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特許7182634マルチウェイスイッチ、無線周波数システム及び無線通信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】マルチウェイスイッチ、無線周波数システム及び無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/00 20060101AFI20221125BHJP
   H04B 1/40 20150101ALI20221125BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H04B1/00 264
H04B1/40
H04B7/06 040
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020538067
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2018112763
(87)【国際公開番号】W WO2019174254
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】201810220930.6
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516227559
【氏名又は名称】オッポ広東移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG OPPO MOBILE TELECOMMUNICATIONS CORP., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 18 Haibin Road,Wusha, Chang’an,Dongguan, Guangdong 523860 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】バイ、ジャン
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0120466(US,A1)
【文献】特開2010-118738(JP,A)
【文献】再公表特許第2009/157357(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/00
H04B 1/30
H04B 1/59
H04B 1/72
H04B 11/00-13/02
H04B 1/38-1/58
H04B 7/02-7/12
H04L 1/02-1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチウェイスイッチ10であって、
4つのTポート及び2個のPポートを含み、前記4つのTポートのそれぞれは前記2個のPポートに全部結合され、前記4つのTポートは送信-受信機能をサポートし、nは整数であり、n≧2であり、
前記マルチウェイスイッチは、デュアル周波数デュアル送信モードで動作可能な無線通信装置の無線周波数回路30及びアンテナシステム20に結合されて、前記無線通信装置のプリセット機能を実現するために用いられ、前記アンテナシステムは前記2個のPポートに対応する2個のアンテナを含み、前記プリセット機能は、前記2個のアンテナによってサウンディングリファレンス信号(SRS)を順番に送信する機能であり、
前記無線周波数回路は、論理的に4つのトランシーバ集積回路及び(2n+1-4)個の受信回路を含み、
前記無線周波数回路は、物理的にm個の独立回路モジュールを含み、mは整数であり、4≧m≧2であり、
前記m個の独立回路モジュールは、前記4つのTポートと1対1で対応して結合された複数の送信-受信ポートを有し、各々のトランシーバ集積回路と少なくとも1つの受信回路は、前記m個の独立回路モジュールの対応する1つの送信-受信ポートを共有し、且つ対応する送信-受信ポート介して対応するTポートに接続され、
前記2個のPポートのうちのそれぞれは、前記2個のアンテナのうちの対応するアンテナに結合される、
ことを特徴とするマルチウェイスイッチ。
【請求項2】
n=2であり、前記無線周波数回路は、論理的に4つのトランシーバ集積回路及び4つの受信回路を含み、
m=2であり、前記無線周波数回路は物理的に2つの独立回路モジュールを含み、
前記2つの独立回路モジュールは、前記4つのTポートに1対1で対応して結合された複数の送信-受信ポートを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチウェイスイッチ。
【請求項3】
前記2つの独立回路モジュールは2つの第一独立回路モジュールを含み、前記第一独立回路モジュールは2つの送信-受信ポートを含み、前記送信-受信ポートは前記Tポートに結合され、
前記第一独立回路モジュールは、異なる周波数帯域で動作する2つのトランシーバ集積回路、2つの受信回路、2つのパワーカプラ及び2つの第一セレクタスイッチを含み、
各トランシーバ集積回路は、第一パワーアンプ(PA)、第一フィルタ、第二セレクタスイッチ及び第一低雑音増幅器(LNA)を含み、
前記第二セレクタスイッチは、前記第一フィルタの1つのポートに結合された共通ポートを有し、
前記第一フィルタの他のポートは、前記パワーカプラの片側の1つのポートに結合され、
前記第二セレクタスイッチは、前記第一PAに結合された1つの選択ポートと、前記第一LNAに結合された他の選択ポートと、を有し、
各受信回路は、第二LNA及び第二フィルタを含み、
前記第二フィルタは、前記第二LNAの入力ポートに結合された1つのポートを有し、 前記第二フィルタの他のポートは、前記パワーカプラの片側の他のポートに結合され、 前記第二LNAは、受信信号を出力する出力ポートを有し、
前記パワーカプラの反対側の2つのポートと前記第一セレクタスイッチの2つの選択ポートは1対1で対応して結合され、前記第一セレクタスイッチは、前記Tポートに結合された共通ポートを有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のマルチウェイスイッチ。
【請求項4】
n=2であり、前記無線周波数回路は、論理的に4つのトランシーバ集積回路及び4つの受信回路を含み、
m=3であり、前記無線周波数回路は、物理的に3つの独立回路モジュールを含み、
前記3つの独立回路モジュールは、2つの第一独立回路モジュール及び1つの第二独立回路モジュールを含み、
前記3つの独立回路モジュールは、前記4つのTポートに1対1で対応して結合された複数の送信-受信ポートを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチウェイスイッチ。
【請求項5】
前記第一独立回路モジュールは、1つのトランシーバ集積回路、1つの受信回路、1つのパワーカプラ及び1つの第一セレクタスイッチを含み、
前記第二独立回路モジュールは、異なる周波数帯域で動作する2つのトランシーバ集積回路、2つの受信回路、2つのパワーカプラ、2つの第一セレクタスイッチを含み、
各トランシーバ集積回路は、第一PA、第一フィルタ、第二セレクタスイッチ及び第一LNAを含み、
前記第二セレクタスイッチは、前記第一フィルタの1つのポートに結合された共通ポートを有し、
前記第一フィルタの他のポートは、前記パワーカプラの片側の1つのポートに結合され、
前記第二セレクタスイッチは、前記第一PAに結合された1つの選択ポートと、前記第一LNAに結合された他の選択ポートと、を有し、
各受信回路は、第二LNA及び第二フィルタを含み、
前記第二フィルタは、前記第二LNAの入力ポートに結合された1つのポートを有し、 前記第二フィルタの他のポートは、前記パワーカプラの片側の他のポートに結合され、 前記第二LNAは、受信信号を出力する出力ポートを有し、
前記パワーカプラの反対側の2つのポートと前記第一セレクタスイッチの2つの選択ポートは1対1で対応して結合され、前記第一セレクタスイッチは、前記Tポートに結合された共通ポートを有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のマルチウェイスイッチ。
【請求項6】
n=2であり、前記無線周波数回路は、論理的に4つのトランシーバ集積回路及び4つの受信回路を含み、
m=4であり、前記無線周波数回路は、物理的に4つの独立回路モジュールを含み、
前記4つの独立回路モジュールは、4つの第一独立回路モジュールを含み、
前記4つの独立回路モジュールは、4つのTポートに1対1で対応して結合された複数の送信-受信ポートを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチウェイスイッチ。
【請求項7】
前記第一独立回路モジュールは、1つのトランシーバ集積回路、1つの受信回路、1つのパワーカプラ及び1つの第一セレクタスイッチを含み、
各トランシーバ集積回路は、第一PA、第一フィルタ、第二セレクタスイッチ及び第一LNAを含み、
前記第二セレクタスイッチは、前記第一フィルタの1つのポートに結合された共通ポートを有し、
前記第一フィルタの他のポートは、前記パワーカプラの片側の1つのポートに結合され、
前記第二セレクタスイッチは、前記第一PAに結合された1つの選択ポートと、前記第一LNAに結合された他の選択ポートと、を有し、
各受信回路は、第二LNA及び第二フィルタを含み、
前記第二フィルタは、第二LNAの入力ポートに結合された1つのポートを有し、
前記第二フィルタの他のポートは、前記パワーカプラの片側の他のポートに結合され、 前記第二LNAは、受信信号を出力する出力ポートを有し、
前記パワーカプラの反対側の2つのポートと前記第一セレクタスイッチの2つの選択ポートは1対1で対応して結合され、
前記第一セレクタスイッチは、前記Tポートに結合された共通ポートを有する、
ことを特徴とする請求項6に記載のマルチウェイスイッチ。
【請求項8】
無線周波数システムであって、
アンテナシステムと、無線周波数回路と、前記無線周波数回路及び前記アンテナシステムに結合されたマルチウェイスイッチと、を含み、
前記マルチウェイスイッチは4つのTポート及び2個のPポートを含み、前記4つのTポートのそれぞれは前記2個のPポートに全部結合され、前記4つのTポートは送信-受信機能をサポートし、nは整数であり、n≧2であり、
前記アンテナシステムは、前記2個のPポートに対応する2個のアンテナを含み、 前記マルチウェイスイッチは、前記2個のアンテナによってSRSを順番に送信するプリセット機能を実現するために用いられ、
前記無線周波数回路は、論理的に4つのトランシーバ集積回路及び(2n+1-4)個の受信回路を含み、
前記無線周波数回路は、物理的にm個の独立回路モジュールを含み、mは整数であり、4≧m≧2であり、
前記m個の独立回路モジュールは、前記4つのTポートと1対1で対応して結合された複数の送信-受信ポートを有し、各々のトランシーバ集積回路と少なくとも1つの受信回路は、前記m個の独立回路モジュールの対応する1つの送信-受信ポートを共有し、且つ対応する送信-受信ポート介して対応するTポートに接続され、
前記2個のPポートのうちのそれぞれは、前記2個のアンテナのうちの対応するアンテナに結合される、
ことを特徴とする無線周波数システム。
【請求項9】
各々のPポートは2個のアンテナのうちの1つのアンテナに結合され、 2個のPポートのうちの任意の2つのPポートは2個のアンテナのうちの異なるアンテナに結合される、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線周波数システム。
【請求項10】
n=2であり、前記2個のアンテナは、第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナを含み、
前記第一アンテナ、前記第二アンテナ、前記第三アンテナ及び前記第四アンテナは、第五世代の新しい無線(5G NR)周波数帯域で動作可能なアンテナである、
ことを特徴とする請求項8~9のいずれか一項に記載の無線周波数システム。
【請求項11】
n=2であり、前記2個のアンテナは、第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナを含み、
前記第一アンテナと前記第四アンテナは、長期進化(LTE)周波数帯域と5G NR周波数帯域で作動可能なアンテナであり、
前記第二アンテナ及び前記第三アンテナは、5G NR周波数帯域のみで作動可能なアンテナである、
ことを特徴とする請求項8~9のいずれか一項に記載の無線周波数システム。
【請求項12】
前記アンテナシステムは、第一コンバイナ及び第二コンバイナをさらに含み、
前記第一コンバイナは、前記第一アンテナに結合された第一ポートと、前記無線周波数システムのLTE 4×4 多入力多出力(MIMO)の第一受信経路に結合された第二ポートと、前記マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合された第三ポートと、を含み、
前記第二コンバイナは、前記第四アンテナに結合された第一ポートと、前記無線周波数システムのLTE 4×4 MIMOの第二受信経路に結合された第二ポートと、前記マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合された第三ポートと、を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の無線周波数システム。
【請求項13】
前記アンテナシステムは、第一単極双投(SPDT)スイッチ及び第二SPDTスイッチをさらに含み、
前記第一SPDTスイッチは、前記第一アンテナに結合された第一ポートと、前記無線周波数システムのLTE 4×4 MIMOの第一受信経路に結合された第二ポートと、前記マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合された第三ポートと、を含み、
前記第二SPDTスイッチは、前記第四アンテナに結合された第一ポートと、前記無線周波数システムのLTE 4×4 MIMOの第二受信経路に結合された第二ポートと、前記マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合された第三ポートと、を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の無線周波数システム。
【請求項14】
無線通信装置であって、
アンテナシステムと、無線周波数トランシーバと、前記無線周波数トランシーバに結合された無線周波数回路と、請求項1~7のいずれか一項に記載のマルチウェイスイッチと、を含む、
ことを特徴とする無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末の技術分野に関し、さらに具体的に、マルチウェイスイッチ、無線周波数システム及び無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどの無線通信装置が広く使用されることに伴って、スマートフォンがサポートすることができるアプリケーションはだんだん多くなり、且つ機能も強力になっている。スマートフォンは、多様化、パーソナライズされた方向に向かって発展し、ユーザーの生活に不可欠な電子製品になっている。第四世代(the 4th Generation,4G)の移動通信システムにおいて、無線通信装置は一般的にシングルアンテナ又は二重アンテナの無線周波数(RF)システムアーキテクチャを採用している。現在、第五世代(the 5th Generation,5G)の移動通信システムの新しい無線(New Radio,NR)システムにおいて、4アンテナRFシステムアーキテクチャをサポートする需要が提案されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態は、マルチウェイスイッチ、無線周波数システム及び無線通信装置を提供して、第5世代の新しい無線(5G NR)において、無線通信装置の2個のポートに対応する2個のアンテナによってサウンディングリファレンス信号(sounding reference signals、SRS)を順番に送信する機能(即ち、2ポートSRS)を実現する。
【0004】
第一態様において、本発明の実施形態は、マルチウェイスイッチを提供する。マルチウェイスイッチは、4つのTポート及び2個のPポートを含む。4つのTポートのそれぞれは2個のPポートに全部結合される。nは整数であり、n≧2である。4つのTポートは送信-受信機能をサポートする。
【0005】
マルチウェイスイッチは、デュアル周波数デュアル送信モードで動作可能な無線通信装置の無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されて、無線通信装置のプリセット機能を実現するために用いられる。アンテナシステムは、2個のPポートに対応する2個のアンテナを含む。プリセット機能は、2個のアンテナによってサウンディングリファレンス信号(SRS)を順番に送信する機能である。
【0006】
第二態様において、本発明の実施形態は、無線周波数システムを提供する。無線周波数システムは、アンテナシステムと、無線周波数回路と、無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されたマルチウェイスイッチと、を含む。
【0007】
マルチウェイスイッチは、4つのTポート及び2個のPポートを含む。4つのTポートのそれぞれは2個のPポートに全部接続される。4つのTポートは送信-受信機能をサポートする。nは整数であり、n≧2である。アンテナシステムは、2個のPポートに対応する2個のアンテナを含む。マルチウェイスイッチは、2個のアンテナによってSRSを順番に送信するプリセット機能を実現するために用いられる。
【0008】
第三態様において、本発明の実施形態は、無線通信装置を提供する。無線通信装置は、アンテナシステムと、無線周波数トランシーバと、無線周波数トランシーバに結合された無線周波数回路と、無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されたマルチウェイスイッチと、を含む。
【0009】
マルチウェイスイッチは4つのTポート及び2個のPポートを含む。アンテナシステムは、2個のPポートに対応する2個のアンテナを含む。nは整数であり、n≧2である。4つのTポートのそれぞれは2個のPポートに全部接続され、4つのTポートは送信-受信機能をサポートする。各々のPポートは2個のアンテナのうちの1つのアンテナに結合され、2個のPポートのうちの任意の2つのPポートは2個のアンテナのうちの異なるアンテナに結合される。マルチウェイスイッチは、2個のアンテナによってSRSを順番に送信するプリセット機能を実現するために用いられる。
【0010】
本発明の実施例において、無線通信装置は、アンテナシステムと、無線周波数回路と、マルチウェイスイッチと、を含む。アンテナシステムは、2個のアンテナを含む。マルチウェイスイッチは、4つのTポート及び2個のPポートを含む。マルチウェイスイッチは無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されて無線通信装置のプリセット機能を実現し、プリセット機能は2個のPポートに対応する2個のアンテナによってSRSを順番に送信する機能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、本発明の実施形態又は従来の技術の技術方案をより明確に説明するために、本発明の実施形態又は従来の技術の説明に使用される図面について簡単に説明する。明らかに、以下説明される図面は、本発明の一部の実施形態だけのものであり、当業者であれば、これらの図面から創造的な努力なしに他の図面を得ることができる。
図1-1】図1-1は、本発明の実施形態に係わるマルチウェイスイッチの構造を示す概略図である。
図1-2】図1-2は、本発明の実施形態に係わるマルチウェイスイッチの構造を示す概略図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係わる全部結合された4P4Tスイッチの構造を示す概略図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係わる全部結合された4P4Tスイッチのポートの構造を示す概略図である。
図4a図4aは、本発明の実施形態に係わる全部結合された4P4Tスイッチに対応する2つの独立回路モジュールの構造を示す概略図である。
図4b図4bは、本発明の実施形態に係わる全部結合された4P4Tスイッチに対応する3つの独立回路モジュールの構造を示す概略図である。
図4c図4cは、本発明の実施形態に係わる全部結合された4P4Tスイッチに対応する4つの独立回路モジュールの構造を示す概略図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係わる無線周波数システムの構造を示す概略図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係わる無線通信装置のアンテナシステムの構造を示す概略図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係わる無線通信装置の別のアンテナシステムの構造を示す概略図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係わる無線周波数システムの構造を示す概略図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係わる無線通信装置の構造を示す概略図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係わる無線通信装置のアンテナを再利用するための無線充電受信機を示す概略図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係わる4つのアンテナを含むループアレイアンテナの構造を示す概略図である。 便利に説明するために、上述した図面において、Nxは1つの周波数帯域を示し、Nyは別の周波数帯域を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、前述した添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態の技術的方案を明確且つ完全に説明する。明らかに、説明される実施形態は、本発明の一部の実施形態だけのものであり、全ての実施形態ではない。本明細書に説明される実施形態から創造的な努力なしに当業者が得ることができるすべての別の実施形態は、本発明の範囲に属する。
【0013】
本願の明細書、特許請求の範囲及び図面で使用される用語「第一」、「第二」などは、特定の順序を説明するために用いられなく、異なる対象を区別するために用いられる。用語「備える」、「含む」、「有する」及びそれらの変形は、非排他的包含を網羅することを意図する。例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品、又は装置は、リストされたステップ又はユニットに限定されず、選択的に、リストされていない他のステップ又はユニットを含むことができ、又は、選択的に、これらのプロセス、方法、製品、又はデバイスに固有する他のステップ又はユニットを含むことができる。
【0014】
本明細書で言及される「実施例」又は「実施形態」という用語は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が本願の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。本明細書の各々の場所に現れるこの用語は、必ず同じ実施形態を指すものではなく、他の実施形態と相互に排他的な独立した又は代替実施形態を指すものでもない。本明細書に記載された実施形態は他の実施形態と組み合わせることができることは、当業者によって明示的及び暗黙的に理解される。
【0015】
以下、本発明の実施形態を簡単に説明する。
【0016】
本発明の実施形態によれば、マルチウェイスイッチが提供される。図1-1に示されたように、マルチウェイスイッチは、4つのTポート及び2個のPポートを含む。4つのTポートのそれぞれは2個のPポートに全部結合される。4つのTポートは送信-受信機能をサポートする。nは整数であり、n≧2である。マルチウェイスイッチは、無線通信装置に適用可能である。無線通信装置は、デュアル周波数デュアル送信モードで動作可能であり、アンテナシステム及び無線周波数回路を含む。
【0017】
マルチウェイスイッチは、無線通信装置の無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されて、無線通信装置のプリセット機能を実現するために用いられる。アンテナシステムは、2個のPポートに対応する2個のアンテナを含む。プリセット機能は、2個のアンテナによってサウンディングリファレンス信号(SRS)を順番に送信する機能である。
【0018】
1つの実施形態において、無線周波数回路は、論理的に4つのトランシーバ集積回路及び(2n+1-4)個の受信回路を含む。無線周波数回路は、物理的にm個の独立回路モジュールを含み、mは整数であり、m≧2である。m個の独立回路モジュールは、4つのTポートに1対1で対応して結合された複数の送信-受信ポートを有する。2個のPポートのうちのそれぞれは、2個のアンテナのうちの対応するアンテナに結合される。
【0019】
1つの実施形態において、n=2であり、無線周波数回路は、論理的に4つのトランシーバ集積回路(信号を送信、受信及び/又は処理するために用いられる集積回路であると理解することができる)及び4つの受信回路(信号を受信及び/又は処理するために用いられる回路であると理解することができる)を含む。
【0020】
m=2であり、無線周波数回路は物理的に2つの独立回路モジュールを含む。
【0021】
2つの独立回路モジュールは、4つのTポートに1対1で対応して結合された複数の送信-受信ポートを有する。
【0022】
1つの実施形態において、2つの独立回路モジュールは、2つの第一独立回路モジュールを含む。第一独立回路モジュールは2つの送信-受信ポートを含み、送信-受信ポートはTポートに結合される。
【0023】
第一独立回路モジュールは、異なる周波数帯域で動作する2つのトランシーバ集積回路、2つの受信回路、2つのパワーカプラ及び2つの第一セレクタスイッチを含む。
【0024】
各トランシーバ集積回路は、第一パワーアンプ(PA)、第一フィルタ、第二セレクタスイッチ及び第一低雑音増幅器(LNA)を含む。第二セレクタスイッチは、第一フィルタの1つのポートに結合された共通ポートを有する。第一フィルタの他のポートは、パワーカプラの片側の1つのポートに結合される。第二セレクタスイッチは、第一PAに結合された1つの選択ポートと、第一LNAに結合された他の選択ポートと、を有する。
【0025】
各受信回路は、第二LNA及び第二フィルタを含む。第二フィルタは、第二LNAの入力ポートに結合された1つのポートを有する。第二フィルタの他のポートは、パワーカプラの片側の他のポートに結合される。第二LNAは、受信信号を出力する出力ポートを有する。
【0026】
パワーカプラの反対側の2つのポートと第一セレクタスイッチの2つの選択ポートは1対1で対応して結合される。第一セレクタスイッチは、Tポートに結合された共通ポートを有する。
【0027】
1つの実施形態において、n=2であり、無線周波数回路は、論理的に4つのトランシーバ集積回路及び4つの受信回路を含む。
【0028】
m=3であり、無線周波数回路は、物理的に3つの独立回路モジュールを含む。3つの独立回路モジュールは、2つの第一独立回路モジュール及び1つの第二独立回路モジュールを含む。
【0029】
3つの独立回路モジュールは、4つのTポートに1対1で対応して結合された複数の送信-受信ポートを有する。
【0030】
1つの実施形態において、第一独立回路モジュールは、1つのトランシーバ集積回路、1つの受信回路、1つのパワーカプラ及び1つの第一セレクタスイッチを含む。
【0031】
第二独立回路モジュールは、異なる周波数帯域で動作する2つのトランシーバ集積回路、2つの受信回路、2つのパワーカプラ、2つの第一セレクタスイッチを含む。
【0032】
各トランシーバ集積回路は、第一PA、第一フィルタ、第二セレクタスイッチ及び第一LNAを含む。第二セレクタスイッチは、第一フィルタの1つのポートに結合された共通ポートを有する。第一フィルタの他のポートは、パワーカプラの片側の1つのポートに結合される。第二セレクタスイッチは、第一PAに結合された1つの選択ポートと、第一LNAに結合された他の選択ポートと、を有する。
【0033】
各受信回路は、第二LNA及び第二フィルタを含む。第二フィルタは、第二LNAの入力ポートに結合された1つのポートを有する。第二フィルタの他のポートは、パワーカプラの片側の他のポートに結合される。第二LNAは、受信信号を出力する出力ポートを有する。
【0034】
パワーカプラの反対側の2つのポートと第一セレクタスイッチの2つの選択ポートは1対1で対応して結合される。第一セレクタスイッチは、Tポートに結合された共通ポートを有する。
【0035】
1つの実施形態において、n=2であり、無線周波数回路は、論理的に4つのトランシーバ集積回路及び4つの受信回路を含む。
【0036】
m=4であり、無線周波数回路は、物理的に4つの独立回路モジュールを含む。4つの独立回路モジュールは、4つの第一独立回路モジュールを含む。
【0037】
4つの独立回路モジュールは、4つのTポートに1対1で対応して結合された複数の送信-受信ポートを有する。
【0038】
1つの実施形態において、第一独立回路モジュールは、1つのトランシーバ集積回路、1つの受信回路、1つのパワーカプラ及び1つの第一セレクタスイッチを含む。
【0039】
各トランシーバ集積回路は、第一PA、第一フィルタ、第二セレクタスイッチ及び第一LNAを含む。第二セレクタスイッチは、第一フィルタの1つのポートに結合された共通ポートを有する。第一フィルタの他のポートは、パワーカプラの片側の1つのポートに結合される。第二セレクタスイッチは、第一PAに結合された1つの選択ポートと、第一LNAに結合された他の選択ポートと、を有する。
【0040】
各受信回路は、第二LNA及び第二フィルタを含む。第二フィルタは、第二LNAの入力ポートに結合された1つのポートを有する。第二フィルタの他のポートは、パワーカプラの片側の他のポートに結合される。第二LNAは、受信信号を出力する出力ポートを有する。
【0041】
パワーカプラの反対側の2つのポートと第一セレクタスイッチの2つの選択ポートは1対1で対応して結合される。第一セレクタスイッチは、Tポートに結合された共通ポートを有する。
【0042】
1つの実施形態において、マルチウェイスイッチは電界効果トランジスタ(FET)を含み、マルチウェイスイッチに56個のFETが設置される。
【0043】
1つの実施形態において、n=2であり、2個のアンテナは、第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナを含む。第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナは、5G NR周波数帯域で動作可能なアンテナである。
【0044】
1つの実施形態において、n=2であり、2個のアンテナは、第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナを含む。第一アンテナと第四アンテナは、長期進化(Long Term Evolution,LTE)周波数帯域と5G NR周波数帯域で作動可能なアンテナである。第二アンテナ及び第三アンテナは、5G NR周波数帯域のみで作動可能なアンテナである。
【0045】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、第一コンバイナ及び第二コンバイナをさらに含む。第一コンバイナは、第一アンテナに結合するために用いられる第一ポートと、無線通信装置のLTE 4×4 多入力多出力(MIMO)の第一受信経路に結合するために用いられる第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合するために用いられる第三ポートと、を含む。第二コンバイナは、第四アンテナに結合するために用いられる第一ポートと、無線通信装置のLTE 4×4 MIMOの第二受信経路に結合するために用いられる第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合するために用いられる第三ポートと、を含む。
【0046】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、第一単極双投(SPDT)スイッチ及び第二SPDTスイッチをさらに含む。第一SPDTスイッチは、第一アンテナに結合するために用いられる第一ポートと、無線通信装置のLTE 4×4 MIMOの第一受信経路に結合するために用いられる第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合するために用いられる第三ポートと、を含む。第二SPDTスイッチは、第四アンテナに結合するために用いられる第一ポートと、無線通信装置のLTE 4×4 MIMOの第二受信経路に結合するために用いられる第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合するために用いられる第三ポートと、を含む。
【0047】
本発明の実施形態によれば、無線周波数システムが提供される。無線周波数システムは、アンテナシステムと、無線周波数回路と、無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されたマルチウェイスイッチと、を含む。
【0048】
マルチウェイスイッチは、4つのTポート及び2個のPポートを含む。4つのTポートのそれぞれは2個のPポートに全部結合される。4つのTポートは送信-受信機能をサポートする。nは整数であり、n≧2である。アンテナシステムは、2個のPポートに対応する2個のアンテナを含む。マルチウェイスイッチは、2個のアンテナによってSRSを順番に送信するプリセット機能を実現するために用いられる。
【0049】
本発明の実施形態によれば、無線通信装置が提供される。無線通信装置は、アンテナシステムと、無線周波数トランシーバと、無線周波数トランシーバに結合された無線周波数回路と、無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されたマルチウェイスイッチと、を含む。
【0050】
マルチウェイスイッチは4つのTポート及び2個のPポートを含む。アンテナシステムは、2個のPポートに対応する2個のアンテナを含む。nは整数であり、n≧2である。4つのTポートのそれぞれは2個のPポートに全部接続され、4つのTポートは送信-受信機能をサポートする。各々のPポートは2個のアンテナのうちの1つのアンテナに結合され、2個のPポートのうちの任意の2つのPポートは2個のアンテナのうちの異なるアンテナに結合される。マルチウェイスイッチは、2個のアンテナによってSRSを順番に送信するプリセット機能を実現するために用いられる。
【0051】
以下、当業者が容易に理解するように、本発明のいくつかの用語を説明する。
【0052】
本発明の「Pポート」は、「極ポート(pole port)」の略語であり、マルチウェイスイッチにおけるアンテナに結合されたポートを指す。本発明の「Tポート」は、「スローポート(throw port)」の略語であり、マルチウェイスイッチにおける無線周波数モジュールに結合されたポートを指す。例えば、マルチウェイスイッチは4P4Tスイッチである。本明細書の「モジュール」は、回路及び関連するコンポーネントの任意の組み合わせを指すことができる。「デュアル周波数デュアル送信モード」とは、無線通信装置がせいぜいデュアル周波数帯域-2UL送信経路又はデュアル周波数帯域-4DL受信経路をサポートすることができる動作モードを指す。
【0053】
本発明の実施形態で説明するマルチウェイスイッチのTポートとPポートの間の結合(coupling)、全部結合(fully coupling)、又は他の種類の結合の概念は、TポートがスイッチトランジスタによってPポートに結合されることを指す。さらに、無線通信装置は、スイッチトランジスタによってTポートとPポートとの間の経路導通を制御することができる。4つのPポートに対応する4つのアンテナによってSRSを順番に送信する機能は、無線通信装置はポーリングメカニズムに基づいて基地局と対話して各アンテナに対応するアップリンクチャネルの品質を確定する過程を示す。
【0054】
本発明の実施形態に係わる無線通信装置は、無線通信機能を有する様々なハンドヘルドデバイス、車載デバイス、ウェアラブルデバイス、コンピューティングデバイス又はワイヤレスモデムに接続された他の処理デバイス、及び様々な形態のユーザ装置(User Equipment,UE)、モバイルステーション(Mobile Station,MS)、端末装置(terminal device)などを含むことができる。別の実際的なアプリケーションシナリオでは、上述した無線通信装置は、基地局、アクセスポイントなどのネットワークデバイスであることができる。便利に説明するために、上記のデバイスを総称して無線通信装置と呼ぶ。
【0055】
現在、携帯電話の4つのアンテナを切り替えてSRSを送信する機能は、中国移動通信グループ(China Mobile Communications Group Co.,Ltd,CMCC)が「中国移動5G規模試験技術白書-端末」における必須オプションであり、第三世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project,3GPP)ではオプションであり、その主な目的は、基地局が携帯電話の4つのアンテナのアップリンク信号を測定することにより、4つのチャネルの品質とパラメータを確認し、チャネルの相互関係に応じて4つのチャネルに対してダウンリンク大規模MIMOアンテナアレイのビームフォーミングを実行して、最後にダウンリンク4×4MIMOが最適なデータ伝送性能を獲得するようにすることである。
【0056】
4つのアンテナでのSRSスイッチングの要件を満たすために、本発明の実施形態は、簡略化された4P4Tアンテナスイッチに基づく無線周波数アーキテクチャを提供する。3P3T/DPDT/マルチウェイ小型スイッチスイッチングスキームと比較すると、本発明のスイッチングスキームは、各経路の直列に接続されたスイッチの数を減らすことができ(全部又は一部のスイッチを4P4Tスイッチに統合する)、リンク損失を減らして、端末装置全体の送信及び受信性能を最適化する。
【0057】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0058】
以下、n=2、即ち4つのアンテナと4つのPポートを含む場合を例として説明する。 なお、本発明の実施形態において、アンテナ及びPポートの数量は4つに限定されず、その数量は2(nは整数であり、n≧2である)まで拡張可能である。2個のアンテナと2個のPポートを含む場合、無線周波数回路の論理構成、無線周波数回路の物理構成、独立回路モジュールとTポートとの間の結合、TポートとPポートとの間の結合、Pポートとアンテナとの間の結合などは、以下の実施形態を参照することができる。2個のアンテナによってSRSを順番に送信する原理及び簡略化されたスイッチの構造について、以下の実施形態の関連する説明を参照することができる。
【0059】
図1-2は、本発明の実施形態に係わるマルチウェイスイッチ10の構造を示す概略図である。マルチウェイスイッチ10は、4つのTポート及び4つのPポートを含む。4つのTポートのそれぞれは、すべての4つのPポートに結合される(即ち、全部結合される(fully-coupled))。4つのTポートは、送信-受信機能をサポートする。マルチウェイスイッチ10は、無線通信装置100に適用可能である。無線通信装置100は、デュアル周波数デュアル送信モードで動作可能であり、アンテナシステム20及び無線周波数回路30を含む。アンテナシステム20は、4つのアンテナを含む。4つのアンテナは、4つのPポートに対応する。具体的には、4つのアンテナと4つのPポートは1対1で対応される。1つのアンテナは対応するPポートに結合される。
【0060】
マルチウェイスイッチ10は、無線周波数回路30及びアンテナシステム20に結合されて、無線通信装置100のプリセット機能を実現するために用いられる。プリセット機能は、4つのPポートに対応する4つのアンテナによってSRSを順番に送信する機能であり、4ポートSRS機能であると理解できる。
【0061】
無線通信装置は、5G NRをサポートする携帯電話又は他の端末装置であることができ、例えば、CPE(Customer Premise Equipment)又はMIFI(Mobile Wifi)である。
【0062】
以下、4つのTポートが4つのPポートに全部結合される場合について詳しく説明する。
【0063】
マルチウェイスイッチは4つのTポート及び電界効果トランジスタ(FET)を含む場合、もし4つのTポートのそれぞれは4つのPポートに全部結合されると、図2に示されたマルチウェイスイッチの構造を示す概略図のように、マルチウェイスイッチのFETの数量は4+4*4*3+4=56である。
【0064】
無線通信装置は、無線周波数トランシーバをさらに含む。無線周波数トランシーバは、無線周波数回路に結合され、無線周波数回路、マルチウェイスイッチ及びアンテナシステムとともに無線通信装置の無線周波数システムを構成する。
【0065】
本発明の実施形態によれば、無線通信装置は、アンテナシステム、無線周波数回路及びマルチウェイスイッチを含む。アンテナシステムは、4つのアンテナを含む。マルチウェイスイッチは、4つのTポート及び4つのPポートを含む。マルチウェイスイッチは、無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されて、無線通信装置のプリセット機能を実現するために用いられる。プリセット機能は、4つのPポートに対応する4つのアンテナによってSRSを順番に送信する機能である。
【0066】
4つのTポートに対して、 図3に示されたように、1つの可能な実施形態において、4つのTポートは、送信-受信機能(両方向矢印で示される)をサポートするポートであることができ、4つのPポートに全部結合されたポートである。
【0067】
マルチウェイスイッチの4つのTポートに対応する無線周波数回路は、4つのトランシーバ集積回路と4つの受信回路を含むことができる。
【0068】
図4aに示されたように、無線周波数回路は、物理的に2つの独立回路モジュールを含む。2つの独立回路モジュールは、4つのTポートに1対1で対応して結合された複数の送信-受信ポートを有する。
【0069】
2つの独立回路モジュールは2つの第一独立回路モジュールを含み、第一独立回路モジュールは独立回路モジュールAとして具現される。
【0070】
独立回路モジュールAは、異なる周波数帯域で動作する2つのトランシーバ集積回路、2つの受信回路、2つのパワーカプラ及び2つの第一セレクタスイッチを含む。同じ周波数帯域間の干渉を避け、送信信号の品質に影響を与えないように、2つのトランシーバ集積回路は異なる周波数帯域で動作する。
【0071】
各トランシーバ集積回路は、第一PA、第一フィルタ、第二セレクタスイッチ及び第一LNAを含む。第二セレクタスイッチは、第一フィルタの1つのポートに結合された共通ポートを有する。第一フィルタの他のポートは、パワーカプラの片側の1つのポートに結合される。第二セレクタスイッチは、第一PAに結合された1つの選択ポートと、第一LNAに結合された他の選択ポートと、を有する。
【0072】
各受信回路は、第二LNA及び第二フィルタを含む。第二フィルタは、第二LNAの入力ポートに結合された1つのポートを有する。第二フィルタの他のポートは、パワーカプラの片側の他のポートに結合される。第二LNAは、受信信号を出力する出力ポートを有する。
【0073】
パワーカプラの反対側の2つのポートと第一セレクタスイッチの2つの選択ポートは1対1で対応して結合される。第一セレクタスイッチは、Tポートに結合された共通ポートを有する。
【0074】
図4bに示されたように、無線周波数回路は、物理的に3つの独立回路モジュールを含む。3つの独立回路モジュールは、2つの第一独立回路モジュール及び1つの第二独立回路モジュールを含む。本実施形態において、第一独立回路モジュールは独立回路モジュールBとして具現され、第二独立回路モジュールは独立回路モジュールCとして具現される。
【0075】
3つの独立回路モジュールは、4つのTポートに1対1で対応して結合された複数の送信-受信ポートを有する。
【0076】
独立回路モジュールBは、1つのトランシーバ集積回路、1つの受信回路、1つのパワーカプラ及び1つの第一セレクタスイッチを含む。
【0077】
独立回路モジュールCは、異なる周波数帯域で動作する2つのトランシーバ集積回路、2つの受信回路、2つのパワーカプラ、2つの第一セレクタスイッチを含む。
【0078】
各トランシーバ集積回路は、第一PA、第一フィルタ、第二セレクタスイッチ及び第一LNAを含む。第二セレクタスイッチは、第一フィルタの1つのポートに結合された共通ポートを有する。第一フィルタの他のポートは、パワーカプラの片側の1つのポートに結合される。第二セレクタスイッチは、第一PAに結合された1つの選択ポートと、第一LNAに結合された他の選択ポートと、を有する。
【0079】
各受信回路は、第二LNA及び第二フィルタを含む。第二フィルタは、第二LNAの入力ポートに結合された1つのポートを有する。第二フィルタの他のポートは、パワーカプラの片側の他のポートに結合される。第二LNAは、受信信号を出力する出力ポートを有する。
【0080】
パワーカプラの反対側の2つのポートと第一セレクタスイッチの2つの選択ポートは1対1で対応して結合される。第一セレクタスイッチは、Tポートに結合された共通ポートを有する。
【0081】
図4cに示されたように、無線周波数回路は、物理的に4つの独立回路モジュールを含む。4つの独立回路モジュールは、4つの第一独立回路モジュールを含む。本実施形態において、第一独立回路モジュールは独立回路モジュールDとして具現される。
【0082】
4つの独立回路モジュールは、4つのTポートに1対1で対応して結合された複数の送信-受信ポートを有する。
【0083】
独立回路モジュールDは、1つのトランシーバ集積回路、1つの受信回路、1つのパワーカプラ及び1つの第一セレクタスイッチを含む。
【0084】
各トランシーバ集積回路は、第一PA、第一フィルタ、第二セレクタスイッチ及び第一LNAを含む。第二セレクタスイッチは、第一フィルタの1つのポートに結合された共通ポートを有する。第一フィルタの他のポートは、パワーカプラの片側の1つのポートに結合される。第二セレクタスイッチは、第一PAに結合された1つの選択ポートと、第一LNAに結合された他の選択ポートと、を有する。
【0085】
各受信回路は、第二LNA及び第二フィルタを含む。第二フィルタは、第二LNAの入力ポートに結合された1つのポートを有する。第二フィルタの他のポートは、パワーカプラの片側の他のポートに結合される。第二LNAは、受信信号を出力する出力ポートを有する。
【0086】
パワーカプラの反対側の2つのポートと第一セレクタスイッチの2つの選択ポートは1対1で対応して結合される。第一セレクタスイッチは、Tポートに結合された共通ポートを有する。
【0087】
図5を参照すると、無線周波数システムは、図4bに示された3つの独立回路モジュール、上記の実施形態で説明したマルチウェイスイッチ及び無線周波数トランシーバを含む。3つの独立回路モジュールには、4つのTポートに1対1で対応して結合された複数の送信-受信ポートを有する。LNA(第一LNA及び第二LNAを含む)の出力ポート及び第一PAの入力ポートは、無線周波数トランシーバの対応するポートに結合される。 無線周波数トランシーバは選択可能であることに注意されたい。
【0088】
無線周波数回路とマルチウェイスイッチの整合形態は図面の構造を含むが、これに限定されなく、これはただ例示であることを理解されるべきである。
【0089】
さらに、上述したトランシーバ集積回路及び受信回路は、様々な方式で実現することができる。本発明の実施形態は特に限定しない。
【0090】
1つの可能な実施形態において、4つのアンテナは、第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナを含む。これらの4つのアンテナは、すべて5G NR周波数帯域で使用することができる。
【0091】
1つの可能な実施形態において、4つのアンテナは、第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナを含む。第一アンテナと第四アンテナは、LTE周波数帯域と5G NR周波数帯域で作動可能なアンテナである。第二アンテナ及び第三アンテナは、5G NR周波数帯域のみで作動可能なアンテナである。
【0092】
第一アンテナ及び第四アンテナは、LTE端末上の一部の周波数帯域でDL 4×4 MIMOをサポートすることを目的とする。この2つのアンテナは5G NRと共有される(以下、「共有アンテナ」と呼ぶ)。
【0093】
1つの可能な実施形態において、図6に示されたように、アンテナシステムは、第一コンバイナ及び第二コンバイナをさらに含む。第一コンバイナは、第一アンテナに結合するために用いられる第一ポートと、無線通信装置のLTE 4×4 MIMOの第一受信経路に結合するために用いられる第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合するために用いられる第三ポートと、を含む。第二コンバイナは、第四アンテナに結合するために用いられる第一ポートと、無線通信装置のLTE 4×4 MIMOの第二受信経路に結合するために用いられる第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合するために用いられる第三ポートと、を含む。
【0094】
LTE 4×4 MIMOはダウンリンクLTE受信回路であり、第三受信経路として定義することができる。LTEには、現在2つの受信経路があるので、LTE 4×4 MIMOをサポートするために、第三受信経路と第四受信経路が追加される。
【0095】
無線通信装置は、4つのアンテナの性能に応じて、回路のPRX(プライマリレシーバー(primary receiver))に良い性能を有するアンテナを配置し、アンテナはスタンバイ状態になる。送信機能と受信機能の両方を備えるスイッチのTポートをTXとPRXとして使用することができ、アンテナを任意に切り替えることができ、共有アンテナのポート間の結合を制限することを必要としない。
【0096】
1つの可能な実施形態において、図7に示されたように、アンテナシステムは、第一SPDTスイッチ及び第二SPDTスイッチをさらに含む。第一SPDTスイッチは、第一アンテナに結合するために用いられる第一ポートと、無線通信装置のLTE 4×4 MIMOの第一受信経路に結合するために用いられる第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合するために用いられる第三ポートと、を含む。第二SPDTスイッチは、第四アンテナに結合するために用いられる第一ポートと、無線通信装置のLTE 4×4 MIMOの第二受信経路に結合するために用いられる第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合するために用いられる第三ポートと、を含む。
【0097】
本発明の方案は、互いに組み合わせるか、又は置き換えることができる。例えば、上記のアンテナシステム及び/又はマルチウェイスイッチは、以下の無線周波数システム及び端末装置に使用するか又は組み合わせることができる。なお、本発明の「アンテナシステム及び/又はマルチウェイスイッチ」は、「アンテナシステム」、「マルチウェイスイッチ」、又は「アンテナシステム及びマルチウェイスイッチ」を意味する。
【0098】
図8は、本発明の実施形態に係わる無線周波数システムの構造を示す概略図である。無線周波数システムは、アンテナシステムと、無線周波数回路と、無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されたマルチウェイスイッチと、を含む。マルチウェイスイッチは、4つのTポート及び4つのPポートを含む。4つのTポートのそれぞれは4つのPポートに全部結合される。4つのTポートは送信-受信機能をサポートする。アンテナシステムは、4つのPポートに対応する4つのアンテナを含む。マルチウェイスイッチは、4つのアンテナによってSRSを順番に送信するプリセット機能を実現するために用いられる。
【0099】
1つの実施形態において、各Pポートは、4つのアンテナのうちの1つのアンテナに結合される。4つのPポートのうちの任意の2つのPポートは、4つのアンテナのうちの異なるアンテナに結合される。
【0100】
1つの実施形態において、4つのアンテナは、第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナを含む。第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナは、5G NR周波数帯域で動作可能なアンテナである。
【0101】
1つの実施形態において、4つのアンテナは、第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナを含む。第一アンテナと第四アンテナは、LTE周波数帯域及び5G NR周波数帯域で動作可能なアンテナである。第二アンテナ及び第三アンテナは、5G NR周波数帯域のみで動作可能なアンテナである。
【0102】
1つの可能な実施形態において、アンテナシステムは、第一コンバイナ及び第二コンバイナをさらに含む。第一コンバイナは、第一アンテナに結合された第一ポートと、無線周波数システムのLTE 4×4 MIMOの第一受信経路に結合された第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合された第三ポートと、を含む。第二コンバイナは、第四アンテナに結合された第一ポートと、無線周波数システムのLTE 4×4 MIMOの第二受信経路に結合された第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合された第三ポートと、を含む。
【0103】
1つの可能な実施形態において、アンテナシステムは、第一SPDTスイッチ及び第二SPDTスイッチをさらに含む。第一SPDTスイッチは、第一アンテナに結合された第一ポートと、無線周波数システムのLTE 4×4 MIMOの第一受信経路に結合された第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合された第三ポートと、を含む。第二SPDTスイッチは、第四アンテナに結合された第一ポートと、無線周波数システムのLTE 4×4 MIMOの第二受信経路に結合された第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合された第三ポートと、を含む。
【0104】
図8に示された無線周波数システムに関する定義は、前述の説明と同じであるので、ここでは説明しない。
【0105】
図9は、本発明の実施形態に係わる無線通信装置の構造を示す概略図である。無線通信装置は、例えば、端末装置、基地局などであることができ、アンテナシステムと、無線周波数トランシーバと、無線周波数トランシーバに結合された無線周波数回路と、上述したいずれか1つの実施形態で説明されたマルチウェイスイッチと、を含む。
【0106】
マルチウェイスイッチは、4つのTポート及び4つのPポートを含む。アンテナシステムは、4つのPポートに対応する4つのアンテナを含む。4つのTポートのそれぞれは、4つのPポートに全部結合され、4つのTポートは送信-受信機能をサポートする。各Pポートは4つのアンテナの1つのアンテナに結合され、4つのPポートのうちの任意の2つのPポートは4つのアンテナのうちの異なるアンテナに結合される。
【0107】
マルチウェイスイッチは無線周波数回路とアンテナシステムに結合されて、4つのアンテナによってSRSを順番に送信するプリセット機能を実現するために用いられる。
【0108】
さらに、図10に示されるように、本発明の実施形態で説明されるアンテナシステムの4つのアンテナは、無線通信装置(例えば、携帯電話である)の無線充電受信機(wireless charging receiver)によって再利用することもできる。無線充電受信機は、受信アンテナ及び受信制御回路を含む。受信アンテナは、無線充電送信機(wireless charging transmitter)の送信アンテナと一致する(周波数が同じ又は類似している場合に共振し、放射性共振磁気結合方式でエネルギーを無線伝送方式で伝送する)。受信制御回路は、ループアレイアンテナによってエネルギーを直流(DC)に変換してから出力して、バッテリーを充電する。受信制御回路は、ループアレイアンテナの周波数を動的に調整することにより、ループアレイアンテナの周波数を無線充電送信機の送信アンテナの周波数と一致させて、ペアリングされた充電を達成することができる。あるいは、受信制御回路は、リアルタイムで無線充電送信機と周波数変更範囲について対話して、「排他的な暗号化」無線充電モードを実現することができる。
【0109】
受信アンテナは、4つのアンテナのうちの少なくとも1つのアンテナからなるアンテナであることができる(複数のアンテナの場合、複数のアンテナはスイッチによってストローブされる)。
【0110】
例えば、図11に示されたように、受信アンテナは、上述した4つのアンテナを含むループアレイアンテナである。4つのアンテナは、アンテナ1、アンテナ2、アンテナ3及びアンテナ4を含む。アンテナ1及びアンテナ4は、LTE周波数帯域と5G NR周波数帯域の両方で動作可能であるが、アンテナ2及びアンテナ3は、5G NR周波数帯域のみで動作可能である。アンテナ1のポートとアンテナ4のポートは、ループアレイアンテナのポートとして使用される。隣接するアンテナの間は、絶縁機能を有するゲート回路170によって結合される。ゲート回路170は、スペーサー171及びスイッチ172を含み、スペーサー171は導体であり、スイッチ172はさらにコントローラーに結合される。無線通信装置は、無線充電モードで各ゲート回路170のスイッチ172を導通させて、エネルギーを受信するループアレイアンテナを形成することができる。アンテナの間にスペーサ171を追加することにより、ゲート回路170は、通常の通信モードにおける無線通信装置の複数のアンテナの間の相互結合を低減し、複数のアンテナ間の分離を改善し、アンテナの性能を最適化する一方、スイッチ171によって複数のアンテナを直列に結合してループアレイアンテナを形成することにより、送信アンテナとの一致性を高めてエネルギーを伝送することができる。アンテナ1及びアンテナ4の能力はアンテナ2及びアンテナ3の能力よりも強いので、このように配置されたループアレイアンテナは、エネルギー伝送損失を極力低減することができる。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11