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特許7182633リチウムイオン電気化学セル用の固体電解質
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】リチウムイオン電気化学セル用の固体電解質
(51)【国際特許分類】
   C01B 25/14 20060101AFI20221125BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20221125BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20221125BHJP
   H01M 4/40 20060101ALI20221125BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20221125BHJP
   H01M 4/60 20060101ALI20221125BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20221125BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20221125BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20221125BHJP
   H01B 1/10 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
C01B25/14
H01M10/0562
H01M4/38 Z
H01M4/40
H01M4/58
H01M4/60
H01M10/058
H01M4/62 Z
H01B1/06 A
H01B1/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020537861
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2018075516
(87)【国際公開番号】W WO2019057840
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-07-13
(31)【優先権主張番号】1758782
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】390040707
【氏名又は名称】サフト
【氏名又は名称原語表記】SAFT
(73)【特許権者】
【識別番号】520097515
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ド・パリ-エ・クレテイユ・ヴァル・ド・マルヌ(ユーペーウセー)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE PARIS-EST CRETEIL VAL DE MARNE(UPEC)
(73)【特許権者】
【識別番号】510021203
【氏名又は名称】サントル・ナショナル・ド・ラ・ルシェルシェ・シアンティフィーク(セーエヌエールエス)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE(CNRS)
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディ・クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ロペス-アラングレン・ペドロ
(72)【発明者】
【氏名】ダオ・ハ・アイン
(72)【発明者】
【氏名】ラロシュ・ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ザン・ジュンシェン
(72)【発明者】
【氏名】キュイヴァ・フェルミン
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-134316(JP,A)
【文献】特表2016-534493(JP,A)
【文献】国際公開第2015/030052(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 25/14
H01M 10/05-10/0587
H01M 4/00-4/62
H01M 10/36-10/39
H01B 1/00-1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:Li7-xPS6-xx-z(BH(式中、XはCl、Br、I、F及びCNからなる群から選択され、0<x≦2、かつ、0<z≦0.50である)で表される化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物において、x=1である、化合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物において、XがIまたはClである、化合物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物において、0.1≦z≦0.35である、化合物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物において、0.1≦z≦0.20である、化合物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物において、0.15≦z≦0.20である、化合物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物において、非晶質状態である、化合物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物を製造する方法であって、
a)LiS、P、LiBH及びLiX(式中、XはCl、Br、I、F及びCNからなる群から選択される)を含む混合物を用意する工程と、
b)前記混合物を少なくとも10時間粉砕して、LiBHが化合物Li7-xPS6-xx-z(BHに組み込まれるようにする工程と、
を備える、製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の製造方法において、前記粉砕工程b)を、15時間以上実行する、製造方法。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物を含む固体電解質を備えた電気化学セル。
【請求項11】
請求項10に記載の電気化学セルにおいて、前記固体電解質がLiBHを含まない、電気化学セル。
【請求項12】
請求項10または11に記載の電気化学セルにおいて、さらに、
-炭素、錫、ケイ素、リチウム及びインジウムからなる群から選択される活物質を含む少なくとも1つの負極と、
-リチウム遷移金属酸化物及び硫黄化合物からなる群から選択される活物質を含む少なくとも1つの正極と、
を備える、電気化学セル。
【請求項13】
請求項12に記載の電気化学セルにおいて、前記負極の前記活物質がリチウム及びインジウムからなる群から選択され、前記正極の前記活物質がS、TiS、TiS、TiS、NiS、NiS、CuS、FeS、LiS、MoS、硫黄変性ポリアクリロニトリル、ジチオオキサミド及びジスルフィド化合物からなる群から選択される、電気化学セル。
【請求項14】
固体電解質電気化学セルを製造する方法であって、
a)電気化学的な正極活物質を含む混合物を調製する工程と、
b)工程a)で得られた混合物上に請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の層を堆積させて固体電解質を形成する工程と、
c)前記固体電解質を形成する前記化合物の層の自由表面側に、電気化学的な負極活物質を含む混合物の少なくとも1つの層を塗布する工程と、
を備える、製造方法。
【請求項15】
式:Li7-xPS6-x(式中、XはCl、Br、I、F及びCNからなる群から選択され、0<x≦2である)で表される化合物中のハロゲン化物イオンを置換することによって前記化合物のイオン伝導率を上げる、ホウ素含有アニオンの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、リチウム電気化学セル又はリチウムイオン電気化学セル用の無機固体電解質の技術分野である。本発明の技術分野は、さらに、このような無機固体電解質を製造する方法の技術分野である。
【背景技術】
【0002】
再充電可能なリチウムイオン電気化学セルが、従来技術において知られている。これらは、高い質量体積エネルギー密度により、携帯型電子機器や電気自動車両やハイブリッド車両や定置用蓄電システムの有望な電気エネルギー源となる。しかし、これらのセルはしばしば有機電解液を含んでおり、セルの熱暴走時にはこの有機電解液が負極や正極の活物質と共に発熱反応し、場合によっては当該セルが着火する可能性があって、ユーザに安全上のリスクが生じる。
【0003】
固体電解質を備えた再充電可能なリチウムイオン電気化学セルが、熱暴走のこのリスクの解決策となる。固体電解質を用いることにより、活物質と電解質との間の発熱反応が抑えられて、ユーザの安全性が大幅に向上する。固体電解質は、無機化合物とされ得る。
【0004】
無機固体電解質の主な利点の一つとして、1種類のイオン(この例ではLiカチオン)しか一般的に通さないという点が挙げられる。よって、この1種類のイオンのみが活物質との間で受渡しされることで電気化学反応が起こる。固体電解質として使用される有機高分子のなかでこれと同じように振る舞うものは少なく、そのように振る舞う有機高分子があったとしても、その抵抗率は著しく大きい。まとめると、無機電解質ではLiイオンのみが移動できる。他のアニオンやカチオンといったイオンは移動することができない。リチウム輸率は1である(あるいは、1に近付く傾向を示す)。この性質により電解質のイオン拡散現象が抑えられ、高速レジームでの性能を高めることができる。また、無機電解質は化学種がセパレータ厚を超えて移動することができないようにするので、自己放電現象が大幅に抑えられる。固体電解質は、電極材料の選択肢を拡げ、電位窓を大きくすることができる。ただし、数ヶ月の蓄電を許容するために電子伝導率は10-12S/cm未満でなければならない。
【0005】
無機固体電解質の選択上で検討すべき他の事項として、電極界面での無機固体電解質の抵抗が挙げられる。というのも、この界面抵抗は電解質の抵抗率と同じぐらい重要で且つ電解質の抵抗率と同じぐらいしばしば大きくなるからである。このため、材質が粉末である場合には、その芯部の抵抗だけでなく電解質粒子に対する粒子接触抵抗も考慮に入れなければならない。一般的に、負極表面に形成されるパッシベーション層(SEI)を介したイオン交換に伴う抵抗は、電解液の抵抗や変形し易い高分子の抵抗よりも高くなる。
【0006】
硫化リチウムLiSやSiSやPやBに基づく高伝導性非晶質(ガラス)固体電解質についての研究が、早くて1980年代初期から報告されてきた。
【0007】
非特許文献1には、75モル%のLiSと25モル%のPとを含む混合物を遊星粉砕した後、加圧するという製法が記載されている。この混合物のイオン伝導率は、25℃で200μS/cmである。
【0008】
また、リチウムイオン電気化学セルの固体電解質として、アルジロダイト型のLiPSX化合物(式中、Xはハロゲン原子を指す)を使用することが知られている。この種の化合物は、LiSをP及びハロゲン化リチウムLiXと反応させることによって得られる。
【0009】
特許文献1には、LiPSXなどの第1の硫黄系化合物とLiX-LiBH(式中、Xはハロゲンである)の固溶体である第2の化合物との混合物である固体電解質が記載されている。同文献には、LiX-LiBHの固溶体の粒子が上記硫黄系化合物の粒子間の隙間を満たすことが記載されている。特許文献1の固体電解質を製造する方法は、複数の工程で実行される:
-LiS、P及びLiXを含む混合物を粉砕してアルジロダイト型化合物LiPSXを生成する第1の工程;
-LiX-LiBHの固溶体を生成する第2の工程;ならびに
-第1の工程からの生成物と第2の工程からの生成物とを混合する第3の工程。
なお、この製造方法では、BH イオンをLiPSX化合物の構造内に組み込むことができない。
【0010】
特許文献2には、固体電解質を備えた電気化学セルが記載されている。この固体電解質は、異なる組成の2種類の層の積層体からなり得る。第1の層は、LiS-P系の材料を含み得る。第2の層は、LiX-LiBHの固溶体である材料を含む。特許文献1と同様に、BH イオンはLiS-P系材料の構造内に組み込まれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2016-134316号公報
【文献】欧州特許出願公開第3043411号明細書
【非特許文献】
【0012】
【文献】J. Amer. Ceram. Soc. 84 (2001) 477
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
リチウムイオン電気化学セルの固体電解質として使用可能な新規の化合物が求められている。
【0014】
さらに、イオン伝導率が向上した固体電解質が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的のために、本発明は、式:Li7-xPS6-xx-z(BHの化合物(式中、XはCl、Br、I、F及びCNからなる群から選択され、0<x≦2、かつ、0<z≦0.50である)を提案する。
【0016】
この化合物は、ハロゲン化物イオンXが水素化ホウ素イオンBH で部分的に置換されていることにより特徴付けられる。この化合物のイオン伝導率は、ハロゲンXが置換される前の化合物Li7-xPS6-xよりも高い。当該イオン伝導率は、XがIであり且つ置換率が約17%である場合に最大で7倍になり得る。本発明にかかる化合物をリチウムイオン電気化学セルの固体電解質として使用することにより、当該セルの内部抵抗が低下し、所与の放電レジームにおける当該セルの放電電圧を高くすることができる。
【0017】
一実施形態では、x=1である。
【0018】
一実施形態において、XはIまたはClである。
【0019】
一実施形態では、0.1≦z≦0.35である。
【0020】
一実施形態では、0.1≦z≦0.20である。
【0021】
一実施形態では、0.15≦z≦0.20である。
【0022】
一実施形態において、前記化合物は非晶質状態である。
【0023】
本発明は、さらに、前記化合物を製造する方法であって、
a)LiS、P、LiBH及びLiX(式中、XはCl、Br、I、F及びCNからなる群から選択される)を含む混合物を用意する工程と、
b)前記混合物を、LiBHが化合物Li7-xPS6-xx-z(BHに組み込まれるのに十分な時間にわたって粉砕する工程と、
を備える、製造方法に関する。
【0024】
一実施形態において、前記粉砕工程b)は、15時間以上、好ましくは20時間以上実行される。
【0025】
本発明は、さらに、前述した化合物を含む固体電解質を備えた電気化学セルに関する。
【0026】
一実施形態では、前記固体電解質がLiBHを含まない。
【0027】
一実施形態において、前記電気化学セルは、さらに、
-炭素、錫、ケイ素、リチウム及びインジウムからなる群から選択される活物質を含む少なくとも1つの負極と、
-リチウム遷移金属酸化物類及び硫黄化合物類からなる群から選択される活物質を含む少なくとも1つの正極と、
を備える。
【0028】
一実施形態では、前記負極の前記活物質がリチウム及びインジウムからなる群から選択され、前記正極の前記活物質がS、TiS、TiS、TiS、NiS、NiS、CuS、FeS、LiS、MoS、硫黄変性ポリアクリロニトリル、ジチオオキサミド及び二硫黄化合物類からなる群から選択される。
【0029】
本発明は、さらに、固体電解質電気化学セルを製造する方法であって、
a)電気化学的な正極活物質を含み且つ任意で前述の化合物を含む混合物を調製する工程と、
b)工程a)で得られた混合物上に前述の化合物の層を堆積させて固体電解質を形成する工程と、
c)前記固体電解質を形成する前記化合物の層の自由表面側に、電気化学的な負極活物質を含み且つ任意で前述の化合物を含む混合物の少なくとも1つの層を堆積させる工程と、
を備える、製造方法に関する。
【0030】
最後に、本発明は、さらに、ホウ素含有アニオンの、式:Li7-xPS6-x(式中、XはCl、Br、I、F及びCNからなる群から選択され、0<x≦2である)の化合物中のハロゲン化物イオンに対する置換物としての使用であって、前記化合物のイオン伝導率を上げるための使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施例で作製されるリチウムイオン電気化学セルの構造を概略的に示す図であり、「Li」及び「In」はリチウム層、インジウム層をそれぞれ指し、「SE」は固体電解質の層を指し、「Positive」は正極活物質を含む層を意味する。
図2】式:Li7-xPS6-xx-z(BHの化合物について、水素化ホウ素イオンによるハロゲン化物イオンIの置換度を0%、10%、17%、33%、50%と様々な値にした場合のイオン伝導率を示す図である。
図3】2種類のX線回折スペクトルを示す図であり、上のスペクトルは実施例2の化合物で得られるものであり、下のスペクトルは参照例1の化合物で得られるものである。
図4】実施例で説明する試料A,B,CのX線回折スペクトルを示す図であり、下のスペクトルは試料Aで得られるものであり、中央のスペクトルは試料Bで得られるものであり、上のスペクトルは試料Cで得られるものである。
図5】式:LiPSCl0.83(BH0.17の固体電解質を備えたリチウムイオン電気化学セルの、レジームC/20での室温における放電曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明にかかる化合物は、式:Li7-xPS6-xx-z(BH(式中、XはCl、Br、I、F及びCNからなる群から選択され、0<x≦2、かつ、0<z≦0.50である)である。
【0033】
好ましくは、元素XがIまたはClである。
【0034】
この化合物は、一部のハロゲン化物イオンXが水素化ホウ素イオンBH で置換されていることにより特徴付けられる。この置換には、置換される前の化合物Li7-xPS6-xと比べてイオン伝導率が上がるという効果がある。
【0035】
一実施形態において、xは0.1以上である。
【0036】
一実施形態において、zは0.05以上である。
【0037】
一実施形態において、zは0.35以下である。
【0038】
本願の出願人は、置換率を10~20%の範囲内(0.1≦z≦0.20)、好ましくは15~20%の範囲内(0.15≦z≦0.20)としたときに驚くべきことにイオン伝導率の増加が最大になることを見出した。この置換により、イオン伝導率は7倍になり得る。
【0039】
さらに、前記化合物を非晶質状態としたときに、イオン伝導率の増加がより顕著になることを見出した。非晶質構造の利点として、等方的な伝導率や、緻密な薄膜の作製し易さが挙げられる。前記化合物は、非晶質性を上げるために粉砕工程にかけられ得る。
【0040】
結晶構造の出現を促すことになるため、前記化合物にはアニーリングなどの熱処理が施されないのが好ましい。前記化合物の結晶化度によるイオン伝導率への影響については、実施例で説明する。
【0041】
本発明にかかる化合物は、LiBHとLiSとPとLiXとの化学反応の生成物である。本発明にかかる化合物を製造する方法は、
a)LiS、P、LiBH及びLiX(式中、XはCl、Br、I、F及びCNからなる群から選択される)を含む混合物を用意する工程と、
b)前記混合物を、LiBHが化合物Li7-xPS6-xx-z(BH内に組み込まれるのに十分な時間にわたって粉砕する工程と、
を備える。
【0042】
なお、本発明では、粉砕中に水素化ホウ素イオンBH がLi7-xPS6-xの構造内に組み込まれる。よって、前記粉砕工程は、前記混合物中に水素化ホウ素リチウムLiBHが残っている限り、すなわち、Li7-xPS6-x内に未だ組み込まれていない限り実行される。粉砕時間は、粉砕が実行される条件(ボールの個数、容器の内容積、ミルの速度、出発混合物の量など)に依存する。ただし、当業者であれば、前記混合物中に水素化ホウ素リチウムが残っているか否かを日常の試験で容易に確認することができる。この目的にX線回折技術を用いて、残存する水素化ホウ素リチウムの存在を検出することが可能である。
【0043】
好ましくは、粉砕は10時間以上、好ましくは15時間以上、より好ましくは20時間以上実行される。
【0044】
前記粉砕工程は、通常、乾燥した例えばアルゴン等の不活性雰囲気下で実行される。
【0045】
好ましくは、前記粉砕工程は室温で実行される。
【0046】
本発明では、化合物LiPSXが第一に調製されてからLiX-LiBHの固溶体が第二に調製されて、最後にLiPSXとLiX-LiBHとの混合物が調製される特許文献1の固体電解質製造方法とは違い、LiS、P、LiBH及びLiXの全試薬を含んだ混合物に対して粉砕が一回の工程で実施される。
【0047】
本発明にかかる化合物は、固体電解質として使用され得る。当該固体電解質の層厚は、10μm~1mmであり得る。
【0048】
また、本発明にかかる化合物は、電気化学セルの負極活物質との混合物で、かつ/あるいは、電気化学セルの正極活物質との混合物で使用され得る。好ましくは、負極活物質との混合物で又は正極活物質との混合物で使用される本発明にかかる化合物は、固体電解質として使用される化合物と同一である。
【0049】
前記正極活物質は、
-例えばS、TiS、TiS、TiS、MoS、MoS、FeS、FeS、CuS、NiS、NiS、Ni、LiS等から選択される硫黄含有化合物i)、
-式:LiMn1-y-zM’M’’POの化合物ii)(LMP)(式中、M’及びM’’は、互いに異なり、B、Mg、Al、Si、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Mn、Zn、Y、Zr、Nb及びMoからなる群から選択され、0.8≦x≦1.2、0≦y≦0.6、かつ、00≦z≦0.2である)、
-式:Li2-x-y-z-wM’M’’M’’’の化合物iii)(LMO2)(式中、M、M’、M’’及びM’’’は、互いに異なり、M、M’、M’’及びM’’’のいずれかがMn、Co、Ni又はFeから選択されることを前提としてB、Mg、Al、Si、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb及びMoからなる群から選択され、0.8≦x≦1.4、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、0≦w≦0.2、かつ、x+y+z+w<2である)、
-式:LiMn2-y-zM’M’’の化合物iv)(LMO)(式中、M’及びM’’は、互いに異なり、B、Mg、Al、Si、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb及びMoからなる群から選択され、1≦x≦1.4、0≦y≦0.6、かつ、0≦z≦0.2である)、
-式:LiFe1-yPOの化合物v)(式中、MはB、Mg、Al、Si、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb及びMoからなる群から選択され、0.8≦x≦1.2、かつ、0≦y≦0.6である)、
-式:xLiMnO;(1-x)LiMOの化合物vi)(式中、MはNi、Co及びMnから選択され、x≦1である)、ならびに
-これらの化合物の混合物、
からなる群から選択され得る。
【0050】
前記負極活物質は、
i)グラファイトなどの炭素系化合物、
ii)LiTi12などの、チタンのリチウム酸化物、ならびに
iii)リチウム、インジウム、アルミニウム、ケイ素、錫、およびこれらの金属を含む合金(好ましくは、リチウムとインジウムとの合金)から選択される金属、
からなる群から選択され得る。
【0051】
前記正極活物質と本発明にかかる化合物とを含む前記混合物には、少なくとも1種のバインダーが添加され得る。このバインダーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール及びカルボキシメチルセルロース(CMC)からなる群から選択され得る。同じく、前記負極活物質と本発明にかかる化合物とを含む前記混合物には、少なくとも1種のバインダーが添加され得る。これらのバインダーは、前記正極活物質用に選出したバインダーと共通のものであり得る。
【0052】
また、前記正極活物質と本発明にかかる化合物とを含む前記混合物、または前記負極活物質と本発明にかかる化合物とを含む前記混合物には、カーボンなどの良好な電子伝導性を有する化合物が添加され得る。
【0053】
前記正極活物質を含み且つ任意で少なくとも1種のバインダーや前記電子伝導性化合物を含む前記混合物が集電体上に堆積されることにより、正極が形成され得る。同様に、前記負極活物質を含み且つ任意で少なくとも1種のバインダーや前記電子伝導性化合物を含む前記混合物が集電体上に堆積されることにより、負極が形成され得る。
【0054】
少なくとも1つの正極と、本発明にかかる化合物を含む固体電解質と、少なくとも1つの負極とを積層することにより、「全固体」電気化学セルが得られる。この組立体は、加圧によって得られ得る。
【実施例
【0055】
様々なアルジロダイト型化合物を合成した。以下の表1に、それらの組成を示す。
【0056】
【表1】
【0057】
反証例として、83モル%のLiPSIと17モル%のLiBHとを含む混合物を調製した。
【0058】
これらの例では、メカノシンセシス、すなわち、高エネルギーメカノケミカル粉砕によって化合物を調製する。最初の試薬であるLiS(Sigma Aldrich社製;99.98%)、P(Sigma Aldrich社製;98%)、LiBH(Rockwood Lithium社製;97.8%)、およびLiCl又はLiI(Sigma Aldrich社製;99.99%)の粉末同士が、化学量論量で混合される。各合成にあたっては、1gの混合物がステンレス鋼製の容器(45cm)内に配される。この容器内には、さらに、25個のボール(直径7mm)が配される。当該容器は、グローブボックス内にてアルゴン下で緊密に閉められる。粉砕に使用される機器は、Fritsch(登録商標)社製の遊星型ミル「Pulverisette 7」である。本発明にかかる化合物の粉砕時間は、回転速度=600rpmで20時間とする。これらの粉砕条件により、各構成成分間で化学反応を生じさせることができる。
【0059】
反証例については、化合物LiPSIを上記のようにして調製した後、LiBHと化学量論比で速度=300rpmにて10分間混合する。これらの粉砕条件では、一部のIをBH で置換するということができない。
【0060】
試料を熱処理する場合があれば、それは密閉オートクレーブで550℃にて5時間加熱することからなる。この熱処理により、化合物の再結晶化が引き起こされる。
【0061】
Bruker(登録商標)社製の回折装置「D8 Advanced」で、銅又はモリブデンのKα線を用いてX線回折分析を実行する。防水保護により、アルゴン雰囲気下での分析実行が可能となっている。
【0062】
固体電解質粉末から作製したペレットに対して、イオン伝導率の測定を実行する。ペレットの作製は、固体電解質粉末を2トンの圧力でペレット成形体にプレス成形することからなる。当該ペレットの直径は7mmとする。次に、作製した電解質ペレットを、リチウム製の2枚の金属円板体の間に挿入してSwagelok(登録商標)型の電気化学セル内に配置する。Autolab(登録商標)社製の「PGSTAT30」型ポテンショスタットで、正弦波電圧(1Hz~1MHzの可変周波数、振幅=10mV)を用いて伝導率の測定を実行する。
【0063】
[電気化学セルの組み立て]
この「全固体」電気化学セルは、3種類の層をプレス成形することにより得られる。
-第一の層は、正極活物質と固体電解質とを含む混合物からなる。
-第二の層は、固体電解質のみからなる(この層はセパレータとして機能する)。
-第三の層は、リチウム及びインジウムに基づく負極からなる。
【0064】
(正極活物質を含む混合物の調製)
使用する正極活物質は硫化チタンTiSとする。その理論容量は239mAh/gである。これは、グローブボックス内にてメノウ乳鉢により手動で固体電解質粉末と混合される。TiS化合物は電子伝導性を有するため、導電性カーボンの添加は不要である。この混合物中における固体電解質の比率は60%とする。
【0065】
(Li-In負極の調製)
これは、100μmのインジウム層が堆積した200μmのリチウム金属層からなる。
【0066】
(組立工程)
前記正極活物質を含む混合物の薄い層を、金型(直径9mm)に配置する。次に、固体電解質の層を堆積させる。プレスにより、2トンの圧力を加える。このようにして、ペレットが得られる。次に、電解質の層の上に、インジウム箔、そしてリチウム箔を堆積させる。この組立体を、Swagelok(登録商標)型の電気化学セルによって試験する。図1に、結果として得られる電気化学セルの構造を概略的に示す。
【0067】
[結果]
以下の表2に、イオン伝導率の測定結果を示す。ヨウ素を含有する化合物(参照例1および実施例1~4)について得られる結果を、図2のグラフに示す。これらの結果から、10%、17%、33%及び50%の置換率によって前記化合物のイオン伝導率が上がることが分かる。
【0068】
【表2】
【0069】
LiPS1-z(BH類の化合物では、BH イオンによるIイオンの置換率の関数としてイオン伝導率が最大になることが見て取れる。置換率の最適値は、10%~33%のあいだで17%付近である。
【0070】
イオン伝導率の増加は、さらに、元素Xが塩素である場合にも見受けられる。参照例2の化合物のイオン伝導率は1.5×10-5S/cmしかないのに対し、実施例5の化合物のイオン伝導率は6.5×10-5S/cmになる。BH イオンで17%のClイオンを置換することにより、イオン伝導率は3倍になった。
【0071】
これらの結果を、2種類の化合物LiPSI、LiBHを単純に混ぜて調製した反証例について得られる結果と比較した。この場合の混合物の伝導率は、化合物LiPSI単独のイオン伝導率よりも低くなる。
【0072】
BH イオンが化合物LiPSIの構造内に組み込まれていることを確認するために、実施例2の化合物および参照例1の化合物に対してX線回折パターンを実行した。双方の化合物の結晶化度を上げるために、それらを熱処理にかけた。図3は、17%のヨウ素をBH イオンに置き換えた実施例2の化合物のスペクトルと、参照例1の化合物のスペクトルとを比較したものである。
【0073】
参照例1の化合物のスペクトル(下のスペクトル)は、立方晶構造にアルジロダイト相が存在していることに起因したピークを示している。
【0074】
実施例2の化合物のスペクトル(上のスペクトル)は、出発混合物中の試薬として用いたLiSが未反応で少量残っていることによる低強度ピークを示している点が、参照例1の化合物のスペクトルと主に異なる。LiSに帰属するピークを、アスタリスク()で表している。このスペクトルは、さらに、LiBH相がないことを示している。これは、メカノシンセシス時に水素化ホウ素イオンが化合物LiPS0.83(BH0.17の結晶構造内に組み込まれたことを証明している。
【0075】
[化合物LiPS0.83(BH0.17(実施例2)の結晶化度によるイオン伝導率への影響についての検討]
試料Aを調製した。試料Aは、試薬LiS、P、LiI及びLiBHの混合物をFritsch社製の遊星型ミル「Pulverisette 7」で前述した条件(回転速度=600rpm、20時間)下にて粉砕することにより生成する。粉砕により、実施例2の化合物が形成された。この試料Aに対して、X線回折スペクトルを実行した。このスペクトルを、図4(下のスペクトル)に示す。
【0076】
次に、試料Aを密閉オートクレーブで550℃にて5時間熱処理することにより、結晶化を促した。このようにして、試料Bが得られる。この試料Bに対して、X線回折スペクトルを実行した。このスペクトルを、図4(中央のスペクトル)に示す。
【0077】
次に、試料Bを粉砕にかけることで試料Bの結晶化度を下げた。このようにして、試料Cが得られた。この試料Cに対して、X線回折スペクトルを実行した。このスペクトルを、図4(上のスペクトル)に示す。
【0078】
試料Aのスペクトルは、LiS相の存在に対応する低強度ピークしか示していない。
【0079】
試料Bのスペクトルは、LiS相の存在に起因した低強度ピークだけでなく結晶性LiPS0.83(BH0.17に帰属する明確な高強度ピークも示している。
【0080】
試料Cのスペクトルは、LiS相がほぼ消失したことを示している。LiPS0.83(BH0.17に帰属するピークの強度も顕著に低下しており、粉砕工程によって大量のLiPS0.83(BH0.17が非晶質になったことを示唆している。
【0081】
試料A,B,Cのイオン伝導率を測定した。表4に、イオン伝導率の値を示す。
【0082】
【表3】
【0083】
測定結果から、非晶質の試料Aで最大のイオン伝導率が得られることが分かる。反対に、最小のイオン伝導率は、LiPS0.83(BH0.17が十分に結晶化した試料Bで得られる。中程度の伝導率値は、非晶質状態と結晶状態とのあいだの中間の結晶化度を有する試料Cで観測される。
【0084】
本発明にかかる化合物を固体電解質として使用することにより、セパレータの抵抗で生じる電圧降下を抑えることができる。下記の計算により、この利点を立証する。リチウムイオン電気化学セル(電極表面容量=4mAh/cm、参照例1の化合物(LiPSI)からなるセパレータ層の層厚=25μm)では、レジーム10Cでの放電時にセパレータが引き起こす電圧降下が、式R=1/σ・e/S(式中、Rはセパレータの抵抗(Ω)であり、σは電解質の導電率(S/m)であり、eはセパレータの厚み(m)であり、Sはセパレータの表面積(m)である)に従い、しかも、セパレータでの電圧降下が△U=R×I(式中、Iはセパレータを流れる電流である)に等しくなることから、約1Vとなる。この電圧降下は、正極活物質がニッケル、コバルト及びアルミニウム(NCA)のリチウム酸化物からなり、負極活物質がグラファイトからなるリチウムイオン電気化学セルの開回路電圧の27%に相当するため極めて大きい。実際、このようなセルの開回路電圧は3.6V程度となる。この電圧降下は、セパレータが実施例2の化合物:LiPS0.83(BH0.17からなるものであると0.13Vまで低下する。この0.13Vという値は、前記開回路電圧の3.6%しか占めないので十分に許容可能である。この電圧降下を抑えることにより、所与の放電レジームにおけるリチウムイオン電気化学セルの供給電圧を高くすることができる。
【0085】
【表4】
【0086】
情報提供のため、図5に、TiS系の正極活物質と化合物LiPSCl0.83(BH0.17からなる固体電解質とインジウム及びリチウムに基づく負極活物質とを備えた電気化学セルの、レジームC/20での室温における放電曲線を示す。
【0087】
C/20での放電時の質量容量測定値は、238mAh/gである。これはTiSの理論容量(239mAh/g)とほぼ同じであり、前記電解質が室温で極めて良好に動作することを立証している。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
式:Li 7-x PS 6-x x-z (BH (式中、XはCl、Br、I、F及びCNからなる群から選択され、0<x≦2、かつ、0<z≦0.50である)で表される化合物。
[態様2]
態様1に記載の化合物において、x=1である、化合物。
[態様3]
態様1または2に記載の化合物において、XがIまたはClである、化合物。
[態様4]
態様1から3のいずれかに記載の化合物において、0.1≦z≦0.35である、化合物。
[態様5]
態様1から4のいずれかに記載の化合物において、0.1≦z≦0.20である、化合物。
[態様6]
態様1から5のいずれかに記載の化合物において、0.15≦z≦0.20である、化合物。
[態様7]
態様1から6のいずれかに記載の化合物において、非晶質状態である、化合物。
[態様8]
態様1から7のいずれかに記載の化合物を製造する方法であって、
a)Li S、P 、LiBH 及びLiX(式中、XはCl、Br、I、F及びCNからなる群から選択される)を含む混合物を用意する工程と、
b)前記混合物を、LiBH が化合物Li 7-x PS 6-x x-z (BH に組み込まれるのに十分な時間にわたって粉砕する工程と、
を備える、製造方法。
[態様9]
態様8に記載の製造方法において、前記粉砕工程b)を、15時間以上、好ましくは20時間以上実行する、製造方法。
[態様10]
態様1から7のいずれかに記載の化合物を含む固体電解質を備えた電気化学セル。
[態様11]
態様10に記載の電気化学セルにおいて、前記固体電解質がLiBH を含まない、電気化学セル。
[態様12]
態様10または11に記載の電気化学セルにおいて、さらに、
-炭素、錫、ケイ素、リチウム及びインジウムからなる群から選択される活物質を含む少なくとも1つの負極と、
-リチウム遷移金属酸化物及び硫黄化合物からなる群から選択される活物質を含む少なくとも1つの正極と、
を備える、電気化学セル。
[態様13]
態様12に記載の電気化学セルにおいて、前記負極の前記活物質がリチウム及びインジウムからなる群から選択され、前記正極の前記活物質がS、TiS 、TiS 、TiS 、NiS、NiS 、CuS、FeS 、Li S、MoS 、硫黄変性ポリアクリロニトリル、ジチオオキサミド及び二硫黄化合物からなる群から選択される、電気化学セル。
[態様14]
固体電解質電気化学セルを製造する方法であって、
a)電気化学的な正極活物質を含み且つ任意で態様1から7のいずれかに記載の化合物を含む混合物を調製する工程と、
b)工程a)で得られた混合物上に態様1から7のいずれかに記載の化合物の層を堆積させて固体電解質を形成する工程と、
c)前記固体電解質を形成する前記化合物の層の自由表面側に、電気化学的な負極活物質を含み且つ任意で態様1から7のいずれかに記載の化合物を含む混合物の少なくとも1つの層を塗布する工程と、
を備える、製造方法。
[態様15]
式:Li 7-x PS 6-x (式中、XはCl、Br、I、F及びCNからなる群から選択され、0<x≦2である)で表される化合物中のハロゲン化物イオンを置換することによって前記化合物のイオン伝導率を上げる、ホウ素含有アニオンの使用。
図1
図2
図3
図4
図5