(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】流下液膜式熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28D 3/04 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
F28D3/04
(21)【出願番号】P 2020522287
(86)(22)【出願日】2017-10-20
(86)【国際出願番号】 US2017057680
(87)【国際公開番号】W WO2019078893
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】517273489
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】516389499
【氏名又は名称】ヨーク (ウーシー) エアー・コンディショニング・アンド・リフリジェレーション・カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】シュライバー,ジェブ・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】スー,シウピーン
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,リー
(72)【発明者】
【氏名】ギャラス,ブライアン・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】フォード,スコット・アレン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ,ファーン
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-241044(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0366574(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0241681(US,A1)
【文献】特表2015-515601(JP,A)
【文献】国際公開第2017/160369(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101050899(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 3/00-3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を受け入れるように構成された入口と前記冷媒を出すように構成された出口とを有するシェルと、
前記シェル内に配置された冷媒分流器と、
前記シェル内に配置され、且つ前記冷媒分流器の下方に配置された複数の蒸発管であって、前記複数の蒸発管の各蒸発管が長手方向軸に沿って延びる、複数の蒸発管と、
を備える、暖房、換気、空調、及び冷凍(HVAC&R)システムのための熱交換器であって、
前記冷媒分流器が複数の孔を有する有孔板を備え、前記複数の孔の各孔が前記有孔板の上面から前記有孔板の底面まで
前記有孔板の厚さを通して延び、前記複数の孔が少なくとも1列に配置され
て、
前記冷媒を前記底面から前記複数の蒸発管に直接滴下するように構成され、
前記少なくとも1列の隣接する孔の間の間隔が前記長手方向軸に沿って変化する、前記少なくとも1列の前記隣接する孔のサイズが前記長手方向軸に沿って変化する、又はこれらの組み合わせである、熱交換器。
【請求項2】
前記少なくとも1列の前記隣接する孔の間の前記間隔が、前記有孔板の中央部分から前記有孔板の遠位部分まで前記長手方向軸に沿って減少する、請求項
1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記少なくとも1列の前記隣接する孔の前記サイズが、前記有孔板の中央部分から前記有孔板の遠位部分まで前記長手方向軸に沿って増加する、請求項
1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記複数の孔の各孔が実質的に垂直軸に沿って延び、前記上面の第1の部分が前記上面の第2の部分の上方
に配置される、請求項
1に記載の熱交換器。
【請求項5】
突起が前記有孔板の前記底面から前記複数の孔のうちの1つの孔の出口
開口部にある前記複数の蒸発管に向かって延びる、請求項
1に記載の熱交換器。
【請求項6】
冷媒を受け入れるように構成された入口と前記冷媒を出すように構成された出口とを有するシェルと、
前記シェル内に配置された冷媒分流器と、
前記シェル内に配置され、且つ前記冷媒分流器の下方に配置された複数の蒸発管であって、前記複数の蒸発管の各蒸発管が長手方向軸に沿って延び
、前記冷媒分流器は、前記冷媒を前記複数の蒸発管に滴下するように構成された有孔板を有する、複数の蒸発管と、
前記シェル内に配置され、且つ前記冷媒分流器の上方に配置されたスプレーヘッダであって、前記スプレーヘッダが、前記冷媒を前記冷媒分流器に向けて出すように構成された複数の開口部を有し、前記複数の開口部が、前記長手方向軸に実質的に垂直な横軸に沿って配置され、前記スプレーヘッダが、前記横軸に沿って延び、前記複数の開口部の第1の部分を有する第1のスプレーヘッドと、前記横軸に沿って延び、前記複数の開口部の第2の部分を有する第2のスプレーヘッドとを備え
、前記第1の部分は、前記有孔板に前記冷媒を直接噴射するように構成され、前記第2の部分は、前記有孔板に前記冷媒を直接噴射するように構成された、スプレーヘッダと
を備える、暖房、換気、空調、及び冷凍(HVAC&R)システムのための熱交換器。
【請求項7】
前記第1のスプレーヘッドと前記第2のスプレーヘッドとが前記長手方向軸に沿って互いに分離される、請求項
6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記有孔板
は複数の孔を有し、前記複数の孔の各孔が前記有孔板の上面から前記有孔板の底面まで延びる、請求項
6に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記複数の孔の各孔の中心点が前記複数の蒸発管のそれぞれの蒸発管の中心線と実質的に整列される、請求項
8に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記複数の孔が少なくとも1列に配置され、前記少なくとも1列の隣接する1対の孔の間の間隔が前記長手方向軸に沿って変化する、前記少なくとも1列の前記隣接する孔のサイズが前記長手方向軸に沿って変化する、又はこれらの組み合わせである、請求項
8に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、空調及び冷凍用途において使用され得る流下液膜式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気圧縮システムは、一般に冷媒と呼ばれる作動流体を利用し、作動流体は、蒸気圧縮システムの動作に関連する様々な温度及び圧力にさらされることに応じて、蒸気、液体、及びそれらの組み合わせの間で相を変える。特定の蒸気圧縮システムは、冷媒を蒸発チューブバンドルに分配するように構成された冷媒分流器を有する流下液膜式熱交換器(例えば、蒸発器)を備える。例えば、特定の冷媒分流器は、冷媒が有孔板を通って蒸発管に流れることを可能にする孔を有する有孔板を備える。残念ながら、一般的な有孔板は冷媒を蒸発管に均等に分配することができず、それにより蒸気圧縮システムの効率が低下する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一実施形態では、加熱、換気、空調、及び冷凍(HVAC&R)システムのための熱交換器が、冷媒を受け入れるように構成された入口と冷媒を出すように構成された出口とを有するシェルを備える。熱交換器はまた、シェル内に配置された冷媒分流器と、シェル内に配置され、且つ冷媒分流器の下方に配置された複数の蒸発管とを備える。冷媒分流器は複数の孔を有する有孔板を備え、各孔は有孔板の上面から有孔板の底面まで延び、各孔の中心点はそれぞれの蒸発管の中心線と実質的に整列される。
【0004】
本開示の別の実施形態では、HVAC&Rシステムのための熱交換器が、冷媒を受け入れるように構成された入口と冷媒を出すように構成された出口とを有するシェルを備える。熱交換器はまた、シェル内に配置された冷媒分流器と、シェル内に配置され、且つ冷媒分流器の下方に配置された複数の蒸発管とを備える。冷媒分流器は、実質的に垂直軸に沿ってそれぞれ延びる複数の孔を有する有孔板を備え、各孔は有孔板の上面から有孔板の底面まで延び、上面の第1の部分は上面の第2の部分の上方に垂直軸に沿って配置される。
【0005】
本開示のさらなる実施形態では、HVAC&Rシステムのための熱交換器が、冷媒を受け入れるように構成された入口と冷媒を出すように構成された出口とを有するシェルを備える。熱交換器はまた、シェル内に配置された冷媒分流器と、シェル内に配置され、且つ冷媒分流器の下方に配置された複数の蒸発管とを備える。各蒸発管は長手方向軸に沿って延び、冷媒分流器は複数の孔を有する有孔板を備え、各孔は有孔板の上面から有孔板の底面まで延び、孔は少なくとも1列に配置される。加えて、少なくとも1列の隣接する孔の間の間隔は長手方向軸に沿って変化する、及び/又は少なくとも1列の隣接する孔のサイズは長手方向軸に沿って変化する。
【0006】
本開示の別の実施形態では、HVAC&Rシステムのための熱交換器が、冷媒を受け入れるように構成された入口と冷媒を出すように構成された出口とを有するシェルを備える。熱交換器はまた、シェル内に配置された冷媒分流器と、シェル内に配置され、且つ冷媒分流器の下方に配置された複数の蒸発管とを備える。各蒸発管は長手方向軸に沿って延びる。加えて、熱交換器は、シェル内に配置され、且つ冷媒分流器の上方に配置されたスプレーヘッダを備える。スプレーヘッダは、冷媒を冷媒分流器に向けて出すように構成された複数の開口部を有し、開口部は、長手方向軸に実質的に垂直な横軸に沿って配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一態様による、商業的環境における暖房、換気、空調、及び冷凍(HVAC&R)システムを利用し得る建物の一実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1のHVAC&Rシステムで使用され得る蒸気圧縮システムの一実施形態の斜視図である。
【
図3】
図1のHVAC&Rシステムで使用され得る蒸気圧縮システムの一実施形態の概略図である。
【
図4】蒸気圧縮システムで使用され得る流下液膜式蒸発器の一実施形態の概略図であり、流下液膜式蒸発器は冷媒分流器を備える。
【
図5】
図4の冷媒分流器で使用され得る有孔板の一実施形態の斜視図である。
【
図6】
図4の冷媒分流器で使用され得る有孔板の一実施形態の詳細な断面図である。
【
図7】
図4の冷媒分流器で使用され得る有孔板の一実施形態の上面図である。
【
図8】
図1のHVAC&Rシステムで使用され得る流下液膜式蒸発器の一実施形態の一部の概略図である。
【
図9】
図4の冷媒分流器で使用され得る有孔板の別の実施形態の上面図である。
【
図10】
図4の冷媒分流器で使用され得る有孔板のさらなる実施形態の上面図である。
【
図11】
図1のHVAC&Rシステムで使用され得る流下液膜式蒸発器の一実施形態の一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで図面を参照すると、
図1は、商業的環境における暖房、換気、空調、及び冷凍(HVAC&R)システム10を利用し得る建物12の一実施形態の斜視図である。HVAC&Rシステム10は、建物12を冷却するために使用され得る冷却した液体を供給する蒸気圧縮システム14を備え得る。HVAC&Rシステム10はまた、建物12を加熱する温かい液体を供給するボイラー16と、建物12を通して空気を循環させる空気分配システムとを備え得る。空気分配システムは、空気戻りダクト18、空気供給ダクト20、及び/又は空気調和機22を備えることができる。いくつかの実施形態では、空気調和機22は、導管24によってボイラー16及び蒸気圧縮システム14に接続された熱交換器を備え得る。空気調和機22の熱交換器は、HVAC&Rシステム10の動作モードに応じて、ボイラー16からの加熱された液体又は蒸気圧縮システム14からの冷却された液体のいずれかを受けることができる。HVAC&Rシステム10は、建物12の各フロアに個別の空気調和機を備えて示されているが、他の実施形態では、HVAC&Rシステム10は、フロア間で共有され得る空気調和機22及び/又は他のコンポーネントを備え得る。
【0009】
図2は、
図1のHVAC&Rシステムで使用され得る蒸気圧縮システム14の一実施形態の斜視図であり、
図3は、
図1のHVAC&Rシステムで使用され得る蒸気圧縮システム14の一実施形態の概略図である。
図2及び
図3の蒸気圧縮システム14は、圧縮機32から始まる回路に冷媒を循環させることができる。回路はまた、凝縮器34、膨張弁又は膨張装置36、及び液体チラー又は蒸発器38を備え得る。蒸気圧縮システム14は、アナログ-デジタル(A/D)変換器42、マイクロプロセッサ44、不揮発性メモリ46、及び/又はインターフェースボード48を有する制御システム40をさらに備え得る。
【0010】
蒸気圧縮システム14において冷媒として使用され得る流体のいくつかの例としては、R-410A、R-407、R-134a、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)などのハイドロフルオロカーボン(HFC)系の冷媒、「自然系」冷媒(例えば、アンモニア(NH3)、R-717、二酸化炭素(CO2)、R-744、又は炭化水素系の冷媒)、水蒸気、又は任意の他の適切な冷媒が挙げられる。いくつかの実施形態では、蒸気圧縮システム14は、R-134aなどの中圧冷媒に対して低圧冷媒とも呼ばれる1気圧の圧力で摂氏約19度(華氏66度)の標準沸点を有する冷媒を効率的に利用するように構成され得る。本明細書で使用される場合、「標準沸点」は、1気圧の圧力で測定された沸点温度を指し得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、蒸気圧縮システム14は、可変速ドライブ(VSD)52、電動機50、圧縮機32、凝縮器34、膨張弁若しくは膨張装置36、及び/又は蒸発器38のうちの1つ又は複数を使用し得る。電動機50は、圧縮機32を駆動でき、可変速ドライブ(VSD)52により駆動され得る。VSD 52は、AC電源から特定の固定ライン電圧及び固定ライン周波数を有する交流(AC)電力を受け、可変電圧及び周波数を有する電力を電動機50に提供する。他の実施形態では、電動機50は、AC又は直流(DC)電源から直接電力を供給され得る。電動機50は、スイッチドリラクタンスモータ、誘導電動機、電子整流永久磁石電動機、又は別の適切な電動機など、VSDによって駆動され得る、又はAC若しくはDC電源から直接電力を供給され得る任意のタイプの電動機を備え得る。
【0012】
圧縮機32は、冷媒蒸気を圧縮し、蒸気を放出通路を介して凝縮器34に送達する。いくつかの実施形態では、圧縮機32は遠心圧縮機であり得る。圧縮機32によって凝縮器34に送達される冷媒蒸気は、凝縮器34内の冷却流体(例えば、水又は空気)に熱を伝達し得る。冷媒蒸気は、冷却流体との熱伝達の結果、凝縮器34で凝縮して冷媒液になり得る。凝縮器34からの液体冷媒は、膨張装置36を通って蒸発器38に流れ得る。
図3に示された実施形態では、凝縮器34は、水冷され、且つ冷却塔56に接続されたチューブバンドル54を備え、冷却塔56が冷却流体を凝縮器に供給する。
【0013】
蒸発器38に送達された液体冷媒は別の冷却流体からの熱を吸収することもでき、この別の冷却流体は凝縮器34で使用される冷却流体と同じであってもそうでなくてもよい。蒸発器38内の液体冷媒は、液体冷媒から冷媒蒸気への相変化を経ることもできる。
図3に示された実施形態に示されるように、蒸発器38は、冷却負荷62に接続された供給ライン60S及び戻りライン60Rを有するチューブバンドル58を備え得る。蒸発器38の冷却流体(例えば、水、エチレングリコール、塩化カルシウムブライン、塩化ナトリウムブライン、又は任意の他の適切な流体)は、戻りライン60Rを介して蒸発器38に入り、供給ライン60Sを介して蒸発器38を出る。蒸発器38は、冷媒との熱伝達によりチューブバンドル58内の冷却流体の温度を下げることができる。蒸発器38のチューブバンドル58は、複数のチューブ及び/又は複数のチューブバンドルを備え得る。いずれにせよ、蒸気冷媒は蒸発器38を出て、吸引ラインにより圧縮機32に戻って、サイクルを完了する。
【0014】
図4は、蒸気圧縮システムで使用され得る流下液膜式蒸発器64(例えば、流下液膜式熱交換器)の一実施形態の概略図である。例えば、流下液膜式蒸発器64は、
図2及び
図3の蒸気圧縮システムの膨張装置及び蒸発器の代わりに使用され得る。図示の実施形態では、流下液膜式蒸発器64は、入口68と出口70とを有するシェル66を備える。入口68は(例えば、放出通路を介して)凝縮器の排出ポートに流体接続されるように構成され、出口70は(例えば、吸引ラインを介して)圧縮機の吸引ポートに流体接続されるように構成される。入口68は凝縮器の排出ポートから冷媒を受け取るように構成され、出口70は圧縮機の吸引ポートに冷媒を出すように構成される。図示の実施形態では、シェル66は実質的に円形の断面を有する。しかしながら、代替的な実施形態では、シェルは、中でも楕円形又は多角形などの他の断面形状を有し得ることを理解されたい。
【0015】
図示の実施形態では、流下液膜式蒸発器64は、入口68からシェル66内に配置された冷媒分流器78まで延びる液体冷媒領域74を備える。液体冷媒領域74は冷媒分流器78の上方に垂直軸80に沿って配置され、蒸発管82は冷媒分流器78の下方に垂直軸80に沿って配置される。図示のように、蒸発管82は、シェル66の蒸発器領域84内に配置される。冷媒分流器78は、長手方向軸86及び横軸88に沿って延びる。図示の実施形態では、長手方向軸86は、蒸発管82が延びている方向(例えば、蒸発管の長手方向軸の向き)に対応する。したがって、蒸発管82は長手方向軸86に沿って延びる。
【0016】
蒸気圧縮システムの動作中、凝縮器からの液体冷媒が入口68を通ってシェル66に入る。次いで、液体冷媒は冷媒分流器78を通って流れ、冷媒分流器78は液体冷媒液滴を蒸発管82に分配する。液体冷媒液滴と蒸発管82とが接触することにより、液滴が蒸発し、それにより蒸発管内の冷却液から熱を吸収する。その結果、蒸発管内の冷却液の温度が低下する。気化した冷媒は、蒸発器領域84から出口70に流れ、次いで(例えば、吸引ラインを介して)圧縮機の吸引ポートに流れる。冷媒分流器78はまた、液体冷媒領域74と蒸発器領域84との間に、蒸発器領域における冷媒の効率的な蒸発を促進するのに十分な圧力差をもたらす。
【0017】
図5は、
図4の冷媒分流器で使用され得る有孔板90の一実施形態の斜視図である。図示の実施形態では、有孔板90は複数の孔92を備える。以下で詳細に説明するように、各孔92は、有孔板90の上面から有孔板90の底面まで延び、それにより冷媒が有孔板を通って流れることを可能にする。孔は、有孔板を通る冷媒の流れを制御するための任意の適切なパターンで配置され得る。加えて、孔のサイズ及び/又は孔の数は、液滴形成、及び/又は流下液膜式蒸発器の液体冷媒領域と蒸発器領域との間の圧力差を制御するように特に選択され得る。
【0018】
図6は、
図4の冷媒分流器78で使用され得る有孔板91の一実施形態の詳細な断面図である。図示のように、有孔板91は、液体冷媒領域から蒸発器領域への冷媒の流れを促進する複数の孔92を備える。各孔92は、垂直軸80に沿って有孔板91の上面94から有孔板91の底面96まで延びる。図示の実施形態では、有孔板は、有孔板91の底面96から延びる突起98を備える。図示のように、各突起98は、それぞれの孔92の出口100に配置される。突起98は、孔92を通って流れる冷媒を、その冷媒が液滴を形成するように誘導するように構成され、形成された液滴は、重力の影響下で蒸発器領域内に下方へ落下する。
【0019】
各突起98の高さ102は、目標の液滴サイズが得られるように特に選択され得る。加えて、各突起の輪郭(例えば、形状)が、目標の液滴サイズが得られるように特に構成され得る。例えば、特定の実施形態では、突起は、孔の出口の周囲全体(例えば、円周)の周りに延び得る。しかしながら、代替的な実施形態では、突起は、周囲の一部の周りに延びていてもよい(例えば、約5パーセント~約95パーセント、約10パーセント~約91パーセント、約20パーセント~約80パーセント、約30パーセント~約70パーセント、又は約40パーセント~約60パーセントなど)、及び/又は複数の突起が少なくとも1つの孔の出口に配置されてもよい。特定の実施形態では、各孔の出口に少なくとも1つの突起が配置され得る。しかしながら、代替的な実施形態では、突起が孔の出口の一部に配置され得る。さらに、特定の実施形態では、突起の高さ及び/又は輪郭は互いに実質的に同じであってもよいし、突起の少なくとも一部が異なる高さ及び/又は輪郭を有するのであってもよい。
【0020】
特定の実施形態では、孔及び突起はスタンピングプロセスにより形成され得る。例えば、スタンピングプロセス中に、ダイの突出部が中実な板と係合し、それにより中実な板の材料を変位させて孔を形成するのであってもよい。突出部は、変位した材料が板の底面に突起を形成するように特に構成され得る。例えば、各突出部の形状及び/又は構成は、目標の高さ及び/又は輪郭を有するそれぞれの突起が形成されるように特に選択され得る。特定の実施形態では、突起は、中でも研削及び/又はトリミングなどのポストスタンピングプロセスによってさらに成形され得る。さらなる実施形態では、突起は別個に形成されて有孔板の底面に結合されてもよい(例えば、溶接、接着剤による接着などにより)。突起は本明細書に開示される実施形態のいずれかで使用されてもよいし、突起は省略されてもよいことを理解されたい。
【0021】
図7は、
図4の冷媒分流器78で使用され得る有孔板93の一実施形態の上面図である。図示の実施形態では、孔92は、第1の列104及び第2の列106に配置される。図示のように、第1の列104は、対応する第1の蒸発管108と整列(例えば、実質的に整列)され、第2の列106は、対応する第2の蒸発管108と整列(例えば、実質的に整列)される。加えて、各孔92の中心点112は、それぞれの蒸発管82の中心線114と整列(例えば、実質的に整列)される。図示のように、第1の列104の各孔92の中心点112は、第1の蒸発管108の中心線114と整列(例えば、実質的に整列)され、第2の列106の各孔92の中心点112は、第2の蒸発管110の中心線114と整列(例えば、実質的に整列)される。各孔の中心点がそれぞれの蒸発管の中心線と整列(例えば、実質的に整列)されるため、孔を通る冷媒の流れによって形成された液滴は、管の中心に衝突し得る。その結果、それぞれの管の表面に接触する液体冷媒の量は、管の(例えば、中心からオフセットされた)側面に衝突する液滴と比較して増加し、それにより蒸発プロセスの効率を高めることができる。
【0022】
本明細書で使用される場合、整列及び実質的に整列とは、オフセット許容範囲内で横軸88に沿った整列を指す。例えば、オフセット許容範囲は、約0.1mm~約5mm、約0.2mm~約2mm、又は約0.5mm~約1mmであってよい。さらなる例として、オフセット許容範囲は、それぞれの孔の横方向範囲(例えば、直径)の約0.5パーセント~約5パーセント、約1パーセント~約4パーセント、又は約2パーセント~約3パーセントであってもよい。図示の実施形態では、蒸発管及び孔の列は長手方向軸86に沿って延びている。しかしながら、代替的な実施形態では、蒸発管及び孔の列は、長手方向軸に対して角度が付けられてもよいことを理解されたい。さらに、図示の実施形態では2列の孔が示されているが、有孔板の孔の列は、より多くてもより少なくてもよい(例えば、1列、2列、3列、4列、5列、6列、7列、8列、9列、10列、又はそれ以上)ことを理解されたい。さらに、横軸88に沿って隣接する孔の列の間に1本又は複数本の蒸発管が配置されてもよいことを理解されたい。特定の実施形態では、各孔の列は、蒸発チューブバンドルの最上列のそれぞれの蒸発管(例えば、有孔板に最も近い位置にある蒸発管の列)と整列されてもよい。しかしながら、代替的な実施形態では、1列又は複数列の孔が、蒸発チューブバンドルの下方の列(例えば、第2の列、第3の列など)のそれぞれの蒸発管と整列され得ることを理解されたい。孔/蒸発管の整列は、本明細書に開示される実施形態のいずれかで利用されてもよいし、孔の少なくとも一部は、それぞれの蒸発管と整列されなくてもよいことを理解されたい。
【0023】
図8は、流下液膜式蒸発器64の一実施形態の一部の概略図である。図示の実施形態では、複数の蒸発管82が長手方向軸86に沿って延びている。図示の実施形態では3本の蒸発管82が示されているが、特定の実施形態では、流下液膜式蒸発器がより多く(例えば、かなり多く)の蒸発管を備え得ることを理解されたい。図示のように、蒸発管82は1対の管シート116によって支持され、各管シート116は、垂直軸80及び横軸88に沿って延びる。図示の実施形態は2つのチューブシート116を備えるが、代替的な実施形態では、熱交換器はより多い又はより少ないチューブシートを備え得ることを理解されたい。
【0024】
図示の実施形態では、冷媒分流器78の有孔板95は、蒸発管82の上方に垂直軸80に沿って配置される。有孔板95は、液体冷媒領域74から蒸発器領域84への冷媒の流れを促進するように構成された複数の孔92を備える。図示のように、各孔92は実質的に垂直軸80に沿って延びる。本明細書で使用される場合、実質的に垂直軸に沿うとは、垂直軸80に対して約0度~約45度、約0度~約30度、約0度~約20度、又は約0度~約15度の角度を言う。図示の実施形態では、有孔板95は、有孔板95の上面94にわたって冷媒を実質的に均一に分配させるように湾曲している(例えば、弓状である)。例えば、冷媒は(例えば、冷媒ヘッダを介して)有孔板の中央領域に向かって差し向けられ得、冷媒は重力の影響下で板の遠位端に流れ、それにより冷媒が有孔板にわたって実質的に均一に分配され得る。
【0025】
有孔板95は、上面94にわたる冷媒の流れを制御するように特に構成され得る。例えば、垂直軸80に沿った有孔板95の最小垂直範囲122に対する有孔板95の最大垂直範囲120の高さ118が、冷媒の分配を制御するように特に選択され得る。有孔板95は図示の実施形態では単一の連続した弧を形成するが、代替的な実施形態では、有孔板が他の適切な形状を形成し得ることを理解されたい。例えば、特定の実施形態では、有孔板は、(例えば、有孔板の最大垂直範囲における)有孔板の長手方向の中心と(例えば、有孔板の最小垂直範囲における)有孔板の遠位端との間に実質的に直線のセグメントを形成し得る。加えて、有孔板は、所望の形状/輪郭を得るために、複数の湾曲した、及び/又は直線のセグメントを含み得る。例えば、冷媒が有孔板に沿った複数の長手方向位置に向かって差し向けられる実施形態では、有孔板は、各長手方向位置にピークを含むことができる。
【0026】
図示の有孔板95は、形状/輪郭を形成された上面94及び形状/輪郭を形成された底面96を備えるが、代替的な実施形態では、有孔板の底面は実質的に平坦であり得、冷媒の分配が上面の形状/輪郭によって制御され得ることを理解されたい。さらに、特定の実施形態では、有孔板の形状/輪郭(例えば、有孔板の上面の形状/輪郭)は、熱交換器の長手方向軸及び横軸に沿って延び得る。例えば、有孔板(例えば、有孔板の上面)は、長手方向軸に沿った円弧と横軸に沿った円弧とを形成できる。さらに、長手方向軸に沿った有孔板の形状/輪郭(例えば、有孔板の上面の形状/輪郭)は、横軸に沿った有孔板の形状/輪郭(例えば、有孔板の上面の形状/輪郭)とは異なっていてもよい。例えば、有孔板の形状/輪郭(例えば、有孔板の上面の形状/輪郭)は、一方の軸(例えば、横軸)に沿って実質的に一定であり、他方の軸(例えば、長手方向軸)に沿って弓状であってもよい。形状/輪郭を形成された有孔板(例えば、有孔板の形状/輪郭を形成された上面)は、本明細書に開示される実施形態のいずれかで利用されてもよいし、有孔板(例えば、有孔板の上面)は、実質的に平坦であってもよいことを理解されたい。
【0027】
図9は、
図4の冷媒分流器78で使用され得る有孔板97の別の実施形態の上面図である。図示の実施形態では、孔92は5列に配置され、各列は長手方向軸86に沿って延びている。特定の実施形態では、各孔の中心点がそれぞれの蒸発管の中心線と整列(例えば、実質的に整列)されるように、各列がそれぞれの蒸発管と整列(例えば、実質的に整列)され得る。図示の実施形態では、孔92が5列に配置されているが、代替的な実施形態では、孔がより多い又はより少ない列に配置されてもよいことを理解されたい。
【0028】
図示の実施形態では、各列の隣接する孔92の間の間隔が長手方向軸86に沿って変化している。図示のように、各列の隣接する孔92の間の間隔は、有孔板97の中央部分124から各遠位部分126まで長手方向軸86に沿って減少する。図示の実施形態では、各列は、中央部分124と各遠位部分126との間に7つの孔92を備える。しかしながら、各列は、代替的な実施形態では、より多い又はより少ない孔を備え得ることを理解されたい。図示のように、第1の孔130と第2の孔132との間の長手方向軸86に沿った第1の間隔128は、第2の孔132と第3の孔136との間の長手方向軸86に沿った第2の間隔134より大きい。加えて、第2の間隔134は、第3の孔136と第4の孔140との間の長手方向軸86に沿った第3の間隔138より大きい。さらに、第3の間隔138は、第4の孔140と第5の孔144との間の長手方向軸86に沿った第4の間隔142より大きい。第4の間隔142は、第5の孔144と第6の孔148との間の長手方向軸86に沿った第5の間隔146より大きい。加えて、第5の間隔146は、第6の孔148と第7の孔152との間の長手方向軸86に沿った第6の間隔150より大きい。中央部分と各遠位部分との間の間隔を長手方向軸に沿って減少させることにより、有孔板の上面にわたって冷媒を実質的に均一に分配させることができる。例えば、冷媒は(例えば、冷媒ヘッダを介して)有孔板の中央部分に向かって差し向けられ、冷媒は有孔板の遠位部分に流れ得る。冷媒が中央部分から遠位部分に流れると、冷媒の一部が中央部分に近接する孔を通って流れ、それにより遠位部分に到達する冷媒の量が減少し得る。したがって、中央部分に近い孔の間隔が広いほど、長手方向軸に沿って等間隔に孔が開いている有孔板と比較して、より多くの冷媒が遠位部分に向かって流れる。その結果、冷媒は有孔板にわたって実質的に均等に分配され得る。
【0029】
図示の実施形態では、有孔板97の横中心線156の第1の側154の間隔パターンは、横中心線156の第2の側158の間隔パターンと対称である。しかしながら、横中心線の両側の間隔パターンは、代替的な実施形態では非対称であってもよいことを理解されたい。さらに、図示の実施形態では列の間隔パターンは実質的に互いに同じであるが、代替的な実施形態では、少なくとも1列が異なる間隔パターンを有し得ることを理解されたい。加えて、図示の実施形態では、中央部分と各遠位部分との間で長手方向軸に沿って、隣接する1対の孔のそれぞれの間で孔の間隔が減少するが、代替的な実施形態では、異なる間隔パターンを利用して、有孔板にわたる冷媒の流れを(例えば、冷媒が有孔板に向かって差し向けられる長手方向の場所に基づいて)制御できることを理解されたい。例えば、特定の実施形態では、ある列の隣接する特定の1対の孔の間の孔の間隔が実質的に互いに等しくなり得る、及び/又はある列の隣接する特定の1対の孔の間の孔の間隔が中央部分と少なくとも1つの遠位部分との間で長手方向軸に沿って増加し得る。孔の間隔を変えることは本明細書に開示される有孔板の実施形態のいずれかで利用されてもよいし、有孔板内の孔の少なくとも一部が長手方向軸に沿って実質的に等しい間隔を有してもよいことを理解されたい。
【0030】
図10は、
図4の冷媒分流器78で使用され得る有孔板99のさらなる実施形態の上面図である。図示の実施形態では、孔92は5列に配置され、各列は長手方向軸86に沿って延びている。特定の実施形態では、各孔の中心点がそれぞれの蒸発管の中心線と整列(例えば、実質的に整列)されるように、各列がそれぞれの蒸発管と整列(例えば、実質的に整列)され得る。図示の実施形態では、孔92が5列に配置されているが、代替的な実施形態では、孔がより多い又はより少ない列に配置されてもよいことを理解されたい。
【0031】
図示の実施形態では、各列の隣接する孔92のサイズが長手方向軸86に沿って変化している。図示のように、各列の隣接する孔92のサイズは、有孔板99の中央部分124から各遠位部分126まで長手方向軸86に沿って増加する。図示の実施形態では、各列は、中央部分124と各遠位部分126との間に6つの孔92を備える。しかしながら、各列は、代替的な実施形態では、より多い又はより少ない孔を備え得ることを理解されたい。図示のように、第1の孔162の第1のサイズ(例えば、第1の直径160)は、第2の孔166の第2のサイズ(例えば、第2の直径164)より小さい。加えて、第2の孔166の第2のサイズ(例えば、第2の直径164)は、第3の孔170の第3のサイズ(例えば、第3の直径168)より小さい。さらに、第3の孔170の第3のサイズ(例えば、第3の直径168)は、第4の孔174の第4のサイズ(例えば、第4の直径172)より小さい。第4の孔174の第4のサイズ(例えば、第4の直径172)は、第5の孔178の第5のサイズ(例えば、第5の直径176)より小さい。さらに、第5の孔178の第5のサイズ(例えば、第5の直径176)は、第6の孔182の第6のサイズ(例えば、第6の直径180)より小さい。中央部分と各遠位部分との間のサイズを長手方向軸に沿って増加させることにより、有孔板の上面にわたって冷媒を実質的に均一に分配させることができる。例えば、冷媒は(例えば、冷媒ヘッダを介して)有孔板の中央部分に向かって差し向けられ、冷媒は有孔板の遠位部分に流れ得る。冷媒が中央部分から遠位部分に流れると、冷媒の一部が中央部分に近接する孔を通って流れ、それにより遠位部分に到達する冷媒の量が減少し得る。したがって、中央部分に近い孔のサイズが小さいほど、長手方向軸に沿って均等なサイズの孔が開いている有孔板と比較して、より多くの冷媒が遠位部分に向かって流れる。その結果、冷媒は有孔板にわたって実質的に均等に分配され得る。
【0032】
図示の実施形態では、有孔板99の横中心線156の第1の側154の孔のサイズパターンは、横中心線156の第2の側158の孔のサイズパターンと対称である。しかしながら、横中心線の両側の孔のサイズパターンは、代替的な実施形態では非対称であってもよいことを理解されたい。さらに、図示の実施形態では列の孔のサイズパターンは実質的に互いに同じであるが、代替的な実施形態では、少なくとも1列が異なる孔のサイズパターンを有し得ることを理解されたい。加えて、図示の実施形態では、中央部分と各遠位部分との間で長手方向軸に沿って各孔のサイズが増加するが、代替的な実施形態では、異なる孔のサイズパターンを利用して、有孔板にわたる冷媒の流れを(例えば、冷媒が有孔板に向かって差し向けられる長手方向の場所に基づいて)制御できることを理解されたい。例えば、特定の実施形態では、ある列の特定の隣接する孔のサイズが実質的に互いに等しくなり得る、及び/又はある列の特定の隣接する孔の間で孔のサイズが中央部分と少なくとも1つの遠位部分との間で長手方向軸に沿って小さくなり得る。孔のサイズを変えることは本明細書に開示される有孔板の実施形態のいずれかで利用されてもよいし(例えば、孔のサイズを変えることが孔の間隔を変えることと組み合わされてもよい)、有孔板内の孔の少なくとも一部が長手方向軸に沿って実質的に等しいサイズを有してもよいことを理解されたい。
【0033】
図11は、
図1のHVAC&Rシステムで使用され得る流下液膜式蒸発器64の一実施形態の一部の概略図である。図示の実施形態では、流下液膜式蒸発器64は、シェル内の冷媒分流器78の上方に配置されたスプレーヘッダ200を備える。スプレーヘッダ200は、(例えば、シェルの入口から)冷媒を受け取り、冷媒を冷媒分流器78に向かって差し向けるように構成される。図示の実施形態では、スプレーヘッダ200は、冷媒を受け入れるように構成された入口202と、冷媒を冷媒分流器78に向かって出すように構成された2つのスプレーヘッド204と、入口202からスプレーヘッド204に冷媒を差し向けるように構成されたマニホルド206とを備える。図示の実施形態は2つのスプレーヘッドを備えるが、代替的な実施形態では、スプレーヘッダはより多い又はより少ない(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上)スプレーヘッドを備え得ることを理解されたい。
【0034】
図示の実施形態では、スプレーヘッド204は、蒸発管82が延びている方向に対して実質的に垂直な横軸88に沿って延びる。本明細書で使用される場合、実質的に垂直とは、約45度~約135度、約60度~約120度、約75度~約105度、約80度~約100度、又は約90度であるスプレーヘッドと蒸発管との間の角度を言う。各スプレーヘッドは、(例えば、開口部が横軸に沿って配置されるように)スプレーヘッドの横方向の範囲に沿って配置された複数の開口部を備える。各開口部は、冷媒分流器に向かって冷媒を出すように構成される。スプレーヘッダの開口部が横軸に沿って配置されているため、開口部が長手方向軸に沿って配置されているスプレーヘッダを有する熱交換器よりも、冷媒が横軸に沿って均一に分配され得る。さらに、特定の実施形態では、冷媒分流器は、形状/輪郭を形成された有孔板、有孔板内の孔の間隔の変化、有孔板内の孔のサイズの変化、又はそれらの組み合わせなど、冷媒を長手方向軸に沿って実質的に均一に分配するように構成された機構を備え得る。上記のスプレーヘッダは、本明細書に開示される熱交換器の実施形態のいずれかで利用され得ることを理解されたい。
【0035】
本明細書に開示される実施形態を流下液膜式蒸発器に関連して説明しているが、本明細書に開示される特定の実施形態(例えば、有孔板の特定の実施形態)は、ハイブリッド流下液膜式熱交換器(例えば、有孔板の上方に凝縮管が配置された流下液膜式熱交換器)など、他の適切な熱交換器内で使用されてもよいことを理解されたい。さらに、本明細書で開示される冷媒分流器は単一の有孔板を備えるが、代替的な実施形態では、冷媒分流器は複数の有孔板(例えば、本明細書で開示される有孔板に実質的に平行な追加の有孔板)を備え得ることを理解されたい。加えて、本明細書に開示される有孔板は実質的に円形の孔を備えるが、代替的な実施形態では、有孔板の孔は、中でも楕円形又は多角形などの他の適切な形状を有し得ることを理解されたい。
【0036】
特定の特徴及び実施形態のみを図示及び説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された発明の主題の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなしに、多くの修正及び変更(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状及び比率、パラメータの値(例えば、温度、圧力など)、取り付け構成、素材の使用法、色、向きなどの変形形態)を想到し得る。任意のプロセス又は方法ステップの順番又は順序は、代替的な実施形態に従って変更又は再順序付けされ得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨の範囲内にあるものとして、そのようなすべての修正及び変更を包含することが意図されていることを理解されたい。さらに、例示的な実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実施形態のすべての特徴が説明されていない場合がある(つまり、現在企図される本開示の最良の実施形態に関係しないもの、又は特許請求の範囲に記載された本開示を実現するのに関係しないものが説明されていない場合がある)。そのような実際の実施形態の開発において、任意のエンジニアリング又は設計プロジェクトにおけるように、実施形態固有の多数の決定が行われ得ることを理解されたい。そのような開発努力は複雑で時間がかかるだろうが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとっては、過度の実験を伴わない設計、製作、及び製造の日常的な仕事である。