(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】拡大縮小能力を有する大腿骨プロテーゼ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/38 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
A61F2/38
(21)【出願番号】P 2021097369
(22)【出願日】2021-06-10
(62)【分割の表示】P 2019562605の分割
【原出願日】2018-05-04
【審査請求日】2021-07-07
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502427840
【氏名又は名称】ジンマー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】バネッサ クロール
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝関節形成術用システムにおいて、
互いに異なるストックサイズを備えた第1の複数の大腿骨プロテーゼを有する第1のファミリであって、前記第1の複数の大腿骨プロテーゼの各々が、第1の軸に沿って延在する第1のステムハウジングと、前記第1のステムハウジングに対して結合された第1の内側顆および第1の外側顆とを有し、前記第1の内側顆および前記第1の外側顆が、前記第1の軸から前記第1の内側顆および前記第1の外側顆の第1の最後部点まで測定した場合の第1の後部顆オフセットであって前記ストックサイズによって異なる第1の後部顆オフセットを有している、第1のファミリと、
互いに異なるストックサイズを備えた第2の複数の大腿骨プロテーゼを有する第2のファミリであって、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼの各々が、第2の軸に沿って延在する第2のステムハウジングと、前記第2のステムハウジングに対して結合された第2の内側顆および第2の外側顆とを有し、前記第2の内側顆および前記第2の外側顆が、前記第2の軸から前記第2の内側顆および前記第2の外側顆の第2の最後部点までの第2の後部顆オフセットであって前記ストックサイズによって異なる第2の後部顆オフセットを有している、第2のファミリと、
を含み、
前記第1の内側顆および前記第1の外側顆のうちの少なくとも1つは、第1の後部骨接触表面と前記第1の最後部点との間の後部部分において第1の厚みを有し、前記第2の内側顆および前記第2の外側顆のうちの少なくとも1つは、
前記第1の内側顆および前記第1の外側顆のうちの少なくとも1つの第1の後部顆オフセットと同寸の第2の後部顆オフセットを有し且つ第2の後部骨接触表面と前記第2の最後部点との間の対応する後部部分において第2の厚みを有し、前記第1の厚みが前記第2の厚みと第1の既定量だけ異なっている、
膝関節形成術用システム。
【請求項2】
第1の後部面取りと関節表面の間で測定した場合の前記第1の内側顆と前記第1の外側顆のうちの少なくとも1つの第3の厚みは、対応する第2の後部面取りと対応する関節表面との間で測定した場合の前記第2の内側顆および前記第2の外側顆のうちの少なくとも1つの第4の厚みと、第2の既定量だけ異なっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前部骨接触表面は、前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの対応する前部骨接触表面
の前記第1の軸に対する配置と比べて第3の既定量だけ、相対的に前記第2の軸の近くに配置されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前記第1の後部顆オフセットと前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前記第2の後部顆オフセットとは、第4の既定量だけ異なっており、
前記第1の既定量及び前記第4の既定量の一方または両方は実質的に3mmを含み、前記第2の既定量は実質的に1mmを含み、前記第3の既定量は実質的に1mmを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の内側顆および前記第1の外側顆は、前記第1の内側顆の最内側縁部から前記第1の外側顆の最外側縁部までの第1の大腿骨内側-外側顆範囲であって前記ストックサイズによって異なる第1の大腿骨内側-外側顆範囲を有し、前記第2の内側顆および前記第2の外側顆は、前記第2の内側顆の最内側縁部から前記第2の外側顆の最外側縁部までの第2の大腿骨内側-外側顆範囲であって前記ストックサイズによって異なる第2の大腿骨内側-外側顆範囲を有し、前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前記第1の大腿骨内側-外側顆範囲と、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前記第2の大腿骨内側-外側顆範囲とは実質的に同じである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前記第1の後部顆オフセットと、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前記第2の後部顆オフセットとは、既定量だけ異なっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記既定量は実質的に3mmを含み、前記第2の内側顆および第2の外側顆は、前記第1の内側顆および前記第1の外側顆の対応する厚みとの関係において矢状面で見た場合に、後部骨接触表面とJカーブの後部部分の間の領域を少なくとも含む後部部分に沿って厚化されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの前記第1の後部顆オフセットは、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの前記第2の後部顆オフセットと実質的に同じである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの前記第1の後部顆オフセットは、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの前記第2の後部顆オフセットと実質的に同じである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼの異なるストックサイズの各々が、前記第1の後部顆オフセットに関して、より小さいサイズと次に大きいサイズとの間で第3の量だけ異なっており、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼの異なるストックサイズの各々が、前記第2の後部顆オフセットに関して、対応するより小さいサイズと対応する次に大きいサイズの間で第4の量だけ異なっており、第3の量は、第4の量と実質的に同じである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
膝関節形成術用システムにおいて、
互いに異なるストックサイズを備えた第1の複数の大腿骨プロテーゼを有する第1のファミリであって、前記第1の複数の大腿骨プロテーゼの各々が、第1の軸に沿って延在する第1のステムハウジングと、前記第1のステムハウジングに対して結合された第1の内側顆および第1の外側顆とを有し、前記第1の内側顆および前記第1の外側顆が、前記第1の軸から前記第1の内側顆および前記第1の外側顆の第1の最後部点まで測定した場合の第1の後部顆オフセットであって前記ストックサイズによって異なる第1の後部顆オフセットを有し、前記第1の内側顆および前記第1の外側顆が、前記第1の内側顆の最内側縁部から前記第1の外側顆の最外側縁部まで測定した場合の第1の大腿骨内側-外側顆範囲であって前記ストックサイズによって異なる第1の大腿骨内側-外側顆範囲を有している、第1のファミリと、
互いに異なるストックサイズを備えた第2の複数の大腿骨プロテーゼを有する第2のファミリであって、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼの各々が、第2の軸に沿って延在する第2のステムハウジングと、前記第2のステムハウジングに対して結合された第2の内側顆および第2の外側顆とを有し、前記第2の内側顆および前記第2の外側顆が、前記第2の軸から前記第2の内側顆および前記第2の外側顆の第2の最後部点まで測定した場合の第2の後部顆オフセットであって前記ストックサイズによって異なる第2の後部顆オフセットを有し、前記第2の内側顆および前記第2の外側顆が、前記第2の内側顆の最内側縁部から前記第2の外側顆の最外側縁部まで測定した場合の第2の大腿骨内側-外側顆範囲であって前記ストックサイズによって異なる第2の大腿骨内側-外側顆範囲を有している、第2のファミリと、
を含み、
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前記第1の後部顆オフセットと、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前記第2の後部顆オフセットとは、実質的に同じであるか、または、既定量だけ異なっており、
前記第1の内側顆および前記第1の外側顆のうちの少なくとも1つは、第1の後部骨接触表面と前記第1の最後部点との間の後部部分において第1の厚みを有し、前記第2の内側顆および前記第2の外側顆のうちの少なくとも1つは、
前記第1の内側顆および前記第1の外側顆のうちの少なくとも1つの第1の後部顆オフセットと同寸の第2の後部顆オフセットを有し且つ第2の後部骨接触表面と前記第2の最後部点との間の対応する後部部分において第2の厚みを有し、前記第1の厚みが前記第2の厚みと第1の既定量だけ異なっている、
膝関節形成術用システム。
【請求項12】
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前記第1の大腿骨内側-外側顆範囲と、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの第2の大腿骨内側-外側顆範囲とは、第2の既定量だけ異なる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
第1の後部面取りと関節表面の間で測定した場合の前記第1の内側顆と前記第1の外側顆のうちの少なくとも1つの第3の厚みは、対応する第2の後部面取りと対応する関節表面との間で測定した場合の前記第2の内側顆および前記第2の外側顆のうちの少なくとも1つの第4の厚みと、第3の既定量だけ異なっている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前部骨接触表面は、前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの対応する前部骨接触表面
の前記第1の軸に対する配置と比べて第4の既定量だけ、相対的に前記第2の軸の近くに配置されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の既定量及び前記第2の既定量の一方あるいは両方は実質的に3mmを含み、前記第3の既定量は実質的に1mmを含み、前記第4の既定量は実質的に1mmを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つおよび前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つは、同じ脛骨担持用構成要素と連接するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの前記第1の後部顆オフセットは、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの前記第2の後部顆オフセットと実質的に同じである、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの前記第1の後部顆オフセットは、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの前記第2の後部顆オフセットと実質的に同じである、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書により優先権の利益が主張され全体が参照により本明細書に組込まれている、2017年5月12日出願の米国仮特許出願第62/505,322号の利益を主張するものである。
【0002】
本出願は、整形外科用プロテーゼ、より詳細には、人工膝関節再置換術を含めた膝関節形成術において使用されるプロテーゼおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科手術およびプロテーゼは、人間の体内の損傷を受けた骨および組織を修復および/または交換するために一般的に利用されている。例えば、膝関節形成術は、大腿骨および/または大腿骨内側-外側顆範囲の損傷を受けたまたは罹患した関節表面を修復することによって、自然の膝機能を回復するために使用され得る。関節を含む骨を露出させるため、膝関節に切開が行なわれる。交換すべき関節表面の除去を誘導するためにカットガイドが使用される。関節表面を複製するために、プロテーゼが使用される。膝プロテーゼは、健康な自然の膝の機能を複製するため、脛骨の近位端部上に移植される脛骨構成要素および脛骨担持用構成要素と連接する大腿骨の遠位端部上に移植される大腿骨プロテーゼを含むことができる。関節の連接する区画の全てがプロテーゼ構成要素で修復される完全膝関節形成術を含めて、さまざまなタイプの関節形成術が公知である。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、概して、人工膝関節再置換術を含めた膝関節形成術のための大腿骨プロテーゼおよびシステムに関する。当該発明人らは、なかでも、大腿骨後部顆オフセットと大腿骨内側-外側顆範囲との組合せに関して融通性の高いサイズ決定選択肢を提供することが望ましいことを認識した。より詳細には、当該発明人らは、2つの大腿骨プロテーゼファミリを用いて複数のサイズ決定選択肢を有することのできる大腿骨プロテーゼシステムを認識した。第2の大腿骨プロテーゼファミリは、第1の大腿骨プロテーゼファミリに比べて大腿骨後部顆オフセットにおける既定の増大を有する。一実施例において、第2の大腿骨プロテーゼファミリは、第1の大腿骨プロテーゼファミリに比べて実質的に同じ大腿骨内側-外側顆範囲を維持しながら、大腿骨後部顆オフセットにおいて既定の増大を有することができる。したがって、例えばサイズ決定基準に応じて、第1のファミリからの、対応してサイズ決定された大腿骨プロテーゼに比べて比較的大きい大腿骨後部顆オフセットを有するものの大腿骨内側-外側顆範囲は同じである第2のファミリからの第1のサイズの大腿骨プロテーゼを選択することができる。同様にして、サイズ決定基準に応じては、指示した場合、システムはサイズ縮小をも可能にする。例えば、望まれるものよりも大きい大腿骨内側-外側顆範囲を有するものの望まれる通りにサイズ決定された大腿骨後部顆オフセットを有する第1のファミリからの第1のサイズの大腿骨プロテーゼを選択することができる。このような状況下で、開示された実施例は、実質的に同じ大腿骨後部顆オフセットを有するものの第1のファミリの第1のサイズの大腿骨プロテーゼのものとは既定量だけ異なる大腿骨内側-外側顆範囲を有する第2のファミリからの、対応してサイズ決定された大腿骨プロテーゼを選択することを可能にする。このようなサイズ決定上の融通性は、患者にとって適切な第1のファミリまたは第2のファミリからの大腿骨プロテーゼを選択することを可能にする(例えば、選択は、一貫性ある論理的拡大または縮小スキームを用いて行なわれる)。
【0005】
第1の大腿骨プロテーゼファミリに関して、1つの実施例によると、第1の大腿骨プロテーゼファミリは、第1の後部顆オフセットレンジおよび対応する大腿骨内側-外側顆範囲レンジを有する。第1のファミリの大腿骨内側-外側顆範囲のレンジは、例えば約59mm(サイズ1の大腿骨プロテーゼ)と約80mm(サイズ13の大腿骨プロテーゼ)の間であり得る。同様にして、後部顆オフセットのレンジは、例えば約33mm(サイズ1の大腿骨プロテーゼ)と約52mm(サイズ13の大腿骨プロテーゼ)の間であり得る。いくつかの実施例によると、大腿骨内側-外側顆範囲は、(例えばサイズ1からサイズ3までまたはサイズ7からサイズ9までの)大腿骨サイズの各々の増大について、大腿骨内側-外側顆範囲の対応する公知の増大が存在するような形で、サイズ1からサイズ13の大腿骨プロテーゼまでのサイズ増大において、実質的に線形的に増分され得る。後部顆オフセットも同様に、プロテーゼサイズが上下に移動するときに公知の増大が存在するような形で、実質的に線形的に増分され得る。
【0006】
当該発明人らはさらに、プロテーゼシステムが、第2の大腿骨プロテーゼファミリを、第1の大腿骨プロテーゼファミリからの、対応してサイズ決定された大腿骨プロテーゼと同じ脛骨担持用構成要素と適合性あるものにさせることができる、ということを認識した。いくつかの実施例によると、第2の大腿骨プロテーゼファミリは、後部顆オフセットおよび対応する大腿骨内側-外側顆範囲の第2のレンジを有することができる。第1のファミリの大腿骨内側-外側顆範囲のレンジは、例えば約59mm(サイズ1+の大腿骨プロテーゼ)と約77mm(サイズ11+の大腿骨プロテーゼ)の間であり得る。同様にして、後部顆オフセットのレンジは、例えば、約37mm(サイズ1+の大腿骨プロテーゼ)と約52mm(サイズ11+の大腿骨プロテーゼ)の間であり得る。いくつかの実施例によると、大腿骨内側-外側顆範囲は、大腿骨サイズの各々の増大について大腿骨内側-外側顆範囲の対応する増大が存在するような形で、サイズ1+の大腿骨プロテーゼからサイズ11+の大腿骨プロテーゼまでのサイズ増大において実質的に線形的に増分され得る。後部顆オフセットも同様に、プロテーゼサイズが上下に移動するときに公知の増大が存在するような形で、実質的に線形的に増分され得る。
【0007】
上述の通り、第1の大腿骨プロテーゼファミリについてのサイズ増大および第2の大腿骨プロテーゼファミリについてのサイズ増大は、いくつかの実施例によると、実質的に同じになるように関係付けされ得る(
図4A~4C参照)。しかしながら、第1のファミリと第2のファミリの間の後部顆オフセットは、第2のファミリからの大腿骨プロテーゼがつねに後部顆オフセットにおいて公知の量(例えば3mm)だけ大きいという点においてオフセットされている可能性がある。
【0008】
本明細書中で開示されている器具およびシステムをさらに例示するために、以下の非限定な実施例が提供される:
【0009】
実施例1は、互いに異なるストックサイズを備えた第1の複数の大腿骨プロテーゼを有する第1のファミリであって、第1の複数の大腿骨プロテーゼの各々が、第1の軸に沿って延在する第1のステムハウジングと、第1のステムハウジングに対して結合された第1の内側顆および第1の外側顆とを有し、第1の内側顆および第1の外側顆が、第1の軸から第1の内側顆および第1の外側顆の第1の最後部点まで測定した場合の第1の後部顆オフセットを有しており、第1の内側顆および第1の外側顆が、第1の内側顆の最内側縁部から第1の外側顆の最外側縁部までの第1の大腿骨内側-外側顆範囲を有している、第1のファミリと、互いに異なるストックサイズを備えた第2の複数の大腿骨プロテーゼを有する第2のファミリであって、第2の複数の大腿骨プロテーゼの各々が、第2の軸に沿って延在する第2のステムハウジングと、第2のステムハウジングに対して結合された第2の内側顆および第2の外側顆とを有し、第2の内側顆および第2の外側顆が、第2の軸から第2の内側顆および第2の外側顆の第2の最後部点までの第2の後部顆オフセットを有しており、第2の内側顆および第2の外側顆が、第2の内側顆の最内側縁部から第2の外側顆の最外側縁部までの第2の大腿骨内側-外側顆範囲を有している、第2のファミリと、を任意に含むことができ、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの第1の大腿骨内側-外側顆範囲および第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの第2の大腿骨内側-外側顆範囲が実質的に同じである、膝関節形成術用システムである。
【0010】
実施例2において、実施例1に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つおよび第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つが、同じ脛骨担持用構成要素と連接する(articulate)ように構成されていることを含み得る。
【0011】
実施例3において、実施例1~2のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの第1の後部顆オフセットおよび第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの第2の後部顆オフセットが、既定量だけ異なっていること含み得る。
【0012】
実施例4において、実施例1~3のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、既定量が実質的に3mmを含み、第2の内側顆および第2の外側顆は、第1の内側顆および第1の外側顆の対応する厚みとの関係において矢状面で見た場合に、後部骨接触表面とJカーブの後部部分の間の領域を少なくとも含む後部部分に沿って厚化(thicken)されていることを含み得る。
【0013】
実施例5において、実施例1~4のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの第1の後部顆オフセットが、第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの第2の後部顆オフセットと実質的に同じであることを含み得る。
【0014】
実施例6において、実施例1~5のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの第1の後部顆オフセットが、第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの第2の後部顆オフセットと実質的に同じであることを含み得る。
【0015】
実施例7において、実施例1~6のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの第1の大腿骨内側-外側顆範囲が、第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの第2の大腿骨内側-外側顆範囲と実質的に同じであることを含み得る。
【0016】
実施例8において、実施例1~7のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの第1の大腿骨内側-外側顆範囲が、第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの第2の大腿骨内側-外側顆範囲と実質的に同じであることを含み得る。
【0017】
実施例9において、実施例1~8のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼの異なるストックサイズの各々が、第1の大腿骨内側-外側顆範囲に関して、より小さいサイズと次に大きいサイズとの間で第1の量だけ異なっており、第2の複数の大腿骨プロテーゼの異なるストックサイズの各々が、第2の大腿骨内側-外側顆範囲に関して、対応するより小さいサイズと対応する次に大きいサイズの間で第2の量だけ異なっており、第1の量は、第2の量と実質的に同じであることを含み得る。
【0018】
実施例10において、実施例1~9のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼの異なるストックサイズの各々が、第1の後部顆オフセットに関して、より小さいサイズと次に大きいサイズとの間で第3の量だけ異なっており、第2の複数の大腿骨プロテーゼの異なるストックサイズの各々が、第2の後部顆オフセットに関して、対応するより小さいサイズと対応する次に大きいサイズの間で第4の量だけ異なっており、第3の量は、第4の量と実質的に同じであることを含み得る。
【0019】
実施例11は、互いに異なるストックサイズを備えた第1の複数の大腿骨プロテーゼを有する第1のファミリであって、第1の複数の大腿骨プロテーゼの各々が、第1の軸に沿って延在する第1のステムハウジングと、第1のステムハウジングに対して結合された第1の内側顆および第1の外側顆とを有し、第1の内側顆および第1の外側顆が、第1の軸から第1の内側顆および第1の外側顆の第1の最後部点まで測定した場合の第1の後部顆オフセットを有しており、第1の内側顆および第1の外側顆が、第1の内側顆の最内側縁部から第1の外側顆の最外側縁部まで測定した場合の第1の大腿骨内側-外側顆範囲を有している、第1のファミリと、互いに異なるストックサイズを備えた第2の複数の大腿骨プロテーゼを有する第2のファミリであって、第2の複数の大腿骨プロテーゼの各々が、第2の軸に沿って延在する第2のステムハウジングと、第2のステムハウジングに対して結合された第2の内側顆および第2の外側顆とを有し、第2の内側顆および第2の外側顆が、第2の軸から第2の内側顆および第2の外側顆の第2の最後部点まで測定した場合の第2の後部顆オフセットを有しており、第2の内側顆および第2の外側顆が、第2の内側顆の最内側縁部から第2の外側顆の最外側縁部まで測定した場合の第2の大腿骨内側-外側顆範囲を有している、第2のファミリと、を任意に含むことができ、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの第1の後部顆オフセットおよび第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの第2の後部顆オフセットが実質的に同じであり、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの第1の大腿骨内側-外側顆範囲および第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの第2の大腿骨内側-外側顆範囲が、第1の既定量だけ異なっている、膝関節形成術用システムである。
【0020】
実施例12において、実施例11に記載の主題は、任意には、第1の後部骨接触表面と第1の最後部点との間の後部部分において第1の厚みを有し、第2の内側顆および第2の外側顆のうちの少なくとも1つが、第2の後部骨接触表面と第2の最後部点との間の対応する後部部分において第2の厚みを有し、第1の厚みが第2の厚みと第2の既定量だけ異なっていることを含み得る。
【0021】
実施例13において、実施例12に記載の主題は、任意には、第1の後部面取りと関節表面の間で測定した場合の第1の内側顆と第1の外側顆のうちの少なくとも1つの第3の厚みが、対応する第2の後部面取りと対応する関節表面との間で測定した場合の第2の内側顆および第2の外側顆のうちの少なくとも1つの第4の厚みと、第3の既定量だけ異なっていることを含み得る。
【0022】
実施例14において、実施例13に記載の主題は、任意には、第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前部骨接触表面が、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの対応する前部骨接触表面に比べて第4の既定量だけ、相対的に第2の軸の近くに配置されていることを含み得る。
【0023】
実施例15において、実施例14に記載の主題は、任意には、第1の既定量および第2の既定量のうちの一方または両方が、実質的に3mmを含み、第3の既定量が実質的に1mmを含み、第4の既定量が実質的に1mmを含むことを含み得る。
【0024】
実施例16において、実施例11~15のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つおよび第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つが、同じ脛骨担持用構成要素と連接するように構成されていることを含み得る。
【0025】
実施例17において、実施例11~16のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの第1の後部顆オフセットが、第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの第2の後部顆オフセットと実質的に同じであることを含み得る。
【0026】
実施例18において、実施例11~17のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの第1の後部顆オフセットが、第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの第2の後部顆オフセットと実質的に同じであることを含み得る。
【0027】
実施例19において、実施例11~18のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの第1の大腿骨内側-外側顆範囲が、第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの第2の大腿骨内側-外側顆範囲と実質的に同じであることを含み得る。
【0028】
実施例20において、実施例11~19のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの第1の大腿骨内側-外側顆範囲が、第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの第2の大腿骨内側-外側顆範囲と実質的に同じであることを含み得る。
【0029】
実施例21において、実施例11~20のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼの異なるストックサイズの各々が、第1の大腿骨内側-外側顆範囲に関して、より小さいサイズと次に大きいサイズとの間で第1の量だけ異なっており、第2の複数の大腿骨プロテーゼの異なるストックサイズの各々が、第2の大腿骨内側-外側顆範囲に関して、対応するより小さいサイズと対応する次に大きいサイズの間で第2の量だけ異なっており、第1の量は、第2の量と実質的に同じであることを含み得る。
【0030】
実施例22において、実施例11~21のいずれか1つ以上に記載の主題は、任意には、第1の複数の大腿骨プロテーゼの異なるストックサイズの各々が、第1の後部顆オフセットに関して、より小さいサイズと次に大きいサイズとの間で第3の量だけ異なっており、第2の複数の大腿骨プロテーゼの異なるストックサイズの各々が、第2の後部顆オフセットに関して、対応するより小さいサイズと対応する次に大きいサイズの間で第4の量だけ異なっており、第3の量は、第4の量と実質的に同じであることを含み得る。
【0031】
実施例23において、実施例1~22のいずれか1つ以上に記載のシステムは、任意には、列挙された全ての要素または選択肢が使用または選択のために利用可能であるような形で構成され得る。
【0032】
当該装置およびシステムのこれらのおよび他の実施例および特徴は、一部が以下の詳細な説明において明記されるものとする。この概要は、本特許出願の主題の要約を提供するために意図されている。これは、本発明の排他的または網羅的排除を提供するように意図されたものではない。詳細な説明は、本特許出願についてのさらなる情報を提供するために意図されている。
【0033】
必ずしも一定の縮尺で描かれていない図面中、類似の番号は異なる図において類似の構成要素を記述することができる。異なる文字接尾辞を有する類似の番号は、類似の構成要素の異なる事例を表わすことができる。図面は概して、限定するものとしてではなく一例として、本明細書中で論述されているさまざまな実施例を例示している。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本出願の一実施例に係る大腿骨プロテーゼ、脛骨担持用構成要素および脛骨ベースプレートを含むプロテーゼアセンブリの斜視図を示す。
【
図2】本出願の一実施例に係る
図1の大腿骨プロテーゼの斜視図を示す。
【
図2A】本出願の一実施例に係る内側顆と外側顆の間の顆間空間を通って延在する矢状面内での
図2の断面図を示す。
【
図3】第1のファミリからの第1のサイズの第1の大腿骨プロテーゼおよび第2のファミリからの第2の大腿骨プロテーゼを含み、第2の大腿骨プロテーゼが第1の大腿骨プロテーゼと比べて対応するサイズのものであるものの後部部分内に追加の厚みを有している、本出願の一実施例に係るシステムを示す。
【
図3A】第1のファミリからの第1のサイズの第1の大腿骨プロテーゼおよび第2のファミリからの第2の大腿骨プロテーゼを含み、第2の大腿骨プロテーゼが第1の大腿骨プロテーゼと比べて対応するサイズのものであるものの後部部分内に追加の厚みを有している、本出願の一実施例に係るシステムを示す。
【
図4】本出願の実施例に係る、大腿骨内側-外側顆範囲および後部顆オフセットを示す第1のファミリまたは第2のファミリのいずれかの大腿骨プロテーゼを示す。
【
図4A】本出願の実施例に係る、大腿骨内側-外側顆範囲および後部顆オフセットを示す第1のファミリまたは第2のファミリのいずれかの大腿骨プロテーゼを示す。
【
図5A】本出願の一実施形態に係る、大腿骨内側-外側顆範囲および後部顆オフセットによって測定された第1のファミリおよび第2のファミリのサイズ差をプロットする、第1のファミリおよび第2のファミリからの大腿骨プロテーゼシステムのグラフである。
【
図5B】本出願の一実施形態に係る、第1のファミリからの第1のサイズの大腿骨プロテーゼを第2のファミリの大腿骨プロテーゼと取り換えることによって、医師が大腿骨内側-外側顆範囲を維持しながら後部顆オフセットを増大させることができるようにする拡大技術を示す、
図5Aのグラフである。
【
図5C】本出願の一実施形態に係る、第1のファミリからの第1のサイズの大腿骨プロテーゼを第2のファミリの大腿骨プロテーゼと取り換えることによって、医師が大腿骨内側-外側顆範囲を削減するものの後部顆オフセットを維持することができるようにする縮小技術を示す、
図5Aのグラフである。
【
図6】本出願の一実施形態に係る、大腿骨プロテーゼおよび脛骨ベースプレートのファミリとの関係における脛骨担持用構成要素のファミリについてのサイズ決定チャートを示す。
【
図7】本出願の一実施形態に係る、第1のファミリの1つの大腿骨プロテーゼと第2のファミリの1つの大腿骨プロテーゼとを含む実質的に同じ後部顆オフセットを有する2つの並置されたプロテーゼに関する、
図5Cの縮小例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本出願は、大腿骨プロテーゼおよびシステムに関する。システムは、例えば、互いに異なるストックサイズを備えた第1の複数の大腿骨プロテーゼを有する第1のファミリを含むことができる。システムはさらに、互いに異なるストックサイズを備えた第2の複数の大腿骨プロテーゼを有する第2のファミリを含むことができる。第1の複数の大腿骨プロテーゼの各々は、第1の軸に沿って延在する第1のステムハウジングと;第1のステムハウジングに対して結合された第1の内側顆および第1の外側顆とを有することができる。第1の内側顆および第1の外側顆は、第1の軸から第1の内側顆および第1の外側顆の第1の最後部点まで測定した場合の第1の後部顆オフセットを有することができる。第1の内側顆および第1の外側顆は、第1の内側顆の最内側縁部から第1の外側顆の最外側縁部まで測定した場合の第1の大腿骨内側-外側顆範囲を有することができる。同様にして、第2のステムハウジングは、第2の軸に沿って延在することができ、第2の内側顆および第2の外側顆は、第2のステムハウジングに対して結合され得る。第2の内側顆および第2の外側顆は、第2の軸から第2の内側顆および第2の外側顆の第2の最後部点まで測定した場合の第2の後部顆オフセットを有することができる。第2の内側顆および第2の外側顆は、前記第2の内側顆の最内側縁部から前記第2の外側顆の最外側縁部まで測定した場合の第2の大腿骨内側-外側顆範囲を有することができる。第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの第1の大腿骨内側-外側顆範囲および第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの第2の大腿骨内側-外側顆範囲は、いくつかの実施例によると、実質的に同じであり得る。
【0036】
本出願は、膝関節形成術においておよび/または後日の膝修正手術の一部として使用可能であるプロテーゼおよびシステムに関する。本明細書中に記載されている通り、システムまたはアセンブリなる用語は、脛骨プロテーゼおよび大腿骨プロテーゼの両方を含み得る。本出願は、ステムハウジング、内側顆および外側顆を含み得る大腿骨プロテーゼの態様に焦点を当てている。前述した通り、大腿骨プロテーゼは、サイズ決定を単純化し、同じ脛骨担持用構成要素と適合性を有し得るさまざまな大腿骨選択肢を提供するために使用されるシステムの一部であり得る。本明細書中で提供されているさまざまな実施例のさらなる特徴および利益は、以下で論述されかつ/または当業者にとっては明白なものである。
【0037】
本明細書中で使用される、「近位」および「遠位」なる用語には、一般的に理解されているそれらの解部学的解釈を付与されるべきである。「近位」なる用語は、概して患者の胴体に向かう方向を意味し、「遠位」なる用語は、近位の方向とは反対の方向、すなわち患者の胴体から離れる方向を意味する。「近位」および「遠位」なる用語の使用は、本明細書中に記載の器具が概して膝が曲がった状態で使用されるにもかかわらず、あたかも患者が膝を伸ばした状態で立っていたかのように解釈されなければならないということを理解すべきである。意図は、「前部」および「後部」なる用語と「近位」および「遠位」なる用語を区別することにある。本明細書中で使用される「前部」および「後部」なる用語には、一般的に理解されているそれらの解剖学的解釈を付与されるべきである。したがって、「後部」は、患者の背後、例えば膝の裏面を意味する。同様にして、「前部」は、患者の前面、例えば膝の前面を意味する。したがって、「後部」は「前部」の反対側の方向を意味する。同様にして、「外側」は、「内側」とは反対の方向を意味する。
【0038】
図1は、本明細書中に記載のシステム12の一部として使用され得るプロテーゼアセンブリ10を例示する。アセンブリ10およびシステム12は、大腿骨プロテーゼ14および脛骨プロテーゼ15を含み得る。
図1の実施例では、プロテーゼアセンブリ10は、大腿骨プロテーゼ14が脛骨プロテーゼ15との関係において15~135°の屈曲で連接された状態で、斜視図で示されている。
図2A、3および3Aは、矢状面に沿った断面図で、大腿骨プロテーゼ14(時として他の参照番号で標示されている)のさまざまな実施例を示している。矢状面は、例示された大腿骨プロテーゼの前部-後部方向および近位-遠位方向に沿って延在する。
【0039】
本明細書中で提供されている実施例によると、プロテーゼアセンブリ10およびシステム12は、後部安定化(PS)プロテーゼを利用することができる。したがって、脛骨プロテーゼ15は、スパイン16を含むことができ、大腿骨プロテーゼ14はカム18を含むことができる(
図2および2A)。スパイン16およびカム18は、互いに協働して後十字靭帯(PCL)の代りに脛骨プロテーゼ15との関係において大腿骨プロテーゼ14を安定化するように設計され得る。しかしながら、例えば中間レベル拘束(MLC)型設計、十字保存(CR)型設計、顆制約(CC)型設計、超適合(UC)型設計などを含めた他のプロテーゼ設計も企図される。CR脛骨プロテーゼは、概して、PCLを保存する外科手技において使用される。CRおよびUC型設計は、スパイン16およびカム18を省く。いずれの場合でも、大腿骨プロテーゼ14は、内側および外側顆20および22の間に顆間空間23を画定する(
図1および2に図示)。CR型またはUC型の場合、この顆間空間は、
図1、2および2Aにあるように、カム18によって中断されず、完全に開放した状態にあり得る。
【0040】
図1に例示された構成要素を見てみると、脛骨プロテーゼ15は、脛骨担持用構成要素26および脛骨ベースプレート24を含み得る。脛骨担持用構成要素26は、スパイン16(
図2および2A)、近位内側関節表面32および近位外側関節表面34を含み得る。脛骨ベースプレート24は、キール36を含み得る。いくつかの実施例においては、プロテーゼアセンブリ10と共にステム38などの追加の構成要素を使用することができる。
【0041】
図1に示されているように、大腿骨プロテーゼ14は、脛骨プロテーゼ15の上に配置され得、かつ脛骨プロテーゼ15との関係において連接し得る。このような連接は、それぞれ内側および外側大腿骨顆20および22の間、および近位内側関節表面32と近位外側関節表面34の間であり得る。近位内側関節表面32および近位外側関節表面34は、膝関節屈曲中のこのような連接を容易にするように整形(例えば湾曲)され得る。脛骨担持用構成要素26のスパイン16(
図2および2A)は、近位内側関節表面32と近位外側関節表面34の間で中央に位置設定され得る。スパイン16は、屈曲中カム18と係合するように構成され得る。このような係合は、PCLなどの靭帯によって別の形で提供されると考えられる追加の安定性を提供する。
【0042】
脛骨担持用構成要素26を
図1に示されている通り、脛骨ベースプレートにしっかり固定することができる。このような固定は、さまざまな実施例にしたがってレール、ノッチ、ボス、インサート、および/または締結具により容易に行なうことができる。
【0043】
図2および2Aは、大腿骨プロテーゼ14を示す。
図2は後部-内側位置からの大腿骨プロテーゼ14を示す。
図2Aは、矢状面に沿った断面において大腿骨プロテーゼ14を示しており、この断面は顆間空間23に沿って延在しカム18を2等分している。
【0044】
図2および2Aは、例示された実施例にしたがって多数の半径を有することのできるカム18を示す。内側および外側顆20および22に加えて(
図2Aには内側顆20のみが示されている)、大腿骨プロテーゼ14は、後部骨接合表面40(
図2Aでは部分的に破線で示されている)、後部骨接合面取り表面42(
図2Aに破線で示されている)、遠位骨接合表面44(
図2Aに破線で示されている)、前部骨接合面取り表面46(
図2Aには図示せず)、前部骨接合表面48(
図2Aには図示せず)およびステムハウジング50を含むことができる。内側および外側顆20および22は、それぞれ、内側および外側関節表面52Aおよび52Bを含むことができる。矢状面で見た場合、(
図2Aの場合のように)関節表面52Aおよび52BはJ-カーブ(
図2Aに1つのみが示されている)を形成することができる。
【0045】
カム18は、顆間空間23の後部端部に位置付けされ得、内側顆20と外側顆22の間で延在し得る。
図2に示されているように、後部骨接合表面40、後部骨接合面取り表面42、遠位骨接合表面44、前部骨接合面取り表面46および前部骨接合表面48の一部分は、内側および外側顆20および22によって形成され得る。内側および外側関節表面52Aおよび52Bは、後部骨接合表面40、後部骨接合面取り表面42、遠位骨接合表面44、前部骨接合面取り表面46および前部骨接合表面48とは反対側に(内側および外側顆20および22の厚みにより離隔された状態で)配置され得る。内側顆20および外側顆22は内側-外側および前部-後部の両方に可変的厚みを有することができる。
【0046】
後部骨接合表面40、後部骨接合面取り表面42、遠位骨接合表面44、前部骨接合面取り表面46および前部骨接合表面48は、大腿骨プロテーゼ14の移植時点で大腿骨(図示せず)の切除部分と当接するように構成されている。ステムハウジング50は、概して内側顆20と外側顆22の間に位置付けされ得、それに結合され得る。ステムハウジング50は、顆間空間23の前部に位置付けされ得る。ステムハウジング50は概して近位で延在でき、
図2Aに示されているように、第1の軸Aを中心にして対称であり得る。いくつかの実施例において、ステムハウジング50は、内側顆20と外側顆22の間の相互連結からの広がり内において近位でかつ内側-外側両方となるように、内側-外側で斜めになっている可能性がある。
【0047】
図3および3Aは、システム100にしたがって使用され得る大腿骨プロテーゼ114、214の実施例を示す。大腿骨プロテーゼ114、214は、先に説明した例示的大腿骨プロテーゼ14のものと類似の形で構成され得る。大腿骨プロテーゼ114は、第1の大腿骨プロテーゼファミリ102からのものであり得、大腿骨プロテーゼ114はこのファミリの1つの明確な既定のサイズの典型である。同様にして、大腿骨プロテーゼ214は、第2の大腿骨プロテーゼファミリ202からのものであり得、大腿骨プロテーゼ214はこのファミリの1つの明確な既定のサイズの典型である。大腿骨プロテーゼ114は、いくつかの実施例によると、大腿骨プロテーゼ214との関係においてサイズが類似している可能性がある。このような類似性は、大腿骨プロテーゼ114の内側-外側顆範囲(後で示される)が大腿骨プロテーゼ214の内側-外側顆範囲と実質的に同じであり得るということである。したがって、いくつかの実施例によると、大腿骨プロテーゼ114、214は、さらに後述する通り、同じ脛骨プロテーゼ(すなわち同じ担持用構成要素)と連接するよう適合性を有することができる。内側-外側顆範囲は、
図4~5Cを参照しながら例示され、内側顆の最内側縁部から外側顆の最外側縁部までの距離を含むことができる。
【0048】
しかしながら、
図3および3Aに示されているように、大腿骨プロテーゼ114は、大腿骨プロテーゼ214が少なくとも後部骨接合表面240と関節表面206との間で大腿骨プロテーゼ114とは異なる厚み204を有するという点において、大腿骨プロテーゼ214とはサイズが異なっている可能性がある。したがって、後部骨接合表面140と関節表面106の間の厚み104は、
図3および3Aの実施例に示されているように、厚み204とは異なっている。したがって、大腿骨プロテーゼ214について、第2の内側顆220および第2の外側顆(
図3および3Aでは、内側顆220のみが示されている)は、大腿骨プロテーゼ114の第1の内側顆および第1の外側顆の対応する厚みに比べて矢状面で見た場合に少なくとも後部骨接触表面240とJ-カーブ209の後部部分との間の領域を含む後部部分207に沿って厚化される。
【0049】
厚み104と厚み204の間の差に起因して、大腿骨プロテーゼ114は、大腿骨プロテーゼ214の後部顆オフセット208とは異なる後部顆オフセット108を有することができる。いくつかの実施例によると、後部顆オフセット108は、後部顆オフセット208と既定量(例えば1、2、3、4または5mm)だけ異なる可能性がある。実際、
図3および3Aに例示された実施形態において、この既定量は、後部顆オフセット208と後部顆オフセット108の間の実質的に3mmの差を含むことができる。
【0050】
図4および4Aは、
図5A~5Cに関連して後述する第1の大腿骨プロテーゼファミリ302または第2の大腿骨プロテーゼファミリ304のいずれかのうちの1つを含み得る大腿骨プロテーゼ314を示す。
図4~4Aに示されているように、大腿骨プロテーゼ314は、内側-外側顆範囲306および後部顆オフセット308を含み得る。
【0051】
内側-外側顆範囲306は、内側顆320の最内側縁部310から外側顆322の最外側縁部312までであり得る。後部顆オフセット308は、ステムハウジング314の軸Aから、内側顆320および外側顆322のうちの少なくとも1つの最後部点Pまで延在し得る。
【0052】
図5A~5Cは、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302と第2の大腿骨プロテーゼファミリ304で構成されたシステム300を提供している。第1の大腿骨プロテーゼファミリ302および第2の大腿骨プロテーゼファミリ304の各々は、
図5A~5Cのプロット内に示されている複数の明確なサイズを含む。
図5A~5Cの実施例において、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302は、サイズ1、3、5、7、9、11および13として、7つの明確なサイズを有することができる。第2の大腿骨プロテーゼファミリ304は、1+、3+、5+、7+、9+および11+として標示される6つの明確なサイズを有することができる。
【0053】
図5Aの実施例によると、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302(第1の大腿骨プロテーゼファミリ302は互いに異なる明確なサイズのものである)のうちの少なくとも4つの後部顆オフセットは、第2の大腿骨プロテーゼファミリ304(第2の大腿骨プロテーゼファミリ304は互いに異なる明確なサイズのものである)のうちの少なくとも4つの後部顆オフセットと実質的に同じであり得る。いくつかの実施例によると、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302のうちの少なくとも6つの後部顆オフセットは、第2の大腿骨プロテーゼファミリ304のうちの少なくとも6つの後部顆オフセットと実質的に同じであり得る(例えば、サイズ3および1+は実質的に同じ後部顆オフセットを有することができ、サイズ5および3+は実質的に同じ後部顆オフセットを有することができ、サイズ7および5+は実質的に同じ後部顆オフセットを有することができ、サイズ9および7+は実質的に同じ後部顆オフセットを有することができ、サイズ11および9+は実質的に同じ後部顆オフセットを有することができ、サイズ13および11+は実質的に同じ後部顆オフセットを共有することができる)。
【0054】
同様にして、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302(第1の大腿骨プロテーゼファミリ302は互いに異なる明確なサイズのものである)のうちの少なくとも4つの大腿骨内側-外側顆範囲は、第2の大腿骨プロテーゼファミリ304(第2の大腿骨プロテーゼファミリ304は互いに異なる明確なサイズのものである)のうちの少なくとも4つの大腿骨内側-外側顆範囲と実質的に同じであり得る。いくつかの実施例によると、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302のうちの少なくとも6つの大腿骨内側-外側顆範囲は、第2の大腿骨プロテーゼファミリ304のうちの少なくとも6つの大腿骨内側-外側顆範囲と実質的に同じであり得る(例えば、サイズ1および1+は実質的に同じ大腿骨内側-外側顆範囲を有することができ、サイズ3および3+は実質的に同じ大腿骨内側-外側顆範囲を有することができ、サイズ5および5+は実質的に同じ大腿骨内側-外側顆範囲を有することができ、サイズ7および7+は実質的に同じ大腿骨内側-外側顆範囲を有することができ、サイズ9および9+は実質的に同じ大腿骨内側-外側顆範囲を有することができ、サイズ11および11+は実質的に同じ大腿骨内側-外側顆範囲を共有することができる)。
【0055】
図5Aおよび5Bに示されているように、複数の大腿骨プロテーゼの第1のファミリ302の異なるストックサイズは、より小さいサイズと次に大きいサイズの間および異なるストックサイズの各々の間で第1の量(例えば数mm、例えば3mm)だけ大腿骨内側-外側顆範囲に関して異なる可能性がある。同様にして、第2の大腿骨プロテーゼファミリ304は、対応するより小さいサイズと対応する次に大きいサイズの間で第2の量(例えば数mm、例えば3mm)だけ、大腿骨内側-外側顆範囲に関して異なる可能性がある。いくつかの事例において、第1の量は第2の量と実質的に同じであり得る。
【0056】
図5Bは、システム300が、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302を、屈曲フィルについて第2の大腿骨プロテーゼファミリ304と適合性あるものにさせることができるということを示している。詳細には、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302のうちの最大6つが第2の大腿骨プロテーゼファミリ304の対応するサイズと適合性を有することができ、こうして、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302からの特定のプロテーゼサイズを第2の大腿骨プロテーゼファミリ304の対応するサイズと取り換えることによって(例えばサイズ1をサイズ1+と取り換えることができる、等々)、後部顆オフセットを変更することができるようになっている。
図5Bの実施例によると、後部顆オフセットは、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302からの特定のプロテーゼサイズを第2の大腿骨プロテーゼファミリ304の対応するサイズと取り換えた場合に、既定量(例えば3mm)だけ変更可能である。さらに、
図5Bの実施例によると、後部顆オフセットは変更可能である一方で、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302の第1のサイズと第2の大腿骨プロテーゼファミリ304の対応するサイズの間の大腿骨内側-外側顆範囲は実質的に同じにとどまることができる。
【0057】
図5Cは、屈曲フィルを維持できる一方で大腿骨内側-外側顆範囲における縮小のためにシステム300を使用することができるということを示している。詳細には、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302のうちの最大6つが第2の大腿骨プロテーゼファミリ304の他のサイズと適合性を有することができ、こうして、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302からの特定のプロテーゼサイズを第2の大腿骨プロテーゼファミリ304の第2のサイズと取り換えることによって(例えばサイズ3をサイズ1+と取り換えることができる、等々)、大腿骨内側-外側顆範囲を変更することができるようになっている。
図5Cの実施例によると、大腿骨内側-外側顆範囲は変更可能である一方で、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302の第1のサイズと第2の大腿骨プロテーゼファミリ304の第2のサイズの間の後部顆オフセットは実質的に同じにとどまることができる。
【0058】
図6は、第1および第2の大腿骨プロテーゼファミリ302、304との関係における脛骨ベースプレートファミリ350についてのサイズ決定チャートを示す。
図6に示されているように、第1の大腿骨プロテーゼファミリ302のうちの少なくとも1つと第2の大腿骨プロテーゼファミリ304のうちの少なくとも1つは、同じ脛骨担持用構成要素と連接するように構成され得る。より詳細には、このサイズ決定チャートは、第1および第2の大腿骨プロテーゼファミリ302、304が少なくとも13の異なるストックサイズ1~13(+サイズも含む)を有することができることを示している。先に論述され例示されているように、第1および第2のファミリの各々の大腿骨プロテーゼは、同じ設計クラスのものであり得るが、異なる大腿骨内側-外側顆範囲および/または後部顆オフセットを有する明確なサイズを含むことができる。
【0059】
脛骨ベースプレートファミリ350は、少なくとも9つの異なるストックサイズA~Jを有することができる。
図6に示されているように、脛骨担持用構成要素ファミリ352は、11のストックサイズが存在するように、かつ脛骨ベースプレートファミリの少なくとも9つの異なるストックサイズの組合せが、第1および第2の大腿骨プロテーゼファミリ302、304の少なくとも13の異なるストックサイズと、手術での使用のため(例えば自然の膝のものと類似する所望される連接を容易にするため)の適合性を有するような形で、構成され得る。
【0060】
図6は同様に、脛骨担持用構成要素352の異なるストックサイズのうちの少なくとも6つが、脛骨構成要素350のうちの少なくとも2つとも適合性を有しながら、大腿骨プロテーゼの13のストックサイズのうちの少なくとも4つと適合性を有するように構成されている、ということをも例示する。
【0061】
さらなる実施例によると、第1および第2の大腿骨プロテーゼファミリ302、304の少なくとも13の異なるストックサイズのうちの11が、脛骨担持用構成要素ファミリ352の少なくとも11の異なるストックサイズのうちの9つと、手術での使用のための適合性を有し得る。さらなる実施例によると、第1および第2の大腿骨プロテーゼファミリ302、304の少なくとも13の異なるストックサイズのうちの12が、脛骨担持用ベースプレート350の少なくとも11の異なるストックサイズのうちの少なくとも2つと手術での使用のための適合性を有し得る。
【0062】
この重複するサイズ決定および多くの異なる適合性あるサイズの提供には、大腿骨プロテーゼの内側顆の安定性の増大の提供を含めたメリットがある。さらに、重複するサイズ決定は、
図5A~5Cに関して前述した通り大腿骨内側-外側顆範囲における縮小および屈曲フィルを可能にする。
【0063】
図7は、
図5Cを参照して前述した通り、屈曲フィル(実質的に同じ後部顆オフセット)を維持できる一方で、大腿骨内側-外側顆範囲を縮小する具体的例を提供する。
図7は、矢状面内で第2の大腿骨プロテーゼファミリ304の第2のサイズ(例えばサイズ7+)の第2のプロテーゼ404の幾何形状の上に重ね合わされた矢状面内の第1の大腿骨プロテーゼファミリ302の第1のサイズ(例えばサイズ9)の第1のプロテーゼ402の幾何形状を示す。
【0064】
図7は、第1のプロテーゼ402が、第1の内側顆または第1の外側顆(集合的に406)のうちの1つを含み得ることを示す。同様にして、第2のプロテーゼ404は、第2の内側顆または第2の外側顆(集合的に408)の1つを含むことができる。
【0065】
図7に示されているように、第1の内側顆および第1の外側顆406のうちの少なくとも1つが、第1の後部骨接触表面412と第1の最後部点P1の間の後部部分410において、第1の厚みT1を有することができる。同様にして、第2の内側顆および第2の外側顆408のうちの少なくとも1つが、第2の後部骨接触表面416と第2の最後部点P2(点P1およびP2は同じ後部の場所に配置され得る)の間の対応する後部部分414において、第2の厚みT2を有することができる。
図7に示されているように、いくつかの実施例によると、第1の厚みT1は、第2の厚みT2と既定量(例えば、
図7に示されているようにX)だけ異なっている可能性がある。
【0066】
図7の実施例によると、第1のプロテーゼ402の第1の後部面取り418と関節表面420の間で測定した第1の内側顆および第1の外側顆406のうちの少なくとも1つの第3の厚みは、第2のプロテーゼ404の対応する第2の後部面取り422と対応する関節表面424との間で測定した第2の内側顆および第2の外側顆408のうちの少なくとも1つの第4の厚みと、既定量Yだけ異なっている。
【0067】
一部の実施例において、第2のプロテーゼ404(前述の第2の複数の大腿骨プロテーゼ304のうちの1つ)の前部骨接触表面426は、第1のプロテーゼ402(第1の複数の大腿骨プロテーゼ302のうちの1つ)の対応する前部骨接触表面428に比べて別の既定量Zだけステムハウジング軸Aに比較的近いところに配置され得る。
【0068】
前述の通り、大腿骨内側-外側顆範囲の縮小は、既定量(例えば数mm)だけであり得る。同様にして、既定量Xは、実質的には3mm(または別の所望される量)であり得、既定量Yは実質的に1mm(または別の所望される量)を含むことができ、既定量Zは、実質的に1mm(または別の所望される量)を含む。
【0069】
第1の内側顆および第1の外側顆406のうちの少なくとも1つおよび第2の内側顆および第2の外側顆408のうちの少なくとも1つが、それぞれ第1および第2の最後部点P1およびP2からそれぞれステムハウジング434から遠位の点までその後部遠位部分432に沿って類似の矢状Jカーブ430を有することができる。
【0070】
補注
以上の詳細な説明は、詳細な説明の一部を成す添付図面に対する参照指示を含んでいる。図面は、実例として、本発明を実践し得る具体的な実施形態を示す。これらの実施形態は同様に、本明細書中で「実施例」とも呼ばれている。このような実施例は、図示され説明されたものに追加した要素を含み得る。しかしながら、当該発明人らは、図示または説明されている要素のみが具備されている実施例も同様に企図する。その上、当該発明人らは、同様に、本明細書中に図示または説明されている特定の実施例(またはその1つ以上の態様)に関するかまたは他の実施例(またはその1つ以上の態様)に関する、図示または説明された要素(またはその1つ以上の態様)の任意の組合せまたは置換を用いた実施例も企図している。
【0071】
本書において、「a」または「an」なる用語は、特許文書において一般的であるように、「at least one(少なくとも1つ)」または「one or more(1つ以上)」の他のいずれの事例または使用からも独立した形で、1つまたは2つ以上を含むように使用される。本書では、「or(または)」なる文言は、非排他的orを意味するために、または別段の標示の無いかぎり、「AまたはB」が「BではなくA」、「AではなくB」および「AおよびB」を含むような形で使用される。本書では、「in cluding(~を含む)」および「in which(そこにおいて)」なる用語は、「comprising(~を含む)」および「wherein(ここで)」なるそれぞれの用語のプレイン・イングリッシュ等価物として使用される。同様に、以下のクレーム中、「including(~を含む)」および「comprising(~を含む)」なる用語は、オープンエンドである、すなわち、クレーム中でこのような用語の後に列挙されたものに加えた要素を含むシステム、装置、物品、組成物、調合物またはプロセスは、なおもこのクレームの範囲内に入るものとみなされる。その上、以下のクレームにおいて、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、単なる標識として使用されており、その目的語に数値的要件を課するように意図されていない。
【0072】
以上の説明は、限定的なものではなく例示的なものとして意図されている。例えば、上述の実施例(またはその1つ以上の態様)は、互いに組合せて使用可能である。以上の説明を精査した上で当業者などによって、他の実施例も使用され得る。要約書は、読者が技術的開示の内容を迅速に確定できるように、37C、F、R、§1.72(b)を順守するために提供されている。これは、クレームの範囲または意味を解釈または限定するためにこの要約書を使用しないという了解の下で提出される。同様に、以上の詳細な説明においては、開示を簡素化する目的でさまざまな特徴をまとめている可能性がある。これは、開示された未請求の特徴がいずれかのクレームにとって不可欠であることを意図しているものとして解釈されるべきではない。むしろ、発明力ある主題は、特定の開示された実施例の全特徴より少ない特徴の中に存在し得る。したがって、こうして以下のクレームは、実施例または実施形態として詳細な説明の中に組込まれ、各クレームは別個のクレームとして独自で成立しており、このような実施例をさまざまな組合せまたは置換の形で互いに組合わせることができるということが企図される。本発明の範囲は、添付のクレームを、このようなクレームが資格を持つ等価物の全範囲と併せて参照した上で、決定されるべきものである。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む。
〔態様1〕
膝関節形成術用システムにおいて、
互いに異なるストックサイズを備えた第1の複数の大腿骨プロテーゼを有する第1のファミリであって、前記第1の複数の大腿骨プロテーゼの各々が、第1の軸に沿って延在する第1のステムハウジングと、前記第1のステムハウジングに対して結合された第1の内側顆および第1の外側顆とを有し、前記第1の内側顆および前記第1の外側顆が、前記第1の軸から前記第1の内側顆および前記第1の外側顆の第1の最後部点まで測定した場合の第1の後部顆オフセットを有しており、前記第1の内側顆および前記第1の外側顆が、前記第1の内側顆の最内側縁部から前記第1の外側顆の最外側縁部までの第1の大腿骨内側-外側顆範囲を有している、第1のファミリと、
互いに異なるストックサイズを備えた第2の複数の大腿骨プロテーゼを有する第2のファミリであって、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼの各々が、第2の軸に沿って延在する第2のステムハウジングと、前記第2のステムハウジングに対して結合された第2の内側顆および第2の外側顆とを有し、前記第2の内側顆および前記第2の外側顆が、前記第2の軸から前記第2の内側顆および前記第2の外側顆の第2の最後部点までの第2の後部顆オフセットを有しており、前記第2の内側顆および前記第2の外側顆が、前記第2の内側顆の最内側縁部から前記第2の外側顆の最外側縁部までの第2の大腿骨内側-外側顆範囲を有している、第2のファミリと、
を含み、
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前記第1の大腿骨内側-外側顆範囲および前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前記第2の大腿骨内側-外側顆範囲が実質的に同じである、
膝関節形成術用システム。
〔態様2〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの前記少なくとも1つおよび前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの前記少なくとも1つが、同じ脛骨担持用構成要素と連接するように構成されている、態様1に記載のシステム。
〔態様3〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの前記少なくとも1つの前記第1の後部顆オフセットおよび前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの前記少なくとも1つの前記第2の後部顆オフセットが、既定量だけ異なっている、態様1から2のいずれか1項またはいずれかの組合せに記載のシステム。
〔態様4〕
前記既定量が実質的に3mmを含み、前記第2の内側顆および第2の外側顆は、前記第1の内側顆および前記第1の外側顆の対応する厚みとの関係において矢状面で見た場合に、後部骨接触表面とJカーブの後部部分の間の領域を少なくとも含む後部部分に沿って厚化されている、態様1に記載のシステム。
〔態様5〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの前記第1の後部顆オフセットが、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの前記第2の後部顆オフセットと実質的に同じである、態様1から4のいずれか1項またはいずれかの組合せに記載のシステム。
〔態様6〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの前記第1の後部顆オフセットが、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの前記第2の後部顆オフセットと実質的に同じである、態様1から4のいずれか1項またはいずれかの組合せに記載のシステム。
〔態様7〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの前記第1の大腿骨内側-外側顆範囲が、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの前記第2の大腿骨内側-外側顆範囲と実質的に同じである、態様1から6のいずれか1項またはいずれかの組合せに記載のシステム。
〔態様8〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの前記第1の大腿骨内側-外側顆範囲が、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの前記第2の大腿骨内側-外側顆範囲と実質的に同じである、態様1から6のいずれか1項またはいずれかの組合せに記載のシステム。
〔態様9〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼの前記異なるストックサイズの各々が、前記第1の大腿骨内側-外側顆範囲に関して、より小さいサイズと次に大きいサイズとの間で第1の量だけ異なっており、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼの前記異なるストックサイズの各々が、前記第2の大腿骨内側-外側顆範囲に関して、対応するより小さいサイズと対応する次に大きいサイズの間で第2の量だけ異なっており、前記第1の量は、前記第2の量と実質的に同じである、態様1から8のいずれか1項またはいずれかの組合せに記載のシステム。
〔態様10〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼの前記異なるストックサイズの各々が、前記第1の後部顆オフセットに関して、より小さいサイズと次に大きいサイズとの間で第3の量だけ異なっており、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼの前記異なるストックサイズの各々が、前記第2の後部顆オフセットに関して、対応するより小さいサイズと対応する次に大きいサイズの間で第4の量だけ異なっており、前記第3の量は、前記第4の量と実質的に同じである、態様1から9のいずれか1項またはいずれかの組合せに記載のシステム。
〔態様11〕
膝関節形成術用システムにおいて、
互いに異なるストックサイズを備えた第1の複数の大腿骨プロテーゼを有する第1のファミリであって、前記第1の複数の大腿骨プロテーゼの各々が、第1の軸に沿って延在する第1のステムハウジングと、前記第1のステムハウジングに対して結合された第1の内側顆および第1の外側顆とを有し、前記第1の内側顆および前記第1の外側顆が、前記第1の軸から前記第1の内側顆および前記第1の外側顆の第1の最後部点まで測定した場合の第1の後部顆オフセットを有しており、前記第1の内側顆および前記第1の外側顆が、前記第1の内側顆の最内側縁部から前記第1の外側顆の最外側縁部まで測定した場合の第1の大腿骨内側-外側顆範囲を有している、第1のファミリと、
互いに異なるストックサイズを備えた第2の複数の大腿骨プロテーゼを有する第2のファミリであって、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼの各々が、第2の軸に沿って延在する第2のステムハウジングと、前記第2のステムハウジングに対して結合された第2の内側顆および第2の外側顆とを有し、前記第2の内側顆および前記第2の外側顆が、前記第2の軸から前記第2の内側顆および前記第2の外側顆の第2の最後部点まで測定した場合の第2の後部顆オフセットを有しており、前記第2の内側顆および前記第2の外側顆が、前記第2の内側顆の最内側縁部から前記第2の外側顆の最外側縁部まで測定した場合の第2の大腿骨内側-外側顆範囲を有している、第2のファミリと、
を含み、
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前記第1の後部顆オフセットおよび前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも1つの前記第2の後部顆オフセットが実質的に同じであり、
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの前記少なくとも1つの前記第1の大腿骨内側-外側顆範囲および前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの前記少なくとも1つの前記第2の大腿骨内側-外側顆範囲が、第1の既定量だけ異なっている、
膝関節形成術用システム。
〔態様12〕
前記第1の内側顆および前記第1の外側顆のうちの少なくとも1つが、第1の後部骨接触表面と前記第1の最後部点との間の後部部分において第1の厚みを有し、前記第2の内側顆および前記第2の外側顆のうちの少なくとも1つが、第2の後部骨接触表面と前記第2の最後部点との間の対応する後部部分において第2の厚みを有し、前記第1の厚みが前記第2の厚みと第2の既定量だけ異なっている、態様11に記載のシステム。
〔態様13〕
第1の後部面取りと関節表面の間で測定した場合の前記第1の内側顆と前記第1の外側顆のうちの前記少なくとも1つの第3の厚みが、対応する第2の後部面取りと対応する関節表面との間で測定した場合の前記第2の内側顆および前記第2の外側顆のうちの少なくとも1つの第4の厚みと、第3の既定量だけ異なっている、態様12に記載のシステム。
〔態様14〕
前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの前記少なくとも1つの前部骨接触表面が、前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの前記少なくとも1つの対応する前部骨接触表面よりも、第4の既定量だけ、相対的に前記第2の軸の近くに配置されている、態様13に記載のシステム。
〔態様15〕
前記第1の既定量および前記第2の既定量のうちの一方または両方が、実質的に3mmを含み、前記第3の既定量が実質的に1mmを含み、前記第4の既定量が実質的に1mmを含む、態様14に記載のシステム。
〔態様16〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの前記少なくとも1つおよび前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの前記少なくとも1つが、同じ脛骨担持用構成要素と連接するように構成されている、態様11から15のいずれか1項またはいずれかの組合せに記載のシステム。
〔態様17〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの前記第1の後部顆オフセットが、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの前記第2の後部顆オフセットと実質的に同じである、態様11から16のいずれか1項またはいずれかの組合せに記載のシステム。
〔態様18〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの前記第1の後部顆オフセットが、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの前記第2の後部顆オフセットと実質的に同じである、態様11から16のいずれか1項またはいずれかの組合せに記載のシステム。
〔態様19〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの前記第1の大腿骨内側-外側顆範囲が、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも4つの前記第2の大腿骨内側-外側顆範囲と実質的に同じである、態様11から18のいずれか1項またはいずれかの組合せに記載のシステム。
〔態様20〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの前記第1の大腿骨内側-外側顆範囲が、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼのうちの少なくとも6つの前記第2の大腿骨内側-外側顆範囲と実質的に同じである、態様11から18のいずれか1項またはいずれかの組合せに記載のシステム。
〔態様21〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼの前記異なるストックサイズの各々が、前記第1の大腿骨内側-外側顆範囲に関して、より小さいサイズと次に大きいサイズとの間で第1の量だけ異なっており、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼの前記異なるストックサイズの各々が、前記第2の大腿骨内側-外側顆範囲に関して、対応するより小さいサイズと対応する次に大きいサイズの間で第2の量だけ異なっており、前記第1の量は、前記第2の量と実質的に同じである、態様11から20のいずれか1項またはいずれかの組合せに記載のシステム。
〔態様22〕
前記第1の複数の大腿骨プロテーゼの前記異なるストックサイズの各々が、前記第1の後部顆オフセットに関して、より小さいサイズと次に大きいサイズとの間で第3の量だけ異なっており、前記第2の複数の大腿骨プロテーゼの前記異なるストックサイズの各々が、前記第2の後部顆オフセットに関して、対応するより小さいサイズと対応する次に大きいサイズの間で第4の量だけ異なっており、前記第3の量は、前記第4の量と実質的に同じである、態様11から21のいずれか1項またはいずれかの組合せに記載のシステム。