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特許7182615フラッシュメモリセル内のデータを読み出すための改善された感知増幅器回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】フラッシュメモリセル内のデータを読み出すための改善された感知増幅器回路
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/26 20060101AFI20221125BHJP
   G11C 16/28 20060101ALI20221125BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20221125BHJP
   G11C 7/06 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G11C16/26
G11C16/28
G11C16/04 130
G11C7/06 120
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020511198
(86)(22)【出願日】2018-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 US2018041332
(87)【国際公開番号】W WO2019040194
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】15/687,092
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】トラン、ヒュー バン
(72)【発明者】
【氏名】リ、アン
(72)【発明者】
【氏名】ブー、サン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、スタンレー
【審査官】堀田 和義
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-321190(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0296506(US,A1)
【文献】特表2017-511949(JP,A)
【文献】特開2014-56634(JP,A)
【文献】特開2001-101884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/26
G11C 16/28
G11C 16/04
G11C 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュメモリシステムであって、該フラッシュメモリシステムは、
行及び列に配列されたフラッシュメモリセルを備える第1のアレイと、
行及び列に配列されたフラッシュメモリセルを備える第2のアレイと、
第1のノードで前記第1のアレイに結合され、第2のノードで前記第2のアレイに結合された感知増幅器回路と、を備え、前記感知増幅器回路は、
前記第1のアレイ内の選択メモリセルに結合された第1の回路ブロックと、
前記第2のアレイ内の基準メモリセルに結合された第2の回路ブロックと、
読み出し要求に応答して、前記第1のノードからの電流を前記第2のノードからの電流と比較し、前記選択メモリセルに記憶された値を示す出力を生成するための第3の回路ブロックと、
前記読み出し要求に応答して、前記第1のノードの電圧をブーストするために前記第1のノードに結合された第1のブースト回路であって前記第1のブースト回路は、第1の端子、第2の端子、及びゲートを備えるNMOSトランジスタであって、前記NMOSトランジスタの前記第1の端子は電圧源に結合され、前記NMOSトランジスタの前記第2の端子は前記第1のノードに結合されている、NMOSトランジスタと、第1の端子及び第2の端子を備えるコンデンサであって、前記コンデンサの前記第1の端子は制御信号を受信し、前記コンデンサの前記第2の端子は前記NMOSトランジスタの前記ゲートに結合されている、コンデンサと、を備える、第1のブースト回路と、
前記読み出し要求に応答して、前記第2のノードの電圧をブーストするために前記第2のノードに結合された第2のブースト回路であって前記第2のブースト回路は、第1の端子、第2の端子、及びゲートを備えるNMOSトランジスタであって、前記NMOSトランジスタの前記第1の端子は電圧源に結合され、前記NMOSトランジスタの前記第2の端子は前記第2のノードに結合されている、NMOSトランジスタと、第1の端子及び第2の端子を備えるコンデンサであって、前記コンデンサの前記第1の端子は制御信号を受信し、前記コンデンサの前記第2の端子は前記NMOSトランジスタの前記ゲートに結合されている、コンデンサと、を備える、第2のブースト回路と、
を備える、フラッシュメモリシステム。
【請求項2】
前記第2のアレイはダミーアレイである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2のアレイはユーザデータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のブースト回路は、第1のコンデンサを介して前記第1のノードに結合され、前記第2のブースト回路は、第2のコンデンサを介して前記第2のノードに結合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記フラッシュメモリセルのそれぞれは、スプリットゲート型ソース側注入フラッシュメモリセルである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記フラッシュメモリセルのそれぞれは、先端消去部を有するソース側注入フラッシュメモリセルである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
フラッシュメモリセルの第1のアレイと、フラッシュメモリセルの第2のアレイと、感知増幅器回路と、を備えるフラッシュメモリシステム内の選択メモリセルに記憶された値を決定する方法であって、前記方法は、
第1のブースト回路を用いて前記感知増幅器回路内の第1のノードで電圧をブーストするステップであって、前記第1のブースト回路は、第1の端子、第2の端子、及びゲートを備えるNMOSトランジスタを含み、前記NMOSトランジスタの前記第1の端子は電圧源に結合され、前記NMOSトランジスタの前記第2の端子は前記第1のノードに結合されている、NMOSトランジスタと、第1の端子及び第2の端子を備えるコンデンサであって、前記コンデンサの前記第1の端子は制御信号を受信し、前記コンデンサの前記第2の端子は前記NMOSトランジスタの前記ゲートに結合されている、コンデンサと、を備える、ステップと、
第2のブースト回路を用いて前記感知増幅器回路内の第2のノードで電圧をブーストするステップであって、前記第2のブースト回路は、第1の端子、第2の端子、及びゲートを備えるNMOSトランジスタを含み、前記NMOSトランジスタの前記第1の端子は電圧源に結合され、前記NMOSトランジスタの前記第2の端子は前記第2のノードに結合されている、NMOSトランジスタと、第1の端子及び第2の端子を備えるコンデンサであって、前記コンデンサの前記第1の端子は制御信号を受信し、前記コンデンサの前記第2の端子は前記NMOSトランジスタの前記ゲートに結合されている、コンデンサと、を備える、ステップと、
前記選択メモリセルを前記感知増幅器回路に接続するステップと、
基準メモリセルを前記感知増幅器回路に接続するステップと、
前記第1のノードにおける電流と前記第2のノードにおける電流とを比較し、前記選択メモリセルに記憶された値を示す出力を生成するステップと、を含む、方法。
【請求項8】
前記選択メモリセルは、スプリットゲート型ソース側注入フラッシュメモリセルである、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記選択メモリセルは、先端消去部を有するソース側注入フラッシュメモリセルである、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2017年8月25日に出願された米国特許出願第15/687,092号の利益を主張する。
(発明の分野)
フラッシュメモリセル内のデータを読み出すための改善された感知増幅器回路の多数の実施形態が開示される。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリセルは、当該技術分野において周知である。5つの端子を含む、先行技術の不揮発性スプリットゲート型メモリセル10の1つを図1に示す。メモリセル10は、P型などの第1の導電型の半導体基板12を備える。基板12は、その上にN型などの第2の導電型の第1の領域14(ソース線SLとしても知られる)が形成されている表面を有する。N型の第2の領域16(ドレイン線としても知られる)もまた、基板12の表面に形成される。第1の領域14と第2の領域16との間は、チャネル領域18である。ビット線BL20は、第2の領域16に接続されている。ワード線WL22は、チャネル領域18の第1の部分の上方に位置付けられ、そこから絶縁される。ワード線22は、第2の領域16とほとんど又は全く重ならない。浮遊ゲートFG24は、チャネル領域18の別の部分の上方にある。浮遊ゲート24は、そこから絶縁され、ワード線22に隣接する。浮遊ゲート24はまた、第1の領域14にも隣接する。浮遊ゲート24は、第1の領域14に重なり、第1の領域14から浮遊ゲート24への結合を提供することができる。結合ゲートCG(制御ゲートとしても知られる)26は、浮遊ゲート24の上方にあり、そこから絶縁される。消去ゲートEG28は、第1の領域14の上方にあり、浮遊ゲート24及び結合ゲート26に隣接し、そこから絶縁される。浮遊ゲート24の上隅部は、消去効率を高めるために、T字形状の消去ゲート28の入隅部の方を向いていてもよい。消去ゲート28はまた、第1の領域14からも絶縁される。メモリセル10は、米国特許第7,868,375号においてより具体的に説明されており、この開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
先行技術の不揮発性メモリセル10の消去及びプログラミングのための1つの例示的な動作は、次のとおりである。メモリセル10は、消去ゲート28に高電圧を印加し、他の端子が0ボルトに等しくなることによって、ファウラーノルトハイムトンネリングメカニズムによって消去される。電子が浮遊ゲート24から消去ゲート28にトンネリングすることにより、浮遊ゲート24が陽電荷を帯び、読み出し状態のセル10がオンになる。その結果生じるセルの消去状態は、「1」状態として知られる。
【0004】
メモリセル10は、結合ゲート26に高電圧を印加し、ソース線14に高電圧を印加し、消去ゲート28に中電圧を印加し、ビット線20にプログラミング電流を印加することにより、ソース側ホットエレクトロンプログラミングメカニズムによってプログラミングされる。ワード線22と浮遊ゲート24との間の隙間を横切って流れる電子の一部は、浮遊ゲート24の中へ注入するための十分なエネルギーを得ることにより、浮遊ゲート24が陰電荷を帯び、読み出し状態のセル10をオフにする。その結果生じるセルのプログラミングされた状態は、「0」状態として知られる。
【0005】
メモリセル10は、電流感知モードにおいて以下のように読み出される。バイアス電圧をビット線20に印加し、バイアス電圧をワード線22に印加し、バイアス電圧を結合ゲート26に印加し、バイアス又はゼロ電圧を消去ゲート28に印加し、接地をソース線14に印加する。消去状態では、ビット線20からソース線14に流れるセル電流が存在し、プログラミング状態では、ビット線20からソース線14へのわずかな又はゼロのセル電流のフローが存在する。代替的に、メモリセル10を逆電流感知モードで読み出すことができ、このモードでは、ビット線20を接地して、バイアス電圧をソース線24に印加する。このモードでは、電流は、ソース線14からビット線20へと逆方向に進む。
【0006】
メモリセル10は、代替的に、以下のようにして電圧感知モードで読み出すことができる。バイアス電流(接地への)をビット線20に印加し、バイアス電圧をワード線22に印加し、バイアス電圧を結合ゲート26に印加し、バイアス電圧を消去ゲート28に印加し、バイアス電圧をソース線14に印加する。消去状態では、ビット線20にセル出力電圧(0Vを大幅に超える)が存在し、プログラミング状態では、ビット線20にわずかな又はゼロに近い出力電圧が存在する。代替的に、メモリセル10を逆電圧感知モードで読み出すことができ、このモードでは、ビット線20をバイアス電圧にバイアスして、バイアス電流(接地への)をソース線14に印加する。このモードでは、メモリセル10の出力電圧は、ビット線20の代わりにソース線14にある。
【0007】
先行技術では、正又はゼロ電圧の種々の組み合わせをワード線22、結合ゲート26、及び浮遊ゲート24に印加して、読み出し、プログラミング、及び消去動作を行っていた。
【0008】
読み出し、消去、又はプログラミングコマンドに応答して、論理回路270(図2)は、選択メモリセル10及び非選択メモリセル10の両方の様々な部分に、適時に、かつ妨害が最も少ない手法で、様々な電圧を供給させる。
【0009】
選択及び非選択メモリセル10に対し、印加される電圧及び電流は以下のとおりである。以下に使用されるように、次の略語、つまり、ソース線又は第1の領域14(SL)、ビット線20(BL)、ワード線22(WL)、結合ゲート26(CG)が使用される。
【表1】
【0010】
本出願人による最近の出願である米国特許出願第14/602,262号(2015年1月21日に出願)(参照により組み込まれる)において、本出願人は、読み出し、プログラミング、及び/又は消去動作の間に、負電圧をワード線22及び/又は結合ゲート26に印加することができた発明を開示した。この実施形態では、電圧及び電流は選択及び非選択のメモリセル10に、以下のように印加された。
【表2】
【0011】
米国特許出願第14/602,262号の別の実施形態では、読み出し、消去、及びプログラミング動作の間にメモリセル10が非選択であるときに負電圧をワード線22に印加することができ、消去動作の間に負電圧を結合ゲート26に印加することができ、以下の電圧が印加されるようになっている。
【表3】
【0012】
前述で列記したCGINH信号は、抑止信号であり、選択セルと消去ゲート28を共有する非選択セルの結合ゲート26に印加される。
【0013】
図2は、別の先行技術のフラッシュメモリセル210の一実施形態を示す。先行技術のフラッシュメモリセル10と同様に、フラッシュメモリセル210は、基板12、第1の領域(ソース線)14、第2の領域16、チャネル領域18、ビット線20、ワード線22、浮遊ゲート24及び消去ゲート28を備える。先行技術のフラッシュメモリセル10とは異なり、フラッシュメモリセル210は、結合ゲート又は制御ゲートを含まず、4つの端子、すなわち、ビット線20、ワード線22、消去ゲート28及びソース線14のみを含む。これは、フラッシュメモリセルのアレイを動作させるために必要とされる、デコーダ回路などの回路の複雑性を大幅に低減する。
【0014】
消去動作(消去ゲートを通した消去)及び読み出し動作は、制御ゲートバイアスがないことを除いて、図1のものと同様である。プログラミング動作もまた、制御ゲートバイアスなしで行われるため、ソース線のプログラミング電圧は、制御ゲートバイアスの不足を補償するためにより高い。
【0015】
表4は、読み出し、消去及びプログラミング動作を実行するために4つの端子に印加され得る典型的な電圧範囲を示す。
【表4】
【0016】
図3は、別の先行技術のフラッシュメモリセル310の実施形態を示す。先行技術のフラッシュメモリセル10と同様に、フラッシュメモリセル310は、基板12、第1の領域(ソース線)14、第2の領域16、チャネル領域18、ビット線20、浮遊ゲート24及び消去ゲート28を備える。先行技術のフラッシュメモリセル10とは異なり、フラッシュメモリセル310は、結合ゲート又は制御ゲート又は消去ゲートを含まない。加えて、ワード線322は、ワード線22に置き換わり、図示されるように、ワード線22とは異なる物理的形状を有する。
【0017】
先行技術の不揮発性メモリセル310の消去及びプログラミングのための1つの例示的な動作は、次のとおりである。セル310は、ワード線322に高電圧を印加し、ビット線及びソース線に0ボルトを印加することにより、ファウラーノルドハイムトンネリングメカニズムによって消去される。電子が浮遊ゲート24からワード線322にトンネリングすることにより、浮遊ゲート24が陽電荷を帯び、読み出し状態のセル310がオンになる。その結果生じるセルの消去状態は、「1」状態として知られる。セル310は、ソース線14に高電圧を印加し、ワード線322に小電圧を印加し、ビット線320にプログラミング電流を印加することにより、ソース側ホットエレクトロンプログラミングメカニズムによってプログラミングされる。ワード線322と浮遊ゲート24との間の隙間を横切って流れる電子の一部は、浮遊ゲート24の中へ注入するための十分なエネルギーを得ることにより、浮遊ゲート24が陰電荷を帯び、読み出し状態のセル310をオフにする。その結果生じるセルのプログラミングされた状態は、「0」状態として知られる。
【0018】
メモリセル310内での読み出し、プログラミング、消去及びスタンバイ操作に使用可能な例示的な電圧を下の表5に示す。
【表5】
【0019】
感知増幅器回路のための多数の設計も、先行技術において既知である。先行技術の設計の多くは、データ読み出しブロック及び基準ブロックからの電圧又は電流を比較するコンパレータを伴い、データ読み出しブロックは、読み出される選択メモリセルを含み、基準ブロックは、基準電圧又は電流を生成するためのメカニズムを含む。先行技術では、感知増幅器回路の一部分又は全てに、少なくとも3.0ボルトの動作電圧が典型的に必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
必要とされるのは、先行技術と比較して低い動作電圧を利用し、それによってメモリシステムの全体的な電力消費を低減する、改善された感知増幅器回路である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
フラッシュメモリセル内のデータを読み出すための改善された感知増幅器回路の多数の実施形態が開示される。実施形態はそれぞれ、データブロックからの電流又は電圧測定値を基準ブロックと比較して、データブロック内の選択メモリセルに記憶された値を決定する。1つ以上のローカライズされたブースト回路の使用により、実施形態は、先行技術の感知増幅器回路より低い動作電圧の利用が可能になり、電力消費の低減をもたらす。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明を適用可能な先行技術の不揮発性メモリセルの断面図である。
図2】本発明を適用可能な別の先行技術の不揮発性メモリセルの断面図である。
図3】本発明を適用可能な別の先行技術の不揮発性メモリセルの断面図である。
図4】本明細書に記載される実施形態を使用可能な、図1図3に示されるタイプの不揮発性メモリセルを備えるダイのレイアウト図である。
図5図4のダイに実装可能なフラッシュメモリシステムを示す。
図6図4のダイに実装可能な別のフラッシュメモリシステムを示す。
図7】感知増幅器回路を示す。
図8図7の感知増幅器回路の特定の特性の様々な波形を示す。
図9】感知増幅器回路の別の実施形態を示す。
図10図9の感知増幅器回路の特定の特性の様々な波形を示す。
図11】感知増幅器回路の別の実施形態を示す。
図12】感知増幅器回路の別の実施形態を示す。
図13】感知増幅器回路の別の実施形態を示す。
図14】感知増幅器回路の別の実施形態を示す。
図15図14の感知増幅器回路の特定の特性の様々な波形を示す。
図16】感知増幅器回路の別の実施形態を示す。
図17】別のフラッシュメモリシステムの実施形態を示す。
図18】先行技術の電圧源を示す。
図19】電圧源の実施形態を示す。
図20】電圧ブースト回路の実施形態を示す。
図21】電圧ブースト回路の別の実施形態を示す。
図22】感知増幅器回路の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図4は、本明細書に記載される本発明の実施形態と共に使用され得るフラッシュメモリシステムの実施形態を示す。ダイ400は、データを記憶するためのメモリアレイ401、402、403、及び404であって、それぞれのメモリアレイは、図1のようなメモリセル10、図2のようなメモリセル210、図3のようなメモリセル310、又は他の既知のタイプのメモリセルを任意選択的に利用する、メモリアレイと、メモリアレイ401、402、403、及び404内の行にそれぞれアクセスして読み出し又は書き込みを行うために使用される、行デコーダ回路405、406、407、及び408と、メモリアレイ401、402、403、及び404内の列にそれぞれアクセスして読み出し又は書き込みを行うために使用される、列デコーダ回路409、410、411、及び412と、メモリアレイ401及び403からデータを読み出すために使用される感知回路413、並びにメモリアレイ402及び404からデータを読み出すために使用される感知回路414と、アナログ回路450と、冗長性及び組み込み自己試験などの様々な制御機能を提供するための制御論理回路451と、正及び負電圧をシステムに提供するために使用される高電圧回路452と、メモリアレイ401、402、403、及び404の消去及びプログラミング動作のために増加した電圧を提供するチャージポンプ回路453と、チップ含有ダイ400内の他のノードに接続するためのインターフェイスピン454と、必要に応じて読み出し、消去、及びプログラミング動作中に使用する高電圧デコーダ回路418、419、420、及び421と、を含む。ダイ400は、アドレス障害検出ブロック422、423、424、及び425と、アレイ障害検出感知回路426、427、428、及び429とを更に備える。
【0045】
図5は、フラッシュメモリシステム500(ダイ400に実装され得る)を示す。フラッシュメモリシステム500は、アレイ501及び502(図4のアレイ401及び403に対応)、行デコーダ503及び504(行デコーダ405及び407に対応)、列デコーダ505及び506(列デコーダ409及び411に対応)、並びに感知回路510(感知回路413に対応)を備える。フラッシュメモリシステム500は、基準アレイ509及び感知回路電流基準508を更に備える。
【0046】
アレイ501内のフラッシュメモリセルのそれぞれの列は、アレイ501内の全ての列に1つのビット線が存在するように、ビット線に結合される。同様に、アレイ502内のフラッシュメモリセルのそれぞれの列は、アレイ502内の全ての列に1つのビット線が存在するように、ビット線に結合される。列デコーダ505及び506は、選択アドレスの読み出し動作中に、選択ビット線を感知回路510に接続する。感知回路510は、複数の感知増幅器回路507a、507b、...507nを備える。ここで、nは、同時に読み出すことができるビット線の数であり、フラッシュメモリシステム500のIO幅と称される(典型的には、nは32又は64である)。これらの感知増幅器回路は、感知増幅器回路507と総称される。
【0047】
この実施形態では、基準アレイ509は、アレイ501及び502のフラッシュメモリセルと構造が同一であるが、ユーザデータを記憶するために実際には使用されないダミーフラッシュメモリセルのアレイである。基準アレイ509は、アレイ501及び502の両方を感知するための読み出し基準バイアスを生成する役割を果たす。代替的な実施形態では、基準アレイ509は、フラッシュメモリセルを有さない標準的な基準トランジスタを備える。これらの標準的な基準トランジスタは、感知回路510の異なるトリップ点(すなわち、「1」を「0」と区別する電流又は電圧レベル)を提供するため、サイズ及び/又はバイアスが異なる。別の代替的な実施形態では、基準アレイ509は、フラッシュメモリセルを有さない標準的な基準抵抗器を備える。これらの標準的な基準抵抗器は、感知回路510の異なるトリップ点を提供するため、サイズが異なる。
【0048】
感知回路電流基準508は、ダミーフラッシュメモリセルのうちの1つ以上に結合され、電流を生成する。この電流は、電流ミラー技術を使用して、感知増幅器回路507のそれぞれにおいてミラーリングされる。ミラーリングされた基準電流は、次いで(them)、アレイ501又は502からの選択メモリセルと比較されて、選択メモリセルに記憶されたデータの値を示す出力を生成する。
【0049】
図6は、別のフラッシュメモリシステム600(ダイ400に実装され得る)を示す。フラッシュメモリシステム500と同様に、フラッシュメモリシステム600は、アレイ501及び502、行デコーダ503及び504、並びに列デコーダ505及び506を備える。フラッシュメモリシステム600は、基準アレイ601及び602、並びに感知回路603を更に備える。
【0050】
アレイ501内のフラッシュメモリセルのそれぞれの列は、アレイ501内の全ての列に1つのビット線が存在するように、ビット線に結合される。同様に、アレイ502内のフラッシュメモリセルのそれぞれの列は、アレイ502内の全ての列に1つのビット線が存在するように、ビット線に結合される。列デコーダ505及び506は、選択アドレスの読み出し動作中に、選択ビット線を感知回路603に接続する。感知回路603は、複数の感知増幅器回路604a、604b、604n含む。ここで、nは、同時に読み出すことができるビット線の数であり、フラッシュメモリシステム600のIO幅と称される(典型的には、nは32又は64である)。これらの感知増幅器回路は、感知増幅器回路604と総称される。
【0051】
この実施形態では、基準アレイ601及び602は両方とも、アレイ501及び502のフラッシュメモリセルと構造が同一であるが、ユーザデータを記憶するために実際には使用されないダミーフラッシュメモリセルのアレイである。選択メモリセルがアレイ501内にあるとき、それぞれの感知増幅器回路604は、基準アレイ602内のメモリセルに接続され、そのメモリセルは基準メモリセルとして作用することになる。選択メモリセルがアレイ502内にあるとき、それぞれの感知増幅器回路604は、基準アレイ601内のメモリセルに接続され、そのメモリセルは基準メモリセルとして作用することになる。したがって、フラッシュメモリシステム500とは異なり、フラッシュメモリシステム600は、感知回路電流基準508も電流ミラーの使用も必要としない。別の代替的な実施形態では、基準アレイ601及び602は、フラッシュメモリセルを有さない標準的な基準トランジスタを備える。これらの標準的な基準トランジスタは、感知回路603の異なるトリップ点を提供するため、サイズ及び/又はバイアスが異なる。別の代替的な実施形態では、基準アレイ601及び602は、フラッシュメモリセルを有さない標準的な基準抵抗器を備える。これらの標準的な基準抵抗器は、感知回路603の異なるトリップ点を提供するため、サイズが異なる。
【0052】
図7は、感知増幅器回路700を示す。感知増幅器回路700は、メモリデータ読み出しブロック701と、メモリ基準読み出しブロック702と、差動増幅器ブロック703とを備える。
【0053】
メモリデータ読み出しブロック701は、感知負荷PMOSトランジスタ704と、感知ノード722にバイアス電圧VBLRD_BIASを印加するためのスイッチ705と、選択メモリセル707に結合された有効化感知NMOSトランジスタ706とを含む。感知負荷PMOSトランジスタ704は、メモリセル707からのセル電流と比較される読み出し基準電流を提供する。感知ノード722は、感知負荷PMOSトランジスタ704からの読み出し基準電流がメモリセル電流よりも大きい場合に(VDDIO 719に向かって)高くなり、メモリセル電流が読み出し基準電流よりも大きい場合に(接地に向かって)低くなる。感知負荷PMOSトランジスタ704からの基準電流は、任意選択的に、(図18のように)基準メモリセルからの電流をミラーリングする電流ミラー構成を使用して、任意選択的に提供され得る。あるいは、感知負荷PMOSトランジスタ704からの基準電流は、適切なサイズ又はバイアスの基準抵抗器又は基準トランジスタからの電流をミラーリングする電流ミラー構成を使用して提供され得る。
【0054】
メモリ基準読み出しブロック702は、感知負荷PMOSトランジスタ708と、基準ノード720にバイアス電圧VBLRD_BIASを印加するためのスイッチ709と、(非選択基準メモリセルの)非選択ビット線711に結合された有効化感知NMOSトランジスタ701とを備える。非選択ビット線は、感知ノード720に基準電圧VBLRD_BIASを保持する保持コンデンサとして機能する。あるいは、MOMCAP(金属酸化物金属キャップ)などの明示的なコンデンサを保持コンデンサとして使用することができる。あるいは、ノード720の接合容量又はゲート容量などの寄生容量を保持コンデンサとして使用することができる。基準ブロック702は、基準ノード720のダミーブロックとして機能する。基準感知lLad PMOSトランジスタ708は、オフ状態であってもよく、又は、非選択ビット線の接合漏洩及び/又はトランジスタ漏洩からのノード720の漏洩などに対する補償的漏洩電流を提供するために使用されてもよい。VBLRD_BIASのバイアス電圧レベルは、感知ノード722の感知電圧と比較される基準ノード720の基準電圧として機能する。
【0055】
差動増幅器ブロック703は、入力交差結合PMOSトランジスタ713及び715、並びに入力交差結合NMOSトランジスタ714及び716を含み、これらは共にコンパレータ、PMOS有効化トランジスタ712(交差結合PMOSトランジスタ713及び715の過渡バイアステール電流としても作用する)、並びにNMOS有効化トランジスタ717(交差結合NMOSトランジスタ714及び716の過渡バイアステール電流としても作用する)を形成する。比較の際、NMOSトランジスタ717は、最初にNMOSトランジスタ714及び716からの比較をトリガして、ノード720と722との間に電圧デルタを発生させるために有効化され、次いでPMOSトランジスタ712は、全電源をノード720及び722の両方に復元するPMOSトランジスタ713及び720からの比較を開始するために有効化される。あるいは、NMOSトランジスタ717及びPMOSトランジスタ712の両方が、比較をトリガするために同時に有効化され得る。
【0056】
動作中、差動増幅器ブロック703は、メモリデータ読み出しブロック701によって作製された感知ノード722と、メモリ基準読み出しブロック702によって作製された基準ノード720とを比較して、出力720を生成することになる。最初に、ノード722及び720の電圧は、(スイッチ705及び709によって)同じ基準電圧レベルVBLRD_BIASに初期化される。次いで、感知ノード722の電圧が発生する(選択メモリセル電流707が、PMOSトランジスタ704内で伝導される読み出し基準電流よりも小さいか又は大きいかに応じて、高くなるか又は低くなる)。次いで、比較がトリガされて、感知ノード722の電圧が基準ノード720の電圧(トランジスタ717及び712による)と比較される。比較が完了した後、感知ノード722及び基準ノード720の最終電圧は全供給レベルになる。
【0057】
トランジスタ704内で伝導される読み出し基準電流が、メモリセル707から引き込まれたメモリセル電流を超える場合(選択メモリセルに「0」が記憶されていることを示す)、出力720は低くなる。トランジスタ704内の読み出し基準電流が、メモリセル707から引き込まれたメモリセル電流よりも小さい場合(選択メモリセルに「1」が記憶されていることを示す)、出力720は高くなる。
【0058】
メモリデータ読み出しブロック701及びメモリ基準読み出しブロック702は、典型的には約3.0ボルトである電力バス719(VDDIO、すなわちIO電源とも呼ばれる)から電力を引き込む。差動増幅器ブロック703は、電力バス718(VDDSA、典型的にはコア論理電源とも呼ばれる)から、典型的には、28nm以下などのスケーリングされた技術ノードに対して約1.05ボルト以下である電力を引き込む。高性能要件のために高いメモリセル電流を得るために、読み出しビット線電圧は可能な限り高いことが必要であり、これは、ノード722の電圧が1v~1.4vなどの高さであることが必要であることを意味する。つまり、トランジスタ704は、典型的には<=1.05vのコア論理供給よりもはるかに高い電圧供給から作動する必要がある。したがって、回路ブロック701及び702は、コア論理供給よりもはるかに高いIO供給で作動する必要がある。つまり、回路ブロック701及び702は、比較的大きい面積を必要とする3vのIOトランジスタを含むことになる。
【0059】
図8は、感知増幅器回路700の動作のための例示的な波形800を示す。ATDは「アドレス遷移検出」を表し、アドレスが受信されたときにパルスを生成し、ここでは読み出し動作の開始を意味する。ATD期間(イコライズ又はプリチャージ期間としても知られる)中、選択ビット線BLR0/1及び基準ビット線BLREFの電圧は、電圧基準レベルにイコライズされる。BLREFは、メモリ基準読み出しブロック702が差動増幅器ブロック703に接続するノードの電圧である。BLR0は、選択メモリセル707が「0」(すなわち、プログラミング状態)を含む状況における、メモリデータ読み出しブロック701が差動増幅器ブロック703に接続するノードの電圧を示す。BLR1は、選択メモリセル707が「1」(すなわち、消去状態)を含む状況におけるそのようなノードの電圧を示す。DOUTは、出力720の電圧を表し、SALATCHは、出力720をラッチするために使用される信号を表す。したがって、電圧BLR0/1は、メモリセル「0」(プログラミング状態)のイコライズ期間(ATD期間)の後に高くなり、メモリセル「1」(消去状態)の場合に低くなることが見て取れる。DOUT信号は、読み出しメモリセル「0」(BLR0>BLREF)の場合に低くなり、メモリセル「1」(BLR1<BLREF)の場合に高くなる。
【0060】
ここでは、感知増幅器回路700よりも少ない電力を消費する、改善された感知増幅器回路の実施形態を、図9図16を参照しながら説明する。改善された感知増幅器回路のそれぞれの実施形態は、図5及び図6の感知増幅器回路507又は604として使用することができる。
【0061】
改善された感知増幅器回路の実施形態を図9に示す。感知増幅器回路900は、選択メモリセル903に接続されたメモリデータ読み出しブロック901、基準セル904に接続されたメモリ基準読み出しブロック902、及び差動増幅器ブロック903を備える。メモリデータ読み出しブロック901、メモリ基準読み出しブロック902、及び差動増幅器ブロック903は、メモリデータ読み出しブロック701、メモリ基準読み出しブロック702、及び差動増幅器ブロック703について前に説明した同一構成要素の多くを含み、それらの構成要素は、効率化のためここでは再び説明されない。メモリデータ読み出しブロック901は、選択ビット線(選択メモリセル903に接続される)に結合する感知ノード922を提供する。メモリ基準読み出しブロック902は、基準ビット線及び読み出し基準電流(NMOSトランジスタ905)に結合する感知ノード920を提供する。PMOSトランジスタ924及び928は、選択ビット線及び基準ビット線を基準読み出し電圧レベルにプリチャージする役割を果たす。PMOSトランジスタ924及び928はまた、プリチャージ後に適切な漏洩補償レベルでこれらの線をバイアスすることによって、選択ビット線及び基準ビット線の不必要な漏洩を補償するように機能し得る。
【0062】
メモリ基準読み出しブロック902は、読み出し基準電流ソースとして作用し、メモリ基準読み出しブロック902が差動増幅器ブロック903に接続するノードから電流を効果的に迂回させる、NMOSトランジスタ905を備える。
【0063】
差動増幅器ブロック903は、差動増幅器ブロック903をメモリデータ読み出しブロック901から分離するコンデンサ906と、差動増幅器ブロック903をメモリ基準読み出しブロック902から分離するコンデンサ908とを備える。差動増幅器ブロック903は、ブースト回路907及びブースト回路909を更に備え、これらのブースト回路は、差動増幅器ブロック内のコンパレータ915の入力ノード(ノード912及び913、入力交差結合ペアのNMOSトランジスタ934及び936のゲート/ドレインノード)に過渡的な局所電圧ブーストを(プリチャージ後に)提供する(例えば、1.05ボルトから1.3ボルトに電圧をブーストする)。あるいは、差動増幅器ブロック903の全体は、コア論理供給よりも高い別の高電圧レベルにブーストされ得る。
【0064】
動作中、差動増幅器ブロック903は、メモリデータ読み込みブロック901及びメモリ基準読み込みブロック902によって引き込まれた電流を比較して、出力912を生成することになる。メモリデータ読み出しブロック901によって引き込まれた電流が、メモリ基準読み出しブロック902から引き込まれた基準電流を超えると(選択メモリセルに「0」が記憶されていることを意味する)、出力912は低くなる。メモリデータ読み込みブロック901から引き込まれた電流が、メモリ参照読み込みブロック902から引き込まれた電流より小さい場合(選択メモリセルに「1」が記憶されていることを意味する)、出力912は高くなる。
【0065】
メモリデータ読み出しブロック901及びメモリ基準読み出しブロック902は、電力バス911(VDDCOREとも呼ばれる)から、典型的には28nm以下などのスケーリングされた技術に対して約1.05ボルト以下である電力を引き込む。差動増幅器ブロック903は、時としてコア論理供給として知られる電力バス910(VDDSAとも呼ばれる)から、典型的には約1.05ボルトである電力を引き込む。これに対して、図7では、メモリデータ読み出しブロック701及びメモリ基準読み出しブロック702は、3.0ボルトのIO供給電源を必要としたことが想起されるであろう。このように、感知増幅器回路900は、感知増幅器回路700よりも消費電力が少ない。感知増幅器回路900はコア論理供給から作動するため、必要とされるトランジスタはコア論理トランジスタでもあり、それゆえ感知増幅器回路900の面積は感知増幅器回路700の面積よりも小さい。
【0066】
図10は、感知増幅器回路900の動作に関する例示的な波形1000を示す。ATDは「アドレス遷移検出」を表し、アドレスが受信されたときにパルスを生成し、ここでは読み出し動作の開始を意味する。ATD期間(イコライズ又はプリチャージ期間としても知られる)中、選択ビット線BLR0/1及び基準ビット線BLREFの電圧は、電圧基準レベルにイコライズされる。BLREFは、メモリ基準読み出しブロック902が差動増幅器ブロック903に接続するノードの電圧である。BLR0は、選択メモリセル903が「0」を含む状況における、メモリデータ読み出しブロック902が差動増幅器ブロック903に接続するノードの電圧を示す。BLR1は、選択メモリセル902が「1」を含む状況における、そのようなノードの電圧を示す。DOUTは、出力912の電圧を表し、SALATCHは、出力912をラッチするために使用される信号を表す。このように、電圧BLR0/BLR1/BLREFは、別のより高い電圧レベル、例えば0.8vから1.3vに局所的にブーストされることが見て取れる。次いで、局所ブーストの後、電圧BLR0/1は、メモリセル「0」(プログラミング状態)及びメモリセル「1」(消去状態)に対して低くなる。選択ビット線BLR0(読み出しメモリセル「0」)のランプダウン速度は、基準ビット線BLREFの速度よりも遅い。選択ビット線BLR1(読み出しメモリセル「1」)のランプダウン速度は、基準ビット線BLREFの速度よりも速い。DOUT信号は、読み出しメモリセル「0」(BLR0>BLREF)の場合に低くなり、メモリセル「1」(BLR1<BLREF)の場合に高くなる。
【0067】
図8とは対照的に、BLREF、BLR0、及びBLR1が経時的に減少することが図10に見て取れる。これらの信号は、感知動作の開始時(ATDイコライズ期間後)にブースト回路907及び909によって提供される局所的なブースト電圧により、最初に高いところから始まる。この電圧は、電力バス911から得られるより低い動作電圧、並びに選択セル903、基準セル904、及び読み出し基準電流NMOSトランジスタ905によって引き込まれる電流から経時的に低下する。これにより、図8の対応する波形と比較して省電力がもたらされる。
【0068】
改善された感知増幅器回路の別の実施形態を図11に示す。図11は、メモリデータ読み出しブロック1101と、メモリ基準読み出しブロック1102と、出力1104を伴う差動増幅器1103とを備える、感知増幅器回路1100を示す。感知増幅器回路1100は、感知増幅器回路1100がコンデンサ906及び908を含まないことを除いて、感知増幅器回路900と同一である。
【0069】
改善された感知増幅器回路の別の実施形態を図12に示す。図12は、メモリデータ読み出しブロック1201と、メモリ基準読み出しブロック1202と、出力1211を伴う差動増幅器1203とを備える、感知増幅器回路1200を示す。感知増幅器回路1200は、感知増幅器回路900及び1100と同じ構成要素の多くを含み、それらの構成要素は、効率化のために再び説明されない。
【0070】
差動増幅器1203は、開かれたときに局所的な電圧ブーストを提供するスイッチ1205及び1207と、閉じられたときに差動増幅器1203のコンパレータ部分の入力ノードを接地へとプルするスイッチ1204及び1206とを備える。最初に、スイッチ1204及び1206は閉じられて、コンデンサ1216及び1218の第1の(入力)端子を接地へとプルする。同時に、スイッチ1205及び1207は閉じられて、コンデンサ1216及び1218の他の(第2の)端子を初期電圧に初期化する。その後、スイッチ1204/1206/1205/1207が開かれる。次に、PMOSトランジスタ1234及び1238が、コンデンサ1216及び1218の第1の端子を、コア論理供給などの別の電圧レベルにプルアップするために有効化される。コンデンサ1216及び1218の容量結合作用により、第2の端子は、初期電圧からブースト電圧まで上昇することになる。差動増幅器1203は、コンデンサ1208並びにNMOSトランジスタ1209及び1210を更に備え、これらは総じて、さもなければトランジスタ不整合又は他の差異に起因してコンパレータ部分への入力に存在する何らかの電圧オフセットを相殺するのに役立つ。差動増幅器1203は、交差結合インバータペア1223/1224及び1225/1226を更に備え、NMOSトランジスタ1224及び1226は、ソースが分離されているNMOS入力ペアとして作用し、それらのソースをそれぞれバイアス電流有効化NMOSトランジスタ1209及び1210に接続する。入力ペアは、そのソースが互いに分離されているため、それらは初期化期間に自身の自己安定化ゲートソース電圧を保持し、それゆえ入力ペアのゲートソース電圧間にはオフセットが存在しない。この結果、入力ペア間のオフセットは低減される。この方式は、本明細書では、交差ペアソース分離型比較方式と称される。コンデンサ1208は、比較の過渡有効化期間中に、トランジスタ1224及び1226のソースを共にAC短絡させるように作用する。あるいは、コンデンサ1208は除去され得る。
【0071】
改善された感知増幅器回路の別の実施形態を図13に示す。図13は、メモリデータ読み出しブロック1301と、メモリ基準読み出しブロック1302と、出力1304を伴う差動増幅器1303とを備える、感知増幅器回路1300を示す。感知増幅器回路1300は、感知増幅器回路1300がコンデンサ1208並びにNMOSトランジスタ1209及び1210を含まないことを除いて、感知増幅器回路1200と同一である。
【0072】
改善された感知増幅器回路の別の実施形態を図14に示す。図14は、メモリデータ読み出しブロック1401と、メモリ基準読み出しブロック1402と、出力1404を伴う差動増幅器1403とを備える、感知増幅器回路1400を示す。
【0073】
感知増幅器回路1400は、感知増幅器回路900、1100、1200及び1300と同じ構成要素の多くを含み、それらの構成要素は、効率化のために再び説明されない。差動増幅器ブロック1403は、入力ペアPMOSトランジスタ1405及び1406、負荷交差結合インバータ1413/1414及び1415/1416、並びに、局所的な自己タイミング式機構を提供する電流バイアス有効化NMOSトランジスタ1407及び1408を備える。感知ノード1422(回路ブロック1401から)及び基準ノード1420(回路ブロック1402から)は、PMOS対1405及び1406のゲートに結合する。PMOS対1405及び1406は、それらのドレインを交差結合インバータ1413/1414及び1415/1416に結合する。トランジスタ1407及び1408は、交差結合インバータ1413/1414及び1415/1416を感知前の既知の状態に設定するために使用される。PMOSトランジスタ1424及び1428は、感知ノード1422及び基準ノード1420を、PMOSトランジスタ1405/1406のゲートソース電圧50mv未満などの最適なプリチャージ感知レベルにプリチャージするために使用される(ある程度の有効な感知時間展開までそれらをオンにしないため)。回路1400の動作は、以下のとおりである。ATD期間は、感知ノード1422及び基準ノード1420をプリチャージレベルにプリチャージするために使用される。このATD期間中、NMOSトランジスタ1407及び1408は、出力ノード1404及び1407を接地レベルにリセットするために使用される。ATD期間後、感知ノード1422は接地までランプダウンし始め、その速度は、選択メモリセル電流によって異なる。ATD期間後、基準ノード1420も接地までランプダウンし始め、その速度は、読み出し基準電流(及び/又は基準セル電流)によってそれぞれ異なる。どのノードが更に降下して、どのタイミングでPMOSトランジスタ1405又は1406のいずれかをオンにするとしても、電源1450は、交差結合インバータ1413/1414及び1415/1416に結合してそれらをオンにすることになる。感知ノード1422(メモリセル「1」を感知する)が最初にPMOSトランジスタ1405をオンにすると仮定すると、これは次に、PMOSトランジスタ1413をオンにし、PMOSトランジスタ1413は、ノード1407を高電圧に結合して、PMOSトランジスタ1415を自動的にオフにする。実際に、この時点で、出力感知データは、交差結合インバータ1413/1414及び1415/1416内でラッチされる。この時点で、PMOSトランジスタ1406は、その感知経路が切断されるため、比較に更なる影響を与えない。したがって、比較は、ノード1407又は1414において全電源レベルで自動的に完了する。メモリセル「0」を感知する場合、この状況は逆転してノード1404は高供給レベルになり、PMOSトランジスタ1413は切断される。それゆえ、この回路は、自動的な自己タイミング式感知及びラッチ方式で作動する。
【0074】
図15は、感知増幅器回路1400の感知波形1500を示す。図示のように、DOUTレベルは、ATDイコライズ期間後の感知期間中に、全電源レベルで自動的に感知される。図9のトランジスタ937及び932のゲートに入る有効化(クロック又はトリガ)信号など、感知に必要な有効化(クロック又はトリガ)信号は存在しない。
【0075】
改善された感知増幅器回路の別の実施形態を図16に示す。感知増幅器回路1600は、メモリデータ読み出しブロック1601と、メモリ基準読み出しブロック1602と、出力1604を伴う差動増幅器1603とを備える。
【0076】
感知増幅器回路1600は、感知増幅器回路900、1100、1200、1300及び1400と同じ構成要素の多くを含み、それらの構成要素は、効率化のために再び説明されない。差動増幅器ブロック1603は、PMOS有効化トランジスタ1607、1608、1609、及び1610と、入力ペアNMOSトランジスタ1611、1612、及び電流バイアス(有効化)NMOSトランジスタ1613と、ブースト回路1605及び1606とを備える。NMOSトランジスタ1611及び1612は、それらのドレイン、ノード1632及び1603をそれぞれ、交差結合負荷インバータ1633/1634及び1635/1636に結合する。ブースト回路1605及び1606は、入力ペアNMOSトランジスタ1611及び1612のローカルドレインノード1632及び1630(交差結合NMOSペア1634及び1636のローカルソース)をブーストする。あるいは、交差結合負荷インバータ1633/1634及び1635/1636の出力ノードがブーストされ得る。あるいは、回路1603全体がブーストされ得る。感知ノード1622(回路ブロック1601によって提供される)及び基準ノード1620(回路ブロック1602によって提供される)は、入力NMOSトランジスタペア1611及び1612のゲートにそれぞれ結合する。
【0077】
図17は、フラッシュメモリ回路の別の実施形態を示す。フラッシュメモリシステム1700は、フラッシュメモリシステム500及び600と同じ構成要素の多くを備える。フラッシュメモリシステム1700は、速度を犠牲にして改善された精度を有する。この方式は、例えば、メモリアレイのマージンを試験又は検証するために(末尾分布又は不良の弱プログラミング又は弱消去メモリビットなどの問題を回避するため)システムの動作寿命にわたって使用され得る。スイッチ1710x、1712x、1720x、及び1722x(xは、a~n-1の範囲であり得る)を使用して、(BLR0/BLR1/BLREFの)ランプ速度を低減させる目的で、追加のビット線容量を感知回路1702xに結合する。より遅いランプ時間で、より高い比較精度が得られる。例えば、感知回路1702aの場合、ymux(y-マルチプレクサ)505aから接続する選択ビット線、スイッチ1720a及び1712aは閉じられて、ymux506bから接続する非選択ビット線で結合する。ymux506aを介して接続する感知回路1702aの基準側の場合、追加の非選択ビット線が、ymux506aのymuxデコードを介して有効化することにより接続され得る。
【0078】
フラッシュメモリシステム1700における別の感知方法は、以下のとおりである。単一ビットのユーザデータ(すなわち、「0」又は「1」)は、ただ1つのメモリセルの代わりに2つの冗長メモリセル(同じ行の隣接する列内に)に記憶される。読み出し動作中、両方のセルは、スイッチ及びデコードの適切な有効化と共に感知増幅器回路にデータを提供するビット線に接続される。例えば、データ(「1」及び「1」、又は「0」及び「0」のいずれか)は、感知増幅器回路1702a及び1702bに提供され得る。基準データはまた、基準アレイ、電流ミラー、又は他の場所のいずれかから感知増幅器回路1702a及び1702bに提供されることになる。2つの感知増幅器回路の出力は、XNOR’d(1及び1=1、0及び0=1、1及び0=0、0及び1=0)となり、最終結果は、読み取り動作の出力(すなわち、読み取り動作の一部として求められたユーザデータのビット)となる。
【0079】
図18は、図7のPMOSトランジスタ704のゲートを制御するために使用される、電圧IR_VREF_Pを生成するために使用される先行技術の電圧源1800を示す。電圧源1800は、PMOSトランジスタ1801、NMOSトランジスタ1802、及びコンパレータ1803を備える。コンパレータ1803及びNMOSトランジスタは、固定されたVREF電圧をトランジスタ1802のソースに強制するために閉ループを形成する。トランジスタ1802のソースは、図5の基準アレイ509などのメモリアレイ内の基準セルに結合する。それゆえ、固定されたVREF電圧は、基準メモリセルのビット線などの基準要素に重ね合わされる。基準セルからの読み出し基準電流は、次いで、PMOSトランジスタ1801内で感知回路にミラーリングされる。
【0080】
図19は、上記の感知増幅器回路の実施形態で使用するための電圧IR_VREF_P及びIR_VREF_Nを生成するために使用される電圧源1900を示す。電圧源1900は、PMOSトランジスタ1901及び1904、NMOSトランジスタ1902、1904、及び1905、並びにコンパレータ1903を備える。PMOSトランジスタ1901内の読み出し基準電流(例えば、基準メモリセルから)は、PMOSトランジスタ1904にミラーリングされ、ダイオード接続NMOSトランジスタ1905に重ね合わされる。NMOSトランジスタ1905の読み出し基準電流は、次いで、感知回路にミラーリングされる。
【0081】
次に、図9及び図11のブースト回路907及び909、並びに図16のブースト回路1605及び1606として使用され得る回路について、図20及び図21を参照しながら例を挙げる。
【0082】
図20は、ブースト回路2000を示す。ブースト回路2000は、NMOSトランジスタ2001、コンデンサ2002、スイッチ2005、初期電圧源Vinit2006、及び入力信号2003(V-CLKBSTとも呼ばれる)を備える。別の実施形態は、他の回路内の他の場所に実装されるスイッチ2005及びVinit2006を有してもよい。ブースト回路2000は、ブースト電圧VBoost2004を出力する。動作中、最初にスイッチ2005をオンにして、ブースト電圧ノード2007をコア論理供給1.05vなどのVinit電圧2006に初期化する。次いで、スイッチ2005をオフにする。次いで、入力信号2003は、入力パルス2003のVinit電圧+電圧レベルV-CLKBSTに等しい、ブースト電圧ノード2007の電圧を瞬間的に増加させるパルスをコンデンサ2002に提供する。ブースト電圧レベルは、出力ノードVBoost2004における容量に関連してコンデンサ2002のサイズを調整することによって調整され得る。これにより、次いで、NMOSトランジスタ2001はオンになり、ブースト電圧をブースト電圧ノード2007から出力VBoost2004に転送し、ブースト電圧VBoost2004を、Vinit+V-CLKBSTからNMOSトランジスタ2001の閾値電圧を差し引いた値にほぼ等しいレベルまで上昇させる。入力信号2003及びコンデンサ2002のパルスの使用により、ブースト電圧2004は、制限された期間だけ上昇して、電圧の過渡ブーストを提供する。
【0083】
図21は、ブースト回路2100を示す。ブースト回路2100は、スイッチ2101及び2105、コンデンサ2102、Vinit電圧2106、並びに入力信号2103(V-CLKBSTとも呼ばれる)を備える。ブースト回路2100は、ブースト電圧VBoost2104を出力する。動作中、最初にスイッチ2015及び2101をオンにして、ブースト電圧ノード2107及び出力ノードVBoost2104をコア論理供給1.05vなどのVinit電圧2108に初期化する。次いで、スイッチ2105をオフにする。次いで、入力信号2103は、電圧を瞬間的に増加させるパルスをコンデンサ2012に提供し、ブースト電圧2107及び出力ノードVBoost2104を入力パルス2103のVinit電圧+電圧レベルV-CLKBSTにほぼ等しいレベルまで上昇させる。ブースト電圧レベルは、出力ノードVBoost2104における容量に関連してコンデンサ2102のサイズを調整することによって調整され得る。次いで、スイッチ2101をオフにして、ブースト電圧ノード2107から出力ノードVBoost2104を隔離する。上述の感知回路では、ブースト回路は、差動増幅器への両方の入力に印加される。代替実施形態は、図7図16の差動増幅器への入力のうちの1つのみにブースト回路を利用し得る。例えば、図9では、ブースト回路909のみが、基準ノード920をより高い電圧レベルにブーストするために使用され得る。これは図22に示されており、感知増幅器回路2200は、ブースト回路907が除去されていることを除いて、図9の感知増幅器回路900と同一である。これにより、選択メモリセル内の「1」を感知するのに有利である、感知動作のオフセットが生成される。あるいは、選択メモリセル内の「0」を感知するのに有利であるように、片側ブースト差動感知が実装され得る。図7図8及び図10図16の感知増幅器回路に類似の変更を行うことができる。
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