(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】免疫グロブリン重鎖コーディング配列におけるDH-DH再構成が可能な非ヒト動物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20221125BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20221125BHJP
C12N 15/57 20060101ALI20221125BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221125BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221125BHJP
C12N 5/0735 20100101ALI20221125BHJP
A01K 67/027 20060101ALI20221125BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20221125BHJP
C12N 5/0781 20100101ALI20221125BHJP
C12N 5/20 20060101ALI20221125BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20221125BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20221125BHJP
C12N 9/10 20060101ALN20221125BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/57
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N5/0735
A01K67/027
C12P21/08
C12N5/0781
C12N5/20
C07K19/00
C07K16/00
C12N9/10
(21)【出願番号】P 2020569099
(86)(22)【出願日】2019-06-14
(86)【国際出願番号】 US2019037285
(87)【国際公開番号】W WO2019241692
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-03-30
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー, アンドリュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド, リン
(72)【発明者】
【氏名】グオ, チュングァン
(72)【発明者】
【氏名】マクウィルター, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ボロニナ, ベラ
【審査官】山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-505477(JP,A)
【文献】Immunology,2012年,137,p. 56-64
【文献】Frontiers in Immunology,2014年,Volume 5, Article 250,p. 1-8
【文献】The Journal of Immunology,2001年,167,p. 6933-6938
【文献】The EMBO Journal,1988年,vol.7, no. 11,p. 3413-3422
【文献】The Journal of Immunology,2006年,177,p. 1120-1128
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
A01K
C12P
C07K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作された免疫グロブリン重鎖多様性(D
H)領域(「操作されたD
H領域」)を含む、ヌクレオチド分子であって、前記操作されたD
H領域は、
(i)23merの組み換えシグナル配列(RSS)にすぐ隣接するD
H遺伝子セグメントを含む操作されたD
H遺伝子セグメント(「操作されたD
H遺伝子セグメント」)、および
(ii)その5’
末端で第1の12merのRSSが、その3’
末端で第2の12merのRSSが隣接した、再構成されていないD
H遺伝子セグメント(「再構成されていないD
H遺伝子セグメント」)
を含み、
(i)前記操作されたD
H遺伝子セグメントおよび(ii)前記再構成されていないD
H遺伝子セグメントは、(i)前記操作されたD
H遺伝子セグメントおよび(ii)前記再構成されていないD
H遺伝子セグメントが、12/23規則に従ってD
H-D
H組み換え事象において結合できるように、作動可能に結合され、
前記ヌクレオチド分子が、前記操作されたD
H領域を有するげっ歯類を得るためのものである、ヌクレオチド分子。
【請求項2】
前記ヌクレオチド分子が、
(a)前記操作されたD
H領域の上流であり、前記操作されたD
H領域に作動可能に結合された少なくとも一つの再構成されていない免疫グロブリン重鎖可変(V
H)遺伝子セグメント(「再構成されていないV
H遺伝子セグメント」);
(b)前記操作されたD
H領域の下流であり、前記操作されたD
H領域に作動可能に結合された少なくとも一つの再構成されていない免疫グロブリン重鎖結合(J
H)遺伝子セグメント(「再構成されていないJ
H遺伝子セグメント」);または
(c)(a)と(b)との組み合わせ
をさらに含む、請求項1に記載のヌクレオチド分子。
【請求項3】
(a)前記少なくとも一つの再構成されていないV
H遺伝子セグメントが、再構成されていないヒトV
H6-1遺伝子セグメントを含む、
(b)前記操作されたD
H領域が、ヒトD
H遺伝子セグメントのみを含む、
(c)前記少なくとも一つの再構成されていないJ
H遺伝子セグメントが、再構成されていないヒトJ
H6遺伝子セグメントを含む、または
(d)(a)と(b)と(c)との任意の組み合わせである、
請求項2に記載のヌクレオチド分子。
【請求項4】
前記少なくとも一つの再構成されていないJ
H遺伝子セグメントが、再構成されていないヒトJ
H4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJ
H6遺伝子セグメントを含む、請求項2または請求項3に記載のヌクレオチド分子。
【請求項5】
前記少なくとも一つの再構成されていないJ
H遺伝子セグメントが、再構成されていないヒトJ
H1遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H2遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H3遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJ
H6遺伝子セグメントを含む、請求項2~4のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項6】
前記少なくとも一つの再構成されていないV
H遺伝子セグメントが、機能的な再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含む、請求項2~5のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項7】
前記ヌクレオチド分子が、一つ以上の機能的げっ歯類Adam6遺伝子をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項8】
前記操作されたD
H遺伝子セグメントが、前記D
H遺伝子セグメントの5’末端にすぐ隣接する前記23merのRSSを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項9】
前記操作されたD
H遺伝子セグメントが、前記D
H遺伝子セグメントの3’末端にすぐ隣接する前記23merのRSSを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項10】
前記操作されたD
H遺伝子セグメントが、
(a)前記23merのRSSにすぐ隣接するヒトD
H3-3遺伝子セグメント、
(b)前記23merのRSSにすぐ隣接するヒトD
H2-2遺伝子セグメント、
(c)前記23merのRSSにすぐ隣接するヒトD
H2-8遺伝子セグメント、
(d)前記23merのRSSにすぐ隣接するヒトD
H2-15遺伝子セグメント、または
(e)(a)~(d)の任意の組み合わせ
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項11】
配列番号52として記載されるヌクレオチド配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項12】
配列番号61として記載されるヌクレオチド配列を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項13】
配列番号70として記載されるヌクレオチド配列を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項14】
配列番号71として記載されるヌクレオチド配列を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項15】
配列番号72として記載されるヌクレオチド配列を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項16】
作動可能な結合で5’から3’に;
(a)少なくとも一つの再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメント;
(b)前記操作されたD
H領域であって、前記操作されたD
H遺伝子セグメントが、前記23merのRSSにすぐ隣接するヒトD
H3-3遺伝子セグメントを含み、前記23merのRSSは、前記ヒトD
H3-3遺伝子セグメントの5’末端にすぐ隣接している、操作されたD
H領域;および
(c)少なくとも一つの再構成されていないヒトJ
H遺伝子セグメント、を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項17】
作動可能な結合で5’から3’に;
(a)少なくとも一つの再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメント、
(b)前記操作されたD
H領域であって、
(i)前記操作されたD
H遺伝子セグメントが、前記23merのRSSにすぐ隣接するヒトD
H2遺伝子セグメントを含み、前記23merのRSSは、前記ヒトD
H2遺伝子セグメントの3’末端にすぐ隣接している;
(ii)前記操作されたD
H遺伝子セグメントが、23merのRSSにすぐ隣接するヒトD
H2-2遺伝子セグメントを含む;
(iii)前記操作されたD
H遺伝子セグメントが、23merのRSSにすぐ隣接するヒトD
H2-8遺伝子セグメントを含む:
(iv)前記操作されたD
H遺伝子セグメントが、23merのRSSにすぐ隣接するヒトD
H2-15遺伝子セグメントを含む;または
(v)それらの任意の組み合わせである、操作されたD
H領域;および
(c)少なくとも一つの再構成されていないヒトJ
H遺伝子セグメント、を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項18】
前記少なくとも一つの再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントが、5’から3’に、再構成されていないヒトV
H1-2遺伝子セグメントおよび再構成されていないヒトV
H6-1遺伝子セグメントを含み、前記ヌクレオチドは、前記再構成されていないヒトV
H1-2遺伝子セグメントと前記再構成されていないヒトV
H6-1遺伝子セグメントの間に一つ以上の機能的げっ歯類Adam6遺伝子をさらに含み、前記再構成されていないヒトV
H1-2遺伝子セグメント、前記一つ以上の機能的げっ歯類Adam6遺伝子、および前記再構成されていないヒトV
H6-1遺伝子セグメントが、連続している、請求項16または請求項17に記載のヌクレオチド分子。
【請求項19】
前記少なくとも一つの再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントが、機能的な再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含む、請求項16~18のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項20】
前記少なくとも一つの再構成されていないヒトJ
H遺伝子セグメントが、再構成されていないヒトJ
H6遺伝子セグメントを含む、請求項16~19のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項21】
前記少なくとも一つの再構成されていないヒトJ
H遺伝子セグメントが、再構成されていないヒトJ
H4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJ
H6遺伝子セグメントを含む、請求項20に記載のヌクレオチド分子。
【請求項22】
前記少なくとも一つの再構成されていないヒトJ
H遺伝子セグメントが、再構成されていないヒトJ
H1遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H2遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H3遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJ
H6遺伝子セグメントを含む、請求項21に記載のヌクレオチド分子。
【請求項23】
その3’末端に、重鎖免疫グロブリン定常(C
H)領域またはその一部をさらに含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項24】
前記C
H領域またはその一部が、げっ歯類C
H領域またはその一部である、請求項23に記載のヌクレオチド分子。
【請求項25】
前記げっ歯類C
H領域またはその一部が、げっ歯類イントロンエンハンサー領域およびげっ歯類IgM遺伝子を含む、請求項24に記載のヌクレオチド分子。
【請求項26】
前記操作されたD
H遺伝子セグメントの上流に位置する薬物選択カセットをさらに含む、請求項1~25のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子と、内在性げっ歯類免疫グロブリン重鎖遺伝子座での免疫グロブリン重鎖配列との相同な組み換えを可能にするよう配置された5’および3’相同アームとを含む、ターゲティングベクター。
【請求項28】
非ヒト動物においてD
H-D
H組み換えを操作するために免疫グロブリン重鎖可変領域を修飾する方法であって、
(a)一つ以上の再構成されていないD
H遺伝子セグメントを含むD
H領域を含む免疫グロブリン重鎖可変鎖配列を得る工程であって、再構成されていないD
H遺伝子セグメントの各々が、その5’
末端で第1の12merの組み換えシグナル配列(RSS)が、その3’
末端で第2の12merのRSSが隣接する、工程と、
(b)少なくとも一つの操作されたD
H遺伝子セグメントをさらに含むように前記D
H領域を操作する工程であって、前記操作されたD
H遺伝子セグメントが、23merのRSSに作動可能に結合されたD
H遺伝子セグメントを含む、工程を含み、
得られた操作されたD
H領域において、前記操作されたD
H遺伝子セグメントと、前記一つ以上の再構成されていないD
H遺伝子セグメントのうちの少なくとも一つとが、作動可能に結合されており、12/23規則に従ってD
H-D
H組み換え事象において結合できる、方法。
【請求項29】
前記一つ以上の再構成されていないD
H遺伝子セグメントが、少なくとも一つの再構成されていないヒトD
H遺伝子セグメントを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも一つの再構成されていないヒトD
H遺伝子セグメントが、全ての機能的ヒトD
H遺伝子セグメントを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項28(a)の前記D
H領域が、二つ以上の再構成されていないD
H遺伝子セグメントを含み、その各々が、その5’
末端で第1の12merのRSSと、その3’
末端で第2の12merのRSSと隣接しており、
操作する工程が、
(a)前記二つ以上の再構成されていないD
H遺伝子セグメントの少なくとも一つを、前記操作されたD
H遺伝子セグメントで置換する工程、
(b)前記二つ以上の再構成されていないD
H遺伝子セグメントの少なくとも一つの前記第1の12merのRSSおよび前記第2の12merのRSSを、23merのRSSで置換する工程、または
(c)(a)と(b)の組み合わせ、を含む、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記免疫グロブリン重鎖可変鎖配列が、少なくとも一つの再構成されていないJ
H遺伝子セグメントを含むJ
H領域をさらに含み、
前記J
H領域が、前記D
H領域に作動可能に結合され、
前記二つ以上の再構成されていないD
H遺伝子セグメントの少なくとも一つを、前記操作されたD
H遺伝子セグメントで置換する工程が、前記少なくとも一つの再構成されていないJ
H遺伝子セグメントの欠失を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記J
H領域が、再構成されていないヒトJ
H1遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H2遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H3遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJ
H6遺伝子セグメントを含むヒト生殖系列J
H遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含み、
少なくとも一つの生殖系列J
H遺伝子セグメントの欠失が、
(i)前記再構成されていないヒトJ
H1遺伝子セグメント、前記再構成されていないヒトJ
H2遺伝子セグメント、および前記再構成されていないヒトJ
H3遺伝子セグメント、または
(ii)前記再構成されていないヒトJ
H1遺伝子セグメント、前記再構成されていないヒトJ
H2遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJ
H3遺伝子セグメント、前記再構成されていないヒトJ
H4遺伝子セグメントおよび前記再構成されていないヒトJ
H5遺伝子セグメント
の欠失を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記操作されたD
H遺伝子セグメントが、
(a)前記23merのRSSにすぐ隣接するヒトD
H3-3遺伝子セグメント、
(b)前記23merのRSSにすぐ隣接するヒトD
H2-2遺伝子セグメント、
(c)前記23merのRSSにすぐ隣接するヒトD
H2-8遺伝子セグメント、
(d)前記23merのRSSにすぐ隣接するヒトD
H2-15遺伝子セグメント、または
(e)(a)~(d)の任意の組み合わせ
を含む、請求項28~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
操作する工程が、前記D
H領域の最も3’の再構成されていないD
H遺伝子セグメントを前記操作されたD
H遺伝子セグメントで置換する工程を含む、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
操作する工程が、前記操作されたD
H遺伝子セグメントに対応する前記一つ以上の再構成されていないD
H遺伝子セグメントのうちの少なくとも一つを、前記操作されたD
H遺伝子セグメントで置換する工程を含む、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
請求項1~26のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子、請求項27に記載のターゲティングベクター、または請求項28~36のいずれか一項に記載の方法に従って修飾された免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、免疫グロブリン重鎖核酸。
【請求項38】
請求項1~26のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子、請求項27に記載のターゲティングベクター、請求項28~36のいずれか一項に記載の方法に従って修飾された免疫グロブリン重鎖可変領域、または請求項37に記載の免疫グロブリン重鎖核酸を含む、げっ歯類ゲノム。
【請求項39】
前記げっ歯類ゲノムが、
(i)再構成されていないV
H遺伝子セグメント、
(ii)前記操作されたD
H領域、および
(iii)再構成されていないJ
H遺伝子セグメント、
を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、
(i)~(iii)が、組み換え時に、前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、免疫グロブリン重鎖可変ドメインをコードする再構成された重鎖可変領域配列を含むように作動可能な結合にある、請求項38に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項40】
前記操作されたD
H遺伝子セグメントが、3’の23merのRSSにすぐ隣接するD
H遺伝子セグメントを含む、請求項39に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項41】
前記操作されたD
H遺伝子セグメントが、5’の23merのRSSにすぐ隣接するD
H遺伝子セグメントを含む、請求項39または請求項40に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項42】
前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、ヒトV
H遺伝子セグメント、ヒトD
H遺伝子セグメント、およびヒトJ
H遺伝子セグメントのみを含むヒト免疫グロブリン重鎖可変領域である、請求項39~41のいずれか一項に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項43】
前記ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域が、C
H領域に作動可能に結合されている、請求項42に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項44】
前記C
H領域が、内在性C
H領域である、請求項43に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項45】
前記再構成されていないV
H遺伝子セグメントが、機能的な再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含む、請求項39~44のいずれか一項に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項46】
前記再構成されていないJ
H遺伝子セグメントが、ヒトJ
H6遺伝子セグメントを含む、請求項39~45のいずれか一項に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項47】
げっ歯類ゲノムが、内在性Adam6遺伝子を欠く、請求項39~46のいずれか一項に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項48】
一つ以上のげっ歯類Adam6遺伝子をさらに含む、請求項39~46のいずれか一項に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項49】
前記一つ以上のげっ歯類Adam6遺伝子が、二つのヒトV
H遺伝子セグメントの間に挿入される、請求項48に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項50】
前記一つ以上のげっ歯類Adam6遺伝子が、再構成されていないヒトV
H1-2遺伝子セグメントと再構成されていないヒトV
H6-1遺伝子セグメントの間に挿入される、請求項49に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項51】
前記げっ歯類ゲノムが、ヒトAdam6偽遺伝子を含まない、請求項48に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項52】
前記一つ以上のげっ歯類Adam6遺伝子が、再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントと再構成されていないヒトD
H遺伝子セグメントの間に挿入される、請求項48に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項53】
末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ遺伝子をさらに含む、請求項38~52のいずれか一項に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項54】
前記操作されたD
H領域に対してホモ接合性であることを特徴とする、請求項38~53のいずれか一項に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項55】
前記操作されたD
H領域に対してヘテロ接合性であることを特徴とする、請求項38~53のいずれか一項に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項56】
前記げっ歯類ゲノムが、ラットゲノムまたはマウスゲノムである、請求項38~55のいずれか一項に記載のげっ歯類ゲノム。
【請求項57】
請求項38~56のいずれか一項に記載のげっ歯類ゲノムを含む、げっ歯類細胞。
【請求項58】
前記げっ歯類細胞が、ラット細胞またはマウス細胞である、請求項57に記載のげっ歯類細胞。
【請求項59】
前記げっ歯類細胞が、げっ歯類胚性幹細胞である、請求項57または請求項58に記載のげっ歯類細胞。
【請求項60】
請求項59に記載のげっ歯類胚性幹細胞から生成される、げっ歯類またはげっ歯類胚であって、その生殖系列に前記げっ歯類ゲノムを含む、げっ歯類またはげっ歯類胚。
【請求項61】
再構成された重鎖V
H(D
HA-D
HB)J
Hコード配列を含む体細胞ゲノムをさらに含み、
前記再構成された重鎖V
H(D
HA-D
HB)J
Hコード配列が、IgM定常領域遺伝子配列に作動可能に結合され、および/またはD
HAまたはD
HBが、前記操作されたD
H遺伝子セグメントまたはその一部からもたらされ、D
HAまたはD
HBの少なくとも9コの塩基対が、前記操作されたD
H遺伝子セグメントの少なくとも9コの塩基対と同一である、請求項60に記載のげっ歯類。
【請求項62】
(i)前記げっ歯類における全ての再構成された重鎖VDJコード配列の少なくとも95%が、少なくとも10アミノ酸長のCDR3を有する、
(ii)前記げっ歯類における全ての再構成された重鎖VDJコード配列の少なくとも70%が、少なくとも11アミノ酸長のCDR3を有する、
(iii)前記げっ歯類における全ての再構成された重鎖VDJコード配列の少なくとも15%が、少なくとも14アミノ酸長のCDR3を有する、または
(iv)(i)、(ii)および(iii)の任意の組み合わせである、
請求項60
または請求項61に記載のげっ歯類。
【請求項63】
ゲノムが、操作されたD
H領域を含むげっ歯類を作製する方法であって、請求項59に記載の胚性幹細胞からげっ歯類を作製することを含む、方法。
【請求項64】
ゲノムが、操作されたD
H領域を含むげっ歯類を作製する方法であって、
(a)各々、23merのRSSにすぐ隣接するD
H遺伝子セグメントを含む、一つ以上の操作されたD
H遺伝子セグメントを含むDNAフラグメントを含むように、げっ歯類胚性幹細胞のゲノムを修飾する工程であって、前記DNAフラグメントが、請求項1~26のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子、請求項27に記載のターゲティングベクター、請求項28~36のいずれか一項に記載の方法に従って修飾された免疫グロブリン重鎖可変領域、または請求項37に記載の免疫グロブリン重鎖核酸を含む、工程、
(b)(a)の前記修飾されたげっ歯類胚性幹細胞を使用してげっ歯類を生成する工程、を含む、方法。
【請求項65】
前記げっ歯類が、ラットまたはマウスである、請求項63または請求項64に記載の方法。
【請求項66】
抗体を作製するか、またはそれをコードする核酸を得る方法であって、
げっ歯類を抗原で免疫する工程であって、前記げっ歯類が、請求項38~56のいずれか一項に記載のげっ歯類ゲノムをその生殖系列において含む、工程と
前記げっ歯類が、前記抗原に結合する抗体、またはそれをコードする核酸を含む前記抗原に対する免疫応答を生じさせる工程を含む、方法。
【請求項67】
前記げっ歯類またはげっ歯類細胞から、前記抗体、またはそれをコードする
前記核酸を回収することをさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記げっ歯類細胞が、B細胞またはハイブリドーマである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
各々、23merのRSSにすぐ隣接する一つ以上の操作されたD
H遺伝子セグメントが、5’23merのRSSに作動可能に結合されたD
H遺伝子セグメントを含む、請求項66~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
各々、23merのRSSにすぐ隣接する前記一つ以上の操作されたD
H遺伝子セグメントが、3’23merのRSSに作動可能に結合されたD
H遺伝子セグメントを含む、請求項66~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記げっ歯類が、ラットまたはマウスである、請求項66~70のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第62/685,203号(2018年6月14日出願)、第62/702,206号(2018年7月23日出願)、および第62/812,580号(2019年3月1日出願)の35 U.S.C.第119(3)に基づく利益を主張するものであり、それぞれは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
配列表の公的な写しは、ASCIIフォーマットの配列表としてEFS-Webを介してファイル名「10347_ST25.txt」として電子的に提出され、そのファイルは、2019年6月13日に作成され、約50キロバイトのサイズであり、明細書と同時に作成されている。このASCIIフォーマット書面に含まれる配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
モノクローナル抗体製品は、バイオ医薬業界に革命を起こし、いくつかの疾患の処置において大きな進歩を遂げた。これらのモノクローナル抗体製品の多くは、抗体分子(すなわち、従来の免疫グロブリン遺伝子セグメント)の天然の特性を活用し、一部の例では、標識(例えば、ペグ化、放射標識)または他の薬物との結合などの他の特性を取り込んでいた。現在の承認率では、約70種のモノクローナル抗体製品が2020年までに発売される見込みである。これらの前進および治療使用用のモノクローナル抗体の使用により集められた知識にも関わらず、モノクローナル抗体が結合し、および/またはアクセスすることが困難な標的と関連する疾患は残り、効果的な処置を開発するための異なるアプローチの必要性が強調されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、様々な疾患の処置のため使用することができる、非ヒト動物(例えば、げっ歯類(例えば、ラット、例えば、マウス))を操作して、新たな抗体ベースの治療、および一部の実施形態では、抗体剤(例えば、モノクローナル抗体および/またはそのフラグメント)を同定し、開発するための追加のインビボシステムを確立することが望ましいという認識を包含する。さらに、本発明はまた、野生型(または参照)CDR3と比較してより長いアミノ酸長および多様性、一部の実施形態では、特定の抗原への結合を指示する多様性により特徴付けられる相補性決定領域3(CDR3)を含有する抗体の発現の増大を導き得る、DHとDHの再構成を可能にする組み換えシグナル配列に作動可能に結合されるよう操作された一つ以上のDHセグメントを含む、免疫グロブリン重鎖可変領域(例えば、異種免疫グロブリン重鎖可変領域、例えば、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域)内に操作された重鎖多様性(DH)クラスター(または操作されたDH領域)を有する非ヒト動物が望ましいことを包含する。一部の実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物は、ヒトへの投与のための抗体および/または抗体ベースの治療の開発のためのインビボシステムを提供する。
【0005】
本明細書において、23merの組み換えシグナル配列(RSS)に作動可能に結合された少なくとも一つの免疫グロブリン重鎖多様性(DH)遺伝子セグメントを含むヌクレオチド分子が記載され、場合により、DH遺伝子セグメントは、例えば、免疫グロブリン重鎖可変領域(例えば、ヒトまたはヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域)の操作されたDH領域内に位置してもよい。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子は、23mer(RSS)に作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメントを含む操作された免疫グロブリン重鎖可変多様性(DH)を含む。一部の実施形態では、操作されたDH領域は、(i)23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメント、および(ii)一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接した再構成されていないDH遺伝子セグメントを含み、(i)23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメント、および(ii)一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接した生殖系列DH遺伝子セグメントは、(i)および(ii)が、12/23ルールに従いDH-DH組み換え現象に加わることができるように、作動可能に結合される。また、ターゲティングベクター、非ヒト動物(例えば、げっ歯類(例えば、ラットまたはマウス))、および本明細書に記載のヌクレオチド分子を含む非ヒト動物細胞(例えば、げっ歯類細胞(例えば、ラット細胞またはマウス細胞)、本明細書に記載のヌクレオチド分子を使用する方法などが提供される。
【0006】
一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントは、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、ヒトDH遺伝子セグメントは、少なくとも19個のヌクレオチドを含み、および/または2個のシステインをコードする。一部の実施形態では、ヒトDH遺伝子セグメントは、少なくとも20個のヌクレオチドを含み、および/または2個のシステインをコードする。一部の実施形態では、ヒトDH遺伝子セグメントは、少なくとも23個のヌクレオチドを含み、および/または2個のシステインをコードする。一部の実施形態では、ヒトDH遺伝子セグメントは、少なくとも28個のヌクレオチドを含み、および/または2個のシステインをコードする。一部の実施形態では、ヒトDH遺伝子セグメントは、少なくとも31個のヌクレオチドを含み、および/または2個のシステインをコードする。一部の実施形態では、ヒトDH遺伝子セグメントは、少なくとも37個のヌクレオチドを含み、および/または2個のシステインをコードする。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、DH遺伝子セグメントは、少なくとも30個のヌクレオチドを含み、および/または2個のシステインをコードする。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH3-3遺伝子セグメント、DH3-9遺伝子セグメント、DH3-10遺伝子セグメント、DH3-16遺伝子セグメント、DH3-22遺伝子セグメント、ヒトDH2-2遺伝子セグメント、ヒトDH2-8遺伝子セグメント、またはヒトDH2-15遺伝子セグメントからなる群から選択されるDH遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH3-3遺伝子セグメント、ヒトDH2-2遺伝子セグメント、ヒトDH2-8遺伝子セグメント、およびヒトDH2-15遺伝子セグメントからなる群から選択されるヒトDH遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH3-3遺伝子セグメント、ヒトDH2-2遺伝子セグメント、ヒトDH2-8遺伝子セグメント、およびヒトDH2-15遺伝子セグメントからなる群から選択されるヒトDH遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、ヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH3-3遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、ヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH2-2遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、ヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH2-8遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、ヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH2-15遺伝子セグメントを含む。
【0007】
一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントは、(a)23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH3-3遺伝子セグメント、場合により、23merのRSSは、ヒトDH3-3遺伝子セグメントの5’末端に隣接する、(b)23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-2遺伝子セグメント、場合により、23merのRSSは、ヒトDH2-2遺伝子セグメントの3’末端に隣接する、(c)23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-8遺伝子セグメント、場合により、23merのRSSは、ヒトDH2-8遺伝子セグメントの3’末端に隣接する、(d)23merのRSSに作動可能に結合されたヒト2-15遺伝子セグメント、場合により、23merのRSSは、ヒトDH2-15遺伝子セグメントの3’末端に隣接する、または(e)(a)~(d)の任意の組み合わせを含む。
【0008】
一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子(例えば、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメント、操作されたDH領域、免疫グロブリン重鎖可変領域など)は、配列番号52にとして記載される配列を含むヌクレオチド配列を含む。
【0009】
一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子(例えば、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメント、操作されたDH領域、免疫グロブリン重鎖可変領域など)は、配列番号61にとして記載される配列を含むヌクレオチド配列を含む。
【0010】
一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子(例えば、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメント、操作されたDH領域、免疫グロブリン重鎖可変領域など)は、配列番号70にとして記載される配列を含むヌクレオチド配列を含む。
【0011】
一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子(例えば、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメント、操作されたDH領域、免疫グロブリン重鎖可変領域など)は、配列番号71にとして記載される配列を含むヌクレオチド配列を含む。
【0012】
一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子(例えば、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメント、操作されたDH領域、免疫グロブリン重鎖可変領域など)は、配列番号72にとして記載される配列を含むヌクレオチド配列を含む。
【0013】
一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントは、5’から3’に23merのRSSおよびDH遺伝子セグメントを含み、例えば、5’から3’に23merのRSS、(ヒト)DH遺伝子セグメント、および12merのRSSを含み、例えば、23merのRSSは、DH遺伝子セグメントの5’末端に隣接し、例えば、DH遺伝子セグメントは、5’末端の23merのRSSに作動可能に結合される。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントは、5’末端の23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH3-3遺伝子セグメントを含み、例えば、ヌクレオチド分子は、5’から3’に23merのRSS、ヒトDH3-3遺伝子セグメント、および12merのRSSを含む。
【0014】
少なくとも一つのDH遺伝子セグメントを5’末端の23merのRSSと共に含む操作されたDH領域は、一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する再構成されていないDH遺伝子セグメントをさらに含んでもよく(例えば、一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する、再構成されていないDH遺伝子セグメントは、生殖系列DH遺伝子セグメント、例えば、その生殖系列配置のDH遺伝子セグメントなどを含む)、再配置されていないDH遺伝子セグメントは、5’末端の23merに作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメントの上流にあり、作動可能に結合されている。一部の実施形態では、一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する、再構成されていないDH遺伝子セグメントは、一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する、再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントを含む。
【0015】
一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントは、5’から3’にDH遺伝子セグメントおよび23merのRSSを含み、例えば、5’から3’に12merのRSS、(ヒト)DH遺伝子セグメント、および23merのRSSを含み、例えば、23merのRSSは、DH遺伝子セグメントの3’末端に隣接し、例えば、DH遺伝子セグメントは、3’末端の23merのRSSに作動可能に結合されるなどである。一部の実施形態では、3’末端の23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントは、3’末端の23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2遺伝子セグメントを含み、DH2遺伝子セグメントは、ヒトDH2-2遺伝子セグメント、ヒトDH2-8遺伝子セグメント、およびヒトDH2-15遺伝子セグメントからなる群から選択される。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントは、5’から3’に3’末端の23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-2遺伝子セグメント、3’末端の23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-8遺伝子セグメント、および3’末端の23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-15遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、3’末端の23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントは、5’から3’に、12merのRSS、ヒトDH2-2遺伝子セグメント、および23merのRSSを含む第1の隣接ヌクレオチド配列、12merのRSS、ヒトDH2-8遺伝子セグメント、および23merのRSSを含む第2の隣接ヌクレオチド配列、ならびに12merのRSS、ヒトDH2-15遺伝子セグメント、および23merのRSSを含む第3の隣接ヌクレオチド配列を含む。
【0016】
3’末端の23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメントを含む操作されたDH領域は、一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する再構成されていないDH遺伝子セグメントをさらに含んでもよく(例えば、一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する、再構成されていないDH遺伝子セグメントは、生殖系列DH遺伝子セグメント、例えば、その生殖系列配置のDH遺伝子セグメントなどを含んでもよい)、一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する、再配置されていないDH遺伝子セグメントは、3’末端の23merに作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメントの上流であり、作動可能に結合されている。一部の実施形態では、一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する、再構成されていないDH遺伝子セグメントは、一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する、再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントを含む。
【0017】
一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域は、(i)一つ以上の再構成されていないヒトDH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメントの一つ以上の各々は、その5’および3’末端で12merのRSSが隣接する、(ii)その5’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメント(例えば、ヒトDH3-3遺伝子セグメント)を含む、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域は、5’から3’に、(i)23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメント、例えば、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのヒトDH2遺伝子セグメント、場合により、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのヒトDH2遺伝子セグメントは、その3末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-2遺伝子セグメント、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-8遺伝子セグメント、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-15遺伝子セグメント、または任意の組み合わせを含む、および(ii)一つ以上のヒトDH遺伝子セグメント、一つ以上のヒトDH遺伝子セグメントの各々は、その5’および3’末端で12merのRSSが隣接している、を含む。
【0018】
一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域は、ヒトDH遺伝子セグメントのみを含む。
【0019】
一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子(例えば、操作されたDH領域、免疫グロブリン重鎖可変領域など)は、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントおよび一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する、再構成されていないDH遺伝子セグメントを含み、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントおよび一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する、再構成されていないDH遺伝子セグメントは、(i)別のDH遺伝子セグメント、(ii)VH遺伝子セグメント、(iii)JH遺伝子セグメント、または(iv)その任意の組み合わせとの組み換えを受けていない。一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子は、(i)別のDH遺伝子セグメント、(ii)VH遺伝子セグメント、(iii)JH遺伝子セグメント、またはその任意の組み合わせと組み換えされた一つ以上のDH遺伝子セグメント含む操作されたDH遺伝子領域を含む分子、例えば、免疫グロブリン重鎖可変領域をコードする再構成されたVDJまたはVDDJコード配列を含むヌクレオチド分子を含む。
【0020】
従って、一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域を含む本明細書に記載のヌクレオチド分子は、作動可能な結合で、(a)操作されたDH領域の上流にあり、作動可能に結合された、少なくとも一つの再構成されていない免疫グロブリン重鎖可変(VH)遺伝子セグメント(例えば、再構成されていないヒトVH6-1遺伝子セグメント)、(b)操作されたDH領域の上流にあり、作動可能に結合された、少なくとも一つの再構成されていない免疫グロブリン重鎖結合(JH)遺伝子セグメント(例えば、再構成されていないヒトJH6)遺伝子セグメント、または(a)と(b)の組み合わせを含む。
【0021】
一部の実施形態では、少なくとも一つの再構成されていないVH遺伝子セグメントは、再構成されていないヒトVH3-74と再構成されていないヒトVH1-6遺伝子セグメントの間に渡り、それらを含む、機能的な再構成されていないヒトVH遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含む。一部の実施形態では、少なくとも一つの再構成されていないVH遺伝子セグメントは、生殖系列配置で、再構成されていないヒトVH3-74と再構成されていないヒトVH1-6遺伝子セグメントの間に渡り、それらを含む、機能的な再構成されていないヒトVH遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含む。一部の実施形態では、少なくとも一つの再構成されていないJH遺伝子セグメントは、再構成されていないヒトJH4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJH6遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、少なくとも一つの再構成されていないJH遺伝子セグメントは、再構成されていないヒトJH1遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH2遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH3遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJH6遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、少なくとも一つの再構成されていないJH遺伝子セグメントは、生殖系列配置で、再構成されていないヒトJH1遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH2遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH3遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJH6遺伝子セグメントを含む。
【0022】
一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子は、本明細書に記載の操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変(VH)領域を含み、例えば、作動可能な結合で5’から3’に:
(a)少なくとも一つの再構成されていない免疫グロブリン重鎖可変(VH)遺伝子セグメント、
(b)23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメントを含む操作されたDH領域、
(c)少なくとも一つの再構成されていない免疫グロブリン重鎖結合(JH)遺伝子セグメント、を含む。
【0023】
一部の実施形態では、
(a)少なくとも一つの再構成されていないVH遺伝子セグメントは、
(i)再構成されていないヒトVH6-1遺伝子セグメント、
(ii)再構成されていないヒトVH2-1遺伝子セグメントおよび再構成されていないヒトVH6-1遺伝子セグメント、ならびに/または
(iii)再構成されていないヒトVH3-74から再構成されていないヒトVH6-1遺伝子セグメントに渡り、それらを含む全ての機能的な再構成されていないヒトVH遺伝子セグメント、例えば、生殖系列配置の全ての機能的な再構成されていないヒトVH遺伝子セグメント、場合により、げっ歯類Adam6遺伝子は、再構成されていないヒトVH2-1とVH6-1遺伝子セグメントの間で偽遺伝子を置換する、を含み;
(b)操作されたDH領域は、5’から3’に:
(i)一つまたは複数、例えば、複数の再構成されていないヒトDH遺伝子セグメント、複数の再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントの各々は、その5’および3’末端に12merのRSSが隣接する、およびその5’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメント、場合により、複数の再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントは、生殖系列配置で、再構成されていないヒトDH1-1遺伝子セグメントと再構成されていないヒトDH1-26の間に渡り、それらを含む再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントを含み、および/またはその5’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒト遺伝子セグメントは、ヒトDH3-3遺伝子セグメントであり、例えば、操作されたDHは、5’末端の23merのRSSに作動可能に結合されたDH3-3で置換された、再構成されていないヒトDH7-27遺伝子セグメントを除き、生殖系列配置の再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含む;
(ii)その3’末端で23merのRSSと作動可能に結合された少なくとも一つのヒトDH遺伝子セグメント、および一つ以上、例えば、複数のヒトDH遺伝子セグメント、一つ以上のヒトDH遺伝子セグメントの各々は、その5’および末端と3’末端で12merのRSSと隣接し、場合により、その3’末端で23merのRSSと作動可能に結合された少なくとも一つのヒトDH遺伝子セグメントは、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたDH2-2遺伝子セグメント、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-8遺伝子セグメント、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-15遺伝子セグメントを含み、および/または一つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントは、再構成されていないヒトDH1-1遺伝子セグメントと再構成されていないヒトDH7-27遺伝子セグメントの間に渡り、それらを含むDH遺伝子セグメントを含み、場合により、操作されたDHは、再構成されていないヒトDH2-2、DH2-8、およびDH2-15遺伝子セグメントは、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたDH2-2遺伝子セグメント、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-8遺伝子セグメント、およびその3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-15遺伝子セグメントを除き、生殖系列配置で、再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含む;
(iii)または(b)(i)と(b)(ii)の組み合わせを含み;
(c)少なくとも一つの再構成されていないJH遺伝子セグメントは、
(i)再構成されていないヒトJH6遺伝子セグメント、
(ii)再構成されていないヒトJH4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJH6遺伝子セグメント、および/または
(iii)再構成されていないヒトJH遺伝子セグメントの完全なレパートリー、例えば、再構成されていないヒトJH1遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH2遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH3遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJH6遺伝子セグメント、場合により、再構成されていないヒトJH1、JH2、JH3、JH4、JH5、およびJH6遺伝子セグメントは、生殖系列配置である、を含む。一部の実施形態では、免疫グロブリンVH領域(少なくとも一つの機能的VH遺伝子セグメント、操作されたVH領域、および少なくとも一つの機能的JH遺伝子セグメントを含む)は、ヒト免疫グロブリンVH領域であり、例えば、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントを含む、各遺伝子セグメント(例えば、その中の各VH、DH、およびJH遺伝子セグメント)は、ヒト(VH、DH、またはJH)遺伝子セグメントである。
【0024】
一部の実施形態では、本明細書に記載の免疫グロブリンVH領域を含むヌクレオチド分子は、作動可能な結合で、5’から3’に
(a)少なくとも、再構成されていないヒトVH6-1遺伝子セグメント、例えば、再構成されていないヒトVH3-74と再構成されていないヒトVH6-1遺伝子セグメントの間に渡り、それらを含む、全ての再構成されていないヒトVH遺伝子セグメントの全てまたは一部、例えば、場合により、二つの再構成されていないヒトVH遺伝子セグメントの間にげっ歯類Adam6遺伝子、例えば(例えば、げっ歯類Adam6遺伝子は、ヒトVH1-2遺伝子セグメントとヒトVH6-1遺伝子セグメントの間に位置する)を含む、機能的な再構成されていないヒトVH遺伝子セグメントの完全なレパートリー
(b)生殖系列配置で、再構成されていないヒトDH1-1遺伝子セグメントと再構成されていないヒトDH1-26遺伝子セグメントの間に渡り、それらを含む、5’から3’に再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントを含む、ヒト操作されたDH領域、および5’末端の23merのRSSに作動可能に結合された再構成されていないヒトDH3-3遺伝子セグメント、例えば、5’末端の23merのRSSに作動可能に結合された再構成されていないヒトDH3-3遺伝子セグメントで置換されている、再構成されていないヒトDH7-27遺伝子セグメントを除く、生殖系列配置で再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントの完全なレパートリー、および
(c)少なくとも再構成されていないヒトJH6遺伝子セグメント、を含む。
【0025】
一部の実施形態では、本明細書に記載の免疫グロブリンVH領域を含むヌクレオチド分子は、作動可能な結合で、5’から3’に:
(a)少なくとも、再構成されていないヒトVH6-1遺伝子セグメント、例えば、再構成されていないヒトVH3-74と再構成されていないヒトVH6-1遺伝子セグメントの間に渡り、それらを含む、全ての再構成されていないヒトVH遺伝子セグメントの全てまたは一部、例えば、場合により、二つの再構成されていないヒトVH遺伝子セグメントの間にげっ歯類Adam6遺伝子、例えば(例えば、げっ歯類Adam6遺伝子は、ヒトVH1-2遺伝子セグメントとヒトVH6-1遺伝子セグメントの間に位置する)を含む、機能的な再構成されていないヒトVH遺伝子セグメントの完全なレパートリー
(b)生殖系列配置で、再構成されていないヒトDH1-1遺伝子セグメントと再構成されていないヒトDH1-26遺伝子セグメントの間に渡り、それらを含む、5’から3’に再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントを含む、ヒト操作されたDH領域、および5’末端の23merのRSSに作動可能に結合された再構成されていないヒトDH3-3遺伝子セグメント、例えば、5’末端の23merのRSSに作動可能に結合された再構成されていないヒトDH3-3遺伝子セグメントで置換されている、再構成されていないヒトDH7-27遺伝子セグメントを除く、生殖系列配置で再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントの完全なレパートリー、および
(c)再構成されていないヒトJH4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJH6遺伝子セグメント、を含む。
【0026】
一部の実施形態では、本明細書に記載の免疫グロブリンVH領域を含むヌクレオチド分子は、作動可能な結合で、5’から3’に
(a)少なくとも、再構成されていないヒトVH6-1遺伝子セグメント、例えば、再構成されていないヒトVH3-74と再構成されていないヒトVH6-1遺伝子セグメントの間に渡り、それらを含む、全ての再構成されていないヒトVH遺伝子セグメントの全てまたは一部、例えば、場合により、二つの再構成されていないヒトVH遺伝子セグメントの間にげっ歯類Adam6遺伝子、例えば(例えば、げっ歯類Adam6遺伝子は、ヒトVH1-2遺伝子セグメントとヒトVH6-1遺伝子セグメントの間に位置する)を含む、機能的な再構成されていないヒトVH遺伝子セグメントの完全なレパートリー
(b)5’から3’に、再構成されていないヒトDH1-1遺伝子セグメント、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたDH2-2遺伝子セグメント、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-8遺伝子セグメント、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-15遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトDH3-16遺伝子セグメントと再構成されていないヒトDH7-27遺伝子セグメントの間に渡り、それらを含む、再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントを含む、ヒト操作されたDH領域、場合により、操作されたDHは、再構成されていないヒトDH2-2、DH2-8、およびDH2-15遺伝子セグメントは、それぞれ、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたDH2-2遺伝子セグメント、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-8遺伝子セグメント、およびその3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-15遺伝子セグメントで置換されていることを除き、生殖系列配置で、再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含む、および
(c)再構成されていないヒトJH遺伝子セグメントの完全なレパートリー、例えば、再構成されていないヒトJH1遺伝子セグメント、再構成されていないJH2ヒト遺伝子セグメント、再構成されていないJH3ヒト遺伝子セグメント、再構成されていないJH4ヒト遺伝子セグメント、再構成されていないJH5ヒト遺伝子セグメント、および再構成されていないJH6ヒト遺伝子セグメント、場合により、再構成されていないヒトJH1、JH2、JH3、JH4、JH5、およびJH6遺伝子セグメントは、生殖系列配置にある、を含む。
【0027】
一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子は、5’から3’に、(a)少なくとも一つの(ヒト)VH遺伝子セグメントを含む(ヒト)免疫グロブリン重鎖可変(VH)領域、本明細書に記載の(ヒト)操作されたDH領域、および(b)重鎖免疫グロブリン定常領域(CH)またはその一部に作動可能に結合された少なくとも一つの(ヒト)JH遺伝子セグメントを含み、場合により、CHは、げっ歯類イントロンエンハンサー領域、げっ歯類IgM遺伝子、げっ歯類IgD遺伝子、げっ歯類IgG遺伝子、げっ歯類IgA遺伝子、げっ歯類IgE遺伝子、または任意のその組み合わせを含む、げっ歯類CHである。一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子は、5’から3’に、(a)少なくとも一つのヒトVH遺伝子セグメント、本明細書に記載のヒト操作されたDH領域、および(b)少なくともげっ歯類イントロンエンハンサー領域、場合により、げっ歯類IgM遺伝子を含む、げっ歯類CH領域に作動可能に結合された少なくとも一つのヒトJH遺伝子セグメントを含む、ヒト免疫グロブリン重鎖VH領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子は、5’から3’に、(a)少なくとも一つのヒトVH遺伝子セグメント、本明細書に記載のヒト操作されたDH領域、および(b)少なくともげっ歯類イントロンエンハンサー領域、場合により、げっ歯類IgM遺伝子を含む、げっ歯類CH領域に作動可能に結合された少なくとも一つのヒトJH遺伝子セグメントを含む、ヒト重鎖VH領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子は、5’から3’に、(a)少なくとも一つのヒトVH遺伝子セグメント、本明細書に記載のヒト操作されたDH領域、および(b)内在性げっ歯類CH領域に、例えば、内在性げっ歯類免疫グロブリン重鎖遺伝子座で作動可能に結合された少なくとも一つのヒトJH遺伝子セグメントを含む、ヒトVH領域を含む。一部の実施形態では、げっ歯類は、ラットであってもよい。一部の実施形態では、げっ歯類は、マウスであってもよい。
【0028】
一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子は、げっ歯類Adam6遺伝子をさらに含む。一部の実施形態では、げっ歯類Adam6遺伝子は、ヒトVH2‐1とVH6-1遺伝子セグメントの間に位置し、例えば、生殖系列配置で、ヒトVH2-1とVH6-1遺伝子セグメントの間に位置するヒトAdam6遺伝子を置換する。一部の実施形態では、げっ歯類は、ラットであってもよい。一部の実施形態では、げっ歯類は、マウスであってもよい。
【0029】
一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチド分子は、一つまたは複数の薬物選択カセット、例えば、一つまたは複数の部位特異的組み換え部位に隣接する薬剤耐性遺伝子、例えば、loxP部位特異的組み換え認識部位に隣接するネオマイシン薬剤耐性遺伝子を含み、一つまたは複数の薬剤耐性カセットの少なくとも一つは、場合により、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのD
H遺伝子セグメントの直ぐ上流にある。一部の実施形態では、ヌクレオチド分子は、
図2で説明される配列を含む。
【0030】
また、非ヒト動物(例えば、ラットまたはマウスなどのげっ歯類)のゲノム(例えば、生殖系列ゲノム)を、本明細書に記載の操作されたDH領域を含むように修飾するためのターゲティングベクターも、本明細書に記載される。一般に、本明細書に記載のターゲティングベクターは、本明細書に記載のヌクレオチド分子のいずれかを含み、場合により、免疫グロブリン重鎖可変領域内に相同組み換えのための5’および3’相同アームを含み、場合により、免疫グロブリン重鎖可変領域は、ヒトまたはヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域である。一部の実施形態では、本明細書に記載のターゲティングベクターは、再構成されていないヒト遺伝子セグメント、例えば、VH6-1遺伝子セグメントを含む5’相同アーム、ならびに/またはげっ歯類(例えば、マウス)CH領域またはその一部、例えば、げっ歯類(マウス)CHイントロンエンハンサー領域および/もしくはげっ歯類(マウス)IgM遺伝子を含む3’相同アームを含む。
【0031】
一部の実施形態では、ターゲティングベクターは、本明細書に記載のヌクレオチド分子、および免疫グロブリン重鎖配列が、場合により、内在性げっ歯類免疫グロブリン重鎖遺伝子座に位置し、および/またはヒトまたはヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、免疫グロブリン重鎖配列との相同性組み換えを可能にするよう配置された5’および3’相同アームを含む。一部の実施形態では、再構成されていないヒト遺伝子セグメント(例えば、VH6-1遺伝子セグメント)、ヒト操作されたDH領域、少なくとも一つの再構成されていないヒトJH遺伝子セグメントを含む5’相同アーム、ならびにげっ歯類(マウス)CHイントロンエンハンサー領域および/またはげっ歯類(マウス)を含む3’相同アームを含む、本明細書に記載のターゲティングベクターは、場合により、それらの繁殖性を保存する機能的ADAM6遺伝子、機能的CH1ドメインを欠く逆キメラ非IgM抗体の産生のため、インタクトな内在性IgM遺伝子および別の内在性修飾定常領域遺伝子(例えば、IgG)を含む修飾された内在性重鎖定常領域遺伝子配列、逆キメラヒト化共通軽鎖をコードする配列、逆キメラヒト化カッパ軽鎖をコードする配列、逆キメラヒト化ラムダ軽鎖をコードする配列、ハイブリッドカッパ/ラムダまたはカッパ/ラムダ軽鎖をコードする配列、ヒスチジンアミノ酸を有し、pH感受性抗原結合および/または増大した抗原レセプター多様性のため末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ(TdT)を発揮し得る可変ドメインの発現のためヒスチジンコドンで修飾された、再構成されていない生殖系列ヒト重鎖遺伝子セグメントおよび/または再構成されている(いない)生殖系列軽鎖遺伝子セグメントを含んでもよい、ヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含むげっ歯類、例えば、マウス免疫グロブリン可変配列のヒト免疫グロブリン可変配列での置換を含むマウス、例えば、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおいてDH領域を操作するのに有用であり得る。例えば、米国特許第9,035,128号;第9,066,502号;第9,163,092号;第9,150,662号;第9,334,333号;第9,850,462号;第9,844,212号;第9,029,628号;第9,006,511号;第9,394,373号;第9,206,261号;第9,206,262号;第9,206,263号;第9,226,484号;第9,399,683号;第9,540,452号;第9,012,717号;第9,796,788号、第8,697,940号;第8,754,287号;第9,334,334号;第9,801,362号;第9,332,742号;第9,969,814号;米国特許公開第2011/0195454号、第2012/0021409号、第2012/0192300号、第2013/0185821号、第2013/0302836号、第2013/0045492号、および第2018/0125043号;国際特許出願公開第2017210586号、および第2019/113065号を参照のこと、その各々が、その全体が参照により本明細書に組込まれる。
【0032】
したがって、例えば、げっ歯類におけるDH-DH組み換えのためDH領域を操作する方法が本明細書に記載されている。一部の実施形態では、方法は、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメントを含むよう、一つ以上の再構成されていないDH遺伝子セグメントを含むDH領域を修飾する工程を含む。一部の実施形態では、DH-DH組み換えを操作するよう免疫グロブリン重鎖可変領域を修飾する方法は、一つ以上の再構成されていないDH遺伝子セグメントを含むDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を得る工程、再構成されていないDH遺伝子セグメントの各々は、一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する、および23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメントをさらに含むようDH領域を修飾する工程を含む。一部の実施形態では、DH領域は、一つ以上の再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントを含むヒトDH領域であり、例えば、複数の再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントは、場合により、例えば、生殖系列配置で、DH1-1とDH7-27遺伝子セグメントの間に渡り、それらを含む全ての機能的な再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、修飾は、一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する一つ以上の再構成されていないDH遺伝子セグメント、例えば、機能的な再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントの一つ以上を、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメントで置換することを含む。一部の実施形態では、DH領域の一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する大部分の3’再構成されていないDH遺伝子セグメントは、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントで置換され、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントは、5’から3’に、23merのRSS、DH遺伝子セグメント、および12merのRSSを含む。一部の実施形態では、一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する再構成されていないDH遺伝子セグメントは、23merのRSSに作動可能に結合されるよう操作された対応するDH遺伝子セグメントで置換されている。一部の実施形態では、DH領域は、再構成されていないヒトDH7-27遺伝子セグメント(例えば、生殖系列DH7-27遺伝子セグメント)を含み、再構成されていないヒトDH7-27遺伝子セグメントは、5’末端の23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメント(例えば、再構成されていないヒトDH3-3遺伝子セグメント)によって置換されている。一部の実施形態では、DH領域は、再構成されていないDH2-2遺伝子セグメント、再構成されていないDH2-8遺伝子セグメント、および/または再構成されていないDH2-15遺伝子セグメントを含み(例えば、操作されたDHは、生殖系列配置で、再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含む)、再構成されていないDH2-2遺伝子セグメント、再構成されていないDH2-8遺伝子セグメント、および/または再構成されていないDH2-15遺伝子セグメントは、それぞれ、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたDH2-2遺伝子セグメント、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-8遺伝子セグメント、および/またはその3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-15遺伝子セグメントで置換されている。一部の実施形態では、修飾は、再構成されていないDH遺伝子セグメント(例えば、ヒト生殖系列DH遺伝子セグメント)に隣接する二つの12merのRSSの一つを23merのRSSで置換することを含む。一部の実施形態では、修飾されるべき免疫グロブリン重鎖可変領域は、DH領域に加えて、DH領域に作動可能に結合されたJH領域(場合により、ヒト生殖系列JH1遺伝子セグメント、ヒト生殖系列JH2遺伝子セグメント、ヒト生殖系列JH3遺伝子セグメント、ヒト生殖系列JH4遺伝子セグメント、ヒト生殖系列JH5遺伝子セグメント、およびヒト生殖系列JH6遺伝子セグメントを含むヒト生殖系列JH遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含み、場合により、ヒト生殖系列JH1、JH2、JH3、JH4、JH5、およびJH6遺伝子セグメントは、生殖系列配置にある)を含み、一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接する再構成されていないDH遺伝子セグメントの置換は、JH領域に含まれる少なくとも一つの再構成されていないJH遺伝子セグメントを欠失させることを含み、例えば、DH領域と隣接する再構成されていないヒトJH1、JH2、JH3、JH4、および/またはJH5遺伝子セグメントの欠失をもたらす。一部の実施形態では、JH領域に含まれる少なくとも一つの生殖系列JH遺伝子セグメントを欠失させることは、再構成されていないヒトJH1、JH2、およびJH3遺伝子セグメントを欠失させること、および場合により、JH4およびJH5遺伝子セグメントをさらに欠失させることを含む。一部の実施形態では、全ての機能的DH遺伝子セグメントの一つ以上を置換すること、例えば、DH7-27遺伝子セグメントを、5’末端の23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメント、例えば、5’末端の23merのRSSに作動可能に結合されたDH3-3遺伝子セグメントで置換することは、DH領域と隣接する再構成されていないヒトJH1、JH2、およびJH3遺伝子セグメントの欠失をもたらす。一部の実施形態では、全ての機能的DH遺伝子セグメントの一つ以上を置換すること、例えば、DH7-27遺伝子セグメントを、5’末端の23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメント、例えば、5’末端の23merのRSSに作動可能に結合されたDH3-3遺伝子セグメントで置換することは、DH領域と隣接する再構成されていないヒトJH1、JH2、JH3、JH4、およびJH5遺伝子セグメントの欠失をもたらす。一部の実施形態では、DH領域は、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメントを含むよう修飾され、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメントは、(a)23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH3-3遺伝子セグメント、場合により、23merのRSSは、DH3-3遺伝子セグメントの5’末端に隣接する、(b)23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-2遺伝子セグメント、場合により、23merのRSSは、DH2-2遺伝子セグメントの3’末端に隣接する、(c)23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-8遺伝子セグメント、場合により、23merのRSSは、DH2-8遺伝子セグメントの3’末端に隣接する、(d)23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-15遺伝子セグメント、場合により、23merのRSSは、DH2-15遺伝子セグメントの3’末端に隣接する、または(e)(a)~(d)の任意の組み合わせを含む。
【0033】
かかる方法は、操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域、例えば、本明細書に記載の(ヒト)免疫グロブリン重鎖可変領域を含むヌクレオチド分子をもたらし得、再構成された(いない)(ヒト)免疫グロブリン重鎖領域は、非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域またはその一部、例えば、少なくともげっ歯類CHイントロンエンハンサー領域および/またはげっ歯類IgM遺伝子を、例えば、場合により、非ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座で含むげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域に場合により作動可能に結合されてもよい。一部の実施形態では、組み換えの際、かかる免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン、例えば、長さが、VH(DHA-DHB)JH、VHDHJH6、またはVH(DHA-DHB)JH6組み換えの結果であってもよい、20アミノ酸より長い相補性決定領域3(CDR3)アミノ酸長を有する免疫グロブリン重鎖可変ドメインをコードする再構成された免疫グロブリン重鎖可変領域コード配列を含む。したがって、CDR3の長さが、少なくとも20アミノ酸長である、CDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメインをコードする再構成された免疫グロブリン重鎖VH(DHA-DHB)JH、VH(DH)JH6、またはVH(DHA-DHB)JH6配列を含む、げっ歯類、げっ歯類細胞、遺伝子座および/またはヌクレオチド分子が、本明細書において提供される。
【0034】
また、例えば、そのゲノム、例えば生殖系列ゲノムに、本発明の操作されたDH領域、例えば、本明細書に記載される核酸、ターゲティングベクターおよび/または免疫グロブリン重鎖可変遺伝子座を含む非ヒト動物、例えば、げっ歯類も、本明細書に記載される。また、かかる非ヒト動物ゲノム、例えば、げっ歯類ゲノムも、本明細書に記載される。一部の実施形態では、生殖系列ゲノム、またはげっ歯類生殖系列ゲノムが、記載される免疫グロブリン重鎖可変領域を含むげっ歯類が本明細書に記載され、免疫グロブリン重鎖可変領域は、(i)少なくとも一つの再構成されていない重鎖可変(VH)遺伝子セグメント、(ii)操作された重鎖可変領域多様性(DH)領域、操作されたDH領域は、各々が一方の端で12merのRSSが、他方の端で12merのRSSが隣接する一つまたは複数の再構成されていないDH遺伝子セグメント、および各々が23merの組み換えシグナル配列(RSS)に作動可能に結合された一つ以上のDH遺伝子セグメントを含む、および(iii)少なくとも一つの再構成されていない重鎖結合(JH)遺伝子セグメントを含み、(i)~(iii)は、組み換えの際、免疫グロブリン重鎖可変領域が、免疫グロブリン重鎖可変ドメインをコードする再構成された重鎖可変領域配列を含むように、作動可能に結合しており、場合により、再構成された重鎖可変領域配列は、VH(DH-DH)JH組み換え現象の後に形成され、場合により、各々が23merの組み換えシグナル配列(RSS)に作動可能に結合された一つまたは複数のDH遺伝子セグメントの少なくとも一つは、VH(DH-DH)組み換え現象中に、各々が一方の端で12merのRSS、他方の端で別の12merのRSSが隣接する一つまたは複数の再構成されていないDH遺伝子セグメントの一つに結合する。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントは、3’の23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントは、5’の23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態において、免疫グロブリン重鎖可変領域は、ヒトVH、DH、およびJH遺伝子セグメントのみを含むヒト免疫グロブリン重鎖可変領域である。一部の実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、免疫グロブリン重鎖定常領域に作動可能に結合されている。一部の実施形態では、免疫グロブリン重鎖定常領域は、例えば、内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の非ヒト動物または非ヒト動物ゲノムの内在性免疫グロブリン重鎖定常領域である。一部の実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域は、生殖系列配置でVH3-74からVH6-1に渡るヒトVH遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域は、ヒトJH6遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域は、場合により、二つのヒトVH遺伝子セグメントに挿入される(例えば、ヒトVH1-2遺伝子セグメントとヒトVH6-1遺伝子セグメントとの間に挿入される)、および/またはヒトAdam6偽遺伝子の代わりに挿入されてもよい、一つ以上のげっ歯類Adam6ポリペプチド(例えば、げっ歯類Adam6遺伝子)をコードする一つ以上のヌクレオチド分子を含む。一部の実施形態では、非ヒト動物は、げっ歯類である。一部の実施形態では、げっ歯類ゲノムは、操作されたDH領域に対してヘテロ接合性である。一部の実施形態では、げっ歯類ゲノムは、操作されたDH領域に対してホモ接合性である。一部の実施形態では、げっ歯類は、ラットであってもよい。一部の実施形態では、げっ歯類は、マウスであってもよい。一部の実施形態では、げっ歯類、げっ歯類ゲノム、またはげっ歯類細胞は、ラット、マウス、ラットゲノム、マウスゲノム、ラット細胞、またはマウス細胞、例えば、げっ歯類(ラットもしくはマウス)胚性幹細胞である。
【0035】
一部の実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類、げっ歯類ゲノム、またはげっ歯類細胞は、免疫グロブリン重鎖可変ドメインをコードする再構成された重鎖VDJおよび/またはVH(DHA-DHB)JHコード配列をさらに含む。一部の実施形態では、(1)その生殖系列ゲノムで、例えば、生殖系列細胞において、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントを含む操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖遺伝子座、および(2)その体細胞ゲノムにおいて、例えば、B細胞において、再構成された重鎖可変領域VH(DHA-DHB)JHコード配列を含む、非ヒト動物、例えば、げっ歯類、例えば、ラットまたはマウスが記載され、第1または第2のDH遺伝子セグメント(それぞれ、DHAまたはDHB)は、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメント、またはその一部(例えば、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメント、体細胞性で高度変異されたそのバリアント、および/またはその縮重バリアントの少なくとも一部のものと同一の配列を含む)からもたらされる。一部の実施形態では、B細胞は、ナイーブB細胞であり、および/または再構成された重鎖可変領域コード配列は、IgM定常領域配列に作動可能に結合されており、DHAとDHB遺伝子セグメントの少なくとも一つは、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントにコードされたヌクレオチド分子と整列する少なくとも9つの連続したヌクレオチドを含み、DHAおよびDHB遺伝子セグメントの各々は、生殖系列DH遺伝子セグメントのヌクレオチド分子と整列する少なくとも5つの連続したヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、B細胞は、形質細胞またはメモリーB細胞であり、および/または再構成された重鎖可変領域コード配列は、体細胞性で高度変異されており、および/または非IgM定常領域配列(例えば、IgG、IgA、IgEなど)に作動可能に結合され、DHAおよびDHBの各々は、それぞれ、最大1個のヌクレオチド変異で、第1および第2の生殖系列DH遺伝子セグメントの40%同一性を示す。一部の実施形態では、げっ歯類における全ての再構成された重鎖VDJおよび/またはVH(DHA-DHB)JHコード配列の少なくとも95%は、少なくとも10アミノ酸長のCDR3を有し、場合により、げっ歯類における全ての再構成された重鎖VDJおよび/またはVH(DHA-DHB)JHコード配列の少なくとも70%は、少なくとも11アミノ酸長のCDR3を有し、場合により、げっ歯類における全ての再構成された重鎖VDJおよび/またはVH(DHA-DHB)JHコード配列の少なくとも15%は、少なくとも14アミノ酸長のCDR3を有する。一部の実施形態では、げっ歯類におけるVDJおよび/またはVH(DHA-DHB)JHコード配列の集団は、少なくとも15アミノ酸長、場合により、少なくとも16アミノ酸長、場合により、少なくとも17アミノ酸長、および場合により、少なくとも18アミノ酸長のCDR3を有する。一部の実施形態では、再構成された重鎖VH(DHA-DHB)JHコード配列を発現するげっ歯類もしくはげっ歯類細胞、またはそれを当該コード配列を含む核酸もしくは免疫グロブリン遺伝子座が、本明細書に記載され、第2の生殖系列DH遺伝子セグメントは、DH3-3であり、場合により、再構成された重鎖VH(DHA-DHB)JHコード配列は、20アミノ酸長を超えるCDR3をコードする。一部の実施形態では、再構成された重鎖VH(DHA-DHB)JHコード配列を発現するげっ歯類もしくはげっ歯類細胞、または当該コード配列を含む核酸もしくは免疫グロブリン遺伝子座が、本明細書に記載され、第1の生殖系列DH遺伝子セグメントは、DH2-2、DH2-8またはDH2-15であり、場合により、再構成された重鎖VH(DHA-DHB)JHコード配列は、20アミノ酸長を超えるCDR3をコードする。一部の実施形態では、20アミノ酸長を超えるCDR3をコードする再構成された重鎖VH(DHA-DHB)JH6コード配列を発現するげっ歯類またはげっ歯類細胞が、本明細書に記載される。
【0036】
一部の実施形態では、げっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域配列に作動可能に結合された再構成されたヒト免疫グロブリン重鎖VH(DHA-DHB)JHコード配列を含むげっ歯類ゲノム、核酸または免疫グロブリン遺伝子座が、提供される。一部の実施形態では、DHB遺伝子セグメントは、ヒト生殖系列DH3-3遺伝子セグメントからもたらされる。一部の実施形態では、DHA遺伝子セグメントは、ヒト生殖系列DH2-2、DH2-8またはDH2-15遺伝子セグメントからもたらされる。一部の実施形態では、DHAおよびDHBの各々は、それぞれ、最大1個のヌクレオチド変異で、第1および第2の生殖系列DH遺伝子セグメントと40%の同一性を示すので、再構成された重鎖は、VH(DHA-DHB)JHコード配列であと決定されている。一部の実施形態では、再構成された重鎖VH(DHA-DHB)JHコード配列は、20アミノ酸長を超えるCDR3をコードする。一部の実施形態では、JH遺伝子セグメントは、ヒト生殖系列JH6遺伝子セグメントからもたらされる。一部の実施形態では、VH(DHA-DHB)JHコード配列を含むげっ歯類またはげっ歯類細胞が提供される。一部の実施形態では、げっ歯類は、ラットもしくはマウス細胞であるか、またはげっ歯類細胞は、ラット細胞もしくはマウス細胞である。一部の実施形態において、げっ歯類細胞は、げっ歯類B細胞である。一部の実施形態では、骨髄腫細胞と融合された再構成された重鎖VH(DHA-DHB)JHコード配列を発現するげっ歯類B細胞を含むハイブリドーマが提供される。一部の実施形態では、VH(DHA-DHB)JH配列は、各々DHAおよびDHBとして同定される配列が、それぞれ、最大1個のヌクレオチド変異で、第1および第2の生殖系列DH遺伝子セグメントと40%の同一性を示すときでさえ、DH-DH組み換えの結果であると確認されている。
【0037】
一部の実施形態では、ゲノムが、操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、非ヒト動物または細胞が提供され、操作されたDH領域は、第1および第2の組み換えシグナル配列(RSS)に作動可能に結合された少なくとも一つのDHセグメントを含む。一部の実施形態では、第1のRSSは、23merのRSSであり、第2のRSSは、12merのRSSである。一部の実施形態では、第1のRSSは、12merのRSSであり、第2のRSSは、23merのRSSである。
【0038】
一部の実施形態では、ゲノムが、操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、非ヒト動物が提供され、操作されたDH領域は、各々23merの組み換えシグナル配列(RSS)に作動可能に結合されている一つ以上のDHセグメントを含む。
【0039】
一部の実施形態では、ゲノムが、操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、非ヒト細胞または組織が提供され、操作されたDH領域は、各々23merの組み換えシグナル配列(RSS)に作動可能に結合されている一つ以上のDHセグメントを含む。一部の実施形態では、細胞は、リンパ細胞系列由来または骨髄細胞系列由来である。一部の実施形態では、細胞はリンパ球である。一部の実施形態では、細胞は、B細胞、樹状細胞、マクロファージ、単球、およびT細胞から選択される。一部の実施形態では、組織は、脂肪、膀胱、脳、乳房、骨髄、目、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、筋肉、膵臓、血漿、血清、皮膚、脾臓、胃、胸腺、精巣、卵子、またはその任意の組み合わせから選択される。
【0040】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト細胞から作製された不死化細胞、例えば、本明細書に記載の非ヒト動物から単離されたB細胞を骨髄腫細胞と融合させることから作製されたハイブリドーマ細胞が提供される。
【0041】
一部の実施形態では、非ヒト細胞は、非ヒト胚性幹(ES)細胞である。一部の実施形態では、非ヒト胚性幹細胞は、げっ歯類の胚性幹細胞である。一部の実施形態では、げっ歯類胚性幹細胞は、マウス胚性幹細胞であり、129系統、C57BL系統、またはその混合に由来する。一部のある実施形態では、げっ歯類胚性幹細胞は、マウス胚性幹細胞であり、129およびC57BL系統の混合である。
【0042】
一部の実施形態では、非ヒト動物を作製するための本明細書に記載の非ヒト胚性幹細胞の使用が提供される。一部の実施形態では、非ヒト胚性幹細胞は、マウス胚性幹細胞であり、本明細書に記載される通り、操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含むマウスを作製するために使用される。一部の実施形態では、非ヒト胚性幹細胞は、ラット胚性幹細胞であり、本明細書に記載される通り、操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含むラットを作製するために使用される。一部の実施形態において、操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含むラットを作製する非限定的な例示的方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第20140309487号に開示される方法を含み得る。
【0043】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト胚性幹細胞を含む、それから作製される、それから得られる、またはそれから生成される非ヒト胚が提供される。一部の実施形態では、非ヒト胚は、げっ歯類胚であり、一部の実施形態では、マウス胚であり、一部の実施形態では、ラット胎である。
【0044】
一部の実施形態では、非ヒト動物を作製するための本明細書に記載の非ヒト胚の使用が提供される。一部の実施形態では、非ヒト胚は、マウス胚であり、本明細書に記載される通り、操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含むマウスを作製するために使用される。一部の実施形態では、非ヒト胚は、ラット胚であり、本明細書に記載される通り、操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含むラットを作製するために使用される。
【0045】
ゲノムが、操作されたDH領域を含むげっ歯類を作製する方法であって、(a)各々が23merのRSSに作動可能に結合された一つまたは複数のDHセグメントを含むDNAフラグメントを含むようげっ歯類胚性幹細胞のゲノムを修飾する工程、例えば、DNAフラグメントは、本明細書に記載のヌクレオチド分子、ターゲティングベクター、および/または操作されたDH領域を含む、(b)修飾されたげっ歯類胚性幹細胞(a)を使用してげっ歯類を生み出す工程を含む方法が、本明細書において提供される。一部の実施形態では、方法は、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDHセグメントを含むよう免疫グロブリン重鎖可変領域の再構成されていないDH領域を修飾する工程を含み、再構成されていないDH領域は、各々が、一方の端で12merのRSS、他方の端で別の12merのRSSが隣接する一つまたは複数の再構成されていないDH遺伝子セグメントをさらに含み、これにより、当該げっ歯類を作製する。一部の実施形態では、修飾することは、一つ以上の再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントを置換すること、場合により、一つ以上のJH遺伝子セグメントを、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDHセグメントで置換するか、または欠失させることを含む。一部の実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域は、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域、例えば、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、少なくとも一つのVH遺伝子セグメントを含む再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖VH遺伝子クラスターを含む、一つ以上の再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントを含む再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖DH領域、および一つの再構成されていないヒトJH遺伝子セグメントを含む再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖JH遺伝子クラスター、再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖DH領域は、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDHセグメントを含むよう修飾されている、である。一部の実施形態では、修飾工程は、(i)機能的ヒトVH遺伝子セグメント、例えば、VH3-74からVH6-1に渡り、それらを含む全ての機能的VH遺伝子セグメントの完全なレパートリー、(ii)23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのDH遺伝子セグメントで置換されているDH7-27を除く、再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントの完全なレパートリー、ならびに(iii)少なくとも再構成されていないヒトJH6遺伝子セグメント、および場合により、少なくとも再構成されていないJH4遺伝子セグメント、再構成されていないJH5遺伝子セグメント、および再構成されていないJH6遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン重鎖可変領域をもたらす。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのヒトDH遺伝子セグメントは、5’の23merのRSSに作動可能に結合されたDH3-3遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、修飾工程は、(i)機能性ヒトVH遺伝子セグメント、例えば、VH3-74からVH6-1に渡り、それらを含む全ての機能的VH遺伝子セグメントの完全なレパートリー、(ii)再構成されていないヒトDH2-2、DH2-8、およびDH2-15遺伝子セグメントが、それぞれ、その3’で23merのRSSに作動可能に結合されたDH2-2遺伝子セグメント、その3’で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-8遺伝子セグメント、およびその3’で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH2-15遺伝子セグメントで置換されていることを除き、再構成されていないヒトDH遺伝子セグメントの完全なレパートリー、ならびに(iii)再構成されていないヒトJH遺伝子セグメント、例えば、再構成されていないヒトJH1遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH2遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH3遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJH5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJH6遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含む免疫グロブリン重鎖可変領域をもたらす。一部の実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域(a)は、一つ以上のげっ歯類Adam6遺伝子をさらに含み、場合により、一つまたは複数のげっ歯類Adam6遺伝子は、二つの再構成されていないVH遺伝子セグメントの間、例えば、再構成されていないヒトVH1-2遺伝子セグメントと再構成されていないヒトVH6-1遺伝子セグメントの間に位置し、および/または(b)免疫グロブリン重鎖定常領域に作動可能に結合され、場合により、免疫グロブリン重鎖定常領域は、内在性げっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域、例えば、内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の内在性げっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域である。一部の実施形態では、げっ歯類は、ラットまたはマウスである。
【0046】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物、本明細書に記載の非ヒト細胞もしくは組織、本明細書に記載の不死化細胞、本明細書に記載の非ヒト胚性幹細胞、または本明細書に記載の非ヒト胚を含むキットが提供される。
【0047】
一部の実施形態では、治療または診断のための薬物(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)の製造および/または開発における使用のための、本明細書に記載のキットが提供される。一部の実施形態では、疾患、障害もしくは状態の処置、予防、または改善のための薬物(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)の製造および/または開発における使用のための、本明細書に記載のキットが提供される。
【0048】
一部の実施形態では、本明細書に記載の導入遺伝子、核酸構築物、DNA構築物、またはターゲティングベクターが提供される。一部の実施形態では、導入遺伝子、核酸構築物、DNA構築物、またはターゲティングベクターは、本明細書に記載の操作されたD
H領域を含む。一部の実施形態では、導入遺伝子、核酸構築物、DNA構築物、またはターゲティングベクターは、23merのRSSに作動可能に結合された一つまたは複数のD
Hセグメントを含むDNAフラグメントを含む。一部の実施形態では、導入遺伝子、核酸構築物、DNA構築物、またはターゲティングベクターは、一つ以上の選択マーカーをさらに含む。一部の実施形態では、導入遺伝子、核酸構築物、DNA構築物、またはターゲティングベクターは、一つまたは複数の部位特異的組み換え部位(例えば、loxP、Frt、またはそれらの組み合わせ)をさらに含む。一部の実施形態では、導入遺伝子、核酸構築物、DNA構築物、またはターゲティングベクターは、
図2に示される。
【0049】
一部の実施形態では、非ヒト動物、非ヒト細胞、非ヒト胚性幹細胞、および/または非ヒト胚を作製するための、本明細書に記載の導入遺伝子、核酸構築物、DNA構築物、またはターゲティングベクターの使用が提供される。
【0050】
一部の実施形態では、一つまたは複数のDHセグメントは、各々、3’の23merのRSSに作動可能に結合されている。一部の実施形態では、一つまたは複数のDHセグメントは、各々、5’の23merのRSSに作動可能に結合されている。
【0051】
一部の実施形態では、操作されたDH領域は、5’の23merのRSSに作動可能に結合された一つのDHセグメントを含む。一部の実施形態では、操作されたDH領域は、3’のRSSに作動可能に結合された一つのDHセグメントを含む。5’の23merのRSSに作動可能に結合された一つのDHセグメントの一部の実施形態では、一つのDHセグメントは、合成DHセグメントであり、一部の実施形態では、合成ヒトDHセグメントであり、一部の実施形態では、ヒトDH3-3セグメントと同一または実質的に同一である配列を有する合成ヒトDHセグメントである。3’の23merのRSSに作動可能に結合された一つのDHセグメントの一部の実施形態では、一つのDHセグメントは、合成DHセグメントであり、一部の実施形態では、合成ヒトDHセグメントであり、一部の実施形態では、ヒトDH3-3セグメントと同一または実質的に同一である配列を有する合成ヒトDHセグメントである。
【0052】
一部の実施形態では、操作されたDH領域は、各々、5’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのDHセグメントを含む。各々、5’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのDHセグメントの一部の実施形態では、三つのDHセグメントは、合成DHセグメントである。各々、5’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのDHセグメントの一部の実施形態では、三つのDHセグメントは、ヒトDH2ファミリーセグメントである。各々、5’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのDHセグメントの一部の実施形態では、三つのDHセグメントは、ヒトDH2-2、ヒトDH2-8、ヒトDH2-15、ヒトDH2-21およびその組み合わせから選択される。各々、5’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのDHセグメントの一部の実施形態では、三つのDHセグメントは、ヒトDH2-2、ヒトDH2-8、およびヒトDH2-15である。
【0053】
一部の実施形態では、操作されたDH領域は、各々、3’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのDHセグメントを含む。各々、3’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのDHセグメントの一部の実施形態では、三つのDHセグメントは、合成DHセグメントである。各々、3’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのDHセグメントの一部の実施形態では、三つのDHセグメントは、ヒトDH2ファミリーセグメントである。各々、3’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのDHセグメントの一部の実施形態では、三つのDHセグメントは、ヒトDH2-2、ヒトDH2-8、ヒトDH2-15、ヒトDH2-21およびその組み合わせから選択される。各々、3’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのDHセグメントの一部の実施形態では、三つのDHセグメントは、ヒトDH2-2、ヒトDH2-8、およびヒトDH2-15である。
【0054】
一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域は、複数のヒトDHセグメントを含み、複数のヒトDH遺伝子セグメントの少なくとも一つは、5’または3’のRSSに作動可能に結合され、一部の実施形態では、5’の23merのRSSに作動可能に結合される。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域は、複数のヒトDHセグメントを含み、複数のヒトDH遺伝子セグメントの少なくとも三つは、各々、5’または3’のRSSに作動可能に結合され、一部の実施形態では、3’の23merのRSSに作動可能に結合される。
【0055】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織のゲノムは、一つ以上の野生型DHセグメントを欠く。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織のゲノムは、全てまたは実質的に全ての野生型DHセグメントを欠く。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織のゲノムは、ヒトDHセグメントのみを含有する。
【0056】
一部の実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域は、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域である。一部の実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、免疫グロブリン重鎖定常領域に作動可能に結合されている。一部の実施形態において、免疫グロブリン重鎖定常領域は、内在性(例えば、非ヒト)免疫グロブリン重鎖定常領域である。
【0057】
一部の実施形態において、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、VH3-74からVH6-1までのヒトVH遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態において、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、少なくともヒトJH遺伝子セグメントJH6を含む。一部の実施形態において、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、少なくともヒトJH遺伝子セグメントJH4、JH5およびJH6を含む。一部の実施形態において、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、ヒトJH遺伝子セグメントJH1、JH2、JH3、JH4、JH5およびJH6を含む。
【0058】
非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織の一部の実施形態では、ゲノムは、内在性Adam6遺伝子を欠く。非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織の一部の実施形態では、ゲノムは、一つ以上のげっ歯類Adam6ポリペプチドをコードする一つ以上のヌクレオチド配列の挿入をさらに含み、一部の実施形態では、一つまたは複数のヌクレオチド配列は、第1と第2のヒトVH遺伝子セグメントの間に挿入される、一部の実施形態では、一つ以上のヌクレオチド配列は、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに挿入され、一部の実施形態では、一つまたは複数のヌクレオチド配列は、ヒトVH遺伝子セグメントとヒトDH遺伝子セグメントの間に挿入される。一部の実施形態において、第1のヒトVH遺伝子セグメントは、ヒトVH1-2であり、第2のヒトVH遺伝子セグメントは、ヒトVH6-1である。
【0059】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織は、本明細書に記載の操作されたDH領域に対してホモ接合性、ヘテロ接合性、またはヘミ接合性である。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織は、本明細書に記載の操作されたDH領域に対してトランスジェニックである。
【0060】
一部の実施形態では、ゲノムが、操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む非ヒト動物の作製方法が提供され、方法は、(a)DNAフラグメントを非ヒト胚性幹細胞に挿入する工程、DNAフラグメントは、各々、23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントを含む;(b)(a)で生成された非ヒト胚性幹細胞を得る工程;(c)(b)の非ヒト胚性幹細胞を使用して、非ヒト動物を作る工程を含む。
【0061】
一部の実施形態では、一つまたは複数のDHセグメントを含むDNAフラグメントは、各々、3’の23merのRSSに作動可能に結合される。一部の実施形態では、DNAフラグメントは、3’の23merのRSSに作動可能に結合された一つのDHセグメントを含む。一部の実施形態では、DNAフラグメントは、3’の23merのRSSに作動可能に結合された一つの合成ヒトDHセグメントを含む。一部の実施形態では、DNAフラグメントは、3’の23merのRSSに作動可能に結合された一つの合成ヒトDH3-3セグメントを含む。一部の実施形態では、DNAフラグメントは、各々、3’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのDHセグメントを含む。一部の実施形態では、DNAフラグメントは、各々、3’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのヒトDHセグメントを含む。一部の実施形態では、DNAフラグメントは、各々、3’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのヒトDHセグメントを含み、ヒトDHセグメントは、ヒトDH2-2、ヒトDH2-8およびヒトDH2-15である。
【0062】
一部の実施形態では、DNAフラグメントは、一つまたは複数のDHセグメントを含み、その各々は、5’の23merのRSSに作動可能に結合される。一部の実施形態では、DNAフラグメントは、5’の23merのRSSに作動可能に結合された一つのDHセグメントを含む。一部の実施形態では、DNAフラグメントは、5’の23merに作動可能に結合された一つの合成ヒトDHセグメントを含む。一部の実施形態では、DNAフラグメントは、5’の23merのRSSに作動可能に結合された一つの合成ヒトDH3-3セグメントを含む。一部の実施形態では、DNAフラグメントは、5’の23merのRSSに作動可能に結合された一つの合成ヒトDH3-3セグメントを含み、合成ヒトDH3-3セグメントは、ヒトDH7-27セグメントの代わりにヒトDH領域に位置する。
【0063】
一部の実施形態では、DNAフラグメントは、一つ以上の選択マーカーを含む。一部の実施形態では、DNAフラグメントは、一つ以上の部位特異的組み換え部位を含む。
【0064】
一部の実施形態では、ゲノムが、操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む非ヒト動物の作製方法が提供され、方法は、非ヒト動物または非ヒト動物の細胞のゲノムが、各々、23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントを含む、操作されたDH領域を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域を含むように、非ヒト動物または非ヒト動物の細胞のゲノムを修飾し、これにより、当該非ヒト動物を作製する工程を含む。
【0065】
非ヒト動物を作製する一部の実施形態では、非ヒト動物または非ヒト動物細胞のゲノムは、各々、5’の23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントを含むように修飾される。非ヒト動物を作製する一部の実施形態では、非ヒト動物または非ヒト動物細胞のゲノムは、各々、3’の23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントを含むように修飾される。
【0066】
一部の実施形態では、非ヒト動物において抗体を作製する方法が提供される。一部の実施形態では、抗体を作製するか、またはそれをコードする核酸を得る方法は、非ヒト動物(例えば、げっ歯類(例えば、ラットまたはマウス))を抗原で免疫する工程、げっ歯類は、各々、23merのRSSに作動可能に結合された一つまたは複数のDHセグメントを含む操作されたDH領域を含む生殖系列ゲノムを有する、げっ歯類に、抗体を含む抗原に対する免疫応答、または抗原に結合する、それをコードする核酸を産生させる工程を含む。一部の実施形態では、方法は、抗体、またはそれをコードする核酸を、げっ歯類または例えば、B細胞であるげっ歯類細胞、またはハイブリドーマから回収する工程をさらに含む。一部の実施形態では、一つまたは複数のDHセグメントは、各々、5’の23merのRSSに作動可能に結合されている。一部の実施形態では、一つまたは複数のDHセグメントは、各々、3’の23merのRSSに作動可能に結合されている。
【0067】
一部の実施形態では、方法は、抗体を非ヒト動物で産生する方法が提供され、該方法は、(a)非ヒト動物を抗原で免疫する工程、非ヒト動物は、各々、23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントを含む、操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖定常領域含むゲノムを有する;(b)非ヒト動物が、抗原に対するゲノムを有する;(b)非ヒト動物が、抗原に対する応答を生じるのに十分な条件下でげっ歯類を維持する工程;および(c)非ヒト動物または非ヒト動物細胞から、抗原に結合する抗体を回収する工程を含む。一部の実施形態では、非ヒト細胞は、B細胞である。一部の実施形態では、非ヒト細胞は、ハイブリドーマである。
【0068】
一部の実施形態では、ゲノムが、一つ以上のヒトVH遺伝子セグメントを含むヒト免疫グロブリン重鎖可変領域、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのヒトDHセグメントを含む操作されたDH領域、および少なくとも一つのヒトJH遺伝子セグメントを含む非ヒト動物が提供され、げっ歯類が、抗原で免疫されたとき、ヒトDH-DH組み換えおよび/またはJH6遺伝子セグメントへの増強された組み換えにより生成されたCDR3領域を含むヒト重鎖可変ドメインを含む抗体を生成することを特徴とするように、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、一つ以上の内在性免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に結合され、抗体は、抗原への特異的結合を示す。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのヒトDHセグメントは、ヒトDH7-27セグメントの代わりに位置する。一部の実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、全六つよりは少ないヒトJH遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、六つのヒトJH遺伝子セグメントのうち一つのみを含む。一部の実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、ヒトJH6遺伝子セグメントを含み、機能的JH1遺伝子セグメントを欠き、機能的JH2遺伝子セグメントを欠き、機能的JH3遺伝子セグメントを欠き、機能的JH4遺伝子セグメントを欠き、機能的JH5遺伝子セグメントを欠く。一部の実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、六つのヒトJH遺伝子セグメントのうち三つのみを含む。一部の実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、ヒトJH4遺伝子セグメント、ヒトJH5遺伝子セグメントおよびヒトJH6遺伝子セグメントのみを含み、機能的JH1遺伝子セグメントを欠き、機能的JH2遺伝子セグメントを欠き、機能的JH3遺伝子セグメントを欠く。一部の実施形態では、ゲノムが、全六つより少ないヒトJH遺伝子セグメントを含むヒト免疫グロブリン重鎖可変領域、例えば、六つのヒト遺伝子セグメントのうち一つのみを含むヒト免疫グロブリン重鎖可変領域(例えば、ヒトJH6遺伝子セグメントを含み、機能的JH1遺伝子セグメントを欠き、機能的JH2遺伝子セグメントを欠き、機能的JH3遺伝子セグメントを欠き、機能的JH4遺伝子セグメントを欠き、機能的JH5遺伝子セグメントを欠くヒト免疫グロブリン重鎖可変領域を含むヒト免疫グロブリン重鎖可変領域)を含む、非ヒト動物は、ゲノムが、全六つのヒトJH遺伝子セグメントを含むヒト免疫グロブリン重鎖可変領域を含む対照非ヒト動物と比較して、JH6遺伝子セグメントに対して増強した組み換えを示し、例えば、非ヒト動物は、JH6遺伝子セグメント配列もしくはその一部を含み、および/または対照非ヒト動物より少なくとも20アミノ酸長のCDR3をコードする、より高いパーセンテージの再配列された免疫グロブリン重鎖配列を含む。一部の実施形態では、ゲノムが、全六つより少ないヒトJH遺伝子セグメントを含むヒト免疫グロブリン重鎖可変領域、例えば、六つのヒトJH遺伝子セグメントのうち三つのみを含むヒト免疫グロブリン重鎖可変領域(例えば、ヒトJH4遺伝子セグメント、ヒトJH5遺伝子セグメント、およびヒトJH6遺伝子セグメントを含み、機能的JH1遺伝子セグメントを欠き、機能的JH2遺伝子セグメントを欠き、機能的JH3遺伝子セグメントを欠くヒト免疫グロブリン重鎖可変領域)を含む、非ヒト動物は、ゲノムが、全六つのヒトJH遺伝子セグメントを含むヒト免疫グロブリン重鎖可変領域を含む対照非ヒト動物と比較して、JH6遺伝子セグメントに対して増強した組み換えを示し、例えば、非ヒト動物は、JH6遺伝子セグメント配列もしくはその一部を含み、および/または対照非ヒト動物より少なくとも20アミノ酸長のCDR3をコードする、より高いパーセンテージの再構成された免疫グロブリン重鎖配列を含む。
【0069】
一部の実施形態では、ゲノムが、一つ以上のヒトVH遺伝子セグメントを含むヒト免疫グロブリン重鎖可変領域、3’で23merのRSSが隣接する少なくとも一つのヒトDHセグメントを含む操作されたDH領域、および少なくとも二つのヒトJH遺伝子セグメントを含む非ヒト動物が提供され、げっ歯類が、抗原で免疫されたとき、ヒトDH-DH組み換えにより生成されたCDR3領域を含むヒト重鎖可変ドメインを含む抗体を生成することを特徴とするように、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、一つ以上の内在性免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に結合され、抗体は、抗原への特異的結合を示す。一部の実施形態では、操作されたDH領域は、各々、3’で23merのRSSが隣接した少なくとも三つのヒトDHセグメントを含む。一部の実施形態では、操作されたDH領域は、各々、3’で23merのRSSが隣接する三つのヒトDHセグメントを含み、三つのヒトDHセグメントは、ヒトDH2-2、ヒトDH2-8およびヒトDH2-15である。一部の実施形態において、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域は、VH3-74からVH6-1までのヒトVH遺伝子セグメントを含む。
【0070】
一部の実施形態では、抗原は、病原体、例えば、細菌、真菌、またはウイルス病原体である。一部の実施形態では、本明細書の非ヒト動物の免疫は、病原体、例えば、細菌、真菌、またはウイルス病原体で非ヒト動物を感染させることを含む。一部の実施形態では、本明細書の非ヒト動物の免疫は、非ヒト動物に、病原体、例えば、細菌、真菌、またはウイルス病原体から単離されたゲノムまたはタンパク質性物質を投与することを含む。一部の実施形態では、抗原は、受容体(例えば、補体受容体、ケモカイン受容体など)、またはその一部である。一部の実施形態では、抗原は、受容体、またはその一部をコードする核酸である。一部の実施形態では、抗原は、受容体、またはその一部を発現する細胞である。一部の実施形態では、抗原は、イオンチャネル、またはその一部である。一部の実施形態では、抗原は、イオンチャネルまたはその一部をコードする核酸である。一部の実施形態では、抗原は、イオンチャネル、またはその一部を発現する細胞である。
【0071】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織は、内在性軽鎖遺伝子座への、一つ以上のヒトVL遺伝子セグメントおよび一つ以上のヒトJL遺伝子セグメントの挿入をさらに含むゲノムを有する。一部の実施形態では、ヒトVLおよびJLセグメントは、VκおよびJκ遺伝子セグメントであり、内在性κ軽鎖遺伝子座に挿入される。一部の実施形態では、ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントは、げっ歯類Cκ遺伝子(例えば、マウスまたはラットCκ遺伝子)に作動可能に結合される。一部の実施形態では、ヒトVLおよびJLセグメントは、VλおよびJλ遺伝子セグメントであり、内在性λ軽鎖遺伝子座に挿入される。一部の実施形態では、ヒトVλおよびJλ遺伝子セグメントは、げっ歯類Cλ遺伝子(例えば、マウスまたはラットCλ遺伝子)に作動可能に結合される。
【0072】
一部の実施形態において、医薬としての使用のような、医薬における使用のための薬物またはワクチンの製造および/または開発における、本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織の使用が提供される。一部の実施形態では、ヒトに投与するための抗体の製造および/または開発における、本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織の使用が提供される。一部の実施形態において、疾患、障害または状態の治療、予防または改善のための医薬の製造における本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織の使用が提供される。
【0073】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織は、治療または診断のための薬物の製造および/または開発における使用のため提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織は、疾患、障害または状態の処置、予防または改善のための医薬の製造における使用のため提供される。
【0074】
一部の実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、げっ歯類であり、一部の実施形態では、マウスであり、一部の実施形態では、ラットである。多くの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物細胞は、げっ歯類細胞であり、一部の実施形態では、マウス細胞であり、一部の実施形態では、ラット細胞である。多くの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、げっ歯類組織であり、一部の実施形態では、マウス組織であり、一部の実施形態では、ラット組織である。
【0075】
一部の実施形態では、23merのRSSは、配列番号151として表される配列を含むヌクレオチド配列を含む。
【図面の簡単な説明】
【0076】
以下の図から成る本明細書に含まれる図面は、例示目的のみであり、限定を目的としない。
【0077】
【
図1】
図1は、修飾されていないD
H領域(上部パネル)および操作されたD
H領域(下部パネル)を有する免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントについてのDJ組み換え現象において遺伝子セグメントの規則正しいアセンブリを示す、本発明の実施形態のノンスケールの一般的な説明を示す。12merの組み換えシグナル配列(RSS)は、塗りつぶされていない三角形として示される。23merのRSSは、縦ストライプを有する三角形として示される
。例示的な修飾されていないV
H遺伝子セグメント(塗りつぶされていない四角形)およびD
H遺伝子セグメント(塗りつぶされた四角形)は、それぞれ、塗りつぶされていないし角形および塗りつぶされた四角形として示され、アルファベット文字を使用する一般的な命名で提供される。23merのRSSに作動可能に結合されたD遺伝子セグメント(例えば、D
H3-3)および修飾されていないJ
H遺伝子セグメントは、それぞれ、横ストライプが塗られた四角形および塗りつぶされていない四角形として示され、それらの適切な命名で提供される。μ0プロモーター(μ0pro)も示される。組み換えDJ遺伝子セグメントへのV
H遺伝子セグメントの組み換えは、示されていない。
【0078】
【
図2】
図2は、実施例1に従い作製されたターゲティングベクターの例示的な実施形態のノンスケールの説明を示す。ハッシュ線は、ターゲティングベクターに含まれるが、具体的に示されていないD
H遺伝子セグメントを表す。
【0079】
【
図3】
図3は、エレクトロポレーション(EP)を介してマウスES細胞のゲノム内のヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座に23:D
H3-3:12/J
H6ターゲティングベクターを挿入する非限定的な例示的な実施形態のノンスケールの説明を示す。ハッシュ線は、重鎖可変領域遺伝子座に含まれるが、具体的には示されていないV
H遺伝子セグメントまたはD
H遺伝子セグメントを表す。
【0080】
【
図4】
図4は、実施例1および2に記載される、23:D
H3-3:12/J
H6ターゲティングベクターのエレクトロポレーションおよび組込み後のヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座における選択カセットのCre介在性欠失の非限定的な例示的実施形態のノンスケールの説明を示す。ハッシュ線は、重鎖可変領域遺伝子座に含まれるが、具体的には示されていないV
H遺伝子セグメントまたはD
H遺伝子セグメントを表す。
【0081】
【
図5】
図5は、エレクトロポレーション(EP)を介してマウスES細胞のゲノム内のヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座に23:D
H3-3:12/J
H4-6ターゲティングベクターを挿入する非限定的な例示的な実施形態のノンスケールの説明を示す。ハッシュ線は、重鎖可変領域遺伝子座に含まれるが、具体的には示されていないV
H遺伝子セグメントまたはD
H遺伝子セグメントを表す。
【0082】
【
図6】
図6は、実施例1および2に記載される、23:D
H3-3:12/J
H4-6ターゲティングベクターのエレクトロポレーションおよび組込み後のヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座における選択カセットのCre介在性欠失の非限定的な例示的実施形態のノンスケールの説明を示す。ハッシュ線は、重鎖可変領域遺伝子座に含まれるが、具体的には示されていないV
H遺伝子セグメントまたはD
H遺伝子セグメントを表す。
【0083】
【
図7】
図7は、エレクトロポレーション(EP)を介してマウスES細胞のゲノム内のヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座に12:D
H2-2:23|12:D
H2-8:23|12:D
H2-15:23/J
H1-6ターゲティングベクターを挿入する非限定的な例示的な実施形態のノンスケールの説明を示す。ハッシュ線は、重鎖可変領域遺伝子座に含まれるが、具体的には示されていないV
H遺伝子セグメントまたはD
H遺伝子セグメントを表す。塗りつぶされた三角形は、偽遺伝子を表す。
【0084】
【
図8】
図8は、実施例1および2に記載される、12:D
H2-2:23|12:D
H2-8:23|12:D
H2-15:23ターゲティングベクターのエレクトロポレーションおよび組込み後のヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座における選択カセットのCre介在性欠失の例示的な非限定的な実施形態のノンスケールの説明を示す。ハッシュ線は、重鎖可変領域遺伝子座に含まれるが、具体的には示されていないV
H遺伝子セグメントまたはD
H遺伝子セグメントを表す。
【0085】
【
図9A】
図9Aは、12:D
H2-2:23|12:D
H2-8:23|12:D
H2-15:23ターゲティングベクターで修飾された動物から単離された特定のアミノ酸長(x軸)のCDR3を有するD
H-D
H組み換え現象(下部パネル)から生じる、全ての機能的免疫グロブリン(Ig)読み取りのパーセンテージ(y軸)をグラフ化する、本発明の実施形態に関連する結果を示す。「S1」、「S2」および「S3」は、各々、異なる実験マウスを表す。
【0086】
【
図9B】
図9Bは、12:D
H2-2:23|12:D
H2-8:23|12:D
H2-15:23ターゲティングベクターで修飾された動物から単離された特定のアミノ酸長(x軸)のCDR3を有するD
H-D
H組み換え現象(下部パネル)から生じる、全てのIg読み取りのパーセンテージ(y軸)をグラフ化する、本発明の実施形態に関連する結果を示す。「S1」、「S2」および「S3」は、各々、異なる実験マウスを表す。
【0087】
【
図10A】
図10Aは、12:D
H2-2:23|12:D
H2-8:23|12:D
H2-15:23ターゲティングベクターで修飾された動物から単離された特定の数のシステイン残基(x軸)を含むCDR3を有するD
H-D
H組み換え現象から生じる、全ての機能的免疫グロブリン(Ig)読み取りのパーセンテージ(y軸)をグラフ化する、本発明の実施形態に関連する結果を示す。「S1」、「S2」および「S3」は、各々、異なる実験マウスを表す。
【0088】
【
図10B】
図10Bは、12:D
H2-2:23|12:D
H2-8:23|12:D
H2-15:23ターゲティングベクターで修飾された動物から単離された特定の数のシステイン残基(x軸)を含むCDR3を有するD
H-D
H組み換え現象から生じる、全ての免疫グロブリン(Ig)読み取りのパーセンテージ(y軸)をグラフ化する、本発明の実施形態に関連する結果を示す。「S1」、「S2」および「S3」は、各々、異なる実験マウスを表す。
【0089】
【
図11】
図11は、両方のコホートが、Gタンパク質共役受容体(GPCR)をコードするDNA免疫原で免疫された、ヒト化免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖可変領域遺伝子座(VI;例えば、米国特許第8,697,940号および第8,642,835号を参照のこと;その各々が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を有する個々のマウス、ならびに本明細書に記載の23:D
H3-3:12/J
H6ターゲティングベクターで修飾されたマウスにおける典型的な抗体タイター(y軸)をグラフ化する、本発明の実施形態に関連する結果を示す。抗体タイターを、GPCRを発現するよう操作された293細胞(GPCR;x軸)およびGPCRを発現しない細胞(対照;x軸)上のMSD細胞結合により決定した。
【0090】
【
図12A】
図12Aは、23:D
H3-3:12/J
H6ターゲティングベクターおよび5~30アミノ酸長(x軸)のアミノ酸(AA)を有する重鎖CDR3(HCDR3)で修飾されたマウスの骨髄(BM)または脾臓から単離された表7に記載される厳密な判断基準に従った、V
HD
HA-D
HBJ
H再構成の結果であると推定される、パーセンテージ(%;y軸)の再構成された免疫グロブリン重鎖V
HD
HJ
H遺伝子セグメントを示す、本発明の実施形態に関連する結果を示す。BM細胞数および脾臓細胞数は、互いに標準化されていない。n=1。
【0091】
【
図12B】
図12Bは、パネル
図12Aに示されるグラフの拡大を提供する、本発明の実施形態に関連する結果を示す。BM細胞数および脾臓細胞数は、互いに標準化されていない。n=1。
【0092】
【
図12C】
図12Cは、23:D
H3-3:12/J
H6ターゲティングベクターで修飾されたマウスの骨髄または脾臓の両方において21より長いアミノ酸長のCDR3を有する読み取り値のパーセンテージを示す、本発明の実施形態に関連する結果を示す。BM細胞数および脾臓細胞数は、互いに標準化されていない。n=1。
【0093】
【
図13】
図13は、23:D
H3-3:12/J
H6ターゲティングベクターおよび全てが20アミノ酸長を超えた(x軸)アミノ酸(AA)長を有する重鎖CDR3(HCDR3)で修飾されたマウスの骨髄(BM)または脾臓から単離された(表7に記載される厳密な判断基準に従った)、推定される再構成された免疫グロブリン重鎖V
HD
HA-D
HBJ
H遺伝子配列のパーセンテージ(%;y軸)を示す、本発明の実施形態に関連する結果を示す。BM細胞数および脾臓細胞数は、互いに標準化されていない。n=1。
【発明を実施するための形態】
【0094】
定義
本発明の範囲は、本明細書に添付される請求の範囲により規定されるものであり、本明細書に記載される特定の実施形態により限定されない。当分野の当業者は、本開示を読むことで、かかる記載される実施形態に対し均等であり得る様々な改変、または別の手段で請求の範囲内にあり得る様々な改変を認識するであろう。概して、専門用語は、明確な別段の示唆がない限り、当技術分野で理解されている意味に従う。特定の用語の明示的な定義は、本明細書におよび以下に提供されるが、本明細書全体にわたる特定の例におけるこれらの用語および他の用語の意味は、文脈から当業者に明らかとなるであろう。以下の用語および他の用語のさらなる定義は、本明細書全体を通して記載される。本明細書内またはその関連部分内に引用されている参考文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0095】
請求項で請求項を変更するための「第1の」、「第2の」、「第3の」などの順序の用語の使用は、それ自体は一つの請求項要素の別の要素に対する優位性、先行、もしくは順序、または方法の行為が実施される時間的順序を暗示せず、特定の名称を持つ一つの請求項要素を(順序の用語の使用以外は)同じ名称を持つ別の要素から区別して請求項要素を区別するための標識としてのみ使用される。
【0096】
本明細書および本特許請求の範囲において、「a」および「an」という冠詞は、そうではないことが明確に示されない限り、複数の指示対象を含むと理解されるべきである。群の一つ以上の要素の間に「または」を含む請求項または記述は、そうではないことが示されるかまたはそうでなければ文脈から明らかでない限り、一つ、二つ以上、または群のすべての要素が、所定の生成物またはプロセスに存在する、用いられる、またはそうでなければ関連する場合に満足される。本発明は、群の正確に一つの要素が所定の生成物またはプロセスに存在する、用いられる、またはそうでなければ関連する実施形態を含む。本発明は、二つ以上、または群の要素全体が所定の生成物またはプロセスに存在する、用いられる、またはそうでなければ関連する実施形態も含む。さらに、本発明は、別途指定されない限り、または矛盾または不一致が起こることが当業者には明らかでない限り、変形、組み合わせ、および記載された請求項の一つ以上からの一つ以上の限定、要素、句、記述用語などが、同じ基礎請求項に依存する別の請求項(または関連する任意のその他の請求項)に導入される並べ替えすべてを網羅することを理解すべきである。記載されたような要素が存在する場合(例えば、マーカッシュ群または類似の形式で)、要素の各サブグループも開示され、任意の要素を群から除去することができる。当然のことながら、一般的に、本発明、または本発明の態様が特定の要素、特徴などを含むとして言及される場合、本発明の実施形態または本発明の態様は、このような要素、特徴などから成る、または実質的にそれらから成る。簡潔にするために、これらの実施形態はすべての場合において、多くの言葉では本明細書に特に記述されていない。これも当然のことながら、本発明の任意の実施形態または態様は、特定の除外が明細書に列挙されているかどうかにかかわらず、請求項から明示的に除外される可能性がある。
【0097】
本明細書で使用される場合、「約」および「およそ」という用語は同意義として使用される。約/およその有無に関わらず、本明細書で使用される任意の数字は、当業者によって理解される任意の正常変動、例えば、+/-5%を網羅することが意図される。
【0098】
投与:対象またはシステム(例えば、細胞、器官、組織、生物体、または関連構成要素もしくはその構成要素群)に対する組成物の投与を意味する。当業者であれば、投与経路は、例えば、その組成物が投与される対象またはシステム、組成物の性質、投与目的などに応じて異なり得ることを認識するであろう。
【0099】
例えば、一部の実施形態では、動物対象(例えば、ヒトまたはげっ歯類)への投与は、気管支投与(気管支注入を含む)、口腔投与、腸内投与、皮間投与、動脈内投与、皮内投与、胃内投与、髄内投与、筋肉内投与、鼻内投与、腹腔内投与、髄腔内投与、静脈内投与、心室内投与、粘膜投与、経鼻投与、経口投与、直腸投与、皮下投与、舌下投与、局所投与、気管投与(気管内注入を含む)、経皮投与、膣投与、および/または硝子体投与であってもよい。一部の実施形態では、投与は、間欠投薬を含み得る。一部の実施形態では、投与は、少なくとも選択された期間にわたる連続投薬(例えば、灌流)を含み得る。一部の実施形態では、本明細書に開示される非ヒト動物によって産生される抗体は、対象(例えば、ヒト対象またはげっ歯類)に投与され得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に開示される非ヒト動物によって産生される抗体を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、緩衝液、希釈剤、賦形剤、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、本明細書に開示される非ヒト動物によって産生される抗体を含む医薬組成物は、例えば、バイアル、シリンジ(例えば、IVシリンジ)、またはバッグ(例えば、IVバッグ)などの保存または投与用の容器に含まれ得る。
【0100】
生物学的活性:生物系、インビトロまたはインビボ(例えば、生物中)で活性を持つ任意の薬剤の特徴を意味する。例えば、薬剤が生物内に存在する場合、その生物内で生物学的効果を持つ薬剤は、生物学的に活性であるとみなされる。
【0101】
特定の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドが生物学的に活性な場合、タンパク質またはポリペプチドの少なくとも一つの生物学的活性を与えるそのタンパク質またはポリペプチドの一部は、「生物学的に活性」な部分と一般的に呼ばれる。
【0102】
同等:互いに同一ではない場合があるが、観察された差異または類似性に基づき合理的に結論を下すことができるような比較を可能にするのに十分類似性がある、二つ以上の薬剤、実体、状況、条件群などを意味する。当業者であれば、文脈内において、同等とみなされるために二つ以上のこのような薬剤、実体、状況、条件群などに対して、ある所定の状況でどの程度の同一性が必要かを理解するであろう。
【0103】
保存的:保存的アミノ酸置換、すなわち、類似の化学特性(例えば、電荷または疎水性)を備えた側鎖R基を持つ別のアミノ酸残基によるアミノ酸残基の置換を意味する。一般的に、保存的アミノ酸置換は、対象のタンパク質の機能特性、例えば、リガンドに結合する受容体の能力などを実質的に変化させない。類似の化学特性を備えた側鎖を持つアミノ酸群の例には次のものが含まれる:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンなどの脂肪族側鎖、セリンおよびスレオニンなどの脂肪族-ヒドロキシル側鎖、アスパラギンおよびグルタミンなどのアミド含有側鎖、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンなどの芳香族側鎖、リジン、アルギニン、およびヒスチジンなどの塩基性側鎖、アスパラギン酸およびグルタミン酸などの酸性側鎖、ならびにシステインおよびメチオニンなどの硫黄含有側鎖。保存的アミノ酸置換基には、例えば、バリン/ロイシン/イソロイシン、フェニルアラニン/チロシン、リジン/アルギニン、アラニン/バリン、グルタミン酸/アスパラギン酸、およびアスパラギン/グルタミンが含まれる。
【0104】
一部の実施形態では、保存的アミノ酸置換は、例えばアラニンスキャニング変異誘導などで使用される、アラニンを含むタンパク質の任意の未変性残基の置換である可能性がある。一部の実施形態では、Gonnet,G.H.et al.,1992,Science 256:1443-1445(この文献はその全体が参照により本明細書に援用される)に開示されたPAM250対数尤度マトリックスで正の値を持つ保存的置換が行われる。一部の実施形態では、置換は中等度に保存的な置換であり、この場合において該置換はPAM250対数尤度マトリックスで負ではない値を有する。
【0105】
対照:結果が比較される基準となる「対照」という当技術分野で公知の意味を指す。一般的に、対照は、変数についての結論を出すために、このような変数を分離することによって実験の完全性を増加させるのに使用される。一部の実施形態では、対照は、コンパレーターを提供するために、試験反応またはアッセイと同時に実施される反応またはアッセイである。「対照」は、「対照動物」を指すことがある。「対照動物」は本明細書に記述された改変、本明細書に記述されたものとは異なる改変を持つか、または未改変(すなわち、野生型動物)である場合がある。ある実験では、「試験」(すなわち、試験されている変数)が適用される。その「対照」である第2の実験では、その試験されている変数が適用されない。対照は、陽性対照または陰性対照である場合がある。
【0106】
一部の実施形態では、対照は歴史的対照(すなわち、以前に実施された試験またはアッセイの、または以前に知られた量または結果)である。一部の実施形態では、対照は印刷されたかまたはそれ以外の方法で保存された記録であるか、またはそれを含む。
【0107】
破壊:DNA分子(例えば、遺伝子または遺伝子座などの内因性相同配列)との相同組み換え事象の結果を意味する。
【0108】
一部の実施形態では、破損は、DNA配列の挿入、欠失、置換、交換、ミスセンス変異、もしくはフレームシフト、またはこれらの任意の組み合わせを達成または示す場合がある。挿入は、遺伝子全体、遺伝子のフラグメント(例えば、エクソン)の挿入を含む場合があり、これらは内因性配列以外の起源のもの(例えば、異種配列)であるか、または対象の特定の遺伝子に由来もしくは該遺伝子から単離したコード配列であってもよい。一部の実施形態では、破損は遺伝子または遺伝子産物の(例えば、遺伝子によってコードされたタンパク質の)発現および/または活性を増加する場合がある。一部の実施形態では、破損は遺伝子または遺伝子産物の発現および/または活性を減少する場合がある。一部の実施形態では、破壊は遺伝子またはコードされた遺伝子産物(例えば、コードされたタンパク質)の配列を変える場合がある。一部の実施形態では、破損は、ゲノム内の染色体または染色体位置の配列を変化させ得る。一部の実施形態では、破損は遺伝子またはコードされた遺伝子産物(例えば、コードされたタンパク質)を切断またはフラグメント化する場合がある。一部の実施形態では、破損は遺伝子またはコードされた遺伝子産物を伸長させる場合がある。一部のかかる実施形態では、破壊は融合タンパク質のアセンブリを実現する場合がある。一部の実施形態では、破損は遺伝子または遺伝子産物のレベルに影響するが、その活性には影響しない場合がある。一部の実施形態では、破損は遺伝子または遺伝子産物の活性に影響するが、そのレベルには影響しない場合がある。一部の実施形態では、破損は遺伝子または遺伝子産物のレベルに対して顕著な効果を持たない場合がある。一部の実施形態では、破損は遺伝子または遺伝子産物の活性に対して顕著な効果を持たない場合がある。一部の実施形態では、破損は遺伝子または遺伝子産物のレベルまたは活性のいずれに対しても顕著な効果を持たない場合がある。一部の実施形態では、有意な効果は、例えば、限定されないが、StudentT検定により測定することができる。
【0109】
内在性遺伝子座または内在性遺伝子:本明細書に記載の変更、破壊、欠失、挿入、改変、置換または交換を導入する前に、親または参照の生物において存在する遺伝子座を意味する。
【0110】
一部の実施形態では、内在性遺伝子座は自然界で見られる配列を全体的にまたは部分的に含む。一部の実施形態では、内在性遺伝子座は野生型遺伝子座である。一部の実施形態では、参照生物は野生型生物である。一部の実施形態では、参照生物は遺伝子操作された生物である。一部の実施形態では、参照生物は実験室で繁殖された生物(野生型または遺伝子操作型)である。
【0111】
内在性プロモーター:例えば、野生型の生物において、内在性遺伝子または遺伝子座と自然に関連付けられるプロモーターを指す。
【0112】
操作された:概して、人の手により操作された態様を意味する。一般的なことであり、当技術分野の当業者に理解されているとおり、操作されたポリヌクレオチドまたは細胞の子孫物も通常、実際の操作は過去の実体に対して行われていたのだとしても、「操作された」とみなされる。さらに、当技術分野の当業者により認識されているように、様々な技法が利用可能であり、それらを介して、本明細書に記載される「操作」を行うことができる。
【0113】
一部の実施形態では、自然界での順序では一緒に連結されていない二つ以上の配列がヒトの手により操作され、操作ポリヌクレオチド中で互いに直接連結された場合に、「操作された」とみなされ得る。一部の実施形態では、操作されたポリヌクレオチドは、自然界で第1のコード配列と作動的に結合しているが、第2のコード配列とは作動的に結合せずに存在し、ヒトの手により連結されて第2のコード配列と作動的に結合した制御配列を含んでいてもよい。本明細書の操作されたDH遺伝子セグメントの実施形態では、DH遺伝子セグメントをヒトの手によって操作して、23merのRSSに作動可能に結合される(例えば、少なくとも一方が、23merのRSSに隣接する、隣に存在する、すぐ横にある)。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されるよう操作されたDH遺伝子セグメントは、別のDH遺伝子セグメントからもたらされ、例えば、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントは、他のDH遺伝子セグメントのヌクレオチド配列と同一のヌクレオチド配列を含むが、遺伝子コードの縮重および/または12merのRSSの23merのRSSとの置換による差異のためである。他のDH遺伝子セグメントおよびそれからもたらされた操作されたDH遺伝子セグメント(例えば、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメント)は、対応する遺伝子セグメントとみなされ得る。例えば、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH3-3遺伝子セグメントは、一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接したDH3-3遺伝子セグメントに対応するとみなされることができ、23merのRSSに作動可能に結合されたDH3-3遺伝子セグメントならびに一方の端で12merのRSSが、他方の端で別の12merのRSSが隣接したDH3-3遺伝子セグメントは、遺伝子コードの縮重および/または二つの12merのRSSの23merのRSSでの置換による差異を除き、同一のヌクレオチド配列を共有する。あるいは、またはさらに、一部の実施形態では、第1の核酸配列と第2の核酸配列であって、その各々が、自然界では互いに連結されていないポリペプチド要素またはドメインをコードする、該第1の核酸配列と第2の核酸配列とが、単一の操作されたポリヌクレオチドにおいて互いに連結されていてもよい。同様に、一部の実施形態では、細胞または生物体が操作され、それによりその遺伝情報が改変された(例えば、従前には存在していなかった新たな遺伝物質が導入されたり、または従前には存在していた遺伝物質が変更もしくは除去された)場合に、「操作された」とみなされ得る。
【0114】
例えば、一部の実施形態では、「操作」には、分析または比較を行うようプログラムされた、または推奨された配列および/もしくは選択された配列を別手段により分析するようプログラムされた、コンピューターシステムの使用を介して(例えば核酸配列、ポリペプチド配列、細胞、組織および/または生物体の)選択または設計を行うことを含んでもよい。あるいは、またはさらに、一部の実施形態では「操作」には、インビトロ化学合成技術の使用、および/もしくは組み換え核酸技術、例えば(例としてポリメラーゼ鎖反応などを介した)核酸増幅ハイブリダイゼーション、突然変異、形質転換、トランスフェクションなどの使用が含まれてもよく、ならびに/または様々な任意の制御交配法の使用が含まれてもよい。当技術分野の当業者に認識されているように、確立されている様々なこうした技術(例えば組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換(例えばエレクトロポレーション法、リポフェクション法など))が当技術分野に周知であり、様々な概説および詳説の参照文献中に記載されており、それらは本明細書全体を通じて引用および/または考察されている。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0115】
遺伝子:産物(例えば、RNA産物および/またはポリペプチド産物)をコードする、染色体中のDNA配列を意味する。明確化のため、用語「遺伝子」は、概してポリペプチドをコードする核酸の一部を意味し;当該用語は任意選択的に制御配列を包含する場合があり、これは当技術分野の当業者には文脈から明らかであるはずである。この定義は、「遺伝子」という用語を非タンパク質をコードする発現単位に適用することを除外する意図はなく、本明細書に使用される当該用語は、多くの場合においてはポリペプチドをコードする核酸を指すことを明らかにすることを意図している。
【0116】
一部の実施形態では、遺伝子は、コード配列(すなわち、特定の産物をコードする配列)を含む。一部の実施形態では、遺伝子は、非コード配列を含む。一部の実施形態では、遺伝子は、コード配列(例えばエクソン配列)と非コード配列(例えばイントロン配列)の両方を含む。一部の実施形態では、遺伝子は、一つ以上の制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)を含んでもよく、および/または例えば、遺伝子発現(例えば、細胞型特異的発現、誘導発現など)の一つ以上の態様を制御することができる、もしくは影響を与えることができるイントロン配列を含んでもよい。
【0117】
異種:異なる供給源からの作用剤または実体を意味する。例えば、特定の細胞もしくは生物体に存在するポリペプチド、遺伝子、または遺伝子産物に関連して使用されるとき、当該用語は、関連ポリペプチドもしくはそのフラグメント、遺伝子もしくはそのフラグメント、または遺伝子産物もしくはそのフラグメントが、(1)ヒトの手によって遺伝子操作されたこと、(2)ヒトの手によって(例えば、遺伝子操作によって)細胞または生物(またはその前駆体)に導入されたこと、および/または(3)関連細胞または生物(例えば、関連細胞タイプまたは生物タイプ)によって自然には生成されない、またはその中に存在しないことを明確にする。別の例には、自然には関連付けられておらず、一部の実施形態では非内因性である調節要素(例えば、プロモーター)の制御下で、特定の天然の細胞または生物体中に通常存在するが、例えば突然変異または置換により改変されている、ポリペプチドもしくはそのフラグメント、遺伝子もしくはそのフラグメント、または遺伝子産物もしくはそのフラグメントも含まれる。
【0118】
宿主細胞:細胞の中に異種(例えば、外来性)核酸またはタンパク質が導入された細胞を意味する。当業者が本開示を読めば、このような用語が特定の主題細胞を指すだけでなく、このような細胞の子孫を指すためにも使用されることを理解するであろう。特定の改変は突然変異または環境の影響のために後続世代にも起こる可能性があるので、このような子孫は、実際は、親細胞と同一でない場合があるが、それでも「宿主細胞」という用語の範囲内に含まれる。
【0119】
一部の実施形態では、宿主細胞は原核細胞または真核細胞であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、哺乳類細胞であるか、またはそれを含む。一般的に、宿主細胞は、細胞が指定される種に関わらず、異種核酸またはタンパク質の受け入れおよび/または生産に適した任意の細胞である。細胞の例としては、原核生物および真核生物(単細胞または多細胞)の細胞、細菌細胞(例えば、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス属(Bacillus spp.)、ストレプトマイセス属(Streptomyces spp.)などの株)、マイコバクテリア細胞、真菌細胞、酵母細胞(例えば、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)など)、植物細胞、昆虫細胞(例えば、SF-9、SF-21、バキュロウイルス感染昆虫細胞、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)など)、非ヒト動物細胞、ヒト細胞、または例えば、ハイブリドーマもしくはクアドローマなどの細胞融合体が挙げられる。
【0120】
一部の実施形態では、細胞は、ヒト、サル、類人猿、ハムスター、ラット、またはマウス細胞である。一部の実施形態では、細胞は真核細胞であり、以下の細胞から選択される:CHO(例えば、CHO K1、DXB-11 CHO、Veggie-CHO)、COS(例えば、COS-7)、網膜細胞、Vero、CV1、腎臓(例えば、HEK293、293 EBNA、MSR 293、MDCK、HaK、BHK)、HeLa、HepG2、WI38、MRC 5、Colo205、HB 8065、HL-60、(例えば、BHK21)、Jurkat、Daudi、A431(表皮)、CV-1、U937、3T3、L細胞、C127細胞、SP2/0、NS-0、MMT 060562、セルトリ細胞、BRL 3A細胞、HT1080細胞、骨髄腫細胞、腫瘍細胞、および前述細胞から派生する細胞株。一部の実施形態では、細胞は一つ以上のウイルス遺伝子、例えば、ウイルス遺伝子を発現する網膜細胞(例えば、PER.C6(登録商標)細胞)を含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、単離細胞であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、組織の一部である。一部の実施形態では、宿主細胞は生物の一部である。
【0121】
「ヒト化」:起源は非ヒトであり、それに対する部分が、改変(例えば、ヒト化)分子が、その生物学的機能を保持し、および/または当該保持された生物学的機能を遂行する構造が維持されるように、対応するヒト分子の対応する部分で置換された分子(例えば、核酸、タンパク質など)を指す。対照的に、「ヒト」などは、ヒト起源のみ、例えば、ヒトのヌクレオチドおよびアミノ酸配列のみをそれぞれ含有するヒトのヌクレオチドまたはタンパク質を有する分子を包含する。「ヒト(ヒト化)」という用語は、当該ヒト(ヒト化)分子が、(a)ヒト分子であり得る、または(b)ヒト化された分子であり得ることを反映するために使用される。
【0122】
同一性:配列の比較に関連し、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列同一性を測定するために使用できる当技術分野で公知の多種アルゴリズムによって決定される同一性を意味する。
【0123】
一部の実施形態では、本明細書に記述された同一性は、10.0のギャップ開始ペナルティ、0.1のギャップ延長ペナルティを用い、Gonnet類似性マトリックス(MACVECTOR(商標)10.0.2、MacVector Inc.、2008年)を使用したClustalW v.1.83(slow)アラインメントを使用して決定される。
【0124】
インビトロ:多細胞生物体内ではなく、例えば試験管または反応容器、細胞培養などの人工的環境において発生する事象を意味する。
【0125】
インビボ:例えばヒトおよび/または非ヒト動物などの多細胞生物体内で発生する事象を意味する。細胞ベース系の文脈において、当該用語を使用して、(例えばインビトロシステムとは対照的に)生細胞内で発生する事象を意味する場合もある。
【0126】
単離された:(1)(天然環境および/または実験環境のいずれかで)最初に生成された時に関連していた成分の少なくとも一部から分離された物質および/もしくは実体、ならびに/または(2)人の手によって設計、生成、調製、および/もしくは製造された物質および/もしくは実体を意味する。単離された物質および/または実体は、それらが最初に関連付けられた約10種以上の他の構成要素のから分離されてもよい。一部の実施形態では、単離された因子は、少なくとも約80%以上純粋である。物質は、それにその他の成分が実質的に含まれない場合、「純粋」である。一部の実施形態では、当業者であれば理解するように、例えば、一つ以上の担体または賦形剤(例えば、緩衝剤、溶媒、水など)などの特定のその他の成分と組み合わされた後でも、物質はまだ「単離された」または「純粋」とさえもみなされる場合があり、このような実施形態では、物質の単離または純度のパーセントはこのような担体または賦形剤を含めることなく計算される。
【0127】
一例を挙げると、一部の実施形態では、自然界に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの生体高分子は、(a)導出の起源またはソースが、自然界の天然状態でそれに付随する成分の一部またはすべてと関連していない時、(b)それが、自然界でそれを生産する種と同じ種のその他のポリペプチドまたは核酸を実質的に含まない時、または(c)自然界でそれを生産する種ではない細胞またはその他の発現系によって発現されるか、またはそうでなければそれからの成分と関連している時、「単離された」とみなされる。従って、例えば、一部の実施形態では、化学的に合成された、または自然界でそれを生産するものとは異なる細胞系で合成されたポリペプチドは、「単離された」ポリペプチドとみなされる。あるいはまたは追加的に、一部の実施形態では、一つ以上の精製技術を受けたポリペプチドは、それが、a)それが自然界で関連している、および/またはb)最初に生産された時にそれが関連していたその他の成分から分離されている限りは「単離された」ポリペプチドとみなされることができる。
【0128】
非ヒト動物:ヒトではない任意の脊椎生物体を意味する。
【0129】
一部の実施形態では、非ヒト動物は、円口類、硬骨魚、軟骨魚(例えば、サメまたはエイ)、両生類、は虫類、哺乳類、および鳥である。一部の実施形態では、非ヒト哺乳類は、霊長類、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ウシ、またはげっ歯類である。一部の実施形態では、非ヒト動物はラットまたはマウスなどのげっ歯類である。
【0130】
核酸:その最も広い意味において、オリゴヌクレオチド鎖に組み込まれ、または組み込まれ得る任意の化合物および/または物質を指し、一般に核酸分子、核酸配列、ヌクレオチド分子、ヌクレオチド分子と交換可能であり、これらの用語は互いに交換可能である。
【0131】
一部の実施形態では、「核酸」とはオリゴヌクレオチド鎖であるか、またはホスホジエステル結合でオリゴヌクレオチド鎖組み込むことができる化合物および/または物質である。文脈から明らかであるように一部の実施形態では、「核酸」とは個別の核酸残基(例えば、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシド)を指し、一部の実施形態では、「核酸」とは個別の核酸残基を備えるオリゴヌクレオチド鎖を指す。一部の実施形態では、「核酸」はRNAであるかまたはそれを含み、一部の実施形態では、「核酸」はDNAであるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、「核酸」は、一つ以上の天然核酸残基を含むかまたはそれらから成る。一部の実施形態では、「核酸」は、一つ以上の核酸類似体を含むかまたはそれらから成る。一部の実施形態では、核酸類似体は、ホスホジエステル骨格を利用しないという点で「核酸」とは異なる。例えば、一部の実施形態では、「核酸」は、当技術分野では知られており、骨格にホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有する、一つ以上の「ペプチド核酸」であるか、それらを含むか、またはそれらから成り、それらは本発明の範囲内であるとみなされる。あるいはまたはさらに、一部の実施形態では、「核酸」は、ホスホジエステル結合ではなく、一つ以上のホスホロチオエートおよび/または5’-N-ホスホラミダイト結合を持つ。一部の実施形態では、「核酸」は一つ以上の天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン)であるか、または一つ以上の天然ヌクレオシドから成る。一部の実施形態では、「核酸」は、一つ以上のヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5 プロピニル-シチジン、C-5 プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン、メチル化塩基、インターカレート塩基、およびそれらの組み合わせ)であるか、またはそれらから成る。一部の実施形態では、「核酸」は、天然核酸のものと比べて、一つ以上の改変された糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)を含む。一部の実施形態では、「核酸」は、RNAまたはタンパク質などの機能的遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を持つ。一部の実施形態では、「核酸」は、ポリペプチドフラグメント(例えば、ペプチド)をコードするヌクレオチド配列を持つ。一部の実施形態では、「核酸」は、一つ以上のイントロンを含む。一部の実施形態では、「核酸」は、一つ以上のエクソンを含む。一部の実施形態では、「核酸」は、一つ以上のコード配列を含む。一部の実施形態では、「核酸」は、天然起源物からの単離、相補的鋳型に基づく重合による酵素合成(インビボまたはインビトロ)、組み換え細胞または系での複製、および化学合成の一つ以上によって調製される。一部の実施形態では、「核酸」は、少なくとも3個以上の残基の長さである。一部の実施形態では、「核酸」は一本鎖であり、一部の実施形態では、「核酸」は二重鎖である。一部の実施形態では、「核酸」は、ポリペプチドもしくはそのフラグメントをコードするか、またはコードする配列の補体である、少なくとも一つの要素を含むヌクレオチド配列を持つ。一部の実施形態では、「核酸」は酵素活性を持つ。
【0132】
作動可能に結合された:記載される構成要素が、それらが意図された様式で機能することができるような関係にある近位を意味する。
【0133】
一部の実施形態では、作動可能に結合されたヌクレオチド配列は、互いに連続しており、 例えば、RSSに作動可能に結合された免疫グロブリン遺伝子セグメントを含む核酸配列は、RSSヌクレオチド配列と隣接する免疫グロブリン遺伝子セグメントヌクレオチド配列を含み、例えば、免疫グロブリン遺伝子セグメントが、RSSヌクレオチド配列にすぐ隣接するような連続的様式で、免疫グロブリン遺伝子セグメントは、少なくとも一方の側面で(例えば、隣接)RSSヌクレオチド配列が隣接する。
【0134】
他の実施形態では、作動可能な連結は、連続性を必要としない。例えば、互いに「作動可能に結合された」再構成されていない可変領域遺伝子セグメントは、再構成されていない可変領域遺伝子セグメントが、必ずしも互いに連続しているとは限らない、再破裂された可変領域遺伝子を形成するよう再構成する能力がある。互いに、および連続する定常領域遺伝子に作動可能に結合された再構成されていない可変領域遺伝子セグメントは、抗原結合タンパク質のポリペプチド鎖として定常領域遺伝子と結合して発現される再構成された可変領域遺伝子を形成するよう再構成する能力がある。コード配列に「作動可能に結合され」対照配列は、対照配列に適合する条件下でコード配列の発現が達成されるように結合されている。「作動可能に結合され」配列には、関心の遺伝子と隣接する発現制御配列および、トランスにまたは距離を置いて作用して対象の遺伝子を制御する発現制御配列の両方を含む。
【0135】
「発現制御配列」という用語は、それらがライゲーションされるコード配列の発現およびプロセシングを生じさせるために必要なポリヌクレオチド配列を指す。「発現制御配列」には、適切な転写開始、終結、プロモーターおよびエンハンサー配列、スプライシングおよびポリアデニル化シグナルなどの効率的RNAプロセシングシグナル、細胞質mRNAを安定化する配列、翻訳効率を強化する配列(すなわち、コザック配列)、タンパク質安定性を強化する配列、および望ましい場合、タンパク質分泌を強化する配列を含む。このような制御配列の性質は、宿主生物によって異なる。例えば、原核生物では、こうした制御配列は一般的に、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終結配列を含む一方、真核生物では、こうした制御配列は典型的に、プロモーターおよび転写終結配列を含む。「制御配列」という用語は、その存在が発現およびプロセシングのために必須である要素を含むことを意図しており、その存在が有利である追加的要素、例えば、リーダー配列および融合パートナー配列も含むことができる。
【0136】
概して、各再構成されていない免疫グロブリンV遺伝子セグメント、D遺伝子セグメント、またはJ遺伝子セグメントは、12merのRSSまたは23merのRSSであってもよい組み換えシグナル配列(RSS)に作動可能に結合される(例えば、関連される、一つの端または両方の端で隣接する、隣接される、など)。RSS(23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントを含む)が側端で隣接した任意の遺伝子セグメントは、組み換えを受けておらず、したがって、「再構成されていない」遺伝子セグメントとみなされ得る。一部の実施形態では、本明細書における再構成されていない遺伝子セグメントは、各々、両方の端で23merのRSSが隣接する、その生殖系列(例えば、野生型)構成の遺伝子セグメント、例えば、生殖系列VH遺伝子セグメントおよび生殖系列JH遺伝子セグメントを含んでもよい。対照的に、生殖系列DH遺伝子セグメント、例えば、再構成されていないDH遺伝子セグメントは、各々の端で12merのRSSが隣接する。23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメント、例えば、操作されたDH遺伝子セグメントはまた、組み換えを受けておらず、したがって、(i)23merのRSSおよび(ii)12merのRSSを含む。操作されたDH遺伝子セグメント(例えば、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメント)は、12merのRSSと作動可能に結合された別のDH遺伝子セグメントと、組み換えの12/23規則に従って再構成することができる。
【0137】
生理学的条件:細胞または生物体が生存および/または繁殖する条件に言及する当技術分野で公知の意味を含む。一部の実施形態では、この用語は、生物体または細胞系に対し自然界で発生し得る外的環境または内的環境の条件を意味する。一部の実施形態では、生理学的条件は、ヒトまたは非ヒト動物の身体内にある条件であり、特に手術部位の、および/または手術部位内の条件である。生理学的条件は、典型的には、例えば20~40℃の範囲の温度、1気圧、pH6~8、1~20mMのグルコース濃度、大気レベルの酸素濃度、および地球上で生じる重力などを含む。一部の実施形態では、実験室での条件は操作され、および/または生理学的条件に維持される。一部の実施形態では、生理学的条件は、生物体(例えば、非ヒト動物)内に生じるものである。
【0138】
ポリペプチド:アミノ酸の任意のポリマー鎖を指す。
【0139】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、自然界に存在するアミノ酸配列を持つ。一部の実施形態では、ポリペプチドは、自然界に存在しないアミノ酸配列を持つ。一部の実施形態では、ポリペプチドは、お互いに別々に自然界に存在する部分を含むアミノ酸配列を持つ(すなわち、例えば、ヒトおよび非ヒト部分など、二つ以上の異なる生物からのもの)。一部の実施形態では、ポリペプチドは、それが人の手の作用を通して、設計および/または生産されるという点で、遺伝子操作されたアミノ酸配列を持つ。一部の実施形態では、ポリペプチドは、複数のフラグメントを含有してもよく、または複数のフラグメントからなっていてもよく、それらフラグメントの各々は、対象のポリペプチドに見られる場合とは相互に異なる空間配置で同一の親ポリペプチドに見られるものであり(例えば、親ポリペプチドでは直接連結されていたフラグメントが、対象のポリペプチドでは空間的に分離されている場合、もしくはその逆の場合もあり、および/またはフラグメントが、対象のポリペプチドにおいて親ポリペプチドとは異なる順序で存在している場合もある)、したがって、対象のポリペプチドは、その親ポリペプチドの誘導体となる。
【0140】
組み換え:組み換え手段によって設計、操作、調製、発現、生成または単離されたポリペプチドを意味し、例えば、宿主細胞中にトランスフェクトされた組み換え発現ベクターを使用して発現されたポリペプチド、組み換えコンビナトリアルヒトポリペプチドライブラリーから単離されたポリペプチド(Hoogenboom H.R.,1997 TIB Tech.15:62-70;Hoogenboom H.,and Chames P.,2000,Immunology Today 21:371-378;Azzazy H.,and Highsmith W.E.,2002,Clin.Biochem.35:425-445;Gavilondo J.V.,and Larrick J.W.,2002,BioTechniques 29:128-145)、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor,L.D.,et al.,1992,Nucl.Acids Res.20:6287-6295;Little M.et al.,2000,Immunology Today 21:364-370;Kellermann S.A.and Green L.L.,2002,Current Opinion in Biotechnology 13:593-597;Murphy,A.J.,et al.,2014,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.111(14):5153-5158を参照のこと、その各々が、その全体が参照により本明細書に援用される)、または選択された配列要素の相互スプライシングを伴うその他の任意の手段によって調製、発現、生成もしくは単離されたポリペプチドを意味する。
【0141】
一部の実施形態では、このような選択された配列要素の一つ以上は自然界に存在する。一部の実施形態では、このような選択された配列要素の一つ以上はインシリコで設計される。一部の実施形態では、一つ以上のこのような選択配列要素は、例えば、天然または合成起源の既知の配列要素の変異誘導(例えば、インビボまたはインビトロ)から生じる。例えば、一部の実施形態では、組み換えポリペプチドは、対象のソース生物体(例えば、ヒト、マウスなど)のゲノム(またはポリペプチド)に見られる配列を含む。一部の実施形態では、組み換えポリペプチドは、二つの異なる生物体(例えば、ヒトおよび非ヒト生物体)において相互に別々に自然界で生じる(すなわち、例えば、ヒトおよび非ヒト部分などの二つ以上の異なる生物体に由来する)配列を含む。一部の実施形態では、組み換えポリペプチドは、変異誘導(例えば、非ヒト動物での、インビトロまたはインビボ)から生じるアミノ酸配列を持ち、したがって、組み換えポリペプチドのアミノ酸配列は、ポリペプチド配列に由来しかつポリペプチド配列に関連するが、インビボで非ヒト動物のゲノム内に自然には存在しない可能性がある配列である。
【0142】
参照:対象の剤、動物、コホート、個人、集団、サンプル、配列または値が比較される、標準または対照の剤、動物、コホート、個人、集団、サンプル、配列または値を指す。「参照」は「参照動物」を指す場合がある。「参照動物」は本明細書に記述された修飾、本明細書に記述されたものとは異なる修飾を持つか、または未修飾(すなわち、野生型動物)である場合がある。一般的には、当業者には理解されるであろうように、参照薬剤、動物、コホート、個人、集団、サンプル、配列または値は、対象の薬剤、動物(例えば、哺乳類)、コホート、個人、集団、サンプル、配列または値を決定または特徴付けるために利用されるものと同等の条件下で決定または特徴付けられる。
【0143】
一部の実施形態では、参照薬剤、動物、コホート、個人、集団、サンプル、配列または値は、対象の薬剤、動物、コホート、個人、集団、サンプル、配列または値の試験または算出と実質的に同時に試験および/または算出される。一部の実施形態では、参照薬剤、動物、コホート、個人、集団、サンプル、配列または値は、場合により、有形媒体で具現化された公知の参照である。一部の実施形態では、参照は対照を指す場合がある。
【0144】
実質的:対象となる特徴または特性の完全またはほぼ完全な範囲または程度を示す定性的条件を意味する。生物学分野の当業者であれば、生物学的および化学的な現象はあったとしても、完了まで進む、および/または完全な状態まで進行する、または絶対的な結果を達成または避けることは稀であることを理解するであろう。従って「実質的に」という用語は、多くの生物学的および化学的現象に固有の完全性の欠如の可能性をとらえるために使用される。
【0145】
実質的な相同性:アミノ酸配列または核酸配列間の類似を意味する。当業者であれば理解するように、二つの配列はそれらが対応する位置に相同な残基を含む場合、「実質的に相同」であると一般的にみなされる。相同残基は同一の残基である場合がある。あるいは、相同残基は、適度に類似した構造および/または機能的特徴を持つ非同一残基であってもよい。例えば、当業者には周知のように、特定のアミノ酸は「疎水性」または「親水性」アミノ酸、および/または「極性」または「非極性」側鎖を持つものとして一般的に分類される。一つのアミノ酸の同じタイプの別のアミノ酸での置換は、「相同」置換とみなされる場合がよくある。一般的なアミノ酸分類が下記に要約される。
【表8】
【表9】
【0146】
当技術分野で周知のように、アミノ酸または核酸配列は、ヌクレオチド配列に対するBLASTNおよびBLASTP、gapped BLAST、およびアミノ酸配列に対するPSI-BLASTなどの市販のコンピュータプログラムで利用可能なものを含む、様々なアルゴリズムの任意のものを使用して比較することができる。かかるプログラムの例は、Altschul,S.F.ら、1990,J.Mol.Biol.,215(3):403-410;Altschulら、1996,Methods Enzymol.266:460-80;Altschul,S.F.ら、1997,Nucleic Acids Res.,25:3389-402;Baxevanis,A.D.およびB.F.F.Ouellette(編)Bioinformatics:A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins,Wiley,1998;and Misener et al.(eds.)Bioinformatics Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology,Vol.132),Humana Press,1998に記載されている。相同配列を特定することに加えて、上述のプログラムは相同性の程度の指標を一般的に提供する。
【0147】
一部の実施形態では、二つの配列は、残基の関連する区間に渡って、その対応残基の少なくとも95%以上が相同の場合、実質的に相同であるとみなされる。一部の実施形態では、関連する区間は完全配列である。一部の実施形態では、関連する区間は少なくとも9個以上の残基である。一部の実施形態では、関連する区間は完全配列に沿った隣接残基を含む。一部の実施形態では、関連する区間は完全配列に沿って不連続な残基を含み、例えばポリペプチドまたはその一部のフォールディングされた構造により引き合わされた非隣接残基を含む。一部の実施形態では、関連する区間は少なくとも10個以上の残基である。
【0148】
「実質的な同一性」は、アミノ酸または核酸配列間の類似を意味する。当業者であれば理解するように、二つの配列はそれらが対応する位置に同一な残基を含む場合、「実質的に同一」であると一般的にみなされる。当技術分野で周知のように、アミノ酸または核酸配列は、ヌクレオチド配列に対するBLASTNおよびBLASTP、gapped BLAST、およびアミノ酸配列に対するPSI-BLASTなどの市販のコンピュータプログラムで利用可能なものを含む、様々なアルゴリズムの任意のものを使用して比較することができる。かかるプログラムの例は、Altschul,S.F.ら、1990,J.Mol.Biol.,215(3):403-410;Altschulら、1996,Methods Enzymol.266:460-80;Altschul,S.F.ら、1997,Nucleic Acids Res.,25:3389-3402;Baxevanis,A.D.およびB.F.F.Ouellette(編)Bioinformatics:A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins,Wiley,1998;and Misener et al.(eds.)Bioinformatics Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology,Vol.132),Humana Press,1998に記載されている。同一配列の特定に加え、上述のプログラムは多くの場合、同一性の程度の指標も提供する。
【0149】
一部の実施形態では、二つの配列は、残基の関連する区間に渡って、その対応残基の少なくとも95%以上が同一の場合、実質的に同一であるとみなされる。一部の実施形態では、関連する区間は完全配列である。一部の実施形態では、関連する区間は少なくとも10個以上の残基である。
【0150】
ターゲティングベクターまたは標的化構築物:標的化領域を含むポリヌクレオチド分子を意味する。標的化領域は、標的細胞、組織または動物の配列と同一または実質的に同一の配列を含み、相同組み換えにより、標的化構築物を、細胞、組織または動物のゲノム内の位置に統合する。部位特異的リコンビナーゼ認識部位(例えば、loxP部位またはFrt部位)を使用して標的にする標的化領域も含まれる。
【0151】
一部の実施形態では、本明細書に記載の標的化構築物は、特に対象となる核酸配列または遺伝子と、選択可能マーカーと、制御配列およびまたは調整配列と、こうした配列が関与する組み換えを補助または促進するタンパク質を外部から付加することにより仲介する組み換えを可能にする、その他の核酸配列とをさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される標的化構築物は対象の遺伝子の全部または一部をさらに含み、対象の遺伝子は、内在性配列によってコードされるタンパク質と類似の機能を持つポリペプチドの全部または一部をコードする異種遺伝子である。一部の実施形態では、本明細書に記載される標的化構築物は対象のヒト化遺伝子の全部または一部をさらに含み、対象のヒト化遺伝子は、内在性配列によってコードされるポリペプチドと類似の機能を持つポリペプチドの全部または一部をコードする。一部の実施形態では、標的化構築物(またはターゲティングベクター)は、人の手によって操作された核酸配列を含み得る。例えば一部の実施形態では、標的化構築物(またはターゲティングベクター)は、自然界での状態では互いに結合されていないが、操作されたポリヌクレオチドまたは組み換えポリヌクレオチドにおいて互いに直接結合されるように人の手により操作されている二つ以上の配列を含む、操作されたポリヌクレオチドまたは組み換えポリヌクレオチドを含むように構築され得る。
【0152】
導入遺伝子または導入遺伝子構築物:人の手を用いて(例えば、本明細書に記載の方法を用いて)細胞に導入された核酸配列(例えば、対象のポリペプチドの全部または一部をコードする配列)を意味する。導入遺伝子は、部分的または全体的に異種、すなわち、導入されるトランスジェニック動物または細胞に対して外来性であってもよい。導入遺伝子は、例えばイントロンまたはプロモーターなどの一つ以上の転写制御配列と、任意の他の核酸とを含む場合があり、それらは選択された核酸配列の発現に必要になり得る。導入遺伝子は、導入遺伝子を取り込んだ子孫(例えば、細胞)のその後の選択を可能にする一つ以上の選択マーカーを含み得る。
【0153】
トランスジェニック動物、トランスジェニック非ヒト動物、またはTg+:本明細書において交換可能に使用され、任意の非天然非ヒト動物を意味し、非ヒト動物の細胞の一つ以上が、対象のポリペプチドの全部または一部をコードする、異種核酸および/または遺伝子を含有している。
【0154】
一部の実施形態では、異種核酸配列および/または遺伝子は、例えばマイクロインジェクションを用いるか、または組み換えウイルスによる感染を用いるなどの計画的な遺伝子操作を介した前駆細胞への導入によって、直接的または間接的に細胞内に導入される。遺伝子操作という用語は、伝統的な交配技術を含めずに、むしろ組み換えDNA分子の導入を対象にするものである。この分子は、染色体内に組み込まれてもよく、または染色体外で複製するDNAであってもよい。用語「Tg+」には、異種核酸および/もしくは遺伝子に対してヘテロ接合性もしくはホモ接合性である動物、ならびに/または異種核酸および/または遺伝子の単一コピーもしくは多コピーを有する動物が含まれる。
【0155】
ベクター:核酸分子であって、それが会合している別の核酸を輸送することができる核酸分子を意味する。
【0156】
一部の実施形態では、ベクターは、染色体外複製ならびに/または、真核および/もしくは原核細胞などの宿主細胞中でそれらが結合している核酸の発現能力がある。作動可能に結合された遺伝子の発現を誘導することができるベクターは、本明細書では「発現ベクター」と称される。
【0157】
野生型:(変異、罹患、改変された状態または状況などと対照をなす)「正常」な状態または状況で自然界に存在する構造および/または活性を有する実体を意味する、当技術分野で公知の意味を有する。当業者であれば、野生型の遺伝子およびポリペプチドは複数の異なる形態(例えば、アレル)で存在することが多いことを理解するであろう。
【0158】
本発明の他の特徴、目的および利益は、以下のいくつかの実施形態の詳細な説明で明らかである。しかし、詳細な説明は、本発明のいくつかの実施形態を示しているが、それらは例示の目的で提示されているものであり、限定を目的として提示されていないことを理解されたい。本発明の範囲内のさまざまな変更および修正は、詳細説明から当業者には明らかとなるであろう。
【0159】
特定の実施形態の詳細な説明
本発明は、とりわけ、ヒト免疫グロブリンの一つ以上の部分(機能的フラグメント、結合部分など)をコードする異種遺伝物質を有するトランスジェニックまたは操作された非ヒト動物を提供し、その異種遺伝物質は、異種遺伝物質が、重鎖定常(CH)遺伝子と作動可能に結合されるように、免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座に挿入される。かかる非ヒト動物は、再構成されたV(DD)J配列によりコードされる抗体を生成する能力を示すことが意図されている。かかる非ヒト動物が、野生型免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座(または自然界で出現する免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座)から生成された免疫グロブリン重鎖可変CDR3多様性を有する抗体集団と比較して、CDR3多様性が増加した重鎖可変領域によって特徴付けられる抗体集団を示すことも意図されている。したがって、提供される非ヒト動物は、特定の抗原、特に、従来(または野生型)の抗体により結合が好ましくない一つ以上のエピトープにより特徴付けられる、低いおよび/または乏しい免疫原性または抗原に結合する、抗体ベースの治療の開発に特に有用である。特に、本発明は、免疫グロブリン重鎖可変領域におけるDH領域の一つ以上のDHセグメント(例えば、5’または3’)に隣接する23merの組み換えシグナル配列の導入、これにより、VDJ組み換え中にDHとDHセグメントの再構成の能力をもたらし、および単一のDHセグメントを含むVDJ組み換えから生成された抗体と比較して、より長いアミノ酸長により特徴付けられ得る、重鎖可変領域、特に、CDR3領域を有する抗体の発現を包含する。こうしたトランスジェニック非ヒト動物は、確立されている創薬技術の標的能を超えて疾患標的を結合させる抗体および/または抗体ベースの治療薬を特定し、開発するためのインビボシステムを提供する。さらに、こうしたトランスジェニック非ヒト動物は、ヒトに影響を及ぼす種々の疾患および/または疾患病状の中核をなすタンパク質-タンパク質相互作用を破壊することに重点を置くか、または破壊するように設計された、抗体および/または抗体ベースの治療薬の開発に有用な動物モデル系を提供する。
【0160】
図1の上部パネルに示されるように、免疫グロブリン遺伝子セグメント間の組み換えは、12/23規則と一般的に呼ばれる規則に従い、組み換えシグナル配列(RSS)が隣接した遺伝子セグメントは、順序付けられたプロセスによって結合される。各RSSは、コード配列(例えば、V
H、D
HまたはJ
Hセグメント)と連続する七つのヌクレオチド(ヘプタマー;5’-CACAGTG-3’;配列番号144)の保存されたブロック、続いて長さ12bpまたは23bpのいずれかであるスペーサーとして知られた、保存されていない領域、および9つのヌクレオチド(ノナーマー;5’-ACAAAAACC-3’;配列番号145)の第2の保存されたブロックからなる。スペーサーは、配列が変動し得るが、その保存された長さは、DNA二重らせんの1または2回転に相当する。これにより、ヘプタマー配列およびノナーマー配列はDNAヘリックスの同じ側に移動し、組み換えを触媒するタンパク質の複合体に結合することができる。23bpスペーサーを含むRSSは、23merのRSSであり、12bpのスペーサーを含むRSSは、12merのRSSである。例外が報告されているが、組換えの12/23規則は一般に、12merのRSSと23merのRSSの間の組み換えを促進し、23merのRSSと別の23merのRSSの間の組み換え、または12merのRSSと別の12merのRSSの間の組換えを阻止し、例えば、直接的な生殖系列V
Hと生殖系列J
H組み換え(すなわち、23merと23merの結合)または生殖系列D
Hと生殖系列D
H組み換え(すなわち、12merと12merの結合)を阻止する。
【0161】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、各々が、23merのRSSに作動可能に結合され、したがって、DH-DH組み換え能力がある、一つ以上のDHセグメントの存在により特徴付けられる、操作された多様性クラスター(すなわち、操作されたDH領域)を含有する免疫グロブリン重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、かかる組み換えから生成されたCDR3を含有する抗体は、特定の抗原(例えば、ウイルス、膜チャネルなど)への直接結合を指示する、より長いアミノ酸長から生じる増大した多様性を有することにより特徴付けられ得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、VDJ組み換えが、当該VH、JHと一つより多くのDHセグメントの間で生じて、対象の抗原に結合する重鎖可変領域を作るように、操作されたDH領域と作動可能に結合された、ヒト重鎖可変(VH)および結合(JH)遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域は、参照免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座と比較して、増大した頻度でDHとDH組み換えを可能にする(または促進する)よう操作された、一つ以上(例えば、1、2、3、4、5、10またはそれ以上)のヒトDHセグメントを含有する。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、非ヒト動物のゲノム内の免疫グロブリン重鎖可変領域で、23merの組み換えシグナル配列(RSS)に作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントに作動可能に結合された複数のVHとJH遺伝子セグメントを含む。多くの実施形態では、VHおよびJHセグメントは、ヒトVHおよびヒトJH遺伝子セグメントである。
【0162】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、非ヒト動物が、ヒト可変領域(すなわち、重鎖および軽鎖)ならびに非ヒト定常領域を含む抗体を産生するように、ヒトまたはヒト化免疫グロブリン軽鎖遺伝子座(例えば、κおよび/またはλ)をさらに含む。一部の実施形態では、当該ヒトまたはヒト化免疫グロブリン軽鎖遺伝子座は、げっ歯類軽鎖定常領域(例えば、げっ歯類CκまたはCλ)に作動可能に結合されたヒトVLおよびJL遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、米国特許第9,796,788号;第9,969,814号;米国特許公開第2011/0195454A1号、第2012/0021409A1号、第2012/0192300A1号、第2013/0045492A1号、第2013/0185821A1号、第2013/0302836A1号、第2018/0125043号;国際特許出願公開第2011/097603号、第2012/148873号、第2013/134263号、第2013/184761号、第2014/160179号、第2014/160202号、および第2019/113065号(その各々が、その全体が参照により本明細書に援用される)に記載される免疫グロブリン軽鎖遺伝子座をさらに含む。
【0163】
本発明の様々な態様が以下のセクションに詳細に記載される。セクションの使用は、本明細書に記載の実施形態を制限することを意図しない。各セクションは、本明細書に記載の任意の態様または実施形態に適用することができる。本出願では、特に指定のない限り、「または」の使用は、「および/または」を意味する。
【0164】
VDJ組み換え
免疫グロブリン合成に関与する遺伝子は、動物の全ての細胞において見出され、染色体に沿って順次位置する、遺伝子セグメントに配置される。遺伝するヒト遺伝子セグメントの構成、例えば、ヒト遺伝子セグメントの生殖系列配置、例えば、ヒトの生殖系列ゲノム(例えば、次世代に受け継がれるゲノム)におけるヒト遺伝子セグメントの順序は、Lefranc,M.-P.,Exp.Clin.mmunogenet.,18,100-116(2001)において見いだされ、それはその全体が参照により本明細書に組込まれ、生殖系列配置においてヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座内で見出される機能的遺伝子セグメントおよび偽遺伝子も示す。いくつかの遺伝子成分が関与する、一連の組み換え現象は、遺伝子セグメント(例えば、V、DおよびJ)の順序付けられた配列から免疫グロブリンをアセンブルするのを助ける。遺伝子セグメントのこのアセンブリは、不正確であるとして知られ、それ故に、免疫グロブリン多様性は、異なる遺伝子セグメントの組み合わせ、および不正確な結合を通じた固有の結合の形成の両方により達成される。さらに、多様性は、免疫グロブリンの可変領域配列が、抗原に対する親和性および特異性を増加させるよう改変されている、体細胞超変異として知られるプロセスを通して生成される。免疫グロブリン分子は、二つの同一の重鎖と二つの同一の軽鎖とから構成されるY字型のポリペプチドであり、その各々は、二つの構造成分、一つの可変ドメインおよび一つの定常ドメインを有する。それは、遺伝子セグメントのアセンブリによって形成される重鎖および軽鎖の可変ドメインである一方、定常ドメインは、RNAスプライシングを通じて可変ドメインに融合される。遺伝子セグメントをアセンブル(または結合)する機序は、重鎖および軽鎖について類似するが、1回の結合現象のみが、軽鎖(すなわち、VからJ)に必要となる一方、2回の現象が、重鎖に必要となる(すなわち、DからJおよびVからDJ)。
【0165】
重鎖および軽鎖可変領域についての遺伝子セグメントのアセンブリ(それぞれ、VDJ組み換えおよびVJ組み換えとして言及される)は、V、DおよびJコード配列と比べ正確な位置でDNA再構成を確実にする、組み換えシグナル配列(RSS)と呼ばれる、各遺伝子セグメントに隣接する保存された非コードDNA配列により誘導される(例えば、Ramsden,D.A.ら、1994年、Nuc.Acids Res.22(10):1785~96を参照のこと;その全体が参照により本明細書に組込まれる)。当業者によって理解される重鎖遺伝子セグメントのVDJ組み換えに関与する配列の代表的な概略図が、
図1に記載される。各RSSは、コード配列(例えば、V、DまたはJセグメント)、続いてスペーサー(12bpまたは23bpのいずれか)と連続する7個のヌクレオチド(ヘプタマー)の保存されたブロック、および9個のヌクレオチド(ノナマー)の第2の保存されたブロックからなる。個体間で12bpまたは23bpのスペーサーにおいて相当な配列相違が許容されるが、これらの配列の長さは、典型的には変動しない。免疫グロブリン遺伝子セグメント間の組み換えは、一般的に12/23ルールとして言及されるルールに従い、ここで、12bpのスペーサー(または12mer)を有するRSSが隣接した遺伝子セグメントは、23bpのスペーサー(あるいは23mer、例えば、全体が参照により本明細書に組込まれる、Hiom,K.and M.Gellert、1998年、Mol.Cell.、1(7):1011~9を参照のこと)が隣接した遺伝子セグメントと典型的に結合する。RSSの配列は、特定の遺伝子セグメントとの組み換えの効率および/または頻度に影響を及ぼすと報告されている(例えば、Ramsden,D.AおよびG.E.Wu、1991年、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、88:10721~5;Boubnov,N.V.ら、1995年、Nuc.Acids Res.、23:1060~7;Ezekiel,U.R.ら、1995年、Immunity 2:381~9;Sadofsky,M.ら、1995年、Genes Dev.9:2193~9;Cuomo,C.A.ら、1996年、Mol.Cell Biol.、16:5683~90;Ramsden,D.A.ら、1996年、EMBO J 15:3197~3206を参照のこと;その各々が、その全体が参照により本明細書に組込まれる)。実際に、多数の報告で、遺伝子セグメント特に、D
Hセグメントの使用は個体間で極めて偏りがあり変動することが指摘されている。別段の指示がない限り、または矛盾または不一致が生じることが当業者に明らかである場合を除き、RSSを参照することなく、再構成されていない遺伝子セグメントは、遺伝子セグメントが自然に関連している、例えば、隣接している、場合により、作動可能に結合されているなどの二つのRSSを含むと推定される。一部の実施形態では、本明細書における再構成されていない遺伝子セグメントは、各々、両方の端で23merのRSSが隣接する、その生殖系列(例えば、野生型)構成の遺伝子セグメント、例えば、生殖系列V
H遺伝子セグメントおよび生殖系列J
H遺伝子セグメントを含んでもよい。対照的に、生殖系列のD
H遺伝子セグメント、例えば、再構成されていないD
H遺伝子セグメントは、各々の端で12merのRSSが隣接する。
【0166】
したがって、再構成されていない遺伝子セグメントはまた、かかる生殖系列配置と関連する任意のRSSを含む、その生殖系列配置の遺伝子セグメントを指す。さらに、その生殖系列配置における複数の遺伝子セグメントは、概して、その生殖系列(例えば、再構成されていない)構成の各々の個々の遺伝子セグメントだけでなく、機能的遺伝子セグメントの順序および/または位置も指す。例えば、ヒトV、DおよびJ遺伝子セグメントの生殖系列配置について、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Lefranc、M.-P.,Exp.Clin.Immunogenet.、18、100~116(2001年)を参照のこと。
【0167】
重鎖および軽鎖可変領域を形成するための遺伝子セグメントのアセンブルにより、免疫グロブリンの抗原結合領域(または部位)の形成がもたらされる。かかる抗原結合領域は、部分的に、一般的に、相補性決定領域(CDR)と称される超可変領域の存在によって特徴付けられる。重鎖と軽鎖の両方について3個のCDR(すなわち、計6個のCDR)があり、CDR1とCDR2の両方がV遺伝子セグメントによって完全にコードされている。しかしながら、CDR3は、軽鎖について、VとJセグメントの結合から生じる配列によってコードされ、重鎖について、V、DとJセグメントの結合から生じる配列によってコードされる。したがって、組み換えの間に、重鎖可変領域コード配列を形成するために利用される追加の遺伝子セグメントにより、重鎖の抗原結合部位の多様性が有意に増加する。したがって、本明細書に記載の操作されたDH領域を含有する提供される非ヒト動物は、DHからDHへの組み換えにより特徴付けられるCDR3多様性を生じ、従来のVDJ組み換えにより生成される重鎖可変領域のCDR3領域と比較して、増長したアミノ酸長を有する。
【0168】
理論により結び付けられないが、重鎖CDR3レパートリーのさらなる多様性は、再構成された重鎖可変領域遺伝子配列を形成する結合の数の増加、および/またはCDR3領域の長さの増長を通じて可能であり得ると考えられる。結合の数を増加させる、および/またはCDR3領域の長さを増長させる一つの機構は、V
H(D
HA-D
HB)J
H遺伝子配列を導く、続くD
H-J
HとV-D
HJ
H組み換えに先立つ、D
H-D
H組み換え現象において、第1のD
Hセグメント(D
H「A」と一般的に言及され得る)の別のD
Hセグメント(D
H「B」と一般的に言及され得る)への結合を通じてであり得る。天然では、D
H-D
H組み換え現象は、12/23規則によって阻止されると長い間考えられていた(Alt,F.W.ら、1984年、EMBO J.3(6):1209~19、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。しかしながら、D
H-D
H組み換え現象が、12/23規則(800のうち1 または約0.125%のナイーブB細胞;例えば、Ollier,P.J.ら、1985年、EMBO J.4(13B):3681~88;Milner,E.C.B.ら、1986年、Immunol.Today 7:36~40;Liu,Z.ら、1987年、Nucleic Acids Res.、15(11):4688;Liu,Z.ら、1987年、Nucleic Acids Res.、15(15):6296;Meek,K.D.ら、1989年、J.Exp.Med.169(2):519~33;Meek,K.D.ら、1989年、J.Exp.Med.170:39~57;Baskin,B.ら、1998年、Clin.Exp.Immunol.、112:44~7;Briney,B.S.ら、2012年、Immunol.137:56~64を参照のこと;その各々が、その全体が参照により本明細書に組込まれる)に反してヒトにおいて非常に低い頻度で生じ、いくつかの重鎖において観察される異常に長いCDR3を生成する主要な機構であると考えられる(Janeway’s Immunobiology.、第9編、Kenneth Murphy、Casey Weaver.、第5章、2017年;その全体が参照により取り込まれる)ことが明らかになった。しかしながら、いくつかの可能性のある治療標的(例えば、非限定的に、ウイルス、細胞表面受容体、GPCRのようなIV型膜貫通型タンパク質、イオンチャネル)は、正常な抗体にはアクセスできないが、長いHCDR3配列を有する抗体によって認識され得るエピトープをマスクするか、またはへこませる。例えば、非常に長いHCDR3を有する抗体は、慢性ウイルス感染症を有する患者においてしばしば見出され、ある場合では、広範な中和活性を有する(例えば、HIV-1またはインフルエンザに対する広範な中和抗体)。これらの隠れたエピトープに達する能力がある抗体を選択するために、非常に長いHCDR3を有する重鎖の頻度を増加させることが有用である。理論に結び付けられることは望まないが、これを達成する一つの方法は、23merのRSSを含み、D
H遺伝子セグメントのより長いJ
H6遺伝子セグメントへの組み換えの頻度を増加させるようD
Hセグメントを操作することにより、重鎖V
H(D
HA-D
HB)J
H再構成の頻度を増加させることである。マウスでは、D
H-J
H結合は、二つの順序付けられたステップ:(1)近位DQ52セグメント(ヒトではD
H7-27として言及される)の最も近いJ
Hセグメント(J
H1またはJ
H2)の一つへの一次再構成で生じると考えられる。次に、DQ52の上流の強力なμ0プロモーターにより、残りのJ
Hセグメント(J
H3およびJ
H4)が組み換え活性化遺伝子(RAG)によりアクセスしやすくなり;(2)遠位D
Hセグメントの残りのJ
Hセグメント(J
H3またはJ
H4)の一つへの第2の再構成。
図1の上部パネルを参照のこと。これは、マウス(J
H3-J
H4)とヒト(J
H4-J
H6)の両方で観察される下流J
Hセグメントのより頻繁な使用と一致する(Nitschkeら、2001年、J.Immunol.、166:2540~52、その全体が参照により本明細書に組込まれる)。理論に結び付けられることは望まないが、D
H7-27およびJ
H1-J
H3(またはJ
H1-J
H5)の、5’の23merのRSSおよび3’の12merのRSSを有する合成D
H遺伝子(例えば、合成D
H3-3セグメント)での置換は、高い頻度のV
H(D
H-D
H)J
H組み換えをもたらし、3ステップの機構によって生じ得ると仮定される:(1)23(D
H)J
Hを生じるための、J
H4、J
H5、またはJ
H6への23-D
H-12再構成、(2)12(D
H-D
H)J
Hを生じるための、遠位D
H(D
H1-1~D
H1-26)の23(D
H)J
Hへの再構成(23(D
H)J
HへのV
H再構成は、12/23規則によって妨げられる)、(3)免疫グロブリン重鎖可変ドメインをコードするVDDJコード配列を生じるための、V
Hの12(D
H-D
H)J
Hへの再構成。例えば、
図1の下部パネルを参照のこと。また、長いHCDR3領域(例えば、Wangら、2013年、Cell 153:1379~93を参照、その全体が参照により本明細書に組込まれる)を安定化させると考えられるジスルフィド結合を形成することができる長いD
H遺伝子セグメント(形成する二つのシステインをコードする31個より長いヌクレオチドを含む)であるD
H2-2、D
H2-8、およびD
H2-15遺伝子セグメントの、それぞれ、5’末端の12merのRSSおよび3’末端の23merのRSSに作動可能に結合されたそれらの遺伝子セグメントでの置換はまた、三つのステップの機構: (1)12(D
H)J
Hを生じるための、J
H4、J
H5、またはJ
H6への12:D
H-12再構成、(2)12(D
H-D
H)J
Hを生じるための、遠位12:D
H2-2:23、12:D
H2-8:23、または12:D
H2-15-23の12(D
H)J
Hへの再構成、および(3)免疫グロブリン重鎖可変ドメインをコードするVDDJコーディング配列を生じるための、V
Hの12(D
H-D
H)J
Hへの再構成により生じ得る高頻度のV
H(D
H-D
H)J
H組み換えを生じるとも仮定される。本明細書に記載される通り、操作されたD
H領域は、一つ以上のD
Hセグメントに隣接する5’または3’の隣接位置のいずれかに23merのスペーサーを配置することによって構築され、これにより、ヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座におけるD
HからD
Hへの組み換えが可能になる。
【0169】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、参照非ヒト動物と比較して、12/23規則に従っていないVDJ組み換えを示す免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、野生型DHセグメントと比較して、修飾された一つ以上のDHセグメントに隣接した、または隣接している一つ以上のRSSを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物の免疫グロブリン重鎖可変領域の一つ以上のDH遺伝子セグメントは、DH-DH組み換えの頻度が、参照非ヒト動物と比較して、非ヒト動物において増加するように、各々、5’または3’の23merのRSSのいずれかに作動可能に結合される。組み換え効率および/または頻度は、一部の実施形態では、抗体配列の集団(例えば、個体または個体の群由来)における遺伝子セグメントの使用頻度により決定され得る(例えば、Arnaout,R.ら、2011年、PLoS One 6(8):e22365;Glanville,J.ら、2011年、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、108(50):20066~71を参照のこと、その全体が参照により本明細書に組込まれる)。したがって、本明細書に記載の非ヒト動物は、一部の実施形態では、DH-DH組み換えが、参照非ヒト動物におけるDH-DH組み換えと比較して、増加した頻度で生じるように、各々、23merのRSSに作動可能に結合された、または隣接した一つ以上のDHセグメントを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域を含むげっ歯類は、参照非ヒト動物におけるDH-DH組み換えと比較して、少なくとも3倍増加した頻度のDH-DH組み換えを示す。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域を含むげっ歯類は、参照非ヒト動物におけるDH-DH組み換えと比較して、少なくとも4倍増加した頻度のDH-DH組み換えを示す。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域を含むげっ歯類は、参照非ヒト動物におけるDH-DH組み換えと比較して、少なくとも5倍増加した頻度のDH-DH組み換えを示す。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域を含むげっ歯類は、参照非ヒト動物におけるDH-DH組み換えと比較して、少なくとも10倍増加した頻度のDH-DH組み換えを示す。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域を含むげっ歯類は、参照非ヒト動物におけるDH-DH組み換えと比較して、少なくとも20倍増加した頻度のDH-DH組み換えを示す。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域を含むげっ歯類は、参照非ヒト動物におけるDH-DH組み換えと比較して、少なくとも30倍増加した頻度のDH-DH組み換えを示す。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域を含むげっ歯類は、参照非ヒト動物におけるDH-DH組み換えと比較して、少なくとも40倍増加した頻度のDH-DH組み換えを示す。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域を含むげっ歯類は、参照非ヒト動物におけるDH-DH組み換えと比較して、少なくとも50倍増加した頻度のDH-DH組み換えを示す。
【0170】
提供されるインビボシステム
本発明は、特定の抗原は、低いおよび/または乏しい免疫原性と関連し、故に、抗体ベースの治療のための不十分な標的であるという認識に基づく。実際に、多数の疾患標的(例えば、ウイルス、チャンネルタンパク質)は、難治性であるか、または新薬の開発にはつながらないと特徴付けられてきた。したがって、本発明は、確立された薬物開発テクノロジーおよび/またはアプローチに付随する課題を克服する抗体および抗体ベースの治療を開発するためのインビボシステムの作製に基づく。一部の実施形態では、本発明は、一つ以上のDH RSSが、12merのDH-12merのフォーマットから12merのDH-23merまたは23merのDH-12merのフォーマットに変更されるか、修飾されるか、または操作さ、これにより、参照インビボシステムで観察されるDHからDHへの組み換えと比較して、増加した頻度でのDHからDHへの組み換えを可能にする、操作されたDH領域を含む、免疫グロブリン遺伝子座、特に、ヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座の存在により特徴付けられるインビボシステムを提供する。本開示は、ゲノムが、操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含むトランスジェニックげっ歯類の構築を具体的に示し、その操作されたDH領域は、増加した頻度のDH-DH組み換えを可能にする一つ以上のDHセグメントの各々と比べて位置しる23merのRSSに各々作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントを含む。本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の操作されたDH領域を生成するために、各々が5’または3’の23merのRSSに作動可能に結合された任意の数のDHセグメント(例えば、従来または合成)を達成するように合わせることができる。操作されたDH領域は、一度、免疫グロブリン重鎖可変領域に統合される(すなわち、VHおよびJH遺伝子セグメントならびに/または一つ以上の定常領域と作動可能に結合して配置される)と、例えば、特定の抗原への結合を指示するための加えられた多様性を有する重鎖(すなわち、長いCDR3、例えば、重鎖CDR3配列の少なくとも95%は、少なくとも14アミノ酸長である)により特徴付けられる抗体を生成するための、VHおよびJH遺伝子セグメントの一つより多いDHセグメントとの組み換えを提供する。一部の実施形態では、かかる重鎖可変領域は、ウイルス、チャンネルタンパク質、GPCRなどの届きにくいエピトープにアクセスする能力を有する。
【0171】
任意の特定の理論により結び付けられることを望まないが、本発明者らは、本明細書において提供されるデータが、一部の実施形態では、ゲノムが、5’の23merのRSSに作動可能に結合されたDHの包含により特徴付けられる操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変遺伝子座を含むげっ歯類は、V(DD)J組み換えにより産生される抗体を効率的に生成することを示すことに気付いた。本発明者らは、本明細書において提供されるデータが、一部の実施形態では、ゲノムが、各々、3’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのDHの包含により特徴付けられる操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変遺伝子座を含むげっ歯類は、V(DD)J組み換えにより産生される抗体を効率的に生成することを示すことにも気付いた。JH6遺伝子セグメントの上流のいくつかまたは全五つのJH遺伝子セグメントの欠失が、JH6遺伝子セグメントへの優先的な組み換えをもたらすことも、本明細書において示される。特に、JH6遺伝子セグメントは、63個のヌクレオチド、例えば、それぞれ、52、53、50、40、および51個のヌクレオチドを含む、JH1、JH2、JH3、JH4、およびJH5遺伝子セグメント以外の10個のヌクレオチドを含む。したがって、本開示は、少なくとも一部の実施形態では、例えば、再構成された免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子配列、例えば、少なくとも20アミノ酸長のCDR3、例えば、20~30アミノ酸長のCDR3を有する重鎖可変ドメインをコードする、VHDHJHおよびVH(DHA-DHB)JH、例えば、VH(DHA-DHB)JH6配列を生成するげっ歯類を提供することにより、難治性疾患標的に対する抗体および/または抗体ベースの治療を生成するためのインビボシステムの開発を包含する。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物の再構成された免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子配列、例えば、VHDHJHおよびVH(DHA-DHB)JH遺伝子配列の少なくとも8~10%は、少なくとも21アミノ酸長のCDR3領域をコードする。
【0172】
一部の実施形態では、(1)その生殖系列ゲノム、例えば、生殖系列細胞で、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントを含む操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖遺伝子座、および(2)その体細胞ゲノム、例えば、B細胞で、再構成された重鎖VH(DHA-DHB)JHコード配列を含む、非ヒト動物、例えば、げっ歯類、例えば、ラットまたはマウスが、本明細書において記載され、第1または第2のDH遺伝子セグメント(すなわち、それぞれ、VH(DHA-DHB)JHコード配列のDHAまたはDHB)は、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメント、またはその一部を含み、例えば、第1または第2のDH遺伝子セグメントは、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントと共に整列している少なくとも9個の連続ヌクレオチドを有し、第1および第2のDH遺伝子セグメントの各々は、任意のオーバーラップの無関係な対応する生殖系列DH遺伝子セグメントと共に整列している少なくとも5個の連続ヌクレオチドを含む。
【0173】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、生殖系列配置で構成された複数のヒトVH、DHおよびJH遺伝子セグメントの存在により特徴付けられる、非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域、エンハンサーおよび制御領域に作動可能に結合された免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含む。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、一つ以上のヒトVH遺伝子セグメント、一つ以上のヒトDH遺伝子セグメント、および非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域に作動可能に結合された一つ以上のヒトJH遺伝子セグメントを含む。
【0174】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、少なくともヒトVH遺伝子セグメントVH3-74、VH3-73、VH3-72、VH2-70、VH1-69、VH3-66、VH3-64、VH4-61、VH4-59、VH1-58、VH3-53、VH5-51、VH3-49、VH3-48、VH1-46、VH1-45、VH3-43、VH4-39、VH4-34、VH3-33、VH4-31、VH3-30、VH4-28、VH2-26、VH1-24、VH3-23、VH3-21、VH3-20、VH1-18、VH3-15、VH3-13、VH3-11、VH3-9、VH1-8、VH3-7、VH2-5、VH7-4-1、VH4-4、VH1-3、VH1-2およびVH6-1を含む。
【0175】
一部のある実施形態では、提供された非ヒト動物は、ヒトDH遺伝子セグメントDH1-1、DH2-2、DH3-3、DH4-4、DH5-5、DH6-6、DH1-7、DH2-8、DH3-9、DH3-10、DH5-12、DH6-13、DH2-15、DH3-16、DH4-17、DH5-18、DH6-19、DH1-20、DH2-21、DH3-22、DH6-25およびDH1-26を含む。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、DH1-14、DH4-11、DH4-23、DH5-24、またはその組み合わせをさらに含む。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、ヒトDH7-27をさらに含む。
【0176】
一部の実施形態では、(1)その生殖系列ゲノム、例えば、生殖系列細胞で、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントを含む操作されたDH領域を含む免疫グロブリン重鎖遺伝子座、および(2)その体細胞ゲノム、例えば、B細胞で、再構成された重鎖VH(DHA-DHB)JHコード配列を含む、非ヒト動物、例えば、げっ歯類、例えば、ラットまたはマウスが、本明細書において記載され、第1または第2のDH遺伝子セグメント(すなわち、それぞれ、VH(DHA-DHB)JHコード配列のDHAまたはDHB)は、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメント、またはその一部を含み、例えば、第1または第2のDH遺伝子セグメントは、23merのRSSに作動可能に結合されたDH遺伝子セグメントと共に整列している少なくとも9個の連続ヌクレオチドを有し、第1および第2のDH遺伝子セグメントの各々は、任意のオーバーラップの無関係な、対応する生殖系列DH 遺伝子セグメントと共に整列している少なくとも5個の連続ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、二つのシステインコドンを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、少なくとも37個のヌクレオチドを含有する。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、少なくとも19個のヌクレオチドを含有する。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、少なくとも20個のヌクレオチドを含有する。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、少なくとも23個のヌクレオチドを含有する。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、少なくとも28個のヌクレオチドを含有する。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、少なくとも31個のヌクレオチドを含有する。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、少なくとも37個のヌクレオチドを含有する。
【0177】
一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH1遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH2遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH3遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH4遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH5遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH6遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH7遺伝子セグメントを含む。
【0178】
一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH1-1遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH2-2遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH3-3遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH4-4遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH5-5遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH6-6遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH1-7遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH2-8遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH3-9遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH3-10遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH5-12遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH6-13遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH2-15遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH3-16遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH4-17遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH5-18遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH6-19遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH1-20遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH2-21遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH3-22遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH6-25遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH1-26遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH1-14遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH4-11遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH4-23遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH5-24遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントは、ヒトDH7-27遺伝子セグメントを含む。
【0179】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、再構成されていないヒトゲノム可変遺伝子座に見られる順序で一般的に配置されたヒトDH遺伝子セグメントの完全または実質的に完全なレパートリーを含み、完全または実質的に完全なレパートリーのヒトDH遺伝子セグメントの一つが、23merのRSSに作動可能に結合されるよう操作されたDH遺伝子セグメントで置換される。一部の実施形態では、完全または実質的に完全なレパートリーのヒトDH遺伝子セグメントの一つは、23merのRSSに作動可能に結合されるよう操作された対応するDH遺伝子セグメントで置換され、例えば、野生型DH2-2遺伝子セグメントは、23merのRSSに作動可能に結合されるよう操作されたDH2-2遺伝子セグメントで置換される。一部の実施形態では、完全または実質的に完全なレパートリーのヒトDH遺伝子セグメントの一つは、23merのRSSに作動可能に結合されるよう操作された別のDH遺伝子セグメントで置換され、例えば、野生型DH7-27遺伝子セグメントは、23merのRSSに作動可能に結合されるよう操作されたDH3-3遺伝子セグメントで置換される。一部の実施形態では、再構成されていないヒトゲノム可変遺伝子座に見られる順序で一般的に配置されたヒトDH遺伝子セグメントの完全または実質的に完全なレパートリーのDH1-1遺伝子セグメントは、23merのRSS、例えば、3’の23merのRSSに作動可能に結合されるよう操作された対応するまたは別のDH遺伝子セグメントで置換される。一部の実施形態では、再構成されていないヒトゲノム可変遺伝子座に見られる順序で一般的に配置されたヒトDH遺伝子セグメントの完全または実質的に完全なレパートリーのDH1-1、DH2-2、DH2-8、DH2-15、DH2-21遺伝子セグメントまたはその任意の組み合わせは、23merのRSS、例えば、3’の23merのRSSに作動可能に結合されるよう操作された対応するまたは別のDH遺伝子セグメントで置換される。一部の実施形態では、再構成されていないヒトゲノム可変遺伝子座に見られる順序で一般的に配置されたヒトDH遺伝子セグメントの完全または実質的に完全なレパートリーのDH2-2、DH2-8、およびDH2-15遺伝子セグメントの各々は、23merのRSS、例えば、3’の23merのRSSに作動可能に結合されるよう操作された対応するまたは別のDH遺伝子セグメントで置換される。
【0180】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、少なくともヒトJH遺伝子セグメントJH6を含む。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、少なくともヒトJH遺伝子セグメントJH4、JH5およびJH6を含む。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、ヒトJH遺伝子セグメントJH1、JH2、JH3、JH4、JH5およびJH6を含む。
【0181】
一部の実施形態では、非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域は、例えば、免疫グロブリンM(IgM)、免疫グロブリンD(IgD)、免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンE(IgE)および免疫グロブリンA(IgA)などの一つ以上の非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子を含む。一部の実施形態では、非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域は、げっ歯類IgM、げっ歯類IgD、げっ歯類IgG3、げっ歯類IgG1、げっ歯類IgG2b、げっ歯類IgG2a、げっ歯類IgEおよびげっ歯類IgA定常領域遺伝子を含む。一部の実施形態では、当該ヒトVH、DHおよびJH遺伝子セグメントは、一つ以上の非ヒト免疫グロブリン重鎖エンハンサー(すなわちエンハンサー配列またはエンハンサー領域)に作動可能に結合される。一部の実施形態では、当該ヒトVH、DHおよびJH遺伝子セグメントは、一つ以上の非ヒト免疫グロブリン重鎖制御領域(または制御配列)に作動可能に結合される。一部の実施形態では、当該ヒトVH、DHおよびJH遺伝子セグメントは、一つ以上の非ヒト免疫グロブリン重鎖エンハンサー(またはエンハンサー配列)および一つ以上の非ヒト免疫グロブリン制御領域(または制御配列)に作動可能に結合される。
【0182】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、内在性Adam6遺伝子を含有しない(または欠く)。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、同種の野生型非ヒト動物の生殖系列ゲノムに見られるのと同じ生殖系列ゲノム位置に内在性Adam6遺伝子(またはAdam6コード配列)を含有しないか、または欠く。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、ヒトAdam6偽遺伝子を含有しないか、または欠く。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、一つ以上の非ヒト(例えば、げっ歯類)Adam6ポリペプチドをコードする少なくとも一つのヌクレオチド配列の挿入を含む。当該挿入は、非ヒト動物、細胞または組織の生殖系列ゲノム中の操作された免疫グロブリン重鎖遺伝子座または別の場所(例えば無作為に導入された非ヒトAdam6コード配列)内の、本明細書に記載の操作された免疫グロブリン重鎖遺伝子座の外側(例えば最も5’のVH遺伝子セグメントの上流)であってもよい。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、機能的内在性Adam6偽遺伝子を含有しないか、または欠く。
【0183】
一部の実施形態では、本明細書に記載される提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、抗体分子中に内在性非ヒトVH領域を、全体または部分で、検出可能に発現しない。一部の実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織は、抗体分子中に内在性非ヒトVH領域(例えば、VH、DHおよび/またはJH)を、全体または部分でコードする一つ以上のヌクレオチド配列を含有しない(または欠く、もしくは欠失を含有する)。一部の実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織は、内在性非ヒトVH、DHおよびJH遺伝子セグメントの欠失を、全体または部分で含む生殖系列ゲノムを有する。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、繁殖可能である。
【0184】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、生殖系列構造中に配置され、非ヒトCκ遺伝子セグメントの上流に挿入され、かつ作動可能に結合された複数のヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントの存在により特徴付けられる免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座をさらに含む。一部のある実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、ヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座の近位可変クラスター(または近位アーム、もしくは近位重複)に出現する少なくともヒトVκ遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、少なくともヒトVκ遺伝子セグメントVκ2-40、Vκ1-39、Vκ1-33、Vκ2-30、Vκ2-8、Vκ1-27、Vκ2-24、Vκ6-21、Vκ3-20、Vκ1-17、Vκ1-16、Vκ3-15、Vκ1-12、Vκ3-11、Vκ1-9、Vκ1-8、Vκ1-6、Vκ1-5、Vκ5-2およびVκ4-1を含む。一部の実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、Vκ2-40、Vκ1-39、Vκ1-33、Vκ2-30、Vκ2-8、Vκ1-27、Vκ2-24、Vκ6-21、Vκ3-20、Vκ1-17、Vκ1-16、Vκ3-15、Vκ1-12、Vκ3-11、Vκ1-9、Vκ1-8、Vκ1-6、Vκ1-5、Vκ5-2およびVκ4-1から選択される少なくとも1、2、3、4、5、10、または15個のヒトVκ遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、ヒトJκ遺伝子セグメントJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4およびJκ5を含む。一部の実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、Jκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4およびJκ5から選択される少なくとも1、2、3、または4個のヒトJκ遺伝子セグメントを含む。
【0185】
多くの実施形態では、当該ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントは、一つ以上の非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサー(すなわち、エンハンサー配列またはエンハンサー領域)に作動可能に結合される。一部の実施形態では、当該ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントは、マウスIgκ軽鎖イントロンエンハンサー領域(Igκ EiまたはEiκ)に作動可能に結合される。一部の実施形態では、当該ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントは、一つ以上の非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖制御領域(または制御配列)に作動可能に結合される。一部の実施形態では、当該ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントは、マウスIgκ軽鎖3’エンハンサー領域(Igκ3’Eiまたは3’Eiκ)に作動可能に結合される。一部の実施形態では、当該ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントは、マウスEiκに作動可能に結合され、マウス3’Eκに作動可能に結合される。一部の実施形態では、当該ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントは、一つ以上の非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサー(またはエンハンサー配列もしくはエンハンサー領域)および一つ以上の非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖制御領域(または制御配列)に作動可能に結合される。一部の実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、野生型免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に出現する同じ非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサー領域(またはエンハンサー配列)を含有する。一部の実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、異なる種(例えば、異なるげっ歯類種)の野生型免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に出現する非ヒトIgκ軽鎖エンハンサー領域(またはエンハンサー配列)を含有する。
【0186】
一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、ヒトVpreB遺伝子(またはヒトVpreB遺伝子コード配列)を含有しない(すなわち、欠く)。
【0187】
一部の実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座の非ヒトCκ遺伝子は、例えば、マウスCκ遺伝子またはラットCκ遺伝子などのげっ歯類Cκ遺伝子を含む。一部の実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座の非ヒトCκ遺伝子は、129系統、BALB/c系統、C57BL/6系統、混合129xC57BL/6系統またはその組み合わせを含む遺伝的背景に由来するマウスCκ遺伝子であるか、またはそれを含む。
【0188】
一部の実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織は、抗体分子中に内在性非ヒトVκ領域を、全体または部分で検出可能に発現しない。一部の実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織は、抗体分子中に内因性非ヒトVκ領域を、全体または部分でコードする一つ以上のヌクレオチド配列を含有しない(または欠く、またはその欠失を含有する)。一部の実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織は、内在性非ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントの欠失を、全体または部分で含む生殖系列ゲノムを有する。
【0189】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、野生型または不活性化(例えば、遺伝子ターゲティングによる)免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座をさらに含む。
【0190】
一部の実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織は、抗体分子中に内在性非ヒトVλ領域を、全体または部分で検出可能に発現しない。一部の実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織は、抗体分子中に内因性非ヒトVλ領域を、全体または部分でコードする一つ以上のヌクレオチド配列を含有しない(または欠く、またはその欠失を含有する)。一部の実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織は、内在性非ヒトVλおよびJλ遺伝子セグメントの欠失を、全体または部分で含む生殖系列ゲノムを有する。一部の実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞または非ヒト組織は、内在性非ヒトVλ、JλおよびCλ遺伝子セグメントの欠失を、全体または部分で含む生殖系列ゲノムとして。
【0191】
かかる操作された免疫グロブリン遺伝子座を有するターゲティングベクター、非ヒト細胞および動物の生成のガイダンスは、米国特許第8,642,835号、第8,697,940号、第9,006,511号、第9,012,717号、第9,029,628号、第9,035,128号、第9,066,502号、第9,150,662号および第9,163,092号において見ることができ、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。当業者は、非ヒト(例えば、哺乳類)ゲノムのかかる遺伝子操作および/もしくは操作を成し遂げる、または非ヒト動物の生殖系列ゲノムに導入するためのかかる配列を操作する、当該技術分野において公知の、様々なテクノロジーを認識する。
【0192】
DNA構築物
多くの場合、本明細書に記載の免疫グロブリン遺伝子セグメントを含有するポリヌクレオチド分子、特に、各々が、5’または3’の23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントは、適当な宿主細胞においてポリヌクレオチド分子を複製するために、ベクター、好ましくは、DNAベクターに挿入される。
【0193】
サイズによって、DHセグメントは、市販の供給源から入手可能なゲノム供給源から直接クローニングされ得るか、またはGenBankから入手可能な公開配列に基きインシリコで設計され得る。或いは、細菌人工染色体(BAC)ライブラリーは、免疫グロブリン配列を提供することができる。BACライブラリーは、100~150kbの平均挿入サイズを含有し、300kbもの大きさの挿入を保有し得る(Shizuyaら、1992年、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA 89:8794~8797;Swiatekら、1993年、Genes and Development 7:2071~2084;Kimら、1996年、Genomics 34 213~218、その全体が参照により本明細書に取り込まれる)。例えば、ヒトおよびマウスゲノムBACライブラリーが構築されており、市販されている(例えば、Invitrogen社、カールスバッド、カリフォルニア州)。ゲノムBACライブラリーは、免疫グロブリン配列ならびに転写制御領域の供給源として利用することもできる。
【0194】
あるいは、免疫グロブリン配列は、酵母人工染色体(YAC)から単離、クローニング、および/または移転させてもよい。免疫グロブリン遺伝子座全体、またはその実質的な部分は、クローン化され、一つまたは数個のYAC内に含有され得る。複数のYACが使用され、重複相同性の領域を含有する場合、それらは、酵母宿主株内で再結合されて、遺伝子座全体を提示する単一構築物を産生することができる。YACアームは、当技術分野に公知の方法および/または本明細書に記載の方法により、構築物を胚性幹細胞または胚に導入することにより、哺乳類選択カセットでさらに修飾することができる。
【0195】
DNA構築物は、当技術分野に公知の方法を使用して調製することができる。例えば、DNA構築物は、大きなプラスミドの一部として調製することができる。かかる調製により、当技術分野で公知の効率的な方法で正しい構築物のクローニングおよび選択が可能になる。本明細書に記載の5’または3’の23merのRSSに各々作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントを含有するDNAフラグメントは、それらが、所望の動物への組み込みのため残りのプラスミド配列から容易に単離され得るように、プラスミド上の便利な制限酵素部位の間に位置することができる。
【0196】
一部の実施形態では、プラスミドの調製および宿主生物の形質転換において使用される方法は、当技術分野において公知である。原核細胞と真核細胞の両方に適した他の発現システム、ならびに一般的な組み換え法に関しては、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2編、Sambrook,J.ら編、Cold Spring Harbor Laboratory Press:1989年を参照;その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0197】
非ヒト動物の産生
非ヒト動物のゲノム中の免疫グロブリン重鎖可変領域内でDHとDH組み換えを可能にする一つ以上のDHセグメントに隣接する23merのRSSの統合から生じる長いアミノ酸長によって特徴付けられる、重鎖CDR3多様性を有する抗体を発現する非ヒト動物が、提供される。本明細書に記載の適当な例には、げっ歯類、特に、マウスが含まれる。一つ以上のDHセグメントは、多くの実施形態では、異種DHセグメント(例えば、ヒトDHセグメント)を含む。野生型または参照非ヒト動物と比較して、増加した頻度でDHとDH組み換えが可能な当該DHセグメントを含有する非ヒト動物、非ヒト胚および細胞を作製するための非ヒト動物、胚、細胞およびターゲティング構築物も提供される。
【0198】
一部の実施形態では、一つ以上のDHセグメントは、非ヒト動物のゲノム中の免疫グロブリン重鎖可変領域の多様性クラスター(すなわち、DH領域)内の5’または3’の23merのRSSに隣接する(または作動可能に結合される)ように修飾される。一部の実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域のDH領域(またはその一部)は、欠失されていない(すなわち、インタクトである)。一部の実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域のDH領域(またはその一部分)は、各々、5’または3’の23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントで変更、破壊、欠失、操作、または置換される。一部の実施形態では、DH領域の全てまたは実質的に全てが、各々、5’または3’の23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上の合成DHセグメントで置換され、一部の実施形態では、一つ以上の従来のDH遺伝子セグメントは、免疫グロブリン重鎖可変領域のDH領域で欠失も置換もされていない。一部の実施形態では、DH領域は、従来のDHセグメント(すなわち、各々、5’の12merのRSSおよび3’の12merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメント)と操作されたDH遺伝子セグメント(すなわち、各々5’または3’の23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメント)の両方を含有する。一部の実施形態では、本明細書に記載のDH領域は、合成DH領域である。一部の実施形態では、DH領域は、ヒトDH領域である。一部の実施形態では、DH領域は、マウスDH領域である。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作されたDH領域(またはその一部)は、当該操作されたDH領域(またはその一部)が、一つ以上のVH遺伝子セグメントおよび/または一つ以上のJH遺伝子セグメントに作動可能に結合されるように、免疫グロブリン重鎖可変領域に挿入される。一部の実施形態では、当該操作されたDH領域は、免疫グロブリン重鎖可変領域の二つのコピーの一つに挿入され、当該操作されたDH領域に関してヘテロ接合性の非ヒト動物を生じさせる。一部の実施形態では、操作されたDH領域に対してホモ接合性の非ヒト動物が、提供される。一部の実施形態では、操作されたDH領域に対してヘテロ接合性の非ヒト動物が、提供される。
【0199】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、各々、そのゲノム内で5’または3’の23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントを含有するDH領域を含む、ランダムに統合されたヒト免疫グロブリン重鎖可変領域を含有する。したがって、かかる非ヒト動物は、操作されたDH領域を含有するするヒト免疫グロブリン重鎖導入遺伝子を有するとして記載され得る。操作されたDH領域は、例えば、PCR、ウェスタンブロット、サザンブロット、制限酵素断片長多型(RFLP)、またはアレル(GOA)の獲得もしくはアレル(LOA)の喪失アッセイを含む、様々な方法を使用して検出することができる。一部のかかる実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、本明細書に記載の操作されたDH領域に対してヘテロ接合性である。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、本明細書に記載の操作されたDH領域に対してホモ接合性である。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、本明細書に記載の操作されたDH領域に対してヘミ接合性である。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、本明細書に記載の操作されたDH領域の一つ以上のコピーを含有する。
【0200】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物の操作されたDH領域は、5’の23merのRSSと関連する(または作動可能に結合される)少なくとも一つのDHセグメントを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物の操作されたDH領域は、3’の23merのRSSと関連する(または作動可能に結合される)少なくとも一つのDHセグメントを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物の操作されたDH領域は、5’の23merのRSSと関連する(または作動可能に結合される)少なくともヒトDH3-3セグメントを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物の操作されたDH領域は、3’の23merのRSSと関連する(または作動可能に結合される)少なくともヒトDH2セグメントを含み、ヒトDH2セグメントは、ヒトDH2-2、ヒトDH2-8、ヒトDH2-15およびヒトDH2-21からなる群から選択される。
【0201】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物の操作されたDH領域は、各々、5’の23merのRSSと関連する(または作動可能に結合される)一つより多くのDHセグメントを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物の操作されたDH領域は、各々、3’の23merのRSSと関連する(または作動可能に結合される)一つより多くのDHセグメントを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物の操作されたDH領域は、各々、3’の23merのRSSと関連する(または作動可能に結合される)ヒトDH2-2、ヒトDH2-8、およびヒトDH2-15セグメントを含む。
【0202】
一つ以上の非ヒト重鎖定常領域遺伝子に作動可能に結合されたヒトVHおよびJH遺伝子セグメントを含有する免疫グロブリン重鎖遺伝子座由来の一つより多くのDHセグメントによりコードされるアミノ酸配列を有するCDR3領域を含む重鎖可変領域を含む抗体を発現する非ヒト動物を作製するための組成物および方法を含む、ゲノムが、操作されたDHを含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む非ヒト動物を作製するための組成物および方法であって、操作されたDH領域は、各々、5’または3’の23merのRSSと関連する(または作動可能に結合された)一つ以上のDHセグメントを含む、組成物および方法が提供される。一部の実施形態では、かかる抗体を内在性エンハンサーおよび/または内在性制御配列の制御下で発現する非ヒト動物を作製するための組成物および方法も提供される。一部の実施形態では、かかる抗体を異種エンハンサーおよび/または異種制御配列の制御下で発現する非ヒト動物を作製するための組成物および方法も提供される。方法は、V(DD)J組み換えから生じる免疫グロブリン重鎖を含む抗体が発現されるように、非ヒト動物のゲノムにおいて、一つ以上のDHセグメント、および野生型DHセグメントと比較して、増加した頻度でDHとDH組み換えを可能にする他の配列を挿入する工程を含む。
【0203】
一部の実施形態では、方法は、一つ以上のJH遺伝子セグメントに作動可能に結合された5’の23merのRSSおよび3’の12merのRSSを有するDH遺伝子セグメントを含むDNAを挿入する工程を含む。本明細書に記載される通り、DH遺伝子セグメントは、μ0プロモーター配列の下流に位置する。一部の実施形態では、方法は、当該JH遺伝子セグメントが、組み換え中にRAG遺伝子(例えば、RAG-1および/またはRAG-2)にアクセス可能であるように、5’の23merのRSSおよび3’の12merのRSSを有するDHセグメントを、μ0プロモーター配列と関連する位置に挿入する工程を含む。上述されたDHセグメントおよび隣接RSSを含む遺伝物質は、非ヒト動物のゲノムに挿入され、これにより、隣接するDH遺伝子セグメントならびにVHおよびJH遺伝子セグメントとの組み換えを可能にするために当該DHセグメントおよび必須のRSSを含有する操作されたDH領域を有する非ヒト動物を生成し得る。
【0204】
一部の実施形態では、方法は、各々、六つのJH遺伝子セグメントに作動可能に結合された5’の12merのRSSおよび3’の23merのRSSを有する三つのDH遺伝子セグメントを含むDNAを挿入する工程を含む。本明細書に記載される通り、DH遺伝子セグメントは、各々、5’および3’の12merのRSSと関連する複数のDH遺伝子セグメント内に位置する。一部の実施形態では、方法は、各々、5’の12merのRSSおよび3’の23merのRSSと関連するDH2-2、DH2-8およびDH2-15遺伝子セグメントを、各々、従来または野生型RSSと関連する複数の他のDH遺伝子セグメントを有する多様性クラスター内に挿入する工程を含む。上述されたDH遺伝子セグメントおよび隣接RSSを含む遺伝物質は、非ヒト動物のゲノムに挿入され、これにより、隣接するDH遺伝子セグメントならびにVHおよびJH遺伝子セグメントとの組み換えを可能にするために当該DHセグメントおよび必須のRSSを含有する操作されたDH領域を有する非ヒト動物を生成し得る。
【0205】
適切な場合、DHセグメントに対応する(またはコードする)配列は、非ヒト動物における発現のため最適化されているコドンを含むように修飾されてもよい(例えば、米国特許第5,670,356号および第5,874,304号を参照、その各々は、その全体が参照により組み込まれる)。コドン最適化配列は、合成配列であり、好ましくは、非コドン最適化親ポリヌクレオチドによりコードされる同一ポリペプチド(または完全長ポリペプチドと実質的に同じ活性を有する完全長ポリペプチドの生物学的に活性なフラグメント)をコードする。一部の実施形態では、DHセグメントに対応する(またはコードする)配列は、特定の細胞タイプ(例えば、げっ歯類細胞)のためコドン利用を最適化するよう変更した配列を含み得る。例えば、非ヒト動物(例えば、げっ歯類)のゲノムに挿入されるべきDHセグメントに対応する配列のコドンは、非ヒト動物の細胞における発現のため最適化されてもよい。かかる配列は、コドン最適化配列として記載されてもよい。
【0206】
5’または3’の23merのRSSに作動可能に結合されたDHセグメントのDH領域への挿入は、当該DHセグメントが、VHおよびJH遺伝子セグメント(例えば、複数のVHおよびJH遺伝子セグメント)に作動可能に結合されるように、比較的少ないゲノム修飾を利用し、より長いアミノ酸長を有するCDR3により特徴付けられる重鎖を含む抗体の発現をもたらす。
【0207】
ノックアウトおよびノックインを含む、トランスジェニック非ヒト動物を生成する方法は、当技術分野に周知である(例えば、Gene Targeting:A Practical Approach,Joyner編、Oxford University Press,Inc.、(2000年)を参照;その全体が参照により本明細書に取り込まれる)。例えば、トランスジェニックげっ歯類の生成は、場合により、一つ以上の内在性げっ歯類遺伝子(または遺伝子セグメント)の遺伝子座の破壊および一部の実施形態では、内在性げっ歯類遺伝子(または遺伝子セグメント)と同じ位置での、げっ歯類ゲノムへの各々23merのRSSに作動可能に結合される一つ以上のDHセグメントの導入を含んでもよい。一部の実施形態では、各々、23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントは、げっ歯類のゲノム内のランダムに挿入された免疫グロブリン重鎖遺伝子座のDH領域に導入される。一部の実施形態では、各々、23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントは、げっ歯類のゲノムにおける内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座のDH領域に導入され、一部の実施形態では、内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、一つ以上の定常領域遺伝子(例えば、ヒトまたはマウス)に作動可能に結合されたヒト遺伝子セグメント(例えば、Vおよび/またはJ)を含有するよう変更されるか、修飾されるか、または操作される。
【0208】
ゲノムが、多様性クラスターが、各々、5’または3’の23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のD
Hセグメントを含む、操作された多様性クラスター(すなわち、D
H領域)を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、げっ歯類を生成するための、操作されたD
H領域を構築するための代表的なターゲティングベクターおよびげっ歯類胚性幹(ES)細胞への統合の略図(ノンスケール)が、
図2において提供される。げっ歯類ES細胞のゲノム中の免疫グロブリン重鎖可変領域へのかかるベクターの挿入するための典型的なストラテジーおよび方法は、
図3~8において提供される。
図2~8の各々において、示されているNotI制限酵素認識部位は適切であり、様々なプライマー/プローブセット(表4を参照)の名称およびおよその位置(点線)は、示された様々なアレルについて示され(ノンスケール)、特に明記されない限り、塗りつぶされていない記号および線は、ヒト配列を表し、塗りつぶされた記号および黒色の腺は、マウス配列を表す。以下の略語が、図の各々について使用される、spec:スペクチノマイシン耐性遺伝子;neo:ネオマイシン耐性遺伝子;hyg:ハイグロマイシン耐性遺伝子;lp:loxP部位特異的組み換え認識部位;Ei:マウス重鎖イントロンエンハンサー;IgM:マウス免疫グロブリンM定常領域遺伝子;L:loxP部位配列;Frt:フリッパーゼ認識標的配列;μ0pro:μ0プロモーター配列。
【0209】
図2において説明される通り、5’の23merのRSSに作動可能に結合された一つのD
Hセグメントを有する(
図2、上および中)および各々、3’の23merのRSSに作動可能に結合された三つのセグメントD
Hを有する(
図2、下)複数のD
Hセグメントを含有するDNAフラグメントは、VELOCIGENE(登録商標)テクノロジー(例えば、米国特許第6,586,251号およびValenzuelaら、2003年、Nature Biotech.21(6):652~659;その全体が参照により本明細書に取り込まれる)および当該技術分野において公知の分子生物学的技術を使用して作製される。
図2において、特に示されない限り、塗りつぶされていない記号および線は、ヒト配列を表し、一方、塗りつぶされた記号および黒色の線は、マウス配列を表す。ヒトV
H6-1、D
H2-2、D
H2-8、D
H2-15、D
H3-3、およびJ
H1、J
H2、J
H3、J
H4、J
H5およびJ
H6遺伝子セグメントのノンスケールの相対的位置は、存在し、名称のない残りの任意の遺伝子セグメントが、D
H遺伝子セグメントであるとき、示される。一般に、点線で示されるD
H領域は、再構成されていないヒトD
H遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含み(例えば、www.imgt.org/IMGTrepertoire/index.php?section=LocusGenes&repertoire=locus&species=human&group=IGHを参照;その全体が参照により本明細書に取り込まれる)、以下の例外:上の二つのターゲティングベクターは、5’末端の23merのRSSおよび3’末端の12merのRSSが隣接するD
H3-3遺伝子セグメントを含む配列により置換されている、最後のD
H7-27遺伝子を欠き(塗りつぶされていない矢印として示される);下のターゲティングベクターは、5’末端の12merのRSSおよび3’末端の23merのRSSが隣接するD
H2-2遺伝子セグメント、5’末端の12merのRSSおよび3’末端の23merのRSSが隣接するD
H2-8遺伝子セグメント、および5’末端の12merのRSSおよび3’末端の23merのRSSが隣接するD
H2-15遺伝子セグメントにより置換されている、再構成されていないヒトD
H2-2遺伝子セグメント、再構成されていないヒトD
H2-8遺伝子セグメント、およびD
H2-15遺伝子セグメントを欠く(操作されたD
H2-2、D
H2-8、およびD
H2-15遺伝子セグメントの各々は、塗りつぶされていない矢印として示される)、を伴う。塗りつぶされていない棒グラフは、ターゲティングベクター/ES細胞の正しい修飾を請け負うのを助けるための12:D
H2-2:23|12:D
H2-8:23|12:D
H2-15:23ターゲティングベクターに位置するプライマーおよびプローブ配列に相同な固有の人工40merの位置を表す。「1」、「2」、「10」、「16」、「8」、および「18」として示される固有の人工40merの配列は、それぞれ、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、および配列番号78として記載される。
【0210】
DNAフラグメントは、ヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座への正確な標的化挿入のための相同アームとアセンブリされる(
図3、5、7)。部位特異的組み換え認識部位(例えば、loxP)に隣接した選択カセット(例えば、ネオマイシン)は、ES細胞クローンへの適切な挿入のスクリーニングを促進するためターゲティングベクターに含まれ、陽性ES細胞クローン中のリコンビナーゼ(例えば、Cre)の一過性発現によって除去され得る(
図4、6、8)。DNAフラグメントは、免疫グロブリン重鎖遺伝子座に一旦統合されると、重鎖可変領域の正しいアセンブリ(すなわち、組み換え)、転写および発現に必須の配列を含む。ターゲティングベクターは、操作されたD
H領域が、5’でヒトV
HゲノムDNAが、3’でヒトJ
HゲノムDNAおよび非ヒト(例えば、げっ歯類)ゲノム重鎖定常領域DNA(例えば、イントロンエンハンサーおよびIgM定常領域遺伝子)が隣接するように、設計される。非ヒト細胞(例えば、げっ歯類胚性幹細胞)のゲノムへの組み込み用の最終的なターゲティングベクターは、V
HゲノムDNA(例えば、一つ以上のV
H遺伝子セグメントを含有する)、操作されたD
H領域、3’J
HゲノムDNA、および非ヒト(例えば、げっ歯類)ゲノム重鎖定常領域DNAを含有し、これらの全てが、一旦非ヒト動物のゲノムに組み込まれると、V
H遺伝子セグメント、操作されたD
H領域とJ
H遺伝子セグメントの間での組み換えが可能にするように作動可能に結合される。一旦アセンブリされると、ターゲティングベクターは、直線にされ、げっ歯類ES細胞にエレクトロポレーションされる。
【0211】
ターゲティングベクターは、ターゲティングベクターに含有される配列(すなわち、操作されたDH領域)が、一つより多くのDHセグメントによりコードされるアミノ酸を有するCDR3を含有する抗体を発現する非ヒト細胞または非ヒト動物(例えば、マウス)の能力を生じるように、げっ歯類(例えば、マウス)胚性幹細胞に導入される。
【0212】
本明細書に記載される通り、操作されたDH領域が、げっ歯類ゲノムの免疫グロブリン重鎖遺伝子座(例えば、操作された内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座であり得る、ヒト可変領域遺伝子セグメントを含有するように操作された免疫グロブリン重鎖遺伝子座)に導入された、トランスジェニックげっ歯類が生成される。
【0213】
ヒト可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン遺伝子座は、当該技術分野で公知であり、例えば、米国特許第5,633,425号、第5,770,429号、第5,814,318号、第6,075,181号、第6,114,598号、第6,150,584号、第6,998,514号、第7,795,494号、第7,910,798号、第8,232,449号、第8,502,018号、第8,697,940号、第8,703,485号、第8,754,287号、第8,791,323号、第8,809,051号、第8,907,157号、第9,035,128号、第9,145,588号、第9,206,263号、第9,447,177号、第9,551,124号、第9,580,491号、および第9,475,559号、その各々が、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、ならびに米国特許出願公開第20100146647号、第20110195454号、第20130167256号、第20130219535号、第20130326647号、第20130096287号、および第2015/0113668号、その各々が、その全体が参照により本明細書に取り込まれ、およびPCT出願公開第2007117410号、第2008151081号、第2009157771号、第2010039900号、第2011004192号、第2011123708号、および第2014093908号において見ることができ、その各々が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0214】
一部の実施形態では、本明細書に開示される非ヒト動物は、マウスにおいて前駆B細胞において再構成することができる、操作されたDH領域を含む内在性完全なヒト免疫グロブリン導入遺伝子を含む(Altら、1985年、Immunoglobulin genes in transgenic mice、Trends Genet 1:231~236、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。これらの実施形態では、操作されたDH領域を含む完全なヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、(無作為に)挿入されてもよく、内在性免疫グロブリン遺伝子はまた、ノックアウトされてもよく(Greenら、1994年、Antigen-specific human monoclonal antibodies from mice engineered with human Ig heavy and light chain YACs、Nat Genet 7:13~21;Lonbergら、1994年、Antigen-specific human antibodies from mice comprising four distinct genetic modifications、Nature 368:856~859;Jakobovitsら、2007年、From XenoMouse technology to panitumumab,the first fully human antibody product from transgenic mice、Nat Biotechnol 25:1134~1143;その各々が、その全体が参照により取り込まれる)、例えば、内在性免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖遺伝子座は、例えば、各々の内在性遺伝子座の小さいが重要な部分の標的化された欠失、続いて無作為に統合された巨大な導入遺伝子、またはミニ染色体としてヒト免疫グロブリン遺伝子遺伝子座の導入により不活化される(Tomizukaら、2000年、Double trans-chromosomic mice:maintenance of two individual human chromosome fragments containing Ig heavy and kappa loci and expression of fully human antibodies、PNAS USA 97:722~727;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0215】
一部の実施形態では、操作されたDH領域を含むヒトまたはヒト化免疫グロブリンの重鎖および軽鎖遺伝子座は、それぞれ、内在性免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子座にある。マウスが子孫を残す能力を維持しつつ、マウス生殖系列免疫グロブリン可変遺伝子座の、ヒト生殖系列免疫グロブリン可変遺伝子座での大規模なインサイツ遺伝子置換方法は、既に報告されている。例えば、米国特許第6,596,541号および第8,697,940号を参照、その各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。具体的には、マウスの定常領域をそのまま残しながら、マウス重鎖とκ軽鎖免疫グロブリン可変遺伝子座の両方の6個のメガ塩基の、それらのヒトカウンターパートとの正確な置換が記載されている。結果として、マウス定常領域を維持しながら、その生殖系列の免疫グロブリン可変レパートリー全体の、同等なヒト生殖系列の免疫グロブリン可変配列での正確な置換を有するマウスが生成された。ヒト可変領域を、マウス定常領域に結合して、再構成し、生理学的に適切なレベルで発現するキメラのヒトとマウスの免疫グロブリン遺伝子座を形成する。発現された抗体は、「逆キメラ」であり、すなわち、それらは、ヒト可変領域配列およびマウス定常領域配列を含む。ヒトまたはヒト化可変領域およびマウス定常領域を有する抗体を発現する、ヒト化免疫グロブリン可変領域を有するこれらのマウスは、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスと呼ばれる。
【0216】
VELOCIMMUNE(登録商標)ヒト化マウスは、野生型マウスのものと本質的に識別不可能な完全な機能的液性免疫系を呈する。それらは、B細胞発生のすべての段階で正常な細胞集団を呈する。それらは、正常なリンパ器官形態を呈する。VELOCIMMUNE(登録商標)マウスの抗体配列は、正常なV(D)J再構成および正常な体細胞超変異頻度を呈する。これらのマウスにおける抗体集団は、正常なクラススイッチ(例えば、正常なアイソタイプシス-スイッチ)から生じるアイソタイプ分布を反映する。VELOCIMMUNE(登録商標)マウスを免疫することで、治療候補物質としての使用に適したヒト免疫グロブリン可変ドメインを有する大規模で多様な抗体レパートリーを生成する、安定的な液性免疫反応が生じる。このプラットフォームは、医薬的に許容可能な抗体および他の抗原結合タンパク質を作製するための天然アフィニティ成熟したヒト免疫グロブリン可変領域配列の豊富な供給源を提供する。単一の内在性VH遺伝子セグメントの、ヒトVH遺伝子セグメントでの置換は、ヒト化免疫グロブリン可変ドメインを含む免疫反応を生じ得ることも示された。例えば、Tienら、(2016年)Cell 166:1471~84を参照、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。マウス免疫グロブリン可変配列と、ヒト免疫グロブリン可変配列を正確に置換することによって、当該ヒト免疫グロブリン可変配列は、逆キメラの様式で内因性非ヒト定常領域遺伝子配列と動作可能に結合され、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスが作製される。
【0217】
逆キメラ様式で修飾されたマウスは、内在性免疫グロブリン遺伝子座で、内在性定常領域に作動可能に結合されたヒト(ヒト化)可変領域(例えば、(D)、J、および一つ以上のヒトV遺伝子セグメントを含む)を、例えば、
(a)内在性重鎖遺伝子座に:
(i)内在性重鎖定常領域に作動可能に結合された再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン重鎖可変領域、再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン重鎖可変領域は、複数の再構成されていないヒト重鎖可変領域VH遺伝子セグメント(例えば、全ての機能的ヒト再構成されていないヒトVH遺伝子セグメント)、一つ以上の再構成されていない免疫グロブリン重鎖DH遺伝子セグメント、および一つ以上の再構成されていない免疫グロブリン重鎖JH遺伝子セグメントを含む、
場合により、一つ以上の再構成されていない免疫グロブリン重鎖DH遺伝子セグメントおよび一つ以上の再構成されていない免疫グロブリン重鎖JH遺伝子セグメントは、一つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖DH遺伝子セグメント(例えば、全ての機能的ヒトDH遺伝子セグメント)および/または一つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖JH遺伝子セグメント(例えば、全ての機能的ヒトJH遺伝子セグメント)である、
(ii)内在性重鎖定常領域に作動可能に結合された拘束性の再構成されていないヒト(ヒト化)重鎖可変領域、拘束性の再構成されていないヒト(ヒト化)重鎖可変領域は、一つ以上の再構成されていない免疫グロブリン重鎖DH遺伝子セグメントおよび一つ以上の再構成されていない免疫グロブリン重鎖JH遺伝子セグメントと作動可能に結合された単一の再構成されていないヒト重鎖可変領域VH遺伝子セグメントから本質的になる、場合により、一つ以上の再構成されていない免疫グロブリン重鎖DH遺伝子セグメントおよび一つ以上の再構成されていない免疫グロブリン重鎖JH遺伝子セグメントは、それぞれ、一つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖DH遺伝子セグメントおよび/または一つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖JH遺伝子セグメントである、
(iii)内在性重鎖定常領域に作動可能に結合されたヒスチジン修飾された再構成されていないヒト(ヒト化)重鎖可変領域、ヒスチジン修飾された再構成されていないヒト(ヒト化)重鎖可変領域は、相補性決定領域3(CDR3)コード配列において、少なくとも一つの非ヒスチジンコドンのヒスチジンコドンでの置換または少なくとも一つのヒスチジンコドンの挿入を含む再構成されていない免疫グロブリン重鎖可変遺伝子配列を含む、
(iv)内在性重鎖定常領域に作動可能に結合された再構成されていないヒト(ヒト化)重鎖可変領域を含む重鎖のみの免疫グロブリンコード配列、内在性重鎖定常領域は、(1)軽鎖と関連するIgMアイソタイプをコードするインタクトな内在性IgM遺伝子、および(2)機能的CH1ドメインをコードする配列を欠く非IgM遺伝子、例えばIgG遺伝子を含む、非IgM遺伝子は、軽鎖定常ドメインと共有結合することができるCH1ドメインを欠く非IgMアイソタイプをコードする;
および/または
(b)内在性軽鎖遺伝子座に:
(i)内在性軽鎖定常領域に作動可能に結合された再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン軽鎖可変領域、再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、複数の再構成されていないヒト軽鎖可変領域VL遺伝子セグメント(例えば、全ての機能的ヒト再構成されていないヒトVL遺伝子セグメント)および一つ以上の再構成されていない免疫グロブリン軽鎖JL遺伝子セグメントを含む、
場合により、一つ以上の再構成されていない免疫グロブリン軽鎖JL遺伝子セグメントは、一つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン軽鎖JL遺伝子セグメント(例えば、全ての機能的ヒトJHL遺伝子セグメント)である、
場合により、内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座は、内在性免疫グロブリン軽鎖カッパ(κ)遺伝子座であり、再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、ヒト可変κ(Vκ)および結合κ(Jκ)遺伝子セグメントを含み、内在性軽鎖定常領域は、内在性κ鎖定常領域配列であり、および/または内在性免疫グロブリン軽鎖軽鎖遺伝子座は、内在性免疫グロブリン軽鎖ラムダ(λ)であり、再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、ヒト可変λ(Vλ)遺伝子セグメントおよび結合λ(Jλ)遺伝子セグメントを含み、内在性軽鎖定常領域は、内在性λ鎖定常領域配列であり、場合により、内在性免疫グロブリン軽鎖λ遺伝子座は、(a)一つ以上のヒトVλ遺伝子セグメント、(b)一つ以上のヒトJλ遺伝子セグメント、および(c)一つ以上のヒトCλ遺伝子セグメントを含み、(a)および(b)は、(c)およびげっ歯類免疫グロブリン軽鎖定常(Cλ)遺伝子セグメントに作動可能に結合され、内在性免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座は、一つ以上のげっ歯類免疫グロブリンλ軽鎖エンハンサー(Eλ)、および一つ以上のヒト免疫グロブリンλ軽鎖エンハンサー(Eλ)を含み、場合により、三つのヒトEλを含む、
(ii)内在性軽鎖定常領域に作動可能に結合された再構成されたヒト(ヒト化)軽鎖可変領域配列を含む共通軽鎖コード配列、再構成ヒト(ヒト化)軽鎖可変領域配列は、免疫グロブリン軽鎖JL遺伝子セグメントと再構成されたヒト軽鎖可変領域VL遺伝子セグメントを含む、
(iii)内在性軽鎖定常領域に作動可能に結合された拘束性の再構成されていないヒト(ヒト化)軽鎖可変領域、拘束性の再構成されていないヒト(ヒト化)軽鎖可変領域は、一つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン軽鎖結合(JL)遺伝子セグメントに作動可能に結合された二つ以下の再構成されていないヒト免疫グロブリン軽鎖可変(VL)遺伝子セグメントを含む、
(iv)内在性軽鎖定常領域に作動可能に結合されたヒスチジン修飾再構成されていないヒト(ヒト化)軽鎖可変領域、ヒスチジン修飾再構成されていないヒト(ヒト化)軽鎖可変領域は、相補性決定領域3(CDR3)コード配列に、少なくとも一つの非ヒスチジンコドンのヒスチジンコドンでの置換、または少なくとも一つのヒスチジンコドンの挿入を含む再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン軽鎖可変遺伝子配列を含む;または
(v)内在性軽鎖定常領域に作動可能に結合されたヒスチジン修飾再構成ヒト(ヒト化)軽鎖可変領域、ヒスチジン修飾再構成ヒト(ヒト化)軽鎖可変領域は、相補性決定領域3(CDR3)コード配列に、少なくとも一つの非ヒスチジンコドンのヒスチジンコドンでの置換、または少なくとも一つのヒスチジンコドンの挿入を含む再構成ヒト(ヒト化)免疫グロブリン軽鎖可変遺伝子配列を含む、を含むように修飾されたマウスを含み、
場合により、マウスはさらに、
(i)マウスは、非ヒト動物の野生型の生殖能力を呈するように、機能的ADAM6遺伝子を含むヒト(ヒト化)免疫グロブリン重鎖遺伝子座;および/または
(ii)場合により、再構成可変領域遺伝子の少なくとも10%が、鋳型には無い付加を含むように、抗原受容体の多様性を増すために外来性末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)遺伝子を含み、
そのマウスは、既に記載されている。例えば、米国特許第8,697,940号、第8,754,287号、第9,204,624号、第9,334,334号、第9,801,362号、第9,332,742号、および第9,516,868号、米国特許出願公開第20110195454号、第20120021409号、第20120192300号、第20130045492号、第20150289489号、第20180125043号、第20180244804号、PCT特許出願公開第2019/113065号、第2017210586号および第2011163314号、Leeら、(2014年)Nature Biotechnology 32:356を参照、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0218】
一部の実施形態では、本発明は、ゲノム、例えば、生系列ゲノムが、
ヒトVH遺伝子セグメント、本発明のヒト操作されたDH遺伝子領域、およびヒトJH遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む内在性免疫グロブリン遺伝子座、免疫グロブリン重鎖可変領域は、定常領域に作動可能に結合され、および/または
ヒトVL遺伝子セグメント、およびヒトJL遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む内在性鎖遺伝子座、免疫グロブリン軽鎖可変領域は、定常領域に作動可能に結合される、を含む、遺伝子修飾された非ヒト動物を含む。
【0219】
一部の実施形態では、非ヒト動物、例えば、げっ歯類、例えば、ラットまたはマウスは、そのゲノムで、一つ以上のヒトVH、DH、およびJHセグメントを有する内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座での一つ以上の内在性VH、DH、およびJHセグメントの置換を含み、一つ以上のヒトVH、DH、およびJHセグメントは、23merのRSSに作動可能に結合されたヒトDH遺伝子セグメントを含み、例えば、内在性非ヒト軽鎖遺伝子座にて、内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子;場合により、非ヒト、例えば、げっ歯類、例えば、マウスまたはラットに作動可能に結合された再構成されていないまたは再構成されたヒトVLおよびヒトJLセグメント、またはヒト免疫グロブリン軽鎖定常(CL)領域遺伝子に作動可能に結合される。
【0220】
特定の実施形態では、遺伝子修飾された非ヒト動物は、そのゲノム、例えば、生殖系列ゲノムにおいて操作されたDH領域を含む一つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域、および免疫グロブリン定常領域を含む免疫グロブリン定常領域を含有する免疫グロブリン遺伝子座(内在性または外来性)を含み、一つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に結合される。
【0221】
概して、遺伝子修飾免疫グロブリン遺伝子座は、免疫グロブリン定常領域に作動可能に結合された免疫グロブリン可変領域(免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む)を含む。一部の実施形態では、遺伝子修飾免疫グロブリン遺伝子座は、重鎖定常領域遺伝子に作動可能に結合された、操作されたDH領域を含む、一つ以上のヒト再構成されていない免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、遺伝子修飾免疫グロブリン遺伝子座は、κ鎖定常領域遺伝子に作動可能に結合されたヒト再構成されていない免疫グロブリン可変領域κ遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、遺伝子修飾免疫グロブリン遺伝子座は、κ鎖定常領域遺伝子に作動可能に結合されたヒト再構成されていない免疫グロブリン可変領域λ遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、遺伝子修飾免疫グロブリン遺伝子座は、λ鎖定常領域遺伝子に作動可能に結合されたヒト再構成されていない免疫グロブリン可変領域λ遺伝子セグメントを含む。
【0222】
特定の実施形態では、非ヒト動物は、内在性重鎖遺伝子座に、内在性重鎖定常領域に作動可能に結合された操作されたDH領域を含む再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、免疫グロブリン可変領域は、一つ以上の再構成されていないヒトIg重鎖可変領域遺伝子セグメントを含有する。一部の実施形態では、一つ以上の再構成されていないヒトIg可変領域遺伝子セグメントは、少なくとも一つのヒト免疫グロブリン重鎖可変(VH)セグメント、一つ以上の免疫グロブリン重鎖多様性(DH)セグメント(例えば、23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上の再構成されていないヒトDHセグメント)、および一つ以上の免疫グロブリン重鎖結合(JH)セグメント(場合により、一つ以上の再構成されていないヒトJHセグメント)を含む。一部の実施形態では、再構成されていないヒトIg可変領域遺伝子セグメントは、複数の再構成されていないヒトVHセグメント、一つ以上の再構成されていない(ヒト)DHセグメント(例えば、23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上の再構成されていない(ヒト)DHセグメント)および一つ以上の再構成されていない(ヒト)JHセグメントを含む。一部の実施形態では、再構成されていないヒトIg可変領域遺伝子セグメントは、少なくとも3個のVH遺伝子セグメント、少なくとも18個のVH遺伝子セグメント、少なくとも20個のVH遺伝子セグメント、少なくとも30個のVH遺伝子セグメント、少なくとも40個のVH遺伝子セグメント、少なくとも50個のVH遺伝子セグメント、少なくとも60個のVH遺伝子セグメント、少なくとも70個のVH遺伝子セグメント、または少なくとも80個のVH遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、再構成されていないヒトIg遺伝子セグメントは、機能的ヒトDH遺伝子セグメントの全てを含み、機能的ヒトDH遺伝子セグメントの少なくとも一つは、23merのRSSに作動可能に結合されるよう修飾される。一部の実施形態では、再構成されていないヒトIg遺伝子セグメントは、機能的ヒトJH遺伝子セグメントの全てを含む。Ig重鎖遺伝子セグメントを含む例示的な可変領域は、例えば、Macdonaldら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 111:5147~52および補足情報において提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0223】
一部の実施形態では、本明細書において提供される非ヒト動物は、内在性重鎖遺伝子座で、少なくとも非ヒトIgM遺伝子を含む内在性重鎖定常領域に作動可能に結合された拘束性の再構成されていないヒト(ヒト化)重鎖可変領域を含み、拘束性の再構成されていないヒト(ヒト化)重鎖可変領域は、単一のヒトVH遺伝子セグメント、複数のDH遺伝子セグメント(例えば、23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上の再構成されていない(ヒト)DH遺伝子セグメントを含む、ヒトDH遺伝子セグメント)および複数のJH遺伝子セグメント(例えば、ヒトJH遺伝子セグメント)により特徴付けられ、拘束性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、複数の遠位再構成を再構成し、形成することができ、各々の再構成は、単一のヒトVH遺伝子セグメント、DHセグメントの一つ、およびJH セグメントの一つからもたらされ、各々の再構成は、異なる重鎖可変ドメインをコードする(例えば、米国特許出願公開第20130096287号に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、単一のヒトVH遺伝子セグメントは、VH1-2またはVH1-69である。
【0224】
特定の実施形態では、非ヒト動物は、内在性軽鎖定常領域に作動可能に結合された再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン軽鎖可変領域を内在性軽鎖座位で含む。一部の実施形態では、再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、再構成されていないヒトIgκ可変領域遺伝子セグメントを含有する。一部の実施形態では、再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン可変領域は、複数の再構成されていないヒトVκセグメントおよび一つ以上の再構成されていないヒトJκセグメントを含む。一部の実施形態では、再構成されていないヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、ヒトJκセグメントの全てを含む。一部の実施形態では、免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、4個の機能的Vκセグメントおよび全てのヒトJκセグメントを含む。一部の実施形態では、免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、16個の機能的Vκセグメントおよび全てのヒトJκセグメント(例えば、全ての機能的ヒトVκセグメントおよびJκセグメント)を含む。一部の実施形態では、再構成されていないヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、ヒトJVκセグメントの全ておよび全てのヒトJκセグメントを含む。Igκ遺伝子セグメントを含む例示的な可変領域は、例えば、Macdonaldら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1 11:5147~52および補足情報において提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0225】
一部の実施形態では、内在性軽鎖定常領域に作動可能に結合された拘束性の再構成されていないヒト(ヒト化)軽鎖可変領域は、再構成されていないヒト(ヒト化)軽鎖可変領域が、2個以下のヒトVL遺伝子セグメントおよび複数のJL遺伝子セグメントを含むという点で特徴付けられる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,796,788号に記載される、デュアル軽鎖マウス、またはDLC)。一部の実施形態では、VL遺伝子セグメントは、Vκ遺伝子セグメントである。一部の実施形態では、VL遺伝子セグメントは、Vλ遺伝子セグメントである。一部の実施形態では、Vκ遺伝子セグメントは、IGKV3-20およびIGKV1-39である。一部の実施形態では、非ヒト動物は、厳密に、マウスの内在性κ軽鎖遺伝子座で、マウス軽鎖定常領域に作動可能に結合された2個の再構成されていないヒトVκ遺伝子セグメントおよび5個の再構成されていないヒトJκ遺伝子セグメントを含み、場合により、厳密な2個の再構成されていないヒトVκ遺伝子セグメントは、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3-20遺伝子セグメントであり、5個の再構成されていないヒトJκ遺伝子セグメントは、ヒトJκ1遺伝子セグメント、ヒトJκ2遺伝子セグメント、ヒトJκ3遺伝子セグメント、ヒトJκ4遺伝子セグメント、およびヒトJκ5遺伝子セグメントであり、再構成されていないヒトカッパ軽鎖遺伝子セグメントは、抗体のヒト可変ドメインを再構成し、コードする能力があり、場合により、非ヒト動物は、免疫グロブリン軽鎖可変領域を形成するよう再構成する能力を有する内在性Vκ遺伝子セグメントを含まない。
【0226】
特定の実施形態では、内在性軽鎖定常領域に作動可能に結合された再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、再構成されていないヒトIgλ可変領域遺伝子セグメントを含有する。一部の実施形態では、再構成されていないヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、複数のヒトVλセグメントおよび一つ以上のヒトJλセグメントを含む。一部の実施形態では、再構成されていないヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、一つ以上のヒトVλセグメント、一つ以上のヒトJλセグメント、および一つ以上のヒトCλ定常領域配列を含む。一部の実施形態では、再構成されていないヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、ヒトVλセグメントの全てを含む。一部の実施形態では、再構成されていないヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、ヒトJλセグメントの全てを含む。Igλ遺伝子セグメントを含む例示的な可変領域は、例えば、米国特許第 9,035,128号および第6,998,514号において提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、内在性軽鎖定常領域に作動可能に結合された再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、(a)一つ以上のヒトVλ遺伝子セグメント、(b)一つ以上のヒトJλ遺伝子セグメント、および(c)一つ以上のヒトCλ遺伝子セグメントを含み、(a)および(b)は、(c)および内在性(例えば、げっ歯類)Cλ遺伝子セグメントに作動可能に結合され、内在性免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座はさらに、一つ以上のげっ歯類免疫グロブリンλ軽鎖エンハンサー(Eλ)、および一つ以上のヒト免疫グロブリンλ軽鎖エンハンサー(Eλ)を含み、場合により、3個のヒトEλを含む。
【0227】
特定の実施形態では、内在性軽鎖定常領域に作動可能に結合された再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン軽鎖可変領域は、非ヒト動物が、内在性κ定常ドメインと融合されたVλおよびJλ遺伝子セグメントに由来するヒトλ可変ドメイン配列を含む免疫グロブリン軽鎖を発現するように、内在性(例えば、げっ歯類、例えば、ラットまたはマウス)Cκ遺伝子に作動可能に結合された再構成されていないヒトIgλ可変領域遺伝子セグメントを含み、例えば、米国特許第9,226,484号を参照、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0228】
一部の実施形態では、再構成されていないヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域は、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列も含む。一部の実施形態では、免疫グロブリン可変領域は、非ヒト(例えば、げっ歯類、ラット、マウス)Ig可変領域遺伝子間配列を含む。一部の実施形態では、遺伝子間配列は、内在性の種起源の遺伝子間配列である。
【0229】
一部の実施形態では、免疫グロブリン可変領域は、再構成された軽鎖可変領域(一般的な軽鎖可変領域)である。一部の実施形態では、再構成されたIg軽鎖可変領域遺伝子は、ヒト再構成Ig軽鎖可変領域遺伝子である。典型的な再構成されたIg軽鎖可変領域は、例えば、米国特許第9,969,814号、第10,130,181号、および第10,143,186号、ならびに米国特許出願公開第20120021409号、第20120192300号、第20130045492号、第20130185821号、第20130302836号、および第20150313193号において提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、一般的な軽鎖可変領域を含む非ヒト生物(「一般的な軽鎖」生物)を使用して、二重特異性抗体が産生される。一部の実施形態では、共通軽鎖コード配列は、内在性軽鎖定常領域に作動可能に結合された単一の再構成ヒト免疫グロブリン軽鎖Vκ/Jκ配列を含み、単一の再構成ヒト免疫グロブリン軽鎖Vκ/Jκ配列は、(i)ヒトJκ5遺伝子セグメントに融合されたヒトVκ1-39遺伝子セグメントを含むヒトVκ1-39/Jκ5配列、または(ii)ヒトJκ1遺伝子セグメントに融合されたヒトVκ3-20遺伝子セグメントを含むヒトVκ3-20/Jκ1配列のいずれかである。
【0230】
一部の実施形態では、免疫グロブリン可変領域は、かかる非ヒト生物において生成される抗体へのpH依存性の結合特性を導入するよう設計されたヒスチジンコドンの挿入および/または置換を含む、軽鎖および/または重鎖の免疫グロブリン可変領域である。かかる実施形態の一部では、ヒスチジンコドンは、CDR3をコードする核酸配列に挿入され、および/または置換される。様々なかかる軽鎖および/または重鎖免疫グロブリン遺伝子座は、米国特許第9,301,510号、第9,334,334号、および第9,801,362号、ならびに米国特許出願公開20140013456において提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、内在性軽鎖定常領域に作動可能に結合されたヒスチジン修飾再構成ヒト(ヒト化)軽鎖可変領域は、ヒトVκおよびJκセグメント配列を含む単一の再構成ヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列を含み、場合により、Vκセグメント配列は、ヒトVκ1-39またはVκ3-20遺伝子セグメントからもたらされ、単一の再構成ヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列は、105、106、107、108、109、111およびその組み合わせ(IMGTナンバリングに準拠)からなる群から選択された位置で発現される、Vκセグメント配列の少なくとも一つの非ヒスチジンコドンのヒスチジンコドンでの置換を含む。一部の実施形態では、内在性重鎖定常領域に作動可能に結合されたヒスチジン修飾再構成されていないヒト(ヒト化)重鎖可変領域は、相補性決定領域3(CDR3)コード配列(例えば、23merのRSSに作動可能に結合されるよう修飾された(ヒト)DH遺伝子セグメント)において、少なくとも一つの非ヒスチジンコドンのヒスチジンコドンでの置換、または少なくとも一つのヒスチジンコドンの挿入を含む、再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン重鎖可変遺伝子配列を含む。一部の実施形態では、再構成されていないヒト(ヒト化)免疫グロブリン重鎖可変遺伝子配列は、再構成されていないヒトVH、23merのRSSに作動可能に結合されたDHセグメントを含む再構成されていないヒトDHまたは合成DH、および再構成されていないヒトJH遺伝子セグメントを含み、場合により、23merのRSSに作動可能に結合された、再構成されていないヒトDHまたは合成DH遺伝子セグメントまたはDH遺伝子セグメントは、少なくとも一つの非ヒスチジンコドンのヒスチジンコドンとの置換、または少なくとも一つのヒスチジンコドンの挿入を含む。一部の実施形態では、内在性重鎖定常領域に作動可能に結合されたヒスチジン修飾再構成されていないヒト(ヒト化)軽鎖可変領域は、再構成されていないVLおよび再構成されていないJL遺伝子セグメントを含む。一部の実施形態では、ヒスチジン修飾再構成されていないヒト(ヒト化)軽鎖可変領域は、2個以下の再構成されていないヒトVL(例えば、2個以下のVκ遺伝子セグメント)および一つ以上の再構成されていないヒトJL(例えば、Jκ)遺伝子セグメントを含み、2個以下のヒトVL遺伝子セグメントの各々は、CDR3コード配列中に、少なくとも一つの非ヒスチジンコドンのヒスチジンコドンでの置換、または少なくとも一つのヒスチジンコドンの挿入を含む。一部の実施形態では、2個以下の再構成されていないヒトVκ遺伝子セグメントは、各々、非ヒスチジンコドンのヒスチジンコドンでの1回以上の置換を含む、ヒトVκ1-39およびヒトVκ3-20遺伝子セグメントであり、ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントは、再構成を行う能力を有し、ヒトVκおよびヒトJκ遺伝子セグメントは、105、106、107、108、109、111(IGMTナンバリングに準拠)、およびその組み合わせからなる群から選択される位置で、一つ以上のヒスチジンを含むヒト軽鎖可変ドメインをコードし、一つ以上のヒスチジンは、一つ以上の置換からもたらされる。
【0231】
一部の実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、重鎖定常領域遺伝子を含む。一部の実施形態では、重鎖定常領域は、ヒト重鎖定常領域遺伝子である。一部の実施形態では、重鎖定常領域遺伝子は、内在性の種起源の重鎖定常領域遺伝子である。一部の実施形態では、重鎖定常領域遺伝子は、マウス定常領域遺伝子またはラット定常領域遺伝子である。一部の実施形態では、定常領域遺伝子は、ヒトと非ヒトの配列の混合である。例えば、一部の実施形態では、定常領域遺伝子は、ヒトCH1領域ならびに非ヒト(例えば、内在性の種起源、マウス、ラット)のCH2および/またはCH3領域をコードする。一部の実施形態では、重鎖定常領域遺伝子は、Cμ、Cδ、Cγ(Cγl、Cγ2、Cγ3、Cγ4)、CαまたはCε定常領域遺伝子である。一部の実施形態では、定常領域遺伝子は、内在性定常領域遺伝子である。一部の実施形態では、定常領域遺伝子は、非ヒト動物が、重鎖のみの抗体を発現するように、変異CH1領域をコードする(例えば、米国特許第8,754,287号、米国特許出願公開第2015/0289489号を参照、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、(一般的またはデュアル軽鎖生物において)二重特異性抗体を作製するために重鎖を生成することが目的である、一部の実施形態では、重鎖のFcドメインは、重鎖ヘテロ二量体形成を促進し、および/または重鎖ホモ二量体形成を阻害するための修飾を含む。かかる修飾は、例えば、米国特許第5,731,168号、第5,807,706号、第5,821,333号、第7,642,228号および第8,679,785号、ならびに米国特許出願公開第2013/0195849において提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0232】
一部の実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、軽鎖定常領域遺伝子を含む。一部の実施形態では、軽鎖定常領域遺伝子は、κ定常領域遺伝子である。一部の実施形態では、軽鎖定常領域遺伝子は、λ定常領域遺伝子である。一部の実施形態では、軽鎖定常領域遺伝子は、内在性の種起源の軽鎖定常領域遺伝子である。一部の実施形態では、軽鎖定常領域遺伝子は、マウス定常領域遺伝子またはラット定常領域遺伝子である。一部の実施形態では、軽鎖定常領域遺伝子は、ヒトと非ヒト配列の混合である。
【0233】
一部の実施形態では、ヒト可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域、および可変領域遺伝子セグメントが作動可能に結合された免疫グロブリン定常領域遺伝子は、内在性免疫グロブリン遺伝子座に位置する。一部の実施形態では、内在性免疫グロブリン遺伝子座は、内在性重鎖遺伝子座である。一部の実施形態では、内在性免疫グロブリン遺伝子座は、内在性κ遺伝子座である。一部の実施形態では、内在性免疫グロブリン遺伝子座は、内在性λ遺伝子座である。一部の実施形態では、ヒト可変領域遺伝子セグメントが作動可能に結合された定常領域遺伝子は、内在性定常領域遺伝子である。
【0234】
一部の実施形態では、本明細書において提供される非ヒト動物のゲノム中の内在性免疫グロブリン遺伝子座の一つ以上、または一つ以上の内在性遺伝子座の一部(例えば、可変領域および/または定常領域)は、不活化される。内在性免疫グロブリン可変領域遺伝子剤およびその一部は、限定されないが、生物のゲノムから遺伝子座またはその一部の欠失、遺伝子座またはその一部の異なる核酸配列での置換、遺伝子座の一部の逆位、および/または遺伝子座の一部の非ヒト生物のゲノム中の別の位置への移動を含む、当該技術分野において公知の任意の方法を使用して不活化され得る。一部の実施形態では、遺伝子座の不活化は、部分的な不活化のみである。一部の実施形態では、遺伝子座の可変領域は不活化されるが、定常領域は機能性を維持する(例えば、非内在性可変領域遺伝子セグメントに作動可能に結合されているためである)。
【0235】
一部の実施形態では、遺伝子修飾された非ヒト動物は、不活化された内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座座位を含む。一部の実施形態では、内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座またはその一部は、内在性重鎖遺伝子座の内在性可変領域の少なくとも一部の欠失、置換、移動および/または逆位により、不活化される。一部の実施形態では、欠失、置換、移動および/または逆位される内在性重鎖遺伝子座の可変領域の少なくとも一部は、可変領域のJセグメントを含む。一部の実施形態では、内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座またはその一部は、内在性重鎖遺伝子座の内在性定常領域の少なくとも一部の欠失、置換、移動および/または逆位により、不活化される。一部の実施形態では、欠失、置換、移動および/または逆位にされる内在性重鎖遺伝子座の定常領域の少なくとも一部は、内在性定常領域のOμ遺伝子を含む。
【0236】
一部の実施形態では、遺伝子修飾された非ヒト動物は、不活化された内在性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座を含む。一部の実施形態では、内在性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座またはその一部は、内在性κ鎖遺伝子座の内在性可変領域の少なくとも一部の欠失、置換、移動および/または逆位により、不活化される。一部の実施形態では、欠失、置換、移動および/または逆位にされる内在性κ鎖遺伝子座の可変領域の少なくとも一部は、可変領域のJセグメントを含む。一部の実施形態では、内在性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座またはその一部は、内在性κ鎖座位の内在性定常領域の少なくとも一部の欠失、置換、移動および/または逆位により、不活化される。一部の実施形態では、欠失、置換、移動および/または逆位にされる内在性κ鎖遺伝子座の定常領域の少なくとも一部は、内在性定常領域のCκ遺伝子を含む。
【0237】
一部の実施形態では、遺伝子修飾された非ヒト動物は、不活性化された内在性免疫グロブリンλ鎖遺伝子座を含む。一部の実施形態では、内在性免疫グロブリンλ鎖遺伝子座またはその一部は、内在性λ鎖遺伝子座の内在性可変領域の少なくとも一部の欠失、置換、移動および/または逆位により、不活化される。一部の実施形態では、内在性λ鎖遺伝子座中の少なくとも一つのV-J-C遺伝子クラスターの少なくとも一部が、欠失、置換、移動および/または逆位にされる。一部の実施形態では、内在性免疫グロブリンλ鎖遺伝子座またはその一部は、内在性λ鎖遺伝子座の内在性定常領域の少なくとも一部の欠失、置換、移動および/または逆位により、不活化される。一部の実施形態では、欠失、置換、移動および/または逆位にされる内在性λ鎖遺伝子座の定常領域の少なくとも一部は、内在性定常領域のC遺伝子を含む。
【0238】
様々な実施形態では、免疫グロブリン遺伝子座修飾は、非ヒト動物の生殖能力に影響を与えない。一部の実施形態では、重鎖遺伝子座は、機能的な、例えば、内在性ADAM6a遺伝子、ADAM6b遺伝子、またはその両方を含み、遺伝子修飾は、内在性ADAM6a遺伝子、ADAM6b遺伝子、またはその両方の発現および/または機能に影響を与えない。一部の実施形態では、遺伝子修飾された非ヒト動物のゲノムはさらに、異所性に位置する機能的、例えば、内在性ADAM6a遺伝子、ADAM6b遺伝子、またはその両方を含む。外来性のADAM6aおよび/またはADAM6bを発現する典型的な非ヒト動物は、米国特許第 8,642,835号および第8,697,940号に記載され、その各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0239】
一部の実施形態では、遺伝子修飾された非ヒト動物はさらに、増加した抗原受容体多様性のため、外来性末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)遺伝子を含み、発現する。外来性TdTを発現する典型的な非ヒト動物は、PCT特許出願公開第2017210586に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0240】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物のゲノムはさらに、一つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖遺伝子を含む(例えば、米国特許第8,502,018号、米国特許第8,642,835号、米国特許第8,697,940号、米国特許第8,791,323号、および米国特許出願公開第2013/0096287A1号および第2018/0125043A1号、およびPCT出願公開第2019/113065号を参照、各々が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。あるいは、操作されたDH領域は、例えばVELOCIMMUNE(登録商標)株などの異なる修飾された下部の胚性幹細胞に導入され得る(例えば、米国特許第8,502,018号または米国特許第8,642,835号を参照、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、本明細書に記載のターゲティングベクターを、修飾された系統由来の細胞に導入することにより作製され得る。一例を挙げると、本明細書に記載のターゲティングベクターは、米国特許第8,642,835号および第8,697,940号に記載される非ヒト動物に導入されてもよく、その全体が参照により本明細書に取り込まれ、非ヒト動物は、完全なヒト可変領域およびマウス定常領域を有する抗体を発現する。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、ヒト免疫グロブリン遺伝子(可変領域遺伝子および/または定常領域遺伝子)をさらに含むように作製される。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、本明細書に記載の操作されたDH領域、および異種(例えば、ヒト)由来の遺伝物質を含み、遺伝物質は、一つ以上のヒト重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域を、全体または部分でコードする。
【0241】
本明細書に記載の非ヒト動物は、多くの場合、非ヒト動物の意図される使用に応じて、追加のヒト遺伝子またはヒト化遺伝子を含むように、上述の通り、または当該技術分野において公知の方法を使用して調製され得る。かかる追加のヒトまたはヒト化遺伝子の遺伝物質は、上述の通り、または所望される他の遺伝子修飾された下部を用いて当該技術分野において公知の繁殖技術を通じて、遺伝子修飾を有する細胞(例えば、胚性幹細胞)のゲノムのさらなる改変を通じて導入され得る。
【0242】
例えば、本明細書に記載される通り、操作されたDH領域を含む非ヒト動物は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる、米国特許出願公開第2011-0195454 A1号、第2012-0021409 A1号、第2012-0192300 A1号、第2013-0045492 A1号、第2013-0185821 A1号、第2013-0198880 A1号、第2013-0302836 A1号、第2015-0059009 A1号;国際特許出願公開第2011/097603号、第2012/148873号、第2013/134263号、第2013/184761号、第 2014/160179号、第2014/160202号として記載される一つ以上の修飾(例えば、交雑または複数の遺伝子ターゲティング戦略を介して)さらに含む。
【0243】
トランスジェニック創始非ヒト動物は、そのゲノム中の操作されたDH領域の存在および/または非ヒト動物の組織または細胞においてDH-DH組み換えから生じるアミノ酸を含有するCDR3領域を含む抗体の発現に基づき同定することができる。次に、トランスジェニック創始非ヒト動物を使用して、操作されたDH領域を有するさらなる非ヒト動物と交配させ、これにより、各々、1コピー以上の操作されたDH領域を有する一連の非ヒト動物を生成することができる。さらに、操作されたDH領域を有するトランスジェニック非ヒト動物を、所望される他の導入遺伝子(例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子)を有する他のトランスジェニック非ヒト動物とさらに交配され得る。
【0244】
トランスジェニック非ヒト動物はまた、導入遺伝子の発現の制御または指示を可能にする選択されたシステムを含有するように生成されてもよい。典型的なシステムは、バクテリオファージP1のCre/loxPリコンビナーゼシステム(例えば、Lakso,M.ら、1992年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232~6236を参照、その全体が参照により本明細書に取り込まれる)および出芽酵母のFLP/Frtリコンビナーゼシステム(O’Gorman,S.ら、1991年、Science 251:1351~1355mその全体が参照により本明細書に取り込まれる)を含む。かかる動物は、例えば、一方が選択された修飾(例えば、操作されたDH領域)を含む導入遺伝子を含有し、他方がリコンビナーゼ(例えば、Creリコンビナーゼ)をコードする導入遺伝子を含有する、2種のトランスジェニック動物を交配することによる、「ダブル」トランスジェニック動物の構築により提供することができる。
【0245】
マウス(すなわち、ヒトVHおよびJH遺伝子セグメントと作動可能に結合され、その全てが、一つ以上のマウス重鎖定常領域遺伝子に作動可能に結合された、操作されたDH領域を有するマウス)において、操作されたDH領域を利用する実施形態が、本明細書で広範に論じられているが、操作されたDH領域を含む他の非ヒト動物も提供される。一部の実施形態では、かかる非ヒト動物は、内在性VHおよびJH遺伝子セグメントに作動可能に結合された操作されたDH領域を含む。一部の実施形態では、かかる非ヒト動物は、ヒト化VHおよびJH遺伝子セグメントに作動可能に結合された操作されたDH領域を含む。かかる非ヒト動物は、例えば、哺乳類、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ(例えば、雌牛、未去勢オスウシ、バッファロー)、シカ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、フェレット、霊長類(例えば、マーモセット、アカゲザル)などを含む、本明細書において開示される野生型免疫グロブリン重鎖遺伝子座と皮革して、増加した頻度でDH-DH組み換えから生じるアミノン酸を含むCDR3を有する抗体を発現するよう遺伝子修飾され得る任意のものを含む。例えば、好適な遺伝子改変可能なES細胞が直ちに利用可能でない非ヒト動物について、他の方法を利用して、遺伝子修飾を含む非ヒト動物を作製する。かかる方法は、例えば、非ES細胞ゲノム(例えば、線維芽細胞または人工多能性細胞)を修飾する工程、および体細胞核移植(SCNT)を利用して、適当な細胞、例えば、除核卵母細胞に遺伝子修飾したゲノムを導入する工程、および修飾された細胞(例えば、修飾された卵母細胞)を胚の形成に好適な条件下で非ヒト動物に懐胎させる工程を含む。
【0246】
非ヒト動物ゲノム(例えば、ブタ、雌牛、げっ歯類、ニワトリなど)の修飾方法は、、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)またはCasタンパク質(すなわち、CRISPR/Casシステム)を利用して、本明細書に記載の操作されたDH領域を含めるようゲノムを修飾する工程を含む。非ヒト動物の生殖系列ゲノムを修飾する方法の指針は、例えば、米国特許出願公開第2015-0376628A1号、第2016-0145646A1号、および第2016-0177339A1号において見ることができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0247】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、哺乳類である。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、小さな哺乳類、例えば、トビネズミ上科またはネズミ上科の小さな哺乳類である。一部の実施形態では、本明細書に記載の遺伝子修飾された動物は、げっ歯類である。一部の実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、マウス、ラット、およびハムスターから選択される。一部の実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、ネズミ上科から選択される。一部の実施形態では、本明細書に記載の遺伝子修飾動物は、ヨルマウス科(例えば、マウス様のハムスター)、キヌゲネズミ科(例えば、ハムスター、New Worldラットおよびマウス、ハタネズミ)、ネズミ科(純種のマウスおよびラット、アレチネズミ、トゲマウス、タテガミネズミ)、アシナガマウス科(キノボリマウス、ロックマウス、オジロラット、マダガスカルラットおよびマウス)、トゲヤマネ科(例えば、トゲヤマネ)、ならびにメクラネズミ科(例えば、メクラネズミ、タケネズミ、および高原モグラネズミ)から選択される科由来である。一部の実施形態では、本明細書に記載の遺伝子修飾げっ歯類は、純種のマウスまたはラット(ネズミ科)、アレチネズミ、トゲマウス、及びタテガミネズミから選択される。一部の実施形態では、本明細書に記載の遺伝子修飾マウスは、ネズミ科のメンバー由来である。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、げっ歯類である。一部の実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、マウスおよびラットから選択される。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、マウスである。
【0248】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/KaLwN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10Cr、およびC57BL/Olaから選択されるC57BL系統のマウスであるげっ歯類である。一部の実施形態では、本発明のマウスは、129P1、129P2、129P3、129X1、129S1(例えば、129S1/SV、129S1/SvIm)、129S2、129S4、129S5、129S9/SvEvH、129/SvJae、129S6(129/SvEvTac)、129S7、129S8、129T1、129T2である系統からなる群から選択される129系統である(例えば、Festingら、1999年、Mammalian Genome 10:836;Auerbach,W.ら、2000年、Biotechniques 29(5):1024~1028,1030,1032を参照;その全体が参照により本明細書に取り込まれる)。一部の実施形態では、本明細書に記載の遺伝子修飾マウスは、前述の129系統および前述のC57BL/6系統との混合である。一部の実施形態では、本明細書に記載のマウスは、前述の129系統の混合、または前述のBL/6系統の混合である。一部の実施形態では、本明細書に記載の混合の129系統は、129S6(129/SvEvTac)系統である。一部の実施形態では、本明細書に記載のマウスは、BALB系統、例えば、BALB/c系統である。一部の実施形態では、本明細書に記載のマウスは、BALB系統と別の前述の系統の混合である。
【0249】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、ラットである。一部の実施形態では、本明細書に記載のラットは、ウィスターラット、LEA系統、Sprague Dawley系統、フィッシャー系統、F344、F6、およびDark Agoutiから選択される。一部の実施形態では、本明細書に記載のラット系統は、ウィスター、LEA、Sprague Dawley、フィッシャー、F344、F6、およびDark Agoutiからなる群から選択される2種以上の系統の混合である。
【0250】
方法
様々なインビトロ技術およびインビボ技術が、抗体ベースの治療薬を生み出すために開発されてきた。詳細には、インビボ技術は、ヒト免疫グロブリン遺伝子を備えたトランスジェニック動物(すなわち、げっ歯類)であって、遺伝子が、動物のゲノムにランダムに組み込まれている(例えば、米国特許第5,569,825号を参照、その全体が参照により本明細書に取り込まれる)か、または動物の内在性免疫グロブリン定常領域と作動可能に結合された内在性免疫グロブリン遺伝子座に寸分たがわずに配置されている、動物の生成を特徴としてきた(例えば、米国特許第8,502,018号、第8,642,835号、第8,697,940号、および第8,791,323号を参照、その全体が参照により本明細書に取り込まれる)。両方のアプローチは、ヒトへの使用に有望な抗体治療候補の生成に、よい結果をもたらしてきた。さらに、両方のアプローチは、インビボで生成された抗体レパートリーから抗体候補が選択されるという点で、インビトロアプローチよりも優れており、この選択には、宿主免疫システムの内部環境内での抗原に対する親和性および特異性の選択が含まれる。このように、抗体は、インビトロ技術に付随し得る人工環境またはインシリコ予測ではなく、自然提示された抗原に(関連する生物学的エピトープおよび表面内で)結合するものである。インビボ技術から得られる頑強な抗体レパートリーにも関わらず、複合体(例えば、ウイルス、チャンネルポリペプチド)または細胞質抗原に対する抗体は、依然として困難なままである。さらに、種(例えば、ヒトおよびマウス)間で高い程度の配列同一性を共有するポリペプチドに対する抗体を生成することも、免疫寛容に起因して課題のままである。
【0251】
したがって、本発明は、とりわけ、従来にはない遺伝子セグメント再構成(すなわち、DHからDHへの組み換え)から生成される、CDR、特にCDR3の多様性を付加した抗体の産生により特徴付けられるインビボシステムの構築は、各々、5’または3’の23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のDHセグメントを使用して作製され得るという認識に基づく。5’または3’の23merのRSSを有することにより、かかる操作されたDH遺伝子セグメントを欠く免疫グロブリン重鎖遺伝子座と比較して、DHセグメント間の組み換えは、増加する。かかる付加された多様性は、特定の抗原(例えば、ウイルス、チャンネルポリペプチド)への結合を指示することができる。VH遺伝子セグメント、少なくとも二つのDH遺伝子セグメント、およびJH遺伝子セグメントの組み換え時に、DHからDHへの組み換えから生じるアミノ酸配列を有するCDR3領域を含有する重鎖可変領域コード配列が形成される。さらに、DHからDHへの組み換えから生じるこのCDR3は、アミノ酸長の増加により、さらなる多様性を含有する。さらに、かかるCDR3領域は、従来のVDJ組み換えによって生成された抗体によって結合することができない特定の抗原(またはエピトープ)への結合を指示する能力を有する。
【0252】
提供される非ヒト動物は、ヒト抗体を作製するのに利用され得、ヒト抗体は、本明細書に記載の非ヒト動物の細胞の遺伝物質によってコードされる一つ以上の可変領域核酸配列由来の可変ドメインを含む。例えば、提供される非ヒト動物は、非ヒト動物が、対象の当該抗原への免疫反応を生じさせるのに十分な条件下および時間で、対象の抗原(例えば、ウイルスまたはチャンネルポリペプチド、全体または部分で)で免疫される。抗体は、非ヒト動物(または一つ以上の細胞、例えば、一つ以上のB細胞)から単離され、例えば、親和性、特異性、エピトープマッピング、リガンドと受容体の相互作用を阻害する能力、阻害受容体活性などを測定する、種々のアッセイを用いて特徴付けられる。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物によって産生される抗体は、非ヒト動物から単離された一つ以上のヒト可変領域ヌクレオチド配列からもたらされる一つ以上のヒト可変ドメインを含む。一部の実施形態では、抗薬物抗体(例えば、抗イディオタイプ抗体)が、提供される非ヒト動物において生じ得る。
【0253】
本明細書に記載の非ヒト動物は、様々なアッセイに有用なヒト抗体を産生するための、改良されたインビボシステムおよび生物学的物質(例えば、細胞)の供給源を提供する。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物を使用して、一つ以上のウイルスを標的にし、および/またはウイルス活性を調節し、および/または他の結合パートナー(例えば、細胞表面受容体)とのウイルス相互作用を調節する治療を開発する。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物を使用して、一つ以上のチャンネルタンパク質を標的にし、および/またはチャンネルタンパク質活性を調節し、および/または他の結合パートナーとのチャンネルタンパク質相互作用を調節する治療を開発する。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物を使用して、一つ以上のウイルス、チャンネルまたはGタンパク質共役受容体(GPCR)ポリペプチドに結合する候補治療薬(例えば、抗体、siRNAなど)を同定し、スクリーニングし、および/または開発する。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物を使用して、一つ以上のウイルスポリペプチド、一つ以上のヒトチャンネルポリペプチドまたは一つ以上のヒトGPCRポリペプチドの活性を阻害する候補治療薬(例えば、抗体、siRNAなど)をスクリーニングし、開発する。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物を使用して、一つ以上のGPCRポリペプチドまたは一つ以上のヒトチャンネルポリペプチドのアンタゴニストの結合特性を決定する。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物を使用して、一つ以上のヒトGPCRポリペプチドを結合するか、または一つ以上のヒトチャンネルポリペプチドを結合する一つ以上の候補治療抗体のエピトープまたは複数のエピトープを決定する。
【0254】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物を使用して、抗体の薬物動態プロファイルを決定する。一部の実施形態では、一つ以上の提供される非ヒト動物および一つ以上の対照または参照の非ヒト動物が、各々、一つ以上の候補治療抗体に様々な用量(例えば、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/mg、7.5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、または50mg/kgまたはそれ以上)で曝露される。候補治療薬抗体は、非経口および経口投与経路を含む、任意の望ましい投与経路を介して投与され得る。非経口経路は、例えば、静脈内、動脈内、門脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、髄腔内、くも膜下腔内、側脳室内、頭蓋内、胸腔内または他の経路の注入を含む。経口経路は、例えば、経口、経鼻、経皮、肺、直腸、口腔、膣、眼を含む。投与は、連続注入、局所投与、インプラント(ゲル、膜など)からの持続放出、および/または静脈内注射、例えば、静脈内液体バックを使用によってもよい。血液は、非ヒト動物(ヒト化および対照)から、様々な時点(例えば、0時間、6時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、または最大30日またはそれ以上の日数)で単離される。様々なアッセイは、総IgG、抗治療抗体応答、凝集などを含むが、これらに限定されない、本明細書に記載の非ヒト動物から取得された飼料を使用して、投与される候補治療抗体の薬物動態特性を決定してもよい。
【0255】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物を使用して、標的抗原の活性を阻害または調節する治療効果、および細胞変化の結果としての遺伝子発現または本明細書に記載の非ヒト動物の細胞の標的抗原(細胞表面受容体の場合)の細胞表面密度に対する効果を測定する。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物またはそれから単離された細胞は、対象の抗原に結合する候補治療薬に曝露され、続く期間の後、標的抗原依存性プロセス(または相互作用)、例えば、リガンドと受容体の相互作用または抗原関連シグナル伝達に対する効果について分析される。
【0256】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物を使用して、チャンネル活性(またはチャンネルシグナル伝達、またはチャンネル介在性相互作用、またはチャンネル活動電位)を阻害または調節する効果、および細胞変化の結果としての遺伝子発現または本明細書に記載の非ヒト動物のチャンネル密度に対する治療効果を測定する。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物またはそれから単離された細胞は、ヒトチャンネル(またはその一部)に結合する候補治療薬に曝露され、続く期間の後、チャンネル依存性プロセス(または相互作用)、例えば、リガンドと受容体の相互作用またはチャンネル活動電位に対する効果について分析される。
【0257】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物は、抗体を発現し、従って、細胞、細胞株、および細胞培養物は、例えば、アンタゴニストまたはアゴニストの結合または機能についてアッセイするため、結合および機能アッセイにおける使用のための抗体の供給源として働くよう生成され得、アンタゴニストまたはアゴニストは、ヒトポリペプチド配列またはエピトープに特異的であるか、あるいは、リガンドと受容体の相互作用(結合)において機能するヒトポリペプチド配列またはエピトープに特異的である。一部の実施形態では、候補治療抗体またはsiRNAにより結合されるエピトープは、提供される非ヒト動物から単離された細胞を使用して決定することができる。
【0258】
一部の実施形態では、提供される非ヒト動物由来の細胞は、場当たり的に単離され、使用され得るか、または多世代にわたって培養物中で維持され得る。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物由来の細胞は、(例えば、ウイルスの使用を介して)不死化され、培養物中(例えば、連続培養物中)で無期限に維持される。
【0259】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、ヒト対象抗原に結合する抗体バリアントの生成のためのインビボシステムを提供する。かかるバリアントは、二つ以上のヒト標的抗原により共有される共通のエピトープに対して所望される機能性、特異性、低い交差反応性を有する抗体を含む。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物を利用して、所望または改善された機能性についてスクリーニングされる一連の抗体バリアントを生成するための抗体のパネルを生成する。
【0260】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、抗体ライブラリーを生成するためのインビボシステムを提供する。かかるライブラリーは、所望のエフェクター機能に基づき異なるFc領域に移植され、および/または当技術分野で公知の技術(例えば、部位特異的変異誘導、エラープローンPCRなど)を使用して可変領域配列の親和性成熟の供給源として使用され得る、重鎖および軽鎖可変領域配列の供給源を提供する。
【0261】
一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、薬物またはワクチンの分析および検査のためのインビボシステムを提供する。一部の実施形態では、候補薬物またはワクチンは、一つ以上の提供される非ヒト動物にデリバリーされ、続いて、薬物またはワクチンに対する免疫応答、薬物またはワクチンの安全特性、あるいは疾患もしくは状態および/または疾患もしくは状態の一つ以上の症状に対する効果の一つ以上を決定するために非ヒト動物がモニターされ得る。安全特性を決定するために使用される典型的な方法は、毒性、至適用量濃度、抗体(すなわち抗薬物)応答、薬物またはワクチンの有効性、および潜在的リスク因子の測定を含む。かかる薬物またはワクチンは、かかる非ヒト動物で改良され、および/または開発されてもよい。
【0262】
ワクチンの有効性は、多数の方法で決定されてもよい。簡潔に述べると、本明細書に記載の非ヒト動物は、当技術分野で公知の方法を使用してワクチンされ、次に、ワクチンを負荷されるか、またはワクチンは、既に感染した非ヒト動物に投与される。ワクチンに対する非ヒト動物の応答を、非ヒト動物(またはそれらから単離された細胞)のモニタリング、および/またはそれらに対する一つ以上のアッセイを行うことにより測定して、ワクチンの有効性を決定してもよい。次に、ワクチンに対する非ヒト動物の応答は、当該技術分野において公知および/または本明細書に記載の一つ以上の手段を使用して、対照動物と比較される。
【0263】
ワクチンの有効性は、ウイルス中和アッセイによりさらに決定されてもよい。簡潔に述べると、本明細書に記載の非ヒト動物は、免疫化され、血清が、免疫後の様々な日数で採取される。血清の連続希釈物は、ウイルスと予めインキュベーションされ、その間に、ウイルスに特異的である血清中の抗体が、ウイルスと結合する。次に、ウイルス/血清混合物を許容細胞に加えて、プラークアッセイまたはマイクロ中和アッセイにより感染性を決定する。血清中の抗体がウイルスを中和するなら、対照群と比較して、プラーク数が少ないか、または相対ルシフェラーゼ単位が低くなる。
【0264】
本明細書に記載の非ヒト動物は、癌および/または炎症性疾患において使用するための抗体ベースの治療の開発および特徴決定のための、改良されたインビボシステムを提供する。炎症は癌と関連があるとされてきた(例えば、Grivennikov,S.I.ら、2010年、Cell 140:883~99;Rakoff-Nahoum,S.、2006年、Yale J.Biol.Med.79:123~30において概説され、その全体が参照により本明細書に取り込まれる)。実際、発生中の腫瘍環境は、部分的に、様々な炎症性メディエータの浸潤により特徴付けられている。また、持続炎症は、より高い可能性の発生中の癌を導き得る。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、抗癌治療および/または抗炎症治療の開発および/または同定のためのインビボシステムを提供する。一部の実施形態では、提供される非ヒト動物または対照非ヒト動物(例えば、本明細書に記載のものとは異なる遺伝子修飾を有する、または遺伝子修飾を有さない、すなわち野生型)は、腫瘍(または腫瘍細胞)が移植され、続いて、一つ以上の候補治療が投与され得る。一部の実施形態では、候補治療は、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)または抗体カクテルを含み得る。一部の実施形態では、候補治療は、例えば、逐次的にまたは同時に投与される二つ以上の単一特異性抗体の投与などの併用療法を含む。腫瘍は、非ヒト動物内の1カ所以上の位置で定着するのに十分な時間そのままにされた後、一つ以上の候補治療薬が投与され得る。腫瘍細胞増殖、成長、生存などは、候補治療薬の投与前と後の両方で測定されてもよい。候補治療薬の細胞毒性もまた、必要に応じて、非ヒト動物で測定されてもよい。
【0265】
キット
本発明はさらに、本明細書に記載の、少なくとも一つの非ヒト動物、非ヒト細胞、DNAフラグメント、および/またはターゲティングベクターを充填した一つ以上の容器を含むパックまたはキットを提供する。キットは、任意の適用可能な方法(例えば調査方法)において使用されてもよい。医薬品および生物製品の製造、使用または販売を規制する政府機関により規定されたフォームの通知書を任意でかかる容器に関連づけてもよく、その通知書は、(a)ヒト投与に関する製造、使用または販売に関する当局による承認、(b)使用に関する説明書、またはその両方、または二つ以上の実体の間の物質および/または生物製品(例えば本明細書に記載される非ヒト動物または非ヒト細胞)の移送を支配する契約書、を反映している。
【0266】
本発明の他の特性は、例示のために与えられ、かつその限定を意図しない例示的な実施形態の以下の記載の過程で明らかになるであろう。
【実施例】
【0267】
以下の実施例は、本発明の方法および組成物をどのように作成し、使用するかを当業者に説明するために提供されており、発明者がその発明として見なすものの範囲を限定することを意図していない。別途示されていない限り、温度は摂氏で示され、圧力は大気圧またはその近くである。
【0268】
実施例1.ターゲティングベクターの設計と構築
本実施例は、げっ歯類(例えば、マウス)などの非ヒト動物のゲノム内への挿入のためのターゲティングベクターの構築を説明する。特に、本実施例で説明する方法は、ゲノムが、操作したD
H領域は、各々、5’または3’の23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のD
Hセグメントを含む、操作した重鎖多様性(D
H)領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、げっ歯類(例えば、マウス)のゲノムへの挿入のためのターゲティングベクターの生成を示す。本実施例では、三つのターゲティングベクターを記載する:5’の23merのRSSに作動可能に結合し、一つのヒトJ
Hセグメントに作動可能に結合した近位(または3’)D
Hセグメントを含む操作したD
H領域を含有する、第1のターゲティングベクター、5’の23merのRSSに作動可能に結合し、三つのヒトJ
Hセグメントに作動可能に結合した近位(または3’)D
Hセグメントを含む操作したD
H領域を含有する、第2のターゲティングベクター、および各々、3’の23merのRSSと関連し、六つのヒトJ
Hセグメントに作動可能に結合した、三つのD
Hセグメントを含む操作したD
H領域を含有する、第3のターゲティングベクター(
図2)。これらのターゲティングベクターの各々を生成し、ヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域内に別々に挿入した(
図3、5、7)。以下に記載する通りされるように、操作したD
H領域を、重鎖可変(V
H)および重鎖結合(J
H)セグメントと作動可能に結合し、VDJ組み換え時に、D
H-D
H組み換えから生じるCDR3を有する抗体を発現させた。
【0269】
免疫グロブリン重鎖可変領域への挿入のための、各々、5’または3’の23merのRSSと関連する一つ以上のヒトDHセグメントを含有するターゲティングベクターを、VELOCIGENE(登録商標)テクノロジー(例えば、米国特許第6,586,251号、およびValenzuelaら、2003年、Nature Biotech.21(6):652~659を参照、その全体が参照により本明細書に取り込む)、および当該技術分野において公知の分子生物学的技術を用いて生成した。本実施例に記載する方法を利用して、任意のDHセグメント、DHセグメントのセット、または必要に応じてDHセグメントの組み合わせを使用することができる。
【0270】
A.23:D
H3-3:12/J
H6ターゲティングベクター(
図2)
簡潔に述べると、第1のターゲティングベクターを、複数のヒトD
Hセグメント、およびヒトD
H7-27の場所にに位置付けられた合成ヒトD
H3-3セグメントを含有するゲノムDNAフラグメントを使用して構築した。インビトロCas9/GA修飾のためのドナーを、新規合成(Blue Heron Bio)により作製し、5’から3に:(a)D
H7-27の5’の12merのRSSの上流350bpから始まる100bpの相同アーム、(b)ネオマイシン耐性カセットの挿入のためのAgeIおよびXhoI部位、(c)D
H7-27の5’末端の12のRSSの上流の250bpの領域、(d)5’末端の23merのRSS(J
H4由来)および3’末端の12merのRSS(D
H3-3由来)で操作した、合成ヒトD
H3-3セグメント、および(3)J
H5の3bp下流で始まる、100bpの相同ボックスを含む。loxp-UbC-Em7-Neo-loxpカセット、例えば、loxP部位特異的組み換え認識部位が隣接したネオマイシン耐性遺伝子を、大腸菌およびマウスES細胞での選択を可能にするためのAgeIおよびXhoI部位へのライゲーションにより、合成D
Hセグメントの上流および下流約250bpに置いた。ネオマイシンカセットを含むこの23:D
H3-3:12/J
H6ドナー(配列番号61)を使用して、二つのCas9:gRNA複合体を使用してインビトロCas9/GAによりBACを修飾した。修飾に先立ち、BACは、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスのキメラIgH遺伝子座と配列が同一であった(例えば、J
H遺伝子セグメントを欠き、内在性マウス免疫グロブリン重鎖定常領域配列に作動可能に結合したヒト化可変領域を含む6394対立遺伝子、および内在性マウス免疫グロブリン重鎖定常領域配列に作動可能に結合したヒト化可変領域を含む1460対立遺伝子に対してヘテロ接合性である、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスの例示的な非限定的な内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座を示す、
図3および4を参照)。具体的には、BACは、最も近位のヒトV
H遺伝子(V
H6-1)から始まり、27個のヒトD
H遺伝子、全6個のヒトJ
H遺伝子、マウスIgHイントロンエンハンサー(Eμ)、マウスIgMスイッチ領域(Sμ)、およびマウスIgM遺伝子の最初の4個のエクソンを含む1460対立遺伝子と同一であった。BACはまた、スペクチノマイシン(spec)耐性カセットおよび約29kbの、V
H6-1遺伝子から上流のヒト遺伝子間配列を含んでいた。ヒトとマウスの結合は、ヒトJ
H6遺伝子の3’の222bpおよびマウスEμエンハンサーの5’の490bpである。GAを介した23:D3-3:12/J
H6ドナーのBACへの挿入は、D
H7-7遺伝子セグメントの操作した23:D3-3:12セグメントでの置換およびJ
H1、J
H2、J
H3、J
H4、およびJ
H5遺伝子セグメントの欠失を含む、最終23:D3-3:12/J
H6ターゲティングベクターを生じた(
図2)。表1は、23:D
H3-3:12/J
H6ターゲティングベクターの正確な構築を決定するために使用したgRNA、プライマーおよびプローブの配列を提供する。
【表1】
【0271】
23:D3-3:12/JH6ターゲティングベクターをNotIで直線にし、ヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域に対してヘテロ接合性であり(すなわち、げっ歯類重鎖エンハンサーおよび制御領域を含むげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域に作動可能に結合した複数のヒトV
H、D
H、およびJ
Hセグメントを含有し、一つ位以上のマウスAdam6遺伝子(例えば、米国特許第8,642,835号および第8,697,940号、各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)をコードする挿入したヌクレオチド配列を含有する、第1の重鎖対立遺伝子(1460het);および複数のヒトV
HおよびD
Hセグメント、J
H領域欠失ならびにげっ歯類重鎖エンハンサーおよび制御領域を含むげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域を含有し、一つ以上のマウスAdam6遺伝子(例えば、米国特許第8,642,835号および第8,697,940号、各々、その全体が参照により本明細書に組込まれる)をコードする挿入したヌクレオチド配列を含有する、第2の重鎖対立遺伝子(6394het))、内在性免疫グロブリン重鎖Cκ領域(1293)に作動可能に結合したヒト免疫グロブリン軽鎖VκおよびJκ遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含むヒト化内在性κ遺伝子座についてホモ接合性(HO)であるゲノムを有するマウス胚性幹細胞にエレクトロポレーションした(
図3を参照)。6799対立遺伝子を、エレクトロポレーションおよび1460対立遺伝子の、ネオマイシンカセットを含む23:D3-3:12/J
H6ターゲティングベクターとの適切な相同組み換えにより生成する。(
図3)。6394および679対立遺伝子に対してヘテロ接合性のこれらの操作したマウスES細胞を用いて、陽性ESクローン(下記参照)の効率的なスクリーニングおよび続く薬物耐性カセットのcre介在性除去を促進し、以後、6394および6799対立遺伝子の欠失を、それぞれ6643および6800と称する(
図4)。
【0272】
B.23:D
H3-3:12/J
H4-6ターゲティングベクター(
図2)
同様の方法で、第1のターゲティングベクター(23:D
H3-3:12/J
H4-6)を、複数のヒトD
Hセグメント、およびヒトD
H7-27の場所に位置付けられた合成ヒトD
H3-3セグメントを含有する同じゲノムDNAフラグメントを使用して構築した。しかしながら、この第2のターゲティングベクターは、六つのヒトJ
Hセグメントのうちの三つ(すなわち、J
H4、J
H5、J
H6)を含んでいた。最終23:D
H3-3:12/J
H4-6ターゲティングベクターを生成するために、ドナーを使用して、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスのキメラIgH遺伝子座と配列が同一のBACを修飾した(例えば、J
H遺伝子セグメントを欠き、内在性マウス免疫グロブリン重鎖定常領域配列に作動可能に結合したヒト化可変領域を含む6394対立遺伝子、および内在性マウス免疫グロブリン重鎖定常領域配列に作動可能に結合したヒト化可変領域を含む1460対立遺伝子に対してヘテロ接合性である、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスの例示的な非限定的な内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座を示す、
図3および4を参照)。ドナーは、5’から3に:(a)D7-27の5’末端の12merのRSSの上流350bpから始まる100bpの相同アーム、(b)ネオマイシン耐性カセットの挿入のためのAgeIおよびXhoI部位、(c)D7-27の5’末端の12のRSSの上流の250bpの領域、(d)5’末端の23merのRSS(J
H4由来)および3’末端の12merのRSS(D
H3-3由来)で操作した、合成ヒトD
H3-3セグメント、および(e)J
H3の3bp下流で始まる、100bpの相同ボックスを含んでいた。loxp-UbC-Em7-Neo-loxpカセット、例えば、loxP部位特異的組み換え認識部位が隣接したネオマイシン耐性遺伝子を、大腸菌およびマウスES細胞での選択を可能にするためのAgeIおよびXhoI部位へのライゲーションにより、合成D
Hセグメントの上流約250bpに置いた。ネオマイシンカセットを含む、配列番号52として記載するヌクレオチド配列を含むこの23:D3-3:12/J
H4-6ドナーを使用して、1460対立遺伝子と配列が同一なBACを修飾した(
図3および
図4)。具体的には、BACは、最も近位のヒトV
H遺伝子(V
H6-1)から始まり、27個のヒトD
H遺伝子、全6個のヒトJ
H遺伝子、マウスIgHイントロンエンハンサー(Eμ)、マウスIgMスイッチ領域(Sμ)、およびマウスIgM遺伝子の最初の4個のエクソンを含む1460対立遺伝子と同一であった。BACはまた、スペクチノマイシン(spec)耐性カセットおよび約29kbの、V
H6-1遺伝子から上流のヒト遺伝子間配列を含んでいた。ヒトとマウスの結合は、ヒトJ
H6遺伝子の3’の222bpおよびマウスEμエンハンサーの5’の490bpである。二つのCas9:gRNA複合体を使用したインビトロCas9/GAを介した23:D3-3:12/J
H4-6ドナーのBACへの挿入は、D
H7-7遺伝子セグメントの操作した23:D3-3:12セグメントでの置換およびJ
H1、J
H2、およびJ
H3遺伝子セグメントの欠失を含む、最終23:D3-3:12/J
H4-6ターゲティングベクター(
図2)を生じた。表2は、23:D
H3-3:12/J
H6ターゲティングベクターの正確な構築を決定するために使用したgRNA、プライマーおよびプローブの配列を提供する。
【表2】
【0273】
23:D3-3:12/J
H4-6ターゲティングベクターをまたNotIで直線にし、ヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域に対してヘテロ接合性であり(すなわち、げっ歯類重鎖エンハンサーおよび制御領域を含むげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域に作動可能に結合した複数のヒトV
H、D
H、およびJ
Hセグメントを含有し、一つ位以上のマウスAdam6遺伝子(例えば、米国特許第8,642,835号および第8,697,940号、各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)をコードする挿入したヌクレオチド配列を含有する、第1の重鎖対立遺伝子(1460het);および複数のヒトV
HおよびD
Hセグメント、J
H領域欠失ならびにげっ歯類重鎖エンハンサーおよび制御領域を含むげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域を含有し、一つ以上のマウスAdam6遺伝子(例えば、米国特許第8,642,835号および第8,697,940号、各々、その全体が参照により本明細書に組込まれる)をコードする挿入したヌクレオチド配列を含有する、第2の重鎖対立遺伝子(6394het))、内在性免疫グロブリン重鎖Cκ領域(1293)に作動可能に結合したヒト免疫グロブリン軽鎖VκおよびJκ遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含むヒト化内在性κ遺伝子座についてホモ接合性(HO)であるゲノムを有するマウス胚性幹細胞にエレクトロポレーションした(
図5を参照)。6797対立遺伝子を、エレクトロポレーションおよび1460対立遺伝子の、ネオマイシンカセットを含む23:D3-3:12/J
H4-6ターゲティングベクターとの適切な相同組み換えにより生成する。(
図5)。6394および6797対立遺伝子に対してヘテロ接合性のこれらの操作したマウスES細胞を用いて、陽性ESクローン(下記参照)の効率的なスクリーニングおよび続く薬物耐性カセットのcre介在性除去を促進し、以後、6394および6797対立遺伝子の欠失を、それぞれ6643および6798と称する(
図6)。
【0274】
C.12:D
H2-2:23|12:D
H2-8:23|12:D
H2-15:23/J
H1-6ターゲティングベクター(
図2)
簡潔に述べると、第3のターゲティングベクターを、各々、12merの5’RSSおよび23merの3’RSSを有する、三つのD
H2ファミリー遺伝子セグメント(D
H2-2、D
H2-8およびD
H2-15)を含む複数のD
Hヒトセグメントを含有するDNAフラグメントを使用して構築した。最初に、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスのキメラIgH遺伝子座と配列が同一のBAC(例えば、J
H遺伝子セグメントを欠き、内在性マウス免疫グロブリン重鎖定常領域配列に作動可能に結合したヒト化可変領域を含む6394対立遺伝子、および内在性マウス免疫グロブリン重鎖定常領域配列に作動可能に結合したヒト化可変領域を含む1460対立遺伝子に対してヘテロ接合性である、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスの例示的な非限定的な内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座を示す、
図3および4を参照)。具体的には、BACは、最も近位のヒトV
H遺伝子(V
H6-1)から始まり、大腸菌およびマウスES細胞における選択のため第1のヒトD
Hセグメント(D
H1-1)の512bp上流の、loxP部位特異的組み換え認識部位が隣接したloxp-UbC-Em7-Neo-loxpカセット、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子に挿入するための細菌相同組み換え(BHR)を使用して修飾した、全27種のヒトD
H遺伝子、全6種のヒトJ
H遺伝子、マウスIgHイントロンエンハンサー(Eμ)、マウスIgMスイッチ領域(Sμ)、およびマウスIgM遺伝子の最初の4つのエクソンを含む、1460対立遺伝子と同一であった。この得られたBACを、続いて、インビトロCas9/GAを使用して三つのドナーで修飾した。
1. 5’から3’に、D
H2-2の5’末端の12 RSSの1419bp上流から始まる50bpの相同ボックス、複数のクローニング部位(MreI-NsiI-EcoRI-KpnI-MreI)、ヒトV
H1-69(CACAGTGTGA AAACCCACAT CCTGAGAGTG ACACAAACC;T->A、G->C;配列番号151)からもたらされた推定3’末端の23merのRSSにより置換した3’末端の12merのRSSを有する修飾したD2-2遺伝子、およびD2-2の3’末端の23merのRSSの863bpの下流で終わる50bp相同ボックスを含有した、D
H2-2の修飾のための第1のドナー。D
H2-2の修飾のためのこの第1のドナーのヌクレオチド配列を、配列番号70として記載する。D
H領域は、約10kbの四つの直接リピートからなるため、スクリーニング用の固有のプライマーおよびプローブの設計は、非常に困難である。この問題を克服するために、二つの固有な40bpの配列が挿入した;一つは、5’相同ボックスの74bp下流であり、もう一つは、3’相同ボックスの40bp上流であった。これらの固有の40merを、PCR/配列決定プライマーおよびTaqmanプローブの結合部位として使用し、
図2の塗りつぶしていない長方形「1」および「2」で示し、それぞれ、配列番号73および配列番号74として記載したヌクレオチド配列を含む。
2. 5’から3’に、D
H2-8の5’末端の12 RSSの552bp上流から始まる50bpの相同ボックス、複数のクローニング部位(MreI-NsiI-EcoRI-KpnI-MreI)、ヒトVH1-69(CACAGTGTGA AAACCCACAT CCTGAGAGTG ACACAAACC;T->A、G->C;配列番号151)からもたらされた推定3’末端の23merのRSSにより置換した3’末端の12merのRSSを有する修飾したD2-8遺伝子、およびD2-8の3’末端の23merのRSSの867bpの下流で終わる50bp相同ボックスを含有した、D
H2-8の修飾のための第2のドナー。D
H2-8の修飾のためのこの第2のドナーのヌクレオチド配列を、配列番号71として記載する。D
H領域は、約10kbの四つの直接リピートからなるため、スクリーニング用の固有のプライマーおよびプローブの設計は、非常に困難である。この問題を克服するために、二つの固有な40bpの配列が挿入した;一つは、5’相同ボックスの74bp下流であり、もう一つは、3’相同ボックスの40bp上流であった。これらの固有の40merを、PCR/配列決定プライマーおよびTaqmanプローブの結合部位として使用し、
図2の塗りつぶしていない長方形「10」および「16」で示し、それぞれ、配列番号75および配列番号76として記載したヌクレオチド配列を含む。
3. 5’から3’に、D
H2-15の5’末端の12 RSSの391bp上流から始まる50bpの相同ボックス、複数のクローニング部位(MreI-NsiI-EcoRI-KpnI-MreI)、ヒトV
H1-69(CACAGTGTGA AAACCCACAT CCTGAGAGTG ACACAAACC;T->A、G->C;配列番号151)からもたらされた推定3’末端の23merのRSSにより置換した3’末端の12merのRSSを有する修飾したD2-15遺伝子、およびD2-15の3’末端の23merのRSSの867bpの下流で終わる50bp相同ボックスを含有した、D
H2-15の修飾のための第3のドナー。D
H2-2の修飾のためのこの第3のドナーのヌクレオチド配列を、配列番号72として記載する。D
H領域は、約10kbの四つの直接リピートからなるため、スクリーニング用の固有のプライマーおよびプローブの設計は、非常に困難である。この問題を克服するために、二つの固有な40bpの配列が挿入した;一つは、5’相同ボックスの74bp下流であり、もう一つは、3’相同ボックスの40bp上流であった。これらの固有の40merを、PCR/配列決定プライマーおよびTaqmanプローブの結合部位として使用し、
図2の塗りつぶしていない長方形「8」および「18」で示し、それぞれ、配列番号77および配列番号78として記載したヌクレオチド配列を含む。
3種のドナーでのインビトロCas9/GA修飾後、最終ターゲティングベクターは、5’から3’に、ヒト可変領域DNA、ネオマイシン選択カセット、各々、5’で12merのRSSが、3’で23merのRSSが隣接した、三つのヒトDHセグメント操作したヒトD
H領域、六つのヒトJ
Hセグメントを含有する、49kbの5’相同アーム、およびマウス重鎖イントロンエンハンサー(Ei)およびマウスIgM定常領域遺伝子を含有する24kbの3’相同アームを含有していた。(
図2)。表3は、12:D
H2-2:23|12:D
H2-8:23|12:D
H2-15:23/J
H1-6ターゲティングベクターの正確な構築を決定するために使用したgRNA、プライマーおよびプローブの配列を提供する。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表10-1】
【表10-2】
【0275】
12:D
H2-2:23:|12:D
H2-8:23|12:D
H2-15:23x3/J
H1-6ターゲティングベクターをまた、NotIで直線にし、機能的ヒトV
H遺伝子セグメントの完全なレパートリー、D
H7-27を除くD
H領域の欠失、および機能的ヒトJ
H遺伝子セグメント(6011)の完全なレパートリーを含有するヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域に対してホモ接合性であり、内在性マウス免疫グロブリン重鎖Cκ領域(1293)に作動可能に結合した、ヒト免疫グロブリン軽鎖VκおよびJκ遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含むヒト化内在性κ遺伝子座に対してホモ接合性(HO)である、ゲノムを有するマウス胚性幹細胞にエレクトロポレーションした(
図7を参照)。20187対立遺伝子を、エレクトロポレーションおよび6011対立遺伝子の、ネオマイシンカセットを含む12:D
H2-2:23|12:D
H2-8:23|12:D
H2-15:23/J
H1-6ターゲティングベクターとの適切な相同組み換えにより生成する。(
図7)。これらの操作したマウスES細胞を用いて、陽性ESクローン(下記参照)の効率的なスクリーニングおよび続くネオマイシン薬物耐性カセットのcre介在性除去を促進し、以後、20187対立遺伝子の除去を、20188とする(
図8)。
【0276】
実施例2.ES細胞スクリーニング
本実施例は、ゲノムが、操作した重鎖多様性(DH)領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む非ヒト動物(例えば、げっ歯類)の作製を示し、操作したDH領域は、各々、23merのRSSに作動可能に結合した一つ以上のDHセグメントを含む。
【0277】
実施例1に記載され、BAC DNAと共に含有されるヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多様性クラスターへのDNAフラグメントの挿入を標的としたターゲティングベクターの適正なアセンブルを、各ターゲティングベクターの構築中の配列決定およびポリメラーゼ連鎖反応に確認した。標的BAC DNAを、ポリメラーゼ鎖反応により確認し、次に、エレクトロポレーションを介して胚性幹(ES)細胞を導入し、続いて選択培地で培養した。各ターゲティングベクターのエレクトロポレーションのため使用したES細胞のゲノムを、それぞれ
図3、5および7に示す。エレクトロポレーションの10日後に薬物耐性コロニーを拾い、操作したD
H遺伝子セグメント(表4;F:フォワードプライマー、P:プローブ、R:リバースプライマー)の正しい統合を検出するプライマー/プローブを使用して、既に記載された(Valenzuelaら、上記;Frendewey,D.ら、2010年、Methods Enzymol.476:295~307、その全体が参照により本明細書に取り込まれる)通り、正しいターゲティングについて、TAQMAN(商標)および核型分析によりスクリーニングした。
【0278】
VELOCIMOUSE(登録商標)方法(DeChiara,T.M.ら、2010年、Methods Enzymol.476:285~294;DeChiara,T.M.、2009年、Methods Mol.Biol.、530:311~324;Poueymirouら、2007年、Nat.Biotechnol.、25:91~99、その全体が参照により本明細書に取り込まれる)を使用し、標的ES細胞を、非圧縮8細胞ステージのSwiss Webster胚に注入して、操作したDH領域に対してヘテロ接合性であり、DH-DH組み換えから生成したCDR3領域を含む重鎖可変領域を含有する抗体を発現する、健康な完全ES細胞由来のF0世代マウスを生み出した。F0世代のヘテロ接合性のオスを、C57Bl6/NTacのメスと交配して、F1ヘテロ接合体を生成し、このF1ヘテロ接合体同士を交雑させて、F2世代のホモ接合体および野生型マウスを生み出した。
【0279】
例えば、ES細胞段階でまたは胚中で、除去されていないターゲティング構築物によって導入された任意のlox付加選択カセットを除去するために、薬物選択カセットを、Cre欠失マウス系統(例えば、国際特許出願公開第2009/114400号を参照、その全体が参照により本明細書に取り込まれる)を交配することにより、リコンビナーゼの続く添加(例えば、Cre処理により)により場合により除去してもよい。場合により、選択カセットをマウス内に保持する。本明細書に記載のターゲティングベクターに操作した選択カセットを、Creリコンビナーゼの一過性発現により陽性ES細胞において除去した(それぞれ、
図4、6および8を参照)。
【表4-1】
【表4-2】
【0280】
実施例3.23:DH3-3:12/JH6,23:DH3-3:12/JH4-6、または12:DH2-2:23|12:DH2-8:23|12:DH2-15:23/JH1-6ターゲティングベクターで修飾したマウスの特徴決定
免疫表現型
【0281】
23:D
H3-3:12/J
H6または23:D
H3-3:12/J
H4-6ターゲティングベクターで修飾した動物の免疫表現型解析を、それぞれの6800または6795修飾した対立遺伝子に対してヘテロ接合性のマウスについて行った(
図4および
図6を参照)。12:D
H2-2:23|12:D
H2-8:2-23|12:D
H2-15:23/J
H1-6ターゲティングベクターを用いて修飾した動物の免疫表現型解析を、20188修飾対立遺伝子に対してホモ接合性で交配したマウスについ行った。B細胞の発生を、これらの動物において、蛍光活性化細胞選別(FACS)により解析した。簡潔に述べると、脾臓および脚骨(大腿骨および脛骨)を、以下から採取した:
VELOCIMMUNE(登録商標)マウス(n=3、26% C57BL/6、23% 129S6/SvEvTac 51% Balb/cAnNTac、例えば、米国特許第8,502,018号および第8,642,835号を参照)、
6643het/6800het/1293hoマウス(23:D
H3-3:12/J
H6ターゲティングベクターで修飾した、25% C57BL/6NTac、25% 129S6/SvEvTac、50% Balb/cAnNTac;
図4を参照;n=3);
6643het/6798het//1293hoマウス(23:D
H3-3:12/J
H4-6ターゲティングベクターで修飾した、25% C57BL/6NTac、25% 129S6/SvEvTac、50% Balb/cAnNTac;
図6を参照;n=3);または
20188ho/1293hoマウス(12:D
H2-2:23|12:D
H2-8:23|12:D
H2.1523/J
H1-6ターゲティングベクターで修飾した、25% C57BL/6NTac、25% 129S6/SvFvTac、50% Balb/cAnNTac;n=3)。
骨髄を遠心分離により大腿骨から収集した。脾臓および骨髄調製物由来の赤血球を、ACK溶解緩衝液(Gibco)で溶解し、続いて2%FBSを含む1×PBSで洗浄した。単離した細胞(1×10
6個)を、選択した抗体カクテルと4℃で30分間インキュベーションした。染色1:ラット抗マウスCD43-FITC(Biolegend 121206、クローン1B11)、ラット抗マウスc-kit-PE(Biolegend 105808、クローン2B8)、ラット抗マウスIgM-PeCy(eBiosciences 25-5790-82、クローンII/41)、ラット抗マウスIgD-PerCP-Cy5.5(Biolegend 405710、クローン11-26c.2a)、ラット抗マウスCD3-PB(Biolegend 100214、クローン17-A2)、ラット抗マウスB220-APC(eBiosciences 17-0452-82、クローンRA3-6B2)、およびラット抗マウスCD19-APC-H7(BD 560143、クローン1D3)。染色2:ラット抗マウスkappa-FITC(BD 550003、クローン187.1)、ラット抗マウスlambda-PE(Biolegend 407308、クローンRML-42)、ラット抗マウスIgM-PeCy(eBiosciences 25-5790-82、クローンII/41)、ラット抗マウスIgD-PerCP-Cy5.5(Biolegend 405710、クローン11-26c.2a)、ラット抗マウスCD3-PB(Biolegend 100214、クローン17-A2)、ラット抗マウスB220-APC(eBiosciences 17-0452-82、クローンRA3-6B2)、およびラット抗マウスCD19-APC-H7(BD 560143、クローン1D3)。染色後に、細胞を洗浄し、2%のホルムアルデヒド中で固定した。データ収集をBD LSRFORTESSA(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)で行い、FLOWJO(商標)ソフトウェア(BD Biosciences)を用いて分析した。
【0282】
6800または6798対立遺伝子に対してヘテロ接合性のマウスでは、脾臓と骨髄の両方で総B細胞数が減少し、対照VELOCIMMUNE(登録商標)マウスと比較したとき、骨髄で観察されたプロB細胞の増加が認められた(データは示していない)。全体として、B細胞は、κおよびλ使用と類似した(データは示していない)。20188対立遺伝子に対してホモ接合性のマウスでは、脾臓においてわずかに高いレベルのλ+B細胞を認めた(データは示していない)。対照のVELOLCIMMUNE(登録商標)マウスと比較して、6800、6798、または20188の対立遺伝子を発現するマウスにおいて、B細胞集団に観察した差は、これらの動物のB細胞の発生に影響を及ぼすと認められなかった(データは示していない)。
【0283】
DH-DH再構成および特徴決定の頻度
【0284】
23:DH3-3:12/JH6ターゲティングベクター、23:DH3-3:12/JH4-6ターゲティングベクター、または12:DH2-2:23|12:DH2-8:23|12:DH2-15:23ターゲティングベクターで修飾した免疫していない未感作マウスにおける遺伝子再構成を、IgMレパートリー配列決定により解析した。脾臓B細胞由来のIgMレパートリーライブラリーを、マウス定常IgMに特異的なプライマーを用いて、SMARTer(商標)RACE(cDNA末端の迅速な増幅)cDNA増幅キット(Clontech)を使用して調製した(表5、「nnnnnn」は、配列決定のための試料の多重化を可能にする6bpのインデックス配列を表す)。次に、調製したレパートリーライブラリーを、MiSeqシーケンサー(Illumina)上で配列決定した。
【0285】
Illumina MiSeq対形成末端配列(2×300サイクル)を、重鎖IgM定常領域プライマーの品質および完全一致に基づき、混合し、 マージし、選別した。再構成した重鎖配列を、生殖系列V、D、おおびJ参照データベース(IMGT)に整列させた。続く解析は、オープンリーディングフレーム内に終止コドンを有さず、インフレームのVDJ結合を有する配列として定義した、生産性再構成のみを含めた。
【表5】
【0286】
23:DH3-3:12/JH6ターゲティングベクターまたは23:DH3-3:12/JH4-6ターゲティングベクターで修飾した免疫していない動物において、DH7-27の発現を検出せず、JHの使用は、予想通り、JH6、またはJH4、JH5、およびJH6に限定した(データを示していない)。JH4との組み換えを、修飾動物と対照動物の両方においてより高い頻度(約50%)で見られた(データは示していない)が、12:DH2-2:23|12:DH2-8:23|12:DH2-15:23ターゲティングベクターで修飾した免疫していない動物において、全てのJH1-6遺伝子セグメントとの組み換えを検出した。全ての修飾動物において、操作したDH遺伝子セグメントで組み換えた、様々なVH遺伝子セグメント(例えば、非限定的に、VH4-39、VH3-23など)、および様々なDH遺伝子セグメント(例えば、非限定的に、DH1-7、DH3-10、およびDH5-12)を使用した。興味深いことに、DH2-2、DH2-8、およびDH2-15遺伝子セグメントの使用は、対照動物(2.57%、3.44%;3.58%;n=3)と比較して、12:DH2-2:23|12:DH2-8:23|12:DH2-15:23ターゲティングベクターで修飾した動物(2.41%;6.34%;6.91%;n=3)において高い傾向を示した。(表6)。
【0287】
結合領域内で同定した最小の二つの連続するDHセグメントを有する機能的配列を、以下の基準を使用して、DH-DH組み換え現象から生じるとしてさらに確認した。23:DH3-3:12/JH6ターゲティングベクターまたは23:DH3-3:12/JH4-6ターゲティングベクターで修飾したマウスから単離した配列において、任意の重複と無関係である、(1)IGHD3-3 DH遺伝子セグメントの生殖系列配列に、最小の9個の連続する塩基対で整列した同一の「連続的」または 3’のDH セグメントおよび(2)生殖系列DH遺伝子セグメントに対して最小の5個の連続する塩基対で整列した、同定したリーディング5’と連続した3’DH遺伝子セグメントの両方の場合、DH-DH組み換え現象を確認した。12:DH2-2:23|12:DH2-8:23|12:DH2-15:23ターゲティングベクターで修飾したマウスから単離した配列において、任意の重複と無関係である、(1)IGHD2-2 DH遺伝子セグメント、IGHD2-8 DH遺伝子セグメント、IGHD2-15 DH遺伝子セグメントの生殖系列配列に、最小の9個の連続する塩基対で整列した同定した「リーディング」または5’のDHセグメント、および(2)生殖系列DH遺伝子セグメントに対して最小の5個の連続する塩基対で整列した、同定したリーディング5’と連続した3’DH遺伝子セグメントの両方の場合、DH-DH組み換え現象を確認した。
【0288】
表6は、絶対量としての機能的Ig読み取り値および総読み取り値の割合としての数値、D
H2-2遺伝子セグメント、D
H2-8遺伝子セグメント、またはD
H2-15遺伝子セグメントからもたらされた全ての機能的読み取り値のパーセンテージ、およびD
H-D
H組み換え現象の結果として確認すべき基準を満たす、D
H2-2遺伝子セグメント、D
H2-8遺伝子セグメント、またはD
H2-15遺伝子セグメントからもたらされる全ての読み取り値のパーセンテージを提供する。
【表6】
【0289】
表6に示した通り、全ての免疫していない修飾動物は、対照動物と比較して、D
H-D
H組み換え事象の増加を示した。例えば、20188対立遺伝子に対してホモ接合性の、操作した2-2、2-8および2-15遺伝子セグメントで修飾した動物において、D
H-D
H組み換え現象は、三つの操作した2-2、2-8、2-15 D
H遺伝子セグメントの一つを含む全ての再構成の1.69%~4.16%であった。対照的に、D
H-D
H組み換えを、対照動物において2-2、2-8、または2-15遺伝子セグメントからもたらされた全ての再構成の0.2%未満で確認した。別の実験では、6800匹のマウスに対してヘテロ接合性のマウス(
図4)における操作したD
H3-3遺伝子セグメントに関与する、確認したD
H-D
H組み換え現象の頻度は、D
H3-3遺伝子セグメントからもたらされた全ての機能的読み取り値の0.6~1.2%の範囲内であった。
【0290】
全ての修飾動物において、再構成したV
H(D
HA-D
HB)J
H再構成は、より長いCDR3長(例えば、非限定的に、約21アミノ酸のCDR3長)をコードし、より多くのシステイン残基を組み込んでいた(例えば、
図9および
図10)。
【0291】
要約すると、操作したDH遺伝子セグメントで修飾したマウスは、操作したDH遺伝子セグメントの利用により、DH-DH組み換え現象の増大した頻度で比較的正常なB細胞表現型を示す。さらに、DH-DH組み換え配列は、長さが長く、より高い確率のシステイン取り込みを有するCDR3をコードした。
【0292】
実施例4.抗体産生
本実施例は、ゲノムが、本明細書に記載の操作したDH領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、げっ歯類における抗体の生成を示す。本実施例に記載される方法、および/または当該技術分野で周知の免疫方法を使用して、本明細書に記載の操作したDH領域を含有するげっ歯類を、必要に応じて、ポリペプチドもしくはそのフラグメント(例えば、所望のエピトープからもたらされたペプチド)、またはポリペプチドもしくはそのフラグメントの組み合わせで免疫化することができる。
【0293】
簡潔に述べると、本明細書に記載の操作したDH領域を含むマウスのコホートを、当該技術分野で公知の免疫方法を用いて対象の抗原で免疫する。抗体免疫反応(すなわち、血清力価)を、ELISA免疫アッセイにより、および/またはMSDにより操作した細胞上でモニターする。望ましい免疫反応が得られた場合、脾臓細胞(および/または他のリンパ組織)を採取し、マウスミエローマ細胞と融合させて、それらの生存能を保持し、不死化ハイブリドーマ細胞株を形成させる。ハイブリドーマ細胞株を(例えば、ELISAアッセイまたはMSDにより)スクリーニングし、選択して、抗原特異的抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を特定する。ハイブリドーマを、所望の相対結合親和性とアイソタイプについてさらに特徴付けてもよい。この技術を使用して、数種の抗原特異的キメラ抗体(すなわち、ヒト可変ドメインおよびげっ歯類定常ドメインを保有する抗体)を得る。
【0294】
重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、完全ヒト抗体の調製のため、望ましいアイソタイプ(定常領域)の重鎖および軽鎖に結合してもよい。かかる抗体を、CHO細胞などの細胞において産生してもよい。次に、完全ヒト抗体を、相対結合親和性および/または対象の抗原の中和活性に関して特徴付ける。
【0295】
抗原特異的キメラ抗体、または軽鎖および重鎖の可変ドメインをコードするDNAを、抗原特異的リンパ球から直接単離してもよい。最初に、ヒト可変領域およびげっ歯類定常領域を有する高親和性キメラ抗体を単離し、親和性、選択性、エピトープなどを含むが、これらに限定されない望ましい特徴について、特徴付け、選択する。げっ歯類(例えば、非限定的に、ラット、マウスなど)定常領域を、所望のヒト定常領域で置換して、完全ヒト抗体を生成する。選択した定常領域は、特定の用途に応じ変動し得る一方、高親和性抗原結合および標的特異性特徴は、可変領域に存在する。例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,582,298号に記載される通り、ミエローマ細胞との融合を行うことなく、抗原特異的抗体をまた、抗原陽性B細胞(免疫化マウス由来)から直接単離する。この方法を使用して、数種の完全ヒト抗原特異的抗体(すなわち、ヒト可変ドメインおよびヒト定常ドメインを有する抗体)を作製する。
【0296】
1回の実験で、対照マウス(例えば、ヒト化免疫グロブリン重質およびκ軽鎖可変領域遺伝子座を有するVELOCIMMUNE(登録商標)マウス(n=4~6;例えば、米国特許第8,697,940号および第8,642,835号を参照;各々が、その全体が参照により本明細書に取り込まれる))および試験マウス(例えば、本明細書に記載の操作した23:DH3-3:12/JH4-6または23:DH3-3:12/JH6領域を含むよう修飾したマウス(n=4~6))を、異なる抗原および/またはそれ(Gタンパク質共役受容体(GPCR)、イオンチャネル、ケモカイン受容体、または病原体)をコードする核酸で免疫した。
【0297】
マウスは、低力価から高い特異的な力価までの範囲の応答で、試験した抗原の各々に対する応答を生じることができた(データは示していない)。本明細書に記載の操作した23:D
H3-3:12/J
H6領域を有するマウスは、ヒト化免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖可変領域遺伝子座を有する対照マウスに匹敵するGPCR発現細胞株に対する力価を示した(
図11;塗りつぶした丸は、GPCRを発現する操作した細胞株を表し、塗りつぶされていない丸は、GPCRを発現しない対照細胞である)。
【0298】
さらに、操作したDH領域を含むマウスにおいて生成したGタンパク質共役受容体(GPCR)に特異的な23個の試験した抗体の100%が、10アミノ酸長以上の重鎖CDR3長を有し、20%が、14アミノ酸長のCDR3を有し、1個の抗体が、18アミノ酸長のCDR3を有した(データは示していない)。対照的に、ヒト化免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖可変領域遺伝子座を有するが、操作したDH領域を有しないマウスで生成したGPCRに特異的な8個の試験した抗体のうち約60%のみが、10アミノ酸長以上のCDR3を有し、14アミノ酸長以上のCDR3を有するものはなかった(データは示していない)。
【0299】
複数の抗ウイルス抗体を、操作した23:DH3-3:12/JH4-6領域を有するマウスから単離し、少なくとも一つが、対照分子のものよりも優れた中和活性を示した(データは示していない)。
【0300】
操作した23:D
H3-3:12/J
H6を有し、イオンチャンネルで免疫したマウス由来の抗体は、V
HD
HJ
HとV
HD
HA-D
HBJ
H再構成(本実施例について記載した厳密な基準により決定)から生じる21アミノ酸長より長いHCDR3を有する抗体の集団を含み、HCDR3の長さがより長いほど、脾臓と比較して骨髄においてより見られた(
図12)。本実施例の厳格な基準(本実施例の厳格な基準を使用したとき、検出した各々のD
H遺伝子セグメントは、生殖系列D遺伝子セグメントに最小40%の同一性を示さなければならず、3’D
H遺伝子セグメントは、D
H3-3遺伝子セグメントから、各々D
H遺伝子セグメントにおいて最大1個のヌクレオチド変異でもたらされなければならない)に従い、V
HD
HA-D
HBJ
H再構成の結果であると決定した配列がコードしたCDR3長の解析を、
図13に示す。以下の表7は、本実施例に記述される厳密な基準、または本実施例における厳密でない基準を使用した骨髄または膵臓におけるV
HD
HA-D
HBJ
H組み換えの頻度の比較を提供する(本実施例の厳密でない基準を用いるとき、検出した各D
H遺伝子セグメントは、生殖系列D遺伝子セグメントと最小で5個のヌクレオチド同一性を示なければならず、3’D
H遺伝子セグメントは、D
H3-3遺伝子セグメントからもたらされなければならない)。
【表7】
【0301】
均等
本発明の少なくとも一つの実施形態のこのような記述されたいくつかの側面を持つ、様々な修正、変更、および改善を当業者であれば容易に思いつくことが当業者には理解されるはずである。このような修正、変更、および改善は本開示の一部であることが意図され、本発明の精神および範囲内であることが意図される。従って、前述の説明および図面は例示のみとしてのものであり、本発明は以下の請求項によって詳細に記述される。
【0302】
当業者であれば、アッセイまたは本明細書に記述されたその他のプロセスで得られた値に起因する一般的な標準偏差または誤差を認識するであろう。本発明の背景を説明し、その実践に関して追加的詳細を提供するために本明細書において言及される出版物、ウェブサイトおよびその他の参考資料は、参照によりその全体で本明細書に組み込まれる。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
23merの組み換えシグナル配列(RSS)に作動可能に結合された少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントを含む、操作された重鎖多様性(D
H
)遺伝子セグメントを含む、ヌクレオチド分子。
(項目2)
ヌクレオチド配列が、(i)23merのRSSに作動可能に結合された前記少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントおよび(ii)一方の端で12merのRSSが、他の端で別の12merのRSSが隣接した、再構成されていないD
H
遺伝子セグメントを含む操作されたD
H
領域を含み、
前記(i)23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントおよび前記(ii)一方の端で12merのRSSが、他の端で別の12merのRSSが隣接した再構成されていないD
H
遺伝子セグメントが、(i)および(ii)が、12/23規則に従ってD
H
-D
H
組み換え事象において結合できるように、作動可能に結合され、
場合により、前記操作されたD
H
領域が、ヒトD
H
遺伝子セグメントのみを含む、項目1に記載のヌクレオチド分子。
(項目3)
前記ヌクレオチド分子が、
(a)前記操作されたD
H
領域の上流であり、作動可能に結合された少なくとも一つの再構成されていない免疫グロブリン重鎖可変(V
H
)遺伝子セグメント、
(b)前記操作されたD
H
領域の下流であり、作動可能に結合された少なくとも一つの再構成されていない免疫グロブリン重鎖結合(J
H
)遺伝子セグメント、または
(c)(a)と(b)との組み合わせをさらに含む、項目2に記載のヌクレオチド分子。
(項目4)
前記少なくとも一つのV
H
遺伝子セグメントが、再構成されていないヒトV
H
6-1遺伝子セグメントを含み、前記少なくとも一つのJ
H
遺伝子セグメントが、再構成されていないヒトJ
H
6遺伝子セグメント、またはそれらの組み合わせを含む、項目3に記載のヌクレオチド分子。
(項目5)
前記少なくとも一つの再構成されていないJ
H
遺伝子セグメントが、再構成されていないヒトJ
H
4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJ
H
6遺伝子セグメントを含む、項目3または4に記載のヌクレオチド分子。
(項目6)
前記少なくとも一つの再構成されていないJ
H
遺伝子セグメントが、再構成されていないヒトJ
H
1遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
2遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
3遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJ
H
6遺伝子セグメントを含み、場合により、前記再構成されていないヒトJ
H
1、J
H
2、J
H
3、J
H
4、J
H
5、およびJ
H
6遺伝子セグメントが、生殖系列配置にある、項目3~5のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目7)
少なくとも一つの再構成されていないV
H
遺伝子セグメントが、場合により、生殖系列配置で、前記再構成されていないヒトV
H
3-74と再構成されていないヒトV
H
1-6遺伝子セグメントの間に渡り、それらを含む、機能的な再構成されていないヒトV
H
遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含む、項目3~6のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目8)
一つ以上の機能的げっ歯類Adam6遺伝子をさらに含み、場合により、前記一つ以上の機能的げっ歯類Adam6遺伝子が、ヒトV
H
1-2遺伝子セグメントとヒトV
H
6-1遺伝子セグメントの間に位置し、および/またはヒトAdam6遺伝子を置換する、項目1~7のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目9)
前記23merのRSSが、前記少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントの5’末端に隣接する、項目1~8のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目10)
前記23merのRSSが、前記少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントの3’末端に隣接する、項目1~9のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目11)
23merのRSSに作動可能に結合された、前記少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントが、
(a)23merのRSS作動可能に結合されたヒトD
H
3-3遺伝子セグメント、場合により、前記23merのRSSが、前記D
H
3-3遺伝子セグメントの5’末端に隣接する、
(b)23merのRSSに作動可能に結合されたヒトD
H
2-2遺伝子セグメント、場合により、前記23merのRSSが、前記D
H
2-2遺伝子セグメントの3’末端に隣接する、
(c)23merのRSSに作動可能に結合されたヒトD
H
2-8遺伝子セグメント、場合により、前記23merのRSSが、前記D
H
2-8遺伝子セグメントの3’末端に隣接する、
(d)23merのRSSに作動可能に結合されたヒト2-15遺伝子セグメント、場合により、前記23merのRSSが、前記D
H
2-15遺伝子セグメントの3’末端に隣接する、または
(e)(a)~(d)の任意の組み合わせを含む、項目1~10のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目12)
配列番号52として記載される配列を含むヌクレオチド配列を含む、項目1~11のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目13)
配列番号61として記載される配列を含むヌクレオチド配列を含む、項目1~11のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目14)
配列番号70として記載されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列を含む、項目1~13のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目15)
配列番号71として記載されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列を含む、項目1~14のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目16)
配列番号72として記載されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列を含む、項目1~15のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目17)
作動可能な結合で5’から3’に;
(a)一つ以上の再構成されていないヒトV
H
遺伝子セグメント;
(b)5’から3’に
(i)一つ以上の再構成されていないヒトD
H
遺伝子セグメント、前記一つ以上のヒトD
H
遺伝子セグメントの各々が、その5’および3’末端で12merのRSSが隣接する、および
(ii)その5’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトD
H
3-3遺伝子セグメントを含む23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントを含む、操作されたD
H
領域;および
(c)一つ以上の再構成されていないヒトJ
H
遺伝子セグメント、を含む、ヌクレオチド分子。
(項目18)
作動可能な結合で5’から3’に;
(a)一つ以上の再構成されていないヒトV
H
遺伝子セグメント;
(b)操作されたD
H
領域、前記操作されたD
H
領域が、5’から3’に
(i)その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのヒトD
H
2遺伝子セグメントを含む、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメント、場合により、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合された前記少なくとも一つのヒトD
H
2遺伝子セグメントは、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトD
H
2-2遺伝子セグメント、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトD
H
2-8遺伝子セグメント、その3’末端で23merのRSSに作動可能に結合されたヒトD
H
2-15遺伝子セグメント、またはその任意の組み合わせを含む、および
(ii)一つ以上のヒトD
H
遺伝子セグメント、前記一つ以上のヒトD
H
遺伝子セグメントの各々が、その5’および3’末端で12merのRSSが隣接している、を含む;および
(c)一つ以上の再構成されていないヒトJ
H
遺伝子セグメント、を含む、ヌクレオチド分子。
(項目19)
前記一つ以上の再構成されていないヒトV
H
遺伝子セグメントが、5’から3’に、再構成されていないヒトV
H
1-2遺伝子セグメントおよび再構成されていないヒトV
H
6-1遺伝子セグメントを含み、前記ヌクレオチドは、前記再構成されていないヒトV
H
1-2遺伝子セグメントと前記再構成されていないヒトV
H
6-1遺伝子セグメントの間に一つ以上の機能的げっ歯類Adam6遺伝子をさらに含み、前記再構成されていないヒトV
H
1-2遺伝子セグメント、前記一つ以上のげっ歯類Adam6遺伝子、および再構成されていないヒトV
H
6-1遺伝子セグメントが、連続している、項目17または18に記載のヌクレオチド分子。
(項目20)
前記一つ以上の再構成されていないヒトV
H
遺伝子セグメントが、場合により、生殖系列配置で、再構成されていないヒトV
H
3-74遺伝子セグメントと再構成されていないヒトV
H
1-6遺伝子セグメントの間に渡り、されらを含む、機能的な再構成されていないヒトV
H
遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含む、項目17~19のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目21)
前記一つ以上の再構成されていないヒトJ
H
遺伝子セグメントが、再構成されていないヒトJ
H
6遺伝子セグメントを含む、項目17~20のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目22)
前記一つ以上の再構成されていないヒトJ
H
遺伝子セグメントが、再構成されていないヒトJ
H
4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJ
H
6遺伝子セグメントを含む、項目21に記載のヌクレオチド分子。
(項目23)
前記一つ以上の再構成されていないヒトJ
H
遺伝子セグメントが、再構成されていないヒトJ
H
1遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
2遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
3遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJ
H
6遺伝子セグメントを含み、場合により、前記再構成されていないヒトJ
H
1、J
H
2、J
H
3、J
H
4、J
H
5、およびJ
H
6遺伝子セグメントが、生殖系列配置にある、項目22に記載のヌクレオチド分子。
(項目24)
その3’末端に、重鎖免疫グロブリン定常領域(C
H
)またはその一部をさらに含む、項目1~23のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目25)
前記C
H
が、げっ歯類C
H
領域またはその一部である、項目24に記載のヌクレオチド分子。
(項目26)
前記げっ歯類C
H
領域またはその一部が、げっ歯類イントロンエンハンサー領域およびげっ歯類IgM遺伝子を含む、項目25に記載のヌクレオチド分子。
(項目27)
薬物選択カセットをさらに含み、
前記薬物選択カセットが、23merのRSSに作動可能に結合された前記D
H
遺伝子セグメントの上流に位置し、
前記薬物選択カセットが、一つ以上の部位特異的組み換え部位と場合により隣接する、項目1~26のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子。
(項目28)
免疫グロブリン重鎖配列との相同な組み換えを可能にするよう配置された5’および3’相同アームを含み、場合により、前記免疫グロブリン重鎖配列が、内在性げっ歯類免疫グロブリン重鎖遺伝子座に位置し、ヒトもしくはヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域、またはその組み合わせを含む、項目1~27のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子を含む、ターゲティングベクター。
(項目29)
D
H
-D
H
組み換えを操作するために免疫グロブリン重鎖可変領域を修飾する方法であって、
一つ以上の再構成されていないD
H
遺伝子セグメントを含むD
H
領域を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を得る工程、再構成されていないD
H
遺伝子セグメントの各々が、一方の端で12merのRSSが、他の端で別の12merのRSSが隣接する、
23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントをさらに含むように前記D
H
領域を修飾する工程を含む、方法。
(項目30)
前記一つ以上の再構成されていないD
H
遺伝子セグメントが、一つ以上の再構成されていないヒトD
H
遺伝子セグメントを含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記一つ以上の再構成されていないD
H
遺伝子セグメントが、場合により、生殖系列配置で、前記生殖系列ヒトD
H
1-1と前記生殖系列ヒトD
H
7-27遺伝子セグメントの間に渡り、それらを含む、全ての機能的生殖系列ヒトD
H
遺伝子セグメントを含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
修飾工程が、
(a)23merのRSSに作動可能に結合されたD
H
遺伝子セグメントを有する前記一つ以上の再構成されていないD
H
遺伝子セグメントの少なくとも一つ、
(b)23merのRSSを有する再構成されていないD
H
遺伝子セグメントに隣接する前記二つの12merのRSSの少なくとも一つ、または
(c)(a)と(b)の組み合わせ、を置換する工程を含む、項目29~31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、少なくとも一つの再構成されていないJ
H
遺伝子セグメントを含むJ
H
領域をさらに含み、
前記J
H
領域が、前記D
H
領域に作動可能に結合され、
前記一つ以上の再構成されていないD
H
遺伝子セグメントの少なくとも一つを、前記23merのRSSに作動可能に結合され前記D
H
遺伝子セグメントで置換する工程が、前記J
H
領域内に含まれる少なくとも一つの再構成されていないJ
H
遺伝子セグメントで欠失する工程を含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記J
H
領域が、ヒト生殖系列J
H
1遺伝子セグメント、ヒト生殖系列J
H
2遺伝子セグメント、ヒト生殖系列J
H
3遺伝子セグメント、ヒト生殖系列J
H
4遺伝子セグメント、ヒト生殖系列J
H
5遺伝子セグメント、およびヒト生殖系列J
H
6遺伝子セグメントを含むヒト生殖系列J
H
遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含み、場合により、前記ヒト生殖系列J
H
1、J
H
2、J
H
3、J
H
4、J
H
5、およびJ
H
6遺伝子セグメントが、生殖系列配置にあり、
前記J
H
領域内に含まれる少なくとも一つの生殖系列J
H
遺伝子セグメントの欠失が、前記再構成されていないヒトJ
H
1、J
H
2、およびJ
H
3遺伝子セグメントの欠失、場合により、前記J
H
4およびJ
H
5遺伝子セグメントの欠失をさらに含む、項目33に記載の方法。
(項目35)
23merのRSSに作動可能に結合され前記少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントが、
(a)23merのRSS作動可能に結合されたヒトD
H
3-3遺伝子セグメント、場合により、前記23merのRSSが、前記D
H
3-3遺伝子セグメントの5’末端に隣接する、
(b)23merのRSSに作動可能に結合されたヒトD
H
2-2遺伝子セグメント、場合により、前記23merのRSSが、前記D
H
2-2遺伝子セグメントの3’末端に隣接する、
(c)23merのRSSに作動可能に結合されたヒトD
H
2-8遺伝子セグメント、場合により、前記23merのRSSが、前記D
H
2-8遺伝子セグメントの3’末端に隣接する、
(d)23merのRSSに作動可能に結合されたヒト
DH2
-15遺伝子セグメント、場合により、前記23merのRSSが、前記D
H
2-15遺伝子セグメントの3’末端に隣接する、または
(e)(a)~(d)の任意の組み合わせを含む、項目29~34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
置換される前記少なくとも一つの再構成されていないD
H
遺伝子セグメントが、前記D
H
領域の最も3’の再構成されていないD
H
遺伝子セグメントを含む、項目32~35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
置換される前記少なくとも一つの再構成されていないD
H
遺伝子セグメントが、23merのRSSに作動可能に結合された前記少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントに対応するD
H
遺伝子セグメントを含む、項目32~36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
項目1~27のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子、項目28に記載のターゲティングベクター、または項目29~37のいずれか一項に記載の方法に従って修飾された免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、免疫グロブリン重鎖遺伝子座。
(項目39)
項目1~27のいずれか一項に記載の核酸、項目28に記載のターゲティングベクター、項目29~37のいずれか一項に記載の方法に従って修飾された免疫グロブリン重鎖可変領域、または項目38に記載の免疫グロブリン重鎖可変遺伝子座を含み、場合により、げっ歯類生殖系列ゲノムである、げっ歯類ゲノム。
(項目40)
(i)再構成されていない重鎖可変(V
H
)遺伝子セグメント、
(ii)操作された重鎖可変領域多様性(D
H
)領域、前記操作されたD
H
領域が、一つ以上の生殖系列D
H
遺伝子セグメントおよび23mer組み換えシグナル配列(RSS)に作動可能に結合された一つ以上のD
H
遺伝子セグメントを含む、および
(iii)再構成されていない重鎖結合(J
H
)遺伝子セグメント、を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、げっ歯類生殖系列ゲノムであって、
(i)~(iii)が、組み換え時に、前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、免疫グロブリン重鎖可変ドメインをコードする再構成された重鎖可変領域配列を含み、場合により、前記再構成された重鎖可変領域配列が、V
H
(D
H
-D
H
)J
H
組み換え現象後に形成される、げっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目41)
23mer組み換えシグナル配列(RSS)に作動可能に結合された前記一つ以上のD
H
遺伝子セグメントが、3’の23merのRSSに作動可能に結合されたD
H
セグメントを含む、項目40に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目42)
23mer組み換えシグナル配列(RSS)に作動可能に結合された前記一つ以上のD
H
遺伝子セグメントが、5’の23merのRSSに作動可能に結合されたD
H
セグメントを含む、項目40または41に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目43)
前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、ヒトV
H
、D
H
、およびJ
H
遺伝子セグメントのみを含むヒト免疫グロブリン重鎖可変領域である、項目40~42のいずれか一項に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目44)
前記ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域が、免疫グロブリン重鎖定常領域に作動可能に結合されている、項目43に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目45)
前記免疫グロブリン重鎖定常領域が、場合により、内在性げっ歯類免疫グロブリン重鎖遺伝子座の、内在性げっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域である、項目44に記載のげっ歯生殖系列ゲノム。
(項目46)
前記再構成されていないV
H
遺伝子セグメントが、場合により、生殖系列配置の、V
H
3-74~V
H
6-1の間に渡り、それらを含む、機能的生殖系列ヒトV
H
遺伝子セグメントの完全なレパートリーを含む、項目40~45のいずれか一項に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目47)
前記再構成されていない重鎖J
H
遺伝子セグメントが、ヒトJ
H
6遺伝子セグメントを含む、項目40~46のいずれか一項に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目48)
げっ歯類生殖系列ゲノムが、内在性Adam6遺伝子を欠く、項目40~47のいずれか一項に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目49)
一つ以上のげっ歯類Adam6遺伝子をさらに含み、場合により、前記一つ以上のげっ歯類内在性Adam6遺伝子が、内在性げっ歯類Adam6遺伝子を含む、項目40~47のいずれか一項に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目50)
前記一つ以上のげっ歯類Adam6遺伝子が、二つのヒトV
H
遺伝子セグメントの間に挿入される、項目49に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目51)
前記一つ以上のげっ歯類Adam6遺伝子が、ヒトV
H
1-2遺伝子セグメントとヒトV
H
6-1遺伝子セグメントの間に挿入される、項目50に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目52)
前記一つ以上の一つ以上のげっ歯類Adam6遺伝子が、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに挿入される、項目49に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目53)
前記一つ以上の一つ以上のげっ歯類Adam6遺伝子が、ヒトV
H
遺伝子セグメントとヒトD
H
遺伝子セグメントの間に挿入される、項目49に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目54)
末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ遺伝子をさらに含む、項目39~53のいずれか一項に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目55)
前記操作されたD
H
領域に対してホモ接合性であることを特徴とする、項目39~54のいずれか一項に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目56)
前記操作されたD
H
領域に対してヘテロ接合性であることを特徴とする、項目39~54のいずれか一項に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目57)
前記げっ歯類が、ラットまたはマウスである、項目39~56のいずれか一項に記載のげっ歯類生殖系列ゲノム。
(項目58)
項目39~57のいずれか一項に記載のげっ歯類生殖系列ゲノムを含む、げっ歯類またはげっ歯類細胞。
(項目59)
前記げっ歯類またはげっ歯類細胞が、ラット、マウス、ラット細胞、またはマウス細胞である、項目58に記載のげっ歯類またはげっ歯類細胞。
(項目60)
前記げっ歯類細胞が、げっ歯類胚性幹細胞である、項目58または59に記載のげっ歯類またはげっ歯類細胞。
(項目61)
項目60に記載のげっ歯類胚性幹細胞から生成される、げっ歯類またはげっ歯類細胞。
(項目62)
再構成された重鎖V
H
(D
H
A-D
H
B)J
H
コード配列を含む体細胞ゲノムをさらに含み、
場合により、前記再構成された重鎖V
H
(D
H
A-D
H
B)J
H
遺伝子セグメントが、IgM定常領域遺伝子配列に作動可能に結合され、および/またはD
H
AまたはD
H
Bが、23merのRSSに作動可能に結合された前記D
H
遺伝子セグメントまたはその一部からもたらされ、D
H
AまたはD
H
Bの少なくとも9コの塩基対が、23merのRSSに作動可能に結合された前記D
H
遺伝子セグメントの少なくとも9コの塩基対またはその一部およびその各々と同一である、項目58~61のいずれか一項に記載のげっ歯類、げっ歯類胚、またはげっ歯類細胞。
(項目63)
前記げっ歯類における全ての再構成された重鎖VDJコード配列の少なくとも95%が、少なくとも10アミノ酸長のCDR3を有し、場合により、前記げっ歯類における全ての再構成された重鎖VDJ遺伝子配列の少なくとも70%が、少なくとも11アミノ酸長のCDR3を有し、場合により、前記げっ歯類における全ての再構成された重鎖VDJ遺伝子配列の少なくとも15%が、少なくとも14アミノ酸長のCDR3を有する、項目58~62のいずれか一項に記載のげっ歯類。
(項目64)
参照げっ歯類におけるD
H
-D
H
組み換えの頻度と比較して、少なくとも少なくとも3倍増加した頻度のD
H
-D
H
組み換えを示すことを特徴とする、項目58~63のいずれか一項に記載のげっ歯類。
(項目65)
ゲノムが、操作されたD
H
領域を含むげっ歯類を作製する方法であって、項目60に記載の胚性幹細胞からげっ歯類を作製することを含む、方法。
(項目66)
ゲノムが、操作されたD
H
領域を含むげっ歯類を作製する方法であって、
(a)各々、23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のD
H
遺伝子セグメントを含むDNAフラグメントを含む、げっ歯類胚性幹細胞のゲノムを修飾する工程、場合により、前記DNAフラグメントが、項目1~27のいずれか一項に記載のヌクレオチド分子、項目28に記載のターゲティングベクター、項目30~37のいずれか一項に記載の方法に従って修飾された免疫グロブリン重鎖可変領域、または項目38に記載の免疫グロブリン重鎖を含む、
(b)(a)の前記修飾されたげっ歯類胚性幹細胞を使用してげっ歯類を生成する工程、を含む、方法。
(項目67)
ゲノムが、操作されたD
H
領域を含む、げっ歯類を作製する方法であって、
23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのD
H
セグメントを含むように免疫グロブリン重鎖可変領域の再構成されていないD
H
領域を修飾する工程、前記再構成されていないD
H
領域が、一つ以上の生殖系列D
H
遺伝子セグメントをさらに含む、
これにより、前記げっ歯類を作製する工程を含む、方法。
(項目68)
修飾する工程が、前記一つ以上の再構成されていないヒトD
H
遺伝子セグメントを置換する工程、場合により、一つ以上のJ
H
遺伝子セグメントを、23merのRSSに作動可能に結合された前記少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントで置換する工程を含む、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域であり、場合により、前記ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域が、少なくとも一つのV
H
遺伝子セグメントを含む再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖V
H
遺伝子クラスター、一つ以上の再構成されていないヒトD
H
遺伝子セグメントを含む再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖D
H
領域、および一つの再構成されていないヒトJ
H
遺伝子セグメントを含む再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖J
H
遺伝子クラスターを含み、前記再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖D
H
領域が、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントを含むように修飾される、項目67または68記載の方法。
(項目70)
前記修飾する工程が、
(i)機能的ヒトV
H
遺伝子セグメント、場合により、V
H
3-74~V
H
6-1に渡り、それらを含む、全ての前記機能的ヒトV
H
遺伝子セグメントの完全なレパートリー、場合により、全ての前記機能的ヒトV
H
遺伝子セグメントが、生殖系列配置で位置する、
(ii)23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントで置換されるD
H
7-27を除き、再構成されていないヒトD
H
遺伝子セグメントの完全なレパートリー、および
(iii)少なくとも、再構成されていないヒトJ
H
6遺伝子セグメント、および場合により、少なくとも再構成されていないヒトJ
H
4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJ
H
6遺伝子セグメントと、を含む前記免疫グロブリン重鎖可変領域を生じる、項目69に記載の方法。
(項目71)
23merのRSSに作動可能に結合された前記少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントが、5’-23merのRSSに作動可能に結合された D
H
3-3遺伝子セグメントを含む、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記修飾する工程が、
(i)機能的ヒトV
H
遺伝子セグメント、場合により、V
H
3-74~V
H
6-1に渡り、それらを含む、全ての機能的ヒトV
H
遺伝子セグメントの完全なレパートリー、場合により、全ての前記機能的ヒトV
H
遺伝子セグメントが、生殖系列配置で位置する、
(ii)再構成されていないD
H
2-2、D
H
2-8、およびD
H
2-15遺伝子セグメントを除き、再構成されていないヒトD
H
遺伝子セグメントの完全なレパートリー、その各々が、23merのRSSに作動可能に結合された少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントで置換される、および
(iii)再構成されていないヒトJ
H
遺伝子セグメント、場合により、再構成されていないヒトJ
H
1遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
2遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
3遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
4遺伝子セグメント、再構成されていないヒトJ
H
5遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJ
H
6遺伝子セグメントの完全なレパートリー、を含む前記免疫グロブリン重鎖可変領域をもたらす、項目69に記載の方法。
(項目73)
23merのRSSに作動可能に結合された前記少なくとも一つのD
H
遺伝子セグメントが、3’23merのRSSに作動可能に結合されたヒトD
H
2-2遺伝子セグメント、3’23merのRSSに作動可能に結合されたヒトD
H
2-8遺伝子セグメント、または3’23merのRSSに作動可能に結合されたヒトD
H
2-15遺伝子セグメントを含み、場合により、前記再構成されていないD
H
2-2、D
H
2-8、およびD
H
2-15遺伝子セグメントが、それぞれ、3’末端の23merのRSSに作動可能に結合された前記ヒトD
H
2-2遺伝子セグメント、3’末端の23merのRSSに作動可能に結合された前記ヒトD
H
2-8遺伝子セグメント、および3’末端の23merのRSSに作動可能に結合された前記ヒトD
H
2-15遺伝子セグメントで置換される、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記免疫グロブリン重鎖可変領域が、
(a)一つ以上のげっ歯類Adam6遺伝子をさらに含み、場合により、前記一つ以上のげっ歯類Adam6遺伝子が、二つの再構成されていないV
H
遺伝子セグメントの間、場合により、再構成されていないヒトV
H
1-2遺伝子セグメントと再構成されていないヒトV
H
6-1遺伝子セグメントの間に位置する、および/または
(b)免疫グロブリン重鎖定常領域に作動可能に結合され、場合により、前記免疫グロブリン重鎖定常領域が、内在性げっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域、場合により、内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の内在性げっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域である、項目67~73のいずれか一項に記載の方法。
(項目75)
前記げっ歯類が、ラットまたはマウスである、項目65~74のいずれか一項に記載の方法。
(項目76)
抗体を作製するか、またはそれをコードする核酸を得る方法であって、
げっ歯類を抗原で免疫する工程、前記げっ歯類が、各々、23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のD
H
セグメントを含む操作されたD
H
領域を含む生殖系列ゲノムを含み、場合により、前記げっ歯類が、項目58~64のいずれか一項に記載のげっ歯類である、
前記げっ歯類が、前記抗原に結合する抗体、またはそれをコードする核酸を含む前記抗原に対する免疫応答を生じさせる工程を含む、方法。
(項目77)
前記げっ歯類またはげっ歯類細胞から、前記抗体、またはそれをコードする核酸を回収することをさらに含む、項目76に記載の方法。
(項目78)
前記げっ歯類細胞が、B細胞またはハイブリドーマである、項目76に記載の方法。
(項目79)
各々、23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のD
H
セグメントが、5’23merのRSSに作動可能に結合されたD
H
遺伝子セグメントを含む、項目76~78のいずれか一項に記載の方法。
(項目80)
各々、23merのRSSに作動可能に結合された一つ以上のD
H
セグメントが、3’23merのRSSに作動可能に結合されたD
H
遺伝子セグメントを含む、項目76~79のいずれか一項に記載の方法。
(項目81)
前記げっ歯類が、ラットまたはマウスである、項目76~80のいずれか一項に記載の方法。
(項目82)
げっ歯類重鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に結合された再構成重鎖V
H
(D
H
A-D
H
B)J
H
コード配列を含む、げっ歯類ゲノム、核酸または免疫グロブリン遺伝子座であって、場合により、前記再構成重鎖は、D
H
AおよびD
H
Bの各々が、それぞれ、最大1個のヌクレオチド変異で、第1および第2の生殖系列D
H
遺伝子セグメントと40%の同一性を示すため、高度変異される、および/またはV
H
(D
H
A-D
H
B)J
H
コード配列と決定される、げっ歯類ゲノム、核酸または免疫グロブリン遺伝子座。
(項目83)
前記D
H
B遺伝子セグメントが、ヒト生殖系列D
H
3-3遺伝子セグメントからもたらされる、項目82に記載のげっ歯類ゲノム、核酸または免疫グロブリン遺伝子座。
(項目84)
前記D
H
A遺伝子セグメントが、ヒト生殖系列D
H
2-2、D
H
2-8またはD
H
2-15遺伝子セグメントからもたらされる、項目82に記載のげっ歯類ゲノム、核酸または免疫グロブリン遺伝子座。
(項目85)
前記再構成重鎖V
H
(D
H
A-D
H
B)J
H
コード配列が、20を超えるアミノ酸長のCDR3をコードする、項目82~84のいずれか一項に記載のげっ歯類ゲノム、核酸または免疫グロブリン遺伝子座。
(項目86)
前記J
H
遺伝子セグメントが、ヒト生殖系列J
H
6遺伝子セグメントからもたらされる、項目82~85のいずれか一項に記載のげっ歯類ゲノム、核酸または免疫グロブリン遺伝子座。
(項目87)
項目82~86のいずれか一項に記載のゲノム、核酸、または免疫グロブリン遺伝子座を含む、げっ歯類またはげっ歯類細胞。
(項目88)
前記げっ歯類が、ラットもしくはマウスであるか、または前記げっ歯類細胞が、ラット細胞もしくはマウス細胞である、項目87に記載のげっ歯類またはげっ歯類細胞。
(項目89)
前記げっ歯類細胞が、げっ歯類B細胞である、項目87または88に記載のげっ歯類またはげっ歯類細胞。
(項目90)
骨髄腫細胞と融合された、項目89に記載のげっ歯類B細胞を含む、ハイブリドーマ。
【配列表】