するかまたは中心軸と整列されたセクション)は、より低い層間張力のために、それに隣接するセクションよりも減少した、または少ないトウで形成され得る。これらの実施形態では、(中心軸に対する)リム部分の径方向に延在するセクションまたは整列されたセクションは、それらに隣接するセクションよりも減少した、または少ないトウで形成される。
【0041】
本発明のリム部分の繊維レイアップまたは繊維アーキテクチャは、多層構造を含む。層の数は、リム部分の設計と複合部材のサイズおよびタイプとに依存して、かなり変わり得る。いくつかの実施形態では、ほんの数層、例えば4~10層、いくつかの実施形態では4~20層が使用される。他の実施形態では、リム部分の所望の品質および/または特性を得るために、より多い数、例えば20、30、50、100、またはそれを上回る数の層が必要とされる。
【0042】
各層における繊維密度は、選択された繊維密度の材料から様々な層を形成することによって制御され得る。繊維密度の選択は、リム部分の機械的特性および全重量に影響を及ぼし得る。実施形態では、積層ラミネートの各層における繊維密度は、50~400g/m、好ましくは150~300g/m、より好ましくは180~250g/m、より好ましくは180~220g/m、さらにより好ましくは約200g/mである。フープトウ層およびバイアスプライ層の繊維密度は同じであっても異なっていてもよいということが理解されるべきである。しかしながら、リム部分全体にわたって一貫した繊維密度を提供するために、繊維密度は少なくとも類似しており、好ましくは同じであるということが好まれる。
【0043】
リム部分は好ましくは、積層ラミネートの繊維を包むマトリックス材料をさらに含むということが理解されるべきである。マトリックス材料は、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルエステル、エポキシ、熱可塑性物質、類似の化合物、またはそれらの組合せに基づく樹脂を含み得る。しかしながら、他のマトリックス材料も利用可能であり得ることが理解されるべきである。
【0044】
本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面に従ったリム部分を含む複合ホイールを提供する。複合ホイールのリム部分は好ましくは、複合ホイールのフェース部分と一体的に形成される。
【0045】
いくつかの実施形態では、複合ホイールは、中心ホイール軸を中心として形成される。フェース部分は、ホイール軸に対して実質的に径方向に整列された第2の繊維を含み、リム部分は、ホイール軸に対して実質的に軸方向に整列された第1の繊維から形成される。フェース部分とリム部分との接続部は、ホイール軸に対して軸方向に整列されたフェース部分から延在する第2の繊維と、ホイール軸に対して軸方向に整列されたリム部分から延在する第1の繊維とから形成され得る。好ましくは、リム部分は、軸に対して傾斜して延在する縁フランジまたはリップ部分を含む。いくつかの実施形態では、接続部の第1の繊維は、リム部分の縁フランジ部分から延在する。
【0046】
本発明の第1の局面に従った繊維アーキテクチャ/レイアップを含むリム部分は、任意の好適なプロセスによって形成され得るということが理解されるべきである。そのプロセスは、手動レイアッププロセス、自動レイアッププロセス、または、手動プロセスと自動プロセスとの組合せであってもよい。実施形態では、複合物のリム部分は、
リム部分の設計された構成を提供するために成形された環状金型面を有する環状金型ツールを提供するステップと、
少なくとも1つのクローズアウトプライ層を環状金型面に施すステップと、
複合ホイールのフェース部分レイアップと複合ホイールのリムレイアップとの間の接続要素を、環状金型面に施されたクローズアウトプライ上に位置付けるステップと、
積層された多層構造を形成するために、フープトウ層とバイアスプライ層との交互層をクローズアウトプライおよび接続要素上に配置するステップと、
それにより、本発明の第1の局面に従ったリム部分繊維アーキテクチャを形成するステップ、
という一般的なプロセスステップを使用して形成され得る。
【0047】
クローズアウトプライは、繊維プライシートまたは他の繊維ファブリック、または要素であってもよく、もしくは、前述のようにフープトウから形成されてもよいということが理解されるべきである。
【0048】
上述のように、リム部分の輪郭、例えば、タイヤの内縁をリム部分上の適所に保持するために使用される環状安全ビードは、必要な輪郭および形状になるように位置付けられ構築されたフープトウ巻回物を使用して形成され得る。さらに、リム部分の内側フランジおよび外側フランジは好ましくは、必要なフープトウを多層構造上の必要な位置に巻回することによって形成される。
【0049】
フープトウは、予め施された結合剤、好ましくは粉末結合剤を用いて、レイアップに位置することができる。粉末結合剤は加熱され、トウは前の繊維層に施されてから冷却され、そのため、粉末結合剤は「粘着付与剤」として作用し、トウはそれが配置された場所に位置する。トウは、抵抗加熱を介して加熱され得る。
【0050】
これらのステップの各々は、改良された部品一貫性のために自動化されるということが好まれる。トウ/プライの始点を設定するための、または、レイアップマンドレル上でバイアスプライの新しい層を導いてプライクランプを設定するなどのための、何らかの手動/オペレータ入力が使用されてもよい。
【0051】
リム部分および/またはフェース部分の繊維は好ましくは、マトリックス材料を注入および/または含浸され、次に、硬化および/または凝固される。したがって、方法は好ましくは、
リム部分の層の各々と接触するマトリックス材料を提供するステップと、
リム部分を硬化させるステップと、
をさらに含む。
【0052】
マトリックス材料、および接続部、ホイールなどの関連部品の硬化は、硬化、凝固、乾燥、または類似のプロセスを包含するということが理解されるべきである。
【0053】
複合ホイールは好ましくは、単一体として形成される。これは典型的には、マトリックス材料の同時注入および/または含浸と、その後の複合ホイールの各部分の硬化、凝固などとを伴う。そのような実施形態では、リム部分およびフェース部分の各々は好ましくは、それらの間の接続部が準備される時点で少なくとも部分的に未硬化である。したがって、方法は好ましくは、
ホイールの各リム部分およびフェース部分と接触するマトリックス材料を同時に提供するステップと、
ホイールのリム部分とフェース部分とを同時硬化させるステップと、
をさらに含む。
【0054】
マトリックス材料が樹脂を含む場合、様々な樹脂送達システムを、第2の局面の方法を用いて使用することができる。いくつかの実施形態では、樹脂の少なくとも一部は、樹脂注入および/または樹脂トランスファー成型および/または真空支援樹脂トランスファー成型によって提供される。
【0055】
複合ホイールへといったん成型され形成されると、リム部分、フェース部分、およびそれらの間の接続部は、樹脂、金属、および繊維などのマトリックス材料を含む。レイアップ(マトリックス材料の固化および/または凝固、硬化などの前の時点までの準備)中、マトリックス材料は、繊維を含む層(例えばプリプレグまたはセミプレグ)に、または繊維を含む層の間に含まれる必要はない。しかしながら、凝固が生じた後には、マトリックス材料は、連続するマトリックスを形成するべきである。
【0056】
マトリックス材料は、繊維を含む2つの隣接する層に、またはそれらの間に含まれる必要はない。好ましい一実施形態では、繊維を含む隣接層同士を少なくとも一時的に、かつ少なくとも部分的に固定するために、接着剤がこの場合、そのような対の層のうちの少なくともいくつかの間に提供されてもよい。
【0057】
接続部、リム部分、および/またはフェース部分の繊維は好ましくは、マトリックス材料を注入および/または含浸され、次に、硬化、凝固などが行なわれる。したがって、接続部は好ましくは、構成する繊維を包むマトリックス材料をさらに含む。任意の好適なマトリックス材料が使用され得る。いくつかの実施形態では、樹脂が使用される。樹脂は好ましくは、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルエステル、エポキシ、熱可塑性物質、類似の化合物、またはそれらの組合せに基づく。好ましい一実施形態では、樹脂はエポキシ系である。他の実施形態では、マトリックス材料は金属マトリックスを含み、凝固すると繊維とともに複合金属マトリックスを形成する。金属マトリックス材料は好ましくは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、鉄、ならびにそれらの組合せ、合金、および混合物から選択される。
【0058】
図面の簡単な説明
以下に、本発明の特定の好ましい実施形態を示す添付図面の図を参照して、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明の一実施形態に従ったリム部分を含む複合ホイールの斜視図である。
図2図1に示す複合ホイールのリムとフェースとの接続領域のより詳細な図である。
図3】リム部分の繊維配向方向を提供する、図1および図2に示す複合ホイールのリム部分の側面図である。
図4図1~3に示す複合ホイールの実施形態のリム部分の様々な部分の繊維層レイアップの概略断面図である。
図5】(A)は図1~3に示す複合ホイールの実施形態のリム部分の様々な部分の繊維層レイアップの概略断面図であり、(B)は図4~6Cに表わされた異なる層の凡例を示す図である。
図6A図1~3に示す複合ホイールの実施形態のリム部分の様々な部分の繊維層レイアップの概略断面図である。
図6B図1~3に示す複合ホイールの実施形態のリム部分の様々な部分の繊維層レイアップの概略断面図である。
図6C図1~3に示す複合ホイールの実施形態のリム部分の様々な部分の繊維層レイアップの概略断面図である。
図7】本発明の一実施形態に従った、リム部分を形成する際の進行する繊維層レイアップステップを示す図である。
図8】本発明の一実施形態に従った、リム部分を形成する際の進行する繊維層レイアップステップを示す図である。
図9】本発明の一実施形態に従った、リム部分を形成する際の進行する繊維層レイアップステップを示す図である。
図10】本発明の一実施形態に従った、リム部分を形成する際の進行する繊維層レイアップステップを示す図である。
図11】本発明の一実施形態に従った、リム部分を形成する際の進行する繊維層レイアップステップを示す図である。
図12】本発明の一実施形態に従った、リム部分を形成する際の進行する繊維層レイアップステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
詳細な説明
最初に図1を参照すると、本発明の一実施形態に従ったリム部分102を含む複合ホイール100の斜視図が示されている。図示された複合ホイール100は、本出願人により、一体的に形成された一体型本体として開発された。複合ホイール100の製造の一般的なプロセスは、国際特許公開WO2010/024495A1に記載されており、その内容は、この引用により本明細書に援用されると理解されるべきである。なお、当該公開におけるリム部分102の形成は、本発明の構成のために、本願において提供される詳細によって取って代わられる。
【0061】
図示された複合ホイール100は、
A).タイヤ(図示せず)が取り付けられる環状構造を含むリム部分102、および、
B).円形ハブ106と一連のスポーク108とを含むフェース部分104、という2つの主要セクションを含む。ハブ106は、ホイールを車両のホイールマウントに固定するために使用される締結ボルト(図示せず)を受けるように構成された5つの締結開口部107を含む。スポーク108は、一端でハブ106に接続され、他端でリム部分102に接続された細長いアームを含む。締結ボルト取付接続部が図示されているが、ハブ106は、当該技術分野において公知である中央取付構成および他のホイール取付構成といった、他の締結接続部のために構成され得るということが理解されるべきである。
【0062】
国際特許公開WO2010/024495A1に記載されているように、そのような一体型複合ホイール100の作成は、別個のリム部分金型(例えば、図7~12の280、310)およびフェース部分金型(例えば、図8に300として部分的に示す)の使用を必要とする。使用中、フェース部分104は、典型的にはフェース部分金型に載置された補強ファブリックで具現化される第1の組の繊維をレイアップすることによって形成される。リム部分金型は内側バケット金型を含み、利用可能であれば、外側円筒形金型を使用できる。リム部分102は、典型的にはリム部分金型に載置された補強ファブリックで具現化される第2の組の繊維をレイアップすることによって形成される。リム部分金型およびフェース部分金型からの補強ファブリックは、別々の部分が接続点110で相互接続される状態で、結合金型においてともに組み立てられる。次に、樹脂などのマトリックス材料を全体的なホイールの形の補強材に注入および/または流入させて、成型された一体型ホイール100を生成する、最終成型プロセスが行なわれる。
【0063】
以下に説明されるように、本発明に従ったリム部分102およびその繊維アーキテクチャを形成する方法は、WO2010/024495A1に記載されたものとは異なっている。スポークとリムとの接続部110は、リム部分102をレイアップする際の複合ホイール100のリム部分102のリム補強材とフェース部分104のフェース補強材との相互接続を通して形成される。フェース部分104のレイアップの完了後、リム部分の繊維レイアップも、フェース部分104と102との接続部がリム部分102の繊維レイアップに直接含まれ得るようにレイアップされる。
【0064】
図3~6Cは、本発明の一実施形態に従った、リム部分102の繊維レイアップの詳細を示す。図示されたリム部分102は、複合ホイール100の回転中心軸X-Xを中心として形成された環形状の本体を含む。図3に示すように、リム部分102はまた、中心軸X-Xを中心としてリム部分102の周りに周方向に延在する周方向軸C-Cを有する。リム部分102は、その本体の幅に沿って位置する、一連の環状輪郭特徴を有する。図示されたリム部分102はまず、リム部分106の遠位縁から、または当該遠位縁の周りで径方向外側に延在する、2つの環状フランジ201、202を含む。当該フランジ201、202は、複合ホイール100のフェース部分104にあるかまたは隣接するリム部分102の外縁205に位置する外側フランジ201と、車両(図示せず)に取り付けられた場合に車両のホイールマウントの最も近くに位置する、複合ホイール100の内縁206に位置する内側フランジ202とを含む。フランジ201、202は、タイヤおよびタイヤ壁(図示せず)をリム部分102および複合ホイール100上で当接させて保持する縁止め部材を提供する。リム部分102はまた、リム部分102の内側フランジ202および外側フランジ201からそれぞれ間隔を置いた内側安全ビード210および外側安全ビード211を含む2つの環状ビードを含む。安全ビード210、211は、タイヤ(図示せず)の内縁をリム部分102上で保持するために使用される。使用中、タイヤ壁(図示せず)のリムは、協働するフランジ201、202と安全ビード210、211との間に載置される。
【0065】
図示されたリム部分102はまた、図示された実施形態では外側安全ビード211に隣接するもののそれから間隔を置いて位置するリム部分102の凹んだ部分または溝部分を含むドロップセンター220を含む。ドロップセンター220の凹部は、タイヤ(図示せず)の反対側が対向フランジに寄せられて外される間にタイヤのリムまたはビードがドロップセンター220の凹部に押し込まれることを可能にすることによって、リム部分からのタイヤの嵌合および取り外しを支援する。ドロップセンター220を形成する凹部は、2つの安全ビード210、211間の、リム部分102の幅に沿ったあらゆる場所に位置付けられてもよいということが理解されるべきである。
【0066】
図4~6Cは、リム部分102の繊維レイアップの図を提供するリム部分102の断面図を提供する。それらの図に示すように、リム部分102は、このレイアップにおいて交互層として積層された少なくとも2つの異なる繊維層組成物の積層ラミネートとして形成される。それらの層組成物は、次のとおりである:
(1)繊維がリム部分102の周方向軸C-Cと実質的に整列されている細長い繊維トウ(図7~12を参照)を含むフープトウ層230(図5(B)に提供された凡例では、0°のフープおよび0°のトウ束として表示);および、
(2)繊維がリム部分の周方向軸に対して+θまたは-θの角度で実質的に配向されているトウまたはファブリックの少なくとも1つのシートを含むバイアスプライ層240(図5(B)に提供された凡例では、+/-33°のNCFファブリックとして表示)。図示された実施形態では、θは33°である。しかしながら、設計考慮事項に依存して、θは26°~40°のいずれでもよいということが理解されるべきである。
【0067】
各フープトウ層230が隣接するバイアスプライ層240を拘束するように、各バイアスプライ層240は隣接するフープトウ層230の間に挟まれて、ラミネートの厚さがある程度制御されることを可能にする。バイアスプライ層240は、フープトウ層230の両側に交互に傾斜した繊維方向を提供するように、レイアップに配置される。したがって、図示された実施形態では、前のバイアスプライ層240の繊維配向の(+または-の)錯角である繊維配向角を有する層を提供するように、(フープトウ層230を中心とする)連続するバイアスプライ層240がレイアップに配置される。したがって、結果として生じるラミネート積層体は、リム部分102の周方向軸C-Cに対する[0°(フープトウ層230)、+θ°(バイアスプライ層240)、0°(フープトウ層230)、-θ°(バイアスプライ層240)]という繊維配向角の繰り返しを提供する、連続する層を含む。
【0068】
フープトウ層230は、リム部分102の周方向軸C-Cに配向または整列された繊維を提供する。これは、リム部分102へのフープ強度と、リム部分102のバレルまたは環形状における剛性とを提供する。バイアスプライ層240は、傾斜して配向または整列された繊維を提供し、横方向強度補強をリムの構造に提供する。使用される特定の角度θは、複合ホイールおよびリム部分の全体的構成、必要な荷重などに依存する。図4~6Cに示す各層のライン構成の凡例が、図5(B)に提供される。
【0069】
フープトウ層230における整列された繊維は典型的には、リム部分102における繊維方向の40~60%、好ましくは繊維方向の約50%を提供する。同様に、バイアスプライ層240は典型的には、リム部分102における繊維方向の40~60%、好ましくは繊維方向の約50%を提供する。
【0070】
図4および図6Aに示すように、リム部分102の本体251は、上述されたフープトウ層230およびバイアスプライ層240から形成されたリム部分の周方向軸に対する0°、+θ°、および-θ°という繊維配向角の組合せの繰り返しパターンまたは順序を提供する連続する層を含む、ラミネート積層体である。複合ホイール100の内側フランジ201、外側フランジ202、内側安全ビード210および外側安全ビード211、ならびにドロップセンター220は、以下により詳細に説明される、異なるレイアップ構成を有する。
【0071】
リム部分102の各層の実際のレイアップ構成は、図7~12に最良に示される。
図7および図8に示すように、各フープトウ層または「フープ巻回トウ層」230は、リム金型280の内側バケット金型310の周りに巻回された、環状に巻回された細長い繊維トウ232から形成される。その細長い繊維トウ232は、内側バケット金型310の周りに、その幅に沿ってフープ状に巻回されて、各フープトウ層230の所望の厚さおよび輪郭を形成する。結果として生じる層は、細長い繊維トウ232の一連の重なり合う同心フープを含む。
【0072】
図9に最良に示すように、バイアスプライ層240は、シートを形成するためにステッチされた、相互接続された一方向性トウのシート242から形成される。トウは、シートにおいて所望の角度θで配向される。典型的には、単一の連続バイアストウシート242は、複合ホイール100の内側フランジ201から外側フランジ202へとレイアップされて、それぞれのバイアスプライ層240を形成する。各バイアスプライ層240はしたがって、突合せ接合部なしで形成され得る。しかしながら、代替的な実施形態では、バイアスプライは双方のフランジ201、202間で連続していなくてもよく、必要な層を形成するために(おそらく重なり合うモザイクのような形で)設置される、より小さいパッチとしてレイアップされてもよい。パッチは重なり合っていてもよい。
【0073】
図7に示すように、クローズアウトプライ層250がリム部分102の内側で使用されてもよく、それはまず、(リム金型280の)内側バケット金型310に施される。このクローズアウトプライ250は、ファブリックプライのシート、フープトウの層、バイアスプライ層、フープ巻回繊維ガラストウ、またはそれらの組合せを含み得る。リム部分102の繊維レイアップはさらに、繊維レイアップの最後に施されたフープトウ層の上に設けられた少なくとも1つのキャッピング層も含み得る。キャッピング層は、繊維レイアップの外面上に最後の補強層を提供し、好ましくは複合ホイールの隣接セクションの外面と一致する仕上げ層を提供する。クローズアウトプライ層250と同様に、キャッピング層は、ファブリックプライのシート、フープトウの層、バイアスプライ層、フープ巻回繊維ガラストウ、またはそれらの組合せを含み得る。
【0074】
図8および図6Bに示すように、レイアップの外端205はまた、フェース部分104とリム部分102とをともにしっかりと接続するためにリム部分のレイアップに一体化された、フェース部分104の繊維レイアップからの接続シートまたはセクション259(図5(B)に提供された凡例では、フェースファブリックとして表示)を含むであろう。図6Bに示すように、これらは、外側フランジ201からドロップセンター220へのベースレイアップの一部であり得る。
【0075】
図4~6Cを再び参照して、リム部分の輪郭特徴は、リム金型(図示せず)の輪郭構成の組合せから、および、集められたフープ巻回トウから構築されることから形成されるということが見て分かる。図5図6B、および図6Cに示すように、縁フランジ201および202の各々は、フープ巻回トウ230の合計厚さから構築される。この点で、縁フランジ201および202の位置の各々におけるフープトウ層230は、フランジ201、202の輪郭を構築するための追加のフープトウ巻回物を含む。同様に、内側安全ビード210および外側安全ビード211は、フープトウ層230のうちの1つにおけるフープ巻回トウの合計厚さから構築される。
【0076】
図5に示すように、内側フランジ202のレイアップは、リム部分の周方向軸に対して80~100度配向された繊維を有する繊維プライを含む補強層(図5(B)に提供された凡例では、90°のNCFファブリックとして表示)260を含む。図示されたケースでは、補強層260は、リム部分102の周方向軸C-Cに対して90度配向された繊維を有する繊維プライ繊維プライを含む。それらの補強層260は、レイアップにおいて内側フランジ202の垂直または直立セクション293に沿って延在し、リムの主要セクションを通って内側安全ビード210へと延在する。そのような補強層260は、この領域におけるラミネートの亀裂の防止を支援する。
【0077】
ドロップセンター220は、リム金型280の輪郭形状で形成された(および内側バケット金型310を含む)成型形状の組合せから、ならびに、ドロップセンター凹部におけるフープトウ層の選択的なまたは減少した施与を通して形成され、その区域により薄い、または減少した厚さを形成する。ドロップセンター凹部220はしたがって、ドロップセンター凹部220に隣接するセクションよりも少ないフープトウ巻回物を有する。図11および図12に示すように、このより低いフープトウレイアップからのいかなる強度低下も、ドロップセンター凹部260に位置する少なくとも1つの補強層260の施与を通して強化され得る。図示された実施形態では、この補強層260は、リム部分の周方向軸に対して約90度配向された繊維を有する繊維プライ、典型的にはステッチされたトウによって形成されたファブリックを含むが、繊維の整列は、リム部分102の周方向軸C-Cに対して80~100度であってもよいということが理解されるべきである。図6Cに示すように、補強層260はレイアップにおいてドロップセンター220を通り、ドロップセンターの垂直または直立セクション295を通って延在し、外側フランジ201に向かって延在する。
【0078】
最後に、リム部分の輪郭形状の径方向延在セクションまたはフランジ(すなわち、径方向に延在するかまたは中心軸と整列されたセクション)(例えば、図4図5図6B、および図6Cにおけるセクション290、291、292)は、より低い層間張力のために、それに隣接するセクションよりも減少した、または少ないトウで形成されるということに留意すべきである。
【0079】
リム部分102の繊維レイアップまたは繊維アーキテクチャは、多層構造を含む。層の数は、リム部分の設計と複合部材のサイズおよびタイプとに依存して、かなり変わり得る。いくつかの実施形態では、ほんの数層、4~10層、好ましくは4~20層、例えば4、6、8、10、12、14、16、18、または20層が使用される。他の実施形態では、リム部分102の所望の品質および/または特性を得るために、より多い数、例えば20、30、50、100、またはそれを上回る数の層が必要とされる。
【0080】
本発明では、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アクリル、ポリエステル、PAN、PET、PE、PPまたはPBO繊維などの合成繊維、麻、ジュート、セルロース繊維などのバイオ繊維、例えばロックウールなどの鉱物繊維、鋼、アルミニウム、真鍮、銅などの金属繊維、ホウ素繊維、またはこれらの任意の組合せからなる群から選択される繊維を含むもののそれらに限定されない、幅広い様々な繊維が使用されてもよいということが理解されるべきである。好ましい一実施形態では、繊維は炭素繊維を含む。
【0081】
各フープトウ層230およびバイアスプライ層240における繊維密度は、選択された繊維密度の材料から様々な層を形成することによって制御され得る。各層230、240における繊維密度は、50~400g/m、好ましくは180~250g/m、より好ましくは180~220g/m、さらにより好ましくは約200g/mである。
【0082】
図示された複合ホイール100(図1)は、単一体として形成されるよう意図されている。これは、例示的な実施形態では樹脂であるマトリックス材料の、リム部分102、フェース部分104、および接続部110を含むすべての部品への同時注入および/または含浸と、その後の複合ホイール100の各部分の硬化とを伴う。使用される樹脂は好ましくは、エポキシ系である。しかしながら、例えば不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルエステル、エポキシ、熱可塑性物質、類似の化合物、またはそれらの組合せといった、任意の好適な樹脂が使用され得ることが理解されるべきである。樹脂注入および/または樹脂トランスファー成型および/または真空支援樹脂トランスファー成型を含むもののこれらに限定されない様々な樹脂送達システムを使用することができる。
【0083】
したがって、複合ホイール100の形成されたリム部分102はまた、積層ラミネートの繊維を包むマトリックス材料、典型的には、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルエステル、エポキシ、熱可塑性物質、類似の化合物、またはそれらの組合せに基づく樹脂を含む。しかしながら、他のマトリックス材料も利用可能であり得ることが理解されるべきである。
【0084】
図1に示す複合ホイール100を構築する際、複合ホイール100は2つの主要な金型面を含む。第1の金型面はフェース金型300であり、それは、ホイールの回転軸X-Xに対して概ね径方向に配向されている。第2の金型面は内側バケット金型310であり、それは、リム部分102の内側面を形成する(図7および図8)。内側バケット金型310は、ホイールの回転軸X-Xに対して径方向に配向されたフェース部分の背面金型壁を形成する前面を含む。内側バケット金型310は、ホイールの回転軸X-Xに対して実質的に軸方向に整列される。
【0085】
使用中、フェース部分104は、接続部110のセクション、例えば接続セクションまたはタブ260(図8)を用いて、補強を伴ってレイアップされる。
【0086】
リム部分102は、まず、(必要であれば)クローズアウトプライ(図5(B)に提供された凡例では、+/-45°の織られた2×2ファブリックとして表示)250を内側バケット金型310に施すことによって形成される。クローズアウトプライは、+/-45°バイアスをかけた織られたファブリックを含み得る。次に、内側バケット金型310は、図8に示すように、予備形成されたフェース部分レイアップであるフェース金型300と組合わされる。フェース部分104のレイアップに接続された接続セクション259は、クローズアウトプライ250上にレイアップされ、第1のフープトウ層230が、クローズアウトプライ250と接続セクションまたはタブ259の一部との上に施される。次に、バイアスプライ層240が施され、次に、フープトウ層230とバイアスプライ層240との交互層が、上述されるようにリム部分102およびその輪郭特徴を構築する。有利には、レイアップ中、フープトウ230は、バイアスプライ240をツール類に対して正しい位置に保持する。このプロセスは、トウ/プライの始点を設定するための、または、レイアップマンドレル上でバイアスプライの新しい層を導いてプライクランプを設定するなどのための何らかのオペレータ入力を用いて、合理的に自動化されるであろうということが意図される。レイアップ中、バイアスプライ240の層がリム金型280上に供給され、トウの層がその上にフープ巻回されてバイアスプライをレイアップに封入し、フープトウ層230を形成する。(逆バイアスの、すなわち、周方向軸C-Cに対して繊維角度θの)バイアスプライ240の第2の層が、トウ230の前の層を覆うようにレイアップ上に供給される。次に、そのバイアスプライ層240は、その上に巻回されるトウフープの層で覆われて、バイアスプライ230をレイアップに封入し、フープトウ層230を形成する。これは、必要なラミネート厚さが達成されるまで繰り返される。
【0087】
結果として生じるリムレイアップは、フェースレイアップ、フェース金型300、およびバケット金型301の周りに配置されたフープトウ(フープトウ層230)とバイアスプライ240との組合せから形成された積層ラミネートである。この積層ラミネートは樹脂注入ステーション(図示せず)へ提示され、そこでは、真空源と樹脂注入ヘッドとがツールアセンブリに接続され、樹脂が圧力下で、レイアップを含む空洞へ注入および/または含浸される。樹脂は、積層ラミネートの繊維に浸透し硬化して、ラミネートされたホイールを形成する。離型後、未完成の成型されたホイールは、仕上げ手順(さらなる穿孔、表面処理、コーティングなど)を受けることができる。
【0088】
当業者は、ここに記載された本発明が、具体的に記載されたもの以外の変形および修正の対象であることを理解するであろう。本発明は、本発明の精神および範囲内にあるそのようなすべての変形および修正を含むということが理解される。
【0089】
「備える」または「含む」という用語が本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用される場合、それらは、述べられた特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を特定するものと解釈されるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそれらの群の存在を排除するものではない。
図1
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図6A
図6B
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